説明

代謝性疾患を処置するためのPPAR温存チアゾリジンジオン塩

本発明は、代謝性疾患(例えば、糖尿病または神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病))の処置および/または予防に有用な式Iの化合物のチアゾリジンジオン類の新しい塩および他の薬学的作用物質に関する。本発明は、チアゾリジンジオンの塩を提供する。式Iの化合物は、それらのそれぞれの塩と同様に、核内転写因子PPARγとの結合性およびPPARγの活性化が低下している。本発明の化合物の塩は、核内転写因子PPARγとの結合性またはPPARγの活性化が低下しており、ナトリウムの再吸収を増強せず、肥満、糖尿病、神経変性疾患および他の代謝性疾患の処置または予防に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2009年12月15日に出願された米国仮特許出願61/286,765号への優先権を主張し、上述の出願の全体の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、代謝性疾患の病態(例えば、糖尿病、肥満および神経変性障害(例えば、アルツハイマー病))の処置および/または予防に有用な、チアゾリジンジオンの新しい塩を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
過去数十年にわたり、PPARγは、インスリン抵抗性を改善する(sensitizing)チアゾリジンジオン化合物にとって一般に許容される作用部位になると科学者により仮定されている。
【0004】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、核内ホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーであり、遺伝子発現を制御するリガンド活性化転写因子である。PPARは、自己免疫疾患および他の疾患、すなわち糖尿病、心血管および消化管疾患、ならびにアルツハイマー病に関与するとされている。
【0005】
PPARγは、脂肪細胞分化および脂質代謝の非常に重要な調節因子である。PPARγは、線維芽細胞、筋細胞、乳房細胞、ヒト骨髄前駆体およびマクロファージ/単球を含む他の細胞型にも見出される。さらにPPARγは、アテローム性動脈硬化プラークにおけるマクロファージ泡沫細胞にも存在することが示されている。
【0006】
元々2型糖尿病の処置のために開発されたチアゾリジンジオンは、一般に、PPARγリガンドとして高い親和性を示す。チアゾリジンジオンが、PPARγとの直接相互作用によりそれらの治療効果を媒介し得るという知見は、PPARγがグルコースおよび脂質のホメオスタシスの非常に重要な調節因子であるという概念を確立するのに役立った。しかし、PPARγの活性化に関与する化合物は、ナトリウムの再吸収および他の不快な副作用も誘起する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、チアゾリジンジオンの塩を提供する。式Iの化合物は、それらのそれぞれの塩と同様に、核内転写因子PPARγとの結合性およびPPARγの活性化が低下している。本発明の化合物の塩は、核内転写因子PPARγとの結合性またはPPARγの活性化が低下しており、ナトリウムの再吸収を増強せず、肥満、糖尿病、神経変性疾患および他の代謝性疾患の処置または予防に有用である。有利には、より低いPPARγ活性を有する化合物は、より高いレベルのPPARγ活性を有する化合物よりも少ない副作用を示す。最も具体的には、これらの化合物の塩は、PPARγ結合性および活性化活性が欠如していることにより、単一治療剤として、またはホスホジエステラーゼ阻害剤、アドレナリン作用性アゴニストもしくは様々なホルモンを含む細胞の環状ヌクレオチドレベルに影響を及ぼす他の作用物質と組み合わせて、肥満または糖尿病の処置および/または予防に特に有用である。さらに本発明の塩は、さらなる処理を受けて、式Iを有する化合物の塩の共結晶を生成することができる。
【0008】
さらにある場合には、本化合物の塩は、それらの遊離酸対応物を上回る改善された生物学的および物理学的特性を有する。例えば、いくつかの化合物の塩は、それらの遊離酸対応物を上回る改善された生体利用能を示す。他の塩は、単一多形(single polymorph)を有し、その遊離酸化合物は、いくつかの多形を有する。
【0009】
一態様では、本発明は、式Iの化合物の塩化水素(HCl)塩を提供する
【0010】
【化1】

[式中、R1およびR4のそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0011】
【化2】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、Rは、HまたはC1〜3アルキルであり、環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0012】
本発明の別の態様は、式Iの化合物の硫酸二水素(dihydrogen sulfate)(HSO)塩を提供する
【0013】
【化3】

[式中、R1およびR4のそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0014】
【化4】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、Rは、HまたはC1〜3アルキルであり、環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0015】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0016】
いくつかの実施形態では、RはCHである。
【0017】
いくつかの実施形態では、Rは、H、メチル、メトキシ、エトキシ、−O−イソプロピル、−CF、−OCHFまたは−OCFである。
【0018】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0019】
いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロまたはアルコキシである。
【0020】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0021】
いくつかの実施形態では、Rはハロである。
【0022】
いくつかの実施形態では、RはC1〜3アルキルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、環Aは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されているフェニルである。いくつかの例では、環Aはフェニルであり、RまたはRの一方は、環Aのパラまたはメタ位に結合している。他の例では、環Aはフェニルであり、RまたはRの一方は、環Aのメタ位に結合している。いくつかの例では、Rは、環Aのパラまたはメタ位に結合している。またいくつかの例では、Rは、FまたはClであり、そのそれぞれは、環Aのパラまたはメタ位に結合している。他の例では、Rは、環Aのパラまたはメタ位に結合しているアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、−O−イソプロピル、ブトキシまたは−O−tertブチル)である。他の例では、環Aはフェニルであり、Rは、フェニル環のメタまたはオルト位に結合している。例えば、環Aはフェニルであり、Rは、フェニル環のオルト位に結合している。ある場合には、環Aはフェニルであり、Rは、メトキシ、エトキシまたは−O−イソプロピルであり、そのいずれかは、環Aのオルト位に結合している。他の場合には、Rは、−CF、−OCHFまたは−OCFである。
【0024】
いくつかの実施形態では、環Aは、必要に応じて置換されているピリジン−2−イルまたは必要に応じて置換されているピリジン−3−イルであり、そのいずれかは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている。いくつかの例では、環Aはピリジン−2−イルであり、RまたはRの一方は、上記環の5位に結合している。他の例では、環Aはピリジン−3−イルであり、RまたはRの一方は、上記環の6位に結合している。いくつかの例では、環Aはピリジン−2−イルであり、Rは、上記環の5位に結合している。例えば、環Aはピリジン−2−イルであり、Rはアルキルまたはアルコキシであり、そのいずれかは、環Aの5位に結合している。他の場合には、環Aはピリジン−2−イルであり、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtertブチルであり、そのいずれかは、環Aの5位に結合している。
【0025】
いくつかの実施形態では、R’はHである。
【0026】
いくつかの実施形態では、Rはヒドロキシである。
【0027】
いくつかの実施形態では、Rは、−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイルである。
【0028】
いくつかの実施形態では、RおよびR’は、一緒になってオキソを形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

から選択される化合物である。
【0032】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

から選択される化合物である。
【0035】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0036】
【化9】

から選択される化合物である。
【0037】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0038】
【化10】

から選択される化合物である。
【0039】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

から選択される化合物である。
【0043】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0044】
【化14】

【0045】
【化15】

から選択される化合物である。
【0046】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0047】
【化16】

から選択される化合物である。
【0048】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0049】
【化17】

【0050】
【化18】

から選択される化合物である。
【0051】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0052】
【化19】

から選択される化合物である。
【0053】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0054】
【化20】

【0055】
【化21】

から選択される化合物である。
【0056】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0057】
【化22】

【0058】
【化23】

から選択される化合物である。
【0059】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0060】
【化24】

【0061】
【化25】

から選択される化合物である。
【0062】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0063】
【化26】

【0064】
【化27】

から選択される化合物である。
【0065】
本発明の別の態様は、
【0066】
【化28】

から選択される化合物の塩酸塩(hydrogen chloride salt)を提供する。
【0067】
本発明の別の態様は、
【0068】
【化29】

【0069】
【化30】

から選択される化合物の硫酸二水素塩を提供する。
【0070】
本発明の別の態様は、式IIIAまたはIIIBの化合物の塩酸塩を提供する
【0071】
【化31】

[式中、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、ハロの1〜3個で必要に応じて置換されており、R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシもしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0072】
【化32】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成することができ、
は、HまたはC1〜3アルキルである]。
【0073】
本発明の別の態様は、式IIIAまたはIIIBの化合物の硫酸二水素塩を提供する
【0074】
【化33】

[式中、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、ハロの1〜3個で必要に応じて置換されており、R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシもしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0075】
【化34】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成することができ、
は、HまたはC1〜3アルキルである]。
【0076】
本発明の別の態様は、式Iの化合物のアルカリ土類金属塩を提供する
【0077】
【化35】

[式中、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0078】
【化36】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、Rは、HまたはC1〜3アルキルであり、環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0079】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属はカリウムである。
【0080】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属はナトリウムである。
【0081】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0082】
いくつかの実施形態では、RはCHである。
【0083】
いくつかの実施形態では、Rは、H、メチル、メトキシ、エトキシ、−O−イソプロピル、−CF、−OCHFまたは−OCFである。
【0084】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0085】
いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロまたはアルコキシである。
【0086】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0087】
いくつかの実施形態では、Rはハロである。
【0088】
いくつかの実施形態では、RはC1〜3アルキルである。
【0089】
いくつかの実施形態では、環Aは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されているフェニルである。いくつかの例では、環Aはフェニルであり、RまたはRの一方は、環Aのパラまたはメタ位に結合している。他の例では、環Aはフェニルであり、RまたはRの一方は、環Aのメタ位に結合している。いくつかの例では、Rは、環Aのパラまたはメタ位に結合している。またいくつかの例では、Rは、FまたはClであり、そのそれぞれは、環Aのパラまたはメタ位に結合している。他の例では、Rは、環Aのパラまたはメタ位に結合しているアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、−O−イソプロピル、ブトキシまたは−O−tertブチル)である。他の例では、環Aはフェニルであり、Rは、上記フェニル環のメタまたはオルト位に結合している。例えば、環Aはフェニルであり、Rは、上記フェニル環のオルト位に結合している。ある場合には、環Aはフェニルであり、Rは、メトキシ、エトキシまたは−O−イソプロピルであり、そのいずれかは、環Aのオルト位に結合している。他の場合には、Rは、−CF、−OCHFまたは−OCFである。
【0090】
いくつかの実施形態では、環Aは、必要に応じて置換されているピリジン−2−イルまたは必要に応じて置換されているピリジン−3−イルであり、そのいずれかは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている。いくつかの例では、環Aはピリジン−2−イルであり、RまたはRの一方は、上記環の5位に結合している。他の例では、環Aはピリジン−3−イルであり、RまたはRの一方は、上記環の6位に結合している。いくつかの例では、環Aはピリジン−2−イルであり、Rは、上記環の5位に結合している。例えば、環Aはピリジン−2−イルであり、Rはアルキルまたはアルコキシであり、そのいずれかは、環Aの5位に結合している。他の場合には、環Aはピリジン−2−イルであり、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtertブチルであり、そのいずれかは、環Aの5位に結合している。
【0091】
いくつかの実施形態では、R’はHである。
【0092】
いくつかの実施形態では、Rはヒドロキシである。
【0093】
いくつかの実施形態では、Rは、−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイルである。
【0094】
いくつかの実施形態では、RおよびR’は、一緒になってオキソを形成する。
【0095】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0096】
【化37】

から選択される化合物である。
【0097】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0098】
【化38】

【0099】
【化39】

から選択される化合物である。
【0100】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0101】
【化40】

【0102】
【化41】

から選択される化合物である。
【0103】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0104】
【化42】

【0105】
【化43】

から選択される化合物である。
【0106】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0107】
【化44】

【0108】
【化45】

から選択される化合物である。
【0109】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0110】
【化46】

【0111】
【化47】

から選択される化合物である。
【0112】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0113】
【化48】

から選択される化合物である。
【0114】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0115】
【化49】

【0116】
【化50】

から選択される化合物である。
【0117】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0118】
【化51】

から選択される化合物である。
【0119】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0120】
【化52】

から選択される化合物である。
【0121】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0122】
【化53】

【0123】
【化54】

から選択される化合物である。
【0124】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0125】
【化55】

から選択される化合物である。
【0126】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、
【0127】
【化56】

【0128】
【化57】

から選択される化合物である。
【0129】
本発明の別の態様は、
【0130】
【化58】

から選択される化合物のアルカリ土類金属塩を提供する。
【0131】
本発明の別の態様は、式IIIAまたはIIIBの化合物のアルカリ土類金属塩を提供する
【0132】
【化59】

