説明

代謝不活性化に耐性の化合物および使用方法

代謝酵素による脱アミン化および不活性化に高い抵抗性を有する治療用化合物を提供する。前記化合物には、ヌクレオチド類似体、および遊離アミンの脱アミン化を防ぐためにアミン基および/またはチオアミン基で誘導体化したヌクレオチド類似体が含まれる。前記化合物は、新生物障害、真菌または真菌様生物の感染症、および寄生虫の感染症の治療を含む、各種の治療に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願明細書は、2002年12月3日に提出された米国特許仮出願第60/430,397号の優先権を主張する。上に引用された特許仮出願の内容全体は、引用をもって本願明細書に援用するものとする。
【発明の背景】
【0002】
治療用化合物の臨床的有効性は、前記化合物そのものの活性だけでなく、前記化合物のバイオアベイラビリティ、または代謝によって患者の体内から前記化合物が排出される前に前記患者の血流中の治療に関連する濃度が達成できるかどうかにもよる。バイオアベイラビリティの低さという問題点は、数多くの有用性の期待できる治療用化合物の臨床開発における重要な限界となっている。このような場合、患者の体内において有効な濃度を確実に達成するには、大量の投与量の薬物または薬物の連続投与が必要である。このような戦略は顕著な有害作用を伴うことが多い。
【0003】
特に代謝酵素によって不活性化されやすいある種の治療用化合物は、ヌクレオチド、ヌクレオシド、およびそれらの類似体である。これらの類似体は、複製または転写中にDNAまたはRNAに取り込まれ、さらなるDNAまたはRNA合成を阻害する能力があることから、癌およびウイルス感染症の治療の重要な選択肢である。したがって、一部のこれら化合物の有効性、特にシトシンまたはアデノシン取り込みの有効性は、塩基対形成およびDNAへの適切な組み込みに必要な遊離アミンを除去する、デアミナーゼによる急速な不活性化によって厳しく制限されている。したがって、患者の体内で分解されることなく長期間持続するような形状のヌクレオシド類似体を提供することが非常に望ましい。
【0004】
コルジセピン(3’-デオキシアデノシン)は、抗ウイルス活性(Richardson et al. (1975) Int. J. Cancer
15:451-6)、抗癌または抗腫瘍原性活性(Jagger et al. (1961) Cancer Res.
21:216-20)、抗真菌活性(Sugar et al. (1998) Antimicrobial
Agents and Chemotherapy 42(6):1424-7; 米国特許第 5,679,648号)、および抗寄生虫活性(Trigg et al. (1971)
Trans. R. Soc. Trop. Med.
Hyg. 65:514-20; 米国特許第 5,663,155号)を含む、多数の生物学的作用を有するアデノシンヌクレオシド類似体の1例である。ある作用機序では、コルジセピンは、細胞内でアデノシンキナーゼおよびアデニル酸キナーゼによって連続的にリン酸化され、3’-デオキシアデノシン3リン酸(3’デオキシATP)を形成しなければならない。3’-デオキシATPは、ATPのかわりにRNAに取り込まれるために、数多くの抗がん作用を発揮し、休息に分裂する腫瘍細胞の転写中の連鎖ターミネータとして作用する(Klenow (1963) Biochem. Biophys. Acta. 76:347-53; Muller et
al. (1997) Cancer Research 37:3824-33)。3’-デオキシATPは、ポリアデニル化を阻害する能力でウイルス複製を直接阻害し、したがってウイルスおよび宿主mRNAのプロセシングおよび成熟を妨げることによって、抗ウイルス剤としての生物学的活性を示す。
【0005】
コルジセピンの医薬品としての有効性は、不活性化代謝物3’-デオキシイノシンの迅速な脱アミノ反応によって、著しく低下する。この反応は、広範囲の組織に豊富な酵素、アデノシンデアミナーゼ(ADA)によって触媒される。コルジセピンまたはその他のアデノシンヌクレオシド類似体の脱アミノ反応を防止するために、in vitroおよびin vivoの両方においてヌクレオシド類似体の有意に有効な濃度を達成するためには、2’-コホルマイシンまたは2’-デオキシコホルマイシンなどのADA阻害剤の同時投与が必要である[Johns
et al. (1976) Biochem. Pharmacol. 25:
441-4; Adamson et al. (1977) Pharmacology 15:84-89; Koc Y et al. (1996) Leukemia
10:1019-24; Sugar et al.
(1998) Antimicrobial Agents and Chemotherapy 42(6):1424-7; Kodama et al. (2000) BioChem
Pharmacol. 59(3):273-81]。残念なことに、これらADA阻害剤はむしろ細胞毒性である。ADA阻害剤はADAを大変効率的に阻害するので、酵素の活性を復活させるためには酵素の再合成が必要となるためである(Padua et al. (1992)
J. Neurochem. 58:421-9; Agarwal et al. (1977) Biochem.
Pharmacol. 26:359-67)。
【0006】
ADA阻害剤の使用の有効な代替法を探す研究において、脱アミノ反応による不活性化から保護しつつ親薬の強力な生物学的活性が保持されるような数種類のコルジセピンプロドラッグが開発された。
3’-デオキシアデノシンN’-オキシド(3’-dANO)(Svendson
et al. (1992) Cancer Chemother. Pharmacol.
30: 86-94)および9-(b-D-アラビノフラノシル)-6-アジドプリン(6-AAP)[Kotra
et al. (1998) J. Med. Chem.; U.S. Patent No. 6,271,212]は、コルジセピンのアミン基が低分子の官能基(N-オキシドまたはアジド)で置換されているコルジセピンプロドラッグの例である。これらの作用物質は、代謝的に活性なコルジセピンを再生するために前記プロドラッグを還元する能力を有する標的細胞に入るまで、代謝的に不活性である。これらのプロドラッグはコルジセピンの半減期を少し延長するだけで、したがって、当業には、改善された薬物動態的プロフィールを有するヌクレオシド類似体の著しい必要性が引き続き存在する。
【0007】
発明の概要
本願発明は、代謝酵素による不活性化への高い耐性、したがって改善された治療効果およびバイオアベイラビリティを有する化合物を提供する。本願発明のある化合物には、ヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体であって、前記遊離アミンが1つ以上のアミノ基またはチオアミノ基で誘導体化され、in vivoにおいて対象に、またはex vivoにおいて生物学的製剤に投与される場合、前記化合物をたとえばデアミナーゼまたはその他の代謝酵素などによって脱アミノ反応から保護する、ヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体が含まれる。したがって、本願発明の化合物には、分解および不活性化に高い耐性を有する、多様な治療用ヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体(たとえばプロドラッグ)が含まれる。
【0008】
本願発明の化合物は、
A-Xn
という構造であって、
当該構造において、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造において、Aは少なくとも1つのアミンであって、前記アミンが少なくとも1つのXで誘導体化されるアミンを含み、
当該構造において、nは1または2のいずれかであって、
当該構造において、各Xは独立に-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていてよく、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造として特徴づけることができる。したがって、nが2のとき、Xは2つのチオアミン基、2つのアミン基、または1つはチオアミン基で1つはアミノ基の組み合わせであってよい。
【0009】
各種の実施態様において、前記アミンは1級または2級アミンでもよい。さらに、前記アミンは芳香族アミンでもよい。
【0010】
ある実施態様では、Aはヌクレオシド類似体、コルジセピン(3’-デオキシアデノシン)または別のアデノシン類似体を含む。他の実施態様では、Xはたとえばシトシン類似体、フルオロアラビノフルオルシトシン、ガンシクロビル、トリメトプリム、ペンシクロビル、バラシクロビル、ビダラビン、アラビノフラノシルアデニン(Ara-A)、アラビニシチジン、アシクロビル、アラビノフラノシルシトシン(シタラビン、Ara-C)、アラビノフラノシル-5-フルオロシトシン、シチジン、2’-デオキシチジン、ファムシクロビル、フルシトシン、5-フルオロシトシン、5’-フルオロ-1’,2’-ジオキサラン、シトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ-1’,2’-ジオキサランシトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシトシン
(B-D-Fd4C)、および5-フルオロ-3’デオキシ-3’チアシチジン(B-D-FTC)などを含む。そのような化合物にはまた、1リン酸ヌクレオチド、2リン酸ヌクレオチド、3リン酸ヌクレオチドおよびその類似体も含まれる。
【0011】
ある実施態様では、本願発明は以下の構造であって、
【0012】
【化1】



【0013】
当該構造において、nは1または2であって、
当該構造において、各Xは独立に、水素、-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、少なくとも1つのXは前記チオアミノ基またはアミノ基であって、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を有する化合物を提供する。
【0014】
別のある実施態様では、本願発明は、以下の構造(6-N-フェニルチオアミンコルジセピン)を有する化合物を提供する。
【0015】
【化2】

