説明

代謝障害の処置のための化合物

【課題】インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝臓疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化および動脈硬化のような種々の代謝障害の処置のために有用な、新しい経口的に活性な治療剤を提供する。
【解決手段】代謝障害の処置のための化合物である式I中、nは1〜2;mは0〜4;qは0〜1;tは0〜1;Rは1〜3個のCを有するアルキル;RはH、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ;Aは非置換のフェニル、または1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキル;あるいは1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個のヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、このヘテロ原子はN、SおよびOから選択される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
真性糖尿病は、羅患率および致死率の主要な原因である。慢性的に上昇した血中グルコースレベルは、以下の消耗性の合併症を導く:しばしば透析または腎臓移植を必要とするネフロパシー;末梢性ネフロパシー;失明を導く網膜症;切断を導く脚および足部の潰瘍形成;肝硬変に進行することもある脂肪肝疾患;および冠状動脈疾患および心筋梗塞に対する抵抗力のなさ。
【0002】
2つの主要な型の糖尿病が存在する。I型真性糖尿病すなわちインスリン依存性真性糖尿病(IDDM)は、膵島のインスリン産生ベータ細胞の自己免疫破壊に起因する。この疾患の発現は、通常は、小児期または青年期にある。処置は、主として、毎日の複数回のインスリンの注射からなり、インスリン用量の調整を導くために、血中グルコースレベルの頻繁な試験と組合せられる。なぜなら、過剰のインスリンは、低血糖症およびその結果としての脳および他の機能の障害を引き起こし得る。
【0003】
II型真性糖尿病すなわちインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)は、代表的には、成年期に発症する。NIDDMは、脂肪組織、筋肉、および肝臓のようなグルコースを利用する組織の、インスリンの作用への抵抗に関連する。初期には、膵島のベータ細胞が、過剰のインスリンを分泌することにより補償する。最後の島の機能停止は、代償不全および慢性高刺激を引き起こす。逆に、中程度の島の不全は、末梢性のインスリン抵抗性より先に起こり得るかまたは同時に起こり得る。NIDDMの処置のために有用ないくつかのクラスの薬物が存在する:1)インスリンリリーサー(これは、直接インスリン放出を刺激し、低血糖症の危険を伴なう);2)食事用インスリンリリーサー(これは、グルコース誘導性インスリン分泌を増し、そして各食事用前に摂取されなければならない);3)メトホルミンを含むビグアニド(これは、肝臓における糖生成(これは糖尿病では、逆説的に上昇している)を弱める);4)インスリン感作物質(例えば、チアゾリジンジオン誘導体である、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびピオグリタゾン)(これらは、インスリンに対する末梢性の応答を改善するが、体重増加、水腫、および不定期な肝臓毒性のような副作用を有する);5)インスリン注射(慢性高血糖症のもとで島が機能しなくなるNIDDMの末期において、これは、しばしば必要である)。
【0004】
インスリン抵抗性はまた、目立った高血糖症がなくても起こり得、それは、一般に、アテローム性動脈硬化、肥満、高脂血症、および,本態性高血圧に関連する。この異常性の集団は、「代謝症候群」または「インスリン抵抗性症候群」を構成する。インスリン抵抗性はまた、脂肪肝にも関連し、脂肪肝は慢性的炎症(NASH;「非アルコール性脂肪肝」)、線維症、および肝硬変に進行し得る。累積的に、インスリン抵抗性症候群(糖尿病を含むが、これに限定されない)は、40歳を超えた人々の羅患率および死亡の、多くの主要な原因の根底にある。
特許文献1(Wellstat Therapeutics Corp.)は、酸、例えば4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)フェニル)−酪酸および4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)フェニル)−4−オキソ酪酸の最終位置で水素またはオキソ基により置換された特定の化合物を開示する。特許文献1は、酸の最終位置がヒドロキシ置換されている、以下に示される式Iの範囲内の化合物のいずれをも開示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/100341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような薬剤の存在にも関わらず、糖尿病は、相変わらず主要でかつ増大する公衆衛生問題である。糖尿病の末期の併発症は、国家の保健管理資源の大きな比率を消費する。現存する薬物よりも少ないかまたはより軽度な副作用を伴なって、インスリン抵抗性の主要な不具合および島の機能停止に効果的に対処する新しい経口的に活性な治療剤に対する必要性が存在する。
【0007】
現在、脂肪肝疾患に対する安全で効果的な処置は存在しない。それゆえに、そのような処置は、この状態を処置することにおいて価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、以下に示されるような生物学的に活性な薬剤を提供する。本発明は、以下に示されるような生物学的に活性な薬剤の、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪液質、高脂血症、脂肪肝臓疾患、肥満、アテローム性動脈硬化または動脈硬化の処置のための医薬の製造における使用を提供する。本発明は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪液質、高脂血症、脂肪肝臓疾患、肥満、アテローム性動脈硬化または動脈硬化を有する哺乳動物被験体を処置する方法を提供し、この方法は、その被験体に、有効量の、以下に記載される生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。本発明は、以下に示されるような生物学的に活性な薬剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供する。
【0009】
本発明に従う生物学的に活性な薬剤は、式I:
【0010】
【化5】

の化合物であり、ここでnは、1または2であり;mは、0、1、2、3または4であり;qは、0または1であり;tは、0または1であり;Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、このヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、この複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そしてRは、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではない。あるいは、Rが水素である場合は、この生物学的に活性な薬剤は、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩であり得る。
【0011】
上記の生物学的に活性な薬剤は、ヒトの糖尿病およびヒトのインスリン抵抗性症候群の確立された動物モデルである、以下に記載される生物学的活性アッセイの1つ以上において活性を有する。それゆえに、このような薬剤は、糖尿病およびインスリン抵抗性症候群の処置において有用である。試験された例示的化合物のすべては、それらが試験された生物学的活性アッセイの少なくとも1つにおいて活性を示した。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
医薬の製造における生物学的に活性な薬剤の使用であって、該医薬は、インスリン抵抗性症候群ならびにI型糖尿病およびII型糖尿病を含む糖尿病からなる群より選択される状態の処置のための医薬であるか;あるいはアテローム性動脈硬化、動脈硬化、肥満、高血圧、高脂血症、脂肪肝疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症、足部潰瘍形成もしくは糖尿病に関連する白内障の処置またはこれらを発症する可能性の低下のための医薬であるか;あるいは、高脂血症、悪液質および肥満からなる群より選択される状態の処置のための医薬であり;
ここで、該薬剤が、式:
【化1】

の化合物であり、ここで、
nは、1または2であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは
1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、該ヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、該複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そして
は、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではなく;
あるいは、Rが水素である場合は、該化合物の薬学的に受容可能な塩である、使用。
(項目2)
nが1であり;qが0であり;tが0であり;Rが水素であり;そしてAが、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである、項目1に記載の使用。
(項目3)
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、項目2に記載の使用。
(項目4)
前記生物学的に活性な薬剤が、4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸である、項目3に記載の使用。
(項目5)
前記医薬が経口投与のために処方されている、項目1〜4のいずれか1項に記載の使用。
(項目6)
哺乳動物被験体を処置するための方法であって、該哺乳動物被験体は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化および動脈硬化からなる群より選択される状態を有し、該方法が、該被験体にある量の生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含し、ここで、該薬剤が、式:
【化2】