[式中、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0133】
【化60】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、Rは、HまたはC1〜3アルキルである]。
【0134】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属はナトリウムである。
【0135】
他の実施形態では、アルカリ土類金属はカリウムである。
【0136】
ここで、例として添付の図を参照しながら本開示を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、式Iの化合物のナトリウム塩のXRPDパターンを示す図である。
【図2】図2は、熱重量分析を行なった、式Iの化合物のナトリウム塩に関する、温度の関数としての重量(%)を示すグラフである。
【図3】図3は、DSC分析を行なった、式Iの化合物のナトリウム塩に関する、温度の関数としての熱流量を示すグラフである。
【図4】図4は、水分吸着分析を行なった、式Iの化合物のナトリウム塩に関する、相対湿度(%)の関数としての重量変化(%)を示すグラフである。
【図5】図5は、式Iの化合物のカリウム塩の、XRPDパターンである。
【図6】図6は、熱重量分析を行なった、式Iの化合物のカリウム塩に関する、温度の関数としての重量(%)グラフである。
【図7】図7は、DSC分析を行なった、式Iの化合物のカリウム塩に関する、温度の関数としての熱流量を示すグラフである。
【図8】図8は、水分吸着分析を行なった、式Iの化合物のカリウム塩に関する、相対湿度(%)の関数としての重量変化(%)を示すグラフである。
【図9】図9は、化合物Aおよびその代謝産物の生体利用能を、そのナトリウム塩の生体利用能と比較するグラフである。
【図10】図10は、化合物Bおよびその金属塩の曲線下面積(AUC)を示すグラフである。
【図11】図11は、マウスモデルにおける化合物Aまたはそのナトリウム塩の投与量の関数としてのグルコース濃度を示すグラフである。
【図12】図12は、5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(化合物A)についてのH NMRスペクトルである。
【図13】図13は、カフェインについてのH NMRスペクトルである。
【図14】図14は、5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンおよびカフェインの例示的共結晶についてのH NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0138】
発明の詳細な説明
本発明は、式Iの化合物などのPPARγ温存(sparing)化合物の塩を提供する。かかる塩は、肥満、糖尿病および神経変性障害などの代謝性疾患の処置に有用である。
【0139】
I.定義
本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、以下の定義が適用される。
【0140】
本発明の目的では、化学元素は、元素周期表CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って同定される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Ed.:Smith、M.B.、およびMarch, J.、John Wiley & Sons、New York:2001年に記載されており、その内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0141】
本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、一般に上に例示され、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されているものなどの、1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0142】
本明細書で使用される場合、用語「脂肪族」は、用語アルキル、アルケニル、アルキニルを包含し、そのそれぞれは、下記の通り必要に応じて置換されている。
【0143】
本明細書で使用される場合、「アルキル」基は、1〜12(例えば、1〜8、1〜6または1〜4)個の炭素原子を含有する飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、直鎖状または有枝鎖状であってよい。アルキル基の例には、それに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチルまたは2−エチルヘキシルが含まれる。アルキル基は、ハロ、ホスホ、脂環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ脂環式(heterocycloaliphatic)[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニルまたは(ヘテロ脂環式)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニルまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノまたはヘテロ脂環式アミノ]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ脂環式オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシなどの1つ以上の置換基で置換されていてよい(すなわち、必要に応じて置換されている)。置換アルキルのいくつかの例には、それに限定されるものではないが、カルボキシアルキル(HOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキルおよびアルキルカルボニルオキシアルキルなど)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル((アルキル−SO−アミノ)アルキルなど)、アミノアルキル、アミドアルキル、(脂環式)アルキル、またはハロアルキルが含まれる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」基は、2〜8(例えば、2〜12、2〜6または2〜4)個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族炭素基を指す。アルケニル基は、アルキル基と同様に直鎖状または有枝鎖状であってよい。アルケニル基の例には、それに限定されるものではないが、アリル、イソプレニル、2−ブテニルおよび2−ヘキセニルが含まれる。アルケニル基は、ハロ、ホスホ、脂環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ脂環式[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、または(ヘテロ脂環式)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノ、ヘテロ脂環式アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えば,アルキル−SO−、脂環式−SO−、またはアリール−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ脂環式オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。置換アルケニルのいくつかの例には、それに限定されるものではないが、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル((アルキル−SO−アミノ)アルケニルなど)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(脂環式)アルケニルまたはハロアルケニルが含まれる。
【0145】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」基は、2〜8(例えば、2〜12、2〜6または2〜4)個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの三重結合を有する脂肪族炭素基を指す。アルキニル基は、直鎖状または有枝鎖状であってよい。アルキニル基の例には、それに限定されるものではないが、プロパルギルおよびブチニルが含まれる。アルキニル基は、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば、脂肪族スルファニルまたは脂環式スルファニル]、スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニルまたは脂環式スルフィニル]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、または脂環式−SO−]、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば、(脂環式)カルボニルまたは(ヘテロ脂環式)カルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0146】
本明細書で使用される場合、「アミド」は、「アミノカルボニル」および「カルボニルアミノ」の両方を包含する。これらの用語は、単独でまたは別の基と関連して使用される場合、末端で使用される際には−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(Rなど、および内部で使用される際には−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−などのアミド基を指し、RおよびRは、脂肪族、脂環式、アリール、アラリファティック(araliphatic)、ヘテロ脂環式、ヘテロアリールまたはヘテロアラリファティック(heteroaraliphatic)であってよい。アミド基の例には、アルキルアミド(アルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニルなど)、(ヘテロ脂環式)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドが含まれる。
【0147】
本明細書で使用される場合、「アミノ」基は、−NRを指し、RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、アラリファティック、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(アラリファティック)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロアラリファティック)カルボニルであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されており、必要に応じて置換されている。アミノ基の例には、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアリールアミノが含まれる。用語「アミノ」が末端基(例えば、アルキルカルボニルアミノ)でない場合には、−NR−によって表される。Rは、上での定義の意味と同じ意味を有する。
【0148】
本明細書で使用される場合、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」に見られるように、より大きい部分の一分として使用される「アリール」基は、単環式(例えば、フェニル)、二環式(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル)および三環式(例えば、フルオレニル テトラヒドロフルオレニルまたはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系を指し、その単環式環系は芳香族であり、または二環式もしくは三環式環系の環の少なくとも1つは芳香族である。二環式および三環式基には、ベンゾ縮合型2〜3員炭素環式環(benzo fused 2−3 membered carbocyclic rings)が含まれる。例えば、ベンゾ縮合基には、2つ以上のC4〜8炭素環式部分と縮合しているフェニルが含まれる。アリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル];脂環式;(脂環式)脂肪族;ヘテロ脂環式;(ヘテロ脂環式)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(脂環式)オキシ;(ヘテロ脂環式)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(アラリファティック)オキシ;(ヘテロアラリファティック)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族炭素環式環上);ニトロ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル;(脂環式)カルボニル;((脂環式)脂肪族)カルボニル;(アラリファティック)カルボニル;(ヘテロ脂環式)カルボニル;((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル;または(ヘテロアラリファティック)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族−SO−またはアミノ−SO−];スルフィニル[例えば、脂肪族−S(O)−または脂環式−S(O)−];スルファニル[例えば、脂肪族−S−];シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;尿素;チオ尿素;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルを含む1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている。あるいは、アリールは置換されていなくてもよい。
【0149】
置換アリールの非限定的な例には、ハロアリール[例えば、モノ−、ジ(p,m−ジハロアリールなど)、および(トリハロ)アリール];(カルボキシ)アリール[例えば、(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、および(アルコキシカルボニル)アリール];(アミド)アリール[例えば、(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、および(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール];アミノアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール];(シアノアルキル)アリール;(アルコキシ)アリール;(スルファモイル)アリール[例えば、(アミノスルホニル)アリール];(アルキルスルホニル)アリール;(シアノ)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;((アルコキシ)アルキル)アリール;(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール;(ニトロアルキル)アリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール;((ヘテロ脂環式)カルボニル)アリール;((アルキルスルホニル)アルキル)アリール;(シアノアルキル)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;(アルキルカルボニル)アリール;アルキルアリール;(トリハロアルキル)アリール;p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール;p−アミノ−m−シアノアリール;p−ハロ−m−アミノアリール;または(m−(ヘテロ脂環式)−o−(アルキル))アリールが含まれる。
【0150】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」基などの「アラリファティック」は、アリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1〜4アルキル基)を指す。「脂肪族」、「アルキル」および「アリール」は、本明細書で定義されている。アラルキル基などのアラリファティックの一例は、ベンジルである。
【0151】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」基は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を指す。「アルキル」および「アリール」は、共に上で定義されている。アラルキル基の一例は、ベンジルである。アラルキルは、脂肪族[例えば、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、またはトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含むアルキル、アルケニル、またはアルキニル]、脂環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノ]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている。
【0152】
本明細書で使用される場合、「二環式環系」には、2個の環を形成する8〜12(例えば、9、10または11)員の構造が含まれ、その2個の環は、少なくとも1つの原子を共有している(例えば、2個の原子を共有している)。二環式環系には、ビシクロ脂肪族(bicycloaliphatic)(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロヘテロ脂肪族(bicycloheteroaliphatic)、二環式アリールおよび二環式ヘテロアリールが含まれる。
【0153】
本明細書で使用される場合、「脂環式」基は、「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基を包含し、そのそれぞれは、下記の通り必要に応じて置換されている。
【0154】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」基は、3〜10(例えば、5〜10)個の炭素原子からなる飽和炭素環式単環式または二環式(縮合または橋状)環を指す。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、クビル(cubyl)、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが含まれる。
【0155】
「シクロアルケニル」基は、本明細書で使用される場合、1つ以上の二重結合を有する3〜10(例えば、4〜8)個の炭素原子からなる非芳香族炭素環式環を指す。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルが含まれる。
【0156】
シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、蛍光体、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(アラリファティック)オキシ、(ヘテロアラリファティック)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(アラリファティック)カルボニルアミノ、(ヘテロ脂環式)カルボニルアミノ、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロアラリファティック)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(アラリファティック)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロアラリファティック)カルボニル]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−]、スルフィニル[例えば、アルキル−S(O)−]、スルファニル[例えば、アルキル−S−]、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0157】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ脂環式」は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基を包含し、そのそれぞれは、下記の通り必要に応じて置換されている。
【0158】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」基は、環原子の1つ以上がヘテロ原子(例えば、N、O、Sまたはその組合せ)である、3〜10員の単環式または二環式(縮合または橋状)(例えば、5〜10員の単環式または二環式)飽和環構造を指す。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェニル(thiopheneyl)、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれる。単環式ヘテロシクロアルキル基は、フェニル部分と縮合して、ヘテロアリールとして分類され得るテトラヒドロイソキノリンなどの構造を形成することができる。
【0159】
「ヘテロシクロアルケニル」基は、本明細書で使用される場合、1つ以上の二重結合を有し、環原子の1つ以上がヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)である、単環式または二環式(例えば、5〜10員の単環式または二環式)非芳香族環構造を指す。単環式および二環式ヘテロ脂環式は、標準の化学命名法に従って番号が付けられる。
【0160】
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、蛍光体、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(アラリファティック)オキシ、(ヘテロアラリファティック)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(アラリファティック)カルボニルアミノ、(ヘテロ脂環式)カルボニルアミノ、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロアラリファティック)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(アラリファティック)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロアラリファティック)カルボニル]、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル]、スルフィニル[例えば、アルキルスルフィニル]、スルファニル[例えば、アルキルスルファニル]、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0161】
「ヘテロアリール」基は、本明細書で使用される場合、4〜15個の環原子を有し、環原子の1つ以上がヘテロ原子(例えば、N、O、Sまたはその組合せ)であり、単環式環系が芳香族であり、または二環式もしくは三環式環系の環の少なくとも1つが芳香族である、単環式、二環式または三環式環系を指す。ヘテロアリール基には、2〜3個の環を有するベンゾ縮合環系が含まれる。例えば、ベンゾ縮合基には、1つまたは2つの4〜8員のヘテロ脂環式部分に縮合したベンゾ(例えば、インドリジル(indolizyl)、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル)が含まれる。ヘテロアリールのいくつかの例は、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリル、シンノリル、キノリル、キナゾリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、イソキノリル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルである。
【0162】
単環式ヘテロアリールには、それに限定されるものではないが、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4−H−プラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルが含まれる。単環式ヘテロアリールは、標準の化学命名法に従って番号が付けられる。
【0163】
二環式ヘテロアリールには、それに限定されるものではないが、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベキソ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダジル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、1,8−ナフチリジル、またはプテリジルが含まれる。二環式ヘテロアリールは、標準の化学命名法に従って番号が付けられる。
【0164】
ヘテロアリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル];脂環式;(脂環式)脂肪族;ヘテロ脂環式;(ヘテロ脂環式)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(脂環式)オキシ;(ヘテロ脂環式)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(アラリファティック)オキシ;(ヘテロアラリファティック)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(二環式または三環式ヘテロアリールの非芳香族炭素環式またはヘテロ環式環上);カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル;(脂環式)カルボニル;((脂環式)脂肪族)カルボニル;(アラリファティック)カルボニル;(ヘテロ脂環式)カルボニル;((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル;または(ヘテロアラリファティック)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル];スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニル];スルファニル[例えば、脂肪族スルファニル];ニトロ;シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;尿素;チオ尿素;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている。あるいは、ヘテロアリールは置換されていなくてもよい。
【0165】
置換ヘテロアリールの非限定的な例には、(ハロ)ヘテロアリール[例えば、モノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール];(カルボキシ)ヘテロアリール[例えば、(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール];シアノヘテロアリール;アミノヘテロアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール];(アミド)ヘテロアリール[例えば、アミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロ脂環式)カルボニル)ヘテロアリール、および((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール];(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシ)ヘテロアリール;(スルファモイル)ヘテロアリール[例えば、(アミノスルホニル)ヘテロアリール];(スルホニル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルスルホニル)ヘテロアリール];(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシアルキル)ヘテロアリール;(ヒドロキシ)ヘテロアリール;((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;(ヘテロ脂環式)ヘテロアリール;(脂環式)ヘテロアリール;(ニトロアルキル)ヘテロアリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール;(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アシル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルカルボニル)ヘテロアリール];(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール[例えば、トリハロアルキルヘテロアリール]が含まれる。
【0166】
「ヘテロアラリファティック(ヘテロアラルキル基など)」は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1〜4アルキル基)を指す。「脂肪族」、「アルキル」および「ヘテロアリール」は、上で定義されている。
【0167】
「ヘテロアラルキル」基は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を指す。「アルキル」および「ヘテロアリール」は、共に上で定義されている。ヘテロアラルキルは、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている。
【0168】
本明細書で使用される場合、「環式部分」および「環式基」は、それぞれが既に定義されている脂環式、ヘテロ脂環式、アリールまたはヘテロアリールを含む、単環式、二環式および三環式環系を指す。
【0169】
本明細書で使用される場合、「橋状二環式環系」は、環が橋架けされている二環式ヘテロ脂環式環系または二環式脂環式環系を指す。橋状二環式環系の例には、それに限定されるものではないが、アダマンタニル、ノルボルナニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デシル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれる。橋状二環式環系は、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0170】
本明細書で使用される場合、「アシル」基は、ホルミル基またはR−C(O)−(「アルキルカルボニル」とも呼ばれるアルキル−C(O)−など)を指し、Rおよび「アルキル」は、既に定義されている。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0171】
本明細書で使用される場合、「アロイル」または「ヘテロアロイル」は、それぞれアリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−を指す。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、既に定義の通り、必要に応じて置換されている。
【0172】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」基は、アルキル−O−基を指し、「アルキル」は既に定義されている。
【0173】
本明細書で使用される場合、「カルバモイル」基は、構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−Rを有する基を指し、RおよびRは、上で定義されており、Rは、脂肪族、アリール、アラリファティック、ヘテロ脂環式、ヘテロアリールまたはヘテロアラリファティックであってよい。
【0174】
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」基は、末端基として使用される際には−COOH、−COOR、−OC(O)H、−OC(O)Rを指し、または内部基として使用される際には−OC(O)−もしくは−C(O)O−を指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、「ハロ脂肪族」基は、1〜3個のハロゲンで置換されている脂肪族基を指す。例えば、用語ハロアルキルには、基−CFが含まれる。
【0176】
本明細書で使用される場合、「メルカプト」基は、−SHを指す。
【0177】
本明細書で使用される場合、「スルホ」基は、末端で使用される際には−SOHもしくは−SOを指し、または内部で使用される際には−S(O)−を指す。
【0178】
本明細書で使用される場合、「スルファミド」基は、末端で使用される際には構造−NR−S(O)−NRを指し、内部で使用される際には−NR−S(O)−NR−を指し、R、RおよびRは、上で定義されている。
【0179】
本明細書で使用される場合、「スルファモイル」基は、構造−O−S(O)−NRを指し、RおよびRは、上で定義されている。
【0180】
本明細書で使用される場合、「スルホンアミド」基は、末端で使用される際には構造−S(O)−NRもしくは−NR−S(O)−Rを指し、または内部で使用される際には−S(O)−NR−もしくは−NR−S(O)−を指し、R、RおよびRは、上で定義されている。
【0181】
本明細書で使用される場合、「スルファニル」基は、末端で使用される際には−S−Rを指し、内部で使用される際には−S−を指し、Rは、上で定義されている。スルファニルの例には、脂肪族−S−、脂環式−S−、アリール−S−等が含まれる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「スルフィニル」基は、末端で使用される際には−S(O)−Rを指し、内部で使用される際には−S(O)−を指し、Rは、上で定義されている。例示的なスルフィニル基には、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロ脂環式−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−等が含まれる。
【0183】
本明細書で使用される場合、「スルホニル」基は、末端で使用される際には−S(O)−Rを指し、内部で使用される際には−S(O)−を指し、Rは、上で定義されている。例示的なスルホニル基には、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、脂環式−S(O)−、ヘテロ脂環式−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(脂環式(アミド(脂肪族)))−S(O)−等が含まれる。
【0184】
本明細書で使用される場合、「スルホキシ」基は、末端で使用される際には−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを指し、内部で使用される際には−O−S(O)−または−S(O)−O−を指し、Rは、上で定義されている。
【0185】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0186】
本明細書で使用される場合、単独で、または別の基と関連して使用される、用語カルボキシに包含される「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−C(O)−などの基を指す。
【0187】
本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」は、アルキル−O−アルキル−などのアルキル基を指し、アルキルは、上で定義されている。
【0188】
本明細書で使用される場合、「カルボニル」は−C(O)−を指す。
【0189】
本明細書で使用される場合、「オキソ」は=Oを指す。
【0190】
本明細書で使用される場合、用語「ホスホ」は、ホスフィネートおよびホスホネートを指す。ホスフィネートおよびホスホネートの例には、−P(O)(Rが含まれ、Rは、脂肪族、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシアリール、ヘテロアリール、脂環式またはアミノである。
【0191】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」は、構造(RN−アルキル−を指す。
【0192】
本明細書で使用される場合、「シアノアルキル」は、構造(NC)−アルキル−を指す。
【0193】
本明細書で使用される場合、「尿素」基は、構造−NR−CO−NRを指し、「チオ尿素」基は、末端で使用される際には構造−NR−CS−NRを指し、内部で使用される際には−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−を指し、R、RおよびRは、上で定義されている。
【0194】
本明細書で使用される場合、「グアニジン」基は、構造−N=C(N(R))N(R)または−NR−C(=NR)NRを指し、RおよびRは、上で定義されている。
【0195】
本明細書で使用される場合、用語「アミジノ」基は、構造−C=(NR)N(R)を指し、RおよびRは、上で定義されている。
【0196】
一般に、用語「ビシナル(vicinal)」は、2個以上の炭素原子を含む1個の基上に複数の置換基が位置し、それらの置換基が、隣接している炭素原子に結合していることを指す。
【0197】
一般に、用語「ジェミナル」は、2個以上の炭素原子を含む1個の基上に複数の置換基が位置し、それらの置換基が、同じ炭素原子に結合していることを指す。
【0198】
用語「末端で」および「内部で」は、置換基内の基の位置を指す。基が置換基の末端に存在し、化学構造の残りにそれ以上結合しない場合、その基は末端にある。カルボキシアルキル、すなわちRO(O)C−アルキルは、末端で使用されるカルボキシ基の一例である。基が化学構造の置換基の中央に存在する場合、その基は内部にある。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)O−またはアルキル−OC(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)O−アリール−またはアルキル−O(CO)−アリール−)は、内部で使用されるカルボキシ基の例である。
【0199】
本明細書で使用される場合、「脂肪族鎖」は、有枝鎖状または直鎖状脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基)を指す。直鎖状脂肪族鎖は、構造−[CH−を有し、vは1〜12である。有枝鎖状脂肪族鎖は、1つ以上の脂肪族基で置換されている直鎖状脂肪族鎖である。有枝鎖状脂肪族鎖は、構造−[CQQ]−を有し、Qは、独立に、水素または脂肪族基であり、ただしQは、少なくともある場合には脂肪族基であるものとする。脂肪族鎖という用語には、アルキル鎖、アルケニル鎖およびアルキニル鎖が含まれ、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、上で定義されている。
【0200】
句「必要に応じて置換されている」は、句「置換または非置換」と交換可能に使用される。本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、一般に上で例示され、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されているものなどの、1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。本明細書に記載の通り、変数R、R、R’、RおよびR、ならびに本明細書に記載の式Iに含有される他の変数は、アルキルおよびアリールなどの具体的な基を包含する。別段示されない限り、変数R、R、R’、RおよびR、ならびにそれに含有される他の変数に関する具体的な基のそれぞれは、本明細書に記載の1つ以上の置換基で必要に応じて置換されていてよい。具体的な基の各置換基は、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、ハロアルキルおよびアルキルの1〜3個で必要に応じてさらに置換されている。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルで置換されていてよく、アルキルスルファニルは、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキルおよびアルキルの1〜3個で必要に応じて置換されていてよい。さらなる一例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、ハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキルおよびアルキルの1〜3個で必要に応じて置換されていてよい。2つのアルコキシ基が、同じ原子または隣接する原子に結合している場合、その2つのアルコキシ基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、環を形成することができる。
【0201】
一般に、用語「置換されている」は、用語「必要に応じて」が先行していても先行していなくても、所与の構造の水素ラジカルが特定の置換基のラジカルで置き換えられていることを指す。具体的な置換基は、上記の定義において、ならびに以下の化合物の説明およびその例において記載されている。別段指定されない限り、必要に応じて置換されている基は、その基のそれぞれ置換可能な位置に置換基を有することができ、任意の所与の構造において、2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、その置換基は、位置ごとに同じでも異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルなどの環置換基(ring susbtituent)は、シクロアルキルなどの別の環と結合して、例えば両方の環が1個の共通の原子を共有している、スピロ二環式環系(spiro−bicyclic ring system)を形成することができる。当業者には認識される通り、本発明で想定される置換基の組合せは、安定なまたは化学的に可能な化合物を形成する組合せである。
【0202】
句「安定なまたは化学的に可能な」は、本明細書で使用される場合、本明細書に開示の目的の1つ以上のために、化合物の生成、検出、好ましくはそれらの回収、精製および使用を可能にする条件に曝露されても、実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態では、安定な化合物または化学的に可能な化合物は、湿気または他の化学的に反応性の条件なしに、40℃以下の温度で少なくとも1週間保持されても、実質的に変化しない化合物である。
【0203】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、処置を受ける患者に治療効果をもたらすのに必要な量と定義され、一般に患者の年齢、表面積、体重および状態に基づいて決定される。動物およびヒトに対する投与量の相互関係(体表面積1平方メートル当たりのミリグラムに基づく)は、Freireich ら、Cancer Chemother. Rep.、50巻:219頁(1966年)に記載されている。体表面積は、患者の身長および体重からおおまかに決定することができる。例えば、Scientific Tables、Geigy Pharmaceuticals、Ardsley、New York、537頁(1970年)参照。本明細書で使用される場合、「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指す。
【0204】
別段指定されない限り、本明細書に図示した構造は、その構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態および幾何(または配座)形態)、例えば各不斉中心についてのRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことも意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学的な異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲に含まれる。別段指定されない限り、本発明の化合物のすべての互変異性形態が、本発明の範囲に含まれる。さらに、別段指定されない限り、本明細書に図示した構造は、1つ以上の同位体富化原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意味する。本発明の構造を有する化合物は、例えば、水素が重水素もしくはトリチウムによって置き換えられている、または炭素が13Cもしくは14C富化炭素によって置き換えられていることを除いて、本発明の範囲に含まれる。かかる化合物は、例えば生物学的アッセイにおける分析的ツールもしくはプローブとして、または治療剤として有用である。
【0205】
本明細書で使用される場合、「アドレナリン作用性アゴニスト」は、任意のアドレナリン作用性受容体(例えば、β、β、β)に対してアゴニスト活性を有する任意の化合物を指す。用語「ベータ−アドレナリン作用性」および「β−アドレナリン作用性」は、交換可能に使用されることに留意されたい。この使用法は、ベータアゴニストのサブタイプにも適用される(例えば、「ベータ−1−アドレナリン作用性アゴニスト」は、「β1−アドレナリン作用性アゴニスト」および/または「β−アドレナリン作用性アゴニスト」と交換可能に使用される)。
【0206】
本明細書で使用される場合、用語「共結晶」は、結晶格子内に2つ以上の異なる分子の構成成分(例えば、式Iの化合物またはその塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤)を有する実質的に結晶性の材料を指す。
【0207】
化学構造および命名法は、ChemDraw、version 11.0.1、Cambridge、MAに由来する。
【0208】
II.塩
チアゾリジンジオン化合物(例えば、式Iの化合物)を含む本発明の塩は、患者の肥満(例えば、中心性肥満)、糖尿病および/または神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、認知症等)などの代謝性疾患の処置または予防に比類なく有効であり、これらの塩は、PPARγとの相互作用が少ない。したがってこれらの化合物の塩は、PPARγ活性化化合物よりも少ない、PPARγ相互作用に関連する副作用を示す。
A.式Iの化合物
本発明は、式Iの化合物の塩
【0209】
【化61】

