説明

仏具用転倒抑制シート

【課題】仏具の転倒を抑制することのできる仏具用転倒抑制シートを提供する。
【解決手段】仏具用転倒抑制シートは、基台51と位牌61との間に配置される。仏具用転倒抑制シートは、位牌61が載置される上面11aを有する仏具載置用シート11を備えている。仏具載置用シート11は、高分子材料から構成されている。仏具載置用シート11の上面11aは、位牌61に粘着される粘着面として構成されている。仏具用転倒抑制シートは、仏具載置用シート11の面密度よりも高い面密度を有する金属シート31を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏具を載置して用いる仏具用転倒抑制シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の仏具用転倒抑制シートとしては、仏具を粘着する粘着面を有するものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1のシートは、粘着面に対する仏具の粘着により、仏具の転倒を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3127282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、仏具の載置される基台に対して、仏具の重心が比較的高い位置であることを要因として仏具の自立が不安定となることに着目してなされたものである。
本発明の目的は、仏具の転倒を抑制することの容易な仏具用転倒抑制シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、基台と仏具との間に配置され、前記仏具の転倒を抑制する仏具用転倒抑制シートであって、前記仏具が載置される上面を有する仏具載置用シートを備え、前記仏具載置用シートは高分子材料から構成されるとともに、前記上面は前記仏具に粘着される粘着面として構成され、前記仏具載置用シートの面密度よりも高い面密度を有する金属シートを備えてなることを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、仏具は、粘着面に載置されることで仏具用転倒抑制シートと一体となる。このとき、仏具用転倒抑制シートには、仏具載置用シートの面密度よりも高い面密度を有する金属シートを備えている。このため、仏具と仏具用転倒抑制シートとの一体化物を基台に載置したとき、その一体化物の重心は、金属シートの重量によって基台に近づくようになる。これにより、仏具は、仏具用転倒抑制シートとの一体化物として、基台に対して安定して自立されるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の仏具用転倒抑制シートにおいて、高分子材料から構成されるとともに、前記基台に接触される下面を有する基台接触用シートを備え、前記下面は、前記基台に粘着される粘着面として構成されていることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、基台に対して仏具用転倒抑制シートがずれることを抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の仏具用転倒抑制シートにおいて、前記仏具載置用シートが、メッシュ状の補強材を高分子材料に埋設した補強層を備え、前記補強層が前記上面を形成していることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、仏具載置用シートの形状が保持され易くなるため、例えば、仏具載置用シートに仏具を脱着させるときに、仏具載置用シートの変形が抑制されるようになる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の仏具用転倒抑制シートにおいて、前記仏具載置用シートが、高分子ゲルからなる粘着層を備え、前記粘着層が前記上面を形成していることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、仏具載置用シートの緩衝又は制振の性能を高めることが容易となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仏具用転倒抑制シートにおいて、前記金属シートの面密度が3.0×10g/m以上、かつ23×10g/m以下の範囲であることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、仏具用転倒抑制シートが過剰に重くなることを回避し、かつ仏具と仏具用転倒抑制シートとの一体化物を基台に対して安定して自立させることができるようになる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の仏具用転倒抑制シートにおいて、前記金属シートが鉛シートであることを要旨とする。
この構成によれば、鉛シートは柔軟であるため、例えば、仏具用転倒抑制シートの寸法を変更したい場合に、鋏やカッターで所望の寸法に裁断することが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仏具の転倒を抑制することの容易な仏具用転倒抑制シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における仏具用転倒抑制シートの使用状態を示す斜視図。
【図2】第2実施形態における仏具用転倒抑制シートを示す分解斜視図。
