仕口ダンパ及び仕口部の構造
【課題】接着部分が剥がれても、荷重伝達を可能とする仕口ダンパ及び仕口部の構造を提供する
【解決手段】柱11に固定される第2の剛性部材3の本体部3Aの4隅を含む6箇所には、取付穴3cが形成され、この取付穴3cを通じて取付ねじ5Bが筋交い材にねじ込まれて第2の剛性部材3の本体部3Aが筋交い材12に固定される。この各取付穴3cに対応して、減衰材4および第1の剛性部材2を貫通する貫通穴4b,2bが設けられている。これら貫通穴4b,2bは、取付穴3cよりも大径になっている。
【解決手段】柱11に固定される第2の剛性部材3の本体部3Aの4隅を含む6箇所には、取付穴3cが形成され、この取付穴3cを通じて取付ねじ5Bが筋交い材にねじ込まれて第2の剛性部材3の本体部3Aが筋交い材12に固定される。この各取付穴3cに対応して、減衰材4および第1の剛性部材2を貫通する貫通穴4b,2bが設けられている。これら貫通穴4b,2bは、取付穴3cよりも大径になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅等の木造建築物に用いられる仕口ダンパ及び仕口部の構造に関する
【背景技術】
【0002】
従来、戸建木造住宅においては、耐震性を向上させるため、仕口部において鉛直材(柱など)と横架材(土台、梁など)に補強用金物を固定し、剛性を高める構造とするのが一般的である。
【0003】
そのような仕口部の構造において、ダンパー効果を得るために仕口ダンパを設けることが知られている(たとえば、特許文献1照)。その仕口ダンパは、筋交い材の端部を鉛直材および横架材に結合するもので、前記筋交い材に固定具にて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材の側面と前記横架材の水平面との間に固定具にて固定される第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定される高減衰ゴムなどの減衰材とを備え、これらが一体に定着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010ー024656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような仕口ダンパは、設置状態で長期間にわたって使用されるものであるが、前記特許文献1に記載のようなものでは、前記減衰材が、第1および第2の剛性部材に接着により固定されているだけであるので、使用期間中に接着部分が剥がれるおそれがある。接着部分が剥がれると、減衰効果を十分に発揮できないばかりか、筋交い材からの荷重を鉛直材や横架材に伝達することができない。
【0006】
そこで、本発明は、接着部分が剥がれても、荷重伝達を可能とする仕口ダンパ及び仕口部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の軸状固定具にて第1の取付穴を通じて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材に対し第2の軸状固定具にて第2の取付穴を通じて固定され第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定され前記第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材とを備える仕口ダンパであって、第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、第3の取付穴は、第3の貫通穴通穴及び第2の貫通穴を通じて、第2の剛性部材を前記筋交い材に第3の軸状固定具によって固定するためのものであることを特徴とする。なお、第1および第2の剛性部材としては鋼板や金属板、FRPなどの合成樹脂板などが、第1〜第3の軸状固定具としては、釘、木ねじなどが、減衰材としては高減衰ゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴムなどをそれぞれ用いることができる。第1および第2の剛性部材と減衰材との接着には、加硫接着や接着剤による接着などが含まれる。
【0008】
このようにすれば、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材は筋交い材に第3の軸状固定具にて固定されているため、前記筋交い材からの荷重を、第3の軸状固定具を通じて、前記鉛直材に伝達される。
【0009】
そして、請求項2に記載のように、第2及び第3の貫通穴は、第3の取付穴よりも直径が大きいことが望ましい。
【0010】
このようにすれば、筋交い材材側の第3及び第2の貫通穴は、前記鉛直材側の第3の取付穴よりも直径が大きいので、前記接着部分が剥がれていない場合には、その直径差の範囲で第3の軸状固定具が撓むことができ、第3の軸状固定具の曲げ剛性の影響は受けるが、減衰材の減衰性能は確実に確保される。
【0011】