または薬学的に許容されるその塩を提供する[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、
は、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0210】
【化62】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、または
およびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
は、HまたはC1〜3アルキルであり、
環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0211】
一態様では、本発明は、式Iの化合物の塩酸塩を提供する
【0212】
【化63】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、ハロの1〜3個で必要に応じて置換されており、
R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシもしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0213】
【化64】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成することができ、
は、HまたはC1〜3アルキルであり、
環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0214】
本発明の別の態様は、式Iの化合物の硫酸二水素塩を提供する
【0215】
【化65】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、ハロの1〜3個で必要に応じて置換されており、
R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシもしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0216】
【化66】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成することができ、
は、HまたはC1〜3アルキルであり、
環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0217】
本発明の別の態様は、式Iの化合物のアルカリ土類金属塩を提供する
【0218】
【化67】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、上記脂肪族またはアルコキシは、ハロの1〜3個で必要に応じて置換されており、
R’はHであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシもしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【0219】
【化68】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成することができ、
は、HまたはC1〜3アルキルであり、
環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【0220】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属はカリウムであり、他の実施形態では、アルカリ土類金属はナトリウムである。
【0221】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、FまたはClなどのハロである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されている脂肪族である。例えば、Rは、トリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルコキシである。例えば、Rは、メトキシ、エトキシまたは−O−イソプロピルである。さらに他の実施形態では、Rは、1〜3個のハロで置換されているアルコキシである。例えば、Rは、−OCHFまたは−OCFである。先の実施形態のそれぞれでは、Rは、環Aのオルト、メタまたはパラ位において置換されていてよい。特定の実施形態では、Rは、環Aのパラまたはメタ位において置換されている。
【0222】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、FまたはClなどのハロである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されている脂肪族である。例えば、Rは、トリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルコキシである。例えば、Rは、メトキシ、エトキシまたは−O−イソプロピルである。さらに他の実施形態では、Rは、1〜3個のハロで置換されているアルコキシである。例えば、Rは、−OCHFまたは−OCFである。先の実施形態のそれぞれでは、Rは、環Aのオルト、メタまたはパラ位において置換されていてよい。特定の実施形態では、Rは、環Aのパラまたはメタ位において置換されている。いくつかの実施形態では、RおよびRは、異なる置換基である。さらに他の実施形態では、RおよびRは、同じ置換基である。いくつかの実施形態では、Rが脂肪族である場合、RはH以外である。
【0223】
いくつかの実施形態では、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、その脂肪族およびアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されている。
【0224】
いくつかの実施形態では、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、その脂肪族およびアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されている。
【0225】
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、ヒドロキシ、脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、または
【0226】
【化69】

であり、各Rは、C1〜6アルキルであり、Rは、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルまたはフェニルであり、各置換基RまたはRは、必要に応じて置換されている。
【0227】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
【0228】
いくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0229】
いくつかの実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている直鎖状もしくは有枝鎖状のC1〜6アルキル、必要に応じて置換されている直鎖状もしくは有枝鎖状のC2〜6アルケニル、または必要に応じて置換されている直鎖状もしくは有枝鎖状のC2〜6アルキニルである。他の実施形態では、Rは、1〜2個のヒドロキシ、カルボキシまたはハロで必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族である。他の実施形態では、Rは、ヒドロキシで必要に応じて置換されているC1〜6アルキルである。さらなる実施形態では、Rは、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイルで必要に応じて置換されているC1〜6アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシで必要に応じて置換されている。いくつかのさらなる実施形態では、Rは、メチルまたはエチルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシで置換されている。
【0230】
特定の実施形態では、Rは、−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイル(heteroaryoyl)である。
【0231】
他の実施形態では、Rは、−O−アセチル、−O−ヘキサノイル、−O−ベンゾイル、−O−ピバロイル、−O−イミダゾリル、−O−スクシノイル、−O−チアゾロイル(thiazoloyl)または−O−ピリジノイルであり、それぞれ必要に応じて置換されている。
【0232】
いくつかの実施形態では、Rは、−O−C(O)−イミダゾール−1−イルである。
【0233】
特定の実施形態では、Rは、−O−CH(R)−O−C(O)−Rである。
【0234】
いくつかの実施形態では、Rは、−O−CH(R)OP(O)(ORである。
【0235】
いくつかの実施形態では、Rは、−O−P(O)(ORである。
【0236】
他の実施形態では、Rは、−O−S(O)NHである。
【0237】
いくつかのさらなる実施形態では、Rは、式
【0238】
【化70】

