説明

代謝経路に関与する遺伝子の障害アレル並びにそれを検出及び使用する方法

本発明は、酵素変異体、補因子に対するそれらの応答性に関し、並びに酵素変異体の活性、及び補因子に対するそれらの応答性を試験するインビボアッセイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府による資金提供
本発明は、Defense Advanced Research Projects Agency及びU.S. Army Research Office (#W911NF−06−1−0166)及びNational Institutes for Health (GM072859)の政府支援を利用して行われた。米国政府は、本発明の権利の一部を有する。
【0002】
本発明は、代謝に影響する酵素変異体、補因子に対するそれらの機能的感受性、並びにそのような酵素変異体をコードする障害アレル(impaired alleles)を検出する、及び補因子に対するそれらの感受性を判定するアッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
葉酸塩/ホモシステイン代謝経路は、葉酸塩を代謝し、及び/又はホモシステインに影響する、酵素のネットワーク及び酵素経路を構成する。該経路は、メチオニンシンターゼ反応、並びに培養細胞、動物モデル系及びヒトホモシステイン再メチル化障害における限界葉酸塩欠乏を介して結び付けられている(例えば、Stover PJ. 2004. Physiology of folate and vitamin B12 in health and disease. Nutr Rev 62:S3−12を参照されたい)。
【0004】
葉酸塩の不足は、神経管欠損(NTD)及び他の出生時欠損、並びに不都合な妊娠転帰(adverse pregnancy outcome)、例えば口唇口蓋裂(orofacial cleft)、子癇前症(pre−eclampsia)、早産(pre−term delivery)/低出生体重児(low birthweight)、及び反復早期自然流産(recurrent early spontaneous abortion)と関連付けられている(例えば、Mills et al., 1995. Homocysteine metabolism in pregnancies complicated by neural tube defects. Lancet 345:149−1151を参照されたい)。葉酸塩不足は、心血管疾患、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障とも関連付けられている。
【0005】
葉酸塩/ホモシステイン代謝経路の全ての代謝ステップは、葉酸塩の不足及び/又はホモシステイン代謝と関連する症状及び疾患に潜在的に関与する。葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する酵素として、例えば、二機能性酵素AICARトランスフォルミラーゼかつIMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、グリシンアミドリボヌクレオチドトランスフォルミラーゼ(GART)、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼIアルファ(MAT1A)、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼIIアルファ(MAT2A)、メチレンテトラヒドロフォレートリダクターゼ(MTHFR)、及びメテニルテトラヒドロフォレートシンセターゼ(MTHFS)が挙げられる。また、葉酸塩の不足は、MTHFR及びCBSの両方のアロステリック阻害剤であるS−アデノシル−メチオニン(”SAM”)により媒介されるメチル化を阻害する(例えば、Kraus et al., 1999. Cystathionine β−synthase mutations in homocystinuria. Hum Mut 13:362−375; Daubner et al., 1982. In Flavins and Flavoproteins, eds. Massey, V. & Williams, C. H. (Elsevier, New York), pp. 165−172を参照されたい)。S−アデノシル−ホモシステイン:S−アデノシル−メチオニン(SAH/SAM)の比率の上昇は、NTD発生のメカニズムにおいて指摘されている。
【0006】
5,10−メチレンテトラヒドロフォレートリダクターゼ(MTHFR)は、ホモシステインがメチオニンに転換する葉酸塩依存的多段階経路に関与する。ホモシステインの転換の低下は、高ホモシステイン血症を引き起こし得る。
【0007】
MTHFRの稀な突然変異のあるものは、臨床的なMTHFR機能不全、常染色体劣性疾患に関連する。MTHFR機能不全の臨床症状は多様で、成長の遅延、運動及び歩行の異常、発作(seizure)、並びに早期血管疾患(premature vascular disease)が挙げられる。
【0008】
また、MTHFRの通常の多型(Common polymorphism)も記載されており、機能的な障害アレルA222Vが含まれる。通常の多型と疾患との遺伝的関連性は、これまで説明されていない。これは、部分的には、疾患の潜在的リスク、及び同定されていないが、低頻度障害アレル(low−frequency impaired allele)のそのような疾患に対する関与をマスクする、葉酸塩のアベイラビリティーの補整効果(compensatory effect)によると思われる。興味深いことに、一般的な多型は、メトトレキサートや5−フルオロウラシル等の化学治療剤の効果や毒性における個人差に関与することが知られている。
【0009】
酵母遺伝子met11の機能補償アッセイは、公知である(Shan et al., JBC, 274:32613−32618, 1999)。このアッセイにおいて、野生型ヒトMTHFRは、サッカロマイケス・セレウィシアエ(S. cerevisiae)のmet11突然変異を補償することが示された。しかしながら、このアッセイは、MTHFRの突然変異による活性の量的変化に対しては感受性ではない。このことは、機能的な障害アレルA222Vが酵母の突然変異を補償する能力が、野生型酵素と比較して類似していたことからわかる。また、このアッセイは、葉酸塩のアベイラビリティーに対する感受性もない。
【0010】
葉酸塩を利用する酵素に加えて、一部のビタミンB及びB12依存的酵素並びに酵素経路も、ホモシステイン代謝、NTD及び他の出生障害、並びに不都合な妊娠結果(pregnancy outcome)に関与する。例えば、Bを利用する酵素シスタチオニン−ベータ−シンターゼ(”CBS”)の機能不全は、ホモシステインの蓄積を引き起こす(Kraus et al., 1999. Cystathionine β−synthase mutations in homocystinuria. Hum Mut 13:362−375)。同じく、Bを利用する酵素シスタチオニン−γ−リアーゼ(”CTH”)の単一ヌクレオチド多型も、ホモシステイン血症に関与している(Wang et al., 2004. Single nucleotide polymorphism in CTH associated with variation in plasma homocysteine concentration. Clin Genet 65:483−486)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、部分的には、代謝経路中の酵素をコードする遺伝子の障害アレルを同定し、補因子救済(cofactor remediation)に対するそれらの感受性を判定する新規インビボアッセイの開発に由来する。機能的に類似する関心のある酵素により補完され得る第一の突然変異、及び補因子の添加に対する強力な依存性を付与する第二の突然変異(又は突然変異群)を含む、複合的な(compound)酵母突然変異は、補因子の可用性(availability)に応じた酵素補完の実験を可能とする。救済可能な(remediable)アレルを含む補因子感受性障害アレルが同定され得て、そして、補因子可用性:酵素活性の関係は、本明細書中に開示されるアッセイを使用して解析され得る。取得される結果は、代謝酵素の機能不全及び異常な代謝に関与する症状及び疾患を予防及び治療するための、予防的及び治療的栄養補給アプローチの情報を得るのに使用され得る。
【0012】
また、本発明は、部分的には、酵素をコードする遺伝子の低頻度障害アレルの補因子救済が驚くほどありふれたことであることを本明細書中で初めて実証したことに由来する。本明細書中で例示されているように、代謝経路中の多くの補因子感受性遺伝子のそれぞれが、その集団中で多くの低頻度突然変異を有し得る。これらの突然変異は、集団として解析した場合、単一の遺伝子の単一の低頻度障害アレルの実験から明らかにされ得るよりも、代謝経路に対して、より顕著なインパクトを有する。更に、そのような低頻度障害アレルの多くがヘテロ接合した細胞は、定量的な障害を呈するので、そのような個々では稀なアレルの頻度の蓄積は、より通常の多型がない場合であっても、通常の表現型に関与し得る。前記経路にインパクトを有するそのような低頻度障害アレルは、通常の多型において観察される表現型の変異にも関与し得る。よって、本発明は、酵素をコードするそのような低頻度障害アレルの検出及び特定、並びにそれらの有効な救済を判定することを特に目標とする、診断及び予測方法を意図する。
【0013】
また、本発明は、特に葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する酵素をコードする遺伝子の新しい低頻度障害アレルを同定及び特定するための、これらのアッセイの特定の応用にも由来する。本明細書中でMTHFRに関して実証したように、酵素の機能不全に累積的に関与するが、補因子の添加によりその影響が解消されもする、多くの低頻度障害アレルが存在する。また、本発明は、MTHFRの障害アレルが、その酵素のN末端触媒ドメインのコーディング配列に位置する配列の変化を含むことを発見したことにも由来する。
【0014】
故に、本発明は、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFR、及びMTHFS等の葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する酵素をコードする遺伝子の、障害があるが救済可能なアレルを検出する新規インビボアッセイを提供する。従来技術において、野生型のヒトMTHFR活性がmet11の障害を救済するという補償アッセイが記載されている(Shan et al., JBC, 274:32613−32618, 1999)が、このアッセイは、高度な感受性を有さず、そして全ての機能的な障害ヒトMTHFRアレルを検出することが出来なかった。例えば、このアッセイは、野生型MTHFRと機能的に障害を有する通常の多型A222Vとを区別することが出来ない。更に、このアッセイは、葉酸塩レベルと酵素活性との間の関連性を何ら明らかにしない。
【0015】
かかる従来技術と対象的に、ここで開示するインビボアッセイは、本明細書中でMTHFRにおいて実証するように、葉酸塩/ホモシステイン対処に関与する遺伝子の障害アレルを高度な感受性で検出しつつ、それらの葉酸塩に対する感受性を同時に判定することが出来る。同定されるアレルとして、ヘテロ接合体としての表現型を呈する、低頻度アレル、優性アレル又は相互優性アレル、例えば葉酸塩により救済可能なアレル等の葉酸感受性のアレル、及びこれらの特徴を組み合わせて有するアレルが挙げられる。重要なことに、これらの障害アレルは、様々な症状及び疾患のリスク、そして多くの化学治療剤の作用性及び毒性に関連付けられる。これらの障害アレルの機能不全は、人によっては、葉酸塩可用性の補償的効果のため、症状、疾患、又は化学治療に対する様々な応答として現れない場合がある。MTHFRの機能的障害アレルを検出する能力により、そのような症状及び疾患のリスク、そして化学治療の潜在的な治療効率及び毒性を、スクリーニングする方法が提供される。
【0016】
また、本発明は、CTH及びCBSの障害アレルを検出する新規なインビボアッセイも提供する。これらの遺伝子の機能的障害遺伝子を検出する能力により、同時に、関連する疾患及び症状のリスクをスクリーニングする方法が提供される。
【0017】
よって、一つの側面において、本発明は、代謝経路の酵素をコードする遺伝子の障害アレルを検出し、そしてそれらの補因子に対する感受性を判定するためのインビボアッセイを提供する。該アッセイは、野生型酵素をコードする遺伝子により補完され得る第一の遺伝子中の第一の突然変異、及び補因子(又はその前駆体)の添加に対する依存性を付与する第二の遺伝子中の第二の突然変異を含むことにより、第一の遺伝子の機能と関連するアッセイ可能な表現型を示す、酵母株の使用を含む。
【0018】
前記方法は、i)酵素をコードする遺伝子の試験アレルを酵母に導入し、ここで該酵母細胞が、該酵素をコードする遺伝子に機能的に類似する第一の遺伝子に第一の突然変異を含み、そして該酵母細胞を、酵素が機能するのに必要な補因子の投与に依存させる第二の遺伝子又は遺伝子群に第二の突然変異を含み、ここで該第一の突然変異が、該第一の遺伝子の機能に関連する酵母の測定可能な特徴(measurable characteristic)を変化させ;ii)増殖培地に補因子を添加し;そしてiii)野生型の酵素の存在下よりも試験アレルの存在下で該測定可能な特徴が回復(restoration)し難いことを検出することにより、該試験アレルによる第一の遺伝子突然変異の不完全な補完を検出し、そして試験アレルを障害アレルとして同定することを含む。添加される補因子を滴定(titrating)することにより、補因子可用性における障害アレルの感受性が判定される。
【0019】
一つの態様において、二倍体の酵母が使用される。該二倍体の酵母は、試験アレルにおいてヘテロ接合体又はホモ接合体である。二倍体の酵母は、野生型の遺伝子及び試験アレルを含み得る。二倍体の酵母は、試験アレルの組合せを含み得る。
【0020】
好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、配列において、自然発生的なアレルと、又は個々の自然発生的なアレルの編集物(compilation)に対応する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、ヒトの酵素をコードするアレル、又は個々のヒトアレルの編集物を含む。
【0021】
好ましい態様において、前記酵母は、サッカロマイケス・セレウィシアエ(S. cerevisiae)である。
【0022】
一つの態様において、第一の酵母遺伝子はmet13で、第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、MTHFRアレルの活性、及びそれらの葉酸塩のステータスに対する応答性を判定するのに使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、MTHFRアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトMTHFRアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトMTHFRアレルの編集物を含む。
【0023】
好ましい態様において、前記アッセイ手法は、関心のあるMTHFRアレルの活性と野生型のMTHFRの活性とを比較することを含む。
【0024】
好ましい態様において、前記アッセイ手法は、MTHFR酵素が葉酸塩可用性に感受性であるか否かを判定するために葉酸塩の量を滴定することを含む。
【0025】
一つの態様において、前記酵母は二倍体である。一つの態様において、前記に媒体酵母は、補完が試験されるべきMTHFRアレルにおいてヘテロ接合体である。一つの態様において、前記に媒体酵母は、野生型MTHFR及び突然変異MTHFRアレルを含む。
【0026】
一つの好ましい態様において、アッセイで測定されるアウトプットは増殖である。
【0027】
一つの態様において、前記第一の酵母遺伝子はade16又はade17で、前記第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、二機能性酵素AICARトランスフォルミラーゼかつIMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)アレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、ATICアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトATICアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトATICアレルの編集物を含む。
【0028】
一つの態様において、前記第一の酵母遺伝子はade7で、前記第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、グリシンアミドリボヌクレオチドトランスフォルミラーゼ(GART)アレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、GARTアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトGARTアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトGARTアレルの編集物を含む。
【0029】
一つの態様において、前記第一の酵母遺伝子はsam1又はsam2で、前記第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼIアルファ(MAT1A)アレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、MAT1Aアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトMAT1Aアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトMAT1Aアレルの編集物を含む。
【0030】
一つの態様において、前記第一の酵母遺伝子はsam1又はsam2で、前記第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼIIアルファ(MAT2A)アレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、MAT2Aアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトMAT2Aアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトMAT2Aアレルの編集物を含む。
【0031】
一つの態様において、前記第一の酵母遺伝子はfau1で、前記第二の酵母遺伝子はfol3である。そのような酵母株は、メチレンテトラヒドロフォレートシンセターゼ(MTHFS)アレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、MTHFSアレルの活性を判定し、更に、葉酸塩のステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトMTHFSアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトMTHFSアレルの編集物を含む。
【0032】
他の態様において、前記第一の酵母遺伝子はcys3で、前記第二の酵母遺伝子の群は、六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。そのような酵母株は、CTHアレルの活性、及びビタミンBステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、CTHアレルの活性を判定し、更に、ビタミンBのステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトCTHアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトCTHアレルの編集物を含む。
【0033】
他の態様において、前記第一の酵母遺伝子はcys4で、前記第二の酵母遺伝子の群は、六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。そのような酵母株は、CBSアレルの活性、及びビタミンBステータスに対するその応答を判定するために使用され得る。従って、一つの態様において、本発明は、CBSアレルの活性を判定し、更に、ビタミンBのステータスに応じた活性を判定することができる、インビボアッセイを提供する。好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、自然発生的なヒトCBSアレルを含む。他の好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子は、個々のヒトCBSアレルの編集物を含む。
【0034】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレル、及びその補因子に対する感受性を検出することができる酵母株を提供する。
【0035】
一つの態様において、本発明は、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFR、及びMTHFSからなる群から選択される酵素をコードする遺伝子の障害アレルを検出し、そしてその葉酸塩に対する応答性を判定することが出来る酵母株を提供する。好ましい態様において、前記酵母は、各酵素をコードする遺伝子において上記に記載されている各突然変異及び追加物(addition)を含む。
【0036】
一つの態様において、本発明は、CHTの障害アレルを検出し、そしてそのビタミンBに対する応答性を判定することが可能な酵母株を提供する。
【0037】
一つの態様において、本発明は、CBSの障害アレルを検出し、そしてそのビタミンBに対する応答性を判定することが可能な酵母株を提供する。
【0038】
一つの側面において、本発明は、代謝経路、例えば葉酸塩/ホモシステイン代謝等の酵素をコードする遺伝子の障害アレルを検出する方法を提供する。一つの態様において、該障害アレルは、自然発生的なヒトATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFR、及び/又はMTHFSである。一つの態様において、該障害アレルは、CBSアレルである。一つの態様において、該障害アレルは、CTHアレルである。好ましい態様において、前記方法は、本明細書中で提供されるインビボアッセイを使用して補因子による救済が可能であることが示された代謝酵素をコードする遺伝子の障害アレルの検出を含む。
【0039】
他の側面において、本発明は、対象における代謝経路中の酵素機能不全を同定及び/又は特徴付ける方法であり、該対象から試料を取得し、そして該試料中の複数の障害アレルの存否を検出することを含み、1つ以上の該障害アレルの存在が、該対象が酵素機能不全のリスクを有することを示す、前記方法を提供する。複数の障害アレルは、代謝経路中の同一の酵素をコードする遺伝子に由来するものでも、又は同一の経路中の複数の遺伝子に由来するものであってもよい。
【0040】
好ましい態様において、1つ以上の障害アレルが、低頻度アレルであり、例えば一般的には、一般集団の4%未満しか発現しておらず、より一般的には、一般集団の3%未満しか発現しておらず、好ましくは2.5〜2%未満、そして最も好ましくは一般集団の1%未満しか発現していない。好ましい態様において、1つ以上の障害アレルは、補因子による救済が可能なアレルである。特に好ましい態様において、該補因子による救済が可能なアレルは、本明細書中で提供されるインビボアッセイ及び方法により同定される。
【0041】
他の態様において、対象中の酵素の補因子依存的な機能不全の素因を検出する方法が提供され、該方法は、対象から試料を取得し、そして該試料中の複数の障害アレルの存否を検出することを含み、1つ以上の障害アレルの存在が、該対象が救済可能な酵素機能不全を有し得ることを示す。該複数の障害アレルは、前記代謝経路中の同一の酵素をコードする遺伝子に由来するものであっても、又は同一の経路中の複数の遺伝子に由来するものであってもよい。
【0042】
