説明

仕切用装飾引手

【課題】透明な引手本体の底部の厚みを透してデザインを見せながら光の透過を防ぐ事のできる引手の提供。
【解決手段】引手本体1に円形の凹部3が形成され、凹部3の底部1bは透明な材料で構成され、底部1bの裏面には装飾用のデザインが施された不透明な材質のデザイン体4a、4bを設けられて、透明な底部1bを通してデザインを見ることができる。リング8を不透明な材質で製作する事で隣室の灯りの透過を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は襖などの仕切の開閉のための仕切の引手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に襖用引手については、図5(従来の引手本体の説明図(背景技術の説明))で引手本体1に手を掛ける凹部3が設けられていて、引手単体で襖に取りつけて使用する場合、また図6(引手本体と雌型引手の構成図(背景技術の説明))にあるように引手本体1に手を掛ける凹部3がある引手と、本体に手を掛ける凹部3aがある雌型引手7とを図7(図6において組み合わせた図(背景技術の説明))のように組み合わせて使用する場合がある。実公昭48−40594号は前述の引手本体と雌型引手を組み合わせる方法を採っている。又引手単体で使用する場合は実開平1−114761の方法がある。
これらの引手本体の底部の表側にデザインを施した従来例はあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭48−40594号公報
【特許文献2】実開平1−114761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は引手の表側にデザインを施していたので、使用するにつれてデザインが汚れたり傷がつくことがあった。またデザインの表現に制限があり美観に優れていないことがあった。透明な材料で構成され引手の裏側のデザインを見せる装飾を施し、機能だけではなく視覚的な感覚を呼び起こす事が目的である。また一方引手本体を透明にすると、透明が故に隣室の光が漏れて就寝の妨げになる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は引手本体の底部の裏側にデザインを設けて、透明な底部を通してデザインが見えるように構成したものである。また引手本体は透明又は半透明な材料で構成され、うすい着色を施すと効果的な雰囲気を醸し出せる。一方透明であるが故に就寝の妨げになるので、光の透過を遮断する為手を掛ける凹部の外側に不透明なリングを設けて、隣室からの光の透過を防止したものである。
【発明の効果】
【0006】
引手本体の底部を透明にしたことで裏側に設けた装飾デザインが見えるので美観性が高い。
光の透光性を利用して裏側からの光でデザインを浮かび上がらせる事が出来る。
半透明なリングの色と半透明デザインで光の透過の相乗効果を出せる。
引手本体の底部裏側にデザインがあるので汚れないし、また傷も付かない。
一方遮光性を重要視する場合は デザイン体を遮光性にしリングを不透明にすると隣室からの光が漏れず、特に就寝時にも不快でない。
引手本体を脱着可能な構造にしているのでリングやデザイン体の取り替えが簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(A)は本発明の実施例を示す構成図、(B)は構成を示す断面図
【図2】同 光の経路を遮断する事の説明図
【図3】同 光の経路を遮断する事の拡大図
【図4】同 引手本体とリングの組み立てを示す構成図
【図5】従来の引手本体の説明図(背景技術の説明)(A)正面図 (B)側面図
【図6】同 引手本体と雌型引手の組み立てを示す構成図(背景技術の説明)
【図7】同 図6において組み合わせた図(背景技術の説明)
【図8】同 組み合わせた引手で光の透過経路の説明図
【図9】同 図8の光の透過経路の拡大図
【図10】同 内側に嵌合用の細いすじをもつリングの説明図
【図11】同 フスマの切り口のアラの挟み込みの説明図
【図12】同 フスマの切り口のアラをかくす事の説明図
【図13】同 フスマの切り口のアラをかくす事(リング同士で嵌合)の説明図
【図14】同 フスマの切り口が側面から見える事の説明図
【図15】同 フスマの切り口が側面から見えるのをかくす事の説明図
【図16】同 嵌合用リングでデザイン体を押さえる事の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明を襖に応用した実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1(本発明の実施例を示す構成図)の説明例