の1,3−ジオキソラン−2−オンであり、RおよびRは、上記の通りである。
【0239】
いくつかの実施形態では、R’はHである。
【0240】
いくつかの実施形態では、RおよびR’は、一緒になってオキソを形成する。
【0241】
いくつかの実施形態では、R’はHであり、Rは、R配置を有する。
【0242】
いくつかの実施形態では、R’はHであり、Rは、S配置を有する。
【0243】
いくつかの実施形態では、R’はHであり、Rはラセミである。
【0244】
さらなる実施形態では、環Aはフェニルまたはピリジニルである。
【0245】
いくつかの実施形態では、環Aはピリジン−2−イルである。
【0246】
いくつかの実施形態では、環Aはピリジン−3−イルである。
【0247】
いくつかの実施形態では、環Aはピリジン−4−イルである。
【0248】
他の実施形態では、RはHまたは必要に応じて置換されているC1〜3アルキルである。
【0249】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0250】
いくつかの実施形態では、RはCHである。
【0251】
本発明の別の態様は、式II、IIAまたはIIBの化合物の塩(例えば、塩酸塩、硫酸二水素塩またはアルカリ土類金属塩)を提供する。
【0252】
【化71】

別の態様では、本発明は、式IIIの化合物の塩(例えば、塩酸塩、硫酸二水素塩またはアルカリ土類金属塩)を提供する
【0253】
【化72】

[式中、Qは、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、−SONH、−CH(R)OC(O)R、−CH(R)OP(O)(OR、−P(O)(OR、または
【0254】
【化73】

であり、各Rは、C1〜6アルキルであり、Rは、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルまたはフェニルであり、各置換基は、必要に応じて置換されている]。
【0255】
いくつかの実施形態では、式IIIのQはアシルである。
【0256】
いくつかの実施形態では、式IIIのQは、−アセチル、−ヘキサノイル、−ベンゾイル、−ピバロイル、−スクシノイルであり、それぞれ必要に応じて置換されている。
【0257】
特定の実施形態では、式IIIのQはアセチルである。
【0258】
特定の実施形態では、式IIIのQはヘキサノイルである。
【0259】
特定の実施形態では、式IIIのQはベンゾイルである。
【0260】
特定の実施形態では、式IIIのQはピバロイルである。
【0261】
特定の実施形態では、式IIIのQはスクシノイルである。
【0262】
別の態様では、本発明は、式IIIAまたはIIIBの化合物の塩(例えば、塩酸塩、硫酸二水素塩またはアルカリ土類金属塩)を提供する
【0263】
【化74】

[式中、R、R、R’およびRは、式Iで上に定義されており、Rは水素である]。
【0264】
この態様のいくつかの実施形態では、RおよびR’は、一緒になってオキソを形成する。
【0265】
いくつかの実施形態では、塩は、式IIIAまたはIIIBの化合物のナトリウム塩である。いくつかの実施形態では、塩は、式IIIAまたはIIIBの化合物のカリウム塩である。
【0266】
別の態様では、本発明は、式IVAまたはIVBの化合物の塩(例えば、塩酸塩、硫酸二水素塩またはアルカリ土類金属塩)を提供する
【0267】
【化75】

[式中、R’はHであり、Rは、H、−OH、−O−アシル、−O−アロイルもしくは−O−ヘテロアロイル(heteroaryoyl)であり、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成し、Rは、式Iで上に定義されており、Rは水素である]。
【0268】
さらなる実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、H、−O−アセチル、−O−ヘキサノイル、−O−ベンゾイル、−O−ピバロイル、−O−スクシノイルであり、それぞれ必要に応じて置換されている。
【0269】
いくつかの実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、Hである。
【0270】
特定の実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、−O−アセチルである。
【0271】
特定の実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、−O−ヘキサノイルである。
【0272】
特定の実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、−O−ベンゾイルである。
【0273】
特定の実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、−O−ピバロイルである。
【0274】
特定の実施形態では、式IVAまたはIVBのQは、−O−スクシノイルである。
【0275】
式Iのいくつかの例示的化合物を、以下で表A〜Lに提供する。
【0276】
表A:RおよびR’がオキソを形成する例示的化合物
【0277】
【化76】

【0278】
【化77】

表B:環Aがフェニルであり、Rが、(R)配置を有する−OHであり、R’がHである例示的化合物
【0279】
【化78】

表C:Rが、(S)配置を有するOHであり、R’がHである例示的化合物
【0280】
【化79】

表D:Rがラセミ−OHであり、R’がHである例示的化合物
【0281】
【化80】

表E:Rが、−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイル(heteroyl)であり、R’がHである例示的化合物
【0282】
【化81】

【0283】
【化82】

【0284】
【化83】

【0285】
【化84】

表F:Rが、−O−CH(R)−O−C(O)Rであり、R’がHである例示的化合物
【0286】
【化85】

表G:Rが、−O−CH(R)OP(O)(ORであり、R’がHである例示的化合物
【0287】
【化86】

表H:Rが、−O−P(O)(ORであり、R’がHである例示的化合物
【0288】
【化87】

【0289】
【化88】

表I:Rが、−O−SONHであり、R’がHである例示的化合物
【0290】
【化89】

表J:R
【0291】
【化90】

であり、R’がHである例示的化合物
【0292】
【化91】

【0293】
【化92】

表K:ピリジン−2−イル化合物
【0294】
【化93】

【0295】
【化94】

表L:ピリジン−3−イル化合物
【0296】
【化95】

【0297】
【化96】

本発明の別の態様は、式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物の酸性塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、カフェイン)を含む薬学的組成物を提供する。例えば、共結晶は、式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物のHCl塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。別の例では、共結晶は、式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物のHSO塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、カフェイン)を含む。
【0298】
本発明の別の態様は、3μMを超える循環レベルをもたらすように投与される場合にロシグリタゾンの活性に対して50%以下のPPARγ活性を有するか、または同じ投与量でピオグリタゾンの10分の1のPPARγ活性を有する式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物を含む塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤を提供する。
【0299】
本発明の別の態様は、式Iの化合物の塩、ホスホジエステラーゼ阻害剤および薬学的に許容されるキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0300】
B.ホスホジエステラーゼ阻害剤
いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、選択的阻害剤または非選択的阻害剤である。
【0301】
例えば、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、非選択的阻害剤である。ある場合には、非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤には、カフェイン(1,3,7−トリメチルキサンチン)、テオブロミン(3,7−ジメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオフィリン(1,3−ジメチル−7H−プリン−2,6−ジオン)、その組合せ等が含まれる。
【0302】
別の例では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、選択的阻害剤である。例えば、選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤には、ミルリノン(2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−5−カルボニトリル)、シロスタゾール(6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン)、シロミラスト(4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸)、ロリプラム(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)ピロリジン−2−オン)、ロフルミラスト(3−(シクロプロピルメトキシ)−N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)、その組合せ等が含まれる。
【0303】
いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、約1:1〜約1:5(例えば、1:1、1:2、1:3または1:4)の比で共結晶中に存在し、この比は、式Iの化合物の量に対するホスホジエステラーゼ阻害剤の量、すなわちホスホジエステラーゼ阻害剤の量(グラムで):式Iの化合物の量(グラムで)を表す。いくつかの実施形態では、共結晶は、結晶の形成を亢進するために使用される弱酸などの方法人為産物(method artifact)を含むことにも留意されたい。
【0304】
一実施形態では、共結晶は、約1:1〜約1:2.5(例えば、約1:1.25〜約1:2)の比で存在するカフェインおよび式Iの化合物を含む(比は、式Iの化合物の量に対するホスホジエステラーゼ阻害剤の量(グラムで)を表す)。一例では、共結晶は、1:1.5の比で、すなわち式Iの化合物に対して約40wt%で存在するカフェインおよび式Iの化合物を含む。別の例では、共結晶は、5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンおよびカフェインを含み、カフェインは、5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンに対して約1:1.25〜約1:1.75(例えば、約1:1.5)の比で存在する。
【0305】
他の実施形態では、本発明は、式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物または薬学的に許容されるその塩、およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む共結晶を提供する。
【0306】
C.他の薬学的組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物の塩および患者の細胞の環状ヌクレオチドレベルに影響を及ぼす(例えば、増大させる)(例えば、cAMPを増大させる)作用物質を含む薬学的組成物を提供する。患者のcAMPを増大させる作用物質には、それに限定されるものではないが、β−アドレナリン作用性アゴニスト、ホルモン(例えば、GLP1)、その任意の組合せ等が含まれる。
【0307】
特定の一例では、薬学的組成物は、式Iの化合物の塩およびβ−アドレナリン作用性アゴニストを含み、上記塩は、化合物
【0308】
【化97】

の塩酸塩、硫酸塩またはアルカリ土類金属塩を含む。
【0309】
本発明の別の態様は、式I、II、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物の塩およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む共結晶、ベータアドレナリン作用性アゴニストおよび少なくとも1つの追加の体重減少薬物を含む薬学的組成物を提供する。他の体重減少薬物の非限定的な例には、食欲抑制薬(例えば、Meridia等)、脂肪吸収阻害剤(例えば、Xenical等)、またはエフェドリンもしくはその様々な塩などの交感神経興奮活性を増強する化合物が含まれる。
【0310】
III.一般合成スキーム
式I、およびIIの化合物は、公知の方法によって、市販のまたは公知の出発材料から容易に合成することができる。式I、II、IIA、IIB、III、IIIA、IIIB、IVAまたはIVBの化合物を生成するための例示的な合成経路を、以下のスキーム1に示す。
【0311】
スキーム1
【0312】
【化98】

スキーム1に関して、出発材料1aを還元して、アニリン1bを形成する。アニリン1bを、臭化水素酸、アクリル酸エステルおよび酸化第一銅などの触媒の存在下でジアゾ化して、アルファ−ブロモ酸エステル1cを生成する。アルファ−ブロモ酸エステル1cをチオ尿素で環化して、ラセミ体のチアゾリジンジオン1dを生成する。HPLCなどの任意の適切な方法を使用して、式IIの化合物をラセミ混合物から分離することができる。
【0313】
以下のスキーム2では、RおよびR’は、オキソ基または−O−Qを形成し、Rは水素である。
【0314】
スキーム2
【0315】
【化99】

