説明

人間の身体の一部に蒸気を当てるための気化器

【課題】加熱された湿気を持つ空気を治療容器から流出させ、生じる高温蒸気に供給する事なく、十分な湿度を有する低温蒸気を提供する方法並びに気化器を提供する。
【解決手段】治療液の貯蔵容器2と、治療液を移送するポンプ4、及び気化する気化装置5と、気化装置5に接続される蒸気管7と、蒸気流を冷却する冷却ガス流を、冷却ガス管12を介して供給する装置と、身体の一部が挿入される、又は身体の一部に接触する治療容器9とを備え、蒸気管と冷却ガス管が合流する、治療容器9内に混合および分散空間8が設けられて、冷却ガス管を通って流れるガスを移送する送風機11が接続され、当接エレメント13が混合および分散空間にウェブ14により壁面および/または底面に支持され、当接エレメントの当接面が複数の管7,12を合流するために配向され、ウェブ中間空間は、蒸気と冷却ガスの混合気を治療空間へと案内する貫通開口部を形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の身体の一部に蒸気を当てるための気化器に関し、この気化器は、
−治療液、特に水を貯蔵するための貯蔵容器と、
−治療液を移送するために前記貯蔵容器に接続されているポンプと、
−ポンプから移送された治療液を気化するための気化装置と、
−気化装置の後段に接続されている蒸気管と、
−蒸気流を冷却するために使用される冷却ガス流を、冷却ガス管を介して供給するための装置と、
−治療すべき身体の一部が挿入されるか、または治療すべき身体の一部に接触させることができる治療容器とを備えている。
【背景技術】
【0002】
人間の身体の一部、例えば人間の足、手または顔の表面の治療のためにバスタブ、足の場合にはフットバスが用いられる。その種のフットバスは、治療液を充填できる浴槽を有しており、また人間の足を入れることができる十分な空間を有している。一般的に、その種のフットバスは水を加熱するための加熱装置を備えている。大抵の場合、その種のフットバスは足をマッサージすることができる装置をさらに有している。所望のマッサージ機能に応じて、この装置は浴槽内にあるか、または、液体の水面を超えて浴槽を2つの足領域に隔てる中央ウェブにある。さらには、渦流の効果を達成するために、バスタブに空気流または水流を噴射することが公知である。
【0003】
そのように設計された治療機器を用いて種々の用途および種々の治療を実現できる場合であっても、人間の身体の一部、例えば足を湿った蒸気によって治療できる治療機器が同様に公知であるならば、それは好ましいであろう。その場合には勿論、その種の治療を高温蒸気によって行えないことが考慮されなければならない。高温蒸気は火傷を生じさせる虞がある。
【0004】
欧州登録特許第1484045号からは、その請求項1の上位概念による温浴器が公知である。この従来から公知の機器は蒸気を発生させるための装置を有している。さらに、この従来から公知の機器は空気取り込み口を有しており、この空気取り込み口によって空気は治療空間から流出し、この治療空間から離れた混合空間へと取り込まれ、混合空間においてその空気は、同様に混合空間に取り込まれた高温蒸気と混合される。混合空間は蒸気および空気の流れ方向に向かって先細りされている。この混合空間には蒸気と空気の混合気を治療空間へと移送するための換気装置がある。治療容器の底部に敷かれた中敷の上側開口部を通って、蒸気と空気の混合気は吐出し、また治療空間内へと流入する。欧州登録特許第1484045号に記載されている機器はフットバスとして設計されている。高温蒸気を治療空間から流出した空気と混合することによって高温蒸気は冷却され、またこの高温蒸気を換気装置によって移送することにより危険なく治療空間に取り込むことができる。
【0005】
この従来から公知の機器を用いることにより、生成された高温蒸気と治療空間から流出した湿気を持つ暖かい空気とが混合されることから、比較的僅かな高温蒸気の生成でもって湿気を持つ低温蒸気を提供できるとしても、治療容器内にある空気のリサイクルが所望されない用途が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州登録特許第1484045号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、この需要から出発する本発明の課題は、技術的に簡単な手段により、事前に加熱された湿気を持つ空気を治療容器から流出させて、生じている高温蒸気に供給する必要なく、十分な湿度を有する低温蒸気を提供することができる方法並びに気化器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は請求項1の特徴を備えた気化器によって解決される。
