説明

代謝障害を処置するための組成物および方法

本発明は、ファトスタチンAおよび/またはその誘導体および/または類似体を使用した1つまたは複数の代謝障害の治療および/または予防に関する。他の態様では、1つまたは複数の代謝障害の治療および/または予防のための化合物は、A−B−C三部構造((式中、A、B、およびCは、同一または異なる構造であり、本明細書中に詳述されている)を使用する。特定の態様では、代謝障害には、例えば、肥満または糖尿病が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年2月2日に出願された米国仮特許出願第60/887,994号、そしてまた2007年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/012,310号(これらの出願の両方は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、国立衛生研究所助成金GM−63115および国防総省助成金番号DAMD17−03−1−0228からの連邦政府補助金を利用した。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。また、本発明は、Ibrahim El−Hefni技術研修基金(Ibrahim El−Hefni Technical Training Foundation)からの拠出資金を利用した。
【0003】
発明の分野
本発明は、一般に、例えば、医学、細胞生物学、分子生物学、および生化学の分野に関する。特定の態様では、発明の分野は、肥満などの代謝障害の治療のための特定の組成物に関する。ある態様では、組成物は、例えば、ファトスタチンAおよびその類似体または誘導体を含む。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
代謝症候群は、多数の心血管危険因子(高血圧症、脂質異常症(dyslipidaemia)、肥満、2型糖尿病、膵臓β細胞機能障害、およびアテローム性動脈硬化症が含まれる)を対象とする。脂肪または炭水化物の含有量が様々な食事は、動物(ヒトが含まれる)のエネルギー代謝に寄与する。長鎖脂肪酸は、主なエネルギー供給源であり、細胞膜を含む脂質の重要な成分である。長鎖脂肪酸は、食品に由来し、de novoで複雑な一連の反応を介してアセチル−CoAから合成される。コレステロールも食品に由来し、同様に複雑な反応を介してアセチル−CoAから合成される。de novo脂肪酸およびコレステロール合成を介した炭水化物のアシルグリセリドへの変換は、それぞれ、少なくとも12および23の酵素反応を含む。これらの酵素をコードする遺伝子の発現レベルは、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)と呼ばれる3つの転写因子(SREBP−1a、SREBP−1c、およびSREBP−2)によって調節される(非特許文献1;非特許文献2)。これらの膜結合タンパク質は、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス・ロイシンジッパー転写因子ファミリークラスのメンバーである(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。他のロイシンジッパー転写因子メンバーと異なり、SREBPは、小胞体膜結合前駆体として合成され、小胞体膜結合前駆体は核内の標的遺伝子の転写を活性化するためにゴルジ膜に結合する2つのプロテアーゼ(サイト−1およびサイト−2プロテアーゼ)によってタンパク質分解的に放出される必要がある(非特許文献1;非特許文献4)。
【0005】
SREBPのタンパク質分解性活性は、SREBP切断活性化タンパク質(SCAP)(SREBPの小胞体膜結合エスコートタンパク質)との相互作用を介してステロールによって強く調節される(非特許文献5;非特許文献6)。ステロールが小胞体膜中に蓄積される場合、SCAP/SREBP複合体はERからゴルジに排出することができず、それにより、SREBPのタンパク質分解プロセシングは抑制される。SREBPは、脂肪代謝のホメオスタシスを支配する重要な脂質合成転写因子である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Brown,M.S.& Goldstein,J.L. Cell(1997)89,331−40
【非特許文献2】Osborne,T.F. J Biol Chem(2000)275,32379−82
【非特許文献3】Tontonoz,P.,Kim,J.B.,Graves,R.A.& Spiegelman,B.M. Mol Cell Biol(1993)13,4753−9
【非特許文献4】Sakai,J.,Duncan,E.A.,Rawson,R.B.,Hua,X.,Brown,M.S.& Goldstein,J.L. Cell(1996)85,1037−46
【非特許文献5】Goldstein,J.L.,DeBose−Boyd,R.A.& Brown,M.S. Cell(2006)124,35−46
【非特許文献6】Hua,X.,Nohturfft,A.,Goldstein,J.L.& Brown,M.S. Cell(1996)87,415−26
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、個体(特に、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、またはヒツジなどの哺乳動物)の1つまたは複数の代謝障害の治療および/または予防に関する。特に、本発明は、治療のための個体への1つまたは複数の組成物の送達に関し、特定の実施形態では、組成物は、ファトスタチンAおよび/またはその類似体および/または誘導体である。有効量の本発明の化合物を使用して障害由来の少なくとも1つの症状が治療および/または予防される限り、代謝障害は、任意の種類であり得る。
【0008】
本発明のある態様では、代謝症候群は、多数の心血管危険因子(高血圧症、脂質異常症、肥満、2型糖尿病、膵臓β細胞機能障害、およびアテローム性動脈硬化症が含まれる)を対象とする。本発明の他の態様では、内蔵脂肪(脂肪肝が含まれる)の治療および/または予防を提供する。脂肪酸およびコレステロールは、食品に由来するか、de novoで炭水化物のアシルグリセリドへの変換を含む複雑な一連の反応(すなわち、脂質合成)を介してアセチル−CoAから合成される。de novo脂肪酸およびコレステロール合成は、それぞれ、少なくとも12および23の酵素反応を含む。これらの酵素をコードする遺伝子の発現レベルは、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)と呼ばれる3つの転写因子(SREBP−1a、SREBP−1c、およびSREBP−2)によって調節される。これらの膜結合タンパク質は、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス・ロイシンジッパー転写因子ファミリークラスのメンバーである。他のロイシンジッパー転写因子メンバーと異なり、SREBPは、小胞体膜結合前駆体として合成され、小胞体膜結合前駆体は核内の標的遺伝子の転写を活性化するためにゴルジ膜に結合する2つのプロテアーゼ(サイト−1およびサイト−2プロテアーゼ)によってタンパク質分解的に放出される必要がある。
【0009】
SREBPのタンパク質分解性活性は、SREBP切断活性化タンパク質(SCAP)(SREBPの小胞体膜結合エスコートタンパク質)との相互作用を介してステロールによって強く調節される。ステロールが小胞体膜中に蓄積される場合、SCAP/SREBP複合体はERからゴルジに排出することができず、それにより、SREBPのタンパク質分解プロセシングは抑制される。合成薬物様チアゾール誘導体により、培養哺乳動物細胞中に以下の2つの異なる表現型が生じる:3T3−L1マウス線維芽細胞のインスリン誘導性脂肪生成の阻害およびDU145ヒト前立腺癌細胞の血清非依存性成長の抑制。完全合成薬物様チアゾール誘導体(ファトスタチンAまたは125B11と呼ばれる)により、培養哺乳動物細胞中に以下の2つの異なる表現型が生じる:DU145ヒト前立腺癌細胞の血清非依存性成長の抑制および3T3−L1マウス線維芽細胞のインスリン誘導性脂肪生成の阻害。長鎖脂肪酸のde novo合成を触媒する脂肪酸シンターゼ(FAS)のインスリンによる誘導は、FAS遺伝子プロモーター上流のSREBP結合部位に依存する。
【0010】
特定の態様では、3T3−L1細胞のインスリン誘導性脂肪生成および前立腺癌細胞のIGF1誘導性細胞成長の両方を遮断する1つまたは複数の小分子を提供する。機構研究により、分子がSREBPのタンパク質分解活性を阻害し、それにより、核へのその局在化を阻害することが示された。SREBPは、ヒト細胞中で脂肪酸およびステロールの生合成を調節する主な転写因子であり、その機能の小分子介入により、種々の範囲の代謝性疾患(肥満および高脂質血症が含まれる)を治療する医薬品を開発することができる。DNAマイクロアレイ分析により、分子が多数のSREBP−標的遺伝子(LDL受容体およびHMB−CoAレダクターゼが含まれる)の発現を選択的に減少させることが示された。この分子のマウスへの投与により、食物摂取に影響を及ぼすことなく血中トリグリセリドレベルおよび血中コレステロールレベルを減少させる。本発明の特定の態様では、本発明の化合物は、SREBP経路を妨害する最初の非天然合成分子を示す。
【0011】
ここに、ファトスタチンAおよび例示的類似体がSREBPの活性化を選択的に遮断することを証明する。SREBPのインヒビターとしてのファトスタチンAの同定は、脂肪酸およびコレステロール(膜の基礎単位)のde novo合成が必要な癌細胞の血清非依存性成長の抑制を説明する。
【0012】
実験マウスにおいてファトスタチンAがSREBP−1の活性化を遮断することも示されている。マウスへのファトスタチンAの投与により、体重が減少し、成熟SREBPが下方制御され、その結果として、脂質合成酵素、アセチル−CAカルボキシラーゼ(ACC)、およびFASのレベルおよび活性が減少した。最終的に、ある実施形態では、ファトスタチンは、代謝性疾患の薬理学的に介入に有用であり、脂肪酸合成の調節および役割をさらに洞察するためのツールとして役立つ。
【0013】
ファトスタチンAは、有機小分子についての化学ライブラリーの表現型スクリーニングによって以前に発見された。合成薬物様チアゾール誘導体により、培養哺乳動物細胞中に以下の2つの異なる表現型が生じる:3T3−L1マウス線維芽細胞のインスリン誘導性脂肪生成の阻害およびDU145ヒト前立腺癌細胞の血清非依存性成長の抑制。ここに、ファトスタチンAがSREBPの活性化を選択的に遮断することを証明する。SREBPのインヒビターとしてのファトスタチンAの同定は、その高脂肪生成特性と一致し、脂肪酸およびコレステロール(膜の基礎単位)のde novo合成が必要な癌細胞の血清非依存性成長のその抑制を説明する。
【0014】
本発明の1つの実施形態では、安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート 4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;その薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせまたは混合物からなる群から選択される化合物が存在する。特定の実施形態では、化合物は、N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン、およびN−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミドからなる群から選択される。さらなる特定の実施形態では、化合物は、薬学的に許容可能な賦形剤中に含まれるとさらに定義される。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、個体の代謝障害を治療する方法であって、治療有効量の少なくとも1つの一般式:A−B−C(式中、A、B、およびCは同一または異なり、それぞれ、5員環、6員環、または7員環を含み、この環は、複素環もしくは非複素環、置換環、または非置換環であり、A、B、およびCの任意の1つ、任意の2つ、または3つ全ては、非置換であるか、1つまたは複数の置換を有し、任意の置換は任意の他の置換と同一であっても異なっていてもよく、置換は、以下:a)ヒドロキシ;b)C1〜10アルキル;c)C2〜10アルケニル;d)C2〜10アルキニル;e)C3〜6シクロアルキル;f)アリール;g)ヘテロアリール;ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:1)ヒドロキシ;2)−(C=O)R;3)−(C=O)OR;4)−(C=O)H;5)−(C=O)OH;6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);7)ハロ;8)シアノ;9)カルボキシ;10)アミノ;11)一置換アミノ;12)二置換アミノ;13)アミド;14)一置換アミド;15)二置換アミド;および16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換され、ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、h)−(C=O)R;i)−(C=O)OR;j)−(C=O)H;k)−(C=O)OH;l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、m)ハロ;n)シアノ;o)カルボキシ;p)アミノ;q)一置換アミノ;r)二置換アミノ、s)アミド;t)一置換アミド;およびu)二置換アミドからなる群から選択され、ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:i)ヒドロキシ;ii)−(C=O)R;iii)−(C=O)OR;iv)−(C=O)H;v)−(C=O)OH;vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、vii)ハロ;viii)シアノ;ix)カルボキシ;x)アミノ;xi)一置換アミノ;xii)二置換アミノ;xiii)アミド;xiv)一置換アミド;xv)二置換アミド;およびxvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換される)を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を個体に送達する工程を含む、方法が存在する。特定の実施形態では、Aは置換されており、1〜5原子の側鎖を含む。更なる特定の実施形態では、1〜5原子の側鎖が1〜5個の炭素の側鎖である。
【0016】
本発明の別の実施形態では、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−エチルフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(3,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−フルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;2−フェニル−4−p−トリルチアゾール;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−エチルピリジン;4−(4−クロロフェニル)−2−フェニルチアゾール;2−プロピル−4−(4−(チオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4’−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−プロピル)ピリジン;2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボン酸;2−エチル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−フェニル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボキシレート;tert−ブチル4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニルカルバメート;N−シクロヘキシル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−N−トシルベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−8−キノリンスルホンアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−2−チオフェンスルホンアミド;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物が存在する。
【0017】
さらなる特定の実施形態では、少なくとも1つの化合物は、安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
さらなる特定の実施形態では、少なくとも1つの化合物は、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン、N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン、およびN−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
本発明の特定の態様では、代謝障害は肥満である。さらなる態様では、代謝障害は、肥満、高脂質血症、糖尿病、脂肪肝、高血圧症、前立腺癌、および心血管疾患からなる群から選択される。
【0020】
特定の実施形態では、個体に付加療法を施す。特定の場合、代謝障害は肥満であり、付加療法は、食事療法、理学療法、行動療法、手術、薬物療法、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される療法を含む。他の特定の場合、代謝障害は糖尿病であり、付加療法は、食事療法、理学療法、および薬物療法からなる群から選択される療法を含む。
【0021】
本発明のさらなる実施形態では、化合物が適切な容器に格納されている、少なくとも1つの本発明の化合物を含むキットが存在する。キットは、特定の実施形態では、代謝障害のための付加療法をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、治療有効量の少なくとも1つの本発明の化合物を個体に投与する工程を含む個体のSREBP経路のメンバーを阻害する方法が存在する。特定の実施形態では、SREBP経路のメンバーは、SREBP−1、SREBP−2、またはその両方である。
【0023】
上記は、むしろ、以下の発明の詳細な説明をより理解することができるように、本発明の特徴および技術的利点を概説している。本発明のさらなる特徴および利点を、以下に記載しており、これは本発明の主題を形成する。当業者は、開示の概念および特定の実施形態を、本発明の目的を実施するための他の構築物の修正またはデザインに基づいて容易に使用することができると認識すべきである。当業者は、かかる等価な構築物は添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲に逸脱しないとも理解すべきである。その機構および操作方法の両方に関するその本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、さらなる目的および利点と共に、添付の図面と併せて考慮した場合に、以下の説明からより深く理解されるであろう。しかし、各図面は、本発明の例示および説明のみを目的として提供され、本発明を制限することを意図しないと明らかに理解すべきである。
【0024】
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と併せて示した以下の説明をここに参照した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1A〜1Cは、RT−PCRによるマイクロアレイの結果を確認する。(A)ファトスタチンAの構造。(B)DU145細胞を、DMSO(レーン1)および5mMファトスタチンA(レーン2)で6時間処理した。次いで、総RNAを抽出し、RT−PCRに供した。(C)RT−PCRおよびマイクロアレイデータのまとめ。ACL、ATPクエン酸リアーゼ;HMG CoAR、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−CoAレダクターゼ;LDLR、低密度リポタンパク質受容体、MVD、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ;SCD、ステアリル−CoAデヒドロゲナーゼ ;INSIG1、インスリン誘導性遺伝子1;GAPDH、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ。
【図2】図2A〜2Cは、ファトスタチンAが内因性SREBPのレポーター遺伝子を活性化する能力を抑制することを示す。HEK293細胞を、SRE−1駆動ルシフェラーゼレポーター(pSRE−Luc)(A)およびアクチンプロモーター下で調節されたβ−galレポーター(B)で同時トランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、種々の濃度のファトスタチンAまたはDMSOのみを含む無脂質血清含有培地によって処理した。20時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を測定し、データを、β−ガラクトシダーゼ活性によって正規化した。(C)HEK293細胞を、pCMV−SREBP−1c(1−436)およびpSRE−Lucでトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を無脂質血清含有培地において、20mMファトスタチンAを使用して、または使用せずに処理した。各値は、3つの独立した実験の平均を示す。
【図3】図3A〜3Hは、SREBP−1およびSREBP−2に及ぼすファトスタチンAの影響を示す。DU145細胞を、DMSOのみまたはファトスタチンA(1μMおよび5μM)で6時間処理した。SREBP−1(A)またはSREBP−2(B)の前駆体および成熟形態のレベルを、ウェスタンブロットによって試験した。アクチンのウェスタンブロットを、負荷コントロールとして下のパネルに示す。(C〜H)SREBP−1の局在化を、免疫染色によって試験した。細胞を、DMSOのみ(C〜E)または5mMのファトスタチンA(F〜H)で処理し、次いで、DAPI(CおよびF)または抗SREBP−1(DおよびG)で染色した。
【図4】図4A〜4Gは、SREBP−1のsiRNAノックダウンによるインスリン誘導性脂肪生成の阻害を示す。SREBP−1発現がノックダウンされた3T3−L1細胞の2つの安定にトランスフェクトされたクローンを確立し、脂肪細胞に分化するように誘導した。ノックダウン細胞が分化しなかったのに対して(DおよびF)、空のベクター(neo)でトランスフェクトした3T3−L1細胞のほとんどが脂肪細胞に分化した(B)。A、C、およびEは、インスリン誘導しない細胞を示す。(G)SREBP−1の首尾の良いノックダウンを示すクローンのウェスタンブロット分析。
【図5】図5A〜5Bは、SREBP−1のsiRNAノックダウンがDU145前立腺癌細胞の血清非依存性成長を遮断することを示す。(A)SREBP−1発現がノックダウンされたDU145細胞の2つの安定にトランスフェクトされたクローンを確立し、無血清であるか、2%ウシ胎児血清(FBS)、2%無脂肪ウシ胎児血清、または1μg/mLのIGF1を含むMEM培地中で3日間成長させた。成長速度をWST−1アッセイによって測定した。ノックダウン細胞は、無血清であるか、2%無脂肪FBS、または1μg/mLのIGF1を含むMEM培地中で成長できなかったが、血清の非存在下のコントロール細胞ほどの成長を示した。実験を三連で行った。(B)クローン1および2におけるSREBP−1ノックダウンの程度を示すウェスタンブロット。