【0016】
別のある実施態様では、本願発明は、以下の構造(6-N-(4-メチル)フェニルチオアミンコルジセピン)を有する化合物を提供する。
【0017】
【化3】

【0018】
本願発明の化合物はまた、前記化合物がたとえば特定の細胞または病原体を標的とするような1つ以上の作用物質を含むようにも修飾することができる。好適な標的作用物質には、抗体、ホルモン、抗体断片、アプトマー、ペプチド、低分子およびその他の結合作用物質が、それらに限定されずに含まれる。代替的に、またはさらに、前記化合物はポリエチレングリコール(PEG)、リン酸エステル、ホスホルアミドエステル、アミノ酸エステル、t-BOCアミノ酸、脂質、ステロイド、アミン含有炭素鎖、アミノ酸、およびペプチドなど、可溶性を高めるまたは低める部分を含むように修飾することもできる。
【0019】
別の局面では、本願発明は、好適な担体で調剤した本願発明の1つ以上の化合物を含有する組成物(たとえば薬学的用途用など)を提供する。前記組成物はさらに、抗癌剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤などの1つ以上のその他の治療用作用物質を含むことができる。
【0020】
さらに別の局面では、本願発明は、少なくとも1つの置換基を有するアミンを誘導体化することによって少なくとも1つのアミン(たとえば1級アミン、2級アミンおよび/または芳香族アミン)を含む化合物を保護する方法(たとえばデアミナーゼなどによる、たとえば不活性化から)であって、当該方法において、前記置換基は、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該方法において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、方法を提供する。
【0021】
別の局面では、本願発明はアミン基、チオアミン基、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択される少なくとも1つの置換基で前記アミンを誘導体化するステップを含む、アミンの保護の方法を提供する。さらに別の局面では、本願発明はヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体を保護する方法であって、当該方法において、前記ヌクレオシド、ヌクレオチド、または類似体が、少なくとも1つのアミンを含み、アミン基、チオアミン基、またはその組み合わせからなるグループから選択される1つの置換基で前記アミンを誘導体化するステップを含む、方法を提供する。各種の実施態様において、前述の局面に記載のチオアミン基は、-(CR1R2)-S-R3の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含んでもよい。ある実施態様において、前述の局面に記載のアミン基は、-(CR4R5)-O-R6の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含んでもよい。
【0022】
そのような保護によって、前記化合物の半減期は延長され、バイオアベイラビリティが上昇し、および/または安定性も向上する。したがって、本願発明の方法は、化合物の有効性を向上させる各種の治療において、およびたとえばRNA干渉およびアンチセンス修飾などに即して、用いることができる。特に、脱アミノ化に高い耐性を有する本願発明のヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体を、短分子干渉RNA分子およびアンチセンス分子に組み込んで、遺伝子発現を阻害する前記分子の有効性を向上させることができる。
【0023】
さらに別の局面では、本願発明はヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体であって、前記ヌクレオチド、ヌクレオシドまたは類似体が少なくとも1つのアミンを含み、前記アミンがアミノ基、チオアミノ基、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択される少なくとも1つの置換基で誘導体化される、ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体に提供される。
【0024】
本願発明の化合物は、由来する親化合物が用いられる用途を含む、各種の治療用用途に用いることができる。たとえば、本願発明の誘導体化されたヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体を、癌および寄生虫、ウイルスおよび真菌感染の治療に用いることができる。そのような用途には、前記化合物はin vivoにおいて対象に投与するか、またはex vivoにおいて生物学的もしくは食物製品に投与することができる。
【0025】
治療可能な特定の新生物疾患には、たとえば、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経細胞腫、扁平上皮細胞癌、生殖細胞腫、未分化型細胞腫、精上皮腫、黒色腫、神経芽細胞腫、混合細胞型腫瘍、転移性新生組織形成、末端デオキシヌクレオチド転移酵素陽性白血病、または末端デオキシヌクレオチド転移酵素陽性リンパ腫、ならびに病原性感染症および悪性腫瘍による新生組織形成が含まれる。
【0026】
治療可能な特定の寄生虫感染症には、たとえば、ブルーストリパナソーマおよびクルーズトリパナソーマなどのトリパナソーマ寄生虫の感染、ならびに熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、および四日熱マラリア原虫などのプラスモジウム寄生虫による感染が含まれる。
【0027】
治療可能な真菌感染症は、たとえば、カンジダ・クルセイ、C. グラブラタ、C. アルビカンスおよびC. トロピカリス、C. パラプシロシス、紅色白癬菌、毛瘡白癬菌、T. トンスランス、オードアン小胞子菌、犬小胞子菌、T. フロッコスム、ノカルジア・アステロイデスおよびN. ブラシリエンシス、イスラエル放線菌、ケカビ属、アブシディア属、クモノスカビ属、クスダマカビ、接合菌類、アスペルギルス・フミガーツス、A. フラブス、A. ニガー、アスペルギルス属、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、パラコシディオイデス・ブラシリエンシス、コシディオイデス・イミティス、ブラストマイセテス・ダーマティティス、ならびにヒストプラズマ・カプスラツムによる感染が含まれる。
【0028】
本願発明のその他の実施態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。さらに、それらは発明の範囲内に包含されることも意図される。
【0029】
発明の詳細な説明
本願発明は、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよびそれらの類似体などの遊離アミンを含有する化合物を、アミンおよびチオアミン基で誘導体化することによって、前記化合物の酵素不活性化に対する耐性が実質的に上昇し、非酵素的加水分解(たとえばin vivoにおける)が前記活性分子を再生する、という発見に、部分的に基づく。したがって、本願発明の誘導体化された化合物は、それらが選択的に加水分解されてその活性アミンの対応物になるまで、保護される。その結果、本願発明の化合物は有意に延長された半減期を有する。
【0030】
定義
本願明細書に記載のとおり、以下の用語は、以下に記載の定義を有するとする。
【0031】
「遊離アミン」は、デアミナーゼによって脱アミノ化することが可能なアミン置換基(たとえば1級アリールアミン)を意味するものとする。前記アミンは、1級アミンまたは2級アミンであってよいが、それらに限定されない。さらに、前記アミンは芳香族アミンでもよい。
【0032】
「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチルおよびペンチル基など、少なくとも1つの炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキル基を意味するものとする。
【0033】
「アルコキシ」は、酸素結合(-O-)で結合された上述のアルキル基を意味する。アルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシおよびt-ブトキシが含まれる。
【0034】
「アリール」は、フェニル、および置換フェニルなど、1環または2環式芳香族環を意味する。アリール基は、隣接する炭素原子または好適なヘテロ原子の間の2重結合が交互に生じる(共鳴する)、少なくとも5原子を有する少なくとも1つの環を含む。
【0035】
任意に置換したアルキル基、任意に置換したアルコキシ基、および任意に置換したアリール基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、メルカプト、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニル(アルキル)アミノ、スルファート、およびホスファート置換基を、それらに限定されずに含む、1つ以上の置換基を有していてよい。本願明細書に記載の「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が含まれる。
【0036】
本願明細書に記載の「標的作用物質」という用語には、本願発明の化合物に結合させて、たとえば標的細胞または病原体などに前記化合物を方向付けるまたは狙わせることができる化学基および化合物が含まれる。好適な標的作用物質は、当業に公知で、たとえば、抗体、結合ペプチド、細胞リガンドおよび低分子などが含まれる。標的作用薬には、たとえば、前記化合物をカプセル封入できるリポソームおよびその他の担体分子も含まれる。本願明細書に記載の「抗体」という用語には、抗体全体、および抗体結合部分またはその1本鎖が含まれる。「抗体」には、ジスルフィド結合で連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる糖タンパク、またはその抗原結合部分を意味する。本願明細書に記載の抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を意味する。結合断片の例には、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、およびdAb断片が含まれる。
【0037】
誘導体化化合物
ある局面では、本願発明は一般構造式A-Xnであって、当該構造式においてAはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造式においてAは-(CR1R2)-S-R3 という構造を有するチオアミン基、もしくは-(CR4R5)-O-R6 という構造を有するアミン基、または両方であってよいXによって誘導体化された少なくとも1つのアミンを含む、構造式を有する化合物を提供する。Nは1または2であってよい。各Rは同一であってもよく、もう1つのRとは異なっていてもよい。各Rは独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、または置換アリールである。本願発明のアミンおよびチオアミン誘導体には、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、もしくは硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩もしくはシュウ酸塩などの有機酸付加塩、またはナトリウム塩などのアルカリ金属塩もしくはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩を含む無機塩基に由来する塩とともに調合することによって生じた、遊離型および塩(たとえば薬学的に許容な塩)が含まれる。
【0038】
本願発明のある実施態様では、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、またはヌクレオシド類似体である。したがって、Aはプリンまたはピリミジンであってよい。Aはまた、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、またはその類似体であってもよい。Aはまた、ヌクレオチドまたはその類似体の1リン酸、2リン酸または3リン酸塩であってもよい。ある実施態様では、Aはコルデシピンである。他の実施態様では、Aはたとえばアデニン、シトシン、アラビノフルオルアデニン(Ara-A)、アラビニシチジン、アシクロビル、アラビノフラノシルシトシン(シタラビン、Ara-C)、アラビノフラノシル-5-フルオロシトシン、シチジン、2’-デオキシチジン、ファムシクロビル、フルシトシン、5-フルオロシトシン、5’-フルオロ-1’,2’-ジオキサラン、シトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ-1’,2’-ジオキサランシトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシトシン
(B-D-Fd4C)、および5-フルオロ-3’デオキシ-3’チアシチジン(B-D-FTC)、フルオロアラビノフルロシトシン、ガンシクロビル、トリメトプリム、ペンシクロビル、バラシクロビル、およびビダラビンである。Aはまた、上述のヌクレオシド類似体の1リン酸、2リン酸または3リン酸塩であってもよい。
【0039】
本願発明のあるコルジセピン誘導体には、以下の化学式であって、
【0040】
【化4】



