説明

介護用口腔洗浄器

【課題】低コストで直感的な操作での使用が可能な介護用口腔洗浄器を提供すること。
【解決手段】植毛部12と柄14とによりT字型をなす歯ブラシ10と、植毛部12の内側から外方に向けて水を供給するための給水部70を具備し、給水部70は、給水すべき水を貯留する給水容器20と、一端側が植毛部12の内側で開口し他端側が植毛部12の外側表面に配設された第1の給水路16と、第1の給水路16に連結され、逆止弁32が内蔵されている給水用指圧ポンプ30と、一端側が給水容器20に連通し他端側が給水用指圧ポンプ30に接続され、中途部に第2の逆止弁42が配設された第2の給水路40とを有し、柄14は弓形に湾曲する形状に形成されていると共に、給水用指圧ポンプ30の外形形状に倣った形状のポンプ収容凹部18が配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は介護用口腔洗浄器に関し、より詳細には、使い勝手が良好であり低価格で提供可能な介護用口腔洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、駆動モータの回転駆動軸に連結された給水ポンプおよび排水ポンプを具備し、それぞれのポンプに接続された送水管および排水管に歯ブラシあるいは吸引パイプ等のアタッチメントを着脱自在に設け、被介護者の口腔内を洗浄するための介護用洗浄装置(特許文献1)や、洗浄水を供給する供給機構と洗浄水を口腔内に吐出して口腔内を洗浄する洗浄操作部と洗浄後の排水を回収する回収機構と、洗浄操作部に洗浄水の送水・止水を切り替えする切り替え機構と、切り替え機構を操作して被介護者の口腔内を洗浄する洗浄部とを有し、切り替え機構が洗浄部を把持しつつ操作可能であることを特徴とする介護用洗浄装置(特許文献2)をすでに出願している。
これら特許文献1,2に開示されている介護用洗浄装置によれば、小型で運搬性に優れ、給水や排水の処理を円滑に行うことができる点において好都合であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−41687号公報
【特許文献2】特開2007−144118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2で提案した介護用洗浄装置は、それまでに提供されている装置に比較して低コストでの提供が可能になるように、可及的に簡素な構成を採用している。しかしながら近年における老人が老人を介護するいわゆる老老介護をしている家庭においては、このような介護用洗浄装置であっても購入する際の金銭的な負担が重いという課題や、使用する際における機械装置の操作が必要であるため、導入に躊躇してしまうといった課題の存在が明らかになった。
【0005】
そこで本願発明は、低コストであり、かつ、複雑な操作処理が必要になる機械操作箇所を削減し、直感的な操作での使用が可能な介護用口腔洗浄器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は鋭意研究を行った結果、本願発明者は以下の構成に想到した。
すなわち、植毛部と柄とによりT字型をなす歯ブラシと、前記植毛部の内側から外方に向けて水を供給するための給水部を具備し、前記給水部は、給水すべき水を貯留する給水容器と、一端側が前記植毛部の内側で開口し、他端側が前記植毛部の外側表面に配設された第1の給水路と、前記第1の給水路に連結され、逆止弁が内蔵されている給水用指圧ポンプと、一端側が前記給水容器に連通し、他端側が前記給水用指圧ポンプに接続され、中途部に第2の逆止弁が配設された第2の給水路と、を有し、前記柄は、弓形に湾曲する形状に形成されていると共に、前記給水用指圧ポンプの外形形状に倣った形状に形成されたポンプ収容凹部が配設されていることを特徴とする介護用口腔洗浄器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる介護用口腔洗浄器によれば、複雑な機械操作を不要にし、直感的な操作で作動させることが可能な手動機械装置を基本構成としているので、従来技術における介護用口腔洗浄器と同様な機能を有しながらも、お年寄りであっても躊躇なく使用することができる。また、安価な手動部品による構成であるから、口腔洗浄装置の製造コストを大幅に低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態における介護用口腔洗浄器の全体構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態における歯ブラシの斜視図である。
