説明

人間系アプリケーション装置、システム系アプリケーション装置及びアプリケーションフロー制御装置

【課題】連携するアプリケーション側から自身が実行すべき処理の有無を問い合わせ、アプリケーションを自動起動させる自立協調型アプリケーション自動起動Agentを実現する手段を提供する。
【解決手段】人間系アプリケーション装置110に対してログインがなされると、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムがログイン情報を取得し、アプリケーションフロー制御装置140に対して出力する。アプリケーションフロー制御装置140で動作するアプリケーションフロー制御プログラムは、該ログイン情報に関わる実行すべきタスクの有無を検証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のアプリケーション及びデバイスを跨ったアプリケーションのフロー制御、特に今まで実現できなかった人間系アプリケーション(ユーザインターフェースを保持するアプリケーション)とシステム系アプリケーション(ユーザインターフェースを保持しないアプリケーション)とのアプリケーション連携技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドコンピューティングの普及に伴い、アプリケーションはお互いの稼働環境(オンプレミス、クラウド等)に影響させることなく、シームレスに連携するITモデルが今後普及すると考えられる。この市場動向に対応すべく、アプリケーションをシームレスに連携するには、従来技術であるアプリケーションへのアクセスを、バスを介して行うアーキテクチャー・パターンであるEnterprise Service Bus(ESB)が存在する。
【0003】
また、特開2010−136171号公報(特許文献1)のような先行技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−136171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、インターネットを越えて利用しようとした場合には、(1)ESBはフローに従ってWebサービスを呼び出す為、呼び出されるWebサービスにはグローバルIPの割り当てが必要となりIP管理が複雑化する、(2)連携するアプリケーション側でポートを開放していなければならずセキュリティ上課題の発生、(3)従来のESBではシステム系アプリケーション(Webサービス等)を対象としているため人間系アプリケーションと混在させる事ができない、という課題がある。
【0006】
本発明の目的は、連携するアプリケーション側から自身が実行すべき処理の有無を問い合わせ、アプリケーションを自動起動させる「自立協調型アプリケーション自動起動Agent」を、インターネット経由で実現する手段を提供することにある。
【0007】
また、本発明の別の目的は、複数のアプリケーション及びデバイス(バッチアプリケーション、Webアプリケーション、スマ−トフォンアプリケーション等)を跨り、かつ、複数のロケーションを跨ったフローを制御するアプリケーションフロー制御方法を提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0010】
本発明の代表的な実施の形態に関わる人間系アプリケーション装置は、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムと、1または2以上のアプリケーションプログラムと、アプリケーションフロー制御装置と送受信を行うための外部インターフェースと、を含み、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが該人間系アプリケーション装置ログイン時に入力されるログイン情報を取得し、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムはログイン情報をアプリケーションフロー制御装置に出力し、外部インターフェース経由で実行すべきタスクに関する情報を受信すると、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが1または2以上のアプリケーションプログラムの内適切なものを起動することを特徴とする。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態に関わるシステム系アプリケーション装置は、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムと、1または2以上のアプリケーションプログラムと、アプリケーションフロー制御装置と送受信を行うための外部インターフェースと、を含み、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが該システム系アプリケーション装置ログイン時に入力されるログイン情報を取得し、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムはログイン情報をアプリケーションフロー制御装置に出力し、外部インターフェース経由で実行すべきタスクに関する情報を受信すると、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが1または2以上のアプリケーションプログラムの内適切なものを起動することを特徴とする。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態に関わるアプリケーションフロー制御装置は、制御装置と、外部と送受信を行うための外部インターフェースと、アプリケーションフロー制御プログラムを保持するメモリと、アプリケーション実行権限情報とを記憶する記憶装置と、を含み、制御装置は、外部インターフェースから受信したログイン情報に基づき実行すべきタスクを検索し、検索結果を前記ログイン情報の送信元に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いる事で、今まで実現できなかった人間形アプリケーションとシステム系アプリケーションとを跨ったアプリケーションのフローを実現することが可能となる。
【0014】
また、本発明を用いる事で、アプリケーションから自身の実行すべきタスクを問い合わせる仕掛けを設けることが可能となり、光セキュアなアプリケーションフロー制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【図2】アプリケーションフロー制御装置のソフトウェア構成を示す概念図である。
【図3】人間系アプリケーション装置の構成を表す図である。
【図4】システム系アプリケーション装置の構成を表す図である。
【図5】アプリケーションフロー制御プログラムの機能構成と、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムとの関連及びフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0017】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。
【0018】
また、以下の実施の形態に記載される構成部品の形状、寸法、材質、その相対的位置関係、ソフトウェアの場合にはモジュール間の担当業務の割り当て、などは一例に過ぎない。この発明の範囲をそれのみに限定するものではない。
