説明

介護リフォーム支援システム

【課題】顧客から受注した介護リフォームの工事について、顧客の自己負担分と公費による負担分とを考慮した請求を行う。
【解決手段】介護用のリフォームの工事の各受注データについて、合計金額のうちの顧客負担額と、合計金額のうちの少なくとも一部を負担する自治体を識別する自治体識別子と、合計金額のうちの自治体負担額とを含むユーザ入力を受け付け、各受注データについて、顧客に対して顧客負担額を請求するための顧客請求データと、自治体に対して自治体請求額を請求するための自治体請求データとを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護リフォーム支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進むにつれて、在宅で介護を行うことが増えてきている。ところが、一般的な家屋は、介護を考慮した設計がなされていないことが多い。そのため、在宅で介護を行うためには、浴室や階段等に手すりをつけたり、玄関入口にスロープを設けたりするなど、介護を容易にするためのリフォーム、すなわち介護リフォームが必要になることがある。このような介護リフォームを行う場合、その内容によっては、市区町村等の自治体から公費による補助を受けることが可能である。したがって、介護リフォームの設計や施工を行う事業者は、リフォームを検討している顧客に対して、どの部分の工事についてどの程度の補助が受けられるのかを適切に提示する必要がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されているシステムでは、事業者が介護リフォームを顧客に提案する際に、公費補助の内容がわかるように設計情報を提示することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−55528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たしかに、特許文献1に開示されているようなシステムを用いることにより、介護リフォームを顧客に対して提案する際に、公費補助が適用される工事や公費補助の金額等を提示することは可能である。しかしながら、特許文献1に開示されているシステムでは、リフォーム提案時に公費補助の内容を提示することは可能であるものの、実際に介護リフォームが行われた後のことについては考慮されていない。とりわけ、介護リフォームの費用の一部が公費によって補助される場合、顧客及び自治体に対してそれぞれの負担分を考慮して請求を行う必要が生じるが、特許文献1に開示されているシステムでは何ら考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、顧客から受注した介護リフォームの工事について、顧客の自己負担分と公費による負担分とを考慮した請求を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る介護リフォーム支援システムは、顧客から受注したリフォームの工事ごとに、顧客を識別する顧客識別子と、受注を識別する受注識別子と、該工事に要する費用の合計金額とを対応づけた受注データを記憶する受注データ記憶部と、受注データ記憶部に記憶されている各受注データについて、合計金額のうちの顧客が負担する金額である顧客負担額と、合計金額のうちの少なくとも一部を負担する自治体を識別する自治体識別子と、合計金額のうちの該自治体が負担する金額である自治体負担額とを含むユーザ入力を受け付ける請求先設定部と、受注データ記憶部に記憶されている各受注データについて、請求先設定部により受け付けられたユーザ入力に基づいて、顧客に対して顧客負担額を請求するための顧客請求データと、自治体に対して自治体負担額を請求するための自治体請求データとを生成する請求データ生成部と、請求データ生成部により生成される顧客請求データ及び自治体請求データを記憶する請求データ記憶部と、を備える。
【0007】
また、介護リフォーム支援システムにおいて、請求先設定部は、工事の中に複数の区分の工事が含まれる場合、該区分ごとに、顧客負担額、自治体識別子、及び自治体負担額を受け付けることとしてもよい。
【0008】
また、介護リフォーム支援システムは、請求データ記憶部に記憶されている各顧客請求データについて、顧客負担額に対する顧客からの入金額である顧客入金額を含むユーザ入力を受け付け、該顧客請求データと該顧客入金額とを対応付けた顧客請求消込データを生成する顧客請求消込部と、顧客請求消込部により生成される顧客請求消込データを記憶する顧客請求消込データ記憶部と、請求データ記憶部に記憶されている各自治体請求データについて、自治体負担額に対する自治体からの入金額である自治体入金額を含むユーザ入力を受け付け、該自治体請求データと該自治体入金額とを対応付けた自治体請求消込データを生成する自治体請求消込部と、自治体請求消込部により生成される自治体請求消込データを記憶する自治体請求消込データ記憶部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0009】