【図3】第1実施形態における歯ブラシの正面図である。
【図4】第1実施形態における給水用指圧ポンプの正面図である。
【図5】歯ブラシに給水用指圧ポンプを装着した状態を示す正面図である。
【図6】歯ブラシと給水用指圧ポンプの使用状態の一例を示す斜視図である。
【図7】給水用指圧ポンプにアタッチメントを装着した状態を示す正面図である。
【図8】図7に示すアタッチメントの使用状態の一例を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態における給水用指圧ポンプの正面図(A)および分解正面図(B)である。
【図10】図9(B)内の破線で囲んだ部分の構成を示す組立説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる介護用口腔洗浄器100の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態における介護用口腔洗浄器の全体構成を示す斜視図である。
本実施形態における介護用口腔洗浄器100は、歯ブラシ10と歯ブラシ10に水を供給する給水部70とを有している。
給水部70は、歯ブラシ10に供給する水を貯留する給水容器20と、逆止弁32を内蔵し、給水容器20の水を歯ブラシ10に供給するための給水用指圧ポンプ30を有し、給水容器20と給水用指圧ポンプ30とを連通する第2の給水路40と、を有している。給水部70の一部を構成する第2の給水路40の中途位置には、給水容器20から歯ブラシ10側への水の流れを許容し、歯ブラシ10側から給水容器20側への水の流れを規制する第2の逆止弁42が配設されている。すなわち、第2の逆止弁42もまた給水部70の一部を構成している。
【0010】
図1に示すように、本実施形態における介護用口腔洗浄器100には、被介護者の口腔洗浄後の排水を回収する排水回収容器50を備えている。この排水回収容器50は、被介護者が歩くことができない場合において特に好適に用いられる。被介護者が歩いて洗面所等に移動することができる場合等においては、排水回収容器50の構成は省略することもできる。
【0011】
本実施形態における容器類について簡単に説明する。
給水容器20は、いわゆるコップ状に形成された本体部22と、本体部22の開口部に着脱自在な蓋体24と、蓋体24から本体部22内部に連通する連通孔(図示せず)に挿通させた第2の給水路40を固定するためのキャップ26を有している。このように給水容器20を分解可能な構成にすることで、給水容器20の洗浄や消毒を確実に行うことができるため衛生的に使用することができる。
排水回収容器50は、本体部52と、本体部52に着脱自在な吊部材54と、吊部材54を固定するための固定具であるクリップ56とを有している。図1に示す排水回収容器50は、吊部材54を被介護者の首にかけて、クリップ56により被介護者の被服等に固定して用いることができる。なお、クリップ56は吊部材54の長さ調整具としても用いることができる。もし被介護者が寝たきりの場合や、被介護者自身が排水回収容器50を持つことができる場合には、排水回収容器50を本体部52のみで構成してもよい。
【0012】
図2は、本実施形態における歯ブラシの斜視図である。図3は、本実施形態における歯ブラシの正面図である。
歯ブラシ10は、植毛部12と柄14とにより略T字型をなしている。植毛部12には山羊毛や豚毛などの動物毛が植毛されているので、被介護者の口腔内を傷めることなく、やさしく洗浄処理をすることができる。また、植毛部12には、一端側が植毛部12の内側表面(毛の根元部分)で開口し、他端部が植毛部12の台座部分を貫通した後、植毛部12の外側表面に開口部を有する第1の給水路16が設けられている。本実施形態における第1の給水路16は、給水用指圧ポンプ30から供給された水が植毛部12の幅方向において均等間隔に噴出させるように、中途部から2方向に分岐するY字型に形成されている。第1の給水路16の他端側部分は、係止具15により柄14に固定されている。