【0019】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【0021】
本実施例を適用するシステムは、人間系アプリケーション装置110と、システム系アプリケーション装置120と、社内ネットワーク130と、本発明で特徴となるアプリケーションフロー制御装置140と、インターネット150と、を含んで構成される。
【0022】
まず一般的な構成について説明する。
【0023】
人間系アプリケーション装置110は利用者100が用いる人間系アプリケーションがインストールされたPC他の端末装置である。
【0024】
システム系アプリケーション装置120は、夜間のバッチ処理などで利用されるシステム系アプリケーションが動作するPC他のサーバ装置である。
【0025】
社内ネットワークは130、主に自社内端末装置間の接続に用いられる、プライベートIPアドレスなどを用いて構成されたネットワークである。
【0026】
インターネット150は、インターネットプロトコル技術を利用してコンピュータ間を相互接続する公開されたネットワークである。
【0027】
次に、本発明で特徴となるアプリケーションフロー制御装置140について説明する。
【0028】
図2は、アプリケーションフロー制御装置140のソフトウェア構成を示す概念図である。
【0029】
アプリケーションフロー制御装置140は図示しない制御装置のほか、メモリ220及び記憶装置250を含んで構成される。メモリ220にはアプリケーションフロー制御プログラム210が記録される。また、記憶装置250にはアプリケーション実行権限情報230及びフロー制御情報240を含む。
【0030】
アプリケーションフロー制御プログラム210は、図示しない制御装置によって実行されるアプリケーションフロー制御についてのプログラムである。
【0031】
アプリケーション実行権限情報230は、アプリケーション毎の実行権限レベルや、各ユーザが有する実行権限レベルを管理するプログラムである。なお、上記のユーザ権限設定の一例としてはUNIX(登録商標)等で用いられるchmodコマンドなどによる権限定義などが上げられる。
【0032】
フロー制御情報240は、アプリケーションのフロー制御を行うプログラムである。
【0033】
図3は、人間系アプリケーション装置110の構成を表す図である。
【0034】
人間系アプリケーション装置110は図示しない制御装置のほか、メモリ330及び記憶装置340を含んで構成される。メモリ330には、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310及びアプリケーションプログラム320が記録される。
【0035】
また記憶装置340にはアプリケーション用ユーザ情報350が記録される。
【0036】
自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310は、人間系アプリケーション装置110が実行するタスクが存在するか問い合わせるプログラムである。
【0037】
アプリケーションプログラム320は、人間系アプリケーション装置110上で動作する、人間系アプリケーションである。アプリケーションプログラム320は1又は2以上が存在し実行されるような状況であっても良い。
【0038】
アプリケーション用ユーザ情報350は、該当するアプリケーションプログラム320を実行可能なアプリケーションのユーザID(APユーザID)及びパスワード(APパスワード)を含むデータである。
【0039】
図4は、システム系アプリケーション装置120の構成を表す図である。
【0040】
システム系アプリケーション装置120は図示しない制御装置のほか、メモリ430を含んで構成される。メモリ430中には、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410、アプリケーションプログラム420がロードされている。
【0041】
自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410は、システム系アプリケーション装置120が実行するタスクが存在するか否かを問い合わせるプログラムである。
【0042】
アプリケーションプログラム420は、システム系アプリケーション装置120上で動作するシステム系アプリケーションプログラムである。
【0043】
なお、図2から図4の各図ではキーボード等の入力装置及び外部の機器、例えばネットワーク接続用のハブ、と接続する外部インターフェースは省略しているが、これらは当然各装置とも具備することは言うまでもない。
【0044】
図5は、アプリケーションフロー制御プログラム210の機能構成と、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310、410との関連及びフローを示す図である。
【0045】
アプリケーションフロー制御プログラム210は、アプリケーションフロー制御エンジン510と、連携するアプリケーションを保持するアプリケーションストア520と、データキャッシング530と、を含んで構成される。
【0046】
アプリケーションフロー制御エンジン510は、アプリケーションのフローを制御するソフトウェアモジュールである。
【0047】
アプリケーションストア520は、アプリケーションフロー制御エンジン510と連携するアプリケーションを保持するソフトウェアモジュールである。
【0048】
データキャッシング530は、アプリケーション間での引継ぎデータを格納するソフトウェアモジュールである。
【0049】
利用者100が利用する人間系アプリケーションであるアプリケーションプログラム320aにログオンすると連携している自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310が呼び出される。自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310は利用者100のログイン情報をアプリケーションフロー制御装置140上で動作するアプリケーションフロー制御プログラム210に引き渡す。
【0050】
アプリケーションフロー制御プログラム210はアプリケーションフロー制御エンジン510を用いてログイン情報と要求されたアプリケーション情報を元に実行すべきタスクを検索する。
【0051】
検索した結果実行すべきタスクが存在した場合には自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310に実行すべきタスク情報を戻す。自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310は、実行すべきタスク情報を元に人間系アプリケーションであるアプリケーションプログラム320aにタスク情報を引き渡すことにより、利用者100が実行すべきアプリケーション情報を人間系アプリケーション装置110の画面を介して表示する。表示されたアプリケーション情報に関わるアプリケーションプログラム320aを利用者100が処理完了した場合には、完了結果を自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310に引き渡す。自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310は前記完了結果をアプリケーションフロー制御プログラム210に引き渡す。