スキーム2に関して、出発材料2aを、塩基条件下(例えば、NaOH水溶液)で4−ヒドロキシベンズアルデヒド(hydroxybenzalde)と反応させて、位置異性アルコール2b(regioisomeric alcohol 2b)の混合物を得、それをクロマトグラフィーによって分離した。位置異性アルコール2bを、ピロリジンを塩基として使用して2,4−チアゾリジンジオンと反応させて、化合物2cを得る。水素化ホウ素ナトリウムを用いるコバルト触媒型の還元により、化合物2dを得、それを、例えばジメチルスルホキシドの存在下で五酸化リンを用いて酸化して、ケトン2eを得る。あるいは、Rが−O−Qである式Iの化合物は、アルキル化、アシル化、スルホン化またはリン酸化の公知の方法を使用して、ヒドロキシ化合物2dから調製することができる。
【0316】
V.使用、製剤および投与
上で論じた通り、本発明は、肥満、糖尿病および/または神経変性障害などの代謝性疾患のための処置手段または予防手段として有用な共結晶を提供する。
【0317】
したがって、本発明の別の態様では、本明細書に記載の共結晶のいずれかを含み、必要に応じて薬学的に許容されるキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む薬学的に許容される組成物が提供される。特定の実施形態では、これらの組成物は、必要に応じて1つ以上の追加の治療剤(therapeutic agent)をさらに含む。
【0318】
本発明の化合物のいくつかは、処置に合った遊離形態で、または適切な場合には薬学的に許容されるその誘導体もしくはプロドラッグとして存在し得ることも理解されよう。本発明によれば、薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグには、それに限定されるものではないが、必要としている患者に投与されると、本明細書の他所に記載の化合物またはその代謝産物もしくは残留物(residue)を直接的または間接的に提供することができる、薬学的に許容される塩、エステル、かかるエステルの塩、または任意の他の付加物もしくは誘導体が含まれる。
【0319】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、良好な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比に見合う塩を指す。「薬学的に許容される塩」は、レシピエントに投与されると、本発明の化合物または阻害活性のあるその代謝産物もしくは残留物を直接的または間接的に提供することができる本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。
【0320】
薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、S. M. Bergeらは、参照によって本明細書に組み込まれるJ. Pharmaceutical Sciences、1977年、66巻、1〜19頁において、薬学的に許容される塩について詳説している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機酸および有機酸および適切な無機塩基および有機塩基に由来する塩が含まれる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用されている他の方法を使用して形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が含まれる。本発明は、本明細書に開示の化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。水溶性または油溶性または分散性生成物は、かかる四級化によって得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されたアミンカチオンが含まれる。
【0321】
上記の通り、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容されるキャリア、アジュバントまたはビヒクルをさらに含み、これには、本明細書で使用される場合、所望の特定の剤形に適した任意のおよびすべての溶媒、賦形剤または他の液体ビヒクル、分散物(dispersion)または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体バインダー、滑沢剤等が含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E. W. Martin(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1980年)は、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々なキャリアおよびその調製のための公知の技術を開示している。任意の望ましくない生物学的作用をもたらす、またはその他の方法で薬学的に許容される組成物の任意の他の構成成分(複数可)と有害な方式で相互作用するなどによって任意の従来のキャリア媒体が本発明の化合物と適合しない場合を除き、そのキャリアの使用は、本発明の範囲に含まれるものとする。薬学的に許容されるキャリアとして働くことができる材料のいくつかの例には、それに限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、植物性飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンなどのデンプン;セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末化トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤ワックスなどの添加剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の適合性のある滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料、保存剤および抗酸化剤が含まれ、これらは処方者(formulator)の判断に従って組成物中に存在することもできる。
【0322】
本発明によれば、化合物または薬学的に許容される組成物の「有効量」は、癌性疾患の処置するかまたはその重症度を軽減するのに有効な量である。
【0323】
薬学的組成物は、本発明の方法に従って、肥満および/または肥満に関連する疾患を処置するかまたはその重症度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与することができる。
【0324】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および全体的な状態、感染の重症度、特定の作用物質、その投与方法等に応じて被験体ごとに変わる。本発明の化合物は、好ましくは投与を容易にし、投与量を均一にするために単位剤形に製剤化される。表現「単位剤形」は、本明細書で使用される場合、処置を受ける患者に適した、作用物質の物理的に別個の単位を指す。しかし、本発明の化合物および組成物の1日当たりの合計使用量は、担当医によって良好な医学的判断の範囲内で決定されることを理解されよう。任意の特定の患者または生物に合った具体的な有効用量レベルは、処置を受ける障害および障害の重症度、使用される具体的な化合物の活性、使用される具体的な組成物、患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事、使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排出速度、処置期間、使用される具体的な化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医療分野で公知の因子を含む様々な因子に依存することになる。用語「患者」は、本明細書で使用される場合、動物、例えば哺乳動物、より具体的にはヒトを意味する。
【0325】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置を受ける感染症の重症度に応じて、ヒトおよび他の動物に、経口で、直腸に、非経口で、槽内に、腟内に、腹腔内に、局所(散剤、軟膏または点滴剤(drops)などによるに)、口腔に(bucally)、経口または鼻腔用スプレーとして、などで投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、被験体の体重1kgあたり1日あたり約0.01mg〜約50mg、好ましくは約1mg〜約25mgの投与レベルで経口または非経口で1日1回または複数回投与して、所望の治療効果を得ることができる。あるいは、本発明の化合物は、10mg/kgおよび約120mg/kgの間の投与レベルで経口または非経口投与することができる。
【0326】
経口投与用の液体剤形には、それに限定されるものではないが、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、活性な化合物に加えて、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などの、当技術分野で一般に使用されている不活性賦形剤を含有することができる。経口組成物は、不活性賦形剤に加えて、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤および香料などのアジュバントを含むこともできる。
【0327】
注射可能な調製物、例えば、注入可能な滅菌水性または油性懸濁物は、公知の技術に従って、適切な分散剤(dispersing agent)または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化することができる。注入可能な滅菌調製物は、非毒性の許容される非経口用賦形剤または溶媒中の注入可能な滅菌溶液、懸濁物またはエマルジョン、例えば1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに無菌固定油は、慣習的に、溶媒または懸濁化媒体として使用されている。この目的に合った、合成のモノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を使用することができる。さらに、注射可能な調製物には、オレイン酸などの脂肪酸が使用される。
【0328】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の注入可能な滅菌媒体に溶解もしくは分散させることができる無菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0329】
本発明の化合物の効果を延ばすために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を緩徐にすることが望ましいことが多い。これは、水溶解度が低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁物の使用によって達成され得る。化合物の吸収速度は、次にその溶解速度に応じて変わり、この溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形に応じて変わり得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延吸収は、油ビヒクルに化合物を溶解または懸濁させることによって達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内に化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。化合物とポリマーの比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を調節することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポー製剤は、身体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0330】
直腸または膣投与用の組成物は、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが体温で液体になり、したがって直腸または膣腔内で融解し、活性な化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性の添加剤またはキャリアと混合することによって調製され得る、坐剤であることが好ましい。
【0331】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が含まれる。かかる固体剤形では、活性な化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤(humectant)、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤(wetting agent)、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにその混合物などの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される添加剤またはキャリアと混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0332】
類似の種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの添加剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび薬学的製剤化技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらの固体剤形は、必要に応じて乳白剤を含有することができ、そして、それらは、腸管の特定部分で活性成分(複数可)のみを、または活性成分(複数可)を優先的に、必要に応じて遅延方式で、放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、ポリマー性物質およびワックスが含まれる。類似の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような添加剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することができる。
【0333】
活性な化合物は、上記の1つ以上の添加剤を有するマイクロカプセル化形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出調節コーティングおよび薬学的製剤化技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。かかる固体剤形では、活性な化合物を、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性賦形剤と混ぜ合わせることができる。かかる剤形は、通常の慣行通り、不活性賦形剤以外の追加物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの打錠用滑沢剤および他の打錠用助剤を含むこともできる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、その剤形は、緩衝剤を含むこともできる。これらの固体剤形は、必要に応じて乳白剤を含有することができ、そして、それらは、腸管の特定部分で活性成分(複数可)のみを、または活性成分(複数可)を優先的に、必要に応じて遅延方式で、放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、ポリマー性物質およびワックスが含まれる。
【0334】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤または貼剤が含まれる。活性な構成成分は、無菌条件下で薬学的に許容されるキャリアおよび任意の必要な保存剤または必要な場合は緩衝剤と混ぜ合わされる。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本発明の範囲に含まれるものとする。さらに本発明は、身体への化合物の送達を調節するというさらなる利点を有する経皮貼剤の使用を企図する。かかる剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または分散させることによって調製される。吸収促進剤を使用して、皮膚を越える化合物の流れを増大させることもできる。その速度は、速度調節膜を提供することによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに化合物を分散させることによって調節することができる。
【0335】
一般に上記の通り、本発明の化合物は、癌性疾患の処置に有用である。
【0336】
肥満および/または体重の減少の処置として本発明において利用される化合物の活性、またはより重要には、その化合物の低下したPPARγ活性を、一般に当技術分野で説明されている方法および本明細書に記載の実施例に従ってアッセイすることができる。
【0337】
本発明の化合物および薬学的に許容される組成物は、併用療法において使用することができ、すなわち本化合物および薬学的に許容される組成物は、1つ以上の他の所望の治療または医療手順と同時、その前、またはその後に投与され得ることも理解されよう。組合せレジメンにおいて使用される療法(治療または手順)の特定の組合せについては、所望の処置および/または手順の適合性ならびに達成されるべき所望の治療効果が考慮される。使用される複数の療法は、同じ障害に対して所望の効果を達成し得ること(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を処置するために使用される別の作用物質と同時に投与することができる)、または異なる効果(例えば、任意の有害作用の調節)を達成し得ることも理解されよう。本明細書で使用される場合、普通は特定の疾患または状態を処置または予防するために投与される追加の治療剤は、「処置を受ける疾患または状態に適した」ものとして公知である。
【0338】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、普通はその治療剤を唯一の活性剤として含む組成物として投与する量以下である。好ましくは、現在開示の組成物における追加の治療剤の量は、その作用物質を治療活性のある唯一の作用物質として含む組成物中に普通は存在する量の、約50%〜100%の範囲になる。
【0339】
本発明の化合物または薬学的に許容されるその組成物は、人工関節、人工弁、血管グラフト、ステントおよびカテーテルなどの埋込み式の医療デバイスをコーティングするための組成物に組み込むこともできる。したがって本発明は、別の態様では、一般に上記のとおりの、および本明細書中のクラスおよびサブクラスびおける、本発明の化合物ならびに上記埋込み式デバイスをコーティングするのに適したキャリアを含む、埋込み式デバイスをコーティングするための組成物を含む。さらに別の態様では、本発明は、一般に上記のとおりの、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおける、本発明の化合物ならびに上記埋込み式デバイスをコーティングするのに適したキャリアを含む組成物でコーティングした埋込み式デバイスを含む。適切なコーティングおよびコーティングされる埋込み式デバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号、同第5,886,026号および同第5,304,121号に記載されており、そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。コーティングは、一般に、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびその混合物などの生体適合性ポリマー性材料である。コーティングは、必要に応じて、フルオロシリコーン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質またはその組合せの適切なトップコートによりさらに被覆して、組成物に調節放出特性を付与することができる。
【0340】
本明細書に記載の本発明がより完全に理解され得るように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、単に例示目的であり、いかなる方式でも本発明を制限すると解釈されるべきでないことを理解されたい。
【実施例】
【0341】
後に使用される以下の略語のいくつかを、表Mに定義する。
表M: 略語の定義
【0342】
【数1】

(実施例1)5−[4−(2−オキソ−2−フェニルエトキシ)ベンジル]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0343】
【化100】

ステップ1:4−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ベンズアルデヒドの調製
2−(4−フルオロフェニル)オキシラン(6.50g、54.0mmol)に、トルエン(85mL)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(9.89g、81.0mmol)、PEG4000(ポリエチレングリコール、1.15g)および1MのNaOH(85mL)を添加し、撹拌混合物を78℃で終夜加熱した。RTに冷却した後、反応混合物をEtOAcで抽出し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた黄色油を、中粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない0〜10%のEtOAc/DCMで溶出した。主にRが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.85g(14%)を黄色油として得た。主にRが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体0.64gを無色粘性油として得た。混合した画分を混合し、再クロマトグラフィーを行ない30%EtOAc/ヘキサンで溶出した。Rが高い方の材料を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、追加の標題化合物2.64g(20%)を無色油として得た。Rが低い方の材料を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、追加の位置異性体1.82gを無色粘性油として得た。
【0344】
ステップ2:5−[4−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ベンジリデン]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
無水EtOH(75mL)中4−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ]ベンズアルデヒド(2.63g、10.8mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(1.27g、10.8mmol)およびピペリジン(0.54mL、5.4mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。反応物を、終夜還流させた。反応混合物をRTに冷却した。沈殿物は形成されなかった。反応混合物のpHは約5であった。酢酸(20滴)を添加し、反応物を真空中で蒸発させた。材料をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物3.18g(86%)を淡黄色固体として得た。C1815NOSのMS(ESI−)m/z340.1(M−H)
【0345】
ステップ3:5−[4−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ベンジル]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
THF(20mL)中5−[4−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ベンジリデン]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(1.50g、4.39mmol)の混合物に、HO(20mL)、1MのNaOH(3mL)、塩化コバルト(II)六水和物(0.60mg、0.003mmol)およびジメチルグリオキシム(15mg、0.13mmol)を添加した。0.2M NaOH(3.6mL)中テトラヒドロホウ酸ナトリウム(240mg、6.33mmol)溶液を添加した。反応混合物はすぐに暗色に変化したが、非常に急速に黄色透明の外観になったと見なされた。溶液が暗色になるまで酢酸を滴下添加した(3滴)。約1時間後、反応物の色が薄くなった。追加のNaBH、CoClおよびHOAcを添加すると、濃青色−紫色になった。その色が消失してから、さらなるNaBHを添加した。HPLC分析によって反応の完了が示されたら、その反応物を、HOとEtOAcに分配し(partitioned)、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた泡沫状固体につき、クロマトグラフィーを行ない、50%EtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.15g(76%)を白色固体として得た。C1817NOSのMS(ESI−)m/z342.1(M−H)
【0346】
ステップ4:5−[4−(2−オキソ−2−フェニルエトキシ)ベンジル]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(35mL)中5−[4−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ベンジル]−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(1.00g、2.91mmol)の撹拌溶液に、DMSO(2mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。五酸化リン(0.83g、2.91mmol)を添加した後、トリエチルアミン(1.8mL、13.1mmol)を添加した。反応物をゆっくりRTに温めた。2時間後、反応混合物をDCMと水に分配し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた黄色油につき、シリカゲルによるクロマトグラフィーを行ない、25〜35%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.40g(40%)を白色固体として得た。エーテルで摩砕して、純粋(clean)生成物245mgを得た。C1815NOSのMS(ESI−)m/z340.1(M−H)
【0347】
(実施例2)5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0348】
【化101】

ステップ1:4−[2−(フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンズアルデヒドの調製
トルエン(65mL)中2−(4−フルオロフェニル)オキシラン(5.60g、40.0mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(7.40g、61.0mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、反応物を78℃で終夜加熱した。RTに冷却した後、反応物をEtOAc(2×150mL)で抽出し、混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油につき、シリカゲルによるクロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。Rが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、生成物の位置異性体2.38gを白色固体として得た。Rfが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.54g(22%)を無色粘性油として得た。
【0349】
ステップ2:5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
無水EtOH(75mL)中アルデヒド(2.36g、10.8mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(1.06g、9.07mmol)およびピペリジン(0.45mL、4.50mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。終夜還流した後、反応物をRTに冷却し、次に真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.88g(27%)を黄色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.1(M−H)
【0350】
ステップ3:5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
THF/HO(1:1、20mL)中5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.87g、2.40mmol)の撹拌混合物に、1MのNaOH(2mL)、塩化コバルト(II)六水和物(0.30g、0.001mmol)、ジメチルグリオキシム(8.4mg、0.073mmol)を添加し、最後にテトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.13g、3.53mmol)を添加した。反応物は濃青色/紫色に変化した。短時間の後、濃い色が薄くなり始め、そして、HOAcを滴下添加すると再び濃い色が生じた。その色が薄くなり、HOAcを添加しても再びその色が生じなくなってから、NaBHを添加すると、再びその濃い色を生成した。反応物を終夜RTで撹拌した。反応物を水とEtOAcに分配した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油につき、クロマトグラフィーを行ない35%EtOAc/ヘキサンで溶出した。化合物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、淡黄色固体0.77g(88%)を得た。黄色固体を、THF(8mL)およびHO(8mL)に溶解させ、得られた溶液をCoCl(小型結晶)および2,2’−ジピリジル(5mg)で処理した。最後に、濃青色が持続するまで、NaBHを少量ずつ添加した。反応混合物をEtOAcとHOに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。生成されたわずかに色付いた油につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、25〜35%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物527mg(60%)を白色固体として得た。C1816FNOSのMS(ESI−)m/z360.1(M−H)
【0351】
ステップ4:5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(15mL)中5−{4−[2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.52g、1.40mmol)の撹拌溶液に、DMSO(0.5mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。五酸化リン(0.41g、1.44mmol)を添加した後、トリエチルアミン(0.90mL、6.48mmol)を添加した。反応物をRTにゆっくり温め、次に5時間撹拌した。反応混合物をDCMとHOに分配し、水相をDCMで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた白色固体につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、10%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.25g(48%)を白色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI+)m/z359.9(M+H)。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.0(M−H)
【0352】
(実施例3)5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0353】
【化102】

