説明

代謝型グルタミン酸受容体の調節因子としてのインドールおよびベンゾオキサジン誘導体

本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(「mGluR2」)の正のアロステリック調節因子であり、かつ代謝調節型受容体のサブタイプであるmGluR2が関連するグルタミン酸機能障害および疾病に関係する神経学的および精神医学的な障害の治療または予防に有用な新規インドールおよびベンゾオキサジン誘導体に関する。また、本発明は、このような化合物を含む医薬組成物、該化合物および組成物を調製する工程、ならびにmGluR2が関連する神経学的および精神医学的な障害および疾病の予防または治療における該化合物の使用をその目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(「mGluR2」)の正のアロステリック調節因子であり、かつ代謝調節型受容体のmGluR2サブタイプが関連するグルタミン酸機能障害および疾病に関係する神経学的および精神医学的な障害の治療または予防に有用な新規インドールおよびベンゾオキサジン誘導体に関する。また、本発明は、このような化合物を含む医薬組成物、該化合物および組成物を調製する工程、ならびにmGluR2が関連する神経学的および精神医学的な障害および疾病の予防または治療における該化合物の使用をその目的とする。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は、哺乳動物の中枢神経系における主要なアミノ酸神経伝達物質である。グルタミン酸は、例えば、学習と記憶,それだけでなく知覚,シナプス可塑性の発達,運動制御,呼吸,および心臓血管機能の調節など生理機能の多くで主要な役割を果たす。さらにまた、グルタミン酸は、グルタミン酸神経伝達の不均衡が存在する、様々な神経学的および精神医学的な疾病の中核をなす。
【0003】
イオンチャネル型グルタミン酸受容体チャネル(iGluRs)、ならびに速い興奮性伝達に関与するNMDA受容体,AMPA受容体およびカイニン酸受容体の活性化を通して、グルタミン酸はシナプスの神経伝達を仲介する。
【0004】
加えて、シナプス効力の微調整に寄与するという、より調節的な役割を有する代謝型グルタミン酸受容体(mGluRs)を、グルタミン酸は活性化させる。
【0005】
本明細書中でオルト立体的結合部位と呼ばれる、mGluRの大きな細胞外アミノ末端ドメインにグルタミン酸が結合し、mGluRを活性化させる。この結合によって、該受容体の立体構造変化が引き起こされ、その結果Gタンパク質および細胞内シグナル伝達経路が活性化される。
【0006】
mGluR2サブタイプは、Gαiタンパク質の活性化を介してアデニル酸シクラーゼと負の結合[negatively coupled]をし、その活性化はシナプスにおけるグルタミン酸放出の阻害を引き起こす。中枢神経系(CNS)において、mGluR2受容体は主に、皮質,視床領域,副嗅球,海馬,扁桃体,尾状核被殻および側坐核のいたるところで豊富に存在する。
【0007】
臨床試験において、mGluR2を活性化することは不安障害の治療に有効であることが示された。さらに、様々な動物モデルにおいても、mGluR2の活性化が有効であることが示された。これは、統合失調症,てんかん,中毒/薬物依存,パーキンソン病,痛み,睡眠障害およびハンチントン病の治療に対して新規な治療方法となる可能性を示した。
【0008】
現在、mGluRsを標的とする市販の薬理学的ツールの多くは、mGluRファミリーのメンバーのいくつかを活性化するオルト立体的リガンドであり、該リガンドはグルタミン酸の構造類似体である。
【0009】
mGluRに選択的に作用する化合物を開発する新しい手段は、高度に保存されたオルト立体的結合部位とは異なる部位に結合することによって該受容体を調節するというアロステリック機構を通して作用する化合物を同定することである。
【0010】
mGluRの正のアロステリック調節因子は、この魅力的な代替手段を提供する新規な薬理学的な実体として近年浮上してきた。様々な化合物が、mGluR2の正のアロステリック調節因子として記載されている。WO2004/092135号(NPS&アストラ・ゼネカ社[NPS & Astra Zeneca])、WO2004/018386号、WO2006/014918号およびWO2006/015158号(メルク社[Merck])、WO2001/56990号(イーライ・リリー社[Eli Lilly])ならびにWO2006/030032号およびWO2007/104783号(アデックス社およびヤンセンファーマ社[Addex & Janssen Pharmaceutica])には、mGluR2の正のアロステリック調節因子として、それぞれフェニルスルホンアミド、アセトフェノン、インダノン、ピリジルメチルスルホンアミドおよびピリジノン誘導体が記載されている。これら中で具体的に開示された化合物はいずれも、本発明の化合物と構造的な関連はない。
【0011】
これら化合物は単独では該受容体を活性化しないことが証明されている。むしろ、グルタミン酸単独で最小の応答しか引き起こさないあるグルタミン酸濃度において、これら化合物は該受容体に最大の応答をもたらすことができる。mGluR2の正のアロステリック調節因子はオルト立体的部位に結合せずに、代わりに該受容体の七回膜貫通領域内にあるアロステリック部位に結合することが突然変異解析によって明確に証明された。
【0012】
不安神経症モデルおよび精神病モデルにおいて、mGluR2の正のアロステリック調節因子で得られた効果がオルト立体的アゴニストで得られた効果と類似することが動物データから示唆されている。不安神経症モデルである、不安がより強まった驚愕においても、ストレスによる異常高熱においても、mGluR2のアロステリック調節因子は活性を有することが示された。さらに、統合失調症の聴覚による驚愕効果モデルである、ケタミンまたはアンフェタミンによる運動過多症においても、アンフェタミンによるプレパルス抑制崩壊においても、該化合物は逆活性を有することが示された(J. Pharmacol. Exp. T
her. 2006, 318, 173-185; Psychopharmacology 2005, 179, 271-283)。
【0013】
代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2の選択的な正のアロステリック調節因子であるビフェニル−インダノン(BINA)が、精神病の幻覚薬モデルを妨害することが近年の動物実験によりさらに明らかにされた。これは、統合失調症におけるグルタミン酸機能障害を治療するためにmGluR2受容体を標的とする戦略をサポートする(Mol. Pharmacol.2007, 72, 477-484)。
【0014】
正のアロステリック調節因子はグルタミン酸応答に対して相乗的に作用することができるが、例えばLY379268またはDCG−IVなどのオルト立体的mGluR2アゴニストによる応答も該因子によって強化されることが示された。これらのデータは、さらにもう1つの新規な治療方法によって、mGluR2が関与する上述の神経学的および精神医学的な疾病が治療されるという証拠を提供する。そして、該治療方法において、mGluR2のオルト立体的アゴニストとともにmGluR2の正のアロステリック調節因子を組み合わせて使用することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2004/092135号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/018386号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/014918号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/015158号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2001/56990号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/030032号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/104783号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】J. Pharmacol. Exp. Ther. 2006, 318, 173-185
【非特許文献2】Psychopharmacology 2005, 179, 271-283
【非特許文献3】Mol. Pharmacol. 2007, 72, 477-484
【発明の概要】
【0017】
[発明の詳細な説明]
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体2の調節因子活性を有する、式(I)を有する化合物もしくはその立体化学的異性体、またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物に関し、
【0018】
【化1】

【0019】
ここで、
は、C1−6アルキル基;C3−7シクロアルキル基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエトキシ、C3−7シクロアルキル、フェニル、または、ハロ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシで置換されたフェニルで置換されたC1−3アルキル基;フェニル基;ハロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群より選ばれる1つまたは2つの置換基で置換されたフェニル基;あるいは4−テトラヒドロピラニル基であり、
は、シアノ基、ハロ、トリフルオロメチル基、C1−3アルキル基またはシクロプロピル基であり、
は、水素;C1−3アルキル基;C3−7シクロアルキル、フェニル、または、ハロ、シアノ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1つもしくは2つの置換基で置換されたフェニルで置換されたC1−3アルキル基;ピリジニル基、または、1つもしくは2つのC1−3アルキルで置換されたピリジニル基;ヒドロキシC2−4アルキル基;C1−3アルキルオキシC2−4アルキル基;4−テトラヒドロピラニル基;1−オキサ−スピロ[3,5]ノナ−7−イル基;2−オキサ−スピロ[3,5]ノナ−7−イル基;1−オキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル基;2−オキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル基;4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;4−(ヒドロキシ)−4−(C1−3アルキル)シクロヘキサニル基;4−(ヒドロキシ)−4−(C3−7シクロアルキル)−シクロヘキサニル基;4−(C1−3アルキルオキシ)シクロヘキサニル基;フェニル基;ピリジニル基;ピリジニルメチル基;あるいは、ハロ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1つもしくは2つの置換基で置換されたフェニル基、ピリジニル基またはピリジニルメチル基であり、
は、水素またはハロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
(ここで、1つまたは2つの水素原子は、C1−3アルキルまたはポリハロC1−3アルキルで置換されてもよい)
の基である。
【0020】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的異性体またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物に関し、
ここで、
は、C1−6アルキル基;トリフルオロメチルまたはC3−7シクロアルキルで置換されたC1−3アルキル基であり、
は、シアノ基またはハロであり、
は、水素;C1−3アルキル基;C3−7シクロアルキルで置換されたC1−3アルキル基;ヒドロキシC2−4アルキル基;C1−3アルキルオキシC2−4アルキル;4−テトラヒドロピラニル基;4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;または、4−(ヒドロキシ)−4−(C1−3アルキル)シクロヘキサニル基であり、
は、水素、クロロまたはフルオロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
の基である。
【0021】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的異性体またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物に関し、
ここで、
は、トリフルオロメチルで置換されたC1−3アルキル基であり、
は、シアノ基またはクロロであり、
は、水素;メチル;シクロプロピルで置換されたメチルイル基;2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル基;1−メチルエチルオキシエチル基;4−テトラヒドロピラニル基;4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;または4−(ヒドロキシ)−4−(メチル)シクロヘキサニル基であり、
は、水素またはクロロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
の基である。
【0022】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的異性体またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物に関し、
ここで、
は、2,2,2−トリフルオロエチル基であり、
は、シアノ基またはクロロであり、
Aは、式 −CH=CH− (a)の基である。
【0023】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的異性体またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物に関し、
ここで、
は、2,2,2−トリフルオロエチルであり、
は、シアノ基またはクロロであり、
Aは、式 −CH−CH−O− (b)の基である。
【0024】
本発明の典型的な化合物は、
8−クロロ−7−(7−クロロ−1H−インドール−5−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン;トランス−4−[5−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−1H−インドール−1−イル]シクロヘキサノール;トランス−7−[1−(4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−1H−インドール−5−イル]−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボニトリル;4−[7−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−イル]シクロヘキサノール;トランス−4−[5−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−1H−インドール−1−イル]−1−メチルシクロヘキサノールである。
【0025】
基または基の一部としてのC1−3アルキル基という表記は、メチル基、エチル基、1−プロピル基および1−メチルエチル基などの、飽和の、直鎖状または分岐状の、1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基を示す。
【0026】
基または基の一部としてのC1−6アルキル基という表記は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−メチルエチル基、1−ブチル基、2−メチル−1−プロピル基、3−メチル−1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基などの、飽和の、直鎖状または分岐状の、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を示す。
【0027】
基または基の一部としてのシクロC3−7アルキル基という表記は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などの、飽和の、環式炭化水素基を示す。
【0028】
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよく、フルオロまたはクロロが好ましい。
【0029】
治療上の使用において、式(I)の化合物の塩は、その対イオンが薬学的に許容し得る塩である。また一方、薬学的に許容し得ない酸および塩基の塩も、例えば、薬学的に許容し得る化合物の調製または精製における用途を見出すことができる。薬学的に許容し得るものであろうとなかろうと、すべての塩は本発明の範囲に包含される。
【0030】
薬学的に許容し得る塩は、式(I)の化合物が形成し得る、治療上活性を有する無毒性酸付加塩形態を含むよう定義される。塩は、適切な酸、(例えば、ハロゲン化水素酸、特に、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸;酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモン酸などの有機酸)で、塩基性形態の式(I)の化合物を処理することによって得られる。
【0031】
逆に言えば、該塩形態は、適切な塩基で処理することによって、遊離の塩基形態に変換することができる。
【0032】
また、酸性プロトンを含む式(I)の化合物は、適切な有機塩基および無機塩基で処理することによって、それらの治療上活性を有する無毒性塩基性塩形態に変換してもよい。
【0033】
適切な塩基性塩形態としては、例えば、そのアンモニウム塩、そのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩(特に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの塩)、有機塩基の塩(例えば、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミンの塩)、およびアミノ酸の塩(例えば、アルギニンおよびリシン)が挙げられる。
【0034】
逆に言えば、該塩形態は、適切な酸で処理することによって、遊離の酸形態に変換することができる。
【0035】
溶媒和物という用語は、その上記塩と同様に、式(I)の化合物が形成することができる溶媒付加形態を包含する。このような溶媒付加形態の例として、水和物、アルコラートなどが挙げられる。
【0036】
本明細書中に用いられる「立体化学的異性体」は、式(I)の化合物がとることができる、考えられるすべての異性体を定義する。特に言及または指摘しない限り、化合物の化学的な記号表示は、考えられるすべての立体化学的な異性体の混合物を意味し、該混合物は基本的な分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。また、本発明は、式(I)の化合物およびその塩ならびに溶媒和物の個々の異性体それぞれを包含するものであり、他の異性体を実質的に含まない、すなわち含んでも10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満、および最も好ましくは1%未満である。したがって、式(I)の化合物が例えば(R)として特定される場合、これは、該化合物が実質的に(S)異性体を含まないことを意味する。立体中心は、R−またはS−配置を有することができ;(部分的)飽和二価環式基上の置換基は、シス−配置またはトランス−配置のいずれかを有してもよい。
【0037】
CAS命名法の取り決めに従って、公知の絶対配置の2つの立体中心が化合物中に存在する場合、RまたはSの記述子が(カーン−インゴルド−プレローグ配列則に基づいて)、もっとも小さい番号を付されたキラル中心、すなわち参照中心[reference center]に付与される。第二の立体中心の配置は相対的記述子である[R*,R*]または[R*,S*]を用いて示される。この場合、R*は常に参照中心として特定され、[R*,R*]は同様のキラリティーを有する中心を示し、[R*,S*]は異なるキラリティーの中心を示す。例えば、化合物中のもっとも小さい番号を付されたキラル中心がS配置を有し、第二の中心がRである場合、立体記述子はS−[R*,S*]として特定されることになる。「α」および「β」が用いられる場合:最も低い環番号を有する環構造[ring system]中の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、任意に常に、環構造により決定される平均平面の「α」位にある。参照原子上の最優先置換基の位置に対して、環構造における他の不斉炭素原子上の最優先置換基(式(I)の化合物中の水素原子)の位置は、環構造により決定される平均平面の同じ側に該置換基がある場合、「α」と命名され、環構造により決定される平均平面の反対側に該置換基がある場合、「β」と命名される。
【0038】
この出願の構成において、元素[element]は、特に、式(I)の化合物に関して言及される場合は、天然に存在するものまたは合成して製造されたものであっても、自然に豊富にあるものまたは同位体が濃縮された形態であっても、この成分のすべての同位体および同位体混合物を包含する。式(I)の放射標識された化合物には、3H、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brからなる群より選択される放射性同位体が含まれる。前記放射性同位体は、好ましくは3H、11Cおよび18Fからなる群より選択される。
【0039】
〔調製〕
本発明の化合物は通常、連続工程により調製することができ、各工程は当業者に公知である。特に、該化合物は、以下の合成方法に従って調製することができる。
【0040】
式(I)の化合物は、当該分野で公知の分割手順に従って互いに分離することができる、エナンチオマーのラセミ混合物の形で合成してもよい。式(I)のラセミ化合物は、適切なキラル酸との反応によって、対応するジアステレオマー塩形態に変換することができる。該ジアステレオマー塩形態は、例えば、選択的結晶化または分別結晶化によってその後分離され、エナンチオマーはアルカリによって、そこから遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離することの代わりの方法として、キラル固定相を用いた液体クロマトグラフィーが挙げられる。また、純粋な立体化学的異性体は、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発物質の、対応する純粋な立体化学的異性体に由来し得る。
【0041】
A.最終化合物の調製
実験手順1
式(I)の最終化合物は、反応スキ−ム(1)に従い、式(II)の中間体化合物を式(III)の化合物と反応させることで調製することができ、反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、1,4−ジオキサン)または不活性溶媒の混合物(例えば、1,4−ジオキサン/DMF)中、適切な塩基(例えば、NaHCO水溶液またはNaCO水溶液)、Pd−錯体触媒(例えば、Pd(PPh34)の存在下、熱的条件(例えば、マイクロ波照射下150℃で反応混合物を加熱する)下で、例えば10分間行われる。反応スキーム(1)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、WはPdを媒介したボロン酸またはボロンエステルとのカップリングに適切な基、例えば、ハロやトリフラートである。RおよびRは、水素またはアルキルでもよく、または結合して、例えば、式−CHCH−、−CHCHCH−または−C(CHC(CH−の2価の基を形成してもよい。
【0042】
【化2】

