説明

代謝産物または分析物を定量化するための方法およびキット

サンプル中のホモシステイン、メチオニン、またはシステインなどの代謝産物の量を定量化するための方法およびキットが開示される。これは、代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素とサンプルとを接触させ、また、1種または複数の付加的基質とともに、前記反応生成物のうちの少なくとも1種を前記代謝産物に変換することができる第2の酵素を用いて代謝産物を再生するものである。このプロセスは、場合によっては、1種または複数の付加的副生成物を生成する。このプロセスを繰り返した後、前記第1の酵素による前記代謝産物の酵素分解によって形成された反応生成物のレベルを検出することによって、この代謝産物を定量化する。この際、この反応生成物は、前記代謝産物の再生、あるいは前記第2の酵素によって生成された前記任意の副生成物のレベルの検出または付加的基質のレベルの検出で使用される反応生成物とは異なる。この方法は、分析物と還元剤とを接触させることによって、サンプル中の分析物を最初に代謝産物に変換することを含んでもよい。本発明の方法は、サイクル反応の代謝産物を生成するように分析物を反応させることによってサンプル中の分析物の量を定量化する方法もさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝産物の加水分解反応の分解生成物を再利用する工程を含む、検出可能な生成物の量を増幅することによってサンプル中の代謝産物の量を定量化する方法を提供する。本発明の方法は、サイクル反応の代謝産物を生成するように分析物を反応させることによってサンプル中の分析物の量を定量化する方法もさらに提供する。好ましい応用例では、前記代謝産物は、ホモシステイン、メチオニン、またはシステインである。
【背景技術】
【0002】
高レベルの血中ホモシステインは、ヒトの多くの疾患状態の重要な指標と思われる。ホモシステインは、血管疾患および脳卒中の予測に役立ち(Ueland,P.M.(1992年)およびKluijtmans L.A.J.他(1996年))、糖尿病およびアルコール依存症の型と相関関係があり(Cravo,M.L.他(1996年))、肝臓および腎臓の損傷(Bostom,A.G.他(1996年))ならびに神経管欠損(Steegers-Theunissen,R.P.N.(1992年))をモニターするのに使用され、また、一部の先天性代謝異常(Mudd,S.H.、(1989年))およびアルツハイマー病などの神経変性状態に関連づけられている。より詳細な情報は、http://www.homosysteine.net/において提供されている。
【0003】
血中ホモシステインレベルは、通常、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法(例えば、Poele-Pothoff M.T.他(1995年)を参照のこと)、およびAbbott社製IMXを使用する蛍光偏光免疫測定法[FPIA](ShipchandlerおよびMoore、1995年)またはAxis社製キットを使用する酵素免疫測定法[EIA](Frantzen他、1998年)によって測定される。しかし、HPLC法は、高価で精巧な装置を使用し、一般に複雑であり、多くの日常分析には非実用的であるとみなされている。国際公開第93/15220号(Cockbain)では、ホモシステイン変換酵素、すなわちS-アデノシルホモシステインヒドロラーゼ(SAH-ヒドロラーゼ)を用いて、血中のホモシステインを検定する方法を記載している。SAH-ヒドロラーゼは、補助基質のアデノシンを用いてホモシステインのS-アデノシル-ホモシステインへの変換を触媒する。したがって、アデノシンの消費量を決定することによって、ホモシステインの消費量に関連づけることが可能である。その場合、アデノシン濃度の差異からサンプル中のホモシステイン量を決定する。しかし、このような検定法は、アデノシン濃度の減少を測定することを必要とし、満足のいくものではないことがある。
【0004】
米国特許第5438017号では、体液サンプル中のスルフィドリルアミノ酸を分析するためのガスクロマトグラフィー/質量分析法を記載している。この検定法は、米国特許第4940658号で記載されているものと同様、標識した基準スルフィドリルアミノ酸の使用に依拠するが、ガスクロマトグラフィー/質量分析法によりサンプルを分析する前に、付加的な処理をする工程および/または精製する工程を伴う。
【0005】
HPLC法と同様に、ガスクロマトグラフィー/質量分析法を使用する前述の検定法は、一般に複雑であり、高価で精巧な装置を使用し、多くの日常分析には非実用的であるとみなされていることを理解されたい。
【0006】
より簡易で直接的な酵素検定法は、本発明者らによる国際公開第98/07872号で以前に記載されている。例えば、酵素ホモシステインデスルフラーゼを使用して、反応生成物であるα-ケトブチレート、硫化水素、およびアンモニアへのホモシステインの分解を触媒する。次に、標準方法によって反応生成物を検出し、反応生成物のうちのいずれかのレベルとの関係においてサンプル中のホモシステインレベルを定量化することができる。それでもなお、このような直接的な検定法は、比較的低レベルの反応生成物を生成することがあり、一部の場合ではそれらの検出および定量化が困難となることがある。
【非特許文献1】Ueland,P.M.(1992年)
【非特許文献2】Kluijtmans L.A.J.他(1996年)
【非特許文献3】Cravo,M.L.他(1996年)
【非特許文献4】Bostom,A.G.他(1996年)
【非特許文献5】Steegers-Theunissen,R.P.N.(1992年)
【非特許文献6】Mudd,S.H.、(1989年)
【非特許文献7】http://www.homosysteine.net/
【非特許文献8】Poele-Pothoff M.T.他(1995年)
【非特許文献9】ShipchandlerおよびMoore、1995年
【非特許文献10】Frantzen他、1998年
【特許文献1】国際公開第93/15220号(Cockbain)
【特許文献2】米国特許第5438017号
【特許文献3】米国特許第4940658号
【特許文献4】国際公開第98/07872号
【非特許文献11】http://www.pseudomonas.com/
【非特許文献12】Rodriguez,R.L.およびD.T.Denhardt編、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Butterworths、1988年
【非特許文献13】Sambrook他(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、第3版、2001年)
【非特許文献14】JocelynのMethods of Enzymology 143:243〜256頁(1987年)
【非特許文献15】Soda,K.(1968年)Anal.Biochem.25:228〜235頁
【非特許文献16】Li,R.およびKenyon,G.L.(1995年)A spectrophotometric determination of α-dicarboxyl compounds and its application to the enzymatic formation of α-ketobutyrate. Analytical Biochemistry 230、37〜40頁
【非特許文献17】Palmer T.(1991年)Understanding Enzymes 第3版、Ellis Horwood、London
【非特許文献18】Altman,P.F.(1974年)Histochemistry 38、155〜171頁
【非特許文献19】Morroux J.Elring PJ(1979年)Anal Chem 51、346頁
【非特許文献20】Blaedel WJ、Jenkins RA(1975年)Anal Chem 47、1335頁
【非特許文献21】Juegfeldt H他(1981年)Anal Chem 53、1979頁
【非特許文献22】Wang J、Lin MS(1987年)Electroanal Chem 221、257頁
【非特許文献23】Whitehead TP他(1979年)Clin Chem 25、1531頁