【0009】
この気化器においては、先ず気化装置において治療液が気化される。治療液として一般的に水が使用される。所望の治療に応じて、別の液体、好ましくは水分の多い液体も気化させることができる。このために、貯蔵容器から治療液がポンプを用いて取り出され、連続的に、またはパルス式に気化装置へと供給される。このやり方で高温蒸気流が発生する。この湿った高温蒸気流を冷却するために、高温蒸気流には冷却用ガスが供給される。この冷却用ガスは湿気飽和状態ではなく、治療容器の外部から取り込まれるか吸い込まれる。一般的に、その種の冷却用ガスは周囲温度にある空気である。高温蒸気流の温度に関して比較的冷たい供給されたガスは高温蒸気と混合され、この高温蒸気を混合および分散空間内で治療のために予定されている温度に冷却する。生成された蒸気流の形態の気化された治療液および冷却ガス流が、治療容器に対応付けられている混合および分散空間に一緒に供給される。この混合および分散空間において蒸気管と冷却管が合流する。供給された冷却ガス量に依存して、もしくは、高温蒸気流と供給された冷却ガスとの混合比に依存して、一般的には、治療のための低温蒸気の温度を調整することができる別の可能性もある。その種のやり方で冷却された、気化された治療液と供給された冷却ガス流との混合物から成る高温蒸気流は、それらの実施形態の枠内で低温蒸気と称される。供給された空気流が一方では確かに高温蒸気を冷却するが、しかしながら他方ではそれと同時に、供給された空気量によって、混合の過程において蒸気の一部が液化しない、または実質的に液化しないようにすることが重要である。供給される冷却用空気はこのために、その吸水容量に関して飽和していない。このことは通常の場合、周囲温度にある空気を供給する場合が考えられる。このやり方で、簡単な手段を用いて、湿度が高い低温蒸気を発生させることができ、この低温蒸気を容易に人間の身体の一部を治療するために当てることができる。冷却用ガス流、例えば供給された周囲空気流の移送を目的として、一般的には換気装置を備えた送風機が使用される。好ましくは、そのように設計された気化器のアクチュエータ、つまりポンプ、気化装置並びに送風機は、その出力および/またはポンピング頻度に関して調節可能である。このためにそれらのアクチュエータは制御ユニットに接続されている。その都度ユーザ側で行われる所望の蒸気の調整、例えば温度、水分および量の調整に依存して、低温蒸気の形成に関与するアクチュエータの相応の駆動制御が行われる。
【0010】
混合および分散空間は、ウェブによって壁面および/または底面に支持されている当接エレメントを備えている。当接エレメントは治療容器内にある。当接エレメントの当接面は蒸気管並びに冷却ガス管の合流部の方向に配向されている。この当接エレメントに向かって蒸気流および冷却ガス流が流れるので、それによってこの当接エレメントにおいては2つの気流の特に効果的な渦流の発生および混合が行われる。同時に、その種の当接エレメントは管合流部の効果的な遮蔽部を形成し、したがって、治療容器に供給される低温蒸気の分散に使用される。当接エレメントはウェブによって壁面および/または底面に支持されている。ウェブ間の自由空間、つまりウェブ中間空間からは、身体の一部が治療のために挿入されているか、身体の一部に接触される治療容器の本来の治療空間へと低温蒸気が流れる。蒸気管の吐出口側の合流部も、冷却ガス管の吐出口側の合流部も当接エレメントへと配向されており、混合および分散空間において合流しているので、2つの気流は付加的な措置を講じる必要なく混合される。この設計においては、2つの気流のうちの少なくとも1つ、つまり蒸気流および/または冷却ガス流が能動的に移送されて混合および分散空間へと流入するという状況が十分に利用される。
【0011】