好ましい態様において、1つ以上の障害アレルは、低頻度アレルであり、例えば一般的には、一般集団の4%未満しか発現しておらず、より一般的には、一般集団の3%未満しか発現しておらず、好ましくは2.5〜2%未満、そして最も好ましくは一般集団の1%未満しか発現していない。好ましい態様において、1つ以上の障害アレルは、補因子による救済が可能なアレルである。特に好ましい態様において、該補因子による救済が可能なアレルは、本明細書中で提供されるインビボアッセイ及び方法により同定される。
【0043】
試料中の特定のアレルの検出は、当該技術分野で一般的であり、任意の確立した検出プロトコルが、有利に主題の方法に採用され得て、例えば、本明細書中に記載されるように、ハイブリダイゼーション、増幅、シークエンシング、RFLP解析等に基づくプロトコルが挙げられる。また、本明細書中の使用では、核酸試料中のアレルの検出に特に有用なものとして将来開発されるプロトコル及び/又は材料も意図される。
【0044】
更なる側面において、対象中の代謝酵素機能不全を処置する方法が提供され、この方法は、本明細書中に記載されているように、そのような機能不全がある、若しくは疑われる対象から試料を取得し、該試料中の複数の補因子により救済可能な障害アレルの存否を検出し、そして該試料で検出された障害アレルの数及び種類に基づいて適切な補因子を添加することを含む。
【0045】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載されるように、酵素活性を判定するインビボアッセイの使用を更に含む。
【0046】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載されるように、酵素活性を判定し、及び酵素をコードする核酸中の突然変異を検出するインビボアッセイの使用を更に含む。
【0047】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載されるように、酵素活性を判定するインビボアッセイ、及び温度上昇時の酵素安定性を判定する温度感受性アッセイの使用を更に含む。
【0048】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載されるように、酵素活性を判定するインビボアッセイ、及び該酵素の特定の活性を判定するインビトロアッセイの使用を更に含む。
【0049】
一つの側面において、本発明は、ホモシステイン代謝の異常に関連する症状又は疾患のリスクをスクリーニングする方法を提供する。該方法は、本明細書中に開示する、ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルのスクリーニングを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載されるインビボアッセイを使用して特定した障害アレルの検出を含む。好ましい態様において、好ましい態様において、前記疾患又は症状は、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、神経管欠損、口唇口蓋裂(orofacial cleft)、子癇前症(pre−eclampsia)、早産(pre−term delivery)/低出生体重児(low birthweight)、反復早期自然流産(recurrent early spontaneous abortion)、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障からなる群から選択される。
【0050】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載される、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFR、及び/又はMTHFSの障害アレルのスクリーニングを含む。
【0051】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載される、CBSの障害アレルのスクリーニングを含む。
【0052】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載される、CTHの障害アレルのスクリーニングを含む。
【0053】
一つの側面において、本発明は、個人の化学治療剤に対する応答能力を判定する方法を提供する。該方法は、本明細書中に記載される、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルを検出する方法の使用を含む。好ましい態様において、前記遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。本明細書中に記載されるインビボアッセイにより、及び/又は特定のアレルを検出する方法の利用により、個人において障害アレルが検出されることは、応答能力の低下を示唆する。
【0054】
一つの側面において、本発明は、個人の化学治療剤の毒性を判定する方法を提供する。該方法は、本明細書中に記載される、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルを検出する方法の使用を含む。好ましい態様において、前記遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。本明細書中に記載されるインビボアッセイにより、及び/又は特定のアレルを検出する方法の利用により、個人において障害アレルが検出されることは、毒性作用の増大を示唆する。
【0055】
一つの側面において、本発明は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される酵素をコードする遺伝子のアレルに対応する単離された核酸を提供する。一つの態様において、該単離された核酸は、表Aに記載のSNP等の、MTHFR遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。一つの態様において、該単離された核酸は、表Bに記載のSNP等の、ATIC遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。一つの態様において、該単離された核酸は、表Cに記載のSNP等の、MTHFS遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。一つの態様において、該単離された核酸は、表Dに記載のSNP等の、MAT1A遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。
一つの態様において、該単離された核酸は、表Eに記載のSNP等の、MAT2A遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。
一つの態様において、該単離された核酸は、表Fに記載のSNP等の、GART遺伝子のアレルの配列を有する及び/又は含む。一つの態様において、該核酸は、MTHFRアレルの配列に対応し、そして、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択されるMTHFRタンパク質中の非同義的(non−synonymous)突然変異をコードする配列を含む。
【0056】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルを検出するアレイを提供する。
【0057】
一つの態様において、本発明は、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFR及びMTHFSからなる群から選択される遺伝子の障害アレルを検出するアレイを提供する。好ましい態様において、該アレイは、該群から選択される1つの遺伝子から2つ以上の障害アレルを検出できる。好ましい態様において、該アレイは、該群から選択される複数の遺伝子から2つ以上の障害アレルを検出できる。一つの態様において、該アレイは、該群から選択される複数の遺伝子のそれぞれから2つ以上の障害アレルを検出できる。好ましい態様において、該アレイは、救済可能な障害アレルである障害アレルを検出できる。好ましい態様において、該アレイは、救済可能な障害アレルである複数の障害アレルを検出できる。好ましい態様において、1つ以上の該障害アレルは、低頻度アレルである。
【0058】
一つの態様において、本発明は、障害MTHFRアレルを検出するアレイを提供する。一つの態様において、該アレイは、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pをコードするものからなる群から選択される非同義的突然変異を含むMTHFRとハイブリダイズすることができる1つ以上の核酸を含む。
【0059】
一つの態様において、本発明は、CBSの障害アレルを検出するアレイを提供する。該アレイは、CBSの障害アレルとハイブリダイズすることが出来る1つ以上の核酸を含む。
【0060】
一つの態様において、本発明は、CTHの障害アレルを検出するアレイを提供する。該アレイは、CTHの障害アレルとハイブリダイズすることが出来る1つ以上の核酸を含む。
【0061】
好ましい態様において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する複数の遺伝子の障害アレルを検出するアレイを提供する。本発明のアレイは、当該技術分野で公知の多くのアレイ、プローブ及び読取り技術を使用したものであり得る。
【0062】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の救済可能な障害アレルを有する個人における異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する症状又は疾患を予防する方法を提供する。一つの態様において、該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載される、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を含む。
【0063】
一つの側面において、本発明は、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する症状又は疾患を処置する方法を提供し、ここで、患者は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の救済可能な障害アレルを有する。一つの態様において、該方法は、個人の葉酸の取り込みを増大させることを含む。一つの態様において、該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載される、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を含む。
【0064】
一つの側面において、本発明は、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の救済可能な障害アレルを有する患者の化学治療に対する応答能力を増大させる方法を提供する。該方法は、個人の葉酸の取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載される、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を含む。好ましい態様において、が前記遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。
【0065】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の救済可能な障害アレルを有する個人に対する化学治療の毒性を低下させる方法を提供する。該方法は、個人の葉酸の取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載される、異常な葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を含む。好ましい態様において、が前記遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】fol3Δ::KanMX細胞の増殖速度及びヒトMTHFRの細胞内活性に対するフォリン酸添加の効果を表す。(a) Materials and Methodsに記載のように、fol3Δ::KanMX MET13一倍体酵母の増殖は、96ウェルプレート中で測定された。培地に所定の濃度のフォリン酸を添加した。FOL3と標識した曲線(FOL3 MET13)は、フォリン酸不添加培地中の増殖を表す。(b)メチオニンを含まず所定の濃度のフォリン酸を添加した培地中で、phMTHFR を用いて、fol3Δ::KanMX met13Δ::KanMX一倍体酵母を形質転換した。試験の再現性を示すため、3つの独立した形質転換体を各フォリン酸濃度について試験した。met13Δと標識した曲線は、空のベクターで形質転換し、50μg/mlのフォリン酸存在下で増殖させた、単離した細胞を表す。
【0067】
【図2】非同義的MTHFR集団変異の機能的影響及び葉酸塩救済可能性を表す。(a)6つのMTHFR変異体において、3種類のフォリン酸濃度でメチオニンを含まない培地中でのfol3Δ::KanMX mβt13Δ::KanMX細胞の救済能力を試験した。M110Iアレル並びにM110I及びA222V二重置換アレルは、フォリン酸濃度50及び25μg/mlのみで試験された。Majorと標識された曲線は、集団中で最も一般的なMTHFRアレルに相当する。各曲線は、3〜6個の独立した形質転換体のプールから取られた。(b)MTHFRタンパク質の模式図を表す(656アミノ酸)。N末端触媒ドメイン及びC末端制御ドメインに分かれており、それらは概ね等しいサイズである(35)。全ての非同義的変化の位置が表示されている。良性の(Benign)変化は、緑色で示す。変化の位置に付けた1〜4の番号は、葉酸塩による救済が可能なアレルを重症度の順位で示したものである。5番(R134C)の変化では機能が殆ど失われ、葉酸塩救済は認められない(結果を参照されたい)が、葉酸塩による多少の増強が可能である。
【0068】
【図3】MTHFR変異体の酵素活性を表す。前記MTHFRコンストラクトで形質転換した細胞から粗酵母抽出物を得て、そして本明細書中に記載されるように、MTHFR活性を試験した。所定の時間熱処理により反応させた後、放射性標識をした基質を添加した。測定は、平均で、2つの独立した3重アッセイとして行った。エラーバーは、それらの6つのデータポイントの標準偏差である。
【0069】
【図4】MTHFRのヘテロ接合変異体の酵母の表現型を表す。MTHFRアレルのホモ接合性又はヘテロ接合性は、本明細書中に記載のように、二倍体酵母で、Major、R134C及びA222Vアレルにおいて再現された。二倍体は、それぞれゲノムに組み込まれた単一のMTHFRアレルを発現する一倍体株を交雑することにより取得した。フォリン酸添加と増殖との関係は、一倍体と全く同じようにアッセイされた。
【0070】
【図5】酵母で発現するヒトMTHFR変異体のイムノブロットを表す。(a)本明細書中に記載のように、異なるMTHFRアレルを保有する酵母細胞から抽出物を得て、抗HA抗体を用いて検出する。A222V M110Iは二重置換アレルである。Majorは集団中最も一般的なMTHFRアレルを示す。右端の2つ並んだレーンは、メジャーアレルと非リン酸化T34Aアレルである(37)。(b)本研究において同定した全てのMTHFRの変異体における、下方の非リン酸化バンドと上方のリン酸化バンドとのシグナル強度の比率を、機能的影響の重大度の増大との関数としてプロットした。x軸上のアレルは、良性として分類され、又は活性に関してランク付けされた。全ての良性のアレル(Majorアレル及び全ての制御ドメインの変化を含む)がプロットされ、該2つのMTHFR種において前記比率がほぼ等しかったため、マークがオーバーラップした。
【0071】
【図6】ヒトB酵素:CBS及びCTHの、B(ピリドキシン)−応答性をアッセイした。
【発明を実施するための形態】
【0072】
発明の詳細な説明
上記のように、本発明は、代謝経路内の酵素をコードする遺伝子の障害アレルを同定し、それらの補因子救済に対する感受性を判定する新規インビボアッセイを提供する。機能的に類似する関心のある酵素により補完され得る第一の突然変異、及び補因子の添加に対する依存性を付与する第二の突然変異(又は突然変異群)を含む、複合的な酵母突然変異は、補因子の可用性に応じた酵素補完の実験を可能とする。また、重要なことに、本発明は、酵素をコードする遺伝子中の低頻度障害アレルの補因子救済が、驚くほど普通のことであること、及びこれらのアレルが、前記代謝経路に顕著な影響を及ぼし得ることを実証する。よって、本発明は、酵素をコードするそのような低頻度障害アレルの検出及び特定、並びにそれらの有効な救済を判定することを特に目標とする、診断及び予測方法を意図する。
【0073】
MTHFRの「N末端触媒ドメイン」は、ヒトMTHFRの1〜359アミノ酸を意味する。参照日とMTHFR mRNA配列は、Genbankアクセッション番号NM_005957で見られる。それにコードされているアミノ酸配列は、Genbankアクセッション番号NP_005958で見られる。
【0074】
MTHFR機能不全は、野生型MTHFR活性からの逸脱を意味する。酵素機能不全並びに関連する症状及び疾患として、例えば、酵素の特異的活性の変化、酵素の異所局在(mislocalization)、酵素レベルの変化、及び他の変化が挙げられる。
【0075】
酵素活性やその補因子に対する感受性を測定するインビボアッセイについて述べる。
【0076】
本明細書中で提供されるアッセイは、機能的に類似する酵母遺伝子中の突然変異を補完するための酵素をコードする遺伝子のアレルの能力を試験し、及びそれらの酵素の補因子に対する応答性を測定するために使用され得る。該アッセイは、アウトプット、又は酵母遺伝子の通常の機能に関連し、その機能不全により変化する表現型の測定を含む。
【0077】
該アッセイは、機能的に類似する関心のある酵素により補完され得る第一の突然変異、及び補因子の添加に対する依存性を付与する第二の突然変異を含むことにより、第一の遺伝子の機能と関連するアッセイ可能な表現型を示す酵母株の使用を含む。
【0078】
該方法は、i)酵素をコードする遺伝子の試験アレルを酵母細胞に導入し、ここで該酵母細胞が、該酵素をコードする遺伝子に機能的に類似する第一の遺伝子に第一の突然変異を含み、そして該酵母細胞を、酵素が機能するのに必要な補因子の投与に依存させる第二の遺伝子又は遺伝子群に第二の突然変異を含み、ここで該第一の突然変異が、該第一の遺伝子の機能に関連する酵母の測定可能な特徴(measurable characteristic)を変化させ;
ii)増殖培地に補因子を添加し;そして
iii)野生型の酵素の存在下よりも試験アレルの存在下で該測定可能な特徴が回復(restoration)し難いことを検出することにより、該試験アレルによる第一の遺伝子突然変異の不完全な補完を検出し、そして試験アレルを障害アレルとして同定する;
ことを含む。
【0079】
好ましい態様において、前記酵素をコードする遺伝子の試験アレルは、配列において、自然発生的なアレル、又は個々の自然発生的な多型の編集物に対応する。好ましい態様において、前記試験アレルは、ヒト遺伝子のアレル、又は複数のアレルの個々の多型の編集物に対応する。
【0080】
好ましい態様において、前記酵母は、サッカロマイケス・セレウィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(S. cerevisiae)であるが、他の酵母も使用できる。
【0081】
一つの態様において、二倍体酵母が使用される。二倍体酵母は、試験アレルにおいてヘテロ接合体又はホモ接合体である。二倍体の酵母は、野生型の遺伝子及び試験アレルを含み得る。二倍体の酵母は、試験アレルの組合せを含み得る。
本明細書中で示すように、機能的障害アレルは、ヘテロ接合表現型を有するアレルを含み得る。一つの態様において、該ヘテロ接合酵母は、補完を試験するアレルにおいてヘテロ接合体である。一つの態様において、該二倍体酵母は、酵素をコードする遺伝子の野生型アレル及び障害アレルを含む。
【0082】
好ましい態様において、前記アッセイで測定されるアウトプットは増殖である。
【0083】
好ましい態様において、前記アッセイ方法は、関心のある試験アレルと野生型アレルとの活性の比較を含む。
【0084】
一つの態様において、本発明は、酵素をコードする遺伝子のアレル等の、試験アレルの活性を判定するインビボアッセイを提供する。一つの態様において、該酵素をコードする遺伝子は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与し、又は関する。他の態様において、試験アレルは、MTHFRアレル、ATICアレル、GARTアレル、MAT1Aアレル、MAT2Aアレル、及びMTHFSアレルからなる群から選択され、アッセイにより、葉酸塩ステータスに対するそれらの活性を判定できる。他の態様において、該酵素をコードするアレルは、CTHアレル及びCBSアレルからなる群から選択される。
【0085】
一つの態様において、試験アレルはMTHFRアレルであり、N末端触媒ドメインに1つ以上の置換、そしてC末端制御領域に1つ以上の突然変異を含む。C末端領域の置換のみでは典型的には障害機能を有しないが、アレルが機能的に障害のあるものとなるに、それらの置換が他の置換と組み合わされ得る。
【0086】
好ましい態様において、第一の突然変異は酵母遺伝子met13にあり、この突然変異は、野生型ヒトMTHFRにより機能的に補完され得る。他の態様において、第一の酵母遺伝子はade16又はade17であり、これらの遺伝子は、野生型ヒトATICにより機能的に補完され得る。一つの態様において、第一の酵母遺伝子はsam1又はsam2であり、これらの遺伝子は、野生型ヒトMAT1又は野生型ヒトMAT2Aにより機能的に補完され得る。一つの態様において、第一の酵母遺伝子はfau1であり、これらの遺伝子は、野生型ヒトMTHFSにより機能的に補完され得る。
【0087】
好ましい態様において、第二の突然変異は、酵母遺伝子fol3にあり、この突然変異は、酵母に、添加される培地中の葉酸塩に対する依存性を付与する。そのような酵母株は、試験アレルの活性、第一の突然変異に依存する試験アレル、及びその葉酸塩ステータスに対する応答を判定するのに使用され得る。例えば、酵母遺伝子met1に第一の突然変異があり、酵母遺伝子fol3に第二の突然変異がある、複合的な酵母は、MTHFRアレルの活性、及び葉酸塩ステータスに対するその応答を判定するのに使用され得る。
【0088】
好ましい態様において、前記アッセイ方法は、前記試験アレルにコードされる酵素が葉酸塩可用性に感受性であるか否かを判定するために、葉酸塩の量を変化させることを含む。好ましい態様において、該アッセイ方法は、50μg/ml未満の葉酸塩の存在下でのアウトプットの測定を含む。好ましい態様において、該アッセイ方法は、約50μg/mlの葉酸塩の存在下でのアウトプットの測定を含む。好ましい態様において、該アッセイ方法は、50μg/ml以上の葉酸塩の存在下でのアウトプットの測定を含む。
【0089】
一つの態様において、前記葉酸塩は、酵素をコードする遺伝子の障害アレルが葉酸塩により救済可能であるか否かを判定するために、濃度を変化させられる。
【0090】
他の態様において、第一の酵母遺伝子はsys3であり、前記第二の遺伝子が六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。そのような酵母株は、CTHアレルの活性、及びビタミンBステータスに対するその遺伝子の応答を判定するのに使用され得る。よって、一つの態様において、本発明は、CHTアレルの活性を判定するインビボアッセイを提供し、該アッセイは、更に、ビタミンBステータスに対する活性の変化を判定できる。好ましい態様において、CHTアレルは、自然発生的なヒトアレルを含む。他の好ましい態様において、CTHアレルは、個々のヒトCTHアレルの編集物を含む。
【0091】
他の態様において、第一の酵母遺伝子はsys4であり、前記第二の遺伝子が六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。そのような酵母株は、CBSアレルの活性、及びビタミンBステータスに対するその遺伝子の応答を判定するのに使用され得る。よって、一つの態様において、本発明は、CBSアレルの活性を判定するインビボアッセイを提供し、該アッセイは、更に、ビタミンBステータスに対する活性の変化を判定できる。好ましい態様において、CBSアレルは、自然発生的なヒトアレルを含む。他の好ましい態様において、CBSアレルは、個々のヒトCTHアレルの編集物を含む。
【0092】
下記表1は、酵素をコードする遺伝子を列挙し、そして該酵素をコードする遺伝子のアレルの活性を判定するのに使用され得る複合的な酵母突然変異の例を提供する。
【表1】