【図6】図6A〜6Gは、絶食/無脂肪食再給餌後のマウスに及ぼすファトスタチンAの影響を示す。1日前から48時間の絶食を開始し、その後にさらに48時間の無脂肪食の摂取を行う全実験について、マウスに30mg/kgのファトスタチンAを腹腔内に毎日注射した。体重の減少(A)および摂食(B)を、48時間の給餌終了後時に決定した。(C)処置マウスおよびコントロールマウスの血清成分。(D)コントロールマウスおよびファトスタチンA処置マウス由来の2つの異なるマウス由来の肝臓抽出物のSREBP−1の代表的なウェスタンブロット。タンパク質の負荷量を正規化した。(E)肝臓抽出物のFAS発現(上のパネル)および負荷コントロールのクーマーシー染色ゲル(下)を示す代表的なウェスタンブロット。(FおよびG)は、肝臓抽出物中のFAS活性およびACC活性である。データは、平均+SD(n=5)である。*P<0.05。
【図7】図7A〜7Eは、マウスに及ぼすファトスタチンAの2週間の処置の影響を示す。5〜6月齢マウスに、30mg/kgファトスタチンAまたは10%DMSOのいずれかで2週間にわたって毎日注射した。(A)ファトスタチンAでの処置前および処置後の体重。(B)処置後の体重減少量。(C)処置マウスおよびコントロールマウスにおけるグルコース、コレステロール、およびトリグリセリド(TG)の血清レベル。(D)肝臓抽出物中のFAS活性。(E)コントロール群および処置群それぞれについての3匹のマウスの肝臓の代表的なウェスタンブロット分析。タンパク質の負荷量を正規化した。データは平均+SD(n=5)である。*P<0.05。
【図8】図8A〜8Cは、体重および飼料消費に及ぼすファトスタチンAの影響を示す。2群のob/ob雄マウス(n=5)に、ファトスタチンAを含むPBSまたは10%DMSOを含むPBS(コントロール群へ)を4週間にわたって腹腔内注射した。マウスに通常の固形飼料を与え、試験初日およびその後毎日マウスの体重および飼料消費量を測定した。(8A):代表的なコントロールマウスおよびファトスタチンA処置マウスの写真。(8B):各群内の各マウスの体重を毎日測定した。体重の平均および分散を示す。(8C):摂食を毎日測定し、28日にわたるマウスあたりの累積摂食として示した。
【図9】図9A〜9Hは、コントロールおよびファトスタチンA処置ob/obマウスの血清成分を示す。一晩絶食マウスの尾静脈から採血し、細胞からの分離後に血清を回収した。成分を、材料と方法に記載のように決定した。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)。
【図10】図10A〜10Dは、ob/obマウスの肝臓および脂肪組織に及ぼすファトスタチンの影響を示す。(10A)ファトスタチンA処置マウス(左)およびコントロール(右)の代表的な肝臓。(10B)脂肪滴を検出するためにオイルレッドOで染色し、マイヤーヘマトキシリンで対比染色したコントロールおよびファトスタチンAob/obマウスの肝臓の凍結切片の組織学的分析。ファトスタチンAで処置した3匹の異なるマウス(赤色に染色された液滴の劇的な減少を示す(上のパネル))およびコントロールの3匹の異なるマウス(処置マウスと比較して多数の赤色に染色された脂肪滴を示す(下のパネル))の肝臓。(10C)ファトスタチンA処置ob/obマウス(左)およびコントロール(右)から単離した精巣上体脂肪パッド。(10D)ob/obコントロールおよびファトスタチンA処置マウスから単離した肝臓および精巣上体脂肪パッドの平均重量。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)(*P<0.05)。
【図11】図11は、コントロールおよびファトスタチンA処置ob/obマウスの肝臓におけるトリグリセリドレベルおよびコレステロールレベルを示す。脂質を肝臓から抽出し、トリグリセリドおよびコレステロールを、本実施例のための例示的な材料および方法に記載のように定量した。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)(*P=0.0004;†P=0.03)。
【図12−1】図12A〜12Dは、ファトスタチンAが脂質合成酵素の発現レベルおよび活性を減少させることを示す。ob/obマウスの肝臓抽出物中の(12A)アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)の活性および(12B)脂肪酸シンターゼの活性を、本実施例のための例示的な材料および方法に記載のように定量した。(12C):ウェスタンブロット分析。3匹の各ob/obマウス由来の肝臓粗抽出物を4〜12%NuPAGE MESゲルによって分離し、異なる抗体で探索し、ECLで検出した(材料と方法)。(12D):アクチンに対する正規化後のコントロールマウスに対するファトスタチンA由来の異なる脂質合成酵素の特異的バンドの強度の比。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)(†P=0.005;‡P=0.002; *P<0.05)。
【図12−2】図12A〜12Dは、ファトスタチンAが脂質合成酵素の発現レベルおよび活性を減少させることを示す。ob/obマウスの肝臓抽出物中の(12A)アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)の活性および(12B)脂肪酸シンターゼの活性を、本実施例のための例示的な材料および方法に記載のように定量した。(12C):ウェスタンブロット分析。3匹の各ob/obマウス由来の肝臓粗抽出物を4〜12%NuPAGE MESゲルによって分離し、異なる抗体で探索し、ECLで検出した(材料と方法)。(12D):アクチンに対する正規化後のコントロールマウスに対するファトスタチンA由来の異なる脂質合成酵素の特異的バンドの強度の比。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)(†P=0.005;‡P=0.002; *P<0.05)。
【図13】図13は、ファトスタチンA ob/obマウスと比較したコントロールにおける肝臓脂質合成酵素の転写レベルを示す。各遺伝子のmRNAレベルを、アクチンに対して正規化した。RNAをコントロールおよびファトスタチンA処置マウス(n=5)から単離し、リアルタイム定量RT-PCRによって測定した。*P<0.05対コントロール。
【図14】図14は、本発明の例示的化合物を示す。
【図15】図15は、例示的類似体2〜18を使用した標準的なルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを示す。
【図16】図16は、例示的類似体19〜34を使用した標準的なルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを示す。
【図17】図17は、例示的類似体35〜44を使用した標準的なルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを示す。
【図18】図18a〜18gは、ファトスタチンがSREBPの活性化を遮断することを示す。(a)ファトスタチンの構造。(b)RT−PCRによって確認した罹患遺伝子の下方制御。DU145細胞を、DMSO(レーン1)または5mMファトスタチン(レーン2)で6時間処理した。次いで、総RNAを抽出し、ATPクエン酸リアーゼ(ACL)、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−CoAレダクターゼ(HMG−CoAR)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MVD)、ステアロイル−CoAデヒドロゲナーゼ (SCD)、インスリン誘導性遺伝子1(INSIG1)、およびグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)についてのRT−PCRに供した。(c)ファトスタチンでの処理に起因する選択した遺伝子の減少。(d)無脂質血清を含む培地中で内因性SREBPがルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化する能力のファトスタチンによる抑制。CHO−K1細胞を、SRE−1駆動ルシフェラーゼレポーター(pSRE−Luc)でトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、種々の濃度のファトスタチンを含む無脂質血清含有培地で処理した。(e)pCMV−SREBP−1c(1−436)およびpSRE−Lucを含む無脂質血清含有培地で同時トランスフェクトしたCHO−K1細胞に及ぼすファトスタチンの影響。(f)トランスフェクトしたCHO−K1細胞中のPLAP−BP2は、ゴルジ中でS1Pによって切断されて、培養培地中に分泌されない限り、膜結合を維持する(左)。ファトスタチン(20μM)またはステロール(10μg/mLコレステロールおよび1μg/mL25−ヒドロキシコレステロール)での処理は、EtOHコントロールと比較してPLAP−BP2の切断に影響を及ぼす。(g)ファトスタチンで処理したCHO−K1細胞のウェスタンブロット分析。PおよびNは、それぞれ、SREBP−2の非切断膜前駆体および切断核形態を示す。
【図19】図19a〜19cは、ファトスタチンがERからゴルジへのSREBPの転位を遮断することを示す。(a)EtOHのみ、ステロール(10μg/mLコレステロールおよび1μg/mL 25−ヒドロキシコレステロール)、または20μMファトスタチンで処理したCHO−K1細胞のブレフェルジンAの影響を示すウェスタンブロット分析。(b)SCAPは、トリプシンによるタンパク質分解から保護され、抗SCAP IgG−9D5を認識するグリコシル化ルミナールループを含む。ループ中の2つのオリゴサッカリドは、ER中にSCAPが存在する場合にエンドグリコシダーゼHに感受性を示す。SCAPがゴルジに輸送されるにつれて、その糖はエンドグリコシダーゼHによる消化に耐性を示すようになる。(c)20μMファトスタチンまたはステロール(10μg/mLコレステロールおよび1μg/mL25−ヒドロキシコレステロール)の非存在下または存在下で成長した細胞の抗SCAP IgG−9D5を使用したウェスタンブロット分析。右の数字は、プロテアーゼ保護SCAPフラグメント上に存在するN結合糖鎖の数を示す。
【図20】図20a〜20dは、(a)ダンシルファトスタチンおよびファトスタチン−ポリプロリンリンカー−ビオチン抱合体(conjugate)の構造を示す。ファトスタチン分子のより良好な投影のためにポリプロリンリンカーを挿入した(Satoら、2007)。(b)ER中のダンシルファトスタチンの局在化を示すダンシルファトスタチンおよびER−トラッカーレッドで処理したCHO−K1細胞。スケールバー=10μm。(c)CHO−K1膜抽出物中のビオチン化ファトスタチンで飽和したニュートラアビジン−アガロースビーズに結合したタンパク質の抗SCAP抗体、抗SREBP−1抗体、抗SREBP−2抗体、および抗ATF6抗体を使用したウェスタンブロット分析によって示したファトスタチンのSCAPとの相互作用。(d)競合アッセイのために、膜抽出物を、EtOHのみ、コレステロール、またはファトスタチンとプレインキュベートした。
【図21】図21a〜21cは、雄ob/obマウスの体重、飼料消費、および血液成分に及ぼすファトスタチンの影響を示す。平均±SD(n=5)を示す。(a)代表的なコントロールマウスおよびファトスタチン処置マウス。(b)28日間の処置にわたるマウスあたりの体重および累積摂食。(c)コントロールマウスおよびファトスタチン処置マウスの血液成分。
【図22】図22a〜22dは、ob/obマウスの肝臓および脂肪組織に及ぼすファトスタチンの影響を示す。(a)ファトスタチン処置マウスおよびコントロールマウスの代表的な肝臓。(b)ファトスタチン処置マウスおよびコントロールマウス由来の肝臓および精巣上体脂肪パッドの重量(平均±SD、n=5、*P<0.05)。(c)赤色に染色された脂肪滴を示すファトスタチン処置マウスおよびコントロールマウスの肝臓切片。(d)ファトスタチン処置マウスおよびコントロールマウスの肝臓におけるトリグリセリドレベルおよびコレステロールレベル(平均±SD、n=5、*p=0.0004;†p=0.03)。
【図23】図23は、ファトスタチンがSREBP応答性遺伝子の発現を減少させるマイクロアレイの結果を示す。DU145細胞を、ファトスタチンまたはDMSOのみで処理し、抽出したmRNAサンプルを、Affymetrix DNAマイクロアレイによって分析した。35%を超えて下方制御された63遺伝子のうち、34遺伝子は、脂肪合成またはステロール合成に直接関連した。桃色は、SREBPによって調節されたことが報告された18遺伝子であり、橙色は脂肪合成またはステロール合成に関連する。
【図24】図24は、ファトスタチンで処理したCHO−K1細胞のウェスタンブロット分析を示す。PおよびNは、それぞれ、非切断膜前駆体および切断核形態のSREBP−1を示す。
【図25】図25は、ファトスタチン、ダンシルファトスタチン、およびファトスタチン−ポリプロリンリンカー−ビオチンの例示的合成スキームを示す。
【図26】図26は、無脂質血清含有培地中で内因性SREBPがルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化する能力のファトスタチン類似体による抑制を示す。CHO−K1細胞を、pSRE−Lucでトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、無脂質血清含有培地中で種々の濃度のファトスタチン、ダンシルファトスタチン、またはイソプロピルアミン誘導体によって処理した。
【図27】図27は、ER中のダンシルファトスタチンまたはダンシルアミドの局在化を示す。CHO−K1細胞を、5μMダンシルファトスタチンまたはダンシルアミドで処理し、共焦点顕微鏡下で観察した。スケールバー=10μm。
【図28】図28a〜28cは、ファトスタチンが脂質合成酵素の発現レベルおよび活性を減少させることを示す。(a)ob/obマウスの肝臓抽出物中のアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)および脂肪酸シンターゼ(FAS)の活性を測定した。(b)肝臓粗抽出物のウェスタンブロット分析。(c)アクチンに対する正規化後のコントロールマウスに対するファトスタチン由来の異なる脂質合成酵素の特異的バンドの強度の比。データを、平均±SDとして示す(各群中、n=5マウス)(†P=0.005;‡P=0.002;*P<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。特許請求の範囲で用語「〜を含む」と併せて使用する場合、用語「a」または「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書中で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2以上を意味し得る。特定の実施形態では、本発明の態様は、例えば、1つまたは複数の本発明の配列「から本質的になる」または「からなる」ことができる。本発明のいくつかの実施形態は、本発明の1つまたは複数の要素、方法工程、および/または方法からなるかから本質的になることができる。本明細書中に記載の任意の方法または組成物を本明細書中に記載の任意の他の方法または組成物に関連して実施することができる。
【0027】
I.発明の一般的な実施形態
本発明の化合物を使用して、代謝障害を治療および/または予防する。例えば、脂肪酸およびコレステロールの無制御な合成および食物性脂肪の過剰摂取は、多数の医学的合併症(少なくとも肥満、糖尿病、高血圧症、および心血管疾患が含まれる)と相関する。ある態様では、これらの状態を、本発明の化合物を使用して治療および/または予防する。疫学的証拠により、代謝性疾患(肥満が含まれる)が浸潤型前立腺癌の発症も促進することを示している。
【0028】
脂肪枯渇の際、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)は、膜からタンパク質分解的に放出されて核に転位し、核でこれらがコレステロールおよび脂肪酸の生合成に関与する遺伝子の転写を活性化する。本発明は、SREBP活性化の選択的インヒビターとして脂肪生成および癌細胞成長の両方を遮断することが以前に知られている合成小分子を特定し、この分子の類似体および誘導体も提供する。薬物様分子ファトスタチンAはSREBPのタンパク質分解活性を低下させ、それにより、細胞中でのその応答遺伝子の転写を減少させる。マウスでは、ファトスタチンAは、肝臓中のSREBP−1の活性化を遮断し、体重を減少させ、血中のコレステロールおよびグルコースレベルを低下させ、脂質合成酵素を下方制御する。脂肪酸シンターゼおよびアセチル−CoAカルボキシラーゼの活性およびその発現レベルは、処置マウスの肝臓中で減少した。ファトスタチンAは、細胞経路を理解するためのツールとしての機能を果たし、ある態様において、代謝性疾患の薬理学的介入の少なくとも出発点としてのコンセンサス分子を提供する。
【0029】
特定の実施形態では、代謝関連表現型を調整する小分子は、複合体会合を分析するためのツールとしての機能を果たす。ファトスタチンAは、培養哺乳動物細胞中で以下の2つの異なる表現型を生じる:3T3−L1マウス線維芽細胞のインスリン誘導性脂肪生成の完全な阻害およびDU145ヒト前立腺癌細胞の血清非依存性インスリン様成長因子1(IGF1)依存性成長の選択的抑制。
【0030】
本発明のある態様では、ファトスタチンAは、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)(コレステロールおよび脂肪酸の合成に関与する特異的遺伝子を活性化する重要な脂質合成転写因子)の活性化を選択的に遮断する。SREBPのインヒビターとしてのファトスタチンAの同定は、その抗脂肪生成性と一致し、前立腺癌のIGF1依存性成長におけるSREBPの役割を示す。
【0031】
本発明は、例えば実験マウスで示されるように、少なくともSREBP−1の活性化を遮断する化合物としてのファトスタチンAに関する。ファトスタチンAの肥満ob/obマウスへの投与により、体重が減少し、内蔵脂肪が顕著に減少した。
【0032】
II.代謝障害
本発明は、代謝障害の少なくとも1つの症状の治療および/または予防に関する。代謝障害は、その症状が本発明の化合物を使用して改善または予防される限り、任意の種類の代謝障害であり得る。それにもかかわらず、特に、代謝性疾患は、欠損代謝酵素に起因する遺伝形質(例えば、調節タンパク質および輸送機構の変異に関与する1つまたは複数の変異または障害を有するもの)などの1つまたは複数の先天性代謝異常(遺伝障害ということもできる)に由来する。
【0033】
一般に、代謝障害は、細胞内のエネルギー生産に影響を及ぼす障害と定義することができる。ほとんどの代謝障害が遺伝性であるにもかかわらず、いくつかは、1つまたは複数の要因(食事、毒素、および感染などが含まれる)の結果として獲得され得る。遺伝性代謝障害は、細胞の代謝過程のいくつかの工程に必要な酵素が喪失されるか不適切に構築される遺伝的欠損に起因し得る。代謝障害の最大のカテゴリーには、以下が含まれる:1)糖原貯蔵障害(糖原病またはデキストリン蓄積症ともいう)(炭水化物代謝に影響を及ぼす障害が含まれる);2)脂肪代謝および脂肪成分の代謝に影響を及ぼす脂肪酸化障害;ならびに3)ミトコンドリアに影響を及ぼすミトコンドリア障害。糖原貯蔵障害(GSD)の例には、少なくとも、GSD I型(グルコース−6−ホスファターゼ欠損症;フォンギエルケ病);GSD II型(酸性マルターゼ欠損症;ポンぺ病);GSD III型(グリコーゲン脱分枝欠損症;コリ病またはフォーブス病);GSD IV型(グリコーゲン分枝酵素欠損症;アンダーセン病);GSDV型(筋肉グリコーゲンホスホリラーゼ欠損症;マッカードル病);GSD VI型(肝臓ホスホリラーゼ欠損症、エール病);GSD VII型(筋ホスホフルクトキナーゼ欠損症;垂井病);GSD IX型(ホスホリラーゼキナーゼ欠損症);およびGSD XI型(グルコース輸送体欠損症;ファンコニー・ビッケル病)が含まれる。
【0034】
脂肪酸代謝欠損症を、ある実施形態では、脂肪酸化障害または脂質貯蔵障害と説明することができる。脂肪酸代謝欠損症は、例えば、筋肉内、肝臓内、および他の細胞型内のエネルギー生産のために脂肪酸を酸化する身体能力に影響を及ぼす酵素欠損症に起因する1つまたは複数の先天性代謝異常を含み得る。脂肪酸代謝欠損症の例には、少なくとも、補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症;他の補酵素A酵素欠損症;カルニチン関連障害;または脂質貯蔵障害が含まれる。補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症の例には、少なくとも、超長鎖アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);長鎖3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD);中鎖アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);短鎖アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);および短鎖L−3−ヒドロキシアシル−coAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD)が含まれる。他の補酵素A酵素欠損症の例には、少なくとも、2,4ジエノイル−CoAレダクターゼ欠損症;3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAリアーゼ欠損症;およびマロニル−CoAデカルボキシラーゼ欠損症が含まれる。カルニチン関連欠損症の例には、少なくとも、原発性カルニチン欠損症;カルニチン−アシルカルニチントランスロカーゼトランスロカーゼ欠損症;カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI欠損症(CPT);およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII欠損症(CPT)が含まれる。脂質蓄積症の例には、酸性リパーゼ疾患;ウォルマン病;コレステリルエステル蓄積症;ゴーシェ病;ニーマン−ピック病;ファブリー病;ファーバー病;ガングリオシドーシス;クラッベ病;および異染性白質ジストロフィが含まれる。他の脂肪酸代謝障害には、少なくとも、ミトコンドリア三機能性タンパク質欠損症;電子伝達フラボタンパク質(ETF)デヒドロゲナーゼ欠損症(GAII & MADD);タンジール病;および妊娠性急性脂肪肝が含まれる。ミトコンドリア病の例には、少なくとも、進行性外眼筋麻痺(PEO);真性糖尿病および聴覚消失(DAD);レーバー遺伝性視神経症(LHON)ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様症候群(MELAS);赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);リー症候群;亜急性硬化性脳症;ニューロパシー、運動失調症、網膜色素変性、および下垂症(NARP);カーンズ・セイアー症候群(KSS);筋神経原性胃腸脳症(MNGIE)が含まれる。
【0035】
本発明の特定の態様では、代謝障害は、1つまたは複数の以下であるか、その合併症の1つとして1つまたは複数の以下を有する:肥満、高脂質血症、糖尿病、脂肪肝、高血圧症、および心血管疾患。
【0036】
III.本発明の例示的組成物
1つの実施形態では、以下の一般式:
A−B−C
(式中、
A、B、およびCは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、5員環、6員環、または7員環であり得、環は、複素環もしくは非複素環、置換環、または非置換環である)を有する少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容可能な塩および立体異性体の投与を含む代謝障害の治療方法が存在する。
【0037】