の化合物であり、ここで
nは、1または2であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは
1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、該ヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、該複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そして
は、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではなく;
あるいは、Rが水素である場合は、該化合物の薬学的に受容可能な塩である、方法。
(項目7)
nが1であり;qが0であり;tが0であり;Rが水素であり;そしてAが、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである、項目6に記載の方法。
(項目8)
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記生物学的に活性な薬剤が、4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記被験体がヒトである、項目6〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記薬剤が、1日あたり、1ミリグラム〜400ミリグラムの量で経口投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記状態が、インスリン抵抗性症候群または2型糖尿病である、項目6〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記処置が、糖尿病の症状を低減するかまたは糖尿病の症状を発症する可能性を低減し、ここで、該症状が、アテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、高脂血症、脂肪肝疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症、足部潰瘍形成または糖尿病に関連する白内障からなる群より選択される、項目6〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
状態の処置における使用のための薬学的組成物であって、該状態は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化、動脈硬化からなる群より選択され、そして該薬学的組成物は、経口投与のために適合され、該薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアおよび1ミリグラム〜400ミリグラムの生物学的に活性な薬剤を含み、ここで、該薬剤が、式:
【化3】

の化合物であり、ここで
nは、1または2であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは
1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、該ヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、該複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そして
は、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではなく;
あるいは、Rが水素である場合は、該化合物の薬学的に受容可能な塩である、薬学的組成物。
(項目15)
nが1であり;qが0であり;tが0であり;Rが水素であり;そしてAが、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである、項目14に記載の薬学的組成物。
(項目16)
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、項目15に記載の薬学的組成物。
(項目17)
前記生物学的に活性な薬剤が、4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸である、項目16に記載の薬学的組成物。
(項目18)
経口投薬形態にある、項目14〜17のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目19)
生物学的に活性な薬剤であって、ここで該薬剤が式:
【化4】

の化合物であり、ここで
nは、1または2であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは
1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、該ヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、該複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そして
は、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではなく;
あるいは、Rが水素である場合は、該化合物の薬学的に受容可能な塩である
、生物学的に活性な薬剤。
(項目20)
nが1であり;qが0であり;tが0であり;Rが水素であり;そしてAが、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである、項目19に記載の生物学的に活性な薬剤。
(項目21)
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、項目19に記載の生物学的に活性な薬剤。
(項目22)
前記生物学的に活性な薬剤が、4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸である、項目21に記載の生物学的に活性な薬剤。
(項目23)
実質的に上記のような、発明。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基を意味する。特定の数の炭素原子を有すると同定されるアルキル基は、特定された数の炭素を有する任意のアルキル基を意味する。例えば、3個の炭素原子を有するアルキル基は、プロピルまたはイソプロピルであり得;そして4個の炭素原子を有するアルキル基は、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルまたはt−ブチルであり得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」は、1つ以上のフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。
【0014】
本明細書中で使用される場合、ペルフルオロメチルまたはペルフルオロメトキシにおけるような、用語「ペルフルオロ」は、当の基がすべての水素原子の代わりにフッ素原子を有することを意味する。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「Ac」は、CHC(O)−を意味する。
【0016】
特定の化学化合物は、本明細書中でそれらの化学名によるかまたは以下に示される2文字コードにより呼ばれる。化合物CRは、上に示された式Iの範囲内に含まれる。
BI 4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4−オキソブタン酸
CR 4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4(R)−ヒドロキシブタン酸
本明細書中で使用される場合、接続部「を含む」は、開放型(open−ended)である。この用語を利用する請求項は、そのような請求項で列挙される要素に加えて、要素を含み得る。
【0017】
(本発明の化合物)
上の式Iの描写中の星印は、キラル中心を表す。本発明は、式Iの化合物のラセミ体、(R)鏡像異性体、および(S)鏡像異性体を提供し、それらのすべては活性である。これらの鏡像異性体の混合物は、例えばChirality 11:420−425(1999)に記載されるように、HPLCを用いることにより分離され得る。
【0018】
上記の薬剤、使用、方法または薬学的組成物の実施形態では、nは1であり;qは0であり;tは0であり;Rは水素であり;そしてAは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、ペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである。より詳細な実施形態では、Aは、2,6−ジメチルフェニルである。そのような化合物の例としては、CRが挙げられる。
【0019】
本発明の生物学的に活性な薬剤の好ましい実施形態では、その薬剤は、実質的に(少なくとも98%)純粋な形態にある。
【0020】
(反応スキーム)
本発明の生物学的に活性な薬剤は、以下の反応スキームに従って作製され得る。
【0021】
mが2〜4であり、qが0であり、tが0もしくは1であり、そしてnが1もしくは2であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち、以下の式:
【0022】
【化6】

の化合物(Aは上記のとおりである)は、スキームIの反応によって調製され得る。
【0023】
スキーム1の反応スキームでは、A、t、n、RおよびRは、上のとおりである。Yは脱離基であり、pは1〜3である。式IIの化合物は、トリフェニルホスフィンおよびアザジカルボン酸ジエチルまたはアザジカルボン酸ジイソプロピルを用いる、IIのIIIとのMitsunobu縮合を用いる工程(a)の反応によって、式Vの化合物へ変換される。その反応は適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で実施される。Mitsunobu反応において慣用的に使用される条件のいずれもが、工程(a)の反応を実施するために使用され得る。
【0024】
式Vの化合物はまた、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどのような適切な塩基を用いることにより、工程(b)の反応によって、式IIの化合物の、式IVの化合物とのエーテル化またはアルキル化により調製され得る。式IVの化合物では、Yとしてはメシルオキシ、トシルオキシ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシル基を脱離基でアルキル化するための慣用的な条件のいずれもが、工程(b)の反応を実施するために使用され得る。式IVの化合物が容易に入手可能ならば、工程(b)の反応は、工程(a)よりも好ましい。
【0025】
式Vの化合物は、その式Vの化合物を式VIの化合物でアルキル化することにより、工程(c)の反応によって、式VIIの化合物に変換される。この反応は、アセトフェノンを3−ケトエステル(すなわち、γ−ケトエステル)に変換する、ほぼモル当量の慣用的な塩基の存在下で実施される。この反応を実施する際には、リチウムビス−(トリメチルシリル)アミドなどのようなヘキサメチルジシランのアルカリ金属塩などを利用することが一般に好ましいが、それに限定されない。一般に、この反応は、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中で実施される:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン。一般に、この反応は、−65℃〜25℃の温度で実施される。このようなアルキル化反応における慣用的な条件のいずれもが、工程(c)の反応を実施するために利用され得る。
【0026】
式VIIの化合物は、そのケトン基をアルコール基に還元することにより、工程(d)の反応によって、式VIIIの化合物に変換される。この反応は、ケトンをアルコールに変換する慣用的な還元剤を利用して実施される。この反応を実施する際には、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として利用することが一般に好ましいが、それに限定されない。一般に、この反応は、メタノール、エタノールなどのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜25℃の温度で実施される。生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、生成され得る。式VIIIのラセミ混合物は、HPLCを用いることにより分離され得る。(Chirality 11:420−425(1999)。
【0027】
式VIIIの化合物は、Rが1〜2個の炭素原子を有するアルキル基である、式Iの化合物である。
【0028】
式VIIIの化合物は、エステル加水分解により、RがHである式Iの化合物に変換され得る。エステル加水分解の任意の慣用的な方法が、RがHである式Iの化合物を生成する。
【0029】
【化7】

mが2〜4であり、qが1であり、tが0または1であり、そしてnが1または2であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてRが水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち、以下の式:
【0030】
【化8】

