説明

介護用機器の洗浄装置

【課題】簡略且つ小型の構成で洗い残しや洗浄ムラの発生を防止する。
【解決手段】底部フレーム1上に洗浄室6を有する洗浄用ケース100の底面2に回転軸11が貫通して下部を駆動装置により駆動し、上端に回転軸の直径方向に延びる回転板12を固定した回転駆動機構9を設け、下面に備えた自在車輪16で走行可能な台フレーム17上に介護用機器を収容可能な篭体18を備えたケージ台車200の下部に突出され、ケージ台車が洗浄室に進入する際に回転板の長手方向両側面に係合するガイド板と、ケージ台車の中心が回転軸の軸線上に到達すると回転板の前後端に係合してケージ台車の移動を拘束する係止部材と、係止部材の係合を解除する係合解除フレームとを有する係脱機構を設け、洗浄室内に備えて回転軸の軸線Sに向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようカーテン状に洗浄液を噴射する噴射ノズル34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は介護用機器の洗浄装置に関し、具体的には介護用ベッド、車椅子、リフト、歩行補助具等を洗浄するのに用いられる介護用機器の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴い介護用機器の開発・生産が盛んに行われるようになってきている。一方、介護用機器を大量に使用する介護施設や病院等では、人手不足等の問題から、介護用機器を定期的に洗浄して衛生を保つといったことが困難であり、このために介護用機器の多くはレンタル業者から借りて使用しているのが現状である。
【0003】
このためにレンタル業者では、介護施設や病院等から引き取った大量の介護用機器を洗浄・乾燥等した後に再び貸し出すようにしている。
【0004】
従来、介護用機器を洗浄する作業は、マットレスを取り外した介護用ベッド、車椅子、リフト、歩行補助具等の介護用機器に、或いは、所要の部品に分解した介護用機器に、作業者が洗剤液を塗布した後、ハンドタイプの高圧噴射ノズル等を用いて洗浄液(水)を噴射することにより洗浄を行い、又、汚れが落ちない箇所がある場合には清拭等を行って人力による洗浄を行っていた。
【0005】
しかし、介護用機器を人力で洗浄する場合、複雑な構造部分を綺麗に洗浄する作業は非常に大変であり、洗浄作業に多大の労力を要する問題がある共に、洗浄作業に長時間を要し、更に、洗浄結果に個人差が生じるといった問題を有していた。
【0006】
又、近年では、車椅子やマットレスを取り外した介護用ベッド等の介護用機器を収容できる形状の洗浄用ケースを備えると共に、該洗浄用ケース内部に複数の噴射ノズルを固定して備え、洗浄用ケースの内部に介護用機器を収容した後、複数の噴射ノズルから洗浄液を噴射することにより洗浄を行うようにしたものが提案されている。
【0007】
しかし、このように洗浄用ケース内に固定した複数の噴射ノズルから洗浄液を噴射するのみでは、高圧水が到達しない影の部分が介護用機器に生じて洗い残しや洗浄ムラを生じやすく、従って、多数の噴射ノズルから大量の洗浄液を噴射しても均一な洗浄が難しいという問題を有していた。
【0008】
このような問題を解決するために、被洗浄物が出入可能となるように分割して開閉されるケースと、被洗浄物に向けて洗浄液を噴射する少なくとも1以上の噴射ノズルと、前記ケースに設けられ前記噴射ノズルを回転させつつ前記噴射ノズルに洗浄液を供給する回転アームと、該回転アームを前記被洗浄物の洗浄面に対して略々平行に回転させながら前記洗浄面に沿って移動させる回転移動手段とを備えた洗浄装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−102560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に介護用機器の洗浄装置では、噴射ノズルを回転可能に備えた回転アームを、噴射ノズルを回転させながら被洗浄物の洗浄面に対して略々平行に移動させるようにしているので、少ない噴射ノズル数で被洗浄物の全面に亘り洗浄液を噴射して洗い残しや洗浄ムラを低減できる効果がある一方、噴射ノズルに洗浄液を供給しつつ噴射ノズルを回転させると共に回転アームを移動させるために、構造が非常に複雑且つ大掛りとなり、そのために装置高価が増大すると共に、故障が生じ易くなり、メンテナンスが大変になるという問題がある。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなしたもので、装置構成が簡略且つ小型で洗い残しや洗浄ムラの発生を防止して効果的な洗浄を行えるようにした介護用機器の洗浄装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、側面に開閉扉を備えた洗浄室を底部フレーム上に有する洗浄用ケースと、
前記洗浄室の底面を垂直に貫通して回転可能に支持された回転軸と、底面上に突出する回転軸の上端に直径方向に延びて固定した回転板と、洗浄用ケースに備えて前記回転軸を回転する駆動装置とを有する回転駆動機構と、