図1は本発明を襖の引手に応用したものを示したものであり、(B)は正面断面図で(A)はその平面図である。仕切2の一部を円形状にくり抜き貫通させ、そこに引手本体1を設け、この引手本体1には円形の凹部3が形成され、その側面1cに手を掛けて、仕切2を開閉する。凹部3の底部1bは透明な材料で構成され、底部1bの裏面には装飾用のデザインが施されている。この装飾用デザインは裏面に接している場合も接していない場合も可能である。従って図1の上部から見ると透明な底部1bを透して底部1bの裏側デザインを見ることが出来る。又隣室の光を利用してデザインを浮かび上がらせる事も可能である。
【実施例2】
【0010】
図8(組み合わせた引手で光の透過経路の説明図)は引手本体1と雌型本体7とを組み合わせて、仕切の両面から組で使用する場合の実施例であり、透明な底部1bにデザイン体4a、4bをそれぞれ設け、それぞれの部屋から引手のデザインをみることができる。この場合デザイン体4a、4bを透明にし両面のデザイン体4をそれぞれちがったものにすれば光の透過で相乗効果を生むことが出来る。
光の透過の拡大図を図9(図8の光の透過経路の拡大図)に示す。又嵌合部7dを二重成型で半透明の着色をすれば光の効果によりデザイン体4a、4bをよりきれいに浮かび上がらせることが可能である。
【0011】
次ぎに隣室からの光を遮断する場合についての実施例を示す。引手を単体で使用する場合や仕切の両面から組で使用する場合において、透明の素材を使うと光の透過が問題になる。特に寝室のしきりに使用する時には図8(組み合わせた引手で光の透過経路の説明図)のごとく隣室の光が漏れて就寝時非常に気味悪く感じる人が多い事が言われている。組で使用する場合において図8のデザイン体4a、4bに光の透過を遮断する素材を使用しても嵌合部7dが透明であるため上部から下部へと光が漏れる事が新しい問題となってくる。図6(引手本体と雌型引手の構成図(背景技術の説明))において引手本体1の側面1cを透明にし、雌型引手7で手を掛ける凹部3aの側面7cと、嵌合部7dを一体成型しているため透明樹脂で成型すると、隣室の光が透過してくる。
一般的に引手はフスマの両側に使う場合が多いが、フスマを貫通する孔を設けた時、図8に示すように引手本体が透明なので隣室の光が漏れてくる不都合に対して底部1bの裏側に設けるデザイン体4a、4bを不透明な材質で構成し、嵌合部7dを同様に不透明な材質で構成すると光の透過を遮断することが出来る。
【実施例3】
【0012】
図2(光の経路を遮断する事の説明図)は引手本体1を2つ組み合わせて仕切の両側から使用する実施例を示したものである。光の透過を防ぐために手を掛ける凹部3の側面1cとリング8を個別に成型し、手を掛ける側面1cは透明素材で作り、リング8は光を透過しない材質で作る。またこのリング8は、図4(引手本体とリングの構成図)の組み立て図に示すように引手本体1の外周に設けられた嵌合用突起6と組み合わせるための嵌合用すじ9を内側に持つものである。嵌合用すじ9は、リング内側に複数個の溝から構成されている。しかも図2のデザイン体4a、4bに光の透過を遮断する素材を使用する事で光の隣室への漏れを防止する事が出来る。
図2は引手が光の経路を遮断する事の説明図で、この引手は、主として仕切2を襖としてこれに取りつけた引手本体1と透明な底部1bの裏面に貼り付けたデザイン体4a、4bとリング8から構成される。図3(光の経路を遮断する事の拡大図)の拡大図において光が上から入ってくる場合、まず遮光性のデザイン体4aで光がブロックされると共にリング8が不透明であるのでここでも光がブロックされるので、結局上側から下側へ光が透過することが出来なくなる。
【0013】
一般的には引手を取りつけるためにフスマに穴を開けるが、ドリルで開けた時襖がギザギザに切れて汚くなる。この切り口は結構見劣りのするものである。図2に示すように、リング8が不透明であるのでフスマの切り口のアラが手を掛ける凹部3の側面1cを透して見えるのを防ぐ事が出来る。
図4(引手本体とリングの構成図)でつば1aが透明であるとフスマの切り口のアラが見える事がある。この場合引手本体1のつば1aの裏側に遮光性のデザイン体(図示せず)を設けるとアラが見えなくする事が出来る。
【0014】
