説明

代理アクセスを許可するサーバ,そのプログラム,そのシステム及びその方法

【課題】利用者の認証情報をオペレータに開示することなく代理アクセスサービスの提供を可能にする。
【解決手段】ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能なサーバであって,利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,代理アクセスサーバが利用者に対するオペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,オペレータ端末からの利用者の認証情報の送信を求めることなく利用者の識別情報に基づいてログインを実行するログイン処理手段と,ログイン後のオペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,代理アクセスを許可するサーバ,そのプログラム,そのシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来に伴い,パソコンなど操作が複雑な情報機器の操作方法を利用者に対してコールセンタから支援することが益々必要になってきている。コールセンタに問い合わせしてきた利用者に操作方法を指導する方法としては,第1に,電話での質疑応答により操作方法の説明を行う方法,第2に,オペレータのパソコンを利用者のパソコンに通信ネットワークを介して接続しオペレータから遠隔操作する方法,第3に,オペレータと利用者とが同じ画面を見ながら,オペレータが操作方法を電話で説明する方法,第4に,利用者に代わってオペレータが利用者が希望する操作を代理して行う方法などがある。
【0003】
第1の方法は,専門用語などに不慣れな高齢者に電話だけで操作方法を説明するのは困難であり有効ではない。第2の方法は,パソコンの操作に不慣れな高齢者に利用者のパソコンを通信ネットワークを介してオペレータのパソコンに接続させることは困難である。また,第3の方法は,パソコンやその専門用語に不慣れな高齢の利用者への対応方法として有力であるが,利用者のパソコンにオペレータと共通の画面を表示させるまでの操作が複雑であり,高齢者などのパソコン操作に不慣れな利用者には不向きである。第4の方法は,利用者に代わってオペレータが代理してアクセスし操作するので,利用者の利便性を高めることができる。
【0004】
以下の特許文献1乃至3などでは,利用者に代わって代理アクセスすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−56449号公報
【特許文献2】特開2006−221506号公報
【特許文献3】特開2009−205223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,第4の方法は,オペレータが望む操作が認証手続きを経由して行われる重要な操作,例えば銀行振込や金融商品の購入や解約などの場合,オペレータに利用者の識別情報(ID)と認証情報(パスワードなど)を口頭で伝える必要があり,そのような識別情報と認証情報を知ったオペレータによる不正行為の防止が必要になる。
【0007】
これを防止する方法として,一回限りのパスワードを使用するサービスが考えられるが,そのようなパスワードを毎回設定することは,パソコンの操作に不慣れな高齢者には不向きである。
【0008】
また,別の問題点として,利用者が電話などで口頭で希望する操作を伝えても,必ずしもオペレータがその通りの操作を行ったのか否かを確認できず,セキュリティの担保が問題になる。
【0009】
そこで,本発明の目的は,セキュリティ性を高めた代理アクセスを許可するサーバ,そのプログラム,そのシステム,及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
代理アクセスを許可するサーバの第1の側面は,ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能なサーバであって,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理手段と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
第1の側面によれば,セキュリティ性を高めた代理アクセスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態におけるコールセンタの利用者に対する回答を支援するシステムの全体像を示す図である。
【図2】本実施の形態におけるコールセンタの利用者に対する回答を支援するシステムの詳細な動作工程を示す図である。
【図3】データベース及び電文フォーマットの例を示す図である。
【図4】分岐装置の接続プログラムP11の動作フローチャート図である。
【図5】分岐装置の接続プログラムP11の一部の動作フローチャート図である。
【図6】コールセンタのサーバの接続プログラムP21の詳細な動作フローチャート図である。
【図7】オペレータパソコンのデータ送信プログラムP24の詳細動作フローチャート図である。
【図8】サーバの放送送信プログラムP22の詳細な動作フローチャート図である。
【図9】放送中継プログラムP12の詳細動作フローチャート図である。
【図10】表示制御装置の表示制御プログラムP14の詳細動作フローチャート図である。
【図11】表示制御装置の代理アクセス制御プログラムP15のフローチャート図である。
【図12】代理アクセス制御プログラムP25の詳細なフローチャート図である。
【図13】代理アクセス許可サーバ50の代理アクセス処理プログラムP51のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は,本実施の形態における代理アクセスを許可するシステムの全体像を示す図である。本実施の形態では,利用者宅10内の電話機12,13とコールセンタ20のオペレータの電話機23との間が電話接続された状態で,利用者の要求に応じて,オペレータが利用者を代理して,オペレータのパソコン24から,利用者が一定の操作を行いたいサイトのサーバ50にログインして,利用者が希望する操作を実行する。このサーバ50は,代理アクセスのサービスを提供するコールセンタ20と提携しているサイトのサーバであり,コールセンタのオペレータによる代理アクセスを許可しているサーバ(代理アクセス許可サーバ)である。
【0014】
コールセンタ20内の代理アクセスサーバ21は,利用者とオペレータとの間の電話接続を制御するとともに,特定のオペレータに対して特定の利用者のための代理アクセスを許可するか否かを管理する。代理アクセスサーバ21によりそのオペレータの代理アクセスが許可されている場合は,そのオペレータのパソコン24からのログイン要求に応答して,代理アクセス許可サーバ50は,ログインのためのパスワードなどの利用者の認証情報を求めることなく,ログイン処理を行う。さらに,代理アクセス許可サーバ50は,オペレータのパソコン24からの所定の操作による処理要求に対しても,そのオペレータが代理アクセスを許可されている場合に限り処理を実行する。したがって,利用者はオペレータに認証情報を開示することなく,オペレータに代理アクセスを実行させることができる。その結果,オペレータによる不正なアクセスを抑制することができる。