の化合物(Aは上記のとおりである)は、スキーム2の反応によって調製され得る。
【0031】
スキーム2の反応スキームでは、A、t、n、RおよびRは、上のとおりである。Yはクロロまたはブロモであり、pは1〜3である。
【0032】
式IXの化合物は、工程(e)の反応によって、メシル化され式Xの化合物を与え得る。ヒドロキシル基のメシル化反応を実施するための任意の慣用的な条件が、工程(e)を実施するために利用され得る。式Xの化合物は、次いで式XIの化合物とともに加熱され、式XIIの化合物を生成する。アミノアルコールを生成するための慣用的な条件のいずれもが、工程(f)の反応を実施するために利用され得る。
【0033】
式XIIの化合物において、式XIIの化合物を塩化チオニル、臭素、三臭化リンなどで処理することにより、アルコールはクロロまたはブロモで置換され得、式XIIIの化合物を生成し得る。アルコールをクロロまたはブロモで置換するための任意の慣用的な条件のいずれもが、工程(g)の反応を実施するために利用され得る。
【0034】
式XIIIの化合物は、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンなどのような適切な塩基の存在下で、工程(h)の反応によって、式IIの化合物と反応し得る。この反応は、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどのような慣用的な溶媒中で実施され、対応する式XIVの化合物を生成する。塩基(好ましい塩基は、炭酸カリウムである)の存在下でのヒドロキシル基のエーテル化の任意の慣用的な方法が、工程(h)の反応を実施するために使用され得る。
【0035】
式XIVの化合物は、その式XIVの化合物を式VIの化合物でアルキル化することにより、工程(i)の反応によって、式XVの化合物に変換され得る。この反応は、ほぼモル当量の、リチウムヘキサメチルジシランのような適切な塩基の存在下で実施される。この反応は、スキーム1の工程(c)の反応に関連して記載されたのと同じ様式で実施される。
【0036】
式XVの化合物は、そのケトン基をアルコール基に還元することにより、工程(j)の反応によって、XVIの化合物に変換され得る。この反応は、ケトンをアルコールに変換する慣用的な還元剤を利用して実施される。この反応を実施する際には、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として利用することが一般に好ましいが、それに限定されない。一般に、この反応は、メタノール、エタノールなどのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜25℃の温度で実施される。生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、精製され得る。
【0037】
式XVIのラセミ混合物は、HPLCを用いることにより分離され得る。(Chirality 11:420−425(1999)。
【0038】
式XVIの化合物は、Rが1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、式Iの化合物である。
【0039】
式XVIの化合物は、エステル加水分解により、遊離酸に変換され得る。エステル加水分解の任意の慣用的な方法が、RがHである式Iの化合物を生成する。
【0040】
【化9】

mが1であり、qが0または1であり、tが0または1であり、そしてnが1または2であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてRが1〜2個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち、以下の式:
【0041】
【化10】

の化合物(Aは上記のとおりである)は、スキーム3の反応によって調製され得る。
【0042】
スキーム3の反応スキームでは、A、t、n、RおよびRは、上のとおりである。Rは、1〜2個の炭素原子を有するアルキルである。
【0043】
式Vの化合物(スキーム1の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)または式XIVの化合物(スキーム2の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)は、水素化ナトリウムなどのような適切な塩基の存在下で、工程(k)の反応によって、炭酸ジアルキルと反応し得る。この反応は、N,N’−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなどのような慣用的な溶媒中で実施され得、引き続いて炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチルのような炭酸ジアルキルが添加され、対応する式XVIIの化合物を生成し得る。このようなアルキル化反応における任意の慣用的な条件が、工程(k)の反応を実施するために利用され得る。
【0044】
式XVIIの化合物は、そのβ−ケト基をアルコール基に還元することにより、工程(l)の反応によって、式XVIIIの化合物に変換され得る。この反応は、ケトンをアルコールに変換する慣用的な還元剤を利用することにより実施され得る。この反応は、酒石酸で処理されたラネーニッケル触媒を用いる水素化により実施され得る(Harada,T.;Izumi,Y.Chem.Lett.1978,1195−1196)か、またはキラルな均一系ルテニウム触媒を用いる水素化(Akutagawa,S.;Kitamura,M.;Kumobayashi,H.;Noyori,R.;Ohkuma,T.;Sayo,N.;Takaya,M.J.Am.Chem.Soc.1987,109,5856−5858)により実施され得る。この還元はまた、水素化ホウ素ナトリウムなどを使用することにより実施され得る。一般に、この反応は、メタノール、エタノールなどのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜25℃の温度で実施される。その生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、精製され得る。式XVIIIのラセミ混合物は、HPLCを用いることにより分離され得る。(Chirality 11:420−425(1999)。
【0045】
式XVIIIの化合物は、mが1であり、Rが1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、式Iの化合物である。
【0046】
【化11】

mが0であり、qが0または1であり、tが0または1であり、そしてnが1または2であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち、以下の式:
【0047】
【化12】

の化合物(Aは上記のとおりである)は、スキーム4の反応によって調製され得る。
【0048】
スキーム4の反応スキームでは、t、n、A、R、RおよびRは、上のとおりである。
【0049】
式Vの化合物(スキーム1の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)または式XVIの化合物(スキーム2の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)は、ピリジンの存在下での二酸化セレンを用いたメチル基の酸化により、工程(m)の反応によって、式XIXの化合物に変換され得る。一般に、この反応は、25℃〜100℃の温度で実施される。その生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、精製され得る。
【0050】
式XIXの化合物は、触媒(例えば、ロジウム−{アミドホスフィン−ホスフィニト}(Tetrahedron:Asymmetry,第8巻,第7号,1083−1099,1997)、[RuCl(BINAP)](NEt)(EP−A−0 295
890)など)を用いた、α−ケト酸の水素化により、工程(n)の反応によって、式XXの化合物に変換され得る。このような水素化における慣用的な任意の条件が、工程(n)の反応を実施するために利用され得る。式XXのラセミ混合物は、HPLCを用いることにより分離され得る。(Chirality 11:420−425(1999)。
【0051】
式XXの化合物は、mが0であり、RがHである、式Iの化合物である。
【0052】
式XXの化合物は、メタノールまたはエタノールを用いたエステル化により、Rが1〜2個の炭素原子を有するアルキル基である式Iの化合物に変換され得る。この反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)を用いることによるか、または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど)を用いることによるかのいずれかにより、実施され得る。一般に、この反応は、N,N’−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなどのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜100℃の温度で実施される。その生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、精製され得る。
【0053】
【化13】

mが0であり、qが0または1であり、tが0または1であり、そしてnが1または2であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてRが水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち、以下の式:
【0054】
【化14】

