仕分システム
【課題】一の仕分カートに係る作業を複数の作業員に分担させる場合に、各作業員が自己の作業内容を明瞭に把握できる仕分システムを提供する。
【解決手段】仕分システム100では、ホストコンピュータ1が、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分して、その配分後の作業量をハンディターミナル3に送信する。このため、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員Pに容易に分担させることができる。また、各ハンディターミナル3に割り当てられた作業量は、割り当て対象となったハンディターミナル3のみに送信されて表示される。このため、各ハンディターミナル3は自装置に割り当てられた作業量のみを表示する。これにより、各作業員Pは、自己が所持するハンディターミナル3の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。
【解決手段】仕分システム100では、ホストコンピュータ1が、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分して、その配分後の作業量をハンディターミナル3に送信する。このため、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員Pに容易に分担させることができる。また、各ハンディターミナル3に割り当てられた作業量は、割り当て対象となったハンディターミナル3のみに送信されて表示される。このため、各ハンディターミナル3は自装置に割り当てられた作業量のみを表示する。これにより、各作業員Pは、自己が所持するハンディターミナル3の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートと商品棚との間で商品を移動させることにより、商品を仕分ける仕分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店舗向けの物流センター(配送センターや出荷センター等)においては、各店舗から受注した個数に応じた各種商品を取り揃える仕分け作業を、仕分システムを用いて行うことが一般的となっている。仕分システムとしては、例えば、店舗に対応する収容器としてのコンテナを載せた仕分カートを作業員が利用しつつ、商品棚から必要な仕分個数の商品を取り出してそのコンテナに投入していくものなどがある。
【0003】
一般に、このような仕分システムにおいては、仕分カートに設けられた表示装置に、仕分対象となる商品の商品棚を識別する識別コードと、その商品の仕分個数とが表示されることで、作業員に作業内容が示される。作業員は、この表示に基づいて、必要な商品を必要な個数分、コンテナに投入できることになる。
【0004】
また近年では、一台で複数のコンテナを運搬可能な仕分カートを用い、一度の仕分け作業で複数のコンテナへ商品を投入する方式の仕分システムも提案されている。この方式では、複数のコンテナごとの仕分個数が表示装置に表示され、これにより、コンテナごとの仕分個数を作業員が把握できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−43211号公報
【特許文献2】特開2002−284315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような仕分システムにおいては、通常、一の仕分カートに係る作業を一の作業員が担当するようになっている。ただし、仕分けを緊急に行う場合などにおいては、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員が分担して行うことがある。
【0008】
しかしながら、このように作業を分担しようとする場合においては、いずれの作業をどの作業員が担当するかについての取り決めが作業員相互間の口約束などでなされていた。このため、作業の分担行為自体を体系的に効率よく行うことができなかった。また、各作業員が負担する作業内容が不明確であるため、同一の作業が重複してなされたり、逆に、必要な作業がなされないという場面が生じることとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員に容易に分担させることができる仕分システムを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員に分担させる場合に、各作業員が自己の作業内容を明瞭に把握できる仕分システムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品を収容する収容器を運搬するカートと、固定的に配置される複数の商品棚との間で商品を移動させることにより、前記商品を仕分ける仕分システムであって、表示手段を有し、複数の作業員のそれぞれが所持して利用する複数の可搬性装置と、一のカートに係る作業量を、前記複数の可搬性装置に配分する配分手段と、前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該可搬性装置に送信して表示させる送信手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の仕分システムにおいて、前記商品棚の識別コードと、該商品棚に係る作業量とを対応付けた複数のレコードが登録されたテーブルを記憶する記憶手段、をさらに備え、前記配分手段は、前記テーブルのレコード単位で、該レコードの作業量を前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記配分手段は、作業量の配分対象となる前記可搬性装置から発信された前記作業量の割り当てを要求する要求信号の受信に応答して、当該可搬性装置に前記テーブルの一のレコードの作業量を割り当てるものであり、前記要求信号の受信時点において未割当のレコードのうち、登録順位が最上位のレコードの作業量を、当該可搬性装置に割り当てる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記配分手段は、前記複数のレコードの登録順位に基づいて、前記複数の可搬性装置のそれぞれに前記レコードの作業量を割り当てる。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記テーブルの各レコードは、前記商品棚が配置される配置領域を特定可能な領域情報を含み、前記配分手段は、前記領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一の可搬性装置に割り当てる。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の仕分システムにおいて、前記一のカートは、複数の収容器を運搬するものであり、前記配分手段は、同一の収容器に係る作業量を同一の可搬性装置に割り当てる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし6の発明によれば、一のカートに係る作業量を複数の可搬性装置に配分するため、一のカートに係る作業を複数の作業員に容易に分担させることができる。また、複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を当該可搬性装置に送信して表示させるため、可搬性装置は自装置に割り当てられた作業量のみを表示することになる。このため、各作業員は、可搬性装置の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、商品棚ごとの作業量を示すレコードの単位で作業量を割り当てるため、一の商品棚に対して同時に複数の作業員が作業を行うことが防止される。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、要求信号の受信に応答して順次に割当を行っていくため、作業全体の効率化を図ることができる。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、複数のレコードの登録順位に基づいて、複数の可搬性装置にレコードの作業量を割り当てるため、配分のための処理が容易である。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、同一の配置領域を示すレコードの作業量は同一の可搬性装置に割り当てるため、作業員はその配置領域に属する商品棚に関して作業を行えばよく、効率的に作業を行うことができる。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、同一の可搬性装置には同一の収容器に係る作業量を割り当てるため、一の収容器に対して同時に複数の作業員が作業を行うことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<1.仕分システムの概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る仕分システム100の概略構成を示す図である。この仕分システム100は、作業員が、必要な個数の商品を商品棚4から取り出して、仕分カート2のコンテナ20に投入するピッキングシステムとも呼ばれる方式のものである。
【0025】
図に示すように、仕分システム100においては、作業スペースに多数の商品棚4が配列して設けられている。そして、対向する2列の商品棚4の相互間に作業通路9が形成される。このように対向する1組の商品棚4の列、及び、それによって形成される一の作業通路9を含む領域は、作業領域としての一の単位となり「ゾーン」Zと呼ばれる。作業スペースには、同様のゾーンZが複数形成されている。作業員Pは、仕分カート2を動かしつつ、複数のゾーンZを移動して仕分け作業を行うことになる。
【0026】
作業通路9を移動する作業員にとっては、左右両側に商品棚4の列が存在する状態となる。以下、作業通路9の入り口から見て左側の商品棚4の列を「第1棚列」4aといい、右側の商品棚4の列を「第2棚列」4bという。
【0027】
仕分け前の商品は、これらの商品棚4に同一種となるものごとに分けられて載置される。これにより、一の商品棚4と一の商品の種類とが対応づけされる。商品の種類ごとに商品の識別コードたる商品コードが存在するため、一の商品棚4と一の商品コードとが対応づけされることになる。
【0028】
商品棚4にはそれぞれ固有の識別コードである「棚コード」が予め割り当てられており、各商品棚4の前面には当該商品棚4の棚コードを示す番号札41が配置されている。これにより、作業員Pは、視認により各商品棚4の棚コードを認識可能となっている。
【0029】
仕分カート2は、収容器としてのコンテナ20に商品を収容しつつ運搬するものである。仕分カート2にはそれぞれ、2つのコンテナ20を載置することが可能とされている。各コンテナ20は、仕分け先となる店舗にそれぞれ対応しており、当該店舗に発送すべき商品は仕分け作業によりその店舗に対応するコンテナに収容される。通常では、一の仕分カート2に係る作業を一人の作業員Pが担当することになるが、この仕分システム100では、図中の下方に示すように、一の仕分カート2に係る作業を必要に応じて二人の作業員Pが担当することも可能となっている。
【0030】
作業員Pはそれぞれ、可搬性のハンディターミナル3を携帯しており、作業中に利用するようになっている。ハンディターミナル3は、液晶などで構成される表示部34を有している(図3参照)。この表示部34には、仕分個数などの仕分け作業に必要な各種情報が表示され、そのハンディターミナル3を所持する作業員Pに示されるようになっている。
【0031】
また、仕分システム100は、システム全体を統括的に管理するホストコンピュータ1を備えている。ホストコンピュータ1は、無線によりデータ通信を行う機能を有しており、各作業員Pが所持するハンディターミナル3との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
【0032】