【0043】
B.中間体の調製
実験手順2
式(II)中、式(II)(ここで、Wはハロである)の中間化合物は、式(IV)の中間化合物を適切なハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リン(V))と反応させることで調製することができ、反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、DMF)下で、適度な高温(例えば、110℃)で、反応が完了する適切な期間(例えば、1時間)行われる。スキーム(2)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、Wはハロである。
【0044】
【化3】

【0045】
実験手順3
式(IV)の中間化合物は、反応スキ−ム(3)に従い、式(V)の中間化合物を式(VI)の中間化合物と反応させることで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、エタノール)下、熱的条件(例えば、マイクロ波を45分間照射下、160℃で反応混合物を加熱する)下で行われる。スキーム(3)において、RおよびRは式(I)中で定義したとおりであり、haloは、例えば、クロロまたはブロモである。
【0046】
【化4】

【0047】
実験手順4
式(VI)の中間化合物は、式(VII)の中間化合物をアンモニア源(例えば、水酸化アンモニウム)と、熱的条件(例えば、反応混合物を加熱する(例えば、3時間還流する))下で反応させることにより調製することができる。スキーム(4)において、Rは式(I)中で定義したとおりである。
【0048】
【化5】

【0049】
実験手順5
式(VII)の中間化合物は、反応スキ−ム(5)に従い、式(VIII)の中間化合物をN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させることで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、エタノール)下、熱的条件(例えば、反応混合物を加熱する(例えば、2時間還流する))下で行われる。スキーム(5)において、Rは式(I)中で定義したとおりである。
【0050】
【化6】

【0051】
式(VIII)の中間化合物は、市販品(R=CN、C.A.S.5515−16−2)であるか、または、以下の当業者に公知の反応方法で調製される。式(VIII)(ここで、Rはハロである)の中間化合物は、Chemische Berichte (1976), 109(8), 2908-13に記載されている方法に従って調製することができる。
【0052】
実験手順6
式(II)(ここで、Rはハロである)の化合物(ここでは(II−a)と名付ける)は、反応スキ−ム(6)に従い、式(IX)の中間化合物を式(V)の中間化合物と反応させることで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、エタノール)下、熱的条件(例えば、マイクロ波を50分間照射下、150℃で反応混合物を加熱する)下で行われる。スキーム(6)において、Rは式(I)中で定義したとおりであり、haloは、例えば、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよく、Wは、式(II)中で定義したとおりである。
【0053】
【化7】

【0054】
実験手順7
式(IX)の中間化合物は、反応スキ−ム(7)に従い、式(X)の中間化合物を酸(例えば、トリフルオロ酢酸)と処理することで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、DCM)下、室温下、反応が完了する適切な期間(例えば、2時間)行われる。スキーム(7)において、haloは、例えば、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよく、Wは、式(II)中で定義したとおりである。
【0055】
【化8】

【0056】
実験手順8
式(X)の中間化合物は、反応スキ−ム(8)に従い、式(XI)の中間化合物を強塩基(例えば、n−ブチルリチウム)と反応させ、さらに、ハロゲン化剤(例えばN−クロロスクシンイミド)と処理することで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、THF)下、低温(例えば、−78℃)下、反応が完了する適切な期間(例えば、2時間)行われる。スキーム(8)において、haloは、例えば、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよく、Wは、式(II)中で定義したとおりである。
【0057】
【化9】

【0058】
実験手順9
式(IX)(ここで、Wはヨウ素である)の中間化合物(ここでは(IX−a)と名付ける)は、反応スキーム(9)に従い、式(XII)の中間体を水酸化アンモニウムと反応させることで調製することができる。この反応は、熱的条件(例えば、反応混合物を加熱する(例えば、130℃で12時間))下で行われる。
【0059】
加えて、式(IX−a)の中間化合物は、反応スキーム(9)に従い、式(XII)の中間化合物をジフェニルメタンイミンと反応させ、続いてイミンの二重結合を開裂させることで調製することができ、反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、トルエン)中、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、金属担持触媒、特にパラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、および適切な配位子(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニル−ホスフィン](BINAP))の存在下、反応が完了する適切な期間加熱する(例えば、密閉された管中で100℃、16時間)ことで行い、続いて、イミン中間体の二重結合を適切な酸(例えば、塩酸水溶液)で開裂させる。反応スキーム(9)において、haloは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0060】
【化10】

【0061】
実験手順10
式(III)の中間体は、反応スキーム(10)に示すように、当該分野で公知の方法、式(XIII)の中間体を適切なホウ素源(例えば、ビス(ピナコラト)ジボロン)と、パラジウム触媒(例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリド)の存在下、適切な反応不活性溶媒(例えば、DCM)下で反応させることで調製することができる。この反応は、適切な塩(例えば、酢酸カリウム)の存在下、適度な高温(例えば、110℃)下、例えば、16時間行ってもよい。
【0062】
加えて、式(III)の中間体は、式(XIII)の中間体から、当該分野で公知の方法である、ハロゲン−金属交換およびそれに続く適切なホウ素源との反応により調製することができる。このタイプの反応は、例えば、式(XIII)の中間体および有機リチウム化合物(例えば、n−ブチルリチウム)を用いることによって行うことができる。この反応は、不活性溶媒(例えば、THF)中で、適度な低温(例えば、−40℃)下で行われる。この反応では、続いて、適切なホウ素源(例えばトリメトキシボラン)と反応させる。
【0063】
反応スキーム(10)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、RおよびRは、水素またはアルキルでもよく、または結合して、例えば、式−CHCH−、−CHCHCH−または−C(CHC(CH−の2価の基を形成してもよく、haloは、適切なハロゲン(例えば、ブロモ)であり、そして、他の全ての変数は式(I)中で定義したとおりである。
【0064】
【化11】

【0065】
実験手順11
式(XIII)(ここで、Rは式(I)中で定義したとおりであるが、水素ではない)の中間体(ここでは(XIII−a)と名付ける)は、以下の当該分野で公知の方法、式(XIII)(ここで、Rは水素である)の中間体(ここでは(XIII−b)と名付ける)を式(XIV)の中間化合物と、アルキル化条件下(例えば、適切な反応不活性溶媒(例えば、DMF)中、塩基(例えば、KCOまたはNaH)の存在下)で反応させることで調製することができる。この反応は、適切な温度(通常、150℃)でのマイクロ波照射下、反応が完了する適切な期間行ってもよい。反応スキーム(11)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、Xは、アルキル化反応にとって適切な脱離基(例えば、ハロ、トシル、メシルであり、そしてハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい)である。
【0066】
【化12】

【0067】
実験手順12
式(XIII)(ここで、ハロはブロモまたはヨードである)の中間体は、以下の当該分野で公知の方法である、式(XV)の中間体を適切なハロゲン化剤と反応させることで調製することができる。この反応を反応スキーム(12)に示す。この反応は、ハロゲン化剤(例えば、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド)を用いて、室温から還流温度までの温度範囲で、反応不活性溶媒(例えば、DMF、DCM、CHClまたは酢酸)中で行うことができる。通常、この反応混合物は、0〜100℃の温度で、15分〜48時間攪拌される。反応スキーム(11)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0068】
【化13】

【0069】
実験手順13
式(XV)(ここで、Rは式(I)中で定義したとおりであるが、水素ではない)の中間体(ここでは(XV−a)と名付ける)は、当該分野で公知の方法、式(XV)(ここで、Rは水素である)の中間体(ここでは(XV−b)と名付ける)を式(XIV)の中間化合物と、反応スキーム(13)で説明するようなアルキル化条件下で反応させることで調製することができる。反応スキーム(13)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、Xは、アルキル化反応にとって適切な脱離基(例えば、ハロ、トシル、メシルであり、そしてハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい)である。
【0070】
【化14】

【0071】
実験手順14
式(XIII)(ここで、Rは4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキサン−1−イルである)の中間体(ここでは(XIII−c)と名付ける)は、当該分野で公知の方法、式(XVI)の中間体を適切な有機金属アルキル源[organometallic alkyl source](例えば、R−M、(ここでMは、ハロゲン化マグネシウムまたはリチウムである))と反応させることで調製することができる。この反応を反応スキーム(14)に示す。この反応は、不活性溶媒(例えば、THF、ジメチルエーテルまたは1,4−ジオキサン)中で行うことができる。通常、この混合物は、0〜100℃の温度で、1〜48時間攪拌される。反応スキーム(14)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロまたはブロモであってもよく、Rは、C1−3アルキルまたはC3−7シクロアルキルである。
【0072】
【化15】