好ましくは、環Aは、1つのヘテロ原子を有する6員複素環である。環Aを置換することができる。好ましい実施形態では、環はピリジン環であり、より好ましくは、ピリジン環の窒素原子は、環Bの位置に対して4位にある。もっとも好ましくは、ピリジン環は、窒素ヘテロ原子に対してα位にある炭素上のn−プロピル基と置換される。他の好ましい実施形態では、環A上に1〜5原子の側鎖、より好ましくは1〜5個の炭素原子の側鎖が存在する。他の例示的且つ非限定的な実施形態では、環Aは、例えば、フェニル、ピロール、チオフェン、フラン、ピリミジン、イソキノリン、キノリン、ベンゾフラン、インドール、オキサゾール、またはナフチルであり得る。
【0038】
好ましくは、環Bは、少なくとも2つのヘテロ原子を有する5員環である。環Bを置換することができる。好ましい実施形態では、環Bはチアゾール環である。他の例示的且つ非限定的な実施形態では、環Bは、例えば、オキサゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、チフェン、フラン、ピリミジン、ピラゾール、またはイソチアゾールであり得る。
【0039】
好ましくは、環Cは、6員環、最も好ましくはフェニル環である。環Cを置換することができる。好ましい実施形態では、環Cはメチル置換される。他の例示的且つ非限定的な実施形態では、環Cは、例えば、フェニル、ピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、ピリミジン、イソキノリン、キノリン、ベンゾフラン、インドール、オキサゾール、またはナフチルであり得る。
【0040】
例示的化合物を、図14に示す。図14の化合物1を参照して、n−プロピル置換ピリジン環は一般式の環Aに対応し、2,4−置換チアゾール環は一般式の環Bに対応し、メチル置換フェニル環は一般式の環Cに対応する。
【0041】
置換が任意の環A、環B、および環C中の任意の位置で許容可能であり、任意の置換が任意の他の置換と同一であっても異なっていてもよいと理解すべきである。置換の非限定的な例には、図14に示す置換に加えて、以下の基が含まれる:H(すなわち、非置換);ヒドロキシ;C1〜10アルキル;C2〜10アルケニル;C2〜10アルキニル;C3〜6シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール(ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、ヒドロキシ、−(C=O)R;−(C=O)OR、−(C=O)H、−(C=O)OH、O(CHCOOR(式中、n=1〜10であり、RはC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、またはC3〜6シクロアルキルである)、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、カルボキシ、アミノ、一置換アミノおよび二置換アミノ、一置換アミドおよび二置換アミド、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換される);−(C=O)R;−(C=O)OR、−(C=O)H;−(C=O)OH;−O(CHCOOR(式中、n=1〜10であり、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、またはC3〜6シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード;シアノ;カルボキシ;アミノ;アミド、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有する一置換アミノおよび二置換アミノである);(ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、ヒドロキシ、−(C=O)R、−(C=O)OR、−(C=O)H、−(C=O)OH、−O(CHCOOR(式中、n=1〜10であり、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、またはC3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;カルボキシ;アミノ;1つまたは複数のC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニル基、C2〜10アルキニル基、およびそれらの任意の組み合わせとの一置換アミノおよび二置換アミノである)からなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換される);ならびにC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有する一置換アミドおよび二置換アミド(ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、ヒドロキシル;−(C=O)R;−(C=O)OR、−(C=O)H;−(C=O)OH、−O(CHCOOR(式中、n=1〜10であり、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、またはC3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである);フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;カルボキシ;アミノ;1つまたは複数のC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニル基、C2〜10アルキニル基との一置換アミノおよび二置換アミノである)およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換される)。
【0042】
特定の実施形態では、一般式:
A−B−C
(式中、
A、B、およびCは同一または異なり、それぞれ、5員環、6員環、または7員環を含み、この環は、複素環もしくは非複素環、置換環、または非置換環であり、
A、B、およびCの任意の1つ、任意の2つ、または3つ全ては、非置換であるか、1つまたは複数の置換を有し、任意の置換は任意の他の置換と同一であっても異なっていてもよく、置換は、以下:
a)ヒドロキシ;
b)C1〜10アルキル;
c)C2〜10アルケニル;
d)C2〜10アルキニル;
e)C3〜6シクロアルキル;
f)アリール;
g)ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換される)を有する1つの化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が存在する。
【0043】
特定の化合物の例には、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−エチルフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(3,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−フルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;2−フェニル−4−p−トリルチアゾール;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−エチルピリジン;4−(4−クロロフェニル)−2−フェニルチアゾール;2−プロピル−4−(4−(チオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4’−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−プロピル)ピリジン;2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボン酸;2−エチル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−フェニル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボキシレート;tert−ブチル4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニルカルバメート;N−シクロヘキシル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−N−トシルベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−8−キノリンスルホンアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−2−チオフェンスルホンアミドが含まれる。
【0044】
好ましい化合物は、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン、N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン、およびN−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミドである。
【0045】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖の非環式炭化水素からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換(すなわち、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−C(CHなど)をいう。
【0046】
本明細書中で使用する場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分岐鎖の非環式不飽和炭化水素からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換(すなわち、−CH=CH、−CH=CHCH、−C=C(CH、−CHCH=CHなど)をいう。
【0047】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の非環式不飽和炭化水素からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換(すなわち、−C≡CH、−C≡CCH、−C≡CCH(CH、−CHC≡CHなど)をいう。
【0048】
本明細書中で使用する場合、用語「アリールオキシ」は、架橋酸素原子を有するアリール基(フェノキシ(−OC)またはベンゾキシ(−OCH)など)をいう。「アリールアミノ」は、架橋アミン官能基を有するアリール基(−NHCHなど)を意味する。「アリールアミド」は、架橋アミド基を有するアリール基(−(C=O)NHCHなど)を意味する。
【0049】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキリデン」は、同一炭素原子からの2水素原子の概念的除去によって直鎖または分岐鎖の非環式飽和炭化水素から誘導される2価の置換(すなわち、=CH、=CHCH、=C(CHなど)をいう。
【0050】
本明細書中で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、飽和単環式炭化水素からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチル)をいう。
【0051】
本明細書中で使用する場合、用語「アリール」は、単環式または二環式の芳香族炭化水素からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換をいう。アリール基の例は、フェニル、インデニル、およびナフチルである。
【0052】
本明細書中で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、N、O、またはSから選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の芳香環系からの1水素原子の概念的除去によって誘導される1価の置換をいう。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、およびプリニルが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリール置換を、炭素原子に結合させるか、ヘテロ原子を介して結合させることができる。単環式ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびピリジルが含まれる。二環式ヘテロアリール基の例には、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、およびプリニルが含まれる。各環は、5または6原子を有することができる。したがって、これには、4員の単環式ヘテロアリール基および5員の単環式ヘテロアリール基が含まれる。これには、1つの5員環および1つの6員環を有する二環式ヘテロアリール基および2つの6員環を有する二環式ヘテロアリール基も含まれる。
【0053】
用語「ハロ」には、ヨード、ブロモ、クロロ、およびフルオロが含まれる。
【0054】
用語「置換」は、置換による複数の置換度が含まれると考えられるものとする。化学基または化学部分の原子価が水素以外の原子または官能基によって満たされる場合に置換が起こる。複数の置換の場合、置換化合物を、1つまたは複数の開示または特許請求の範囲に記載の置換部分と単独または複数で独立して置換することができる。「独立して置換する」は、(2つ以上の)置換が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
【0055】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書中で、薬学的に許容可能であり、親化合物の所望の薬理活性を有する塩をいう。かかる塩には、以下が含まれる:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などの無機酸を使用して形成された、または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸(hydroxynapthoic acid)、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸などの有機酸を使用して形成された酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオン)と置換された場合に形成される塩;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN−メチルグルカミンなどの有機塩基との錯体。
【0056】
用語「立体異性体」は、その原子連結性が1つまたは複数の他の分子と同一であるが、空間におけるその原子配置が異なる異性体分子を意味する。この定義には、鏡像異性体、ジアステレオマー、シス異性体、トランス異性体、配座異性体が含まれる。
【0057】
用語「非置換」は、化学基または化学部分の原子価が水素によって満たされている全ての物質を意味する。
【0058】
本発明はまた、本明細書中に開示の化合物の保護誘導体を含む。例えば、本発明の化合物がヒドロキシルまたはカルボニルなどの基を含む場合、これらの基を安定な保護基で保護することができる。適切な保護基の総合リストを、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons,Inc.1981(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に見出すことができる。本発明の化合物の保護誘導体を、当該分野で周知の方法によって調製することができる。
【0059】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有することができ、ラセミ体、ラセミ化合物、および各ジアステレオマーとして生じ、全ての可能なその異性体および混合物(光学異性体が含まれる)が本発明に含まれる。さらに、本明細書中に開示の化合物は、互変異性体として存在することができ、両互変異性体は、一方の互変異性体構造しか示していないが、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0060】
IV.SREBP
本発明の特定の実施形態では、本発明の組成物は、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の1つまたは複数のメンバーを対象とする。経路は、特定の態様で細胞質から核への輸送を容易にする膜結合転写因子(SREBP)のタンパク質分解性放出に関する。ここで、SREBPは、脂質産生に関連する酵素をコードする遺伝子の調節領域に存在するステロール調節エレメント(SRE)と呼ばれるエレメントに結合する。SREBPのDNAへの結合の際、標的遺伝子の転写は調整(例えば、上方制御など)される。
【0061】
小胞体(ER)の膜および核膜は、タンパク質の中心にその2つの膜貫通ヘリックスを介してSREBP前駆体タンパク質を格納している。膜内の前駆体タンパク質のヘアピン方向により、アミノ末端転写因子ドメインおよびCOOH末端調節ドメインの両方が細胞質に向かうことが可能である。タンパク質の切断によって転写活性アミノ末端ドメインの作用および放出のためにタンパク質を放出し、前駆体タンパク質の切断は、サイト−1プロテアーゼ(S1P)およびサイト−2プロテアーゼ(S2P)によって行われる。切断タンパク質は、その各カルボキシ末端ドメイン間の相互作用を介してSREBPと複合体を形成するSREBP切断活性化タンパク質(SCAP)によって活性化する。
【0062】
SREBPの3つの異なるイソ型(SREBP−1a、−1c、および−2)は、哺乳動物ゲノム中の2つの異なるSREBP遺伝子中に存在する。SREBP−1aおよび−1cは、SREBP−1の異なる転写開始部位の使用によってその第1のエクソンが異なる。SREBP−1は、脂肪酸合成遺伝子の調節に関連すると考えられるのに対して、SREBP−2はコレステロール代謝遺伝子を調節する。
【0063】
一般に、SREBPは、ステロール調節エレメント(SRE)を含む標的遺伝子のアクチベーターと考えられている(Shimano 2001)。これらの遺伝子には、例えば、少なくとも以下が含まれる:1)脂肪酸代謝経路(アセチル−CoAカルボキシラーゼ、脂肪酸シンターゼ、ステアロイル(Stearoly)−CoAデカルボキシラーゼ−1および2リンゴ酸酵素、PPARγ、アセチル−CoAシンターゼ、ATPクエン酸リアーゼ、アシルCoA結合タンパク質など);2)コレステロール合成(HMG−CoAレダクターゼ、LDL受容体、HMG−CoAシンターゼ、ファルネシル二リン酸シンターゼ、スクアランシンターゼなど);3)トリグリセリド合成(グリセロール−3リン酸アシルトランスフェラーゼなど);および4)血漿リポタンパク質代謝(リポタンパク質リパーゼおよびHDL受容体など)。SREBPがこれらの遺伝子に特異的な正のレギュレーターの置換によって他のSRE含有遺伝子のリプレッサーとして作用することができることも報告されている(Shimano 2001)。ミクロソーム転移タンパク質およびカベオリンなどのこれらの遺伝子は、例えば、細胞コレステロール含有量の調節に関与する。
【0064】
V.薬学的調製物
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能なキャリアに溶解または分散された有効量の1つまたは複数の本発明の組成物(およびさらなる薬剤(必要に応じる))を含む。句「薬学的または薬理学的に許容可能な」は、例えば、必要に応じて、ヒトなどの動物に投与した場合に副作用、アレルギー反応、または他の有害反応を引き起こさない分子的実体および組成物をいう。少なくとも1つのファトスタチンA類似体もしくは誘導体またはさらなる有効成分を含む薬学的組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990(本明細書中で参考として援用される)に例示されるように、本開示を考慮して当業者に公知であろう。さらに、動物(例えば、ヒト)投与のために、調製物は、FDAの生物学的基準に必要とされる無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度の基準を満たすべきであると理解されるであろう。
【0065】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容可能なキャリア」には、当業者に公知のように、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌薬、抗真菌薬)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、矯味矯臭剤、色素、それらの類似の物質および組み合わせが含まれる(例えば、 Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990、pp.1289−1329(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。任意の従来のキャリアが有効成分と不適合である場合を除き、薬学的組成物中でのその使用が意図される。
【0066】
ファトスタチンA類似体または誘導体は、固体、液体、またはエアゾール形態のいずれで投与するか、注射などの投与経路に対して無菌である必要があるかどうかに応じて、異なるキャリア型を含むことができる。本発明は、当業者に公知のように、静脈内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、筋肉内、皮下、粘膜、口腔、局所、局部、吸入(例えば、エアゾール吸入)、注射、注入、連続注入、直接的に標的細胞を浸漬する局在化潅流、カテーテル、洗浄液、クリーム、脂質組成物(例えば、リポソーム)、または他の方法または上記の任意の組み合わせによって投与することができる(例えば、 Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0067】
ファトスタチンA類似体または誘導体を、遊離塩基形態、中性形態、または塩形態の組成物に処方することができる。薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩(例えば、タンパク質組成物の遊離アミノを使用して形成されたか、あるいは、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸または酢酸、シュウ酸、酒石酸、またはマンデル酸などの有機酸を使用して形成された酸付加塩)が含まれる。遊離カルボキシル基を使用して形成された塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、またはプロカインなどの有機塩基に由来し得る。処方の際、溶液を、投薬処方物に適合する様式および治療に有効な量などで投与するであろう。処方物は、種々の投薬形態(注射液などの非経口投与のために処方した投薬形態などまたは肺への送達のためのエアゾール、または薬物放出カプセルなどの摂取投与のために処方した投薬形態)で容易に投与される。
【0068】
さらに、本発明によれば、投与に適切な本発明の組成物を、不活性希釈剤を含むか、または含まない薬学的に許容可能なキャリア中に準備する。キャリアは吸収可能であるべきであり、液体、半固体(すなわち、ペースト)、または固体のキャリアが含まれる。任意の従来の媒質、薬剤、希釈剤、またはキャリアがレシピエントまたはこれらに含まれる組成物の治療有効性に悪影響をもたらす場合を除き、本発明の方法の実施で用いる投与可能な組成物を使用することが適切である。キャリアまたは希釈剤の例には、脂肪、油、水、生理食塩水、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、および充填剤などのまたはそれらの組み合わせが含まれる。組成物はまた、1つまたは複数の成分の酸化を遅延するための種々の抗酸化剤を含むことができる。さらに、種々の抗生物質および抗真菌薬などの防腐剤(パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チロメサール、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)によって微生物作用を予防することができる。
【0069】
本発明によれば、組成物を、任意の都合の良く且つ実践的な様式で(すなわち、溶液、懸濁液、乳濁液、混合物、カプセル化、および吸収など)キャリアと組み合わせる。かかる手順は、当業者に日常的である。