【0041】
当該化学式において、nは1または2であって、Xは-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから選択される、
化学式を有するものが含まれる。
【0042】
本願発明の他のコルジセピン誘導体には、以下の構造を有するコルジセピンの置換フェニルチオアミン基が含まれる。
【0043】
【化5】


6-N-フェニルチオアミンコルジセピン
【0044】
【化6】



6-N-(4-メチル)フェニルチオアミンコルジセピン
【0045】
【化7】




6-N-(4-メトキシ)フェニルチオアミンコルジセピン
【0046】
上述のヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体は、1つ以上のアミンを有してもよい。そのような環境下では、前記アミン基のすべてまたは一部がアミン基および/またはチオアミン基で置換されていてもよい。nが2の場合、各アミンは2つのアミン基、1つのアミン基と1つのチオアミン基、または2つのチオアミン基(つまりビス-チオアミン基)で誘導体化することができる。得られた化合物がビス-チオアミン基である場合、前記の2つのチオアミン基は同一であるかまたは異なっていてよい。
【0047】
ある実施態様では、前記アミンは1級または2級アミンであってもよい。さらに、前記アミンは芳香族アミンでもよい。
【0048】
ある実施態様では、Xは-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基であって、当該構造においてmは1の間の任意の数であって、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから選択される、構造を有するチオアミン基またはアミン基である。
【0049】
本願発明の化合物はまた、前記化合物の官能性、溶解度および/または細胞透過度を変えるために修飾することもできる。たとえば、さらなる化学基または置換基を前記化合物の中(たとえばチオアミノ基、アミノ基、または直接ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体)に組み込んで、当業に公知のように、前記化合物の溶解度を調節(たとえば増加または減少)することもできる。そのような修飾剤には、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸エステル、ホスホルアミドエステル、脂質、ステロイド、アミン含有炭素鎖、アミノ酸、アミノ酸エステル(t-BOCアミノ酸)およびペプチドなどが含まれる。
【0050】
さらに、本願発明に包含される修飾には、前記化合物を標的細胞または病原体に結合させる標的作用物質に結合するステップも含まれる。好適な標的作用物質には、抗体、アプトマー、ホルモン、結合ペプチド、リポソーム、細胞リガンド、および低分子が、それらに限定されずに含まれる。そのような標的作用物質は、天然に存在する分子、組換え的に生成した分子、または人工的に作製した分子であってよい。たとえば、前記分子は、有機低分子基、糖残基、またはRNAなど、非ペプチド成分を含有する人工的に作製されたタンパク質であってよい。
【0051】
脂肪親和性基を化合物(たとえばアミン基またはチオアミン基のR基)に結合させて、細胞透過度を高め、前記化合物の標的細胞への取り込みを増加させることもできる。代替的には、またはさらには、当業に公知のとおり、前記化合物をリポソームまたはその他のマイクロカプセルに封入することもできる。
【0052】
本願発明の化合物は、好適な担体とともに組成物(たとえば薬学的組成物)として調合することができる。好適な担体は当業に公知で、たとえば投与を簡便にするか、生理学的安定性を高めるか、保存を容易にするか、または前記組成物の半減期を延長する作用物質が含まれる。したがって、別の実施態様では、本願発明は、少なくとも1つの誘導体化化合物および好適な(たとえば薬学的に許容な)担体を含む組成物を提供する。で当業に知られる好適な担体の例には、ショ糖、乳糖、デンプン、水、塩(たとえば塩溶液)、アルコール、油(たとえば植物油)、ポリエチレングリコール、グリセロール、コラーゲン、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエトラル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、糖類、多糖類、ならびにこれらの物質の組み合わせおよび改変物が、それらに限定されずに含まれる。
【0053】
さらに、前記組成物は、滅菌することもでき、望ましい場合には、たとえば潤滑油、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、バッファ、着色剤、着香剤、および/または芳香物質、ならびに前記活性化合物と悪性の反応を生じない類似物などの助剤と混合することもできる。本願発明の組成物には、任意に、着香剤、ならびに、保存料、抗酸化剤および前記組成物の製造者および販売者に有利なその他の成分など、品質保持期限を延長するために必要なまたは望ましいと考えられるその他の作用物質が含まれてもよい。
【0054】
薬学的試薬を調合する方法は当業に公知で、前記組成物中の前記活性化合物の量は、たとえば治療される対象または製剤の性質およびサイズなどによって、当業者が容易に決定することができる。ある実施態様では、本願発明の誘導体化された化合物は、約0.01m乃至約20mM(たとえば約1.0mM乃至約10mM)の濃度で加えられる。前記組成物は、濃縮された前記活性成分を含有することもできる。前記組成物が液体(vol./vol.) または固体(wt./wt.)として調合される場合、前記組成物は約0.001%乃至約100%、約0.01%乃至約10.0%、および約0.1%乃至約5.0%の活性成分を含有してよい。前記組成物は、必要であれば、皮膚またはその他の体組織に長時間直接接触できるように、さらに希釈することもできる。
【0055】
製造方法
本願発明の誘導体化された化合物は、当業に公知の技術を用いて調製することができる。特に、アミン誘導体は、ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体の遊離アミンを、たとえばホルムアルデヒド、シアノホウ水素化物、および好適な有機溶媒の存在下において、対応するアルコール(R’-OH) (たとえばアルキルアルコール、アリールアルコール、またはアルコキシアルコール)と還元アルキル化することによって合成することができる(Borch et al. (1972) J. Org. Chem.
37(10):1673-4)。たとえば、ヌクレオシド類似体コルジセピンのアミンプロドラッグは、以下のスキームにしたがって調製してもよい。
【0056】
【化8】

【0057】
チオアミン誘導体は当業に知られる方法によって合成することもできる。たとえば、チオアミン誘導体は、以下のスキームにしたがって、ヌクレオチド、ヌクレオシドまたはその類似体の遊離アミンを、たとえばホルムアルデヒド、および氷酢酸のエタノール溶液の存在下において、対応するチオール(R’-SH) (たとえばアルキルチオール、アリールチオール、またはアルコキシチオール)と還元アルキル化することによって合成してもよい(Kemal et al. (1980) Synthesis 1025-8) 。
【0058】
【化9】

【0059】
ビス-チオアミン誘導体は、以下のスキームにしたがって2,2,2-トリフルオロエタノール溶媒をエタノールに変えて、チオアミンと同じように合成してもよい。
【0060】
【化10】