ステップ1:2−(2−フルオロフェニル)オキシランの調製
o−フルオロスチレン(5.0g、41.0mmol)および酢酸(2.33mL、40.9mmol)のジオキサン(33mL)およびHO(78mL)中溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(8.02g、45.0mol)を3回に分けて添加した。反応物をRTに温め、終夜撹拌した。炭酸ナトリウム(8.68g、81.9mmol)を数回に分けて(in portions)添加し、次に1MのNaOH(約10mL)を添加し、反応物を終夜RTで撹拌した。反応混合物を水とEtOAcに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させて、標題化合物5.31g(94%)をわずかに色付いた油として得、それをさらなる精製なしに使用した。CFOのMS(ESI+)m/z138.1(M+H)
【0354】
ステップ2:4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンズアルデヒドの調製
トルエン(65mL)中2−(2−フルオロフェニル)オキシラン(5.30g、38.4mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(7.0g、58.0mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、その撹拌混合物を78℃で終夜加熱した。反応物をRTに冷却し、次にEtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油を、シリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出して、2つの主なスポットを得た。Rが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.10g(11%)を無色油として得た。Rが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体0.67g(7%)を無色油として得た。
【0355】
ステップ3:5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
無水EtOH(40mL)中アルデヒド(2.36g、10.8mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(0.495g、4.23mmol)およびピペリジン(0.21mL、2.10mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。終夜還流した後、反応混合物をRTに冷却し、次に真空中で蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、この溶液を希釈水性HOAc、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた黄色固体をDCMおよびアセトンで洗浄し、濾液を真空中で蒸発させた。この材料をシリカゲルに吸着させ、10〜25%のEtOAc/DCMを使用してクロマトグラフィーを行なった。化合物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.51gを黄色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.0(M−H)
【0356】
ステップ4:5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
THF/HO(1:1、16mL)中5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.52g、1.40mmol)の撹拌混合物に、1MのNaOH(2mL)、塩化コバルト(II)六水和物(0.2mg、0.0009mmol)、2,2’−ビピリジン(50.8mg、0.33mmol)を添加し、最後にテトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.11g、2.90mmol)を添加した。反応物は濃青色/紫色に変化した。短時間の後、濃い色が薄くなり始め、そして、HOAcを滴下添加すると再びより濃い色が生じた。その色が薄くなり、HOAcを添加しても再びその色が生じなくなってから、NaBHを添加すると、再びその濃い色を生成した。濃青色が持続するまで、NaBHおよびHOAcを少量ずつ滴下添加した。これを数回反復した後、濃青色が淡褐色溶液に変わったという事実にも関わらず、HPLCは反応が完了したことを示した。反応物を水とEtOAcに分配した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油につき、クロマトグラフィーを行ない35%EtOAc/ヘキサンで溶出した。化合物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.32gを白色固体として得た。C1816FNOSのMS(ESI−)m/z360.1(M−H)
【0357】
ステップ5:5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(15mL)中5−{4−[2−(2−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.29g、0.80mmol)の撹拌溶液に、DMSO(0.5mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。五酸化リン(0.23g、0.80mmol)を添加した後、トリエチルアミン(0.50mL、3.6mmol)を添加した。反応物をゆっくりRTに温めた。3時間後、水を添加し、相を分離した。水相のpHを約7に調整し、水相をDCMで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた白色固体につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない10%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.19g(66%)を白色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.0(M−H)
【0358】
(実施例4)5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0359】
【化103】

ステップ1:2−(3−フルオロフェニル)オキシランの調製
m−フルオロスチレン(5.00g、41.0mmol)および酢酸(2.33mL、40.9mmol)のジオキサン(33mL)およびHO(78mL)中溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(8.02g、45.0mmol)を3回に分けて添加した。反応物をRTに温めた。4時間後、2NのNaOH(60mL)を添加し、反応物を終夜RTで撹拌した。反応混合物を水とEtOAcに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させて、標題化合物6.30gをわずかに色付いた油として得、それをさらなる精製なしに使用した。
【0360】
ステップ2:4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンズアルデヒドの調製
トルエン(65mL)中2−(3−フルオロフェニル)オキシラン(5.60g、40.5mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(7.40g、61.0mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、その撹拌混合物を78℃で終夜加熱した。反応混合物をRTに冷却し、次にEtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油につき、クロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出して、2つの主なスポットを得た。Rが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.78g(17%)を白色固体として得た。Rが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体0.90g(9%)をほぼ無色の油として得た。
【0361】
ステップ3:5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
無水EtOH(40mL)中アルデヒド(2.36g、10.8mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(0.90g、7.69mmol)およびピペリジン(0.76mL、7.7mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。6時間後、反応混合物をRTに冷却した。混合物を真空中で蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解させた。この溶液を、希釈水性HOAc、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた黄色固体をMeOH/DCMに溶解させ、シリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない30%EtOAc/DCMで溶出した。化合物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物2.17g(86%)を黄色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.1(M−H)
【0362】
ステップ4:5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(1.00g、2.78mmol)を、THF(15mL)およびHO(10mL)に懸濁させた。この溶液に、塩化コバルトの小型結晶を添加し、その後2,2’−ビピリジン(98mg、0.63mmol)を添加した。青色が持続されるまで、NaBHを数回に分けて添加した。色が徐々に薄くなり、水素化ホウ素およびHOAcを少しずつ添加すると色が繰り返し再生された。HPLC分析によって反応の完了が示されたら、反応混合物をEtOAcとHOに分配した。水相のpHが約6になるまでHOAcを添加した。水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない20%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.72g(72%)を白色固体として得た。この材料を、再度小粒シリカカラムによるクロマトグラフィーを行ない、10〜20%のEtOAc/DCMで溶出した。C1816FNOSのMS(ESI−)m/z360.1(M−H)
【0363】
ステップ5:5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(15mL)中5−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.62g、1.70mmol)の撹拌溶液に、DMSO(0.5mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。五酸化リン(0.49g、1.72mmol)を添加した後、トリエチルアミン(1.1mL、7.72mmol)を添加した。反応混合物をゆっくりRTに温めた。2時間後、HPLCによって反応の完了が示される。水を添加し、相を分離した。水相のpHを2MのNaOHで約7に調整し、次に水相をEtOAcで抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた白色固体につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、10%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.25g(40%)を白色固体として得た。C1814FNOSのMS(ESI−)m/z358.0(M−H)
【0364】
(実施例5)5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(化合物B)の調製
【0365】
【化104】

ステップ1:2−(3−メトキシフェニル)オキシラン
3−ビニルアニソール(5.0g、37.0mmol)および酢酸(2.1mL、37.0mmol)のジオキサン(33mL)およびHO(78mL)中溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(7.30g、41.0mmol)を3回に分けて添加した。反応物をRTに温め、次に2MのNaOH(50mL)を添加した。反応物を終夜RTで撹拌した。次に、反応混合物を水とEtOAcに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させて、標題化合物5.60g(100%)をわずかに色付いた油として得た。
【0366】
ステップ2:4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンズアルデヒド
トルエン(65mL)中2−(3−メトキシフェニル)オキシラン(5.60g、37.0mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(6.80g、5.60mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、その撹拌混合物を78℃で終夜加熱した。反応混合物をRTに冷却し、EtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油につき、クロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。Rが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.86g(18%)を無色透明油として得た。Rが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体0.90g(9%)をほぼ無色の油として得た。
【0367】
ステップ3:5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
無水EtOH(50mL)中4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンズアルデヒド(1.76g、6.46mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(0.83g、7.11mmol)およびピペリジン(0.70mL、7.11mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。反応物を終夜還流させ、次に真空中で蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、この溶液を水(pHをHOAcで約5〜6に調整した)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、シリカゲルに吸着させた。20〜30%のEtOAc/DCMを用いてクロマトグラフィーを行なった後、化合物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.38g(58%)を黄色固体として得た。C1917NOSのMS(ESI−)m/z370.1(M−H)
【0368】
ステップ4:5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(1.15g、3.10mmol)を、THF(15mL)に溶解させた。HO(15mL)および十分なTHFを添加して、透明溶液を得た。塩化コバルトの小型結晶を添加した後、2,2’−ビピリジン(109mg、0.70mmol)を添加した。青色が持続されるまで、NaBHを数回に分けて添加した。色は徐々に薄くなったが、水素化ホウ素およびHOAcを少しずつ添加すると色が繰り返し再生された。HPLCによって反応の完了が示されたら、反応混合物をEtOAcとHOに分配した。水相のpHが約6になるまでHOAcを添加し、次に水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、20%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.82g(74%)を白色固体として得た。C1919NOSのMS(ESI−)m/z372.0(M−H)
【0369】
ステップ5:5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(15mL)中5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.62g、1.7mmol)の撹拌溶液に、DMSO(0.5mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。五酸化リン(0.52g、1.8mmol)を添加した後、トリエチルアミン(1.2mL、8.3mmol)を添加した。反応物をゆっくりRTに温めた。2時間後、水を添加し、相を分離した。水相のpHを、2MのNaOHで約7に調整した。水相をEtOAcで抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた白色固体につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、10%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.33g(54%)を白色固体として得た。C1917NOSのMS(ESI+)m/z372.0(M+H)。C1917NOSのMS(ESI−)m/z370.1(M−H)
【0370】
(実施例6)5−{4−[2−(2−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0371】
【化105】

ステップ1:2−(2−メトキシフェニル)オキシランの調製
2−ビニルアニソール(5.0g、0.037mol)および酢酸(2.1mL、37mmol)のジオキサン(33mL)およびHO(78mL)中溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(7.30g、40.1mmol)を3回に分けて添加した。反応物をRTに温め、1時間後、2MのNaOH(50mL)を添加した。反応物を終夜RTで撹拌した。反応混合物を水とEtOAcに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させて、わずかに色付いた油7.56gを得た。これをジオキサンに溶解させ、2NのNaOHを添加し、反応物を終夜RTで撹拌した。水による後処理(work−up)を反復して、標題化合物5.60gをほぼ無色の油として得た。
【0372】
ステップ2:4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
トルエン(65mL)中2−(2−メトキシフェニル)オキシラン(5.60g、37.3mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(6.80g、56.0mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、撹拌混合物を78℃で終夜加熱した。反応物をRTに冷却し、次にそれをEtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた軽油をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない、30〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出して、2つの主なスポットを得た。Rfが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体1.71g(17%)を褐色油として得た。Rが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物2.05g(20%)を黄色固体として得た。
【0373】
ステップ3:(5Z)−5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
無水EtOH(50mL)中4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンズアルデヒド(1.71g、6.28mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(0.81g、6.91mmol)およびピペリジン(0.68mL、6.9mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させた。反応物を終夜還流させ、次に真空中で蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、この溶液を、水性HOAc(pH5〜6)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルによるクロマトグラフィーを行ない、20〜40%のEtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物1.87g(80%)を淡黄色固体として得た。C1917NOSのMS(ESI−)m/z370.1(M−H)
【0374】
ステップ4:5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
(5Z)−5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(1.00g、2.69mmol)を、THF(20mL)に溶解させた。水(20mL)を添加し、次に十分な追加のTHFを添加して、透明溶液を得た。塩化コバルトの小型結晶を添加した後、2,2’−ビピリジン(95mg、0.61mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却した。青色が持続されるまで、NaBHを数回に分けて添加した。色が徐々に薄くなり、水素化ホウ素およびHOAcを少しずつ添加すると色が繰り返し再生された。HPLCによって反応の完了が示されたら、反応混合物をEtOAcとHOに分配した。水相のpHが約6になるまでHOAcを添加し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、20%EtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物0.63g(63%)を白色固体として得た。C1919NOSのMS(ESI−)m/z372.1(M−H)
【0375】
ステップ5:5−{4−[2−(2−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(8mL)中五酸化リン(0.30g、1.10mmol)の撹拌溶液に、0℃で5−{4−[2−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェニル)エトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.20g、0.54mmol)のDCM(8mL)中溶液を添加した後、ジメチルスルホキシド(0.20mL、2.80mmol)を添加した。15分間撹拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(diiisopropylethylamine)(0.28mL、1.60mmol)を添加した。45分後、反応混合物を、冷却した飽和NaHCOに入れ、EtOAc(×2)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない0〜10%のEtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、標題化合物175mg(88%)を淡黄色固体として得た。C1917NOSのMS(ESI−)m/z370.1(M−H)
【0376】
(実施例7)5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0377】
【化106】

ステップ1:2−(3−クロロフェニル)オキシラン
m−クロロスチレン(5.70g、41.0mmol)および酢酸(2.33mL、40.9mmol)のジオキサン(33mL)およびHO(78mL)中溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(8.02g、45.0mmol)を3回に分けて添加した。反応物をRTに温めた。4時間後、2NのNaOH(60mL)を添加し、反応物を終夜RTで撹拌した。反応混合物を水とEtOAcに分配し、水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させて、わずかに色付いた油6.20gを得、それをさらなる精製なしに使用した。
【0378】
ステップ2:4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンズアルデヒド
トルエン(65mL)中2−(3−クロロフェニル)オキシラン(6.20g、40.0mmol)の撹拌溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(7.30g、60.0mmol)、1MのNaOH(65mL)およびPEG4000(ポリエチレングリコール、0.85g)を添加し、その撹拌混合物を78℃で3時間加熱した。反応物をRTに冷却し、次にEtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた淡褐色油をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない、25〜40%のEtOAc/ヘキサンで溶出した。2つの主なスポットが得られる。Rfが高い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、所望の生成物1.08g(10%)を無色油として得た。Rfが低い方のスポットを含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、位置異性体0.95g(8%)を無色油44Bとして得た。出発材料であるいくらかのエポキシド(2.85g)も回収した。
【0379】
ステップ3:5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
無水EtOH(50mL)中4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンズアルデヒド(1.08g、3.90mmol)の撹拌溶液に、2,4−チアゾリジンジオン(0.50g、4.29mmol)およびピペリジン(0.42mL、4.3mmol)を添加し、得られた溶液を加熱して還流させ、次に終夜室温で撹拌した。反応混合物を、真空中で蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解させた。この溶液を、水性HOAc(pH5〜6)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーを行ない、10〜20%のEtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、生成物1.31g(89%)を淡黄色固体として得た。C1814ClNOSのMS(ESI+)m/z375.0(M+H)。C1814ClNOSのMS(ESI−)m/z374.1(M−H)
【0380】
ステップ4:5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジリデン}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.74g、2.00mmol)を、THF(20mL)に溶解させた。水(20mL)を添加し、次にすべての固体が溶解するまで、さらなるTHFを添加した。塩化コバルトの小型結晶を添加した後、2,2’−ビピリジン(69mg、0.44mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却した。青色が持続されるまで、NaBHを数回に分けて添加した。色が徐々に薄くなり、水素化ホウ素およびHOAcを少しずつ添加すると色が繰り返し再生された。HPLCによって反応の完了が示されたら、反応混合物をEtOAcとHOに分配した。水相のpHが約6になるまでHOAcを添加し、次に水相をEtOAcで抽出した。混合した有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、0〜10%のEtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、粘着性の黄色固体0.44g(59%)を得た。C1816ClNOSのMS(ESI−)m/z376.1(M−H)
【0381】
ステップ5:5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
DCM(8mL)中五酸化リン(0.38g、1.30mmol)の撹拌溶液に、0℃で5−{4−[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.25g、0.66mmol)のDCM(8mL)中溶液を添加した後、ジメチルスルホキシド(0.23mL、3.30mL)を添加した。15分間撹拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.34mL、2.00mmol)を添加した。45分後、反応混合物を、冷却した飽和NaHCOに入れ、EtOAc(×2)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させた。残渣につき、小粒シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを行ない、0〜15%のEtOAc/DCMで溶出した。生成物を含む画分を混合し、真空中で蒸発させて、白色固体117mg(47%)を得た。C1814ClNOSのMS(ESI−)m/z374.1(M−H)
【0382】
(実施例8)5−{4−[2−(2−クロロフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
標題化合物は、2−(2−クロロフェニル)オキシランなどの適切な出発材料を使用して、実施例7に記載の通り調製することができる。
【0383】
(実施例9)5−{4−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
標題化合物を、2−(4−メトキシフェニル)オキシランなどの適切な出発材料を使用して、実施例5および6に記載の通り調製した。C1917NOSのMS(ESI−)370.2m/z(M−1)。
【0384】
(実施例10)代表的な化合物の物理的データ
H−NMRデータ(400mHz)
【0385】
【化107】

