説明

代謝型グルタミン酸受容体の正のアロステリック調節因子としてのオキサゾール誘導体

本発明は、新規な式(I)の化合物を提供する。ここでP、A、W、B、Q、R1及びR2は、式(I)に記載の通りである。本発明の化合物は、代謝型受容体−サブタイプ5(「mGluR5」)の正のアロステリック調節因子であり、中枢神経障害、例えば認識低下、統合失調症における陽性症状及び陰性症状、並びにグルタミン酸代謝型受容体のmGluR5サブタイプが関与する他の障害の、処置又は予防のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【化1】

本発明は、代謝型受容体サブタイプ5(mGluR5)の正のアロステリック調節因子としての式Iの新規な化合物を提供し、これは中枢神経系障害、例えば認識低下、統合失調症における陽性症状及び陰性症状、並びにグルタミン酸代謝型受容体のmGluR5サブタイプが関与する他の障害の、治療又は予防のために有用である。本発明は、mGluR5が関与する疾患の予防又は処置における、医薬化合物及び組成物も対象とする。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸(glutamate)は、哺乳類の中枢神経系(CNS)における主要なアミノ酸伝達物質であり、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、受容体−チャネル(iGluR、すなわちNMDA、AMPA及びカイニン酸)及び代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の活性化を通じて、興奮性シナプス神経伝達を媒介する。iGluRは、速い興奮性伝達に関与しており(Nakanishi S et al., (1998) Brain Res. Rev., 26:230- 235)、一方mGluRは、シナプス効力の微調整に寄与する、より調節的な役割を有する。グルタミン酸は、多数の生理的機能を発揮し、その機能としては、例えば、学習及び記憶の根拠をなすと考えられるプロセスの長期増強(LTP)、さらに心臓血管調節、知覚認識、及びシナプス形成が挙げられる。さらに、特にグルタミン酸神経伝達の不均等が生じる場合に、グルタミン酸は異なる神経学的及び精神医学的疾患の病理生理学において重要な役割を担っている。
【0003】
mGluRは、7回膜貫通型Gタンパク共役型受容体である。ファミリーを構成する8種のサブタイプは、配列相同性及び薬理学的特性に従い、3つの群(I、II及びIII群)に種別される(Schoepp DD et al. (1999) Neuropharmacology, 38:1431-1476)。mGluRの活性化は、多数の細胞内応答及び異なる伝達カスケードの活性化をもたらす。mGluRのサブタイプの中でも、mGluR5サブタイプは、神経精神性疾患における神経伝達の欠乏又は過剰の釣り合いをとるために非常に重要である。mGluR5はI群に属し、その活性化は、Gタンパク質介在メカニズムを経る細胞応答を開始させる。mGluR5はホスホリパーゼCと結合し、ホスホイノシチド加水分解及び細胞内カルシウム動員を刺激する。
【0004】
mGluR5タンパク質は、後シナプス肥厚近傍のシナプス後部分に局在し(Lujan R et al. (1996) Eur. J. Neurosci., 8:1488- 500; Lujan R et al. (1997) J. Chem. Neuroanat, 13:219-41)、シナプス前部分においてほとんど検出されない(Romano C et al. (1995) J. Comp. Neurol., 355:455-69)ことが実証されている。従ってmGluR5受容体は、神経伝達物質へのシナプス後応答を改変でき、又は神経伝達物質の放出を調整できる。
【0005】
CNSにおいて、mGluR5受容体は、主に皮質、海馬、尾状核被殻及び側坐核全体にわたって豊富に存在する。この脳領域は、感情、動機付けプロセスに関与することがわかっており、認識機能における多くの局面において、mGluR5調節因子は治療的に重要であることが予想される。
【0006】
多数の潜在的な臨床的適応が、サブタイプ選択的なmGluR調節因子の開発を標的とすることを示唆している。これらには、例えば癲癇、神経障害性及び炎症性の疼痛、多数の精神学的障害(例えば、不安症、うつ病、統合失調症及び関連する精神病性障害)、運動障害(例えば、パーキンソン病)、神経防護作用(脳卒中及び頭痛)、片頭痛及び中毒/薬物依存(レビューとして、Bordi F and Ugolini A. (1999) Prog. NeurobioL, 59:55-79; Brauner-Osborae H et al. (2000) J. Med. Chem., 43:2609-45;; Spooren W et al. (2003) Behav. Pharmacol., 14:257-77; Marino MJ and Conn PJ. (2006) Curr. Opin. Pharmacol., 6: 98-102)を参照されたい)がある。
【0007】
NMDA受容体機能不全に反映されるグルタミン酸作動系の機能不全を統合失調症の推定原因とする仮説について、この数年で支持が増加している(Carlsson A et al. (2001) Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol., 41:237-260 for a review; Goff DC and Coyle JT (2001) Am. J. Psychiatry, 158:1367-1377)。グルタミン酸神経伝達の機能不全を示唆する証拠は、グルタミン酸受容体のNMDAサブタイプのアンタゴニストが、プレパルス抑制機能低下及び皮質下ドパミンの放出増強がある、統合失調症(例えば前頭葉機能低下)の症状並びに生理的症状発現を完全に再生できることの発見により、支援されている。
さらに、mGluR5対立遺伝子頻度が、ある同齢集団における統合失調症に関連があり(Devon RS et al. (2001) MoI. Psychiatry., 6:311-4)、mGluR5メッセージ増加が、統合失調症の脳の皮質錐体細胞層で発見されている(Ohnuma T et al. (1998) Brain Res. MoI. Brain Res., 56:207-17)ことが、臨床研究で示されている。
【0008】
神経学的及び精神医学的障害へのmGluR5の関与は、群IのmGluRのインビボ(in vivo)活性化が、主にmGluR5受容体の活性化を通して、脳の多様な領域でNMDA受容体機能増強を誘導することを示す証拠により支援される(Awad H. et al. (2000) J. Neurosci., 20:7871-7879; Mannaioni G. et al. (2001) Neuroscience., 21 :5925-34; Pisani A et al. (2001) Neuroscience, 106:579-87; Benquet P. et al (2002) J. Neurosci., 22:9679-86)。
【0009】
記憶プロセスにおけるグルタミン酸の役割も、過去10年の間にしっかりと確立されてきた(Martin SJ. et al. (2000) Annu. Rev. Neurosci., 23:649-711; Baudry M. and Lynch G. (2001) NeurobioL Learn. Mem., 76:284-297)。mGluR5変異マウスの使用は、学習及び記憶におけるmGluR5の役割を強固に支援する。当該マウスは空間学習及び記憶の2つの課題における選択的な欠陥と、低減したCAl LTPを示す(Lu et al. (1997) J. Neurosci., 17:5196-5205; Jia Z. et al. (2001) Physiol. Behav., 73:793-802; Schulz B et al. (2001) Neuropharmacology, 41:1-7; Rodrigues et al. (2002) J. Neurosci., 22:5219-5229)。
【0010】
mGluR5が、NMDA受容体が介在する流れ(currents)の増強に関与するという発見は、当該受容体のアゴニストが認知増強剤として、さらにNMDA受容体機能を選択的に増強することにより作用する新規な抗精神病薬剤として有益である可能性を高める。
【0011】
NMDAの活性化は、統合失調症に関連する神経回路における機能低下NMDARの増強が可能である。mGluR5活性化は、認識低下及び統合失調症の陽性症状及び陰性症状の処置のための、新規で有効な手段であり得ることを、最近のインビボデータは積極的に提示する(Kirrney GG et al. (2003) J. Pharmacol. Exp. Ther., 306(l):l 16-123; Lindsley et al. (2006) Curr. Top. Med. Chem 6:771-785)。従って、mGluR5受容体は、精神医学的及び神経学的障害の処置のための、潜在的な薬物標的と考えられ、本明細書において処置可能な疾患として、例えば、不安障害、注意障害、摂食障害、気分障害、精神病性障害、認知障害、人格障害及び物質誘導性障害がある。
【0012】
最近のmGluR5機能の調節因子の大半は、グルタミン酸、キスカル酸(quisqualate)又はフェニルグリシンの構造類似体として開発されており(Schoepp DD et al. (1999) Neuropharmacology, 38:1431-1476)、グルタミン酸結合部位において作用する、インビボ活性のある及び選択的なmGluR5調節因子の開発は、非常に難しい。選択的な調節因子の開発の新たな道は、高度に保存されたオルト立体的な(orthosteric)結合部位とは異なる部位への結合により受容体を調整しながら、アロステリック機序で作用する分子を同定することである。
【0013】
mGluR5の正のアロステリック調節因子は、この魅力的な代替案を提供する、新規な薬理物質として近年出現したものである。この種の分子は、mGluR1、mGluR2、mGluR4、mGluR5、mGluR7及びmGluR8が発見された(Knoflach F. et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 98:13402-13407; Johnson K et al. (2002) Neuropharmacology, 43:291; O'Brien J. A. et al. (2003) MoI. Pharmacol., 64:731-40 ; Johnson M.P. et al. (2003) J. Med. Chem., 46:3189-92; Marino M.J. et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 100:13668-73; Mitsukawa K. et al. (2005) Proc Natl Acad Sci U S A 102(51):18712-7; Wilson J. et al. (2005) Neuropharmacology 49:278; for a review see Mutel V. (2002) Expert Opin. Ther. Patents, 12:1-8; Kew J.N. (2004) Pharmacol. Ther., 104(3):233-44; Johnson M.P. et al. (2004) Biochem. Soc. Trans., 32:881-7; recently Ritzen A., Mathiesen, J.M., and Thomsen C. (2005) Basic Clin. Pharmacol. Toxicol. 97:202-13)。DFB及び関連する分子は、インビトロのmGluR5の正のアロステリック調節因子であるが、有効性が低いと記載された(O'Brien JA et al. (2003) MoI. Pharmacol., 64:731-40)。ベンズアミド誘導体は特許化されており(国際公開第2004/087048号、O'Brien JA (2004) J. Pharmacol. Exp. Ther., 309:568-77)、近年アミノピラゾール誘導体は、mGluR5の正のアロステリック調節因子として開示された(Lindsley et al. (2004) J. Med. Chem., 47:5825-8; 国際公開第2005/087048号)。アミノピラゾール誘導体の中でもCDPPBは、ラット行動モデルにおける抗精神病様効果のインビボ活性を示した(Kinney GG et al. (2005) J. Pharmacol. Exp. Ther., 313:199-206)。近年、DFBの脳室内投薬は、訓練後24時間で試験した場合、空間的な交代の記憶を顕著に促進する結果を示しており、これは、内因性mGluR5活性の増強が、記憶固定のための重要な期間にラットにおける長期の記憶保持に対し、迅速に正の影響を及ぼすことを示している(Balschun D., Zuschratter W. and Wetzel W. (2006) Neuroscience 142:691-702)。この報告はmGluR5のアロステリック的な増強が抗精神病薬又は認知増強剤の開発のための新規な手段を提供するという仮説と一致している。最近、mGluR5受容体の正のアロステリック調節因子の、新規な2組が開示された(国際公開第05044797A1号、国際公開第06048771A1号)。
【0014】
本発明の化合物は、従来技術の化合物よりも有利な特性を実証する。以下の本発明の化合物の1又は複数の特性:標的における効力、標的に対する選択性、溶解性、生物学的利用可能性、脳透過性、及び精神医学及び神経学的障害の行動モデルにおける活性、において改善が観察された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ヒトを含む哺乳類の疾患状態を処置又は予防する方法であって、処置又は予防は、mGluR5アロステリック調節因子の神経調節効果により、影響を受け又は促進される方法に関する。
【0016】
本発明によれば、一般式I
【化2】