【0061】
当業に知られるその他の技術を用いて、本願発明のアミンおよびチオアミン誘導体を調製してもよい。
【0062】
治療用用途
本願発明の誘導体化化合物(たとえばプロドラッグ)は、非酵素的な加水分解(たとえばin vivoにおいて置換される場合)によって親ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはその類似体に再生される。その結果、前記化合物を、親ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはその類似体によって治療可能なさまざまな疾患に用いることができる。代替的には、またはさらには、前記化合物は、誘導体化されていないヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体の当業に知られるとおり、RNA干渉およびアンチセンス修飾との関連で用いることができる。
【0063】
寄生虫感染症の治療
ある実施態様では、本願発明は寄生虫に感染した対象または生物学的製剤を治療する方法であって、前記対象または生物学的製剤に、構造A-Xn, を有する化合物を治療上有効な量投与するステップであって、当該構造においてAはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、またはヌクレオシド類似体であって、当該構造においてAは少なくとも1つのアミンを有する、構造である、ステップを含む方法を提供する。Nは1または2のいずれかである。Xは、構造構造-(CR1R2)-S-R3 を有するチオアミン基、または-(CR4R5)-O-R6を有するアミン基である。Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、または置換アリールである。
【0064】
本願発明の組成物および方法は、広く多様な寄生虫に対して効果的である。寄生虫は一般に昆虫によって運ばれ、寄生虫の基本的な生命周期はその昆虫の中で生じる。寄生虫は、昆虫から直接、またはその寄生虫を獲得した別の動物宿主を介して昆虫から間接的にヒトに運ばれることがある。一般に、寄生虫症は血液、組織、リンパ系、主要臓器および臓器系、皮膚、および消化管に感染しうる。血液、リンパ、および組織の感染によって特徴づけられる寄生虫疾患の例には、トリパノソーマ症、リーシュマニア、トキソプラスマ症、サルコシスティス、ニューモシスティス、住血吸虫症、およびエレファンティティスが、それらに限定されずに含まれる。消化管障害には、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、二核アメーバおよび膣トリコモナス、線虫、鈎虫、回虫、蟯虫、ならびに皮膚および内臓リーシュマニア症が、それらに限定されずに含まれる。寄生虫の例には、赤痢アメーバ属、回虫属、鈎虫属、糞線虫属、鞭虫属、ブケレリア属、リーシュマニア属、プラスモジウム属、トキソプラズマ属、サルコシスティス属、ニューモシスティス、住血吸虫、ロア糸状虫属、オンコセルカ属、ブルギア属、ジペタロネーマ属、マンソネラ属、ドラクンクルス属、バベシア属、およびトリパノソーマ属が、それらに限定されずに含まれる。特に、トリパノソーマ症はトリパノソーマ寄生虫(ブルーストリパナソーマおよびクルーズトリパナソーマなど)に関連し、マラリアはプラスモジウム寄生虫(熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、および四日熱マラリア原虫など)に関連する。
【0065】
本願発明の組成物は、望ましい結果を達成するために必要な期間、対象または生物学的製剤に投与される。寄生虫感染症の疑いがある対象または診断された対象は、短期間、またはその感染症が回復に向かうまで、または効果的に除去されるまでの治療しか要しない場合もある。代替的には、特定の寄生虫を効果的に除去するために、月または年単位などの長期間の投与を要する場合もある。
【0066】
投与は、本願明細書に記載の投与の方法のいずれかによることもある。経鼻スプレーは、肺系および血流への組成物の投与の好ましい方法で、トリパノソーマ属、リーシュマニア属、プラスモジウム属、および住血吸虫属によって引き起こされる疾患を治療するために有用である。消化管へのアクセスは、経口、浣腸、注射の投与形態を用いて実現することもできる。組成物のそのような形態は、本願明細書に記載の通り、消化管障害を治療するために有用である場合もある。経口投与は、赤痢アメーバ、大腸菌、E.ポレキ、回虫、ランブル鞭毛虫、ヒトギョウチュウ、アメリカ鈎虫、バンクロフト糸状虫、および各種鈎虫による感染症など、消化管の寄生虫に向けた組成物を投与する最も有効な方法であることが多い。
【0067】
本願発明の別の実施態様では、前記組成物は、付加的にまたは相乗作用で、前記組成物の作用を最大化するためのさらなる治療作用物質を含有する。本願発明の組成物との組み合わせで効果的であると考えられる作用物質には、前記寄生虫に対してプラスの作用を有することが知られる、またはその疑いがあるその他の薬物および治療薬が含まれる。1つ以上の病原性寄生虫に対して有効なことが知られているさらなる作用物質の例には、ベンジダゾール、ニトロフルフリルイジン、ジメルカプロール、スラミン、ペントアミジン、メラルソプロール、酸化メラーセン、キニン、スルホンアミド、スルホン、クロロキン、ピリメタミン、グルコン酸ナトリウムアンチモン、スルファジアジン、ならびにこれらの作用物質の誘導体、修飾体、および組み合わせが含まれる。これらの作用物質の様々な組み合わせを用いた治療法は、感染症に対して安全で有効な治療法である。本願発明の組成物と、放射線療法、たとえば前記寄生虫、感染細胞、遺伝子療法、または特定のアンチセンス療法に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いた、毒素または薬物と結合させた抗体療法治などを組み合わせた療法も、感染症の抑制または除去を誘発するのに有効である場合もある。効果は、付加的、対数的、または相乗効果的である場合もあり、治療法の組み合わせを用いる方法は、同時的なプロトコル、断続的なプロトコル、または経験的に決定されるプロトコルであってもよい。
【0068】
真菌感染症の治療
別の実施態様では、本願発明は真菌または真菌様生物に感染した対象または生物学的製剤を治療する方法であって、前記対象または生物学的製剤に、構造A-Xn, を有する化合物を治療上有効な量投与するステップであって、当該構造においてAはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、またはヌクレオシド類似体であって、当該Aは少なくとも1つのアミンを有する、構造である、ステップを含む方法を提供する。Nは1または2のいずれかである。Xは、構造構造-(CR1R2)-S-R3 を有するチオアミン基、または-(CR4R5)-O-R6を有するアミン基である。Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、または置換アリールである。
【0069】
本願発明の化合物は、広く多様な真菌および真菌様生物に対して有効である。本願発明の化合物で治療できる感染症の例には、真菌疾患のカンジダ症、足白癬、および頭部白癬、アスペルギルス症、ムコール菌症、フィオフィホ真菌症、クリプトコッカス症、コクシチオイデス症、および黒色真菌感染症、ならびに真菌様疾患のノカルジア症、および放線菌症が含まれる。
【0070】
一般に、治療可能な感染症は血液、組織、リンパ系、呼吸器系、ならびに消化管主要臓器および臓器系、および皮膚に生じる可能性がある。治療に感受性のある真菌生物には、カンジダ・クルセイ、C. グラブラタ、C. アルビカンスおよびC. トロピカリス、カンジダの病原因子、ならびに紅色白癬菌、毛瘡白癬菌、T. トンスランス、オードアン小胞子菌、犬小胞子菌、T. フロッコスム、足白癬、体部白癬および頭部白癬の病原因子が含まれる。化合物を用いて、ノカルジア・アステロイデスおよびN. ブラシリエンシス、イスラエル放線菌、ケカビ属、アブシディア属、クモノスカビ属、クスダマカビおよび関連性のないケカビ類、アスペルギルス・フミガーツス、A. フラブス、A. ニガー、およびアスペルギルス属の他の種、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、パラコシディオイデス・ブラシリエンシス、コシディオイデス・イミティス、ブラストマイセテス・ダーマティティス、ならびにヒストプラズマ・カプスラツムも治療することができる。さらに、治療可能な疾患には、たとえばカンジダ症、アスペルギルス症、ムコール菌症、分芽菌症、クリプトコッカス症、分芽菌症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症およびパラコクシジオイデス症、ノカルジア症、および放線菌症などの血液、リンパおよび組織の真菌性または真菌様感染症が、それらに限定されずに含まれる。
【0071】
本願発明の化合物にはさらにその他の抗真菌作用物質が含まれてよい。1つ以上の病原性真菌および真菌様生物に対して有効なことが知られているさらなる作用物質の例には、フルシトシン、マイココナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、およびグリセオフルビン、アンホテリシンB、スルファジアジン、ペニシリン、クロルテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、およびその他のスルホンアミドなどの抗生物質、ならびにこれらの作用物質の誘導体、修飾体、および組み合わせが含まれる。これらの作用物質の様々な組み合わせを用いた治療法は、感染症に対して安全で有効な治療法である。本願発明の組成物と、放射線療法、たとえば前記生物、感染細胞、遺伝子療法、または特定のアンチセンス療法に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いた、毒素または薬物と結合させた抗体療法治などを組み合わせた療法も、感染症の抑制または除去を誘発するのに有効である場合もある。効果は、付加的、対数的、または相乗効果的である場合もあり、治療法の組み合わせを用いる方法は、同時的なプロトコル、断続的なプロトコル、または経験的に決定されるプロトコルであってもよい。
【0072】
新生物性障害の治療
別の実施態様では、本願発明は新生物疾患を有する対象または生物学的製剤を治療する方法であって、前記対象または生物学的製剤に、構造A-Xn, を有する化合物を治療上有効な量投与するステップであって、当該構造においてAはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、またはヌクレオシド類似体であって、当該Aは少なくとも1つのアミンを有する、構造である、ステップを含む方法を提供する。Nは1または2のいずれかである。Xは、構造構造-(CR1R2)-S-R3 を有するチオアミン基、または-(CR4R5)-O-R6を有するアミン基である。Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、または置換アリールである。
【0073】
前記新生物障害は、新生物、腫瘍、悪性腫瘍、癌、または比較的自律的な細胞成長を生じる疾患として特徴づけることができる任意の疾患であってよい。前記新生物障害は、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経細胞腫瘍、扁平上皮癌、胚細胞腫瘍、未分化型腫瘍、精上皮種、黒色腫、神経芽細胞腫、混合細胞型腫、転移性腫瘍、病原性感染症またはその他の悪性疾患による腫瘍であってよい。
【0074】
上述の実施態様の通り、前記化合物は組成物として調合することができ、抗癌剤などの追加の治療用作用物質を含有してもよい。そのような治療用作用物質には、たとえば、化学療法剤、アルキル化剤、プリンまたはピリミジン類似体、ビンカもしくはビンカ様アルカロイド、エトポシドもしくはエトポシド様薬、抗生物質、副腎皮質ステロイド、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、白金ベースの細胞毒性薬、ホルモン拮抗剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、またはこれらの作用物質の誘導体、修飾体もしくは組み合わせが含まれる。
【0075】
治療投与
本願発明の化合物は、in vivoにおいて各種の対象に投与するか、またはex vivoにおいて生物学的もしくは食物製品に投与して、たとえば、病原性の汚染物質を除去することができる。治療が可能な対象には、ヒトおよび非ヒト対象の療法が含まれる。好適な対象には、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、メウシ、牧牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、齧歯類、ラクダ、ニワトリ、または野生動物などの哺乳動物がそれらに限定されずに含まれる。たとえば、寄生虫感染症は動物から間接的にヒトにうつることが多いため、動物の治療も想定される。サル(霊長類)などの動物園の飼育動物は、本願発明の組成物で治療可能な寄生虫感染症を得やすい。動物宿主における寄生虫の駆除は、ヒトにおける感染症を除去するまたは防ぐための有効な手段である。さらに、大半の真菌性生物は種や属の境界を越えて感染することができるため、前記動物における真菌性生物の駆除はヒトにおける感染症を除去するまたは防ぐための有効な手段になることもある。ペンギンおよびサルなどの動物園の飼育動物は、典型的にはさまざまな真菌性生物の範囲内で感染し、本願発明の方法の好適な対象となりうる。
【0076】
投与は、成人、青年、小児、新生児、もしくは乳児、または子宮内の対象であってもよい。用量は、対象の体重1kgにつき約1ng乃至約50mgの範囲内である。前記組成物の投与は、必要に応じて、短期間、連続的または散発的であってよい。代替的には、投与は月乃至年単位の長期間であってもよい。本願発明の組成物は、一般に、必要な用量では安全で無毒であるため、問題は生じない。
【0077】
組成物は、前記感染症が治療されるのに最も有用な様式で投与する。投与の有用な方法には、経口、非経口、舌下、直腸、もしくは経腸投与、肺吸収、または局所適用が含まれる。非経口投与は、静脈、皮下、胸腔内、腔内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、腹腔内、もしくは直接注射、または1ヶ所以上の感染部位へのその他の直接投与であってよい。投与の注射形態は、全身効果が最大になるのが好ましい場合がある。注射による長期投与が必要な場合、メディポート、留置カテーテル、または自動ポンプメカニズムを使用することもできる。これらの機器は、心臓、ならびにその他の主要臓器および臓器系の中およびまわりの動脈への直接または直近のアクセスを提供する。たとえば、そのような機器は、血液および組織に寄生する線虫など臓器および臓器系に感染する寄生虫感染症、マラリア、トリパノソーマ症、およびリーシュマニア症を治療するのに有用である。
【0078】
組成物を投与する(たとえば感染部位に)別の有効な方法は、経皮パッチなど経皮的注入、および罹患組織に直接接触させるその他の手段、または切開もしくはその他の天然または人工的な体内への開口部を通した投与(たとえば内部感染への)による場合もある。組成物は、スプレーなど、経鼻経路へ投与することも可能である。呼吸器官、頭部、および脳の領域に局在化した疾患はこのように治療することができる。それは、鼻部領域の動脈が上半身への迅速で効率的なアクセスを提供するためである。スプレーは、肺系および血流への直近のアクセスも提供する。組成物は、大量瞬時注射もしくはスプレーとして投与するか、または2、4、6、もしくは8時間など、毎日(OD)または1日おき(QOD)など、時間的に連続的(間欠的)に、または必要であれば長期間(たとえば、週乃至月単位、感染症が回復し、対象自身のシステム亜g感染を克服することができるだけ長期間)、投与することもできる。
【0079】
通常、経口投与が最も安全で、最も簡便であり、経済的な薬物送達の形態であるため、経口的に活性な組成物が好まれる。組成物は消化管内壁からの吸収が悪いため、経口投与は不利である場合がある。吸収の悪い化合物は、極性が高い傾向がある。したがって、本願明細書に記載の有効な化合物は、その機能的な活性を著しく阻害しないでその極性を減少させるかなくすことによって、経口的にバイオアベイラビリティを有するようにつくってもよい。これは、その極性を中和するか相補的な試薬を調合するか、または前記化合物を中和する化学基で修飾することによって、実現できることが多い。経口的なバイオアベイラビリティは問題でもある。なぜなら、薬物が過剰な消化管のpHおよび消化管の酵素にさらされることがあるからである。これらの問題点は、イオン基を中和するか、イオン相互作用を共有結合するか、ジスルフィド結合またはその他の比較的不安定な結合を安定させるまたは取り除くことによって、非常に低いpH条件に耐え、消化管粘膜の酵素に抵抗性を有しうるように分子構造を修飾することによって、同様に克服することができる。
【0080】
前記組成物を経口投与する場合、液体、スプレー、粉末、ピル、錠剤、またはカプセルの形態にしてもよい。経口投与を容易にするために、本願発明の組成物は、好ましくは着香剤おおよび品質保持期限を延ばすためのその他の作用物質を含むだろう。
【0081】
どの方法による投与でも、血液、血清、または血漿などの体液のサンプルの前記組成物の濃度を測定することによって、正確に定量化することができる。本願発明の活性成分の有効な血清濃度は、約0.01nM乃至約50mMである。直接接触させることによって適用する場合、活性成分の有効濃度は、適用領域と密接に接触する領域における前記組成物の濃度を決定することによって分析することもできる。たとえば、皮膚に局所的に適用する場合、有効濃度は、適用領域下数cm以内の皮膚組織の体液または組織サンプルから決定することもできる。そのような場合、組成物の強度を予め決定し、濃縮溶液として用いてもよい。
【0082】
組成物は経口または経腸製剤か、または消化管系への接触と有効性を最大化するための直腸洗浄によって投与することができる。そのような場合、用量は約1%乃至約20%(vol/vol.)、または約1mM乃至約100mMである。投与は、対象の免疫系が感染症(たとえば寄生虫性もしくは真菌性の)を解決するのに十分なほど症状が改善されるか、または前記寄生虫が死滅するか駆除されるまで続ける。複数および頻回の投与は問題にはならない。なぜなら、本願発明の化合物は安全、無毒、および生理学的に安定なためである。
【0083】
治療のプラスの効果には、寄生虫、寄生虫血、または真菌(もしくは真菌様)生物の量の減少、前記寄生虫または真菌(もしくは真菌様)生物の死滅または不活性化、前記寄生虫の低感染性、真菌もしくは真菌様生物の低感染性もしくは低芽胞形成能力、または前記寄生虫もしくは真菌(もしくは真菌様)生物の体内からの除去が含まれる。好ましくは、前記対象は治療後、少なくとも1/100、より好ましくは1/1000、およびさらにより好ましくは検出できない程度の寄生虫血症または感染症を有する。寄生虫血症または感染症は、前記寄生虫または生物への感染が疑われる対象から得た生物学的サンプルを好適な培養液に入れてそれぞれ寄生虫または生物を成長させ、成長させることができた前記寄生虫またはコロニーを計数することによって決定してもよい。代替的には、生物学的サンプルを感染が疑われる対象の選択された領域から採取し、寄生虫または生物の数は顕微鏡またはその他の好適な機器で直接または間接的に可視化して計数する。蛍光結合抗体を、たとえばELISAまたはその他のマーカーに用いて、生物学的サンプル中の真菌性もしくは関連する抗原、または抗抗原抗体、または寄生虫抗原または抗抗原抗体を検出し、感染度および治療効果を決定することもできる。
【0084】
本願発明の別の実施態様は、上述の化合物を予防的に用いることを目的とする。たとえば、寄生虫、真菌、または真菌様疾患が流行している地域に曝露される対象は、寄生虫、真菌または真菌様感染症を予防するために、組成物で連続的に処置してもよい。遺伝子スクリーニングによって今後感染症を発症するリスクが高いと判断された対象にも、本願発明の化合物を投与することもでき、それは誕生直後の開始および生涯である可能性もある。投与は本願明細書に記載のいずれの手段によってもよく、投与量は治療に要する投与量と比較して減らしてもよい。予防的および治療的使用のいずれも容易に許容することができる。なぜなら、これらの化合物は一般に、有用な投与量においては安全で無毒であるためである。
【0085】
本願発明の別の実施態様は、生物学的製剤(たとえば寄生虫で汚染された疑いのある)の処置の方法を目的とする。処置可能な、または前もって処置が可能な製剤には、全血、分画血、血漿、血清、移植可能な臓器、骨髄を含む生細胞、幹細胞、外科的に得られた1次細胞および確立された細胞株、ならびに生細胞に由来する製剤が、それらに限定されずに含まれる。生細胞に由来する可能性がある製剤には、インスリン、血液凝固因子(たとえば第V、VIII、VIII、IX、X、XI、XII因子)、サイトカイン(たとえばインターフェロンα、β、またはγ、インターロイキンIl-1、Il- 2、Il-3など)補体タンパク質、抗体、免疫系制御因子、組換えタンパク質ならびにその他の高分子製剤などの、血液製剤が含まれる。
【0086】
処置には、生物学的製剤の、本願発明の化合物を含む溶液への接触が関与してよい。製剤は、スプレー、粉末化、点在化、霧状化、加圧状態化、沈殿化、コーティングされてよく、または前記化合物と寄生虫、真菌性物または真菌様生物との接触を促進するようなその他の方法で本願発明の化合物を投与してもよい。本願発明の化合物を前記製剤とインキュベートすることによって、接触を促進させることもできる。インキュベーションは、約0℃乃至約50℃、約4℃乃至約37℃、およびある実施態様では、およそ室温程度(18℃乃至22℃)の範囲内で行ってよい。たとえば、生きている場合もある生物学的製剤を滅菌容器に入れ、有効な濃度の誘導体化合物を含有する溶液に散布するかもしくは浸す、または粉末でスパイする。前記製剤を、望ましい結果を得る(たとえば寄生虫または感染性生物を効果的に活性化する、または破壊する)のに必要な時間この溶液中に維持する。この時間は分から週、約1分乃至1週間、および約1時間乃至1日であってよい。その後、前記製剤を前記溶液から取り出し、必要に応じて洗浄して、望ましいように使用する。本願発明の組成物は一般に安全で無毒であるため、製剤の取り出しは必要ではないかもしれず、洗浄も必要でないかもしれず、前記製剤を前記組成物中で保存または運搬できる場合もある。そのような場合、本願発明の組成物は、保存または運搬中に前記製剤を収容するのに有用なまたは望ましい、さらなる成分を含有してもよい。
【0087】
たとえば、血液または血液製剤などの生物学的製剤は、寄生虫、真菌または真菌様疾患が流行する世界の地域を含む世界中で、大量に必要となる。穀物および野菜(トウモロコシ、小麦、米、大麦、豆、大豆)、パン、果実(ブドウ、柑橘類、バナナ、リンゴ、ナシ)ならびに魚および肉類を含む、食物および食物製品(塩および香辛料、砂糖、糖蜜、サトウモロコシ、マカロニ、乳製品、油)も同様に処理することができる。そのような製品中で抗寄生虫活性または抗真菌活性を示す化合物の有効な量を維持すると、そのような製剤を寄生虫、真菌、または真菌様疾患から防ぐことができる。医療用用途にも必要とされるその他の製剤には、骨髄および移植可能な臓器が含まれる。そのような製剤は、典型的には緊急条件下において局所的に得られる。そのような場合、その製剤を受け取る対象に未検出の感染症を渡してしまう可能性がある。これらの製剤の予防的処理はこのようなリスクを軽減し、本願発明の組成物は広範囲の寄生虫に対して有効であることから、処理に必要なのはこの1つの組成物に接触させるステップだけである。複数の処理は必要ではないか、またはかなり減らすことができるため、前記対象に施される療法の全体的な成功率が高くなる。
【0088】
以下の実施例は本願発明の具体化を期されており、本願発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0089】
例1: コルジセピンのチオアミン・プロドラッグの合成
コルジセピン(1当量)およびチオール1乃至9a
(3乃至4当量)の0.1mlホルムアルデヒド水溶液(37
% w/v, 2.8乃至3.6当量)、ならびに氷酢酸のエタノール溶液を還流下で一晩加熱した。 その生成物を減圧下で濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィにかけて、CH2Cl2/メタノール (8.5: 1.5 v/v)で溶出した。好適な分画を蒸発させたところ、白色粉末状のコルジセピン・プロドラッグ化合物1b乃至9bを得た。
【0090】
【化11】