【0386】
【化108】

【0387】
【化109】

【0388】
【化110】

【0389】
【化111】

【0390】
【化112】

【0391】
【化113】

質量スペクトル
【0392】
【表1−1】

【0393】
【表1−2】

【0394】
【表1−3】

【0395】
【表1−4】

【0396】
【表1−5】

【0397】
【表1−6】

【0398】
【表1−7】

【0399】
【表1−8】

【0400】
【表1−9】

(実施例10A)式Iの化合物の酸塩の調製
式Iの化合物は、有機化合物の酸塩が不溶性であるか、またはごくわずかに可溶性を示す溶媒に化合物を溶解させ、HCl、HBr、酢酸、トリフルオロ酢酸(trifluroacetic acid)またはHSO、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの1モル当量(molar equivalent)以上の酸を、溶解した式Iの化合物を含有する溶媒に添加して有機化合物塩の沈殿物を形成させることによって塩に変換し、濾過、デカントまたはいくつかの類似の方法を使用して沈殿物を収集して、純粋形態の式Iの有機化合物の塩を生成することができる。
【0401】
(実施例10A1)5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩
塩化アセチル0.70ml(10mmol)を無水EtOHで10mlに希釈することによって、EtOH中HClの1M溶液を調製した。5−((4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)−1−オキソエトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン(化合物A)(100mg、0.27mmol)を無水EtOH(5ml)に懸濁させ、すべての固体が溶解するまで、ヒートガンで加熱した。EtOH中HClの1M溶液0.27mlを添加した。RTで2時間撹拌した。真空中で(約50℃)2時間蒸発させて、黄色固体を得た(110mg)。
【0402】
1919ClNSと5.25%HOの分析算出値:C、53.14;H、5.05;N、6.52;Cl、8.26。実測値:C、53.48;H、4.98;N、6.26;Cl、8.62。
【0403】
(実施例10A2)5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン硫酸塩
5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(化合物A)(100mg、0.27mmol)を、無水EtOH(3ml)に懸濁させ、すべての固体が溶解するまで、混合物をヒートガンで加熱した。1MのHSO水溶液(0.27ml、市販の原液)を添加した。RTで1時間撹拌した。真空中で蒸発させ、高真空下で(約50℃)2時間乾燥させて、黄色油を得た(130mg)。
【0404】
1918Sと5.12%HOおよび25.07%HSの分析算出値:C、43.21;H、4.49;N、5.30;S、14.27。実測値:C、43.30;H、4.46;N、4.96;S、14.16。
【0405】
(実施例10B)式Iの化合物のアルカリ土類金属塩の調製
式Iの化合物は、有機化合物のアルカリ土類金属塩が不溶性であるか、またはごくわずかに可溶性を示す溶媒に化合物を溶解させ、例えばNaOH、KOHなどの1モル当量以上の塩基を、溶解した式Iの化合物を含有する溶媒に添加して有機化合物塩の沈殿物を形成させることによって塩に変換し、濾過、デカントまたはいくつかの類似の方法を使用して沈殿物を収集して、純粋形態の式Iの有機化合物の塩を生成することができる。
【0406】
あるいは、式Iの化合物は、有機化合物の塩も可溶性を示す溶媒に化合物を溶解させ、例えばNaOH、KOHなどの、1モル当量以上の相対的に低沸点の塩基を、溶解した式Iの化合物を含有する溶媒に添加することによって塩に変換し、次に溶液に含有されている溶媒および任意の過剰の塩基を蒸発させて、純粋形態の有機化合物の塩を生成することができる。
【0407】
(実施例10B1)ナトリウム5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イド
5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(100mg、0.27mmol)を、無水EtOH(3ml)に懸濁させ、すべての固体が溶解するまで、混合物をヒートガンで加熱した。ナトリウムエトキシド(18mg、0.27mmol)を添加した。1時間撹拌した。真空中で蒸発させ、高真空下で(約50℃)2時間乾燥させて、白色固体を得た(110mg、100%)。
【0408】
1917NaOSと2.38%HOの分析算出値:C、56.77;H、4.53;N、6.97。実測値:C、57.08;H、4.33;N、6.85。
【0409】
(実施例10B2)カリウム5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イド
THF(3ml)中5−{4−[2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(100mg、0.27mmol)に、THF(0.27ml、0.27mmol)中カリウムtert−ブトキシドの1M溶液を添加した。RTで2時間撹拌した。真空中で蒸発させた。高真空下で(約50℃)2時間乾燥させて、ピンク色の(salmon−colored)固体を得た(110mg、100%)。
【0410】
1917KNSと2.88%HOおよび7.95%KOHの分析算出値:C、49.74;H、4.21;N、6.11。実測値:C、49.98;H、3.79;N、5.90。
【0411】
(実施例10B3)ナトリウム5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イド
5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(100mg、0.27mmol)を、THF(3ml)に懸濁させ、すべての固体が溶解するまで、混合物をヒートガンで加熱した。ナトリウムtert−ブトキシド(26mg、0.27mmol)を添加した。RTで2時間撹拌した。真空中で蒸発させた。高真空下で(約50℃)2時間乾燥させて、オフホワイト色の固体を得た(110mg、100%)。
【0412】
1916NNaOSと1.60%HOの分析算出値:C、57.08;H、4.21;N、3.50。実測値:C、56.91;H、4.01;N、3.30。
【0413】
(実施例10B4)カリウム5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イド
THF(3ml)中5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの撹拌懸濁物を、すべての固体が溶解するまでヒートガンで加熱した。THF(0.27ml、0.27mmol)中カリウムtert−ブトキシドの1M溶液を添加した。RTで2時間撹拌した。真空中で蒸発させた。高真空下で(約50℃)2時間乾燥させて、ピンク色の固体を得た(110mg、100%)。
【0414】
1916Sと2.50%HOおよび7.96%KOHの分析算出値:C、49.84;H、3.96;N、3.06。実測値:C、49.65;H、3.58;N、3.07。
【0415】
(実施例10B5)カリウム5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イド
メタノール(1.0リットル)および水酸化カリウムの薄片(85%w/w)(35.5gm、0.539mol)の混合物を25〜30℃で撹拌して、透明溶液を得る。この溶液に、5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(200gm、0.539mol)をメタノール(200mL)と一緒に撹拌しながらシングルロットで添加する。透明溶液が形成され、10〜15分以内に沈殿物が形成し始める。反応混合物を6時間撹拌する。得られた固体を濾過し、メタノール(200mL)で洗浄し、オーブン中50〜55℃で乾燥させて、5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンのカリウム塩(185gm)を得る。
【0416】
(実施例10C)式Iの化合物の金属塩の特徴付け
式Iの化合物の金属塩を、XRPD、DSC、熱重量分析および水分吸着分析を使用して特徴付けた。以下に記載し、図1および5に提示したXRPDパターンは、Bruker Model D8X線回折計を使用して得たことに留意されたい。熱重量分析、DSC分析および水分吸着分析は、TA Instruments Universal V4.4A機器を使用して実施した。
【0417】
(実施例10C1)5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンのナトリウム塩の特徴付け
図1は、化合物Bのナトリウム塩の試料のXRPDパターンを提示する。図2〜4に関して、熱重量分析、DSC分析および水分吸着分析を、化合物Bのナトリウム塩で実施した。熱重量分析は、ナトリウム塩7.5450mgおよび10℃/分の機器設定を使用して実施した。DSC分析は、ナトリウム塩の試料2.00mgおよび10℃/分の機器設定を使用して実施した。水分吸着分析は、ナトリウム塩14.07mgに対して、相対湿度範囲5%〜95%にわたって25℃において最大平衡時間180分で実施し、2分毎にデータサンプリングを行った。
【0418】
ナトリウム塩は単一多形として生成されたことに留意されたい。
【0419】
(実施例10B6a)5−{4−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ]ベンジル}−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンのカリウム塩の特徴付け
図5は、化合物Bのカリウム塩の試料のXRPDパターンを提示する。図6〜8に関して、熱重量分析、DSC分析および水分吸着分析を、化合物Bのカリウム塩で実施した。熱重量分析は、カリウム塩15.9290mgおよび10℃/分の機器設定を使用して実施した。DSC分析は、ナトリウム塩の試料4.66mgおよび10℃/分の機器設定を使用して実施した。水分吸着分析は、ナトリウム塩12.934mgに対して、相対湿度範囲5%〜95%にわたって25℃において最大平衡時間180分で実施し、2分毎にデータサンプリングを行った。
【0420】
化合物Bのナトリウム塩およびカリウム塩についてのデータは、結晶性材料と一致し、著しく高い吸湿性を示す。ナトリウム塩は、約6%RHおよび約95%RHの間で約10.0wt%の漸進的な水分の取込みを示した。カリウム塩では、相対湿度が約5%RHから約95%RHに増加すると、約21.1wt%の水の取込みが観測された。
【0421】
(実施例11)化合物の塩の生物学的特性
(実施例11A)化合物Aのナトリウム塩の生体利用能
図9に関して、化合物Aのナトリウム塩の生体利用能を、4.52〜5.12kgの範囲の体重を有する4匹の雄性カニクイザルでクロスオーバーデザインによって評価した。サルを終夜絶食させ、水道水10mlで流し込む強制経口栄養により(by oral gavage)投与した。単回投与量を投与した後、血液試料を、0.25、0.5、1、2、3、4、6、9、12、24および48時間目に採取し、LCMSアッセイにより内部標準を使用して薬物関連材料についてアッセイした。薬物90mgを、遊離塩基当量(free base equivalent)90mgを含有する00ゼラチンカプセルに入れた。これを、2ml/kgのiv注射および50%ヒドロキシプロピルb−シクロデキストラン中、45mgの遊離塩基の溶液と比較した。iv注射に対する絶対的利用能を、親化合物および主要代謝産物の両方について決定した。代謝産物および親化合物の両方について、化合物Aのナトリウム塩は、それらの遊離塩基対応物の生体利用能よりも著しく高い生体利用能を有していたことに留意されたい。
【0422】
(実施例11B)化合物Bのカリウム塩およびナトリウム塩の生体利用能
図10に関して、化合物B250mgを、遊離酸のカプセル中粉末(PIC)、微粒子化遊離酸の製剤化錠剤、または同じ遊離酸当量で与えられた化合物BのNaもしくはK塩の製剤化錠剤として投与した後、化合物関連材料の曲線下面積(AUC)を比較した(N=4のカニクイザル)。製剤化圧縮錠剤は、各場合において約40.5%ラクトース、16.8%微結晶性セルロース、1.9%クロスカルメロースナトリウム、0.5%コロイド状二酸化ケイ素および0.9%ステアリン酸マグネシウムも含有していた。化合物Bのナトリウム塩およびカリウム塩の両方は、それらの遊離酸対応物の生体利用能よりも著しく高い生体利用能を有していたことに留意されたい。また、バルク酸の塩は、微粒子化遊離酸の圧縮錠剤を上回る大きな利点を示した。
【0423】
(実施例11C)化合物Aのナトリウム塩の薬理学的活性
図11に関して、化合物AのNa塩は、糖尿病性KKAyマウスの血糖を低減するのに優れた用量反応を示した。これらの実験では、遊離塩基またはナトリウム塩を、糖尿病性KKAyマウス(N=6)に与え、指示用量で4日間毎日処置した後、血糖を測定した。8〜12週齢のKKAyマウスに、図11のX軸の投与量に従う用量の化合物を与えた。化合物を、10mg/kgで毎日1回強制栄養を与えた。5日目に(示されたレベルで4日間毎日投与した後)、血液試料を採取して、血漿グルコースを測定した。
【0424】
(実施例12A)共結晶の例示的な生物学的特性
化合物の塩の共結晶の有効性は、細胞培養物中の褐色脂肪組織(BAT)の分化におけるそれらの有効性を評価するために設計された細胞系で実証される。細胞系において効力を示す化合物の塩を用いて製剤化した共結晶は有効であり、インビボで体重増加を予防し、膵臓b細胞の喪失により糖尿病の発症に至らないように膵臓b細胞を保護する。
【0425】
(実施例12B)共結晶の調製
共結晶A
カフェイン(0.194g、1mmol)および5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.370g、1mmol)に、アセトニトリル(20mL)を添加した。固体が溶解するまで、混合物を75℃の油浴で温めた。約10分間温め続け、次に溶液を濾過し、室温に冷却した。結晶化が完了するまで、溶媒を蒸発させた。共結晶固体を濾過によって単離し、真空中で乾燥させた。得られた結晶性材料の融点を測定すると、約123℃〜約131℃であった。純粋なカフェインの融点は約234℃〜約236℃であることが報告されており、純粋な5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの融点を測定すると、約140℃〜約142℃であったことに留意されたい。
【0426】
5−(4−(2−(5−エチルピリジン−2−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、カフェインおよび共結晶のH NMRスペクトルを、図15〜17に示す。これらのスペクトルは、分析物をD6−DMSOに溶解させ、Bruker 400mHz NMR分光計を使用して得た。
【0427】
共結晶B
カフェイン(0.194g、1mmol)および構造
【0428】
【化114】