の新規な化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物が提供され、
ここで、
Wは、(C5〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C3)アルキル又は(C3〜C7)ヘテロシクロアルケニル環を表し、
1及びR2は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、−(C1〜C6)アルコキシを表し、又はR1及びR2は、共に、(C3〜C7)シクロアルキル環、カルボニル結合C=Oもしくは炭素二重結合を形成でき、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化3】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)−又は−S−であり、
Aは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
Bは、単結合、−C(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルケニル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルキニル−、−C(=O)−O−、−C(=O)NR8−(C0〜C2)アルキル、−C(=NR8)NR9−S(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2NR8−(C0〜C2)アルキル−、C(=NR8)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=NOR8)−(C0〜C2)アルキル−又は−C(=NOR8)NR9−(C0〜C2)アルキル−を表し、
8及びR9は、独立に、上記に記載の通りであり、
任意のNは、N酸化物でもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、可能な立体異性体の両方を含み、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーも同様に含む。
【0018】
誤解を避けるため、本明細書での「C1〜C6」は、1、2、3、4、5又は6の炭素原子を有する炭素基を意味する。「C0〜C6」は、0、1、2、3、4、5又は6の炭素原子を有する炭素基を意味する。本明細書において、「C」は炭素原子を意味する。
【0019】
上記定義において、「C1〜C6アルキル」なる語は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル等の基がある。
「C2〜C6アルケニル」なる語は、例えばエテニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、3−ブテニル、4−ペンテニル等の基がある。
「C2〜C6アルキニル」なる語は、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル等の基がある。
「ハロゲン」なる語は、例えばフッ素、塩素、臭素及びヨウ素の原子がある。
【0020】
「シクロアルキル」は、ヘテロ原子を含まない、任意に置換された炭素環であり、例えば単環、二環、及び三環の飽和炭素環、並びに縮合環系がある。縮合環系は、部分的又は全体的に不飽和の環、例えば縮合環系(例えばベンゾ縮合炭素環)を形成するベンゼン環が含まれ得る。シクロアルキルには、例えばスピロ縮合環系等の縮合環系も含まれる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル(indanyl)、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等がある。
【0021】
「ヘテロシクロアルキル」は、O、N、Sから独立に選択される少なくとも1のヘテロ原子を含む、任意に置換された炭素環である。例えば単環、二環、及び三環の飽和炭素環、並びに縮合環系がある。縮合環系は、部分的又は全体的に不飽和の環、例えば縮合環系(例えばベンゾ縮合炭素環)を形成するベンゼン環が含まれ得る。ヘテロシクロアルキルの例としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロチオフェン、インドリン、イソキノリン等がある。
【0022】
「アリール」には、(C6〜C10)アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等がある。
「アリールアルキル」には、(C6〜C10)アリール−(C1〜C3)アルキル基、例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等がある。
【0023】
「ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を含む、5〜10員複素環基があり、かかるヘテロ原子は、例えばフリル(フラン環)、ベンゾフラニル(ベンゾフラン環)、チエニル(チオフェン環)、ベンゾチオフェニル(ベンゾチオフェン環)、ピロリル(ピロール環)、イミダゾリル(イミダゾール環)、ピラゾリル(ピラゾール環)、チアゾリル(チアゾール環)、イソチアゾリル(イソチアゾール環)、トリアゾリル(トリアゾール環)、テトラゾリル(テトラゾール環)、ピリジル(ピリジン環)、ピラジニル(ピラジン環)、ピリミジニル(ピリミジン環)、ピリダジニル(ピリダジニン環)、インドリル(インドール環)、イソインドリル(イソインドール環)、ベンゾイミダゾリル(ベンゾイミダゾール環)、プリニル基(プリン環)、キノリル(キノリン環)、フタラジニル(フラタジン環)、ナフチリジニル(ナフチリジン環)、キノクサリニル(キノクサリン環)、シノニル(シノリン環)、プテリジニル(プテリジン環)、オキサゾリル(オキサゾール環)、イソオキサゾリル(イソオキサゾール環)、ベンゾキサゾリル(ベンゾキサゾール環)、ベンゾチアゾリル(ベンゾチアゾリール環)、フラザニル(フラザン環)等を形成するための酸素、窒素又は硫黄から選択される、1〜4のヘテロ原子である。
【0024】
「ヘテロアリールアルキル」には、ヘテロアリール−(C1〜C3−アルキル)基があり、ここで、ヘテロアリールの例は、上記定義で説明されたものと同じであり、例えば2−フリルメチル基、3−フリルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、1−イミダゾリルメチル基、2−イミダゾリルメチル基、2−チアゾリルメチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、1−キノリルメチル基等がある。
【0025】
「溶媒和物」は、溶質(例えば式Iの化合物)及び溶媒により形成された、多様な化学量の複合体である。溶媒は、水等の医薬的に許容可能な溶媒であり、好ましくは溶質の生物活性を阻害しないものがよい。
【0026】
「任意に」は、その後に記載された(1又は複数の)事象が発生しても発生しなくてもよいことを意味し、発生する(1又は複数の)事象、及び発生しない事象の両方を含む。
【0027】
「置換された」なる語は、指名された1又は複数の置換基での置換で、断りの無い限り多重置換が許容される。
【0028】
本発明の好ましい化合物は、以下に表される、式I−A
【化4】

の化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物であり、
ここで、
1及びR2は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、−(C1〜C6)アルコキシを表し、又はR1及びR2は、共に、(C3〜C7)シクロアルキル環、カルボニル結合C=Oもしくは炭素二重結合を形成でき、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化5】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)又は−S−であり、
Aは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
Bは、単結合、−C(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルケニル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルキニル−、−C(=O)−O−、−C(=O)NR8−(C0〜C2)アルキル、−C(=NR8)NR9−S(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2NR8−(C0〜C2)アルキル−、C(=NR8)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=NOR8)−(C0〜C2)アルキル−又は−C(=NOR8)NR9−(C0〜C2)アルキル−を表し、
8及びR9は、独立に、上記に記載の通りであり、
Jは、単結合、−C(R11)(R12)、−O−、−N(R11)−又は−S−を表し、
11及びR12は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C6)アルキル)、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
任意のNは、N酸化物でもよい。
【0029】
本発明は、可能な立体異性体の両方を含み、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーも同様に含む。
【0030】
本発明のさらに好ましい化合物は、式I−B
【化6】

の化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物であり、
ここで、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化7】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)又は−S−であり、
Jは、単結合、−C(R11)(R12)、−O−、−N(R11)−又は−S−を表し、
11及びR12は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C6)アルキル)、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
任意のNは、N酸化物でもよい。
【0031】
本発明は、可能な立体異性体の両方を含み、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーも同様に含む。
【0032】
特に好ましい化合物は、
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(S)−(3−(4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(5−メチル−イソオキサゾル−4−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(4−フルオロ−フェニル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン、
である。
【0033】
本発明は、式Iの化合物の医薬的に許容可能な酸付加塩又は医薬的に許容可能な担体もしくは賦形剤に関する。
本発明は、ヒトを含む哺乳類の疾患状態を処置又は予防する方法であって、処置又は予防は、mGluR5アロステリック調節因子の神経調節効果により、影響を受け又は促進されるものに関する。
【0034】
本発明は、耐性又は依存性、不安症、うつ病、精神病等の精神医学疾患、炎症性又は神経障害性疼痛、記憶障害、アルツハイマー病、虚血、薬物乱用及び嗜癖、からなる群から選択される、末梢神経及び中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法に関する。
【0035】
本発明は、単位用量当たり約0.01〜1000mgの活性成分を提供する医薬組成物に関する。組成物は任意の適切な経路で投与されてよく、例えばカプセル又は錠剤の形態で経口的に、注入用溶液の形態で非経口的に、軟膏(unguent)又はローション剤の形態で局所的に、点眼薬の形態で経眼的に、坐薬の形態で経腸的に投与される。
【0036】
本発明の医薬製剤は、当業界における従来の手法で調製してもよく、使用される医薬組成物の性質は、所望の投与経路に依存するであろう。一日当たりの総用量は通常約0.05〜2000mgの範囲である。
【0037】
合成方法
一般式Iの化合物は、以下の合成スキームにより部分的に説明される、有機合成の当業者に既知の方法で調製してもよい。以下に記載するスキームの全てにおいて、化学の一般原則に従い必要な場合は、感応基(sensitive group)又は反応基のための保護基が使用されることは、十分に理解される。保護基は有機合成の標準的方法に従って扱う(Green T. W. and Wuts P.G.M. (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley et Sons)。当該基は、当業者が容易に理解できる方法を用いて、化合物合成の都合のよい段階で除去する。プロセス並びに反応条件及びその実行順序の選択は、式Iの化合物の調製と一致させてよい。
【0038】
式Iの化合物は、エナンチオマー混合物として表してよく、これが個々の純R−又はS−エナンチオマーに分割されていてもよい。例えば、式Iの化合物の特定のエナンチオマーを所望する場合、不斉合成により調製しても、キラル補助基との誘導体化により、結果物のジアステレオマー混合物を分離し、補助基は所望の純エナンチオマーを提供するために切断して調製してもよい。あるいは、分子が塩基性官能基、例えばアミノ、又は酸性官能基、例えばカルボキシルを含む場合、この分解は、多様な溶媒から、光学活性な酸と式Iの化合物との塩の部分的な結晶化により、又は文献により既知の他の方法、例えばキラルカラムクロマトグラフィにより、都合よく実施してもよい。最終生成物、中間体又は出発物質の分解は、Eliel E.L., Wilen S. H. and Mander L.N. (1984) Stereochemistry of Organic Compounds, Wiley- Interscience に記載されるような、当業界で既知の任意の適切な方法で実施してもよい。
式Iの複素環化合物の多くは、当業界で周知の合成経路を用いて調製できる(Katrizky A. R. and. Rees CW. (1984) Comprehensive Heterocyclic Chemistry, Pergamon Press)。
反応性生物は、例えば抽出、クロマトグラフィ、結晶化、蒸留等の標準的技術を使用して単離及び精製できる。
【0039】
式I−Aの化合物は、スキーム1及び2において説明される合成シーケンスに従って調製してよい。
【0040】
ここで、
P及びQは、各々独立に、上記のアリール又はヘテロアリールであり、
Bは、−C(=O)−C0−C2−アルキル−、−S(=O)2−C0−C2−アルキル−を表す。
Jは、CH2であり、並びにA、R1及びR2はHである。
【化8】