以下、仕分システム100が備えるこれらのホストコンピュータ1、ハンディターミナル3及び仕分カート2のそれぞれの構成について詳細に説明する。
【0033】
<2.ホストコンピュータ>
まず、ホストコンピュータ1の構成について説明する。図2は、ホストコンピュータ1の構成を模式的に示すブロック図である。ホストコンピュータ1は、ハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。
【0034】
すなわち、ホストコンピュータ1は、演算処理を行うCPU11と、演算処理の作業領域となるRAM12と、基本プログラムを記憶するROM13と、各種データを記憶するハードディスク14とをバスライン19に接続した構成となっている。さらに、ホストコンピュータ1は、各種情報の表示を行うディスプレイ15と、キーボード及びマウス等の入力部16と、データ通信を行う通信部17とを備え、これらはそれぞれバスライン19に接続される。
【0035】
通信部17は、比較的遠隔にあるデバイスとの間で通信が可能な無線LANなどの無線通信方式による無線のデータ通信機能を有している。この通信部17により、ホストコンピュータ1は、作業スペースを自由に移動して利用されるハンディターミナル3との間で無線でのデータ通信が可能となっている。
【0036】
また、ハードディスク14には処理プログラムが記憶されており、CPU11がこの処理プログラムに従って演算処理を行うことで、ホストコンピュータ1としての各種機能が実現される。このホストコンピュータ1の機能には、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員で分担する場合に、その一の仕分カート2に係る作業量を配分する機能などが含まれる。さらに、ハードディスク14には、仕分け作業の作業量を示すデータなど、仕分け作業に係る各種のデータが記憶される。
【0037】
<3.ハンディターミナル>
次に、ハンディターミナル3の構成について説明する。図3は、ハンディターミナル3の外観構成を示す図である。
【0038】
図に示すように、ハンディターミナル3は、作業員が持ち運び可能な可搬性装置であり、各種情報を表示する表示部34と、バーコードを読み取るバーコードリーダ35と、作業員から各種入力を受け付ける入力ボタン36とを備えて構成されている。仕分対象となる各商品には商品コードを示すバーコードが予め付されている。このバーコードをバーコードリーダ35が読み取ることにより、その商品に係る商品コードがハンディターミナル3に取得されるようになっている。
【0039】
図4は、ハンディターミナル3の内部構成を含む構成を模式的に示す示すブロック図である。ハンディターミナル3はその内部に、制御部として機能するコンピュータを備えている。
【0040】
すなわち、ハンディターミナル3は、演算処理を行うCPU31と、演算処理の作業領域となるRAM32と、基本プログラムを記憶するROM33とを備え、これらはバスライン39によって接続されている。制御部の各種機能は、ROM33内のファームウェアとしての制御用プログラムに従ってCPU31が演算処理を行なうことで実現される。また、このバスライン39には、上述した表示部34、バーコードリーダ35及び入力ボタン36も接続され、これらも制御部の制御下で動作することになる。
【0041】
さらに、ハンディターミナル3は、2つの通信部、すなわち、第1通信部37と、第2通信部38とを備えており、これらもバスライン39に接続され制御部の制御下で動作する。これらの通信部37,38は双方共に無線によるデータ通信を行うものであるが、第1通信部37はホストコンピュータ1との間で、第2通信部38は仕分カート2との間でそれぞれデータ通信を行うものとなる。第1通信部37には、比較的遠隔にあるデバイスとの間で通信が可能な無線LANなどの無線通信方式が採用される。一方で、第2通信部38には、比較的近傍にあるデバイスとの間で通信が可能なブルートゥース(登録商標)などの無線通信方式が採用される。
【0042】
仕分システム100では、このようなハンディターミナル3が複数用いられるが、それぞれのハンディターミナル3には固有の識別コードである「装置コード」が割り当てられている。各ハンディターミナル3のROM33には、自装置の装置コードが記憶されている。
【0043】
<4.仕分カート>
次に、仕分カート2の構成について説明する。図5は、仕分カート2の外観構成を模式的に示す図である。図に示すように、仕分カート2は、コンテナ20が載置される載置部21と、自由に方向を変更可能な車輪であるキャスター23と、作業員Pが把持しつつ操作するためのハンドル22とを備えて構成されている。また、載置部21の上面には、2つのコンテナ20を載置できるように、2つの載置台24が形成されている。
【0044】
仕分カート2は、このような一般的なカートとしての基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、2つの載置台24にはそれぞれ、表示器26と計量部27とが配置されている。表示器26は、対応するコンテナ20(その載置台24に載置されたコンテナ20)に投入すべき商品の仕分個数を表示するものである。この表示器26は、数字やアルファベット等の簡易表示のみが可能なVFD(蛍光表示管)などで構成される。また、計量部27は、対応するコンテナ20に収容された商品を計量するものであり、ロードセルなどで構成される。
【0045】
以下では、一の仕分カート2に載置される2つのコンテナ20の一方を「第1コンテナ」、他方を「第2コンテナ」と称する。また、「第1コンテナ」に対応する表示器26と計量部27とをそれぞれ「第1表示器」「第2計量部」とも称し、「第2コンテナ」に対応する表示器26と計量部27とをそれぞれ「第2表示器」「第2計量部」とも称することとする。
【0046】
また、仕分カート2はさらに、これらの表示器26及び計量部27を制御するためのコンピュータであるコントローラ25を備えている。図6は、コントローラ25の内部構成を含む仕分カートの電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【0047】
図に示すようにコントローラ25は、演算処理を行うCPU251と、演算処理の作業領域となるRAM252と、基本プログラムを記憶するROM253とを備え、これらはバスライン28によって接続されている。コントローラ25の各種機能は、ROM253内のファームウェアとしての制御用プログラムに従ってCPU251が演算処理を行なうことで実現される。
【0048】
また、バスライン28は、コネクタ25aを介してコントローラ25の外部のケーブル29に接続され、このケーブル29にはさらに2つの表示器26と2つの計量部27とが接続されている。これにより、これらの表示器26と計量部27とは、コントローラ25の制御下で動作することになる。
【0049】
さらに、コントローラ25は、データ通信を行うための通信部254をバスライン28に接続して備えている。この通信部254は、比較的近傍にあるデバイスとの間で通信が可能なブルートゥース(登録商標)などの無線通信方式による無線のデータ通信機能を有している。この通信部254により、仕分カート2のコントローラ25は、ハンディターミナル3との間で無線でのデータ通信が可能となっている。
【0050】
仕分システム100では、このような仕分カート2が複数用いられるが、それぞれの仕分カート2には固有の識別コードである「カートコード」が割り当てられている。仕分カート2のそれぞれには、自装置のカートコードを印刷したラベルなどが貼付され、作業員はカートコードを容易に認識できるようになっている。
【0051】
<5.作業テーブル>
各仕分カート2の各コンテナ20にいずれの商品をいくつ投入すべきかというデータは、ホストコンピュータ1に予め入力され、そのハードディスク14に作業テーブルとして記憶されている。
【0052】
図7は、この作業テーブルTの一例を示す図である。図に示すように、作業テーブルTは、複数のレコードRから構成されるテーブル形式のデータである。一の作業テーブルTは、一の仕分カート2に係る作業量を示すようになっており、作業テーブルTは仕分システム100に含まれる仕分カート2ごとに作成される。したがって、一の作業テーブルTは、一のカートコードに対応付けされることになる。
【0053】
また、作業テーブルTの各レコードR(テーブル行)は、一の商品棚4に関しての各種情報を示している。一のレコードRは、複数のデータ項目から構成され、作業テーブルTにおいて各データ項目はフィールド(テーブル列)として示されている。
【0054】
フィールドは、レコードの識別コードである「レコードID」と、商品棚4に関する情報を示す「商品棚データ」と、その商品棚4に係る作業量を示す「作業量データ」と、後述する「担当装置コード」とに大別される。「レコードID」は、レコードの登録順位を示すことになる。
【0055】
「商品棚データ」には、「棚コード」、「商品コード」、「商品名」及び「単位重量」に係るフィールドが含まれている。「棚コード」は、商品棚4の識別コードたる棚コードを示している。また、「商品コード」はその商品棚4に載置される商品の商品コードを示し、「商品名」はその商品の名称を示し、「単位重量」はその商品一つあたりの重量を示している。
【0056】
「棚コード」には、「XX−YY−ZZZZ」という形式が採用されている。ここで、最初の2桁である「XX」は、当該商品棚4の配置位置が、いずれのゾーンZであるかを示している。また、次の2桁である「YY」は、当該商品棚4の配置位置が、第1及び第2棚列4a,4bのいずれであるかを示している。より具体的には、「01」であれば第1棚列4aに当該商品棚4が配置され、「02」であれば第2棚列4bに当該商品棚4が配置されることが示される。したがって、「XX」及び「YY」は、当該商品棚4の配置領域(ゾーン及び第1/第2棚列)を特定するための領域情報となる。そして、最後の4桁である「ZZZZ」には、その配置領域におけるユニークな番号が示されることになる。このような「棚コード」の形式により、作業員は「棚コード」のみから、その「棚コード」が示す商品棚4のおおよその位置を容易に特定することが可能となっている。
【0057】
また、「作業量データ」には、当該商品棚4に載置される商品についての2つのコンテナ20ごとの作業量が含まれている。すなわち、2つのコンテナ20にそれぞれ対応して2つのフィールドが準備され、各フィールドには対応するコンテナに投入すべき「仕分個数」が示される。コンテナ20のそれぞれは店舗に対応するため、「作業量データ」には各店舗から受注された商品の個数が示されることになる。
【0058】
このように、作業テーブルTにおいては、一のレコードごとに、商品棚4の棚コードと、該商品棚4に係る作業量とが対応付けられている。そして、仕分け作業にあたっては、作業内容を指示する「作業データ」として、これらのレコードの内容が、レコード単位でハンディターミナル3に送信される。そして、各レコードの「担当装置コード」には、このようなレコードの送信対象となったハンディターミナル3の装置コードが記載されることになる。
【0059】
<6.仕分システムの動作概要>
次に、仕分システム100の動作について説明する。仕分システム100においては、仕分け作業を開始する前に、まず、その仕分け作業についての各種設定を行う「設定処理」が行われる。そして、その設定処理による設定内容に従って、実際の仕分け作業に係る処理である「仕分処理」がなされるようになっている。以下、「設定処理」及び「仕分処理」の順に説明する。
【0060】
<7.設定処理>
図8は、設定処理の流れを示す図である。設定処理では、ハンディターミナル3とホストコンピュータ1とが利用される。図中の左側はハンディターミナル3の動作であり、図中の右側はホストコンピュータ1の動作である。
【0061】
まず、仕分け作業を行う作業員により、当該作業員が所持するハンディターミナル3に対して所定の操作がなされ、設定画面が呼び出される。そして、入力ボタン36を介して、仕分に作業に用いる一の仕分カート2の「カートコード」がハンディターミナル3に入力される(ステップS11)。この「カートコード」は、その仕分カート2に付されたラベルなどによって把握される。