自在車輪により走行可能な台フレーム上に介護用機器を収容可能な篭体が固定され、前記洗浄用ケース内に進入が可能なケージ台車と、
前記台フレームの中央下部に突出して備えられ、ケージ台車が洗浄用ケースに進入する際に前記回転板の長手方向両側面に係合するガイド板と、ケージ台車の中心が前記回転軸の軸線上に到達したときに前記回転板の前後端に係合してケージ台車の移動を拘束する係止部材と、回転板に対する係止部材の係合を解除する係合解除フレームとを有する係脱機構と、
前記洗浄室内に備えられ、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に洗浄液を噴射する少なくとも1つの噴射ノズルと、
を備えたことを特徴とする介護用機器の洗浄装置、に係るものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記洗浄用ケース内に、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に洗剤液を噴射する少なくとも1つの洗剤液ノズルを有することを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置である。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記洗浄用ケース内に、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に乾燥用エアを噴射するブロアノズルを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の介護用機器の洗浄装置である。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記回転板に対する係止部材の嵌合を解除するロック解除フレームを、ガイド板の長手方向であるケージ台車の前後に対称に備えたことを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置である。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記洗浄用ケージの周壁を形成する側面に、ケージ台車が通り抜けできるように開閉扉を前後に対称に備えていることを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の介護用機器の洗浄装置によれば、介護用機器を篭体に収容したケージ台車を自在車輪により移動させて洗浄用ケース内に進入させると、ケージ台車に備えた係脱機構が洗浄用ケースに備えた回転駆動機構の回転軸の回転板に係合するので、駆動装置を駆動すると回転板の回転が回転板とガイド板を介してケージ台車に伝えられ、よってケージ台車は回転軸を中心に底面上に沿って自在車輪により回転するようになる。このとき、噴射ノズルにより洗浄液を噴射すると、洗浄液は回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に噴射されるので、少ないノズル数でしかも簡略且つ小型の構成によって介護用機器に影の部分による洗い残しや洗浄ムラが生じることなく効果的な洗浄が行えるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を構成する洗浄用ケース内にケージ台車が進入した状態を示す正面図である。
【図2】図1をII−II方向から見た平面図である。
【図3】図1をIII−III方向から見た側面図である。
【図4】図1の洗浄用ケースに備えられる回転駆動機構の一部を示す側面図である。
【図5】ケージ台車の一例を示す平面図である。
【図6】図5をVI−VI方向から見た正面図である。
【図7】図5をVII−VII方向から見た側面図である。
【図8】篭体の平面図である。
【図9】図8をIX−IX方向から見た断面図である。
【図10】洗浄用ケース内にケージ台車が進入する状態を示す側面図である。
【図11】ケージ台車の進入により奥側の係止部材が回転板の一端部に当接する状態を示す側面図である。
【図12】ケージ台車の進入により奥側の係止部材の傾斜面よって回転板の一端部上に乗り上げた状態を示す側面図である。
【図13】ケージ台車の進入により奥側の係止部材が回転板上を滑って移動する状態を示す側面図である。
【図14】ケージ台車の進入により奥側の係止部材が回転板の他端部から落下し、奥側の係止部材と手前側の係止部材によりケージ台車の移動を拘束する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0020】
図1は本発明を構成する洗浄用ケース100内にケージ台車200が進入した状態を示す正面図であり、図2は図1をII−II方向から見た平面図、図3は図1をIII−III方向から見た側面図である。
【0021】