の化合物はまた、式XXI、
【0055】
【化15】

の化合物(Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである)から、スキーム5の反応によって調製され得る。
【0056】
スキーム5の反応では、t、n、A、R、RおよびRは、上のとおりである。Yは、クロロまたはブロモである。
【0057】
式XXIの化合物は、式IIIの化合物との反応によるか、または式IVの化合物(スキーム1の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)もしくは式XIIIの化合物(スキーム2の反応で記載されたのと同じ様式で調製される)との反応により、工程(o)の反応によって、式XXIIの化合物に変換され得る。これらの反応は、(a)、(b)または(h)の反応工程に関連して記載されたのと同じ様式で実施され得る。式XXIIの化合物は、NaHSOおよび水の存在下でのNaCNまたはKCNとの反応、ならびに引き続く式XXIIIの化合物を与えるための加水分解により、(p)の工程の反応によって、式XXIIIの化合物に変換され得る。(Organic Syntheses;Wiley:New York,1941;Collect.Vol.1,p 336)。
【0058】
式XXIIの化合物は、適切な触媒(例えば、塩化トリエチルベンジルアンモニウムなど)の存在下で反応により、工程(q)の反応によって、直接、式XXIIIの化合物に変換され得る。一般に、この反応は、クロロホルム−水性水酸化ナトリウムのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、25℃〜100℃の温度で実施される。(Synthesis 1974,724−725)。式XXIIIのラセミ混合物は、HPLCを用いることにより分離され得る。(Chirality 11:420−425(1999)
式XXIIIの化合物は、mが0であり、RがHである、式Iの化合物である。
【0059】
式XXIIIの化合物は、メタノールまたはエタノールを用いたエステル化により、Rが1〜2個の炭素原子を有するアルキル基である式Iの化合物に変換され得る。この反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)を用いることによるか、または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど)を用いることによるかのいずれかにより、実施され得る。一般に、この反応は、N,N’−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなどのような溶媒中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜100℃の温度で実施される。その生成物は、抽出、エバポレーション、クロマトグラフィー、および再結晶のような技術により単離され得、精製され得る。
【0060】
【化16】

式III:
A(CHt+n−OH
の化合物、およびtが0または1であり、nが1または2である式IVの化合物、すなわち、以下の式:
A(CHt+n−Y
の化合物(Aは上記のとおりであり、Yは脱離基である)は、スキーム6の反応によって調製され得る。
【0061】
スキーム6の反応では、Aは上記のとおりであり、Yは脱離基である。
【0062】
式XXIVの化合物は、工程(r)の反応によって、式XXVの化合物へ還元され得る。この反応は、慣用的な還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなアルカリ金属水素化物)を利用して実施される。この反応は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で実施される。このような還元反応において慣用的な条件のいずれもが、工程(r)の反応を実施するために利用され得る。
【0063】
式XXVの化合物は、tが0であり、nが1である、式IIIの化合物である。
【0064】
式XXVの化合物は、ヒドロキシル基をハロゲン基で置換することにより、式XXVIの化合物に変換され得、好ましいハロゲンは、ブロモまたはクロロである。適切なハロゲン化試薬としては、塩化チオニル、臭素、三臭化リン、四臭化炭素などが挙げられるが、これらに限定されない。このようなハロゲン化反応において慣用的な任意の条件が、工程(s)の反応を実施するために利用され得る。
【0065】
式XXVIの化合物は、tが0であり、nが1である、式IVの化合物である。
【0066】
式XXVIの化合物は、XXVIをアルカリ金属シアン化物(例えば、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウム)と反応させることにより、式XXVIIの化合物に変換され得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)中で実施される。ニトリルの調製において慣用的に使用される条件のいずれもが、工程(t)の反応を実施するために利用され得る。
【0067】
式XXVIIの化合物は、酸加水分解または塩基加水分解により、工程(u)の反応によって、式XXVIIIの化合物に変換され得る。この反応を実施する際には、塩基性加水分解(例えば、水性水酸化ナトリウム)を利用することが、一般に好ましい。ニトリルの加水分解において慣用的に使用される条件のいずれもが、工程(u)の反応を実施するために利用され得る。
【0068】
式XXVIIIの化合物は、還元され得、工程(v)の反応によって、式XXIXの化合物を与え得る。この反応は、工程(r)の反応に関連して本明細書上記に記載されたのと同じ様式で実施され得る。
【0069】
式XXIXの化合物は、tが1であり、nが1である、式IIIの化合物である。
【0070】
式XXIXの化合物は、工程(s)の反応に関連して本明細書上記に記載されたのと同じ様式で、工程(w)の反応によって、式XXXの化合物に変換され得る。
【0071】
式XXXの化合物は、tが1であり、nが1である、式IVの化合物である。
【0072】
式XXXの化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)を利用して、マロン酸ジエチルと反応し得、式XXXIの化合物を与え得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど)中で実施される。このようなアルキル化反応における慣用的な条件のいずれもが、工程(x)の反応を実施するために利用され得る。
【0073】
式XXXIの化合物は、酸または塩基により加水分解され得、工程(y)の反応によって、式XXXIIの化合物を与え得る。
【0074】
式XXXIIの化合物は、工程(r)の反応に関連して本明細書上記に記載されたのと同じ様式で、工程(z)の反応によって、式XXXIIIの化合物に変換され得る。
【0075】
式XXXIIIの化合物は、tが1であり、nが2である、式IIIの化合物である。
【0076】
式XXXIIIの化合物は、工程(s)の反応に関連して本明細書上記に記載されたのと同じ様式で、工程(a’)の反応によって、式XXXIVの化合物に変換され得る。
【0077】
式XXXIVの化合物は、tが1であり、nが2である、式IVの化合物である。
【0078】
【化17】

がハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式IIの化合物、すなわち、以下の式:
【0079】
【化18】

の化合物は、スキーム7の反応によって調製され得る。
【0080】
スキーム7の反応では、RはHであり、そしてRは、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである。
【0081】
式IIの化合物は、George M Rubottomらの方法、J.Org.Chem.1983,48,1550−1552に従って合成され得る。
【0082】
【化19】

がHであり、Rがハロである式XXXVの化合物、すなわち、以下の式:
【0083】
【化20】

の化合物は、市販されているか、または以下の文献に記載される方法に従って調製され得るかのいずれかである:
1.3−Br−2−OHCCOHまたは3−F−2−OHCCO
Canadian Journal of Chemistry(2001),79(11)1541−1545。
2.4−Br−2−OHCCO
WO 9916747またはJP04154773。
3.2−Br−6−OHCCO
JP47039101。
4.2−Br−3−OHCCO
WO 9628423。
5.4−Br−3−OHCCO
WO 2001002388。
6.3−Br−5−OHCCO
Journal of labelled Compounds and Radiopharmaceuticals(1992),31(3),175−82。
7.2−Br−5−OHCCOHおよび3−Cl−4−OHCCO
WO 9405153およびUS5519133。
8.2−Br−4−OHCCOHおよび3−Br−4−OHCCO
WO 2002018323。
9.2−Cl−6−OHCCO
JP06293700。
10.2−Cl−3−OHCCO
Procedings of the Indiana Academy of Science(1983),巻 日付 1982,92,145−51。
11.3−Cl−5−OHCCO
WO 2002000633およびWO 2002044145。
12.2−Cl−5−OHCCO
WO 9745400。
13.5−I−2−OHCCOHおよび3−I,2−OHCCO
Z.Chem.(1976),16(8),319−320。
14.4−I−2−OHCCO
Journal of Chemical Research,Synopses(1994),(11),405。
15.6−I−2−OHCCO
US4932999。
16.2−I−3−OHCCOHおよび4−I−3−OHCCO
WO 9912928。
17.5−I−3−OHCCO
J.Med.Chem.(1973),16(6),684−7。
18.2−I−4−OHCCO
Collection of Czechoslovak Chemical Communications,(1991),56(2),459−77。
19.3−I−4−OHCCO
J.O.C.(1990),55(18),5287−91。
【0084】
がHであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルコキシである式XXXVの化合物、すなわち、以下の式:
【0085】
【化21】