さらに、介護リフォーム支援システムにおいて、自治体請求消込部は、請求データ記憶部に記憶されている複数の自治体請求データの自治体負担額に対する合計の自治体入金額と、複数の自治体請求データを指定するための指定情報とを含むユーザ入力を受け付け、指定情報によって指定される複数の自治体請求データのそれぞれについて、合計の自治体入金額と各自治体請求データの自治体負担額とに基づいて、各自治体請求データに対する自治体入金額を特定し、各自治体請求データと、各自治体請求データに対する自治体入金額とを対応づけた自治体請求消込データを生成することとしてもよい。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、顧客から受注した介護リフォームの工事について、顧客の自己負担分と公費による負担分とを考慮した請求が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である介護リフォーム支援システムの構成を示す図である。
【図2】見積作成画面の一例を示す図である。
【図3】見積データの一例を示す図である。
【図4】受注・完工登録画面の一例を示す図である。
【図5】請求先設定画面の一例を示す図である。
【図6】請求先設定画面の一例を示す図である。
【図7】請求データの一例を示す図である。
【図8】顧客入金登録画面の一例を示す図である。
【図9】請求消込データの一例を示す図である。
【図10】自治体入金登録画面の一例を示す図である。
【図11】個別消込画面の一例を示す図である。
【図12】介護リフォーム支援システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態である介護リフォーム支援システムの構成を示す図である。介護リフォーム支援システム10は、介護リフォームの事業者に対して、介護リフォームに関する見積もりや受注、請求等のサービスを提供するための情報処理システムであり、1台または複数台の情報処理装置を用いて構成される。介護リフォーム支援システム10は、事業者のクライアント12から、ネットワーク14を介してアクセスすることにより利用することが可能である。クライアント12は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の情報処理装置であり、介護リフォーム支援システム10のユーザによって利用される。簡単のため、図1ではクライアント12を1つしか示していないが、複数のクライアント12が接続されていてもよい。また、ネットワーク14は、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)、携帯電話のパケット通信網等により構成される。
【0014】
なお、本実施形態では、1つの事業者に対してサービスが提供されている状況を想定して説明を行うが、介護リフォーム支援システム10は、例えば、ASP(Application Service Provider)やSaaS(Software as a Service)などの形態により、複数の事業者に対してサービスを提供可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、システム内の各種データに事業者を識別するコードが付与されることとしてもよいし、事業者別にデータベースが設けられることとしてもよい。また、本実施形態では、説明を簡単にするために、事業所内の拠点についても特に考慮していないが、事業所内に営業所等の複数の拠点が存在する場合であれば、各種データに拠点を識別するコードを付与するなど、一般的な手法を用いることにより複数拠点に対応可能である。
【0015】
図1に示すように、介護リフォーム支援システム10は、受注処理部20、受注データ記憶部22、請求処理部24、請求データ記憶部26、入金処理部28、及び請求消込データ記憶部30を含んで構成される。これらの各部は、例えば、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0016】
受注処理部20は、介護リフォームにおける工事の見積もりや受注などの処理を提供するものであり、見積登録部40及び受注・完工登録部42を含んで構成される。
【0017】
見積登録部40は、介護リフォームにおける工事の見積もり登録処理を提供する。図2には、見積登録部40によってクライアント12に提供される見積作成画面の一例が示されている。見積登録部40は、例えば、クライアント12からの要求に応じて、見積作成画面100の表示に必要なデータを生成してクライアント12に送信することが可能である。
【0018】