【0091】
1a エタンチオール、1b 6-N-(エタンチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-104
(129mg, 37%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-D6): δ1.19(t, J=7.5 Hz, 3H), 1.89 (m, 1 H), 1.92 (m, 1H), 2.63 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.50 (dd, J=12 Hz, J=3 Hz, 1H), 3.67(dd, J=12 Hz, J=3Hz, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.56 (bs, 1H), 4.75(s, 1.5H), 5.90(d, J= 6.3 Hz, 1H), 8.26(s , 1H), 8.42 (s , 1H).
FAB-HRMS
calcd for C13H19N5O3S (MH+)
326.1297, found 326.1287。
【0092】
2a 2-メルカプトエタノール、2b 6-N-(2-ヒドロキシエタンチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-105
(135 mg, 38 %)
1H-NMR
(300 MHz, EtOD): δ(1.13s,
3H), 2.06(m, 1H), 2.38(m, 1H), 2.81(t, J= 6Hz, 2H), 3.58(s, 1.83 H), 3.66 (dd,
J=12 Hz, J= 3Hz, 1H), 3.76(t, J=6
Hz, 2H), 3.97(dd, J=12 Hz, J= 3Hz, 1H), 4.55(bs, 1H), 4.69(bs, 1H), 4.86(bs,
1.8H), 5.98(d, J= 3 Hz, 1H), 8.19(s, 1H), 8.60(s, 1H). 13C-NMR (300 MHz, EtOD): δ35.73, 36.00, 63.91, 65.64, 78.14,
84.35, 94.32, 142.87, 155.33, 156.68, 187.82. FAB-HRMS
calcd for C12H17N5O4S (MH+)
364.1054, found, 364.1055。
【0093】
3a チオフェノール、3b 6-N-(フェニルチオール)メチル-コルジセピン、コルジ110 (210 mg, 57.2 %) 1H-NMR (300 MHz, DMSO): δ1.91(m, 1H), 2.26(m, 1H), 3.49(d, J= 6 Hz, 1H),
3.71(d, J=6 Hz, 1H), 4.35(bs, 1H), 4.55(bs, 1H), 5.05(bs, 1.6H?), 5.90(s, 1H),
7.22(m, 1H), 7.30(t, J= 6 Hz, 2H), 7.44(d, J=7.2 Hz, 2H), 8.28(s, 1H), 8.32(s,
1H). FAB-HRMS calcd for C17H19N5O3S
(MH+) 374.1276, found 374.1287。
【0094】
4a p-チオクレソール、4b 6-N-(4-メチルベンジルチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-106
(238.5 mg, 61.5 %)
1H-NMR
(300 MHz, EtOD): δ2.03 (m, 1H),
2.26(s, 3H), 2.38(m, 1H), 3.64(dd, J=12 Hz, J= 3 Hz, 1H), 3.94(dd,
J=12 Hz,J= 3 Hz,1H), 4.54(m, 1H), 4.65(m, 1H), 5.06(bs, 1.7H), 5.96(d,
J=3 Hz 1H), 7.02(d, J= 6Hz, 2H), 7.34(d, J=6 Hz, 2H), 8.26(s, 1H), 8.45(s, 1H).
13C-NMR (300 MHz, EtOD): 21.08, 33.92, 46.90, 63.43, 76.29,
82.25, 93.34, 121.14, 130.27, 133.37, 137.99, 140.62, 152.90, 154.65. FAB-HRMS
calcd for C18H21N5O3S (MH+)
388.1448, found 388.1443。
【0095】
5a 4-メトキシベンゼンチオール、5b 6-N-(4-メトキシベンゾチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-113
(134.1 mg, 47.5 %)
1H-NMP(300MHz,
DMSO): δ1.92(m,
1H), 2.25(m, 1H), 3.49 (m, 1H), 3.68(m, 1H), 3.73(s, 3H), 4.37 (m, 1H), 4.57
(bs, 1H), 4.95(bs, 1.5H), 5.15(bs, 0.78 H), 5.71(d, 0.7H), 5.91 (d, J= 7 Hz,
1H), 6.88(d, J= 7.5 Hz, 2H), 7.40 (d, J= 7.5 Hz, 2H), 8.31(s, 1H), 8.49(s, 1H),
8.65(m, 0.7 H). FAB-HRMS
calcd for C18H22N5O4S (MH+)
404.1403, found 404.1393。
【0096】
6a 2-メルカプト安息香酸、6b 6-N-(1-パラベンゾエートチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-114 (138.1 mg mg, 44.8 %)
1H-NMR
(300 MHz, DMSO): δ1.91(m, 1H),
2.23(m, 1H), 3.54(d, J= 15 Hz, 1H), 3.68 (d, J= 15 Hz, 1H), 4.36 (bs, 1H),
4.56(bs, 1H), 5.08(bs, 2H), 5.71(bs, 0.56 H), 5.91(s, 1H), 7.28(t, J= 7.5 Hz,
1H), 7.51(t, J= 7.5 Hz, 1H),
7.78(d, J= 7.5 Hz, 1H), 7.84, (d, J=7.5 Hz, 1H), 8.36(s, 1H), 8.45(s, 1H),
8.87(bs, 0.7H), 13.25(bs, 0.85 H). FAB-HRMS calcd for C18H20N5O5S
(MH+) 418.1195, found 418.1185。
【0097】
7a 4-ニトロベンゼンチオール、7b 6-N-(4-ニトロベンジルチオ)メチル-コルジセピン、コルジ-115
(171.6 mg, 51.3 %)
1HNMR(300
MHz, DMSO): δ1.92(m, 1H), 2.23(m, 1H), 3.53(m,
1H), 3.68(m, 1H), 4.35(s, 1H), 4.56(s, 1H), 5.12(bs, 1H), 5.24(bs, 1.6H),
5.90(s, 1H), 6.18(s, 1H), 7.73(d, J=7.5 Hz, 2H), 8.13 (d, J=8Hz, 2H), 8.37(s,
1H), 8.45(s, 1H), 8.94(bs, 0.5H). FAB-HRMS calcd for C17H19N6O3S
(MH+) 419.1134, found 419.1138。
【0098】
8a 4-アセトアミドチオフェノール、8b 6-N-(4-N-アセチルベンジルチオ)メチル-コルジセピン、コルジ116 (145.1 mg, 49.6 %)
1HNMR(300
MHz, DMSO): δ1.92(m, 1H), 2.02(s, 3H), 2.25(m,
1H), 3.53 (d, J=9Hz, 1H), 3.67(m, 1H), 4.36 (bs, 1H), 4.57(bs, 1H), 4.98(bs,
1H), 5.13(bs, 0.8H), 5.70(d, J=2Hz, 0.6H), 5.90(s, 1H), 7.38(d, J=6 Hz, 2H),
7.51(d, J=6 Hz, 2H), 8.31(d, J=1Hz, 1H), 8.41(bs, 1H), 8.68(bs, 0.9H), 9.98(s,
1H). FAB-HRMS
calcd for C19H23N6O4S (MH+)
431.1485, found 431.1502。
【0099】
例2: チオアミン・プロドラッグの高安定性
チオアミン・プロドラッグの半減期を調べるために、以下のコルジセピン・プロドラッグにHPLC安定性分析を行った。以下の各化合物の、5% DMSOを含有する30mMリン酸バッファ(pH 7.3)溶液(0.63mM)を調製し、37℃でインキュベートした。コルジセピン・プロドラッグの半分が加水分解され、親ヌクレオシド類似体コルジセピンが形成される時間(t )を、以下の表1に記載する。
【0100】
【表1】