【0015】
代理アクセス許可サーバ50は,オペレータのパソコン24からのアクセスが代理アクセスサーバ21を経由して行われることを利用して,代理アクセスサーバ21にそのオペレータが代理アクセスを許可されているか否かを問い合わせて,代理アクセスによるログインなどを許可すべきかを確認する。
【0016】
次に,コールセンタ20内の代理アクセスサーバ21による代理アクセス許可の管理について簡単に説明する。図1に示されたシステムでは,例えば,光回線を契約している利用者が,IP電話サービスと光回線経由でのテレビ放送の受信サービスを受けている情況を前提にしている。
【0017】
利用者宅の電話12,13からIP電話サービスによりコールセンタ20に電話がかけられてオペレータ22の電話機23に接続された場合や,オペレータ22の電話機23から利用者に電話がかけられて利用者宅内の電話機12,13と接続された場合,代理アクセスサーバ21の接続プログラムP21が,利用者の電話のIPアドレスとオペレータのパソコンのIPアドレスとをデータベースに記録する。また,オペレータのパソコンのIPアドレスとオペレータIDもデータベースに対応付けられている。
【0018】
利用者宅の電話機12,13とコールセンタ20との間で電話が接続されると,コールセンタのオペレータ22のパソコン画面の映像が放送用映像データの形態で利用者宅内の分岐装置11に送信され,利用者宅のテレビ受像機15に表示される。この利用者宅のテレビ受像機15にオペレータのパソコン画面の映像が表示されると,代理アクセスサーバ21は,その利用者と電話接続されているオペレータのオペレータIDに対して,データベースに代理アクセス許可状態を記憶する。この代理アクセスが許可される状態になると,代理アクセス許可サーバ50はログイン処理や操作処理を実行する。これにより,利用者はテレビ受像機15でオペレータによる操作をオペレータのパソコン画面の映像で確認しながら,電話でオペレータにログイン要求,操作要求を行い,オペレータによる代理アクセスサービスを受けることができる。
【0019】
そして,利用者宅のテレビ受像機15によるオペレータのパソコン画面の映像の表示が行われなくなると,代理アクセスサーバ21は,その利用者と電話接続中のオペレータのオペレータIDに対して,データベースに代理アクセスが許可されない状態を記憶する。この代理アクセスが許可されない状態になると,代理アクセス許可サーバ50は,代理アクセスによるログイン処理や,操作の処理を行わない。これにより,利用者がテレビ受像機15を通じてオペレータのパソコン画面の映像を確認できない状況下では,代理アクセスが不許可となり,オペレータによる勝手なアクセス,操作が禁止される。
【0020】
以下,図1のシステム全体について説明する。
【0021】
図1に示されたシステムでは,前述のとおり,光回線を契約している利用者が,IP電話サービスと光回線経由でのテレビ放送の受信サービスを受けている情況を前提にしている。
【0022】
図1のシステムでは,利用者宅10内に設置されている分岐装置(ルータ)11が,光回線などのパケット網30であるIPネットワークを介して,コールセンタ20内の代理アクセスサーバ21と通信接続可能である。ここで,IPネットワークとは,インターネットプロトコル技術を利用してコンピュータを相互接続するコンピュータネットワークである。
【0023】
利用者宅10内の利用者端末は,上記の分岐装置11に加えて,分岐装置11の出力ポートに接続された一般電話機12またはIP機能電話機13と,分岐装置11の出力ポートに接続されたテレビ表示制御装置(STB)14と,それらテレビ表示装置に接続され表示制御されるテレビ受像機15とを有する。テレビ表示制御装置14とテレビ受像機15は,それぞれ1台または複数台であってもよい。IP機能電話機13とテレビ表示制御装置14は,分岐装置11とLANケーブルまたは無線LANにより通信可能に接続される。
【0024】
分岐装置11には,図示しないプロセッサに加えて,電話の発呼または着呼に対して電話接続を行う接続プログラムP11と,パケット網30から受信する映像データ放送用データや文字データ放送用データなどの地上波デジタル放送用データを表示制御装置14に中継する放送中継プログラムP12とがインストールされている。
【0025】
一方,コールセンタ20には,パケット網30に接続される代理アクセスサーバ21と,コールセンタ内の各オペレータ毎に設けられた電話機23とオペレータ端末装置であるパソコン24とを有する。代理アクセスサーバ21には,図示しないプロセッサや光回線への通信装置などに加えて,電話接続用の接続プログラムP21と,映像データ放送用データまたは文字データ放送用データを生成してパケット網30を介して利用者端末11に送信する放送送信プログラムP22と,利用者に代わってオペレータが代理してあるサイトにアクセスする場合の各種の制御を行う代理アクセス制御プログラムP25とがインストールされている。
【0026】
そして,IPネットワークであるパケット網30には,IP電話の接続制御を行う加入者系呼制御サーバ(SIPサーバ)40が設けられ,このSIPサーバ40は,例えば,IP電話の発呼に応答して発呼先電話番号に対応するIPアドレスを提供するなどの機能を有する。さらに,パケット網30には,番組表を管理するサーバ60も設けられ,代理アクセスサーバ21から送信されるデジタル放送の局を含む番組表をネットワークを介して利用者に提供可能になっている。
【0027】
図1のシステムによる利用者への代理アクセスサービスの提供の概略は,次の通りである。まず,利用者が一般電話機12またはIP機能電話機13によりコールセンタ20の電話番号に電話をかけると,その発呼に応答して,分岐装置11内の接続プログラムP11は,SIPサーバ40から電話番号に対応するIPアドレスを取得し,コールセンタ20と電話回線を接続する。
【0028】
一方,コールセンタ20の代理アクセスサーバ21は電話番号に対応するIPアドレスを有し,サーバ内の接続プログラムP21は,利用者からの着呼に応答して,空いているオペレータ22の電話機23に接続する。それと共に,オペレータ端末であるオペレータのパソコン24は,表示画面の映像データを映像ストリーミングデータとして代理アクセスサーバ21に出力し,サーバ21内の放送送信プログラムP22が,表示画面の映像データを映像データの放送用データである地上波デジタル放送用データに変換し,利用者宅内の分岐装置11のIPアドレス宛にその映像データ放送用データを送信する。
【0029】
利用者宅の分岐装置11は,コールセンタからの映像データ放送用データである地上波デジタル放送用データを,表示制御装置14全てに中継して送信する。そして,利用者は,表示制御装置14において,番組表管理サーバ60からダウンロードした番組表を参照してコールセンタによる放送に割り当てられた局を選択し,テレビ受像機15にオペレータのパソコン24の画面映像を表示する。
