説明

仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニット

【課題】商品陳列スペースを狭めることなく、見栄えもよい仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニットを提供すること。
【解決手段】
商品G1を陳列する陳列棚板1上に設置される仕切部材3を備える仕切板2であって、前記仕切部材3の端部から前記陳列棚板1の表面より下方に固定部材4を有し、前記固定部材4は、陳列商品表示具9を取り付けるための溝1aに差し込まれた前記固定部材4を、溝1aの内面に向けて押し付ける押付板6と、前記溝1aの内面に設けられた係止部9aに係止する係止爪5とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、店舗等で商品を陳列する陳列棚板と、商品を分別する仕切板と、それらを備えた商品陳列ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の商品陳列ユニットとして、例えば、図7の(a)に示す商品陳列ユニット50が知られている。この商品陳列ユニット50は、陳列棚板41と仕切板42と陳列商品表示具49とから構成されている。商品陳列ユニット50の陳列棚板41の前面側には、長尺状の固定部材把持部48が設けられている。そして、仕切板42の先端側の固定部材44が固定部材把持部48に把持されることで、仕切板42は陳列棚板41上に設置される。この仕切板42は固定部材把持部48の長尺方向に移動可能となっており、仕切板42間の距離は、商品G1のサイズに合わせて調節される。また、仕切部材43底部の両側には、基板42aが形成され、仕切板42が転倒するのを防止している。
【0003】
次に、図7の(b)では、仕切板42の先端側の固定部材44が固定部材把持部48に把持される態様を示している。この固定部材把持部48は、略コの字型形状に形成されており、上方から押し込まれた固定部材44を把持するようになっている。したがって、仕切板42は着脱が可能で、かつ、固定部材把持部48の長尺方向への移動も可能である。
【0004】
ここで、陳列棚板41の前面には、陳列商品表示具49が取り付けられているが、この陳列商品表示具49を陳列棚板41に取り付ける手段としては、陳列棚板41の端部にL字型の部材41bを取り付けて溝41aを形成し、この溝41aに陳列商品表示具49の係止部49aを係止させる手段が、通常よく採られている。そして、従来の商品陳列ユニット50では、陳列商品表示具49に固定部材把持部48を更に形成している。
【0005】
ところが、従来の商品陳列ユニット50は、仕切板42を取り付けるために、固定部材把持部48を更に形成しなければならなかった。さらに、固定部材44及び固定部材把持部48といった仕切板42を設置するのに必要な部材が、陳列棚板41の表面上に位置するため、その分だけ陳列スペースが狭くなっていた。また、これらの部材が陳列棚板41の前面に位置するため、見栄えもよくなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願平11−20087号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は上記問題に鑑み、別途、固定部材把持部を設ける必要がなく、陳列商品表示具を取り付けるための溝を利用して仕切板を設置することができるものであり、商品陳列スペースを狭めることなく、見栄えもよい仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の仕切板は、商品を陳列する陳列棚板上に設置される仕切部材を備える仕切板であって、前記仕切部材の端部から前記陳列棚板の表面より下方に固定部材を有し、
前記固定部材は、陳列商品表示具を取り付けるための溝に差し込まれた前記固定部材を、溝の内面に向けて押し付ける押付板と、前記溝の内面に設けられた係止部に係止する係止爪とを備えることを特徴としている。
【0009】
上記特徴によれば、仕切板の固定部材は、陳列棚板の表面より下方に位置し、陳列商品表示板を取り付けるために設けられた溝内部に差し込むことが出来る。そのため、仕切板を設置しても、陳列棚板上の陳列スペースが狭くなることはないし、固定部材が溝内部に隠れるため、見栄えもよい。
【0010】