【0101】
例3: チオアミン・プロドラッグの生物学的活性
コルジセピンのチオアミン・プロドラッグのin vitroにおける細胞毒性を、細胞の生存能力の標準的MTTアッセイを用いて、親薬物コルジセピンと比較した(Hansen et al. (1989)
J. Immunol. Meth. 119:203-10)。対数期で成長する白血病細胞株(MOLT, HL-69、およびCEM/Cl)を最終濃度1x105
細胞/mlで播種し、コルジセピン・プロドラッグの連続希釈液に曝露した。実験のサブセット(「+」と記載)において、プロドラッグの添加前に30分間、1μMのADA阻害物質2’-デオキシコホルマイシンで、予めインキュベートした。細胞の生存能力は、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジプレニルテトラゾリウム色素を添加して、37℃で5日間インキュベートした後に決定した。IC50は、適切な対象と比較して、細胞生存率が50%低下した薬物濃度と定義した。以下の表2に示されるとおり、ADA阻害物質の存在下および欠如下の両方において、コルジセピン・プロドラッグ3b、4b、5bおよび8bはコルジセピンよりも強力な細胞毒性作用物質だった。さらに、化合物3bはADA阻害物質の欠如下においては有意に弱まっておらず、生物学的活性を保持するためのADAからの保護は必要ないということが示唆されてている。
【0102】
【表2】



