代謝プロファイル
本発明は対象における障害ないし疾患、例えば自己免疫疾患、特に関節リウマチの代謝プロファイルを作成するための内因性代謝物の使用と、対象における前記プロファイルにおいて前記疾患ないし障害に起因又は相関する変動を検出するための前記代謝プロファイルの分析に関する。このような変動は特定化合物、特にN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に投与することにより正常化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象における障害ないし疾患、例えば自己免疫疾患、特に関節リウマチの代謝プロファイルを作成するための内因性代謝物の使用と、対象における前記プロファイルにおいて前記疾患ないし障害に起因又は相関する変動を検出するための前記代謝プロファイルの分析に関する。このような変動は特定化合物、特にN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に投与することにより正常化することができる。
【背景技術】
【0002】
全自己免疫疾患(AD)は免疫系機能を調節するメカニズムの破綻に起因する。2005年に、米国人口の5〜8%がAD患者であると推定された(National Institute of Health(2005))。80種類を越える疾患がADに分類されており、自己免疫性であると疑われている疾患も多い(一般的なADと、自己免疫の関与を疑われている疾患の一覧については、表1参照)。
【0003】
【表1】
【0004】
【表2】
【0005】
ADの原因
原因は不明であるが、全ADは免疫系機能を調節するメカニズムの破綻に起因し、その結果、体内の臓器と組織に対する自己免疫攻撃を生じる。この疾患は分子レベルでも所定の類似点がある(Karopka,T.et al.,BMC Bioinformatics.7:(2006);van der Pouw Kraan,T.C.T.M.et al.,Ann.Rheum.Dis.66:1008−1014(2007))。あるADに罹患している患者は1種類以上のADに罹患していることが多い(Tsuneyama,K.et al.,Dig.Dis.Sci.45:366−372(2000))。複数の自己免疫疾患をもつ家族では、T1D、RA、全身性エリテマトーデス(SLE)及び自己免疫性甲状腺疾患(AITD)(橋本病ないしグレーブス病)の4種類の異なる自己免疫疾患のリスクが高いことが分かった(Criswell,L.A.et al.,Am.J.Hum.Genet.76:561−571(2005))。関節リウマチ(RA)と統合失調症に関する研究によると、これらの疾患には共通の感染及び/又は免疫原因があると考えられる(Torrey,E.F.et al.,Brain Behav.Immun.15:401−410(2001);Eaton,W.W.et al.,Am.J.Psychiat.163:521−528(2006);Eaton,W.W.et al.,J.Autoimmun.29:1−9(2007))。
【0006】
ADの原因、発病及び治療を研究するためには対応する動物モデルが不可欠である(Burkhardt,H.et al.,Rheumatol.Int.17:85−90(1997))が、原因がはっきりしないため、適切な動物モデルを選択するのは困難である(Drescher,K.M.et al.,Front.Biosci.13:3775−3785(2008))。
【0007】
糖尿病になり易いBBラットはヒトT1Dと同様にT1Dを発症する(Jacob,H.J.et al.,Nature genetics.2:56−60(1992);Mordes,J.P.et al.,Ilar Journal.45:278−291(2004);Fuller,J.M.et al.,Diabetes.55:3351−3357(2006))。齧歯類モデルもRAの発病研究における重要なツールであり(Terato,K.et al.,Br.J.Rheumatol.35:828−838(1996);Burkhardt,H.et al.,Rheumatol.Int.17:85−90(1997);Anthony,D.D.et al.,Clin.Exp.Rheumatol.17:240−244(1999);Holmdahl,R.et al.,Immunol.Rev.184:184−202(2001);Nandakumar,K.S.et al.,Arthritis Res.Ther.8:(2006))、感受性遺伝子の研究の基礎にもなっている(Remmers,E.F.et al.,Nature genetics.14:82−85(1996);Holmdahl,R.,Curr.Opin.Immunol.10:710−717(1998))。臓器系がヒトと類似する大型動物モデルは糖尿病と関節炎の両方の研究において重要なツールである(Larsen,M.O.et al.,Ilar Journal.45:303−313(2004);Vierboom,M.P.M.et al.,Arthritis Res.Ther.7:145−154(2005))。
【0008】
グループ及びサブグループ
全ADの共通の特徴は細胞と組織に対する自己免疫攻撃を生じ、体内の任意臓器を冒す可能性のある全身衰弱である。
【0009】
以下の定着又は疑似AD、即ち1、2、4、9、10、12、16、20、21、22、23、25、27、28、29、35、37、38、39、45、46、48、49、52、53、55及び58は科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。より具体的には、このサブグループのADは関節炎病態との関連を報告されており、一般に例えば関節や組織における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする。
【0010】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち4、9、16、20、35、37、39、45、46、48、49、52、53及び58も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADは、特に関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする関節炎病態との関連を報告されている。
【0011】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち1、12、28、37及び38も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも中枢神経系のミエリンの分解を伴う。
【0012】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち13、19、20、24、32、36、40、45、46、51、57及び60も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す。乾癬病態は関節炎病態と関連付けられている。
【0013】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち14、18、41及び56も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態であるループスと関連付けられている。
【0014】
、更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち5、6、11、30、31、33、42、54及び59も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば血管の分解により心血管系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態と関連付けられている。
【0015】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち1、7、47及び50も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態及びMSと関連付けられている。
【0016】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち21、25、26、34及び61も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば腎臓及び/又は肺に炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態、T1D及びMSと関連付けられている。
【0017】
1態様において、本発明は上記サブグループの疾患のいずれかの高リスクの検出、診断又は予後診断のための本願に記載する方法に関する。
【0018】
ADの診断
ADは体内の任意臓器又は組織を冒す可能性があり、殆どの場合には、疾患が進行した段階に入り、不可逆的損傷が生じるまで症状が知覚されない。これまで、ADはほぼ臨床診断に限られているが、初期症状が多様で定まらないため、診断は困難になっている(Health,National Institute of:(2002))。大半のADでは、バイオマーカーが存在するとしても、特異的でないため、診断を助長するための実験室ベースの試験の利用可能性が制限されており、そのため、臨床処置と新規治療剤の開発も阻まれている(Liu,C.C.et al.,Curr.Opin.Rheumatol.17:543−549(2005))。自己抗体がSLE及び他のADの臨床対応バイオマーカーとして認められている(Ramos,P.S.et al.,Genes Immun.7:417−432(2006))。
【0019】
サイトカインはADに関係があるとされており、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)(Wingerchuk,D.M.,Neurol.Res.28:341−347(2006))と、MS(多発性硬化症)と、健常対照を識別するために使用されている(Franciotta,D.et al.,J.Neurol.Sci.247:202−207(2006);Wingerchuk,D.M.et al.,Curr.Opin.Neurol.20:343−350(2007))。サイトカインはRAの発病にも関与している(Ehrenstein,M.R.et al.,J.Exp.Med.200:277−285(2004);McInnes,I.B.et al.,Nat.Rev.Immunol.7:429−442(2007))。
【0020】
ADの治療
現状では、大半のADには利用可能な治癒法がなく、患者は終生疾患と係わり、症状を緩和するための治療を続けなければならないと考えられる。治療アプローチとしては、主に、
・損傷した臓器の交換又は低下した機能の修復、
・破壊的な自己免疫応答の抑制
の2種類が利用可能である。
【0021】
第1の分類において、1例はT1D患者に対するインスリンであるが、ADは治癒されない。膵島細胞塊を復元するためにT1D患者は膵臓又は膵島移植手術を受けることができ(Sutherland,D.E.R.et al.,Diabetes.38:85−87(1989);Kandaswamy,R.et al.,Transplant.Proc.38:365−367(2006);Sutherland,D.E.R.et al.,Transplant.Proc.39:2323−2325(2007))、幹細胞及び膵前駆細胞からの再生(Jun,H.S.,Front.Biosci.13:6170−6182(2008))を含む新規アプローチを利用できる。
【0022】
第2の分類は例えば非ステロイド性抗炎症薬や単純な鎮痛剤による徴候と症状の改善、疾患の自然経過の改変(例えばRA患者に対する疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD))、疾患により誘発される臓器損傷に起因する合併症の対処に関する。疾患の段階、活動性及び進行を判定し、治療応答を評価するためにはADのバイオマーカーの開発が極めて重要である。
【0023】
1型糖尿病
T1Dは年少幼児で最も一般的な慢性疾患の1種であり、発症年齢が低下しつつあり、全世界の推定年間増加率は3〜5%であり、早期の優れた診断ツールが必要であることは明白である(Onkamo,P.et al.,Diabetologia.42:1395−1403(1999);Gale,E.A.M.,Diabetes.51:3353−3361(2002);Gillespie,K.M.et al.,Lancet.364:1699−1700(2004))。T1DはT細胞介在性ADであり、多くの場合には臨床症状が出現する3〜5年前に始まっており、診断後に持続し、膵島移植後に再発する可能性がある(Eisenbarth,G.S.,N.Engl.J.Med.314:1360−1368(1986);Tyden,G.et al.,N.Engl.J.Med.335:860−863(1996);Atkinson,M.A.et al.,Lancet.358:221−229(2001))。原因は不明であるが、理論的には遺伝的要因と環境要因、場合により更にT1Dのウイルス感染が結び付けられている(Kyvik,K.O.et al.,Br.Med.J.311:913−917(1995);Akerblom,H.K.et al.,Am.J.Med.Genet.115:18−29(2002);Barbeau,W.E.et al.,Med.Hypotheses.68:607−619(2007))。
【0024】
T1Dは自己免疫プロセス(段階1)の誘発の結果として膵島自己免疫後に高血糖症(段階2)の臨床発症へと進行する2段階プロセス(図1)とみなされる(Dahlquist,G.G.et al.,Diabetes.44:408−413(1995);Hyoty,H.et al.,Diabetes.44:652−657(1995);Lindberg,B.et al.,Diabetologia.42:181−187(1999);Skyler,J.S.et al.,N.Engl.J.Med.346:1685−1691B(2002);Gale,E.A.M.et al.,Lancet.363:925−931(2004))。
【0025】
大半の患者は長期自己免疫の終点に達するまで診断されないが、早期に診断されるならば、血中グルコース濃度を良好に制御し、残存する内因性インスリン産生能を維持すると共に、将来の合併症のリスクを低下できると思われる(Livingstone,K.et al.,Practical Diabetes Int.24:102−106(2007))。リスク要因を同定するために、数件の研究では新生児をHLA(ヒト白血球抗原)についてスクリーニングし、T1Dのリスクの高いHLAをもつ乳児を同定及び追跡している(Krischer,J.,Pediatr.Diabetes.8:286−298(2007))。T1Dの第一度近親者をもつ幼児における膵島自己抗体の出現とそれに基づく糖尿病の予測が報告されている(Achenbach,P.et al.,Diabetes.53:384−392(2004);Barker,J.M.et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.89:3896−3902(2004);Ronkainen,M.S.et al.,Eur.J.Endocrinol.155:633−642(2006))が、T1Dを発症している全乳児の約85%はこの疾患の第一度近親者をもたない。膵島自己免疫の出現以外に、増殖を含む代謝変化がT1D疾患プロセスに関係があることを示す報告もある(Shaham,Oded et al.,Mol Syst Biol.4:(2008))。
【0026】
【表3】
【0027】
T1Dの予測とT1Dリスクのバイオマーカーは多数の発明に報告されている(例えばWO2008/031917、US2005054005、WO2006066263、WO2007110358及びDE102006026173)。対象におけるT1Dの予測に関する1発明(WO2008/035204)は、各種代謝物を測定する段階と、更に遺伝子型を決定する段階を含む(表2参照)。意外にも、本発明者らは、T1Dを発症するリスクの高い対象からの試料がT1D発症のリスクに従来結び付けられていない新規代謝物とユニークな代謝物組合せを含有しており、これらの代謝物の濃度に認められた経時変化がT1Dの高リスクの指標であることを見出した。
【0028】
2型糖尿病(T2D)では、生体の細胞はインスリン抵抗性を生じるため、インスリンの存在に対して適切に応答しなくなる。他方、T1DとT2Dの間には多数の類似点があり、両者疾患の原因と発病には関連性がある(Tuomi,T.et al.,Diabetes.42:359−362(1993);Pickup,J.C.et al.,Diabetologia.41:1241−1248(1998);Xing,Z.et al.,J.Clin.Invest.101:311−320(1998);Rabinovitch,A.et al.,Rev.Endocr.Metab.Disord.4:291−299(2003);Alexandraki,K.I.et al.,J.Clin.Immunol.28:314−321(2008))。
【0029】
関節リウマチ
RAは免疫系が関節を攻撃する結果、関節破壊とそれに伴う疼痛により運動能力の実質的な低下に至る廃疾性・疼痛性の病態を生じる慢性炎症性ADである(Scott,D.L.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.21:943−967(2007))。RAの原因は殆ど分かっていない(Jefferies,W.M.,Medical Hypotheses.51:111−114(1998);Krishnan,E.,Joint Bone Spine.70:496−502(2003);Klareskog,L.et al.,Arthritis and Rheumatism.54:38−46(2006))。最初の症状はRAよりも未分化炎症性関節炎(UIA)であり、UIAが進行してRAになると考えられる(Dixon,W.G.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.19:37−53(2005))。炎症性関節炎の進行は4段階に分けることができる(図2)。
【0030】
不可逆的な関節損傷を防ぐためのより有効な治療には早期診断が不可欠である(Emery,P.,Br.J.Rheumatol.33:765−768(1994);van Aken,J.et al.,Ann.Rheum.Dis.63:274−279(2004);Emery,P.,Br.Med.J.332:152−155(2006))。慢性関節炎症を発症する患者を検出できるならば、治療を必要とする患者を絞り易くなり、この疾患を発症する可能性の低い患者に不必要な治療をせずに済む(Emery,P.et al.,Rheumatol.Int.27:793−806(2007);Emery,P.et al.,Rheumatology.47:392−398(2008))。従って、RAに進行する前にUIAである自己免疫応答を診断する方法が必要である(Firestein,G.S.,Arthritis Res.Ther.7:157−159(2005))。内因性代謝物濃度の測定はこの疾患を診断するだけでなく、発病に関与するメカニズムの新規ヒントにもなる可能性がある。下記実施例では、血漿のGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析法)により作成したデータを分析することにより、RAに罹患している対象を関連疾患の対象及び健常ボランティアから分離できることを示す(表3参照)。これはRAの発症を遅延させるか又は予防もできるように作用する薬剤の開発に不可欠である。
【0031】
【表4】
【0032】
変形性関節症
変形性関節症(OA)は世界中で最も一般的な筋骨格系障害であり、米国だけでも約2700万人が罹患していると推定される(Ghosh,P.et al.,Biogerontology.3:85−88(2002);Lawrence,R.C.et al.,Arthritis and Rheumatism.58:26−35(2008))。OAは先進国世界で疾病率の主要な原因であり、多大な社会的・経済的帰結を伴う(Stargardt,T.,Health Econ.17:S9−S20(2008))。
【0033】
OAは関節軟骨及び軟骨下骨の進行性変性及び損失と、滑液反応を特徴とする多因子疾患である。OAの発病と変動性は十分に解明されていないが、年齢、遺伝、ホルモン及び物理的要因がいずれも発症と進行に寄与すると考えられる。
【0034】
多数の研究がOAにおける自己免疫の関与を立証しており(Nishioka,K.,Arthritis Res.Ther.6:6−7(2004);Punzi,L.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.18:739−758(2004);Xiang,Y.et al.,Arthritis Rheum.50:1511−1521(2004);Xiang,Y.et al.,J.Immunol.176:3196−3204(2006))、特に全身結節性AOのサブグループについて立証している(Doherty,M.et al.,Ann Rheum Dis.49:1017−1020(1990))。
【0035】
OAの診断は殆どの場合、数カ月間の疾患進行の結果である関節損傷のX線評価を含む。X線検査は65歳までの患者の大部分と75歳を越える患者の約80%で行われている(Arden,N.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.20:3−25(2006))。この診断方法は現在の疾患活動性の評価又は予後診断には適していないため、OAとOAに伴う自己免疫応答の早期診断を可能にするバイオマーカーが必要とされている。これは、特にOAを治療するために有効な薬剤の開発に関連して、発症のリスクの評価を可能にし、疾患進行及び重篤度をモニターするために必要である。内因性代謝物濃度の測定は疾患を診断するだけでなく、発病に関与するメカニズムの新規ヒントにもなる可能性がある。下記実施例では、OA患者を健常個体から分離できることを示す(表4参照)。これはOAの発症を遅延させるか又は予防もできるようにするための治療薬の開発に役立つと思われる。
【0036】
【表5】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
ADを発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはADの予後診断、検出及び診断に役立つと思われ、いずれも臨床症状が現れる前に実施することができるため、予防処置ないし予防を早期に開始することが可能になり、長期的な組織損傷を最小限にすることができる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、ADの発症を予防又は遅延させ、従って、ADの治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
るいるにくく、ために
【0038】
本発明者らは本発明者らの試験で内因性代謝物濃度を回復する能力を示し、従って、疾患ないし障害、特に自己免疫が原因であると考えられる疾患ないし障害の発症を予防、遅延又は抑制するのに有益となる化合物をその形態の多くで同定した。
【0039】
本願では「バイオマーカー」及び「内因性代謝物」なる用語とその複数形を同義に使用する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
1態様において、本発明は関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0041】
本発明は更に関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0042】
別の態様において、本発明は対象におけるRAの診断又は検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象にRAが存在すると判断する。
【0043】