【非特許文献24】ThongK.WおよびCoombs,G.H.(1985年)Homocysteine desulphurase activity in trichomonads.IRCS Medical Science 13:493〜494頁
【非特許文献25】Clime,J.D.Limnol、Oceanogr.(1969年)14 :454〜458頁
【非特許文献26】Horn,D.B.およびSquire,C.R.(1967年)、An improved method for the detection of ammonia in blood plasma Clin.Chem.Acta 17、99〜105頁
【非特許文献27】Mondzac A他(1965年)J.Lab.Clin.Med.66、526頁
【非特許文献28】Guilbault他(1985年)Anal.Chem.57、2110頁
【非特許文献29】King,G.M.、1991年
【特許文献5】国際公開第01/77670号
【非特許文献30】KredichおよびTomkins(Journal of Biological Chemistry 241、4955〜4965頁、1966年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野では、前述の不都合点のうちの少なくとも1つを回避および/または軽減し、かつ/あるいは前述の代謝産物の濃度を検出するためのより簡易でより正確な検定の助けとなる、代謝産物、すなわちホモシステイン、メチオニン、またはシステインの検定法を開発することが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は第1態様で、
(a)代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素とにサンプルとを接触させる工程と、
(b)1種または複数の付加的基質とともに、a)で得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を前記代謝産物に変換し、1種または複数の付加的副生成物を場合によっては生成することができる第2の酵素を用いて前記代謝産物を再生する工程と、
(c)工程a)および工程b)を一定の時間繰り返す工程と、
(d)その後、前記第1の酵素による前記代謝産物の酵素分解によって形成された、前記代謝産物の再生で使用される反応生成物とは異なるものである反応生成物のレベルを検出し、または、前記第2の酵素によって生成された前記任意の副生成物のレベルを検出し、または付加的基質のレベルを検出する工程と
を含む、サンプル中の代謝産物を検定するための方法を提供する。
【0009】
好都合なことに、本発明の方法の工程a)および工程b)は、ほぼ同時に実施してよい。すなわち、第1の酵素および第2の酵素、ならびに付加的基質をほぼ同時にサンプルと接触させてよい。
【0010】
検定対象の代謝産物は、通常、ホモシステイン、メチオニン、またはシステインであるが、簡単および簡潔のために、一般的にホモシステインについて以下に言及する。ただし、限定的なものとしてこれを解釈すべきではない。
【0011】
サンプル中に存在してよい前記付加的基質のうちの1種を検定することも可能であることを理解されたい。付加的基質の例としては、代謝産物がホモシステインまたはメチオニンである場合のO-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリン、および代謝産物がシステインである場合のO-アセチル-L-セリンまたはO-スクシニル-L-セリンが挙げられる。これについて、以下により詳細に記述する。
【0012】
酵素的手段により代謝産物を検定するための本発明の「サイクル式の(cyclic)」方法は、通常、少なくとも2種の酵素を必要とする方法であって、第1の酵素による代謝産物の分解によって生成される少なくとも1種の反応生成物を再利用し、次に、第2の酵素が、付加的基質の存在下で前記反応生成物のうちの少なくとも1種を再利用して、出発物質である代謝産物を再生できるものであることを理解されたい。前記第1の酵素および第2の酵素のいずれも、代謝産物が前記反応生成物に不可逆的に変換されるのに十分な濃度で提供してよい。場合によっては、第2の酵素と付加的基質の反応の際に副生成物が生成されることがある。したがって、反応生成物のうちの少なくとも1種および/または前記任意の副生成物をこうして再利用プロセスによって増幅することができる。
【0013】
一定時間後、本発明により定義される、前記代謝産物の再生に使用される反応生成物とは異なる前記反応生成物または前記任意の副生成物のうちの少なくとも1種を検出し、サンプル中の代謝産物の量を本明細書で記述するように定量化することができる。前記代謝産物の再生に使用される反応生成物とは異なる1種または複数の前記反応生成物あるいは1種または複数の前記任意の副生成物が増幅され、したがって、前記サンプル中でのそれらの濃度が高められることにより、代謝産物を検定するための「サイクル式ではない(non-cycling)」方法の反応生成物と比べて、より容易かつ正確に検出および定量化することができるので有利である。通常、サンプル中に存在する代謝産物の量は、当業者には公知の通り、既知の濃度の代謝産物を含むいくつかの標準物質を用いて作成した「検量線」を参照することによって定量化する。
【0014】
好都合なことに、このような検定法における前記代謝産物および前記反応生成物の増幅量は、50〜750倍、100〜500倍、10〜100倍など、2〜1000倍である。
【0015】
本発明では、反応生成物という用語は、適切な(第1の)酵素による代謝産物、すなわちホモシステイン、メチオニン、またはシステインの分解を通じて形成された任意の生成物を意味するものと理解されたい。例えば、これらの基質を分解するのに適した(第1の)酵素がホモシステインデスルフラーゼ(メチオニン-γ-リアーゼまたはメチオニナーゼとして知られている場合もある)であるとき、以下の代謝産物の反応生成物は、次のとおりである。
ホモシステイン:α-ケトブチレート、アンモニア(NH3)、および硫化水素(H2S)
メチオニン:α-ケトブチレート、アンモニア、およびメタンチオール
システイン:アンモニア、硫化水素、およびピルベート
【0016】
サンプル中のホモシステインを分解することができる(第1の)酵素は、ホモシステインデスルフラーゼ、例えば、国際公開第98/07872号で記載されている組換ホモシステインデスルフラーゼ、または、酵素活性を有する任意の断片もしくはその誘導体であることが好ましい。
【0017】
本発明では、酵素活性を有する断片またはその誘導体とは、人工(組換型)であれ天然であれ、酵素活性、すなわちホモシステインデスルフラーゼ活性を保持した任意の切断型の生成物を意味するものと理解されたい。ホモシステインデスルフラーゼ活性は、既知の手段および標準手段を用いて測定および試験できることが当業者には理解されよう。さらに、酵素ホモシステインデスルフラーゼは、当技術分野でメチオニン-γ-リアーゼとしても知られており、したがって、この酵素のすべての型の使用が本明細書に包含されるものとすることも理解すべきである。簡単のために、一般的にホモシステインデスルフラーゼについて以下に言及する。しかし、限定的なものとしてこれを解釈すべきではない。
【0018】
本発明によれば、メチオニンおよびシステインを含めて、サンプル中の他の基質を検定および分解するのにホモシステインデスルフラーゼを使用できることを理解すべきである。したがって、第1の酵素が本明細書で定義するようにホモシステインデスルフラーゼである本発明のサイクル式の方法を、メチオニンおよび/またはシステインを検定するのに使用することもできることを理解すべきである。
【0019】
本明細書では、「ホモシステインデスルフラーゼ」とは、ホモシステインの分解を触媒してα-ケトブチレート、硫化水素、およびアンモニアを放出することができる酵素を意味する。
HS-CH2-CH2-CH(NH2)COOH+H2O → CH3-CH2-C(O)COOH+H2S+NH3
【0020】
好ましくは、前記反応生成物のうちのいずれかから代謝産物、すなわちホモシステイン、メチオニン、またはシステインを再合成できる(第2の)酵素は、前記代謝産物を合成する際に、別の基質の存在下で前記反応生成物のうちのいずれかを利用するどんな酵素でもよい。
【0021】
例えば、反応生成物の硫化水素に関しては、ホモシステインまたはシステインを合成する際に硫化水素を利用するどの酵素も、本発明の方法で使用してよい。あるいは、反応生成物のメタンチオールに関しては、メチオニンを合成する際にメタンチオールを利用するどの酵素も、本発明の方法で使用してよい。