【0073】
実験手順15
式(XIII)(ここで、Rは4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−1−イルである)の中間体(ここでは(XIII−d)と名付ける)は、式(XVI)の中間体を当業者に公知である還元条件下で反応することで調製することができる。この反応を反応スキーム(15)に示す。この反応は、適切な溶媒(例えば、メタノール)中、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリム)の存在下で行うことができる。この反応は、適切な温度(通常、室温)で、反応が完了する適切な期間行ってもよい。反応スキーム(15)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0074】
【化16】

【0075】
実験手順16
式(XVI)の中間体は、式(XVII)のアセタール中間体を、当業者に公知であるカルボニル官能基に対する適切な脱保護条件にさらすことで調製することができる。この反応を反応スキーム(16)に示す。この反応は、酸(例えは、p−トルエンスルホン酸)の存在下、適切な溶媒(例えば、アセトン)中で行うことができる。この反応は、適切な温度(通常、100℃)でのマイクロ波照射下、反応が完了する適切な期間、都合よく行ってもよい。反応スキーム(16)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0076】
【化17】

【0077】
実験手順17
式(XVII)の中間体、および式(XIII)(ここで、Aは式−CH=CH−の基であり、R
【0078】
【化18】

【0079】
であり、各nは1または2である)の中間体(ここでは(XIII−f)と名付ける)は、反応スキーム(17)に従って、式(XIII)(ここで、Aは式−CH=CH−の基であり、RはHである)の中間体(ここでは(XIII−e)と名付ける)を、式R−X(式XIV)(ここで、Rは前記で定義したとおりである)の中間体(ここでは(XIV−a)と名付ける)と反応させることで調製することができる。この反応は、当業者に公知のアルキル化条件下(例えば、塩基(例えば、適切な反応溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)中の水酸化カリウム)の存在下)で行うことができる。この反応は、適切な温度(通常、60℃)で、反応が完了する適切な期間行ってもよい。反応スキーム(17)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、Xは、アルキル化にとって適切な脱離基(例えば、ハロ、トシル、メシルであり、そしてハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい)である。
【0080】
【化19】

【0081】
実験手順18
式(XIII)(ここで、Aは式−CH−CH−O−の基である)の中間体(ここでは(XIII−g)と名付ける)は、式(XVIII)のオルトアミノフェノール誘導体を、市販の1,2−ジブロモエタンと、アルキル化条件(例えば、この反応を塩基(例えば、適切な反応不活性溶媒(例えば、DMF)中のKCO)の存在下で行う)下で反応させることで調製することができる。この反応は、適切な温度(通常、180℃)でのマイクロ波照射下で、反応が完了する適切な期間行ってもよい。反応スキーム(18)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0082】
【化20】

【0083】
実験手順20
式(XVIII)の中間体は、反応スキーム(20)に従って、式(XIX)の中間体をN−ハロスクシンイミド(例えば、N−クロロ−(NCS)、N−ブロモ−(NBS)またはN−ヨードスクシンイミド(NIS))と反応させることで調製することができる。この反応は、適切な反応不活性溶媒(例えば、DMF、DCMまたは酢酸)中で行うことができる。この反応は、通常、室温で、1〜24時間行われる。反応スキーム(20)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、ハロは、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0084】
【化21】

【0085】
実験手順21
式(XIX)(ここで、R
【0086】
【化22】

【0087】
である)の中間体(ここでは(XIX−a)と名付ける)は、式(XIX)(RはHである)の中間体(ここでは(XIX−b)と名付ける)を、式(XX)の環状ケトン誘導体と、当業者に公知である還元的アミノ化条件下で反応させることで調製することができる。この反応を反応スキーム(21)に示す。この反応は、例えば、適切な反応不活性溶媒(例えば、DCE)中のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下で、適切な反応温度(通常、室温)で、反応が完了する適切な期間行ってもよい。反応スキーム(21)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりであり、Qは定義したとおりである。
【0088】
【化23】

【0089】
実験手順22
式(V)の中間化合物は、式(XXI)の中間化合物をハロゲン化剤(例えば、臭素)と、不活性溶媒(例えば1,4−ジオキサン)中、適度な低温(例えば、0℃)で、反応させることで調製することができる。反応スキーム(22)において、すべての変数は式(I)中で定義したとおりである。
【0090】
【化24】

【0091】
式(VIII)、(XI)、(XII)、(XIII−e)、(XIV)、(XIX−b)、(XX)および(XXI)の中間体は、市販品であるかまたは当業者により調製される。
【0092】
式(XIV−a)(ここでQは、−O−である)の中間体(CAS[97986−34−0])は、WO 2007148648A1に記載された合成方法に従って調製することができ、
中間体(ここで、Qは、
【0093】
【化25】

【0094】
である)(CAS[23511−05−9])は、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2002, 2251-2255に記載された合成方法に従って調製することができる。
【0095】
〔薬理学〕
本発明で提供される化合物は、代謝型グルタミン酸受容体の正のアロステリック調節因子であり、特に、該化合物はmGluR2の正のアロステリック調節因子である。本発明の化合物は、グルタミン酸の認識部位、すなわち、オルトステリックリガンド部位に結合するのではなく、代わりに該受容体の7回膜貫通領域中のアロステリック部位に結合すると思われる。グルタミン酸またはmGluR2のアゴニストの存在下、本発明の化合物は、mGluR2応答を増強させる。本発明で提供される化合物は、グルタミン酸またはmGluR2アゴニストに対する該受容体の応答を増強するその能力に基づいて、mGluR2でのそれらの効果を示すことが期待され、その結果、該受容体の応答を高める。よって、本発明は、薬剤として使用する本発明の化合物に関する。本発明は、また、ヒトを含む哺乳類における病気や疾患の治療や予防、特に治療、mGluR2のアロステリック調節因子、特にmGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用により影響または促進されるヒトの治療や予防に使用する本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療または予防、特に治療するための薬剤の製造における本発明の化合物または本発明の医薬組成物の使用に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは促進される。
【0096】
また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療または予防、特に治療するための薬剤の製造において使用する本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは促進される。本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療もしくは予防、特に治療するための本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは促進される。
【0097】
また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物のグルタミン酸機能不全を伴う様々な神経学的および精神医学的な障害を治療,予防,改善,抑制もしくはその危険性を緩和するための薬剤の製造における、本発明に記載の化合物または本発明に記載の医薬組成物の使用に関する。該治療または予防は、mGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは促進される。
【0098】
本発明が、例えば、哺乳動物の治療のための薬剤の製造における、本発明の化合物または組成物の使用に関して述べる場合、特定の司法権限の管轄域でのこのような使用は、例えば、このような治療を要する哺乳動物への、本発明の化合物または組成物の有効量の投与を含む、例えば、哺乳動物の治療法として理解される。
【0099】
特に、グルタミン酸機能不全を伴う神経学的および精神医学的な障害としては、以下の疾患または疾病の1以上が挙げられる:例えば、心臓バイパス手術およびバイパス移植術に続く脳の欠損などのような急性の神経学的および精神医学的な障害、脳卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖による神経損傷、認知症(エイズ誘発認知症を含む)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼性損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬物性パーキンソン病、振戦を含む筋痙直に伴う筋肉の痙攣および障害、てんかん、痙攣、片頭痛(片頭痛による頭痛を含む)、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱(例えば、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、催眠薬などの薬物を含む)、精神病、統合失調症、不安神経症(全般性不安障害、パニック障害および強迫性障害を含む)、気分障害(鬱病、躁病、双極性障害を含む)、三叉神経痛、聴力障害、耳鳴、目の黄斑部変性、嘔吐、脳浮腫、痛み(急性および慢性状態、激痛、頑痛、神経障害性の痛み、および外傷後の痛みを含む)、遅発性ジスキネジア、睡眠障害(ナルコレプシを含む)、注意力欠陥/多動性障害,ならびに行動障害。
【0100】
特に、このような疾患または疾病は、不安障害、精神異常、人格障害、物質関連障害、摂食障害、気分障害、片頭痛、てんかんもしくは痙攣性疾患、小児期障害、認知障害、神経変性、神経毒性および虚血からなる群より選択される中枢神経系障害[central nervous system disorder]である。
【0101】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症および他の恐怖症からなる群より選択される不安障害である。
【0102】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、統合失調症、妄想性障害、統合失調性感情障害、統合失調症様障害および物質誘発性[substance-induced]精神病性障害からなる群から選択される精神病性障害である。
【0103】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、強迫性人格障害および統合失調性,統合失調症性障害からなる群から選択される人格障害である。
【0104】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、アルコール乱用、アルコール依存、アルコール離脱、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存、アンフェタミン離脱、コカイン依存、コカイン離脱、ニコチン依存、ニコチン離脱、オピオイド依存およびオピオイド離脱からなる群より選択される物質関連障害である。
【0105】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、神経性食欲不振症および神経性過食症からなる群より選択される摂食障害である。
【0106】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、双極性障害(I型およびII型)、気分循環性障害、鬱病、気分変調性障害、大鬱病性障害および物質誘発性気分障害からなる群より選択される気分障害である。
【0107】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、片頭痛である。
【0108】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、非痙攣性全般てんかん、痙攣性全般てんかん、小発作てんかん重積、大発作てんかん重積、意識障害を伴うまたは伴わない部分てんかん、乳児痙攣、持続性部分てんかん[epilepsy partialis continua],および他の種類のてんかんからなる群より選択されるてんかんまたは痙攣性疾患である。
【0109】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、注意欠陥/多動性障害である。
【0110】
好ましくは、上記中枢神経系障害は、せん妄、物質誘発性の持続的せん妄、認知症、HIV疾病に起因する認知症、ハンチントン病に起因する認知症、パーキンソン病に起因する認知症、アルツハイマー型の認知症、物質誘発性の持続的認知症および軽度認識障害からなる群より選択される認知障害である。
【0111】
上述した障害のうち、不安神経症、統合失調症、片頭痛、鬱病およびてんかんの治療が特に重要である。
【0112】
現時点で、アメリカ精神医学会の精神疾患診断統計マニュアル(DSM−IV)の第四版には、本願明細書中に記載の障害を同定するための診断用手段が掲載されている。当業者は、本願明細書中に記載の神経学的および精神医学的な障害のための他の命名法,疾病分類学,および分類体系が存在すること、ならびにこれらは医学的および科学的な発展とともに変化することを認識するであろう。
【0113】
式(I)の化合物を含むmGluR2のこの正のアロステリック調節因子は、グルタミン酸に対するmGluR2の応答を高めるので、本発明の方法が内因性のグルタミン酸を利用することは好都合である。
【0114】
式(I)の化合物を含むmGluR2の正のアロステリック調節因子は、アゴニストに対するmGluR2の応答を高めるので、本発明が、式(I)の化合物を含むmGluR2の正のアロステリック調節因子の有効量をmGluR2アゴニストと組み合わせて投与することにより、グルタミン酸機能不全を伴う神経学的および精神医学的な障害の治療まで拡張されるものと理解される。
【0115】
本発明の化合物は、薬物を互いに組み合わせたものがいずれかの薬物単独よりも安全であるか、より有効である場合、式(I)の化合物またはその他の薬物が有効性を有する疾患または状態の治療、予防、制御、改善、またはリスク低減に、1種または複数種のその他の薬物と組み合わせて利用することができる。
【0116】
〔医薬組成物〕
本発明は、薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、本発明の化合物(特に、式(I)の化合物,薬学的に許容し得るその塩,その溶媒和物またはその立体化学的異性体)の治療上の有効量を含む医薬組成物にも関する。
【0117】
1日当りの有効量は、約0.01mg/kg体重〜約10mg/kg体重、好ましくは約0.05mg/kg体重〜約1mg/kg体重に及んでもよい。
【0118】
本発明の化合物(特に、式(I)の化合物、薬学的に許容し得るその塩、その溶媒和物およびその立体化学的異性体)またはこれらの任意のサブグループもしくは組合せは、投与目的のための様々な剤型で処方され得る。適切な組成物として、通常、薬を全身的に投与するために用いるすべての組成物が挙げられる。
【0119】
本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分として特定の化合物(任意で塩形態)の有効量が、薬学的に許容し得る担体または希釈剤と密な混合物[intimate admixture]として組み合わされる。該担体または希釈剤は、投与に望ましい調製形態に応じて多種多様な形態を採ることができる。これらの医薬組成物は、特に経口投与、直腸性の投与、経皮投与、非経口的な注射による投与または吸入による投与にとって好適な、一体的な投与形態をとることが望ましい。例えば、経口投薬の形態で組成物を調製する際、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、乳濁液および溶液などのような経口液体を調製する場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのどのような通常の薬剤の媒体でも用いることができる;また粉末、丸薬、カプセルおよび錠剤の場合には、例えば、澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑油、結合剤、崩壊剤などのような固体担体などのどのような通常の薬剤の媒体でも用いることができる。投与が容易であるため、経口投与が好ましく、錠剤およびカプセルがもっとも有利な経口の投与量単位の形態である。この場合、固体薬剤担体が用いられることは言うまでもない。非経口投与組成物の場合、担体は、少なくとも大部分で、通常滅菌水を含むことになるが、例えば、溶解性を補助する他の成分を含んでいてもよい。例えば、その担体が食塩水,グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含む注射剤を調製してもよい。この場合、適切な液体担体、懸濁剤などを用いて注射剤を調製してもよい。また、使用の直前に液体形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も含まれる。経皮投与に適した組成物において、担体は必要に応じて浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を含んでもよく、任意の性質を有する適切な添加剤(この添加剤は皮膚に著しい有害作用をもたらさない)と低い割合で必要に応じて組み合わされてもよい。該添加剤は、皮膚への投与を容易にするものであっても、および/または、所望する組成物の調製に有用なものであってもよい。これらの組成物は、経皮貼布、スポットオン[spot-on]、軟膏などの種々の方法で投与してもよい。
【0120】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、上述した医薬組成物を単位投与量の形態で処方することは特に好都合である。本明細書中に用いられる「単位投与量の形態」とは、一体的な投与として適した、物質的に分離した単位をいい、各単位は、必要な薬剤担体とともに所望する治療効果を生じるよう計算された活性成分の予め決められた量を含んでいる。この単位投与量の形態の例は、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む。)、カプセル、丸薬、粉末パケット、ウェーハ、坐薬、注射剤または懸濁液など、およびそれらを複数に分割したものである。
【0121】
当業者に周知であるように、投与の正確な用量および頻度は、使用する式(I)の特定の化合物、治療される特定の疾患、治療される疾患の重篤度、年齢、体重、性別、障害の範囲および特定の患者の全身的な身体状態ならびに個人が服用しているかもしれない他の薬物に左右される。さらにまた、このような1日分の有効量は、治療される対象の反応および/または本発明の化合物を処方する医師の評価次第で減らすことも増やすこともできることは明らかである。
【0122】
投与様式に応じて、医薬組成物は、活性成分を0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の量で、薬学的に許容し得る担体を1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%の量で含む。すべてのパーセンテージは該組成物の総重量に基づく。
【0123】
既に述べたように、本発明は、式(I)の化合物または他の薬剤が有用であり得る疾病または疾患の治療,予防,抑制,改善,またはその危険性の低減における、本発明の化合物および1以上の他の薬剤を含む医薬組成物ならびに薬剤の製造における該組成物の使用にも関する。本発明は、本発明の化合物とmGluR2のオルト立体的アゴニストとの組合せにも関する。本発明は、医薬として使用するこのような組合せにも関する。本発明は、(a)本発明の化合物,その薬学的に許容し得る塩またはその溶媒和物と、(b)mGluR2のオルト立体的アゴニストとを含む、ヒトを含む哺乳動物の疾患の治療または予防における、同時の,単独の,または連続の使用のための複合調剤[combined preparation]としての製品にも関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子、特にmGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは促進される。本発明は、前述の疾病または疾患の治療または予防に使用するためのmGluR2のオルト立体的アゴニストとの組み合わせにも関する。このような組合せもしくは製品中の種々の薬物は、薬学的に許容し得る担体もしくは希釈剤とともに一度の調製で混合するか、または種々の薬物を、薬学的に許容し得る担体もしくは希釈剤とともに別個に調製して各々を混合しない状態においてもよい。
【実施例】
【0124】
次に、本発明について実施例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0125】
化学
本発明の化合物を調製するいくつかの方法を、以下の実施例において例示する。特に明記しない限り、すべての出発物質は商業用供給元から得られたものであり、さらなる精製をせずに使用した。
【0126】
以下、「THF」は、テトラヒドロフランを意味し;「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを意味し;「EtOAc」は、酢酸エチルを意味し;「DCM」は、ジクロロメタンを意味し;「DME」は、1,2−ジメトキシエタンを意味し;「DCE」は、1,2−ジクロロエタンを意味し;「DIPE」は、ジイソプロピルエーテルを意味し;「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを意味し;「DBU」は、1,8−ジアザ−7−ビシクロ[5.4.0]ウンデセンを意味し;「MeOH」は、メタノールを意味し;「h」は、時間を意味し;「s」は、秒を意味し;「min」は、分を意味し;「r.t.」は、室温を意味し;「M.P.」)は、融点を意味し;DAPCyは、トランス−(CyNH)Pd(OAc))を意味する。
【0127】
マイクロ波を用いた反応は、単一モード反応器:Initiator(商標) Sixty EXPマイクロ波反応器(バイオタージ AB社[Biotage AB])で、または多重モード反応器:MicroSYNTH Labstation(マイルストーン社[Milestone, Inc.])で行った。
【0128】
H NMRスペクトルを標準パルス系列(standard pulse sequence)を有するブルカー社[Bruker]のDPX−400およびブルカー社のAV―500分光計に記録し、それぞれ400MHzおよび500MHzで行い、溶媒としてCDCLおよびCを使用した。化学シフト(δ)を、内部標準として用いたテトラメチルシラン(TMS)からのパーツパーミリオン(ppm)低磁場で示す。
【0129】
〔説明1〕
2−(1−エトキシ−エチリデン)−マロノニトリル(D1)
【0130】
【化26】