見積作成画面100では、見積もりに必要な情報が入力される。例えば、顧客氏名や工事区分、見積作成日、完工予定年月等の情報に加えて、工事内容の明細や、工事の名称(科目名称)などが入力される。具体的には、例えば、明細入力エリア110では、仕様や数量、単位、単価、金額等を入力することが可能である。なお、仕様とは工事で必要な部材やサービスの内容を示すものであり、例えば手すりを取り付ける工事であれば、「木製取付ベース」や「木製手すり」等の部材や、「手すり取付施工」などのサービスが該当する。また、合計表示エリア112には、明細入力エリア110で入力された内容に基づいて、工事の合計金額が表示される。
【0019】
なお、見積作成画面100は、説明に必要な項目のみを簡易的に示したものであり、システム設計時に必要となるその他の項目を追加することは任意である。例えば、見積作成画面100は、顧客に関する情報として顧客氏名のみを示しているが、顧客コードなど他の情報が入力されることとしてもよい。また、見積作成画面100に表示されている情報は、あらかじめ作成されているマスタデータ等から取得されることとしてもよい。例えば、明細入力エリア110で入力される仕様は、単価と対応づけられてマスタデータに登録されていることとしてもよい。これらのことは、見積作成画面100における他の項目についても同様であるし、以後に説明する他の画面においても同様である。
【0020】
見積作成画面100における見積もり入力が完了すると、登録ボタン114が押下される。登録ボタン114の押下によって、入力された見積り情報がクライアント12から見積登録部40に送信される。見積登録部40は、クライアント12から受信する情報に基づいて見積データを生成し、受注データ記憶部22の見積データ記憶部50に格納する。
【0021】
図3には、見積データの一例が示されている。図3に示すように、見積データは、見積合計データと見積明細データとにより構成されている。ここで、受注番号は、見積登録部40が見積データを生成する際に付与するものである。本実施形態では、工事区分が異なる場合であっても、1回でまとめて見積もりが行われるものに対しては同一の受注番号が付与されることとする。なお、図3に示すデータ構成はあくまでも一例にすぎず、見積データの構造は任意である。これは、以後に示す他のデータについても同様である。
【0022】
図1に戻り、受注・完工登録部42は、見積データに対して受注や完工(工事完了)の登録処理を提供する。図4には、受注・完工登録部42によってクライアント12に提供される受注・完工登録画面の一例が示されている。受注・完工登録部42は、例えば、クライアント12からの要求に応じて、受注・完工登録画面200の表示に必要なデータを生成してクライアント12に送信することが可能である。
【0023】
受注・完工登録画面200では、見積もり済の工事に対する受注や完工の登録が可能である。例えば、受注・完工登録画面200において、顧客氏名が入力されて表示ボタン210が押下されると、受注・完工登録部42は、当該顧客に対する見積データを見積データ記憶部50から取得する。そして、受注・完工登録部42は、取得された見積データの見積額を受注番号単位で合計したものを合計表示エリア212に表示し、工事区分ごとの見積額を区分明細表示エリア214に表示する。
【0024】
見積もりに対して受注が確定した際には、受注・完工登録画面200において受注登録ボタン216が押下される。受注登録ボタン216が押下されると、受注・完工登録部42は、見積データに対する受注・完工データを生成し、受注データ記憶部22の受注・完工データ記憶部52に格納する。さらに、工事が完了した際には、受注・完工登録画面200において完工登録ボタン218が押下される。完工登録ボタン218が押下されると、受注・完工登録部42は、受注・完工データに完工日を追加する。図3には、受注・完工データの一例が示されている。図3に示すように、受注・完工データは、受注番号及び工事区分によって、見積データと対応づけられている。
【0025】
なお、本実施形態では、見積データと受注・完工データとによって、顧客からの受注に関するデータである受注データが構成されている。例えば、図3に示す例では、顧客氏名が顧客識別子を構成し、受注番号及び工事区分が受注識別子を構成している。
【0026】
図1に戻り、請求処理部24は、請求に関する処理を提供するものであり、請求先設定部60及び請求データ生成部62を含んで構成される。
【0027】
請求先設定部60は、介護リフォームの工事で発生した費用の請求先を設定する処理を提供する。例えば、図4に示した受注・完工登録画面200において、請求先設定ボタン220が押下されると、請求先設定部60は、受注・完工登録画面200で選択されている受注データに対して請求先を設定するための請求先設定画面をクライアント12に提供する。
【0028】