【0013】
歯ブラシ10の柄14は、長手方向において弓形にゆるやかに湾曲した形状に形成されている(図3参照)。また、柄14は、植毛部12側から把持部側に徐々に幅広に形成されていて、柄14の把持部側の端部位置には、給水用指圧ポンプ30の指圧部34の外形形状に倣った形状に形成されたポンプ収容凹部18が配設されている。ポンプ収容凹部18は柄14の湾曲内側面に開口している。また、ポンプ収容凹部18の内底部には柄14の湾曲外側面に連通する貫通孔19が形成されている。
【0014】
図4は、本実施形態における給水用指圧ポンプの正面図である。図5は、歯ブラシに給水用指圧ポンプを装着した状態を示す正面図である。図6は、歯ブラシと給水用指圧ポンプの使用状態の一例を示す斜視図である。
本実施形態における給水用指圧ポンプ30は、いわゆるスポイト型に形成された指圧部34を有している。給水用指圧ポンプ30の一端側には、ステンレススチール等の硬質な材料により形成された管路状の水噴出部32が設けられている。他端側には給水用容器20に連通するホース体からなる第2の給水路40が取り付けられている。
【0015】
水噴出部32には、歯ブラシ10に送水する送水動作時には水噴出部32内の流路をオープンにし、他の動作時(給水容器20から水を吸い上げする吸水時、すなわち、水噴出路32内の水が歯ブラシ10側から指圧部34に戻ろうとする状態)には水噴出路32内の流路をクローズにするボール弁を有する逆止弁(図示せず)が内蔵されている。このように水噴出部32および第2の給水路40の中途部にそれぞれ逆止弁を配設しているので、給水容器20への水の逆流を確実に防止することができ衛生的である。
【0016】
給水用指圧ポンプ30は、水噴出部32を第1の給水路16に差し込むことにより歯ブラシ10に装着することができる。すなわち、歯ブラシ10(第1の給水路16)と給水用指圧ポンプ30とは着脱自在に設けられている。
給水用指圧ポンプ30を歯ブラシに10装着すると、図5に示すように、給水用指圧ポンプ30の指圧部34の一部が柄14に配設されたポンプ収容凹部18に収容された状態になり、柄14からの給水用指圧ポンプ30の指圧部34のはみ出し量を可及的に少なくすることができる。
【0017】
本実施形態における介護用口腔洗浄器100は、図5および図6に示すように、歯ブラシ10と給水用指圧ポンプ30とが略一体化され、柄14の部分からの指圧部34のはみ出し量が抑えられている。これにより、介護者の手が小さい場合であっても、給水用指圧ポンプ30が装着された歯ブラシ10を用いて通常のブラッシング動作をしながら給水用指圧ポンプ30による水の供給状態を調整することが可能になる。
給水用指圧ポンプ30を操作する際には、給水用指圧ポンプ30の指圧部34をポンプ収容凹部18の内底面に向けて押圧するだけでよい。また、植毛部12から噴出させる水の勢いを強くしたい場合や、一回の押圧操作により噴出させる水の量を増やしたい場合には、貫通孔19部分およびポンプ収容凹部18側から露出する給水用指圧ポンプ30の指圧部34を直接挟み込むようにして押圧操作を行えばよい。
【0018】
このような給水用指圧ポンプ30を採用することにより、被介護者の口腔内を洗浄する際において、給水が必要な場合と給水が不要な場合の切り替え動作を直感的に行うことができる点において好都合である。これにより、老老介護の現場であっても介護用口腔洗浄器100の操作方法に戸惑うことがなく、介護者はゆとりを持って介護用口腔洗浄器100を操作することが可能になる。すなわち、介護者は被介護者への思いやりを持ちつつ口腔内の洗浄を行うことができる点においてきわめて有効である。
【0019】
図6に示す介護用口腔洗浄器100を用いて、被介護者の口腔内を洗浄処理した後、仕上げ洗浄を行う必要がある場合には、図7に示すように、歯ブラシ10から給水用指圧ポンプ30を分離させ、水噴出部32にアタッチメント60を接続して洗浄を行うことがある。図7は、給水用指圧ポンプにアタッチメントを装着した状態を示す正面図である。図7に示す使用形態は、被介護者が口を開けにくい場合においてきわめて有効である。アタッチメント60は、指サック状に形成された本体部62と本体部62の先端部に取り付けられたブラシ部64と、ブラシ部64の外表面から本体部62の内部空間を経て水噴出部32に連通する給水チューブ66とを有している。ブラシ部64はシリコーン等の柔軟な合成樹脂により形成されている。