【0093】
酵母株は、当該技術分野で周知の方法により生産される。例えば、Shan et al., JBC, 274:32613−32618, 1999を参照されたい。
【0094】
酵母株への核酸の導入は、当該技術分野で周知の方法を使用して行われる。例えば、Shan et al., JBC, 274:32613−32618, 1999を参照されたい。
【0095】
酵素をコードする遺伝子の新規アレルを示す。
【0096】
実施例の項で述べるように、例えば酵素をコードする遺伝子の障害アレルとなるような、酵素に微妙な影響をもたらす単一ヌクレオチド多型は、アレルの頻度にかかわらず、本明細書中で開示されるインビボアッセイを使用して特定され得る。例えば、本明細書中に開示される方法は、アレルが障害アレルであるか否か、もしそうなら、そのアレルが補因子により救済可能か否かを判定するのに使用された。表3及び表A〜Fに、本明細書中に記載のアッセイにより特定された(表3)又は特定され得る(表A〜F)、酵素をコードする遺伝子MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A及びGARTの単一ヌクレオチド多型を示す。これらの表には、従来同定されていなかったこれらの遺伝子についてのSNPsをも提供する。故に、本明細書中には、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A及びGARTからなる群から選択される酵素をコードする遺伝子の新規アレルが開示される。これらのアレルは、本明細書中に開示のアッセイを使用して特定され得て、本明細書中に開示のスクリーニング、予防及び処置の方法が有利に利用できる。当業者は、補因子による救済が可能なものとして障害アレルを特定することで、本明細書中に開示されるスクリーニング、予防及び処置の方法が導き出されることを認識及び評価する。
【0097】
本明細書中で使用されるとき「アレル」は、ヌクレオチド配列、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)であり、ゲノム中に1つ以上の形態で存在する。「アレル」は、本明細書中で使用されるとき、ゲノム遺伝子座(genomic locus)の自然発生的な配列に限定されない。「アレル」として、転写産物、及びそのスプライシングされた配列(mRNA配列、cDNA配列等)も挙げられる。「アレル」は、自然発生的なアレル又は合成アレルであってもよい。これらは、N末端触媒ドメインに突然変異を有し、そしてC末端制御領域に突然変異を有し得る。
【0098】
本発明において「ホモ接合」は、遺伝子又はSNPの2つのコピーが、配列上互いに同一で在ることを示す。例えば、酵素をコードする遺伝子の野生型アレルにおいてホモ接合である対象は、該配列の同一のコピーを2つ以上有する。そのような対象は、代謝経路内の補因子依存性酵素機能不全の素因を有し得ない。
【0099】
本明細書中で使用されるとき「ヘテロ接合」は、2つの異なるコピーのアレルがゲノム中に存在すること、例えば1つのコピーが野生型で、1つのコピーが障害アレルであり得る変異アレルであること等を示す。そのようなゲノムを有する対象は、ヘテロ接合であり、代謝疾患中に補因子依存的な酵素機能不全の素因を有する場合がある。また、「ヘテロ接合」は、複数のアレル中に異なる突然変異を有する対象も包含する。
【0100】
「障害アレル」は、機能的に障害を有する代謝酵素をコードする遺伝子のアレルを意味し、機能的障害は、補因子による救済が可能であってもなくてもよい。
【0101】
「障害アレル突然変異」は、障害アレルの機能的障害を基礎とし、障害アレルを野生型配列から突然変異の部位において峻別する、特定の核酸突然変異を意味する。典型的には、障害アレル突然変異は、単一のコドン中の非同義的点突然変異である。
【0102】
「補因子により救済可能」は、補因子のレベルの変化が障害代謝酵素の機能的障害を補償することを意味する。
【0103】
補因子の添加には、補因子に変換され得る補因子の前駆体の添加も含む。
【0104】
「補因子」は、関心のある酵素の直接的な補因子(例えばMTHFR、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、及びMTHFSにおける葉酸塩)や、関心のある酵素の間接的な補因子である因子を意味する。故に、補因子は、酵素機能に対して、直接的に又は間接的に影響を及ぼす。
【0105】
当業者に公知の頻度の尺度として「アレル頻度」があり、これは、特定のSNPを有する集団中の遺伝子の割合(fraction)である。任意の遺伝子のアレル頻度は、合計すると1になるはずである。当業者に公知の他の頻度の尺度として、「ヘテロ接合頻度」があり、これは、集団中、それぞれ各親から受け継いだものである、ある遺伝子の2つのアレル、あるいは2つの形態のSNPを保有する個体の割合である。あるいは、遺伝子の特定のアレルがホモ接合である個体の数は、有用な尺度となり得る。アレル頻度、ヘテロ接合頻度及びホモ接合頻度の間の関係は、ハーディ−ワインベルグ平衡により多くの遺伝子において記載されており、それによると、自由に交雑できる集団中のアレル頻度、ヘテロ接合頻度及びホモ接合頻度の間の関係は、平衡となる。殆どのヒト変異は、実質的にハーディ−ワインベルグ平衡に納まる。本明細書中で使用するとき、「低頻度アレル」は、頻度が4%未満のアレルである。
【0106】
本明細書中には、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する、あるいは重要な役割を果たすヒトの酵素をコードする遺伝子の新規アレルが開示されている。「葉酸塩/ホモシステイン代謝」とは、葉酸塩及び/又はホモシステイン代謝を意味する。そのような酵素をコードする遺伝子として、MTHFR、ATIC、GART、MAT1A、MAT2A、MTHFSが挙げられる。葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する、あるいは重要役割を果たす酵素をコードする遺伝子のHugo Gene Nomenclature Committee (HGNC)シンボル、GenelDs、NCBIヌクレオチドアクセッション番号(NC_)、NCBIポリペプチドアクセッション番号(NB_)を、表2に示す。
【表2】