さらに、本願発明の陳列棚板は、陳列商品表示具を取り付けるための溝を備える陳列棚板であって、前記溝は、該溝の内面に上記の仕切板の係止爪が係止するための係止部を備えることで、前記固定部材を把持する固定部材把持部となることを特徴としている。
【0011】
上記特徴によれば、陳列商品表示具を取り付けるために用いられる溝が、その内面に、係止部を設けることによって、固定部材を把持する固定部材把持部となる。このように、陳列商品表示具を取り付けるために用いられる溝を利用しているので、別途、固定部材把持部を形成する必要がない。また、固定部材把持部が陳列棚板の表面上に位置しないので、陳列スペースが狭くなることはないし、見栄えもよい。
【0012】
さらに、本願発明の陳列棚板は、前記係止部が、前記溝に取り付けられる陳列商品表示具の係止部であることを特徴としている。
【0013】
上記特徴によれば、陳列商品表示具を取り付けるために用いる係止部を、そのまま、仕切板の係止爪が係止する係止部として利用することが出来る。従って、溝の内面に係止部を設ける必要がなく、コスト削減に寄与する。
【0014】
さらに、本願発明の商品陳列ユニットは、商品を陳列する陳列棚板と商品を分別する仕切板とを備える商品陳列ユニットであって、上述の陳列棚板上に、本発明の仕切板を複数配置し、陳列棚板上の商品を分別して陳列することを特徴としている。
【0015】
上記特徴によれば、陳列商品表示具を取り付けるための溝を利用して仕切板を設置することができ、仕切板を設置しても商品の陳列スペースが狭くなることはないし、見栄えもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記に記したように、本願発明の仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニットによれば、陳列商品表示具を取り付けるための溝を利用して仕切板を設置することができ、商品の陳列スペースを狭めることなく、見栄えもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の商品陳列ユニットの斜視図を示すものである。
【図2】本願発明の仕切板を示すもので、(a)は仕切板の正面図、(b)は仕切板の側面図、(c)は仕切板の平面図である。
【図3】(a)、(b)は、本願発明の仕切板を陳列棚板に設置する態様を示すものである。
【図4】(a)、(b)は、本願発明の他例の仕切板を陳列棚板に設置する態様を示すものである。
【図5】本願発明の他例の商品陳列ユニットの斜視図を示すものである。
【図6】(a)、(b)は、本願発明の他例の商品陳列ユニットの斜視図を示すものである。
【図7】(a)、(b)は、本願発明の背景技術の一例として商品陳列ユニットを示すものである。
【符号の説明】
【0018】
1 陳列棚板
1a 溝
2 仕切板
3 仕切部材
4 固定部材
5 係止爪
6 押付板
7 商品落下防止壁
8 固定部材把持部
9 陳列商品表示具
10 商品陳列ユニット
G 商品
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本願発明の商品陳列ユニット10の斜視図を示すものである。商品陳列ユニット10は、商品G1を陳列する陳列棚板1と、商品G1を分別する仕切板2を有している。この陳列棚板1の前面端部には、陳列商品表示具9を取り付けるための溝1aが設けられている。そして、この溝1aに仕切板2の固定部材4を差し込むことで、仕切板2は陳列棚板1上に設置される。仕切板2は左右方向(陳列棚板1の長尺方向)に移動可能なので、仕切板2間の距離を商品G1の大きさに合わせて、調節することが出来る。
【0021】
また、仕切板2の前端部には、商品G1等が落下しないように、商品落下防止壁7が設けられている。なお、仕切板2全体は、透明なポリカーボネートなどの熱可塑性プラスチックで一体成形されている。
【0022】
次に、図2では、本願発明の仕切板2の構成について詳しく説明する。図2の(a)は仕切板2の正面図、図2の(b)は仕切板2の側面図、図2の(c)は仕切板2の平面図である。
【0023】
図2の(a)では、固定部材4は、仕切部材3を中心に対称の位置に、係止爪5及び押付板6をそれぞれ1つ備えている。この固定部材4の上側に商品落下防止壁7が延設されている。なお、係止爪5及び押付板6の位置及び数は、左右一対が望ましいが、適宜変更が可能である。
【0024】