本発明の別の側面は、対象におけるRA進行のモニター方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、対象におけるRA予後が変化していると判断する。
【0044】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象におけるRA予後が改善していると判断する。
【0045】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象におけるRA予後が悪化していると判断する。
【0046】
本発明は更に対象におけるRAの悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載するRA進行のモニター方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0047】
本発明の別の側面は対象におけるRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0048】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は有効であると判断する。
【0049】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は無効であると判断する。
【0050】
本発明の別の側面は対象におけるRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0051】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は有効であると判断する。
【0052】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は無効であると判断する。
【0053】
本発明は更に上記のようなRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法を提供する。
【0054】
上記医薬の有効性のモニター方法に関して、本発明の所定態様では、2個の生体試料を採取する前に医薬を対象に投与している。他の態様では、2個の試料を採取する間に医薬を対象に投与している。
【0055】
本発明の所定態様において、「RAの診断又は検出方法」なる用語は対象における推定RAの検出方法又は対象におけるRAの尤度増加の判定方法を意味する。
【0056】
好ましくは、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である。他の態様において、Nは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である。所定態様において、内因性代謝物はEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択され、あるいは内因性代謝物はEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される。
【0057】
例えば、本発明の態様がN種類の内因性代謝物を選択する必要がある場合には、内因性代謝物はEM1〜Nから選択することができる。
【0058】
Nの値が大きい方法を使用すると、方法の高レベルの信頼性を得ることができる。
【0059】
他の態様において、本発明は自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は
(a)自己免疫疾患、好ましくは全自己免疫疾患;
(b)組織分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)分解により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)腎臓及び/又は肺を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害;あるいは
(k)全関節炎性障害
に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0060】
他の態様において、本発明は自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は上記疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0061】
好ましくは、代謝プロファイルの変動は糖尿病性障害、最も好ましくは2型糖尿病(T2D)に起因する。
【0062】
他の好ましい態様において、変動は炎症、特に関節の炎症を特徴とする自己免疫疾患に起因する。
【0063】
更に別の態様において、本発明は対象における疾患ないし障害の高リスクの検出、診断又は予後診断方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する。
【0064】
別の態様において、本発明は対象における疾患ないし障害の高リスクの検出、診断又は予後診断方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する。
【0065】
本願で使用する「疾患ないし障害」なる用語は、
(a)全自己免疫疾患;
(b)組織分解、例えば関節及び皮膚における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)例えば関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)例えば血管の分解により心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)例えば腎臓及び/又は肺に血管の炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害、例えばT1D及びT2D;
(k)全関節炎性障害、例えばOA及びRA;あるいは
(l)T1D、RA及びOA
を意味する。
【0066】
本発明の所定態様では、EM6プロリン(Pro)を4−ヒドロキシプロリンで代用する。他の態様において、EM6は該当試料におけるプロリンと4−ヒドロキシプロリンの合計濃度である。
【0067】
(b)〜(i)に記載した疾患ないし障害の例は上記「グループ及びサブグループ」なる表題のセクションと表1に列挙する対応疾患で確認することができる。
【0068】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の診断に相当すると判断する。
【0069】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が悪化していると判断する。
【0070】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が改善されていると判断する。
【0071】
本発明は更に対象における疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0072】
更に、本発明は対象における疾患ないし障害の予後の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害をもつ対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0073】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0074】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0075】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は(予防薬として)有効であると判断する。
【0076】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は(予防薬として)無効であると判断する。
【0077】
本発明は更に対象における本願に記載する疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度に及ぼす医薬の影響のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0078】
本発明は更に上記のような疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法も提供する。
【0079】
上記医薬の有効性のモニター方法に関して、本発明の所定態様では、2個の生体試料を採取する前に医薬を対象に投与している。他の態様では、2個の試料を採取する間に医薬を対象に投与している。
【0080】
所定の好ましい態様において、Nは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である。他の好ましい態様において、Nは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の好ましい態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である。更に他の態様において、内因性代謝物はEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される。
【0081】
本発明の別の態様では、対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法が提供され、前記方法は、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、本願に記載する疾患ないし障害に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は本願に記載する疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0082】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、本願に記載する疾患ないし障害に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は上記疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法も提供される。
【0083】
別の態様において、本発明は対象における(以下に記載するような)疾患ないし障害を従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法を提供し、前記方法は、
a)(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階
を含む方法により、対象における疾患ないし障害の高リスク検出、診断及び予後診断を行う段階(但し、N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する)と;
b)その後、前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0084】
別の態様において、本発明は対象における(以下に記載するような)疾患ないし障害を従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階
を含む方法により、対象における疾患ないし障害の高リスク検出、診断及び予後診断を行う段階(但し、N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する)と;
b)その後、前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法を提供する。
【0085】
本発明の所定態様では、EM6プロリン(Pro)を4−ヒドロキシプロリンで代用する。他の態様において、EM6は該当試料におけるプロリンと4−ヒドロキシプロリンの合計濃度である。
【0086】
この関連で使用する「疾患ないし障害」なる用語は、
(a)全自己免疫疾患;
(b)組織分解、例えば関節及び皮膚における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)例えば関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)例えば血管の分解により心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)例えば腎臓及び/又は肺に血管の炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害、例えばT1D及びT2D;
(k)全関節炎性障害、例えばOA及びRA;あるいは
(l)T1D、RA及びOA
を意味する。
【0087】
(b)〜(i)に記載した疾患ないし障害の例は上記「グループ及びサブグループ」なる表題のセクションと表1に列挙する対応疾患で確認することができる。
【0088】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の診断に相当すると判断する。
【0089】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が悪化していると判断する。
【0090】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が改善されていると判断する。
【0091】
本発明は更に対象における疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0092】
更に、本発明は対象における疾患ないし障害の予後の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害をもつ対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法を提供する。
【0093】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0094】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0095】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は(予防薬として)有効であると判断する。
【0096】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は(予防薬として)無効であると判断する。
【0097】
所定態様において、Nは好ましくは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である。他の態様において、Nは好ましくは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の態様において、Nは好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である。更に他の態様において、内因性代謝物はEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される。
【0098】
本発明の別の側面では、対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法が提供され、前記方法は、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0099】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法も提供される。
【0100】
所定の好ましい態様において、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である。他の好ましい態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である。更に他の好ましい態様において、内因性代謝物はEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択され、あるいは内因性代謝物はEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される。
【0101】
「測定」なる用語は標的内因性代謝物プロファイル、そのサブユニット又は試薬と標的の結合体等を検定、定量、画像撮影又は他の方法でその有無を判定すること、あるいは本願に記載する疾患ないし障害の1種以上の実際の特徴を検定、画像撮影、確認、判定又は他の方法で決定することを包含する。
【0102】
生体試料中のN種類の個々の内因性代謝物の濃度は同一又は異なる技術を使用して測定することができる。
【0103】
本発明は特に、対象における本願に記載する疾患ないし障害の診断及び/又は検出方法であって、対象に由来する生体試料における内因性代謝物プロファイルを検出する段階を含む方法に関する。内因性代謝物プロファイルは任意の適切な手段を使用して測定することができる。例えば、内因性代謝物プロファイルはクロマトグラフィー及び/又は分光学的手法又はプロファイルにおける内因性代謝物を検出もしくはこれと結合する試薬を使用して測定することができ、プロファイルの個々の内因性代謝物又はその一部に対して特異的に反応性の個々の抗体を使用して測定することが好ましい。
【0104】
1態様では、所定疾患ないし障害を発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはこれらの疾患ないし障害の予後診断、検出及び診断に役立つと思われる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、これらの疾患ないし障害の発症を予防又は遅延させ、従って、これらの疾患ないし障害の治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
【0105】
本発明は更に対象における所定疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度に及ぼす医薬の影響のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象における内因性代謝物の濃度をモニターする方法を含み、更に、内因性代謝物濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0106】
本発明は更に上記のような所定疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法も提供する。
【0107】
T1D及び/又はT2Dを発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはT1D及び/又はT2Dの予後診断、検出及び診断に役立つと思われる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、T1D及び/又はT2Dの発症を予防又は遅延させ、従って、T1D及び/又はT2Dの治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
【0108】
本願で遊離塩基又は塩形態、例えば酢酸塩(融点198〜200℃)として使用される化合物N−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンは公知化合物である。前記化合物を含有するのに適したその製法及び組成は例えばWO02/11715に記載されている。本発明はその任意前駆体又はプロドラッグの使用を包含する。本願開示の関連では、この化合物のみを本発明の方法(即ち検出、予防等)と組合せて使用する。
【0109】
本発明は更に本願に開示するような内因性代謝物分析法の使用により自己免疫疾患のリスクが高いか又は恐らく既に非常に初期段階にあると判定(試験)された対象における自己免疫疾患の発症を予防、抑制又は遅延させるために使用する遊離塩基もしくは塩形態の化合物N−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン、又はその前駆体もしくはプロドラッグを提供する。このような分析はADのより明白な症状のいずれかが発現される前に実施することができ、既存形式の診断の結果として従来可能であったよりも著しく早期に予防又は治療を開始することが可能になろう。
【0110】
クロマトグラフィー及び分光学的手法の例としては、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)及びガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)が挙げられる。
【0111】
1態様において、本発明はクロマトグラフィーに基づく技術による内因性代謝物プロファイルの測定方法に関する。内因性代謝物化合物はそのまま検出することもできるし、検出前に化学変換(誘導体化)することもできる。検出法としては、限定されないが、試料の光吸収、好ましくはUV検出器、又は質量計による質量/電荷比の測定が挙げられる(例えばFonteh,A.N.et al.,Amino Acids.32:203−212(2007))。
【0112】
内因性代謝物の他の測定方法としては、ケモメトリックス法(例えば主成分分析法(PCA)、部分最小二乗法による潜在構造射影(PLS)、直交PLS(OPLS)、PLS判別分析法(PLS−DA)及び直交PLS−DA(OPLS−DA))と、分光学的手法の併用が挙げられる。
【0113】
内因性代謝物の他の測定方法としては、多波長分光測定を行い、一般には例えば電磁スペクトルの近赤外範囲における試料の透過スペクトルを測定し、このスペクトルを対照被験者からの標準試料スペクトルと比較する方法が挙げられる。次にケモメトリックス法に基づく比較から、試料が本願に記載する疾患ないし障害を示すか否かを判定する。
【0114】
本発明の好ましい1態様では、個々の内因性代謝物と個別に結合した後に検出される試薬を使用し、N種類の内因性代謝物の1種以上の濃度を測定する。
【0115】
好ましくは、N種類の内因性代謝物に特異的な個々の抗体を使用してN種類の内因性代謝物の1種以上の濃度を測定する。
【0116】
抗体は検出可能なラベルで直接又は間接的に標識することができる。検出可能なラベルの例としては酵素が挙げられる。好ましくは、酵素の基質は基質又は酵素と基質の反応生成物が蛍光複合体を形成するように選択され、蛍光複合体の濃度を測定することにより内因性代謝物の濃度を測定する。
【0117】
本発明の方法で使用される内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体は科学又は商業ソースから得ることができる。あるいは、抗体、モノクローナル又はポリクローナル抗体、及び免疫学的に活性なフラグメント(例えばFab又は(Fab)2フラグメント)、抗体重鎖、抗体軽鎖、ヒト化抗体、遺伝子組換え1本鎖Fv分子(Ladner et al,米国特許第4,946,778号)を作製するために、内因性代謝物プロファイルの天然単離成分又は内因性代謝物プロファイルの組換え成分を利用してもよい。モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、フラグメント及びキメラを含む抗体は当業者に公知の方法を使用して作製することができる。
【0118】
各種生体試料における内因性代謝物プロファイルを検出するために内因性代謝物プロファイルに特異的に反応性の抗体又はその誘導体を使用することができ、例えば蛋白質の抗原決定基と抗体の結合相互作用に依存する任意公知イムノアッセイで使用することができる。このようなアッセイの例はラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(例えばELISA)、免疫蛍光法、免疫沈降法、ラテックス凝集法、血液凝集反応及び組織化学試験である。
【0119】