【図3】(a)は、第3実施形態における仏具用転倒抑制シートを示す分解斜視図、(b)は、補強シートの一部を切り欠いて示す模式図。
【図4】(a)及び(b)は、仏具用転倒抑制シートの変更例を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態について図1に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の仏具用転倒抑制シートは、基台51と位牌61との間に配置されることで、位牌61の転倒を抑制する。仏具用転倒抑制シートは、基台51に接触される下面21aを有する基台接触用シート21と、位牌61が載置される上面11aを有する仏具載置用シート11とによって金属シート31が挟持された積層体とされている。
【0017】
まず、仏具載置用シート11について説明する。仏具載置用シート11は、高分子材料から構成されている。高分子材料は、自己粘着性を有し、仏具載置用シート11の上面11aは、位牌61が粘着される粘着面として構成されている。
【0018】
高分子材料には、ゴム系材料及び樹脂系材料から選ばれる少なくとも一種が含有される。ゴム系材料の具体例としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。樹脂系材料の具体例としては、樹脂材料又は熱可塑性エラストマーが挙げられる。樹脂材料の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンが挙げられる。熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、及びスチレン・ブタジエン・スチレン共重合体が挙げられる。
【0019】
高分子材料には、上面11aに自己粘着性を付与すべく粘着付与剤が含有される。粘着付与剤の具体例としては、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、及びテルペンフェノール樹脂が挙げられる。粘着付与剤は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。高分子材料中における粘着付与剤の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは0.5〜200質量部、より好ましくは20〜60質量部である。
【0020】
高分子材料には、必要に応じて加硫剤、可塑剤、及び充填材が含有される。加硫剤の具体例としては、硫黄、有機系加硫剤、及び金属酸化物が挙げられる。加硫剤は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。高分子材料中における加硫剤の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは5〜10質量部である。
【0021】
可塑剤の具体例としては、鉱物油型軟化剤、及び合成可塑剤が挙げられる。可塑剤は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。高分子材料中における可塑剤の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは20〜70質量部である。
【0022】
充填材の具体例としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム、及びケイ酸が挙げられる。充填材は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。高分子材料中における充填材の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは1〜2500質量部、より好ましくは30〜100質量部である。
【0023】
仏具載置用シート11の面密度は、例えば0.1×10g/m以上、かつ2.0×10g/m以下とされる。仏具載置用シート11の面密度が0.1×10g/m未満の場合、シートの厚みが薄くなる傾向にあるため、シートの成形や仏具用転倒抑制シートの製造が困難となるおそれがある。一方、仏具載置用シート11の面密度が2.0×10g/mを超える場合、シートの厚みが厚くなることで、仏具用転倒抑制シートが目立ち易くなる。仏具載置用シート11の厚みは、例えば0.5〜3mmの範囲に設定される。
【0024】
本実施形態では、仏具載置用シート11として、ゴム系材料と樹脂系材料とを含む高分子材料からなる高分子シートを用いている。この高分子シートの厚みは1.5mmであり、高分子材料の密度が1.16g/cmであるため、高分子シートの面密度は1.74×10g/mである。
【0025】
仏具載置用シート11の上面11aにおける粘着力は、位牌61に粘着させたときに、位牌61から仏具用転倒抑制シートがその自重で脱離しないように設定されることが好ましい。
【0026】
次に、金属シート31について説明する。金属シート31は、仏具載置用シート11の面密度よりも高い面密度を有している。金属シート31の面密度は、好ましくは3.0×10g/m以上、かつ23×10g/m以下の範囲であり、より好ましくは4.0×10g/m以上、かつ23×10g/m以下の範囲である。金属シート31を構成する金属の具体例としては、例えば、鉄、鉛、銅、亜鉛、ステンレス鋼、銀、金、及び白金が挙げられる。金属シート31は、単層であってもよいし、例えば、接着剤等で接着された複数の層から構成してもよい。金属シート31は、7g/cm以上の密度を有する金属から形成されることが好ましく、8g/cm以上の密度を有する金属から形成されることがより好ましい。このように密度の比較的高い金属から形成されたシートを用いることで、面密度を上記範囲に設定したときの厚みを薄くすることができる。金属シート31の厚みは、例えば0.3〜1.5mmの範囲に設定される。
