説明

仕分け装置

【課題】地上側から走行台車側に低コストで非接触給電を行うようにした仕分け装置を提供すること。
【解決手段】走行路の一部に非接触給電装置の給電線13を敷設するとともに、給電線13から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置12を、少なくとも1台の受電装置12が常時給電線13上に存在する間隔で走行台車11に間欠的に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送センターや物流拠点で物品を自動で仕分ける仕分け装置に関し、特に、地上側から走行台車側に低コストで非接触給電を行うようにした仕分け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を自動で仕分ける仕分け装置としては、無端連鎖状に連結した走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、払い出し手段として走行台車に配設したトレイ(パン)やクロスベルト等の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置が汎用されている。
【0003】
トレイ式の仕分け装置では、走行台車側への給電は一般的に必要なく、地上側に設置したセンサとアクチュエータで仕分けの制御を行っている。
しかし、走行台車側にセンサと無線通信を設けることで、従来実現できなかったトレイ上に載せられた物品の確認を走行台車側で行うことができる。
【0004】
また、クロスベルト式の仕分け装置では、ベルトを駆動する電力は必須で、この電力は接触式の給電や、あるいは機上に発電機を設け、仕分け装置を駆動する駆動力の一部の力を使用して機上で発電を行い、この電力でベルト駆動のアクチュエータとそれを制御する電力を得ている。
【0005】
一方、非接触給電装置は、クリーンルームの無人搬送車システム等で使用されているが、地上に敷設した給電線に受電コアが常時相対し、E型の受電コイルのコアに給電線が磁気結合している必要があり、図2(f)に示すように、各走行台車に受電コイル1、共振コンデンサ2、整流回路3、安定化電源となるDC/DCコンバータ5を設ける構成が一般的であった。
しかしながら、仕分け装置においては、走行台車のトレイは一般的に0.6m乃至1m程度の長さであり、仕分け装置の機長は200m乃至500mあるため、このすべての走行台車に受電装置を設けることは仕分け装置全体で数100の受電装置が必要となり、コスト的に実現しがたいという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の仕分け装置が有する問題点に鑑み、地上側から走行台車側に低コストで非接触給電を行うようにした仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本第1発明の仕分け装置は、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定仕分け分シュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置を、少なくとも1台の受電装置が常時給電線上に存在する間隔で走行台車に間欠的に配設したことを特徴とする。
【0008】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の仕分け装置は、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の全周に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置を少なくとも1台の走行台車に配設したことを特徴とする。
【0009】
この場合において、受電装置の電力を充電する蓄電装置を走行台車に設けることができる。
【0010】
また、同じ目的を達成するため、本第3発明の仕分け装置は、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置と、受電装置の電力を充電し、給電線上に受電装置が存在しない無給電区間で負荷に給電する蓄電装置とを走行台車に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本第1発明の仕分け装置によれば、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置を、少なくとも1台の受電装置が常時給電線上に存在する間隔で走行台車に間欠的に配設することから、限られた一部の走行台車に受電装置を配設することにより、該受電装置を介してすべての走行台車に低コストで非接触給電を行うことができる。
【0012】
また、本第2発明の仕分け装置によれば、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の全周に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置を少なくとも1台の走行台車に配設することから、限られた最少の走行台車に受電装置を配設することにより、該受電装置を介してすべての走行台車に低コストで非接触給電を行うことができる。
【0013】
この場合、受電装置の電力を充電する蓄電装置を走行台車に設けることにより、常時給電以上のピーク電力を負荷に供給することができる。
【0014】
また、本第3発明の仕分け装置によれば、無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置と、受電装置の電力を充電し、給電線上に受電装置が存在しない無給電区間で負荷に給電する蓄電装置とを走行台車に設けることから、給電区間では受電装置から走行台車に非接触で電力供給を行うとともに、無給電区間では蓄電装置によって負荷に給電することができ、これにより、受電装置を配設する走行台車の間隔を広くし、その数量を減じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の仕分け装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1に、本発明の仕分け装置の一実施例を示す。