前記の対策を行っても図11(フスマの切り口のアラの挟み込みの説明図)に示すように、リング8とつば1aの裏側が密着している引手を取付ける際、リングの端面にフスマの切り口のアラ11が乗っており、これに相手の引手を取りつけるとフスマの切り口のアラ11がつば1aとリング8の端面に挟まり表から見えるという不都合が起こってしまう事がある。これを解決するため、図12(フスマの切り口のアラをかくす事の説明図)に示すようにまず最初にリング8aの端面をつば1aの裏に密着させ、しかる後にリング8を装着したもう一つの引手本体1を嵌合させるとフスマの切り口のアラ11は見えなくなる。
【0015】
又、図13(フスマの切り口のアラをかくす事(リング同士で嵌合)の説明図)のようにリングを分割しそれぞれを嵌合できる構造として、最初に分割したリング8b,8cのそれぞれの端面をつば1aの裏に密着させておき、まずリング8bを装着した引手本体1をフスマに取付け、その後に同様にリング8cを装着したもう一つの引手本体1を嵌合させるとフスマの切り口のアラ11は表から見えなくする事が出来る。
【0016】
襖の厚みが様々で、厚みのあるフスマに引手を取りつけた時、図14(フスマの切り口が側面から見える事の説明図)に示すがごとくフスマの切り口のアラが引手凹部の側面7を通して見えてしまう不都合が起こる。この場合に図15(フスマの切り口が側面から見えるのをかくす事の説明図)に示すように引手凹部の側面7の内側もしくは外側に模様を付けて光が通りにくくすれば解決する。実際には前述の引手凹部の側面7の内側もしくは外側にローレット状のすじを設けるか、凹凸のデザインを設けるか、不透明なシールを貼るか、塗料等を塗ると光が通りにくくなる。また図15のごとくひれ付きリング8dを前述したように最初につば1aの裏に密着させ、しかる後にリング8cを装着したもう一方の引手本体1を嵌合させるとフスマの切り口のアラは凹部の側面7から見えなくなる。
【0017】
図16(嵌合用リングでデザイン体を押さえる事の説明図)に示すようにリング8b、8cが嵌合出来るようにし、つば部13の裏面のデザイン体4a、4bを押さえるためヒレ8ba、ヒレ8cbを設けるとアラを見えなく出来る。リング8b、8cにヒレ8bc、8cdを設けて不透明な紙等で出来たデザイン体4a、4bを押さえると光の遮光性が出来、又紙等の固定が確実に出来る。この場合リング8b、リング8cは、嵌合、光の遮断、デザイン体4a、4bの押さえの役を兼ねる機能を果たし、アラをかくす為にも重要な役割を果たす。
【0018】
実際の襖の厚みは11mm−25mmで、引手の外径については30mm−70mm位である。この寸法はこれにこだわらなくても機能は果たせる。
リング8は図10(内側に嵌合用の細いすじをもつリングの説明図)のごとく内側に嵌合用すじ9を持っており、図4(引手本体とリングの構成図)のごとく複数本あると様々な襖の厚みに対応出来るものである。前述の嵌合用すじ9は無くても寸法を合わせれば機能を果たせる。リングの材質はプラスチック、金属、木製等を使用できる。また透明、半透明、不透明なものを使用できる。蓄光性にすれば夜間襖の引手の位置を認識しやすい。
夜間のトイレに便利である
又デザイン体4は引手との接触面は接着出来るようになっておりその接着面にデザインを載せている。
【0019】
前述ではデザイン体4a、4bが遮光性であり、粘着性であり、図案が載っているが、引手の裏にデザインを直接印刷したり塗料を塗ったりして、その図案に遮光性の機能をもたせたものでもよい。
また、デザイン体4a、4bは特別のデザインではなくて遮光性の機能のみを担うものでも良い。このデザインはもちろん無地であっても良い。デザイン体4a、4bはそれぞれの表裏両面にデザインが乗っている場合もある。又デザイン体4a、4bは透明、半透明、不透明であってもよい。
その材質はプラスチック、金属、ガラス、紙、木製が使用可能である。またペイントで直に塗る事も可能である。直接印刷したりアルミホイール等も利用できる。その他デザインを乗せることの出来るあらゆる物が使用できる。又蓄光性の物も利用できる。
またデザイン体4a、4bとして写真を使用することも出来る。また写真やその他のデザイン体を透明なデザイン体4a、4bの間に挟んで効果的に見せることも可能である。
この場合、デザイン体4a、4bの間に挟む写真やその他のデザイン体はデザイン体4
a、4bと接していてもよいし、又離れている場合もある。
【0020】
また説明図では丸い引手になっているが、これの形状は四角、楕円、半円、その他の如何なる形状でも対応出来る物である。引手の透明度は薄い透明からすっきりとした透明まであらゆる透明度に対応できうる。もちろん一部が不透明なものも二重成型等で可能である。
また、透明であるが故に隣室で電灯がついているかわかりやすいので点灯、消灯の表示にも使える。またトイレの点灯確認にも使用可能である。
又蓄光性にすると夜間認識しやすい。
