説明

介護支援システム

【課題】介護関連情報に対応した介護用教材を出力する。
【解決手段】介護支援システム(100)は、複数の介護作業情報コンテンツを格納する記憶部(150)と、介護関連情報を取得する取得部(112)と、取得部により取得された介護関連情報に基づき、記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する教材選択部(114)と、教材選択部により選択された教材を出力する教材出力部(116)とを有する。本構成によれば、介護関連情報に対応した介護用教材を出力することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護支援システムに関し、特に、介護関連情報に対応した介護用教材を出力する介護支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化の進展等により、要介護者の数は飛躍的に増加している。このような介護スタッフのニーズに対応すべく、専門学校や大学などの教育機関、または介護スタッフを養成する各種学校において、介護を履修する学生や受講生が急増している。
【0003】
また、従来は、大規模な病院や介護施設において、看護師や介護福祉士などのプロフェッショナルな職業人によって要介護者の介護を行う場合が多かった。このような介護福祉士などによる介護作業を支援する従来システムが幾つか開発されている(特許文献1を参照されたい)。
【0004】
しかしながら、最近では、小規模なケアハウス、有料老人ホーム、福祉施設において介護が行われることが徐々に増加してきている。大規模な病院や介護施設、小規模なケアハウスを問わず、介護スタッフが慢性的に不足しており、必ずしも介護の知識やスキルを持たないスタッフが介護作業や介護補助作業に従事する場合も多くなってきている。さらに、一般家庭における介護の場合には、当然、介護の知識やスキルが不足している家庭の主婦などの家人やボラインティアスタッフによる介護作業が従来から行われている。このように、現在は、様々な施設や家庭で各種多様な作業者によって介護が行われるようになってきている。
【0005】
【特許文献1】特開2005-267208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来システムは、例えば介護支援センターと介護者との円滑なコミュニケーションを図るものであるが、スキル不足の介護者の教育に資するものではない。介護現場においての喫緊の急務は、スキルや知識が不足している家族やボランティアスタッフなどに安心して介護作業を行ってもらい、被介護者も安心して介護を受ける環境を構築することであり、そのためにこのような潜在的介護者に必要な教育を簡易に施す仕組みを作ることである。
【0007】
また、上述したように介護のための教育機関や各種学校が多数設立されたが、講師の数は少なく、また、これら講師の指導スキルも一定していない。このような状況において大切なのは指導に用いる介護用の教材であるが、紙ベースの分厚い教科書が多く、受講者にとっては学びにくいものとなっている。
【0008】
さらに、上述したように介護の知識やスキルを持たないスタッフや家人などの作業者が介護作業を行う場合も多くなりつつあり、これらの者が作業を行うと、無理な姿勢を取ったり、無駄に筋力を使ったりするためかなりの重労働となってしまうことがある。また、無理な姿勢、無駄な筋力使用によって、作業者自身が怪我、腰痛、筋肉痛などを被ることがある。一方、このようなスキル不足の作業者による介護を受ける被介護者側も無理な姿勢を強いられたり、作業者のスキル不足による打撲、骨折などの怪我を負ったりする恐れが高くなる。例えば、「起き上がり」という簡単な介護作業1つであっても、介護者(作業者)が力を入れずに済み、かつ、被介護者も楽な介護姿勢や介護の仕方が存在する。スキル不足の家人やボランテイィアスタッフが「起き上がり」作業を介護する場合には、このような「当該作業に関するスキル」のみを簡易に学習できる教材があれば便利であるが、現状では、長時間視聴する必要がある介護学習用のコンテンツ、分厚い介護用の書籍などが存在するだけである。このような教材では、目的とする作業のスキルや知識にスムーズに辿り着くことは極めて困難である。
【0009】
また、一定のスキルを持つであろうホームヘルパーやケアマネージャなどの資格保持スタッフであっても、比較的実施する機会が少ない介護作業については、介護作業姿勢や作業のコツを忘れてしまうことがある。また、日々の介護作業に追われ、介護者にとって楽な姿勢や作業方法であっても、実は被介護者には痛みを伴う無理な姿勢で介護作業を行ったり、或いは、介護者および非介護者の双方に危険な姿勢で介護作業を行ったりしている場合がある。さらに、資格保持者であっても、何らかの理由により他の職業に就いたりしていた場合には、習得したスキルや知識を忘れてしまっていることが考えられる。このような者に、目的とする介護作業の知識やスキルを思い出させたり、再学習したりするような教材を提供するシステムは開発されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、介護関連情報に対応した介護用教材を出力する介護支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による介護支援システム(装置)は、