【0107】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する新規ヒト酵素をコードするアレルと配列において対応する単離された核酸を提供する。例えば、本発明は、補因子により救済されるものであってもそうでなくともよい、MTHFRアレル、ATICアレル、GARTアレル、MAT1Aアレル、MAT2Aアレル、及びMTHFSアレルからなる群から選択される酵素をコードするアレルと配列において対応する単離された核酸を提供する。これらの新規アレルの例として、低頻度アレルが挙げられる。これらの新規アレルとして、障害アレルが含まれる。
【0108】
よって、本明細書において、MTHFR遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、MTHFR遺伝子のヌクレオチド4078;MTHFR遺伝子のヌクレオチド4234;MTHFR遺伝子のヌクレオチド5733;MTHFR遺伝子のヌクレオチド5872;MTHFR遺伝子のヌクレオチド6642;MTHFR遺伝子のヌクレオチド6657;MTHFR遺伝子のヌクレオチド6681;MTHFR遺伝子のヌクレオチド6774;MTHFR遺伝子のヌクレオチド10906;MTHFR遺伝子のヌクレオチド11656;MTHFR遺伝子のヌクレオチド11668;MTHFR遺伝子のヌクレオチド11902;MTHFR遺伝子のヌクレオチド12232;MTHFR遺伝子のヌクレオチド2622;MTHFR遺伝子のヌクレオチド12759;MTHFR遺伝子のヌクレオチド13040;MTHFR遺伝子のヌクレオチド14593;MTHFR遺伝子のヌクレオチド14612;MTHFR遺伝子のヌクレオチド14705;MTHFR遺伝子のヌクレオチド13170;MTHFR遺伝子のヌクレオチド116401;MTHFR遺伝子のヌクレオチド116451からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置のSNPの配列を、表Aに示す。
【0109】
また、本明細書において、ATIC遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、ATIC遺伝子のヌクレオチド1100;ATIC遺伝子のヌクレオチド1114;ATIC遺伝子のヌクレオチド1179;ATIC遺伝子のヌクレオチド1244;ATIC遺伝子のヌクレオチド1270;ATIC遺伝子のヌクレオチド1288;ATIC遺伝子のヌクレオチド1301;ATIC遺伝子のヌクレオチド1380;ATIC遺伝子のヌクレオチド1396;ATIC遺伝子のヌクレオチド1453;ATIC遺伝子のヌクレオチド1506;ATIC遺伝子のヌクレオチド1689;ATIC遺伝子のヌクレオチド7227;ATIC遺伝子のヌクレオチド7232;ATIC遺伝子のヌクレオチド7388;ATIC遺伝子のヌクレオチド8756;ATIC遺伝子のヌクレオチド8808;ATIC遺伝子のヌクレオチド14099;ATIC遺伝子のヌクレオチド14140;ATIC遺伝子のヌクレオチド14144;ATIC遺伝子のヌクレオチド14183;ATIC遺伝子のヌクレオチド14229;ATIC遺伝子のヌクレオチド14238;ATIC遺伝子のヌクレオチド14245;ATIC遺伝子のヌクレオチド14260;ATIC遺伝子のヌクレオチド14489;ATIC遺伝子のヌクレオチド14970;ATIC遺伝子のヌクレオチド15003;ATIC遺伝子のヌクレオチド15040;ATIC遺伝子のヌクレオチド15043;ATIC遺伝子のヌクレオチド15149;ATIC遺伝子のヌクレオチド15240;ATIC遺伝子のヌクレオチド15844;ATIC遺伝子のヌクレオチド16063;ATIC遺伝子のヌクレオチド21363;ATIC遺伝子のヌクレオチド21372;ATIC遺伝子のヌクレオチド21400;ATIC遺伝子のヌクレオチド21521;ATIC遺伝子のヌクレオチド21611;ATIC遺伝子のヌクレオチド22187;ATIC遺伝子のヌクレオチド22273;ATIC遺伝子のヌクレオチド22282;ATIC遺伝子のヌクレオチド22291;ATIC遺伝子のヌクレオチド22342;ATIC遺伝子のヌクレオチド22512;ATIC遺伝子のヌクレオチド22519;ATIC遺伝子のヌクレオチド22538;ATIC遺伝子のヌクレオチド22564;ATIC遺伝子のヌクレオチド22589;ATIC遺伝子のヌクレオチド22737;ATIC遺伝子のヌクレオチド24992;ATIC遺伝子のヌクレオチド25009;ATIC遺伝子のヌクレオチド27757;ATIC遺伝子のヌクレオチド27855;ATIC遺伝子のヌクレオチド27985;ATIC遺伝子のヌクレオチド28015;ATIC遺伝子のヌクレオチド33901;ATIC遺伝子のヌクレオチド33919;ATIC遺伝子のヌクレオチド33920;ATIC遺伝子のヌクレオチド33933;ATIC遺伝子のヌクレオチド35723;ATIC遺伝子のヌクレオチド35737;ATIC遺伝子のヌクレオチド35742;ATIC遺伝子のヌクレオチド35840;ATIC遺伝子のヌクレオチド35917;ATIC遺伝子のヌクレオチド35968;ATIC遺伝子のヌクレオチド35973;ATIC遺伝子のヌクレオチド38338;ATIC遺伝子のヌクレオチド38342;ATIC遺伝子のヌクレオチド38437;ATIC遺伝子のヌクレオチド38342;ATIC遺伝子のヌクレオチド38582;ATIC遺伝子のヌクレオチド38627;ATIC遺伝子のヌクレオチド38667;及びATIC遺伝子のヌクレオチド38725からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置におけるSNPの配列を、表Bに示す。
【0110】
また、本明細書において、MTHFS遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、MTHFS遺伝子のヌクレオチド8808;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8912;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8957;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8998;MTHFS遺伝子のヌクレオチド52560;MTHFS遺伝子のヌクレオチド52878;及びMTHFS遺伝子のヌクレオチド52902からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置におけるSNPの配列を、表Cに示す。
【0111】
また、本明細書において、MAT1A遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、MAT1A遺伝子のヌクレオチド5045;MAT1A遺伝子のヌクレオチド5181;MAT1A遺伝子のヌクレオチド5233;MAT1A遺伝子のヌクレオチド6739;MAT1A遺伝子のヌクレオチド6795;MAT1A遺伝子のヌクレオチド9833;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10006;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10312;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10339;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10374;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10484;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10555;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14038;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14114;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14177;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15424;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15500;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15646;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15706;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15715;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15730;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15758;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16133;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16174;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15706;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15715;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15730;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15758;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16133;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16174;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16218;及びMAT1A遺伝子のヌクレオチド16971からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置におけるSNPの配列を、表Dに示す。
【0112】
また、本明細書において、MAT2A遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、MAT2A遺伝子のヌクレオチド2871;MAT2A遺伝子のヌクレオチド2873;MAT2A遺伝子のヌクレオチド2939;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3287;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3394;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3466;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3498;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3650;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3704;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4174;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4449;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4476;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4608;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4660;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4692;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4931;MAT2A遺伝子のヌクレオチド5313;MAT2A遺伝子のヌクレオチド5460;及びMAT2A遺伝子のヌクレオチド5480からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置におけるSNPの配列を、表Eに示す。
【0113】
また、本明細書において、GART遺伝子のアレルと配列において対応する単離された核酸が提供され、該核酸は、GART遺伝子のヌクレオチド3782;GART遺伝子のヌクレオチド3842;GART遺伝子のヌクレオチド7745;GART遺伝子のヌクレオチド7984;GART遺伝子のヌクレオチド10775;GART遺伝子のヌクレオチド11521;GART遺伝子のヌクレオチド11522;GART遺伝子のヌクレオチド11541;GART遺伝子のヌクレオチド12356;GART遺伝子のヌクレオチド14200;GART遺伝子のヌクレオチド14273;GART遺伝子のヌクレオチド14282;GART遺伝子のヌクレオチド14739;GART遺伝子のヌクレオチド14781;GART遺伝子のヌクレオチド18055;GART遺伝子のヌクレオチド18064;GART遺伝子のヌクレオチド18130;GART遺伝子のヌクレオチド18142;GART遺伝子のヌクレオチド18197;GART遺伝子のヌクレオチド18232;GART遺伝子のヌクレオチド18401;GART遺伝子のヌクレオチド20812;GART遺伝子のヌクレオチド20825;GART遺伝子のヌクレオチド16174;GART遺伝子のヌクレオチド15706;GART遺伝子のヌクレオチド20862;GART遺伝子のヌクレオチド22481;GART遺伝子のヌクレオチド22521;GART遺伝子のヌクレオチド25425;GART遺伝子のヌクレオチド25433;GART遺伝子のヌクレオチド25601;GART遺伝子のヌクレオチド25867;GART遺伝子のヌクレオチド25912;GART遺伝子のヌクレオチド25951;GART遺伝子のヌクレオチド25956;GART遺伝子のヌクレオチド26127;GART遺伝子のヌクレオチド26195;GART遺伝子のヌクレオチド31627;GART遺伝子のヌクレオチド31641;GART遺伝子のヌクレオチド31887;GART遺伝子のヌクレオチド31902;GART遺伝子のヌクレオチド31933;GART遺伝子のヌクレオチド33173;GART遺伝子のヌクレオチド33264;GART遺伝子のヌクレオチド31933;GART遺伝子のヌクレオチド33173;GART遺伝子のヌクレオチド33264;GART遺伝子のヌクレオチド33286;GART遺伝子のヌクレオチド36963;GART遺伝子のヌクレオチド36964;GART遺伝子のヌクレオチド37428;GART遺伝子のヌクレオチド37433;GART遺伝子のヌクレオチド38762;GART遺伝子のヌクレオチド38914;及びGART遺伝子のヌクレオチド38989からなる群から選択されるヌクレオチドにおいて見出されるSNPを含む。これらの位置におけるSNPの配列を、表Fに示す。
【0114】
一つの態様において、本発明は、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択されるMTHFRタンパク質中の非同義的突然変異をコードする配列を含むヒトMTHFRアレルと配列において対応する単離された核酸を提供する。一つの態様において、本発明は、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択されるMTHFRタンパク質中の非同義的突然変異をコードする配列を含む2つ以上のヒトMTHFRアレルと配列において対応する核酸を提供する。
【0115】
本明細書中で使用されるとき、「単離された」という用語は、他の核酸、タンパク質、脂質、糖類、又はたの通常関連する物質を実質的に含まないポリヌクレオチドを包含する。本発明におけるポリヌクレオチド配列として、DNA配列及びRNA配列が挙げられる。
【0116】
本明細書中に示される核酸は、本明細書中に開示される検出方法におけるプローブ(例えばアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブ)又はプライマーとして有用である。この目的のための適切なプローブ又はプライマーの設計には、多くの要素を考慮する必要がある。例えば、長さが10、15又は18〜20又は約30ヌクレオチドのフラグメントが、特に有用である。40、50、80、90、100ヌクレオチド、あるいは完全長等のより長いヌクレオチドも、特定の態様においては好ましい場合がある。約18〜20ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌクレオチドが、当業者間において、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブとして有用な程度に特異的なハイブリダイゼーションをするのに十分なものと認められている。更に、想定される実施に応じて、実施者は、標的配列に対する様々なプローブの選択性の程度を達成するために、様々なハイブリダイゼーションの条件を採用しようとする。高度な選択性を要する実施において、実施者は、典型的には、ハイブリッドを形成するのに相対的にストリンジェントな条件を採用しようとする。例えば、相対的に塩濃度を下げ、及び/又は高温の条件で、例えば約50℃〜約70℃で、0.02M〜0.15MのNaCl等の条件が採用され得る。そのような選択的条件は、プローブと鋳型又は標的ポリヌクレオチドフラグメントとの間のミスマッチがあったとしても、殆ど許容しない。
【0117】
また、本発明に係る核酸を含むベクターも提供される。これらのベクターの例として、適切なホスト細胞中で本発明に係る核酸を発現する発現ベクターが挙げられる。
【0118】
更に、本発明に係る核酸を含むホスト細胞が提供される。また、本発明のベクターを含むホスト細胞も提供される。また、本発明は、本発明に係る核酸にコードされる酵素を生産する方法を提供し、この方法は、本発明のホスト細胞の培養を含む。
【0119】
また、本発明の核酸にコードされる単離された酵素も提供される。
【0120】
障害アレルの検出を示す。
【0121】