【0070】
本発明の特定の実施形態では、組成物を、半固体または固体のキャリアと組み合わせるか、または完全に混合する。粉砕など任意の都合の良い様式で混合することができる。混合過程で安定剤を添加して、治療活性の喪失(すなわち、胃内での変性)から組成物を保護することもできる。組成物で用いる安定剤の例には、緩衝液、アミノ酸(グリシンおよびリジンなど)、炭水化物(デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなど)が含まれる。
【0071】
さらなる実施形態では、本発明は、ファトスタチンA類似体または誘導体、1つまたは複数の脂質、および水性溶媒を含む薬学的脂質ビヒクル組成物の使用に関し得る。本明細書中で使用する場合、用語「脂質」は、水に特徴的に不溶であり、有機溶媒で抽出可能な任意の広範な範囲の物質を含むと定義されるであろう。この広範な化合物クラスは当業者に周知であり、用語「脂質」を本明細書中で使用する場合、任意の特定の構造に制限されない。例には、長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含む化合物が含まれる。脂質は、天然に存在する脂質でも合成脂質(すなわち、人為的にデザインまたは産生される)でもよい。しかし、脂質は、通常、生体物質である。生体脂質は当該分野で周知であり、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リソ脂質(lysolipid)、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド(sulphatide)、エーテルおよびエステル結合脂肪酸を有する脂質および重合性脂質、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。勿論、当業者によって脂質と理解される本明細書中に具体的に記載した化合物以外の化合物も本発明の組成物および方法に含まれる。
【0072】
当業者は、脂質ビヒクル中に組成物を分散させるために使用することができる技術範囲に精通しているであろう。例えば、ファトスタチンA類似体または誘導体を、脂質を含む溶液中に分散するか、脂質と共に溶解するか、脂質と共に乳化するか、脂質と混合するか、脂質と組み合わせるか、脂質と共有結合させるか、脂質中に懸濁液として含むか、ミセルまたはリポソームと共に含むか、または複合体を形成するか、そうでなければ、当業者に公知の任意の手段によって脂質または脂質構造と会合することができる。分散により、リポソームを形成しても形成しなくても良い。
【0073】
動物患者に投与する本発明の組成物の実際の投薬量を、物理的および生理学的要因(体重、状態の重症度、治療される疾患の型、以前または現在の治療介入、患者の特発性、および投与経路など)によって決定することができる。投薬量および投与経路に応じて、好ましい投薬量および/または有効量の投与数は、被験体の反応に応じて変化し得る。投与を担う実務者は、任意の事象で、各被験体のための組成物中の有効成分の濃度および適切な用量を決定するであろう。
【0074】
ある実施形態では、薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含むことができる。他の実施形態では、活性化合物は、構成単位の重量の約2%〜約75%または約25%〜約60%(例えば、この数値内で導かれる任意の範囲)で含むことができる。必然的に、それぞれの治療に有用な組成物中の活性化合物の量を、任意の所与の用量の化合物中に適切な投薬量が得られるような方法で準備することができる。溶解性、生物学的利用能、生物学的半減期、投与経路、生成物の有効期間、および他の薬理学的検討事項などの要因は、かかる薬学的処方物の調製分野の当業者によって意図され、そのようなものとして、種々の投薬量および治療レジメンが望ましいかもしれない。
【0075】
他の非限定的な例では、用量は、投与あたり約1μg/kg/体重、約5μg/kg/体重、約10μg/kg/体重、約50μg/kg/体重、約100μg/kg/体重、約200μg/kg/体重、約350μg/kg/体重、約500μg/kg/体重、約1mg/kg/体重、約5mg/kg/体重、約10mg/kg/体重、約50mg/kg/体重、約100mg/kg/体重、約200mg/kg/体重、約350mg/kg/体重、約500mg/kg/体重から約1000mg/kg/体重までまたはそれを超える用量、およびこれらの数値内から導かれる任意の範囲も含むことができる。本明細書中に列挙した数値から導かれる範囲の非限定的な例では、上記数値に基づいて、約5mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重の範囲、約5μg/kg/体重〜約500mg/kg/体重の範囲などを投与することができる。
【0076】
A.消化管組成物および処方物
本発明の好ましい実施形態では、消化管経路を介して投与されるようにファトスタチンA類似体または誘導体を処方する。消化管経路には、組成物が消化管に直接接触する全ての可能な投与経路が含まれる。具体的には、本明細書中に開示の薬学的組成物を、経口、口腔、直腸、または舌下に投与することができる。そのようなものとして、これらの組成物を、不活性希釈剤または吸収可能な食用キャリアを使用して処方することができるか、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセル中に封入することができるか、打錠することができるか、あるいは食物と直接組み込むことができる。
【0077】
ある実施形態では、活性化合物を、賦形剤と組み込み、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、およびウェハーなどの形態で使用することができる(Mathiowitzら、1997;Hwangら、1998;米国特許第5,641,515号;同第5,580,579号;および同第5,792,451号(それぞれ、その全体が本明細書中に具体的に援用される))。錠剤、トローチ、丸薬、およびカプセルなどはまた、以下も含むことができる:結合剤(例えば、トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン、ゼラチン、またはそれらの組み合わせなど);賦形剤(例えば、第二リン酸カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせなど);崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、またはそれらの組み合わせなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど);甘味剤(例えば、スクロース、ラクトース、サッカリン、またはそれらの組み合わせなど);矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバーなど)。投薬単位形態がカプセルである場合、上記物質型に加えて、液体キャリアを含むことができる。種々の他の材料がコーティングとして、またはそうでなければ投薬単位の物理的形態を改変するために存在することができる。例えば、錠剤、丸薬、またはカプセルを、シェラック、糖、またはその両方でコーティングすることができる。投薬形態がカプセルである場合、上記材料型に加えて、液体キャリアなどのキャリアを含むことができる。ゼラチンカプセル、錠剤、または丸薬を、腸溶コーティングすることができる。腸溶コーティングは、pHが酸性である胃内または小腸上部中での組成物の変性を防止する。例えば、米国特許第5,629,001号を参照のこと。小腸への到達の際、小腸中の塩基性pHによりコーティングが溶けて、組成物が放出され、特殊化細胞(例えば、上皮腸細胞およびパイエル板M細胞)によって吸収される。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素、およびフレーバー(チェリーフレーバーまたはオレンジフレーバーなど)を含むことができる。勿論、任意の投薬単位形態の調製で使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用量で実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物を、徐放性の調製物および処方物に組み込むことができる。
【0078】
経口投与のために、本発明の組成物を、代替法として、含嗽剤、歯磨剤、口腔錠、口腔噴霧剤、または舌下経口投与処方物の形態で1つまたは複数の賦形剤と組み込むことができる。例えば、適切な溶媒(ホウ酸ナトリウム溶液(Dobell’s Solution)など)中に必要量の有効成分を組み込んだ含嗽剤を調製することができる。あるいは、有効成分を、経口溶液(ホウ酸ナトリウム、グリセリン、および重炭酸カリウムを含む経口溶液など)に組み込むか、歯磨剤中に分散させるか、水、結合剤、研磨剤、矯味矯臭剤、起泡剤、および保湿剤を含むことができる組成物に治療有効量で添加することができる。あるいは、組成物を、舌下に置くことができるか、あるいは口腔内で溶解することができる錠剤または溶液に構築することができる。
【0079】
他の消化管投与様式に適切なさらなる処方物には、座剤が含まれる。座剤は、種々の重量および形状の固体投薬形態であり、通常、直腸に挿入するように薬物適用される。挿入後、座剤は、腔液中で軟化、融解、または溶解する。一般に、座剤のために、伝統的なキャリアには、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリド、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。ある実施形態では、座剤を、例えば、約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の範囲の有効成分を含む混合物から形成することができる。
【0080】
B.非経口組成物および処方物
さらなる実施形態では、ファトスタチンA類似体または誘導体を、非経口経路を介して投与することができる。本明細書中で使用する場合、用語「非経口」には、消化管を回避する経路が含まれる。具体的には、本明細書中に開示の薬学的組成物を、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、または腹腔内(これらに限定されない)に投与することができる。米国特許第6,537,514号、同第6,613,308号、同第5,466,468号、同第5,543,158号、同第5,641,515号、および同第5,399,363号(それぞれ、その全体が本明細書中で参考として具体的に援用される)。
【0081】
遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としての活性化合物の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中に調製することができる。グリセロール、脂質ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物、ならびに油中に分散体を調製することもできる。通常の保存および使用条件下で、これらの調製物は微生物の増殖を防止するための防腐剤を含む。注射に適切な薬学的形態には、滅菌水溶液または滅菌分散体および滅菌注射溶液または滅菌注射分散体の即時調製のための滅菌粉末が含まれる(米国特許第5,466,468号(その全体が本明細書中で参考として具体的に援用される))。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、容易に注射可能な範囲の流動物でなければならない。製造および保存条件下で安定でなければならず、微生物(細菌および真菌など)の汚染作用から防御されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(すなわち、グリセロール、プロピレングリコール、および脂質ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/または植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散体の場合の必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。種々の抗菌薬および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチロメサールなど)によって微生物作用を防止することができる。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含めることが好ましいであろう。組成物中の吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって注射組成物を持続的に吸収させることができる。
【0082】
水溶液中での非経口投与のために、例えば、必要に応じて溶液を適切に緩衝化し、液体希釈剤を最初に十分な生理食塩水またはグルコースで等張にすべきである。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用することができる滅菌水媒体は、本開示を考慮して、当業者に公知であろう。例えば、ある投薬量を、1mLの等張NaCl溶液中に溶解し、1000mLの皮下注入液に添加するか、適切な注入部位に注射することができる(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」15th Edition、pages 1035−1038および1570−1580を参照のこと)。治療される被験体の状態に応じて、投薬量のいくつかのバリエーションが必然的に生じるであろう。投与を行う者は、任意の事象で、各被験体に適切な用量を決定するであろう。さらに、ヒト投与のために、調製物は、FDAの生物学的基準に必要とされる無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度の基準を満たすべきである。
【0083】
滅菌注射液を、上に列挙の種々の他の成分を含む適切な溶媒中の必要量の活性化合物の組み込みおよびその後の必要に応じた濾過滅菌によって調製する。一般に、塩基性分散媒および上に列挙の必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルへの種々の滅菌有効成分の組み込みによって分散体を調製する。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、事前に濾過滅菌したその溶液からの有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。粉末組成物を、安定剤を含むかまたは含まない液体キャリア(例えば、水または生理食塩水など)と合わせる。
【0084】
C.多岐にわたる薬学的組成物および処方物
本発明の他の好ましい実施形態では、活性化合物ファトスタチンA類似体または誘導体を、種々の多岐にわたる経路(例えば、局所(すなわち、経皮)投与、粘膜投与(鼻腔内、膣など)および/または吸入)を介した投与のために処方することができる。
【0085】
局所投与のための薬学的組成物は、軟膏、ペースト、クリーム、または粉末などの医学的適用のために処方された活性化合物を含むことができる。軟膏には、局所適用のための全ての油脂性物質、吸着物質、乳濁液、および水溶性ベースの組成物が含まれる一方で、クリームおよびローションは、乳濁液基剤のみを含む組成物である。局所的に投与される医薬品は、皮膚を介した有効成分の吸着を促進するための浸透促進剤を含むことができる。適切な浸透促進剤には、グリセリン、アルコール、アルキルメチルスルホキシド、ピロリドン、およびラウロカプラム(luarocapram)が含まれる。局所適用のための組成物に可能な基剤には、ポリエチレングリコール、ラノリン、コールドクリーム、およびペトロラタム、ならびに任意の他の適切な吸収、乳濁液、または水溶性軟膏基剤が含まれる。局所調製物には、必要に応じて、有効成分を保存し、均一な混合物を得るための乳化剤、ゲル化剤、および抗菌防腐剤も含まれ得る。本発明の経皮投与は、「パッチ」の使用も含むことができる。例えば、パッチは、所定の速度および固定期間にわたる連続的様式で1つまたは複数の活性物質を供給することができる。
【0086】
ある実施形態では、薬学的組成物を、点眼薬、鼻腔内噴霧、吸入、および/または他のエアゾール送達ビヒクルによって送達させることができる。鼻内エアゾール噴霧を介して肺へ組成物を直接送達させる方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および同第5,804,212号(それぞれ、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、1998)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号(その全体が本明細書中で具体的に援用される))を使用した薬物の送達も薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号(その全体が本明細書中で具体的に援用される)に記載されている。
【0087】
用語「エアゾール」は、液化または圧縮ガス噴射剤中に分散させた液体粒子の微粉化固体のコロイド系をいう。吸入用の典型的な本発明のエアゾールは、液体噴射剤または液体噴射剤と適切な溶媒との混合物中の有効成分の懸濁液からなるであろう。適切な噴射剤には、炭化水素および炭化水素エーテルが含まれる。適切な容器は、噴射剤の圧縮要件に応じて変化するであろう。エアゾールの投与は、被験体の年齢、体重、ならびに症状の重症度および応答に応じて変化するであろう。
【0088】
VI.併用療法
本発明の組成物の有効性を増加させるために、付加療法を代謝障害を有する個体に送達することができる。例えば、肥満個体に、肥満のための別の療法に加えて、本発明の組成物を投与することができる。さらなる肥満療法には、例えば、食事療法、理学療法(運動)、薬物療法、手術、および行動療法が含まれる。例示的薬物療法には、例えば、Xenical Orlistat(登録商標)、フェンテルミン、およびシブトラミン(Meridia(登録商標))が含まれる。例示的手術には、例えば、脂肪吸引および胃バイパスが含まれる。
【0089】
糖尿病個体のために、例えば、治療のための例示的なさらなる化合物には、1つまたは複数の以下が含まれる:アクトス(ピオグリチゾン(pioglitizone));ACTOSPlus Met;アマリール(グリメピリド);アバンダリル(アバンジア+グリミペリド);アバンジア(ロシグリタゾン);アバンダメット(マレイン酸ロシグリタゾンおよび塩酸メルホルミン);バイエタップ(Byettap);デュエタクト(Duetact)(ピオグリタゾンHClおよびグリメピリド);ガルブス(Galvus)(ビルダグリプチン);グリピジド(スルホニル尿素);グルコファージ(メルホルミン);グリメピリド;グルコバンス(グリブリド/メルホルミン);グルコトロールXL(持続放出グリピジド);グリブリド;グリセット(ミグリトール)グルコシダーゼインヒビター;ジャニュービア(リン酸シタグリプチン);メタグリップ(グリピジド+メルホルミン);メルホルミン−ビグアニド;プランジン(レパグリニド);プレコース(アカルボース);レズリン(トログリタゾン);スターリックス(ナテグリニド)。他の糖尿病療法には、食事および運動の改善が含まれる。
【0090】
VII.例示的な代謝障害治療の測定
本発明の特定の態様では、個体に、1つまたは複数の本発明の組成物を投与し、個体を、代謝障害の少なくとも1つの症状の改善について評価する。例えば、代謝障害が肥満である特定の実施形態では、肥満の改善を、1つまたは複数の本発明の組成物の治療中および/または治療後に決定することができる。肥満の改善を、任意の標準的手段によって測定することができるが、特定の態様では、肥満の改善を、例えば、体重測定、体型指数(BMI)測定、および/または体部位のサイズの測定(腰囲測定)によって測定する。例示的なBMI計算方法は、個体の体重(キログラム)をその身長(メートル)の2乗で割ること(体重[kg]身長[m])を含む。BMI30以上を肥満と見なし、BMI25〜29.9を過体重と見なす。
【0091】
本発明の他の態様では、糖尿病個体を、本発明の療法の個体への実施後の改善について試験する。1つの特定の実施形態では、糖尿病のモニタリングを血液検査によって行う。例えば、 血液検査は、化学的A1Cを測定することができる。血糖値が高いほど、A1Cレベルが高いであろう。American Diabetic Associationは、糖尿病患者は糖尿病に関連する合併症を軽減するために、7.0%未満のA1Cを維持することを推奨している(The American Association of Clinical Endocrinologistsは、6.5%以下を推奨している)。
【0092】
いくつかの場合、コレステロール(HDLおよび/またはLDLコレステロールが含まれる)および/またはトリグリセリドを、当該分野の標準的手段などによって測定する。特定の場合、当該分野の標準的手段などによって空腹時リポタンパク質プロフィールを行う。
【0093】
VIII.本発明のキット
本明細書中に記載の任意の組成物を、キット中に含めることができる。非限定的な例では、キットは、1つまたは複数の代謝障害の治療および/または予防に適切な組成物を含む。
【0094】
本発明の他の実施形態では、キットは、個体からサンプルを得るための1つまたは複数の装置を含む。かかる装置は、例えば、1つまたは複数のスワブ(綿スワブなど)、爪楊枝、小刀、スパチュラ、およびシリンジなどであり得る。
【0095】
別の実施形態では、さらなる化合物(代謝障害の治療および/または予防のためのさらなる化合物など)をキット中に提供する。キット中に提供される任意の組成物を、例えば、水媒体または凍結乾燥形態のいずれかにパッケージングすることができる。キットの容器手段には、一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段が含まれるであろう。この容器手段に、成分を配置し、好ましくは、適切に等分することができる。キット中に1つを超える成分が存在する場合、キットはまた、一般に、さらなる成分を個別に配置することができる第2、第3、または他のさらなる容器を含むであろう。
【実施例】
【0096】
本発明の好ましい実施形態を証明するために以下の実施例を含める。当業者は、以下の実施例に開示の技術は、発明者らによって発見された技術を示し、本発明の実施において十分に機能し、したがって、好ましいその実施様式を構成すると見なすことができると認識すべきである。しかし、当業者は、本開示を考慮して、開示の特定の実施形態における多数の変更を行い、本発明の精神および範囲を逸脱することなく同様または類似の結果が依然として得られることを認識すべきである。
【0097】
(実施例1)
ファトスタチンAはSREBP応答性遺伝子の発現を減少させる
薬物処理細胞および非処理細胞の遺伝子発現プロフィールの比較により、ファトスタチンAによって影響を受ける特異的分子経路を明らかにすることができる。DU145細胞を、ファトスタチンAまたはDMSOのみで処理し、抽出mRNAサンプルを、33,000遺伝子をマッピングするAffimetrix DNAマイクロアレイによって分析した(表1)。
【0098】
【表1】

結果は、ファトスタチンAによって下方制御された(0.7倍未満)遺伝子の55%がステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)(LDL受容体、HMG−CoAレダクターゼ、および脂肪酸シンターゼが含まれる)によって調節されることが公知であるか、または可能性が高い遺伝子であるを示した(Hortonら、2003)。代表的なSREBP応答性遺伝子の下方制御を、RT−PCR実験によって確認した(図1Bおよび1C)。これらの結果は、ファトスタチンAがSREBP経路の選択的インヒビターであることを示した。
【0099】