好ましい実施形態によれば、当接エレメントは管合流部に向けられている側において凹状に湾曲されている。これによって、2つの気流の特に集中的な混合のみが行われるのではない。それと同時に、そのように成形された当接エレメントは、湾曲部の下方に添加物または混合添加物を収容するカートリッジを配置するために使用される。例えば、アロマ物質がその種の添加物として考えられる。カートリッジとして、焼結されたプラスチック材料から製造されており、その中空部にはアロマオイルが封入されているカートリッジが適している。その種のアロマ物質の代わりに、またその種のアロマ物質を補完するものとして、その種のカートリッジに、所望の治療をサポートする物質、例えば、血行を促進する物質を収容することもできる。混合および分散空間内にその種のカートリッジを複数配置できるか、または、設置できることは明らかである。
【0012】
気化装置を例えばPTCヒータエレメントによって駆動させることができる。この実施例においては、その種のヒータエレメントの出力特性が十分に利用される。何故ならば、ヒータエレメントをその目標温度に関して調整することができる、もしくは、所定の目標温度に関して実施できるからである。さらには、その種のPTCヒータエレメントの加熱特性曲線はその実際の温度に依存する。したがって、その種のヒータエレメントを、湿度が特に高い蒸気を発生させることができる温度領域に比較的長く保持することができる。その種の蒸気についての温度は約135℃である。PTCヒータエレメントの慣性に起因して、気化される水の供給をPTCヒータエレメントの実際の温度に依存して制御することができる。その種の実施形態では、蒸発すべき水がパルス式に気化装置に供給される。この動作方式では、気化装置を相応の水供給によって130℃から140℃の間の温度に保持することができる。その限りにおいて、所望の蒸気を発生させるために1つのPTCヒータエレメントを使用すること、または複数のPTCヒータエレメントを使用することも好適である。
【0013】
気化器のアクチュエータは一般的に制御ユニットに接続されており、この制御ユニットによって駆動制御される。このやり方で、異なる温度、低温蒸気における異なる水分または異なる治療周期も実施することができる。
【0014】
高温蒸気および冷却ガス流を混合および分散空間へと並行して供給する結果、また、搬送ポンプ、気化装置並びに送風機を独立して駆動制御する結果、その種の気化器を用いて特に効果的な交代浴効果も生じさせることができる。このことは、湿気を有する低温蒸気または周囲空気が交互に供給されることによって達成される。供給された空気は蒸気を押し出し、それによって湿った皮膚における蒸発冷却効果が高められる。特に効果的な交代浴効果は、冷却ガス流の混合および分散空間への合流領域がその直径に関して一般的に設けられている当接エレメントよりも大きい場合に達成することができる。さらにこの実施形態においては、冷却用周囲空気が当接エレメントを通過するように流れる。それと同時に低温蒸気の形成のために高温蒸気が蒸気搬送管を介して供給される場合には、それに伴い渦流が発生し、供給された冷却ガス流(周囲空気)は条件付きでのみその種の当接エレメントを通過して直接案内される。発展形態においては、種々の絞りによって冷却ガス管の混合および分散空間への合流幅を調整することができる。この場合には、冷却ガス流を少なくとも部分的に当接エレメントの外面を通過するように流すことができ、しかも、絞りの開口部が比較的大きい場合、またはこの冷却ガス流が総じて当接エレメントに向かって案内される場合、特に絞り開口部が比較的小さい場合にそのように冷却ガス流を流すことができる。
【0015】
本発明のさらなる利点および実施形態は、添付の図面を参照する、以下の実施例の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】低温蒸気を当てるための気化器の概略図である。
【図2】別の実施例による気化器の概略図である。
【図3a】さらに別の実施例による気化器の第1の治療位置での概略的な断面図である。
【図3b】さらに別の実施例による気化器の第2の治療位置での概略的な断面図である。
【図4】図1から図3または図5の気化器のうちの1つにおいて使用するための気化装置の概略的な部分図である。
【図5】さらに別の実施例による気化器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