【0027】
本実施形態では、金属シート31として、鉛シートを用いている。この鉛シートの厚みは0.5mmであり、鉛の密度が11.36g/cmであることから、本実施形態の金属シート31における面密度は、5.6×10g/mである。
【0028】
続いて、基台接触用シート21について説明する。基台接触用シート21の下面21aは、基台51に粘着される粘着面として構成されている。基台接触用シート21は、仏具載置用シート11において説明した高分子材料から構成される。本実施形態の基台接触用シート21は、上記の仏具載置用シート11と同一の材料、すなわちゴム系材料と樹脂系材料との混合材料から形成されている。基台接触用シート21の厚みは、例えば0.5〜2mmの範囲に設定される。本実施形態の基台接触用シート21の厚みは、1mmに設定されている。
【0029】
次に、仏具用転倒抑制シートの製造方法について説明する。まず、高分子材料を用いて未加硫の高分子シートを成形する。高分子材料のシート化は、例えば押出成形機、ロール成形機等を用いることができる。得られた未加硫の高分子シートを別途準備した金属シート31の両面に積層し、例えば金型内等で加熱することで加硫した高分子シートを得るとともに、その加硫を利用して高分子シートと金属シート31と一体化(加硫接着)させる。これにより、金属シート31に、仏具載置用シート11と基台接触用シート21とが積層された仏具用転倒抑制シートが得られる。
【0030】
次に、仏具用転倒抑制シートの使用方法について説明する。
まず、仏具用転倒抑制シートを位牌61の脚部位(框)の大きさに応じて裁断する。このとき、金属シート31は鉛シートから構成されている。鉛シートは比較的軟質な金属であるため、鋏やカッターで容易に裁断することができる。続いて、仏壇の所定の位置(基台51)に仏具用転倒抑制シートを載置した後に、上面11aに位牌61を載置する。なお、上面11a(粘着面)に位牌61を載置した後に、仏壇の所定の位置に位牌61と仏具用転倒抑制シートとの一体化物を載置してもよい。このようにして、基台51と位牌61との間に仏具用転倒抑制シートが配置される。このとき、位牌61と仏具用転倒抑制シートとは、上面11aの粘着により一体とされている。さらに、仏具用転倒抑制シートは、金属シート31を備えている。このため、位牌61と仏具用転倒抑制シートとの一体化物を基台51に載置したとき、その一体化物の重心は、金属シート31の重量によって基台51に近づくようになる。これにより、位牌61は、仏具用転倒抑制シートとの一体化物として、基台51に対して安定して自立されるようになる。この点、仏具用転倒抑制シートは、図1に示されるように、位牌61の脚部位の外形よりも大きい外形であることで、位牌61を更に安定して自立させることができるようになる。
【0031】
また、下面21aは、基台51に粘着される粘着面として構成されているため、例えば地震等によって仏壇が揺れた際に、所定の位置から仏具用転倒抑制シート、すなわち、位牌61がずれることを抑制することができる。
【0032】
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)仏具用転倒抑制シートの上面11a(粘着面)に位牌61を載置することで、仏具用転倒抑制シートと位牌61とは一体化される。仏具用転倒抑制シートは、仏具載置用シート11の面密度よりも高い面密度を有する金属シート31を備えている。このため、位牌61と仏具用転倒抑制シートとの一体化物の重心は、金属シート31の重量によって基台51に近づくようになる。これにより、前記一体化物は、例えば地震等によって仏壇が揺れた際においても、基台51に対して安定して自立されるようになる。このように、重心を基台51に近づける構成により、仏具の転倒を抑制することが容易となる。
【0033】
(2)基台接触用シート21の下面21aによって、基台51に対して仏具用転倒抑制シートがずれることを抑制することができる。このため、例えば地震等によって仏壇が揺れた際や誤って位牌61に触れてしまった際であっても、位牌61は所定の位置に維持され易くなる。
【0034】
(3)金属シート31の面密度が3.0×10g/m以上、かつ23×10g/m以下の範囲であることにより、仏具用転倒抑制シートが過剰に重くなることを回避し、かつ位牌61と仏具用転倒抑制シートとの一体化物を基台51対して安定して自立させることができるようになる。
【0035】
(4)金属シート31として用いた鉛シートは、柔軟であるため、例えば、仏具用転倒抑制シートの寸法を変更したい場合に、鋏やカッターで所望の寸法に裁断することが容易となる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明を具体化した第2実施形態について図2を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、仏具載置用シートを構成する材料が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の部材には、図1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図2に示される仏具載置用シート12は、高分子ゲルからなる高分子ゲルシートである。仏具載置用シート12の上面12aは、位牌61が粘着される粘着面として構成されている。