前駆体のN保護化一級アミンは、N保護化ピペリジン−3−カルボン酸から出発することで、当業者に容易に理解できる方法を使用して調製できる。
上述の前駆体α−ブロモ−ケトン誘導体は、当業界で周知の合成経路に従って調製する。
スキーム1において、PGはアミノ保護基であり、例えばベンジルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジル等がある。
すなわち、一級アミン(例えば、(S)−3−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル)を、α−ブロモ−ケトン誘導体と、中性又は塩基性条下(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピル−エチルアミン等)、適切な溶媒中(例えば、N−メチル−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン等)又は溶媒不存在下で反応させる。ただし単に一級アミン及びα−ブロモ−ケトン誘導体を混合するだけである。典型的に反応は、反応温度を室温から100℃以上150℃以下の温度範囲まで、徐々に加温させて、約1時間以上48時間以下の範囲の時間で進行させる。反応は従来の加熱(オイルバスを使用)又はマイクロ波加熱を用いて行ってよい。反応は開放容器中又は密閉管中で行ってよい。
スキーム1に示すように、保護基PGは標準的方法を用いて除去する。
【0041】
スキーム1において、Bは上記の通り定義され、Xはハロゲン又はOHである。例えば、Xがハロゲンである場合、ピペリジン誘導体をアリール又はヘテロアリールアシルの塩化物と、当業者に容易に理解できる方法を用いて反応させる。反応は、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンにより、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン)中で進行させてよい。反応は、典型的には0℃から室温まで徐々に加温する反応温度で、約4から12時間の範囲の時間で進行させる。Xが−OHである場合、カップリング反応は、有機合成の当業者に既知のカップリング剤(例えばEDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、DCC(N',N'−ジシクロヘキシル−カルボジイミド))により、又はポリマー支援カップリング剤(例えばポリマー支援カルボジイミド(PS-DCC、Argonaut Technologies))により、適切な塩基(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピル−エチルアミン)の存在下、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン)中で促進させてもよい。典型的には、共触媒、例えばHOBT(1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール)、HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)等を、反応混合物中に存在させてもよい。反応は、典型的には室温で約2時間から最大24時間の範囲の時間で進行させる。
【0042】
【化9】

本誘導体を得るためのその他の合成経路として、スキーム2に記載の経路を使用し得る。すなわち、一級アミド様の(S)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(これは当業者に容易に理解できる方法を使用して、簡単に調製可能であり、ピペリジン−3−カルボン酸から出発する)を、アリール又はヘテロアリールアシルの塩化物と、当業者に容易に理解できる方法を使用して反応させることができる。反応は、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンにより、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン)中で促進させてもよい。反応は、典型的には0℃から室温まで徐々に加温する反応温度で、約4から12時間の範囲の時間で進行させる。Xが−OHである場合、カップリング反応は、有機合成の当業者に既知のカップリング剤(例えばEDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、DCC(N',N'−ジシクロヘキシル−カルボジイミド))により、又はポリマー支援カップリング剤(例えばポリマー支援カルボジイミド(PS-DCC、Argonaut Technologies))により、適切な塩基(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピル−エチルアミン)の存在下、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン)中で促進させてもよい。典型的には、共触媒、例えばHOBT(1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール)、HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)等を、反応混合物中に存在させてもよい。反応は、典型的には室温で約2時間から最大24時間の範囲の時間で進行させる。
触媒ステップは、その後上記及びスキーム1の記載にしたがって実施できる。
【0043】
本来塩基性である式Iの化合物は、種々の無機酸及び有機酸との、広範に及ぶ、異なる医薬的に許容可能な塩を形成できる。当該塩は、塩基化合物を実質的に等量の選択された無機酸又は有機酸と、適切な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中で処理することにより、容易に調製される(Stahl P.H., Wermuth C. G., Handbook of Pharmaceuticals Salts, Properties, Selection and Use, Wiley, 2002を参照されたい)。
【0044】
以下の非制限的な実施例は、本発明を説明することを意図している。例示された化合物として提供された物理的データは、当該化合物の指定された構造と一致する。
【実施例】
【0045】
特に断りが無い場合、全ての出発物質は供給業者から得て、さらなる精製を行わずに用いた。
具体的に、以下の略記を、実施例及び明細書全体において使用する。
【表1】

【0046】
ブラインについての全ての文献は、NaClの飽和水溶液のことを言う。特に指示がない場合、全ての温度は℃(摂氏)で表現される。特に言及が無い場合、全ての反応は、室温、不活性雰囲気下で実施する。
【0047】
1H NMRのスペクトルは、ブルカー(Brucker)500MHz 又はブルカー300MHzで記録した。ケミカルシフトは、百万分率(ppm、δ単位)で表現される。カップリング定数は、ヘルツ(Hz)の単位である。分裂パターンは明らかな多重を記載し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(コードラプレット)、m(マルチプレット)がある。
【0048】
LCMSは以下の条件下で記録した。
方法A)
Waters Alliance 2795 HT Micromass ZQ。
カラム:Waters XTerra MS18(50×4.6mm、2.5μm)、流速:1mL/分。
移動相:A相=水/CH3CN 95/5+0.05%TFA、B相=水/CH3CN 5/95+0.05%TFA。0〜1分(A:95%、B:5%)、1〜4分(A:0%、B:100%)、4〜6分(A:0%、B:100%)、6〜6.1分(A:95%、B:5%)
T=35℃、UV検出器:Waters Photodiode array 996、200〜400nm。
方法B)
Waters Alliance 2795 HT Micromass ZQ。
カラム:Waters Symmetry C18(75×4.6mm、3.5μm)、流速:1.5mL/分。
移動相:A相=水/CH3CN 95/5+0.05%TFA、B相=水/CH3CN 5/95+0.05%TFA。0〜0.5分(A:95%、B:5%)、0.5〜7分(A:0%、B:100%)、7〜8分(A:0%、B:100%)、8〜8.1分(A:95%、B:5%)
T=35℃、UV検出器:Waters Photodiode array 996、200〜400nm。
方法C)
Waters Alliance 2795 HT Micromass ZQ。
カラム:Waters Atlantis C18(75×4.6mm、3.0μm)、流速:1.5mL/分。
移動相:A相=水/CH3CN 95/5+0.05%TFA、B相=水/CH3CN 5/95+0.05%TFA。0〜0.5分(A:95%、B:5%)、5.5分(A:0%、B:100%)、5.5〜8分(A:0%、B:100%)、8.1分(A:95%、B:5%)
T=35℃、UV検出器:Waters Photodiode array 996、200〜400nm。
【0049】
方法D)
UPLCシステム Waters Acquity, Micromass ZQ2000 Single quadrupole(Waters)。
カラム:1.7μm Acquity UPLC-BEH 充填の2.1*50mmスチール、流速:0.50mL/分。
移動相:A相=水/アセトニトリル95/5+0.05%TFA、B相=水/アセトニトリル 5/95+0.05%TFA。0〜0.1分(A:95%、B:5%)、1.6分(A:0%、B:100%)、1.6〜1.9分(A:0%、B:100%)、2.4分(A:95%、B:5%)、UV検出波長254nm。
方法E)
ポンプ1525u (Waters)、2777 Sample Manager, Micromass ZQ2000 Single quadrupole (Waters)、PDA検出器:2996 (Waters)、カラム:Acquity UPLC-BEH C18 50x2.1mmx1.7um。
流速:0.25mL/分、分割比 MS:waste/1:4。
移動相:A相=水/アセトニトリル95/5+0.1%TFA、B相=水/アセトニトリル 5/95+0.1%TFA。0〜1.0分(A:98%、B:2%)、1.0〜5.0分(A:0%、B:100%)、5.0〜9.0分(A:0%、B:100%)、9.1〜12分(A:98%、B:2%)
UV検出波長254nm、注入量5μL。
方法F)
Waters Alliance 2795 HT Micromass ZQ。
カラム:Waters Symmetry C18(75×4.6mm、3.5μm)、流速:1.5mL/分。
移動相:A相=水/CH3CN 95/5+0.05%TFA、B相=水/CH3CN 5/95+0.05%TFA。0〜0.5分(A:95%、B:5%)、0.5〜7分(A:0%、B:100%)、7〜8分(A:0%、B:100%)、8〜8.1分(A:95%、B:5%)
T=35℃、UV検出器:Waters Photodiode array 996、200〜400nm。
【0050】
方法G)
Waters Alliance 2795 HT Micromass ZQ。
カラム:Waters Symmetry C18(75×4.6mm、3.5μm)、流速:1.5mL/分。
移動相:A相=水/CH3CN 95/5+0.05%TFA、B相=水/CH3CN 5/95+0.05%TFA。0〜0.1分(A:95%、B:5%)、6分(A:0%、B:100%)、6〜8分(A:0%、B:100%)、8.1分(A:95%、B:5%)
T=35℃、UV検出器:Waters Photodiode array 996、200〜400nm。
方法H)
HPLCシステム:Waters Acquity、MS検出器:Waters ZQ2000。
カラム:Acquity UPLC-BEH C18、50x2.lmmxl.7um、流速0.6mL/分。
移動相:A相=水/アセトニトリル95/5+0.1%TFA、B相=水/アセトニトリル 5/95+0.1%TFA。0〜0.025分(A:98%、B:2%)、3.30分(A:0%、B:100%)、3.3〜4.0分(A:0%、B:100%)、4.1分(A:98%、B:2%)
UV検出波長254nm、注入量1μL
方法I)
HPLCシステム:Waters Acquity、MS検出器:Waters ZQ2000。
カラム:Acquity UPLC-BEH C18、50x2.lmmxl.7um、流速0.4mL/分。
移動相:A相=水/アセトニトリル95/5+0.1%ギ酸、B相=水/アセトニトリル 5/95+0.1%ギ酸。0〜0.5分(A:98%、B:2%)、1.5分(A:90%、B:10%)、5.0分(A:70%、B:30%)、7.0分(A:0%、B:100%)、7.0〜8.0分(A:0%、B:100%)、8.1分(A:98%、B:2%)、9.5分(A:98%、B:2%)
UV検出波長254nm、注入量1μL
全ての質量スペクトルは、電気スプレーイオン化法(ESI)で取られた。
【0051】
反応の大部分を、0.25mm Macherey-Nagelシリカゲルプレート(60F-2254)上での薄層クロマトグラフィで監視し、UV光で可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィをシリカゲル上で実施した(220〜440メッシュ、Fluka)。融点決定は、Buchi B-540装置で実施した。
【0052】
実施例1
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化10】