複数の介護作業情報コンテンツを格納する記憶部と、
介護関連情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する教材選択部と、
前記教材選択部により選択された教材を出力する教材出力部と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明による介護支援システムは、
複数の介護作業情報コンテンツを格納する記憶部と、
介護関連情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する教材生成部(例えば、介護関連情報に含まれるキーワードやその意味にマッチ或いは類似する、コンテンツタイトルのコンテンツ、テキスト情報を含むコンテンツから教材を生成する。)と、
前記教材生成部により生成された教材を出力する教材出力部と、
を有することを特徴とする。
なお、1つの介護作業情報コンテンツをそのまま1つの教材としてもよいし、複数のコンテンツからそれぞれ一部を抽出して、これらを合体(編集)して1つの教材としてもよい。
【0013】
また、第3の発明による介護支援システムは、
前記介護関連情報が、介護作業項目(例えば、寝返りの介助、起き上がりの介助、排泄の介助、或いは入浴の介助など)を含む、
ことを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明による介護支援システムは、
前記介護関連情報が、被援護者属性情報(例えば、寝たきり、歩行困難、排泄困難、食事困難、既往歴、各種疾病情報、移動補助具の種類(車椅子、杖、歩行器など)、被援護者の体重、身長、年齢などの身体情報)を含む、
ことを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明による介護支援システムは、
前記介護関連情報が、介護者属性情報(例えば、介護者の本システムにおける受講履歴、スキルレベル、保持資格、介護関係の職歴、介護者の家族情報、介護者本人の身体情報(体重、身長、背筋力、握力、年齢、性別など)など)を含む、
ことを特徴とする。
【0016】
また、第6の発明による介護支援システムは、
前記介護関連情報が、介護作業項目、介護者属性情報、および被援護者属性情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記記憶部が、前記介護関連情報で検索可能な危険源、ヒヤリハット情報、該危険源、および該ヒヤリハット情報への安全対策のうちの少なくとも1つを含む安全コンテンツをさらに格納し、
前記教材選択部は、前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの安全コンテンツをさらに選択し、
前記教材出力部は、前記教材選択部により選択された安全教材をさらに出力する、或いは、前記教材に前記安全教材を重畳して出力する、
ことを特徴とする。
【0017】
また、第7の発明による介護支援システムは、
前記記憶部に格納されている複数の介護作業情報コンテンツの各々は、当該コンテンツの作業情報に関連するメタ情報(作業情報を示すキーワードなど)が関連付けられ、
前記教材選択部が、前記介護関連情報にマッチする、或いは、類似する、メタ情報を含む少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する、
ことを特徴とする。
【0018】
また、第8の発明による介護支援システムは、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の評価をさらに取得し、
前記教材選択部が、前記評価および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する、
ことを特徴とする。
【0019】
また、第9の発明による介護支援システムは、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の視聴状況をさらに取得し、
前記教材選択部が、前記視聴状況および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンを教材として選択する、
ことを特徴とする。
【0020】
また、第10の発明による介護支援システムは、
前記介護関連情報が、介護作業項目、介護者属性情報、および被援護者属性情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記記憶部が、前記介護関連情報で検索可能な危険源、ヒヤリハット情報、該危険源、および該ヒヤリハット情報への安全対策のうちの少なくとも1つを含む安全コンテンツをさらに格納し、
前記教材生成部は、前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの安全コンテンツの少なくとも一部を含む安全教材をさらに生成し、
前記教材出力部は、前記教材生成部により生成された安全教材をさらに出力する、或いは、前記教材に前記安全教材を重畳して出力する、
ことを特徴とする。
【0021】
また、第11の発明による介護支援システムは、
前記記憶部に格納されている複数の介護作業情報コンテンツの各々は、当該コンテンツの作業情報に関連するメタ情報(作業情報を示すキーワードなど)が関連付けられ、