【0062】
次に、当該一の仕分カート2に係る作業を担当する作業員の数が「作業人数」として入力ボタン36を介してハンディターミナル3に入力される。すなわち、仕分カート2に係る作業を一人の作業員で担当する際には「一人」、二人の作業員で分担する際には「二人」と入力される(ステップS12)。
【0063】
次に、作業を担当する作業員が所持するハンディターミナル3の「装置コード」が、入力ボタン36を介してハンディターミナル3に入力される。作業を一人で担当する場合は一台分の「装置コード」が入力され、作業を二人で担当する場合は二台分の「装置コード」が入力されることになる。なお、作業を一人で担当する場合は、装置内部のROM33に予め「装置コード」が記憶されているため、「装置コード」の入力を省略できるようになっていてもよい(ステップS13)。
【0064】
これらの「カートコード」「作業人数」「装置コード」が入力されると、CPU31の制御により、これらは「設定データ」としてハンディターミナル3の第1通信部37からホストコンピュータ1に送信される(ステップS14)。送信された「設定データ」は、ホストコンピュータ1の通信部17に受信される(ステップS15)。
【0065】
「設定データ」の受信に応答しホストコンピュータ1ではまず、「設定データ」に含まれる「カートコード」に基づいて、当該仕分カート2に係る作業テーブルTがCPU11により特定される(ステップS16)。
【0066】
そして、特定された作業テーブルTと、「設定データ」に含まれる「装置コード」とが関連付けられてRAM12に登録される。この際、「作業人数」が「一人」であれば作業テーブルTは1つの「装置コード」と関連付けられ、「作業人数」が「二人」であれば作業テーブルTは2つの「装置コード」と関連付けられることになる(ステップS17)。これにより、設定処理が完了する。
【0067】
<8.仕分処理>
次に、仕分処理について説明する。仕分処理では、基本的には、「作業データ」を要求する要求信号をハンディターミナル3が発信し、それに対してホストコンピュータ1が作業テーブルTのうちの一のレコードを「作業データ」として返信する、という動作が繰り返されることになる。ハンディターミナル3が発信する要求信号は、自装置への作業量の割り当てを要求する信号であるともいえる。この要求信号には、それを発信したハンディターミナル3を特定する「装置コード」が含まれている。
【0068】
<8−1.ホストコンピュータの動作>
まず、仕分処理におけるホストコンピュータ1の動作について説明する。図9は、ホストコンピュータ1の処理の流れを示す図である。ホストコンピュータ1は、まず、ハンディターミナル3から発信される要求信号を待機する状態となる(ステップS21)。
【0069】
そして、ハンディターミナル3から要求信号を受信すると(ステップS21にてYes)、要求信号に含まれる「装置コード」に基づき、設定処理にてその「装置コード」と関連付けられた作業テーブルTが特定される。すなわち、要求信号を発信したハンディターミナル3に割り当てるべきレコードが含まれる作業テーブルTが特定される(ステップS22)。
【0070】
なおこの際、要求信号に含まれる「装置コード」が作業テーブルTと関連付けられていないときは、当該要求信号は無視される。これにより、設定処理が正当に完了した作業量の配分対象となるハンディターミナル3からの要求信号についてのみ、以降の処理が行われることになる。
【0071】
次に、特定された作業テーブルTに含まれるレコードのうち、いずれのハンディターミナル3にも割り当てられておらず、未送信のレコードが特定される。未割当・未送信であるか否かは、「担当装置コード」に基づいて判断される(ステップS23)。
【0072】
続いて、それら未割当・未送信のレコードのうちの登録順位が最上位(「レコードID」が最小)となる一のレコードが、要求信号を送信したハンディターミナル3に割り当てるべきレコードとして選択される(ステップS25)。そして、選択されたレコードの内容が、「作業データ」として要求信号を送信したハンディターミナル3に送信されることになる(ステップS26)。つまり、選択されたレコードの作業量が当該ハンディターミナル3に割り当てられ、その割り当てられた作業量が当該ハンディターミナル3に送信されることになる。この際、当該レコードの「担当装置コード」には、当該ハンディターミナル3の「装置コード」が登録される。
【0073】
なお、作業テーブルTに未割当・未送信のレコードが存在しなかった場合は(ステップS24にてNo)、その旨を示す「レコード無し信号」が当該ハンディターミナル3に返信される(ステップS27)。「作業データ」あるいは「レコード無し信号」の送信後は、再び処理はステップS21に戻り、ホストコンピュータ1は要求信号を待機する状態となる。
【0074】
<8−2.ハンディターミナルの動作>
次に、仕分処理におけるハンディターミナル3の動作について説明する。図10は、ハンディターミナル3の動作を主として示す図である。図中の左側はハンディターミナル3の動作であり、図中の右側は仕分カート2の動作である。
【0075】
まず、ホストコンピュータ1から「作業データ」を得るために、第1通信部37からホストコンピュータ1に要求信号が送信される(ステップS31)。この要求信号に応答して、ホストコンピュータ1から「作業データ」が返信されると、この「作業データ」が第1通信部37に取得され、RAM32に格納される(ステップS32)。
【0076】
次に、取得された「作業データ」の内容が表示部34に表示される。前述のように、「作業データ」の内容とは作業テーブルTの一のレコードの内容であることから、表示部34には、「棚コード」「商品コード」「商品名」及び「単位重量」並びに各コンテナ20ごとの「仕分個数」が表示されることになる。このような表示により、当該ハンディターミナル3を所持する作業員は、自己が行うべき仕分け作業の具体的内容、すなわち、作業対象となる商品棚4の棚コードと、その商品棚4に載置された商品と、仕分け作業を行うべき仕分個数(作業量)とを把握できることになる(ステップS33)。
【0077】
作業員は、これらの内容を把握すると、商品棚4の番号札41を参照しつつ、表示された棚コードの商品棚4の前にハンディターミナル3を持って移動する。そして、取り扱う商品が仕分け対象の商品として正当であるかをチェックするため、その商品棚4から一の商品を取り出し、その商品に付されたバーコードをハンディターミナル3のバーコードリーダ35に読み取らせる。これにより、その商品の商品コードがハンディターミナル3に取得される(ステップS34)。
【0078】
次に、バーコードリーダ35で取得された商品コードと、「作業データ」に含まれる商品コードとが、CPU31により照合される(ステップS35)。この照合により、これらの商品コードが一致しなかった場合は、作業員が、誤った商品棚4から誤った商品を取り出したことになる。このためこの場合は、その商品が仕分け対象の商品として正当でない旨を示す警告表示が、表示部34になされる(ステップS36)。この処理は、現に存在する商品から取得される商品コードと、「作業データ」に含まれる商品コードとが一致するまで繰り返されることになる。
【0079】
商品コードが一致した場合は、次に、ハンディターミナル3は、「作業データ」を仕分カート2に送信する送信指示を待機する状態となる(ステップS37)。作業員は、ハンディターミナル3を携帯しつつ仕分カートの近傍に移動し、ハンディターミナル3に所定の操作を行って送信指示を行う。この送信指示がなされると(ステップS37にてYes)、第2通信部38から仕分カート2に「作業データ」が送信される(ステップS38)。
【0080】
送信された「作業データ」は、仕分カート2の通信部254に受信される(ステップS39)。仕分カート2では、「作業データ」の受信に応答し、「作業データ」に含まれる各コンテナ20ごとの「仕分個数」が取得される。そして、第1コンテナ20に係る「仕分個数」は第1表示器26に、第2コンテナ20に係る「仕分個数」は第2表示器26にそれぞれ表示される(ステップS40)。
【0081】
一方で、「作業データ」に含まれる「単位重量」とコンテナ20ごとの「仕分個数」とがCPU251により乗算され、その結果が「演算重量」として導出される。この「演算重量」は、2つのコンテナ20それぞれに関して導出される。「演算重量」は、「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入する前と投入した後とで生じるコンテナ20の重量差の理論値となる。
【0082】
次に、各計量部27において、その時点のコンテナ20の全体重量が風袋とされる(ゼロ調整)。そして以降、各計量部27によるコンテナ20に収容された商品の計量値(以下、「実重量」という。)が監視される。これにより、各コンテナ20ごとに、実重量と演算重量とが一致するか否かがCPU251により判断される。
【0083】
作業員は、表示器26の表示がなされると(ステップS40)、各コンテナ20ごとの「仕分個数」を把握し、それに従って商品の投入を開始する。このような商品の投入により実重量は上昇し、正しい「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入すると、実重量と演算重量とが一致することになる。すなわち、実重量が演算重量と一致した場合は、当該コンテナ20への仕分けが完了したことになるわけである。なお、商品の重量は、結露や乾燥等によりある程度は変化するものであるため、この場合における「一致」とは、必ずしも厳密な意味での一致でなくてよく、ある程度(例えば、±10g程度)の許容幅を持たせた「略一致」であればよい。
【0084】
このような仕分けの完了は、各コンテナ20ごとに判定される(ステップS41)。そして、2つのコンテナ20の双方の仕分けの完了が判定されると(ステップS41にてYes)、仕分けを完了した旨を示す完了信号が、仕分カート2の通信部254からハンディターミナル3に送信される(ステップS42)。
【0085】
ハンディターミナル3では、完了信号が受信されると(ステップS43)、次の「作業データ」を得るために、第1通信部37からホストコンピュータ1に再び要求信号が送信される(ステップS44)。そして、この要求信号に応答して「作業データ」が返信されると(ステップS45にてYes)、処理は再びステップS33に戻り、上記と同様の処理が繰り返されることになる。なお、要求信号に応答してホストコンピュータ1から「レコード無し信号」が返信されたときは(ステップS45にてNo)、ハンディターミナル3の動作は終了することになる。
【0086】
<8−3.分担について>
以上説明した仕分処理におけるハンディターミナル3の動作は、一の仕分カート2に係る作業を一人の作業員で担当する場合と、二人の作業員で担当する場合とで同様になされる。すなわち、二人の作業員で担当する場合では、各作業員が所持するハンディターミナル3のそれぞれに関して図10に係る動作がなされることになる。このためこの場合には、ホストコンピュータ1からみると、1つの作業テーブルTに関して、その作業テーブルTに関連付けられた作業量の配分対象となる2つのハンディターミナル3のそれぞれから要求信号が繰り返し送信されてくることになる。
【0087】
前述のように、ホストコンピュータ1では、要求信号の受信に応答して作業テーブルTのレコードを割り当てるように動作する。このため、ホストコンピュータ1は、1つの作業テーブルTに含まれる複数のレコードを、2つのハンディターミナル3に要求信号があった順に割り当てていくことになる。つまり、ホストコンピュータ1の動作は実質的に、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分し、2つのハンディターミナル3のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該ハンディターミナル3に送信する動作であるといえる。
【0088】