の化合物は、スキーム8の反応によって合成され得る。
【0086】
スキーム8の反応において、RおよびRは上記のとおりであり、そしてRが1〜2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0087】
式XXXVIの化合物は、そのアルデヒドを第1級アルコールに還元することにより、式XXVIIの化合物へ還元され得る。この反応を実施する際には、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として使用することが好ましいが、それに限定されない。このような還元反応において適切な条件のいずれもが、工程(c’)の反応を実施するために利用され得る。
【0088】
式XXXVIIの化合物は、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを用いて1,3−ジオールを保護ことにより、工程(d’)の反応によって、式XXXVIIIの化合物へ変換され得る。この保護基のための適切な条件は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0089】
式XXXVIIIの化合物は、臭化ベンジルを用いてフェノール基を保護することにより、工程(e’)の反応によって、式XXXIXの化合物へ変換され得る。この保護基のための適切な条件は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0090】
式XXXIXの化合物は、フッ化テトラブチルアンモニウムを用いた脱保護により、工程(f’)の反応によって、式XLの化合物へ変換され得る。この脱保護のための適切な条件は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0091】
式XLの化合物は、酸化により、工程(g’)の反応によって、式XLIの化合物へ変換され得る。第1級アルコールを酸に変換する、任意の慣用的な酸化基(例えば、酸化クロムなど)が、工程(g’)の反応を実施するために利用され得る。
【0092】
式XLIの化合物は、式XLIの化合物の、メタノールまたはエタノールとのエステル化により、式XLIIの化合物に変換され得る。この反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)を用いることによるか、または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど)を用いることによるかのいずれかにより、実施され得る。このようなエステル化反応において慣用的な条件のいずれもが、工程(h’)の反応を実施するために利用され得る。
【0093】
式XLIIの化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなど)を用いることにより、式XLIIの化合物を、メチルハライドもしくはエチルハライドもしくはプロピルハライドとエーテル化またはアルキル化することにより、式XLIIIの化合物に変換され得る。この反応は、慣用的な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド)中で実施される。一般に、この反応は、0℃〜40℃の温度で実施される。このようなアルキル化反応において適切な条件のいずれもが、工程(i’)の反応を実施するために利用され得る。
【0094】
式XLIIIの化合物は、エステルおよびベンジル基の脱保護により、工程(j’)の反応によって、式XLIVの化合物へ変換され得る。適切な脱保護条件は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0095】
【化22】

がHであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルコキシである式XXXVの化合物、すなわち、以下の式:
【0096】
【化23】

の化合物は、市販されているか、または以下の文献に記載される方法に従って調製され得るかのいずれかである:
1.2−OMe−4−OHCCO
US2001034343またはWO 9725992。
2.5−OMe−3−OHCCO
J.O.C(2001),66(23),7883−88。
3.2−OMe−5−OHCCO
US6194406(96ページ)およびJournal of the American Chemical Society(1985),107(8),2571−3。4.3−OEt−5−OHCCO
Taiwan Kexue(1996),49(1),51−56。
5.4−OEt−3−OHCCO
WO 9626176。
6.2−OEt−4−OHCCO
Takeda Kenkyusho Nempo(1965),24,221−8。
JP07070025。
7.3−OEt−4−OHCCO
WO 9626176。
8.3−OPr−2−OHCCO
JP07206658、DE2749518。
9.4−OPr−2−OHCCO
Farmacia(Bucharest)(1970),18(8),461−6。
JP08119959。
10.2−OPr−5−OHCCOHおよび2−OEt−5−OHCCO
ヨウ化プロピルおよびヨウ化エチルを用いることにより、US6194406(96ページ)から合成を適用させること。
11.4−OPr−3−OHCCO
WO 9626176から合成を適用させること。
12.2−OPr−4−OHCCO
プロピルハライドを用いることにより、Takeda Kenkyusho Nempo(1965),24,221−8から合成を適用させること。
13.4−OEt−3−OHCCO
Biomedical Mass Spectrometry(1985),12(4),163−9。
14.3−OPr−5−OHCCO
プロピルハライドを用いることにより、Taiwan Kexue(1996),49(1),51−56から合成を適用させること。
【0097】
がHであり、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式XXXVの化合物、すなわち、以下の式:
【0098】
【化24】

の化合物は、市販されているか、または以下の文献に記載される方法に従って調製され得るかのいずれかである:
1.5−Me−3−OHCCOHおよび2−Me−5−OHCCO
WO 9619437。
J.O.C.2001,66,7883−88。
2.2−Me−4−OHCCO
WO 8503701。
3.3−Et−2−OHCCOHおよび5−Et−2−OHCCO
J.Med.Chem.(1971),14(3),265。
4.4−Et−2−OHCCO
Yaoxue Xuebao(1998),33(1),67−71。
5.2−Et−6−OHCCOHおよび2−n−Pr−6−OHCCO
J.Chem.Soc.,Perkin Trans 1(1979),(8),2069−78。
6.2−Et−3−OHCCO
JP10087489およびWO 9628423。
7.4−Et−3−OHCCO
J.O.C.2001,66,7883−88。
WO 9504046。
8.2−Et−5−OHCCO
J.A.C.S.(1974),96(7),2121−9。
9.2−Et−4−OHCCOHおよび3−Et−4−OHCCO
JP04282345。
10.3−n−Pr−2−OHCCO
J.O.C(1991),56(14),4525−29。
11.4−n−Pr−2−OHCCO
EP279630。
12.5−n−Pr−2−OHCCO
J.Med.Chem(1981),24(10),1245−49。
13.2−n−Pr−3−OHCCO
WO 9509843およびWO 9628423。
14.4−n−Pr−3−OHCCO
WO 9504046。
15.2−n−Pr−5−OHCCO
合成は、α−ホルミル吉草酸エチルを使用することにより、J.A.C.S.(1974),96(7),2121−9から適用させること。
16.3−n−Pr−4−OHCCO
Polymer(1991),32(11),2096−105。
17.2−n−Pr−4−OHCCO
3−プロピルフェノールを、3−プロピルアニソールにメチル化し得、それを次いで4−メトキシ−3−ベンズアルデヒドにホルミル化した。このアルデヒドを、Jone’s試薬により酸化し得、対応する酸を与え、BBrによるメチル基の脱保護を行ない、表題化合物を得る。
18.1.3−Et−5−OHCCOHおよび3−Pr−n−5−OHCCO
2−エチルアクロレインおよび2−プロピルアクロレインを使用することにより、J.O.C.2001,66,7883−88から、合成を適用させること。
【0099】
が水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式XXIの化合物、すなわち、以下の式:
【0100】
【化25】