【0103】
本願明細書全体に引用されているすべての参考文献、係属中の特許出願明細書、および発行済みの特許の内容は、引用により本願明細書に明白に援用される。
【0104】
等価物
当業者であれば、ごく普通の実験を用いるのみで、ここに説明した本願発明の特定の実施態様の等価物を数多く認識し、または確認できることであろう。このような等価物は、添付の請求の範囲の包含するところである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造
A-Xn
であって、
当該構造において、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造において、Aは少なくとも1つのアミンであって、前記アミンが少なくとも1つのXで誘導体化されるアミンを含み、
当該構造において、nは1または2のいずれかであって、
当該構造において、各Xは独立に-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を有する化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物においてAはヌクレオシド類似体を含む、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物においてAはコルジセピンを含む、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物において、Aはアデノシン、シトシン、フルオロアラビノフルオルシトシン、ガンシクロビル、トリメトプリム、ペンシクロビル、バラシクロビル、ビダラビン、アラビノフラノシルアデニン(Ara-A)、アラビニシチジン、アシクロビル、アラビノフラノシルシトシン(シタラビン、Ara-C)、アラビノフラノシル-5-フルオロシトシン、シチジン、2’-デオキシチジン、ファムシクロビル、フルシトシン、5-フルオロシトシン、5’-フルオロ-1’,2’-ジオキサランシトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ-1’,2’-ジオキサランシトシン(B-D-FDOC)、5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシシチジン(D-D-FddC)、5-フルオロ2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシトシン
(B-D-Fd4C)、および5-フルオロ-3’デオキシ-3’チアシチジン(B-D-FTC)からなるグループから選択される、化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物においてAはヌクレオチド、1リン酸ヌクレオチド、2リン酸ヌクレオチド、3リン酸ヌクレオチド、およびそれらの類似体からなるグループから選択される、化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物において前記アミンが1級または2級アミンである、化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、当該化合物において前記アミンが芳香族アミンである、化合物。
【請求項8】
以下の構造であって
【化1】

当該構造において、nは1または2であって、
当該構造において、各Xは独立に、水素、-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、少なくとも1つのXは前記チオアミノ基またはアミノ基であって、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を有する化合物。
【請求項9】
請求項1または8に記載の化合物であって、当該化合物において前記化合物を対象に投与する場合、Xが加水分解される能力を有する、化合物。
【請求項10】
請求項1乃至8に記載の化合物であって、さらに標的作用物質を含む、化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、当該化合物において前記標的作用物質が、抗体、抗体断片、ホルモン、アプタマー、およびペプチドからなるグループから選択される、化合物。
【請求項12】
請求項1または8に記載の化合物であって、当該化合物が前記化合物の溶解度を調節する溶解度作用物質を含む、化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物であって、当該化合物において、前記溶解度作用物質が、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸エステル、ホスホルアミドエステル、アミノ酸エステル、t-BOCアミノ酸、脂質、ステロイド、アミン含有炭素鎖、アミノ酸、およびペプチドからなるグループから選択される、化合物。
【請求項14】
請求項1または8に記載の化合物であって、当該化合物において、nは2であって、各Xがチオアミン基を含む化合物。
【請求項15】
請求項1または8に記載の化合物であって、当該化合物において、nは2であって、1つのXがアミン基を含み、もう一方のXがチオアミン基を含む、化合物。
【請求項16】
請求項1乃至8に記載の化合物、および担体を含む組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の薬学的組成物であって、さらに第2の治療用作用物質を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
請求項8に記載の化合物であって、当該化合物が以下の構造
【化2】