【0022】
より好ましくは、反応生成物の硫化水素を再合成してホモシステインを合成することができる(第2の)酵素は、O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質は、O-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンである。より好ましくは、反応生成物のメタンチオールを再合成してメチオニンを合成することができる第2の酵素は、O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質は、O-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンである。O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼは、当技術分野ではO-アセチル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼとしても知られており、付加的基質がO-スクシニル-L-ホモセリンであるときは、O-スクシニル-L-ホモセリンスルフヒドリラーゼまたはO-スクシニル-L-ホモセリンチオールリアーゼと呼ぶこともできることを理解すべきである。この酵素の既知の例として、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)で同定された酵素(PA5025としても知られているMetY、Genbankアクセッション番号AAG08410(緑膿菌(P.aeruginosa)遺伝子の学名についての詳細はhttp://www.pseudomonas.com/を参照のこと);PA3107としても知られているMetZ、Genbankアクセッション番号AAA83435)、高度好熱菌(Thermus thermophilus)で同定された酵素(OAH1タンパク質、Genbankアクセッション番号B4B68505)、シゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(Genbankアクセッション番号AAB66879)で同定された酵素、ならびにサッカロミセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)で同定された酵素(MET17タンパク質、Genbankアクセッション番号P06106)が挙げられる。O-アセチル-L-セリンやO-スクシニル-L-セリンなど付加的基質の存在下でH2Sを自然に使用してシステインを生成する、O-アセチル-L-セリンチオールリアーゼまたはO-アセチル-L-セリンスルフヒドリラーゼ(システイン合成酵素としても知られている。一例は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のcysMタンパク質、PA0932である)として知られているものなど他の酵素を本発明の方法で使用してよいことを理解すべきである。より好ましくは、本発明の方法は、H2Sに対して適度な親和性を有する安定で活性の高い組換酵素を使用してよい。
【0023】
一般に、前記第1の酵素であるホモシステインデスルフラーゼ、前記第2の酵素であるO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ、および前記付加的基質であるO-アセチル-L-ホモセリンによるホモシステインまたはメチオニンの再利用によって、最終反応生成物のα-ケトブチレートおよびアンモニア、ならびに副生成物のアセテートが全体的に蓄積および増幅される。場合によって、付加的基質がO-スクシニル-L-ホモセリンである場合は、最終反応生成物はα-ケトブチレートおよびアンモニアであり、副生成物はスクシネートである。
【0024】
一般に、前記第1の酵素であるホモシステインデスルフラーゼ、前記第2の酵素であるO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼ、および前記付加的基質であるO-アセチル-L-セリンによるシステインの再生によって、最終反応生成物のアンモニアおよびピルベート、ならびに副生成物のアセテートが全体的に蓄積および増幅される。場合によって、付加的基質がO-スクシニル-L-セリンである場合は、最終反応生成物は同じであるが、副生成物はスクシネートである。
【0025】
例えば、前記第1の酵素または第2の酵素がそれぞれ「ホモシステインデスルフラーゼ」または「O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ」である場合、前記第1の酵素または第2の酵素のいくつかの型(例えば異なる生物に由来するもの)またはアイソフォームがあってよいこと、およびこれらの型/アイソフォームの使用はすべて本明細書に包含されることを理解されたい。
【0026】
さらに、例えば国際公開第98/07872号でホモシステインデスルフラーゼについて記載されているように、適切な酵素活性、例えばホモシステインデスルフラーゼの活性またはO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼの活性を提示する前記第1の酵素または第2の酵素に由来する断片、あるいは、前記第1の酵素または第2の酵素の生物学的に活性な型をコードするヌクレオチド配列から誘導した断片も、本発明の方法で使用してよい。
【0027】
前記第1の酵素または第2の酵素の酵素的または生物学的に活性な誘導体または断片を結果として生じる前述したこれらの改良法が本発明の方法での使用に含まれることは、当業者には当然理解されよう。プロモーター、オペレーター、インデューサー、リボソーム結合部位、ターミネーターなどを含む調節制御配列に前記第1の酵素または第2の酵素を結合し、例えば本発明で使用するための組換ポリペプチドの作製に使用してよい。所与の宿主に適した制御配列は、当業者が選択することができる。さらに、付加的なアミノ酸などいわゆる「標識配列」をポリペプチドのN末端またはC末端に追加して、ポリペプチドの発現の際にいわゆる融合タンパク質を生じさせてもよい。
【0028】
本発明による前記第1の酵素または第2の酵素をコードするポリヌクレオチド断片を、様々な発現制御DNA配列のうちの任意の1種または複数に結合させて、いわゆる組換DNA分子を得てもよい。したがって、適切な宿主を形質転換し、既知の試薬を用いて組換型の第1の酵素または第2の酵素を単離/精製するのに、発現可能な核酸分子を含む発現ベクターを使用できることが当業者には理解されよう。
【0029】
同様に、本発明は、前述の方法を用いて構築した、第1の酵素または第2の酵素を含むハイブリッドの使用も提供する。言い換えると、前述したような適切な発現ベクターを用いて発現させることができるインフレームの分子を作製するために、例えば、第1の酵素および第2の酵素の双方の酵素活性を示す生物学的に活性なハイブリッド分子を作製するために、前記第1の酵素または第2の酵素のそれぞれの断片を適切な方法で結合させてよい。例えば、このようなハイブリッド第1/第2酵素は、ホモシステインデスルフラーゼ活性とO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ活性の双方、またはホモシステインデスルフラーゼ活性とO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼ活性の双方を示すことができる。このようなハイブリッド第1/第2酵素を作製および使用すると、ただ1つの分子を添加して、本発明の方法で前記第1の酵素および第2の酵素により必要とされる活性を触媒できるため有利である。
【0030】
前記第1の酵素または第2の酵素をコードする核酸配列をクローニングするのに使用できる特定のベクターは、当技術分野で既知である(例えば、Rodriguez,R.L.およびD.T.Denhardt編、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Butterworths、1988年)。
【0031】