この押付板6は、その下端6aのみが固定部材4本体から連続して形成され、下端6aを基軸に、前後へ撓むことが出来る。また、押付板6の下方は、肉厚部4aとなっており、撓に対する耐久性が向上している。
【0025】
図2の(b)では、仕切部材3の底部3aより下方に、つまり仕切板2を陳列棚板に設置したときに、陳列棚板の表面よりも下方に、固定部材4が形成されている。この仕切部材3の底部3aは、陳列棚板の表面の形状に合わせて直線状になっている。
【0026】
図2の(c)は、仕切板2の平面図であるが、通常、仕切板2の転倒防止のため、陳列棚板の表面と面接触する基板(図7の基板42aを参照)が、仕切部材3の底部3aの両側に設けられる。しかし、本願発明の仕切板2は、固定部材4の係止爪5及び押付板6によって、陳列棚板に十分に固定されるため、基板を用いなくても仕切板2の転倒を防止できる。ただし、本願発明の仕切板2は、基板を併用することを排除するものではない。
【0027】
次に、図3では、本願発明の仕切板2を陳列棚板1に設置する態様について説明する。仕切板2の固定部材4には、係止爪5及び押付板6が陳列棚板1の前面(図面では左向き)へ向けて形成されている。一方、固定部材把持部8は、陳列商品表示具9を取り付けるための溝1aと、係止部9aとで構成されている。この溝1aは、陳列棚板1の前板1cの裏側からコの字型形状の部材1bを取り付け、この部材1bの前板1b(1)と、底板1b(2)と、陳列棚板1の前板1cとで囲まれる空間によって、構成される。そして、図3の(a)のように、固定部材4は固定部材把持部8に向かって矢印の方向に差し込まれ、仕切板2が陳列棚板1に設置される。
【0028】
また、陳列商品表示具9は、硬質合成樹脂の塩化ビニル樹脂等で形成され係止部9aと表示部9bとを備えている。この係止部9aが溝1a内面に係止することで、陳列商品表示具9は陳列棚板1に取り付けられる。また、表示部9bは、その上方が開放されており、隙間に商品の値札等を挟んで使用される。
【0029】
仕切板2の固定部材4を、固定部材把持部8に差し込むと、図3の(b)に示す状態となる。押付板6が陳列商品表示具9の係止部9aに当接して撓むことで、押付板6に復元力が発生し、固定部材4は溝1a内面に矢印の方向へと押し付けられることになる。また、陳列商品表示具9の係止部9aに固定部材4の係止爪5が係止する。したがって、仕切板2が上方に引っ張られても、係合爪5及び押付板6によって、仕切板2が簡単に外れてしまうのを防止できる。
【0030】
また、押付板6の押付力によって固定部材4と固定部材把持部8の間には摩擦が生じ、仕切板2の左右方向(陳列棚板1の長尺方向)への動きを抑制できる。この左右方向への動きの抑制は、商品を取り出す際に、商品が仕切板2に接触しても仕切板2が簡単に移動しない程度で、尚且つ、商品のサイズに合わせて仕切板2間の距離を調節するために、仕切板2を無理なく左右へ移動できる程度にすることが望ましい。
【0031】
図3の(b)では、固定部材4及び固定部材把持部8は陳列棚板1の表面上に位置しないので、陳列棚板1上の商品の陳列スペースを狭くすることがなく、見栄えもよい点が示されている。さらに、固定部材把持部8は、陳列商品表示具9を取り付けるための溝1a及び陳列商品表示具9の係止部9aをそのまま利用して構成されている。従って、従来の商品陳列ユニット50(図7参照)ように、固定部材把持部を更に形成する必要がない。なお、図3の(b)では陳列商品表示具9の係止部9aを利用しているが、陳列商品表示具9を用いない場合は、溝1aの内面に凸部を設けて係止部とする。
【0032】
さらに、押付板6が可撓性を有しているため、仕切部材3と固定部材4との結合部4bを保護することが出来る。例えば、商品を取り出す際に、商品落下防止壁7に商品が接触して、仕切板2の前方(図3の左向き)に力が加わったとする。その場合に、固定部材4が固定部材把持部8に完全に固定されていると、結合部4bに力が集中し破損する虞がある。しかし、押付板6は可撓性を有しているので、力が加わっても固定部材4が前方に移動して力を吸収するので、結合部4bは保護される。
【0033】
次に、図4では、本願発明の他例の仕切板12を陳列棚板11に設置している。図4の(a)では、固定部材14の押付板16の形成方向が、図3に示す固定部材4の押付板6の形成方向とは反対になっていること以外は、全て同じ構成である。
【0034】