又遮光性の使用法はとしては、光が入るとまずい場合で遮光性を重要視し、しかもデザインを目立たせながら引手として使用したい場合に使える。
【0021】
他方、底部を貫通して解放にしたり、又は格子状にして換気孔としても使用可能である。つば部を透明にし、リングを半透明の着色にするとつばの下のデザインをきれいに目立たせる事が出来る。
またデザイン体の交換も可能で、多様なデザインを楽しむことができる。
また底部を解放にしてガラス、レンズ等を嵌めると隣室の状態を監視する事も出来る。
病人、赤ちゃん、ペット等をドアを開けないで状況を把握する事が可能である。
引手本体、リング、デザイン体をそれぞれ様々な形態にして多彩な組合せを楽しめる。
例えば片面が洋室用に斬新なデザイン、そしてもう片面が渋い和室のデザインにしたり、
片面を子供用デザインにもう片面を女性用デザインにしたり出来る。
又裏と表で協調して一つのデザインを作り上げることも可能である。
図4(引手本体とリングの構成図)のごとくリング8は嵌合出来る構造にしているが同様に 図16(嵌合用リングでデザイン体を押さえる事の説明図)でもリング8b、8cは嵌合できる構造にし、又ただ簡単な管状形状だけでなく、ヒレ8ba、8cb、8bc、8cdを付けたりもする。また襖に食い込んで廻り止めのためリング外周に襖嵌合用突起14を一個又は複数個付けると襖に固定しやすい。実際には外周部に4箇所、90度の間隔で設けるのが望ましい形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
襖の引手以外にもドア、冷蔵庫等の電気機器、戸棚、物入れ、納戸等の引手にも適応出来る。又小さなものではパソコンやコピー機等の事務機の部分的な引き戸等にも適応出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 引手本体
1a つば
1b 底部
1c 凹部の側面
2 仕切
3 凹部
3a 凹部
4 デザイン体
5 光の経路
6 嵌合用突起
7 雌型引手
7c 凹部の側面
7d 嵌合部
8 リング
8a リング
8b リング(嵌合)
8c リング(嵌合)
8d ひれ付きリング
8ba ヒレ
8cb ヒレ
8bc ヒレ
8cd ヒレ
9 嵌合用すじ
10 襖
11 フスマの切り口のアラ
12 模様
13 つば部
14 襖嵌合用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切上に引手本体を設け、前記引手本体は透明な底部を有し、底部の裏面又は裏面を通して裏側が見えることを特徴とする仕切用装飾引手。
【請求項2】
仕切を挟んで引手本体を2つ設けた請求項1記載の仕切用装飾引手。
【請求項3】
引手本体は透明な材料で構成され、前記引手本体に手を掛ける凹部を持ち、前記凹部の外側にリングを設けた請求項2記載の仕切用装飾引手。
【請求項4】
前記引手本体の凹部の側面内側か外側に模様を設けた請求項3記載の仕切用装飾引手。
【請求項5】
引手本体とリングとが一体に構成された請求項3から請求項4までいずれか1項に記載の仕切用装飾引手。
【請求項6】
リングが軸方向に分割された請求項3から請求項5までいずれか1項に記載の仕切用装飾引手。
【請求項7】
引手本体のつば部裏面又は底部の裏面の少なくともどちらか一方にデザイン体を設けた請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の仕切用装飾引手。
【請求項8】
リングは、引手本体にデザイン体を押さえる機能を有することを特徴とする請求項7記載の仕切用装飾引手。
【請求項9】
デザイン体とリングは、それぞれ不透明な材料で構成されたことを特徴とする請求項7から請求項8までのいずれか1項に記載の仕切用装飾引手。
【請求項10】
軸方向に分割されたリングが嵌合可能な機能を有することを特徴とする請求項6から請求項9までいずれか一項に記載の仕切用装飾引手。
【請求項11】
リングは仕切に固定するための突起を外周に1個又は複数個設ける事を特徴と する請求項3から請求項10までいずれか一項に記載の仕切用装飾引手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−275759(P2010−275759A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128543(P2009−128543)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(391007909)成和樹脂工業株式会社 (3)