例えば、2種の特定の細菌発現ベクター、すなわちpQE60およびpQE30(Qiagen社、ヒルデン(Hilden)、ドイツ)が、ホモシステインデスルフラーゼの発現用に使用されている。発現ベクターのpQEシリーズ(例えばpQE60およびpQE30)は、6-ヒスチジンタグ(6xHis-tag)をコードしており、これにより、金属キレートアフィニティクロマトグラフィーおよび高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)を用いて融合タンパク質を精製することが可能となっている。
【0032】
本発明によるこのような任意の組換核酸またはタンパク質分子の構築で使用する方法は、当業者には既知であり、特に、Sambrook他(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、第3版、2001年)で発表されている。
【0033】
通常、サンプルは、生物学的サンプル、例えば血液、血漿、大便、唾液、膣内体液、尿、または精液のサンプルでよい。ホモシステインは、ジスルフィド結合によってアルブミンなどの血中タンパク質に結合されていてもよく、また、ホモシステインは他のジスルフィド誘導体(通常はホモシステイン-システイン結合体)の形でこれらの生物学的サンプル中に存在してもよいことを理解されたい。したがって、サンプル中に存在するホモシステインの総量を概算するためには、還元剤でサンプルを処理して、ジスルフィド結合を切断し、遊離ホモシステインを遊離させることが望ましいことがある。ジスルフィド還元については、JocelynのMethods of Enzymology 143:243〜256頁(1987年)にその総説があり、様々な適切な還元剤が挙げられている。このような適切な還元剤を、本発明の教示に組み込む。
【0034】
別の態様では、本発明の方法は、還元剤とサンプルとを接触させる事前の工程を含む。したがって、場合によっては、本発明の方法を使用する前に、本発明のサンプルを還元剤で前処理してよい。通常、結合型のホモシステインを遊離させるのに使用する還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、またはトリスカルボキシルエチルホスフィン(TCEP)である。
【0035】
本発明によれば、本発明の方法は、最初に分解されて代謝産物になる分析物の量を見積もるのに使用することもできる。例えば、本発明のサイクリング法によって得られる、第1の酵素による代謝産物の分解によって生成される前記反応生成物のうちの少なくとも1種の高められた濃度を測定し、本明細書で記述するように代謝産物レベルの検量線と比較することによって、分析物の濃度を決定する。
【0036】
したがって、本発明は別の態様で、
a)サンプルに還元剤を加えて分析物を代謝産物に変換する工程と、
b)代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素とサンプルとを接触させる工程と、
c)1種または複数の付加的基質とともに、b)で得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を前記代謝産物に変換し、1種または複数の付加的副生成物を場合によっては生成することができる第2の酵素を用いて前記代謝産物を再生する工程と、
d)工程b)および工程c)を一定の時間繰り返す工程と、
e)その後、前記第1の酵素による前記代謝産物の酵素分解によって形成された、前記代謝産物の再生で使用される反応生成物とは異なるものである反応生成物のレベルを検出し、または、前記第2の酵素によって生成された前記任意の副生成物のレベルを検出し、または付加的基質のレベルを検出する工程と
を含む、サンプル中の分析物を検定するためのサイクル式の方法を提供する。
【0037】
通常、前記分析物の例としては、ホモシスチン(この場合、還元剤を用いてホモシスチンをホモシステインに変換する)またはメチオニン(この場合、酵素を用いてホモシステインに変換することができる)が挙げられる。これらの事例のいずれにおいても、ホモシステインの測定によって分析物の濃度を決定することができる。
【0038】
通常、ホモシスチンをホモシステインに変換するのに使用する還元剤は、ジチオトレイトール(DTI)、ジチオエリスリトール(DTE)、またはトリスカルボキシルエチルホスフィン(TCEP)であり、共有結合しているホモシステインを遊離させる。
【0039】
別の態様では、本明細書で開示される酵素的サイクル反応を用いて代謝産物に変換される分析物を検定できるように本明細書で開示される方法を適合させることができる。したがって、本発明は、
(a)分析物を代謝産物および反応生成物に変換することができる第1の酵素及び1種または複数の付加的基質とサンプルとを接触させる工程と、
(b)(a)で得られた代謝産物を前記分析物に変換し、かつ、1種または複数の付加的副生成物を生成することができる第2の酵素を用いて前記分析物を再生する工程と、
(c)工程a)および工程b)を一定の時間繰り返す工程と、
(d)その後、第1の酵素および分析物の反応によって形成された反応生成物のレベルを検出し、または前記第2の酵素によって生成された副生成物のレベルを検出し、または付加的基質のレベルを検出する工程とを含む、
サンプル中の分析物を検定するための方法を提供する。
【0040】
したがって、本発明のこの態様では、酵素的サイクル反応を用いて、分析物をホモシステイン、システイン、またはメチオニンなどの代謝産物に変換することにより分析物のレベルを増幅させる。本明細書で開示される本発明の他の態様の好ましい特徴をこの方法に適用できること、例えば、本発明の他の態様に関して開示されている第1の酵素が本発明のこの態様の第2の酵素に対応していること、また、逆の場合も同じであることは、当業者には明らかであろう。
【0041】
本発明のこの態様では、分析物は硫化水素であることが好ましい。第1の酵素がO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼまたはO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであることが好ましく、第2の酵素はホモシステインデスルフラーゼである。好ましい付加的基質として、O-アセチル-L-ホモセリンおよびO-スクシニルL-ホモセリンが挙げられる。反応生成物はアセテートでもスクシネートでもよく、1種または複数の付加的副生成物はα-ケトブチレートでもアンモニアでもよい。
【0042】
好都合なことに、前述の本発明の方法の反応生成物うちの任意のもの、例えばα-ケトブチレート、硫化水素、メタンチオールおよび/またはアンモニアは、当業者に既知の様々な適切な方法のうちのいずれかを用いて測定することができる。通常、代謝産物を再利用する際に使用される反応生成物ではなく増幅された生成物を検出することができる。このような検出に適した方法には、例えば、比色法、分光光度法、電気化学的方法、蛍光測定法、または発光法が含まれる。この方法は、サンプル中の濃度5μmol/l未満のホモシステインを検出するのに十分な感度があることが好ましい。
【0043】
あるいは、前述したように、本発明の最終反応生成物または副生成物のうちの任意のものを検出するために、何らかの方法で本発明の方法の前記付加的基質を標識してもよい。蛍光標識によって標識しても、同位体標識、特にC13によって標識してもよい。
【0044】
本発明によれば、場合によって生成される、1種または複数の付加的副生成物には、第2の酵素および付加的基質の添加による代謝産物の再生または触媒反応において生成される任意の副生成物が含まれる。例えば、代謝産物がホモシステインまたはメチオニンである場合、前記第2の酵素はO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、付加的基質はO-アセチル-L-ホモセリンであり、その際、副生成物はアセテートである。代謝産物および第2の酵素が同一であるが付加的基質がO-スクシニル-L-ホモセリンである場合は、副生成物はスクシネートである。
【0045】
代謝産物がシステインであり、前記第2の酵素がO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであり、前記基質がO-アセチル-L-セリンである場合は、生成される副生成物はアセテートである。代謝産物および第2の酵素が同一であるが使用される基質がO-スクシニル-L-セリンである場合は、生成される副生成物はスクシネートである。
【0046】
前述したような本発明の方法の副生成物は、当業者に既知の様々な適切な方法のうちの任意の方法を用いて検出することができるので有利である。例えば、アセテートは酵素アセタートチオキナーゼを用いて検出することができ、一方、スクシネートは、フマレートレダクターゼまたはスクシネートデヒドロゲナーゼを用いて検出することができる。