このように本実施の形態の仕分システム100では、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分するため、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員に容易に分担させることができる。
【0089】
また、各ハンディターミナル3に割り当てられた作業量は、割り当て対象となったハンディターミナル3のみに送信されて表示される。このため、各ハンディターミナル3は自装置に割り当てられた作業量のみを表示する。これにより、各作業員は、自己が所持するハンディターミナル3の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。その結果、同一の作業が重複してなされたり、逆に、必要な作業がなされないという場面が生じることが有効に防止されることになる。
【0090】
また、作業テーブルTの各レコードは商品棚4ごとの作業量を示すが、このレコード単位で作業量が各ハンディターミナル3に割り当てられる。このため、一の商品棚4に対して同時に二人の作業員が作業を行うことが防止される。
【0091】
また、ホストコンピュータ1は、要求信号の受信に応答して順次に割当を行っていく。つまり、ハンディターミナル3において一の商品棚4に係る作業が完了すると、そのハンディターミナル3に対して新たなレコードを割り当てていくことになる。したがって、作業の早い作業員に優先的に作業が割り当てられることになり、結果として作業全体の効率化を図ることができる。
【0092】
<9.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0093】
<9−1.第2形態:登録順位に基づく配分>
上記第1形態では、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員で担当する場合に、作業テーブルTの各レコードの割り当て先を要求信号を受信した時点で決定するようになっていた。しかしながら、このような処理では実際に仕分け作業がなされるまで、各作業員の作業量を把握することができない。このため、作業テーブルTの各レコードの割り当て先を仕分け作業前に予め決定しておくようにしてもよい。
【0094】
この場合においては、図8に示す設定処理のステップS17の後に、各レコードの作業量を、2つのハンディターミナル3に割り当てる割当処理がなされることになる。そして、ホストコンピュータ1が、仕分処理において各ハンディターミナル3から要求信号を受信した場合は、当該ハンディターミナル3に予め割り当てられたレコードのみを送信することになる。
【0095】
レコードの割り当てに際しては、レコードの登録順位に基づいて、2つのハンディターミナル3のそれぞれにレコードの作業量を割り当てていけばよい。より具体的には、図11に示すように、「レコードID」が奇数のレコードの全てを一方のハンディターミナル3に割り当て、「レコードID」が偶数のレコードの全てを他方のハンディターミナル3に割り当てることが考えられる。なお、図11においては、一方のハンディターミナル3の装置コードを「A001」、他方のハンディターミナル3の装置コードを「B001」として示している。図に示すように、各レコードの割り当て先となった装置コードは、「担当装置コード」の欄に記載されることになる。なお、各レコードが未送信か否かについてはフラグによって管理すればよい。
【0096】
また、例えば、全レコードを、その登録順位に基づいて前半/後半の2つにグループ分けし、前半のグループを一方のハンディターミナル3に割り当て、後半のグループを他方のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0097】
このように、レコードの登録順位に基づいて、2つのハンディターミナル3にレコードの作業量を割り当てることで、割当処理を簡易に行うことができる。
【0098】
<9−2.第3形態:領域情報に基づく配分>
また、上記の第2形態の割当処理では、レコードの登録順位に基づいてレコードの作業量の割り当てを行ったが、「棚コード」に含まれる領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0099】
より具体的には、図12に示すように、「棚コード」の「XX−YY−ZZZZ」のうちの「YY」が「01」であるレコードを一方のハンディターミナル3(「A001」)に割り当て、「YY」が「02」であるレコードを他方のハンディターミナル3(「B002」)に割り当てることになる。
【0100】
このようにすることで、各作業員は、第1及び第2棚列4a,4bのうちのいずれかに属する商品棚4のみに関して作業を行えばよいため、効率的に作業を行うことができることになる。
【0101】
<9−3.第4形態:コンテナに基づく配分>
また、上記ではレコード単位でハンディターミナル3に作業量の割り当てを行っているが、同一のコンテナ20に係る作業量は同一のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0102】
より具体的には、図13に示すように、2つのコンテナ20のうちの第1コンテナに係るフィールドを一方のハンディターミナル3(「A001」)に割り当て、第2コンテナに係るフィールドを他方のハンディターミナル3(「B001」)に割り当てることになる。
【0103】
この配分により、一のコンテナ20に対して二人の作業員が同時に作業を行う状況がなくなり、一方の作業員の作業を他方の作業員が待機するといった状況を回避することができる。
【0104】
この場合も、仕分け作業前に作業量の割り当て先となるハンディターミナル3を決定しておくことが可能である。そして、ホストコンピュータ1が、仕分処理において各ハンディターミナル3から要求信号を受信した場合は、当該ハンディターミナル3に予め割り当てられたフィールドの作業量(仕分個数)のみを含め、他のフィールドの作業量(仕分個数)は含まないレコードを「作業データ」として送信することになる。各レコードの各フィールドの作業量が未送信か否かについては、フラグによって管理すればよい。
【0105】
またこの場合は、ハンディターミナル3から仕分カート2に「作業データ」を送信する際に、自装置の「装置コード」を含めて送信させる。仕分カート2では、受信した「作業データ」に基づいて、その「作業データ」を発信したハンディターミナル3の「装置コード」とコンテナ20との対応付けを行う。そして、2つのコンテナ20のうちの一方の仕分けの完了が判定されれば、その完了したコンテナ20に対応するハンディターミナル3のみに完了信号を送信する。このようにすることで、二人の作業員が、一の仕分カート2に対して作業を同時に行うことが可能となる。
【0106】
<9−4.その他の変形例>
上記の実施の形態では、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に分配する場合について説明を行ったが、3以上のハンディターミナル3に分配するようにしてもよい。この場合において、例えば第2形態のように登録順位に基づいて配分するときには、その「レコードID」を配分対象となるハンディターミナル3の数(作業員の数)で除算し、その剰余が同一となるレコードの作業量を同一のハンディターミナル3に割り当てるようにすればよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、一の仕分カート2が2つのコンテナ20を載置するものであるとして説明したが、これに限定されるものではない。特に、第1形態ないし第3形態では、仕分カートが1つのコンテナのみを載置するものであっても、3以上のコンテナを載置するものであっても、上記技術を好適に適用可能である。また、第4形態では、コンテナの数が、配分対象となるハンディターミナルの数(作業員の数)と同数か、それ以上であればよい。
【0108】
また、設定処理において、上記で説明した第1形態ないし第4形態の配分手法のうちのから、作業員が所望の一の配分手法を選択できるようになっていてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、仕分システム100を「ピッキングシステム」であるとして説明したが、作業者が同一種の商品を収容したコンテナを仕分カートで搬送しつつ、それぞれ店舗に対応する複数の商品棚に商品を投入する「ソーティングシステム」であっても上記で説明した技術を好適に適用することが可能である。
【0110】
また、ホストコンピュータ1から送信される「作業データ」の中に仕分け対象となる商品の画像データを含ませ、ハンディターミナル3において「作業データ」の表示を行うときに、同時にその画像データを表示させるようにしてもよい。これによれば、作業員は、「商品名」のみからでは把握しにくい商品の外観をその画像データから直感的に把握できるため、作業ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】仕分システムの概略構成を示す図である。
【図2】ホストコンピュータの構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】ハンディターミナルの外観構成を示す図である。
【図4】ハンディターミナルの構成を模式的に示す示すブロック図である。
【図5】仕分カートの構成を模式的に示す図である。
【図6】仕分カートの電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】作業テーブルの一例を示す図である。
【図8】設定処理の流れを示す図である。
【図9】ホストコンピュータの処理の流れを示す図である。
【図10】ハンディターミナルの処理を主として示す図である。
【図11】作業テーブルの一例を示す図である。
【図12】作業テーブルの一例を示す図である。
【図13】作業テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 ホストコンピュータ
2 仕分カート
3 ハンディターミナル
4 商品棚
P 作業員
20 コンテナ
34 表示部
35 バーコードリーダ
100 仕分システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートと商品棚との間で商品を移動させることにより、商品を仕分ける仕分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店舗向けの物流センター(配送センターや出荷センター等)においては、各店舗から受注した個数に応じた各種商品を取り揃える仕分け作業を、仕分システムを用いて行うことが一般的となっている。仕分システムとしては、例えば、店舗に対応する収容器としてのコンテナを載せた仕分カートを作業員が利用しつつ、商品棚から必要な仕分個数の商品を取り出してそのコンテナに投入していくものなどがある。
【0003】
一般に、このような仕分システムにおいては、仕分カートに設けられた表示装置に、仕分対象となる商品の商品棚を識別する識別コードと、その商品の仕分個数とが表示されることで、作業員に作業内容が示される。作業員は、この表示に基づいて、必要な商品を必要な個数分、コンテナに投入できることになる。
【0004】
また近年では、一台で複数のコンテナを運搬可能な仕分カートを用い、一度の仕分け作業で複数のコンテナへ商品を投入する方式の仕分システムも提案されている。この方式では、複数のコンテナごとの仕分個数が表示装置に表示され、これにより、コンテナごとの仕分個数を作業員が把握できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−43211号公報
【特許文献2】特開2002−284315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような仕分システムにおいては、通常、一の仕分カートに係る作業を一の作業員が担当するようになっている。ただし、仕分けを緊急に行う場合などにおいては、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員が分担して行うことがある。
【0008】