洗浄用ケース100は、図1〜図3に一例を示すように、底部フレーム1上に、底面2と、開閉扉3を備えて周壁を形成する側面4と、天井壁を形成する天井面5とにより気密が保持された平面形状が正四角形の洗浄室6を有しており、更に、洗浄室6の側部には該洗浄室6と区画された機械室7を有している。図2に示した開閉扉3は、前記機械室7と直角を成している前後の側面4に、洗浄室6内に折れ曲がって開く中折れ扉3a,3b(アコーディーン扉)を左右に配置した場合を示しており、従って、ケージ台車200は前後の開閉扉3を開くことにより洗浄用ケース100内を矢印A方向に通り抜けできるようになっているが、開閉扉3は側面に対して1箇所以上備えていればよく、又、開閉扉3には種々の方式のものを採用することができる。又、図2、図3に示すように、ケージ台車200の底部フレーム1の前後には、ケージ台車200をケージ台車200内に対して容易に進入・取り出しできるようにスロープ8が設けられている。
【0022】
更に、前記洗浄用ケース100の底部には回転駆動機構9が設けられている。この回転駆動機構9は、図4にその一例を示すように、洗浄用ケース100の底面2を垂直に貫通して軸受10により底部フレーム1に回転可能に支持された回転軸11と、底面2から突出している回転軸11の上端に直径方向に延びて鉛直に固定された回転板12と、底面2より下部の回転軸11に備えたホイール13をチェーン等の動力伝達材14を介して駆動するよう図2、図3の機械室7内に配置した駆動装置15とにより構成している。
【0023】
図5は前記ケージ台車200の一例を示す平面図、 図6は図5をVI−VI方向から見た正面図、図7は図5をVII−VII方向から見た側面図である。ケージ台車200は、図5〜図7に示すように、下面の四隅に自在車輪16を備えて走行が可能な平面正四角形の台フレーム17と、該台フレーム17上に固定されて図示しない介護用機器を収容可能な篭体18とを有しており、前記ケージ台車200は前記洗浄用ケース100内に収容できる大きを有している。
【0024】
更に、ケージ台車200の底部には係脱機構19が設けられている。この係脱機構19は、図5に示す台フレーム17の左右中間位置に、前記回転板12に嵌合できる小さい間隔20を有し且つ前記回転板12よりも長い長さを有する2枚のガイド板21を固定している。更に、ガイド板21の前後(図5では上下)には、外側に向かって間隔20が大きくなるようにハの字状に傾斜した誘導板22,22’を設けている。更に、前記ガイド板21における間隔20の前後端部間にはアーム24によって連結された手前側の係止部材23と奥側の係止部材23’が設けてあり、手前側の係止部材23は手前側に向かい上側に向かって傾斜した傾斜面23aを有し、又、奥側の係止部材23’は奥側に向かい上側に向かって傾斜した傾斜面23aを有しており、前記アーム24は長さ方向中心部に設けた取り付けピン25によって台フレーム17に対して上下方向に回動可能に支持されている。
【0025】
更に、前記係脱機構19は、台フレーム17の前記ガイド板21を挟む位置に、ガイド板21と平行で且つ支点26を中心に上下に回動可能な手前側の係合解除フレーム27と奥側の係合解除フレーム28を有しており、手前側の係合解除フレーム27の奥側端は台フレーム17の構成材を避けるように傾斜した連結部材27aを介して奥側の係止部材23’に連結されていて、手前側端にはペダル27bが備えられている。又、奥側の係合解除フレーム28の手前側端は台フレーム17の構成材を避けるように傾斜した連結部材28aを介して手前側の係止部材23に連結されていて、奥側端にはペダル28bが備えられている。従って、係止部材23,23’に力が作用しない状態では、係止部材23,23’は同じ高さに保持され、アーム24は水平となっている。図7中、16’は台フレーム17の左右側下面の前後中間位置において、前記自在車輪16よりも上部に設けた補助車輪である。
【0026】
従って、図5のケージ台車200を図2の洗浄用ケース100の底面2上に進入させると、進入方向奥側の誘導板22’が図2の回転板12の手前側端部に当接することで誘導板22’によってケージ台車200の向きと位置が修正され、ガイド板21の間隔20が回転板12の端部に嵌合するようになる。更に、ケージ台車200の進入により奥側の係止部材23’が傾斜面23aによって回転板12の端部上に乗り上げるようになるためアーム24が傾斜した状態で係止部材23’は回転板12上を滑って移動し、奥側の係止部材23’が回転板12の奥側端部を通り抜けると支えを無くすことにより落下し、これにより、回転板12の奥側と手前側に係止部材23,23’が位置することでケージ台車200の移動は拘束され、同時に、ガイド板21が回転板12の両側面を挾持することにより、ケージ台車200は回転軸11と共に回転できるように連結される。
【0027】