【0047】
ホモシステインの分解によって生じたα-ケトブチレートは、Sodaの方法(Soda,K.(1968年)Anal.Biochem.25:228〜235頁)に従い、3-メチル-2-ベンゾチアゾロンヒドラゾンヒドロクロリド(MBTH)を用いて検出することができる。
【0048】
α-ケトブチレートを測定する別の方法は、Li,R.およびKenyon,G.L.(1995年)A spectrophotometric determination of α-dicarboxyl compounds and its application to the enzymatic formation of α-ketobutyrate. Analytical Biochemistry 230、37〜40頁に記載されている。
【0049】
α-ケトブチレートを検出する特に好ましい方法は、NADHおよびラクテートデヒドロゲナーゼを添加して、α-ケトブチレートをα-ヒドロキシブチレートに変換するとともにNAD+を生成させることによるものである。次いで、340nmでの吸光度を測定する分光光度法、365nmでの励起および460nmでの発光を測定する蛍光測定法(Palmer T.(1991年)Understanding Enzymes 第3版、Ellis Horwood、London);テトラゾリウム塩を用いる比色法(Altman,P.F.(1974年)Histochemistry 38、155〜171頁);電気化学的方法(Morroux J.Elring PJ(1979年)Anal Chem 51、346頁;Blaedel WJ、Jenkins RA(1975年)Anal Chem 47、1335頁;Juegfeldt H他(1981年)Anal Chem 53、1979頁;Wang J、Lin MS(1987年)Electroanal Chem 221、257頁);および発光法(Whitehead TP他(1979年)Clin Chem 25、1531頁)を含めて、NADHへの変換を伴ういくつかの方法によって、NAD+のレベルを測定することができる。
【0050】
例えば、以下の(化学量論的)化学反応式に従い、酢酸鉛と反応させて硫化鉛を生成させることによって、ホモシステインの分解により生じた硫化水素を測定することができる。
H2S+Pb(CH2COOH)2 → PbS+2CH3COOH
【0051】
次に、分光光度法によりA360nmなど適切な波長で、得られた硫化鉛を測定することができる。(ThongK.WおよびCoombs,G.H.(1985年)Homocysteine desulphurase activity in trichomonads.IRCS Medical Science 13:493〜494頁)。
【0052】
別法として、Clime,J.D.Limnol、Oceanogr.(1969年)14 :454〜458頁で記載されているように、メチレンブルー法を用いて硫化水素を測定することもできる。簡単に言うと、硫化水素を、酸に溶かした0.17mMのN,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩および酸に溶かした塩化第二鉄と反応させて、650〜670nmで分光光度法により検出できるメチレンブルーを生成させる。
【0053】
Horn,D.B.およびSquire,C.R.(1967年)、An improved method for the detection of ammonia in blood plasma Clin.Chem.Acta 17、99〜105頁で記載されているように、ホモシステインの分解により生成されるアンモニアを次亜塩素酸塩の存在下でフェノールと反応させインドフェノールを生成することができる。次に、分光光度法により、例えば570nmなど適切な波長で、こうして得られたインドフェノールを検出することができる。
NH3+OCl+フェノール → インドフェノール
【0054】
さらに、アンモニアを検出するための方法には、Mondzac A他(1965年)J.Lab.Clin.Med.66、526頁で記載されているようにα-ケトグルタレートおよびNAD(P)Hをグルタメートデヒドロゲナーゼとともに用いる酵素的方法、Guilbault他(1985年)Anal.Chem.57、2110頁で記載されているようにアンモニア電極を用いる電気化学的方法、2-オキソグルタレートおよびNADHを用いてグルタメート、水、およびNAD+を生成させ、次に前述したようにNAD+を測定する方法、ならびに、硝酸銀をアンモニアに加えて黒色の沈殿を生じさせる方法が含まれる。
【0055】
前述したように前記第2の酵素による代謝産物の再利用および前記第1の酵素による代謝産物の分解によって生成される副生成物のアセテートは、HPLC、およびアセタートチオキナーゼの使用を含めて当業者に既知の酵素に基づく検定法(King,G.M.、1991年)を用いることによって検出することができる。
【0056】
同様に、前述したように前記第2の酵素による代謝産物の再利用および前記第1の酵素による代謝産物の分解によって生成される副生成物のスクシネートは、酵素スクシネートデヒドロゲナーゼの使用を含めて、当業者に既知の酵素に基づく検定法を用いることによって検出することができる。
【0057】
前述したように、代謝産物を基質または生成物として伴う反応を触媒する酵素(例えば、S-アデノシルホモシステインヒドロラーゼ)を検定するのにもホモシステインデスルフラーゼを使用できることを理解すべきである。例えば、前述したように生物学的サンプルでの検出に使用する方法で、代謝産物ホモシステインを検定することができる。同様に、メチオニンもしくはシステイン、または関連化合物を基質または生成物として伴う反応を触媒する酵素を検定するのにもホモシステインデスルフラーゼを使用できる。これらの代謝産物は、前述したように、ホモシステインデスルフラーゼによってそれらをα-ケト酸に変換し、そのα-ケト酸を測定することによって検定できるはずである。
【0058】
別の態様では、本発明は、代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素、ならびに1種または複数の付加的基質とともに、得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を前記代謝産物に変換し、1種または複数の付加的副生成物を場合によっては生成することができる第2の酵素を含む、サンプル中の代謝産物を診断用にin vitroで測定するためのキットを提供する。
【0059】
本発明による前記キットは、前述したように反応生成物のうちのいずれかの検出を可能にする手段をさらに含むことが好ましい。
【0060】
第1の酵素は、前述のホモシステインデスルフラーゼであることが好ましい。
【0061】
好都合なことに、キット中の第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼであるキットは、前述したようにホモシステイン、メチオニン、またはシステインのin vitroでの測定に使用できる。
【0062】
第2の酵素は、前記反応生成物のうちのいずれかを代謝産物、すなわちホモシステイン、メチオニンまたはシステインに再合成することができる酵素であることが好ましい。第2の酵素は、前述したように付加的基質を利用して副生成物を生成させる、前述の酵素であることがより好ましい。通常、再利用される反応生成物は硫化水素である。
【0063】
場合によっては、前記キットは、前述したように、サンプル中の分析物を前記代謝産物に変換するための還元剤をさらに含んでよい。したがって、前述したように、前記還元剤が存在することにより、代謝産物への変換および前記反応生成物の検出を通して前記分析物の検出が可能になることが理解されよう。
【0064】
バックグラウンドシグナルの低減および/または検定で使用する試薬の安定性の改善に役立つことができる、前述の方法および/またはキットを改善するために考案された他の改良法を使用してもよい。例えば、還元剤がその目的を果たした後に、その還元剤を結合、酸化、および/または除去することが望ましいことがある。凍結保護剤(cryo/lyoprotectant)および/またはタンパク性安定化剤もしくは非タンパク性安定化剤を利用することが適切なこともある。さらに、ピルベートまたは望ましくないケト酸を非活性化するのに役立つ作用物質を使用することも可能である。さらに、本発明のキットを用いていずれかの検定または診断用のin vitroでの検出を実施する前に、試薬のうちのいずれかを基質に結合させることが好都合であることもある。上記のもののいずれか/すべてを実施するのに適切な方法は、当業者を対象とする国際公開第01/77670号に記載されている。