気化器1は、人間の身体の一部に低温蒸気を当てるために使用される。気化器1は、この実施例において治療液として用いられる水を貯蔵するための貯蔵容器2を備えている。貯蔵容器2の吐出口は蒸気管3に接続されており、この蒸気管3を介して水が貯蔵容器2から、図示されている実施例では電気モータにより駆動されるポンプ4によって気化装置5に供給される。ポンプ4および気化装置5はその出力に関して調節可能であり、そのために制御ユニット6に接続されている。したがって、制御ユニット6を介してポンプ4並びに気化装置5の電力消費量が駆動制御される。それと共にポンプをパルス式に駆動制御することもできる。詳細には図示していない方式およびやり方で、制御ユニット6には同様に調整素子が接続されており、この調整素子を用いることによりユーザは気化器をスイッチオンおよびスイッチオフすることができ、またこの調整素子を用いることによりユーザは所定の蒸気パラメータ、例えば温度および湿度を調整することができる。調整されたパラメータに依存して、低温蒸気発生が実施される。
【0018】
気化装置5の吐出口は蒸気管7を介して、治療容器9の一部としての混合および分散空間8に接続されている。貯蔵容器の内部空間は、治療すべき身体の一部が挿入される空間を表す。混合および分散空間8は治療空間内にある。したがって、気化装置5によって提供される高温蒸気は高温蒸気流として、蒸気管7を介して混合および分散空間8へと移送される。さらに、混合および分散空間8には送風機11の吐出口10が合流している。図示されている実施例において、送風機11は移送素子として換気装置を含んでいる。送風機11を介して、周囲温度にある周囲空気が混合および分散空間8へと取り込まれる。その温度に関して混合および分散空間8へと供給された周囲空気は高温蒸気流と混合し、高温蒸気流と供給された周囲空気流との温度差に依存して、またそれら2つの気流が供給および相互に混合される混合比に依存して、高温蒸気流を冷却する。混合比は、所望の低温蒸気流を生じさせるために調整される。温度は治療温度に対応する。それと同時に、高温蒸気流と供給された周囲空気との混合の比率は、高温蒸気流によって混合および分散空間8へと取り込まれた湿気が液化しないように調整される。したがって、高温蒸気の湿度は少なくとも実質的に維持され続ける。つまり、高温蒸気流の吸水容量に関するその高温蒸気流の最大限の飽和とは異なり、送風機11を介して供給された冷却用の周囲空気はその吸水容量に関して飽和していない。
【0019】
混合および分散空間8は、図面において、俯瞰的に見た面に平行な長手断面に示されている治療容器9の内部にあり、かつ、蒸気移送管7の合流部並びに冷却管12の合流部を覆う当接エレメント13によって包囲される。当接エレメント13は管合流部へと向かう方向において凹状に湾曲されており、かつ、ウェブ14を介して図1において見て取れる治療容器9の側壁15に支持されている。ウェブ中間空間Sからは、混合および分散空間8の内部で形成された低温蒸気が吐出され、治療容器9内に分散する。
【0020】
当接エレメント13の凹状の湾曲部の下方にはアロマカートリッジ16が配置されている。図示されている実施例では、アロマカートリッジ16がプラスチック材料から成り、またアロマ物質としてのオイルを中空部に有している。したがって、2つの気流を混合して渦流を発生させる過程においてアロマ物質が含まれ、アロマ物質キャリアとしての低温蒸気と共に治療容器9へと取り込まれる。図1に示されている実施例においては、蒸気移送管7から吐出した高温蒸気は少なくとも部分的に、直接的にアロマカートリッジ16へと流れる。
【0021】
貯蔵容器2は充填状態センサ17を有しており、この充填状態センサ17は同様に制御ユニット6によって読み出し可能である。貯蔵容器2うちの充填状態が過度に低い場合、または、充填状態が前述の最小量を下回って低下している場合には、安全性の理由からポンプ4および気化装置5をスイッチオフすることができる。それと同時に、水を貯蔵容器2に注ぎ足すべきことをユーザに通知する信号が生成される。
【0022】