しかしながら、このように作業を分担しようとする場合においては、いずれの作業をどの作業員が担当するかについての取り決めが作業員相互間の口約束などでなされていた。このため、作業の分担行為自体を体系的に効率よく行うことができなかった。また、各作業員が負担する作業内容が不明確であるため、同一の作業が重複してなされたり、逆に、必要な作業がなされないという場面が生じることとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員に容易に分担させることができる仕分システムを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、一の仕分カートに係る作業を複数の作業員に分担させる場合に、各作業員が自己の作業内容を明瞭に把握できる仕分システムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品を収容する収容器を運搬するカートと、固定的に配置される複数の商品棚との間で商品を移動させることにより、前記商品を仕分ける仕分システムであって、表示手段を有し、複数の作業員のそれぞれが所持して利用する複数の可搬性装置と、一のカートに係る作業量を、前記複数の可搬性装置に配分する配分手段と、前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該可搬性装置に送信して表示させる送信手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の仕分システムにおいて、前記商品棚の識別コードと、該商品棚に係る作業量とを対応付けた複数のレコードが登録されたテーブルを記憶する記憶手段、をさらに備え、前記配分手段は、前記テーブルのレコード単位で、該レコードの作業量を前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記配分手段は、作業量の配分対象となる前記可搬性装置から発信された前記作業量の割り当てを要求する要求信号の受信に応答して、当該可搬性装置に前記テーブルの一のレコードの作業量を割り当てるものであり、前記要求信号の受信時点において未割当のレコードのうち、登録順位が最上位のレコードの作業量を、当該可搬性装置に割り当てる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記配分手段は、前記複数のレコードの登録順位に基づいて、前記複数の可搬性装置のそれぞれに前記レコードの作業量を割り当てる。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の仕分システムにおいて、前記テーブルの各レコードは、前記商品棚が配置される配置領域を特定可能な領域情報を含み、前記配分手段は、前記領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一の可搬性装置に割り当てる。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の仕分システムにおいて、前記一のカートは、複数の収容器を運搬するものであり、前記配分手段は、同一の収容器に係る作業量を同一の可搬性装置に割り当てる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし6の発明によれば、一のカートに係る作業量を複数の可搬性装置に配分するため、一のカートに係る作業を複数の作業員に容易に分担させることができる。また、複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を当該可搬性装置に送信して表示させるため、可搬性装置は自装置に割り当てられた作業量のみを表示することになる。このため、各作業員は、可搬性装置の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、商品棚ごとの作業量を示すレコードの単位で作業量を割り当てるため、一の商品棚に対して同時に複数の作業員が作業を行うことが防止される。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、要求信号の受信に応答して順次に割当を行っていくため、作業全体の効率化を図ることができる。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、複数のレコードの登録順位に基づいて、複数の可搬性装置にレコードの作業量を割り当てるため、配分のための処理が容易である。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、同一の配置領域を示すレコードの作業量は同一の可搬性装置に割り当てるため、作業員はその配置領域に属する商品棚に関して作業を行えばよく、効率的に作業を行うことができる。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、同一の可搬性装置には同一の収容器に係る作業量を割り当てるため、一の収容器に対して同時に複数の作業員が作業を行うことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<1.仕分システムの概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る仕分システム100の概略構成を示す図である。この仕分システム100は、作業員が、必要な個数の商品を商品棚4から取り出して、仕分カート2のコンテナ20に投入するピッキングシステムとも呼ばれる方式のものである。
【0025】
図に示すように、仕分システム100においては、作業スペースに多数の商品棚4が配列して設けられている。そして、対向する2列の商品棚4の相互間に作業通路9が形成される。このように対向する1組の商品棚4の列、及び、それによって形成される一の作業通路9を含む領域は、作業領域としての一の単位となり「ゾーン」Zと呼ばれる。作業スペースには、同様のゾーンZが複数形成されている。作業員Pは、仕分カート2を動かしつつ、複数のゾーンZを移動して仕分け作業を行うことになる。
【0026】
作業通路9を移動する作業員にとっては、左右両側に商品棚4の列が存在する状態となる。以下、作業通路9の入り口から見て左側の商品棚4の列を「第1棚列」4aといい、右側の商品棚4の列を「第2棚列」4bという。
【0027】
仕分け前の商品は、これらの商品棚4に同一種となるものごとに分けられて載置される。これにより、一の商品棚4と一の商品の種類とが対応づけされる。商品の種類ごとに商品の識別コードたる商品コードが存在するため、一の商品棚4と一の商品コードとが対応づけされることになる。
【0028】
商品棚4にはそれぞれ固有の識別コードである「棚コード」が予め割り当てられており、各商品棚4の前面には当該商品棚4の棚コードを示す番号札41が配置されている。これにより、作業員Pは、視認により各商品棚4の棚コードを認識可能となっている。
【0029】
仕分カート2は、収容器としてのコンテナ20に商品を収容しつつ運搬するものである。仕分カート2にはそれぞれ、2つのコンテナ20を載置することが可能とされている。各コンテナ20は、仕分け先となる店舗にそれぞれ対応しており、当該店舗に発送すべき商品は仕分け作業によりその店舗に対応するコンテナに収容される。通常では、一の仕分カート2に係る作業を一人の作業員Pが担当することになるが、この仕分システム100では、図中の下方に示すように、一の仕分カート2に係る作業を必要に応じて二人の作業員Pが担当することも可能となっている。
【0030】
作業員Pはそれぞれ、可搬性のハンディターミナル3を携帯しており、作業中に利用するようになっている。ハンディターミナル3は、液晶などで構成される表示部34を有している(図3参照)。この表示部34には、仕分個数などの仕分け作業に必要な各種情報が表示され、そのハンディターミナル3を所持する作業員Pに示されるようになっている。
【0031】
また、仕分システム100は、システム全体を統括的に管理するホストコンピュータ1を備えている。ホストコンピュータ1は、無線によりデータ通信を行う機能を有しており、各作業員Pが所持するハンディターミナル3との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
【0032】
以下、仕分システム100が備えるこれらのホストコンピュータ1、ハンディターミナル3及び仕分カート2のそれぞれの構成について詳細に説明する。
【0033】
<2.ホストコンピュータ>
まず、ホストコンピュータ1の構成について説明する。図2は、ホストコンピュータ1の構成を模式的に示すブロック図である。ホストコンピュータ1は、ハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。
【0034】
すなわち、ホストコンピュータ1は、演算処理を行うCPU11と、演算処理の作業領域となるRAM12と、基本プログラムを記憶するROM13と、各種データを記憶するハードディスク14とをバスライン19に接続した構成となっている。さらに、ホストコンピュータ1は、各種情報の表示を行うディスプレイ15と、キーボード及びマウス等の入力部16と、データ通信を行う通信部17とを備え、これらはそれぞれバスライン19に接続される。
【0035】
通信部17は、比較的遠隔にあるデバイスとの間で通信が可能な無線LANなどの無線通信方式による無線のデータ通信機能を有している。この通信部17により、ホストコンピュータ1は、作業スペースを自由に移動して利用されるハンディターミナル3との間で無線でのデータ通信が可能となっている。
【0036】
また、ハードディスク14には処理プログラムが記憶されており、CPU11がこの処理プログラムに従って演算処理を行うことで、ホストコンピュータ1としての各種機能が実現される。このホストコンピュータ1の機能には、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員で分担する場合に、その一の仕分カート2に係る作業量を配分する機能などが含まれる。さらに、ハードディスク14には、仕分け作業の作業量を示すデータなど、仕分け作業に係る各種のデータが記憶される。
【0037】
<3.ハンディターミナル>
次に、ハンディターミナル3の構成について説明する。図3は、ハンディターミナル3の外観構成を示す図である。
【0038】
図に示すように、ハンディターミナル3は、作業員が持ち運び可能な可搬性装置であり、各種情報を表示する表示部34と、バーコードを読み取るバーコードリーダ35と、作業員から各種入力を受け付ける入力ボタン36とを備えて構成されている。仕分対象となる各商品には商品コードを示すバーコードが予め付されている。このバーコードをバーコードリーダ35が読み取ることにより、その商品に係る商品コードがハンディターミナル3に取得されるようになっている。
【0039】
図4は、ハンディターミナル3の内部構成を含む構成を模式的に示す示すブロック図である。ハンディターミナル3はその内部に、制御部として機能するコンピュータを備えている。
【0040】
すなわち、ハンディターミナル3は、演算処理を行うCPU31と、演算処理の作業領域となるRAM32と、基本プログラムを記憶するROM33とを備え、これらはバスライン39によって接続されている。制御部の各種機能は、ROM33内のファームウェアとしての制御用プログラムに従ってCPU31が演算処理を行なうことで実現される。また、このバスライン39には、上述した表示部34、バーコードリーダ35及び入力ボタン36も接続され、これらも制御部の制御下で動作することになる。
【0041】
さらに、ハンディターミナル3は、2つの通信部、すなわち、第1通信部37と、第2通信部38とを備えており、これらもバスライン39に接続され制御部の制御下で動作する。これらの通信部37,38は双方共に無線によるデータ通信を行うものであるが、第1通信部37はホストコンピュータ1との間で、第2通信部38は仕分カート2との間でそれぞれデータ通信を行うものとなる。第1通信部37には、比較的遠隔にあるデバイスとの間で通信が可能な無線LANなどの無線通信方式が採用される。一方で、第2通信部38には、比較的近傍にあるデバイスとの間で通信が可能なブルートゥース(登録商標)などの無線通信方式が採用される。