本明細書中に開示する方法(例えば、代謝経路に関与する遺伝子の障害アレルに関連する症状又は疾患を、スクリーニング、予防、及び/若しくは処置する方法)は、一般的に、障害アレルを生じ得る、代謝経路中の酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子中の複数の単一ヌクレオチド多型(SNP);好ましくは試験遺伝子中の複数の既知のSNPの存否を検出することを必要とする。アレル及び/又は所定の配列のSNPは、アレル特異的なハイブリダイゼーション、正常のアレルと障害アレルとを区別できる配列依存性に基づく技術(sequence−dependent−based technique)により検出され得る。アレル特異的アッセイは、ハイブリダイゼーションが、マッチする配列(例えば、正常:正常又は障害:障害)の間で行われる場合と、ミスマッチするヌクレオチド配列(例えば、正常:障害)の間で行われる場合とで、効率に差があることに依存する。
【0122】
個体中の1つ以上の単一ヌクレオチド多型の存在を検出するために、様々な方法を利用できる。この分野の進歩により、正確な、簡便な、そして廉価な大規模SNPジェノタイピングが可能となった。最近では、例えば、ダイナミックアレル特異的ハイブリダイゼーション(dynamic allele−specific hybridization: DASH)、マイクロプレートアレイ対角線ゲル電気泳動(microplate array diagonal gel electrophoresis: MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、Taqmanシステムや、様々なDNA「チップ」技術、例えばAffymetrix SNPチップ等の、幾つかの新しい技術が発表されている。これらの方法は、典型的にはPCRによる、試験遺伝子の増幅を必要とし得る。侵襲的開裂(invasive cleavage)による小シグナル分子の生産、それに続くマススペクトロメトリー又は不動化パドロックプローブ(padlock probe)及びローリングサークル増幅に基づく、他の新たに開発された方法は、最終的には、PCRの必要を無くする。特定の単一ヌクレオチド多型を検出する当該技術分野で公知の幾つかの方法の概略を以下に記載している。本発明の方法は、全ての利用可能な方法を含むものと理解される。
【0123】
単一ヌクレオチド多型の解析を促進するために、幾つかの方法が開発されている。一つの態様において、単一塩基多型は、Mundy, C. R. (米国特許第4,656,127号)等に記載の特製のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを使用して検出され得る。この方法によれば、アレルの3’に隣接したアレル配列に相補的なプライマーを、特定の動物又はヒトから得られた標的分子とハイブリダイズさせることができる。この標的分子上のアレルが、存在している特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドを含むならば、その誘導体はハイブリダイズしたプライマーの末端に取り込まれるであろう。このような取り込みはプライマーをエキソヌクレアーゼに対し耐性とし、それによりその検出を可能とする。試料のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の実体は既知であることから、プライマーがエキソヌクレアーゼに耐性となったという発見は、標的分子のアレルに存在するヌクレオチドが、反応に使用したヌクレオチド誘導体のアレルと相補的であることを示す。この方法は、大量の外来配列データの決定を要しないという利点を持っている。
【0124】
本発明の他の態様において、アレルのヌクレオチドの同一性を判定するのに、溶液に基づく方法を用いる。Cohen,D. et al.(フランス国特許2650840;PCT出願第WO91/02087号)。米国特許第4656127号のMundyの方法のように、アレルの3’に隣接するアレル配列に相補的なプライマーを使用する。この方法は、標識ジデオキシヌクレオチド誘導体を用いてその部位のヌクレオチドの同一性を判定するものであるが、この誘導体は、もし該アレルのヌクレオチドに相補的であるならば、プライマーの末端に取り込まれるであろう。
【0125】
Genetic Bit分析又はGBA(商標)としても知られる別の方法が、Goelet,P. et al.(PCT出願第92/15712号)により記載されている。Goelet,P. et al.の方法は、標識したターミネーター及びアレルの3’配列に相補的なプライマーの混合物を使用する。よって、取り込まれるこの標識化ターミネーターは、試験遺伝子のアレル中に存在するヌクレオチドに相補的であって、かつこれにより決定される。Cohen et al.(フランス国特許2650840;PCT出願第WO91/02087号)の方法とは対照的に、Goelet,P. et al.の方法は、プライマー又は標的分子を固相に固定化する、不均質相アッセイ(heterogeneous phase assay)であることが好ましい。
【0126】
近年、DNA中のアレルをアッセイするための幾つかのプライマーにより誘導するヌクレオチド取り込み法が記載された(Komher,J.S. et al., Nucl.Acids.Res. 17:7779−7784(1989);Sokolov,B.P., Nucl. Acids Res. 18:3671(1990);Syvanen,A.−C., et al., Genomics 8:684−692(1990), Kuppuswamy,M.N. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.) 88:1143−1147(1991);Prezant,T.R. et al., Hum.Mutat. 1:159−164(1992);Ugozzoli,L. et al., GATA 9:107−112(1992);Nyren,P. et al., Anal.Biochem. 208:171−175(1993))。これらの方法は全て、アレルの塩基を識別するのに標識化デオキシヌクレオチドの取り込みに頼っている点で、GBA(商標)とは相違している。このような形式では、シグナルは、取り込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドのランに存在する多型は、そのランの長さに比例するシグナルを生ずる(Syvanen,A.−C. et al., Amer.J.Hum.Genet. 52:46−59(1993))。
【0127】
上記の診断方法に使用する核酸試料を取得するために、任意の細胞種又は組織を利用できる。好ましい態様において、DNA試料は、既知の技術(静脈穿刺等)により取得した血液又は唾液等の体液から取得される。あるいは、核酸試験は乾燥試料(例えば毛髪又は皮膚)について実施できる。RNA又はタンパク質を使用する場合、使用される細胞又は組織は、酵素をコードする遺伝子を発現していなければならない。
【0128】
診断方法はまた、核酸の精製が必要とならないよう、生検又は切除から得られる患者組織の(固定化及び/又は凍結した)組織切片について、in situで直接実施される場合もある。核酸試薬をこのようなin situ法のためにプローブ及び/又はプライマーとして使用できる(例えば、Nuovo,G.J., 1992, PCR in situ hybridization: protocols and applications, Raven Press, NYを参照されたい)。
【0129】
主として1個の核酸配列の検出に焦点を絞った方法に加えて、次の検出スキームでもプロフィールを評価することができる。例えばディファレンシャルディスプレイ法、ノーザン分析及び/又はRT−PCRを利用することにより、フィンガープリントプロフィールを作製できる。
【0130】
好ましい検出方法は、酵素をコードする遺伝子の1つ以上のアレルの領域をオーバーラップするプローブを用いる、アレル特異的ハイブリダイゼーションである。
【0131】
アレル特異的ハイブリダイゼーションを用いた障害アレルの検出を示す。
【0132】
当該技術分野で周知の様々な方法が、アレル特異的ハイブリダイゼーションによる障害アレルの検出に使用され得る。好ましくは、試験アレルは、アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)でプローブされ;そして各ASOは、既知のアレルの配列を含む。ASOの解析は、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブが標的ポリヌクレオチドフラグメントとハイブリダイズする能力を試験することによる、標的ポリヌクレオチドフラグメント中の特定の配列置換を検出する。好ましくは、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、障害アレルの配列(又はその相補配列)を含む。標的ポリヌクレオチドフラグメント中の障害アレルの存在は、野生型のアレルの配列を含むオリゴヌクレオチドプローブが標的オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズしない条件下での、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブと標的ポリヌクレオチドフラグメントとの間のハイブリダイゼーションにより示される。障害アレルの配列を有するアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブと標的ポリヌクレオチドフラグメントとの間のハイブリダイゼーションの欠如は、標的フラグメント中に障害アレルが存在しないことを示す。
【0133】
一つの態様において、試験遺伝子は、標準的なドットブロット形式においてプローブされ得る。ASOに対応する配列を含む試験遺伝子内の各領域は、固相表面上に個別にアプライ(例えば膜上に個別のドットとして)される。各領域は、例えば、当該技術分野で周知の方法を使用して、個別のPCR増幅産物等として生産され得る(例えばMullis, K. B., 1987, 米国特許第4,683,202号の実施態様を参照されたい)。
【0134】
ASO解析を実行するためのドットブロット形式の変法として使用され得る膜ベース形式には、限定されないが、リバースドットブロット(多重増幅アッセイ)、及び多重アレル特異的診断アッセイ(multiplex allele−specific diagnostic assay:MASDA)がある。
【0135】
リバースドットブロット形式において、例えば既知の配列を有するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドプローブは、固相表面上に不動化され、続いて標識された試験ポリヌクレオチドフラグメントを含む試料とハイブリダイズされる。斯かる場合、標識試験ポリヌクレオチドフラグメントを含む試料を調製するために、増幅に先立ち、プライマーが標識されるか、又はNTPが標識される場合もある。あるいは、試験ポリヌクレオチドフラグメントは、単離及び/又は合成後に標識される場合もある。多重形式において、個々の試料は、標的配列が1つではなく、試験遺伝子中の複数の標的配列を含む。例えば、それぞれが1つ以上のASO標的配列を含む複数のPCR産物が同一の試料ドット中にアプライされる。複数のPCR産物は、Caskey et al., 米国特許第5,582,989号等の方法を使用して、単一の増幅反応で同時に生産され得る。従って、対応する配列が試料ドット中に現れる各ASOにより、同一のブロットがプローブされ得る。
【0136】
MASDA形式は、各ブロットをプローブするために、複数のASOを使用する(複数の標的配列を有するドットを含む)ことにより、多重形式の複雑さのレベルを拡張する。この方法は、A. P. Shuberの米国特許第5,589,330号及びMichalowsky et al., American Journal of Human Genetics, 59(4): A272, poster 1573 (October 1996)に記載されており、それぞれ全体を参照することにより本明細書中に援用する。第一に、複数のASOプローブと不動化試料との間のハイブリダイゼーションを検出する。この方法は、所定のドット中の複数の標的配列における突然変異の発生が、任意の陽性ハイブリダイゼーションシグナルが、対応する障害アレルとハイブリダイズするプローブ混合物中の単一のASOに基づくというのに十分に稀であるという前提による。それから、ハイブリダイズするASOは、それをハイブリダイゼーション部分から単離して、そのヌクレオチド配列を決定することにより同定される。
【0137】
ドットブロット、リバースドットブロット、多重、及びMASDA形式において使用され得る適切な材料は当該技術分野で周知であり、限定されないが、ナイロン及びニトロセルロース膜等が挙げられる。
【0138】
標的配列をPCR増幅により生産するとき、出発材料は染色体DNAであり、その場合、DNAは直接増幅される。あるいは、出発材料はmRNAであり得て、その場合、mRNAは最初にcDNAに逆転写され、それから周知のRT−PCRにより増幅される(例えばGeIf and et al.による米国特許第5,561,058号を参照されたい)。
【0139】
上記方法は、限定された数の配列の変異(障害アレル等)の穏当なスクリーニングに適している。しかし、迅速な分子診断、良好なコストの大規模スクリーニングの要望を受け、ASOの基礎概念を統合しつつ、突然変異検出の許容量及び試料数を大幅に改良した技術が開発された。上記の方法に対するそれらの変法として、限定されないが、大規模チップアレイ配列ベース技術(large scale chip array sequence− based technique)が挙げられる。大規模アレイを使用することにより、多くの配列変異を迅速に解析できる。チップアレイの応用と開発の違いについてのレビューは、Southern, E. M., Trends In Genetics, 12: 110−115 (March 1996)及び Cheng et al., Molecular Diagnosis, 1 :183−200 (September 1996)にカバーされている。チップアレイの製造には、幾つかのアプローチが存在する。限定されないが:不動化オリゴヌクレオチドを付着させる固相担体、及びプローブに対する標的ポリヌクレオチドの配列ベース技術における、変異や変化を同定するための標識技術に違いがある。
【0140】
「DNAチップ」の大規模解析の好ましい方法は、Hacia et al., Nature Genetics, 14:441−447 (1996)に詳述されており、その全てが本明細書中に参照により援用される。Hacia et al.が述べているように、96,000種類以上のオリゴヌクレオチドの高密度アレイでは、長さ20ベースの各ヌクレオチドが、光誘導化学合成を用いて、単一のガラス又はシリコンチップ上に不動化される。アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブの数及びデザイン次第で、潜在的には、配列中のあらゆる塩基の変化を確認できる。故に、チップに利用されるアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、例えば集団中でまだ知られていないSNP等の配列の変異を含む場合があり、あるいはSNPは集団中で既知のSNPに限定される場合もある。
【0141】
チップ上の特定のオリゴヌクレオチドプローブによるハイブリダイゼーションの前に、当業者に周知の方法により、試験試料が単離、増幅及び標識(蛍光マーカー等により)される。試験ポリヌクレオチド試料は、それから、不動化されたアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする。標的ポリヌクレオチドフラグメントの不動化アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブに対する配列ベース技術の強さが定量され、そして参照配列と比較される。得られた遺伝子情報を、分子診断に使用できる。通常、限定されないが、分子診断における「DNAチップ」の用途は、既知のSNPのスクリーニングである。しかし、それでは、この分野で既知の突然変異の解析のみにこの技術を限定してしまうことになる。本発明は、従来可能であったよりも遥かに多くの突然変異についてのアレル特異的ハイブリダイゼーション解析を可能とする。故に、大規模ASO解析の効率及び包括性は拡張されつつ、面倒な終末間(end−to−end)配列解析の必要性を低下させ、既知の突然変異のみならず、包括的に、許容される原理により予想される起こり得るすべての突然変異に対応し、そしてこれらの面倒な試験に関連するコスト及び時間が減少する。
【0142】
従って、一つの側面において、本発明は、酵素をコードする遺伝子又は酵素をコードする核酸の障害アレルを検出する方法を提供する。例えば、本明細書中で、MTHFR、ATIC、CBS、CTH、GART、MAT1A、MAT2A、及びMTHFSのアレルを検出する方法が提供される。
【0143】
一つの態様において、酵素をコードする核酸中のSNPの検出は、核酸のシークエンシングを含む。一つの態様において、酵素をコードする核酸の突然変異の検出は、PCRを含む。一つの態様において、酵素をコードする核酸の突然変異の検出は、RFLP解析を含む。一つの態様において、酵素をコードする核酸の突然変異の検出は、核酸ハイブリダイゼーションを含む。ハイブリダイゼーションによる突然変異SNPの検出は、例えば、SNPを含む酵素をコードする核酸又はその断片とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得る核酸を含む核酸アレイを使用する等して行われ得る。
【0144】
一つの態様において、前記方法は、本明細書中に記載される、酵素をコードする対立遺伝子の活性を判定するインビボアッセイの使用を含む。
【0145】
また、酵素をコードする遺伝子の障害アレルを検出及び特定するために、複数の方法が組み合わせて使用される場合もある。一つの態様において、該複数の方法は、本明細書中に記載される、酵素をコードする遺伝子の活性を判定するための、及び酵素をコードする核酸中のSNPを検出するためのインビボアッセイを含む。
【0146】
一つの態様において、前記複数の方法は、本明細書中に記載される、酵素活性を判定するためのインビボアッセイ、及び温度上昇に対する酵素の安定性を判定する温度感受性アッセイの使用を含む。
【0147】
一つの態様において、前記複数の方法は、本明細書中に記載される、酵素活性を判定するためのインビボアッセイ、及び酵素の特異的活性を判定するためのインビトロアッセイの使用を含む。
【0148】
好ましい態様において、MTHFRの障害アレルは、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択されるMTHFRタンパク質中の突然変異をコードする非同義的置換を含む。特に好ましい態様において、障害アレルは、M110I、H213R、D223N、及びD291Nからなる群から選択されるMTHFRタンパク質中の突然変異をコードする非同義的置換を含む。
【0149】
酵母株について以下に説明する。
【0150】
一つの側面において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する酵素の障害アレルを検出できる酵母株を提供する。そのような酵母株は、本明細書中に記載の方法において有用である。該酵母株は、