【0053】
1(A):(S)−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
50mLアセトニトリル中のカルボニル−イミダゾールの溶液(2.97 g, 18.3 mmol)を、アセトニトリル(70mL)中の(S)−N−Boc−ニペコチン酸(4 g, 17.4 mmol)に滴下して添加した。室温で10分間攪拌後、NH4OH(aq.) (100 mL)を添加し、攪拌を1時間続けた。溶媒を除去し、粗残留物を酢酸エチルに溶解させ、クエン酸(aq.)、水及びブラインで連続的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、低圧下で蒸発させ、(S)−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得て、さらなる精製を行わず次の段階に使用した。
収率は定量的、LCMS(RT)は3.31分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は229.0である。
【0054】
1(B):(S)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド塩酸塩
ジクロロメタン(20 mL)中の(S)−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2 g, 8.77 mmol)溶液、9 mLの4N HCl(ジオキサン溶液)を、0℃で添加し、反応混合物を室温に戻し、20時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、表題の化合物を白色固体として得て、さらなる精製を行わず次の段階に使用した。
収率は定量的、LCMS(RT)は0.76分(方法C)、m/zで与えられるMS(ES+)は128.9である。
【0055】
1(C):(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド
乾燥ジクロロメタン(10 mL)中の(S)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド塩酸塩(8.77 mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(1.5 mL, 20 mmol)及び4−フルオロベンゾイルクロライド(1.1 mL, 9 mmol)を0℃で滴下して添加した。反応混合物を室温に戻し、窒素雰囲気下で24時間攪拌した。その後溶液を0.2N NaOH (10 mL)で処理し、相分離させた。有機相を水(5 mL)、0.2M HCl及びブライン(5 mL)で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲル、溶出グラジエントは、石油エーテル/酢酸エチル 100:0〜石油エーテル/酢酸エチル 0:100)、220mgの表題化合物を得た。
収率は10%、LCMS(RT)は2.89分(方法B)、m/zで与えられるMS(ES+)は251.09である。
1(D):4−フルオロ−1H−ピロール−2カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
4−フルオロ−1H−ピロール−2カルボン酸(500 mg, 3.8 mmol)、O,N−ジメチル−ヒドロキシルアミン塩酸塩(451 mg, 4.65 mmol)、HOBT(891 mg, 5.812 mmol)、EDC (1.110 g, 5.8 mmol)及びTEA(2.174 ml, 15.5 mmol)のDCM(30 mL)中での混合物を、室温で20時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残存物を5%NaHCO3 (aq)と酢酸エチルの間に分配した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。組成生物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:1)、555mgの白色固体を得た。
収率は83%、LC−MS(RT)は1.02分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は173.0である。
【0056】
1(E):4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
NaH (鉱物油中60%、56 mg, 1.40 mmol)を、攪拌している4−フルオロ−1H−ピロール−2カルボン酸メトキシ−メチル−アミド(201 mg, 1.17 mmol)溶液に、窒素雰囲気下、室温で添加した。10分後、トシルクロライド(311 mg, 1.64 mmol)を添加し、混合物を1時間攪拌した。NH4Cl飽和(aq)を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:3)、300mgの白色固体を得た。
収率は79%、LC−MS(RT)は1.43分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は326.9である。
【0057】
1(F):1−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−エタノン
臭化メチルマグネシウム溶液(3M THF溶液、0.443 ml, 1.33 mmol)を、乾燥THF(2 ml)中の攪拌した4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド溶液(288 mg, 0.88 mmol)に、12℃、窒素下で添加した。混合物を30分間室温で攪拌し、その後、別量(portion)の臭化メチルマグネシウム(3M THF溶液、0.443 ml, 1.33 mmol)を添加した。30分後、0.5M HClを滴下して添加し、混合物を2回ジエチルエーテルで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:5)、210mgの白色固体を得た。
収率は85%、LC−MS(RT)は1.48分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は282.0である。
【0058】
1(G):2−ブロモ−1−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−エタノン
1−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−エタノン(50 mg, 0.178 mmol)、ピリジニウムトリブロミド(63 mg, 0.196 mmol)、HBr(48%, 0.076 ml)及び氷酢酸(3.5 ml)の混合物を、室温で20時間攪拌した。揮発性物質を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:9)、30mgの粘性油を得た。
収率は47%、LCMS(RT)は5.9分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は359.9、361.9である。
【0059】
1(H):(4−フルオロ−フェニル)−((S)−3−{4−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−ピペリジン−1−イル)−メタノン
2−ブロモ−1−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−エタノン(120 mg, 0.333 mmol)、及び実施例1(C)に記載の通りに調製した(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(92 mg, 0.367 mmol)をジクロロエタン(2 ml)中に溶解させ、溶媒を蒸発させ、残存物を125℃で6時間加熱した。室温に冷却後、5mLのアセトニトリルを添加し、混合物を2等量のトリエチルアミン及び0.5等量の4−フルオロ−ベンゾイルクロリドで処理した。30分後、溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:2)、43mgの表題化合物を得た。
収率は25%、LC−MS(RT)は1.73分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は511.8である。
【0060】
1(I):(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
TBAF (1M THF, 0.276 ml, 0.276 mmol)の溶液を、THF (4 ml)中の攪拌した(4−フルオロ−フェニル)−((S)−3−{4−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−ピペリジン−1−イル)−メタノン(47 mg, 0.092 mmol)溶液に添加した。混合物を還流状態で5分間過熱し、溶媒を蒸発させ、残存物をジエチルエーテル及び水に分配した。有機相を分離し、1N HCl及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶出:酢酸エチル/石油エーテル 1:1)、21mgの表題化合物を得た。
収率は64%、融点=136℃、LCMS(RT)は2.22分(方法E)、m/zで与えられるMS(ES+)は358.1である。
1H-NMR (DMSO−d6 353K), δ (ppm): 10.68 (s br, 1H); 8.04 (s, 1H); 7.46 (dd, 2H); 7.24 (dd, 2H); 6.62 (m, 1H); 6.17 (m, 1H); 4.21 (m, 1H); 3.80 (m, 1H); 3.36 (dd, 1H); 3.21 (ddd, 1H); 3.11 (ddd, 1H); 2.19 (m, 1H); 1.96-1.76 (m, 2H); 1.61 (m, 1H)。
【0061】
実施例2
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化11】

【0062】
2(A):(S)−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
ベンジルクロロフォルメート(0.210 ml, 1.498 mmol)を、実施例1(B)に記載の通りに調製した(S)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド塩酸塩(234 mg, 1.427 mmol)、及びトリエチルアミン(0.5 ml, 3.567 mmol)の、ジオキサン(5 ml)及び水(1 ml)混合中の攪拌した溶液に、室温で、滴下して添加した。30分後、溶媒を蒸発させ、残存物をジクロロメタンに溶解させ、1M K2CO3 (aq)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液:ジクロロメタン/メタノール 20:1.5)、330mgの白色個体を得た。
収率は88%、LCMS(RT)は3.4分(方法A)、m/zで与えられるMS(ES+)は263.1である。
【0063】
2(B):(S)−3−{4−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−オキサゾル−2−イル}−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
実施例1(G)に記載の通りに調製した、2−ブロモ−1−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−エタノン(409 mg, 1.136 mmol)、及び実施例2(A)に記載の通りに調製した、(S)−3−カルバミル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(330 mg, 1.259 mmol)を、ジクロロメタン(10 ml)に溶解させた。溶媒を蒸発させ、残存物を125℃に6時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、アセトニトリルに溶解させ、その後0.244mLのトリエチルアミン及び0.073mLのベンジルクロロオルメートを添加した。15分間攪拌後、溶媒を蒸発させ、残存物をジクロロメタン及び1M K2CO3 (aq)の間に分配した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 1:3)、230mgの表題化合物を得た。
収率は39%、LCMS(RT)は4.9分(方法A)、m/zで与えられるMS(ES+)は524.0である。
【0064】
2(C):(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル2−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
TBAF (1M THF溶液、1.317 ml, 1.317 mmol)を、THF(15 ml)中の、(S)−3−{4−[4−フルオロ−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロル−2−イル]−オキサゾル−2−イル}−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(230 mg, 0.439 mmol)溶液に添加した。混合物を還流で2分間加熱し、溶媒を蒸発させ、残存物をジエチルエーテル及び1N HClの間に分配した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 2:3)、136mgの表題化合物を得た。
収率は84%、LC−MS(RT)は1.63分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は369.9である。
【0065】
2(D):(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル2−イル]−ピペリジン
Pd/C (10%, 14 mg)を、(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル2−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(136 mg, 0.368 mmol)、アンモニウムホルメート(114 mg, 1.84 mmol)の、MeOH (14 ml)中、攪拌した溶液に添加した。混合物を還流で5分間加熱し、室温まで冷却し、触媒を濾別した。溶液を濃縮し、残存物をDCMに溶解させ、ブライン/1N K2CO3=1/1溶液で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ濃縮し、78mgのベージュ固体を得た。
収率は90%、LC−MS(RT)は0.91分(方法D)、m/zで与えられるMS(ES+)は236.0である。
【0066】
2(E):(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
ジクロロメタン(5 ml)中の、6−フルオロ−ニコチン酸(45 mg, 0.323 mmol)、EDC(92 mg, 4.484 mmol)、HOAT (66 mg, 0.484 mmol)及びトリエチルアミン(0.136 ml, 0.968 mmol)混合物を、室温で30分間攪拌した。その後ジクロロメタン(5 ml)中の(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン(76 mg, 0.323 mmol)溶液を添加した。22時間後、溶媒を蒸発させ、残存物を酢酸エチル及び5% NaHCO3 (aq)の間に分配した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 2:1)、54mgのピンク固体を得た。
収率は47%、融点=123℃、[αD]=+104.0°(MeOH, c=1.000)、LCMS(RT)は1.98分(方法E)、m/zで与えられるMS(ES+)は359.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6, 353K), δ (ppm): 10.68 (s br, 1H); 8.30 (m, 1H); 8.04 (s, 1H); 8.01 (ddd, 1H); 7.21 (ddd, 1H); 6.62 (m, 1H); 6.16 (m, 1H); 4.20 (m, 1H); 3.78 (m, 1H); 3.42 (dd, 1H); 3.28 (ddd, 1H); 3.15 (ddd, 1H); 2.19 (m, 1H); 2.00-1.77 (m, 2H); 1.65 (m, 1H)。
【0067】
実施例3
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化12】