制御ユニット6は所定の制御アルゴリズムおよびユーザによる調整に依存して、気化器1の動作もしくはそのアクチュエータ、つまりポンプ4、気化装置5および送風機11の動作を制御する。ポンプ4および気化装置5の出力調節を介して、生成される高温蒸気量および生成される高温蒸気の温度を調整することができる。送風機11の出力を調節できることによって、移送管7を介して流れる高温蒸気流と、送風機11を介して供給される冷却用周囲空気流の混合比を調整することができる。同様に、この混合比はポンプ4並びに気化装置5の相応の駆動制御にも影響を及ぼすことができる。
【0023】
上述の構成要素の他に、気化器1は図示されている実施例において、電気的に充電可能な金属リング18を有しており、この金属リング18は冷却ガス管10の混合および分散空間8への合流部を包囲する。金属リング18が適切に電気的に充電されている場合、それによって蒸気のイオン化を達成し、またそれによって殺菌も達成することができる。
【0024】
電極としてのその種の金属リング18の代わりに、またはその種の金属リング18に付加的に、一般的には冷却管12に関して軸方向に配置されている電極ピンを設置することもできる。
【0025】
1つの発展形態においては、治療容器に一般的にはキャップアタッチメントとして設計されている1つまたは複数のアタッチメントを対応付け、身体の異なる部位の治療をその都度選択されたアタッチメントに依存して実現することができる。つまり例えば、その上縁が人間の顔の輪郭に適合されているフェイスアタッチメントを設けることができる。付加的に、その種の治療では気化器を台に載置することができ、その台を用いて気化器は人間工学的により好適な治療のために傾斜されている。
【0026】
図2は別の気化器1.1を部分図で示している。気化器1.1は、原理上は図1の気化器1と同様に構成されている。気化器1.1は、混合および分散空間8.1の内部に続く冷却ガス管12.1の吐出口10.1の内のりの幅の直径が当接エレメント13.1の直径よりも大きい点で気化器1とは異なっている。これによって、冷却管12.1を通って移送される冷却ガス、一般的には周囲空気の少なくとも一部を、当接エレメント13.1を通過させて、治療すべき身体の一部へと直接的に流すことができる気化器1.1の動作方式が実現される。これによって、高温蒸気供給の交互のオン・オフにより交代浴効果を高めることができる。
【0027】
図3aは、別の治療容器9.2の一部を断面図で示している。この治療容器9.2においては上面に開放可能なカバー19があり、この開放可能なカバー19は図1において治療容器9.2を用いるために第1の位置にある。図3aにおいてカバー19は閉じられている。カバー19は治療容器9.2の上壁20の一部を表し、また当接エレメント13.2の上方における垂直方向の遊隙内にある。治療容器9.2のこの実施形態の当接エレメント13.2は上方にカバー19に向かって開かれており、また前述の2つの実施例と同様に、蒸気供給管7.2の合流部の手前にある。カバー19は、治療容器9.2、ないし、高温蒸気を当てるための、治療容器9.2を備えた気化器を人間の身体の別の部位に対しても利用できるようにするという目的のために使用され、しかも、カバー19が図3bに示されているように開かれている場合にその目的のために使用される。高温蒸気を当てるために、高温蒸気のみが移送管7.2を通って移送される。当接エレメント13.2の内面においては、蒸気がその流れ方向に関して偏向され、治療容器9.2の上側の治療開口部21から吐出される。このやり方で、治療容器の内側に挿入することができないか、または嵌め込むことができない身体の一部にも高温蒸気を当てることができる。したがって、このやり方で髪も治療することができる。
【0028】
図4は気化装置22を示しており、この気化装置22の核心部はPTCヒータエレメント23である。PTCヒータエレメント23は、複数の流体経路を包含するアルミニウムブロックに埋め込まれている。図示されている実施例のアルミニウムブロックは複数の部品、ここでは4つの部品から組み立てられている。PCTヒータエレメント23を直接的に包囲している2つのブロック部品24,24.1が設けられている。それらの2つのブロック部品24,24.1の間においてPTCヒータエレメント23が所定の応力下でその平坦な面を用いて保持されている。このことは、PTCヒータエレメント23からブロック部品24,24.1への特に良好な熱伝達を提供するために使用される。