【0042】
仕分システム100では、このようなハンディターミナル3が複数用いられるが、それぞれのハンディターミナル3には固有の識別コードである「装置コード」が割り当てられている。各ハンディターミナル3のROM33には、自装置の装置コードが記憶されている。
【0043】
<4.仕分カート>
次に、仕分カート2の構成について説明する。図5は、仕分カート2の外観構成を模式的に示す図である。図に示すように、仕分カート2は、コンテナ20が載置される載置部21と、自由に方向を変更可能な車輪であるキャスター23と、作業員Pが把持しつつ操作するためのハンドル22とを備えて構成されている。また、載置部21の上面には、2つのコンテナ20を載置できるように、2つの載置台24が形成されている。
【0044】
仕分カート2は、このような一般的なカートとしての基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、2つの載置台24にはそれぞれ、表示器26と計量部27とが配置されている。表示器26は、対応するコンテナ20(その載置台24に載置されたコンテナ20)に投入すべき商品の仕分個数を表示するものである。この表示器26は、数字やアルファベット等の簡易表示のみが可能なVFD(蛍光表示管)などで構成される。また、計量部27は、対応するコンテナ20に収容された商品を計量するものであり、ロードセルなどで構成される。
【0045】
以下では、一の仕分カート2に載置される2つのコンテナ20の一方を「第1コンテナ」、他方を「第2コンテナ」と称する。また、「第1コンテナ」に対応する表示器26と計量部27とをそれぞれ「第1表示器」「第2計量部」とも称し、「第2コンテナ」に対応する表示器26と計量部27とをそれぞれ「第2表示器」「第2計量部」とも称することとする。
【0046】
また、仕分カート2はさらに、これらの表示器26及び計量部27を制御するためのコンピュータであるコントローラ25を備えている。図6は、コントローラ25の内部構成を含む仕分カートの電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【0047】
図に示すようにコントローラ25は、演算処理を行うCPU251と、演算処理の作業領域となるRAM252と、基本プログラムを記憶するROM253とを備え、これらはバスライン28によって接続されている。コントローラ25の各種機能は、ROM253内のファームウェアとしての制御用プログラムに従ってCPU251が演算処理を行なうことで実現される。
【0048】
また、バスライン28は、コネクタ25aを介してコントローラ25の外部のケーブル29に接続され、このケーブル29にはさらに2つの表示器26と2つの計量部27とが接続されている。これにより、これらの表示器26と計量部27とは、コントローラ25の制御下で動作することになる。
【0049】
さらに、コントローラ25は、データ通信を行うための通信部254をバスライン28に接続して備えている。この通信部254は、比較的近傍にあるデバイスとの間で通信が可能なブルートゥース(登録商標)などの無線通信方式による無線のデータ通信機能を有している。この通信部254により、仕分カート2のコントローラ25は、ハンディターミナル3との間で無線でのデータ通信が可能となっている。
【0050】
仕分システム100では、このような仕分カート2が複数用いられるが、それぞれの仕分カート2には固有の識別コードである「カートコード」が割り当てられている。仕分カート2のそれぞれには、自装置のカートコードを印刷したラベルなどが貼付され、作業員はカートコードを容易に認識できるようになっている。
【0051】
<5.作業テーブル>
各仕分カート2の各コンテナ20にいずれの商品をいくつ投入すべきかというデータは、ホストコンピュータ1に予め入力され、そのハードディスク14に作業テーブルとして記憶されている。
【0052】
図7は、この作業テーブルTの一例を示す図である。図に示すように、作業テーブルTは、複数のレコードRから構成されるテーブル形式のデータである。一の作業テーブルTは、一の仕分カート2に係る作業量を示すようになっており、作業テーブルTは仕分システム100に含まれる仕分カート2ごとに作成される。したがって、一の作業テーブルTは、一のカートコードに対応付けされることになる。
【0053】
また、作業テーブルTの各レコードR(テーブル行)は、一の商品棚4に関しての各種情報を示している。一のレコードRは、複数のデータ項目から構成され、作業テーブルTにおいて各データ項目はフィールド(テーブル列)として示されている。
【0054】
フィールドは、レコードの識別コードである「レコードID」と、商品棚4に関する情報を示す「商品棚データ」と、その商品棚4に係る作業量を示す「作業量データ」と、後述する「担当装置コード」とに大別される。「レコードID」は、レコードの登録順位を示すことになる。
【0055】
「商品棚データ」には、「棚コード」、「商品コード」、「商品名」及び「単位重量」に係るフィールドが含まれている。「棚コード」は、商品棚4の識別コードたる棚コードを示している。また、「商品コード」はその商品棚4に載置される商品の商品コードを示し、「商品名」はその商品の名称を示し、「単位重量」はその商品一つあたりの重量を示している。
【0056】
「棚コード」には、「XX−YY−ZZZZ」という形式が採用されている。ここで、最初の2桁である「XX」は、当該商品棚4の配置位置が、いずれのゾーンZであるかを示している。また、次の2桁である「YY」は、当該商品棚4の配置位置が、第1及び第2棚列4a,4bのいずれであるかを示している。より具体的には、「01」であれば第1棚列4aに当該商品棚4が配置され、「02」であれば第2棚列4bに当該商品棚4が配置されることが示される。したがって、「XX」及び「YY」は、当該商品棚4の配置領域(ゾーン及び第1/第2棚列)を特定するための領域情報となる。そして、最後の4桁である「ZZZZ」には、その配置領域におけるユニークな番号が示されることになる。このような「棚コード」の形式により、作業員は「棚コード」のみから、その「棚コード」が示す商品棚4のおおよその位置を容易に特定することが可能となっている。
【0057】
また、「作業量データ」には、当該商品棚4に載置される商品についての2つのコンテナ20ごとの作業量が含まれている。すなわち、2つのコンテナ20にそれぞれ対応して2つのフィールドが準備され、各フィールドには対応するコンテナに投入すべき「仕分個数」が示される。コンテナ20のそれぞれは店舗に対応するため、「作業量データ」には各店舗から受注された商品の個数が示されることになる。
【0058】
このように、作業テーブルTにおいては、一のレコードごとに、商品棚4の棚コードと、該商品棚4に係る作業量とが対応付けられている。そして、仕分け作業にあたっては、作業内容を指示する「作業データ」として、これらのレコードの内容が、レコード単位でハンディターミナル3に送信される。そして、各レコードの「担当装置コード」には、このようなレコードの送信対象となったハンディターミナル3の装置コードが記載されることになる。
【0059】
<6.仕分システムの動作概要>
次に、仕分システム100の動作について説明する。仕分システム100においては、仕分け作業を開始する前に、まず、その仕分け作業についての各種設定を行う「設定処理」が行われる。そして、その設定処理による設定内容に従って、実際の仕分け作業に係る処理である「仕分処理」がなされるようになっている。以下、「設定処理」及び「仕分処理」の順に説明する。
【0060】
<7.設定処理>
図8は、設定処理の流れを示す図である。設定処理では、ハンディターミナル3とホストコンピュータ1とが利用される。図中の左側はハンディターミナル3の動作であり、図中の右側はホストコンピュータ1の動作である。
【0061】
まず、仕分け作業を行う作業員により、当該作業員が所持するハンディターミナル3に対して所定の操作がなされ、設定画面が呼び出される。そして、入力ボタン36を介して、仕分に作業に用いる一の仕分カート2の「カートコード」がハンディターミナル3に入力される(ステップS11)。この「カートコード」は、その仕分カート2に付されたラベルなどによって把握される。
【0062】
次に、当該一の仕分カート2に係る作業を担当する作業員の数が「作業人数」として入力ボタン36を介してハンディターミナル3に入力される。すなわち、仕分カート2に係る作業を一人の作業員で担当する際には「一人」、二人の作業員で分担する際には「二人」と入力される(ステップS12)。
【0063】
次に、作業を担当する作業員が所持するハンディターミナル3の「装置コード」が、入力ボタン36を介してハンディターミナル3に入力される。作業を一人で担当する場合は一台分の「装置コード」が入力され、作業を二人で担当する場合は二台分の「装置コード」が入力されることになる。なお、作業を一人で担当する場合は、装置内部のROM33に予め「装置コード」が記憶されているため、「装置コード」の入力を省略できるようになっていてもよい(ステップS13)。
【0064】
これらの「カートコード」「作業人数」「装置コード」が入力されると、CPU31の制御により、これらは「設定データ」としてハンディターミナル3の第1通信部37からホストコンピュータ1に送信される(ステップS14)。送信された「設定データ」は、ホストコンピュータ1の通信部17に受信される(ステップS15)。
【0065】
「設定データ」の受信に応答しホストコンピュータ1ではまず、「設定データ」に含まれる「カートコード」に基づいて、当該仕分カート2に係る作業テーブルTがCPU11により特定される(ステップS16)。
【0066】
そして、特定された作業テーブルTと、「設定データ」に含まれる「装置コード」とが関連付けられてRAM12に登録される。この際、「作業人数」が「一人」であれば作業テーブルTは1つの「装置コード」と関連付けられ、「作業人数」が「二人」であれば作業テーブルTは2つの「装置コード」と関連付けられることになる(ステップS17)。これにより、設定処理が完了する。
【0067】
<8.仕分処理>
次に、仕分処理について説明する。仕分処理では、基本的には、「作業データ」を要求する要求信号をハンディターミナル3が発信し、それに対してホストコンピュータ1が作業テーブルTのうちの一のレコードを「作業データ」として返信する、という動作が繰り返されることになる。ハンディターミナル3が発信する要求信号は、自装置への作業量の割り当てを要求する信号であるともいえる。この要求信号には、それを発信したハンディターミナル3を特定する「装置コード」が含まれている。
【0068】
<8−1.ホストコンピュータの動作>
まず、仕分処理におけるホストコンピュータ1の動作について説明する。図9は、ホストコンピュータ1の処理の流れを示す図である。ホストコンピュータ1は、まず、ハンディターミナル3から発信される要求信号を待機する状態となる(ステップS21)。
【0069】
そして、ハンディターミナル3から要求信号を受信すると(ステップS21にてYes)、要求信号に含まれる「装置コード」に基づき、設定処理にてその「装置コード」と関連付けられた作業テーブルTが特定される。すなわち、要求信号を発信したハンディターミナル3に割り当てるべきレコードが含まれる作業テーブルTが特定される(ステップS22)。
【0070】
なおこの際、要求信号に含まれる「装置コード」が作業テーブルTと関連付けられていないときは、当該要求信号は無視される。これにより、設定処理が正当に完了した作業量の配分対象となるハンディターミナル3からの要求信号についてのみ、以降の処理が行われることになる。
【0071】
次に、特定された作業テーブルTに含まれるレコードのうち、いずれのハンディターミナル3にも割り当てられておらず、未送信のレコードが特定される。未割当・未送信であるか否かは、「担当装置コード」に基づいて判断される(ステップS23)。
【0072】