実施例1(C)で記載の通りに調製した、(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(1.8 g, 7.19 mmol)及び4−フルオロフェナシルブロミド(625 mg, 2.88 mmol)の、乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(10 mL)溶液を、100℃に14時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを添加し、有機層を、水(2回)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物である油を得た。これをフラッシュクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 7:3)。350mgの(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノンを、黄色固体として得た。
収率は33%、[αD]=+92.64°(c=0.9, CH3OH)、LCMS(RT)は3.26分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は369.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6 353K), δ (ppm): 8.34 (s, 1H) 7.74-7.81 (m, 2H) 7.41-7.49 (m, 2H) 7.17-7.26 (m, 4H) 4.19 (dd, 1H) 3.77 (ddd, 1H) 3.45 (dd, 1H) 3.27 (ddd, 1H) 3.08-3.20 (m, 1H) 2.16-2.27 (m, 1H) 1.77-2.01 (m, 2H) 1.54-1.68 (m, 1H)。
【0068】
実施例4
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化13】

【0069】
4(A):(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(5 mL)中の、4−フルオロフェナンシルブロミド(217 mg, 1.0 mmol)、及び実施例2(A)で記載の通りに調製した(S)−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(500 mg, 1.9 mmol)を、150℃で3時間、窒素雰囲気下で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルを添加し、有機層を水(2回)、0.2M NaOH (aq.)、0.2M HCl (aq.)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧下で蒸発させ、粗生成物である油を得た。これをフラッシュクロマトグラフィを通過させることにより精製した(溶離液グラジエント:ヘキサン/酢酸エチル 8:2)。132mgの(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステルを、淡黄色の常時凝固している油として得た。
収率は35%、LCMS(RT)は6.7分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は381.0である。
【0070】
4(B):(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン
Pd/C (10%, 20 mg)を、(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(105 mg, 0.276 mmol)及びEtOH (25 ml)中の1N HCl(276 uL)溶液に添加した。混合物を、25 psi、室温で2時間、水素化し、触媒を濾別し、濾液を減圧下で蒸発させた。粗残存物をMeOHに溶解させ、SCXカートリッジに流した。EtOHの溶出後、MeOHで溶出し、表題化合物をMeOH中の2% NH3で溶出することにより純粋状態で回収された。
(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン(55 mg)を、淡色の油として得た。
収率は81%、LCMS(RT)は2.9分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は247.0である。
【0071】
4(C):(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
ジクロロメタン(10 ml)中の、6−フルオロ−ニコチン酸(37 mg, 0.26 mmol)、EDC (58 mg, 0.3 mmol)、HOAT (41 mg, 0.3 mmol)混合物を、10分間室温で攪拌した。その後、ジクロロメタン(5 ml)中の(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン(55 mg, 0.22 mmol)を添加した。室温で2時間攪拌後、溶媒を蒸発させ、残存物を酢酸エチルと0.2M 0.2M NaOH (aq)に分配した。有機相を分離し、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液グラジエント:酢酸エチル/ヘキサン 1:9から酢酸エチル/ヘキサン 6:4)、67 mgのピンク色固体を得た。
収率は83%、[αD]=+105°(c=0.5, MeOH)、LCMS(RT)は2.91分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6, 353K), δ (ppm): 8.38 (s, 1H) 8.27-8.31 (m, 1H) 8.01 (td, 1H) 7.74-7.81 (m, 2H) 7.18-7.27 (m, 3H) 4.18 (br. s., 1H) 3.76 (br. s., 1H) 3.49 (dd, 1H) 3.33 (ddd, 1H) 3.14-3.24 (m, 1H) 2.16-2.26 (m, 1H) 1.77-2.02 (m, 2H) 1.57-1.72 (m, 1H)。
【0072】
実施例5
(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化14】

(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノンを実施例4(C)の記載と同じ以下の手順で調製し、実施例4(B)記載で調製した(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン、及び2−フルオロ−ピリジン−4−酢酸を酸として選択した。
収率は100%(青色ゴム)、LCMS(RT)は2.93分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6, 353K), δ (ppm): 8.38 (s, 1H) 8.29-8.35 (m, 1H) 7.73-7.84 (m, 2H) 7.32 (ddd, 1H) 7.18-7.28 (m, 2H) 7.12-7.17 (m, 1H) 4.13 (br. s., 1H) 3.69 (br. s., 1H) 3.47 (dd, 1H) 3.26-3.38 (m, 1H) 3.20 (ddd, 1H) 2.14-2.25 (m, 1H) 1.76-2.01 (m, 2H) 1.52-1.73 (m, 1H)。
【0073】
実施例6
(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン
【化15】

ジオキサン(5mL)中の、3−フルオロ−イソニコチン酸(34.4 mg, 0.24 mmol)、EDC(69 mg, 0.36 mmol)、HOBT(37 mg, 0.24 mmol)及びトリエチレンアミン(84 uL, 0.6 mmol)の混合物を、室温で30分間撹拌した。その後、ジオキサン(5mL)中の、実施例4(B)の記載に従って調製した、(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジンを添加した。室温で6時間撹拌後、溶媒を蒸発させ、残存物を酢酸エチルとクエン酸(aq.)に分配させた。有機相を分離し、1N NaOHで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲル、溶離液グラジエント:酢酸エチル/石油エーテル 3:7から酢酸エチル/石油エーテル 1:1)、58 mgの淡黄色ゴム状固体を得た。
収率は83%、[αD]=+93.6°(c=1.05, MeOH)、LCMS(RT)は2.73分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.2(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6,353K), δ (ppm): 8.64 (s, 1H) 8.51 (dd, 1H) 8.38 (br. s., 1H) 7.78 (br. s., 2H) 7.43 (t, 1H) 7.15-7.29 (m, 2H) 4.51 (br. s., 1H) 4.04 (br. s., 1H) 3.30-3.55 (m, 2H) 3.11 - 3.28 (m, 1H) 2.15 - 2.28 (m, 1H) 1.78-2.02 (m, 2H) 1.47-1.70 (m, 1H)。
【0074】
実施例7
(S)−(3−(4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(5−メチル−イソオキサゾル−4−イル)−メタノン
【化16】

ジオキサン(5mL)中の、5−メチルイソオキサゾル−4−カルボン酸(32 mg, 0.25 mmol)、EDC(48 mg, 0.25 mmol)、HOAT(34 mg, 0.25 mmol)の混合物を、室温で30分間撹拌した。その後、ジオキサン(5mL)中の、(S)−(3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン(41 mg, 0.167 mmol)を添加した。室温で一昼夜撹拌後、溶媒を蒸発させ、残存物を酢酸エチルと5%クエン酸(aq.)に分配させた。有機相を分離し、1N NaOHで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲルカートリッジ、溶離液グラジエント:エーテルから酢酸エチル/石油エーテル 1:1)、31 mgのゴム状白色固体を得た。
収率は52%、LCMS(RT)は2.91分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は356.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6, 353K), δ (ppm): 8.57 (s, 1H) 8.38 (s, 1H) 7.73-7.81 (m, 2H) 7.18-7.26 (m, 2H) 4.20 (dd, 1H) 3.78 (dt, 1H) 3.49 (dd, 1H) 3.32 (ddd, 1H) 3.10-3.21 (m, 1H) 2.45 (s, 3H) 2.14-2.28 (m, 1H) 1.90-2.02 (m, 1H) 1.77-1.90 (m, 1H) 1.53- 1.72 (m, 1H)。
【0075】
実施例8
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【化17】

乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(2.5 mL)中の、実施例1(C)に記載の通りに調製した(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(0.2 g, 0.8 mmol)、及び2−(ブロモアセチル)−ピリジン臭化水素(90 mg, 0.32 mmol)溶液を、100℃で5時間加熱した。反応混合物を室温に戻し、酢酸エチルを添加し、有機層を、水(2回)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物の油を得て、それをフラッシュクロマトグラフィで精製した。3つの連続したカラムクロマトグラフィ精製(シリカゲル、溶離液:DCM/MeOH/NH4OH 98:2:0.2)の後、18mgの(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノンを茶色油として得た。
収率は16%、LCMS(RT)は1.99分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は352.2(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6 353K), δ (ppm): 8.57 (ddd, 1H) 8.43 (s, 1H) 7.77-7.88 (m, 2H) 7.43-7.50 (m, 2H) 7.28-7.33 (m, 1H) 7.19-7.27 (m, 2H) 4.21 (dd, 1H) 3.78 (dd, 1H) 3.46 (dd, 1H) 3.13-3.35 (m, 2H) 2.15-2.28 (m, 1H) 1.78-2.01 (m, 2H) 1.52-1.70 (m, 1H)。
【0076】
実施例9
(S)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【化18】