前記教材生成部が、前記介護関連情報にマッチする、或いは、類似する、メタ情報を含む少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする。
本構成によれば、動画や静止画のコンテンツを含む教材は、メタ情報を手動、或いは、自動で付加することによって、介護者、介護作業、被援護者により適した教材を生成・出力することが可能となる。
【0022】
また、第12の発明による介護支援システムは、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の評価をさらに取得し、
前記教材生成部が、前記評価および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする。
【0023】
また、第13の発明による介護支援システムは、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の視聴状況をさらに取得し、
前記教材生成部が、前記視聴状況および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする。
【0024】
例えば、ユーザの視聴回数が多いほど、或いは、視聴される時間が長いものほど、教材として出力する頻度を高くすることによって、ユーザの評価をより反映した教材を出力することが可能となる。さらには、教材は、複数の要素(テキスト情報、動画コンテンツのチャプターなど)から構成される場合があるが、教材を構成する要素別に視聴回数を取得し、視聴回数が多い要素ほど、当該要素を教材に組み込む頻度を高くすることも可能である。また、例えば、同様の内容を含む教材が複数存在する場合は、ユーザにより視聴され易い教材(即ち、ユーザ評価がより高い教材、より高い要素を含む教材)を提供することが可能となる。
【0025】
上述したように本発明の解決手段をシステム(装置)として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
【0026】
例えば、本発明を方法として実現させた第14の発明による介護支援方法は、
複数の介護作業情報コンテンツを記憶部に格納するステップと、
介護関連情報を操作入力部を用いて入力する、
前記入力された介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択するステップと、
前記選択された教材を出力するステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、介護関連情報に対応した介護用教材を出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施態様による介護支援システムの概要を示すブロック図である。図に示すように、介護支援システム100は、制御部(CPU)110と、入力部120と、出力部130と、通信部140と、記憶部150とを有する。制御部110は、取得部112、教材選択部、および教材出力部116を具える。入力部120および出力部130は、ローカル端末LC1に接続されている。通信部140は、ネットワークNETを介して、様々な外部機器と接続している。外部機器は、例えば、介護支援施設サーバCFSを介してクライアントCS1、端末PC1,PC2、携帯端末(パーソナルデジタルアシスタント)PDA1、携帯電話端末MS1である。これらの外部機器は、インターネットNETを介して介護支援システム100に接続し、相互にコンテンツ要求やコンテンツ送信などを行う。
【0030】
記憶部150は、介護作業情報コンテンツ152、安全コンテンツ154、およびSNS(ソーシャルネットワークサービス)情報領域156を格納する。介護作業情報コンテンツ152を検索するときに使用できる情報の一例として以下に表1を示す。教材選択部114は、取得部112が取得した情報に基づき、表1のような情報を検索して、取得情報に最も合致した(即ち、類似度や関連度が高い)メタ情報やタイトルに対応するコンテンツを教材として選択する。
【0031】
【表1】

【0032】
本システム100は、構文解析手段および/または形態素解析手段(これらは図示しない)をさらに具える。本システムは、介護作業情報コンテンツ152にテキスト情報などが含まれる場合は、構文解析手段や形態素解析手段によって、「テキスト」に構文解析や形態素解析を実行することによって、表1に示したようなメタ情報を抽出し、これらを当該コンテンツ自体に関連付けることによって、教材選択時のファクターの1つとして教材選択部114が利用することができる。或いは、本システム100によって「X教材」を提供した端末PC1を使用するユーザのSNS情報である、ボランテイィア、20〜30代、評価などの情報を「X教材」自体或いは「X教材の生成元のコンテンツ」に表1のメタ情報2、3のような形式で付加しておくこともできる。もちろん、システム管理者が、手動で、コンテンツ毎に最適なメタ情報を割り当てることも可能である。あるいは、視聴したユーザにメタ情報を入力させ、取得部112がそれらメタ情報を取得し、教材やコンテンツに付加し、記憶部150に格納してもよい。
【0033】