続いて、それら未割当・未送信のレコードのうちの登録順位が最上位(「レコードID」が最小)となる一のレコードが、要求信号を送信したハンディターミナル3に割り当てるべきレコードとして選択される(ステップS25)。そして、選択されたレコードの内容が、「作業データ」として要求信号を送信したハンディターミナル3に送信されることになる(ステップS26)。つまり、選択されたレコードの作業量が当該ハンディターミナル3に割り当てられ、その割り当てられた作業量が当該ハンディターミナル3に送信されることになる。この際、当該レコードの「担当装置コード」には、当該ハンディターミナル3の「装置コード」が登録される。
【0073】
なお、作業テーブルTに未割当・未送信のレコードが存在しなかった場合は(ステップS24にてNo)、その旨を示す「レコード無し信号」が当該ハンディターミナル3に返信される(ステップS27)。「作業データ」あるいは「レコード無し信号」の送信後は、再び処理はステップS21に戻り、ホストコンピュータ1は要求信号を待機する状態となる。
【0074】
<8−2.ハンディターミナルの動作>
次に、仕分処理におけるハンディターミナル3の動作について説明する。図10は、ハンディターミナル3の動作を主として示す図である。図中の左側はハンディターミナル3の動作であり、図中の右側は仕分カート2の動作である。
【0075】
まず、ホストコンピュータ1から「作業データ」を得るために、第1通信部37からホストコンピュータ1に要求信号が送信される(ステップS31)。この要求信号に応答して、ホストコンピュータ1から「作業データ」が返信されると、この「作業データ」が第1通信部37に取得され、RAM32に格納される(ステップS32)。
【0076】
次に、取得された「作業データ」の内容が表示部34に表示される。前述のように、「作業データ」の内容とは作業テーブルTの一のレコードの内容であることから、表示部34には、「棚コード」「商品コード」「商品名」及び「単位重量」並びに各コンテナ20ごとの「仕分個数」が表示されることになる。このような表示により、当該ハンディターミナル3を所持する作業員は、自己が行うべき仕分け作業の具体的内容、すなわち、作業対象となる商品棚4の棚コードと、その商品棚4に載置された商品と、仕分け作業を行うべき仕分個数(作業量)とを把握できることになる(ステップS33)。
【0077】
作業員は、これらの内容を把握すると、商品棚4の番号札41を参照しつつ、表示された棚コードの商品棚4の前にハンディターミナル3を持って移動する。そして、取り扱う商品が仕分け対象の商品として正当であるかをチェックするため、その商品棚4から一の商品を取り出し、その商品に付されたバーコードをハンディターミナル3のバーコードリーダ35に読み取らせる。これにより、その商品の商品コードがハンディターミナル3に取得される(ステップS34)。
【0078】
次に、バーコードリーダ35で取得された商品コードと、「作業データ」に含まれる商品コードとが、CPU31により照合される(ステップS35)。この照合により、これらの商品コードが一致しなかった場合は、作業員が、誤った商品棚4から誤った商品を取り出したことになる。このためこの場合は、その商品が仕分け対象の商品として正当でない旨を示す警告表示が、表示部34になされる(ステップS36)。この処理は、現に存在する商品から取得される商品コードと、「作業データ」に含まれる商品コードとが一致するまで繰り返されることになる。
【0079】
商品コードが一致した場合は、次に、ハンディターミナル3は、「作業データ」を仕分カート2に送信する送信指示を待機する状態となる(ステップS37)。作業員は、ハンディターミナル3を携帯しつつ仕分カートの近傍に移動し、ハンディターミナル3に所定の操作を行って送信指示を行う。この送信指示がなされると(ステップS37にてYes)、第2通信部38から仕分カート2に「作業データ」が送信される(ステップS38)。
【0080】
送信された「作業データ」は、仕分カート2の通信部254に受信される(ステップS39)。仕分カート2では、「作業データ」の受信に応答し、「作業データ」に含まれる各コンテナ20ごとの「仕分個数」が取得される。そして、第1コンテナ20に係る「仕分個数」は第1表示器26に、第2コンテナ20に係る「仕分個数」は第2表示器26にそれぞれ表示される(ステップS40)。
【0081】
一方で、「作業データ」に含まれる「単位重量」とコンテナ20ごとの「仕分個数」とがCPU251により乗算され、その結果が「演算重量」として導出される。この「演算重量」は、2つのコンテナ20それぞれに関して導出される。「演算重量」は、「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入する前と投入した後とで生じるコンテナ20の重量差の理論値となる。
【0082】
次に、各計量部27において、その時点のコンテナ20の全体重量が風袋とされる(ゼロ調整)。そして以降、各計量部27によるコンテナ20に収容された商品の計量値(以下、「実重量」という。)が監視される。これにより、各コンテナ20ごとに、実重量と演算重量とが一致するか否かがCPU251により判断される。
【0083】
作業員は、表示器26の表示がなされると(ステップS40)、各コンテナ20ごとの「仕分個数」を把握し、それに従って商品の投入を開始する。このような商品の投入により実重量は上昇し、正しい「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入すると、実重量と演算重量とが一致することになる。すなわち、実重量が演算重量と一致した場合は、当該コンテナ20への仕分けが完了したことになるわけである。なお、商品の重量は、結露や乾燥等によりある程度は変化するものであるため、この場合における「一致」とは、必ずしも厳密な意味での一致でなくてよく、ある程度(例えば、±10g程度)の許容幅を持たせた「略一致」であればよい。
【0084】
このような仕分けの完了は、各コンテナ20ごとに判定される(ステップS41)。そして、2つのコンテナ20の双方の仕分けの完了が判定されると(ステップS41にてYes)、仕分けを完了した旨を示す完了信号が、仕分カート2の通信部254からハンディターミナル3に送信される(ステップS42)。
【0085】
ハンディターミナル3では、完了信号が受信されると(ステップS43)、次の「作業データ」を得るために、第1通信部37からホストコンピュータ1に再び要求信号が送信される(ステップS44)。そして、この要求信号に応答して「作業データ」が返信されると(ステップS45にてYes)、処理は再びステップS33に戻り、上記と同様の処理が繰り返されることになる。なお、要求信号に応答してホストコンピュータ1から「レコード無し信号」が返信されたときは(ステップS45にてNo)、ハンディターミナル3の動作は終了することになる。
【0086】
<8−3.分担について>
以上説明した仕分処理におけるハンディターミナル3の動作は、一の仕分カート2に係る作業を一人の作業員で担当する場合と、二人の作業員で担当する場合とで同様になされる。すなわち、二人の作業員で担当する場合では、各作業員が所持するハンディターミナル3のそれぞれに関して図10に係る動作がなされることになる。このためこの場合には、ホストコンピュータ1からみると、1つの作業テーブルTに関して、その作業テーブルTに関連付けられた作業量の配分対象となる2つのハンディターミナル3のそれぞれから要求信号が繰り返し送信されてくることになる。
【0087】
前述のように、ホストコンピュータ1では、要求信号の受信に応答して作業テーブルTのレコードを割り当てるように動作する。このため、ホストコンピュータ1は、1つの作業テーブルTに含まれる複数のレコードを、2つのハンディターミナル3に要求信号があった順に割り当てていくことになる。つまり、ホストコンピュータ1の動作は実質的に、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分し、2つのハンディターミナル3のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該ハンディターミナル3に送信する動作であるといえる。
【0088】
このように本実施の形態の仕分システム100では、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に配分するため、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員に容易に分担させることができる。
【0089】
また、各ハンディターミナル3に割り当てられた作業量は、割り当て対象となったハンディターミナル3のみに送信されて表示される。このため、各ハンディターミナル3は自装置に割り当てられた作業量のみを表示する。これにより、各作業員は、自己が所持するハンディターミナル3の表示に基づいて自己の作業内容のみを明瞭に把握できる。その結果、同一の作業が重複してなされたり、逆に、必要な作業がなされないという場面が生じることが有効に防止されることになる。
【0090】
また、作業テーブルTの各レコードは商品棚4ごとの作業量を示すが、このレコード単位で作業量が各ハンディターミナル3に割り当てられる。このため、一の商品棚4に対して同時に二人の作業員が作業を行うことが防止される。
【0091】
また、ホストコンピュータ1は、要求信号の受信に応答して順次に割当を行っていく。つまり、ハンディターミナル3において一の商品棚4に係る作業が完了すると、そのハンディターミナル3に対して新たなレコードを割り当てていくことになる。したがって、作業の早い作業員に優先的に作業が割り当てられることになり、結果として作業全体の効率化を図ることができる。
【0092】
<9.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0093】
<9−1.第2形態:登録順位に基づく配分>
上記第1形態では、一の仕分カート2に係る作業を二人の作業員で担当する場合に、作業テーブルTの各レコードの割り当て先を要求信号を受信した時点で決定するようになっていた。しかしながら、このような処理では実際に仕分け作業がなされるまで、各作業員の作業量を把握することができない。このため、作業テーブルTの各レコードの割り当て先を仕分け作業前に予め決定しておくようにしてもよい。
【0094】
この場合においては、図8に示す設定処理のステップS17の後に、各レコードの作業量を、2つのハンディターミナル3に割り当てる割当処理がなされることになる。そして、ホストコンピュータ1が、仕分処理において各ハンディターミナル3から要求信号を受信した場合は、当該ハンディターミナル3に予め割り当てられたレコードのみを送信することになる。
【0095】
レコードの割り当てに際しては、レコードの登録順位に基づいて、2つのハンディターミナル3のそれぞれにレコードの作業量を割り当てていけばよい。より具体的には、図11に示すように、「レコードID」が奇数のレコードの全てを一方のハンディターミナル3に割り当て、「レコードID」が偶数のレコードの全てを他方のハンディターミナル3に割り当てることが考えられる。なお、図11においては、一方のハンディターミナル3の装置コードを「A001」、他方のハンディターミナル3の装置コードを「B001」として示している。図に示すように、各レコードの割り当て先となった装置コードは、「担当装置コード」の欄に記載されることになる。なお、各レコードが未送信か否かについてはフラグによって管理すればよい。
【0096】
また、例えば、全レコードを、その登録順位に基づいて前半/後半の2つにグループ分けし、前半のグループを一方のハンディターミナル3に割り当て、後半のグループを他方のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0097】
このように、レコードの登録順位に基づいて、2つのハンディターミナル3にレコードの作業量を割り当てることで、割当処理を簡易に行うことができる。
【0098】
<9−2.第3形態:領域情報に基づく配分>