【0020】
アタッチメント60を装着した場合には、図8に示すように、介護者の人差し指にアタッチメント60を装着し、給水用指圧ポンプ30を握り締める状態とし、アタッチメント60を被介護者の口の中に入れ、人差し指で優しくブラッシングすることができる。人差し指は歯ブラシに10に比較して小回りが利くため、口を開けにくい被介護者であっても適切に口腔内の洗浄を行うことができる点で好都合である。この場合も、人差し指に装着したアタッチメント60のブラシ部64よるブラッシング動作に合わせて中指、薬指、小指と掌により給水用指圧ポンプ30のポンピング操作を直感的に行うことができる。
【0021】
歯ブラシ10により口腔内の洗浄またはアタッチメント60による口腔内の洗浄を終えた後、被介護者の口腔内を濯ぐ処理をして口腔洗浄が完了する。濯ぎ処理を行う際には、歯ブラシ10またはアタッチメント60から給水用指圧ポンプ30を取り外し、給水用指圧ポンプ30を単体で用いればよい。指圧部34を押圧して水噴出部32から水を噴出させることにより、被介護者の口腔内を濯げば口腔内に残存しているカス等を確実に除去する(洗い流す)ことができ、より清潔な口腔内環境を提供することができる。
【0022】
(第2実施形態)
本実施形態においては、給水用指圧ポンプ30の変形例について図面に基づいて説明を行う。図9は、第2実施形態における給水用指圧ポンプの正面図(A)および分解正面図(B)である。図10は、図9(B)内の破線で囲んだ部分の構成を示す組立説明図である。
図9に示すように、給水用指圧ポンプ30は、第1の給水路16に連通する水噴出路32と、第2の通水路40から供給された水を水噴出路32に供給する際の動力源となる指圧部34と、水噴出路32および連通管37を保持するハウジング36とを有している。このハウジング36には、第2の給水路40側から第1の給水路10(水噴出路32)側への水の流通(供給)を許容し、逆向きの水の流通を規制するための逆止弁80が収容されている。連通管37は、第1の給水路10に接続された水噴出路32と第2の給水路40に接続された指圧部34とを連通させるためのものである。連通管37にはシリコーン樹脂製管が好適に用いることができる。
【0023】
図10に示すように、水噴出路32には先の実施形態と同様にステンレススチール製の管体が採用されている。水噴出路32の指圧部34側の端部には、合成樹脂により形成されたフランジ部32aとカラー部32bが装着されている。カラー部32bの外周面と指圧部34側端面には、水噴出路32の通水空間に連通するスリット32cと貫通孔32dが配設されている。
【0024】
ハウジング36は、本体部36aと、本体部36aに着脱可能に取り付けられたキャップ部36bを有している。本体部36aの内部には、本体部36aの内周面から本体部36aの内径方向に突出する突出片36cが設けられていて、本体部36aの内部断面が他の部分よりも小断面部分となるように形成されている。突出片36cにより形成された本体部36aの小断面部分には逆止弁80の一部を構成する移動弁82が挿通された状態で保持されている。突出片36cは本体部36aの他の部位よりも薄肉に形成されており、指圧部34により送水圧力が付与されると、突出片36cが送水方向に湾曲するように弾性変形し、突出片36cと移動弁82との間に通水空間が形成されることにより、水噴出路32への送水を可能にしている。突出片36cが弾性変形して形成された通水空間を通過した水は、カラー部32bのスリット32cを経由して水噴出路32に供給されることになる。
また、キャップ部36bには、水噴出路32を挿通させるための挿通孔36dが形成されている。フランジ部32aは、キャップ部36bの挿通孔36dから水噴出管32が抜けてしまうことを防止するためのストッパとして用いられる。
【0025】