ブロック部品24は外面に、このブロック部品24の長手延在方向にわたりメアンダ状に延びる溝25を有しており、この溝25は流れ方向にある端部において結合溝26へと移行する。ブロック部品28.1は原理上は同様に構成されているが、しかしながらこのブロック部品28.1においては流体が結合溝26.1から、同様にメアンダ状に設計されている流れ溝25.1へと流れる。流れ溝25の流れ断面積と流れ溝25.1の流れ断面積とは異なっている。メアンダ状の流れ溝25.1の流れ断面積はメアンダ状に実施されている流れ溝25の流れ断面積よりも小さい。2つの結合溝26,26.1はシーリングスリーブDによって相互に結合されている。シーリングスリーブDはブロック部品24ないし24.1のそれぞれの相応のスリーブ切り欠きに嵌め込まれている。流れ溝25,25.1はフライス削りによってそれぞれのブロック部分24,24.1に形成される。それらの溝25,25.1はそれぞれキャップ27,27.1によって閉じられている。キャップ27内には流入開口部28がある。キャップ27.1内には吐出口29がある。流れ取り込み口28を通って水が気化装置22に供給される。吐出口29からは、図4においてブロック矢印によって概略的に示されているように蒸気が吐出される。
【0029】
フライス削りによって1つまたは複数のキャップに流れ溝を形成することによる、メアンダ状に設計された流れ溝の構成の代わりに、流れ溝を別の方式およびやり方で、例えば流れ溝の鋳造によって1つまたは複数のキャップに設けることもできる。同様に、流体経路をキャップおよびキャップに接している金属構成部材に形成することができ、それによって、金属構成部材に接続されているキャップにおいては形成された複数の溝が相互的に補われている。流体経路を金属構成部材にのみ形成し、その流体経路がさらに溝としてキャップによって閉じられることも考えられる。流体経路を別のやり方で、例えば金属部品が焼結プロセスの経過において形成される場合には、それぞれの金属ブロックに形成することができる。
【0030】
気化装置22の動作時には、取り込み口28を通って水が気化装置22へと取り込まれ、相応の温度にあるアルミニウムにおいて気化し、吐出口29を通って吐出され、さらに、例えば移送管を介して混合室に供給される。気化の過程においてアルミニウムブロック部品24,24.1から熱が運び去られる。さらには同様のことがPTCヒータエレメント23にも該当し、このPTCヒータエレメント23は複数の流体経路25,25.1に相応に水が供給されると同様に冷却される。PTCヒータエレメント23の慣性によって、このPTCヒータエレメント23は再び所定の温度に加熱するためには、アルミニウムブロック部分24,24.1によって水が蒸気発生のためにポンピングされるべきではないある程度の休止時間を必要とする。したがって、気化装置22は一般的にはパルス式の水供給によって駆動制御され、しかもPTCヒータエレメントの温度に依存して駆動制御される。
【0031】
一様な蒸気流の提供を目的として、流体溝25.1の断面は、流れ溝25の断面よりも僅かに小さく寸法設計されている。これによって、ある程度の停滞圧力が発声し、その結果、発生した蒸気は吐出口29から一様に流出される。このことはパルス式の水供給による気化装置22の動作を実現するが、それにもかかわらず、吐出口側では生成された蒸気が一様に、または少なくとも十分一様に流出される。したがって、この気化装置22においては適切なやり方で、PTCヒータエレメントの使用によって生じる慣性が利用され、加熱装置22に蒸気流体が周期的に供給されるにもかかわらず、吐出口側にある程度の停滞圧力が提供されるように設計されていることによって、例えば、流れ溝25.1の流れ断面幾何学を比較的小さくすることによって、吐出口側では蒸気を一様に吐出させることができる。これによって、気化温度が周期的に低く保持され、その結果、加熱された液体の気化していない細かい滴が生じるか、滴が一緒に運ばれ、この滴によって吐出された蒸気が特に「湿ったものに」保持される。さらに有利には、気化すべき水を移送するためのポンプを常に動作させる必要はない。
【0032】