図5及び図6には、請求先設定画面の一例が示されている。図5に示す請求先設定画面300は、図4に示す受注・完工登録画面200で選択されている受注データのうち、工事区分「区分1」に対する請求先を設定するための画面である。請求先設定画面300では、請求区分選択エリア310において、請求区分を選択することが可能である。請求先設定画面300においては、請求区分として、「一括請求」または「分割請求」の選択が可能である。ここで、一括請求とは、当該受注データの当該工事区分における合計金額の全てを顧客が負担することを示すものである。また、分割請求とは、合計金額の少なくとも一部が公費負担となることを示すものである。
【0029】
請求先設定画面300において、請求区分として「一括請求」が選択され、登録ボタン312が押下されると、請求先設定部60は、合計金額の全てを顧客への請求額として顧客請求データを生成し、請求データ記憶部26の顧客請求データ記憶部70に格納する。一方、請求区分として「分割請求」が選択された場合、入力エリア314〜318において、自己負担額、公費請求先、及び公費負担額が入力される。そして、登録ボタン312が押下されると、請求先設定部60は、入力された自己負担額、公費請求先、及び公費負担額を、対象の受注データの受注・完工データに追加登録する。
【0030】
図1に戻り、請求データ生成部62は、請求先設定部60において設定された請求先に関する情報に基づいて請求データを生成し、請求データ記憶部26に格納する。具体的には、請求データ生成部62は、入力エリア314で入力された顧客負担額を顧客への請求額として顧客請求データを生成して顧客請求データ記憶部70に格納する。また、請求データ生成部62は、入力エリア316で入力された自治体に対して入力エリア318で入力された公費負担額を請求するための自治体請求データを生成し、請求データ記憶部26の自治体請求データ記憶部72に格納する。また、図6に示すように、工事区分「区分2」に対しても同様に請求先を設定するための入力が行われ、請求先設定部60は当該入力に応じて顧客請求データ及び自治体請求データを生成し、請求データ記憶部26に格納する。
【0031】
図7には、請求データ生成部62により生成される請求データの一例が示されている。このように生成される請求データに基づいて、顧客及び自治体に対して各負担額の請求が行われる。顧客及び自治体への請求は、請求データに基づいて請求書を発行することにより行われてもよいし、請求データを顧客や自治体に電子的に送信することにより行われてもよい。
【0032】
なお、図3の請求先設定画面300では、公費請求先が1つしか示されていないが、複数の自治体に対して公費請求を設定可能であってもよい。また、同一の自治体であっても、工事区分によっては請求の宛先が異なる場合もある。そのため、請求先設定画面300において、請求先の自治体を示す情報の一部として、宛先を入力可能であってもよい。また、例えば、各自治体における工事区分ごとの公費負担割合や上限額等の情報を記憶したデータベースを設けておくことにより、請求先設定部60や請求データ生成部62は、ユーザ操作によって選択される自治体に対する公費請求額を自動的に算出することとしてもよい。また、例えば、顧客と自治体とを対応づけたデータベースを設けておくことにより、公費請求先が自動的に選択されることとしてもよい。
【0033】
図1に戻り、入金処理部28は、顧客及び自治体からの入金に関する処理を提供するものであり、顧客請求消込部80及び自治体請求消込部82を含んで構成される。
【0034】
顧客請求消込部80は、顧客からの入金があった際に、当該入金によって顧客請求データを消し込む処理を提供する。図8には、顧客請求消込部80によってクライアント12に提供される顧客入金登録画面の一例が示されている。顧客請求消込部80は、例えば、クライアント12からの要求に応じて、顧客入金登録画面400の表示に必要なデータを生成してクライアント12に送信することが可能である。
【0035】
顧客入金登録画面400では、検索条件入力エリア410において、顧客からの入金によって消し込む対象となる顧客請求データを特定するための条件が入力される。そして、検索ボタン412が押下されると、顧客請求消込部80は、検索条件入力エリア410に入力された条件に合致する顧客請求データを顧客請求データ記憶部70から取得し、受注番号、工事区分、及び請求額を消込状況表示エリア414に表示する。
【0036】
なお、検索条件として顧客請求データに含まれない項目が指定された場合、顧客請求消込部80は、検索条件に合致する受注データを受注データ記憶部22から取得したうえで、該受注データに対応する顧客請求データを顧客請求データ記憶部70から取得することができる。また、消込状況表示エリア414に表示される顧客名称及び科目名称については、受注データから取得することが可能である。さらに、顧客請求消込部80は、取得された顧客請求データに対応する顧客請求消込データが請求消込データ記憶部30の顧客請求消込データ記憶部90に記憶されていれば、該顧客請求消込データを取得し、消込額及び消込残額を消込状況表示エリア414に表示する。なお、消込額とは、対象の顧客請求データに対して既に入金された金額を示すものであり、顧客請求消込データに含まれる入金額によって表される。また、消込残額とは、請求額から消込額を差し引いた金額である。また、検索条件入力エリア410において、「未消込分のみ」が選択された場合、顧客請求消込部80は、消込残額がゼロではない顧客請求データのみを対象とすることが可能である。