試料、又は内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体は固定化することができる。適切な担体の例はアガロース、セルロース、デキストラン、Sephadex、Sepharose、リポソーム、カルボキシメチルセルロースポリスチレン、濾紙、イオン交換樹脂、プラスチックフィルム、プラスチックチューブ、ガラスビーズ、ポリアミン−メチルビニル−エーテル−マレイン酸コポリマー、アミノ酸コポリマー、エチレン−マレイン酸コポリマー、ナイロン、シルク等である。担体は例えばチューブ、試験プレート、ウェル、ビーズ、ディスク、球体等の形状とすることができる。固定化抗体は公知化学的又は物理的手法(例えば臭化シアンカップリング)を使用して材料を適切な不溶性担体と反応させることにより作製することができる。
【0120】
1態様によると、本発明は内因性代謝物プロファイルイムノアッセイを測定することにより試料における内因性代謝物プロファイルを決定するための手段を提供する。内因性代謝物プロファイルを測定するには各種イムノアッセイ法を使用することができる。一般に、内因性代謝物プロファイルの検出用イムノアッセイ法は競合法でも非競合法でもよい。競合法は一般に内因性代謝物プロファイルに対する固定化抗体又は固定化可能な抗体と、内因性代謝物プロファイルの標識形態を利用する。内因性代謝物プロファイルのサンプルと内因性代謝物プロファイルの標識成分は内因性代謝物プロファイルの成分に特異的な抗体との結合に関して競合する。その結果として内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体と結合した標識内因性代謝物プロファイル成分(結合フラクション)を未結合のままの成分(未結合フラクション)から分離後、結合フラクション又は未結合フラクション中のラベルの量を測定し、任意の慣用方法、例えば標準曲線との比較により試料中の内因性代謝物プロファイルの量と相関させることができる。
【0121】
一般に、当然のことながら、本発明では任意イムノアッセイ法又はフォーマットを使用できるので、上記イムノアッセイ法及びフォーマットは例示を目的とし、限定されない。
【0122】
「試料」、「生体試料」等の用語はプロファイル中に内因性代謝物を含有又は発現することが分かっているか又はその疑いのある材料を意味する。試料は資源から採取したまま直接使用することもできるし、試料の特性を変えるように前処理後に使用することもできる。試料は任意生物資源に由来することができ、例えば組織又は抽出液(細胞を含む)、及び生理的液体(例えば全血、血漿、血清、唾液、水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳汁、腹水、滑液、腹膜液等)が挙げられる。試料は好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトから得ることができる。試料は例えば血液から血漿の調製、粘稠液の希釈等により、使用前に処理することができる。処理方法としては、濾過、蒸留、抽出、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬添加等が挙げられる。好ましい1態様において、生体試料は生体液、より好ましくは血液又は滑液である。
【0123】
「対象」なる用語は本願に記載する疾患ないし障害に罹患しているか又は罹患している疑いのある哺乳動物等の温血動物を意味する。好ましくは、対象はヒトである。
【0124】
本願で使用する「対照」なる用語は被験対象と同一種の個体又は個体群を意味する。例えば、対象がヒトであるならば、対照もヒトとなる。
【0125】
「対照」は一般に本願に記載する疾患ないし障害の症状を発現する徴候を示さない1以上の個体の群となろう。特に、対照は被験対象よりも著しく若年の個体又は個体群(例えば30歳、40歳、50歳又は60歳未満の個体)でもよいし、対照は罹患していない遺伝学的親族で同年齢としてもよい。
【0126】
本発明の所定態様において、対照又は対照群は対象と同一年齢又はほぼ同一年齢である。
【0127】
対照における内因性代謝物濃度は例えば公開されているチャート、コンピュータデータベース、ルックアップテーブル等から入手可能である。他の態様において、この用語は以前に測定された濃度を包含する。従って、本発明の方法は対照から得られる内因性代謝物の濃度を物理的に試験する段階を含む方法に限定されない。
【0128】
健常被験者に由来する対照試料の濃度は前向き及び/又は後向き統計調査により求めることができる。臨床的に明白な疾患又は異常をもたない健常被験者を統計調査に選択することができる。対照試料又は同一対象で定量された以前の濃度に比較して統計的に異なる濃度の内因性代謝物プロファイルを検出することにより診断を行うことができる。
【0129】
好ましくは、(対象試料と対照試料又は異なる時点で対象から採取した試料間の)内因性代謝物の濃度の変化は有意変化である。
【0130】
本発明の所定態様において、有意増加とは対象から得られた生体試料における内因性代謝物濃度測定値が対照から得られた生体試料における対応濃度に比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の増加を上回る増加である。本発明の他の態様において、有意増加とは増加が両側検定でp<0.05の基準を使用して有意であることを意味する。
【0131】
本発明の他の態様において、有意減少とは対象から得られた生体試料における内因性代謝物濃度測定値が対照から得られた生体試料における対応濃度に比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の減少を上回る減少である。本発明の他の態様において、有意減少とは減少が両側検定でp<0.05の基準を使用して有意であることを意味する。
【0132】
本願に開示する方法の所定態様において、方法は更に対象から直接及び/又は1以上の対照から直接生体試料を採取する段階を含む。
【0133】
本発明の更に他の態様において、方法は更に医薬、好ましくは診断に適した医薬、即ち、本願に記載する疾患ないし障害の治療用医薬を対象に投与する段階を含む。
【0134】
本発明の方法は一般にインビトロ又はエクスビボで実施される。特に、対象又は対照「から得られた生体試料」なる用語は方法がヒト又は動物生体で実施されないことを示すものである。特に、「から得られた」なる用語は対象に代行する代行者から試料を入手すること、例えば医師、看護士、病院、医療センター等から直接又は例えばクーリエ便や郵便を介して間接的に試料を入手することを包含し得る。
【0135】
生体試料における内因性代謝物の濃度を以前に対象から得られた生体試料における対応濃度に比較する本発明の方法では、試料を採取する間隔は任意期間とすることができ、例えば1〜60カ月、1〜36カ月、1〜12カ月又は1〜6カ月とすることができる。
【0136】
本発明の方法は生体試料における内因性代謝物プロファイルを定量するための診断用キットを使用して実施することができる。本発明は更に本発明の方法を実施するためのキットにも関する。
【0137】
特に、本発明は本願に記載する方法で使用するためのキットとして、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択されるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の存在を検出するための試薬を含むキットを提供する。好ましくは、Nは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13、12〜13又は13である。
【0138】
本発明は更に本願に記載する方法で使用するためのキットとして、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択されN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の存在を検出するための試薬を含むキットも提供する。好ましくは、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11、10〜11又は11である。
【0139】
更に本願に記載する疾患ないし障害の診断又は検出用としての本発明のキットの使用も提供する。
【0140】
例えば、キットはN種類の内因性代謝物に特異的な抗体と、酵素で標識した抗体に対する抗体と、酵素の基質を含むことができる。キットは更にマイクロタイタープレートウェル、標準、アッセイ希釈剤、洗浄用緩衝液、接着プレートカバー、及び/又はキットを使用して本発明の方法を実施するための説明書の1以上を含むことができる。
【0141】
従って、本発明の1態様はN種類の内因性代謝物の抽出用溶液と、適切な希釈剤系と、適切な内部又は外部標準と、場合により適切なクロマトグラフィーカラムと、場合により内因性代謝物化合物の誘導体化用試薬を含むキットから構成される。この定量用の市販技術の1例はUPLC Amino Acid Analysis Solution from Waters Corporation(Waters,Corporation)である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】1型糖尿病の自然史。TRIGRは膵島自己免疫の発現の予防を目的とする現在の予防試験である。DPT−1及びENDITは1型糖尿病の予測可能なリスクのある膵島自己免疫陽性対象における過去の臨床試験である。血清のメタボロミクス分析により、膵島自己免疫の出現前のイニシエーター又は高血糖症、即ち臨床糖尿病の発症を誘導するプロモーターによる変化を解明することができる。
【図2】Dixon,W.G.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.19:37−53(2005)を参考に炎症性関節炎の進行の4段階を図式化した。症状発症までの第1段階では、遺伝的要因と環境要因が相俟って患者に自己免疫応答と関節炎症の発症を誘導する。この段階は全ADで多くの共通の特徴を共有し得る。第2段階では、炎症性多発性関節炎(IP)の持続が決定される。ここでも、理由はほぼ不明であるが、患者によって関節炎症が一時的な場合と慢性炎症を発症する場合がある。第3及び第4段階では、関節炎の種類と疾患の重篤度が決定される。急性IPを発症する大多数の患者は数日又は数週間以内に完全に回復し、多くの場合には初期医療施設で診療すら受けない。
【図3A】図3Aはヒト対照とRA患者のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1])を示す。RAに罹患している対象(プロットの上部、三角で示す)は対照(プロットの下部、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図3B】図3Bはヒト対照とRA患者のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。RA群では全アミノ酸がダウンレギュレートされる。
【図4A】図4Aはヒト対照とOA患者のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。OAに罹患している対象(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図4B】図4Bはヒト対照とOA患者のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照とOAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはOAであると診断された対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。OA群では全アミノ酸がダウンレギュレートされる。
【図5A】図5AはCIAマウスと健常対照のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。CIAに罹患している対象(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図5B】図5BはCIAマウスと健常対照のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照と疾患群の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはCIAに罹患している対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。疾患群では全代謝物がダウンレギュレートされる。
【図6A】図6AはAIAラットと健常対照のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。AIAラット(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。
【図6B】図6BはAIAラットと健常対照のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。疾患群では多数の疾患がダウンレギュレートされる。
【図7A】図7Aは実験物質を投与したAIAラットのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。未投与AIA動物(プロットの右側、三角で示す)は実験物質を投与したAIA動物(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図7B】図7Bは実験物質を投与したAIAラットのOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。投与した動物ではほぼ全代謝物がアップレギュレートされ、投与した医薬が有効であることが明らかである。
【図8A】図8Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した11種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図8B】図8Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した11種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図9A】図9Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した10種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図9B】図9Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した10種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【0143】
【図10A】図10Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した9種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図10B】図10Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した9種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図11A】図11Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した8種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図11B】図11Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した8種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図12A】図12Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した7種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図12B】図12Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した7種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図13A】図13Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した6種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図13B】図13Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した6種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図14A】図14Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した5種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図14B】図14Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した5種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図15A】図15Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した4種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図15B】図15Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した4種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図16A】図16Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した3種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図16B】図16Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した3種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図17A】図17Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した2種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図17B】図17Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した2種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図18】表5.ヒトRA患者と対応する動物モデルの比較の結果のまとめ。重量は内因性代謝物の相対重要度を表し、平均の加重和に基づく試料の解釈を行うために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0144】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、実施例中、特に指定しない限り、部及び百分率は重量に基づき、度は摂氏である。当然のことながら、これらの実施例は本発明の好ましい態様を示すものであって、例証に過ぎない。上記記載とこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、発明の趣旨と範囲から離れずに、各種用途及び条件に合わせて本発明を種々に変更及び改変することができる。従って、本願に報告及び記載するものに加えて、本発明の各種変形も上記記載から当業者に理解されよう。このような変形も特許請求の範囲に含むものとする。本願に引用する各参考文献の開示はその全体を本願に援用する。
【実施例1】
【0145】
ヒトADに対応する動物モデルの検証
【0146】
試験デザイン
使用したヒトRA及びOA試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−RA患者20人
−OA患者20人。
59人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、20人がOAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
使用したマウスモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料7個
−CIAに罹患している対象からの試料9個。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料6個
−AIAに罹患している対象からの試料6個。
【0147】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0148】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。
0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーライン温度は250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0149】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0150】
結果
同定された代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)はヒトにおけるRAとOA、従って、ADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、ヒト患者と2種類の動物モデルの間には顕著なオーバーラップがあり、代謝物は疾患対象において同様のダウンレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見はこの技術を使用して動物モデルをヒト患者と比較できることと、適応症(この場合にはAD)に最も対応するモデルを識別できることであった。このため、ヒト患者に対する動物モデルの対応性の検証が可能になる。
【実施例2】
【0151】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0152】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−RA患者20人。
【0153】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0154】
結果
多変量データ分析の結果、RAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図3A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図3B)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおけるRAの診断に高度に感受性で特異的であることが明らかである。以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【実施例3】
【0155】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0156】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−OA患者20人。
【0157】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がOAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0158】
結果
多変量データ分析の結果、OAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図1)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、OAの診断に最も有効な代謝物を同定した(図2)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおけるOAの診断に高度に感受性で特異的であることが明らかである。以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【実施例4】