を有する5−(4−(2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(0.371g、1mmol)に、アセトニトリル(20mL)を添加する。固体が溶解するまで、混合物を75℃の油浴中で温める。約109分間温め続け、次に溶液を濾過し、室温に冷却する。溶媒を、結晶化が完了するまで蒸発させた。共結晶固体を濾過によって単離し、真空中で乾燥させる。
【0429】
(実施例13)アッセイ
低下したPPARγ受容体活性化を測定するためのアッセイ
PPARγ受容体の活性化は、一般に、抗糖尿病および、インスリン抵抗性を改善する薬理作用を有することができる分子を選択するための選択基準になると考えられているが、本発明は、この受容体の活性化が負の選択基準になるはずであることを見出している。この分子は、PPARγの、選択的のみならず低下した活性化を有するので、このケミカルスペース(chemical space)から選択されることになる。最適な化合物は、PPARγ受容体のトランス活性化についてインビトロで実施されるアッセイでは、ピオグリタゾンと比較して効力が少なくとも10倍低く、ロシグリタゾンによってもたらされる活性化全体の50%未満を有する。このアッセイは、分子と、PPARγのリガンド結合ドメインとの直接相互反応の一次評価(first evaluation)によって実施される。このアッセイは、ロシグリタゾンを陽性対照として使用して、蛍光(florescence)によって直接相互作用を測定する市販の相互作用キットで実施することができる。
【0430】
PPARγの結合は、Invitrogen LanthaScreen(商標)TR−FRET PPARγ競合結合アッセイ(Invitrogen #4894)を使用する、TR−FRET競合結合アッセイによって測定する。このアッセイでは、テルビウム標識抗GST抗体を使用して、GSTタグ付きヒトPPARγリガンド結合ドメイン(LBD)を標識する。蛍光性小分子であるpan−PPARリガンドトレーサーは、LBDと結合して抗体からリガンドへのエネルギー移動を引き起こし、高いTR−FRET比をもたらす。PPARγリガンドによる競合結合は、LBDからトレーサーを置き換えて、抗体とトレーサーの間によい小さいFRETシグナルを引き起こす。TR−FRET比は、Synergy2プレートリーダー(BioTek)を使用して490nmおよび520nmの蛍光発光を読み取ることによって決定される。試験化合物のPPAR−LBD/Fluormone PPAR Green複合体との結合能を測定する市販の結合アッセイ(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)を使用して、本発明のいくつかの例示的な化合物のPPARγとの結合能も測定した。これらのアッセイは、試験化合物のそれぞれの濃度で4つの別個のウェル(4通り)を使用して、各アッセイにつき3回にわたって実施した。データは、3回の実験から得られた値の平均およびSEMである。各実験において、ロシグリタゾンを陽性対照として使用した。0.1〜100マイクロモル濃度範囲の示した濃度で、化合物を添加した。
【0431】
無傷細胞におけるPPARγ活性化は、細胞レポーターアッセイによって、Invitrogen GeneBLAzer PPARγアッセイ(Invitrogen#1419)を使用して測定することができる。このレポーターアッセイでは、上流活性化因子配列の制御下で、安定に発現したベータラクタマーゼレポーター遺伝子を含有するHEK293H細胞に安定にトランスフェクトした、GAL4 DNA結合ドメイン(DBD)に融合したヒトPPARγリガンド結合ドメイン(LBD)を使用する。PPARγアゴニストがGAL4/PPAR融合タンパク質のLBDに結合する場合、そのタンパク質は上流活性化因子配列に結合して、ベータラクタマーゼの発現を活性化する。アゴニストと共に16時間インキュベーションした後、細胞にFRET基質で2時間負荷をかけ、蛍光発光FRET比を、Synergy2プレートリーダー(BioTek)により460nmおよび530nmで得る。
【0432】
本化合物は、インビトロで低下したPPARγ受容体の活性化を示すことに加えて、動物でも受容体を著しく活性化しない。インビボでのインスリン抵抗性改善作用に対する最大効果まで投与される化合物は(以下参照)、肝臓の異所性脂肪生成のバイオマーカーであるP2の発現によって測定される通り、これらの条件下でP2発現を実際に増大させるピオグリタゾンおよびロシグリタゾンとは対照的に、肝臓のPPARγの活性化を増大しない[Matsusue K、Haluzik M、LambertG、Yim S−H、Oksana Gavrilova O、Ward JM、Brewer B、Reitman ML、Gonzalez FJ.(2003年) Liver−specific disruption of PPAR in leptin−deficient mice improves fatty liver but aggravates diabetic phenotypes. J. Clin. Invest.;111巻:737頁]。
【0433】
ミトコンドリア膜の競合結合架橋アッセイ
光親和性架橋剤は、Amer. J. Physiol 256巻:E252〜E260頁などにみられるように、ピオグリタゾンのカルボン酸類似体を、p−アジド−ベンジル基を含有するエチルアミンとカップリングさせることによって合成した。Iodogen(Pierce)手順の改変型を使用して、架橋剤をキャリアなしでヨウ素化し、オープンカラムクロマトグラフィー(PerkinElmer)を使用して精製した。特異的な架橋は、競合薬物の存在によって妨げられる標識化(labeling)と定義される。競合結合アッセイを、50mMトリス中、pH8.0で実施する。すべての架橋反応を、0〜25μMの範囲の8つの濃度の競合物質(competitor)を使用して、三重に実施する。各架橋反応管は、最終濃度1%のDMSOとともに、ミトコンドリアを富化したラットの粗製肝臓膜20μg、0.1μCiの125I−MSDC−1101および−/+競合薬物を含む。結合アッセイ反応物を、暗所で、室温20分間にわたって揺動させ(nutated)、180,000マイクロジュールに曝露することによって停止させる。架橋後、膜を20,000×gで5分間ペレット化し、そのペレットを、1%BMEを含有するLaemmli試料緩衝液に再懸濁させ、10〜20%Tricineゲルで泳動させる。電気泳動後、ゲルを真空下で乾燥させ、−80℃でKodak BioMax MSフィルムに曝露する。得られた特異的に標識したオートラジオグラフィーのバンド密度を、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して定量し、IC50値を、GraphPad Prism(商標)を使用して非線形分析によって決定する。このアッセイの選択化合物は、20μM未満、5μM未満または1μM未満のIC50を示した。このタンパク質のバンド架橋は、PPAR温存化合物の有用性について、その有効性に関与する非常に重要な細胞小器官であるミトコンドリアとの、これらの化合物の結合能を象徴するものである。
【0434】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と共に記載してきたが、上記の説明は例示を意図するものであって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限することを意図するものではない。他の態様、利点および改変は、以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の塩酸塩
【化115】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、該脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【化116】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
はHであり、
環Aは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【請求項2】
式Iの化合物の硫酸二水素塩
【化117】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、該脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【化118】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
はHであり、
環Aは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【請求項3】
がH、メチル、メトキシ、エトキシ、−O−イソプロピル、−CF、−OCHFまたは−OCFである、請求項1または2のいずれかに記載の塩。
【請求項4】
がHである、請求項1から3のいずれかに記載の塩。
【請求項5】
がH、アルキル、ハロまたはアルコキシである、請求項1から4のいずれかに記載の塩。
【請求項6】
がHである、請求項1から5のいずれかに記載の塩。
【請求項7】
がハロである、請求項1から5のいずれかに記載の塩。
【請求項8】
がC1〜3アルキルである、請求項1から5のいずれかに記載の塩。
【請求項9】
環Aが、必要に応じて置換されているピリジン−2−イルまたは必要に応じて置換されているピリジン−3−イルであり、そのいずれかが、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている、請求項1から8のいずれかに記載の塩。
【請求項10】
環Aがピリジン−2−イルであり、RまたはRの一方が、該環の5位に結合している、請求項9に記載の塩。
【請求項11】
環Aがピリジン−3−イルであり、RまたはRの一方が、該環の6位に結合している、請求項9に記載の塩。
【請求項12】
がFまたはClである、請求項10または11のいずれかに記載の塩。
【請求項13】
がアルコキシである、請求項10または11のいずれかに記載の塩。
【請求項14】
がメトキシ、エトキシ、プロポキシ、−O−イソプロピル、ブトキシまたは−O−tertブチルである、請求項13に記載の塩。
【請求項15】
環Aがピリジン−2−イルであり、Rが該環の5位に結合している、請求項10に記載の塩。
【請求項16】
がアルキルまたはアルコキシである、請求項15に記載の塩。
【請求項17】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtertブチルである、請求項16に記載の塩。
【請求項18】
R’がHである、請求項1から17のいずれかに記載の塩。
【請求項19】
がヒドロキシである、請求項1から18のいずれかに記載の塩。
【請求項20】
が−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイルである、請求項1から18のいずれかに記載の塩。
【請求項21】
およびR’が、一緒になってオキソを形成する、請求項1から17のいずれかに記載の塩。
【請求項22】
前記式Iの化合物が、
【化119】

【化120】

【化121】

から選択される化合物である、請求項1または2のいずれかに記載の塩。
【請求項23】
前記式Iの化合物が、
【化122】

から選択される化合物である、請求項1または2のいずれかに記載の塩。
【請求項24】
前記式Iの化合物が、
【化123】

から選択される化合物である、請求項1または2のいずれかに記載の塩。
【請求項25】
【化124】

から選択される、化合物の塩酸塩。
【請求項26】
【化125】

から選択される、化合物の硫酸二水素塩。
【請求項27】
式IIIBの化合物の塩酸塩
【化126】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、該脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【化127】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
はHである]。
【請求項28】
式IIIBの化合物の硫酸二水素塩
【化128】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、該脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【化129】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
はHである]。
【請求項29】
式Iの化合物のアルカリ土類金属塩
【化130】

[式中、
およびRのそれぞれは、独立に、H、ハロ、脂肪族およびアルコキシから選択され、該脂肪族またはアルコキシは、1〜3個のハロで必要に応じて置換されており、
R’は、Hであり、Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、もしくは必要に応じて置換されている脂肪族、−O−アシル、−O−アロイル、−O−ヘテロアロイル、−O(SO)NH、−O−CH(R)OC(O)R、−O−CH(R)OP(O)(OR、−O−P(O)(OR、もしくは
【化131】

であり、各Rは、独立に、C1〜6アルキルであり、各Rは、独立に、C1〜12アルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはフェニルであり、そのそれぞれは、必要に応じて置換されており、またはRおよびR’は、一緒になってオキソを形成してもよく、
はHであり、
環Aは、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、そのそれぞれは、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている]。
【請求項30】
前記アルカリ土類金属がカリウムである、請求項29に記載の塩。
【請求項31】
前記アルカリ土類金属がナトリウムである、請求項29に記載の塩。
【請求項32】
がH、メチル、メトキシ、エトキシ、−O−イソプロピル、−CF、−OCHFまたは−OCFである、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項33】
がHである、請求項29から32のいずれかに記載の塩。
【請求項34】
がH、アルキル、ハロまたはアルコキシである、請求項29から33のいずれかに記載の塩。
【請求項35】
がHである、請求項29から34のいずれかに記載の塩。
【請求項36】
がハロである、請求項29から34のいずれかに記載の塩。
【請求項37】
がC1〜3アルキルである、請求項29から34のいずれかに記載の塩。
【請求項38】
環Aが、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されているフェニルである、請求項29から37のいずれかに記載の塩。
【請求項39】
環Aが、必要に応じて置換されているピリジン−2−イルまたは必要に応じて置換されているピリジン−3−イルであり、そのいずれかが、環A上の任意の化学的に可能な位置においてR基およびR基で置換されている、請求項29から37のいずれかに記載の塩。
【請求項40】
環Aがフェニルであり、RまたはRの一方が、環Aのパラまたはメタ位に結合している、請求項38に記載の塩。
【請求項41】
環Aがフェニルであり、RまたはRの一方が、環Aのメタ位に結合している、請求項40に記載の塩。
【請求項42】
環Aがピリジン−2−イルであり、RまたはRの一方が、該環の5位に結合している、請求項39に記載の塩。
【請求項43】
環Aがピリジン−3−イルであり、RまたはRの一方が、該環の6位に結合している、請求項39に記載の塩。
【請求項44】
環Aがフェニルであり、Rが環Aのパラまたはメタ位に結合している、請求項40に記載の塩。
【請求項45】
がFまたはClである、請求項44に記載の塩。
【請求項46】
がアルコキシである、請求項44に記載の塩。
【請求項47】
がメトキシ、エトキシ、プロポキシ、−O−イソプロピル、ブトキシまたは−O−tertブチルである、請求項46に記載の塩。
【請求項48】
環Aがフェニルであり、Rが該フェニル環のメタまたはオルト位に結合している、請求項38に記載の塩。
【請求項49】
環Aがフェニルであり、Rが該フェニル環のオルト位に結合している、請求項48に記載の塩。
【請求項50】
がメトキシ、エトキシまたは−O−イソプロピルである、請求項49に記載の塩。
【請求項51】
が−CF、−OCHFまたは−OCFである、請求項49に記載の塩。
【請求項52】
環Aがピリジン−2−イルであり、Rが該環の5位に結合している、請求項42に記載の塩。
【請求項53】
がアルキルまたはアルコキシである、請求項52に記載の塩。
【請求項54】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtertブチルである、請求項53に記載の塩。
【請求項55】
R’がHである、請求項29から54のいずれかに記載の塩。
【請求項56】
がヒドロキシである、請求項29から55のいずれかに記載の塩。
【請求項57】
が−O−アシル、−O−アロイルまたは−O−ヘテロアロイルである、請求項29から55のいずれかに記載の塩。
【請求項58】
およびR’が、一緒になってオキソを形成する、請求項29から54のいずれかに記載の塩。
【請求項59】
前記式Iの化合物が、
【化132】

【化133】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項60】
前記式Iの化合物が、
【化134】

【化135】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項61】
前記式Iの化合物が、
【化136】

【化137】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項62】
前記式Iの化合物が、
【化138】

【化139】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項63】
前記式Iの化合物が、
【化140】

【化141】

【化142】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項64】
前記式Iの化合物が、
【化143】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項65】
前記式Iの化合物が、
【化144】

【化145】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項66】
前記式Iの化合物が、
【化146】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項67】
前記式Iの化合物が、
【化147】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項68】
前記式Iの化合物が、
【化148】

【化149】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項69】
前記式Iの化合物が、
【化150】

【化151】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項70】
前記式Iの化合物が、
【化152】

【化153】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項71】
前記式Iの化合物が、
【化154】

【化155】

から選択される化合物である、請求項29から31のいずれかに記載の塩。
【請求項72】
【化156】

から選択される、化合物のアルカリ土類金属塩。
【請求項73】
前記アルカリ土類金属がナトリウムを含む、請求項72に記載の塩。
【請求項74】
前記アルカリ土類金属がカリウムを含む、請求項72に記載の塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−514367(P2013−514367A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544740(P2012−544740)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060439
【国際公開番号】WO2011/084453
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508279443)メタボリック ソリューションズ ディベロップメント カンパニー, エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】