つまり、建物が揺れて前記筋交い材が設けられている耐力壁の木造フレームに対し横方向から力が加えられた場合、最も応力集中が生じる前記筋交い材に作用する力を、前記減衰材が前記筋交い材の圧縮方向や引張方向などにせん断変形することにより吸収することができる。つまり、建物が受ける地震や強風などの揺れによるエネルギーを、前記減衰材のせん断変形により吸収し、建物の揺れを抑制して早期に止めることができる。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、第2及び第第3の貫通穴の直径は、第3の取付穴の直径の2倍を超えることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、第3の軸状固定具が撓む範囲が十分に確保される。
【0014】
請求項4の発明は、筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の剛性部材がそれの第1の取付穴を通じて第1の軸状固定具によって固定され、前記鉛直材に対し第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材が第2の取付穴を通じて第2の軸状固定具によって固定され、第1および第2の剛性部材の間に、第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材が接着により固定されている仕口部の構造であって、第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、第3の取付穴から、第3の貫通穴および第2の貫通穴を貫通する第3の軸状固定具によって、第2の剛性部材が前記筋交い材に固定されていることを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、請求項1の発明と同様に、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材は筋交い材に第3の軸状固定具にて固定されているため、前記筋交い材からの荷重は、第3の軸状固定具を通じて、前記鉛直材に伝達される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のように、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材を第3の軸状固定具にて筋交い材に固定しているので、第3の軸状固定具を通じて、筋交い材からの荷重を鉛直材に伝達することができる。つまり、第3の軸状固定具による固定を利用して、フェイルセーフ効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る仕口ダンパの正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】同背面図である。
【図5】図1のA−A線における断面図である。
【図6】図1のB−B線における断面図である。
【図7】本発明に係る木造建築物の耐力壁となる木造フレーム(片筋交い材の軸組)の正面図である。
【図8】図7のC部拡大図である。
【図9】図7のD方向矢視図である。
【図10】フェイルセーフ機能の説明図である。
【図11】フェイルセーフ効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0019】
図1〜図6は本発明に係る仕口ダンパの一実施の形態を示しており、図1は正面図、図2は側面図、図3は底面図、図4は背面図、図5は図1のA−A線断面図、図6は図1のB−B線断面図である。
【0020】
図1〜図4に示すように、仕口ダンパ1は、鋼板からなる第1および第2の剛性部材2,3間に、高減衰ゴムからなるシート状の減衰材4を挟み込み、加硫あるいは接着剤による接着によって一体化したものである。
【0021】
第1の剛性部材2は、四隅に面取り加工を施した略正方形状に形成されている。第2の剛性部材3は断面L字形状に形成され、第1の剛性部材2よりも一回り大きい略台形状の板状の本体部3Aと、この本体部3Aの最も長い辺の縁部よりそれに直交する方向に延びる取付部3Bとを備える。減衰材4は、第1の剛性部材2および本体部3Aよりもやや小さい正方形状に形成されている。
【0022】
そして、減衰材4の一側面と第1の剛性部材2の一側面とが、減衰材4の他側面と第2の剛性部材3の、取付部3Bが突出している側とは反対側の面とが接着されて一体化されている。
【0023】
この実施の形態では、第1および第2の剛性部材2,3は、それぞれ板厚が、例えば、2.6mm,2.3mmとされ、減衰材4の厚さは、例えば5mmである。そして、第2の剛性部材3の板厚が第1の剛性部材2の板厚よりも薄くなっている。
【0024】
第2の剛性部材3の取付部3Bには、図2に示すように、複数の取付穴3a(第2の取付穴)が設けられており、これらの取付穴3aは本体部3A側の部分と取付部長手方向の各端部付近に配置されている。この取付穴3aを通じて、第2の軸状固定具である取付ねじ(例えば木ねじ、図示せず)が柱11(鉛直材)にねじ込まれて、前記取付ねじによって第2の剛性部材3(取付部3B)が柱11に固定される。
【0025】
また、第1の剛性部材2には、図4及び図5に示すように、中央部付近に複数の取付穴2a(第1の取付穴、例えば直径6mm)が形成され、これらの取付穴2aを通じて第1の軸状固定具である取付ねじ5Aが筋交い材12にねじ込まれて、この取付ねじ5Aによって第1の剛性部材2が筋交い材12に固定される。
【0026】