【0077】
9(A):(S)−1−(3,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド
乾燥ジクロロメタン(50 mL)中の、実施例1(B)に記載の通りに調製した(S)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド塩化水素(2.3 g, 14 mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(4.9 mL, 35 mmol)及び3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(1.93 mL, 15.4 mmol)を、0℃で滴下して添加した。反応混合物を室温に戻し、窒素雰囲気下で14時間攪拌した。溶液を5%のクエン酸(aq.)、1N NaOH、その後ブラインで洗浄し、有機相をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製した。3つの連続したカラムクロマトグラフィ精製(シリカゲル、溶離液:DCM/MeOH/NH4OH 98:2:0.2)の後、18mgの(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノンを茶色油として得た。DCM/hexane 1:1からの倍散(btrituration)により精製し、2.5gの(S)−1−(3,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミドを得た。
収率は67%、LCMS(RT)は3.1分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は269.0である。
【0078】
9(B):(S)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(3 mL)中の、(S)−1−(3,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(0.214 g, 0.8 mmol)及び2−(ブロモアセチル)−ピリジン臭化水素(90 mg, 0.32 mmol)を、100℃で7時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを添加し、有機層を、水(2回)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物の油を得て、それをフラッシュクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、溶離液グラジエント:DCM/MeOH/NH4OH 99:1 :0.1からDCM/MeOH/NH4OH 98:2:0.2)。この精製により回収された固体を再びフラッシュクロマトグラフィで精製し(シリカゲル、溶離液:DCM/MeOH/NH4OH 99:1 :0.1)、8.5mgの(S)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノンを、黄色ガム状固体として得た。
収率は7%、LCMS(RT)は4.44分(方法I)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.4(MH+)である。
1H-NMR (CDCl3, 328K), δ (ppm): 8.59 (ddd, 1H) 8.17 (s, 1H) 7.85 (ddd, 1H) 7.73 (ddd, 1H) 7.29-7.34 (m, 1H) 7.16-7.25 (m, 3H) 4.29-4.39 (m, 1H) 3.93-4.03 (m, 1H) 3.53 (dd, 1H) 3.27 (ddd, 1H) 3.07-3.18 (m, 1H) 1.83-2.06 (m, 2H) 1.68 (br. s., 1H)。
【0079】
実施例10
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【化19】

【0080】
10(A):5−フルオロ−ピリジン−2−カルボニトリル
乾燥DMF(50 ml)中の、2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジン(5.0 g, 28.4 mmol)、CuCN (2.01 g, 22.5 mmol)及びNaCN (1.14 g, 23.2 mmol)溶液を9時間還流した。反応混合物を室温に冷却させ、2% K2CO3 (aq.)溶液を添加した。酢酸エチルを添加し、相を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物の固体を得て、これをヘキサンから倍散した。
収率は50%、LCMS(RT)は2.5分(方法G)、m/zで与えられるMS(ES+)は122.9(MH+)である。
【0081】
10(B):1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)エタノン
−20℃で冷却された、乾燥THF(50 ml)中の5−フルオロ−ピリジン−2−カルボニトリル(2.6 g, 21.31 mmol)溶液に、窒素雰囲気下で、臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中の3M溶液, 7.1 ml, 21.31 mmol)を滴下して添加した。−20℃で一昼夜攪拌後、反応混合物を徐々に室温に戻し、その後、NH4Cl (aq.)の飽和溶液をpH2に調整するよう添加した。酢酸エチルを添加し、相を分離させた。溶媒の蒸発により、粗生成物の固体を得て、それをシリカゲルのカートリッジを通して精製した(溶離液:DCM/石油エーテル 1:1)。この精製から回収された固体を、フラッシュクロマトグラフィで再び精製し(シリカゲル、溶離液:ジエチルエーテル/石油エーテル 1:9)、1gの1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)エタノンを得た。
収率は34%、LCMS(RT)は3.4分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は140.0(MH+)である。
【0082】
10(C):2−ブロモ−1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)エタノン臭化水素
0℃に冷却した、酢酸(0.7 ml)中の33%HBr中の1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)エタノン(200 mg, 1.439 mmol)溶液に対して、酢酸(14 ml)中のピリジニウムトリブロミド(665 mg, 1.87 mmol)を添加した。室温で3.5時間攪拌後、50mLのジエチルエーテルを添加し、反応混合物を冷却装置中−4℃で一昼夜維持した。凝結した淡黄色固体を濾過した(218 mg)。黄色固体が純2−ブロモ−1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エタノン臭化水素であることが、LC-MS分析により示された。濾液を減圧下で蒸発させ、粗生成物の固体をその後石油エーテルから倍酸し、別の280 mgの純2−ブロモ−1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)エタノン臭化水素を得た。
収率は定量的であり、LCMS(RT)は4.6分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は218.0及び220.0(MH+)である。
【0083】
10(D):(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(5 mL)中の、実施例1(C)に記載の通りに調製した(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(0.35 g, 1.4 mmol)、及び2−ブロモ−1−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エタノン臭化水素(218 mg, 1.0 mmol)を150℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを添加し、有機層を水(2回)、0.2N NaOH(aq.)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物の油を得て、それを調製用HPLCで精製した。この精製から回収された固体を、酢酸エチルに溶解させ、0.5N NaOHで処理し、相を分離した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、7mgの(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノンを得た。
収率は2%であり、LCMS(RT)は2.79分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.1(MH+)である。
1H-NMR (CDCl3), δ (ppm): 8.44 (d, 1H) 8.06-8.15 (m, 1H) 7.80-7.91 (m, 1H) 7.39- 7.49 (m, 4H) 7.05-7.14 (m, 2H) 4.01 (br. s., 1H) 3.44 (br. s., 1H) 3.14-3.25 (m, 1H) 3.1 1 (br. s., 1H) 2.27-2.35 (m, 1H) 1.83-2.06 (m, 2H) 1.68 (br. s., 1H)。
【0084】
実施例11
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【化20】

乾燥N−メチル−2−ピロリジノン(5 mL)中の、実施例1(C)に記載の通りに調製した(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド(0.161 g, 0.645 mmol)、及び2−フルオロフェナシルブロミド(100 mg, 0.461 mmol)を150℃で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを添加し、有機相を水(2回)及びブライン(2回)で連続的に洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物の油を得て、それをフラッシュクロマトグラフィで精製した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 1:2)。25mgの(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノンを、無色ガム状固体として得た。
収率は15%であり、LCMS(RT)は3.32分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は369.3(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6; 353K), δ (ppm): 8.23 (d, 1H) 7.95 (ddd, 1H) 7.19-7.49 (m, 7H) 4.09-4.33 (m, 1H) 3.77 (ddd, 1H) 3.47 (dd, 1H) 3.14 - 3.32 (m, 2H) 2.17-2.28 (m, 1H) 1.78-2.02 (m, 2H) 1.54-1.71 (m, 1H)。
【0085】
実施例12
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン
【化21】

【0086】
12(A):(S)−(3−[4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン
化合物を、実施例4(A)及び4(B)に記載の以下の手順で調製し、実施例2(A)記載の通りに調製した(S)−3−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、及び2−フルオロフェナシルブロミドから出発した。
収率は11%であり、LCMS(RT)は3.2分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は247.2(MH+)である。
【0087】
12(B):(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン
化合物を、実施例6に記載した以下の同じ手順で調製し、(S)−(3−[4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジンから出発し、6−フルオロニコチン酸を酸として選択して使用した。精製はフラッシュクロマトグラフィで実施した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 1:1)。
収率は51%であり、LCMS(RT)は2.37分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.2(MH+)である。
1H-NMR (DMSOd6, 353K), δ (ppm): 8.30 (ddd, 1H) 8.24 (d, 1H) 8.01 (ddd, 1H) 7.91-7.98 (m, 1H) 7.19-7.42 (m, 4H) 4.10-4.31 (m, 1H) 3.67-3.84 (m, 1H) 3.51 (dd, 1H) 3.18-3.40 (m, 2H) 2.18-2.28 (m, 1H) 1.78-2.03 (m, 2H) 1.58-1.73 (m, 1H)。
【0088】
実施例13
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン
【化22】

(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノンを、実施例6に記載した以下の同じ手順で調製し、実施例12(A)に記載の通りに調製した(S)−(3−[4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジンから出発し、2−フルオロイソニコチン酸を酸として選択して使用した。精製はフラッシュクロマトグラフィで実施した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 4:6)。
収率は73%であり、[αD]=+96.15°(c=0.65, MeOH )、LCMS(RT)は3.03分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は370.3(MH+)である。
1H-NMR (DMSO-d6, 353K), δ (ppm): 8.32 (d, 1H), 8.24 (d, 1H), 7.90-7.98 (m, 1H), 7.24-7.42 (m, 4H), 7.12-7.16 (m, 1H), 4.11 (br. s., 1H), 3.70 (br. s., 1H), 3.51 (dd, 1H), 3.19-3.38 (m, 2H), 2.17-2.27 (m, 1H), 1.78-2.03 (m, 2H), 1.58-1.72 (m, 1H)。
【0089】
実施例14
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(4−フルオロ−フェニル)−メタノン
【化23】

(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(4−フルオロ−フェニル)−メタノンを、実施例11に記載した以下の同じ手順で調製し、実施例1(C)に記載の通りに調製した(S)−1−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド、及び2−ブロモ−2',4'−ジフルオロ−アセトフェノンから出発した。精製はフラッシュクロマトグラフィで実施した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 2:8)。
収率は24%であり、[αD]=+93°(c=0.66, MeOH )、LCMS(RT)は3.44分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は387.3(MH+)である。
1H-NMR (DMSOd6, 353K), δ (ppm): 8.23 (d, 1H), 7.96 (td, 1H), 7.41-7.49 (m, 2H), 7.13-7.30 (m, 4H), 4.20 (d, 1H), 3.77 (d, 1H), 3.46 (dd, 1H), 3.13-3.32 (m, 2H), 2.16-2.27 (m, 1H), 1.77-2.01 (m, 2H)5 1.54-1.70 (m, 1H)。
【0090】
実施例15
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン
【化24】

【0091】
15(A):(S)−(3−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン
化合物を、実施例4(A)及び4(B)に記載の以下の手順で調製し、実施例2(A)記載の通りに調製した(S)−3−カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、及び2−ブロモ−2',4'−ジフルオロ−アセトフェノンから出発した。
収率は7%であり、LCMS(RT)は3.4分(方法F)、m/zで与えられるMS(ES+)は265.1(MH+)である。
【0092】
15(B):(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノンを、実施例6に記載した以下の同じ手順で調製し、(S)−(3−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジンから出発し、6−フルオロニコチン酸を酸として選択して使用した。精製はフラッシュクロマトグラフィで実施した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 1:1)。この精製から回収された固体を再びHPLCで精製し、純粋な表題化合物を得た。
収率は48%であり、LCMS(RT)は2.45分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は388.1(MH+)である。
1H-NMR (DMSOd6, 353K), δ (ppm): 8.30 (d, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.91-8.04 (m, 2H), 7.12-7.31 (m, 3H), 4.20 (br. s., 1H), 3.76 (br. s., 1H), 3.51 (dd, 1H), 3.18-3.40 (m, 2H), 2.14-2.28 (m, 1H), 1.77-2.03 (m, 2H), 1.54-1.74 (m, 1H)。
【0093】
実施例16
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン
【化25】