次に、図1のシステムおよび表1の情報が存在するときの教材選択例を示す。例えば、外部機器の端末PC1は、介護関連情報として、介護作業:「起き上がり」、および介護者年代:「40代」を含むコンテンツ要求を介護支援システム100に送信する。介護支援システム100は、通信部140を介して送信されたコンテンツ要求を受信し、取得部112がこれに含まれる介護関連情報「起き上がり、介護者40代」を取得する。なお、ローカル端末LC1から入力部120を介してコンテンツ要求を入力することもできる。教材選択部114は、介護関連情報「起き上がり、介護者40代」キーワードにして介護作業情報コンテンツ152から類似度や関連度が高いコンテンツを検索する。教材選択部114は、コンテンツタイトル、表1に示したようなメタ情報1−3に含まれる単語と、検索キーワードとの類似度が最も高いものを送信すべき教材として選択する。教材出力部116は、選択された教材を通信部140、ネットワークNETを介して、要求元の端末PC1に供給する。このとき、教材は、再生可能なファイル形式(即ち単体)で供給してもよいが、好適には、ストリーム形式で教材を供給する。ストリーム形式で供給する場合には、教材(コンテンツ)の視聴状況や評価などを取得部112を介して取得し易いというメリットがある。即ち、ストリーム形式の教材を再生する場合は、端末PC1に搭載されるストリーム形式コンテンツ再生クライアントソフト(図示せず)が、教材の視聴状況(コンテンツの視聴時間など)をサーバである介護支援システム100に送信する機能を有しているため、本システム100は、簡易に視聴状況の情報を取得することが可能である。さらに、本システム100のユーザ同士を繋げるSNS(ソーシャルネットワークサービス)を提供する場合にも、ストリーム形式での教材供給/配信は適している。取得部112は、評価、視聴状況、ユーザ属性などを含むSNS用情報(居住地域、年代、体重、身長、性別、職業、ユーザに関連する介護作業、ユーザによって介護される被介護者の属性情報、介護教材視聴履歴などの属性情報など)をユーザPC1からさらに取得することができる。取得した情報は、介護作業情報コンテンツ152に関連付けて表1のような形式で格納したり、或いはSNS情報領域156などに格納し、教材選択部114が教材を選択する際のファクターの1つとして使用したり、重み付けとして使用したりすることができる。
【0034】
安全コンテンツ154は、介護関連の様々なリスク項目(危険源)、リスク評価値、その防止対策、ヒヤリハット集などの情報を含む。例えば、図9は、リスクマスターテーブルのツリー構造インターフェイス(介護用)の一例を示す図である。また、図10は、介護リスク評価書の一例を示す図である。図11は、介護の現場において経験した、利用者(作業享受者、被援護者)に対する事故・ヒヤリハットを集計した図である。図12は、介護の現場において経験した、作業者(作業提供者)に対する事故・ヒヤリハットを集計した図である。図13は、デイサービスに関して集計された事故(リスク)の集計内訳を示す図である。
【0035】
教材選択部114は、介護関連情報に基づき、記憶部150の安全コンテンツ154から少なくとも1つの安全コンテンツをさらに選択し、教材出力部116は、選択された安全教材をさらに出力する、或いは、教材に安全教材を重畳して出力することが可能である。上述したように本システム100は、構文解析手段および/または形態素解析手段(これらは図示しない)をさらに具える。本システムは、安全コンテンツを文解析手段や形態素解析手段によって構文解析や形態素解析を実行することによって抽出した単語/品詞(即ち安全コンテンツのメタ情報)などを安全コンテンツに関連付けて記憶部に格納する。そして、本システム100は、介護作業情報コンテンツ152にテキスト情報などが含まれる場合は、構文解析手段や形態素解析手段によって抽出されコンテンツや教材に関連付けられたメタ情報と、同様に、解析・抽出された安全コンテンツのメタ情報とを比較して、関連度・類似性が高いものをそれぞれ関連付けておく。こうすることによって、何らかの教材やコンテンツが選択/生成された場合には、それに応じた安全コンテンツも同時に選択/生成することが可能となる。もちろん、上述したようにシステム管理者が、手動で、安全コンテンツ毎に最適なメタ情報を割り当てた後に、さらに手動で、教材や教材コンテンツと、安全コンテンツとを関連付けてもよい。また、手動で、教材やコンテンツ自体に直接的に安全コンテンツを割り当てることも可能である。あるいは、視聴したユーザに、安全コンテンツ自体、或いはメタ情報やを入力させ、取得部112がそれら安全コンテンツやメタ情報を取得し、教材やコンテンツに関連付けて安全コンテンツとして、記憶部150に格納してもよい。
【0036】
なお、図9〜12の表や図をそのまま安全教材として出力してもよいが、一部を画面インターフェイスに表示し(例えば、図7のテキスト領域T3)、当該箇所(例えば、テキスト領域T3)をクリックした場合に、リスク評価書(例えば図10など)などを表示することもできるように構成する方が好適である。
【0037】
図3は、図1に示したシステムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS11にて、取得部112は、介護関連情報を取得する。次に、ステップS12にて、介護関連情報に含まれる単語をキーワードにして、記憶部150の介護作業情報コンテンツ152から、最も関連度(類似度)の高いコンテンツを教材として選択する。最後にステップS13にて、教材出力部116が、選択された教材を要求元の端末(例えば端末PC1)に出力/供給する。