【0065】
本発明の方法は、前述したようにサイクリング法を使用して代謝産物を検定するのに使用することができる。この方法では、前記代謝産物の再生に使用される反応生成物とは異なる1種もしくは複数の前記反応生成物または1種もしくは複数の前記任意の副生成物が増幅され、したがって、前記サンプル中でのそれらの濃度が高められることにより、既知の「サイクル式ではない」方法で代謝産物を検定および定量化するために生成される反応生成物と比べてより容易かつ正確に検出および定量化することができるので有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
次に、添付図および実施例を参照して、本発明の実施形態をより詳細に記述するが、これらは例に過ぎず限定するためのものではない。
【0067】
代謝産物ホモシステインを検定するためのサイクル式の方法
【0068】
検定I
検定方法
pH7.5の66mMリン酸ナトリウム緩衝液に溶かした、先の実施例に従って調製した組換ホモシステインデスルフラーゼを使用し、得られたアンモニアを測定することによって、ホモシステインレベルを測定することができる。初めにジチオトレイトール(DTT)を使用してホモシスチンをホモシステインに分解させて、タンパク質が結合したホモシステインまたはホモシスチンを遊離させる。ホモシステインデスルフラーゼは、ホモシステインのα-ケトブチレート、アンモニア、および硫化水素への変換を触媒する。O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼの作用により、硫化水素は変換されてホモシステインに戻る。得られたホモシステインは、α-ケトブチレート、アンモニア、および硫化水素に変換される。したがって、アンモニアの量は累進的に増加する。続いて、フェノールおよび次亜塩素酸塩を添加することによってこれを定量化する(HornおよびSquire、1967年)。
【0069】
検定用試薬
0.1Mリン酸ナトリウム溶液 0.5ml
5μM〜50μM(最終濃度)のホモシステイン溶液 0.49ml
ホモシステインデスルフラーゼ(20000U/l)溶液 10μl
O-アセチルL-ホモセリンチオールリアーゼ(50000U/l)溶液 10μl
O-アセチル-L-ホモセリン(500mM)溶液 10μl
【0070】
混合物を37℃で10分間インキュベートした後、フェノールおよび次亜塩素酸塩を添加して発色させた。次に、570nmでの吸光度を測定することによってホモシステインレベルを決定した。
【0071】
結果
ホモシステイン濃度(μM) 吸光度
0 0.08
5 0.21
10 0.36
15 0.47
20 0.61
30 0.86
【0072】
検定II
検定方法
初めにジチオトレイトール(DTT)を使用してホモシスチンをホモシステインに分解させて、タンパク質が結合したホモシスチンおよびホモシステインを遊離させる。次に、ホモシステインデスルフラーゼの作用により、ホモシステインはα-ケトブチレート、NH3、およびH2Sに分解される。O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼの反応により、硫化水素は変換されてホモシステインに戻る。次に、特異的なラクテートデヒドロゲナーゼアイソザイムを利用して、α-ケトブチレートをα-ヒドロキシブチレートに変換するとともにNAD+を放出させる。HClを用いてpHを低下させることによりNADHを除去した後、エタノール、アルコールデヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、およびテトラゾリウム塩を含むサイクリング機序中にNAD+を供給して、光度測定が可能な有色の生成物を生成させる。色濃度の上昇は、サンプル中のホモシステインの濃度に対応している。
【0073】
検定の実行
工程1:20μlのサンプル(例えばクエン酸加血漿)を0.1mol/lのHEPES、1.0mmol/lのNADH、20,000μmole/分/lのホモシステインデスルフラーゼ、50,000U/lのO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ、5mmol/lのO-アセチル-L-ホモセリン、50,000U/lのラクテートデヒドロゲナーゼ、および0.05mol/lのジチオトレイトールを含むpH8.0の溶液500μlと混合してキュベット中に入れる。 37℃で3分間インキュベートする。
工程2:1mol/lのHC1、0.55%(体積/体積)のノニデットP40、1×10-4mol/lのニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を含む溶液500μlを加える。37℃で5分間インキュベートする。
工程3:Tris(ヒドロキシメチルアミノメタン)(TRIS)および1mol/lのエタノールの溶液500μlを加え、続いて20,000U/lのアルコールデヒドロゲナーゼ、1000U/lのジアホラーゼを含む溶液50μlを加える。アルコールデヒドロゲナーゼを含有する試薬の添加後、527nmでの吸光度の上昇を5分間測定する。
【0074】
検定の性能
i)検量線
標準的な検量線を以下の表に示す。
ホモシステイン濃度 吸光度
(μmol/l)
0 0.161
5 0.276
10 0.391
15 0.504
20 0.611
25 0.731
ホモシステインを血清中に加えることによって検量線を作成した。内在性のホモシステインのレベルが原因で一部バックグラウンドシグナルがある。
ii)感度
濃度5μmol/l未満のホモシステインを検出することが確実に可能である。
【0075】
検定III
検定方法
ホモシステインデスルフラーゼは、ホモシステインのα-ケトブチレート、アンモニア、および硫化水素への変換を触媒する。O-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼの作用により、硫化水素は変換されてホモシステインに戻る。得られたホモシステインは、α-ケトブチレート、アンモニア、および硫化水素に変換される。したがって、アンモニアの量は累進的に増加する。ケトグルタレート、NADH、およびグルタメートデヒドロゲナーゼの添加ならびにNADH酸化のモニタリングによって、これを定量化する。
含有物(1ml中):pH7.8、50mMのリン酸ナトリウム;5mMのケトグルタレート;100μMのNADH;230μgのグルタメートデヒドロゲナーゼ(Roche Diagnostics社);0.3mMのO-スクシニル-L-ホモセリン;ホモシステインサンプル;6μgのO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ;2.6μgのホモシステインデスルフラーゼ(MGL2)。
手順:37℃で10分間プレインキュベーションした後、ホモシステインデスルフラーゼを加えて反応を開始させる。37℃でインキュベーションし、30分間のインキュベーションの際の340nmでの吸光度をモニターし、10分から30分の間の変化率を測定する。
【0076】
【表1】

【0077】
本検定法の特徴
本検定法は、ホモシステイン濃度を決定するために、結合型ホモシステインを遊離させるためのプレインキュベーションを行い、単一の反応を使用する。本検定法で行う測定は、動力学的なものであった。本検定法により、2.5マイクロモルのホモシステイン、および潜在的にはより低濃度のホモシステインを検出することができた。
【0078】
使用するO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼ酵素
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する2種の酵素、すなわち番号PA5025およびPA3107の遺伝子によってコードされた酵素を使用した。PA5025およびPA3107によりコードされた組換タンパク質の作製は、以下の試薬および条件を用いて行った。
・ PET28a+(N-末端His-Tag)
・ 宿主の系統;BL21/DE3