(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノンを、実施例6に記載した以下の同じ手順で調製し、実施例15(A)に記載の通りに調製した(S)−(3−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジンから出発し、2−フルオロイソニコチン酸を酸として選択して使用した。精製をフラッシュクロマトグラフィで実施した(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/石油エーテル 1:1)。
収率は92%であり、[αD]=+82.5°(c=0.7, MeOH )、LCMS(RT)は3.08分(方法H)、m/zで与えられるMS(ES+)は388.2(MH+)である。
1H-NMR (DMS0-d6 353K), δ (ppm): 8.30-8.34 (m, 1H), 8.24 (d, 1H), 7.90-8.04 (m, 1H), 7.23-7.34 (m, 2H), 7.12-7.20 (m, 2H), 4.12 (br. s., 1H), 3.68 (br. s., 1H), 3.49(dd, 1H), 3.19-3.40 (m, 2H), 2.16-2.28 (m, 1H), 1.77-2.02 (m, 2H), 1.57-1.73 (m, 1H)。
【0094】
薬理学
本発明で提供される化合物は、mGluR5の正のアロステリック調節因子である。例えば、当該化合物は、オルト立体的な認識部位に結合するようには見えず、それ自身によりmGluR5を活性化させない。その代わり、グルタミン酸又はmGluR5アゴニストの濃度に対するmGluR5の応答は、式Iの化合物が存在している場合上昇する。式Iの化合物は、受容体の機能を高める能力により、mGluR5でその効果を有することが予測される。
【0095】
実施例A
ラットの培養皮質星状細胞でのmGluR5アッセイ
増殖因子(塩基性線維芽細胞増殖因子、表皮増殖因子)へ暴露した状態で、ラットの培養皮質星状細胞は、mGluR5転写物(すなわちmGluR5であって、mGluR1のスプライス変異型はない)と結合されたI−Gq群を発現し、結果としてmGluR5受容体の機能的な発現となる(Miller et al. (1995) J. Neurosci. 15:6103- 9)。選択的アゴニストCHPGによるmGluR5受容体の刺激、並びにグルタミン酸誘導性ホスホイノシチド(PI)加水分解の完全な遮断、及びその後のMPEPとしての特定のアンタゴニストとの細胞内カルシウム動員は、本調製物におけるmGluR5受容体の特異な発現を裏付ける。
本調製物は、グルタミン酸の不存在下で投薬した場合に、本発明の化合物が、なんら顕著な活性を示すことなく、グルタミン酸により動員を誘導されたCa2+を増加させる特性を有することを評価するために調製され、使用された。
【0096】
初代の皮質星状細胞培養
初代のグリア培養を、Mc Carthy and de Vellis (1980) J. Cell Biol. 85:890-902及びMiller et al. (1995) J. Neurosci. 15 (9):6103-9 に記載の方法を修正して使用し、Sprague-Dawley16〜19日齢胎児の皮質から調製した。皮質を開裂し、その後5.36 mM KCl、0.44 mM NaHCO3、4.17 mM KH2PO4、137 mM NaCl、0.34 mM NaH2PO4、1 g/L グルコース含有の無菌バッファ中で粉砕することにより解離させた。得られた細胞ホモジネートを、ポリ−D−リジンで予備被覆されたT175フラスコ(BIOCOAT, Becton Dickinson Biosciences, Erembodegem, Belgium)内の、25 mM HEPES及び22.7 mM NaHCO3で緩衝され、4.5 g/Lグルコース、1 mM ピルビン酸並びに15% ウシ胎児血清(FBS, Invitrogen, Basel, Switzerland)、ペニシリン及びストレプトマイシンを補った、ドベルッコ(Dubelcco)の修正イーグル(Eagle)培地(D-MEM GlutaMAX(商標)I、Invitrogen, Basel, Switzerland)中に移植し、37℃、5% CO2でインキュベートした。続く播種のために、FBS補給を10%まで減少させた。12日後、細胞を、トリプシン処理により、ポリ−D−リジンで予備被覆された384ウェルプレート上に、培養バッファ中1ウェル当たり20,000細胞の濃度で、サブプレートした。
【0097】
ラット皮質星状細胞を用いたCa2+可動アッセイ
インキュベーションの1日後、細胞を、142 mM NaCl、6 mM KCl、1 mM Mg2SO4、1 mM CaCl2、20 mM HEPES、1 g/L グルコース、0.125 mM スルフィンピラゾンを含む、pH 7.4のアッセイバッファで洗浄した。4 μM フルオロ−4(TefLabs, Austin, TX)のロードの60分後、細胞を50μlのPBSバッファで3回洗浄し、45μlのアッセイバッファに再懸濁した。その後、プレートを細胞内カルシウムフラックスの評価のため、蛍光光度画像プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR, Molecular Devices, Sunnyvale, CA)に移した。10秒間ベースライン蛍光の監視をモニタリング後、アッセイバッファで希釈した本発明の代表的な化合物10μM含有の溶液(4倍希釈の15μl)を、300nMのグルタミン酸不存在下又は存在下で、細胞プレートに添加した。これらの実験条件下で、当該濃度はグルタミン酸最大応答の20%未満を誘導し、これは本発明の化合物の、正のアロステリック調節因子の特性を検出するために使用される濃度であった。アッセイにおける最終的なDMSO濃度は0.3%であった。各実験において、蛍光は3分間、時間の関数としてモニターし、データはマイクロソフトエクセル及びGraphPad Prismを用いて解析した。各データポイントは2回測定した。
【0098】
本発明の化合物の効果は、初期の皮質mGluR5発現細胞培地で、300nMグルタミン酸の不存在下又は存在下で発揮される。データは細胞に投与した30μMグルタミン酸で観察された最大応答のパーセンテージとして表現される。各棒グラフは、二重のデータポイントの平均及びS.E.Mであり、3つの独立な実験の代表例である。
当該投与化合物は、10μM未満の範囲のEC50 値を有する。実施例番号1は、1μM未満の範囲のEC50 値を有する。
【0099】
実施例Aの結果は、本発明に記載の化合物は、mGluR5それ自体へ影響を及ぼさないことを実証する。その代わり、化合物をmGluR5アゴニスト(例えばグルタミン酸)と共に添加すると、測定される効果は、同濃度でアゴニスト単独の効果と比較して、顕著に増強される。当該データは本発明の化合物が未処理の調製物中において、mGluR5受容体の正のアロステリック調節因子であることを示している。
【0100】
実施例B
HEK発現ラットmGluR5でのmGluR5アッセイ
細胞培養
HEK-293細胞安定発現ラットmGluR5受容体の正の機能的発現は、蛍光光度画像プレートリーダー(FLIPR, Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用い、グルタミン酸又は選択的な既知のmGluR5アゴニスト及びアンタゴニストへの応答における、細胞内Ca2+変化を測定することにより決定した。HEK-293細胞におけるラットmGluR5 RT-PCR生成物は配列決定され、ラットmGluR5 Genbank参照配列(NM_017012)と100%一致することがわかった。rmGluR5を発現しているHEK-293細胞を、DMEM、透析されたウシ胎児血清(10%)、グルタマックス(商標)(2 mM)、ペニシリン(100 単位/ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)、ジェネテシン(Geneticin)(100 μg/ml)及びハイグロマイシン−B(40 μg/ml)を含む培地中に、37℃/5%CO2で維持した。
【0101】
蛍光細胞系Ca2+動員アッセイ
インキュベーションの1日後、細胞を、142 mM NaCl、6 mM KCl、1 mM Mg2SO4、1 mM CaCl2、20 mM HEPES、1 g/L グルコース、0.125 mM スルフィピラゾンを含む、pH 7.4のアッセイバッファで洗浄した。4 μM フルオロ−4(TefLabs, Austin, TX)のロードの60分後、細胞を50μlのPBSバッファで3回洗浄し、45μlのアッセイバッファに再懸濁した。その後、プレートを細胞内カルシウムフラックスの評価のため、蛍光光度画像プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR, Molecular Devices, Sunnyvale, CA)に移した。10秒間ベースライン蛍光の監視をモニタリング後、アッセイバッファで希釈した本発明の代表的な化合物(4倍希釈の15μl)の濃度を上昇させながら(0.01〜60μM)細胞プレートに添加した。アッセイにおける最終的なDMSO濃度は0.3%であった。各実験において、蛍光は3分間、時間の関数としてモニターし、データはマイクロソフトエクセル及びGraphPad Prismを用いて解析した。各データポイントは2回測定した。
【0102】
当該実験条件の下、HEK−ラットmGluR5細胞系は、グルタミン酸又はmGluR5アゴニストの共添加を必要とせずに、正のアロステリック調節因子を直接検出できる。すなわち、添加されたグルタミン酸の不存在下でラット皮質星状細胞培養においては不活性な、正のアロステリック調節因子の参照として公開されている(Liu et al(2006)Eur. J. Pharmacol. 536:262-268; Zhang et al (2005);J. Pharmacol. Exp. Ther. 315:1212-1219)、DFB、CPPHA及びCDPPBは、本系においてラットmGluR5受容体を活性化している。
【0103】
本発明の典型的化合物の濃度−応答曲線を、Prism GraphPadソフトウェアを使用して作成した(Graph Pad Inc, San Diego, USA)。曲線は、4つのパラメータのロジスティック方程式、
(Y=下底+(上底−下底)/(1+10^((LogEC50−X)*傾き))
にフィッティングさせ、EC50値を決定した。
【0104】
以下の表1は、二重に実施された、選択された分子の少なくとも3回の独立な実験から得られた、平均EC50を表す。
【表2】