一方、例えば、前記奥側のペダル28bを足で踏み下げると、奥側の係合解除フレーム28が支点26を中心に回動し連結部材28aを介して手前側の係止部材23が上昇され、係止部材23が回転板12の手前側端部から外れるので、ケージ台車200は奥側に引き出せるようになる。又、手前側のペダル27bを足で踏み下げると、奥側の係止部材23’が上昇するので、ケージ台車200は手前側に引き出せるようになる。又、図5中、29,30はケージ台車200の手前側と奥側に備えた全解除フレームであり、この全解除フレーム29,30は、手前側と奥側に備えたペダル31,32のいずれかを踏み下げると、例えば取り付けピン25を上昇させて、手前側の係止部材23と奥側の係止部材23’を同時に上昇させられるようになっており、従って、上記全解除フレーム29,30を備えて係止部材23,23’を同時に上昇させると、洗浄用ケース100内のケージ台車200を引き出すことも押し出すこともできるようになる。
【0028】
前記洗浄用ケース100の洗浄室6に進入して回転軸11に連結されたケージ台車200が図2中破線で示すように回転する回転範囲33よりも外部の洗浄室6には、前記回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするよう狭い噴射角度でカーテン状に洗浄液を噴射する少なくとも1つの噴射ノズル34を設けている。図1〜図3の例では、機械室7内に設けた高圧ポンプ35に接続されて前記洗浄室6内の手前側に配置され洗浄室6の上半分に洗浄液を噴射する上側ノズル34aと、機械室7内に設けた高圧ポンプ36に接続されて洗浄室6内の奥側に配置され洗浄室の下半分に洗浄液を噴射する下側ノズル34bとを備えた場合を示している。
【0029】
更に、前記回転範囲33の外部には、機械室7内に設けた洗剤液ポンプ37に接続されて前記回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするよう狭い噴射角度でカーテン状に洗剤液を噴射する洗剤液ノズル38を設けている。
【0030】
更に、前記回転範囲33の外部には、機械室7内に設けたブロア39に接続されて前記回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするよう狭い噴射角度でカーテン状に乾燥用エアを噴射するブロアノズル40を設けている。このとき、前記ブロア39にヒータ41を備えるようにすると、加熱した乾燥用エアをブロアノズル40から噴射させて乾燥を促進させることができる。
【0031】
前記噴射ノズル34、洗剤液ノズル38、ブロアノズル40によって狭い噴射角度でカーテン状に噴出を行うためには、複数の噴射口を直線上に備えたり、或いはスリット状の噴射口を備えて噴出することができる。図1〜図3中、42は前記洗浄室6内の空気を外部に排出するための排気口、図3中、43は機械室7に備えた制御器、44は洗浄用ケース100の外面に備えられた操作盤、45は洗浄用ケース100の底面2に設けた水抜孔、46は排水管である。
【0032】
又、前記ケージ台車200の篭体18は、図1に示すように、大きな間隔を有する縦材47と横材48によって組み立てられており、縦材47及び横材48は、図8、図9に示すように、薄い板材により構成されていおり、前記縦材47は回転軸11の軸線Sに向かって噴射される洗浄液に対する抵抗が最も小さく、影になる部分が小さくなるように縦材47の幅方向が回転軸11の軸線Sの放射方向を向くように配置されており、又、横材48は上下に広がって噴射される洗浄液に対する抵抗が最も小さく、影に部分が小さくなるように傾斜して設けられている。又、前記縦材47及び横材48の幅方向端部には、図9に示すように面取りによる曲面部49が形成されており、洗浄液が衝突した際に乱れを生じないようになっている。
【0033】
上記形態の作用を説明する。
【0034】
介護用機器の洗浄を行うには、介護用ベッドはマットレスを取り外し、更に、図10に示すように、ケージ台車200の篭体18内に収容でき、且つ洗浄用ケース100内に装入できる大きさの部品に分解した介護用機器Kを篭体18内に収容し、又、車椅子、リフト、歩行補助具等の介護用機器はそのまま篭体18に収容し、又、収容できない場合には分解して収容する。
【0035】
介護用機器Kが収容されたケージ台車200は、作業員が手で押して走行させ、図2、図10に示すように、開閉扉3が開けられた洗浄用ケース100の底面2上にスロープ8を介してA方向から進入させる。このとき、前記ケージ台車200には補助車輪16’が備えられているのでスロープ8を経て容易に洗浄用ケース100内へ移動することができる。又、図2の回転駆動機構9の回転軸11に備えた回転板12は、その長手方向が前後方向(ケージ台車200の進入方向A)と平行になるように予め停止している。
【0036】
図5のケージ台車200が図2の洗浄用ケース100内にA方向から進入すると、ケージ台車200の進入方向奥側に備えた誘導板22’が回転板12の手前側端部に当接し、誘導板22’が回転板12沿って移動することでケージ台車200の位置と向きが修正され、ガイド板21の間隔20が回転板12の手前側端部に嵌合するようになる。