【0030】
これにより,利用者は,オペレータに代理アクセスを依頼するとき,利用者のテレビ受像機にオペレータ端末であるパソコン24の画面の映像を表示させることができ,オペレータが利用者の要求するとおりの操作を行っていることを確認することができる。パソコンなどの複雑な操作が困難な利用者であっても,コールセンタのオペレータに代理してアクセスを依頼する場合に,コールセンタからの放送を選局するという単純なテレビの操作を行うだけで,テレビ受像機にオペレータのパソコンの画面を表示して,オペレータの操作を確認することができる。
【0031】
上記の説明では,利用者からコールセンタに電話をかけたが,コールセンタから利用者宅に電話をかける場合も,同様に利用者宅のテレビ受像機にオペレータのパソコンの画面を表示することができる。
【0032】
次に,利用者がオペレータのパソコン画面をテレビ受像機15に表示していることが,表示制御装置14から代理アクセスサーバ21に通知される。これに応答して,代理アクセス制御プログラム25は,利用者のテレビ受像機にパソコン画面が表示されている状態を,オペレータに対応させてデータベースに記録する。この状態であれば,代理アクセスを許容することになる。したがって,利用者のテレビ受像機においてコールセンタからの放送の局から別の局に変更されたり,テレビ受像機の電源がオフにされると,表示制御装置14から代理アクセスサーバ21に通知され,これに応答して,代理アクセスプログラム25は代理アクセスを許容する状態を解除する。
【0033】
一方,オペレータが,利用者からの代理アクセスの依頼に応じて,パソコン24から代理アクセス許可サーバ50にログイン要求をした場合は,代理アクセス許可サーバ50は,ログイン要求時に送信される利用者の識別番号に基づいて利用者のログイン用のパスワードなどの認証情報を要求することなく,ログインを実行する。
【0034】
ただし,代理アクセス許可サーバ50は,そのオペレータがその利用者の代理アクセスを許可された状態か否かを,何らかのかたちで確認する。本実施の形態では,代理アクセスサーバ21の代理アクセス制御プログラムP25が,上記の通り代理アクセスを許可する状態か否かを管理しているので,代理アクセス許可サーバ50は,ログイン要求時に代理アクセスサーバ21にその状態を問い合わせる。オペレータパソコンからのログイン依頼が,代理アクセスサーバ21を経由して代理アクセス許可サーバ50に送信されるので,代理アクセス許可サーバ50は代理アクセスサーバ21のIPアドレスに基づいて問い合わせが可能である。サーバ50は,許可状態であることが確認されればログインを実行し,確認されなければログインをせずにエラーを返信する。
【0035】
ログイン後において,オペレータによる種々の操作が行われるが,特に認証を必要とするクリティカルな操作についても,代理アクセス許可サーバ50は,代理アクセスサーバ21に代理アクセスが許可状態か否か,つまり利用者がテレビ受像機でオペレータ画面を確認中であるか否か,を,その都度確認する。
【0036】
利用者はオペレータにログインなどの認証情報を開示することなく代理アクセスを要求することができるので,その後オペレータによる不正が発生する可能性を抑制することができる。
【0037】
図2は,本実施の形態におけるオペレータによる代理アクセスのサービスを提供するシステムの詳細な動作工程を示す図である。図2を中心に参照すると共に,他の図面を参照しながらシステムの動作について説明する。
【0038】
[利用者端末での工程S1,S2,S3]
利用者宅10の分岐装置(ルータ)11は,初期設定として,分岐装置11の出力ポートに接続した機器にローカルIPアドレスとポート番号を割り当てて,図示しないメモリ内に格納されている接続管理データベース16に記録しておく。工程S1参照。
【0039】
図3は,データベース及び電文フォーマットの例を示す図である。図3に示された接続管理データベース16には,分岐装置11の出力ポートに接続されている一般電話機12と,IP機能電話機13と,2つの表示制御装置(STB)14に対して割り当てた,ローカルIPアドレスと,ポート番号とが格納されている。さらに,全ての接続装置には,分岐装置11のIPアドレスが格納されている。このIPアドレスは,IPネットワークであるパケット網30内でユニークなグローバルIPアドレスに対応する。
【0040】
分岐装置11は,図1,2の例では,4つの出力ポートを有し,ポート番号0には一般電話機12が,ポート番号1にはIP機能電話機13が,ポート番号101,102には表示制御装置(STB)14がそれぞれ接続されている。ローカルIPアドレスは,分岐装置11とIP機能電話機13及び表示制御装置14とを接続する接続端子に対応するLAN内のIPアドレスである。したがって,一般電話機12はLANに接続されないのでそれが接続される端子にはIPアドレスは割り当てられていない。
【0041】
さらに,分岐装置11は,パケット網30から受信する自分のIPアドレス宛のパケットに特定のポート番号,例えば「100」が指定されている場合には,表示制御装置14のポート番号101,102にそのパケットをそのまま,またはそのパケット内の放送用パケットを転送するように予め設定されている。
【0042】
次に,利用者が一般電話12またはIP機能電話13からコールセンタの電話番号に電話をかけると,分岐装置11内の接続プログラムP11により,IP電話接続が実行される。具体的には,接続プログラムP11は,パケット網30に接続されているSIPサーバ40から発呼されたコールセンタの電話番号に対応するIPアドレスを取得し,一般電話機12の場合は,その音声データをIPパケットに変換し,そのIPパケットをコールセンタのIPアドレス宛にパケット網30に送出する。また,IP機能電話機13の場合は,電話機13がIPパケット音声変換機能を有し,音声データをIPパケットに変換しコールセンタのIPアドレス宛に分岐装置11を介してパケット網30に送出する。工程S2,S3参照。この取得したコールセンタのIPアドレスは,接続管理データベース16に記録されても良い。
【0043】
また,分岐装置11は,コールセンタのオペレータからの着呼にも応答して,上記と同様にローカルIPアドレスと,ポート番号とを,接続管理データベース16に記録する。そして,コールセンタからのIPパケット内のコールセンタのIPアドレスを利用して,利用者側の電話機の音声データのIPパケットをコールセンタのIPアドレス宛に送出する。
【0044】
図4は,分岐装置の接続プログラムP11の動作フローチャート図である。分岐装置11の接続プログラムP11は,ルータ処理の終了指示がない間は(S21のN),電話の発呼または着呼を検知すると(S22のY),電話接続処理とその後の通話処理S23を実行する(S23)。これらの処理は,通常のIP電話の処理と同じである。
【0045】