そして、この固定部材14を固定部材把持部18に向かって矢印の方向に差し込むと、図4の(b)に示す状態となる。押付板16が溝11aの内面に当接して撓むことで押付板16に復元力が発生し、固定部材14は溝11a内面に矢印の方向へと押し付けられることになる。ここで、図4の(b)の固定部材14の押し付けられる方向は、図3の(b)の固定部材4の押し付けられる方向とは反対である。そのため、係止爪15が係止部19aにより係止しやすくなる。
【0035】
図4の(a)及び(b)では、押付板16の上端に突起部16bが設けられている。その理由は、固定部材14を差し込んでいくと、押付板16は、押付板16の下方から徐々に溝11a内面に当接して撓んでいくため、図4の(b)のように、完全に差し込まれた後には、押付板16の中腹部16c周辺のみが溝11a内面に当接することになる。したがって、突起部16bを設けることによって完全に差し込まれた後でも、押付板16の突起部16b及び中腹部16cの二箇所が、溝11a内面に当接するのでより安定した設置が可能となる。なお、図3の押付板6の上端にも突起部が設けられているが、同様の理由によるものである。
【0036】
次に、図5では、本願発明の他例の商品陳列ユニット30を示している。この商品陳列ユニット30の仕切板22は、図1に示す商品陳列ユニット10の仕切板2の商品落下防止壁7が除かれていること以外は、すべて同じ構成である。図1のように、商品落下防止壁7を備えていると、図5に示す背の低い箱型の商品G2を取り出す際に、商品落下防止壁7を乗り越えるように商品G2を取り出さなければならず、不便である。よって、図5に示すように、背の低い箱型の商品G2を陳列する場合は、仕切板22を用いると、商品をよりスムーズに取り出すことが出来る。
【0037】
次に、図6の(a)では、本願発明の他例の商品陳列ユニット40を示している。仕切板32は、陳列棚板31の両端に使用するものであり、仕切部材33の側面に設置補助具33bが設けられている点が、図1〜図5で示す仕切板とは異なる。
【0038】
図6の(b)では、仕切板32のみを示している。仕切板32の前端部には、係止爪35及び押付板36を備えた固定部材34が設けられており、固定部材把持部が固定部材34を把持することで、陳列棚板31上に仕切板32は設置される。また、設置補助具33bには、陳列棚板31の側板31dの下端に係止する係止爪33cと、側板31dの裏側に回り込んで係止する係止爪33dが設けられている。
【0039】
なお、本願発明の仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニットは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願発明の仕切板、陳列棚板、及び商品陳列ユニットは、見栄えがよく商品陳列スペースを狭めることないように商品を陳列することが要請される産業分野に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を陳列する陳列棚板上に設置される仕切部材を備える仕切板であって、
前記仕切部材の端部から前記陳列棚板の表面より下方に固定部材を有し、
前記固定部材は、
陳列商品表示具を取り付けるための溝に差し込まれた前記固定部材を、溝の内面に向けて押し付ける押付板と、
前記溝の内面に設けられた係止部に係止する係止爪とを備えることを特徴とする仕切板。
【請求項2】
陳列商品表示具を取り付けるための溝を備える陳列棚板であって、
前記溝は、該溝の内面に請求項1に記載の仕切板の係止爪が係止するための係止部を備えることで、前記固定部材を把持する固定部材把持部となることを特徴とする陳列棚板。
【請求項3】
前記係止部は、前記溝に取り付けられる陳列商品表示具の係止部であることを特徴とする請求項2に記載の陳列棚板。
【請求項4】
商品を陳列する陳列棚板と商品を分別する仕切板とを備える商品陳列ユニットであって、
請求項2又は3に記載の陳列棚板上に、請求項1に記載の仕切板を複数配置し、
陳列棚板上の商品を分別して陳列することを特徴とする商品陳列ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−90854(P2012−90854A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241885(P2010−241885)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】