逆止弁80は、ハウジング36の本体部36aに設けられた突出片36cに挿通保持された移動弁82と、移動弁82と直列に配設され、移動弁82を指圧部34側に常時押圧させる方向に付勢力を付与する付勢部材84と、カラー部32bの貫通孔32dに装着され、付勢部材84による付勢力を得るための反力体86と、を有している。これら移動弁82、付勢部材84、反力体86は、ハウジング36の内部空間において、同一直線上において互いに当接した状態で収容されている。
【0026】
移動弁82は断面T字状に形成され、細径部分が突出片36cにより挟持された状態で本体部36aに収容されている。図10において、移動弁82の突出片36cへの差し込み量が増えると、移動弁82の大径部分が突出片36cの側面に密着して本体部36a内における水の流通を規制する仕組みになっている。
移動弁82は、少なくともハウジング36の本体部36aと接触する部分(細径部分)については、合成樹脂により被覆加工がされている。ここでは、合成樹脂としてシリコーン樹脂を採用した。このようにシリコーン樹脂により被覆加工された移動弁82は、ハウジング36の本体部36aとのシール性を向上させることができるため、逆止弁80部分における水漏れ等を確実に防止することができる。
【0027】
移動弁82を指圧部34側に付勢する付勢部材84としては、公知のものを適宜選択して用いることができるが、ここでは、低コスト化を図るため、ステンレススチール製のつるまきばねを用いた。付勢部材84の反力を得るための反力体86は、図10に示すように移動弁82と同様に断面T字状に形成されている。反力体86は、細径部分のすべてをカラー部32bの貫通孔32dに差し込むようにして装着されている。反力体86の大径部分は、付勢部材84との当接面が円弧状に湾曲する湾曲面に形成されている。この湾曲面により付勢部材84を位置決めした状態で当接させることができ、移動弁82に付与させる付勢力を常時適正な方向に作用させることが可能になる点で好都合である。
ここでは、反力体86を単独の部品構成とした形態を示しているが、カラー部32bの指圧部34側の端面を付勢部材84の端面を適切に当接させることが可能な形状に形成する(例えば、貫通孔32dを形成するのではなく、カラー部32bにおける付勢部材84との当接面を円弧状の湾曲面とする)ことで、反力体86の配設に代えることもできる。
【0028】
以上に説明したとおり、本実施形態にかかる給水用指圧ポンプ30は、簡易な構成であり、組立分解作業も容易に行うことができる。これにより、給水用指圧ポンプ30の製造コストを大幅に低減させることができると共に、メンテナンスを容易に行うことができるため、初期発揮性能を長期にわたって維持することができる点においても好都合である。
【0029】
以上に実施形態に基づいて本願発明にかかる介護用口腔洗浄器100について詳細に説明をしてきたが、本願発明は以上に示した実施形態に限定されるものではないのはもちろんである。たとえば、本実施形態においては、植毛部12と柄14とを、それぞれ直線状の平面形状に形成しているため、歯ブラシ10の平面視形状も直線的なT字型形状を呈しているが、植毛部12を平面視または側面視した際において、円弧状に湾曲した形状を採用することも可能である。このように円弧状に湾曲させた植毛部12を採用することにより、被介護者の口中の奥側位置まで植毛部12が入れやすくなると共に、歯が磨きやすくなるため好都合である。このような円弧状の湾曲した植毛部12を採用した場合、歯ブラシ10の平面形状はY字型に近い湾曲したT字型(植毛部12の平面視形状を円弧状に湾曲させた場合)や、柄14に対する突出量が少ないT字型(植毛部12の側面視形状を円弧状に湾曲させた場合)を呈することになるが、本明細書中においてはこれらのような形状であってもT字型をなす歯ブラシ10に含まれるものとしている。
【0030】
また、第1の給水路16は柄14の部分から植毛部12の幅方向において均等間隔となるような二箇所に水を分配するため略Y字型形状に形成されているが、植毛部12への給水箇所は2箇所に限定されるものではない。植毛部12からの水の噴出箇所(植毛部12側の開口部配設位置)は1箇所または3箇所以上であってもよいため、第1の給水路16の形状はY字型形状以外に形成されることもあるのはもちろんである。
【0031】