図5は,分岐装置の接続プログラムP11の一部の動作フローチャート図である。図5には,図4の工程S23の処理が示されている。電話の発呼または着呼を検知した場合に,工程S23では,利用者の電話からの発呼の場合は(S31のY),利用者の電話機を発呼先の電話機に接続し(S32),コールセンタからの着呼の場合は(S31のN),コールセンタのオペレータの電話機を利用者の電話機に接続する(S33)。この接続処理でSIPサーバ40から発呼先のIPアドレスを取得するか,受信するIPパケットから発呼元のIPアドレスを取得する。そして,通話が終了するまで(S34のN),電話の送受信処理を行う(S35)。この電話の送受信処理では,電話機の音声データを格納したIPパケットを発呼先のIPアドレス宛に送出する処理と,受信したIPパケットを一般電話機なら音声データに変換して出力ポート0に出力し,IP機能電話機ならIPパケットのまま出力ポート1に出力する。
【0046】
図4に戻り,分岐装置の接続プログラムP11は,分岐装置の出力ポートに電話機が接続されると(S24のY),IP機能電話機の場合は,ローカルIPアドレスとポート番号とを割り当てて,接続管理データベース16に記録する(S25)。電話機以外の表示制御装置14が分岐装置の出力ポートに接続された場合も同様に,ローカルIPアドレスとポート番号とを割り当てて接続管理データベース16に記録する。
【0047】
逆に,分岐装置の出力ポートから電話機が切断された場合は(S26のY),IP機能電話機の場合は,接続管理データベース16から上記の記録データを削除する(S27)。電話機以外の表示制御装置が出力ポートから切断された場合も同様の削除をする。
【0048】
[コールセンタでの工程S4〜S7]
コールセンタ20のサーバ21にある接続プログラムP21は,図2の工程S4に示されるとおり,第1に,電話の着呼または発呼を検知し,利用者端末の電話番号,IPアドレス,ポート番号を取得して宛先管理データベース26に記録する。利用者からの着呼の場合は,利用者端末の分岐装置から受信するIPパケット内にこれらの情報が格納されている。また,オペレータから利用者への発呼の場合は,SIPサーバ40から利用者の電話番号に対応するIPアドレスを取得することができる。
【0049】
接続プログラムP21は,第2に,利用者からの着呼の場合は,オペレータ管理データベース25を参照して,空いているオペレータの電話に接続し,そのオペレータのパソコンのIPアドレスとそのオペレータのID(識別番号)とを宛先管理データベース26に登録する。そして,第3に,オペレータから利用者への発呼の場合は,発呼したオペレータのパソコンのIPアドレスとそのオペレータIDを宛先管理データベース26に登録する。
【0050】
図3に示されるとおり,オペレータ管理データベース25には,オペレータのパソコンのIPアドレスと,オペレータのIDと,オペレータが空きか否かの使用状況とが対応付けられている。したがって,オペレータの電話機が利用者の電話機と接続されて,オペレータのパソコンが割り当てられると,使用状況は空き状態から使用状態に書き換えられる。
【0051】
一方,宛先管理データベース26は,図3に示されるとおり,利用者の電話番号と,利用者のIP機能電話機が接続されている分岐装置のIPアドレスと,IP機能電話機のポート番号と,オペレータのパソコンのIPアドレスとが対応付けられて記録されている。
【0052】
電話接続中は,サーバの接続プログラムP21は,オペレータのIP機能電話機23からのIPパケットを利用者のIPアドレス宛でパケット網30に送出し,パケット網30から受信するIPパケットを,オペレータのIP機能電話機23のローカルIPアドレスに転送する。
【0053】
接続プログラムP21は,図2の工程S5に示されるとおり,コールセンタ内のオペレータのIP機能電話機23と利用者の電話機とが接続されると,宛先管理データベース26に登録したオペレータのパソコンのIPアドレスに対して,パソコン画面の映像データの配信を依頼する。これにより,後述するとおり,オペレータのパソコン画面の映像データを,利用者端末に映像データの放送用データである地上波デジタル放送用データの形態で送信して,利用者のテレビ受像機に表示する。
【0054】
図6は,コールセンタのサーバの接続プログラムP21の詳細な動作フローチャート図である。図6には図2の工程S4,S5の動作が詳述されている。サーバの接続プログラムP21は,電話の発呼または着呼を検知すると(S41のY),利用者からの着呼の場合は(S42のY),オペレータ管理データベース25を参照して空いている(話中でない)オペレータを検索し,存在する場合は(S43のY),利用者の電話とそのオペレータの電話とを接続する(S45)。存在しない場合は,利用者を図示しない待ち行列に登録する(S44)。また,オペレータから利用者への発呼の場合は(S42のN),発呼処理をして電話番号に対応する利用者端末のIPアドレスをSIPサーバ40から取得し,利用者端末の電話機との接続処理を行う(S46)。
【0055】
さらに,サーバの接続プログラムP21は,オペレータ管理データベース25を参照して,割り当てたオペレータのパソコンのIPアドレスを取得する(S47)。そして,利用者の電話番号,利用者端末である分岐装置11のIPアドレスと,電話機のポート番号と,オペレータのパソコンのIPアドレスとを,宛先管理データベース26に登録する(S48)。さらに,サーバの接続プログラムP21は,オペレータのパソコンに対して,パソコン画面の映像データの配信を依頼する(S49)。これにより,オペレータのパソコン画面の映像データ27がパソコン24からサーバ21に送信される。
【0056】
次に,オペレータのパソコン24のデータ送信プログラムP24の動作について説明する。このデータ送信プログラムP24は,図2中の工程S6に示すとおり,サーバ21からのパソコン画面の映像データ配信要求に応答して,オペレータのパソコン画面の映像データをサーバ21に送信する。この映像データ27は,例えば映像のストリーミングデータであり,例えば,単に映像信号のデジタルデータや,JPEG方式で圧縮された映像データなどである。
【0057】
図7は,オペレータパソコンのデータ送信プログラムP24の詳細動作フローチャート図である。データ送信プログラムP24は,パソコンの動作終了指示があるまで(S51のN),利用者の電話とオペレータの電話とが接続されている間(S52のY,S53のN),以下の処理を行う。
【0058】
前述の代理アクセスサーバ21からのパソコン画面の映像データ配信要求に応答して,データ送信プログラムP24は,パソコン画面の映像データ27を代理アクセスサーバ21に送信する(S54)。このパソコン画面の映像データ27の代理アクセスサーバ21への送信は,オペレータの電話が利用者の電話とつながっている間,繰り返される。
【0059】
次に,代理アクセスサーバ21の放送送信プログラムP22の動作について説明する。放送送信プログラムP22は,図2の工程S7に示されるように,代理アクセスサーバ21にオペレータのパソコン24から送信される映像データ(ストリーミングデータ)27を,映像データ放送用データである地上波デジタル放送用データ32に変換し,宛先管理データベース26を参照して利用者電話に対応するIPアドレス宛に,ポート番号「100」を指定して,パケット網30に送出する(S7)。
【0060】