【0159】
ヒトRAに対応する動物モデルの検証
試験デザイン
使用したマウスモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料7個
−CIAに罹患している対象からの試料9個。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料6個
−AIAに罹患している対象からの試料6個。
【0160】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0161】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーラインは250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0162】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0163】
結果
同定された代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)はヒトにおけるRAとOA、従って、ADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、ヒト患者と2種類の動物モデルの間には顕著なオーバーラップがあり、代謝物は疾患対象において同様のダウンレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見はこの技術を使用して動物モデルをヒト患者と比較できることと、適応症(この場合にはAD)に最も対応するモデルを識別できることであった。このため、ヒト患者に対する動物モデルの対応性の検証が可能になる。
【実施例5】
【0164】
実験物質(アルギニン)によるAIAラットモデルにおけるRAの治療
試験デザイン
ダークアグーチ(DA)ラット3匹にAIAを誘導後、ラットに実験物質を投与した。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−AIA DAラットからの試料3個
−実験物質を投与したAIA DAラットからの試料4個(ラットのうち、1匹からは2回サンプリングした)。
【0165】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0166】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーラインは250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0167】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、AIA DAラットと投与個体から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0168】
データ分析
試料間相対代謝物濃度を表すデータを得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0169】
結果
同定された代謝物(図7A及び7B)はヒト及び対応する動物モデルにおいてADに関連するアミノ酸から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、本願記載する技術は物質の投与後にAIAラットにおける重要な代謝変化の識別を可能にした。物質投与の結果、ヒト及び対応する動物モデルでADに関連する代謝物の多くのアップレギュレーションが生じた。代謝物の血清分析に適用した技術はこのアプローチを使用して適応症ADに対して投与した医薬の効力を測定するために感受性且つ特異的である。
【実施例6】
【0170】
本実施例は活性化合物とその治療薬として活性な酸付加塩が精神障害の治療に利用可能であることを例証する。
【0171】
試験デザイン
ルイスラット合計21匹にAIAを誘導し、治療試験に供した。使用した試料は以下の血液試料から構成される:
−AIAルイスラットからの試料22個(ラットのうち、1匹からは2回サンプリングした)
−投与後のAIAルイスラットからの試料26個(ラットのうち、5匹からは2回サンプリングした)。
AIA対象には以下のように各種投与を割り当てた:
−対象5匹に活性化合物1mgを投与
−対象5匹に活性化合物3mgを投与
−対象6匹に活性化合物10mgを投与
−対象5匹に活性化合物1mgを投与。
【0172】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0173】
GC/TOFMS分析とMSデータのデータプロセシングは上記実施例1と同様に実施した。
【0174】
結果
ヒトにおけるT1D、RA及びOA、従ってADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成され、AD発症のリスク検出、ADの検出及びAD進行のモニター用として適切な内因性代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)として同定された代謝物の濃度は活性化合物投与により著しく影響を受けた。本発明者らのOPLS分析によると、代謝物は活性化合物を投与した対象において同様のアップレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見は動物モデルにおいて適応症ADに関連する代謝物の濃度を回復できることであった。このため、動物モデルとヒト患者においてADの予防処置、ADの発症を遅延又は予防するための処置、及びのADの治療用としての活性化合物投与の妥当性の検証が可能になった。
【実施例7】
【0175】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0176】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成される:
−対照患者19人
−RA患者20人。
【0177】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0178】
結果
多変量データ分析の結果、RAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図8A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図8B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図9A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図9B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図10A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図10B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図11A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図11B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図12A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図12B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図13A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図13B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図14A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図14B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図15A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図15B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図16A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図16B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図17A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図17B)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおいてRAに高度に感受性で特異的であることが明らかである。更に、特定の内因性代謝物を組合せると、診断特性が強化される。
以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は対象における障害ないし疾患、例えば自己免疫疾患、特に関節リウマチの代謝プロファイルを作成するための内因性代謝物の使用と、対象における前記プロファイルにおいて前記疾患ないし障害に起因又は相関する変動を検出するための前記代謝プロファイルの分析に関する。このような変動は特定化合物、特にN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に投与することにより正常化することができる。
【背景技術】
【0002】
全自己免疫疾患(AD)は免疫系機能を調節するメカニズムの破綻に起因する。2005年に、米国人口の5〜8%がAD患者であると推定された(National Institute of Health(2005))。80種類を越える疾患がADに分類されており、自己免疫性であると疑われている疾患も多い(一般的なADと、自己免疫の関与を疑われている疾患の一覧については、表1参照)。
【0003】
【表1】
【0004】
【表2】
【0005】
ADの原因
原因は不明であるが、全ADは免疫系機能を調節するメカニズムの破綻に起因し、その結果、体内の臓器と組織に対する自己免疫攻撃を生じる。この疾患は分子レベルでも所定の類似点がある(Karopka,T.et al.,BMC Bioinformatics.7:(2006);van der Pouw Kraan,T.C.T.M.et al.,Ann.Rheum.Dis.66:1008−1014(2007))。あるADに罹患している患者は1種類以上のADに罹患していることが多い(Tsuneyama,K.et al.,Dig.Dis.Sci.45:366−372(2000))。複数の自己免疫疾患をもつ家族では、T1D、RA、全身性エリテマトーデス(SLE)及び自己免疫性甲状腺疾患(AITD)(橋本病ないしグレーブス病)の4種類の異なる自己免疫疾患のリスクが高いことが分かった(Criswell,L.A.et al.,Am.J.Hum.Genet.76:561−571(2005))。関節リウマチ(RA)と統合失調症に関する研究によると、これらの疾患には共通の感染及び/又は免疫原因があると考えられる(Torrey,E.F.et al.,Brain Behav.Immun.15:401−410(2001);Eaton,W.W.et al.,Am.J.Psychiat.163:521−528(2006);Eaton,W.W.et al.,J.Autoimmun.29:1−9(2007))。
【0006】
ADの原因、発病及び治療を研究するためには対応する動物モデルが不可欠である(Burkhardt,H.et al.,Rheumatol.Int.17:85−90(1997))が、原因がはっきりしないため、適切な動物モデルを選択するのは困難である(Drescher,K.M.et al.,Front.Biosci.13:3775−3785(2008))。
【0007】
糖尿病になり易いBBラットはヒトT1Dと同様にT1Dを発症する(Jacob,H.J.et al.,Nature genetics.2:56−60(1992);Mordes,J.P.et al.,Ilar Journal.45:278−291(2004);Fuller,J.M.et al.,Diabetes.55:3351−3357(2006))。齧歯類モデルもRAの発病研究における重要なツールであり(Terato,K.et al.,Br.J.Rheumatol.35:828−838(1996);Burkhardt,H.et al.,Rheumatol.Int.17:85−90(1997);Anthony,D.D.et al.,Clin.Exp.Rheumatol.17:240−244(1999);Holmdahl,R.et al.,Immunol.Rev.184:184−202(2001);Nandakumar,K.S.et al.,Arthritis Res.Ther.8:(2006))、感受性遺伝子の研究の基礎にもなっている(Remmers,E.F.et al.,Nature genetics.14:82−85(1996);Holmdahl,R.,Curr.Opin.Immunol.10:710−717(1998))。臓器系がヒトと類似する大型動物モデルは糖尿病と関節炎の両方の研究において重要なツールである(Larsen,M.O.et al.,Ilar Journal.45:303−313(2004);Vierboom,M.P.M.et al.,Arthritis Res.Ther.7:145−154(2005))。
【0008】
グループ及びサブグループ
全ADの共通の特徴は細胞と組織に対する自己免疫攻撃を生じ、体内の任意臓器を冒す可能性のある全身衰弱である。
【0009】
以下の定着又は疑似AD、即ち1、2、4、9、10、12、16、20、21、22、23、25、27、28、29、35、37、38、39、45、46、48、49、52、53、55及び58は科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。より具体的には、このサブグループのADは関節炎病態との関連を報告されており、一般に例えば関節や組織における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする。
【0010】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち4、9、16、20、35、37、39、45、46、48、49、52、53及び58も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADは、特に関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする関節炎病態との関連を報告されている。
【0011】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち1、12、28、37及び38も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも中枢神経系のミエリンの分解を伴う。
【0012】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち13、19、20、24、32、36、40、45、46、51、57及び60も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す。乾癬病態は関節炎病態と関連付けられている。
【0013】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち14、18、41及び56も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態であるループスと関連付けられている。
【0014】
、更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち5、6、11、30、31、33、42、54及び59も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば血管の分解により心血管系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態と関連付けられている。
【0015】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち1、7、47及び50も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態及びMSと関連付けられている。
【0016】
更に、以下の定着又は疑似ADのサブグループ、即ち21、25、26、34及び61も科学研究で相互に関連付けられており、原因又は罹患臓器に関して共通の特徴をもつ。このサブグループのADはいずれも例えば腎臓及び/又は肺に炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す。このサブグループにおける病態は関節炎病態、T1D及びMSと関連付けられている。
【0017】
1態様において、本発明は上記サブグループの疾患のいずれかの高リスクの検出、診断又は予後診断のための本願に記載する方法に関する。
【0018】
ADの診断
ADは体内の任意臓器又は組織を冒す可能性があり、殆どの場合には、疾患が進行した段階に入り、不可逆的損傷が生じるまで症状が知覚されない。これまで、ADはほぼ臨床診断に限られているが、初期症状が多様で定まらないため、診断は困難になっている(Health,National Institute of:(2002))。大半のADでは、バイオマーカーが存在するとしても、特異的でないため、診断を助長するための実験室ベースの試験の利用可能性が制限されており、そのため、臨床処置と新規治療剤の開発も阻まれている(Liu,C.C.et al.,Curr.Opin.Rheumatol.17:543−549(2005))。自己抗体がSLE及び他のADの臨床対応バイオマーカーとして認められている(Ramos,P.S.et al.,Genes Immun.7:417−432(2006))。
【0019】
サイトカインはADに関係があるとされており、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)(Wingerchuk,D.M.,Neurol.Res.28:341−347(2006))と、MS(多発性硬化症)と、健常対照を識別するために使用されている(Franciotta,D.et al.,J.Neurol.Sci.247:202−207(2006);Wingerchuk,D.M.et al.,Curr.Opin.Neurol.20:343−350(2007))。サイトカインはRAの発病にも関与している(Ehrenstein,M.R.et al.,J.Exp.Med.200:277−285(2004);McInnes,I.B.et al.,Nat.Rev.Immunol.7:429−442(2007))。
【0020】
ADの治療
現状では、大半のADには利用可能な治癒法がなく、患者は終生疾患と係わり、症状を緩和するための治療を続けなければならないと考えられる。治療アプローチとしては、主に、
・損傷した臓器の交換又は低下した機能の修復、
・破壊的な自己免疫応答の抑制
の2種類が利用可能である。
【0021】
第1の分類において、1例はT1D患者に対するインスリンであるが、ADは治癒されない。膵島細胞塊を復元するためにT1D患者は膵臓又は膵島移植手術を受けることができ(Sutherland,D.E.R.et al.,Diabetes.38:85−87(1989);Kandaswamy,R.et al.,Transplant.Proc.38:365−367(2006);Sutherland,D.E.R.et al.,Transplant.Proc.39:2323−2325(2007))、幹細胞及び膵前駆細胞からの再生(Jun,H.S.,Front.Biosci.13:6170−6182(2008))を含む新規アプローチを利用できる。
【0022】
第2の分類は例えば非ステロイド性抗炎症薬や単純な鎮痛剤による徴候と症状の改善、疾患の自然経過の改変(例えばRA患者に対する疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD))、疾患により誘発される臓器損傷に起因する合併症の対処に関する。疾患の段階、活動性及び進行を判定し、治療応答を評価するためにはADのバイオマーカーの開発が極めて重要である。
【0023】
1型糖尿病
T1Dは年少幼児で最も一般的な慢性疾患の1種であり、発症年齢が低下しつつあり、全世界の推定年間増加率は3〜5%であり、早期の優れた診断ツールが必要であることは明白である(Onkamo,P.et al.,Diabetologia.42:1395−1403(1999);Gale,E.A.M.,Diabetes.51:3353−3361(2002);Gillespie,K.M.et al.,Lancet.364:1699−1700(2004))。T1DはT細胞介在性ADであり、多くの場合には臨床症状が出現する3〜5年前に始まっており、診断後に持続し、膵島移植後に再発する可能性がある(Eisenbarth,G.S.,N.Engl.J.Med.314:1360−1368(1986);Tyden,G.et al.,N.Engl.J.Med.335:860−863(1996);Atkinson,M.A.et al.,Lancet.358:221−229(2001))。原因は不明であるが、理論的には遺伝的要因と環境要因、場合により更にT1Dのウイルス感染が結び付けられている(Kyvik,K.O.et al.,Br.Med.J.311:913−917(1995);Akerblom,H.K.et al.,Am.J.Med.Genet.115:18−29(2002);Barbeau,W.E.et al.,Med.Hypotheses.68:607−619(2007))。
【0024】
T1Dは自己免疫プロセス(段階1)の誘発の結果として膵島自己免疫後に高血糖症(段階2)の臨床発症へと進行する2段階プロセス(図1)とみなされる(Dahlquist,G.G.et al.,Diabetes.44:408−413(1995);Hyoty,H.et al.,Diabetes.44:652−657(1995);Lindberg,B.et al.,Diabetologia.42:181−187(1999);Skyler,J.S.et al.,N.Engl.J.Med.346:1685−1691B(2002);Gale,E.A.M.et al.,Lancet.363:925−931(2004))。
【0025】
大半の患者は長期自己免疫の終点に達するまで診断されないが、早期に診断されるならば、血中グルコース濃度を良好に制御し、残存する内因性インスリン産生能を維持すると共に、将来の合併症のリスクを低下できると思われる(Livingstone,K.et al.,Practical Diabetes Int.24:102−106(2007))。リスク要因を同定するために、数件の研究では新生児をHLA(ヒト白血球抗原)についてスクリーニングし、T1Dのリスクの高いHLAをもつ乳児を同定及び追跡している(Krischer,J.,Pediatr.Diabetes.8:286−298(2007))。T1Dの第一度近親者をもつ幼児における膵島自己抗体の出現とそれに基づく糖尿病の予測が報告されている(Achenbach,P.et al.,Diabetes.53:384−392(2004);Barker,J.M.et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.89:3896−3902(2004);Ronkainen,M.S.et al.,Eur.J.Endocrinol.155:633−642(2006))が、T1Dを発症している全乳児の約85%はこの疾患の第一度近親者をもたない。膵島自己免疫の出現以外に、増殖を含む代謝変化がT1D疾患プロセスに関係があることを示す報告もある(Shaham,Oded et al.,Mol Syst Biol.4:(2008))。
【0026】
【表3】
【0027】