【0037】
顧客入金登録画面400では、消込状況表示エリア414に表示された顧客請求データの中から、入金による消し込み対象となる顧客請求データを選択した上で、選択された顧客請求データに対する入金額を入金操作エリア416で入力することが可能である。そして、登録ボタン418が押下されると、顧客請求消込部80は、入金操作エリア416に入力された内容に基づいて、選択された顧客請求データに対する顧客請求消込データを生成し、顧客請求消込データ記憶部90に格納する。なお、入金額は消込残額の一部の金額であってもよい。図9には、顧客請求消込データの一例が示されている。同一の受注番号及び工事区分の顧客請求データに対して複数回に分けて入金が行われた場合には、同一の受注番号及び工事区分の複数の顧客請求消込データが生成されることとなる。
【0038】
図1に戻り、自治体請求消込部82は、自治体からの入金があった際に、当該入金によって自治体請求データを消し込む処理を提供する。図10には、自治体請求消込部82によってクライアント12に提供される自治体入金登録画面の一例が示されている。自治体請求消込部82は、例えば、クライアント12からの要求に応じて、自治体入金登録画面500の表示に必要なデータを生成してクライアント12に送信することが可能である。
【0039】
自治体入金登録画面500では、検索条件入力エリア510において、既に登録されている自治体入金データを検索するための条件を入力することができる。そして、検索ボタン512が押下されると、自治体請求消込部82は、検索条件入力エリア510に入力された条件に合致する自治体入金データを請求消込データ記憶部30の自治体入金データ記憶部92から取得し、入金日及び入金額を入金状況表示エリア514に表示する。なお、自治体入金データは、自治体入金登録画面500における入金登録に伴って自治体請求消込部82が生成するデータであり、その一例が図9に示されている。さらに、自治体請求消込部82は、取得された自治体入金データに対応する自治体請求消込データが請求データ記憶部30の自治体請求消込データ記憶部94に記憶されていれば、該自治体請求消込データを取得し、未消込額を入金状況表示エリア514に表示する。なお、自治体入金データと自治体請求消込データとは、入金番号によって対応づけられている。また、未消込額とは、自治体からの入金額のうち、自治体請求データに対する消し込みが行われていない金額を示すものであり、自治体入金データの入金額から、対応する自治体請求消込データの入金額を差し引いた金額である。
【0040】
自治体からの新たな入金登録が行われる場合、自治体入金登録画面500の入金操作エリア516において、入金情報の入力が行われる。そして、登録ボタン516が押下されると、自治体請求消込部82は、入金操作エリア516に入力された情報に基づいて自治体入金データを生成し、自治体入金データ記憶部92に格納する。このとき、自治体入金データを識別するための入金番号が付与されることとなる。そして、新たに登録された自治体入金データに関する情報が、入金状況表示エリア514に表示される。
【0041】
自治体入金登録画面500では、入金状況表示エリア514において、自治体請求データの消し込みを行うための自治体入金データが選択される。そして、個別消込ボタン520が押下されると、自治体請求消込部82は、自治体請求データを消し込むための個別消込画面をクライアント12に提供する。
【0042】
図11には、個別消込画面の一例が示されている。個別消込画面600では、検索条件入力エリア610において、消し込む対象となる自治体請求データを特定するための条件が入力される。そして、検索ボタン612が押下されると、自治体請求消込部82は、検索条件入力エリア610に入力された条件に合致する自治体請求データを自治体請求データ記憶部72から取得し、受注番号、工事区分、及び請求額を消込状況表示エリア614に表示する。
【0043】
また、自治体請求消込部82は、当該自治体請求データに対応する受注データを受注データ記憶部22から参照することにより、消込状況表示エリア614に顧客氏名を表示することができる。さらに、自治体請求消込部82は、取得された自治体請求データに対応する自治体請求消込データが自治体請求消込データ記憶部94に記憶されていれば、該自治体請求消込データを取得し、消込額及び消込残額を消込状況表示エリア614に表示する。なお、消込額とは、対象の自治体請求データに対して既に入金された金額を示すものであり、自治体請求消込データに含まれる入金額によって表される。また、消込残額とは、請求額から消込額を差し引いた金額である。また、検索条件入力エリア610において、「未消込分のみ」が選択された場合、自治体請求消込部82は、消込残額がゼロではない自治体請求データのみを対象とすることが可能である。