図5はさらに別の気化器1.2を示している。この別の気化器1.2は原理上は図1の気化器と同じ構成である。気化器1.2はアロマカートリッジ16.2の配置に関して図1の気化器と異なる。この気化器1.2ではアロマカートリッジ16.2が混合および分散空間8.2内にあるのではなく、冷却ガス管12.2内にある。アロマカートリッジ16.2に貯蔵されている添加物または混合添加物は、送風機11.2によって移送される空気流がカートリッジ16.2に収容されている物質または混合物質によって幾分は受け入れられることができる濃度を有する。したがって、気化器1.2ではその種のカートリッジ16.2に収容されている物質または混合物質の取り込みが送風機11.2の移送機能と組み合わされている。
【0033】
本発明の説明は、気化器の上述の設計および上述の方法によってその種の気化器を僅かな構造空間でもっても実現できることを明確に示している。この理由から、この設計は特に、気化機能が既存の機器、例えばフットバス等に付加的に組み込まれるべき場合にも適している。
【符号の説明】
【0034】
1,1.1,1.2 気化器
2 貯蔵容器
3 移送管
4 ポンプ
5 気化装置
6 制御ユニット
7,7.1,7.2 移送管
8,8.1,8.2 混合および分配空間
9,9.1,9.2 治療容器
10,10.1 吐出口
11,11.1,11.2 送風機
12,12.1,12.2 冷却ガス管
13,13.1,13.2 当接エレメント
14,14.1 ウェブ
15,15.1 側壁
16,16.1,16.2 アロマカートリッジ
17 充填状態センサ
18 金属リング
19 カバー
20 壁
21 治療開口部
22 気化装置
23 PTCヒータエレメント
24,24.1 アルミニウムブロック部品
25,25.1 流体溝
26,26.1 結合溝
27,27.1 キャップ
28 取り込み口
29 吐出口
S ウェブ中間空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の身体の一部に蒸気を当てるための気化器であって、
−治療液、特に水を貯蔵するための貯蔵容器(2)と、
−治療液を移送するために前記貯蔵容器(2)に接続されているポンプ(4)と、
−前記ポンプ(4)から移送された治療液を気化させるための気化装置(5)と、
−前記気化装置(5)の後段に接続されている蒸気管(7,7.1,7.2)と、
−蒸気流を冷却するために使用される冷却ガス流を、冷却ガス管(12,12.1,12.2)を介して供給するための装置と、
−治療すべき前記身体の一部が挿入されるか、または治療すべき身体の一部に接触させることができる治療容器(9,9.1,9.2)とを備えている気化器において、
前記蒸気管(7,7.1,7.2)と前記冷却ガス管(12,12.1,12.2)が合流する、前記治療容器(9,9.1,9.2)の治療空間内にある混合および分散空間(8,8.1,8.2)が設けられており、前記冷却ガス管(12,12.1,12.2)の取り込み口は前記治療容器(9,9.1,9.2)の外側に配置されており、
前記冷却ガス管(12,12.1,12.2)を通って流れるガスを前記冷却ガス管(12,12.1,12.2)へと移送するために送風機(11,11.1,11.2)が接続されており、前記混合および分散空間(8,8.1,8.2)はウェブ(14)によって壁面および/または底面に支持されている当接エレメント(13)を備えており、該当接エレメント(13)の当接面は前記複数の管(7,7.1,7.2,12,12.1,12.2)を合流するために配向されており、
少なくとも1つのウェブ中間空間は、前記混合および分散空間(8,8.1,8.2)において形成される蒸気と冷却ガスの混合気を前記治療容器(9,9.1,9.2)の前記治療空間へと案内するための貫通開口部を形成することを特徴とする、気化器。
【請求項2】
前記蒸気管(7,7.1,7.2)および前記冷却ガス管(12,12.1,12.2)は相互に並行に前記混合および分散空間(8,8.1,8.2)に合流することを特徴とする、請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記当接エレメント(13)は管合流部に向けられている側において凹状に湾曲されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の気化器。
【請求項4】