【0038】
高分子ゲルの具体例としては、ウレタンゲル、シリコーンゲル、及びスチレン系ゲル(SEBSゲル)が挙げられる。このような高分子ゲルの原料は、一液硬化型又は二液硬化型の原料として市販されている。市販の高分子ゲルの原料の中でも、硬化後に自己粘着性を発現するものを用いることで、上面12aを粘着面とした仏具載置用シート12を得ることができる。高分子ゲルの硬度は、ASTM D 2240に準拠したタイプOOデュロメータによる測定値において20〜60の範囲であることが好ましい。
【0039】
次に、仏具用転倒抑制シートの製造方法について説明する。まず、未加硫の高分子シートを別途準備した金属シート31の片面に、第1実施形態と同様に加硫接着することで積層シートを得る。
【0040】
次に、積層シートにおいて、高分子シートを接着した面とは反対側となる面、すなわち、金属シート31が露出した面に、高分子ゲルの原料を用いた注型成形により高分子ゲルシートを一体化する。これにより、金属シート31に、仏具載置用シート12と基台接触用シート21とが積層された仏具用転倒抑制シートが得られる。
【0041】
本実施形態では、上記(1)〜(4)欄で述べた効果に加えて、次の効果が得られるようになる。
(5)仏具載置用シート12が、高分子ゲルからなることで、仏具載置用シート12の緩衝又は制振の性能を高めることが容易となる。このため、仏具載置用シート12に粘着される位牌61の脚部位を、外部からの衝撃や振動から好適に保護する仏具用転倒抑制シートを提供することができる。
【0042】
(第3実施形態)
本発明を具体化した第3実施形態について図3を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、仏具載置用シートが積層体である点が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の部材には、図1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図3(a)に示されるように、仏具載置用シート15は、位牌61が載置される上面13aを有する補強シート13と、高分子シート14とが積層された積層体として構成されている。補強シート13の上面13aは、位牌61が粘着される粘着面として構成されている。
【0044】
図3(b)に模式的に示されるように、補強シート13は、メッシュ状の補強材17を高分子材料16に埋設したものである。補強材17は、例えば樹脂系材料、炭素材料、及び無機材料から構成することができる。樹脂系材料の場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリアミドが好適である。補強材17の形状としては、メッシュ状であれば特に限定されず、多数の孔を有するシート状をなすものであってもよいし、織布、又は不織布であってもよい。
【0045】
補強シート13を構成する高分子材料16は、自己粘着性を有するものである。この高分子材料16は、第1実施形態で説明した高分子材料が用いられる。補強シート13は、補強材17の両面に高分子材料16からなる高分子シートを貼着することで得ることができる。
【0046】
高分子シート14は、自己粘着性を有し、第1実施形態で説明した高分子材料を用いて形成される。この高分子シート14と上記補強シート13とは自己粘着性を有しているため、それら粘着力を利用して接合される。なお、高分子シート14と金属シート31とは、第1実施形態で説明した加硫接着により接着されている。
【0047】
本実施形態では、上記(1)〜(4)欄で述べた効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(6)仏具載置用シート15は、補強シート13を備えている。すなわち、仏具載置用シート15は、メッシュ状の補強材17を高分子材料16に埋設した補強層を備えている。これにより、仏具載置用シート15の形状が保持され易くなるため、例えば、仏具載置用シート15に位牌61を脱着させるときに、仏具載置用シート15の変形が抑制されるようになる。従って、耐久性を高めた仏具用転倒抑制シートを提供することができる。
【0048】
(変更例)
なお、上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1実施形態において、仏具載置用シート11と基台接触用シート21とは同一の高分子材料から構成しているが、それぞれ異なる高分子材料から構成してもよい。また、仏具載置用シート11は、異なる高分子材料からなる高分子シートを積層した構成であってもよい。基台接触用シート21についても、異なる高分子材料からなる高分子シートを積層した構成であってもよい。
【0049】
・第1実施形態において、図4(a)に示されるように、仏具載置用シート11と金属シート31との間に、これら仏具載置用シート11と金属シート31とを接合する接合層41を設けてもよい。この接合層41は、接着剤、粘着剤、接着テープ、又は粘着テープによって構成される。この場合、加硫剤を含有しない高分子材料から仏具載置用シート11を形成した場合であっても、その仏具載置用シート11を金属シート31と接合することができる。第2実施形態においても、図4(b)に示されるように、仏具載置用シート12と金属シート31との間に、これら仏具載置用シート12と金属シート31とを接合する接合層41を設けることもできる。なお、接合層41は、仏具載置用シート11,12と、金属シート31との間の全体に設けてもよいし、部分的に設けてもよい。