の化合物は、スキーム9の反応によって調製され得る。
【0101】
スキーム9の反応スキームにおいて、Rは1〜2個の炭素原子を有するアルキルであり、Pは保護基である。
【0102】
式XLVの化合物は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載される保護基および脱保護基のような適切な保護基および脱保護基を利用することにより、そのヒドロキシ基を保護し、引き続いてそのエステル基を脱保護することにより、工程(k’)の反応によって、式XLVIの化合物へ変換され得る。
【0103】
式XLVIの化合物は、酸基をアルコール基に還元することにより、工程(l’)の反応によって、式XLVIIの化合物へ変換され得る。この反応は、慣用的な還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなアルカリ金属水素化物)を利用することにより実施され得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で実施され得る。このような還元反応において慣用的な条件のいずれもが、工程(l’)の反応を実施するために利用され得る。
【0104】
式XLVIIの化合物は、アルコールのアルデヒドへの酸化により、工程(m’)の反応によって、式XLVIIIの化合物へ変換され得る。この反応は、適切な酸化剤(例えば、ピリジニウムクロロクロメート、またはSwern酸化条件下での2,4,6−トリクロロ[1,3,5]−トリアジン(シアヌル酸塩化物、TCT)により活性化されたジメチルスルホキシド(J.O.C.2001,66,7907−7909)など)を利用して実施され得る。このような酸化反応において慣用的な条件のいずれもが、工程(m’)の反応を実施するために利用され得る。
【0105】
式XLVIIIの化合物において、そのヒドロキシ基は、T.GreeneによりProtecting Groups in Organic Synthesisに記載されるような適切な脱保護試薬により、工程(n’)の反応によって、脱保護され、式XXIの化合物を与え得る。
【0106】
【化26】

が1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rが、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式XLVの化合物、すなわち、以下の式:
【0107】
【化27】

の化合物は、スキーム10の反応によって調製され得る。
【0108】
スキーム10の反応において、RはHである。RおよびRは、上のとおりである。
【0109】
式XXXVの化合物は、式XXXVの化合物の、メタノールまたはエタノールとのエステル化により、工程(o’)の反応によって、式XLVの化合物に変換され得る。この反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)を用いるか、または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど)を用いるかのいずれかにより、実施され得る。このようなエステル化において慣用的な条件のいずれもが、工程(o’)の反応を実施するために利用され得る。
【0110】
【化28】