T1Dの予測とT1Dリスクのバイオマーカーは多数の発明に報告されている(例えばWO2008/031917、US2005054005、WO2006066263、WO2007110358及びDE102006026173)。対象におけるT1Dの予測に関する1発明(WO2008/035204)は、各種代謝物を測定する段階と、更に遺伝子型を決定する段階を含む(表2参照)。意外にも、本発明者らは、T1Dを発症するリスクの高い対象からの試料がT1D発症のリスクに従来結び付けられていない新規代謝物とユニークな代謝物組合せを含有しており、これらの代謝物の濃度に認められた経時変化がT1Dの高リスクの指標であることを見出した。
【0028】
2型糖尿病(T2D)では、生体の細胞はインスリン抵抗性を生じるため、インスリンの存在に対して適切に応答しなくなる。他方、T1DとT2Dの間には多数の類似点があり、両者疾患の原因と発病には関連性がある(Tuomi,T.et al.,Diabetes.42:359−362(1993);Pickup,J.C.et al.,Diabetologia.41:1241−1248(1998);Xing,Z.et al.,J.Clin.Invest.101:311−320(1998);Rabinovitch,A.et al.,Rev.Endocr.Metab.Disord.4:291−299(2003);Alexandraki,K.I.et al.,J.Clin.Immunol.28:314−321(2008))。
【0029】
関節リウマチ
RAは免疫系が関節を攻撃する結果、関節破壊とそれに伴う疼痛により運動能力の実質的な低下に至る廃疾性・疼痛性の病態を生じる慢性炎症性ADである(Scott,D.L.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.21:943−967(2007))。RAの原因は殆ど分かっていない(Jefferies,W.M.,Medical Hypotheses.51:111−114(1998);Krishnan,E.,Joint Bone Spine.70:496−502(2003);Klareskog,L.et al.,Arthritis and Rheumatism.54:38−46(2006))。最初の症状はRAよりも未分化炎症性関節炎(UIA)であり、UIAが進行してRAになると考えられる(Dixon,W.G.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.19:37−53(2005))。炎症性関節炎の進行は4段階に分けることができる(図2)。
【0030】
不可逆的な関節損傷を防ぐためのより有効な治療には早期診断が不可欠である(Emery,P.,Br.J.Rheumatol.33:765−768(1994);van Aken,J.et al.,Ann.Rheum.Dis.63:274−279(2004);Emery,P.,Br.Med.J.332:152−155(2006))。慢性関節炎症を発症する患者を検出できるならば、治療を必要とする患者を絞り易くなり、この疾患を発症する可能性の低い患者に不必要な治療をせずに済む(Emery,P.et al.,Rheumatol.Int.27:793−806(2007);Emery,P.et al.,Rheumatology.47:392−398(2008))。従って、RAに進行する前にUIAである自己免疫応答を診断する方法が必要である(Firestein,G.S.,Arthritis Res.Ther.7:157−159(2005))。内因性代謝物濃度の測定はこの疾患を診断するだけでなく、発病に関与するメカニズムの新規ヒントにもなる可能性がある。下記実施例では、血漿のGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析法)により作成したデータを分析することにより、RAに罹患している対象を関連疾患の対象及び健常ボランティアから分離できることを示す(表3参照)。これはRAの発症を遅延させるか又は予防もできるように作用する薬剤の開発に不可欠である。
【0031】
【表4】
【0032】
変形性関節症
変形性関節症(OA)は世界中で最も一般的な筋骨格系障害であり、米国だけでも約2700万人が罹患していると推定される(Ghosh,P.et al.,Biogerontology.3:85−88(2002);Lawrence,R.C.et al.,Arthritis and Rheumatism.58:26−35(2008))。OAは先進国世界で疾病率の主要な原因であり、多大な社会的・経済的帰結を伴う(Stargardt,T.,Health Econ.17:S9−S20(2008))。
【0033】
OAは関節軟骨及び軟骨下骨の進行性変性及び損失と、滑液反応を特徴とする多因子疾患である。OAの発病と変動性は十分に解明されていないが、年齢、遺伝、ホルモン及び物理的要因がいずれも発症と進行に寄与すると考えられる。
【0034】
多数の研究がOAにおける自己免疫の関与を立証しており(Nishioka,K.,Arthritis Res.Ther.6:6−7(2004);Punzi,L.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.18:739−758(2004);Xiang,Y.et al.,Arthritis Rheum.50:1511−1521(2004);Xiang,Y.et al.,J.Immunol.176:3196−3204(2006))、特に全身結節性AOのサブグループについて立証している(Doherty,M.et al.,Ann Rheum Dis.49:1017−1020(1990))。
【0035】
OAの診断は殆どの場合、数カ月間の疾患進行の結果である関節損傷のX線評価を含む。X線検査は65歳までの患者の大部分と75歳を越える患者の約80%で行われている(Arden,N.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.20:3−25(2006))。この診断方法は現在の疾患活動性の評価又は予後診断には適していないため、OAとOAに伴う自己免疫応答の早期診断を可能にするバイオマーカーが必要とされている。これは、特にOAを治療するために有効な薬剤の開発に関連して、発症のリスクの評価を可能にし、疾患進行及び重篤度をモニターするために必要である。内因性代謝物濃度の測定は疾患を診断するだけでなく、発病に関与するメカニズムの新規ヒントにもなる可能性がある。下記実施例では、OA患者を健常個体から分離できることを示す(表4参照)。これはOAの発症を遅延させるか又は予防もできるようにするための治療薬の開発に役立つと思われる。
【0036】
【表5】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
ADを発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはADの予後診断、検出及び診断に役立つと思われ、いずれも臨床症状が現れる前に実施することができるため、予防処置ないし予防を早期に開始することが可能になり、長期的な組織損傷を最小限にすることができる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、ADの発症を予防又は遅延させ、従って、ADの治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
るいるにくく、ために
【0038】
本発明者らは本発明者らの試験で内因性代謝物濃度を回復する能力を示し、従って、疾患ないし障害、特に自己免疫が原因であると考えられる疾患ないし障害の発症を予防、遅延又は抑制するのに有益となる化合物をその形態の多くで同定した。
【0039】
本願では「バイオマーカー」及び「内因性代謝物」なる用語とその複数形を同義に使用する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
1態様において、本発明は関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0041】
本発明は更に関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0042】
別の態様において、本発明は対象におけるRAの診断又は検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象にRAが存在すると判断する。
【0043】
本発明の別の側面は、対象におけるRA進行のモニター方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、対象におけるRA予後が変化していると判断する。
【0044】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象におけるRA予後が改善していると判断する。
【0045】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象におけるRA予後が悪化していると判断する。
【0046】
本発明は更に対象におけるRAの悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載するRA進行のモニター方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0047】
本発明の別の側面は対象におけるRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0048】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は有効であると判断する。
【0049】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は無効であると判断する。
【0050】
本発明の別の側面は対象におけるRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜11である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0051】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は有効であると判断する。
【0052】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は無効であると判断する。
【0053】
本発明は更に上記のようなRAを治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法を提供する。
【0054】
上記医薬の有効性のモニター方法に関して、本発明の所定態様では、2個の生体試料を採取する前に医薬を対象に投与している。他の態様では、2個の試料を採取する間に医薬を対象に投与している。
【0055】
本発明の所定態様において、「RAの診断又は検出方法」なる用語は対象における推定RAの検出方法又は対象におけるRAの尤度増加の判定方法を意味する。
【0056】
好ましくは、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である。他の態様において、Nは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である。所定態様において、内因性代謝物はEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択され、あるいは内因性代謝物はEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される。
【0057】
例えば、本発明の態様がN種類の内因性代謝物を選択する必要がある場合には、内因性代謝物はEM1〜Nから選択することができる。
【0058】
Nの値が大きい方法を使用すると、方法の高レベルの信頼性を得ることができる。
【0059】
他の態様において、本発明は自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は
(a)自己免疫疾患、好ましくは全自己免疫疾患;
(b)組織分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)分解により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)腎臓及び/又は肺を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害;あるいは
(k)全関節炎性障害
に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0060】
他の態様において、本発明は自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法を提供し、前記方法は、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は上記疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0061】
好ましくは、代謝プロファイルの変動は糖尿病性障害、最も好ましくは2型糖尿病(T2D)に起因する。
【0062】
他の好ましい態様において、変動は炎症、特に関節の炎症を特徴とする自己免疫疾患に起因する。
【0063】
更に別の態様において、本発明は対象における疾患ないし障害の高リスクの検出、診断又は予後診断方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する。
【0064】
別の態様において、本発明は対象における疾患ないし障害の高リスクの検出、診断又は予後診断方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する。
【0065】
本願で使用する「疾患ないし障害」なる用語は、
(a)全自己免疫疾患;
(b)組織分解、例えば関節及び皮膚における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)例えば関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)例えば血管の分解により心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)例えば腎臓及び/又は肺に血管の炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害、例えばT1D及びT2D;
(k)全関節炎性障害、例えばOA及びRA;あるいは
(l)T1D、RA及びOA
を意味する。
【0066】
本発明の所定態様では、EM6プロリン(Pro)を4−ヒドロキシプロリンで代用する。他の態様において、EM6は該当試料におけるプロリンと4−ヒドロキシプロリンの合計濃度である。
【0067】
(b)〜(i)に記載した疾患ないし障害の例は上記「グループ及びサブグループ」なる表題のセクションと表1に列挙する対応疾患で確認することができる。
【0068】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の診断に相当すると判断する。
【0069】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が悪化していると判断する。
【0070】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が改善されていると判断する。
【0071】
本発明は更に対象における疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0072】
更に、本発明は対象における疾患ないし障害の予後の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害をもつ対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0073】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0074】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0075】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は(予防薬として)有効であると判断する。
【0076】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は(予防薬として)無効であると判断する。
【0077】
本発明は更に対象における本願に記載する疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度に及ぼす医薬の影響のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0078】
本発明は更に上記のような疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法も提供する。
【0079】
上記医薬の有効性のモニター方法に関して、本発明の所定態様では、2個の生体試料を採取する前に医薬を対象に投与している。他の態様では、2個の試料を採取する間に医薬を対象に投与している。
【0080】
所定の好ましい態様において、Nは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である。他の好ましい態様において、Nは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の好ましい態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である。更に他の態様において、内因性代謝物はEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される。
【0081】
本発明の別の態様では、対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法が提供され、前記方法は、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、本願に記載する疾患ないし障害に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は本願に記載する疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0082】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、本願に記載する疾患ないし障害に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は上記疾患ないし障害の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法も提供される。
【0083】
別の態様において、本発明は対象における(以下に記載するような)疾患ないし障害を従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法を提供し、前記方法は、
a)(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階
を含む方法により、対象における疾患ないし障害の高リスク検出、診断及び予後診断を行う段階(但し、N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する)と;
b)その後、前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0084】
別の態様において、本発明は対象における(以下に記載するような)疾患ないし障害を従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階
を含む方法により、対象における疾患ないし障害の高リスク検出、診断及び予後診断を行う段階(但し、N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して減少している場合に、対象における疾患ないし障害の高リスク、診断又は予後悪化に相当すると判断する)と;
b)その後、前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法を提供する。
【0085】
本発明の所定態様では、EM6プロリン(Pro)を4−ヒドロキシプロリンで代用する。他の態様において、EM6は該当試料におけるプロリンと4−ヒドロキシプロリンの合計濃度である。
【0086】
この関連で使用する「疾患ないし障害」なる用語は、
(a)全自己免疫疾患;
(b)組織分解、例えば関節及び皮膚における例えばミエリン又は結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)例えば関節、皮膚及び眼球における結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)例えば結合組織の分解又は皮膚の硬化により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)例えば腸管組織の分解により消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)例えば血管の分解により心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)例えば脳に炎症性病変を生じることにより神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)例えば腎臓及び/又は肺に血管の炎症性破壊を生じることによりこれらの臓器を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害、例えばT1D及びT2D;
(k)全関節炎性障害、例えばOA及びRA;あるいは
(l)T1D、RA及びOA
を意味する。
【0087】
(b)〜(i)に記載した疾患ないし障害の例は上記「グループ及びサブグループ」なる表題のセクションと表1に列挙する対応疾患で確認することができる。
【0088】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の診断に相当すると判断する。
【0089】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が悪化していると判断する。
【0090】
所定態様では、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、対象における疾患ないし障害の予後が改善されていると判断する。
【0091】
本発明は更に対象における疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0092】
更に、本発明は対象における疾患ないし障害の予後の悪化速度又は改善速度のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害をもつ対象におけるバイオマーカーの濃度をモニターする方法を含み、更に、バイオマーカー濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法を提供する。
【0093】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が対照から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0094】
本発明の別の側面は対象における疾患ないし障害を予防処置又は疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性の測定方法を提供し、前記方法は、
(i)医薬を投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカー(但し、Nは2〜13である)の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類のバイオマーカーの濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度と比較する段階を含み;