【0050】
・前記仏具載置用シート11は、自己粘着性を有しているが、自己粘着性を有しない高分子材料から構成されたシート材の上面に、高分子ゲルからなる粘着層を形成したシートに変更し、その粘着層の上面11aに位牌61が載置されるように構成してもよい。
【0051】
・第3実施形態において、高分子シート14は自己粘着性を有しているが、自己粘着性を有しない高分子シート14に変更してもよい。
・第3実施形態の補強シート13は、高分子材料16から補強材17が部分的に露出する構成であってもよい。
【0052】
・第3実施形態において、高分子シート14を省略してもよい。
・各実施形態、並びに図4(a)及び図4(b)に示される変更例において、上面11a,12a,13aは平坦状をなしているが、粘着面の働きを阻害しない範囲で、凹凸状に形成することで、例えばシートの上面に美観を高めてもよい。
【0053】
・前記各実施形態、並びに図4(a)及び図4(b)に示される変更例の仏具用転倒抑制シートにおいて、上面11a,12a,13aに離型シートを設けてもよい。この場合、仏具用転倒抑制シートの使用時まで、上面11a,12a,13aを埃等の異物から保護するとともに、上面11a,12a,13aが他の物品へ粘着することを回避することが容易となる。
【0054】
・前記各実施形態、並びに図4(a)及び図4(b)に示される変更例において、基台接触用シート21を省略してもよい。この場合であっても、位牌61と仏具用転倒抑制シートとの一体化物の重心は、金属シート31の重量によって基台51に近づけられるようになる。
【0055】
・仏具用転倒抑制シートは、図1に示されるように位牌61の脚部位の外形よりも大きい外形とされているが、位牌61の脚部位の下面の外形と略同一となる外形を有するように変更してもよい。また例えば、位牌61の有する一対の脚部に対応して、一対の仏具用転倒抑制シートを配置してもよい。
【0056】
・前記各実施形態、並びに図4(a)及び図4(b)に示される変更例の仏具用転倒抑制シートは、位牌61の転倒抑制に利用しているが、位牌61に限らず、仏壇に載置される仏具の転倒を抑制する用途に有効に利用できる。すなわち、前記仏具用転倒抑制シートは、例えば、仏像、ろうそく立て、花立て、線香立て、仏器、香炉等の転倒抑制に有効に利用することができる。
【0057】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記仏具の脚部位の外形よりも大きい外形を有する仏具用転倒抑制シート。
(ロ)基台と仏具との間に配置され、前記仏具の転倒を抑制する仏具用転倒抑制シートを形成する補強シートであって、前記補強シートは、自己粘着性を有する高分子シートと前記高分子シートの面密度よりも高い面密度を有する金属シートとを備える積層シートにおいて前記高分子シートに粘着させて用いられるものであり、前記補強シートは、メッシュ状の補強材を高分子材料に埋設してなるとともに両面を粘着面として構成され、前記補強シートの上面に前記仏具が載置される補強シート。
【符号の説明】
【0058】
11,12,15…仏具載置用シート、11a,12a,13a…上面、14…高分子シート、16…高分子材料、17…補強材、21…基台接触用シート、21a…下面、31…金属シート、41…接合層、51…基台、61…位牌。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と仏具との間に配置され、前記仏具の転倒を抑制する仏具用転倒抑制シートであって、
前記仏具が載置される上面を有する仏具載置用シートを備え、
前記仏具載置用シートは高分子材料から構成されるとともに、前記上面は前記仏具に粘着される粘着面として構成され、
前記仏具載置用シートの面密度よりも高い面密度を有する金属シートを備えてなることを特徴とする仏具用転倒抑制シート。
【請求項2】
高分子材料から構成されるとともに、前記基台に接触される下面を有する基台接触用シートを備え、前記下面は、前記基台に粘着される粘着面として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の仏具用転倒抑制シート。
【請求項3】
前記仏具載置用シートが、メッシュ状の補強材を高分子材料に埋設した補強層を備え、前記補強層が前記上面を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仏具用転倒抑制シート。
【請求項4】
前記仏具載置用シートが、高分子ゲルからなる粘着層を備え、前記粘着層が前記上面を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仏具用転倒抑制シート。
【請求項5】
前記金属シートの面密度が3.0×10g/m以上、かつ23×10g/m以下の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仏具用転倒抑制シート。
【請求項6】
前記金属シートが鉛シートであることを特徴とする請求項5に記載の仏具用転倒抑制シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−170517(P2012−170517A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32809(P2011−32809)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【出願人】(305009728)