このように,放送送信プログラムP22は,映像データについては映像データ放送用データ32の形態で,利用者のIPアドレス宛にパケット網30に送出する。したがって,代理アクセスサーバ21は,利用者の分岐装置11に接続されている表示制御装置(STB)14に放送用データを送信する。表示制御装置14では,テレビ受像機15に表示すべきチャネルを選局する必要がある。そこで,コールセンタからの放送に対応するチャネルのID情報が,表示制御装置(STB)に予め登録されている。たとえば,図2の工程S0に示されるように,表示制御装置14は,初期処理として,番組表管理サーバ60から番組表をダウンロードし,コールセンタからの放送チャネル番号を予め登録する。
【0061】
さらに,放送用データのパケットは,利用者の分岐装置11のIPアドレス宛に送信されるので,分岐装置11がその放送用データのパケットを表示制御装置(STB)14に転送できるようにしておくことが必要になる。そこで,本実施の形態では,コールセンタからの放送用データに対応付けてポート番号「100」を予め取り決めしておき,分岐装置11は,ポート番号「100」の受信パケット内の放送用パケットは,表示制御装置(STB)14が接続されている出力ポートに転送するように予め設定される。このような設定手法は,例えば,光回線を利用した地上波デジタル放送の提供サービスにおいて行われている方法と同様な手法で実現されても良い。
【0062】
図8は,サーバの放送送信プログラムP22の詳細な動作フローチャート図である。放送送信プログラムP22は,サーバ処理を終了する指示がない間は(S71のN),オペレータのパソコン24から送信されるデータがパソコン画面の映像データを受信する場合(S72の映像),次の処理を行う。パソコン画面の映像データを符号化して圧縮する(S73)。オペレータパソコンからの映像データが,映像デジタル信号の場合は,それを放送用パケットに適合するJPEGデータに変換し,それを符号化する(S73)。また,オペレータパソコンからの映像データが放送用に適合したJPEGデータの場合は,それを符号化する(S73)。
【0063】
さらに,放送送信プログラムP22は,JPEG符号化データをパケット化し(S74),そのパケットを多重化して地上波デジタル放送用のTSパケットを生成する(S75)。
【0064】
そして,放送送信プログラムP22は,上記の放送用のTSパケットを利用者の分岐装置のIPアドレス宛のパケットに格納して,パケット網30に送信する(S76)。
【0065】
地上波デジタル放送用データは,映像,音声,データ(文字やプログラム)を多重化したものである。したがって,上記の放送送信プログラムは,オペレータパソコンから映像データだけが送信される場合は,映像データを地上波デジタル放送用データ(映像データ放送用データ)にして,利用者のIPアドレス宛にパケット化し送出する。一方,オペレータパソコンから映像データに加えて文字データが送信される場合は,それらを多重化して地上波デジタル放送用データ(映像データ放送用データと文字データ放送用データ)にして,利用者のIPアドレス宛にパケット化して送出する。
【0066】
図3に,送信されるパケットデータの電文例が示されている。このパケットデータは,ヘッダに,宛先IPアドレスとして利用者のIPアドレスが,ポート番号として「100」がそれぞれ含まれている。そして,データ部にはパソコン画像の映像データや文字データに対する放送用データである放送用TSパケットが格納されている。
【0067】
[利用者端末での工程S8,S9]
分岐装置の放送中継プログラムP12は,図2の工程S8に示されるとおり,受信した自分のIPアドレス宛のパケットが,ポート番号「100」の場合に,放送用データと判定して,表示制御装置(STB)が接続された出力ポートにそのパケット内の放送用TSパケットを転送,中継する。
【0068】
図9は,放送中継プログラムP12の詳細動作フローチャート図である。放送中継プログラムP12は,受信データがある間は(S81のY),受信データがIP電話の通話データのパケットの場合は(S82の電話),一般電話機12が電話接続中であれば(S84の一般電話),通話データを音声信号に変換して音声信号を一般電話機12に送信し(S85),IP機能電話13が電話接続中であれば(S84のIP機能電話),受信したパケットをIP機能電話機13に中継送信する(S86)。また,受信データが放送用パケットの場合は(S82の放送用),ポート番号「100」に基づいて,表示制御装置(STB)が接続されている出力ポートにその放送用TSパケットを中継送信する(S83)。
【0069】
次に,表示制御装置14内の表示制御プログラムP14は,図2の工程S9に示されるとおり,選局された地上波デジタル放送用データである放送用TSパケットを映像信号に変換して,テレビ装置15に出力する(S9)。テレビ装置(テレビ受像機)15は,表示制御装置14から出力される映像信号を表示する。
【0070】
図10は,表示制御装置の表示制御プログラムP14の詳細動作フローチャート図である。まず,利用者からコールセンタからの放送受信のための選局を受け付ける(S91)。それに応答して,表示制御プログラムP14は,選局情報に基づいてコールセンタからの放送用TSパケットを,映像,音声,データ放送の情報に多重分離する(S92)。そして, 映像データ(含まれている場合は音声データも)を復号化して(S93),テレビ装置に映像信号(含まれている場合は音声信号も)を出力する(S94)。
【0071】
ここまでの処理により,利用者はコールセンタに電話をかけて,表示制御装置にてコールセンタのチャネルに選局すれば,オペレータの操作画面をテレビ受像機から見ることができる。したがって,オペレータに代理アクセスを依頼した場合,オペレータによるパソコンの操作をテレビ受像機15で確認することができる。
【0072】
[代理アクセスの処理]
利用者宅内の表示制御装置14の代理アクセス制御プログラムP15は,図2に示されるとおり,表示制御装置14においてコールセンタの代理アクセスサーバ21から配信されている映像を表示するチャネルが選局された時,代理アクセスサーバ21に宛てて代理アクセス許可電文をパケット網30に送出する(S10)。また,代理アクセス制御プログラムP15は,表示制御装置14が代理アクセスサーバからの配信映像を表示するチャネルの選局中に,テレビ受像機15の電源が遮断されたり他の局に変更されたりしたことを検出すると,代理アクセスサーバ21に宛てて代理アクセス許可を解除する電文をパケット網30に送出する(S16)。
【0073】
図11は,表示制御装置の代理アクセス制御プログラムP15のフローチャート図である。図中,上記の工程S10,S16に対応する工程が示されている。すなわち,標示制御装置において放送チャネル(局)が変更された場合(S101のY),代理アクセスサーバからの放送チャネルが選局された場合は(S103のY),代理アクセスサーバに代理アクセス許可電文を送信し(S104),代理アクセスサーバの放送チャネルから別の放送チャネルに変更された場合は(S105のY),代理アクセスサーバに代理アクセス許可解除電文を送信する(S106)。また,テレビ受像機または表示制御装置の電源がオフにされた場合も(S102のY),代理アクセスサーバに代理アクセス許可解除電文を送信する(S106)。