【0044】
個別消込画面600では、消込状況表示エリア614に表示された自治体請求データの中から、入金による消し込み対象となる自治体請求データを選択した上で、選択された自治体請求データに対する消込操作を消込操作エリア616で行うことが可能である。具体的には、消込操作エリア616の「請求額」には、消込状況表示エリア614で選択された自治体請求データの請求額が表示される。また、「消込残額」には、選択された自治体請求データにおける消込残額が表示される。なお、消込状況表示エリア614では、複数の自治体請求データを選択することが可能であり、複数の自治体請求データが選択された場合には「請求額」及び「消込残額」にはそれぞれの合計額が表示されることとなる。また、「今回消込額」には、自治体入金登録画面500で選択された入金データの入金額によって消し込まれる金額が表示される。さらに、「今回消込残額」には、今回消込額によって消し込まれた場合の消込残額が表示される。
【0045】
そして、消込操作エリア616において登録ボタン618が押下されると、自治体請求消込部82は、消込状況表示エリア614で選択された自治体請求データに対して消込操作エリア616に表示された今回消込額で消し込みを行うための自治体請求消込データを生成し、自治体請求消込データ記憶部94に格納する。なお、入金額は消込残額の一部の金額であってもよい。図9には、自治体請求消込データの一例が示されている。同一の受注番号及び工事区分の顧客請求データに対して複数回に分けて入金が行われた場合には、同一の受注番号及び工事区分の複数の自治体請求消込データが生成されることとなる。なお、上述したように、自治体入金データと自治体請求消込データとは、入金番号によって対応付けられている。
【0046】
図12は、介護リフォーム支援システム10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、工事の見積もり段階において、見積登録部40は、クライアント12から見積もりに関するユーザ入力を受け付けて見積データを生成し、見積データ記憶部50に格納する(S1201)。
【0048】
請求先設定部60は、クライアント12から請求先設定に関するユーザ入力を受け付け、請求区分、顧客負担額、公費請求先、及び公費負担額を設定した受注・完工データを生成し、受注・完工データ記憶部52に格納する(S1202)。そして、請求データ生成部62は、請求先設定に関するユーザ入力に基づいて、顧客請求データ及び自治体請求データを生成し、顧客請求データ記憶部70及び自治体請求データ記憶部72に格納する(S1203)。
【0049】
受注が確定した段階や、工事が完了した段階において、受注・完工登録部42は、クライアント12から受注登録や完工登録に関するユーザ入力を受け付けると、対象の受注データにおける受注・完工データに対して、受注日や完工日を追加登録する(S1204)。
【0050】
その後、顧客または自治体からの入金が行われた段階において、入金処理部28は、請求データに対応する請求消込データを生成し、請求消込データ記憶部30に格納する(S1205)。
【0051】
なお、上述した処理の流れは一例であり、処理の順序はこれに限られるものではない。例えば、請求先の設定処理は、受注登録や完工登録の後であってもよい。この場合、受注登録が行われる際に受注・完工データが生成され、請求先の設定が行われる際に受注・完工データに請求先に関する情報が追加されることとすればよい。また、例えば、請求データは完工登録後に生成されることとしてもよい。その他、業務の流れに応じて処理の順序は適宜変更することが可能である。
【0052】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態の介護リフォーム支援システム10によれば、顧客の自己負担分と、自治体の負担分とをユーザ入力に応じて設定したうえで、それぞれの負担分に応じた請求データを生成することができる。すなわち、顧客から受注した介護リフォームの工事について、顧客の自己負担分と公費による負担分とを考慮した請求が可能になる。
【0053】
また、本実施形態の介護リフォーム支援システム10では、工事区分ごとに請求先及び請求額を設定することが可能であるため、工事区分ごとに請求先や公費負担割合、公費負担の上限額等が異なる場合についても対応することが可能である。
【0054】
また、本実施形態の介護リフォーム支援システム10では、顧客または自治体からの入金が行われた際に、顧客請求データまたは自治体請求データに対する消し込みが可能である。すなわち、公費負担がある場合、顧客と自治体とからは、それぞれの負担額に応じて別個に入金が行われるが、それぞれからの入金状況を把握可能に請求データを消し込むことが可能である。なお、本実施形態では示していないが、請求データと請求消込データとに基づいて、消込状況を画面に表示したり帳票に印刷したりすることにより、売上の回収状況を把握することが可能である。