ファトスタチンAがSREBPの機能を妨害することを示すために、内因性SREBPがSREBP応答性レポーター遺伝子の転写を活性化する能力を、HEK293細胞においてファトスタチンAの存在下または非存在下で測定した(図2AB)。ファトスタチンAは、濃度依存様式でレポーター遺伝子の活性化を減少させ、ここで、ルシフェラーゼ発現がステロール調節エレメントの3つの反復によって調節される。対照的に、ファトスタチンAは外因的に発現したSREBP−1の成熟形態(アミノ酸1〜500)がレポーター遺伝子活性を活性化する能力を妨害することができなかった(図2C)。これらの結果は、ファトスタチンAが細胞中のSREBPの活性化過程を選択的に遮断することを示す。
【0100】
(実施例2)
ファトスタチンAはSREBPのタンパク質分解活性を遮断する
SREBPはタンパク質分解的にプロセシングされて核に転位し、ここで、SREBPが脂質合成遺伝子の転写を活性化する(Brown and Goldstein、1997)。ファトスタチンAがSREBPのタンパク質分解活性に影響を及ぼすかどうかを試験するために、ファトスタチンAで処理したDU145細胞の全細胞溶解物を、SREBP−1のNH2末端に対する抗体を使用したウェスタンブロットによって分析した(図3A)。ファトスタチンAの処理により、用量依存様式でSREBP−1の68kDa成熟形態の量が減少した一方で、125KDa前駆体形態の量が増加した。そのCOOH末端に対する抗体を使用して、SREBP−2について類似の結果が得られた(図3B)。これらの結果は、ファトスタチンAが両SREBPイソ型のタンパク質分解活性を直接または間接的に妨害することを示す。
【0101】
SREBPのタンパク質分解活性の阻害は、SREBPの核転位を妨害するであろう。SREBP−1の細胞内局在に及ぼすファトスタチンAの影響を、SREBP−1のNH2末端に対する抗体を使用した免疫蛍光顕微鏡法によって分析した。細胞をDMSOのみで処理した場合、SREBP−1は、無血清(無脂肪)培地中にて核内にほぼ排他的に局在化した(図3C〜3E)。対照的に、細胞をファトスタチンAとインキュベートした場合、核内のSREBP−1の免疫蛍光が減少し、核の外側で相互に増加した(図3F〜3H)。これは、ファトスタチンAがSREBP−1の核局在化を阻害することを示す。
【0102】
(実施例3)
SREBP−1のノックダウンによるファトスタチン表現型の検証
ファトスタチンAにより、培養細胞中に以下の2つの表現型が生じる:(i)3T3−L1細胞のインスリン誘導性脂肪生成の阻害および(ii)DU145前立腺癌細胞の血清非依存性成長の抑制(Choiら、2003)。第1の表現型は、脂質合成におけるSREBP−1の公知の役割のために、ファトスタチンAがSREBP−1の遮断薬であるという本発明者らの結論と完全に一致する(Tontonozら、1993;Kim and Spiegelman、1996)。細胞培養条件下で3T3−L1細胞中のSREBP−1発現がSREBP−1に特異的な小さな干渉RNA(siRNA)の発現ベクターのトランスフェクションによってサイレンシングされたことを確認するために(図4G)、インスリン誘導性脂肪生成に及ぼすサイレンシングの影響を試験した。予想通り、SREBP−1発現のノックダウンによって3T3−L1細胞の油滴形成が完全に遮断されたのに対して(図4Dおよび4F、クローン1および2)、空のベクター(neo)でトランスフェクトしたコントロール細胞は、親3T3−L1細胞ほどの脂肪蓄積を示した(図4B)。これらの結果は、3T3−L1細胞におけるファトスタチンA誘導性表現型がSREBP−1阻害によって媒介されることを示す。
【0103】
ファトスタチンAによるSREBP−1の阻害がDU145細胞の血清非依存性成長の抑制を媒介するかどうかを試験するために、DU145細胞中のSREBP−1発現を、SREBP−1特異的siRNAの発現ベクターのトランスフェクションによって同様にサイレンシングした(図5B)。空のベクター(neo)でトランスフェクトしたコントロール細胞は、血清またはIGF1のいずれかの存在下で成長し、親DU145細胞と同様であった。対照的に、SREBP−1発現がサイレンシングされたノックダウン細胞(クローン1および2)は、血清非依存性IGF1駆動成長を減少させたのに対して、その血清依存性成長はほとんど影響を受けなかった(図5A)。
【0104】
血清非依存性成長におけるSREBP−1の要件は、無血清培地中の外部脂肪供給源の欠如に起因し得る。外因性脂肪酸が血清中に存在しない場合、細胞は、細胞成長を維持するために脂肪酸およびコレステロール(膜の基礎単位)を合成する必要がある。細胞成長における脂肪酸の重要性を試験するために、無脂肪血清培地中のSREBP−1ノックダウン細胞の成長をモニタリングした(図5A)。SREBP−1サイレンシングにより、無血清IGF1含有培地ほどに無脂肪培地中の細胞成長が妨害された。これらの結果は、ファトスタチンAがSREBP−1阻害によって癌細胞の血清非依存性成長を遮断することを示す。
【0105】
(実施例4)
ファトスタチンAは、マウスにおいて体重を減少させ、コレステロールレベルおよびグルコースレベルを低下させ、脂質合成酵素を下方制御する
ファトスタチンAの薬物様化学構造により、本発明者らは、全動物の肝臓中のSREBP−1を阻害する能力の調査に駆り立てられた。長期絶食(48時間)およびその後のさらなる48時間の無脂肪高炭水化物食の摂取による脂質合成条件下での肝臓SREBP−1に及ぼすファトスタチンAの影響を試験した。マウスに、30mg/kg/日のファトスタチンAを、48時間の絶食期間の1日前から開始して5日間腹腔内注射した。48時間の絶食後、処置群はコントロール群よりも多くの体重が減少した(4.9±0.3g/マウスと比較して6.12±0.6;p=0.01)(図6A)。処置中に摂食の減少や明らかな毒性は認められなかった(図6B)。興味深いことに、無脂肪高炭水化物食の再摂取48時間後、ファトスタチンA処置マウスの血清中のグルコースレベル(137±14mg/dlと比較して110±23;P=0.06)およびコレステロール(120±19mg/dlと比較して93±20;P=0.12)が低下する傾向があった(図6C)。HDLおよびLDLの両方は、処置マウス群で減少した。しかし、LDLレベルの減少がより有意なようであった(30±6mg/dlと比較して16±5)(図6C)。
【0106】
肝臓抽出物中のSREBP−1の発現レベルを、ウェスタンブロットによって試験した。細胞培養物の結果と一致して、ファトスタチンAで処置したマウス由来の肝臓抽出物は、SREBP−1の68KDa成熟形態の量が減少し、125KDa前駆体形態の量が増加した(図6D)。脂肪酸シンターゼ(FAS)(代表的なSREBP−1応答性脂質合成酵素(Boizardら、1998))の肝臓発現も処置後に決定した。肝臓抽出物のウェスタンブロット分析により、ファトスタチンA処置によってFAS発現レベルが30%まで減少したことが示された(図6E)。発現の減少と一致して、抽出物中のその酵素活性も同様に減少した(図6F)。FASについて認められるように、SREBP−1によっても調節されるアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)活性は、肝臓抽出物中で減少した(図6G)。これらの結果は、培養細胞で見出されるように、ファトスタチンAがマウス肝臓中でのSREBP−1の活性化を遮断することを示す。
【0107】
普通食を与えた別のマウス群のより長い処置(2週間)によって体重が10%減少したのに対して、コントロール群は、体重が変化しなかった(図7AB)。摂食は、両群間で類似していた(処置マウスおよびコントロールマウスについて、それぞれ、3.8および3.5g/マウス/日)。無脂肪食を絶食/再摂取したマウスの結果と一致して、普通食を与えたマウスは、有意に低いグルコースレベルを示し、血中のトリグリセリド(TG)レベルおよびコレステロールレベルがより低い傾向があった(図7C)。FAS活性およびそのタンパク質レベルも約30%減少した(図7Dおよび7E)。
【0108】
(実施例5)
本発明の有意性
生物活性小分子は、代謝経路が含まれる複雑な細胞過程を調査するための有益なツールであることが証明されている。脂質ホメオスタシスおよびインスリン作用の重要なレギュレーターは、SREBP転写因子のファミリーである(Brown and Goldstein、1997)。SREBP機能を調整する小分子は、代謝性疾患の治療で使用することができ、疾患のさらなる分子的理解のためのツールとしての機能を果たすことができる。本発明者らの細胞ベースのデータおよび動物データにより、ファトスタチンAが核内の成熟SREBP−1形態量の下方制御によって脂質合成遺伝子の発現を妨害することが示唆される。本発明者らの知る限り、ファトスタチンAは、培養細胞およびマウス肝臓の両方においてSREBPのタンパク質分解活性を阻害する第1の非ステロール様合成分子に相当する。
【0109】
SREBP−1および−2を活性化する小分子は、GlaxoSmithKlineのグループによって報告されている(Grand−Perretら、2001)。これらのLDL低下分子は、SREBPのタンパク質分解活性の刺激によってLDL受容体の発現を上方制御する。作用の分子機構は完全に解明されていないが、データにより、SCAPが分子の主な標的であることが示唆された。これらの分子と異なり、ファトスタチンAはSREBPの活性化を阻害し、SREBP応答性遺伝子(LDL受容体遺伝子が含まれる)の発現を下方制御する(表1)。
【0110】
SREBP−1および−2の活性化はin vivoで差分的に調整されることが明らかなようである(Rader、2001;Shengら、1995)。したがって、in vivo条件下でSREBP−1または−2のいずれかを選択的に阻害する小分子を開発することができるかもしれない。不運なことに、免疫染色に適合したヒトSREBP−2のNH2末端フラグメントに対する抗体がその時は利用できなかったので、SREBP−2の核局在化に及ぼすファトスタチンAの影響についての研究は制限された。ファトスタチンAは培養細胞およびマウス肝臓中でSREBP−1の活性化を明確に遮断するにもかかわらず、SREBP−2に及ぼす影響を結論づけるにはさらなる調査を待つ必要がある。
【0111】
ファトスタチンAの動物データは、細胞培養の結果と一致する。脂質合成の関連する工程を触媒するACCおよびFASのmRNAが絶食後の低脂肪高炭水化物食の再摂取に応答して増加することが報告されている(Liangら、2002)。ACCおよびFASの発現の増加が核SREBP、特にSREBP−1に依存するのに対して、個別の遺伝子によってコードされるSREBP−2は、コレステロール生合成における遺伝子の活性化に関与する。無脂肪食の再摂取下でファトスタチンAで処置したマウスの肝臓抽出物では、有意に成熟SREBP−1形態のレベルが低く、前駆体形態のレベルが高かった(図6)。他方では、予想されるように、コントロール群の肝臓抽出物において、成熟形態のレベルは、前駆体形態より高かった(Hortonら、1998)。興味深いことに、形態の組み合わせの総量の変化はなく、核(成熟)形態とサイトゾル(前駆体)形態との間で分布のみが異なるようである(図6)。これらのデータは、ファトスタチンAがSREBP−1の発現レベルを変化させることができず、むしろ、前駆体の切断過程を強化し、それにより、その量が減少し、成熟形態および活性形態が増加することを示す。脂肪合成におけるSREBP−1切断の重要性は、SCAP欠損マウスを使用した実験によって示されている:マウスの肝臓は、再摂取条件下でのACCおよびFASの発現を誘導できなかった(Liangら、2002)。
【0112】
核SREBP−1レベルの減少の生理学的有意性を評価するために、ACCおよびFASのレベルおよび活性を決定した。肝臓抽出物中のこれらの活性は、ファトスタチンA処置に応答して下方制御された(図6および7)。これらの結果は、脂肪酸合成経路のレギュレーターとしてのSREBP−1の役割と一致する(Shimano、2000)。Shimanoらは、SREBP−1−/−マウスに高炭水化物食を与えた場合にFASレベルおよびACCレベルが誘導されないことを示し(Shimanoら、1997)、脂質合成酵素発現の調節におけるSREBP−1の役割が確認された。
【0113】
ファトスタチンA処置マウスにおける興味深い所見は、体重および血糖の減少である(図6および7)。体重減少についての1つの可能性は、ACCおよびFASなどの脂質合成酵素の下方制御の結果としての脂質合成率の低下に起因する。さらに、マロニルCoA(ACCの生成物およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの強力なインヒビター)の減少により、脂肪酸酸化および脂肪燃焼を増強することができる。Acc2−/−変異マウスは痩せており、筋肉内、肝臓内、および脂肪内での脂肪酸酸化率がより高く、血中のグルコースレベルがより低いことが以前に示されている(Abu−Elheigaら、2001;Abu−Elheigaら、2003;Ohら、2005)。本発明の特定の実施形態では、ファトスタチンAによるSREBP−1切断の阻害により、脂質合成酵素が下方制御され、脂肪酸酸化が増強され、体重が減少し、インスリン感受性が増加してグルコースが低下する。
【0114】
(実施例6)
実施例1〜5についての例示的な材料と方法
本実施例では、例示的な材料と方法を示す。
【0115】
材料。脂質枯渇血清を、記載のように調製した(Goldsteinら、1983)。無脂肪FBSをFisherから入手した。ウサギ抗SREBP−1(sc−8984)およびヤギ抗アクチン(sc−1616)ポリクローナル抗体を、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。マウス抗SREBP−2ポリクローナル抗体およびマウス抗FAS抗体をBD Biosciencesから入手した。抗ヤギIgG HRPおよび抗ウサギIgG HRPを、Promegaから入手した。DAPIを含むProLong Gold antifade試薬を、Molecular Probes Invitrogen Detection Technologiesから入手した。抗ウサギIgG FITCを、Chemicon Internationalから入手した。デキサメタゾン(DEX)および1−メチル−3−イソブチルキサンチン(MIX)を、Sigmaから入手した。
【0116】
ファトスタチンAの調製。2−ブロモ−4’−メチルアセトフェノン(1.22g、5.70mmol)およびプロチオナミド(1.03g、5.70mmol)の混合物を含むエタノール(20mL)を、撹拌しながら70℃で0.5時間加熱し、次いで、0℃に冷却した。形成された黄色沈殿を濾過し、冷エタノールで洗浄し、乾燥させて、黄色針状結晶としてファトスタチンAのHBr塩を得た(1.78g、83%):H NMR (DMSO−d,600 MHz)δ 8.88(d,J=6.2Hz,1H),8.54(s,1H),8.46(d,J=1.4Hz,1H),8.36(dd,J=1.4,6.2Hz,H),7.99(d,J=7.6Hz,2H),7.31(d,J=7.6Hz,2H),3.03(t,J=7.6Hz,2H),2.35(s,3H),1.80(m,2H),0.96(t,J=7.6,3H);C1818S+Hについて計算したHRMS(FAB)の正確な質量はm/z 295.1269が必要である。実測値m/z 295.1269。
【0117】
細胞培養。DU145ヒトアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞(ATCC)を、2mML−グルタミン、1.0mMピルビン酸ナトリム、0.1mM非必須アミノ酸、および1.5g/L重炭酸ナトリウムを10%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンと共に含むイーグル最少必須培地中にて37℃の5%CO下で維持した。3T3−L1線維芽細胞(ATCC)を、5.5mMグルコース、10%ウシ胎児血清、50μg/mLゲンタマイシン、0.5mMグルタミン、および0.5μg/mLファンギゾンを含むダルベッコ改変イーグル培地中にて37℃で維持した。ヒト胎児由来腎臓293細胞(ATCC)を、10%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地中にて37℃の5%CO下で維持した。
【0118】
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析。DU145前立腺癌細胞を、1μg/mLのIGF1の存在下にて無血清培地中で5μMのファトスタチンAまたはDMSOのみで6時間処理し、TRI試薬(Molecular Research Center)中に総RNAを抽出し、RNeasyミニキット(Qiagen)によってさらに単離した。精製mRNAを、約33,000個の十分に実証されたヒト遺伝子由来の39,000個を超える転写物を代表するほぼ45,000個のプローブ組からなるAffymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 Array(Affymetrix、Inc.)によってBaylor College of Medicine Microarray Core Facilityにて分析した。
【0119】
ルシフェラーゼレポーターアッセイ。0日目に、HEK293細胞を、10%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地を含む96ウェルプレートに5×10/ウェルの密度にて三連でプレートした。2日目に、細胞を、リポフェクタミン試薬(Invitrogen)の使用によって以下のプラスミドで一過性に同時トランスフェクトした:0.4μg/ウェルpSRE−Luc(SRE−1駆動ルシフェラーゼレポーター構築物;Hua、X.、Sakai、J.、Ho、Y.K.、Goldstein、J.L.&Brown、M.S.1995 J Biol Chem 270、29422−7)および0.1μg/ウェルβ−galレポーター(β−gal発現が最終体積150μLでアクチンプロモーターによって調節される)。37℃で5時間のインキュベーション後、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、次いで、ファトスタチンAの非存在下または存在下で10%脂質枯渇血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含む100μLのダルベッコ改変イーグル培地中にインキュベートした。20時間のインキュベーション後、各ウェル中の細胞を20μLの1×レポーター溶解緩衝液(Promega)で溶解し、アリコートをルシフェラーゼ活性(10μL)およびβ−ガラクトシダーゼ活性(10μL)の測定のために使用した。ルシフェラーゼアッセイのために、光子生成を、Wallac 1420 ARVOsxマルチラベルカウンター(PerkinElmer)にてカウント毎秒として検出した。β−ガラクトシダーゼアッセイのために、37℃で0.5時間のインキュベーション後に、波長405nmのマイクロプレートリーダー(Tecan)によってO−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼの加水分解を測定した。ルシフェラーゼ活性(カウント毎秒)を、β−ガラクトシダーゼ活性(OD単位)によって正規化した。SREBP−1cのN末端成熟形態の過剰発現について、pCMV−SREBP−1c(1〜436)を、pSRE−Lucと同時トランスフェクトした。pSRE−LucおよびpCMV−SREBP−1c(1〜436)は、J.L.GoldsteinおよびM.S.Brown(University of Texas Southwestern Medical Centerから譲渡された(Hua、X.、Sakai、J.、Ho、Y.K.、Goldstein、J.L.and Brown、M.S.1995 J Biol Chem 270、29422−7)。
【0120】
RT−PCR実験。総RNAを、TRI試薬(Molecular Research Center)中でDU145細胞から抽出し、RNeasyミニキット(Qiagen)を使用して単離した。RNAサンプルを、Access RT−PCRシステム(Promega)の使用によってRT−PCRに供した。RT−PCR反応物は、総RNA、1μMの各プライマー、0.2mMdNTP、1mMMgSO、AMV逆転写酵素(2単位)、およびTfl DNAポリメラーゼ(2単位)を最終体積25μLで含んでいた。使用したプライマー対は以下である:5’−TCA GAC CGG GAC TGC TTG GAC GGC TCA GTC−3’(配列番号1)および5’−CCA CTT AGG CAG TGG AAC TCG AAG GCC G−3’(配列番号2)(低密度リポタンパク質受容体(LDLR)用);5’−GCC TGC TTG ATA ATA TAT AAA C−3’(配列番号3)および5’−CAC TTG AAT TGA GCT TTA G−3’(配列番号4)(ステアロイル−CoAデヒドロゲナーゼ (SCD)用);5’ −AAG AAA AAG TGT CAG ACA GCT GG−3’(配列番号5)および5’−TGG ACT GAA GGG GTG TTA GC−3’(配列番号6)(ATPクエン酸リアーゼ(ACL)用);5’−GCC CGA CAG TTC TGA ACT GGA ACA−3’(配列番号7)および5’−GAA CCT GAG ACC TCT CTG AAA GAG−3’(配列番号8)(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ(HMG CoA R)用);5’−CTG CCT GAC TGC CTC AGC−3’(配列番号9)および5’−ACC TCT CCT GAC ACC TGG G−3’(配列番号10)(メバロン酸キナーゼ(MVD)用);5’−AAG ACT TCA GGG TAA GTC ATC A−3’(配列番号11)および5’−CGT GTA TAA TGG TGT CTA TCA G−3’(配列番号12)(インスリン誘導遺伝子1(INSIG1)用)。増幅条件は以下である:94℃で4分間を1サイクル、その後に94℃での40秒間の変性、50℃で40秒間のアニーリング、68℃で2分間の伸長を、SCDおよびHMG CoA Rについては22サイクル行い、LDLRおよびINSIG1については24サイクル行って58℃でアニーリングし、ATPクエン酸リアーゼ(ACL)については24サイクル行って60℃でアニーリングし、MVDについては30サイクル行って55℃でアニーリングした。増幅DNAを、アガロースゲルによって分析し、Scion−image(バージョン4.02)ソフトウェアを使用して定量した。
【0121】
ウェスタンブロッティング。DU145前立腺癌細胞を、2×10細胞/ウェルの密度で無血清MEMを含む6ウェルプレートに播種し、37℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞を、IGF1(1μg/mL)の存在下にてDMSOまたはファトスタチンA(1または5mM)で処理した。インキュベーション6時間後、細胞をPBS中に回収し、SDS緩衝液中に溶解した。サンプルを、10%SDS−PAGEゲルで分離し、ウサギ抗SREBP−1抗体および抗SREBP−2抗体の使用によってブロッティングした。特異的バンドを、増強蛍光(enhanced chemiluminescent)(ECL)検出試薬(Amersham)の使用によって視覚化した。
【0122】
免疫蛍光実験。DU145前立腺癌細胞を、無血清MEMを含むカバースリップ上に一晩播種し、次いで、IGF1(1μg/mL)を含む無血清MEM中にて5μMのファトスタチンAまたはDMSOのみで処理した。インキュベーション6時間後、細胞を−20℃のメタノール中で20分間固定し、5%ミルクおよび0.1%Tween20を含むPBS中で1時間ブロッキングした。サンプルを、ウサギポリクローナル抗SREBP−1(Santa Cruz:sc−8984)とインキュベートし、次いで、フルオレセインイソチオシアナート抱合抗ウサギIgG抗体(Chemicon Inc)とインキュベートした。カバースリップを、蛍光検出に適切なフィルターを用いたNikon TE200蛍光顕微鏡下で400倍で視覚化した。
【0123】