を含む、化合物。
【請求項19】
請求項8に記載の化合物であって、当該化合物が以下の構造、
【化3】



を含む、化合物。
【請求項20】
請求項8に記載の化合物であって、当該化合物が以下の構造、
【化7】



を含む、化合物。
【請求項21】
少なくとも1つの遊離アミンを含む化合物を保護する方法であって、当該方法が少なくとも1つの置換基を有するアミンを誘導体化するステップを含み、当該置換基が-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、置換基である、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、当該方法が前記化合物を不活性化から保護する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、当該方法がデアミナーゼによって前記化合物を不活性化から保護する、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、当該方法において、前記アミンが1級または2級アミンである、化合物。
【請求項25】
請求項21に記載の方法であって、当該方法において前記アミンが芳香族アミンである、化合物。
【請求項26】
新生物障害を罹患する対象を治療する方法であって、当該方法が、前記対象に、以下の構造であって、
A-Xn
当該構造において、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造において、Aは少なくとも1つのアミンであって、前記アミンが少なくとも1つのXで誘導体化されるアミンを含み、
当該構造において、nは1または2であって、
当該構造において、各Xは独立に-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を含む、化合物を治療上有効な量投与するステップを含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、当該方法において、前記新生物障害が、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫、神経細胞腫、扁平上皮細胞癌、生殖細胞腫、未分化型細胞腫、精上皮腫、黒色腫、神経芽細胞腫、混合細胞型腫瘍、転移性新生組織形成、末端デオキシヌクレオチド転移酵素陽性白血病、または末端デオキシヌクレオチド転移酵素陽性リンパ腫、ならびに病原性感染症および悪性腫瘍による新生組織形成から選択される、方法。
【請求項28】
寄生虫に感染した対象または生物学的製剤を処理する方法であって、当該方法が、前記対象または前記生物学的製剤に、以下の構造であって、
A-Xn
当該構造において、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造において、Aは少なくとも1つのアミンであって、前記アミンが少なくとも1つのXで誘導体化されるアミンを含み、
当該構造において、nは1または2のいずれかであって、
当該構造において、各Xは独立に-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を含む化合物を治療上有効な量投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、当該方法において前記寄生虫が、トリパナソーマ寄生虫、ブルーストリパナソーマ、クルーズトリパナソーマ、プラスモジウム寄生虫、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、および四日熱マラリア原虫からなるグループから選択される、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、当該方法において前記対象が、治療後に検出できない寄生虫血を有する、方法。
【請求項31】
真菌または真菌様生物に感染した対象または生物学的製剤を治療する方法であって、当該方法が、前記対象または前記生物学的製剤に、以下の構造であって、
A-Xn
当該構造において、Aはヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、およびヌクレオシド類似体からなるグループから選択され、当該構造において、Aは少なくとも1つのアミンであって、前記アミンが少なくとも1つのXで誘導体化されるアミンを含み、
当該構造において、nは1または2のいずれかであって、
当該構造において、各Xは独立に-(CR4R5)-O-R6という構造を有するアミン基、-(CR1R2)-S-R3という構造を有するチオアミン基、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択され、当該構造において、各Rは同一または異なっていて、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、
構造を含む化合物を治療上有効な量投与するステップを含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において前記対象が、治療後に少なくとも1/100に減少した生物量を有する、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において前記対象が、治療後に検出できない真菌症を有する、方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において、前記真菌生物が真核生物である、方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において前記生物が、カンジダ・クルセイ、C. グラブラタ、C. アルビカンスおよびC. トロピカリス、C. パラプシロシス、紅色白癬菌、毛瘡白癬菌、T. トンスランス、オードアン小胞子菌、犬小胞子菌、T. フロッコスム、ノカルジア・アステロイデスおよびN. ブラシリエンシス、イスラエル放線菌、ケカビ属、アブシディア属、クモノスカビ属、クスダマカビ、接合菌類、アスペルギルス・フミガーツス、A. フラブス、A. ニガー、アスペルギルス属、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、パラコシディオイデス・ブラシリエンシス、コシディオイデス・イミティス、ブラストマイセテス・ダーマティティス、ならびにヒストプラズマ・カプスラツムからなるグループから選択される、方法。
【請求項36】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において、前記真菌様生物が放線菌属またはノルカジア属である、方法。
【請求項37】
請求項26、28または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該化合物において、前記化合物を対象に投与する場合、Xが加水分解される能力を有する、化合物。
【請求項38】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、前記化合物がさらに標的作用物質を含む、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、当該方法において前記標的作用物質が、抗体、抗体断片、ホルモン、アプタマー、およびペプチドからなるグループから選択される、方法。
【請求項40】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、前記化合物が前記化合物の溶解度を調節するための溶解度作用物質を含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の化合物であって、当該化合物において、前記溶解度作用物質が、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸エステル、ホスホルアミドエステル、アミノ酸エステル、t-BOCアミノ酸、脂質、ステロイド、アミン含有炭素鎖、アミノ酸、およびペプチドからなるグループから選択される、化合物。
【請求項42】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、Aがヌクレオシド類似体を含む、方法。
【請求項43】
請求項26、28、または31に記載の方法であって、当該方法においてAはコルジセピンを含む、化合物。
【請求項44】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記化合物が非経口、舌下、皮下、筋内、くも膜下腔内、腹腔内、胸腔内、経腸、肺吸収、または局所適用によって投与される、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、当該方法において前記非経口投与は静脈内注射による、方法。
【請求項46】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、前記化合物が毎日、複数日間にわたって投与される、方法。
【請求項47】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記化合物の治療上有効な量は、対象の体重1kgにつき約1ng乃至約50mgである、方法。
【請求項48】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、処理によって、前記対象の少なくとも1つの測定可能な液体における化合物濃度が約0.1nM乃至約50μMになる、方法。
【請求項49】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において、前記アミンが1級または2級アミンである、方法。
【請求項50】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記アミンが芳香族アミンである、化合物。
【請求項51】
請求項28または31に記載の方法であって、当該方法において前記生物学的製剤が生細胞を含む、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、当該方法において前記生細胞が、全血、分画された血液、血漿、セントラ、骨髄、および移植可能な臓器からなるグループから選択される、方法。
【請求項53】
請求項28または31に記載の方法であって、当該方法において前記生物学的製剤が食物製品である、方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法であって、当該方法において前記食物製品が米、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、パン、油、砂糖、香辛料、乳製品、マカロニ、野菜、および果実からなるグループから選択される、方法。
【請求項55】
請求項28または31に記載の方法であって、当該方法において前記生物学的製剤が生細胞に由来する、方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、当該方法において生細胞に由来する前記生物学的製剤が、サイトカイン、抗体、免疫系制御因子、組換えタンパク質および血液製剤からなるグループから選択される、方法。
【請求項57】
請求項28または31に記載の方法であって、当該方法において、前記生物学的製剤が前記化合物を含む溶液中でインキュベートされる、方法。
【請求項58】
請求項28または31に記載の方法であって、当該方法において、前記生物学的製剤が前記化合物を含む粉末とともに粉末化される、方法。
【請求項59】
請求項26、28、または31のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記対象が哺乳類である、方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法であって、当該方法において前記哺乳類がヒト、ヤギ、ラクダ、イヌ、ネコ、牧牛、サル、ウマ、ブタ、および齧歯類からなるグループから選択される、方法。
【請求項61】
請求項26、28、または31のいずれかに記載の方法であって、さらに前記化合物と第2の治療用作用物質を同時投与するステップを含む、方法。
【請求項62】
遊離アミンを保護する方法であって、アミン基、チオアミン基、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択される少なくとも1つの置換基で前記アミンを誘導体化するステップを含む、方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法であって、当該方法において、前記チオアミン基が、-(CR1R2)-S-R3の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含む、方法。
【請求項64】
請求項62に記載の方法であって、当該方法において、前記アミン基が、-(CR4R5)-O-R6の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含む、方法。
【請求項65】
ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体を保護する方法であって、当該方法において、前記ヌクレオシド、ヌクレオチド、または類似体が、少なくとも1つのアミンを含み、アミン基、チオアミン基、またはその組み合わせからなるグループから選択される1つの置換基で前記アミンを誘導体化するステップを含む、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、当該方法において、前記チオアミン基が、-(CR1R2)-S-R3の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含む、方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法であって、当該方法において、前記アミン基が、-(CR4R5)-O-R6の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、構造を含む、方法。
【請求項68】
ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体であって、前記ヌクレオチド、ヌクレオシドまたは類似体が少なくとも1つのアミンを含み、前記アミンがアミノ基、チオアミノ基、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択される少なくとも1つの置換基で誘導体化される、ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその類似体。
【請求項69】
請求項68に記載のヌクレオチド、ヌクレオシド、または類似体であって、当該方法において、前記チオアミン基が、-(CR1R2)-S-R3の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、ヌクレオチド、ヌクレオシド、または類似体。
【請求項70】
請求項68に記載のヌクレオチド、ヌクレオシド、または類似体であって、当該方法において、前記アミン基が、-(CR4R5)-O-R6の構造であって、当該構造において、各Rは同一または異なっており、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、および置換アリールからなるグループから独立に選択される、ヌクレオチド、ヌクレオシド、または類似体。

【公表番号】特表2006−510633(P2006−510633A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557605(P2004−557605)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038638
【国際公開番号】WO2004/050678
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505206716)ベイラー ユニバーシティー (1)
【氏名又は名称原語表記】Baylor University
【住所又は居所原語表記】Box 97438, Waco, TX 76798−7348(US).
【Fターム(参考)】