【0074】
次に,代理アクセスサーバ21内の代理アクセス制御プログラムP25は,図2に示されるとおり,利用者宅の表示制御装置14からの代理アクセス許可電文を受信すると,代理アクセス管理データベース27に,その利用者と電話回線でつながっているオペレータIDの代理アクセス許可状況を許可状態と記憶する(S11)。
【0075】
また,代理アクセス制御プログラムP25は,利用者宅の表示制御装置14からの代理アクセス許可解除電文を受信すると,代理アクセス管理データベース27に,その利用者と電話回線でつながっているオペレータIDの代理アクセス許可状況を不許可状態と記憶して許可状態を解除する(S17)。
【0076】
そして,代理アクセス制御プログラムP25は,代理アクセス許可サーバ50から代理アクセス許可状況を照会する電文を受信したら,該当するオペレータIDの代理アクセス許可状況を返信する(S14,S14(2))。
【0077】
図12は,代理アクセス制御プログラムP25の詳細なフローチャート図である。上記したとおり,利用者宅の表示制御装置14からの代理アクセス許可電文を受信すると(S111のY),代理アクセス制御プログラムP25は,その電文が利用者宅内の分岐装置11から送信されることを利用して,宛先管理データベース26を参照して利用者電話のIPアドレスに対応するオペレータPCのIPアドレスを抽出し(S112),さらに,オペレータ管理データベース25を参照してオペレータPCのIPアドレスに対応するオペレータIDを抽出する(S113)。そして,代理アクセス制御プログラムP25は,代理アクセス管理データベース27に,このオペレータIDに対応して代理アクセス許可状況を許可状態「1」に記憶する(S114)。
【0078】
また,利用者宅の表示制御装置14からの代理アクセス許可解除電文を受信すると(S117のY),代理アクセス制御プログラムP25は,代理アクセス管理データベース27に,その利用者と電話回線でつながっているオペレータIDの代理アクセス許可状況を不許可状態「0」と記憶して許可状態を解除する(S118)。代理アクセス許可解除電文の送信元IPアドレスから対応するオペレータIDを抽出する方法は,上記と同様である。
【0079】
そして,代理アクセス許可サーバ50からオペレータIDの代理アクセス状況を照会する電文を受信した場合は(S115のYES),代理アクセス制御プログラムP25は,代理アクセス管理データベース27を参照して,代理アクセス許可サーバ50から受信したオペレータIDに対する代理アクセス許可状況を返信する(S116)。
【0080】
次に,利用者のためにオペレータが代理アクセスする処理工程について説明する。図2に示されるように,まず最初に,オペレータがオペレータ端末であるパソコン24を操作して,利用者IDとオペレータIDと共に代理アクセス許可サーバ50宛てのログイン要求を送信する(S12)。このログイン要求は代理アクセスサーバ21を経由して代理アクセス許可サーバ50に送信される。
【0081】
代理アクセス許可サーバ50の代理アクセス処理プログラムP51は,ログイン要求と共に送信されてきたユーザIDをセッション管理データベース52にセッションIDに対応付けて記憶し(S13),そのオペレータIDが代理アクセス許可状態か否かの照会電文を代理アクセスサーバ21に送信する(S13)。そして,その照会に対する応答で許可状態であることが確認されたら,ログインを実行し,確認されなければエラー処理を行う(S15)。
【0082】
さらに,ログイン後において,代理アクセス処理プログラムP51は,オペレータのオペレータパソコンでの操作により所定の処理要求がされた場合は,セッション管理データベース52に記憶したオペレータIDが代理アクセス許可状態か否かの照会電文を代理アクセスサーバ21に送信する(S19)。そして,その照会に対する応答で許可状態であることが確認されたら,その処理を実行し,確認されなければエラー処理を行う(S20)。
【0083】
図13は,代理アクセス許可サーバ50の代理アクセス処理プログラムP51のフローチャート図である。その処理は,既に上述したとおりであり,上記の各工程S13,S15,S19,S20が図13にも示されている。再度説明すると,代理アクセス処理プログラムP51は,代理アクセスサーバ21を経由するログイン要求を受信すると(S121のY),ログイン要求のオペレータIDをセッションデータベース52に登録し(S122),代理アクセスサーバ21にそのオペレータIDの代理アクセス許可状況を問い合わせる照会電文を送信する(S123)。そして,その返信が代理アクセス許可の場合は(S124のY),代理アクセス処理プログラムP51は,ログイン処理を行い(S125),許可でない場合は(S124のN),エラー処理を行う(S126)。このエラー処理は例えばログイン拒否の返信などである。
【0084】
ログイン処理後において,代理アクセス処理プログラムP51は,代理アクセスサーバ21を経由する処理要求を受信すると(S127のY),処理要求のオペレータIDをセッション管理データベース52から抽出し,代理アクセスサーバ21にそのオペレータIDの代理アクセス許可状況を問い合わせる照会電文を送信する(S128)。そして,その返信が代理アクセス許可の場合は(S129のY),代理アクセス処理プログラムP51は,要求された処理を実行し(S130),許可でない場合は(S129のN),エラー処理を行う(S131)。
【0085】
上記の通り,代理アクセス処理において,利用者が自宅のテレビ受像機でオペレータのパソコンの画面を見ている間は代理アクセスを許可する状態にされ,代理アクセス許可サーバ50は,ログイン要求や特性の処理要求時に,利用者の認証情報を代理人のオペレータから求めることなく,その代理アクセス許可状態を確認して,ログインや処理を実行する。したがって,利用者はオペレータにログインや特定の処理に必要な認証情報を開示することなく,オペレータに代理アクセスをさせることができる。しかも,利用者は代理アクセス中はオペレータの操作をテレビ受像機で確認できるので,代理アクセスに対する心理的不安を緩和することができる。
【0086】
本実施の形態における代理アクセスシステムによれば,利用者に対して,オペレータへの認証情報の開示を行う必要のない代理アクセスサービスを提供することができる。
【0087】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0088】
(付記1)
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能なサーバであって,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理手段と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有するサーバ。
【0089】
(付記2)
付記1において,