(処置方法における使用)
本発明は、インスリン抵抗性症候群ならびに糖尿病(I型糖尿病またはII型糖尿病のような1次の本態性糖尿病および2次の非本態性糖尿病)からなる群から選択される状態を有する哺乳動物被験体を処置するための方法を提供し、その方法は、その被験体に、ある量の、本明細書中に記載されるような、その状態を処置するに有効な生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。本発明の方法に従って、糖尿病の症状または糖尿病の症状(例えば、アテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、高脂血症、脂肪肝疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症、足部潰瘍形成または白内障であって、各々のこのような症状は糖尿病に関連する)の発症の可能性が低減され得る。本発明はまた、高脂血症を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、ある量の、本明細書中に記載されるような、その状態を処置するに有効な生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。実施例に示されるように、化合物は、高脂血症の動物中の血清トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を減少させる。本発明はまた、悪液質を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、ある量の、本明細書中に記載されるような、悪液質を処置するに有効な生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。本発明はまた、肥満を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、ある量の、本明細書中に記載されるような、その状態を処置するに有効な生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。本発明はまた、アテローム性動脈硬化または動脈硬化から選択される状態を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、ある量の、本明細書中に記載されるような、その
状態を処置するに有効な生物学的に活性な薬剤を投与する工程を包含する。本発明の活性な薬剤は、その被験体が糖尿病またはインスルイン抵抗性症候群を有していようがいまいが、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化、または動脈硬化を処置するするに有効である。上記薬剤は、全身投与の任意の慣用的な経路により投与され得る。好ましくは、上記薬剤は、経口投与される。従って、この医薬が経口投与のために処方されることが好ましい。本発明に従って使用され得る他の投与経路としては、直腸投与、非経口投与、注射(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射または腹腔内注射)による投与、または経鼻投与が挙げられる。
【0111】
本発明の使用および本発明の処置の方法の各々のさらなる実施形態は、上記された生物学的に活性な薬剤の実施形態のいずれか1つを投与する工程を包含する。不必要な冗長さを避けるために、各々のそのような薬剤および薬剤の群は、繰返されないが、それらは、あたかも繰返されたかのように、使用および処置の方法のこの記載の中に組み込まれる。
【0112】
本発明の化合物により対処される疾患または障害の多くは、2つの広いカテゴリーに分類される:インスリン抵抗性症候群および慢性高血糖症の結果。糖尿病の非存在下(持続性高血糖症)で発生し得る燃料代謝の調節異常、特にインスリン抵抗性は、それ自体が種々の症状に関連し、その症状としては、高脂血症、アテローム性動脈硬化、肥満、本態性高血圧、脂肪肝疾患(NASH;「非アルコール性脂肪肝」)、および特に癌または全身性炎症疾患の状況において、悪液質が挙げられる。悪液質はまた、I型糖尿病または末期II型糖尿病の状況で発生し得る。組織の燃料代謝を改善することによって、本発明の活性な薬剤は、実施例において、動物で実証されるように、インスリン抵抗性に関連する疾患および症状を予防または改善するために有用である。インスリン抵抗性に関連する、一団の徴候および症状は、個々の患者に同時に存在し得るが、多くの場合、インスリン抵抗性に影響される多くの生理学的な系の弱さの個体差に起因して、ただ1つの症状が他を圧し得る。しかしながら、インスリン抵抗性は、多くの疾患状態の主な引き金であるので、この細胞性欠陥および分子性欠陥に対処する薬剤は、インスリン抵抗性に起因するかまたはインスリン抵抗性により悪化する任意の器官系における、実質的に任意の症状の予防または改善のために有用である。
【0113】
インスリン抵抗性および同時に起こる膵島による不十分なインスリン産生が十分に深刻である場合、慢性高血糖症が発生し、II型真性糖尿病(NIDDM)の発現を規定する。上に示されたインスリン抵抗性に関連する代謝障害に加えて、高血糖症に対して副次的な疾患の症状も、NIDDMを有する患者に発生する。これらとしては、ネフロパシー、末梢性ニューロパシー、網膜症、微小血管疾患、端の潰瘍形成、タンパク質の非酵素的グリコシル化の結果(例えば、コラーゲンおよび他の結合組織の損傷)が挙げられる。高血糖症の減退は、糖尿病のこれらの結果の発現の速度を低下させ、それらの重篤度を低減する。実施例に示されるように、本発明の活性な薬剤および本発明の組成物は、糖尿病における高血糖症を低減するのに役立つので、それらは、慢性高血糖症の合併症の予防および改善のために有用である。
【0114】
ヒト被験体および非ヒトの哺乳動物被験体の両方が、本発明の処置方法に従って処置され得る。特定の被験体に対する本発明の特定の活性な薬剤の最適用量は、熟練した臨床家により臨床的設定において決定され得る。インスリン抵抗性、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質または肥満に関連する障害の処置のためのヒトへの経口投与の場合には、上記薬剤は、一般に、1mg〜400mgの1日用量で投与され、1日あたり1回または2回投与される。マウスへの経口投与の場合には、上記薬剤は、一般に、体重1kgあたり1mg〜300mgの薬剤の1日用量で投与される。本発明の活性な薬剤は、糖尿病またはインスリン抵抗性症候群における単独治療として、またはこれらの型の疾患における効用を有する1つ以上の他の薬剤(例えば、インスリン放出剤、食事用インスリンリリーサ
ー、ビグアニド、またはインスリンそれ自体)と組合せて使用される。そのようなさらなる薬物は、標準的な臨床的習慣に従って投与される。いくつかの場合には、本発明の薬剤は、他のクラスの薬物の効力を改善し、それは、このような薬剤のより少ない(そして、それゆえにより毒性が低い)用量が、満足のいく治療結果を伴なって患者に投与されることを可能にする。代表的な化合物に対する、ヒトにおける確立された、安全で有効な用量の範囲は、以下の通りである:メトホルミン 1日あたり500〜2550mg;グリブリド(glyburide) 1日あたり1.25〜20mg;GLUCOVANCE(メトホルミンおよびグリブリドの組合せ処方物)1日あたり1.25〜20mgのグリブリドおよび250〜2000mgのメトホルミン;アトルバスタチン(atorvastatin) 1日あたり10〜80mg;ロバスタチン 1日あたり10〜80mg;プラバスタチン 1日あたり10〜40mg;ならびにシンバスタチン 1日あたり5〜80mg;クロフィブレート 1日あたり2000mg;ゲムフィブロジル 1日あたり1200〜2400mg;ロシグリタゾン 1日あたり4〜8mg;ピオグリタゾン 1日あたり15〜45mg;アカルボース 1日あたり75〜300mg;レパグリニド(repaglinide) 1日あたり0.5〜16mg。
【0115】
I型真性糖尿病:I型糖尿病を有する患者は、自分の疾患を、インスリン投与の用量および時機の適切な調整を可能にするために血中グルコースを頻繁にモニタリングしながら、主として、1日あたり1〜数用量のインスリンの自己投与により管理する。慢性高血糖症は、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症、足部潰瘍形成および早死のような合併症を導き;過剰のインスリン投与に起因する低血糖症は、認知機能障害または意識消失を引き起こし得る。I型糖尿病を有する患者は、錠剤形態またはカプセル剤形態で、単一用量または分割用量のいずれかとして、1日あたり1〜400mgの本発明の活性な薬剤で処置される。予期される効果は、血中グルコースを満足のいく範囲に維持するために必要とされるインスリンの投与の用量または頻度の低下、および低血糖症発現の低下した発生率およびその低下した重篤度である。臨床結果は、血中グルコースおよびグリコシル化ヘモグロビン(数ヶ月間にわたって組み込まれた血糖症コントロールの妥当性の指標)の測定により、そして糖尿病の代表的な合併症の低下した発生率およびその低下した重篤度によりモニタリングされる。本発明の生物学的に活性な薬剤は、島の移植と組合せて投与され得、島移植片の抗糖尿病性効力を維持するのを助け得る。
【0116】
II型真性糖尿病:II型糖尿病(NIDDM)を有する代表的な患者は、食事と運動のプログラムにより、そしてメトホルミン、グリブリド、レパグリニド、ロシグリタゾン、またはアカルボースのような医薬(これらのすべては、何人かの患者において、血糖コントロールにおける何らかの改善を提供するが、それらのいずれも副作用または疾患の進行に起因する最後の処置不全がない)を摂取することにより、自分の疾患を管理する。島の機能停止は、NIDDMを有する患者の中で、ある期間にわたって発生し、大きな割合の患者でインスリン注射を必要とする。本発明の活性な薬剤を用いる毎日の処置(さらなるクラスの抗糖尿病性医薬を伴っても伴なわなくても)が、血糖コントロールを改善し、島の機能停止の速度を低下させ、そして糖尿病の代表的な症状の発生率およびその重篤度を低下させることが予想される。加えて、本発明の活性な薬剤は、上昇した血清トリグリセリドおよび脂肪酸を低下させ、それによって糖尿病患者の主要な死因である心臓血管疾患の危険を低下させる。糖尿病に対するすべての他の治療剤の場合のように、用量の最適化は、要求、臨床効果、および副反応に対する感受性に従って、個々の患者においてなされる。
【0117】
高脂血症:血中の上昇したトリグリセリドレベルおよび上昇した遊離脂肪酸レベルは、その個体群の実質的な割合に影響を及ぼし、アテローム性動脈硬化および心筋梗塞の重要な危険因子である。本発明の活性な薬剤は、高脂血症患者における循環するトリグリセリドおよび循環する遊離飽和脂肪酸を減少するために有用である。高脂血症患者はまた、し
ばしば、上昇した血中コレステロールレベルを有し、これがまた、心臓血管疾患の危険を上昇させる。HMG−CoAレダクターゼインヒビター(「スタチン」)のようなコレステロール低下剤は、本発明の薬剤に加えて、必要に応じて同じ薬学的組成物の中に組み込まれて、高脂血症患者に投与され得る。
【0118】
脂肪肝疾患:その個体群の実質的な割合が、非アルコール性脂肪肝(NASH)としても公知の脂肪肝疾患により影響を受け;NASHは、多くの場合、肥満および糖尿病に関連している。肝臓脂肪症、すなわち肝細胞を伴なうトリグリセリドの小滴の存在は、肝臓を慢性的な炎症(生検サンプルにおいて、炎症の白血球の浸潤物として検出される)に罹りやすくし、それが線維症および肝硬変を導き得る。脂肪肝疾患は、一般に、肝臓に特異的な酵素(例えば、トランスアミナーゼALTおよびトランスアミナーゼAST)の上昇した血清レベル(この上昇した血清レベルは、肝細胞の損傷の指標として役立つ)の観察によって、ならびに疲れおよび肝臓領域での疼痛を含む症状の提示により検出されるが、明確な診断は、多くの場合、生検を必要とする。予想される利益は、肝臓の炎症の低下および脂肪含量の低下であり、線維症および肝硬変へのNASHの進行の減退、休止または逆転を生じる。
【0119】
(薬学的組成物)
本発明は、本明細書中に記載されるような生物学的に活性な薬剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物のさらなる実施形態は、上記の生物学的に活性な薬剤の実施形態のいずれか1つを含む。不必要な冗長さを避けるために、各々のそのような薬剤およびその薬剤の群は、繰返されないが、それらは、あたかも繰返されたかのように、薬学的組成物のこの記載の中に組み込まれる。
【0120】
好ましくは、上記組成物は、経口投与のために適合され、例えば、錠剤、コーティングされた錠剤、糖剤、硬質ゼラチンカプセルもしくは軟質ゼラチンカプセル、液剤、乳剤または懸濁剤の形態にある。一般に、経口用組成物は、1mg〜400mgのこのような薬剤を含む。被験体にとって、1日あたり1つまたは2つの錠剤、コーティングされた錠剤、糖剤、またはゼラチンカプセルを飲み込むことが都合がよい。しかしながら、上記組成物はまた、任意の他の慣用的な全身投与(例えば坐剤の形態での直腸投与、例えば注射液剤の形態での非経口投与、または経鼻投与を含む)の手段による投与のために適合され得る。
【0121】
上記生物学的に活性な化合物は、薬学的組成物の製造のために、薬学的に不活性な無機キャリアまたは薬学的に不活性な有機キャリアとともに加工され得る。乳糖、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などが、例えば、錠剤、コーティングされた錠剤、糖剤および硬質ゼラチンカプセルのためのそのようなキャリアとして使用され得る。軟質ゼラチンカプセルのための適切なキャリアは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体ポリオールおよび液体ポリオールなどである。しかしながら、活性成分の性質に依存して、軟質ゼラチンカプセルの場合には、通常は、軟質ゼラチン自体以外にはキャリアは必要とはされない。液剤およびシロップ剤の製造のために適切なキャリアは、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤のために適切なキャリアは、例えば、天然油または硬化油、ワックス、脂肪、半固体ポリオールまたは液体ポリオールなどである。
【0122】
上記薬学的組成物は、さらに、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭剤、浸透圧を変動させるための塩、緩衝剤、コーティング剤または酸化防止剤を含み得る。上記薬学的組成物はまた、さらに他の治療的に価値のある物質、特に、本発明の化合物の効果の基礎となるメカニズム以外のメカニズムを通して作用する抗糖尿病剤または抗高脂血症剤を含み得る。単一処方物において、本発明の化合物と有利に組
み合わされ得る薬剤としては、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、インスリン放出剤(例えば、スルホニル尿素インスリンリリーサーであるグリブリドおよび他のスルホニル尿素インスリンリリーサー)、コレステロール低下剤(例えば、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンのような「スタチン」HMG−CoAレダクターゼインヒビター)、PPAR−αアゴニスト(例えば、クロフィブレートおよびゲムフィブロジル)、チアゾリジンジオンのようなPPAR−γアゴニスト(例えば、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、α−グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース(これは、デンプン消化を阻害する)、ならびに食事用インスリンリリーサー(例えば、レパグリニド)が挙げられるが、これらに限定されない。単一処方物において、本発明の化合物と組み合わせられる補助的な薬剤の量は、標準的な臨床的習慣で使用される用量に従う。特定の代表的な化合物に対する、確立された、安全で有効な用量範囲は、上に示される。
【0123】
本発明は、以下の実施例を参照して、より良く理解されるが、これらの実施例は、本明細書中に記載される発明を例証するが、限定はしない。
【実施例】
【0124】
(化学合成実施例)
(実施例1:4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4(R)−ヒドロキシブタン酸)
【0125】
【化29】