・ A6000.6〜0.8になるまで37℃で増殖させる
・ 2mM IPTGを用いて、発現を誘発する
・ 37℃で4時間経過後に細胞を回収する
・ 50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、20マイクロモルのリン酸ピリドキサール中で超音波処理する
・ ニッケルアガロースクロマトグラフィーによってHis標識したタンパク質を精製する
・ 勾配75〜500mMのイミダゾールで溶離する
【0079】
ピーク画分をまとめ、50mMのリン酸カリウム、1mMのEDTA、0.2mMのリン酸ピリドキサールを含むpH7.8の溶液で2回透析した(100倍体積量、4℃で90分間)。アジ化ナトリウムを0.02%になるまで加え、4℃で保管する。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
KredichおよびTomkins(Journal of Biological Chemistry 241、4955〜4965頁、1966年)に従って検定した。
【0083】
【表4】

参考文献
本明細書中で言及した文献は全て参考文献として明確にその全体を取り込むこととする。
(文献リスト)



【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の方法で使用される反応の概略図である。この特定の実施形態では、第1の酵素はホモシステインデスルフラーゼであり、第2の酵素はO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、付加的基質はO-アセチル-L-ホモセリンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素とサンプルとを接触させる工程と、
b)a)で得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を、1種または複数の付加的基質とともに前記代謝産物に変換することができ、且つ任意に1種または複数の付加的副生成物を生成することができる第2の酵素を用いて、前記代謝産物を再生する工程と、
c)工程a)および工程b)を一定の時間繰り返す工程と、
d)その後、前記第1の酵素による前記代謝産物の酵素分解によって形成される反応生成物であって前記代謝産物の再生で使用される反応生成物とは異なるものである反応生成物のレベルを検出するかまたは、前記第2の酵素によって生成された前記の任意副生成物のレベルを検出するか、または付加的基質のレベルを検出する工程と
を含む、サンプル中の代謝産物を検定するための方法。
【請求項2】
a)サンプルに還元剤を加えて分析物を代謝産物に変換する工程と、
b)前記代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素と前記サンプルとを接触させる工程と、
c)b)で得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を、1種または複数の付加的基質とともに前記代謝産物に変換することができ、且つ任意に1種または複数の付加的副生成物を生成することができる第2の酵素を用いて前記代謝産物を再生する工程と、
d)工程b)および工程c)を一定の時間繰り返す工程と、
e)その後、前記第1の酵素による前記代謝産物の酵素分解によって形成される反応生成物であって前記代謝産物の再生で使用される反応生成物とは異なるものである反応生成物のレベルを検出するかまたは、前記第2の酵素によって生成された前記任意の副生成物のレベルを検出し、または付加的基質のレベルを検出する工程と
を含む、サンプル中の分析物を検定するためのサイクル式の方法。
【請求項3】
前記代謝産物がホモシステイン、メチオニン、またはシステインである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分析物がホモシスチンであり、前記代謝産物がホモシステインである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記付加的基質が、(i)前記代謝産物がホモシステインまたはメチオニンである場合はO-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンであり、あるいは、(ii)前記代謝産物がシステインである場合はO-アセチル-L-セリンまたはO-スクシニル-L-セリンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記検定における前記代謝産物の増幅率が2〜1000倍である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼである、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(i)前記代謝産物がホモシステインであるとき、前記反応生成物がα-ケトブチレート、アンモニア(NH3)、および硫化水素(H2S)であり;または
(ii)前記代謝産物がメチオニンであるとき、前記反応生成物がα-ケトブチレート、アンモニア、およびメタンチオールであり;または
(iii)前記代謝産物がシステインであるとき、前記反応生成物がピルベート、アンモニア、および硫化水素である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の酵素が、システインまたはホモシステインを合成する際に硫化水素を利用し、あるいは、メチオニンを合成する際にメタンチオールを利用する、請求項3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記第2の酵素が、硫化水素を用いてホモシステインを合成することができるO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質が、O-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンであり、あるいは
(ii)前記第2の酵素が、メタンチオールを用いてメチオニンを合成することができるO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質が、O-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンであり、あるいは
(iii)前記第2の酵素が、硫化水素を用いてシステインを生成することができるO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質が、O-アセチル-L-セリンまたはO-スクシニル-L-セリンである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記代謝産物がホモシステインまたはメチオニンであり、前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼであり、前記第2の酵素がO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質がO-アセチル-L-ホモセリンであり、前記反応生成物がα-ケトブチレートおよびアンモニアであり、前記副生成物がアセテートである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記代謝産物がホモシステインまたはメチオニンであり、前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼであり、前記第2の酵素がO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質がO-スクシニル-L-ホモセリンであり、前記反応生成物がα-ケトブチレートおよびアンモニアであり、前記副生成物がスクシネートである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記代謝産物がシステインであり、前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼであり、前記第2の酵素がO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質がO-アセチル-L-セリンであり、前記反応生成物がアンモニアおよびピルベートであり、前記副生成物がアセテートである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝産物がシステインであり、前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼであり、前記第2の酵素がO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであり、前記付加的基質がO-スクシニル-L-セリンであり、前記反応生成物がアンモニアおよびピルベートであり、前記副生成物がスクシネートである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