前記ログイン処理手段は,前記ログイン要求に応答して,前記オペレータ端末を操作するオペレータが代理アクセス許可状態か否かを前記代理アクセスサーバに照会し,
前記ログイン処理手段は,前記照会に対応して前記代理アクセスサーバから前記オペレータが代理アクセス許可状態であることを受信した場合に,前記ログインを実行し,代理アクセス許可状態でないことを受信した場合に,前記ログインを実行しないサーバ。
【0090】
(付記3)
付記1または2において,
前記処理実行手段は,前記オペレータ端末からの処理要求に応答して,前記オペレータ端末を操作するオペレータが代理アクセス許可状態か否かを前記代理アクセスサーバに照会し,
前記処理実行手段は,前記照会に対応して前記代理アクセスサーバから前記オペレータが代理アクセス許可状態であることを受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行し,代理アクセス許可状態でないことを受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行しないサーバ。
【0091】
(付記4)
付記1〜3のいずれかにおいて,
前記ログイン処理手段は,前記ログイン要求時に前記オペレータ端末から供給されるオペレータ識別情報に基づいて,前記オペレータ端末を操作するオペレータが代理アクセス許可状態か否かを前記代理アクセスサーバに照会するサーバ。
【0092】
(付記5)
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能な代理アクセス許可サーバにおいて,利用者の代理アクセスを処理する代理アクセス処理手順をコンピュータに実行させる代理アクセス処理プログラムであって,
前記代理アクセス処理手順は,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理工程と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行工程とを有する代理アクセス処理プログラム。
【0093】
(付記6)
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能な代理アクセス許可サーバにおける,利用者の代理アクセスを処理する代理アクセス処理方法であって,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理工程と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行工程とを有する代理アクセス処理方法。
【0094】
(付記7)
利用者端末と代理アクセス許可サーバとネットワークを介して通信可能な代理アクセスサーバであって,
利用者端末とコールセンタのオペレータのIP電話との接続中に,前記オペレータが操作するオペレータ端末に表示される画面映像データについて映像データ放送用データを生成し,利用者端末アドレス宛に前記ネットワークを介して送信する画面映像データ送信手段と,
前記利用者端末に接続されたテレビ表示制御装置が表示制御するテレビ受像機に,前記画面映像が表示されていることを,前記利用者端末から受信したときに,前記オペレータを代理アクセス許可状態に記憶し,前記テレビ受像機に前記画面映像が表示されていないときに,前記オペレータの代理アクセス許可状態を解除する代理アクセス制御手段と,
前記利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から前記代理アクセス許可サーバ宛のログイン要求を,中継して,前記代理アクセス許可サーバに送信する中継手段とを有し,
前記代理アクセス制御手段は,前記オペレータ端末からの利用者認証情報を提供しないログイン要求に応答して前記代理アクセス許可サーバが送信する照会に応答して,前記オペレータが代理アクセス許可状態か否かの回答を,前記代理アクセス許可サーバに送信し,前記代理アクセス許可サーバに前記ログインの実行または拒否を行わせる代理アクセスサーバ。
【0095】
(付記8)
利用者端末と代理アクセス許可サーバとネットワークを介して通信可能な代理アクセスサーバにおける代理アクセス制御方法であって,
利用者端末とコールセンタのオペレータのIP電話との接続中に,前記オペレータが操作するオペレータ端末に表示される画面映像データについて映像データ放送用データを生成し,利用者端末アドレス宛に前記ネットワークを介して送信する画面映像データ送信工程と,
前記利用者端末に接続されたテレビ表示制御装置が表示制御するテレビ受像機に,前記画面映像が表示されていることを,前記利用者端末から受信したときに,前記オペレータを代理アクセス許可状態に記憶し,前記テレビ受像機に前記画面映像が表示されていないときに,前記オペレータの代理アクセス許可状態を解除する代理アクセス制御工程と,
前記利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から前記代理アクセス許可サーバ宛のログイン要求を,中継して,前記代理アクセス許可サーバに送信する中継工程と,
前記オペレータ端末からの利用者認証情報を提供しないログイン要求に応答して前記代理アクセス許可サーバが送信する照会に応答して,前記オペレータが代理アクセス許可状態か否かの回答を,前記代理アクセス許可サーバに送信し,前記代理アクセス許可サーバに前記ログインの実行または拒否を行わせる代理アクセス照会回答工程とを有する代理アクセス制御方法。
【0096】
(付記9)
利用者に代理アクセスのサービスを提供するシステムにおいて,
利用者端末とネットワークを介して通信可能な代理アクセスサーバであって,
利用者端末とコールセンタのオペレータのIP電話との接続中に,前記オペレータが操作するオペレータ端末に表示される画面映像データについて映像データ放送用データを生成し,利用者端末アドレス宛に前記ネットワークを介して送信する画面映像データ送信手段と,
前記利用者端末に接続されたテレビ表示制御装置が表示制御するテレビ受像機に,前記画面映像が表示されていることを,前記利用者端末から受信したときに,前記オペレータを代理アクセス許可状態に記憶し,前記テレビ受像機に前記画面映像が表示されていないときに,前記オペレータの代理アクセス許可状態を解除する代理アクセス制御手段とを有する代理アクセスサーバと,
前記代理アクセスサーバとネットワークを介して通信可能な代理アクセス許可サーバであって,利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理手段と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有する代理アクセス許可サーバとを有する代理アクセスのサービスを提供するシステム。
【0097】
(付記10)
付記9において,
前記代理アクセス制御手段は,前記ログイン要求に応答して前記代理アクセス許可サーバが送信する照会に応答して,前記オペレータが代理アクセス許可状態か否かの回答を,前記代理アクセス許可サーバに送信し,