【0038】
図2は、本発明の一実施態様による介護支援システムの概要を示すブロック図である。図1の介護支援システムと同じ符号の要素は、図2のそれらと同一のものである。図2のシステム構成は図1のそれとほぼ同じものであるが、図2の介護支援システム100Aでは、制御部110Aの教材生成部114Aのみが図1の対応要素と異なる。即ち、図1のシステム100は、「教材を選択する」ものであったが、図2のシステム100Aは、少なくとも1つのコンテンツから一部のシーンやチャプターを切り出して(抽出して)、「教材を生成する」編集(オーサリング)機能を持つ。なお、生成においては、1つの介護作業情報コンテンツをそのまま1つの教材としてもよいし、複数のコンテンツからそれぞれ一部を抽出して、これらを合体(編集)して1つの教材としてもよい。本構成の利点は、長時間のコンテンツ、或いは複数のコンテンツから、各ユーザによるコンテンツ要求(介護関連情報)に適した教材を「動的に生成する」ことが可能であるという点である。即ち、個々のユーザの属性、ユーザの希望に最も適し、さらには、最も評価の高い教材をカスタマイズして生成することが可能である。また、一度生成された教材を介護作業コンテンツ152として格納しておき、当該ユーザの再視聴や別ユーザの視聴のために保存しておくことも可能である。即ち、本システム100Aは、生成した教材(好適にはその教材の評価情報を関連付けて)を記憶部150に格納しておき、多くのユーザ間でシェアするSNS機能を持つ。
【0039】
図4は、図2に示したシステムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS21はステップS11と同じ処理である。ステップS22では、介護関連情報に含まれる単語をキーワードにして、関連度(類似度)が最も高いメタ情報が関連付けられている介護作業情報コンテンツの少なくとも一部(シーン)を含む教材を生成する。最後にステップS23にて、生成された教材を要求元の端末に出力/供給する。
【0040】
図5は、本発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。図に示すように、寝返りアイコンP1、起き上がりアイコンP2、座るアイコンP3、立つアイコンP4、および歩くアイコンP5が表示されている。例えは、「介護の初歩」といった漠然とした介護関連情報しか取得できない場合は、このような複数の選択肢を含むコンテンツを教材として選択・生成することができる。この例では、5つのアイコンP1〜P5のいずれかをクリックしてユーザが所望のコンテンツを視聴することができる構成となっている。例えば、端末PC1のユーザが、マウスなどの入力指示器具にて寝返りアイコンP1を選択すると、図6のような画面インターフェイス(スクリーンショット)の表示に切り替わる。
【0041】
図6では、寝返りのコンテンツが6個表示されており、アイコンP11〜P16のいずれか1つを選択することができる。この例では、「寝返りの基本」アイコンP12が選択され、図7のような寝返りの基本のコンテンツ(教材)が再生される。動画領域P21には、寝返りをする人物H1の動作が再生される。テキスト領域T1には、動画の様子および動作説明/指示などが表示されている。テキスト領域T2には、当該コンテンツに関連する介助用具が表示される。また、テキスト領域T3には、当該コンテンツの作業に関連する安全コンテンツとして危険源やそれに基づき発生する事故などが表示されている。或いは、テキスと領域T3には、安全コンテンツとして、当該教材の介護作業に関連するヒヤリハット事例や図11のようなヒヤリハット集計分析表、図9のようなマスタ登録ツリーなどを表示してもよい。テキスト領域T4には、オンラインユーザ、同一コンテンツ視聴ユーザ、同一地域ユーザ、同一年代ユーザなどのような、当該ユーザと親和性が高い情報(当該ユーザの情報とメタ情報とをマッチングして一致するもの、類似度が高いものなど)がSNS情報として表示され、表示されているユーザの表示箇所はクリック可能になっており、ユーザのプロフィール(属性情報)、ユーザの教材視聴履歴、当該ユーザによる教材の評価などを参照することが可能である。このようにして、本システム100,100AのSNS機能を用いて、ユーザ同士のコミュニケーションを促進することができる。評価領域P22、P23は、コンテンツを視聴しているユーザが、コンテンツ全体の評価を複数の段階、例えば、ABCの3段階で評価したり、個別シーンを同様にABCの3段階で評価したりすることが可能である。例えば、ある教材YをユーザFがC(劣る、もう視聴ししたくないなど)であると評価した場合には、介護支援システム100,100Aは、この情報に基づき、当該ユーザFには教材Y以外の教材を提供する、または、10%などの低い頻度で生成したり選択したりする。或いは、教材YをユーザFがBであると評価した場合には、介護支援システム100,100Aは、この情報に基づき、当該ユーザFには教材Yを3回に1回などの中くらいの頻度で提供する。さらに、教材YをユーザFがAであると評価した場合には、介護支援システム100,100Aは、この情報に基づき、当該ユーザFには教材Yを80%などの頻度で、或いは、毎回必ずこれを提供する。このような教材の選択や生成の頻度(確率)は、当該ユーザFの評価のみならず、他のユーザによる評価によって変動させることが好適である。このような教材やコンテンツの社会の評価を利用することが、本システムのSNS機能によって達成することが可能である。