N種類のバイオマーカーは
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
投与後の対象から得られた生体試料におけるN種類のバイオマーカーの濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料におけるバイオマーカーの対応濃度に比較して差がある場合に、医薬は前記対象において有効であると判断する。
【0095】
特に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が増加している場合に、医薬は(予防薬として)有効であると判断する。
【0096】
更に、N種類のバイオマーカーの各々の濃度測定値が減少している場合に、医薬は(予防薬として)無効であると判断する。
【0097】
所定態様において、Nは好ましくは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である。他の態様において、Nは好ましくは2〜5、3〜5又は4〜5である。更に他の態様において、Nは好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である。更に他の態様において、内因性代謝物はEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される。
【0098】
本発明の別の側面では、対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法が提供され、前記方法は、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む。
【0099】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して各々独立して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む方法も提供される。
【0100】
所定の好ましい態様において、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である。他の好ましい態様において、Nは2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である。更に他の好ましい態様において、内因性代謝物はEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択され、あるいは内因性代謝物はEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される。
【0101】
「測定」なる用語は標的内因性代謝物プロファイル、そのサブユニット又は試薬と標的の結合体等を検定、定量、画像撮影又は他の方法でその有無を判定すること、あるいは本願に記載する疾患ないし障害の1種以上の実際の特徴を検定、画像撮影、確認、判定又は他の方法で決定することを包含する。
【0102】
生体試料中のN種類の個々の内因性代謝物の濃度は同一又は異なる技術を使用して測定することができる。
【0103】
本発明は特に、対象における本願に記載する疾患ないし障害の診断及び/又は検出方法であって、対象に由来する生体試料における内因性代謝物プロファイルを検出する段階を含む方法に関する。内因性代謝物プロファイルは任意の適切な手段を使用して測定することができる。例えば、内因性代謝物プロファイルはクロマトグラフィー及び/又は分光学的手法又はプロファイルにおける内因性代謝物を検出もしくはこれと結合する試薬を使用して測定することができ、プロファイルの個々の内因性代謝物又はその一部に対して特異的に反応性の個々の抗体を使用して測定することが好ましい。
【0104】
1態様では、所定疾患ないし障害を発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはこれらの疾患ないし障害の予後診断、検出及び診断に役立つと思われる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、これらの疾患ないし障害の発症を予防又は遅延させ、従って、これらの疾患ないし障害の治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
【0105】
本発明は更に対象における所定疾患ないし障害の発症感受性の悪化速度又は改善速度に及ぼす医薬の影響のモニター方法であって、本願に記載する疾患ないし障害の発症前に対象における内因性代謝物の濃度をモニターする方法を含み、更に、内因性代謝物濃度の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む方法も提供する。
【0106】
本発明は更に上記のような所定疾患ないし障害を治療するために対象に投与された医薬の有効性のモニター方法であって、更に、段階(i)の前又は試料の採取間に対象に医薬を投与する段階を含む方法も提供する。
【0107】
T1D及び/又はT2Dを発症する危険のある対象を識別する1組の内因性代謝物が今回発見された。従って、対象のこれらの内因性代謝物のプロファイルはT1D及び/又はT2Dの予後診断、検出及び診断に役立つと思われる。これらの内因性代謝物の正常濃度を回復するように作用することができ、T1D及び/又はT2Dの発症を予防又は遅延させ、従って、T1D及び/又はT2Dの治療に有効な薬剤及び新規化学物質(NCE)のスクリーニング及び同定用ツールとして内因性代謝物のプロファイルを使用することもできる。
【0108】
本願で遊離塩基又は塩形態、例えば酢酸塩(融点198〜200℃)として使用される化合物N−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジンは公知化合物である。前記化合物を含有するのに適したその製法及び組成は例えばWO02/11715に記載されている。本発明はその任意前駆体又はプロドラッグの使用を包含する。本願開示の関連では、この化合物のみを本発明の方法(即ち検出、予防等)と組合せて使用する。
【0109】
本発明は更に本願に開示するような内因性代謝物分析法の使用により自己免疫疾患のリスクが高いか又は恐らく既に非常に初期段階にあると判定(試験)された対象における自己免疫疾患の発症を予防、抑制又は遅延させるために使用する遊離塩基もしくは塩形態の化合物N−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン、又はその前駆体もしくはプロドラッグを提供する。このような分析はADのより明白な症状のいずれかが発現される前に実施することができ、既存形式の診断の結果として従来可能であったよりも著しく早期に予防又は治療を開始することが可能になろう。
【0110】
クロマトグラフィー及び分光学的手法の例としては、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)及びガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)が挙げられる。
【0111】
1態様において、本発明はクロマトグラフィーに基づく技術による内因性代謝物プロファイルの測定方法に関する。内因性代謝物化合物はそのまま検出することもできるし、検出前に化学変換(誘導体化)することもできる。検出法としては、限定されないが、試料の光吸収、好ましくはUV検出器、又は質量計による質量/電荷比の測定が挙げられる(例えばFonteh,A.N.et al.,Amino Acids.32:203−212(2007))。
【0112】
内因性代謝物の他の測定方法としては、ケモメトリックス法(例えば主成分分析法(PCA)、部分最小二乗法による潜在構造射影(PLS)、直交PLS(OPLS)、PLS判別分析法(PLS−DA)及び直交PLS−DA(OPLS−DA))と、分光学的手法の併用が挙げられる。
【0113】
内因性代謝物の他の測定方法としては、多波長分光測定を行い、一般には例えば電磁スペクトルの近赤外範囲における試料の透過スペクトルを測定し、このスペクトルを対照被験者からの標準試料スペクトルと比較する方法が挙げられる。次にケモメトリックス法に基づく比較から、試料が本願に記載する疾患ないし障害を示すか否かを判定する。
【0114】
本発明の好ましい1態様では、個々の内因性代謝物と個別に結合した後に検出される試薬を使用し、N種類の内因性代謝物の1種以上の濃度を測定する。
【0115】
好ましくは、N種類の内因性代謝物に特異的な個々の抗体を使用してN種類の内因性代謝物の1種以上の濃度を測定する。
【0116】
抗体は検出可能なラベルで直接又は間接的に標識することができる。検出可能なラベルの例としては酵素が挙げられる。好ましくは、酵素の基質は基質又は酵素と基質の反応生成物が蛍光複合体を形成するように選択され、蛍光複合体の濃度を測定することにより内因性代謝物の濃度を測定する。
【0117】
本発明の方法で使用される内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体は科学又は商業ソースから得ることができる。あるいは、抗体、モノクローナル又はポリクローナル抗体、及び免疫学的に活性なフラグメント(例えばFab又は(Fab)2フラグメント)、抗体重鎖、抗体軽鎖、ヒト化抗体、遺伝子組換え1本鎖Fv分子(Ladner et al,米国特許第4,946,778号)を作製するために、内因性代謝物プロファイルの天然単離成分又は内因性代謝物プロファイルの組換え成分を利用してもよい。モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、フラグメント及びキメラを含む抗体は当業者に公知の方法を使用して作製することができる。
【0118】
各種生体試料における内因性代謝物プロファイルを検出するために内因性代謝物プロファイルに特異的に反応性の抗体又はその誘導体を使用することができ、例えば蛋白質の抗原決定基と抗体の結合相互作用に依存する任意公知イムノアッセイで使用することができる。このようなアッセイの例はラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(例えばELISA)、免疫蛍光法、免疫沈降法、ラテックス凝集法、血液凝集反応及び組織化学試験である。
【0119】
試料、又は内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体は固定化することができる。適切な担体の例はアガロース、セルロース、デキストラン、Sephadex、Sepharose、リポソーム、カルボキシメチルセルロースポリスチレン、濾紙、イオン交換樹脂、プラスチックフィルム、プラスチックチューブ、ガラスビーズ、ポリアミン−メチルビニル−エーテル−マレイン酸コポリマー、アミノ酸コポリマー、エチレン−マレイン酸コポリマー、ナイロン、シルク等である。担体は例えばチューブ、試験プレート、ウェル、ビーズ、ディスク、球体等の形状とすることができる。固定化抗体は公知化学的又は物理的手法(例えば臭化シアンカップリング)を使用して材料を適切な不溶性担体と反応させることにより作製することができる。
【0120】
1態様によると、本発明は内因性代謝物プロファイルイムノアッセイを測定することにより試料における内因性代謝物プロファイルを決定するための手段を提供する。内因性代謝物プロファイルを測定するには各種イムノアッセイ法を使用することができる。一般に、内因性代謝物プロファイルの検出用イムノアッセイ法は競合法でも非競合法でもよい。競合法は一般に内因性代謝物プロファイルに対する固定化抗体又は固定化可能な抗体と、内因性代謝物プロファイルの標識形態を利用する。内因性代謝物プロファイルのサンプルと内因性代謝物プロファイルの標識成分は内因性代謝物プロファイルの成分に特異的な抗体との結合に関して競合する。その結果として内因性代謝物プロファイルに特異的な抗体と結合した標識内因性代謝物プロファイル成分(結合フラクション)を未結合のままの成分(未結合フラクション)から分離後、結合フラクション又は未結合フラクション中のラベルの量を測定し、任意の慣用方法、例えば標準曲線との比較により試料中の内因性代謝物プロファイルの量と相関させることができる。
【0121】
一般に、当然のことながら、本発明では任意イムノアッセイ法又はフォーマットを使用できるので、上記イムノアッセイ法及びフォーマットは例示を目的とし、限定されない。
【0122】
「試料」、「生体試料」等の用語はプロファイル中に内因性代謝物を含有又は発現することが分かっているか又はその疑いのある材料を意味する。試料は資源から採取したまま直接使用することもできるし、試料の特性を変えるように前処理後に使用することもできる。試料は任意生物資源に由来することができ、例えば組織又は抽出液(細胞を含む)、及び生理的液体(例えば全血、血漿、血清、唾液、水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳汁、腹水、滑液、腹膜液等)が挙げられる。試料は好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトから得ることができる。試料は例えば血液から血漿の調製、粘稠液の希釈等により、使用前に処理することができる。処理方法としては、濾過、蒸留、抽出、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬添加等が挙げられる。好ましい1態様において、生体試料は生体液、より好ましくは血液又は滑液である。
【0123】
「対象」なる用語は本願に記載する疾患ないし障害に罹患しているか又は罹患している疑いのある哺乳動物等の温血動物を意味する。好ましくは、対象はヒトである。
【0124】
本願で使用する「対照」なる用語は被験対象と同一種の個体又は個体群を意味する。例えば、対象がヒトであるならば、対照もヒトとなる。
【0125】
「対照」は一般に本願に記載する疾患ないし障害の症状を発現する徴候を示さない1以上の個体の群となろう。特に、対照は被験対象よりも著しく若年の個体又は個体群(例えば30歳、40歳、50歳又は60歳未満の個体)でもよいし、対照は罹患していない遺伝学的親族で同年齢としてもよい。
【0126】
本発明の所定態様において、対照又は対照群は対象と同一年齢又はほぼ同一年齢である。
【0127】
対照における内因性代謝物濃度は例えば公開されているチャート、コンピュータデータベース、ルックアップテーブル等から入手可能である。他の態様において、この用語は以前に測定された濃度を包含する。従って、本発明の方法は対照から得られる内因性代謝物の濃度を物理的に試験する段階を含む方法に限定されない。
【0128】
健常被験者に由来する対照試料の濃度は前向き及び/又は後向き統計調査により求めることができる。臨床的に明白な疾患又は異常をもたない健常被験者を統計調査に選択することができる。対照試料又は同一対象で定量された以前の濃度に比較して統計的に異なる濃度の内因性代謝物プロファイルを検出することにより診断を行うことができる。
【0129】
好ましくは、(対象試料と対照試料又は異なる時点で対象から採取した試料間の)内因性代謝物の濃度の変化は有意変化である。
【0130】
本発明の所定態様において、有意増加とは対象から得られた生体試料における内因性代謝物濃度測定値が対照から得られた生体試料における対応濃度に比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の増加を上回る増加である。本発明の他の態様において、有意増加とは増加が両側検定でp<0.05の基準を使用して有意であることを意味する。
【0131】
本発明の他の態様において、有意減少とは対象から得られた生体試料における内因性代謝物濃度測定値が対照から得られた生体試料における対応濃度に比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の減少を上回る減少である。本発明の他の態様において、有意減少とは減少が両側検定でp<0.05の基準を使用して有意であることを意味する。
【0132】
本願に開示する方法の所定態様において、方法は更に対象から直接及び/又は1以上の対照から直接生体試料を採取する段階を含む。
【0133】
本発明の更に他の態様において、方法は更に医薬、好ましくは診断に適した医薬、即ち、本願に記載する疾患ないし障害の治療用医薬を対象に投与する段階を含む。
【0134】
本発明の方法は一般にインビトロ又はエクスビボで実施される。特に、対象又は対照「から得られた生体試料」なる用語は方法がヒト又は動物生体で実施されないことを示すものである。特に、「から得られた」なる用語は対象に代行する代行者から試料を入手すること、例えば医師、看護士、病院、医療センター等から直接又は例えばクーリエ便や郵便を介して間接的に試料を入手することを包含し得る。
【0135】
生体試料における内因性代謝物の濃度を以前に対象から得られた生体試料における対応濃度に比較する本発明の方法では、試料を採取する間隔は任意期間とすることができ、例えば1〜60カ月、1〜36カ月、1〜12カ月又は1〜6カ月とすることができる。
【0136】
本発明の方法は生体試料における内因性代謝物プロファイルを定量するための診断用キットを使用して実施することができる。本発明は更に本発明の方法を実施するためのキットにも関する。
【0137】
特に、本発明は本願に記載する方法で使用するためのキットとして、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択されるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の存在を検出するための試薬を含むキットを提供する。好ましくは、Nは3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13、12〜13又は13である。
【0138】
本発明は更に本願に記載する方法で使用するためのキットとして、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択されN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の存在を検出するための試薬を含むキットも提供する。好ましくは、Nは3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11、10〜11又は11である。
【0139】
更に本願に記載する疾患ないし障害の診断又は検出用としての本発明のキットの使用も提供する。
【0140】
例えば、キットはN種類の内因性代謝物に特異的な抗体と、酵素で標識した抗体に対する抗体と、酵素の基質を含むことができる。キットは更にマイクロタイタープレートウェル、標準、アッセイ希釈剤、洗浄用緩衝液、接着プレートカバー、及び/又はキットを使用して本発明の方法を実施するための説明書の1以上を含むことができる。
【0141】
従って、本発明の1態様はN種類の内因性代謝物の抽出用溶液と、適切な希釈剤系と、適切な内部又は外部標準と、場合により適切なクロマトグラフィーカラムと、場合により内因性代謝物化合物の誘導体化用試薬を含むキットから構成される。この定量用の市販技術の1例はUPLC Amino Acid Analysis Solution from Waters Corporation(Waters,Corporation)である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】1型糖尿病の自然史。TRIGRは膵島自己免疫の発現の予防を目的とする現在の予防試験である。DPT−1及びENDITは1型糖尿病の予測可能なリスクのある膵島自己免疫陽性対象における過去の臨床試験である。血清のメタボロミクス分析により、膵島自己免疫の出現前のイニシエーター又は高血糖症、即ち臨床糖尿病の発症を誘導するプロモーターによる変化を解明することができる。
【図2】Dixon,W.G.et al.,Best Pract.Res.Clin.Rheumatol.19:37−53(2005)を参考に炎症性関節炎の進行の4段階を図式化した。症状発症までの第1段階では、遺伝的要因と環境要因が相俟って患者に自己免疫応答と関節炎症の発症を誘導する。この段階は全ADで多くの共通の特徴を共有し得る。第2段階では、炎症性多発性関節炎(IP)の持続が決定される。ここでも、理由はほぼ不明であるが、患者によって関節炎症が一時的な場合と慢性炎症を発症する場合がある。第3及び第4段階では、関節炎の種類と疾患の重篤度が決定される。急性IPを発症する大多数の患者は数日又は数週間以内に完全に回復し、多くの場合には初期医療施設で診療すら受けない。
【図3A】図3Aはヒト対照とRA患者のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1])を示す。RAに罹患している対象(プロットの上部、三角で示す)は対照(プロットの下部、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図3B】図3Bはヒト対照とRA患者のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。RA群では全アミノ酸がダウンレギュレートされる。
【図4A】図4Aはヒト対照とOA患者のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。OAに罹患している対象(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図4B】図4Bはヒト対照とOA患者のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照とOAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはOAであると診断された対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。OA群では全アミノ酸がダウンレギュレートされる。
【図5A】図5AはCIAマウスと健常対照のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。CIAに罹患している対象(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図5B】図5BはCIAマウスと健常対照のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。このプロットから、対照と疾患群の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはCIAに罹患している対象では内因性代謝物濃度が低いことを意味する。疾患群では全代謝物がダウンレギュレートされる。
【図6A】図6AはAIAラットと健常対照のOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。AIAラット(プロットの右側、三角で示す)は対照(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。
【図6B】図6BはAIAラットと健常対照のOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。疾患群では多数の疾患がダウンレギュレートされる。
【図7A】図7Aは実験物質を投与したAIAラットのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]/to[1])を示す。未投与AIA動物(プロットの右側、三角で示す)は実験物質を投与したAIA動物(プロットの左側、四角で示す)から良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図7B】図7Bは実験物質を投与したAIAラットのOPLS−DAモデルからのローディングカラムプロット(p[1],相関スケール)を示す。投与した動物ではほぼ全代謝物がアップレギュレートされ、投与した医薬が有効であることが明らかである。