【0052】
アプリケーションフロー制御プログラム210は、アプリケーションフロー制御エンジン510に完了結果を通知することにより、アプリケーションフロー制御エンジン510は該当するタスクを完了とし次のフローに制御させる。このとき、次のアプリケーションに引き渡す情報が存在した場合には完了結果と共に自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310に引継ぎデータを引き渡す。自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム310はこのとき受け取った引継ぎデータをデータキャッシング530に格納する。
【0053】
一方、システム系アプリケーションであるアプリケーションプログラム420aと連携している自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410は定期的に実行すべきタスクが存在しないか否かをアプリケーションフロー制御プログラム210に問い合わせている。
【0054】
実行すべきタスクが存在した場合には、アプリケーションフロー制御プログラム210は自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410に実行すべきタスク情報を戻す。このとき全アプリケーションで引継ぎデータが存在した場合には、アプリケーションフロー制御プログラム210はタスク情報と共に引継ぎデータをデータキャッシング530から取得し、自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410に渡す。自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410はタスク情報及び引継ぎデータをシステム系アプリケーションであるアプリケーションプログラム420aに渡すことをトリガーとして、システム系アプリケーションであるアプリケーションプログラム420aは処理を開始する。
【0055】
システム系アプリケーションであるアプリケーションプログラム420aの処理が完了した場合には、完了結果を自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム410に引き渡す。以降は、前述した人間系アプリケーションであるアプリケーションプログラム320aと同様の処理となる。
【0056】
上記のような処理を行うことで、連携するアプリケーション側から自身が実行すべき処理が存在するか問い合わせ、アプリケーションを自動起動させる「自立協調型アプリケーション自動起動」と、複数のアプリケーション及びデバイスを跨り、かつインターネットを介して複数のロケーションを跨ったフローを制御する「アプリケーションフロー制御」を提供することが可能となる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は複数のアプリケーション及びデバイスを跨ったアプリケーションのフロー制御、特に今まで実現できなかった人間系アプリケーションとシステム系アプリケーションとのアプリケーション連携技術を提供し、SaaSなどのネットワークサービスへの適用を想定する。
【符号の説明】
【0059】
100…利用者、110…人間系アプリケーション装置、
120…システム系アプリケーション装置、130…社内ネットワーク、
140…アプリケーションフロー制御装置、150…インターネット、
210…アプリケーションフロー制御プログラム、220…メモリ、
230…アプリケーション実行権限情報、240…フロー制御情報、
250…記憶装置、
310…自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム、
320、320a…アプリケーションプログラム、330…メモリ、
340…記憶装置、350…アプリケーション用ユーザ情報、
410…自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラム、
420、420a…アプリケーションプログラム、430…メモリ、
510…アプリケーションフロー制御エンジン、520…アプリケーションストア、
530…データキャッシング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムと、1または2以上のアプリケーションプログラムと、アプリケーションフロー制御装置と送受信を行うための外部インターフェースと、を含む人間系アプリケーション装置であって、
前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが該人間系アプリケーション装置ログイン時に入力されるログイン情報を取得し、
前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムは前記ログイン情報を前記アプリケーションフロー制御装置に出力し、
前記外部インターフェース経由で実行すべきタスクに関する情報を受信すると、前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが前記1または2以上のアプリケーションプログラムの内適切なものを起動することを特徴とする人間系アプリケーション装置。
【請求項2】
自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムと、1または2以上のアプリケーションプログラムと、アプリケーションフロー制御装置と送受信を行うための外部インターフェースと、を含むシステム系アプリケーション装置であって、
前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが該システム系アプリケーション装置ログイン時に入力されるログイン情報を取得し、
前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムは前記ログイン情報を前記アプリケーションフロー制御装置に出力し、
前記外部インターフェース経由で実行すべきタスクに関する情報を受信すると、前記自立協調型アプリケーション自動起動Agentプログラムが前記1または2以上のアプリケーションプログラムの内適切なものを起動することを特徴とするシステム系アプリケーション装置。
【請求項3】
制御装置と、外部と送受信を行うための外部インターフェースと、アプリケーションフロー制御プログラムを保持するメモリと、アプリケーション実行権限情報を記憶する記憶装置と、を含んで構成されるアプリケーションフロー制御装置であって、
前記制御装置は、前記外部インターフェースから受信したログイン情報に基づき実行すべきタスクを検索し、検索結果を前記ログイン情報の送信元に出力することを特徴とするアプリケーションフロー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−8179(P2013−8179A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140101(P2011−140101)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)