【0131】
マロノニトリル(17g、257.57mmol)およびオルト酢酸トリエチル(45.95g、283.25mmol)の混合物を、95℃で1.5時間加熱した。次いで、この混合物を真空で蒸発させ、黄色の固体として化合物D1(34g、99%)を得た。さらなる精製をせずに、この化合物を次の反応工程で用いた。
【0132】
化合物D1は、市販のCAS(5417−82−3)でもある。
【0133】
〔説明2〕
2−(3−ジメチルアミノ−1−メトキシ−アリリデン)−マロノニトリル(D2)
【0134】
【化27】

【0135】
混合物である、D1(34g、250mmol)のMeOH(300ml)溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(44.68g、375mmol)を加えた。この反応混合物を2時間還流加熱した。次に、この混合物を室温まで冷却し、冷却中に暗赤色の固体が沈殿した。この固体をろ過して取り除き、冷メタノールで洗浄し、真空で乾燥させて、赤い固体として化合物D2(16.2g,38%)を得た。
LCMS:MW(theor):177;[MH]:178;RT(min):2.25
化合物D2は、市販のCAS(95689−38−6)でもある。
【0136】
〔説明3〕
2−アミノ−4−メトキシ−ニコチノニトリル(D3)
【0137】
【化28】

【0138】
混合物である、D2(16g,90.39mmol)のNH4OH(100ml,水中30%)溶液を3時間還流加熱した。氷浴で冷却後、黄色の固体が沈殿した。この固体をろ過して取り除き、冷イソプロパノールで洗浄し、真空で乾燥させて、白色固体として化合物D3(10g、76%)を得た。
LCMS:MW(theor):149;[MH]:150;RT(min):0.41
化合物D3は、市販のCAS(98651−70−8)でもある。
【0139】
〔説明4〕
2−ブロモ−4,4,4−トリフルオロ−ブチルアルデヒド(D4)
【0140】
【化29】

【0141】
0℃に冷やした1,4−ジオキサン(5ml)と4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(5g、39.68mmol)との混合物に、臭素(2.24ml、43.65mmol)を滴下した。この反応混合物を0℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を珪藻土のパッドでろ過し、ろ液をNaHCO3(飽和水溶液)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(MgSO4)させ、真空で蒸発させて、化合物D4(6.2g、76%)を得た。さらなる精製をせずに、この化合物D4を次の反応工程で用いた。
H−NMR(CDCl):9.46(s、1H);4.48(t,J=6.5Hz、1H);3.26−3.13(m、1H);2.74−2.60(m、1H)。
【0142】
〔説明5〕
7−ヒドロキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボニトリル(D5)
【0143】
【化30】

【0144】
混合物である、化合物D3(3.31g、22.19mmol)およびD4(6.2g、21.86mmol)のEtOH(10ml)溶液を、150℃で40分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、溶媒を真空中で蒸発させた。このように得られた残渣をEtOで処理し、固体が沈殿した。この固体を、ろ過して取り除き、EtOAcで洗浄し、真空で乾燥させて、化合物D5(1g、18%)を得た。
LCMS:MW(theor):241;[MH]:242;RT(min):1.06
【0145】
〔説明6〕
7−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボニトリル(D6)
【0146】
【化31】

【0147】
化合物D5(1g、4.148mmol)および塩化酸化リン(V)(2ml)の混合物を、130℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、溶媒を真空中で蒸発させた。次いで、この残渣HCO3(飽和水溶液)で処理し、DCMで抽出した。有機質層を分離し、乾燥(MgSO4)させ、真空で蒸発させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてEtO)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、黄色の固体として化合物D6(0.6g、56%)を得た。
LCMS:MW(theor):259;[MH]:260;RT(min):2.66(方法11)
【0148】
〔説明7〕
2,4−ジブロモ−ニコチノニトリル(D7)
【0149】
【化32】

【0150】
市販の4−メトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボニトリル[C.A.S.21642−98−8](95.47g、333mmol)のアセトニトリル(670ml)溶液に、オキシ臭化リン(V)(250g、166mmol)を分割して加えた。得られた懸濁液を60℃で16時間加熱した。室温まで冷却後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、NaHCO3(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させて、真空で蒸発させた。得られた粗生成物をDIPEで粉末にし、白色固体として化合物D7(34.5g、79%)を得た。
GCMS(EI):MW(theor):262;[M−2H]:260;RT(min):9.67
【0151】
〔説明8〕
2−アミノ−4−ブロモ−ニコチノニトリル(D8)
【0152】
【化33】

【0153】
混合物である、化合物D7(32g、122.2mmol)のNHOH(200ml、水中30%)およびTHF(200ml)溶液を、PARR圧力容器中100℃で12時間加熱した。冷却後、EtOAcを加えた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させて、真空で蒸発させた。このように得られた残渣をDCMで粉末にし、その後、ろ過して取り除いた。ろ液を真空で蒸発させ、白色固体として化合物D8(6.5g、26.8%)を得た。
LCMS:MW(theor):197;[MH]:198;RT(min):1.14(方法2)
【0154】
〔説明9〕
7−ブロモ−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボニトリル(D9)
【0155】
【化34】

【0156】
混合物である、化合物D8(2g、10.1mmol)およびD4(2.898g、14.14mmol)のEtOH(10ml)溶液を、150℃で40分間マイクロ波加熱した。室温まで冷却後、溶媒を真空で蒸発させた。このように得られた残渣をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄後、1MのHCl(水溶液)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、真空で蒸発させた。このように得られた粗生成物をジエチルエーテルで粉末にし、化合物D9(1.5g、48.8%)を得た。
LCMS:MW(theor):303;[MH]:304;RT(min):2.48.方法14
【0157】
〔説明10〕
2,3−ジクロロ−4−ヨード−ピリジン(D10)
【0158】
【化35】

【0159】
n−ブチルリチウム(27.6ml、69mmol、ヘキサン中2.5M)の、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した乾燥EtO(150ml)溶液に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(11.64ml、69mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、次に乾燥THF(75ml)中の2,3−ジクロロピリジン(10g、67.57mmol)の溶液を滴下した。この混合物を−78℃で30分間撹拌し、そして乾燥THF(75ml)中のヨウ素(25.38g、100mmol)の溶液を加えた。この混合物を一晩かけて室温までゆっくり温め、その後、Na(飽和水溶液)でクエンチし、EtOAcで2回抽出した。混合した有機抽出液をNaHCO(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして真空で蒸発させた。粗残渣をヘプタンで沈殿させ、得られた沈殿をろ過して取り除き、オーブン中で乾燥させて薄いクリーム色の固体として化合物D10(8.21g、44%)を得た。
LCMS:MW(theor):273;[MH]:イオン化しない;RT(min):2.73(方法12)
【0160】
〔説明11〕
3−クロロ−4−ヨード−ピリジン−2−イルアミン(D11)
【0161】
【化36】

【0162】
化合物D16(6g、21.9mmol)とNHOH(12ml、11N)水溶液中との混合物を129℃で12時間加熱した。室温まで冷却後、DCMを加えた。有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させて、真空で蒸発させた。このように得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として2%までのDCM/MeOH(NH))で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、白色固体として化合物D11(2.88g、52%)を得た。
LCMS:MW(theor):254;[MH]:255;RT(min):2.22(方法13)
【0163】
〔説明12〕
8−クロロ−7−ヨード−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(D12)
【0164】
【化37】

【0165】
混合物である、化合物D11(0.507g、1.992mmol)のEtOH(7ml)溶液に、化合物D4(0.817g、3.985mmol)を加えた。この反応混合物を150℃で30分間マイクロ波加熱した。この混合物を室温まで冷却し、溶媒を真空で蒸発させた。この残渣をDCMに取り込んだ後、NaHCO(飽和水溶液)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として6%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、黄色の固体として化合物D12(0.5g、69.6%)を得た。
LCMS:MW(theor):360;[MH]:361;RT(min):2.31(方法8)
【0166】
〔説明13〕
(4−ブロモ−2−クロロフェニル)−(テトラヒドロピラン−4−イル)−アミン(D13)
【0167】
【化38】