【0037】
又、回転板12にガイド板21が嵌合する時には、図11に示すように、奥側の係止部材23’の傾斜面23aが回転板12の手前側端部に当接し、更に、ケージ台車200の移動により奥側の係止部材23’は、図12に示すように傾斜面23aによって回転板12の端部上面に乗り上げるようになる。このとき、アーム24は傾斜し、又、奥側の係止部材23’に連結されている手前側の係合解除フレーム27はペダル27bが下降するように傾斜する。
【0038】
更に、ケージ台車200を進入させると、図13に示すように奥側の係止部材23’は回転板12の上面を滑って移動し、回転軸11の軸線S上にケージ台車200の中心が一致すると、拘奥側の係止部材23’が回転板12の奥側端部を通り抜けて支えを無くすことにより、図14に示ように落下する。これにより、回転板12の奥側と手前側に係止部材23,23’が位置することで、ケージ台車200の移動は拘束されるようになり、このとき、奥側の係止部材23’が落下することでアーム24は水平になり、係合解除フレーム27は元の水平な状態に戻る。
【0039】
このように、回転板の長手方向端部に係止部材23,23’が係合し且つ、回転板12の両側面をガイド板21が挾持することで、図1、図2に示すように、ケージ台車200は回転軸11と一体に回転するように連結される。
【0040】
この状態で開閉扉3を閉塞した後、駆動装置15を駆動すると、動力伝達材14及びホイール13を介して回転軸11は回転し、回転軸11の回転は回転板12と回転板12を挾持しているガイド板21によってケージ台車200に伝えられ、これにより、ケージ台車200は軸線Sを中心として、洗浄用ケース100の底面2上を図2に破線で示す回転範囲33において回転する。
【0041】
ケージ台車200が回転した状態で、洗剤液ノズル38から洗剤液を噴射し、ケージ台車200を所定の回転数だけ回転させると洗剤液が介護用機器に塗布される。このとき、洗剤液ノズル38が回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするようカーテン状に洗剤液を噴射しているので、ケージ台車200の回転に伴って介護用機器Kの表裏に洗浄液が噴射されるようになり、よって、少ないノズル数で影の部分を生じることなく介護用機器に洗剤液を均一に塗布することができる。
【0042】
続いて、ケージ台車200を回転した状態で、噴射ノズル34から洗浄液を噴射し、ケージ台車200を所定の回転数だけ回転させると、介護用機器の洗浄が行われる。このとき、噴射ノズル34が回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするようカーテン状に洗浄液を噴射しているので、ケージ台車200の回転に伴って介護用機器Kの表裏に洗浄液が噴射されるようになり、よって、少ないノズル数で影の部分による洗い残しや洗浄ムラを生じることなく介護用機器を均一に洗浄することができる。
【0043】
続いて、ケージ台車200を回転した状態で、ブロアノズル40から乾燥用エアを噴射し、ケージ台車200を所定の回転数だけ回転させると、介護用機器の乾燥が行われる。このとき、ブロアノズル40が回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6の上下をカバーするようカーテン状に洗浄用エアを噴射しているので、ケージ台車200の回転に伴って介護用機器Kの表裏に乾燥用エアが噴射されるようになり、よって、介護用機器を影の部分を生じることなく均一に乾燥させることができる。
【0044】
洗浄作業が終了すると、洗浄用ケース100の奥側の開閉扉3を開けて、図5の奥側のペダル28bを足で踏み下げると、奥側の係合解除フレーム28が支点26を中心に回動することで連結部材28aを介し手前側の係止部材23が上昇されて回転板12の手前側端部から外れるので、ケージ台車200を進行方向と同じ奥側に引き出すことができる。又、手前側のペダル27bを足で踏み下げると、奥側の係止部材23’を上昇させてケージ台車200を手前側に引き出すこともできる。更に、図5示すように全解除フレーム29,30を備えた全て係止部材23,23’を同時に上昇させられるようにすると、ケージ台車200を洗浄用ケース100から引き出して取り出すことができると共に、ケージ台車200を洗浄用ケース100から押し出して取り出すこともできる。
【0045】
前記制御器43は、前記洗浄液の塗布、洗浄液による洗浄、乾燥用エアによる乾燥の操作が、操作盤44に対する入力によってケージ台車200の回転時間又は回転数で設定できるようにしてあり、又、前記回転軸11の回転が停止する際には、回転板12の長手方向の向きが常にケージ台車200の進入方向と並行を保持して停止するようになっている。又、前記開閉扉3が閉止されないとケージ台車200は回転できないようになっている。
【0046】