関心のある機能的に類似の酵素により補完され得る第一の突然変異、及び補因子の添加に対する依存性を付与する第二の突然変異(又は突然変異群)を含むことにより、第一の遺伝子の機能と関連するアッセイ可能な表現型を示す。
【0151】
一つの態様において、本発明は、CHTの障害アレルを検出し、そしてビタミンBに対する応答性を判定できる酵母株を提供する。好ましい態様において、該酵母株は、cys3に突然変異を有し、その突然変異が六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。
【0152】
一つの態様において、本発明は、CBSの障害アレルを検出し、そしてビタミンBに対する応答性を判定できる酵母株を提供する。好ましい態様において、該酵母株は、cys4に突然変異を有し、その突然変異が六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δである。
【0153】
一つの態様において、本発明は、MTHFRの障害アレルを検出し、そして葉酸塩に対する応答性を判定できる酵母株を提供する。好ましい態様において、該酵母株は、met13及びfol3に突然変異を有する。
【0154】
以下に、疾患リスクのスクリーニングについて述べる。
【0155】
一つの態様において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する症状又は疾患のリスクをスクリーニングする方法を提供する。該方法は、本明細書中に記載される葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルのスクリーニングを含む。
【0156】
一つの態様において、本発明は、酵素機能不全に関与する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を提供し、ここで該酵素は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。好ましい態様において、該疾患又は症状は、心血管疾患、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、神経管欠損、口唇口蓋裂(orofacial cleft)、子癇前症(pre−eclampsia)、早産(pre−term delivery)/低出生体重児(low birthweight)、反復早期自然流産(recurrent early spontaneous abortion)、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障からなる群から選択される。前記方法は、本明細書に記載される、MTHFRの障害アレル、ATICの障害アレル、CBSの障害アレル、CTHの障害アレル、GARTの障害アレル、MAT1Aの障害アレル、MAT2Aの障害アレル及びMTHFSの障害アレルからなる群から選択される障害アレルを検出する方法の使用を含む。
【0157】
一つの態様において、本発明は、CBS機能不全に関与する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を提供する。好ましい態様において、該疾患又は症状は、心血管疾患、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、神経管欠損、口唇口蓋裂、子癇前症、早産/低出生体重児、反復早期自然流産、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障からなる群から選択される。前記方法は、本明細書に記載される、CBSの障害アレルを検出する方法の使用を含む。
【0158】
一つの態様において、本発明は、CTH機能不全に関与する疾患又は症状のリスクをスクリーニングする方法を提供する。好ましい態様において、該疾患又は症状は、心血管疾患、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、神経管欠損、口唇口蓋裂、子癇前症、早産/低出生体重児、反復早期自然流産、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障からなる群から選択される。前記方法は、本明細書に記載される、CTHの障害アレルを検出する方法の使用を含む。
【0159】
以下に、化学治療応答能力のスクリーニングについて述べる。
【0160】
一つの態様において、本発明は、個人の化学治療に対する応答能力を判定する方法を提供する。該方法は、本明細書に記載される、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルを検出する方法の使用を含む。好ましい態様において、該遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。個人に障害対立遺伝子が検出されることは、応答能力の低下を示す。
【0161】
好ましい態様において、化学治療剤は、メトトレキサート又は5−フルオロウラシルである。
【0162】
以下に、化学治療の毒性のスクリーニングについて述べる。
【0163】
一つの側面において、本発明は、個人の化学治療の毒性を判定する方法を提供する。該方法は、本明細書に記載される、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルを検出する方法の使用を含む。好ましい態様において、該遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。個人に障害対立遺伝子が検出されることは、毒性ポテンシャルの増大を示す。
【0164】
好ましい態様において、化学治療剤は、メトトレキサート又は5−フルオロウラシルである。
【0165】
以下に、予防及び処置について述べる。
【0166】
一つの側面において、本発明は、代謝酵素機能不全に関連する症状又は疾患を防止する方法を提供する。該方法は、上記アッセイ及び方法から取得される情報(障害アレルが補因子感受性を有するという)に基づいて個人の補因子の取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載の、補因子による救済が可能な代謝遺伝子の障害アレルの検出を含む。
【0167】
一つの態様において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝の異常に関連する症状又は疾患を防止する方法を提供する。該方法は、個人の葉酸塩及び/又はビタミンBの取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載の、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関連する遺伝子の障害アレルの検出を含む。
【0168】
一つの態様において、本発明は、補因子による救済が可能な酵素をコードする遺伝子の障害アレルを有する個人の酵素機能不全に関連する症状又は疾患を防止する方法を提供し、該酵素をコードする遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。該方法は、個人の葉酸塩の取り込みを増大させる。
【0169】
一つの態様において、本発明は、障害CBSアレルを有する個人のCBS機能不全に関連する症状又は疾患を防止する方法を提供する。該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させる。
【0170】
一つの態様において、本発明は、障害CTHアレルを有する個人のCTH機能不全に関連する症状又は疾患を防止する方法を提供する。該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させる。
【0171】
一つの態様において、本発明は、葉酸塩/ホモシステイン代謝の異常に関連する症状又は疾患を処置する方法を提供する。該方法は、個人の葉酸塩及び/又はビタミンBの取り込みを増大させることを含む。好ましい態様において、該方法は、本明細書中に記載の、葉酸塩/ホモシステイン代謝に関与する遺伝子の障害アレルの検出を含む。
【0172】
一つの態様において、本発明は、補因子による救済が可能な酵素をコードする遺伝子の障害アレルを有する個人の酵素機能不全に関連する症状又は疾患を処置する方法を提供し、該酵素をコードする遺伝子は、MTHFR、ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTからなる群から選択される。該方法は、個人の葉酸塩の取り込みを増大させる。
【0173】
一つの態様において、本発明は、障害CBSアレルを有する個人のCBS機能不全に関連する症状又は疾患を処置する方法を提供する。該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させる。
【0174】
一つの態様において、本発明は、障害CTHアレルを有する個人のCTH機能不全に関連する症状又は疾患を処置する方法を提供する。該方法は、個人のビタミンBの取り込みを増大させる。
【実施例】
【0175】
実施例1:葉酸による救済が可能なMTHFR酵素変異のヒトにおける有病率
低頻度変異の発生率及び影響を判定し、及びビタミン救済の現象を調査するために、葉酸による救済が可能なMTHFR酵素の大集団における有病率を求めた。500人余りの集団から14個の異なる非同義的置換が同定され、それらの5つが酵素機能に障害を有していた。全ての有害なアレルは少なくともある程度葉酸塩応答性であったが、5つの突然変異タンパク質中4つが、細胞内葉酸塩レベルを増大させることにより、完全に通常のレベルまで回復させられた。
【0176】
実施例1.1:方法
【0177】
DNA試料集団
DNA試料は、Coriell Institute Cell Repository (Camden, New Jersey, USA)から提供された。
【0178】
MTHFRエキソンのシークエンシング
上記試料中の11個のMTHFRをコードするエキソンを、Variant SeqR product line (Applied Biosystems, Foster City, CA)から購入したプライマーのペアを使用して、添付のプロトコルに従い、PCRシークエンシングによりシークエンシングした。これらのエキソン領域は、NCBI MTHFR参照配列mRNA(NM_005957)に対応しており、656アミノ酸のタンパク質(NP_005958)に対応していた。シークエンシングアンプリコン及びプローブの情報は、下記のアンプリコンにおいて、http://www.ncbi.nlm.nih.qov/qenome/probeで入手可能である。
【0179】
Exon 1 (RSA000045684); Exon 2 (RSA000045680); Exon 3 (RSA000577249); Exon 4 (RSA000045678); Exon 5 (RSA000045676); Exon 6 (RSA001308795); Exon 7 (RSA001253193); Exon 8 (RSA000045669); Exon 9 (RSA000580767); Exon 10 (RSA 000580766); Exon 11 (RSA000580765, RSA000027240)。コーディング領域に及ぶエキソン11の部分のみシークエンシングされた。base−callingに高い信頼性を保証するために、分析には高水準の読取りのみが使用された(標的エキソンに及ぶ領域は平均QVスコア>40;全てのエキソンは二重鎖読取りでカバーされた)。これらのフィルタリング基準に基づき、各エキソンにおいて成功率(success rate)は89.9%〜95%であった(表1)。全ての配列情報は、SeqScapeソフトウェア一式(Applied Biosystems).3を使用して解析した。品質管理の手段として、base callのサブセットをTaqMan (Applied Biosystems)によるアレル区別アッセイで直接評価し、下記の公表されている遺伝子型データとの比較を行った。
【0180】
プラスミド
誘導性酵母GAL1プロモーターのコントロール下にある5’末端HA(ヘマグルチニンA)エピトープタグ付加MTHFRオープンリーディングフレーム(参照タンパク質配列NP_005948)及びURA3選択マーカーを保有するプラスミドphMTHFRは、Warren Kruger (Shan et al., 1999, supra)から頂戴したものである。このプラスミドを、QuikChange kit (Stratagene)を用いた部位指向的突然変異形成による全てのMTHFR変異を再構築するバックボーンとした。ガラクトース誘導性MTHFR変異体を含む組み込みプラスミドをPCRクローニングにより創作した。該フラグメントは、URA3、phMTHFRベースプラスミド由来のGAL1プロモーター及びMTHFRコーディング領域をpHO−ポリ−HO(Voth et al., 2001 , Nucleic Acids Res. 29:e59)内に含み、該プラスミドは、このカセットのHO遺伝子座へのターゲット組み込み(targeted integration)を可能とする。
【0181】