還元剤と前記サンプルとを接触させて結合代謝産物を遊離させる事前の工程を含む、請求項1または3から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記還元剤がジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、またはトリスカルボキシルエチルホスフィン(TCEP)である、請求項2または15に記載の方法。
【請求項17】
サンプル中の濃度5μmol/l未満のホモシステインを検出することができる、請求項3から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
a)前記分析物を代謝産物および反応生成物に変換することができる第1の酵素及び1種または複数の付加的基質とサンプルとを接触させる工程と、
b)a)で得られた前記代謝産物を前記分析物に変換し、かつ、1種または複数の付加的副生成物を生成することができる第2の酵素を用いて前記分析物を再生する工程と、
c)工程a)および工程b)を一定の時間繰り返す工程と、
d)その後、前記第1の酵素および前記分析物の反応によって形成された反応生成物のレベルを検出し、または前記第2の酵素によって生成された副生成物のレベルを検出し、または付加的基質のレベルを検出する工程と
を含む、サンプル中の分析物を検定するための方法。
【請求項19】
前記代謝産物がホモシステイン、システイン、またはメチオニンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分析物が硫化水素である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記第1の酵素がO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼまたはO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼであり、前記第2の酵素がホモシステインデスルフラーゼであり、かつ/あるいは
(ii)前記付加的基質がO-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニルL-ホモセリンであり、かつ/あるいは
(iii)前記反応生成物がアセテートまたはスクシネートであり、かつ/あるいは
(iv)前記1種または複数の付加的副生成物がα-ケトブチレートまたはアンモニアである、
請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の酵素および/または第2の酵素が酵素活性を有するタンパク質断片である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルが、血液、血漿、大便、唾液、膣内体液、尿、または精液の生物学的サンプルである、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記付加的基質が標識されている、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記標識が蛍光標識または同位体標識である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記反応生成物、副生成物、または付加的基質のレベルが、比色法、分光光度法、電気化学的方法、蛍光測定法、または発光法を用いて検出される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記反応生成物または前記副生成物を検出する前記工程が、
(i)HPLCまたは酵素アセタートチオキナーゼを用いてアセテートを検出する工程、あるいは、
(ii)酵素フマレートレダクターゼまたはスクシネートデヒドロゲナーゼを用いてスクシネートを検出する工程、あるいは、
(iii)3-メチル-2-ベンゾチアゾロンヒドラゾン塩酸塩(MBTH)を用いてα-ケトブチレートを検出する工程、あるいは、
(iv)NADHおよびラクテートデヒドロゲナーゼを加えて、α-ケトブチレートをα-ヒドロキシブチレートに変換するとともにNAD+を生成し、このNAD+のレベルを測定することによって、α-ケトブチレートを検出する工程、あるいは、
(v)酢酸鉛と反応させて硫化鉛を生成させ、生成された硫化鉛を分光光度法で測定することによって、硫化水素を検出する工程、あるいは、
(vi)メチレンブルー法を用いて硫化水素を検出する工程、あるいは、
(vii)次亜塩素酸塩の存在下でフェノールと反応させてインドフェノールを生成させ、インドフェノールを分光光度法により測定することによってアンモニアを検出する工程、あるいは、
(viii)α-ケトグルタレートおよびNAD(P)Hをグルタメートデヒドロゲナーゼとともに酵素的に用いて、またはアンモニア電極を用いて電気化学的方法で、または2-オキソグルタレートおよびNADHを用いてグルタメート、水、およびNAD+を生成させ次にNAD+を測定して、または、硝酸銀をアンモニアに加えて黒色の沈殿を生じさせて、アンモニアを検出する工程
を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記代謝産物を複数の反応生成物に分解することができる第1の酵素、ならびに1種または複数の付加的基質とともに、得られた前記反応生成物のうちの少なくとも1種を前記代謝産物に変換し、1種または複数の付加的副生成物を場合によっては生成することができる第2の酵素を含む、サンプル中の代謝産物を診断用にin vitroで測定するためのキット。
【請求項29】
前記代謝産物がホモシステイン、メチオニン、またはシステインである、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第1の酵素がホモシステインデスルフラーゼである、請求項28または29に記載のキット。
【請求項31】
前記第2の酵素がO-アセチル-L-ホモセリンチオールリアーゼまたはO-アセチル-L-セリンチオールリアーゼである、請求項28から30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
前記付加的基質が、前記代謝産物がホモシステインまたはメチオニンである場合はO-アセチル-L-ホモセリンまたはO-スクシニル-L-ホモセリンであり、前記代謝産物がシステインである場合はO-アセチル-L-セリンまたはO-スクシニル-L-セリンである、請求項28から31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
反応生成物、副生成物、または付加的基質を検出するための検出手段をさらに含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
サンプル中の分析物を前記代謝産物に変換するための還元剤をさらに含む、請求項28から33のいずれか一項に記載のキット。

【図1】
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【公表番号】特表2007−501019(P2007−501019A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530533(P2006−530533)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002227
【国際公開番号】WO2004/104221
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(503392976)ザ・ユニヴァーシティ・コート・オブ・ザ・ユニヴァーシティ・オブ・グラスゴー (7)
【Fターム(参考)】