【0042】
また、ユーザは、教材全体に、或いは、シーン毎に追加メタ情報(例えば、「女性作業者向けの動作」など)を割り当てることもできる。このような評価データや追加メタデータは、インターネットなどを介して取得部112が取得し、各教材、コンテンツなどに関連付けて格納したり、メタデータとして格納したりすることができる。この評価データや追加メタデータは、教材選択や教材生成のときのファクターの一部として利用する、例えば、重み付けに利用することが可能である。また、教材選択部114/教材生成部114Aは、ユーザの指定に応じて、或いは自動的に、評価データ、追加メタ情報、メタ情報のいずれか1つに基づき、或いは、これらを組み合わせたものに基づき教材を選択したり、生成したりしてもよい。例えば、評価が高い教材を所望するユーザは、当該ユーザは、コンテンツ要求にその旨を指定しておき、評価データのみ、或いは、評価データの重み付けを高くした設定で、教材選択部114/教材生成部114Aは教材を選択/選択する。
【0043】
図8は、本発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。この画面インターフェイスは、図6のアイコンP11を選択したときに表示されるものである。動画領域P31、評価領域P32、P33、テキスト領域T5などの機能は図7のそれらと同様である。
【0044】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施態様による介護支援システムの概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施態様による介護支援システムの概要を示すブロック図である。
【図3】図1に示したシステムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図2に示したシステムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。
【図6】発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。
【図7】発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。
【図8】発明の一実施態様による介護支援システムから出力された教材の画面インターフェイス(スクリーンショット)である。
【図9】リスクマスターテーブルのツリー構造インターフェイス(介護用)の一例を示す図である。
【図10】介護リスク評価書の一例を示す図である。
【図11】利用者(作業享受者、被援護者)に対する事故・ヒヤリハットを集計した図である。
【図12】介護の現場において経験した、作業者(作業提供者)に対する事故・ヒヤリハットを集計した図である。
【図13】デイサービスに関して集計された事故(リスク)の集計内訳を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
100,100A 介護支援システム
110,110A 制御部
112 取得部
114 教材選択部
114A 教材生成部
116 教材出力部
120 入力部
130 出力部
140 通信部
150 記憶部
152 介護作業情報コンテンツ
154 安全コンテンツ
156 SNS情報領域
NET ネットワーク
LC1 ローカル端末
CFS 介護支援施設サーバ
CS1 クライアント
PC1,PC2 端末
PDA1 携帯端末
MS1 携帯電話端末
P1〜P5,P11〜P16 アイコン
P21,P31 動画領域
H1 人物
T1〜T5 テキスト領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護支援システムであって、
複数の介護作業情報コンテンツを格納する記憶部と、
介護関連情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する教材選択部と、
前記教材選択部により選択された教材を出力する教材出力部と、
を有することを特徴とする介護支援システム。
【請求項2】
介護支援システムであって、
複数の介護作業情報コンテンツを格納する記憶部と、
介護関連情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する教材生成部と、
前記教材生成部により生成された教材を出力する教材出力部と、
を有することを特徴とする介護支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の介護支援システムにおいて、
前記介護関連情報が、介護作業項目を含む、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記介護関連情報が、被援護者属性情報を含む、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記介護関連情報が、介護者属性情報を含む、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項6】