【0055】
さらに、本実施形態の介護リフォーム支援システム10では、複数の工事における自治体負担額がまとめて自治体から入金された場合であっても、その入金額によって消し込まれる複数の自治体請求データを選択することにより、選択された複数の自治体請求データを消し込むことが可能である。
【0056】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
10 介護リフォーム支援システム
20 受注処理部
22 受注データ記憶部
24 請求処理部
26 請求データ記憶部
28 入金処理部
30 請求消込データ記憶部
40 見積登録部
42 受注・完工登録部
50 見積データ記憶部
52 受注・完工データ記憶部
60 請求先設定部
62 請求データ生成部
70 顧客請求データ記憶部
72 自治体請求データ記憶部
80 顧客請求消込部
82 自治体請求消込部
90 顧客請求消込データ記憶部
92 自治体入金データ記憶部
94 自治体請求消込データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護用のリフォームを支援する介護リフォーム支援システムであって、
顧客から受注したリフォームの工事ごとに、顧客を識別する顧客識別子と、受注を識別する受注識別子と、該工事に要する費用の合計金額とを対応づけた受注データを記憶する受注データ記憶部と、
前記受注データ記憶部に記憶されている各受注データについて、前記合計金額のうちの前記顧客が負担する金額である顧客負担額と、前記合計金額のうちの少なくとも一部を負担する自治体を識別する自治体識別子と、前記合計金額のうちの該自治体が負担する金額である自治体負担額とを含むユーザ入力を受け付ける請求先設定部と、
前記受注データ記憶部に記憶されている各受注データについて、前記請求先設定部により受け付けられたユーザ入力に基づいて、前記顧客に対して前記顧客負担額を請求するための顧客請求データと、前記自治体に対して前記自治体負担額を請求するための自治体請求データとを生成する請求データ生成部と、
前記請求データ生成部により生成される前記顧客請求データ及び前記自治体請求データを記憶する請求データ記憶部と、
を備える介護リフォーム支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の介護リフォーム支援システムであって、
前記請求先設定部は、前記工事の中に複数の区分の工事が含まれる場合、該区分ごとに、前記顧客負担額、前記自治体識別子、及び前記自治体負担額を受け付ける、
介護リフォーム支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の介護リフォーム支援システムであって、
前記請求データ記憶部に記憶されている各顧客請求データについて、前記顧客負担額に対する顧客からの入金額である顧客入金額を含むユーザ入力を受け付け、該顧客請求データと該顧客入金額とを対応付けた顧客請求消込データを生成する顧客請求消込部と、
前記顧客請求消込部により生成される前記顧客請求消込データを記憶する顧客請求消込データ記憶部と、
前記請求データ記憶部に記憶されている各自治体請求データについて、前記自治体負担額に対する自治体からの入金額である自治体入金額を含むユーザ入力を受け付け、該自治体請求データと該自治体入金額とを対応付けた自治体請求消込データを生成する自治体請求消込部と、
前記自治体請求消込部により生成される前記自治体請求消込データを記憶する自治体請求消込データ記憶部と、
をさらに備える介護リフォーム支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の介護リフォーム支援システムであって、
前記自治体請求消込部は、
前記請求データ記憶部に記憶されている複数の自治体請求データの自治体負担額に対する合計の自治体入金額と、前記複数の自治体請求データを指定するための指定情報とを含むユーザ入力を受け付け、
前記指定情報によって指定される前記複数の自治体請求データのそれぞれについて、前記合計の自治体入金額と各自治体請求データの自治体負担額とに基づいて、各自治体請求データに対する自治体入金額を特定し、各自治体請求データと、各自治体請求データに対する前記自治体入金額とを対応づけた自治体請求消込データを生成する、
介護リフォーム支援システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−11965(P2013−11965A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143102(P2011−143102)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(511157804)セントワークス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】