【0168】
混合物である、4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミン(0.5g、2.422mmol)、テトラヒドロピラン−4−オン(1.308ml、10.898mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.31g、10.898mmol)のDCE(20ml)溶液を、室温で16時間撹拌した。この反応混合物をNaHCO(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として40%までのヘプタン/DCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、白色固体として化合物D13(0.383g、52%)を得た。
LCMS:MW(theor):289;[MH]:290;RT(min):4.39(方法1)。
【0169】
〔説明14〕
(4−ブロモ−2−クロロ−6−ヨード−フェニル)−(テトラヒドロピラン−4−イル)−アミン(D14)
【0170】
【化39】

【0171】
D13(0.380g、1.308mmol)の、CHCl(20ml)および酢酸(10ml)溶液に、N−ヨードスクシンイミド(0.324mg、1.438mmol)を加えた。得られた懸濁液を室温で3時間撹拌した。この反応混合物を、DCMで希釈し、Na(飽和水溶液)、NaHCO(飽和水溶液)および塩水によって、順次洗浄した。洗浄された有機層を乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発した。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として50%までのヘプタン/DCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、無色油状物として化合物D14(0.145g、26.6%)を得た。
【0172】
〔説明15〕
(4−ブロモ−2−クロロ−6−トリメチルシラニルエチニル−フェニル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン(D15)
【0173】
【化40】

【0174】
D14(0.145g、0.348mmol)、Pd(PPhCl(12.219mg、0.0174mmol)およびCuI(3.315mg、0.0174mmol)を、窒素雰囲気下で、オーブンで乾燥させたフラスコに入れた。乾燥したEtN(10ml)を加え、そして得られた懸濁液を0℃まで冷やし、撹拌した。トリメチルシリルアセチレン(0.0541ml、0.383mmol)を滴下して加えた後、この混合物を窒素雰囲気下で一晩中室温で撹拌した。この反応混合物をDCMで希釈し、塩水で洗浄し、そして乾燥(NaSO)させた。溶媒を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として60%までのヘプタン/DCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、無色油状物として化合物D15(0.11g、81.6%)を得た。
LCMS:MW(theor):285;[MH]:286;RT(min):4.26(方法11)
【0175】
〔説明16〕
5−ブロモ−7−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−1H−インドール(D16)
【0176】
【化41】

【0177】
混合物である、D15(0.11g、0.284mmol)およびCuI(0.108mg、0.569mmol)のDMF(10ml)溶液を、180℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応をDCMで希釈し、珪藻土のパッドでろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離剤としてヘプタン)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、化合物D16(0.071g、79%)を得た。
GCMS:MW(theor):313;[M]:313;RT(min):13.6(方法21)
【0178】
〔説明17〕
7−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール(D17)
【0179】
【化42】

【0180】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.275g、1.083mmol)および酢酸カリウム(0.199g、2.031mmol)を、中間体D16(0.071g、0.226mmol)の1,4−ジオキサン(10ml)およびDMF(4ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(14.9mg、0.0203mmol)を加えた。この反応混合物を150℃で40分間マイクロ波加熱した。所望の生成物へのほんの少しの変換をLCMSを用いて観測した。2回のさらなるマイクロ波照射が、所望の生成物への変換の完了に必要であり、1回目は170℃で50分間、2回目は175℃で1時間であり、それぞれのさらなる照射のために、対応するさらなる量のビス(ピナコラト)ジボロン(1.6当量)、酢酸カリウム(3当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.03当量)およびDMF(2ml)を用いた。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土のパッドでろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:溶離液として50%までのヘプタン/DCM)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、無色油状物としてD17(0.072g、88%)を得た。
【0181】
〔説明18〕
7−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール(D18)
【0182】
【化43】

【0183】
ビス(ピナコラト)ジボロン(1.058g、4.165mmol)および酢酸カリウム(0.383g、3.905mmol)を、5−ブロモ−7−クロロ−1H−インドール[C.A.S.180623−89−6](0.3g、1.302mmol)のジオキサン(10ml)およびDMF(2ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(47.75mg、0.0651mmol)を加えた。この反応混合物を150℃で30分間マイクロ波加熱した。所望の生成物へのほんの少しの変換をLCMSを用いて観測した。その後、この反応に、さらなる量の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(48mg)を入れ、150℃で再びマイクロ波照射した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:溶離液として10%までのヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、白色固体としてD18(0.08g、22%)を得た。
LCMS:MW(theor):277;[M−H]:276;RT(min):4.66(方法9)
【0184】
〔説明19〕
2−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−フェノール(D19)
【0185】
【化44】

【0186】
混合物である、2−アミノフェノール(2g、18.327mmol)、1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オン(3.721g、23.825mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(5.826g、27.491mmol)の、DCE(20ml)および酢酸(0.2ml)溶液を、室温で3時間撹拌した。この反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この固体残留物を、ジイソプロピルエーテルで粉末にし、白色固体としてD19(3.78g)を得た。
LCMS:MW(theor):327;[MH]:328;RT(min):3.92(方法9)
【0187】
〔説明20〕
2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−フェノール(D20)
【0188】
【化45】

【0189】
混合物である、2−アミノフェノール(1g、9.164mmol)、テトラヒドロピラン−4−オン(1.099ml、11.913mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.71g、3.42mmol)のDCE(50ml)溶液を、室温で16時間撹拌した。この粗製混合物を、珪藻土でろ過し、DCMで洗浄し、そしてを液を真空で蒸発させることで、D20(0.69g)を得た。さらなる精製をせずに、この化合物D20を次の反応工程で用いた。
LCMS:MW(theor):193;[MH]:194;RT(min):2.19(方法9)
【0190】
〔説明21〕
5−ブロモ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−フェノール(D21)
【0191】
【化46】

【0192】
中間体D20(0.66g、3.415mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(0.669g、3.757mmol)のDMF(10ml)溶液を、室温で1時間撹拌した。その後、この反応混合物をNaHCO(飽和水溶液)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM/EtOAc 8:2)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、赤みがかった固体としてD21(0.433g、46.6%)を得た。
LCMS:MW(theor):271;[MH]:272;RT(min):3.33(方法9)
【0193】
〔説明22〕
5−ブロモ−2−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−フェノール(D22)
【0194】
【化47】

【0195】
中間体D19(1g、4.011mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(0.785g、4.412mmol)のDMF(15ml)溶液を、室温で1時間撹拌した。その後、この反応混合物をNaHCO(飽和水溶液)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM/EtOAc 8:2)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、赤みがかった固体としてD22(0.433g、32.89%)を得た。
LCMS:MW(theor):327;[MH]:328;RT(min):2.82(方法15)
【0196】
〔説明23〕
7−ブロモ−4−(テトラヒドロピラン−4−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(D23)
【0197】
【化48】

【0198】
混合物である、中間体D21(0.433g、1.591mmol)、1,2−ジブロモエタン(0.411ml、4.773mmol)およびKCO(1.099g、7.955mmol)のDMF(10ml)溶液を、180℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、結晶化させることで白色固体としてD23(0.267g、56%)が得られる、無色油状物を得た。
M.P.:66.2℃
LCMS:MW(theor):297;[MH]:298;RT(min):4.24(方法9)
【0199】
〔説明24〕
7−ブロモ−4−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(D24)
【0200】
【化49】

【0201】
混合物である、中間体D22(0.433g、1.319mmol)、1,2−ジブロモエタン(0.341ml、3.958mmol)および炭酸カリウム(0.912g、6.596mmol)のDMF(10ml)溶液を、180℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて、結晶化させることでD24(0.271g、58%)が得られる、無色油状物を得た。
LCMS:MW(theor):353;[MH]:354;RT(min):4.71(方法9)
【0202】
〔説明25〕
4−(7−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]オキサジン−4−イル)−シクロヘキサノン(D25)
【0203】
【化50】

【0204】
混合物である、中間体D24(0.250g、0.706mmol)、p−トルエンスルホン酸(13.424mg、0.0706mmol)のHO(5ml)およびアセトン(2.5ml)溶液を、100℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして真空で蒸発させた。この反応混合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させて白色固体としてD25(0.172g、78%)を得た。M.P.:101.8℃
LCMS:MW(theor):309;[MH]:310;RT(min):3.77(方法16)
【0205】
〔説明26〕
4−(7−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]オキサジン−4−イル)−シクロヘキサノール(D26)
【0206】
【化51】

【0207】
混合物である、中間体D25(1.3g、4.191mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.476g、12.573mmol)のMeOH(15ml)溶液を室温で3時間撹拌した。それから、得られた混合物をNHCl(飽和水溶液)で慎重にクエンチし、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして真空で蒸発させた。この残渣を、ジイソプロピルエーテル/ジエチルエーテルの混合物で粉末にし、シス/トランス異性体の混合物(それぞれ34%および66%)としてD26(1.045g、63%)を得た。
LCMS:MW(theor):311;[MH]:312;RT(min):2.83(方法15)
【0208】
〔説明27〕
4−[7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]オキサジン−4−イル]−シクロヘキサノール(D27)
【0209】
【化52】

【0210】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.552g、2.174mmol)および酢酸カリウム(0.492g、5.016mmol)を、中間体D26(シス/トランス混合物)(0.522g、1.672mmol)の1,4−ジオキサン(5ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.0736g、0.1mmol)を加えた。この反応混合物を密閉された管中、95℃で一晩中加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土のパッドでろ過し、そしてそのパッドを1,4−ジオキサンでさらに洗浄した。混合したろ液を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として5%までの勾配(gradient up to 5%)のDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空乾燥させることで、結晶化させることでシス/トランス異性体の混合物としてD27(0.6g、99%)が得られる、無色の油状残渣を得た。LCMS(67%のトランスおよび33%シス)による。
LCMS:MW(theor):359;[MH]360;RT(min):2.74(方法17)
【0211】
〔説明28〕
4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(D28)
【0212】
【化53】

【0213】
ビス(ピナコラト)ジボロン(315.956mg、1.244mmol mmol)および酢酸カリウム(261.659mg、2.666mmol)を、中間体D23(265mg、0.889mmol)の1,4−ジオキサン(12ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.0736g、0.1mmol)を加えた。この反応混合物を密閉された管中、95℃で一晩中加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土のパッドでろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、結晶化させることで白色固体としてD28(0.61g、19.88%)が得られる、無色の油状残渣を得た。
LCMS:MW(theor):345;[MH]:346;RT(min):4.52(方法9)
【0214】
〔説明29〕
5−ブロモ−1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−1H−インドール(D29)
【0215】
【化54】

【0216】
混合物である、5−ブロモインドール(8.472g、43.216mmol)、トルエン−4−スルホン酸1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルエステル(13.5g、43.216mmol)(Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1 (2002), (20), 2251-2255に記載されている方法に従って調製した)および粉末状の水酸化カリウム(13.239g、235.958mmol)のDMSO(300ml)溶液を、80℃で6時間撹拌した。その後、この混合物を室温に冷やし、氷水に注いだ。得られた水性混合物をEtOで抽出し、乾燥(NaSO)させ、そして揮発性物質を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM/heptane 1:1)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、白色固体としてD29(2.897g、19.93%)を得た。
LCMS:MW(theor):335;[MH]:336;RT(min):4.38(方法18)
【0217】
〔説明30〕
4−(5−ブロモ−1H−インドール−1−イル)−シクロヘキサノン(D30)
【0218】
【化55】

【0219】
混合物である、中間体D29(24g、71.38mmol)およびp−トルエンスルホン酸(0.679mg、3.569mmol)の、水(72ml)およびアセトン(168ml)溶液を、100℃で15分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この残渣をEtO(100ml)/アセトン(30ml)の混合物で粉末にした。この固体をろ過して取り除き、そしてろ液を真空で蒸発させ、黄色の油状物としてD30(18.13g、73%)を得た。
GCMS:MW(theor):291;[M]:291;RT(min):14.5
【0220】
〔説明31〕
4−(5−ブロモ−1H−インドール−1−イル)−シクロヘキサノール(D31)
【0221】
【化56】

【0222】
0℃で攪拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(62.198mg、1.644mmol)を、混合物である、中間体D30(2.074g、7.098mmol)のMeOH(50ml)溶液に加えた。得られた反応混合物を、室温に温め、さらに1時間撹拌した。その後、この混合物を真空で濃縮し、そして残渣をDCMに溶解させた。この溶液をNHCl(飽和水溶液)で洗浄した。この有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として0:100から30:70までの勾配[gradient]のEtOAc/ヘプタン)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、トランス−D31(1.809g、86.6%)およびシス−D31(0.110g、5.27%)を得た。
トランス−D31
LCMS:MW(theor):293;[MH]:294;RT(min):3.88(方法19)
シス−D31
LCMS:MW(theor):293;[MH]:294;RT(min):3.88(方法19)
【0223】
〔説明 トランス−32〕
トランス−4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール−1−イル]−シクロヘキサノール(トランス−D32)
【0224】
【化57】