【図8A】図8Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した11種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図8B】図8Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した11種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図9A】図9Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した10種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図9B】図9Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した10種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【0143】
【図10A】図10Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した9種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図10B】図10Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した9種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図11A】図11Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した8種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図11B】図11Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した8種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図12A】図12Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した7種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図12B】図12Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した7種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図13A】図13Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した6種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図13B】図13Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した6種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図14A】図14Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した5種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図14B】図14Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した5種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図15A】図15Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した4種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図15B】図15Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した4種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図16A】図16Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した3種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図16B】図16Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した3種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図17A】図17Aは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した2種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからのスコア散乱プロット(t[1]vs.to[1])を示す。対照試料を四角で示し、RA試料を三角で示す。健常対照と診断患者は非常に良好に分離される。この分離は2つの個体群の内因性代謝物のパターンに完全に準拠する。
【図17B】図17Bは対照被験者とRAに罹患している対象を比較した2種類のバイオマーカーのOPLS−DAモデルからの相関スケールローディングのプロットを示す。このプロットから、対照とRAに罹患していると診断された患者の間に認められた分離を表す代謝物プロファイルを同定することができる。負のローディングはRAであると診断された対象ではバイオマーカー濃度が低いことを意味する。
【図18】表5.ヒトRA患者と対応する動物モデルの比較の結果のまとめ。重量は内因性代謝物の相対重要度を表し、平均の加重和に基づく試料の解釈を行うために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0144】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、実施例中、特に指定しない限り、部及び百分率は重量に基づき、度は摂氏である。当然のことながら、これらの実施例は本発明の好ましい態様を示すものであって、例証に過ぎない。上記記載とこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、発明の趣旨と範囲から離れずに、各種用途及び条件に合わせて本発明を種々に変更及び改変することができる。従って、本願に報告及び記載するものに加えて、本発明の各種変形も上記記載から当業者に理解されよう。このような変形も特許請求の範囲に含むものとする。本願に引用する各参考文献の開示はその全体を本願に援用する。
【実施例1】
【0145】
ヒトADに対応する動物モデルの検証
【0146】
試験デザイン
使用したヒトRA及びOA試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−RA患者20人
−OA患者20人。
59人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、20人がOAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
使用したマウスモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料7個
−CIAに罹患している対象からの試料9個。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料6個
−AIAに罹患している対象からの試料6個。
【0147】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0148】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。
0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーライン温度は250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0149】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0150】
結果
同定された代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)はヒトにおけるRAとOA、従って、ADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、ヒト患者と2種類の動物モデルの間には顕著なオーバーラップがあり、代謝物は疾患対象において同様のダウンレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見はこの技術を使用して動物モデルをヒト患者と比較できることと、適応症(この場合にはAD)に最も対応するモデルを識別できることであった。このため、ヒト患者に対する動物モデルの対応性の検証が可能になる。
【実施例2】
【0151】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0152】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−RA患者20人。
【0153】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0154】
結果
多変量データ分析の結果、RAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図3A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図3B)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおけるRAの診断に高度に感受性で特異的であることが明らかである。以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【実施例3】
【0155】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0156】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成した:
−対照患者19人
−OA患者20人。
【0157】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がOAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0158】
結果
多変量データ分析の結果、OAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図1)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、OAの診断に最も有効な代謝物を同定した(図2)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおけるOAの診断に高度に感受性で特異的であることが明らかである。以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【実施例4】
【0159】
ヒトRAに対応する動物モデルの検証
試験デザイン
使用したマウスモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料7個
−CIAに罹患している対象からの試料9個。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−対照からの試料6個
−AIAに罹患している対象からの試料6個。
【0160】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0161】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーラインは250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0162】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0163】
結果
同定された代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)はヒトにおけるRAとOA、従って、ADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、ヒト患者と2種類の動物モデルの間には顕著なオーバーラップがあり、代謝物は疾患対象において同様のダウンレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見はこの技術を使用して動物モデルをヒト患者と比較できることと、適応症(この場合にはAD)に最も対応するモデルを識別できることであった。このため、ヒト患者に対する動物モデルの対応性の検証が可能になる。
【実施例5】
【0164】
実験物質(アルギニン)によるAIAラットモデルにおけるRAの治療
試験デザイン
ダークアグーチ(DA)ラット3匹にAIAを誘導後、ラットに実験物質を投与した。
使用したラットモデル試料は以下の血液試料から構成される:
−AIA DAラットからの試料3個
−実験物質を投与したAIA DAラットからの試料4個(ラットのうち、1匹からは2回サンプリングした)。
【0165】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0166】
GC/TOFMS分析
GC/MS分析の前に、5℃で10分間振盪後に、室温で16時間インキュベートすることにより、試料をピリジン中、メトキシアミン塩酸塩(15mg mL−1)30μLで誘導体化した。次に、1% TMCSを添加したN−メチル−N−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)30μLを加え、室温で1時間インキュベートすることにより、試料をトリメチルシリル化した。シリル化後、ヘプタン(内部標準としてステアリン酸メチル0.5μgを添加)30μLを加えた。0.18μm DB5−MS固定相(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と化学的に結合した10m×0.18mm IDのフューズドシリカキャピラリーカラムを取付たAgilent 6980 GCにAgilent 7683 Series Autosampler(Agilent,Atlanta;GA,USA)により誘導体化試料0.1μlをスプリットレス注入した。インジェクター温度は270℃に設定した。キャリヤーガスとしてヘリウムを使用し、1ml/minの一定流速でカラムに流した。各分析で、20ml min−1のパージ流速と1分間の平衡化時間でパージ時間を60秒に設定した。カラム温度は先ず70℃に2分間維持した後、40℃/minで70℃から320℃まで上げ、320℃に2分間維持した。Pegasus III TOFMS(Leco Corp.,St Joseph,MI,USA)のイオン源にカラム流出液を導入した。トランスファーラインは250℃に設定し、イオン源温度は200℃に設定した。電流2.0mAで70eV電子ビームによりイオンを発生させた。スペクトル線30本/秒の速度でm/z50〜800から質量を獲得し、170秒の溶媒遅延後に加速電圧を印加した。
【0167】
MSデータのデータプロセシング。抽出プロトコルを評価するために、GC/TOFMS及びUPLC/MS分析からの非処理MSファイルをNetCDFフォーマットでMATLABソフトウェア7.0(Mathworks,Natick,MA,USA)にエクスポートし、カスタムスクリプトを使用して基線補正、クロマトグラム整列、時間窓設定及び多変量スペクトル分解(MCR)等の全データ前処理プロシージャを実施した(Jonsson et al.2005,2006)。こうして、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、AIA DAラットと投与個体から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0168】
データ分析
試料間相対代謝物濃度を表すデータを得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、個体群、即ちヒトRAと対照、CIAマウスと対照、及びAIAラットと対照から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0169】
結果
同定された代謝物(図7A及び7B)はヒト及び対応する動物モデルにおいてADに関連するアミノ酸から構成される。本発明者らのOPLS分析によると、本願記載する技術は物質の投与後にAIAラットにおける重要な代謝変化の識別を可能にした。物質投与の結果、ヒト及び対応する動物モデルでADに関連する代謝物の多くのアップレギュレーションが生じた。代謝物の血清分析に適用した技術はこのアプローチを使用して適応症ADに対して投与した医薬の効力を測定するために感受性且つ特異的である。
【実施例6】
【0170】
本実施例は活性化合物とその治療薬として活性な酸付加塩が精神障害の治療に利用可能であることを例証する。
【0171】
試験デザイン
ルイスラット合計21匹にAIAを誘導し、治療試験に供した。使用した試料は以下の血液試料から構成される:
−AIAルイスラットからの試料22個(ラットのうち、1匹からは2回サンプリングした)
−投与後のAIAルイスラットからの試料26個(ラットのうち、5匹からは2回サンプリングした)。
AIA対象には以下のように各種投与を割り当てた:
−対象5匹に活性化合物1mgを投与
−対象5匹に活性化合物3mgを投与
−対象6匹に活性化合物10mgを投与
−対象5匹に活性化合物1mgを投与。
【0172】
血清からの代謝物の抽出
A et al.(2005)により記載されている方法にほぼ従って血清試料から代謝物の抽出を実施した。内部標準を添加したMeOH:H2O(9:1 V:V)630μlを血清70μlに加えた。溶液をボルテックスミキサーで10秒間混合し、氷上に10分間維持した後、MM301振動ミル(Retsch GmbH & Co.KG,Haan,Germany)を使用して周波数30Hzで3分間激しく抽出した。氷上で120分後に試料を19 600gで10分間4℃にて遠心した。上清200μlをGCバイアルに取り、50μlをLC/MSバイアルに取り、蒸発乾涸した。
【0173】
GC/TOFMS分析とMSデータのデータプロセシングは上記実施例1と同様に実施した。
【0174】
結果
ヒトにおけるT1D、RA及びOA、従ってADにも関連するアミノ酸及び他の代謝物から構成され、AD発症のリスク検出、ADの検出及びAD進行のモニター用として適切な内因性代謝物(表5,図3A及び3B,4A及び4B,5A及び5B,6A及び6B)として同定された代謝物の濃度は活性化合物投与により著しく影響を受けた。本発明者らのOPLS分析によると、代謝物は活性化合物を投与した対象において同様のアップレギュレーションパターンを示すことが明らかである。主要な知見は動物モデルにおいて適応症ADに関連する代謝物の濃度を回復できることであった。このため、動物モデルとヒト患者においてADの予防処置、ADの発症を遅延又は予防するための処置、及びのADの治療用としての活性化合物投与の妥当性の検証が可能になった。
【実施例7】
【0175】
材料及び方法
標準プロトコルに従って代謝物を血清から抽出した。
【0176】
臨床試料
使用した試料は以下の血液試料から構成される:
−対照患者19人
−RA患者20人。
【0177】
手順
39人から血清試料を採取し、そのうち20人がRAと診断され、19人の供血者がまだ診断されていない健常対照とみなされた。
当分野で周知の方法により内因性代謝物を同定し、試料間相対代謝物濃度を得た。これらのデータをSIMCA−P+ソフトウェア(Umetrics,AB:(2005))で実行されるような部分最小二乗法(PLS)(Wold,S.et al.,SIAM J.Sci.Statist.Comput.5:735−743(1984);Hoskuldsson,A.,J.Chemometr.9:91−123(1995))と直交PLS(OPLS)(Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.16:119−128(2002);Trygg,J.et al.,J.Chemometrics.17:53−64(2003))で分析し、2つの個体群から得られた試料における内因性代謝物濃度の差を決定した。
【0178】
結果
多変量データ分析の結果、RAであると診断された対象を健常群から分離する内因性代謝物のプロファイルが明らかになった(図8A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。
モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図8B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図9A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図9B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図10A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図10B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図11A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図11B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図12A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図12B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図13A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図13B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図14A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図14B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図15A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図15B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図16A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図16B)。
更に、RAと診断された対象を健常群から分離できるようにするために全内因性代謝物を使用する必要はない(図17A)。結果は2群間の非常に明瞭な分離であった。モデルパラメータ(例えば荷重又は重量)を使用し、RAの診断に最も有効な代謝物を同定することができる(図17B)。
試験の結果、内因性代謝物プロファイルの診断特性はヒトにおいてRAに高度に感受性で特異的であることが明らかである。更に、特定の内因性代謝物を組合せると、診断特性が強化される。
以上の結果、当業者にとって疾患状態の診断とモニターは密接な関係があることも明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項2】
関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項3】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
内因性代謝物がEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
内因性代謝物がEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は
(a)自己免疫疾患、好ましくは全自己免疫疾患;