SREBPのsiRNAノックダウン。SREBP−1遺伝子配列由来の相補オリゴヌクレオチド(512〜531)、5’−GAT CCC CGC CAC ATT GAG CTC CTC TCT TCA AGA GAG AGA GGA GCT CAA TGT GGC TTT TTG GAAA−3’(配列番号13)、および5’−AGC TTT TCC AAA AAG CCA CAT TGA GCT CCT CTC TCT CTT GAA GGA GGA GCT CAA TGT GGC GGG−3’(配列番号14)を、pSUPERベクター(OligoEngine)に挿入した。得られたプラスミドを、Fugene6(Roche)を使用して3T3−L1またはDU145細胞にトランスフェクトした。安定にトランスフェクトしたクローンを確立するために、ネオマイシン誘導体G418(Gibco)を濃度500μg/mLで使用し、安定な形質転換体を確立した。SREBP−1の発現レベルを、ウェスタンブロットによって評価した。脂肪生成試験のために、3T3−L1細胞を、10%ウシ胎児血清を含むDMEMを含む96ウェルプレートに播種し、完全なコンフルエンスまでさらに2日間インキュベートした。0日目に、培地を以下の誘導培地と交換した:10%ウシ胎児血清、5μg/mLのインスリン、0.5mM1−メチル−3−イソブチルキサンチン(MIX)、および1μMデキサメタゾン(DEX)を含むDMEM。2日目に、誘導培地を除去し、10%ウシ胎児血清および5μg/mLのインスリンを含むDMEM培地と交換した。10日目に、脂肪油滴をオイルレッドOで染色した。細胞成長実験のために、DU145細胞を、密度2,000細胞/ウェルで血清を含まない、あるいは1μg/mLのIGF1、2%無脂肪ウシ胎児血清、または2%ウシ胎児血清を含むMEMを含む96ウェルプレートに播種した。3日後、細胞成長をWST−1アッセイによって評価した。実験を三連で行った。
【0124】
ファトスタチンAを使用した動物研究。雄マウス(129Svバックグラウンド)を、管理条件下(12時間の明暗サイクル;25℃)でAnimal Care Center at Baylor College of Medicineに収容し、標準的な実験動物用飼料(Purina Mills)および水を自由に与えた。動物実験を、米国国立衛生研究所によって公開されたGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(NIH Publication No.85−23、1996改訂)にしたがって行った。ファトスタチンAを、2つの異なるプロトコールを使用して、5〜6月齢の雄マウス(129Svバックグラウンド)に腹腔内投与した(30mg/kg;150mL)。第1のプロトコールは、マウスの48時間の絶食、その後のさらに48時間にわたる無脂肪食の再摂取を含む。この処置により、SREBPに加えて脂質合成酵素(ACCおよびFASなど)の活性およびレベルの両方が誘導される。ファトスタチンAまたは10% DMSOを含むPBSのコントロール群(n=5)への投与を、絶食の24時間前に開始し、これを実験終了まで毎日続ける。
【0125】
第2のプロトコールでは、2つの雄マウス群(n=5)を、30mg/kgファトスタチンAまたは10%DMSOを含むPBSのいずれかで2週間毎日処置した。摂食および体重を毎日測定した。実験終了時、マウスを4〜5時間の短期にわたって絶食し、血清成分の決定のために採血した。次いで、マウスを屠殺し、その肝臓を迅速に取り出し、液体窒素中で粉砕した。粉末組織を0.1mMPMSF、5mMベンズアミジン、および5mg/mLプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含む10mLのPBS中に懸濁し、Polytron(3×30秒、高速)を使用してホモジナイズし、短時間超音波処理してDNAを破壊した。抽出物を16,000×gで20分間の遠心分離によって清澄化した。次いで、サンプルを、市販のFASおよびSREBP−1に対する抗体を使用したウェスタンブロット分析に供した。FASおよびACC活性を、前に記載のように決定した(Maoら、2006)。
【0126】
(実施例7)
ファトスタチンAは、肥満OB/OBマウスにおいて脂肪肝を予防し、高血糖を低下させ、体重減少を誘導する
創薬における遺伝子操作マウスモデルの重要性および役割は十分に報告されている(Zambrowicz and Sands、2003)。これらの動物モデルのうち、レプチン欠損マウスLepob/Lepobは、肥満およびその関連する症候群(インスリン抵抗性および脂肪肝疾患など)を研究するための特に有益なモデルと見なされている(Ktorzaら、1997)。ホモ接合体ob/ob肥満マウスは、体脂肪の蓄積、高血糖、高インスリン、および生殖障害が増加した(Ingalisら、1950)。肥満の結果の1つである代謝症候群は、多数の心血管危険因子(高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病、膵臓β細胞機能障害、およびアテローム性動脈硬化症が含まれる)を伴う(Moller and Kaufman、2005)。
【0127】
摂食およびエネルギーバランスを調節するネットワークを解明する努力にもかかわらず、どのようにして肥満がこれらの疾患を引き起こすのかについては完全に理解されていない。雄obマウスに及ぼすファトスタチンAの影響、特に、白色脂肪サイズ、糖尿病状態、および脂肪肝の軽減による体重増加を防止する効果を調査した。前に記載のように、ファトスタチンAは、SREBP−1作用の阻害による主な転写調節のインヒビターである。ファトスタチンAで処置した正常マウスは体重が減少し、グルコースおよびコレステロールのレベルが低下した。ファトスタチンAは、コントロールと比較して、処置マウスの肝臓中のSREBP−1の活性成熟形態を減少させることも示した。
【0128】
SREBP−1および−2は、脂肪酸およびコレステロールの生合成において関連するが異なる役割を果たす。SREBP−1は脂肪酸合成に必要な遺伝子を優先的に活性化し、SREBP−2はコレステロール生成を促進する。ファトスタチンAがSREBP−1およびおそらくSREBP−2の活性化を遮断するので、本発明の特定の実施形態では、ファトスタチンAの肥満ob/obマウスへの投与により、脂肪酸およびコレステロールの両方の生合成が一過性に調整され、肥満マウスにおける興味深い表現型が明らかとなる。
【0129】
体重および摂食に及ぼすファトスタチンAの影響
本研究は、平均体重が約23g/マウスの4〜5週齢の雄ob/obマウスを使用した。ファトスタチンA(30mg/kg/日)を毎日腹腔内に送達させ、体重および摂食を測定した。図8Aおよび8Bに示すように、処置したマウスの体重増加は、コントロールよりも有意に低かった。治療の最初の週の終了時に、DMSOを注射したobコントロールマウスは平均4.82g/マウス増加したのに対して(23.58±0.62から28.40±1.45への増加)、ファトスタチン処置群は約3.37g/マウス増加した(23.08±1.53から26.45±1.2g/マウスへの増加)(P=0.03)。処置28日後、ファトスタチンA処置群は、数週、コントロールよりも約12%軽かった(ファトスタチンについて36.2±2.2g/マウスと比較して32.1±1.4)(P=0.02)。累積摂食は両群で類似していた(図8C)。平均して、処置群では、摂食は、それぞれ、5.9±1.4g/マウス/日と比較してコントロールは5.4±1.5であり、有意に異ならなかった。
【0130】
血中のグルコースおよび脂質プロフィールに及ぼすファトスタチンAの影響
ob/obマウスにおける最も特徴的な表現型の1つは、インスリン抵抗性状態の結果としての高血糖である。血糖および脂質に及ぼすファトスタチンAの影響を決定するために、グルコース、トリグリセリド、およびコレステロールの血清レベルを、標準的な飼料を与えたob/obマウスで分析した。
【0131】
図9に示すように、一晩の絶食後の処置動物由来の血清中のグルコースレベルは、コントロールよりも約70%低かった(それぞれ、153.2±30.5および429.4±87mg/dl(P=0.003))。処置動物の血清中のグルコースレベルは、機能的ob遺伝子を有するwtマウスに類似するようになったのに対して、DMSOを投与したコントロールマウスは予想通り高血糖であった。興味深いことに、ケトン体(β−ヒドロキシブチラート)は、コントロールと比較して処置動物で約7倍に増加した(それぞれ、3.62±1.41および0.5±0.37mg/dl(P=0.004))(図9)。ファトスタチンA動物中の高レベルのケトン体は、肝臓中で脂肪酸酸化が有意に増加していることを示し、肝臓中の主な生成物は血中に分泌されるケトン体である。また、処置動物で増加した血液成分は、血清中で測定された非エステル化遊離脂肪酸(NEFA)であった。これは、コントロールより約70%高かった(1.93±0.26および0.7±0.2mEq/l(P=0.028))(図9)。このNEFAレベルの増加は、脂肪酸酸化の要求の増加に起因する脂肪組織由来の脂肪分解の増加に起因し得る。FFAは、動物およびヒトにおけるインスリン抵抗性に関連することが公知である(Chalkleyら、1998;Bodenら、1994)。しかし、ファトスタチンA処置ob/obマウスの血清中のFFAレベルの上昇にも関わらず、グルコースレベルはコントロールより有意に低く、これは、おそらくインスリンシグナル伝達の改善に起因するインスリン感受性の改善を示す。さらに、変異アセチルCoAカルボキシラーゼマウス(Acc2−/−変異マウス)のマウス組織(肝臓、脂肪、および筋肉)中の脂肪酸酸化の増加の結果として、血中のケトン体がより高くなり、脂肪細胞中の脂肪分解増加の結果としてNEEAが増加することが最近示されている(Abu−Elheigaら、2001;Abue−Elheigaら、2003;Ohら、2005)。血清中のトリグリセリド(TG)レベルは、コントロールと比較して処置マウスで約30%増加し(それぞれ、115±11および79±12(P=0.006))、これは、ファトスタチンAが肝臓からのTG分泌および移動を増加させることを示していた。血清総コレステロールレベルは、ファトスタチン処置動物でより低い傾向が認められ、219±18mg/dlと比較して183±16(P=0.06)であった。しかし、約35%のLDLが有意に減少し(48±8と比較して31±3;P=0.02)、約22%のHDLがより小幅に減少した(144±11および183±12;P=0.02)。ファトスタチンA処置マウスの血清中のLDLレベルはHDLレベルより多く減少したので、これはファトスタチンAでの処置の望ましい結果を示す。トリグリセリド、リン脂質、およびコレステロールを輸送し、TGレベルに基づいて算出されるVLDLレベルは、約50%増加した(15.8±2.4mg/dlと比較して23.1±2.3)。
【0132】
ファトスタチンAは精巣上体脂肪サイズを減少させ、脂肪肝を改善する
無制御の摂食のために、ob/obマウスは病的に肥満になり、過剰レベルの脂肪が脂肪組織および異なる器官に蓄積する(肝臓に起因する非アルコール性脂肪肝およびインスリン抵抗性など)(Hookman and Barkin、2003)。約8〜9週齢のコントロール処置マウスは、ファトスタチンAで処置したマウスと比較して、淡色から明らかなように、肝臓サイズが拡大し、脂肪が蓄積した(図10A)。ファトスタチンA処置マウスの肝臓の平均重量は、コントロールより約32%軽かった(2.34±0.15と比較して1.59±0.2;P=0.06)(図10D)。オイルレッドで脂肪滴を染色したコントロールマウスの肝臓切片が脂肪滴を豊富に含んでいたのに対して、ファトスタチンA処置マウスの肝臓切片は脂肪滴を欠き、これは主にトリグリセリドである(図10B)。SREBP−1を過剰発現するトランスジェニックマウスが脂肪肝を発症することが示されている(Hortonら、2003)。しかし、SREBP−1を欠くob/obマウス(lepob/ob X Srebp 1−/−)では、脂肪肝状態は有意に改善され、SREBP−1がob/obマウスにおける脂肪肝発症の主な原因であることが示唆される(Yahagiら、2002)。
【0133】
前に言及するように、4週間のファトスタチンA処置後、処置マウスはコントロールよりも軽かった。主な白色脂肪組織である精巣上体脂肪パッドの試験により、ファトスタチンA処置マウスは有意により小さな脂肪パッドを有していることが見出された(図10C)。脂肪パッドの平均重量は、コントロールより約20%軽かった(3.6±0.2と比較して2.7±0.1;P=0.02)(図10D)。より小さな脂肪パッドは、脂質保存の減少および/または脂質合成の減少ならびに脂肪中の脂肪酸酸化の増強に起因し得る。Acc2−/−変異体マウスを使用した以前の研究により、ACC2の非存在によっても肝臓中の脂肪が減少し、精巣上体脂肪パッドがより小さくなり、異なる組織(肝臓が含まれる)中の脂肪酸酸化が増強されることが示されている(Abu−Elheigaら、2001;Abu−Elheigaら、2003;Ohら、2005)。カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼにおけるACC2産生マロニルCoAによる阻害の欠如に起因する脂肪酸酸化の増強により、マウスはインスリン感受性が高くなり、食事誘導性の肥満および糖尿病から防御されることがそこに示された。特定の態様では、ファトスタチンAによるACC酵素の下方制御により、異なる組織(例えば、肝臓、脂肪、および筋肉など)において脂肪酸酸化が増加し、脂肪酸合成が阻害される。ob/bコントロールと比較したファトスタチンA処置ob/obマウスの肝臓中のTGレベルおよびコレステロールレベルを決定した。図11に示すように、処置マウスの肝臓中のTGレベルは約65%減少した(それぞれ、14.8±3.7および38.7±6.0mg/g肝臓;P=0.0004)。肝臓中のコレステロールレベルもファトスタチンAによって20%超減少した(2.8±0.5および3.6±0.1;P=0.03)(図11)。これらの結果はオイルレッドO染色をさらに確認し、肝臓脂質合成の増加に一部起因するob/obマウス中の脂肪肝をファトスタチンAでの処置によって完全に予防することができることを示す。本発明の特定の態様では、処置ob/obマウスの肝臓中のこれらの脂質の減少は、TGおよびコレステロールまたはその前駆体の合成に必要な脂質合成酵素の有意な阻害に起因する。さらに、異なるマウス組織(肝臓が含まれる)による脂肪酸酸化の需要の増加により、肝臓リパーゼ活性が増加し、異なる脂肪酸酸化組織(心臓および筋肉など)による利用のための肝臓から循環へのこれらの脂質の移動も増強される。特定の態様では、これは、ファトスタチンA処置ob/obマウスの血中のより高いTGレベルに関連する。
【0134】
ファトスタチンAはob/bマウス肝臓中の脂質合成酵素を下方制御する
脂質合成経路中の酵素は、転写因子(PPARおよびSREBPなど)によって調節される。処置ob/obマウスにおける脂質合成酵素のレベルおよび活性に及ぼすファトスタチンAの影響を試験した。脂肪酸合成の律速段階を行うアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)活性を決定した。ACCは、アセチル−CoAのカルボキシル化を触媒してマロニルCoA(別の多官能酵素(脂肪酸シンターゼ(FAS))によって行われる脂肪酸合成の基礎単位)が得られる。脂肪酸合成におけるマロニルCoAの役割に加えて、これは、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)の阻害による脂肪酸酸化で重要な役割を果たす。脂質合成酵素はob/obマウスで有意に誘導され、これは、これらのマウスの病的な肥満表現型を部分的に説明している。ファトスタチンA処置マウスの肝臓抽出物中のACC活性は、約40%減少した(5.55±0.57nmol/min.mgと比較して3.44±0.44)(図12A)。脂肪酸シンターゼ活性も、ファトスタチンA処置ob/obマウスの肝臓抽出物中で有意に下方制御された。FAS活性は、処置マウスで70%超減少した(22.6±1.37nmol/min.mgと比較して8.64±1.91)(図12B)。両酵素についてウェスタンブロット分析で示すように、ACCおよびFAS活性の両方の減少は、両酵素の発現レベルの減少に起因する(図12C)。その生成物である脂肪酸(C14:0およびC16:0)は、非処置コントロールマウスの肝臓中よりファトスタチン処置ob/obマウスの肝臓中で有意に低下する(約50%)(表2を参照のこと)。
【0135】
ACCはリン酸化/脱リン酸化機構によって急速に調節され、それにより、それぞれ、酵素を阻害および活性化する。図12Cに示すように、ホスホロ−ACCレベルはコントロールマウスでより高いが、ACCの発現レベルも同レベルに高いので、これにより、ファトスタチンAが特異的リン酸化レベル(P−ACC/ACCタンパク質)を変化させないことが示唆される。これらの結果は、ACC活性の下方制御が酵素レベルの減少のみに起因し、リン酸化状態の減少に起因しないことを示す(図12C)。肝臓中に脂肪の合成および酸化をそれぞれ調節する異なる役割を果たす以下の2つのACCイソ型が存在することが以前に示されていた:ACC1(肝臓中の主なイソ型)およびACC2(筋肉内の主なイソ型)(Abu−Elheigaら、2001、Abu−Elheigaら、1997;Abu−Elheigaら、2000;Abu−Elheigaら、1995)。ACC活性およびFAS活性の減少は、ファトスタチンA処置マウスの肝臓中で脂質合成が減少するのに対して、脂肪燃焼は有意に増強されることを示し、これは、図9に示すように、ob/obファトスタチンA処置マウスの血中のケトン体の7倍増加と一致する。SREBP−1の転写調節下にもある脂肪酸代謝における2つの重要な酵素(ATPクエン酸リアーゼ(ACL)およびステロイル−CoAデヒドロゲナーゼ 1(SCD1))のレベルを決定した。サイトゾルクエン酸塩をアセチル−CoA(脂肪酸合成のためにマロニルCoAを得るためのACCの基質である)に変換するACLのタンパク質レベルは、ファトスタチンAマウスの肝臓抽出物中で約70%減少した。このACLレベルの下方制御は、肝臓などの脂質合成組織での脂質合成過程の減少に及ぼすファトスタチンAの影響をさらに増幅する。SCD1は、脂肪アシルCoA(パルミトイル−CoAおよびステアロイル−CoAなど)のΔ9位のシス二重結合の導入による一飽和脂肪酸の生合成の律速段階を触媒する。生成物であるパルミトレオイル−CoA(16:1)およびオレオイル−CoA(18:1)は、トリグリセリドおよびコレステロールエステルの重要な成分であり、マウス(ob/obマウスが含まれる)におけるSCD1の欠失により、代謝率が増加し、脂肪過多症が減少し、脂肪肝が予防され、食事によって誘導された糖尿病を防御した(Cohenら、2002;Ntambiら、2002;Miyazakiら、2000)。図12Cに示すように、SCD1のタンパク質レベルは、コントロールと比較して、ファトスタチンA処置マウスの肝臓抽出物で約50%減少した。これを、一不飽和脂肪酸C16:1、C18:1、およびC20:1が約70%の減少ならびにその伸長生成物である(C18:2)N−6、(C18:3)N−6、(C20:2)N−6、および(C20−3)N−6の不飽和化の約50%の減少によって確認した(表2を参照のこと)。本発明の特定の実施形態では、SCD1の減少に及ぼすこの影響は、体重減少、肝臓中のTGレベルの減少および脂肪肝からの防御における重要な要因である。興味深いことに、FADS1またはΔ5デヒドロゲナーゼ のタンパク質レベルは、ファトスタチンA処置の結果として変化しなかった。このデヒドロゲナーゼ は、高不飽和化脂肪酸の合成で重要であり、高不飽和化脂肪酸は主に細胞膜のリン脂質にエステル化される(Marquardtら、2000;Hastingsら、2001;Nakamura and Nara、2004)。
【0136】
表2:OB/OB処置マウスおよびその非処置コントロールマウスの肝臓中の脂肪酸のガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)分析
【0137】
【表2】

説明文:肝臓サンプル(100mg)をファトスタチンA処置ob/obマウスおよび非処置コントロールマウスから得て、脂肪酸含有量について分析するまで−80℃で保存した。脂肪酸を、Folchのプロトコールにしたがって抽出し、ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−SM)を使用して定量的に分析した。上記表に示すように、C14:0およびC16:0(de novo脂肪酸合成の生成物)が約50%減少し、一不飽和脂肪酸C16:1、C18:1、およびC20:1ならびにその伸長脱飽和生成物(C18:2)N−6、(C18:3)N−6、(C20:2)N−6、(C20−3)N−6、および(C20:5)N−3が約70%減少する。ミリスタート(C14:0)およびパルミタート(C16:0)(FASの生成物)は、約50%減少した(P<0.05)。C18レベルは変化しなかった。このC18レベルは、FASによるde novo脂肪酸合成だけでなく、食物および鎖伸長系にも由来する。興味深いことに、C20:0が約15%低下し(P+0.059)、C24:0が30%増加する(P=0.05)傾向が強かった。長鎖飽和脂肪酸の有意な減少と並行して、結果は、一不飽和脂肪酸C16:1、C18:1、およびC20:1のレベルを約70%有意に減少させたことを示す(P<0.004)。また、多価不飽和長鎖脂肪酸(18:2)N−6、(18:3)N−6、(20:2)N−6、(20:3)N−6、および(20:5)N−3のレベルが30〜60%低下した。これらの減少は、転写および翻訳での脂質合成経路中の重要な酵素(FAS、ACCおよびSCD、ACL)の下方制御の結果である。これらの結果は、肝臓中で作製されたトリグリセリドレベルの減少による脂肪肝状態の改善におけるファトスタチンAの影響を説明するための一助となる。
【0138】
脂質合成酵素のmRNAレベルの下方制御
タンパク質レベルの減少は、転写および翻訳の調節に起因し得る。リアルタイムPCRを使用して、脂質合成転写因子PPARγに加えて、代表的な脂質合成遺伝子であるACC1、FAS、およびSCD1のmRNAレベルを決定した。ACC1、FAS、およびSCD1のmRNAレベルが約80%減少した(図13)。これらの結果は、より低い酵素のタンパク質レベルおよび活性レベルと一致し、SREBP−1の成熟の阻害によってファトスタチンAが脂質合成を低下させることを強く示す。脂質合成酵素の下方制御は、特定の実施形態では、その主な転写因子であるPPARγの1つを含む。この転写因子のmRNAレベルは、ファトスタチンA処置マウスの抽出物中で約40%減少した(図13)。ob/obマウスの肝臓由来のPPARγの欠失に関する研究により、脂肪肝も改善された(Matsusueら、2003)。しかし、PPARγを肝臓のみから欠失させ、これらのマウスにおいて糖尿病表現型が悪化した(Matsusueら、2003)。他の研究により、肝臓PPARγ−/−マウスの血中グルコースがより低く、機能的レプチン遺伝子を使用した高脂肪食において15週間後にインスリン抵抗性から防御されたことが示された(Kubotaら、1999)。ファトスタチンAで処置したob/obマウスの高血糖が減少し、脂肪肝が予防されるので、これは、特定の態様では、肝臓中のPPARγがこれらの病的状態に影響を及ぼし得るいくつかの要因のうちの1つであることを示す。さらに、白色脂肪などの他の組織は、抗高血糖効果で役割を果たすことができ、これは肝臓中で脂質合成が阻害される場合の脂質合成の減少によって相殺することができる。
【0139】
まとめると、SREBP−1に対するその作用を介したファトスタチンAは、処置ob/obマウスにおいて肝臓TG貯蔵の減少によって脂肪肝を改善し、脂肪過多症を軽減し、高血糖を低下させた。これらの研究は、ファトスタチンAおよびその類似体が、例えば、肥満、脂肪肝、および糖尿病に対する有用な薬剤であることを示す。
【0140】
例示的な材料と方法
動物研究手順
4〜5週齢のホモ接合体雄肥満(ob/ob)マウス(C57BL/6J、The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)を、管理条件下(12時間の明暗サイクル;25℃)でAnimal Care Center at Baylor College of Medicineに収容した。動物実験を、米国国立衛生研究所によって公開されたGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(NIH Publication No.85−23、1996改訂)にしたがって行った。1ケージあたり5匹の動物を収容し、標準的な実験動物用飼料(Purina Mills、Richmond IN)および水を到着後1週間自由に与えた。実験第1日目およびその後毎日、マウスの体重および飼料の消費量を測定した。マウスおよび飼料の残量を、ファトスタチンA(30mg/kg;150mL)注射前の午後3時〜5時に毎日測定した。