この仕分け装置は、無端連鎖状に連結した複数の走行台車11を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車11上に配設した払い出し手段としてのトレイTを所定の仕分けシュート(図示省略)の位置で傾斜させることにより、搭載した物品を払い出すようにしている。
そして、この仕分け装置は、走行路の一部に非接触給電装置の給電線13を敷設するとともに、該給電線13から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置12を、等間隔で複数の走行台車11に配設している。
【0017】
この場合、図1(a)に示す実施例では、高周波電源装置14で励磁する給電線13が敷設された給電区間の中に、受電装置12を備えた走行台車11がゼロ乃至1つが存在する。
走行台車11は、装置運転中は一定速度で同一方向に常時周回し、図示しない投入コンベヤから物品をトレイ上に仕分け、図示しない仕分けシュートでトレイTを傾斜し、物品をシュートに排出し仕分けを行う。
【0018】
この実施例の構成では、受電装置12を備えた隣接する2台の走行台車11の間隔に対する給電区間長の割合が1に満たないので、受電装置12が給電線13に相対していない時間は非接触給電をすることができない。
なお、この無給電の時間の割合は、受電装置12を備えた隣接する走行台車11の間隔に対する給電区間長だけで一義的にきまる。
【0019】
これに対し、図1(c)の構成は、受電装置12を備えた走行台車11の間隔が、給電区間よりも短く、常時1台以上の受電装置12が給電線13に相対している。
この場合、給電線13に常時相対している受電装置12の数に比例して常時給電の最大電力が増加する。
【0020】
また、図1(b)は、図1(c)に比較して給電区間を複数箇所設け、高周波電源装置14と給電線13とが複数箇所に点在する。
受電装置12を備えた走行台車11は、図2(a)に示すように、受電コイル1、共振コンデンサ2及び整流回路3を備え、整流した直流の電力を、走行台車11相互に連結した共通母線4に接続する。
共通母線4は、整流回路5の出力の直流300V乃至350Vの電圧をそのまま使用することで、機長が200m乃至500mにも及ぶ仕分け装置の配線長さでの損失を低減し、細い電線で共通母線4を構成することができる。
【0021】
このように、走行路の一部に非接触給電装置の給電線13を敷設するとともに、該給電線13から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置12を、少なくとも1台の受電装置12が常時給電線13上に存在する間隔で走行台車11に間欠的に配設することにより、限られた一部の走行台車11に受電装置12を配設することができ、これにより、該受電装置12を介してすべての走行台車11に低コストで非接触給電を行うことができる。
また、図では省略しているが、走行路の全周に非接触給電装置の給電線13を敷設するとともに、該給電線13から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置12を少なくとも1台の走行台車11に配設することにより、限られた最少の走行台車11に受電装置12を配設することができ、これにより、該受電装置12を介してすべての走行台車11に低コストで非接触給電を行うことができる。
この場合、受電装置12の電力を充電する蓄電装置を走行台車11に設けることにより、常時給電以上のピーク電力を負荷に供給することができる。
【0022】
一方、各走行台車11は、隣接する走行台車11と共通母線で連結し、該共通母線から受電して、安定化電源装置のDC/DCコンバータ5等で、各走行台車11に配置したセンサ類やアクチュエータ類に電源を供給する。
この構成では、図1(a)に示す無給電区間では、センサやアクチュエータに電源が供給されない期間が存在するため、図2(c)に示す蓄電装置6を複数箇所の走行台車11に設置する。
共通母線4の電力をDC/DCコンバータ5で電圧を下げ、この出力で電気2重層コンデンサ等の蓄電装置6を充電する。電気2重層コンデンサの定格電圧は、通常2.5V(ボルト)程度であり、直流300V乃至350Vの電圧でそのまま充電するのは、直列に接続する電気2重層コンデンサのセル数が多くなり配線工数の増加や設置スペースの増加等の問題点も生じるため、DC/DCコンバータ5で低電圧に変換し、低電圧で蓄積したエネルギーを再度、DC/DCコンバータ7で電圧を昇圧し共通母線4に流す方がコスト的に優れる。
【0023】
図2(d)に示すように、整流回路3、すなわち共通母線4に直接蓄電装置8の電気2重層コンデンサを接続することは、先に述べたセルの直列数を減らすため、受電コイル1の出力電圧を低くし、共通母線の配線長による電圧降下、セルの直列接続数、配線工数を最適化した上で使用することも可能である。
【0024】
一方、図2(e)に示すように、各走行台車11でダイオード9を介して蓄電装置10のコンデンサを充電し、DC/DCコンバータ5で各走行台車11の機器に電源を供給することも可能である。
なお、図2(e)に示す構成は、保持電力や、あるいは常時給電している電力に対してピークで消費する電力が小さい場合、電気2重層コンデンサ以外に、アルミ電解コンデンサで蓄電することも可能である。
【0025】
この構成の組み合わせとしては、下記の表1に示すように、同時給電の数や蓄電装置の有無等により複数の動作モードが存在し、また回路構成もそれぞれの構成の中で、蓄電装置を設ける位置によって複数の回路構成がある。