(工程A:4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4(R)−ヒドロキシブタン酸の調製)
メタノール(64ml)中の4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)フェニル)−4−オキソ酪酸(WO 02/100341、3g、9.6mmol)の攪拌した溶液に、塩化セリウム(3.55g、14.4mmol)を添加した。この反応混合物を、10分間、室温で攪拌し、0℃に冷却し、NaBH(.400g、10.6mmol)を添加した。攪拌を、0℃で4時間継続し、そしてその反応物を数滴の50%水性酢酸でクエンチした。水(60ml)およびクロロホルム(60ml)を添加し、そして反応混合物をクロロホルム(3×25ml)で抽出した。その有機層を水(2×)およびブライン(2×)で洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そしてクロロホルム:メタノール(95:5 酢酸を添加した)を用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、上記表題化合物を白色固体として得た。
H NMR(270MHz,CDCl):2.1(q,2H);2.4(s,6H);2.5(t,2H);4.8(t,1H);5.1(s,2H);6.9〜7.1(m,4H);7.15〜7.3(m,3H)。
【0126】
(生物学的活性実施例)
以下のすべての生物学的活性実施例に対して、化合物CRを化学合成実施例1に従って作製した。
【0127】
(実施例2:db/dbマウスにおける化合物CRの抗糖尿病性効果−4週間)
db/dbマウスは、レプチンシグナル伝達において欠陥を有し、これは過食症、肥満
および糖尿病を導く。さらに、C57BL/6Jバックグラウンドのob/obマウスとは異なり、C57BLKSバックグラウンドのdb/dbマウスは、それらのインスリンを産生する膵島細胞の機能停止を受け、高インスリン血症(末梢性インスリン抵抗性に関連する)から低インスリン血症性糖尿病までの進行を生じ得る。
【0128】
約8週齢の雄性肥満(db/dbホモ接合体)C57BL/Ksolaマウスを、Jackson Labs(Bar Harbor、ME)から入手し、その体重(40〜45g)および血清グルコースレベル(餌を与えた状態で、≧300mg/dl)がグループ間で類似するように、5〜7匹の動物の複数のグループに無作為に割当て;雄性の痩せ型(db/+ ヘテロ接合体)マウスが、コホートのコントロールとしての役割を果たした。最低限7日を、到着後の適応のために考慮した。すべての動物を、制御された温度(23℃)、制御された相対湿度(50±5%)および制御された明るさ(7:00〜19:00)の下に維持し、標準的な飼料(Formulab Diet 5008、Quality Lab Products、Elkridge、MD)および水へ自由に接近できるようにした。
【0129】
処置コホートに、毎日、経口用量のビヒクル、化合物BI(100mg/kg)、または化合物CR(100mg/kg)を、4週間与えた。処置期間の最後に、100μlの静脈血を、血清化学分析のために、眼窩後方洞から、ヘパリン処理したキャピラリーチューブに抜き取った。
【0130】
4週間の毎日の経口投与後、化合物BIおよび化合物CRの両方が、血中グルコースの有意な減少を導いた(表I)。両方の化合物はまた、ビヒクルで処置したdb/dbマウスに対して血清トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を低下させた(表II)。
【0131】
(表I:b/dbマウスにおける血清グルコースに対する化合物BIおよび化合物CRの効果:4週間の処置)
【0132】
【化30】

(表II:db/dbマウスにおける血清トリグリセリドおよび遊離脂肪酸に対する化合物BIおよび化合物CRの効果:4週間の処置)
【0133】
【化31】

(実施例3:db/dbマウスにおける化合物CRの抗糖尿病性効果−2週間)
実施例2と同一の手順に従った。2週間の毎日の経口投与後、化合物BIおよび化合物CRの両方が、血中グルコースの有意な減少を導いた(表III)。
【0134】
両方の化合物は、顕著にトリグリセリドを低下させた;しかし、2週目では、以下に示すように、BIは、遊離脂肪酸の低下を引き起こしたが、CRは引き起こさなかった(表IV)。(化合物CRは、実施例2で示したように、4週目では遊離脂肪酸の減少をもたらした。)
(表III:I型糖尿病のdb/dbマウスモデルにおける化合物BIおよび化合物CRの効果)
【0135】
【化32】

(表IV:db/dbマウスにおける血漿血清グルコース、トリグリセリド、および遊離脂肪酸に対する化合物BIおよび化合物CRの効果)
【0136】
【化33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化4】

の化合物であって、ここで
nは、1または2であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニル;または3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルが、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、独立してメチルもしくはエチルで一置換されている、シクロアルキルであるか;あるいは
1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する5員の複素芳香族環または1個もしくは2個の環ヘテロ原子を有する6員の複素芳香族環であって、該ヘテロ原子はN、SおよびOから選択され、該複素芳香族環は、環炭素により、式Iの化合物の残りと共有結合で結合しており;そして
は、水素または1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキルであるが、ただし、mが0または1の場合、Rは水素ではなく;
あるいは、Rが水素である場合は、該化合物の薬学的に受容可能な塩である
、化合物。
【請求項2】
nが1であり;qが0であり;tが0であり;Rが水素であり;そしてAが、非置換のフェニル、またはハロ、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個または2個の基で置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、請求項2に記載の化合物または塩。
【請求項4】
4−(3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸である、請求項3に記載の化合物または塩。

【公開番号】特開2011−178808(P2011−178808A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−108809(P2011−108809)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【分割の表示】特願2006−509802(P2006−509802)の分割
【原出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(501056821)ウェルスタット セラピューティクス コーポレイション (32)
【Fターム(参考)】