請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記介護関連情報が、介護作業項目、介護者属性情報、および被援護者属性情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記記憶部が、前記介護関連情報で検索可能な危険源、ヒヤリハット情報、該危険源、および該ヒヤリハット情報への安全対策のうちの少なくとも1つを含む安全コンテンツをさらに格納し、
前記教材選択部は、前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの安全コンテンツをさらに選択し、
前記教材出力部は、前記教材選択部により選択された安全教材をさらに出力する、或いは、前記教材に前記安全教材を重畳して出力する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項7】
請求項1、3〜6のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記記憶部に格納されている複数の介護作業情報コンテンツの各々は、当該コンテンツの作業情報に関連するメタ情報が関連付けられ、
前記教材選択部が、前記介護関連情報にマッチする、或いは、類似する、メタ情報を含む少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項8】
請求項1、3〜7のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の評価をさらに取得し、
前記教材選択部が、前記評価および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツを教材として選択する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項9】
請求項1、3〜8のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の視聴状況をさらに取得し、
前記教材選択部が、前記視聴状況および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンを教材として選択する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項10】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記介護関連情報が、介護作業項目、介護者属性情報、および被援護者属性情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記記憶部が、前記介護関連情報で検索可能な危険源、ヒヤリハット情報、該危険源、および該ヒヤリハット情報への安全対策のうちの少なくとも1つを含む安全コンテンツをさらに格納し、
前記教材生成部は、前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの安全コンテンツの少なくとも一部を含む安全教材をさらに生成し、
前記教材出力部は、前記教材生成部により生成された安全教材をさらに出力する、或いは、前記教材に前記安全教材を重畳して出力する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項11】
請求項2〜5、10のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記記憶部に格納されている複数の介護作業情報コンテンツの各々は、当該コンテンツの作業情報に関連するメタ情報が関連付けられ、
前記教材生成部が、前記介護関連情報にマッチする、或いは、類似する、メタ情報を含む少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項12】
請求項2〜5、10、11のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の評価をさらに取得し、
前記教材生成部が、前記評価および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする介護支援システム。
【請求項13】
請求項2〜5、10〜12のいずれか1項に記載の介護支援システムにおいて、
前記取得部が、前記出力部から出力された教材の視聴状況をさらに取得し、
前記教材生成部が、前記視聴状況および前記介護関連情報に基づき、前記記憶部から少なくとも1つの介護作業情報コンテンツの少なくとも一部を含む教材を生成する、
ことを特徴とする介護支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−289008(P2009−289008A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140515(P2008−140515)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(501263809)株式会社コンピュータシステム研究所 (26)
【Fターム(参考)】