また、上記の第2形態の割当処理では、レコードの登録順位に基づいてレコードの作業量の割り当てを行ったが、「棚コード」に含まれる領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0099】
より具体的には、図12に示すように、「棚コード」の「XX−YY−ZZZZ」のうちの「YY」が「01」であるレコードを一方のハンディターミナル3(「A001」)に割り当て、「YY」が「02」であるレコードを他方のハンディターミナル3(「B002」)に割り当てることになる。
【0100】
このようにすることで、各作業員は、第1及び第2棚列4a,4bのうちのいずれかに属する商品棚4のみに関して作業を行えばよいため、効率的に作業を行うことができることになる。
【0101】
<9−3.第4形態:コンテナに基づく配分>
また、上記ではレコード単位でハンディターミナル3に作業量の割り当てを行っているが、同一のコンテナ20に係る作業量は同一のハンディターミナル3に割り当てるようにしてもよい。
【0102】
より具体的には、図13に示すように、2つのコンテナ20のうちの第1コンテナに係るフィールドを一方のハンディターミナル3(「A001」)に割り当て、第2コンテナに係るフィールドを他方のハンディターミナル3(「B001」)に割り当てることになる。
【0103】
この配分により、一のコンテナ20に対して二人の作業員が同時に作業を行う状況がなくなり、一方の作業員の作業を他方の作業員が待機するといった状況を回避することができる。
【0104】
この場合も、仕分け作業前に作業量の割り当て先となるハンディターミナル3を決定しておくことが可能である。そして、ホストコンピュータ1が、仕分処理において各ハンディターミナル3から要求信号を受信した場合は、当該ハンディターミナル3に予め割り当てられたフィールドの作業量(仕分個数)のみを含め、他のフィールドの作業量(仕分個数)は含まないレコードを「作業データ」として送信することになる。各レコードの各フィールドの作業量が未送信か否かについては、フラグによって管理すればよい。
【0105】
またこの場合は、ハンディターミナル3から仕分カート2に「作業データ」を送信する際に、自装置の「装置コード」を含めて送信させる。仕分カート2では、受信した「作業データ」に基づいて、その「作業データ」を発信したハンディターミナル3の「装置コード」とコンテナ20との対応付けを行う。そして、2つのコンテナ20のうちの一方の仕分けの完了が判定されれば、その完了したコンテナ20に対応するハンディターミナル3のみに完了信号を送信する。このようにすることで、二人の作業員が、一の仕分カート2に対して作業を同時に行うことが可能となる。
【0106】
<9−4.その他の変形例>
上記の実施の形態では、一の仕分カート2に係る作業量を2つのハンディターミナル3に分配する場合について説明を行ったが、3以上のハンディターミナル3に分配するようにしてもよい。この場合において、例えば第2形態のように登録順位に基づいて配分するときには、その「レコードID」を配分対象となるハンディターミナル3の数(作業員の数)で除算し、その剰余が同一となるレコードの作業量を同一のハンディターミナル3に割り当てるようにすればよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、一の仕分カート2が2つのコンテナ20を載置するものであるとして説明したが、これに限定されるものではない。特に、第1形態ないし第3形態では、仕分カートが1つのコンテナのみを載置するものであっても、3以上のコンテナを載置するものであっても、上記技術を好適に適用可能である。また、第4形態では、コンテナの数が、配分対象となるハンディターミナルの数(作業員の数)と同数か、それ以上であればよい。
【0108】
また、設定処理において、上記で説明した第1形態ないし第4形態の配分手法のうちのから、作業員が所望の一の配分手法を選択できるようになっていてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、仕分システム100を「ピッキングシステム」であるとして説明したが、作業者が同一種の商品を収容したコンテナを仕分カートで搬送しつつ、それぞれ店舗に対応する複数の商品棚に商品を投入する「ソーティングシステム」であっても上記で説明した技術を好適に適用することが可能である。
【0110】
また、ホストコンピュータ1から送信される「作業データ」の中に仕分け対象となる商品の画像データを含ませ、ハンディターミナル3において「作業データ」の表示を行うときに、同時にその画像データを表示させるようにしてもよい。これによれば、作業員は、「商品名」のみからでは把握しにくい商品の外観をその画像データから直感的に把握できるため、作業ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】仕分システムの概略構成を示す図である。
【図2】ホストコンピュータの構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】ハンディターミナルの外観構成を示す図である。
【図4】ハンディターミナルの構成を模式的に示す示すブロック図である。
【図5】仕分カートの構成を模式的に示す図である。
【図6】仕分カートの電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】作業テーブルの一例を示す図である。
【図8】設定処理の流れを示す図である。
【図9】ホストコンピュータの処理の流れを示す図である。
【図10】ハンディターミナルの処理を主として示す図である。
【図11】作業テーブルの一例を示す図である。
【図12】作業テーブルの一例を示す図である。
【図13】作業テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 ホストコンピュータ
2 仕分カート
3 ハンディターミナル
4 商品棚
P 作業員
20 コンテナ
34 表示部
35 バーコードリーダ
100 仕分システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収容する収容器を運搬するカートと、固定的に配置される複数の商品棚との間で商品を移動させることにより、前記商品を仕分ける仕分システムであって、
表示手段を有し、複数の作業員のそれぞれが所持して利用する複数の可搬性装置と、
一のカートに係る作業量を、前記複数の可搬性装置に配分する配分手段と、
前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該可搬性装置に送信して表示させる送信手段と、
を備えることを特徴とする仕分システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分システムにおいて、
前記商品棚の識別コードと、該商品棚に係る作業量とを対応付けた複数のレコードが登録されたテーブルを記憶する記憶手段、
をさらに備え、
前記配分手段は、
前記テーブルのレコード単位で、該レコードの作業量を前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項3】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記配分手段は、
作業量の配分対象となる前記可搬性装置から発信された前記作業量の割り当てを要求する要求信号の受信に応答して、当該可搬性装置に前記テーブルの一のレコードの作業量を割り当てるものであり、
前記要求信号の受信時点において未割当のレコードのうち、登録順位が最上位のレコードの作業量を、当該可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項4】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記配分手段は、前記複数のレコードの登録順位に基づいて、前記複数の可搬性装置のそれぞれに前記レコードの作業量を割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項5】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記テーブルの各レコードは、前記商品棚が配置される配置領域を特定可能な領域情報を含み、
前記配分手段は、前記領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一の可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項6】
請求項1に記載の仕分システムにおいて、
前記一のカートは、複数の収容器を運搬するものであり、
前記配分手段は、同一の収容器に係る作業量を同一の可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項1】
商品を収容する収容器を運搬するカートと、固定的に配置される複数の商品棚との間で商品を移動させることにより、前記商品を仕分ける仕分システムであって、
表示手段を有し、複数の作業員のそれぞれが所持して利用する複数の可搬性装置と、
一のカートに係る作業量を、前記複数の可搬性装置に配分する配分手段と、
前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てられた作業量を、当該可搬性装置に送信して表示させる送信手段と、
を備えることを特徴とする仕分システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分システムにおいて、
前記商品棚の識別コードと、該商品棚に係る作業量とを対応付けた複数のレコードが登録されたテーブルを記憶する記憶手段、
をさらに備え、
前記配分手段は、
前記テーブルのレコード単位で、該レコードの作業量を前記複数の可搬性装置のそれぞれに割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項3】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記配分手段は、
作業量の配分対象となる前記可搬性装置から発信された前記作業量の割り当てを要求する要求信号の受信に応答して、当該可搬性装置に前記テーブルの一のレコードの作業量を割り当てるものであり、
前記要求信号の受信時点において未割当のレコードのうち、登録順位が最上位のレコードの作業量を、当該可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項4】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記配分手段は、前記複数のレコードの登録順位に基づいて、前記複数の可搬性装置のそれぞれに前記レコードの作業量を割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項5】
請求項2に記載の仕分システムにおいて、
前記テーブルの各レコードは、前記商品棚が配置される配置領域を特定可能な領域情報を含み、
前記配分手段は、前記領域情報に基づき、同一の配置領域を示すレコードの作業量を同一の可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【請求項6】
請求項1に記載の仕分システムにおいて、
前記一のカートは、複数の収容器を運搬するものであり、
前記配分手段は、同一の収容器に係る作業量を同一の可搬性装置に割り当てることを特徴とする仕分システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−119201(P2007−119201A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315653(P2005−315653)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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