【0141】
ファトスタチンAまたは10%DMSOを含むPBSのコントロール群(n=5)への投与を、研究終了まで、4週間にわたって毎日継続した。
【0142】
血液成分
ファトスタチンAマウスへの28日間にわたる毎日の注射の28日後に、マウスを一晩絶食させ、採血し、全血糖およびβ−ヒドロキシブチラートを、Glucometer Precision Xtra(Abbott)を使用して測定した。血清成分の決定のために、Comparative Pathology Laboratory(Baylor College of Medicine)によってグルコース、トリグリセリド、およびコレステロールの測定を行った。血清非エステル化脂肪酸(NEFA)を、NEFA Cキット(Wako Chemicals、Richmond、VA)の使用によって測定した。
【0143】
肝臓分析
マウスを屠殺し、肝臓および精巣上体脂肪パッドを秤量した。以前に記載のように、各動物由来の肝臓スライスの凍結切片を、オイルレッドOで染色して、肝臓スライス中の脂肪滴(TG)を視覚化した(Abu−Elheigaら、2001)。残りの肝臓組織を、液体窒素中で凍結し、さらなる分析のために−80℃に保持した。
【0144】
組織トリグリセリドおよびコレステロール含有量
肝臓トリグリセリドおよびコレステロール含有量を、参考文献(Chandlerら、2003)に記載のように、96ウェルプレート形式での比色分析に適合したコレステロールEキット(Wako)およびInfinityトリグリセリドキット(Thermo Electron、Melbourne、Australia)を使用して測定した。
【0145】
酵素活性およびウェスタンブロット分析
凍結肝臓の一部を、液体窒素中で粉砕した。粉末組織を、0.1mM PMSF、5mMベンズアミジン、および5mg/mLプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含む10mLのPBS中に懸濁し、Polytron(3×30秒、高速)を使用してホモジナイズし、短時間超音波処理してDNAを破壊した。抽出物を16,000×gで20分間の遠心分離によって清澄化した。上清中のタンパク質濃度を決定し、以下の酵素に対する市販の抗体を使用したウェスタンブロット分析に供した:FAS(BD Biosciences)、クエン酸リアーゼSCD1、FADS1、ACC、およびホスホロ−ACC抗体。タンパク質を、Amersham ECL Plus(商標)ウェスタンブロッティング検出試薬を使用して視覚化した。目的のタンパク質の特異的バンドの強度をスキャンし、定量のためにβ−アクチンに対して正規化した。
【0146】
肝臓抽出物由来のFAS活性およびACC活性を、以前に記載のように決定した(Maoら、2006)。
【0147】
定量的リアルタイムPCR
TRIzol試薬(Invitrogen)を使用して、マウス組織から総RNAを調製した。5匹のマウス由来の等量のRNAをプールし、DNアーゼI(Turbo DNA−free、Ambion,Inc.)で処理した。Superscript II RNアーゼH−逆転写酵素(Invitrogen)を使用したランダムな6マーのプライマーによって、第1のcDNA鎖を2μgのDNアーゼI処理総RNAから合成した。リアルタイムPCRは、最終体積20μLで、10ngの逆転写総RNA、0.5μMの順方向プライマーおよび逆方向プライマー、ならびに10μLのDyNAmo HS SYBR Green qPCRキット(Finnzymes)の2×マスターミックスを含んでいた。DNA Engine Opticon System(MJ Research,Inc)を使用して、96ウェルプレートでPCRを行った。全反応を三連で行い、mRNAの相対量を、比較C(t)法を使用して計算した。サイクル閾値C(t)を、Opticon Monitor software 2.02(MJ Research)を使用して計算した。マウスβ−アクチンのmRNAを内部コントロールとして使用した。
【0148】
統計分析
データを、平均±SDとして示す。2群間の相違を、対応のない両側(unpaired two−tailed)スチューデントt検定を使用して評価した。
【0149】
(実施例8)
ファトスタチンAおよびその類似体または誘導体の標的分子の同定
本発明のある態様では、ファトスタチンAまたはその類似体または誘導体の1つまたは複数の標的を同定する。かかる同定のために任意の適切な方法を使用することができるにも関わらず、特定の実施形態では、ファトスタチンAまたはその類似体または誘導体を標識する。例示的な標識には、例えば、ビオチンが含まれる。
【0150】
(実施例9)
例示的な化合物およびその修飾
図14は、本発明の例示的化合物を示し、その与えられた名称を表3に示す。図15〜17は、図2Aと同一の方法による20μMのこれらの例示的化合物についての例示的ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを示す。以前に記載のように脂肪生成アッセイを行った(Choiら、2003)。細胞中の油滴形成を完全に阻害した類似体を、脂肪生成阻害類似体と記録した。
【0151】
【表3−1】

【0152】
【表3−2】

【0153】
【表3−3】

さらに、当業者は、他の適切な化合物の同定を補助するために例示的な化合物の1つまたは複数の態様を修飾することが適切かもしれないと認識する。例えば、1つまたは複数の代謝障害の治療および/または予防のための特定の化合物の適合性の決定の際、化合物を、同一または異なる代謝障害のために使用される他の関連化合物が同定されるように修飾することができる。特定の実施形態では、本明細書中に記載の例示的な化学基にしたがってかかる変更を行うことができる。
【0154】
(実施例10)
SREBP活性化の阻害による脂肪合成の遮断
細胞中の脂肪枯渇の際、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)が膜からタンパク質分解的に放出され、核に転位し、ここで、コレステロールおよび脂肪酸の生合成に関与する遺伝子の転写を活性化する。本発明では、脂肪生成を遮断する合成小分子がSREBP活性化の選択的インヒビターであることを示す。現在はファトスタチンと呼ばれるジアリールチアゾール誘導体はSREBPのタンパク質分解活性を妨害し、それにより、細胞中の脂質合成遺伝子の転写が減少する。ファトスタチンの分子標的は、SREBP切断活性化タンパク質(SCAP)のようである。ファトスタチンは、摂食の制御下でさえも、肥満ob/obマウスにおける体重、血糖、および肝臓脂肪蓄積の増加を遮断した。ファトスタチンは、SREBP調節についてのさらなる洞察を得るためのツールとしての機能を果たすことができ、代謝性疾患の新規の薬理学的介入のための出発点を得ることができる。
【0155】
代謝症候群は、しばしば、脂肪または炭水化物が豊富な過剰な食事の長期摂取と説明される。de novo脂肪酸およびコレステロール合成を介した炭水化物のアシルグリセリドへの変換は、多数の酵素反応を含む。これらの酵素をコードする遺伝子の発現レベルは、以下の3つの転写因子によって調節される:SREBP−1a、SREBP−1c、およびSREBP−2(Brown and Goldstein、1997;Osborne、2000)。SREBPは、小胞体膜結合前駆体として合成され、これは、ゴルジ膜に結合する2つのプロテアーゼ(サイト−1およびサイト−2プロテアーゼ(S1PおよびS2P))によってタンパク質分解的に放出されて、核内での標的遺伝子の転写を活性化する活性形態を生成する必要がある(Brown and Goldstein、1997;Sakaiら、1996)。SREBPのタンパク質分解活性は、SREBP切断活性化タンパク質(SCAP)(SREBPの小胞体膜結合エスコートタンパク質)との相互作用を介してステロールによって強く調節される(Goldsteinら、2006;Huaら、1996)。ステロールが小胞体膜に蓄積する場合、SCAP/SREBP複合体はERからゴルジに排出できず、SREBPのタンパク質分解的プロセシングが抑制される。したがって、SREBPは、脂肪代謝のホメオスタシスを支配する重要な脂質合成転写因子である。
【0156】
本明細書中で使用する場合、ファトスタチン(図18a)は、3T3−L1細胞のインスリン誘導性脂肪生成およびDU145細胞の血清非依存性成長を阻害する(Choiら、2003)。薬物処理細胞および非処理細胞の遺伝子発現プロフィールを比較して、ファトスタチンによって影響を受ける特異的分子経路についての情報を得た。DU145細胞を、ファトスタチンまたはDMSOのみで処理し、抽出mRNAサンプルを、33、000遺伝子をマッピングするAffymetrix DNAマイクロアレイによって分析した。これらの遺伝子(これらの遺伝子は全て、ワールドワイドウェブ上のNational Center for Biotechnology InformationのGenBankデータベースで利用可能であり、その全てが本明細書中で参考として援用される)のうち、63遺伝子の転写レベルが、ファトスタチン処理に応答して少なくとも35%減少した(図23)。影響を受けた遺伝子のうちの34個は、脂肪合成またはステロール合成に直接関連し(生合成酵素をコードする遺伝子など)、影響を受けた遺伝子のうちの18個は、SREBPによって調節されることが報告されている(Hortonら、2003)。影響を受けたSREBP応答性遺伝子の下方制御を、RT−PCR実験によって確認した(図18bおよび18c)。下方制御された遺伝子のリスト中に公知のSREBP応答性遺伝子および脂肪/コレステロール生合成遺伝子が多数出現することは、ファトスタチンがSREBP経路に直接または間接的に作用することを意味する。
【0157】
ファトスタチンがSREBP機能を妨害することを確認するために、CHO−K1細胞中の内因性SREBPがSREBP応答性レポーター遺伝子の転写を活性化する能力を、ファトスタチンの存在下または非存在下で測定した(図18d)。ファトスタチンはレポーター遺伝子の活性化を減少させ、ここでルシフェラーゼ発現がステロール調節エレメントによって調節される。外因的に発現されたSREBP−1の成熟形態(アミノ酸1〜436)がレポーター遺伝子を活性化する能力に及ぼすファトスタチンの影響が制限され(図18e)、ファトスタチンがSREBPの活性化過程を妨害することが示された。
【0158】
ファトスタチンがER−ゴルジ転位およびSREBPのタンパク質分解性プロセシングに影響を及ぼすかどうかを決定するために、本発明者らは、Sakaiら(1998)によって開発されたレポーターアッセイを使用した。本アッセイでは、NH2末端DNA結合ドメイン(PLAP−BP2513-1141)を欠くSREBP−2フラグメントと融合した分泌アルカリホスファターゼは、蛍光ホスファターゼ基質の蛍光の変化によって転位およびプロセシングをモニタリング可能である(図18f)。細胞をPLAP−BP2513-1141およびSCAPをコードするプラスミドで同時トランスフェクトした場合、PLAPホスファターゼが分泌され、蛍光シグナルが生成された。ファトスタチンまたはステロールの添加によって、分泌が同様に減少した(図18f)。SREBP活性化のファトスタチン媒介性阻害を、SREBPのウェスタンブロット分析によって確認した。ファトスタチンでのCHO−K1細胞の処理により、SREBP−2の68KDa成熟形態の量が減少し、125KDa前駆体形態の量が増加した(図18g)。SREBP−1について類似の結果が得られた(図24)。これらの結果を、集合的に、ファトスタチンがSREBPの両イソ型の活性化過程を遮断すると示す。
【0159】
本発明者らは、ファトスタチンがゴルジ装置中でのSREBPのタンパク質分解的切断またはSCAP/SREBP複合体のER−ゴルジ間転位のいずれかを妨害すると見なした。ブレフェルジンA(ERからゴルジへのタンパク質の順行性移動を遮断する天然生成物)は、SREBPをステロール非応答性にし、ゴルジからERへのS1Pの再配置によってER中にSREBPを構成性にプロセシングさせることが公知である(DeBose−Boydら、1999)。ブレフェルジンAの存在下で、ファトスタチンは、SREBPプロセシングに影響を及ぼさず(図19a)、ファトスタチンがタンパク質分解自体を遮断しないと示唆された。
【0160】
ファトスタチンがSCAP/SREBP複合体のER−ゴルジ間転位を遮断するかどうかを決定するために、本発明者らは、ゴルジ装置中のSCAPのN結合グリコシル化の範囲を分析した。転位したSCAPはグリコシル化レベルが高く、ER結合SCAPよりもエンドグリコシダーゼH耐性が高い。ステロールは、ER−ゴルジ転位の阻害によってSCAPがエンドグリコシダーゼH耐性を示すようになるのを防ぐ(図19b)(Nohturfftら、1998)。細胞をファトスタチンまたはステロールの存在下または非存在下で成長させ、膜機能を、トリプシンおよびエンドグリコシダーゼHを使用して連続的に処理した。ファトスタチンおよびステロールを使用せずに成長した細胞では、SCAPのトリプシンフラグメントはエンドグリコシダーゼHに対してより高い耐性を示し、1つまたは2つの糖鎖を有していた(図19c、レーン1)。細胞をファトスタチンまたはステロールの存在下で成長させた場合、SCAPフラグメントはエンドグリコシダーゼHへの耐性がより低く、0または1つの糖鎖を有していた(図19c、レーン2および3)。したがって、ファトスタチンは、ERからゴルジへのSCAPの転位を阻害するようである。
【0161】
ファトスタチンの構造活性相関の研究により、そのトルエン部分を種々のアルキルスルホンアミド基またはアリールスルホンアミド基で修飾した場合に、分子は生物活性を保持するかさらに増加させることが示された。1つの蛍光誘導体であるダンシルファトスタチン(図20a)は、SREBP活性化を遮断する能力を保持し(図26)、顕微プローブとしての役割を果たした。共焦点顕微鏡分析により、ダンシルファトスタチンの局在化がER−トラッカーレッド(ERの特異的マーカー)の局在化と重複する(図20b)ことが明らかとなった。対照的に、ファトスタチンを欠くコントロールダンシル分子は、いかなるオルガネラにも局在化できなかった(図27)。選択的ER局在化は、ファトスタチンがER中のタンパク質に結合することを意味する。もっとも可能性の高い候補はSCAP(SREBP調節のためのコレステロール標的)である(Radhakrishnanら、2004)。この仮説を試験するために、ファトスタチン−ポリプロリンリンカー−ビオチン抱合体に結合するタンパク質(図20a)(Satoら、2007)を細胞溶解物から精製し、SCAP、SREBP−1、SREBP−2、およびATF6(無関係のER結合転写因子)に対する抗体を使用したウェスタンブロットによって分析した(Yeら、2000)。結果は、ファトスタチンはSCAPに結合するが、他のタンパク質には結合しなかったことを示した(図20c)。過剰なファトスタチンの添加の際に結合が喪失するが、過剰なコレステロールでは喪失せず(図20d)、ファトスタチンがコレステロールと異なる部位でSCAPと相互作用するという興味深い可能性が高まる。
【0162】
脂質合成におけるSREBPの重要な役割が確立されたので、次いで、ob/obマウス(無制御の摂食を用いたマウス肥満モデル)に及ぼすファトスタチンの薬理学的影響を試験した。ファトスタチンを毎日腹腔内送達させ、摂食および体重をモニタリングした。処置マウスによる1日摂食量の平均は、コントロールと有意に異ならず(それぞれ、5.4 1.5対5.9 1.4g/マウス/日、p>0.05)、処置中に明らかな毒性は認められなかった(図4a、b)。ファトスタチンでの28日間の処置後、処置マウスは非処置コントロールより約12%軽かった(それぞれ、32.1+1.4および36.2 2.2g/マウス、P=0.02)。ob/obマウスにおける最も特徴的な表現型の1つは、インスリン抵抗性に起因する高血糖である。血液成分(図21c)の試験により、処置マウスの平均グルコースレベルは非処置マウスよりも約70%低かった(それぞれ、153.2 30.5対429.4 87mg/dl、P=0.003)ことが明らかとなった。これは、正常なグルコースレベルの範囲である。これらの結果は、肝臓インスリン抵抗性の病理発生における報告されたSREBP−1cの役割と一致する(Ideら、2004)。
【0163】
ob/obマウスの別の表現型は、器官中の脂肪の過剰な蓄積(非アルコール性脂肪肝が含まれる)である。肥大した肝臓および脂肪肝は非処置ob/obマウスの淡色から明らかである一方で、ファトスタチンで処置したマウスの肝臓は正常なようであった(図22a)。処置マウスの肝臓は、平均して約32%の体重が減少し、脂肪パッドは非処置マウスより小さかった(図22b)。肝臓切片のオイルレッド染色は、非処置ob/obマウスの肝臓が豊富な脂肪滴を含む一方で、処置マウスの肝臓は脂質蓄積レベルがより低いことを示した(図22c)。処置マウスの肝臓中のトリグリセリドレベルおよびコレステロールレベルも減少した(図22d)。ファトスタチンによるob/obマウスにおける脂肪肝の予防は、脂肪肝発症におけるSREBP−1の報告された役割と一致する。SREBP−1を過剰発現するトランスジェニックマウスは脂肪肝を発症する一方で(Hortonら、2003)、SREBP−1を欠くob/obマウス(lepob/ob X Srebp 1−/−)は健康な肝臓を有していた(Yahagiら、2002)。
【0164】
処置マウスにおける肝臓脂肪レベルの減少は、SREBP応答性脂質合成酵素の肝臓発現の減少に起因すると考えられた。したがって、代表的なSREBP応答性脂質合成酵素(脂肪酸シンターゼ(FAS)、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)、ステアロイル−CoAデヒドロゲナーゼ 1(SCD1)、およびATPクエン酸リアーゼ(ACL)が含まれる)の肝臓タンパク質レベルおよび酵素活性に及ぼすファトスタチンの影響を試験した。生化学分析により、ファトスタチン処置マウスの肝臓抽出物中の脂質合成酵素のタンパク質レベルおよび活性が減少したことを示した(図28)。したがって、ファトスタチンは、肝臓中のSREBP−1プロセシングを遮断し、脂質合成酵素を下方制御し、肝臓トリグリセリド貯蔵を減少させる。
【0165】
小分子によるSREBP経路の調整は新しくない。GlaxoSmithKlineの研究者らは、LDL受容体の発現を介してSREBPを活性化し血中コレステロールレベルを低下させる小分子を発見した(Grand−Perretら、2001)。それにもかかわらず、ファトスタチンは、SREBPの活性化を阻害する第1の非ステロール様合成分子に相当する。ファトスタチンおよびGlaxoSmithKlineの分子の両方は、SCAPをターゲティングしてその機能を調整するようであり、それにより、実験動物の脂肪酸および/またはコレステロール代謝に明らかに影響を及ぼす。どのようにしてこれらの動物がSCAPに結合してその機能を調整するのかが不明なままであるにもかかわらず、これらの分子はSCAPに結合してその機能を調整する。SCAPは、単純な合成分子を有するポジティブコントロールおよびネガティブコントロールの両方に適合する重要な受容体であり得る。ファトスタチンおよびSCAPリガンドは、SREBP経路のSCAP媒介性調節をさらに洞察するためのツールとしての機能を果たすことができ、最終的に、代謝症候群の薬理学的介入のためのシード分子としての機能をはたすことができる。
【0166】
例示的な材料と方法
ルシフェラーゼレポーターアッセイ。0日目に、CHO−K1細胞を、培地A(5%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含むHamのF−12培地とダルベッコ改変イーグル培地との1:1混合物)を含む96ウェルプレートにプレートした。2日目に、細胞を、リポフェクタミン試薬(Invitrogen)を使用して、pSRE−Luc(SRE−1駆動ルシフェラーゼレポーター構築物)(Huaら、1995)およびpAc−β−gal(β−gal発現がアクチンプロモーターによって調節されるβ−galレポーター)で同時トランスフェクトした。5時間のインキュベーション後、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄し、次いで、ファトスタチンの非存在下または存在下にて、培地B(5%脂質枯渇血清、100単位/mLペニシリン、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン、50μMコンパクチン、および50μMメバロン酸ナトリウムを含むHamのF−12培地とダルベッコ改変イーグル培地との1:1混合物)中でインキュベートした。20時間のインキュベーション後、各ウェル中の細胞を溶解し、アリコートを使用してルシフェラーゼ活性およびβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ活性を、β−ガラクトシダーゼ活性によって正規化した。SREBP−1cのN末端成熟形態の過剰発現について、pCMV−SREBP−1c(1〜436)を、pSRE−LucおよびpAc−β−galで同時トランスフェクトした。
【0167】
SREBPプロセシングのウェスタンブロット分析。0日目に、CHO−K1細胞を、培地Aを含む100mm皿にプレートした。2日目に、細胞をPBSで洗浄し、次いで、ファトスタチンの非存在下または存在下にて培地B中でインキュベートした。3日目に、細胞を冷PBSで1回洗浄し、次いで、10mMTris−HCl(pH7.6)、100mMNaCl、1%(w/v)SDS、およびプロテアーゼインヒビター混合物(1μg/mLペプスタチンA、10μg/mLロイペプチン、200μMフェニルメチルスルホニルフルオリド)を含む緩衝液で処理した。各総タンパク質抽出物のタンパク質濃度を測定し(BCAキット;Pierce)、その後に、22〜33μgアリコートの細胞抽出物を0.25倍体積の緩衝液(250mMTris−HCl(pH6.8)、10%SDS、25%グリセロール、0.2%(w/v)ブロモフェノールブルー、および5%(v/v)2−メルカプトエタノール)と混合し、95℃で7分間加熱した。サンプルを、10%SDS−PAGEゲルで分離し、SREBP−2に対するマウスモノクローナル抗体(IgG−7D4)を使用してブロッティングした(Yangら、1995)。特異的バンドを、増強蛍光(ECL)検出試薬(Amersham)を使用して視覚化した。
【0168】
SCAPオリゴサッカリドの修飾。細胞膜画分を、本明細書中の他の場所に記載のように調製した。膜ペレットを、10mMHepes・KOH(pH7.4)、10mMKCl、1.5mMMgCl、1mMEDTAナトリウム、および100mMNaClを含む0.1mLの緩衝液中に再懸濁した。次いで、タンパク質のアリコートを、総体積58μLで、1μgのトリプシンの非存在下または存在下にて30℃で30分間インキュベートした。2μL(400単位)のダイズトリプシンインヒビターの添加によって反応を停止させた。エンドグリコシダーゼHでのその後の処理のために、各サンプルに、3.5%(wt/vol)SDSおよび7%(vol/vol)2−メルカプトエタノールを含む10μLの溶液を添加した。100℃で10分間の加熱後、各サンプルに、9μLの0.5Mクエン酸ナトリウム(pH5.5)、17□プロテアーゼインヒビター(濃度1倍、10μg/mLロイペプチン、5μg/mLペプスタチンA、および2μg/mLアプロチニンに相当)を含む5μL溶液、その後に1μL(5単位)のエンドグリコシダーゼHを連続的に添加した。37℃で一晩反応させ、0.25MTris・HCl(pH6.8)、2%SDS、10%(vol/vol)グリセロール、0.05%(wt/vol)ブロモフェノールブルー、および4%2−メルカプトエタノールを含む20μLの緩衝液の添加によって反応を停止させた。次いで、混合物を100℃で5分間加熱し、SDS/PAGE(12%ゲル)に供した。
【0169】
共焦点顕微鏡分析。ガラス底96ウェルプレート(Grainer)上の密集度が約70%のCHO−K1細胞を、0.2μMER−トラッカーレッド(Invitrogen)および5μMダンシルファトスタチンと1時間インキュベートした。蛍光画像を取り込み、CSU10スピニングディスク共焦点スキャナ(Yokogawa Electric Corporation)およびORCA−CCDカメラ(Hamamatsu Photonics)を備えたCarl Zeiss LSM 510共焦点顕微鏡を使用して分析した。画像をIPLabソフトウェア(Solution Systems)を使用して分析した。