上記した介護用機器の洗浄装置によれば、介護用機器Kを篭体18に収容したケージ台車200を自在車輪により走行させて洗浄用ケース100内に進入させると、ケージ台車200に備えた係脱機構19のガイド板21と係止部材23,23’が洗浄用ケース100に備えた回転駆動機構9の回転板12に係合してケージ台車200は回転軸11に連結されるので、駆動装置15を駆動すると回転軸11の回転が回転板12及びガイド板21を介してケージ台車200に伝えられる。従って、ケージ台車200は自身に備えた自在車輪16によって回転軸11を中心に底面2上を回転するようになりため、回転のための機構を簡略なものとすることができる。更に、ケージ台車200を回転しつつ噴射ノズル34により洗浄液を噴射すると、洗浄液は回転軸11の軸線Sに向かい且つ洗浄室6内の上下をカバーするようにカーテン状に噴射されるので、少ないノズル数で介護用機器に影の部分による洗い残しや洗浄ムラを生じさせることなく効果的な洗浄を行うことができる。
【0047】
更に、前記ケージ台車200を複数台備えておくことにより、各ケージ台車200の篭体18に介護用機器Kを収容する作業を洗浄作業と切離して事前に行うことにより洗浄の準が終了したものを予め複数台用意しておくことができ、よって、ケージ台車200を洗浄用ケース100内に進入させて洗浄する作業を連続して行うことができ、従来のように、介護用機器を洗浄用ケース内に挿入して洗浄を行った後、洗浄が終了した介護用機器を洗浄用ケース内から取り出す作業を行うようにしている方式に比して、作業能率を大幅に向上させることができる。
【0048】
尚、本発明の介護用機器の洗浄装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 底部フレーム
2 底面
3 開閉扉
6 洗浄室
7 機械室
9 回転駆動機構
11 回転軸
12 回転板
15 駆動装置
16 自在車輪
17 台フレーム
18 篭体
19 係脱機構
21 ガイド板
23,23’ 係止部材
27 係合解除フレーム
28 係合解除フレーム
34 噴射ノズル
38 洗剤液ノズル
40 ブロアノズル
100 洗浄用ケース
200 ケージ台車
K 介護用機器
S 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に開閉扉を備えた洗浄室を底部フレーム上に有する洗浄用ケースと、
前記洗浄室の底面を垂直に貫通して回転可能に支持された回転軸と、底面上に突出する回転軸の上端に直径方向に延びて固定した回転板と、洗浄用ケースに備えて前記回転軸を回転する駆動装置とを有する回転駆動機構と、
自在車輪により走行可能な台フレーム上に介護用機器を収容可能な篭体が固定され、前記洗浄用ケース内に進入が可能なケージ台車と、
前記台フレームの中央下部に突出して備えられ、ケージ台車が洗浄用ケースに進入する際に前記回転板の長手方向両側面に係合するガイド板と、ケージ台車の中心が前記回転軸の軸線上に到達したときに前記回転板の前後端に係合してケージ台車の移動を拘束する係止部材と、回転板に対する係止部材の係合を解除する係合解除フレームとを有する係脱機構と、
前記洗浄室内に備えられ、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に洗浄液を噴射する少なくとも1つの噴射ノズルと、
を備えたことを特徴とする介護用機器の洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄用ケース内に、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に洗剤液を噴射する少なくとも1つの洗剤液ノズルを有することを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄用ケース内に、前記回転軸の軸線に向かい且つ洗浄室内の上下をカバーするようにカーテン状に乾燥用エアを噴射するブロアノズルを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の介護用機器の洗浄装置。
【請求項4】
前記回転板に対する係止部材の嵌合を解除するロック解除フレームを、ガイド板の長手方向であるケージ台車の前後に対称に備えたことを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄用ケージの周壁を形成する側面に、ケージ台車が通り抜けできるように開閉扉を前後に対称に備えていることを特徴とする請求項1に記載の介護用機器の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−67722(P2011−67722A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218779(P2009−218779)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(390008338)広和株式会社 (21)
【Fターム(参考)】