全ての一倍体酵母株は、S288cがバックグラウンドのMATa his3 Ieu2 ura3 Iys2とした(Brachman et al., 1998, Yest 14:115−32)。MATa/MATα二倍体株は、同系MATa及びMATα株を交雑することにより創作した。Fol3Δ::KanMX及びfol3Δ::KanMX met13Δ::KanMX株は、S. cerevisiae gene− knockout collection (Invitrogen)由来の株を用いる標準的な交雑/胞子形成技術により取得した。二倍体(MTHFR変異体においてホモ接合又はヘテロ接合)は、それぞれ組み込まれたバージョンのGAL1:MTHFR変異カセットを含むfol3Δ::KanMX met13Δ::KanMX一倍体を交雑することにより創作された。
【0182】
増殖条件
葉酸塩を含まない合成増殖培地として、最少培地(Sherman, 2002, Genetics & Molecular Biol., eds. Guthrie and Fink (Academic, New York), pp.3−41)にYeast Nitrogen Base without Vitamins (Qbiogene)、及び葉酸塩を除く全てのビタミンを加えたものを使用した。全てのfol3Δ::KanMX細胞に50μg/mlフォリン酸(Sigma)を加えた。動的増殖測定のため、fol3Δ::KanMX met13Δ::KanMX細胞をGAL1プロモーター駆動性MTHFR変異体で形質転換し、そしてフォリン酸(50μg/ml)及びメチオニン(20μg/ml)を添加した合成ガラクトース培地(2%ガラクトース、0.1%グルコース)中で対数増殖期に至るまで増殖した。細胞を3回洗浄し、そして様々な量の葉酸塩を含むがメチオニンを含まない新鮮なガラクトース培地を含む96ウェルプレートに分注した。ウェルあたりの体積は200μlで、OD595=0.01の細胞密度で開始した。30℃で振盪無しで、Tecan GENiosプレートリーダー中で60時間以上、吸光度を15〜30分置きに測定した。図1aにおいて使用されたMET13細胞は、全ての増殖がメチオニン非存在下で行われた点を除き、上記と同じ方法で行った。
【0183】
MTHFR酵素活性アッセイ
生理的条件下でMTHFRにより触媒される反応の反対の反応を測定するアッセイは、既知のアッセイ(Shan et al., 1999, supra)において、酵母抽出物を、リシスバッファー(100mMスクロース、50mM KHPO(pH6.3、プロテアーゼ阻害剤カクテル)350μl中の40 OD595細胞(上記フォリン酸及びメチオニンを加えたfol3 met13細胞)相当のビーズリシスにより作製する点改変して行った。抽出物を短い遠心分離で清澄し、そして10〜200μgの抽出物を使用して、活性の線形範囲(linear range)を決定した。放射性標識(5−[14C]MeTHF)は、GE Healthcare Life Sciencesのものを用いた。加熱処理において、5−[14C]MeTHFを入れていない反応混合物を一定時間55℃まで加熱して、そこで5−[14C]MeTHFを添加し、反応を進めた。
【0184】
MTHFRイムノブロット解析
10 OD595細胞(上記フォリン酸及びメチオニンを加えたfol3Δmet13Δ細胞)相当を、200μlの0.1M NaOH中で15分間抽出した。50μlのSDSサンプルバッファー(0.5M Tris 6.8、0.4% SDS)を上澄に加え、それをボイルし、清澄し、そしてSDS−PAGEに供した。HAタグを付したMTHFR変異体をLI−COR Infrared Imagerで検出した。マウスモノクローナル抗HA抗体はSigma製を用いた。ローディングコントロールの酵母3−ホスホグリセレートキナーゼ(Pgkip)は、Jeremy Thorner (University of California, Berkeley, CA)から頂戴したマウス抗体で検出された。
【0185】
実施例1.2:結果
【0186】
ヒトにおけるMTHFR変異
様々な民族の564人について、ヒトMTHFRのコーディング領域の全体を、11個のエキソンそれぞれにおけるコーディング部分を増幅することによりシークエンシングした。コーディング領域の長さ、調査された対立遺伝子の数及び全ての非同義的置換は、表3に列挙されている。いずれもコーディングDNAは2,81,106bpにのぼり、サンプリングされた全てのエキソンについて1,000を超えるアレルまで解析した。これらのデータから14の非同義的変化が見出され、それらの11個が1%未満のマイナーアレル頻度(MAF)を示し、7つのアレルは1回しか見られなかった。幾つかの低頻度アレルは、過去に見られたものであった(表3)。低頻度非同義的置換の数は、ランダム集団の細部まで採取した他の研究(Martin et al., 2006, Pharmacogenet Genomics 16:265−77; Livingston, 2004, Genome Res 14:1821−31; Glatt et al., 2001, Nat. Genet. 27:435−38)と十分に一致した。更に、よく研究された一般的な置換は、予想された世界の集団頻度を示した(A222V−29.3%、E429A−23.6%、R594Q−4.4%)。
【0187】
base−callingの正確性における品質管理チェックとして、独立してPCR増幅を行い、データの一致が100%であった100サンプルにおいて、TaqManアレル識別アッセイにより、8つの変異体(シングルトン(singleton)を4つ含む)を再解析した。更に、Environmental Genome Project (http://www.niehs.nih.gov/envqenom/)及びPerlegen (Mountain View, CA)のいずれもこの研究において一部が重複していたCoriellの試料を使用しており(dbSNP build 127)、それらの集団ジェノタイピングデータは、817の遺伝子型コール(genotype call)中814において(99.6%)一致していた。3つの不一致の遺伝子座の2つにおいて、発明者らの配列データは明確であり、正しいと思われた。
【0188】
480人から完全なコーディング領域の配列が取得された。18人(4%)が低頻度非同義的変異のキャリアであった。意義深いことに、個人の多様性の大部分は、低頻度の変化を起こした3つの一般的な多型(A222V、E429A及びR594Q)の組み合わせによりもたらされる。殆どの場合データからハプロタイプを類推することが出来なかったこの群中に、28の異なる非同義的遺伝子型が観察された。
【0189】
インビボでのMTHFR−葉酸塩の相互作用
遺伝的変異の臨床的意義は機能的結果を手掛かりとしているため、全ての非同義的変化は、それらのMTHFR機能に対する影響について、そして重要なことに障害アレルが葉酸塩応答性を呈するか否かについて試験された。葉酸塩要求性(fol3)がmet13株に導入され、増殖培地中のフォリン酸濃度を変化させることにより、細胞内の葉酸塩濃度を滴定した。酵母中でフォリン酸(5−フォルミル−テトラヒドロフォレート)はメテニル−テトラヒドロフォレートに代謝され、これが、他の葉酸塩補酵素に転換され得る(Cherest et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:14056−63)。このようにして、ヒトMTHFR機能性(メチオニン非存在下での増殖)は、次第に限定的になる葉酸塩ステータスとの関数として測定された。
【0190】
これらの条件下で、フォリン酸を50μg/ml以上添加しても、顕著な増殖に対する利益は生じなかった(図1a)。しかしながら、50μg/ml以下の濃度では、増殖は、培地中の利用可能なフォリン酸濃度と明確に相関していた。故に、細胞内の葉酸塩レベルは、この範囲に用量を限定した。FOL3細胞の増殖と比較すると、フォリン酸の添加は、内在性の葉酸塩の生合成の欠損を完全に補償しなかった。しかし、このギャップは、おそらく、増殖速度ではなく細胞が静止期に入る密度を反映するものであり、これは、フォリン酸の取り込みの制限、又は唯一の葉酸塩資源としてのフォリン酸の利用の制限を反映している。
【0191】
ヒトMTHFRがfol3 met13細胞を補完する能力は、培地中へのフォリン酸の補給に応じて発揮された(図1b)。葉酸塩の補給に関しては、GAL1プロモーターからのヒトMTHFRの発言は、Met13pの欠損を完全には補償しなかった(図1bと図1aの等量の葉酸塩を添加したfol3 MET13細胞とを比較されたい)。故に、葉酸塩濃度が50μg/ml以下である場合、葉酸塩及びMTHFRの両方が増殖の律速要因となり、MTHFR活性の微妙な変化が、増殖のリードアウトに反映され得る。葉酸塩を50μg/ml以上添加しても、内在性酵母MTHFR(MET13;図1a)又はメジャーなヒトアレル(図1b)のいずれかを発現する細胞の増殖において顕著な利益をもたらさないが、MTHFRの障害アレルにおいては有利である(下記参照)。
【0192】
MTHFR変異の機能的影響
一定範囲の葉酸塩濃度において5つの非同義的アレルを試験して、観察される機能的影響の範囲を表現した(図2a)。A222V変異体の機能は、100μg/mlのフォリン酸でほぼ完全に回復したが、添加レベルを4分の1にする(25μg/ml)と、活性は顕著に低下した(メジャーアレルとの比較)。故に、これらの条件下で、既知のA222V欠損の葉酸救済は再現された。これらの条件下での酵母内の減少した葉酸塩の正確な細胞内濃度は分からなかった。しかし、A222Vアレルの挙動は、酵母及びヒト細胞中の葉酸塩濃度を効果的にキャリブレートした。A222Vの酵素活性は、一般的なアレルの本来の活性の約50%で(Martin, 2006, Pharmacogenet. Genomics 16:265−77; Rozen, 1997, Thromb. Haemost. 78:523− 26)、葉酸塩濃度50μg/mlでは、増殖率は50%低下した。更に、フォリン酸を50μg/ml加えて増殖させた細胞を用いた無細胞アッセイにおけるA222V酵素活性も、50%の低下が観察された(図3)。故に、酵母のA222Vの挙動は、ヒト細胞における挙動を再現していた。
【0193】
4つの低頻度アレルを、同様に試験した(図2a)。いずれの葉酸塩濃度においても増殖に影響を受けなかったR519Cは、良性と思われる。R134Cは全ての葉酸塩濃度で重度に阻害されていたが、若干葉酸応答性であった。D223N及びM110Iアレルは、フォリン酸濃度が50μg/ml以上のとき増殖がメジャーアレルと類似するが、フォリン酸濃度が50μg/ml以下のときはメジャーアレルを下回る点で、A222Vと同様の葉酸による救済が可能な活性を示している(阻害の程度は軽いが)。
【0194】
MTHFR酵素は、N末端触媒ドメイン及びC末端制御ドメインを有し、アロステリック阻害剤のS−アデノシルメチオニンと結合する(AdoMet; Sumner et al., 1986, J. Biol. Chem. 261:7697−7700)。触媒ドメインにある6つのアレル(M110I、R134C、H213R、A222V、D223N及びD291N)の内、良性なのはH213Rのみであった(図2b)。M110I、A222V、D223N及びD291Nは、これらの酵素変異体が、葉酸塩添加量が多い(フォリン酸50−200μg/ml)ときはメジャーアレルと類似した挙動をとり、更に葉酸塩の添加量が限定されたときは顕著に弱体化した点で、葉酸により救済可能な挙動を示した。R134C変異体は、葉酸塩添加量のレベルにかかわらず、メジャーアレルの増殖速度に達することはなく、ゆえに、これは、応答性であるが救済可能ではないアレルとして分類された。制御ドメイン中の置換(G422R乃至T653M)はいずれも、メジャーアレルと同様の挙動をとった(図2b)。
【0195】
複数のアミノ酸置換の間の協調的な相互作用
変異の分布は、2つあるいはそれ以上の置換を含む複合的なアレルの存在を示唆する。故に、幾つかの複合的なアレル(個人試料に発生したものに基づく)を創作し、複数のアレルの組合せが協調的又は抑制的効果を有するか否かを試験した。一般的な変異とA222Vとの組み合わせ(A222V E429A及びA222V R594Q)において、マイナーアレルのホモ接合が、それらのアレルの1つ以上において観察され、故に、そのような突然変異が存在するのは当然である。しかし、該低頻度の変異において、A222V変異と新規変異のいずれも、常にヘテロ接合である。ハプロタイプは知られていないので、これらの個人は、2つの単一置換アレル又は複合的なアレルのいずれかを保持し得る。故に、全てのあり得る二重置換アレルが創作され、そしてその機能をテストした(M110l A222V等、図2a)。試験された2つの葉酸塩濃度において、M110l A222V変異は、個別のアレルの合計よりも活性が低く、これは、複合的なアレルにおける協調的な機能不全が生じたことを意味する。フォリン酸濃度が50μg/mlのとき、M110I変異は、メジャーアレルと殆ど区別できないが、この変異は、A222V機能不全を顕著に促進した。試した全ての組み合わせにおいて、単独でも機能に影響をもたらすアレル(M110I及びD291N)はA222Vと組み合わされたときに協調的であったが、良性の変化は、A222Vの機能不全を促進しなかった。
【0196】
生化学アッセイによるインビボでの機能の再現
前記増殖アッセイの信頼性を評価するため、無細胞MTHFR酵素アッセイを、粗酵母ライゼート中の全ての変異体において実行した(Materials and Methodsを参照されたい)。特定の活性の測定に加え、様々な処理時間で55℃で加熱処理することにより、変異体の熱不安定性(酵素安定性の尺度)を試験した。内因性の活性と増殖率との間には、良好な関連性があった(図3:メジャーMTHFRアレル、A222V、R134Cの非加熱試料の活性を図2の増殖曲線と比較されたい)。既に報告されているように(20、25、34)、A222V変異の酵素活性は、メジャーアレルの酵素活性の約50%を示した。増殖アッセイにおける場合と同様に、R519C変異は、メジャーアレルと類似の活性を呈し、それは、一般的なE429A変異等の全ての制御ドメインにおける変化を象徴するものであった(データ無し)。E429Aが酵素機能に影響を与えるという報告(27)があったが、発明者らのデータは、この変化が良性であるという他の報告(10,20,25)を支持する。
【0197】
A222V突然変異酵素は、メジャー型よりも不安定で、熱不安定性が高く(Guenther et al., 1999, Nat. Struct. Biol. 6:359−65; Yamada et al., 2001 , Proc. Natl. Acad. Sci. 98:14853−58)、そしてこの変異の葉酸塩救済は、該タンパク質の安定性を向上させることにより達成されていると考えられる。ここで使用される条件(55℃20分)の下で、A222Vは殆ど活性を失うが、メジャーアレルは元の活性の30%を維持し、これは過去の研究(20)を支持する。新しいD223Nアレルも、葉酸塩による救済を示す熱不安定性の増大を呈したが、酵素の機能不全はそれほど著しくはなかった。
【0198】
ヘテロ接合の表現型
低頻度アレルは通常はヘテロ接合として生じるので、その重要性が見過ごされる傾向がある。MTHFRアレルのヘテロ接合性の機能的重要性をより良く理解するために、それぞれ統合発現カセットから発現する同一のアレル(ホモ接合)又はヘテロ接合を構成する異なるアレルのいずれかを有する一倍体の株を交雑して、2つのヒトMTHFRコピーを有する二倍体酵母を創作した(方法参照)。上記のように、これらの株において、葉酸塩添加に対する増殖の変化を試験した(図4)。このアッセイにおいて、ヘテロ接合は、葉酸塩を制限した条件の下では増殖の表現型が増悪し、これは、機能が低下したアレルが野生型と相互優性(codominant)であることを示す。
【0199】
前記増殖アッセイで測定した細胞内のMTHFR活性は、アレルの相加的効果を反映しているように見えた。更に、ヘミ接合(1つに統合した発現アレルを有する二倍体;データ無し)を用いた追加的な実験において、ヘテロ接合中のメジャーアレルとマイナーアレルとの間でのヘテロダイマーの形成が、突然変異アレルを殆ど又は全くレスキューしないことを示した。例えば、二倍体MTHFRメジャーアレル/ヌル細胞(ヘミ接合)は、全ての条件において、メジャーアレル/R134Cヘテロ接合と同様の挙動を示し、低葉酸塩培地(A222Vが不活性化される条件)においては、メジャーアレル/A222Vヘテロ接合と同様の挙動を示した。故に、ヘテロ接合細胞の有害なアレルの表現型への関与は容易に観察され、ヒトゲノム中のヘテロ接合性に起因するより広範な表現型の結果(phenotypic consequence)が生じる可能性がある。
【0200】
酵母中の変異MTHFRのリン酸化修飾
MTHFR変異タンパク質の量は、N末端に付したヘマグルチニンA(HA)エピトープタグに対する抗体を使用するイムノブロッティングにより判定された。全ての試料において、タンパク質は約72kD及び78kDの二重のバンドとして検出された。このバターンは、昆虫細胞で発現させたヒトMTHFRにおいて観察されたものと酷似していた(37)。上の方のバンドは、N末端付近で多重にリン酸化されたMTHFRを表す。昆虫細胞中でのMTHFRのリン酸化は、34の位置にあるスレオニンに依存しており、このスレオニンをアラニンに置き換える(T34A)と、リン酸化が起らなくなる(37)。この変異は、サッカロマイケス・セレウィシアエ(S. cerevisiae)中のヒトMTHFRにも同じ効果を生じ、これは、昆虫細胞と同様に、上の方のバンドはリン酸化MTHFRであることを示唆する(図5a)。
【0201】
MTHFRのリン酸化は、負の制御に関与することが主張されている(37)。この仮説を支持するものとして、ここで観察されたリン酸化パターンは、細胞内のMTHFR活性と直接対応していたという事実が挙げられる。特に、非リン酸化:リン酸化形態の量の比率は、活性の低下に応じて増大していた(図5b)。興味深いことに、全ての変異体の合計量(リン酸化形態+非リン酸化形態)は、顕著な違いは無いように見えた。有害な置換が内因性の酵素安定性に影響するとしたら、他の要素がタンパク質レベルの規定に関与していない限り、このような結果にはならないはずである。
【0202】
【0203】
全ての機能的障害アレルは、葉酸塩及びFADの結合部位を含む、MTHFRのN末端側にある触媒部分(36)に集中していた。一方、MTHFRのC末端制御ドメイン中に同定された8つの非同義的置換は、いずれも、補完アッセイ及び無細胞酵素アッセイの両方において良性であった。更に、制御ドメインの置換及びA222Vの複合的なアレルには、協調作用は認められなかった(図2)。E429Aにおいて報告されたように(10、20、35)、これらの変化が中性(neutral)であったか、又はアッセイがこれらの変化による機能不全を検出できなかったことが考えられる。しかし、この知見は、深刻な臨床的表現型を生じるMTHFRの突然変異の殆どが触媒ドメインにあったという観察(http://www.hgmd.cf.ac.uk/ac/index.php)と一致していた。制御ドメインは、触媒ドメインの安定性において一定の役割を果たすという説がある(20)。そうであるのなら、この役割はアミノ酸の置換にある程度耐性であり得て、また、サッカロマイケス・セレウィシアエ(S. cerevisiae)由来のN末端ドメインとアラビドプシス(Arabidopsis)由来のC末端ドメインとを融合させたキメラNTHFR(酵母タンパク質の制御ドメインに約50個の非同義的置換が入ったものに相当する)が全く酵素活性を損なわない(38)理屈も説明できる。C末端ドメインの一般的なR594Q変異が、COS−1細胞で発現されたときに、酵素活性に影響を及ぼすという、Martin et alの報告(25)は、注目すべきである。この変化は良性のように見えるが、それは酵母で発現した酵素の細胞ベース及び無細胞アッセイにおいてのことである。この矛盾の理由は明らかでないが、これらの著者らがイムノブロット解析において一つの種のMTHFR(リン酸化ステータス不明)しか観察していないので、ホストの発現システムを反映したものであると考えられる。
【0204】
ヘテロ接合の表現型
機能的障害MTHFRアレルにおいてヘテロ接合である二倍体酵母の挙動から、ヘテロ接合の表現型は、特に葉酸塩を制限した条件下で明確に観察できることが示された(図4)。集団中で殆どの遺伝的変異がヘテロ接合として生じ、そして低頻度アレルが優勢にヘテロ接合として生じるため、ヘテロ接合の表現型の出現は顕著であった。この結果は、リンパ球抽出物中の細胞MTHFR活性がジェノタイプと直接対応しており:A222Vがヘテロ接合の個体(A/V)の酵素活性は、メジャーアレル(A/A)ホモ接合の活性の約65%で、A222Vホモ接合(V/V)ではA/Aホモ接合活性の30%しか保たれなかった(7)。血清トリグリセリドレベルに関与するアディポカインANGPTL4の全範囲のアレルを試験した最近の研究において、非同義的E40Kアレルにおけるヘテロ接合は、血漿トリグリセリドレベルの低下と有意に関連した(18)。故に、ヘテロ接合が表現型として検出可能なケースは、低頻度変異の寄与の重要性を増大する。なぜなら、ホモ接合よりもキャリアの数が遥かに多くなり得るからである。ヘテロ接合の表現型が、MTHFR活性が細胞増殖の律速要因となる条件下で観察されたことに留意されたい。酵素的ステップがヒトの特定の経路において律速要因となるか否かは、遺伝的及び環境的要素に依存する。
【0205】
突然変異及びMTHFRリン酸化及び量
触媒ドメイン中の非同義的変化の葉酸救済は、タンパク質の安定化により(A222V;9,10)、又は補因子のK等の、分子機能の他の面を克服することにより(2,5)生じる。少なくとも1つの有害アレルD223Nは、A222Vと同様の熱不安定性の増大を示し(図3)、これは安定性の低下を支持する。MTHFRの葉酸塩による救済が可能なアレルは、葉酸塩により不安定な形態が安定化されるものであるとする説は、(25)で示唆されているように、MTHFRタンパク質のレベルは、変異体の内因性の活性に比例することを示唆する。しかし、発明者らの観察によると、リン酸化ステータスは酵素活性と相関する(図5)が、全体量(リン酸化形態+非リン酸化形態)はそれほど変化しているように見えなかった(2倍以内)。恐らく、Yamada et alはリン酸化が内因性の活性に阻害的に作用することを報告している(37)ので、リン酸化MTHFRが酵素の活性形態である可能性は低い。これと一致して、増殖アッセイ及び酵素アッセイの両方におけるリン酸化阻害T34A変異体の挙動は、メジャーアレルのものと同様であった(データ無し)。更に、葉酸塩のレベルが低い場合MTHFRの安定性が低下する(存在量の測定による)が、この効果は、機能障害を有する変異体においては促進しない。これらの結果は、有害な変化がタンパク質不安定化を招くという予想と食い違うので、未知の競合的制御応答の存在が推測される。このように、変異体により活性は全く異なり得る(図2)が、合計のタンパク量は異ならない場合がある。発明者らが得た結果は、リン酸化によるフィードバック制御(37)に一致するが、ターンオーバーにおけるリン酸化の役割は知られていない。このように、T34Aの変化の効果を他の障害アレルと組み合わせて決定することは、興味深い者となり得る。
【0206】
葉酸塩/ホモシステイン代謝経路
【0207】
図6は、神経管欠損(NTD)、並びに葉酸塩の添加が予防となり、及び血漿中のホモシステインレベルがリスクの増大に関与する他の不都合な妊娠転帰のエチオロジーに関連する、代謝経路のステップを示している。この図は、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG)参照経路データベース(www genome−jp/kegg)を改変したものであり、葉酸及びホモシステイン代謝のステップを描画する。該経路は、メチオニンシンターゼ反応を介して関連しており、そして細胞培養、動物モデルシステム中の僅かな葉酸塩の欠乏、及びヒト障害ホモシステイン再メチル化と関連している(例えばStover PJ 2004 Physiology of folate and vitamin B12 in health and disease Nutr Rev 62:S3−12を参照されたい)。ホモシステインは、NTDの危険因子と目されている(例えばMills et al , 1995 Homocysteine metabolism in pregnancies complicated by neural tube defects Lancet 345 149−1151を参照されたい)。葉酸塩の欠乏も、S−アデノシル−メチオニン(SAM、例えばStover, supra)により誘導されるメチル化を阻害し、これはMTHFR及びCBSの両方のアロステリック阻害剤である(例えばKraus et al , 1999 Cystathionine−β−synthase mutations in homocystinuria Hum Mut 13362−375, Daubner et al , 1982 In Flavins and Flavoproteins, eds Massey, V & Williams, C H (Elsevier, New York), pp 165−172を参照されたい)。更に、S−アデノシル−ホモシステイン対S−アデノシル−メチオニン(SAH/SAM)の比率の増大は、NTD発生のメカニズムにおいて提案されている(例えばStover, supra, Scott, 2001 Evidence of folic acid and folate in the prevention of neural tube defects Bibl Nutr Dieta 55 192−195. van der Put et al., 2001. Folate, Homocysteine and Neural Tube Defects An Overview Exptl Biol Med 226 243−270. 1,5,6)を参照されたい)。
【0208】
ホモシステイン代謝に関与する葉酸を利用しない酵素
【0209】
システイン−β−シンターゼ(CBS)の機能不全はホモシステインレベルの亢進を引き起こし、シスタチオニン−β−リアーゼ(CTH)のSNPは、同様にホモシステインの増大に関与する(例えばKraus et al , supra, Wang et al., 2004 Single nucleotide polymorphism in CTH associated with variation in plasma homocysteine concentration Clin Genet 65:483−486を参照されたい)。CBS及びCTHは、いずれも葉酸塩を利用しない酵素であるが、補因子ビタミンBに依存しており、障害アレルは、葉酸塩/ホモシステインの欠乏のリスクを有する。CBS及びCTHの障害アレルは、B治療の標的であり、これは、本明細書に記載した、MTHFR障害アレルに対する葉酸塩治療に類似する。CBS及びCTHの機能及びビタミン応答性は、酵母補完アッセイにおいて再現されている(図6)。
【0210】
サッカロマイケス・セレウィシアエ(S cerevisiae)において再現される、CBS突然変異酵素のビタミンB救済
【0211】
CTH及びCBSのビタミンB(ピリドキシン)濃度に対する変化をアッセイするために、酵母株を加工した(図6)。サッカロマイケス・セレウィシアエ(S cerevisiae)におけるCTH及びCBSのオルソログは、それぞれcys3及びcys4であり、それらの機能不全は、システイン要求性を引き起こす。酵母株のバックグラウンドが、cys3又はcys4の機能不全以外に、ピリドキシン生合成を欠損しているもの(六重欠失sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δ, Stolz et al , 2003 Tpn1p, the plasma membrane vitamin B transporter of Saccharomyces cerevisiae J Biol Chem 278 18990−18996)であることを除き、本明細書中に記載したMTHFRにおける試験と同様の方法で、ピリドキシン濃度に対して酵素を試験した。
【0212】
図6は、固形培地上での定量的酵母増殖アッセイを示し、これは、いずれの酵素の機能不全も、ピリドキシン添加に応じてレスキューされること、及びCBSの2つのホモシスチン尿性アレル(I278T R266K)のビタミン応答性がこの補完アッセイで再現されることを示す。これらのアレルは、野生型酵素よりもビタミンBレベルの制限に感受性となり、そして、感受性の強さに応じて強く増殖機能不全を示した。ヒトCBSによるcys4突然変異のシステイン要求性のレスキューは、既に実証されている(Kruger et al., 1995. A yeast assay for functional detection of mutations in the human cystathionine−β−synthase gene Hum Mol Genet 4 1155−1161; Kruger et al., 1994 A yeast system for expression of human cystathionine beta− synthase; structural and functional conservation of the human and yeast genes Proc Natl Acad Sci 91:6614−6618)。
【0213】
実施例2:追加のMTHFR変異体サンプルの同定
神経管欠損に罹患した250人の新生児それぞれ、又は神経管欠損に罹患していない250人の新生児それぞれの乾燥血液スポット(Guthrie Card)から、集団ゲノムDNAを単離した。単離したゲノムDNAサンプル中のMTHFRエキソンを、実施例1に記載したようにシークエンシングした。酵素の構造に影響が出ている突然変異を、コンセンサスヒトゲノム配列(NM_005957)に対するミスマッチとして、配列データから同定した。全ての置換を、以下の表Aに列記する。
【0214】
【表3】