【0225】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.829g、3.263mmol)および酢酸カリウム(0.300g、3.059mmol)を、中間体トランス−D31(0.300g、1.02mmol)の1,4−ジオキサン(12ml)およびDMF(2ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.0374g、0.051mmol)を加えた。この反応混合物を160℃で1時間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:100:0から60:40までの勾配のDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、トランス−D32(0.260g、74.6%)を得た。
LCMS:MW(theor):341;[MH]:342;RT(min):4.74(方法10)
【0226】
〔説明 シス−32〕
シス−4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール−1−イル]−シクロヘキサノール(シス−D32)
【0227】
【化58】

【0228】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.265g、1.042mmol)および酢酸カリウム(0.219g、2.233mmol)を、中間体シス−D31(0.219g、0.744mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.033g、0.045mmol)を加えた。この反応混合物を95℃で2時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。このろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として100:0から80:20までの勾配のヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、中間体シス−D32(0.213g、83.8%)を得た。M.P.:187.7℃
LCMS:MW(theor):341;[MH]:342;RT(min):4.74(方法3)
【0229】
〔説明33〕
4−(5−ブロモ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−シクロヘキサノール(D33)
【0230】
【化59】

【0231】
雰囲気下で、メチルマグネシウムブロミド(1.4Mトルエン/THF溶液)(3.667ml、5.134mmol)を、中間体D30(0.5g、1.711mmol)のTHF(20ml)の冷溶液(0℃で)に滴下した。得られた反応混合物を室温に温め、さらに4時間撹拌した。氷浴中で冷却後、この混合物をNHCl(飽和水溶液)で慎重にクエンチし、その後、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として0−30%のEtOAc/ヘプタン)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、シス−D33(0.096g、18.2%)およびトランス−D33(0.12g、22.7%)を得た。
M.P. シス−D33:111℃
LCMS:MW(theor):307;[MH]:308;RT(min):4.06(方法20)
M.P. トランス−D33:95.9℃
LCMS:MW(theor):307;[MH]:308;RT(min):4.30(方法18)
【0232】
〔説明 シス−34〕
シス−1−メチル−4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール−1−イル]−シクロヘキサノール(シス−D34)
【0233】
【化60】

【0234】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.111g、0.436mmol)および酢酸カリウム(0.0917g、0.934mmol)を、中間体シス−D33(0.096g、0.311mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.0137g、0.0187mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で1.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。このろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として100:0から80:20までの勾配のヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、シス−D34(0.074g、66.87%)を得た。
LCMS:MW(theor):355;[MH]:356;RT(min):3.86(方法6)
【0235】
〔説明 トランス−34〕
トランス−1−メチル−4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール−1−イル]−シクロヘキサノール(トランス−D34)
【0236】
【化61】

【0237】
ビス(ピナコラト)ジボロン(0.130g、0.513mmol)および酢酸カリウム(0.108g、1.1mmol)を、中間体トランス−D33(0.113g、0.367mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.0161g、0.022mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で2.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土でろ過した。このろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として100:0から80:20までの勾配のヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させ、トランス−D34(0.096g、74%)を得た。
LCMS:MW(theor):355;[MH]:356;RT(min):3.97(方法6)
【0238】
〔説明35〕
5−ブロモ−1−ピリミジン−2−イル−1H−インドール(D35)
【0239】
【化62】

【0240】
窒素気流を、混合物である5−ブロモインドール(2g、10.201mmol)のDMSO(10mL)溶液にバブリングした。その後、KCO(4.23g、30.604mmol)、ヨウ化銅(I)(0.097g、0.51mmol)、L−プロリントリフルオロ酢酸塩[L-proline.trifluoric acetic acid](0.234g、1.02mmol)および2−ブロモピリミジン(1.622g、10.201mmol)を加えた。得られた反応混合物を90℃で48時間密閉された管中で撹拌した。室温に冷却後、この反応混合物をEtOAcおよび水で希釈し、珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液としてDCM)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、D35(2.6g、92%)を得た。
【0241】
〔説明36〕
1−ピリミジン−2−イル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール(D36)
【0242】
【化63】

【0243】
ビス(ピナコラト)ジボロン(2g、7.88mmol)および酢酸カリウム(1.933g、19.699mmol)を、中間体D35(1.8g、6.566mmol)のDMSO(13ml)溶液に加えた。この混合物に窒素気流をバブリングし、その後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(1:1)(0.145g、0.197mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で16時間加熱した。所望の生成物への一部のみの変換をLCMSを用いて観測した。その後、この反応槽に、さらなる量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.145g)を入れ、110℃で4.5時間再び加熱した。室温に冷却後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、珪藻土でろ過した。ろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として100:0から90:10までの勾配のヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、D36(2.19g、73%)を得た。
【0244】
[実施例1]
7−[7−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−1H−インドール−5−イル]−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボニトリル(E1)
【0245】
【化64】

【0246】
混合物である中間体D17(0.07g、0.194mmol)、中間体D9(0.107g、0.194mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.011g、0.00968mmol)および飽和NaHCO水溶液(5ml)の1,4−ジオキサン(5ml)溶液を、150℃で10分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を珪藻土でろ過し、ろ液をDCMで希釈し、そして有機層を、最初水で、その後塩水で洗浄した。この有機画分を乾燥(NaSO)させ、ろ過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗製残渣を,カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として30%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させ、黄色のシロップとしてE1(9.1mg、9.6%)を得た。
【0247】
H NMR(500MHz,CDCl)δppm 2.03−2.13(m,2H)、2.14−2.20(m,2H)、3.64(td,J=11.8,1.6Hz,2H)、3.80(q,J=9.9Hz,2H)、4.17(dd,J=11.7,4.2Hz,2H)、5.55(tt,J=11.6,4.0Hz,1H)、6.69(d,J=3.5Hz,1H)、7.15(d,J=7.2Hz,1H)、7.39(d,J=3.2Hz,1H)、7.47(d,J=1.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.91(d,J=1.7Hz,1H)、8.22(d,J=7.2Hz,1H)
【0248】
[実施例2]
8−クロロ−7−(7−クロロ−1H−インドール−5−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン(E2)
【0249】
【化65】

【0250】
混合物である、中間体D18(0.09g、0.324mmol)、中間体D12(0.106g、0.295mmol)、KPO(0.187g、0.884mmol)およびDAPCy(8.624mg、0.0147mmol)のEtOH(2ml)溶液を、一晩中室温で撹拌した。この反応混合物を珪藻土でろ過し、そしてろ液を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として5%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させた。この残渣をヘプタンで粉末にすることで、ろ過して取り除き、そしてオーブン中で乾燥させることで白色固体としてE2(0.07g、61.8%)が得られる、固体を得た。
【0251】
M.P.分解した
H NMR(400MHz,CDCl)δppm 3.78(q,J=9.9Hz,1H)、6.68(dd,J=3.2,2.3Hz,1H)、7.01(d,J=7.2Hz,1H)、7.35(dd,J=2.8,2.8Hz、1H)、7.39(d,J=1.4,Hz,1H)、7.70−7.73(m,1H)、7.74(s,1H)、8.00(d,J=6.9Hz,1H)、8.57(br.s.,1H)
【0252】
[実施例3]
トランス−4−[5−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−1H−インドール−1−イル]−シクロヘキサノール(E3)
【0253】
【化66】

【0254】
混合物である、中間体トランス−D32(0.255g、0.748mmol)、中間体D12(0.35g、0.68mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.039g、0.034mmol)および飽和NaHCO水溶液(1.5ml)の1,4−ジオキサン(3ml)溶液を、150℃で10分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を珪藻土でろ過し、この珪藻土をさらにEtOAcで洗浄し、そして混合したろ液を水および塩水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として、10%までのDCM/MeOH(NH)続いて、ヘプタン/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、真空で蒸発させた。この残渣をジエチルエーテルで粉末にした。白色沈殿をろ過して取り除き、真空で乾燥させ、白色固体としてE3(0.14g、46%)を得た。
【0255】
M.P.129.4℃
H NMR(400MHz,CDCl)δppm 1.53−1.68(m,3H)、1.80−1.95(m,2H)、2.21(br.d,J=10.9Hz,4H)、3.78(q,J=9.9Hz,2H)、3.79−3.89(m,1H)、4.25−4.37(m,1H)、6.60(d,J=3.2Hz,1H)、7.04(d,J=7.2Hz,1H)、7.27(d,1H)、7.40(dd,J=8.6,1.6Hz,1H)、7.48(d,J=8.6Hz,1H)、7.72(s,1H)、7.80(d,J=1.4Hz,1H)、7.99(d,J=6.9Hz,1H)
【0256】
[実施例4]
トランス−4−[5−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−1H−インドール−1−イル]−1−メチル−シクロヘキサノール(E4)
【0257】
【化67】

【0258】
混合物である、中間体トランス−D34(0.221g、0.373mmol)、D12(0.112g、0.311mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.018g、0.0155mmol)および飽和NaHCO水溶液(2ml)の1,4−ジオキサン(8ml)溶液を、150℃で10分間マイクロ波加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を珪藻土でろ過し、この珪藻土をさらにEtOAcで洗浄し、そして混合されたろ液を水および塩水で洗浄した。有機画分を乾燥(NaSO)させ、ろ過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。この粗製残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として15%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒を真空で蒸発させた。残渣をEtOで粉末にした。白色沈殿をろ過して取り除き、真空で乾燥させることで、DIPEで粉末にし、ろ過して取り除き、そしてオーブン中で乾燥させることで白色固体としてE4(0.75g、52%)が得られる、残渣を得た。
【0259】
M.P.162.2℃
H NMR(400MHz,CDCl)δppm 1.11(br.s,1H)、1.36(s,3H)、1.69(td,J=13.9,3.9Hz,2H)、1.83−1.93(m,2H)、1.94−2.04(m,2H)、2.25(qd,J=13.2,3.7Hz,2H)、3.77(q,J=9.9Hz,2H)、4.26(tt,J=12.3,3.9Hz,1H)、6.59(d,J=3.2Hz,1H)、7.04(d,J=6.9Hz,1H)、7.35(d,J=3.2Hz,1H)、7.39(dd,J=8.8,1.6Hz,1H)、7.48(d,J=8.6Hz,1H)、7.71(s,1H)、7.80(d,J=1.4Hz,1H)、7.98(d,J=6.9Hz,1H)
【0260】
[実施例5]
4−[7−[8−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−イル]−シクロヘキサノール(E5)
【0261】
【化68】

【0262】
混合物である、中間体D27(0.3g、0.835mmol)、D12(0.301g、0.835mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0482g、0.0418mmol)およびNaHCO(飽和水溶液)(1.5ml)の1,4−ジオキサン(5ml)溶液を、150℃で10分間、マイクロ波照射下で加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を150℃でさらに10分間マイクロ波加熱した。所望の生成物への一部のみの変換をLCMSを用いて観測した。その後、この反応槽に、さらなる量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0482g)および飽和NaHCO水溶液(0.5ml)を入れ、マイクロ波照射下で、150℃で10分間再び加熱した。室温に冷却後、この反応混合物を珪藻土でろ過し、この珪藻土をさらに1,4−ジオキサンで洗浄した。混合したろ液を真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液として50%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、溶媒を真空で蒸発させ、HNMRで定まるジアステレオ異性体の混合物としてE5を得た。トランス/シス=88:12(0.097g、10%)
【0263】
(トランス−E5)H NMR(400MHz,CDCl)δppm 1.11(br.s,1H)、1.38−1.73(m,4H)、1.90(br.d,J=12.3Hz,2H)、2.13(br.d,J=12.5Hz,2H)、3.29−3.36(m,2H)、3.60−3.73(m,2H)、3.74(q,J=9.9Hz,2H)、4.20−4.29(m,2H)、6.80(d,J=8.6Hz,1H)、6.95(d,J=7.2Hz,1H)、7.04(d,J=1.4Hz,1H)、7.10(br.d,J=8.6Hz,1H)、7.68(s,1H)、7.94(d,J=7.2Hz,1H)
【0264】
[実施例25]
8−クロロ−7−(1−ピリミジン−2−イル−1H−インドール−5−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0265】
【化69】