また、本実施形態においては、歯ブラシ10の植毛部12に山羊毛や豚毛などの動物毛を用いているが、アタッチメント60に用いたようなシリコーン等の柔軟性が高いといわれる合成樹脂を植毛部12に植えてもよい。また、アタッチメント60のブラシ部64に山羊毛や豚毛などの動物毛を植えてもよいのはもちろんである。
また、本実施形態においては、アタッチメント60を用いて歯磨きをする形態について説明しているが、アタッチメント60を用いて口腔内用の保湿剤を被介護者の口腔内に介護者が指を用いて塗布することにより、被介護者の口腔内を保湿することができ、被介護者の口腔内環境を良好に維持することも可能である。
【0032】
さらには、給水用指圧ポンプ30は第1の給水路16(歯ブラシ10)に着脱自在な形態について説明しているが、給水用指圧ポンプ30を第1の給水路16(歯ブラシ10)に連結固定させた形態を採用することもできる。このような介護用口腔洗浄器100を採用した場合、仕上げの濯ぎ処理はできなくなるものの、本願発明が解決しようとしている簡単操作が可能で低コストでの提供が可能な介護用口腔洗浄器100を実現することについては十分に可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 歯ブラシ
12 植毛部
14 柄
15 係止具
16 第1の給水路
18 ポンプ収容凹部
19 貫通孔
20 給水容器
22 本体部
24 蓋体
26 キャップ
30 給水用指圧ポンプ
32 水噴出部
32a フランジ部
32b カラー部
32c スリット
32d 貫通孔
34 指圧部
36 ハウジング
36a 本体部
36b キャップ部
36c 突出片
36d 挿通孔
37 連通管
40 第2の給水路
42 第2の逆止弁
50 排水回収容器
52 本体部
54 吊部材
56 固定具
60 アタッチメント
62 本体部
64 ブラシ部
66 給水チューブ
70 給水部
80 逆止弁
82 移動弁
84 付勢部材
86 反力体
100 介護用口腔洗浄器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛部と柄とによりT字型をなす歯ブラシと、前記植毛部の内側から外方に向けて水を供給するための給水部を具備し、
前記給水部は、
前記歯ブラシに給水すべき水を貯留する給水容器と、
一端側が前記植毛部の内側で開口し、他端側が前記植毛部の外側表面に配設された第1の給水路と、
前記第1の給水路に連結され、逆止弁が内蔵されている給水用指圧ポンプと、
一端側が前記給水容器に連通し、他端側が前記給水用指圧ポンプに接続され、中途部に第2の逆止弁が配設された第2の給水路と、を有し、
前記柄は、弓形に湾曲する形状に形成されていると共に、前記給水用指圧ポンプの外形形状に倣った形状に形成されたポンプ収容凹部が配設されていることを特徴とする介護用口腔洗浄器。
【請求項2】
前記給水用指圧ポンプは、
前記第1の給水路に連通する水噴出路と、該水噴出路に水を供給させる際の動力源となる指圧部と、前記水噴出部と前記指圧部とを連通させると共に、前記逆止弁を収容するハウジングと、を具備し、
前記逆止弁は、移動弁と、当該移動弁を前記水噴出路側から前記指圧部側への水の供給を規制する方向への付勢力を付与する付勢部材と、を有し、
前記移動弁は、少なくとも前記ハウジングとの接触部分が合成樹脂により被覆されていることを特徴とする請求項1記載の介護用口腔洗浄器。
【請求項3】
前記給水用指圧ポンプは、前記第1の給水路に着脱自在であることを特徴とする請求項1または2記載の介護用口腔洗浄器。
【請求項4】
前記植毛部は動物毛が用いられていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の介護用口腔洗浄器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−206528(P2011−206528A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21827(P2011−21827)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(398020688)株式会社大島山機器 (2)
【Fターム(参考)】