各取付穴2aに対応して、図1、図4及び図5に示すように、第2の剛性部材3(本体部3A)を貫通する複数の貫通穴3b(第4の貫通穴)、および減衰材4を貫通する複数の貫通穴4a(第1の貫通穴)が設けられている。これら貫通穴3b,4aは、同じ大きさで、取付穴2aよりも大径で、貫通穴3b,4aの直径は、取付穴2aの直径の2倍を超える大きさとなっている。例えば、取付穴2aは直径6mmとされ、貫通穴3b,4aは直径12mmとされる。
【0027】
また、第2の剛性部材3の本体部3Aの4隅を含む周囲6箇所には、第3の取付穴として取付穴3c(直径6mm)が形成され、この取付穴3cを通じて取付ねじ5B(第3の軸状固定具)が筋交い材12にねじ込まれて、取付ねじ5Bによって第2の剛性部材3(本体部3A)が筋交い材12に直接に固定される。
【0028】
この各取付穴3cに対応して、図6に示すように、減衰材4および第1の剛性部材2にはそれらを貫通する貫通穴4b,2b(第3及び第2の貫通穴)が設けられている。これら貫通穴4b,2bは、同じ大きさで、取付穴3cよりも大径で、貫通穴4b,2bの直径は、取付穴3cの直径の2倍を超える大きさとなっている。これにより第1の剛性部材2に対し第2の剛性部材3(本体部3A)が相対変位した場合に、取付ねじ5Bが貫通穴4b,2bの直径差の範囲内で曲がることで、減衰材4をせん断変形させ、減衰材4によるダンパー効果を損なわないようになっている。例えば、取付穴3cは直径6mmとされ、貫通穴4b,2bは直径12mmとされる。
【0029】
続いて、この仕口ダンパ1の設置方法について、図7〜図9に沿って説明する。
【0030】
図7〜図9に示す木造フレーム10おいて、11は鉛直材である柱、12は筋交い材、13,14は横架材である梁及び土台である。この筋交い材12の端部は、柱11および、梁13,土台14に直接には固定されていない。つまり、仕口部において、第1の剛性部材2を筋交い材12の端部に当接させるとともに、第2の剛性部材3の取付部3Bを柱11の側面に当接させた状態で配置している。そして、取付部3Bの取付穴3aに取付ねじ5Aをねじ込み、取付部3Bを柱11に固定し、筋交い材12に対向している第1の剛性部材2の取付穴2aに、第2の剛性部材3側から取付ねじ5Aを貫通穴3b,4aを通じてねじ込み、第1の剛性部材2を筋交い材12に固定する。
【0031】
それとともに、本体部3Aの取付穴3cに取付ねじ5Bをねじ込み、本体部3Aを筋交い材12に固定し、筋交い材12に対向している本体部3Aの取付穴3cに、第2の剛性部材3側から取付ねじ5Bを貫通穴4b,2bを通じてねじ込み、第2の剛性部材3(本体部3A)を筋交い材12に固定する。ここで、貫通穴4b,2bの直径は、取付ねじ5Bの軸部の径よりも大きいので(図6参照)、減衰材4のせん断変形により第1及び第2の剛性部材2,3が相対変位しても、取付ねじ5Bが撓んで曲がり、減衰材4によるダンパー効果を損なわないようになっている。
【0032】
これにより、筋交い材12には、第1及び第2の剛性部材2,3の両方が固定される。第1及び第2の剛性部材2,3の固定に用いる取付ねじ5A,5Bは同じもので、第2の剛性部材3の、筋交い材12に対する固定に用いる取付ねじ5Bの本数は、第1の剛性部材2の、筋交い材12に対する固定に用いる取付ねじ5Aの1/3〜1/2の本数が用いられる。
【0033】
このようにして仕口ダンパ1を、仕口部に設置すれば、筋交い材12と柱11とが仕口ダンパ1を介して結合された状態になる。これと同じ要領で、筋交い材12の反対側の端部にも仕口ダンパ1を設置する。なお、仕口ダンパ1の、本体部3Aの取付穴3aは全体にわたって散在して設けられており、筋交い材12の取付角度に合わせて取付ねじ5A,5Bを使用する取付穴3aを適宜選択できるようになっている。
【0034】
これにより、この木造建築物が地震などによる揺れを受け、木造フレーム10に横方向(水平方向)の揺れが発生すると、筋交い材12には木造フレーム10の変形に伴い圧縮力および引張り力が交互に作用する。そうすると、仕口ダンパ1の減衰材4が、筋交い材12の圧縮方向あるいは引張り方向に応じてせん断変形し、木造フレーム10にかかる地震等のエネルギーを効率良く吸収して揺れを抑える。こうして、建物の揺れを効果的に抑えて早期に止めることができるため、建物の倒壊を防ぐことができる。しかも、仕口ダンパ1は、木造フレーム10の内側断面内に設置されるため、土台14が交差している仕口部にも設置することが可能であり、設置箇所の制限を受けることがない。よって、筋交い材12をたすき掛けに設けた木造フレーム10に対して、各筋交い材12に仕口ダンパ1を設置し、制震性能の向上を図ることができ、また、仕口ダンパ1の設置数によって建築物の剛性や減衰量などの調整を容易に行うことができる。このように、仕口ダンパ1は木造フレーム10の内側断面内に設置されるため、外壁や構造用合板などの外装材に干渉せず、外装材の施工を簡単に行うことができる。
【0035】
また、第2の剛性部材3の本体部3Aは筋交い材12に固定されているので、減衰材4の、第1あるいは第2の剛性部材2,3との接着部分が剥がれても、第1及び第2の剛性部材2,3の減衰材4を介しての結合が解除されても、第2の剛性部材3と筋交い材12とは取付ねじ5B(第3の軸状固定具)を介して結合されているため、取付ねじ5Bによる結合によって、仕口部における必要な剛性は確保される。つまり、筋交い材12からの荷重は、取付ねじ5Bを通じて柱11に伝達され、取付ねじ5Bによるフェイルセーフ機能が発揮されることになる。なお、前述したように、貫通穴4b,2bの直径は、取付穴3cの直径よりも大きくなっているので、減衰材4の接着が剥がれていない場合には、取付ねじ5Bが減衰材4や第1の剛性部材2に衝突することがなく、減衰材4による減衰性能が確実に確保される。
【0036】
このことから、図10に示すように、減衰材4で受けうる荷重(図8のラインB参照)と、取付ねじ5Bによって受ける得る荷重(図8のラインC参照)との和が、減衰材4と取付ねじ5Bとの組み合わせによって受けうる荷重(図8のラインA参照)となっていることがわかる。
【0037】
また、図11に示すように、減衰材4の接着部分が剥がれても、筋交い材13と柱11とは取付ねじ5B及び第2の剛性部材3とによって結合され、所定の荷重を受ける得ることが、実験により確認されている。
【0038】
本発明は,前述したほか、次のように変更して実施することも可能である。
【0039】
(i)筋交い材12を鉛直材11の側面11aと土台12の上面12aとに端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付けることもできる。仕口部10をこのような構造にすれば、木造フレームFが横方向から力を受けて、筋交い材12に圧縮力が働くときは、筋交い材12が突っ張って横方向からの力に抵抗する。一方、筋交い材12に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い材12の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレーム10の揺れを抑えることができる。
【0040】
(ii)上記の実施形態においては、仕口ダンパを筋交い材12の両端に設置している例を示したが、一方にのみ設けることも可能であるし、また、他方に従来の金具を設置して組み合わせて使用することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 仕口ダンパ
2 第1の剛性部材
2a 取付穴(第1の取付穴)
2b 貫通穴(第2の貫通穴)
3 第2の剛性部材
3a 取付穴(第2の取付穴)
3b 貫通穴(第4の貫通穴)
3c 取付穴(第3の取付穴)
4 減衰材
4a 貫通穴(第1の貫通穴)
4b 貫通穴(第3の貫通穴)
5A 取付ねじ(第1の軸状固定具)
5B 取付ねじ(第3の軸状固定具)
10 仕口部
11 柱(鉛直材)
11a 側面
12 土台
12a 上面(土台)
13 筋交い材
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅等の木造建築物に用いられる仕口ダンパ及び仕口部の構造に関する
【背景技術】
【0002】
従来、戸建木造住宅においては、耐震性を向上させるため、仕口部において鉛直材(柱など)と横架材(土台、梁など)に補強用金物を固定し、剛性を高める構造とするのが一般的である。
【0003】
そのような仕口部の構造において、ダンパー効果を得るために仕口ダンパを設けることが知られている(たとえば、特許文献1照)。その仕口ダンパは、筋交い材の端部を鉛直材および横架材に結合するもので、前記筋交い材に固定具にて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材の側面と前記横架材の水平面との間に固定具にて固定される第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定される高減衰ゴムなどの減衰材とを備え、これらが一体に定着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010ー024656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような仕口ダンパは、設置状態で長期間にわたって使用されるものであるが、前記特許文献1に記載のようなものでは、前記減衰材が、第1および第2の剛性部材に接着により固定されているだけであるので、使用期間中に接着部分が剥がれるおそれがある。接着部分が剥がれると、減衰効果を十分に発揮できないばかりか、筋交い材からの荷重を鉛直材や横架材に伝達することができない。
【0006】
そこで、本発明は、接着部分が剥がれても、荷重伝達を可能とする仕口ダンパ及び仕口部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の軸状固定具にて第1の取付穴を通じて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材に対し第2の軸状固定具にて第2の取付穴を通じて固定され第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定され前記第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材とを備える仕口ダンパであって、第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、第3の取付穴は、第3の貫通穴通穴及び第2の貫通穴を通じて、第2の剛性部材を前記筋交い材に第3の軸状固定具によって固定するためのものであることを特徴とする。なお、第1および第2の剛性部材としては鋼板や金属板、FRPなどの合成樹脂板などが、第1〜第3の軸状固定具としては、釘、木ねじなどが、減衰材としては高減衰ゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴムなどをそれぞれ用いることができる。第1および第2の剛性部材と減衰材との接着には、加硫接着や接着剤による接着などが含まれる。
【0008】
このようにすれば、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材は筋交い材に第3の軸状固定具にて固定されているため、前記筋交い材からの荷重を、第3の軸状固定具を通じて、前記鉛直材に伝達される。
【0009】
そして、請求項2に記載のように、第2及び第3の貫通穴は、第3の取付穴よりも直径が大きいことが望ましい。
【0010】
このようにすれば、筋交い材材側の第3及び第2の貫通穴は、前記鉛直材側の第3の取付穴よりも直径が大きいので、前記接着部分が剥がれていない場合には、その直径差の範囲で第3の軸状固定具が撓むことができ、第3の軸状固定具の曲げ剛性の影響は受けるが、減衰材の減衰性能は確実に確保される。
【0011】
つまり、建物が揺れて前記筋交い材が設けられている耐力壁の木造フレームに対し横方向から力が加えられた場合、最も応力集中が生じる前記筋交い材に作用する力を、前記減衰材が前記筋交い材の圧縮方向や引張方向などにせん断変形することにより吸収することができる。つまり、建物が受ける地震や強風などの揺れによるエネルギーを、前記減衰材のせん断変形により吸収し、建物の揺れを抑制して早期に止めることができる。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、第2及び第第3の貫通穴の直径は、第3の取付穴の直径の2倍を超えることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、第3の軸状固定具が撓む範囲が十分に確保される。
【0014】
請求項4の発明は、筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の剛性部材がそれの第1の取付穴を通じて第1の軸状固定具によって固定され、前記鉛直材に対し第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材が第2の取付穴を通じて第2の軸状固定具によって固定され、第1および第2の剛性部材の間に、第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材が接着により固定されている仕口部の構造であって、第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、第3の取付穴から、第3の貫通穴および第2の貫通穴を貫通する第3の軸状固定具によって、第2の剛性部材が前記筋交い材に固定されていることを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、請求項1の発明と同様に、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材は筋交い材に第3の軸状固定具にて固定されているため、前記筋交い材からの荷重は、第3の軸状固定具を通じて、前記鉛直材に伝達される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のように、減衰材の接着部分が剥がれても、第2の剛性部材を第3の軸状固定具にて筋交い材に固定しているので、第3の軸状固定具を通じて、筋交い材からの荷重を鉛直材に伝達することができる。つまり、第3の軸状固定具による固定を利用して、フェイルセーフ効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る仕口ダンパの正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】同背面図である。
【図5】図1のA−A線における断面図である。
【図6】図1のB−B線における断面図である。
【図7】本発明に係る木造建築物の耐力壁となる木造フレーム(片筋交い材の軸組)の正面図である。
【図8】図7のC部拡大図である。
【図9】図7のD方向矢視図である。
【図10】フェイルセーフ機能の説明図である。
【図11】フェイルセーフ効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0019】
図1〜図6は本発明に係る仕口ダンパの一実施の形態を示しており、図1は正面図、図2は側面図、図3は底面図、図4は背面図、図5は図1のA−A線断面図、図6は図1のB−B線断面図である。
【0020】
図1〜図4に示すように、仕口ダンパ1は、鋼板からなる第1および第2の剛性部材2,3間に、高減衰ゴムからなるシート状の減衰材4を挟み込み、加硫あるいは接着剤による接着によって一体化したものである。
【0021】
第1の剛性部材2は、四隅に面取り加工を施した略正方形状に形成されている。第2の剛性部材3は断面L字形状に形成され、第1の剛性部材2よりも一回り大きい略台形状の板状の本体部3Aと、この本体部3Aの最も長い辺の縁部よりそれに直交する方向に延びる取付部3Bとを備える。減衰材4は、第1の剛性部材2および本体部3Aよりもやや小さい正方形状に形成されている。
【0022】
そして、減衰材4の一側面と第1の剛性部材2の一側面とが、減衰材4の他側面と第2の剛性部材3の、取付部3Bが突出している側とは反対側の面とが接着されて一体化されている。
【0023】
この実施の形態では、第1および第2の剛性部材2,3は、それぞれ板厚が、例えば、2.6mm,2.3mmとされ、減衰材4の厚さは、例えば5mmである。そして、第2の剛性部材3の板厚が第1の剛性部材2の板厚よりも薄くなっている。
【0024】
第2の剛性部材3の取付部3Bには、図2に示すように、複数の取付穴3a(第2の取付穴)が設けられており、これらの取付穴3aは本体部3A側の部分と取付部長手方向の各端部付近に配置されている。この取付穴3aを通じて、第2の軸状固定具である取付ねじ(例えば木ねじ、図示せず)が柱11(鉛直材)にねじ込まれて、前記取付ねじによって第2の剛性部材3(取付部3B)が柱11に固定される。
【0025】
また、第1の剛性部材2には、図4及び図5に示すように、中央部付近に複数の取付穴2a(第1の取付穴、例えば直径6mm)が形成され、これらの取付穴2aを通じて第1の軸状固定具である取付ねじ5Aが筋交い材12にねじ込まれて、この取付ねじ5Aによって第1の剛性部材2が筋交い材12に固定される。
【0026】
各取付穴2aに対応して、図1、図4及び図5に示すように、第2の剛性部材3(本体部3A)を貫通する複数の貫通穴3b(第4の貫通穴)、および減衰材4を貫通する複数の貫通穴4a(第1の貫通穴)が設けられている。これら貫通穴3b,4aは、同じ大きさで、取付穴2aよりも大径で、貫通穴3b,4aの直径は、取付穴2aの直径の2倍を超える大きさとなっている。例えば、取付穴2aは直径6mmとされ、貫通穴3b,4aは直径12mmとされる。
【0027】
また、第2の剛性部材3の本体部3Aの4隅を含む周囲6箇所には、第3の取付穴として取付穴3c(直径6mm)が形成され、この取付穴3cを通じて取付ねじ5B(第3の軸状固定具)が筋交い材12にねじ込まれて、取付ねじ5Bによって第2の剛性部材3(本体部3A)が筋交い材12に直接に固定される。
【0028】
この各取付穴3cに対応して、図6に示すように、減衰材4および第1の剛性部材2にはそれらを貫通する貫通穴4b,2b(第3及び第2の貫通穴)が設けられている。これら貫通穴4b,2bは、同じ大きさで、取付穴3cよりも大径で、貫通穴4b,2bの直径は、取付穴3cの直径の2倍を超える大きさとなっている。これにより第1の剛性部材2に対し第2の剛性部材3(本体部3A)が相対変位した場合に、取付ねじ5Bが貫通穴4b,2bの直径差の範囲内で曲がることで、減衰材4をせん断変形させ、減衰材4によるダンパー効果を損なわないようになっている。例えば、取付穴3cは直径6mmとされ、貫通穴4b,2bは直径12mmとされる。
【0029】
続いて、この仕口ダンパ1の設置方法について、図7〜図9に沿って説明する。
【0030】
図7〜図9に示す木造フレーム10おいて、11は鉛直材である柱、12は筋交い材、13,14は横架材である梁及び土台である。この筋交い材12の端部は、柱11および、梁13,土台14に直接には固定されていない。つまり、仕口部において、第1の剛性部材2を筋交い材12の端部に当接させるとともに、第2の剛性部材3の取付部3Bを柱11の側面に当接させた状態で配置している。そして、取付部3Bの取付穴3aに取付ねじ5Aをねじ込み、取付部3Bを柱11に固定し、筋交い材12に対向している第1の剛性部材2の取付穴2aに、第2の剛性部材3側から取付ねじ5Aを貫通穴3b,4aを通じてねじ込み、第1の剛性部材2を筋交い材12に固定する。
【0031】
それとともに、本体部3Aの取付穴3cに取付ねじ5Bをねじ込み、本体部3Aを筋交い材12に固定し、筋交い材12に対向している本体部3Aの取付穴3cに、第2の剛性部材3側から取付ねじ5Bを貫通穴4b,2bを通じてねじ込み、第2の剛性部材3(本体部3A)を筋交い材12に固定する。ここで、貫通穴4b,2bの直径は、取付ねじ5Bの軸部の径よりも大きいので(図6参照)、減衰材4のせん断変形により第1及び第2の剛性部材2,3が相対変位しても、取付ねじ5Bが撓んで曲がり、減衰材4によるダンパー効果を損なわないようになっている。
【0032】
これにより、筋交い材12には、第1及び第2の剛性部材2,3の両方が固定される。第1及び第2の剛性部材2,3の固定に用いる取付ねじ5A,5Bは同じもので、第2の剛性部材3の、筋交い材12に対する固定に用いる取付ねじ5Bの本数は、第1の剛性部材2の、筋交い材12に対する固定に用いる取付ねじ5Aの1/3〜1/2の本数が用いられる。
【0033】
このようにして仕口ダンパ1を、仕口部に設置すれば、筋交い材12と柱11とが仕口ダンパ1を介して結合された状態になる。これと同じ要領で、筋交い材12の反対側の端部にも仕口ダンパ1を設置する。なお、仕口ダンパ1の、本体部3Aの取付穴3aは全体にわたって散在して設けられており、筋交い材12の取付角度に合わせて取付ねじ5A,5Bを使用する取付穴3aを適宜選択できるようになっている。
【0034】
これにより、この木造建築物が地震などによる揺れを受け、木造フレーム10に横方向(水平方向)の揺れが発生すると、筋交い材12には木造フレーム10の変形に伴い圧縮力および引張り力が交互に作用する。そうすると、仕口ダンパ1の減衰材4が、筋交い材12の圧縮方向あるいは引張り方向に応じてせん断変形し、木造フレーム10にかかる地震等のエネルギーを効率良く吸収して揺れを抑える。こうして、建物の揺れを効果的に抑えて早期に止めることができるため、建物の倒壊を防ぐことができる。しかも、仕口ダンパ1は、木造フレーム10の内側断面内に設置されるため、土台14が交差している仕口部にも設置することが可能であり、設置箇所の制限を受けることがない。よって、筋交い材12をたすき掛けに設けた木造フレーム10に対して、各筋交い材12に仕口ダンパ1を設置し、制震性能の向上を図ることができ、また、仕口ダンパ1の設置数によって建築物の剛性や減衰量などの調整を容易に行うことができる。このように、仕口ダンパ1は木造フレーム10の内側断面内に設置されるため、外壁や構造用合板などの外装材に干渉せず、外装材の施工を簡単に行うことができる。
【0035】
また、第2の剛性部材3の本体部3Aは筋交い材12に固定されているので、減衰材4の、第1あるいは第2の剛性部材2,3との接着部分が剥がれても、第1及び第2の剛性部材2,3の減衰材4を介しての結合が解除されても、第2の剛性部材3と筋交い材12とは取付ねじ5B(第3の軸状固定具)を介して結合されているため、取付ねじ5Bによる結合によって、仕口部における必要な剛性は確保される。つまり、筋交い材12からの荷重は、取付ねじ5Bを通じて柱11に伝達され、取付ねじ5Bによるフェイルセーフ機能が発揮されることになる。なお、前述したように、貫通穴4b,2bの直径は、取付穴3cの直径よりも大きくなっているので、減衰材4の接着が剥がれていない場合には、取付ねじ5Bが減衰材4や第1の剛性部材2に衝突することがなく、減衰材4による減衰性能が確実に確保される。
【0036】
このことから、図10に示すように、減衰材4で受けうる荷重(図8のラインB参照)と、取付ねじ5Bによって受ける得る荷重(図8のラインC参照)との和が、減衰材4と取付ねじ5Bとの組み合わせによって受けうる荷重(図8のラインA参照)となっていることがわかる。
【0037】
また、図11に示すように、減衰材4の接着部分が剥がれても、筋交い材13と柱11とは取付ねじ5B及び第2の剛性部材3とによって結合され、所定の荷重を受ける得ることが、実験により確認されている。
【0038】
本発明は,前述したほか、次のように変更して実施することも可能である。
【0039】
(i)筋交い材12を鉛直材11の側面11aと土台12の上面12aとに端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付けることもできる。仕口部10をこのような構造にすれば、木造フレームFが横方向から力を受けて、筋交い材12に圧縮力が働くときは、筋交い材12が突っ張って横方向からの力に抵抗する。一方、筋交い材12に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い材12の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレーム10の揺れを抑えることができる。
【0040】
(ii)上記の実施形態においては、仕口ダンパを筋交い材12の両端に設置している例を示したが、一方にのみ設けることも可能であるし、また、他方に従来の金具を設置して組み合わせて使用することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 仕口ダンパ
2 第1の剛性部材
2a 取付穴(第1の取付穴)
2b 貫通穴(第2の貫通穴)
3 第2の剛性部材
3a 取付穴(第2の取付穴)
3b 貫通穴(第4の貫通穴)
3c 取付穴(第3の取付穴)
4 減衰材
4a 貫通穴(第1の貫通穴)
4b 貫通穴(第3の貫通穴)
5A 取付ねじ(第1の軸状固定具)
5B 取付ねじ(第3の軸状固定具)
10 仕口部
11 柱(鉛直材)
11a 側面
12 土台
12a 上面(土台)
13 筋交い材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の軸状固定具にて第1の取付穴を通じて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材に対し第2の軸状固定具にて第2の取付穴を通じて固定され第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定され前記第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材とを備える仕口ダンパであって、
第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、
第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、
前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、
第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、
第3の取付穴は、第3の貫通穴及び第2の貫通穴を通じて、第2の剛性部材を前記筋交い材に第3の軸状固定具によって固定するためのものであることを特徴とする仕口ダンパ。
【請求項2】
第2及び第3の貫通穴は、第3の取付穴よりも直径が大きいことを特徴とする請求項1に記載の仕口ダンパ。
【請求項3】
第2及び第3の貫通穴の直径は、第3の取付穴の直径の2倍を超えることを特徴とする請求項1または2に記載の仕口ダンパ。
【請求項4】
筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の剛性部材がそれの第1の取付穴を通じて第1の軸状固定具によって固定され、前記鉛直材に対し第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材が第2の取付穴を通じて第2の軸状固定具によって固定され、第1および第2の剛性部材の間に、第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材が接着により固定されている仕口部の構造であって、
第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、
第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、
前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、
第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、
第3の取付穴から、第3の貫通穴および第2の貫通穴を貫通する第3の軸状固定具によって、第2の剛性部材が前記筋交い材に固定されていることを特徴とする仕口部の構造。
【請求項1】
筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の軸状固定具にて第1の取付穴を通じて固定される第1の剛性部材と、前記鉛直材に対し第2の軸状固定具にて第2の取付穴を通じて固定され第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材と、第1および第2の剛性部材の間に接着により固定され前記第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材とを備える仕口ダンパであって、
第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、
第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、
前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、
第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、
第3の取付穴は、第3の貫通穴及び第2の貫通穴を通じて、第2の剛性部材を前記筋交い材に第3の軸状固定具によって固定するためのものであることを特徴とする仕口ダンパ。
【請求項2】
第2及び第3の貫通穴は、第3の取付穴よりも直径が大きいことを特徴とする請求項1に記載の仕口ダンパ。
【請求項3】
第2及び第3の貫通穴の直径は、第3の取付穴の直径の2倍を超えることを特徴とする請求項1または2に記載の仕口ダンパ。
【請求項4】
筋交い材の端部を鉛直材に結合する仕口部において、前記筋交い材に対し第1の剛性部材がそれの第1の取付穴を通じて第1の軸状固定具によって固定され、前記鉛直材に対し第1の取付穴に対応する第4の貫通穴を有する第2の剛性部材が第2の取付穴を通じて第2の軸状固定具によって固定され、第1および第2の剛性部材の間に、第1の取付穴に対応する第1の貫通穴を有するシート状の減衰材が接着により固定されている仕口部の構造であって、
第1の剛性部材は、第2の貫通穴が設けられ、前記減衰材の一面が接着により固定される板状本体部を有するものであり、
第2の剛性部材は、前記鉛直材に固定される取付部と、第3の取付穴が設けられ前記減衰材の他面が接着により固定されている板状本体部とを有するものであり、
前記減衰材は、第2の貫通穴に対応する第3の貫通穴を有するものであり、
第2の貫通穴、第3の貫通穴および第3の取付穴は対応する位置関係にあり、
第3の取付穴から、第3の貫通穴および第2の貫通穴を貫通する第3の軸状固定具によって、第2の剛性部材が前記筋交い材に固定されていることを特徴とする仕口部の構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−180635(P2012−180635A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42032(P2011−42032)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
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