【0266】
混合物である、中間体D36(0.267g、0.832mmol)、D12(0.25g、0.693mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0401g、0.0347mmol)およびNaHCO(飽和水溶液)(1.7ml)の1,4−ジオキサン(6.8ml)溶液を、150℃で5分間加熱した。室温に冷却後、この反応混合物をEtOAcおよび水で希釈し、珪藻土でろ過した。ろ液をEtOAcで抽出し、乾燥(NaSO)させ、そして真空で蒸発させた。この残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:溶出液として15%までのDCM/EtOAc)で精製した。所望の画分を回収し、そして溶媒真空で蒸発させることで、残渣を得た。この残渣をDIPEで粉末にし、ろ過して取り除き、そしてオーブン中で乾燥させることでE25(0.135g、46%)が得られる。
【0267】
H NMR(400MHz,CDCl)δppm 3.78(q,J=9.9Hz,2H)、6.78(d,J=3.5Hz,1H)、7.06(d,J=6.9Hz,1H)、7.10(t,J=4.7Hz,1H)、7.51(dd,J=8.6,1.8Hz,1H)、7.73(s,1H)、7.80(d,J=1.8Hz,1H)、8.01(d,J=6.9Hz,1H)、8.36(d,J=3.5Hz,1H)、8.74(d,J=4.6Hz,2H)、8.93(d,J=8.6Hz,1H)
M.P.分解した
【0268】
上記の実施例(Ex. No.)のうちの1つに従って調製された式(I)の化合物を表1に記載する。
【0269】
【表1−1】

【0270】
【表1−2】

【0271】
【表1−3】

【0272】
物理化学的データ
ウォーターズ社[Waters]MS計測器(TOF,ZQ,SQD,Platform)の基本手順
HPLC測定は、下記方法のそれぞれに規定されている脱気剤を有するポンプ(クォタナリまたはバイナリ)[quaternary or binary]、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)およびカラムを含む、アジレント・テクノロジー社[Agilent Technologies]のHP1100を用いて行った。カラムからのフローを分割し、MS分光計に流入させた。MS検出器を、エレクトロスプレーイオン化源[electrospray ionization source]またはESCI二重イオン化源[ESCI dual ionization source](大気圧化学イオン化と併用したエレクトロスプレー)で構成した。窒素をネブライザーガスとして用いた。ソース温度を140℃に維持した。データ取得は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。
【0273】
アジレント社[Agilent]MS計測器(MSD)の基本手順
HPLC測定は、下記方法のそれぞれに規定されている脱気剤を有するバイナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)およびカラムを含む、アジレント・テクノロジー社のHP1100を用いて行った。カラムからのフローを分割し、MS分光計に流入させた。MS検出器をESCI二重イオン化源(大気圧化学イオン化と併用したエレクトロスプレー)で構成した。窒素をネブライザーガスとして用いた。ソース温度を100℃に維持した。データ取得は、Chemsation−Agilent Data Browserソフトウェアで行った。
【0274】
ウォーターズ社MS計測器(Acquity−SQD)の基本手順
UPLC測定は、下記方法のそれぞれに規定されているサンプラーオーガナイザー[sampler organizer],脱気剤を有するバイナリポンプ、4個のカラムのオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)およびカラムを含むウォーターズ社のAcquityシステムを用いて行った。カラムからのフローを分割せずに、MS分光計に流入させた。MS検出器をESCI二重イオン化源(大気圧化学イオン化と併用したエレクトロスプレー)で構成した。窒素をネブライザーガスとして用いた。ソース温度を140℃に維持した。データ取得は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。
【0275】
アジレント社GC/MSD計測器の基本手順
GC測定は、下記方法のそれぞれに規定されている7683シリーズインジェクターおよびオートサンプラー、カラムオーブンならびにカラムを含む、5973N MSD質量選択検出器(シングル四重極型、アジレント・テクノロジー社)と結合している6890シリーズガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社)を用いて行った。MS検出器を、電子衝撃イオン化源[electronic impact ionization source]/化学イオン化源[chemical ionization source](EI/CI)で構成した。EI低分解能質量スペクトルは、14.29のscans/sの速さで、50から550までスキャンすることで得た。ソース温度は230℃に維持した。ヘリウムををネブライザーガスとして用いた。データ取得は、Chemstation−Open Actionソフトウェアで行った。
【0276】
方法1
基本手順に加えて:逆相HPLCを、60℃で、60℃での流速1ml/minで、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.5分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、5%B(アセトニトリル)、5%C(メタノール)から50%Bおよび50%Cに、7分で100%Bに、そして7.5〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、0.3秒の滞留時間を用いて0.5秒以内に100から750までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧[capillary needle voltage]は、正イオン化モードに対して2.5kVとし、負イオン化モードに対して2.9kVとした。コーン電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して20Vとした。ロイシン−エンケファリン[Leucine-Enkephaline]をロック・マス較正[lock mass calibration]に用いる標準物質とした。
【0277】
方法2
基本手順に加えて:逆相HPLCを、60℃で、60℃での流速1ml/minで、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.5分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、5%B(アセトニトリル)、5%C(メタノール)から50%Bおよび50%Cに、7分で100%Bに、そして7.5〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、正イオン化モードのみで、0.1秒の滞留時間を用いて0.5秒以内に100から750までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は2.5kVとし、コーン電圧は20Vとした。ロイシン−エンケファリンをロック・マス較正に用いる標準物質とした。
【0278】
方法3
基本手順に加えて:逆相HPLCを、60℃で、流速1ml/minで、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.5分以内に95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、2.5%B(アセトニトリル)、2.5%C(メタノール)から50%B、50%Cに、7.0分までその状態を保ち、そして7.3〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、0.3秒の滞留時間を用いて0.5秒以内に100から750までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、正イオン化モードに対して2.5kVとし、負イオン化モードに対して2.9kVとした。コーン電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して20Vとした。ロイシン−エンケファリンをロック・マス較正に用いる標準物質とした。
【0279】
方法4
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.5分で95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、7.0分までその状態を保ち、そして7.3〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、0.08秒のインターチャネル遅延[inter-channel delay]を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は、正イオン化モードに対して20Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0280】
方法5
基本手順に加えて:逆相UPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)で行った。用いた勾配条件:6.3分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から20%A、80%Bに、6.85分以内に100%Bに、7.50分までその状態を保ち、そして7.75〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を0.5μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は、正イオン化モードに対して20Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0281】
方法6
基本手順に加えて:逆相UPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)で行った。用いた勾配条件:4.9分以内に95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から20%A、80%Bに、5.3分以内に100%Bに、5.8分までその状態を保ち、そして6.0〜7.0分で初期条件に平衡化した。注入量を0.5μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は、正イオン化モードに対して20Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0282】
方法7
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.20分までその状態を保ち、3.5分以内に100%Bに、3.65分までその状態を保ち、そして3.8〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、MSD)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅[step size]および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧[fragmentor voltage]は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0283】
方法8
基本手順に加えて:逆相UPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.20分までその状態を保ち、3.5分以内に20%A、80%Bに、3.8分以内に100%Bに、4.15分までその状態を保ち、そして4.3〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を0.5μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は、正イオン化モードに対して20Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0284】
方法9
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.0分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、6.5分までその状態を保ち、そして7.0〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、正イオン化モードで、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は20Vとし、正イオン化モードに対して50Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0285】
方法10
基本手順に加えて:逆相HPLCを、60℃で、流速1.0ml/minで、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:6.5分以内に95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、2.5%B(アセトニトリル)、2.5%C(メタノール)から50%B、50%Cに、7.0分までその状態を保ち、そして7.3〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、0.3秒の滞留時間を用いて0.5秒以内に100から750までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、正イオン化モードに対して2.5kVとし、負イオン化モードに対して2.9kVとした。コーン電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して20Vとした。ロイシン−エンケファリンをロック・マス較正に用いる標準物質とした。
【0286】
方法11
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.0分以内に100%Bに、3.15分までその状態を保ち、そして3.3〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(四重極、SQD)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は20Vとし、正イオン化モードに対して50Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0287】
方法12
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.5分以内に100%Bに、3.65分までその状態を保ち、そして3.8〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、ZQ検出器)は、0.1秒の滞留時間を用いて0.5秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は20Vとし、正イオン化モードに対して50Vとし、負イオン化モードに対して20Vとした。
【0288】
方法13
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.5分以内に100%Bに、3.65分までその状態を保ち、そして3.8〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD検出器)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0289】
方法14
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.5分以内に100%Bに、3.65分までその状態を保ち、そして3.8〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0290】
方法15
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+0.5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.0分以内に100%Bに、3.15分までその状態を保ち、そして3.30〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、SQD検出器)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとし、コーン電圧は20Vとし、正イオン化モードに対して50Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0291】
方法16
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:5.2分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、5.6分までその状態を保ち、そして5.8〜7.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD検出器)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0292】
方法17
基本手順に加えて:逆相UPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、MS検出器に分割させず、ウォーターズ社のBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)で行った。用いた勾配条件:95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)を0.2分までその状態を保ち、3.5分以内に20%A、80%Bに、3.8分以内に100%Bに、4.15分までその状態を保ち、そして4.3〜5.0分で初期条件に平衡化した。注入量を0.5μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、SQD検出器)は、0.08秒のインターチャネル遅延を用いて0.1秒以内に100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、3kVとした。コーン電圧は、正イオン化モードに対して20Vとし、負イオン化モードに対して30Vとした。
【0293】
方法18
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:5.0分以内に95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、5.15分までその状態を保ち、そして5.3〜7.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD検出器)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0294】
方法19
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速0.8ml/minで、60℃で、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:5.0分以内に90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、5.4分までその状態を保ち、そして5.6〜7.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD検出器)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0295】
方法20
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1.0ml/minで、60℃で、ウォーターズ社のSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)で行った。用いた勾配条件:5.0分以内に95%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノール(1/1)の混合物)から100%Bに、5.15分までその状態を保ち、そして5.3〜7.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。低分解能質量スペクトル(シングル四重極型、MSD検出器)は、エレクトロスプレーモードで、0.99秒以内に、0.30の刻み幅および0.10分のピーク幅で、100から1000までスキャンすることで得た。キャピラリー・ニードル電圧は、1.0kVとし、フラグメンター電圧は、正および負両方のイオン化モードに対して70Vとした。
【0296】
方法21
基本手順に加えて:GCを、一定流速1.2ml/minで、アジレント・テクノロジー社のJ&W HP−5MSカラム(0.25μm、0.25mm x30m)で行った。用いた勾配条件:15分の操作[run]のうちに、初期温度を50℃とし、3分間保持し、その後、250℃まで10分間、20℃/min rampを適用し、250℃で2分間保持した。Front inlet温度を250℃とした。注入量1μl、GC−MSシステムに50/1の割合で、スプリットインジェクションモード[split injection mode]を用いた。
【0297】
融点
多くの化合物に対して、融点を、メトラー社[Mettler]のFP62装置のオープンキャピラリーチューブで測定した。融点は、3または10℃/minの温度勾配で測定した。最大温度を300℃とした。M.P.を、デジタル表示装置から読みとり、そして、M.P.は、通常この分析方法に関連する実験誤差を伴って得られる。
【0298】
核磁気共鳴(NMR)
1H NMRスペクトルを、標準パルス系列を有するブルカー社のDPX−400、およびブルカー社のAV−500分光計に記録し、それぞれ400MHzおよび500MHzで行い、溶媒としてCDCLおよびCを使用した。化学シフト(δ)を、内部標準として用いたテトラメチルシラン(TMS)からのパーツパーミリオン(ppm)低磁場で示す。
【0299】
表2:いくつかの化合物の物理化学的データ(nd=測定せず)
【0300】
【表2−1】