これらは、仕分け装置の規模や必要とする電力により適宜選択することができる。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例の一例として、図1(a)の給電区間で、図2(c)の蓄電装置6に電力を貯蔵し、給電する場合を示す。
給電区間長30m、受電装置12を備えた隣接する走行台車11の間隔100m、走行台車11の移動速度3m/sとすると、無給電区間70mを通過する時間は23秒となる。
蓄電装置6に静電容量28F(ファラッド)の電気2重層コンデンサを使用し、充電電圧54V、放電終了電圧32Vとすると、コンデンサに蓄積するエネルギーは、
E=1/2CV
であり、充電時に40.8kJ(キロ・ジュール)、放電終了時に14.3kJであるので、差分エネルギーは40.8−14.3=26.5kJ
になる。
無給電の時間は23秒であるので、この23秒間に平均的に供給できる電力は26.5/23=1.1kWとなり、約1kWの電力を供給できる。
【0028】
一方、給電区間を通過する時間は10秒間であるため、給電区間で充電するための電力は、26.5/10=2.7kW、この電力に1kWの負荷電力が加算されるため、受電電力は2.7+1=3.7kWとなり、約4kWの受電装置12を走行台車11に装備すれば、常時1kWの電力を供給することができる。
走行台車11のトレイTの長さを0.6mとすれば、受電装置12を備えた隣接する走行台車11の間隔100mの間に167個のトレイ(走行台車)が存在し、各走行台車11で約7Wの平均電力を消費することができる。
この電力で、走行台車11に載せられた物品の識別や在荷確認などの用途でセンサ類を設置し、無線通信により走行台車11側から地上に伝送することは一般的な制御として容易に実現可能である。
【0029】
また、この電力を増やすためには、受電装置12を備えた隣接する走行台車11の間隔に対する無給電区間の割合を低減したり、あるいは常時給電が可能なように受電装置12の数を増やすことで実現できる。
また、無給電区間に対する給電は、常時給電している受電装置12からの電力で平均電力を賄い、蓄電装置を、一時的なピーク電力が必要な用途に対してのピーク補償としても使用することができる。
これは、トレイTを傾転するためのソレノイドバルブなど、瞬間的に電力が必要な制御機器を走行台車11側に設ける場合などに有効な方法となる。
なお、本実施例では蓄電装置として電気2重層コンデンサを取り上げたが、これに限定するものではなく、充電可能な2次電池で運用することも可能である。
【0030】
このように、走行路の一部に非接触給電装置の給電線13を敷設するとともに、該給電線13から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置12と、受電装置12の電力を充電し、給電線13上に受電装置12が存在しない無給電区間で負荷に給電する蓄電装置6、8、10とを走行台車11に設けることにより、給電区間では受電装置12から走行台車11に非接触で電力供給を行うとともに、無給電区間では蓄電装置6、8、10によって負荷に給電することができ、これにより、受電装置12を配設する走行台車11の間隔を広くし、その数量を減じることができる。
【0031】
以上、本発明の仕分け装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、払い出し手段としてトレイの代わりにクロスベルトを使用するなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の仕分け装置は、地上からトレイやクロスベルト側に低コストで非接触給電し、機械的な磨耗や発塵、汚損がないことから、一般物流以外の分野、例えば、食品や医療、化学薬品製造、半導体・液晶関係の分野でも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の仕分け装置の一実施例を示し、(a)は受電装置を備える走行台車の間隔が給電区間より長い場合を示す平面図、(b)は受電装置を備える走行台車の間隔が給電区間より短く、かつ複数の給電区画を設けた場合の平面図、(c)は受電装置を備える走行台車の間隔が給電区間より短い場合を示す平面図である。
【図2】走行台車の回路を示し、(a)(d)(f)は受電装置の回路図、(b)(c)(e)は受電装置から給電される走行台車の回路図である。
【符号の説明】
【0034】
1 受電コイル
2 共振コンデンサ
3 整流回路
4 共通母線
5 DC/DCコンバータ
6 蓄電装置
7 DC/DCコンバータ
8 蓄電装置
9 ダイオード
10 蓄電装置
11 走行台車
12 受電装置
13 給電線
14 高周波電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する複数の受電装置を、少なくとも1台の受電装置が常時給電線上に存在する間隔で走行台車に間欠的に配設したことを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の全周に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置を少なくとも1台の走行台車に配設したことを特徴とする仕分け装置。
【請求項3】
受電装置の電力を充電する蓄電装置を走行台車に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の仕分け装置。
【請求項4】
無端連鎖状に連結した複数の走行台車を走行路に沿って循環移動させながら、各走行台車の払い出し手段を所定の仕分けシュートの位置で作動させることにより、搭載した物品を払い出すようにした仕分け装置において、走行路の一部に非接触給電装置の給電線を敷設するとともに、該給電線から電力供給を受け、他の走行台車に分配する受電装置と、受電装置の電力を充電し、給電線上に受電装置が存在しない無給電区間で負荷に給電する蓄電装置とを走行台車に設けたことを特徴とする仕分け装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate