説明

付香成分としての4−ドデセン誘導体

本発明は、香料の分野に関する。殊に、とりわけ天然マンダリンの香調を付与するために有用な付香成分である、4−ドデセンの特定のオキシム、または4−ドデセンのニトリル誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。殊に、有用な付香成分である特定の窒素含有4−ドデセン誘導体に関する。本発明はまた、香料工業における前記化合物の使用、ならびに前記化合物を含む組成物もしくは物品に関する。
【0002】
従来技術
我々の知る限り、本発明による化合物は公知ではない。
【0003】
相応する飽和ニトリル、すなわちドデシルニトリルは、香料業において有用な成分として知られている(S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA,化合物No.1121を参照)。しかしながら、このような構造類似体は、本発明によるニトリルの構造類似体とはまったく異なる官能特性を有する。さらに、この構造類似体について言及している従来技術にも、本発明の化合物を付香成分として、とりわけその成分特有の香気を付与するために使用できると示唆、または予測されていない。
【0004】
本発明の詳細な説明
意外なことに、式
【化1】

[式中、XはCN、またはHN=OH基を表し、かつ炭素炭素二重結合は、立体配置がEもしくはZ、またはこれらの混合体である]
の化合物を、付香成分として、例えばマンダリン系の香調を付与するために使用可能なことが判明した。
【0005】
上記のように、化合物(I)はE異性体、もしくはZ異性体の形であってよく、またはこれらの混合物の形であってもよい。本発明の特別な実施形態によれば、式(I)の化合物としてとりわけ適しているのは、80/20〜99.5/0.5の範囲にわたる比での、異性体(4Z)と(4E)との混合物の形態である化合物である。化合物(I)のさらなる実施態様によれば、炭素炭素二重結合は、立体配置がZである。
【0006】
本発明による化合物の特別な例としては、効果が高く、かつ熟したマンダリンとその果汁に代表される格別な天然マンダリンの匂いを付与する、(4Z)−4−ドデセンニトリルを挙げることができる。
【0007】
前記ニトリルの匂いは、香料業者にとっては非常に興味深い。というのも、マンダリンの匂いがする化合物は、ごく僅かしか知られていない(すなわち、(4Z)−4−ドデセナール、およびシネンサール(2,6,10−トリメチル−2(E),6(E),9(E),11−ドデカテトラエナール)からである。
【0008】
(4Z)−4−ドデセンニトリルの匂いは、シネンサールの匂いに良く似ている(シネンサールの化学構造はかなり異なるものであり、その製造は非常に難しい)。
【0009】
しかしながら、本発明による化合物の匂いを(4Z)−4−ドデセナールの匂いと比較した場合、重要な嗅覚的差異が出てくる。例えば(4Z)−4−ドデセンニトリルは、熟した果物に代表される、はるかに天然性の、暖かみのあるバランスのとれた匂いがする一方、(4Z)−4−ドデセナールには、熟していない果物に代表される、酸味のある、扇情的な(aggresive)特徴がある(この際、熟した果物の典型的な「不快な苦み(wet dog)」相はニトリルの匂いにおける場合よりも顕著ではない)。換言すると本発明によるニトリルは、マンダリンの香調に対する香料業者のパレットを完成させる匂いを有する。
【0010】
(4Z)−4−ドデセンニトリルの匂いを、ドデシルニトリルに類似の飽和ニトリルの匂いと比較すると、その差異はより明らかになる。(4Z)−4−ドデセンニトリルには実際、ドデシルニトリルに典型的な、ハーバルな、脂肪臭の、またはウッディ調の匂いはない。さらに後者の化合物は、オレンジピールの匂いに漠然と似ているだけであり、決してマンダリンのようではない。
【0011】
本発明の化合物の他の特別な例として挙げられるのは、わずかにグリーンな相のマンダリンの香調を与える、(4Z)−4−ドデセナールオキシムである。このオキシムの匂いは、上記ニトリルの匂いよりも顕著ではない。
【0012】
上記のように本発明は、付香成分としての式(I)の化合物の使用に関する。換言すると本発明は、付香組成物の、もしくは付香された物品の匂い特性を付与、強化、改善、または修正するための方法に関し、この方法は前記組成物または物品に少なくとも1つの化合物(I)の有効量を加えることを含む。本発明の特別な実施態様によれば、前記方法、または使用はとりわけ、マンダリン系の香調を付与するために適している。
【0013】
「式(I)の化合物の使用」とはこの際、化合物(I)を含有するあらゆる組成物の使用と理解されるべきであり、この化合物は香料工業において有効成分として有利に使用することができる。
【0014】
付香成分として実際に有利に使用可能な前記組成物もまた、本発明の対象である。
【0015】
従って、本発明のさらなる対象は、
i)付香成分として、先に定義した少なくとも1つの本発明の化合物、
ii)香料担体と香料基剤とから成る群から選択されている、少なくとも1つの成分、および
iii)選択的に少なくとも1つの香料助剤
を含む付香組成物である。
【0016】
この際「香料担体」とは、香料業的な観点からはまったく中立的な材料、すなわち、付香成分の官能特性をほとんど変えないものである。この担体は、液体でも固体でもよい。
【0017】
液体の担体として挙げられるのは(これらの例には限定されないが)、乳化システム、つまり溶媒と界面活性剤システム、または香料業で慣用的に使用される溶媒である。香料業で慣用的に使用される溶媒の性質と種類を詳しく記載することは、網羅的には不可能である。しかしながら、溶媒の非限定的な例として挙げられるのは、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール、またはクエン酸エチルであり、これらが最もよく使用されている。
【0018】
固体の担体として挙げられるのは(これらの例には限定されないが)、吸収性のゴムもしくはポリマー、またはカプセル化材料である。このような材料の例は、壁形成材料と可塑化材料、例えば単糖類、二糖類、または三糖類、天然の、もしくは変性されたデンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質、またはペクチン、あるいはH.Scherz,Hydrokolloids:Stabilisatoren,Dickungs− und Gehermittel in Lebensmittel,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaet,Behr’s VerlagGmbH & Co.,Hamburg,1996のような教科書で言及されている材料である。カプセル化は当業者には公知の方法であり、例えばスプレー乾燥、アグロメレート化、または押出成形を用いて行ってもよく、あるいはコアセルベーションと複合コアセルベーション技術とを含むコーティングカプセル化から成る。
【0019】
ここで「香料基剤」とは、少なくとも1つの付香補助成分を含有する組成物である。
【0020】
前記付香補助成分とは、式(I)のものではない。さらに、ここで「付香補助成分」とは、付香調製物または付香組成物に快い効果をもたらすために使用される化合物のことである。換言すると、このような補助成分は、付香するものとみなされるべきであって、単に匂いを有するというだけではなく、組成物の匂いを肯定的に、もしくは心地よく付与する、または変性することができるものと当業者により理解されなければならない。
【0021】
基剤中に存在する付香補助成分の性質と種類については、ここでさらに詳細な説明をすることは保証できないが、あらゆる場合において網羅的ではないにしろ、当業者が自身の一般的な知識に基づき、目的とする用途もしくは適用、および所望の官能効果に従ってそれらの性質と種類を選択することができる。一般的な用語ではこれらの付香補助成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン系炭化水素、ヘテロ環式窒素化合物、またはヘテロ環式硫黄化合物といった様々な化学物質類、ならびに精油に属し、かつ前記付香補助成分は天然由来でも、合成由来であってもよい。これらの付香成分の多くはいずれの場合にも、S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAのような参考文献、もしくはこれ以降の版に、あるいは類似の種類の他の文献にも、香料分野における多数の特許文献で言及されている。前記付香成分はまた、制御しながら様々な種類の付香化合物を放出するために公知の化合物であってもよい。
【0022】
香料担体と香料基剤とをともに含む組成物に適している香料担体は、先に述べたものの他に、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくは他のテルペン、イソパラフィン、例えばIsopar(登録商標)(Exxon Chemical社製)として知られているもの、またはグリコールエーテル、およびグリコールエーテルエステル、例えばDowanol(登録商標)(Dow Chemical Company社製)として知られるものである。
【0023】
ここで「香料助剤」とは、色、特定の耐光性、化学的安定性などといった、付加的に添加された利点を与えることができる成分である。付香基剤で一般的に使用される助剤の性質と種類を詳しく記述することは網羅的にはできないが、前記成分が当業者にはよく知られていることは述べておかねばならない。
【0024】
本発明の特別な実施態様によれば前記組成物は、(4Z)−ドデセンニトリルとドデシルニトリルを、約80/20〜95/5の範囲にわたるw/w比で含んでいてよい。
【0025】
少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの香料担体とから成る本発明の組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料担体、少なくとも1つの香料基剤、および選択的に少なくとも1つの香料助剤を含む付香組成物と同様に、本発明の特別な実施態様である。
【0026】
ここで、先に述べた組成物において1つ以上の式(I)の化合物を有することが重要であるという可能性があることを言及しておくのは有用なことである。というのも、このことにより香料業者は、本発明の様々な化合物の調香を有するアコード、香水を調製でき、これにより香料業のための新規な手段が創出されるからである。
【0027】
化学合成から直接生成する、例えば充分に精製されていない、本発明の化合物が出発生成物、中間生成物、または目的生成物として含まれていることがあるあらゆる混合物は、好ましくは本発明による付香組成物とはみなされない。
【0028】
さらに本発明の化合物はまた、現代の香料業のあらゆる分野において、消費製品(これに前記化合物(I)を加える)の匂いを肯定的に付与もしくは改善するために、有利に使用することができる。従って、
i)付香成分として、先に定義した少なくとも1つの式(I)の化合物、すなわち本発明の付香組成物;および
ii)消費製品基材;
を含む付香された物品もまた、本発明の対象である。
【0029】
明確にするため言及しなければならないが、ここで「消費製品基材」とは、付香成分に適合性の消費製品である。換言すると本発明により付香された物品は、消費製品に相応する、機能性組成物および選択的には付加的な有効作用物質、例えば洗剤または空気清浄剤、ならびに少なくとも1つの本発明の化合物の嗅覚的作用量を含む。
【0030】
消費製品の成分の性質と種類については、ここでより詳しく記載することは保証できないが、どのような場合であっても網羅的にではないにしろ、当業者が自身の一般的な知識に基づき、およびその性質と前記製品の所望の効果に従って、これらの性質と種類を選択することができる。
【0031】
適切な消費製品の例に含まれるのは、固体もしくは液体の洗剤、および繊維柔軟剤、ならびに香料業において一般的な他のあらゆる物品、すなわち香水、コロンもしくはアフターシェーブローション、付香された石鹸、シャワーソルトもしくはバスソルト、ムース、オイルもしくはジェル、衛生用品もしくはシャンプーのようなヘアケア用品、ボディーケア用品、脱臭剤もしくは制汗剤、空気清浄剤、ならびに化粧品調製物である。洗剤として意図されている適用は例えば、洗剤組成物、または様々な表面を洗浄、もしくはクリーニングするためのクリーニング用品、例えば繊維、皿もしくは硬表面処理のためのものであり、これらは家庭での使用、または工業的用途が意図されている。他の付香された物品は、繊維消臭剤、アイロン用水、紙、拭き取りクロス(wipes)、または漂白剤である。
【0032】
先に挙げた消費製品基材のうちいくつかは、本発明の化合物に対して攻撃性の媒体であってもよく、この結果、例えばカプセル化によって早期分解から該化合物を保護することが必要になるかもしれない。
【0033】
本発明による化合物を、前述の様々な物品もしくは組成物に混ぜ込み可能な割合は、幅広い値の間で変わる。これらの値は、本発明による化合物を香料業で一般的に使用される付香補助成分、溶媒、または添加剤と混合する場合には、付香すべき物品の性質、および、所望の官能特性、ならびに所与の基材中での補助成分の性質により変わる。
【0034】
例えば付香組成物の場合に典型的な濃度は、本発明の化合物が、混ぜ込む組成物の質量に対して0.001質量%〜1.0質量%、またはそれ以上の水準である。これらより低い濃度、例えば0.01質量%〜0.5質量%という水準を使用することができるが、これらの化合物を付香された物品に混ぜ込む場合は、パーセンテージは物品の質量に対するものである。
【0035】
本発明の化合物は、当業者には一般的に公知のあらゆる手段により4−ドデセナールを相応するオキシムに変えることによって製造することができ、その後選択的に当業者には一般的に公知のあらゆる手段によりこのオキシムを所望のニトリルに変えることができる。
【0036】
実施例
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、この際、略号は当該分野で通常の意味を表し、温度は摂氏(℃)で表示されている;NMRスペクトルデータは、(特に記載のない場合は)CDCl3中で、1Hと13Cについて360、または400MHz機器で記録し、化学置換δはTMS標準でppmで表示されており、結合定数JはHzで表記されている。
【0037】
実施例1
化合物(4Z)−4−ドデセナールオキシムの合成
シクロヘキサン50ml中の(Z)−4−ドデセナール20gが入った250mlの三口フラスコに、NH2OH(50%の水溶液)8.4mlを、30分にわたって添加した。反応を、一晩放置した。有機層をデカンテーションし、水で洗浄し、そして真空中で溶媒を除去して、1−Eと1−Zが55/45の混合物として前記オキシムを得た。

【0038】
化合物(4Z)−4−ドデセンニトリルの合成
先に得られたオキシムを、無水酢酸20mlと酢酸ナトリウム0.2gとを有するフラスコに装入した。この反応物を1時間の間100℃で加熱し、この後室温で冷却して、加水分解し、そしてEt2Oで抽出した。有機層は水で三回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして溶媒を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル=97/3)による精製により、純粋なニトリル14.2gが得られた(収率72%)。

【0039】
実施例2
付香組成物の調製
マンダリンタイプの付香組成物を、以下の成分を添加混合することにより調製した。
【0040】
成分 質量部
酢酸ベンジル 60
アルデヒドC10 15
アルデヒドC12 30
アルデヒドC8 5
アルデヒドC9 5
アルデヒドMNA 10
9−ウンデセナール 10
シトラール 10
3,7−ジメチル−6−オクテンニトリル 20
Hedione(登録商標)1) 100
アリルヘプタノアート 5
リナロール 200
メチルメチルアンスラニレート 30
Sclareolate(登録商標)2) 200
ピネン 20
オレンジ由来のテルペン 200
テルピネオール 80
1000
1)メチルジヒドロジャスモネート;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
2)プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノエート;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
ジプロピレングリコール中の(4Z)−4−ドデセンニトリルの10%溶液10質量部を前述の付香組成物に添加することにより、最良のシチリア産マンダリンの匂いを強く想起させる、素晴らしい天然マンダリンの特性が付与された。
【0041】
先に挙げた組成物に同量の(4Z)−4−ドデセナールを添加すると、新たな香りは天然性が弱まり、より酸味がありかつグリーンになった、すなわちこの香りは、本発明のニトリルを含有するものとは、まったく異なるマンダリン特性を有していた。
【0042】
先に挙げた香料基剤に同量のドデシルニトリルを添加すると、組成物の香りはマンダリン特性を失い、かつ上品ではなくなり、より機能的(functional)になり、かつ脂肪臭がする。
【0043】
実施例3
付香組成物の調製
東洋タイプの女性用付香組成物を、以下の成分を添加混合することにより調製した。
【0044】
成分 質量部
酢酸ベンジル 20
50%の桂皮アルコール 10
ヘキシル桂皮酸アルデヒド 10
50%の安息香精油 30
ベルガモット精油 50
8−メトキシ−2,6,6,8−テトラメチル−トリシクロ[5.3.1.0(1,5)ウンデカン 10
レモン精油 15
10%のシベット 15
4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール 20
クマリン 15
10%のデカール 10
10%のエチルバニリン 20
オイゲノール 10
Hedione(登録商標)1)HC 30
ヒドロキシシトロネラール 35
Iso E Super(登録商標)2) 50
10%のジャスミン精油 25
リナロール 40
マンダリン精油 25
Muscenone3) 50
10%の(E)−4−(2,2,C−3,T−6−テトラメチル−R−1−シクロヘキシル)−3−ブテン−2−オン 10
10%Nirvanol(登録商標)4) 25
パチョリ精油 40
10%のペルーバルサム 30
サリチル酸ベンジル 260
(Z)−3−ヘキセン−1−イルサリシレート 25
Sclareolate(登録商標)5) 15
バニリン 10
ベチバー(Vetyver) 10
Wardia(登録商標)6) 50
10%のイランイラン 25
990
はジプロピレングリコール中で
1)メチルジヒドロジャスモネート;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
2)1−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:International Flavors & Fragrances,USA
3)3−メチル−(4/5)−シクロペンタデセノン;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
4)3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
5)プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノエート;製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
6)複合香料基剤(フローラルタイプ);製造元 Firmenich SA、ジュネーブ、スイス国
ジプロピレングリコール中の(4Z)−4−ドデセンニトリルの1%溶液10質量部を前述の付香組成物に加えることにより、この東洋的な香りの暖かみのある、天然性の、瑞々しいシトラスマンダリン特性がかなり強化された。
【0045】
先述の組成物に同量の(4Z)−4−ドデセナール、またはドデシルニトリルを添加すると、観察された差異は、上記のものと類似のものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、XはCN、またはHN=OH基を表し、かつ炭素炭素二重結合は、立体配置がEもしくはZ、またはこれらの混合体である]
の化合物。
【請求項2】
前記化合物が、80/20〜99.5/0.5の範囲にわたる比で、異性体(4Z)と(4E)との混合物の形態であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項3】
(4Z)−4−ドデセンニトリル、または(4Z)−4−ドデセナールオキシムである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
i)請求項1から3までのいずれか1項に記載された、少なくとも1つの本発明の化合物、
ii)香料担体と香料基剤とから成る群から選択されている少なくとも1つの成分、および
iii)選択的に、少なくとも1つの香料助剤、
を含む、付香組成物。
【請求項5】
(4Z)−4−ドデセンニトリルとドデシルニトリルを、約80/20〜95/5の範囲にわたるw/w比で含むことを特徴とする、請求項4に記載の付香組成物。
【請求項6】
i)付香成分として、請求項1から3までのいずれか1項に記載された少なくとも1つの式(I)の化合物、および
ii)消費製品基材
を含む、付香された物品。
【請求項7】
前記消費製品基材が、固体もしくは液体の洗剤、繊維柔軟剤、香水、コロンもしくはアフターシェーブローション、付香された石鹸、シャワーソルトもしくはバスソルト、ムース、オイルもしくはジェル、衛生用品、ヘアケア用品、シャンプー、ボディーケア用品、消臭剤もしくは制汗剤、空気清浄剤、化粧品調製物、繊維消臭剤、アイロン用水、紙、拭き取りクロス、または漂白剤であることを特徴とする、請求項6に記載の付香された物品。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか1項に記載された、式(I)の化合物の付香成分としての使用。

【公表番号】特表2010−524916(P2010−524916A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503629(P2010−503629)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051109
【国際公開番号】WO2008/125994
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】