【0301】
【表2−2】

【0302】
薬理学的実施例
本発明で提供される化合物は、mGluR2の正のアロステリック調節因子である。これら化合物は、グルタミン酸結合部位以外のアロステリック部位に結合することによって、グルタミン酸応答を促進すると思われる。式(I)の化合物が存在すると、グルタミン酸濃度に対するmGluR2の応答が増強される。式(I)の化合物は、該受容体の機能を高める能力に基づいて、実質的にmGluR2でのそれらの効果を有すると期待される。正のアロステリック調節因子の作用は、下記の[35S]GTPγS結合アッセイ法を用いたmGluR2で試験される。この方法は、このような化合物、特に、表4に示されている式(I)の化合物の同定に好適である。
【0303】
35S]GTPγS結合アッセイ
35S]GTPγS結合アッセイは、非加水分解性の形態であるGTP,[35S]GTPγS(γ線放射性35Sで標識されたグアノシン5’三リン酸)の取り込みを測定するというGタンパク質共役受容体(GPCR)機能の研究で用いられる機能性膜ベース[functionalmembrane-based]アッセイである。Gタンパク質αサブユニットは、グアノシン三リン酸(GTP)によるグアノシン5’二リン酸(GDP)の交換に触媒作用を及ぼし、アゴニストによってGPCRが活性化されると[35S]GTPγSが取り込まれ、この交換サイクルを続けることための開裂ができなくなる(Harper (1998) Current Protocols in Pharmacology 2.6.1-10, John Wiley & Sons, Inc.)。放射性[35S]GTPγSの取り込み量は、Gタンパク質活性の直接的尺度であり、このためアゴニスト活性を測定することができる。mGluR2受容体はGαiタンパク質に選択的に結合(この方法では選択的に結合)することを示すため、この方法は、組換え型細胞株および細胞組織の両方におけるmGluR2受容体の受容体活性化の研究に広く用いられる(Schaffhauser et al 2003, Pinkerton et al, 2004, Mutel et al (1998) Journal of Neurochemistry. 71:2558-64; Schaffhauser et al (1998) Molecular Pharmacology 53:228-33)。ここで、我々は、ヒトmGluR2受容体でトランスフェクションされた細胞からの膜を用いた[35S]GTPγS結合アッセイの使用を記載し、そして本発明の化合物の正のアロステリック調節(PAM)特性を検出するために、Schaffhauser et al ((2003) Molecular Pharmacology 4:798-810)を引用した。
【0304】
〔膜調製〕
CHO細胞をコンフルエンスになる前まで培養し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄する前に5mM酪酸塩で24時間刺激した後、ホモジナイズ用緩衝液(50mMトリス−HCl緩衝液、pH7.4、4℃)中でこすりとって回収した。細胞溶解物を、ultra−turraxホモジナイザを用いて短時間(15秒間)ホモジナイズした。ホモジネートを23500×gで10分間遠心分離し、上清を捨てた。ペレットを、5mMトリス−HCl(pH7.4)中に再懸濁させ、再び遠心分離した(30000×g、20分間、4℃)。最終ペレットを、50mMのHEPES(pH7.4)に再懸濁させ、使用前に適切なアリコートに分割して−80℃で保存した。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを基準としてブラッドフォード法(バイオラッド社[Bio-Rad]、USA)により測定した。
【0305】
〔[35S]GTPγS結合アッセイ〕
ヒトmGluR2を含む膜における試験化合物のmGluR2の正のアロステリック調節活性の測定は、凍結した膜を用いて行った。凍結した膜を解凍し、短時間ホモジナイズした後、徐々に濃度を増加させた(0.3nMから50μMまで)正のアロステリック調節因子を含むアッセイ用緩衝液(50mM HEPES(pH7.4)、100mM NaCl、3mM MgCl、50μM GDP、10μg/ml サポニン)および所定の最小濃度のグルタミン酸(PAMアッセイ)を添加または無添加中、96−ウェルマイクロプレートでプレインキュベート(15μg/1アッセイウェル、30分、30℃)した。PAMアッセイでは、膜をEC25濃度、すなわち、最大のグルタミン酸反応の25%を与える濃度あって、既報のデータ(Pin et al. (1999) Eur. J. Pharmacol. 375:277-294)に沿った濃度でグルタミン酸とプレインキュベートした。反応総量を200μlとするために[35S]GTPγS(0.1nM,f.c.)を添加した後、マイクロプレートを短時間振とうし、活性化によって[35S]GTPγSを取り込ませるよう、さらにインキュベートした(30分、30℃)。96−ウェルプレートセルハーベスター(Filtermate、Perkin−Elmer、USA)を使用して、ガラス繊維ろ過プレート(Unifilter96−ウェルGF/bろ過プレート、パーキン−エルマー社[Perkin-Elmer]、Downers Grove、USA)マイクロプレートで急速に減圧ろ過して反応を停止させた。次いで300μlの氷冷洗浄用緩衝液(pH=7.4、NaPO・2HO 10mMおよびNaHPO・HO 10mM)で3回洗浄した。その後、フィルターを風乾し、40μlの液体シンチレーション・カクテル(Microscint−O)を各ウェルに加え、膜に結合した[35S]GTPγSを96穴シンチレーション・プレートリーダー(Top−Count、パーキン−エルマー社、USA)で測定した。非特異的[35S]GTPγS結合は、冷却した10μMのGTPの存在下で測定する。各曲線は、11種の濃度で、データポイント1つ当り2個のサンプルを用いて少なくとも1回実施して得られたものである。
【0306】
〔データ分析〕
正のアロステリック調節(PAM)を測定するため添加したグルタミン酸mGluR2アゴニストのEC25存在下で、本発明の代表的な化合物の濃度−応答曲線を、Prism GraphPadソフトウェア(グラフ・パッド社[Graph Pad Inc]、サンディエゴ、USA)を用いて作成した。曲線は、EC50値を決定することができる、4個のパラメータを有するロジスティック方程式(Y=Bottom+(Top−Bottom)/(1+10^(LogEC50−X)Hill Slope))にフィッティングさせた。EC50は、最大グルタミン酸応答の半分の反応を生じさせる化合物の濃度である。正のアロステリック調節因子がない場合のグルタミン酸応答から、正のアロステリック調節因子が完全に飽和した濃度で存在する場合の最大グルタミン酸反応を差し引くことによってEC50を算出する。よって、最大効果の半分を生じる濃度がEC50として算出される。
【0307】
表3:本発明の化合物の薬理学的データ
正のアロステリック調節(GTPγS−PAM)を測定するために、mGluR2アゴニストであるグルタミン酸が所定のEC25濃度で存在する条件で、すべての化合物について試験した。示されている値は、少なくとも1回の実験から得られた、11種の濃度応答曲線の重複値[duplicate value]の平均である。試験したすべての化合物のpEC50(−logEC50)値が5.0より大きく、5.78(弱い活性)から7.07(極めて高い活性)までの値を示した。1回の実験におけるpEC50の測定値の誤差は、約0.3log−unitsであると推定される。
【0308】
【表3−1】

【0309】
【表3−2】

【0310】
組成物に係る実施例
これら実施例を通して用いた「活性成分」は、式(I)の最終化合物、その薬学的に許容し得る塩、溶媒和物およびその立体化学的異性体に関する。
【0311】
本発明の製剤の処方に係る代表的な実施例を以下に示す:
1.錠剤
活性成分 5〜50mg
ジリン酸カルシウム[Di−calcium phosphate] 20mg
ラクトース 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモ澱粉 ad200mg
この実施例において、活性成分は、本発明の化合物のいずれかと同じ量、特に任意の例示した化合物と同じ量で置換することができる。
【0312】
2.懸濁液
各1ミリリットルに、1〜5mgの活性成分1種、50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトールおよびad1mlの水が含まれるように、水性懸濁液を経口投与用に調製する。
【0313】
3.注射剤
非経口組成物は、本発明の活性成分1.5重量%を10体積%プロピレングリコール水溶液中で撹拌することにより調製する。
【0314】
4.軟膏
活性成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 ad100g
本実施例では、活性成分に代えて、同量の本発明の化合物、特に同量の例示化合物のいずれかを用いることができる。
【0315】
合理的な改変は、本発明の範囲からの逸脱しないものとみなされる。このように記載された本発明が当業者によって様々な方法で改変できることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物もしくはその立体化学的異性体またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
【化1】

[ここで、
は、C1−6アルキル基;
3−7シクロアルキル基;
トリフルオロメチル基;
トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエトキシ、C3−7シクロアルキル、フェニル、または、ハロ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシで置換されたフェニルで置換されたC1−3アルキル基;
フェニル基;
ハロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群より選ばれる1つまたは2つの置換基で置換されたフェニル基;あるいは
4−テトラヒドロピラニル基であり、
は、シアノ基、ハロ、トリフルオロメチル基、C1−3アルキル基またはシクロプロピル基であり、
は、水素;
1−3アルキル基;
3−7シクロアルキル、フェニル、または、ハロ、シアノ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1つもしくは2つの置換基で置換されたフェニルで置換されたC1−3アルキル基;
ピリジニル基、または、1つもしくは2つのC1−3アルキルで置換されたピリジニル基;
ヒドロキシC2−4アルキル基;
1−3アルキルオキシC2−4アルキル基;
4−テトラヒドロピラニル基;
1−オキサ−スピロ[3,5]ノナ−7−イル基;
2−オキサ−スピロ[3,5]ノナ−7−イル基;
1−オキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル基;
2−オキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル基;
4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;
4−(ヒドロキシ)−4−(C1−3アルキル)シクロヘキサニル基;
4−(ヒドロキシ)−4−(C3−7シクロアルキル)−シクロヘキサニル基;
4−(C1−3アルキルオキシ)シクロヘキサニル基;
フェニル基;
ピリジニル基;
ピリジニルメチル基;あるいは、
ハロ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1つもしくは2つの置換基で置換されたフェニル基、ピリジニル基またはピリジニルメチル基であり、
は、水素またはハロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
(ここで、1つまたは2つの水素原子は、C1−3アルキルまたはポリハロC1−3アルキルで置換されてもよい)
の基である。]
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
[ここで、
は、C1−6アルキル基;トリフルオロメチルまたはC3−7シクロアルキルで置換されたC1−3アルキル基であり、
は、シアノ基またはハロであり、
は、水素;C1−3アルキル基;C3−7シクロアルキルで置換されたC1−3アルキル基;ヒドロキシC2−4アルキル基;C1−3アルキルオキシC2−4アルキル;4−テトラヒドロピラニル基;4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;または、4−(ヒドロキシ)−4−(C1−3アルキル)シクロヘキサニル基であり、
は、水素、クロロまたはフルオロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
の基である。]
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
[ここで、
は、トリフルオロメチルで置換されたC1−3アルキル基であり、
は、シアノ基またはクロロであり、
は、水素;メチル;シクロプロピルで置換されたメチルイル基;2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル基;1−メチルエチルオキシエチル基;4−テトラヒドロピラニル基;4−(ヒドロキシ)−シクロヘキサニル基;または4−(ヒドロキシ)−4−(メチル)シクロヘキサニル基であり、
は、水素またはクロロであり、
Aは、式
−CH=CH− (a)または
−CH−CH−O− (b)
の基である。]
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
[ここで、
は、2,2,2−トリフルオロエチル基であり、
は、シアノ基またはクロロであり、
Aは、式 −CH=CH− (a)の基である。]
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
[ここで、
は、2,2,2−トリフルオロエチルであり、
は、シアノ基またはクロロであり、
Aは、式 −CH−CH−O− (b)の基である。]
【請求項6】
治療上の有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項7】
薬剤として使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
不安障害,精神異常,人格障害,物質関連障害,摂食障害,気分障害,片頭痛,てんかんまたは痙攣性疾患、小児期障害、認知障害、神経変性、神経毒性および虚血からなる群より選択される中枢神経系障害[central nervous system disorder]を治療または予防するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
上記中枢神経系障害が、広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症および他の恐怖症からなる群より選ばれる不安障害である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項10】
上記中枢神経系障害が、統合失調症、妄想性障害、統合失調性感情障害、統合失調症様障害、ならびに、強迫性人格障害、分裂病質人格障害および統合失調症性人格障害からなる群より選ばれる物質誘発性精神病性障害または人格障害、からなる群より選ばれる精神異常である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項11】
上記中枢神経系障害が、アルコール乱用、アルコール依存、アルコール離脱、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存、アンフェタミン離脱、コカイン依存、コカイン離脱、ニコチン依存、ニコチン離脱、オピオイド依存およびオピオイド離脱からなる群より選ばれる物質関連障害である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項12】
上記中枢神経系障害が、双極性障害(I型およびII型)、気分循環性障害、鬱病、気分変調性障害、大鬱病性障害および物質誘発性気分障害からなる群より選ばれる気分障害である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項13】
上記中枢神経系障害が、非痙攣性全般てんかん、痙攣性全般てんかん、小発作てんかん重積、大発作性てんかん重積、意識障害を伴うまたは伴わない部分てんかん、乳児痙攣、持続性部分てんかん[epilepsy partialis continua],および他の種類のてんかんからなる群より選ばれるてんかんまたは痙攣性疾患である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項14】
上記小児期障害が、注意欠陥/多動性障害である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項15】
上記中枢神経系障害が、せん妄,物質誘発性の持続的せん妄,認知症,HIV疾病に起因する認知症,ハンチントン病に起因する認知症,パーキンソン病に起因する認知症,アルツハイマー型の認知症,物質誘発性の持続的認知症および軽度認識障害からなる群から選択される認知障害である、請求項8に記載の用途のための化合物。
【請求項16】
患者の中枢神経系障害を治療または予防する方法であって、
患者に必要な有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または請求項6に記載の医薬組成物のを投与することを含み、
上記中枢神経系障害が、不安障害、精神異常、人格障害、物質関連障害、摂食障害、気分障害、片頭痛、てんかんまたは痙攣性疾患、小児期障害、認知障害、神経変性、神経毒性および虚血からなる群より選択される、方法。


【公表番号】特表2012−510437(P2012−510437A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537882(P2011−537882)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008346
【国際公開番号】WO2010/060589
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508278538)オルソー−マクニール−ジャンセン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド. (9)
【出願人】(507088783)アデックス ファーマ エス エー (14)
【Fターム(参考)】