前記ログイン処理手段は,前記オペレータが代理アクセス許可状態である回答を受信した場合に,前記ログインを実行し,代理アクセス許可状態でない回答を受信した場合に,前記ログインを実行しない代理アクセスのサービスを提供するシステム。
【0098】
(付記11)
付記9または10において,
前記代理アクセス制御手段は,前記オペレータ端末からの操作に応答して前記代理アクセス許可サーバが送信する照会に応答して,前記オペレータが代理アクセス許可状態か否かの回答を,前記代理アクセス許可サーバに送信し,
前記処理実行手段は,前記オペレータが代理アクセス許可状態である回答を受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行し,代理アクセス許可状態でない回答を受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行しない代理アクセスのサービスを提供するシステム。
【符号の説明】
【0099】
10:利用者宅 11:利用者の分岐装置
12,13:電話機 14:表示制御装置(STB)
15:テレビ受像機 30:IPパケット網
20:コールセンタ 21:代理アクセスサーバ
22:オペレータ 40:SIPサーバ
50:代理アクセス許可サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能なサーバであって,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理手段と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有するサーバ。
【請求項2】
請求項1において,
前記ログイン処理手段は,前記ログイン要求に応答して,前記オペレータ端末を操作するオペレータが代理アクセス許可状態か否かを前記代理アクセスサーバに照会し,
前記ログイン処理手段は,前記照会に対応して前記代理アクセスサーバから前記オペレータが代理アクセス許可状態であることを受信した場合に,前記ログインを実行し,代理アクセス許可状態でないことを受信した場合に,前記ログインを実行しないサーバ。
【請求項3】
請求項1または2において,
前記処理実行手段は,前記オペレータ端末からの処理要求に応答して,前記オペレータ端末を操作するオペレータが代理アクセス許可状態か否かを前記代理アクセスサーバに照会し,
前記処理実行手段は,前記照会に対応して前記代理アクセスサーバから前記オペレータが代理アクセス許可状態であることを受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行し,代理アクセス許可状態でないことを受信した場合に,前記操作に対応する処理を実行しないサーバ。
【請求項4】
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能な代理アクセス許可サーバにおいて,利用者の代理アクセスを処理する代理アクセス処理手順をコンピュータに実行させる代理アクセス処理プログラムであって,
前記代理アクセス処理手順は,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理工程と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行工程とを有する代理アクセス処理プログラム。
【請求項5】
ネットワークを介して代理アクセスサーバと通信可能な代理アクセス許可サーバにおける,利用者の代理アクセスを処理する代理アクセス処理方法であって,
利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理工程と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行工程とを有する代理アクセス処理方法。
【請求項6】
利用者端末と代理アクセス許可サーバとネットワークを介して通信可能な代理アクセスサーバであって,
利用者端末とコールセンタのオペレータのIP電話との接続中に,前記オペレータが操作するオペレータ端末に表示される画面映像データについて映像データ放送用データを生成し,利用者端末アドレス宛に前記ネットワークを介して送信する画面映像データ送信手段と,
前記利用者端末に接続されたテレビ表示制御装置が表示制御するテレビ受像機に,前記画面映像が表示されていることを,前記利用者端末から受信したときに,前記オペレータを代理アクセス許可状態に記憶し,前記テレビ受像機に前記画面映像が表示されていないときに,前記オペレータの代理アクセス許可状態を解除する代理アクセス制御手段と,
前記利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から前記代理アクセス許可サーバ宛のログイン要求を,中継して,前記代理アクセス許可サーバに送信する中継手段とを有し,
前記代理アクセス制御手段は,前記オペレータ端末からの利用者認証情報を提供しないログイン要求に応答して前記代理アクセス許可サーバが送信する照会に応答して,前記オペレータが代理アクセス許可状態か否かの回答を,前記代理アクセス許可サーバに送信し,前記代理アクセス許可サーバに前記ログインの実行または拒否を行わせる代理アクセスサーバ。
【請求項7】
利用者に代理アクセスのサービスを提供するシステムにおいて,
利用者端末とネットワークを介して通信可能な代理アクセスサーバであって,
利用者端末とコールセンタのオペレータのIP電話との接続中に,前記オペレータが操作するオペレータ端末に表示される画面映像データについて映像データ放送用データを生成し,利用者端末アドレス宛に前記ネットワークを介して送信する画面映像データ送信手段と,
前記利用者端末に接続されたテレビ表示制御装置が表示制御するテレビ受像機に,前記画面映像が表示されていることを,前記利用者端末から受信したときに,前記オペレータを代理アクセス許可状態に記憶し,前記テレビ受像機に前記画面映像が表示されていないときに,前記オペレータの代理アクセス許可状態を解除する代理アクセス制御手段とを有する代理アクセスサーバと,
前記代理アクセスサーバとネットワークを介して通信可能な代理アクセス許可サーバであって,利用者の代理アクセスを試みるオペレータ端末から,前記代理アクセスサーバを経由して,送信されたログイン要求に応答して,前記代理アクセスサーバが前記利用者に対する前記オペレータの代理アクセスを許可していることを条件に,前記オペレータ端末からの前記利用者の認証情報の送信を求めることなく前記利用者の識別情報に基づいて前記ログインを実行するログイン処理手段と,
前記ログイン後の前記オペレータ端末からの操作に対応する処理を実行する処理実行手段とを有する代理アクセス許可サーバとを有する代理アクセスのサービスを提供するシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−11969(P2013−11969A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143207(P2011−143207)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】