【0215】
実施例1に記載される機能的影響を観察するために、一定範囲の葉酸濃度における斯かるMTHFR変異の機能的な影響を、本明細書中に記載のインビボ酵母アッセイを使用して検査した。
【0216】
実施例3:ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A及びGART変異体の同定
【0217】
DNAサンプルの集団
神経管欠損に罹患した250人の新生児それぞれ、又は神経管欠損に罹患していない250人の新生児それぞれの乾燥血液スポット(Guthrie Card)から、集団ゲノムDNAを単離した。葉酸塩/ホモシステイン代謝経路の18個の候補遺伝子中の合計234個のエキソンをシークエンシングした。酵素の構造に影響が出ているシークエンシング及びアンプリコンの突然変異を、表2に列記したATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTのコンセンサスヒトゲノム配列に対するミスマッチとして、配列データから同定した。ATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGARTの全ての置換を、以下の表B、C、D、E、及びFにそれぞれ列記する。
【0218】
【表4】

【0219】
【表5】

【0220】
【表6】

【0221】
【表7】

【0222】
【表8】

【0223】
【表9】

【0224】
【表10】

【0225】
【表11】

【0226】
実施例1に記載される機能的影響を観察するために、一定範囲の葉酸濃度における斯かるATIC、MTHFS、MAT1A、MAT2A、及びGART変異の機能的影響を、上記で開示したインビボ酵母アッセイを使用して、及び表1に記載の適切な酵母株バックグラウンドを使用して検査した。
【0227】
全ての引用文献は、引用されることによりそれらの全てが本明細書中に明示的に援用される。
【0228】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
補因子(cofactor)の投与により治療可能な酵素をコードする遺伝子のアレル(allele)の障害をインビボでスクリーニングする方法であり:
i)該酵素をコードする遺伝子の試験アレルを酵母に導入し、ここで該酵母細胞が、該酵素をコードする遺伝子に機能的に類似する第一の遺伝子に第一の突然変異を含み、そして該酵母細胞を、酵素が機能するのに必要な補因子の投与に依存させる第二の遺伝子又は遺伝子群に第二の突然変異を含み、ここで該第一の突然変異が、該第一の遺伝子の機能に関連する酵母の測定可能な特徴(measurable characteristic)を変化させ;
ii)増殖培地に補因子を添加し;そして
iii)野生型の酵素の存在下よりも試験アレルの存在下で該測定可能な特徴が回復(restoration)し難いことを検出することにより、該試験アレルによる第一の遺伝子突然変異の不完全な補完を検出し、試験アレルを障害アレル(impaired allele)として同定する
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
前記試験アレルが補因子感受性であるか否かを判定するために添加した補因子の量の滴定(titrating)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵母が二倍体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二倍体の酵母が、酵素をコードする遺伝子の試験アレルにおいてヘテロ接合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の遺伝子がmet13であり、前記第二の遺伝子がfol3であり、前記補因子が葉酸塩であり、前記測定可能な特徴が増殖であり、そして前記酵素をコードする遺伝子が、MTHFR、MAT1A、MAT2A、GART、MTHFS及びATICからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の遺伝子がsys3であり、前記第二の遺伝子が六重欠失(sextuple−delete)sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δであり、前記酵素をコードする遺伝子がCTHであり、前記補因子がビタミンB6であり、そして前記測定可能な特徴が増殖である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前記第一の遺伝子がsys4であり、前記第二の遺伝子が六重欠失(sextuple−delete)sno1Δ sno2Δ sno3Δ snz1Δ snz2Δ snz3Δであり、前記酵素をコードする遺伝子がCBSであり、前記補因子がビタミンB6であり、そして前記測定可能な特徴が増殖である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
補因子に依存する酵素機能不全の素因を検出する方法であり:
i)対象から試料を取得し;
ii)1つ以上の酵素をコードする遺伝子の、補因子で治療可能な複数の障害アレルの存否を検出することを含み、
ここで1つ以上の障害アレルの存在が、該対象が補因子に依存する酵素機能不全のリスクを有することを示す、前記方法。
【請求項9】
対象における代謝経路中の酵素機能不全を同定及び/又は特徴付ける方法であり;
i)該対象から試料を取得し;
ii)該経路中の1つ以上の酵素をコードする遺伝子の、複数の障害アレルの存否を検出することを含み、
該障害アレルの存在が、該対象が治療可能な酵素機能不全を有することを示す、前記方法。
【請求項10】
前記障害アレルが低頻度アレル(low−frequency allele)である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記障害アレルが、前記経路中の複数の酵素をコードする遺伝子に由来する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の障害アレルが、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により同定される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
対象の代謝酵素機能不全を処置する方法であり;
i)該対象から試料を取得し;
ii)1つ以上の酵素をコードする遺伝子の複数の障害アレルの存否を検出し;そして
iii)1つ以上の障害アレルの存在に基づいて該対象に補因子補給剤(cofactor supplement)を投与する
ことを含む、前記方法。
【請求項14】
前記代謝経路がホモシステインであり、前記ビタミンが葉酸塩であり、そして前記障害アレルが、ヒトMTHFRのM110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記代謝経路がホモシステインであり、前記ビタミンが葉酸塩であり、そして前記障害アレルが、ヒトMTHFSのR84Q、V119L及びT202Aからなる群から選択される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記代謝経路がホモシステインであり、前記ビタミンが葉酸塩であり、そして前記障害アレルが、ヒトMAT1AのI90V、L176R及びR312Qからなる群から選択される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記代謝経路がホモシステインであり、前記ビタミンが葉酸塩であり、そして前記障害アレルが、ヒトGARTのT16M、A161G、L363I、V367M、R385K、I397V、V421I、A445T、D510G、H601R、A632V、P641A、D752G、L797M、E804A、及びN870Sからなる群から選択される、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
代謝経路中の治療可能な酵素機能不全を評価するキットであり、該代謝経路中の酵素をコードする遺伝子の低頻度の治療可能な障害アレルを検出する複数の核酸プローブを含む、前記キット。
【請求項19】
前記障害アレルが、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により同定される、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
障害アレルの突然変異又はその相補体(complement)を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、MTFR遺伝子の4078;MTFR遺伝子のヌクレオチド4234;MTFR遺伝子のヌクレオチド5733;MTFR遺伝子のヌクレオチド5872;MTFR遺伝子のヌクレオチド6642;MTFR遺伝子のヌクレオチド6657;MTFR遺伝子のヌクレオチド6681;MTFR遺伝子のヌクレオチド6774;MTFR遺伝子のヌクレオチド10906;MTFR遺伝子のヌクレオチド11656;MTFR遺伝子のヌクレオチド11668;MTFR遺伝子のヌクレオチド11902;MTFR遺伝子のヌクレオチド12232;MTFR遺伝子のヌクレオチド2622;MTFR遺伝子のヌクレオチド12759;MTFR遺伝子のヌクレオチド13040;MTFR遺伝子のヌクレオチド14593;MTFR遺伝子のヌクレオチド14612;MTFR遺伝子のヌクレオチド14705;MTFR遺伝子のヌクレオチド13170;MTFR遺伝子のヌクレオチド116401;からなる群から選択され、ここでSNPの配列が表Aにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項21】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、ATIC遺伝子のヌクレオチド1100;ATIC遺伝子のヌクレオチド1114;ATIC遺伝子のヌクレオチド1179;ATIC遺伝子のヌクレオチド1244;ATIC遺伝子のヌクレオチド1270;ATIC遺伝子のヌクレオチド1288;ATIC遺伝子のヌクレオチド1301;ATIC遺伝子のヌクレオチド1380;ATIC遺伝子のヌクレオチド1396;ATIC遺伝子のヌクレオチド1453;ATIC遺伝子のヌクレオチド1506;ATIC遺伝子のヌクレオチド1689;ATIC遺伝子のヌクレオチド7227;ATIC遺伝子のヌクレオチド7232;ATIC遺伝子のヌクレオチド7388;ATIC遺伝子のヌクレオチド8756;ATIC遺伝子のヌクレオチド8808;ATIC遺伝子のヌクレオチド14099;ATIC遺伝子のヌクレオチド14140;ATIC遺伝子のヌクレオチド14144;ATIC遺伝子のヌクレオチド14183;ATIC遺伝子のヌクレオチド14229;ATIC遺伝子のヌクレオチド14238;ATIC遺伝子のヌクレオチド14245;ATIC遺伝子のヌクレオチド14260;ATIC遺伝子のヌクレオチド14489;ATIC遺伝子のヌクレオチド14970;ATIC遺伝子のヌクレオチド15003;ATIC遺伝子のヌクレオチド15040;ATIC遺伝子のヌクレオチド15043;ATIC遺伝子のヌクレオチド15149;ATIC遺伝子のヌクレオチド15240;ATIC遺伝子のヌクレオチド15844;ATIC遺伝子のヌクレオチド16063;ATIC遺伝子のヌクレオチド21363;ATIC遺伝子のヌクレオチド21372;ATIC遺伝子のヌクレオチド21400;ATIC遺伝子のヌクレオチド21521;ATIC遺伝子のヌクレオチド21611;ATIC遺伝子のヌクレオチド22187;ATIC遺伝子のヌクレオチド22273;ATIC遺伝子のヌクレオチド22282;ATIC遺伝子のヌクレオチド22291;ATIC遺伝子のヌクレオチド22342;ATIC遺伝子のヌクレオチド22512;ATIC遺伝子のヌクレオチド22519;ATIC遺伝子のヌクレオチド22538;ATIC遺伝子のヌクレオチド22564;ATIC遺伝子のヌクレオチド22589;ATIC遺伝子のヌクレオチド22737;ATIC遺伝子のヌクレオチド24992;ATIC遺伝子のヌクレオチド25009;ATIC遺伝子のヌクレオチド27757;ATIC遺伝子のヌクレオチド27855;ATIC遺伝子のヌクレオチド27985;ATIC遺伝子のヌクレオチド28015;ATIC遺伝子のヌクレオチド33901;ATIC遺伝子のヌクレオチド33919;ATIC遺伝子のヌクレオチド33920;ATIC遺伝子のヌクレオチド33933;ATIC遺伝子のヌクレオチド35723;ATIC遺伝子のヌクレオチド35737;ATIC遺伝子のヌクレオチド35742;ATIC遺伝子のヌクレオチド35840;ATIC遺伝子のヌクレオチド35917;ATIC遺伝子のヌクレオチド35968;ATIC遺伝子のヌクレオチド35973;ATIC遺伝子のヌクレオチド38338;ATIC遺伝子のヌクレオチド38342;ATIC遺伝子のヌクレオチド38437;ATIC遺伝子のヌクレオチド38342;ATIC遺伝子のヌクレオチド38582;ATIC遺伝子のヌクレオチド38627;ATIC遺伝子のヌクレオチド38667からなる群から選択され、ここで該ヌクレオチドの配列が表Bにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項22】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、MTHFS遺伝子のヌクレオチド8808;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8912;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8957;MTHFS遺伝子のヌクレオチド8998;MTHFS遺伝子のヌクレオチド52560;MTHFS遺伝子のヌクレオチド52878からなる群から選択され、ここでSNPの配列が表Cにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項23】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、MAT1A遺伝子のヌクレオチド5045;MAT1A遺伝子のヌクレオチド5181;MAT1A遺伝子のヌクレオチド5233;MAT1A遺伝子のヌクレオチド6739;MAT1A遺伝子のヌクレオチド6795;MAT1A遺伝子のヌクレオチド9833;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10006;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10312;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10339;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10374;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10484;MAT1A遺伝子のヌクレオチド10555;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14038;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14114;MAT1A遺伝子のヌクレオチド14177;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15424;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15500;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15646;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15706;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15715;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15730;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15758;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16133;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16174;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15706;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15715;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15730;MAT1A遺伝子のヌクレオチド15758;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16133;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16174;MAT1A遺伝子のヌクレオチド16218からなる群から選択され、ここでSNPの配列が表Dにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項24】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、MAT2A遺伝子のヌクレオチド2871;MAT2A遺伝子のヌクレオチド2873;MAT2A遺伝子のヌクレオチド2939;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3287;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3394;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3466;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3498;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3650;MAT2A遺伝子のヌクレオチド3704;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4174;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4449;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4476;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4608;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4660;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4692;MAT2A遺伝子のヌクレオチド4931;MAT2A遺伝子のヌクレオチド5313;MAT2A遺伝子のヌクレオチド5460からなる群から選択され、ここでSNPの配列が表Eにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項25】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、GART遺伝子のヌクレオチド3782;GART遺伝子のヌクレオチド3842;GART遺伝子のヌクレオチド7745;GART遺伝子のヌクレオチド7984;GART遺伝子のヌクレオチド10775;GART遺伝子のヌクレオチド11521;GART遺伝子のヌクレオチド11522;GART遺伝子のヌクレオチド11541;GART遺伝子のヌクレオチド12356;GART遺伝子のヌクレオチド14200;GART遺伝子のヌクレオチド14273;GART遺伝子のヌクレオチド14282;GART遺伝子のヌクレオチド14739;GART遺伝子のヌクレオチド14781;GART遺伝子のヌクレオチド18055;GART遺伝子のヌクレオチド18064;GART遺伝子のヌクレオチド18130;GART遺伝子のヌクレオチド18142;GART遺伝子のヌクレオチド18197;GART遺伝子のヌクレオチド18232;GART遺伝子のヌクレオチド18401;GART遺伝子のヌクレオチド20812;GART遺伝子のヌクレオチド20825;GART遺伝子のヌクレオチド16174;GART遺伝子のヌクレオチド15706;GART遺伝子のヌクレオチド20862;GART遺伝子のヌクレオチド22481;GART遺伝子のヌクレオチド22521;GART遺伝子のヌクレオチド25425;GART遺伝子のヌクレオチド25433;GART遺伝子のヌクレオチド25601;GART遺伝子のヌクレオチド25867;GART遺伝子のヌクレオチド25912;GART遺伝子のヌクレオチド25951;GART遺伝子のヌクレオチド25956;GART遺伝子のヌクレオチド26127;GART遺伝子のヌクレオチド26195;GART遺伝子のヌクレオチド31627;GART遺伝子のヌクレオチド31641;GART遺伝子のヌクレオチド31887;GART遺伝子のヌクレオチド31902;GART遺伝子のヌクレオチド31933;GART遺伝子のヌクレオチド33173;GART遺伝子のヌクレオチド33264;GART遺伝子のヌクレオチド31933;GART遺伝子のヌクレオチド33173;GART遺伝子のヌクレオチド33264;GART遺伝子のヌクレオチド33286;GART遺伝子のヌクレオチド36963;GART遺伝子のヌクレオチド36964;GART遺伝子のヌクレオチド37428;GART遺伝子のヌクレオチド37433;GART遺伝子のヌクレオチド38762;GART遺伝子のヌクレオチド38914;GART遺伝子のヌクレオチド38989からなる群から選択され、ここでSNPの配列が表Fにおいて提供される、前記単離された核酸。
【請求項26】
障害アレルの突然変異又はその相補体を含む単離された核酸であり、ここで該障害アレルの突然変異が、M110I、H213R、D223N、D291N、R519C、R519L、及びQ648Pからなる群から選択される、前記単離された核酸。
【請求項27】
葉酸塩/ホモシステイン代謝の異常に関連する症状又は疾患のリスクをスクリーニングする方法であり、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法を使用する障害アレルの検出を含む、前記スクリーニング方法。
【請求項28】
前記疾患又は症状が、冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、アテローム性動脈硬化、神経管欠損、口唇口蓋裂(orofacial cleft)、子癇前症(pre−eclampsia)、早産(pre−term delivery)/低出生体重児(low birthweight)、反復早期自然流産(recurrent early spontaneous abortion)、血栓症、網膜動脈閉塞、ダウン症、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、鬱、統合失調症、アルツハイマー症/認知症(dementia)、加齢性黄斑変性症、及び緑内障からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
化学治療に対する応答能力をスクリーニングする方法であり、MTHFR及びGARTからなる群から選択される遺伝子の障害アレルの検出を含む、前記方法。
【請求項30】
化学治療の毒性をスクリーニングする方法であり、MTHFR及びGARTからなる群から選択される遺伝子の障害アレルの検出を含む、前記方法。
【請求項31】
葉酸塩/ホモシステイン代謝経路の遺伝子の障害アレルを検出するためのアレイであり、請求項20〜25のいずれか1項に記載の単離された核酸を含む、前記アレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−519267(P2011−519267A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502127(P2011−502127)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038703
【国際公開番号】WO2009/121044
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510255602)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (3)
【Fターム(参考)】