前記混合および分散空間(8,8.1)内には添加物または混合添加物を収容するカートリッジ(16,16.1)が配置されているか、または設置可能であり、前記添加物または前記混合添加物は、前記混合および分散空間(8,8.1)内にある蒸気および/または冷却ガスが、前記添加物または前記混合添加物によって幾分は受け入れられることができる濃度を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項5】
前記カートリッジ(16,16.1)に収容されている添加物または前記カートリッジ(16,16.1)に収容されている混合添加物は、前記混合および分散空間(8,8.1)内に周囲温度よりも遥かに高い温度が生じると、前記カートリッジ(16,16.1)から添加物または混合添加物が排出されるように形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の気化器。
【請求項6】
前記冷却ガス管(11.2)内には添加物または混合添加物を収容するカートリッジ(16.2)が配置されているか、または設置可能であり、前記添加物または前記混合添加物は、前記カートリッジを通過するように流れる冷却ガス流が前記添加物または前記混合添加物によって受け入れられる濃度を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項7】
前記カートリッジ(16,16.1,16.2)は焼結されたプラスチック材料から製造されており、前記プラスチック材料の孔中空部には前記添加物または前記混合添加物がキャリア液体、特にオイルとして収容されていることを特徴とする、請求項4ないし6のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項8】
合流部の領域においては、前記2つの管(7,12)のうちの少なくとも1つが、前記混合および分散空間(8)内に、例えば金属リング(18,18.1)として実施されている少なくとも1つのイオン化電極が配置されていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項9】
前記気化装置(22)は流体経路(25,25.1)を備えた金属ブロック(24,24.1)と、該金属ブロック(24,24.1)に熱伝的に接続されているヒータエレメント(23)、特にPTCヒータエレメントとを有することを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項10】
前記金属ブロックは複数の部品(24,27,24.1,27.1)から組み立てられており、前記ヒータエレメント(23)は前記金属ブロック(24,24.1)の2つの部品間にあり、かつ、2つの金属部品(24,24.1)と熱伝的に接触していることを特徴とする、請求項9に記載の気化器。
【請求項11】
前記流体経路は、治療液の気化のプロセスによって吐出口側に停滞圧力を生じさせるために、前記気化装置(22)内に形成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の気化器。
【請求項12】
前記気化装置(22)の吐出口側の流れ溝(25.1)が少なくとも部分的に、取り込み口側の流れ溝(25)よりも小さい流れ断面積を有することを特徴とする、請求項11に記載の気化器。
【請求項13】
前記治療容器(9)は手、両手、足または両足を収容するために形成されていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項14】
前記治療容器(9)はフットバスの一部であることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の気化器。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90927(P2013−90927A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233684(P2012−233684)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【出願人】(501173793)ダブリュアイケー ファー イースト エルティーディー. (7)
【Fターム(参考)】