【0105】
実施例C
mGluR5結合アッセイ
本発明の化合物の活性を、ラットの全脳、及び Gasparini et al. (2002) Bioorg. Med. Chem. Lett. 12:407-409 and in Anderson et al. (2002) J. Pharmacol. Exp. Ther. 303 (3) 1044-1051 の記載と同様の方法で、リガントとしてトリチウム化2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジン([3H]-MPEP)を使用する、放射リガンド結合技術で試験した。
【0106】
膜調製
皮質を、200〜300gのSprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories, L'Arbresle, France)の脳から切除してきた。組織を10容量((体積/重量)vol/wt)の氷冷 50 mM HEPES−NaOH(pH 7.4)中で、Polytron disrupter(Kinematica AG, Luzern, Switzerland)を用いて均質化し、40,000 g、4℃で30分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、ペレットを、10容量の50 mM HEPES−NaOHで再懸濁することにより2回洗浄した。その後膜を遠心分離により捕集し、最終的に10容量の20 mM HEPES−NaOH、pH 7.4中で再懸濁する前に洗浄した。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンを標準として用い、ブラッドフォード法で決定した(バイオラッド タンパク質アッセイ、Reinach, Switzerland)。
【0107】
[3H]-MPEP結合実験
膜を融解させ、20 mM HEPES-NaOH、3 mM MgCl2、3 mM CaCl2、100 mM NaClを含む、pH 7.4の結合バッファに再懸濁させた。競争研究を、1時間4℃でインキュベートすることにより実施した。条件は3 nM [3H]-MPEP(39 Ci/mmol, Tocris, Cookson Ltd, Bristol, U.K.)、50μgの膜で、全反応容量300μlについて、濃度範囲は当該化合物が0.003 nM〜30μMであるようにした。非特異結合は30μM MPEPを用いて明確化した。細胞収穫器(cell harvester)(Filtermate, Perkin-Elmer, Downers Grove, USA)を用いて、4×400μlの氷冷バッファで、ガラス繊維フィルタプレート(Unifilter 96-well GF/B filter plates, Perkin- Elmer, Schwerzenbach, Switzerland)を急速に濾過させることにより、反応を終結させた。放射活性を、液体シンチレーション分公報により、96ウェルプレートリーダー(TopCount, Perkin-Elmer, Downers Grove, USA)を用いて決定した。
【0108】
データ解析
阻害曲線を、Prism GraphPad program (Graph Pad Software Inc, San Diego, USA)を用いて作成した。IC50の決定は、非直線回帰分析を用いて、8点濃度応答曲線から得たデータからなされた。二重に実施された、選択された分子の少なくとも3回の独立な実験から得られたIC50の平均値を計算した。
当該実験の化合物は、30μM未満の範囲にIC50を有する。例えば実施例番号1は、10μM未満のIC50値を有する。
【0109】
実施例A、B及びCの結果は、本発明で記載された化合物はラットmGluR5受容体の正のアロステリック調節因子であることを実証する。当該化合物は、天然系において活性があり、mGluR5受容体の膜貫通ドメイン中のグルタミン酸結合部位から離れて結合することが知られる(Malherbe et al (2003) MoI. Pharmacol. 64(4):823-32)、原型のmGluR5アロステリック調節因子[3H]-MPEPの結合を阻害することができる。
【0110】
すなわち、本発明で提供される正のアロステリック調節因子は、mGluR5受容体での、グルタミン酸又はmGluR5アゴニストの効果を増強させることが期待される。従って、当該正のアロステリック調節因子は、本明細書で扱われるべき、及び正のアロステリック調節因子として扱われ得るその他の、グルタミン酸機能不全に関連する多様な神経的及び精神医学的障害の処置にとって有益となることが期待される。
【0111】
本発明の化合物はmGluR5受容体のアロステリック調節因子であり、これは、薬物の製品製造のために、特に中枢神経系疾患並びに本受容体により調節される他の疾患の、予防又は処置のために有益である。
【0112】
本発明の化合物は、単独でも、上記の状態の治療に有効な他の医薬剤との組み合わせでも投与可能である。
【0113】
製剤実施例
本発明の製剤の処方箋の典型例は、以下の通りである。
1)錠剤
【表3】

本例において、実施例1の化合物は、同量の実施例1〜16の記載のいずれか1つと、置き換えることができる。
【0114】
2)懸濁液
水性懸濁液は経口投与用として調製され、各1ミリリットルは、1〜5mgの記載の実施例のうちの1つ、50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトール及び水を1mLに調整するよう含むものである。
3)注入可能物
非経口組成物を、体積で10%のプロピレングリコール及び水中、重量で1.5%の本発明の活性成分を攪拌することにより調製する。
【0115】
4)軟膏剤
【表4】

この実施例において、化合物1は、同量の実施例1〜16の記載のいずれか1つと、置き換えることができる。
【0116】
適度な変更は、本発明の範囲から逸脱するものとみなされない。すなわち記載された発明は当業者により多くの方法で変更される可能性があることは自明のことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、
Wは、(C5〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C3)アルキル又は(C3〜C7)ヘテロシクロアルケニル環を表し、
1及びR2は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、−(C1〜C6)アルコキシを表し、又はR1及びR2は、共に、(C3〜C7)シクロアルキル環、カルボニル結合C=Oもしくは炭素二重結合を形成でき、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化2】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)−又は−S−であり、
Aは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
Bは、単結合、−C(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルケニル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルキニル−、−C(=O)−O−、−C(=O)NR8−(C0〜C2)アルキル、−C(=NR8)NR9−S(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2NR8−(C0〜C2)アルキル−、C(=NR8)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=NOR8)−(C0〜C2)アルキル−又は−C(=NOR8)NR9−(C0〜C2)アルキル−を表し、
8及びR9は、独立に、上記に記載の通りであり、
任意のNは、N酸化物でもよい)
に従う化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式I−A
【化3】

(式中、
1及びR2は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、−(C1〜C6)アルコキシを表し、又はR1及びR2は、共に、(C3〜C7)シクロアルキル環、カルボニル結合C=Oもしくは炭素二重結合を形成でき、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化4】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)又は−S−であり、
Aは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
Bは、単結合、−C(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルケニル−、−C(=O)−(C2〜C6)アルキニル−、−C(=O)−O−、−C(=O)NR8−(C0〜C2)アルキル、−C(=NR8)NR9−S(=O)−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2−(C0〜C2)アルキル−、−S(=O)2NR8−(C0〜C2)アルキル−、C(=NR8)−(C0〜C2)アルキル−、−C(=NOR8)−(C0〜C2)アルキル−又は−C(=NOR8)NR9−(C0〜C2)アルキル−を表し、
8及びR9は、独立に、上記に記載の通りであり、
Jは、単結合、−C(R11)(R12)、−O−、−N(R11)−又は−S−を表し、
11及びR12は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C6)アルキル)、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
任意のNは、N酸化物でもよい)
を有する請求項1記載の化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式I−B
【化5】

(式中、
P及びQは、各々独立に選択され、及び

【化6】

の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味し、
ここで、
3、R4、R5、R6、及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、−NO2、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリール、−OR8、−NR89、−C(=NR10)NR89、−NR8COR9、NR8CO29、NR8SO29、−NR10CONR89、−SR8、−S(=O)R8、−S(=O)28、−S(=O)2NR89、−C(=O)R8、−C(=O)−O−R8、−C(=O)NR89、−C(=NR8)R9、又はC(=NOR8)R9置換基であり、ここで、2つの置換基が介在原子と結合することにより、二環式のヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を形成していてもよく、ここで、各環は、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−O−(−C1〜C3)アルキルアリール、−O−(C1〜C3)アルキルヘテロアリール、−N((−C0〜C6)アルキル)((C0〜C3)アルキルアリール)又は−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C3−)アルキルヘテロアリール)基で、任意にさらに置換され、
8、R9、R10は、各々独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ−(C1〜C6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N(C0〜C6−アルキル)2、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
D、E、F、G及びHは、独立に、−C(R3)=、−C(R3)=C(R4)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−N=、−N(R3)又は−S−であり、
Jは、単結合、−C(R11)(R12)、−O−、−N(R11)−又は−S−を表し、
11及びR12は、独立に、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C3〜C6)シクロアルキル、−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−(C2〜C6)アルケニル、−(C2〜C6)アルキニル、ハロ(C1〜C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル又はアリールであり、このうちの任意のものが、1〜5個の独立な、ハロゲン、−CN、−(C1〜C6)アルキル、−O−(C0〜C6)アルキル、−O−(C3〜C7)シクロアルキルアルキル、−O(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−N((C0〜C6)アルキル)((C0〜C6)アルキル)、−N((C0〜C6)アルキル)((C3〜C7−)シクロアルキル)又は−N((C0〜C6)アルキル)(アリール)置換基で、任意に置換され、
任意のNは、N酸化物でもよい)
を有する請求項1又は2記載の化合物、又は当該化合物の医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
光学異性体として存在できる化合物であって、当該化合物は、ラセミ混合物又は、個々の光学異性体のいずれかである、請求項1〜3記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4記載の化合物であって、
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−1H−ピロル−2−イル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(4−フルオロ−フェニル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−{(S)−3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン、
(S)−(3−(4−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(5−メチル−イソオキサゾル−4−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)(3−(4−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(4−フルオロ−フェニル)(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(4−フルオロ−フェニル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン、
(S)−(3−(4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−オキサゾル−2−イル)−ピペリジン−1−イル)(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メタノン、
から選択される化合物。
【請求項6】
請求項1〜5記載の化合物の治療有効量及び医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項7】
ヒトを含む哺乳類の疾患状態を処置又は予防する方法であって、処置又は予防は、mGluR5アロステリック調節因子の神経調節効果により、影響を受け又は促進されるものであり、当該処置又は予防を必要とする哺乳類へ、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項8】
ヒトを含む哺乳類の疾患状態を処置又は予防する方法であって、処置又は予防は、mGluR5アロステリック調節因子(増強剤)の神経調節効果により、影響を受け又は促進されるものであり、当該処置又は予防を必要とする哺乳類へ、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項9】
不安障害(広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症、対人恐怖症、物質誘導性不安障害)からなる群から選択される中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項10】
小児期障害(注意欠陥過活動性障害)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項11】
摂食障害(神経性食欲不振症、神経性大食症)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項12】
双極性障害(I型及びII型)(気分循環障害、うつ病、気分変調性障害、大うつ病性障害、物質誘導性気分障害)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項13】
精神病性障害(統合失調症、妄想性障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、物質誘導性精神病性障害)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項14】
認知障害(せん妄、物質誘導性持続性(Persisting)せん妄、認知症、HIV疾患による認知症、ハンチントン病による認知症、パーキンソン病による認知症、アルツハイマー型の認知症、物質誘導性持続性認知症、軽度認知障害)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項15】
人格障害(強迫神経性人格障害、統合失調症、統合失調症性障害)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項16】
物質関連障害(アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール離脱症状、アルコール離脱性せん妄、アルコール誘導性精神障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン離脱症状、コカイン依存症、コカイン離脱症状、ニコチン依存症、ニコチン離脱症状、オピオイド依存症、オピオイド離脱症状)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項17】
多発性硬化症(良性多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症、二次進行型多発性硬化症、一次進行型多発性硬化症、進行再発型多発性硬化症)からなる群から選択される、中枢神経系障害を、処置又は予防するために有用な方法であって、請求項1〜6記載の化合物/組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項18】
請求項9〜17に記載の処置及び予防のための医薬の製造における、請求項1〜6記載の化合物の使用。
【請求項19】
代謝型グルタミン酸受容体を画像化用のトレーサーを準備するための、本発明の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−509313(P2010−509313A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535832(P2009−535832)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004160
【国際公開番号】WO2008/056259
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(506417670)アデックス ファーマ ソシエテ アノニム (13)
【Fターム(参考)】