(b)組織分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)分解により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)腎臓及び/又は肺を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害;あるいは
(k)全関節炎性障害
に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項9】
自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項10】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
内因性代謝物がEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象における健常代謝プロファイルの悪化速度又は改善速度又は回復速度のモニター方法であって、請求項2又は9に記載の方法を含み、
更に、内因性代謝物の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む前記方法。
【請求項15】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、請求項8に記載の障害(a)〜(k)に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項16】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、請求項8に記載の障害(a)〜(k)に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項17】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
内因性代謝物がEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項22】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項23】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項26】
内因性代謝物がEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択される請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
内因性代謝物がEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
生体試料が生体液、好ましくは血液又は滑液である請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
対象が温血動物である請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
対象が哺乳動物、好ましくはヒトである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
N種類の内因性代謝物の濃度の1以上をクロマトグラフィー又は分光学的手段により測定する請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
クロマトグラフィー又は分光学的手法がフーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)又はガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
N種類の内因性代謝物の濃度の1以上を分光学的手法とケモメトリックス法の併用により測定する請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ケモメトリックス法が主成分分析法(PCA)、部分最小二乗法による潜在構造投影(PLS)、直交PLS(OPLS)、PLS判別分析法(PLS−DA)又は直交PLS−DA(OPLS−DA)である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
内因性代謝物の1種以上を多波長分光測定により測定する請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
内因性代謝物の1種以上を測定する前に化学変換(即ち誘導体化)する請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
個々の内因性代謝物と個別に結合した後に検出される試薬を使用することにより内因性代謝物の1種以上を測定する請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
(対象試料と対照試料又は異なる時点で対象から採取した試料間の)内因性代謝物の濃度の増加/減少が有意増加/減少である請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
方法がインビトロ又はエクスビボで実施される請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
方法が更に対象から直接及び/又は1以上の対照から直接生体試料を採取する段階を含む請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項8から13のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択されるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の存在を検出するための試薬を含む前記キット。
【請求項42】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13、12〜13又は13である請求項41に記載のキット。
【請求項43】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択されN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の存在を検出するための試薬を含む前記キット。
【請求項44】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11、10〜11又は11である請求項43に記載のキット。
【請求項45】
バイオマーカーの存在を検出するための試薬の1種以上が抗体である請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
キットが場合により酵素の基質と共に、酵素で標識されたN種類のバイオマーカーの各々に対する抗体を含む請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
キットが更にN種類の内因性代謝物の抽出用溶液、適切な溶離液系、及び適切な内部又は外部標準の1種以上を含む請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項48】
請求項8に記載の疾患ないし障害を診断又は検出するための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項49】
請求項8に記載の疾患ないし障害の進行をモニターするための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項50】
請求項8に記載の疾患ないし障害の治療用医薬の有効性を測定するための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項51】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチを診断又は検出するための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【請求項52】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチの進行をモニターするための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【請求項53】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチの治療用医薬の有効性を測定するための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【請求項1】
関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項2】
関節リウマチ(RA)により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は対象におけるRAに起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項3】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
内因性代謝物がEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
内因性代謝物がEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は
(a)自己免疫疾患、好ましくは全自己免疫疾患;
(b)組織分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(c)結合組織の分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(d)中枢神経系におけるミエリンの分解を特徴とする全自己免疫疾患ないし障害;
(e)分解により皮膚を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(f)消化器系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(g)心血管系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(h)神経系を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(i)腎臓及び/又は肺を冒す全自己免疫疾患ないし障害;
(j)全糖尿病性障害;あるいは
(k)全関節炎性障害
に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項9】
自己免疫疾患により対象に生じる内因性代謝物の代謝プロファイルの変動の検出方法であって、
(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
場合により、代謝プロファイルの変動が検出される場合には、
(iiia)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階;
あるいは
(iiib)変動した代謝プロファイルを正常化するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項10】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
内因性代謝物がEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象における健常代謝プロファイルの悪化速度又は改善速度又は回復速度のモニター方法であって、請求項2又は9に記載の方法を含み、
更に、内因性代謝物の増加量又は減少量を対象からの初回(即ち以前の)試料の採取から2回目の試料の採取までの時間で割る段階を含む前記方法。
【請求項15】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、請求項8に記載の障害(a)〜(k)に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項16】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、請求項8に記載の障害(a)〜(k)に起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は請求項8に記載の疾患ないし障害(a)〜(k)の1種以上に起因する)と;
(b1)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)前記疾患ないし障害を発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項17】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13又は12〜13である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13である請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
内因性代謝物がEM1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12又は1〜13から選択される請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が対照から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項22】
対象における変動した代謝プロファイルを従来可能であったよりも早期に発症予防、遅延もしくは抑制、又は治療する方法であって、
a)(i)対象におけるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の代謝プロファイルを作成するために、対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の濃度を測定する段階と;
(ii)N種類の内因性代謝物の濃度測定値を以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度と比較する段階
を含む方法により、関節リウマチに起因する変動した代謝プロファイルを検出する段階(但し、N種類の内因性代謝物は
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択され、
代謝プロファイルの変動は対象から得られた生体試料におけるN種類の内因性代謝物の各々の濃度測定値が以前に対象から得られた生体試料における内因性代謝物の対応濃度に比較して減少又は増加している変動であり、
代謝プロファイルの変動は関節リウマチに起因する)と;
(b1)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを対象に処方もしくは提供するか又はその投与を対象に推奨する段階、
あるいは
(b2)関節リウマチを発症予防、遅延、抑制又は治療するために有効な量の遊離塩基又は塩形態のN−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジリデンアミノ)グアニジン又はアミノグアニジンを前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項23】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11又は10〜11である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
Nが2〜5、3〜5又は4〜5である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
Nが2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項26】
内因性代謝物がEM1〜3及び/又はEM8〜10及び/又はEM14〜18から選択される請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
内因性代謝物がEM2、EM3、EM8及びEM10から選択される請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
生体試料が生体液、好ましくは血液又は滑液である請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
対象が温血動物である請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
対象が哺乳動物、好ましくはヒトである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
N種類の内因性代謝物の濃度の1以上をクロマトグラフィー又は分光学的手段により測定する請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
クロマトグラフィー又は分光学的手法がフーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)又はガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
N種類の内因性代謝物の濃度の1以上を分光学的手法とケモメトリックス法の併用により測定する請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ケモメトリックス法が主成分分析法(PCA)、部分最小二乗法による潜在構造投影(PLS)、直交PLS(OPLS)、PLS判別分析法(PLS−DA)又は直交PLS−DA(OPLS−DA)である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
内因性代謝物の1種以上を多波長分光測定により測定する請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
内因性代謝物の1種以上を測定する前に化学変換(即ち誘導体化)する請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
個々の内因性代謝物と個別に結合した後に検出される試薬を使用することにより内因性代謝物の1種以上を測定する請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
(対象試料と対照試料又は異なる時点で対象から採取した試料間の)内因性代謝物の濃度の増加/減少が有意増加/減少である請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
方法がインビトロ又はエクスビボで実施される請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
方法が更に対象から直接及び/又は1以上の対照から直接生体試料を採取する段階を含む請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項8から13のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン(Phe)
EM2 チロシン(Tyr)
EM3 イソロイシン(Ile)
EM4 ロイシン(Leu)
EM5 オルニチン(Orn)
EM6 プロリン(Pro)
EM7 グルタミン酸(Glu)
EM8 グリシン(Gly)
EM9 グルタミン(Gln)
EM10 メチオニン(Met)
EM11 アスパラギン酸(Asp)
EM12 バリン(Val)
EM13 アルギニン(Arg)
から構成される群から選択されるN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜13である)の存在を検出するための試薬を含む前記キット。
【請求項42】
Nが3〜13、4〜13、5〜13、6〜13、7〜13、8〜13、9〜13、10〜13、11〜13、12〜13又は13である請求項41に記載のキット。
【請求項43】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、場合により使用説明書と共に、
EM1 フェニルアラニン
EM2 チロシン
EM3 イソロイシン
EM8 グリシン
EM9 グルタミン
EM10 メチオニン
EM14 リジン
EM15 アスパラギン
EM16 セリン
EM17 トリプトファン
EM18 トレオニン
から構成される群から選択されN種類の内因性代謝物(但し、Nは2〜11である)の存在を検出するための試薬を含む前記キット。
【請求項44】
Nが3〜11、4〜11、5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11、10〜11又は11である請求項43に記載のキット。
【請求項45】
バイオマーカーの存在を検出するための試薬の1種以上が抗体である請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
キットが場合により酵素の基質と共に、酵素で標識されたN種類のバイオマーカーの各々に対する抗体を含む請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
キットが更にN種類の内因性代謝物の抽出用溶液、適切な溶離液系、及び適切な内部又は外部標準の1種以上を含む請求項41から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項48】
請求項8に記載の疾患ないし障害を診断又は検出するための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項49】
請求項8に記載の疾患ないし障害の進行をモニターするための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項50】
請求項8に記載の疾患ないし障害の治療用医薬の有効性を測定するための請求項41から42のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項51】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチを診断又は検出するための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【請求項52】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチの進行をモニターするための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【請求項53】
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節リウマチの治療用医薬の有効性を測定するための請求項43又は44に記載のキットの使用。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【公表番号】特表2012−521551(P2012−521551A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501376(P2012−501376)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000557
【国際公開番号】WO2010/109192
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511226915)アナマル アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000557
【国際公開番号】WO2010/109192
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511226915)アナマル アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
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