【0170】
結合アッセイ。細胞膜画分を、補足方法(Supplementary Methods)に記載のように調製した。膜画分を、0.1%FOS−Choline10(Hampton Research)を含むPBSで抽出した。抽出物を、ビオチン化ファトスタチンで飽和したニュートラアビジン−アガロースビーズ(10μL)と混合し、1時間インキュベートした。結合したタンパク質を、0.1%FOS−Choline10を含むPBSで4回洗浄し、25μLのSDSサンプル緩衝液中で煮沸し、ウェスタンブロッティングに供した。競合アッセイのために、飽和量のコレステロールまたはファトスタチンを膜抽出物に添加し、その後にビーズとインキュベートした。
【0171】
動物研究手順。4〜5週齢のホモ接合体雄肥満(ob/ob)マウス(C57BL/6J、The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)を、管理条件下(12時間の明暗サイクル;25℃)でAnimal Care Center at Baylor College of Medicineに収容した。動物実験を、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals(NIH Publication No.85−23、revised 1996)にしたがって行った。1ケージあたり5匹の動物を収容し、標準的な実験動物用飼料(Purina Mills、Richmond IN)および水を到着後1週間自由に与えた。実験第1日目およびその後毎日、各マウスの体重および摂食量を、午後3時と午後5時の間に測定した。体重測定後、処置マウスにファトスタチン(30mg/kg;150mL)を腹腔内注射し、コントロールマウスに10% DMSOを含むPBSを投与した。研究終了まで、注射を4週間にわたって毎日継続した。
【0172】
血液成分。ファトスタチンマウスの28日間にわたる毎日の注射の28日後に、マウスを5〜6時間絶食させ、全血糖およびβ−ヒドロキシブチラートを、Glucometer Precision Xtra(Abbott)を使用して測定した。血清成分の決定のために、Comparative Pathology Laboratory(Baylor College of Medicine)によってグルコース、トリグリセリド、およびコレステロールの測定を行った。血清非エステル化脂肪酸(NEFA)を、NEFA Cキット(Wako Chemicals、Richmond、VA)を使用して測定した。
【0173】
肝臓分析。マウスを屠殺し、肝臓および精巣上体脂肪パッドを秤量した。以前に記載のように、各動物由来の肝臓スライスの凍結切片を、オイルレッドOで染色して、肝臓スライス中の脂肪滴(トリグリセリド)を視覚化した(Abu−Elheigaら、2001)。残りの肝臓組織を、液体窒素中で凍結し、さらなる分析のために−80℃に保持した。
【0174】
組織トリグリセリドおよびコレステロール含有量。肝臓トリグリセリドおよびコレステロール含有量を、Chandlerら(2003)に記載のように、コレステロールEキット(Wako)およびInfinity トリグリセリドキット(Thermo Electron、Melbourne、Australia)を使用して測定した。
【0175】
ファトスタチン(1)、ダンシルファトスタチン(2)、およびファトスタチン−ポリプロリンリンカー−ビオチン抱合体(3)の合成。ファトスタチンの合成(1):2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン。プロチオナミド(5)(1.03g、5.70mmol)と2−ブロモ−4’−メチルアセトフェノン(6)(1.22g、5.70mmol)との混合物を含むエタノール(20mL)を、撹拌しながら70℃で0.5時間加熱し、次いで、0℃に冷却した。形成された黄色沈殿を濾過し、冷エタノールで洗浄し、乾燥させて、黄色針状結晶としてファトスタチン(1)HBr塩を得た(1.78g、83%)。mp:190〜193℃;H NMR(600 MHz,DMSO−d):δ8.88(d,J=6.2Hz,1H),8.54(s,1H),8.46(d,J=1.4Hz,1H),8.36(dd,J=1.4,6.2Hz,1H),7.99(d,J=7.6Hz,2H),7.31(d,J=7.6Hz,2H),3.03(t,J=7.6Hz,2H),2.35(s,3H),1.80(m,2H),0.96(t,J=7.6Hz,3H);13C NMR(150MHz,DMSO−d):δ 161.3,158.5,156.9,146.2,143.2,138.4,130.4,129.5,126.3,122.3,120.3,119.5,35.0,22.4,20.9,13.4;HRMS(m/z):[M+H]1819Sの計算値295.1269;実測値295.1269。
【0176】
4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン(9)の合成。圧力管に7(1.08g、3.0mmol)、ベンゾフェノンイミン(0.57g、3.3mmol)、Pd2dba3(86mg、0.15mmol)、BINAP(280mg、0.45mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(1.44g、9.0mmol)、および乾燥トルエン(30mL)を充填し、アルゴンガスをパージした。圧力管をシールし、100℃の浴中で20時間加熱した。室温への冷却後、反応混合物をクロマトグラフ分析して(SiO、4:1 ヘキサン:EtOAc)、黄色オイルとして1.35gの8(98%)を得た。次いで、8(1.35g、2.9mmol)を含むTHF(20mL)溶液に、2NHCl水溶液(15mL)を添加した。室温で2時間の撹拌後、反応混合物を、減圧濃縮し、次いで、EtOAc(100mL)で希釈し、飽和NaCO(50mL)溶液で洗浄した。水性洗浄物を、EtOAc(3×40mL)で抽出し、合わせたEtOAc層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフ分析して(SiO、4:1 ヘキサン:EtOAc)、白色結晶として0.73gの9(82%)を得た。H NMR(600 MHz,CDCl):δ8.61(d,J=4.8Hz,1H),7.80(d,J=8.9Hz,2H),7.75(d,J=1.4Hz,1H),7.67(dd,J=1.4,4.8Hz,1H),7.36(s,1H),6.75(d,J=8.9Hz,2H),3.82(brs,1H),2.85(t,J=7.6Hz,2H),1.83(m,2H),1.01(t,J=7.6Hz,3H);13C NMR(150MHz,CDCl):δ164.9,163.4,157.3,150.0,146.8,140.8,127.7,124.8,119.2,117.8,115.1,111.3,40.4,23.1,13.9;HRMS(m/z):[M+H]1718Sの計算値296.1221;実測値296.1228。
【0177】
ダンシルファトスタチン(2)の合成。9(50mg、0.17mmol)およびピリジン(27mg、0.34mmol)を含むCHCl(5mL)の磁気的に撹拌した溶液に、ダンシルクロリド(50mg、0.18mmol)を添加した。17時間の撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣をEtOAc(50mL)と飽和NHCl溶液(20mL)との間で分配した。水相をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を、飽和NaHCO溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、クロマトグラフ分析して(SiO、2:1 ヘキサン:EtOAc)、黄色結晶として2(65mg、73%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ8.60(d,J=4.8Hz,1H),8.50(d,J=8.2Hz,1H),8.36(d,J=8.3Hz,1H),8.21(d,J=8.3Hz,1H),7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.70(d,J=1.5Hz,1H),7.62(dd,J=1.5,4.8Hz,1H),7.61(t,J=8.3Hz,1H)7.44(s,1H),7.43(dd,J=7.5,8.2Hz,1H),7.19(d,J=7.5Hz,1H),7.04(d,J=8.6Hz,2H),6.97(brs,1H),2.87(s,6H),2.84(t,J=7.6Hz,2H),1.81(m,2H),1.00(t,J=7.6Hz,3H);13C NMR(150 MHz,CDCl):δ 165.5,163.5,156.1,152.2,150.0,140.5,136.7,134.0,131.1,131.0,130.5,129.8,129.7,128.7,127.3,123.1,121.6,119.2,118.3,117.8,115.3,113.8,45.4,40.4,23.1,13.9;HRMS(m/z):[M+H]2929の計算値529.1732;実測値529.1733。
【0178】
tert−ブチル4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニルカルバメート(10)の合成。9(0.57g、1.92mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(5mg、0.4mmol)を含むTHF(20mL)の磁気的に撹拌した溶液に、ジカルボン酸ジ(tert−ブチル)(0.49g、2.21mmol)を添加した。17時間の撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を、EtOAc(100mL)と飽和NHCl溶液(30mL)との間で分配した。水相をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を、飽和NaHCO溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、クロマトグラフ分析して(SiO、2:1 ヘキサン:EtOAc)、黄色泡として10(0.33g、43%)を得た。H NMR(300 MHz,CDCl):δ8.68(d,J=5.1Hz,1H),7.93(d,J=8.4Hz,2H),7.79(s,1H),7.72(d,J=5.1Hz,1H),7.52(s,1H),7.47(d,J=8.4Hz,2H),6.58(s,1H),2.90(t,J=7.5Hz,2H,),1.87(m,2H),1.55(s,9H),1.03(t,J=7.5Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl):δ163.1,156.5,152.3,149.6,140.6,138.5,128.7,128.1,127.0,118.3,117.7,114.3,112.9,80.6,41.0,28.4,24.1,13.7;HRMS(m/z):[M+H]2226Sの計算値 396.1746;実測値396.1738。
【0179】
中間体12の合成。N雰囲気下で、10(200mg、0.51mmol)を、NaH(60%鉱物油分散体、24mg、0.6mmol)を含むDMF(5mL)の懸濁液に添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、NaI(91mg、0.6mmol)および4−ブロモ酪酸エチル(0.12g、0.6mmol)を含むDMF(2mL)を添加した。18時間の撹拌後、反応混合物を水(20mL)に注ぎ、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフ分析して(SiO、2:1 ヘキサン:AcOEt)、黄色オイルとして11(35mg、13%)を得た。次いで、11(30mg、2.9mmol)を含むTHF(1mL)およびMeOH(0.5mL)の溶液に、2NNaOH水溶液(0.2mL)を添加した。室温で18時間の撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、次いで、EtOAc(10mL)で希釈し、飽和NHCl溶液(5mL)で洗浄した。水性洗浄物を、 EtOAc(2×10mL)で抽出し、合わせたEtOAc層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフ分析して(SiO、EtOAc)、白色泡として14mgの12(50%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl):δ8.69(d,J=5.1Hz,1H),7.95(d,J=8.4Hz,2H),7.80(s,1H),7.73(d,J=5.1Hz,1H),7.53(s,1H),7.51(d,J=8.4Hz,2H),6.58(s,1H),2.92(m,4H),2.33(m,2H),1.90(m,4H),1.50(s,9H),1.02(t,J=7.5Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl):δ 174.2,162.9,156.3,152.9,149.6,140.6,138.5,129.3,128.9,127.2,119.0,117.9,114.8,113.3,80.8,41.0,40.3,32.1,28.4,24.1,21.1,13.7;HRMS(m/z):[M+H]2632Sの計算値482.2114;実測値482.2120。
【0180】
4−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニルアミノ)−N−イソプロピルブタンアミド(14)の合成。12(17mg、0.035mmol)、トリエチルアミン(17μL、0.14mmol)、およびイソプロピルアミン(4μL、0.046mmol)を含むDMF(0.5mL)溶液に、HATU(16mg、0.042mmol)を添加した。18時間の撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を、EtOAc(20mL)と飽和NHCl溶液(10mL)との間で分配した。水相を、EtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィ分析して(SiO、2:1 ヘキサン:EtOAc)、黄色オイルとして13(14mg、77%)を得た。次いで、13(12mg、2.9mmol)を含むTHF(1mL)溶液に、TFA(0.2mL)を添加した。室温で18時間の撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、次いで、EtOAc(20mL)で希釈し、飽和NHCl溶液(10mL)で洗浄した。水性洗浄物をEtOAc(2×5mL)で抽出し、合わせたEtOAc層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィ分析して(SiO、2:1 ヘキサン:EtOAc)、黄色泡として6.2mgの14(63%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl):δ8.69(d,J=5.4Hz,1H),8.04(1H,s),7.96(d,J=8.7Hz,2H),7.96(s,1H),7.72(d,J=5.4Hz,1H),7.51(s,1H),6.65(d,J=8.7Hz,2H),3.95(m,1H),3.03(m,4H,),2.35(m,2H),1.92(m,4H),1.25(d,J=6.3Hz,6H),1.03(t,J=7.5Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl):δ 171.6,162.9,156.3,152.9,140.6,138.5,129.3,128.9,127.2,119.0,117.9,114.8,113.3,42.2,41.0,40.3,32.1,24.1,23.2,21.1,13.7;HRMS(m/z):[M+H]2431OSの計算値423.2219;実測値423.2216。
【0181】
ファトスタチン−ポリプロリンリンカー−ビオチン抱合体(3)の合成:ファトスタチン−KPGQFLYELKKPPPPPPPPPKK(配列番号15)−アミノカプロン酸−ビオチン。抱合体3および4を、N−α−Fmoc保護アミノ酸、N−ε−Fmoc−ε−アミノカプロン酸、12、ビオチン(以前に記載のように逆相HPLCによって精製(Satoら、2007))のカップリングによってRink−Amide MBHA樹脂にて合成した。抱合体3:C1552383529 の計算値3119.9。実測値(MALDI−TOF−MS)3119.7[M+H]
【0182】
プラスミド。pSRE−Luc、pCMV−SREBP−1c(1−436)、pCMV−PLAP−BP2(513-1141)、およびpCMV−SCAPは、J.L.Goldstein and M.S.Brown(University of Texas Southwestern Medical Center)から譲り受けた(Sakaiら、1998;Huaら、1995)。
【0183】
抗体。モノクローナル抗SREBP−1 IgG(2A4)、抗SCAP IgG(9D5)、および抗ATF6 IgG(H−280)を、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。モノクローナル抗SREBP−2 IgG−7D4は、J.L.Goldstein and M.S.Brown(University of Texas Southwestern Medical Center)から譲り受けた。ポリクローナル抗FAS、抗ACC、抗SCD1、および抗ACL IgGは、BD Biosciencesから購入した。
【0184】
細胞培養。チャイニーズハムスター卵巣細胞K1(CHO−K1)細胞を、5%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地/HamのF12培地[1:1]中にて37℃の5%CO下で維持した。ヒトアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞(DU145)を、2mM L−グルタミン、1.0mMピルビン酸ナトリム、0.1mM非必須アミノ酸、および1.5g/L重炭酸ナトリウムを10%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン、および100μg/mL硫酸ストレプトマイシンと共に含むイーグル最少必須培地中にて37℃の5%CO下で維持した。
【0185】
膜画分の調製。細胞を回収し、次いで、緩衝液(10mMHepes・KOH(pH7.4)、10mMKCl、1.5mMMgCl、および1mMEDTAナトリウム)に再懸濁し、22ゲージニードルを通過させ、1,000×gで5分間遠心分離した。ポスト核(postnuclear)上清を、15,000×gで30分間遠心分離し、上清を除去した。
【0186】
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析。DU145前立腺癌細胞を、1μg/mLのIGF1の存在下にて無血清培地中で5μMのファトスタチンまたはDMSOのみで6時間処理し、TRI試薬(Molecular Research Center)中に総RNAを抽出し、RNeasyミニキット(Qiagen)によってさらに単離した。精製mRNAを、約33,000個の十分に実証されたヒト遺伝子由来の39,000個を超える転写物を代表するほぼ45,000個のプローブ組からなるAffymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 Array(Affymetrix,Inc.)によってBaylor College of Medicine Microarray Core Facilityにて分析した。
【0187】
RT−PCR実験。総RNAを、TRI試薬(Molecular Research Center)中でDU145細胞から抽出し、RNeasyミニキット(Qiagen)で単離した。RNAサンプルを、Access RT−PCRシステム(Promega)の使用によってRT−PCTに供した。RT−PCR反応物は、総RNA、1μMの各プライマー、0.2mMdNTP、1mMMgSO、AMV逆転写酵素(2単位)、およびTfl DNAポリメラーゼ(2単位)を最終体積25μLで含んでいた。使用したプライマー対は以下である:5’−TCA GAC CGG GAC TGC TTG GAC GGC TCA GTC−3’(配列番号16)および5’−CCA CTT AGG CAG TGG AAC TCG AAG GCC G−3’(配列番号17)(低密度リポタンパク質受容体(LDLR)用);5’−GCC TGC TTG ATA ATA TAT AAA C−3’(配列番号18)および5’−CAC TTG AAT TGA GCT TTA G−3’(配列番号19)(ステアロイル−CoAデヒドロゲナーゼ (SCD)用);5’ −AAG AAA AAG TGT CAG ACA GCT GG−3’(配列番号20)および5’−TGG ACT GAA GGG GTG TTA GC−3’(配列番号21)(ATPクエン酸リアーゼ(ACL)用);5’−GCC CGA CAG TTC TGA ACT GGA ACA−3’(配列番号22)および5’−GAA CCT GAG ACC TCT CTG AAA GAG−3’(配列番号23)(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル− CoAレダクターゼ(HMG−CoAR)用);5’−CTG CCT GAC TGC CTC AGC−3’(配列番号24)および5’−ACC TCT CCT GAC ACC TGG G−3’(配列番号25)(メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MVD)用);5’−AAG ACT TCA GGG TAA GTC ATC A−3’(配列番号26)および5’−CGT GTA TAA TGG TGT CTA TCA G−3’(配列番号27)(インスリン誘導遺伝子1(INSIG1)用)。増幅条件は以下である:94℃で4分間を1サイクル、その後に94℃での40秒間の変性、50℃で40秒間のアニーリング、68℃で2分間の伸長を、SCDおよびHMG CoA Rについては22サイクル行い、LDLRおよびINSIG1については24サイクル行って58℃でアニーリングし、ACLについては24サイクル行って60℃でアニーリングし、MVDについては30サイクル行って55℃でアニーリングした。増幅DNAを、アガロースゲルによって分析し、Scion−imageソフトウェアを使用して定量した。
【0188】
PLAP−BP2切断。0日目に、CHO−K1細胞を、培地Aを含む96ウェルプレートにプレートした。2日目に、細胞を、リポフェクタミン試薬(Invitrogen)を使用して、pCMV−PLAP−BP2(513-1141)、pCMV−SCAP、およびpAc−β−galで一過性に同時トランスフェクトした。5時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、次いで、ファトスタチン(20μM)またはステロール(10μg/mLコレステロールおよび1μg/mL25−ヒドロキシコレステロール)の非存在下または存在下にて培地B中でインキュベートした。20時間のインキュベーション後、培地のアリコートを、分泌アルカリホスファターゼ活性についてアッセイした。各ウェル中の細胞を溶解し、β−ガラクトシダーゼ活性の測定のために使用した。アルカリホスファターゼ活性を、β−ガラクトシダーゼ活性によって正規化した。
【0189】
酵素活性およびウェスタンブロット分析。凍結肝臓の一部を、液体窒素中で粉砕した。粉末組織を0.1mMPMSF、5mMベンズアミジン、および5mg/mLプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含む10mLのPBS中に懸濁し、Polytron(3×30秒、高速)を使用してホモジナイズし、短時間超音波処理してDNAを破壊した。抽出物を16,000×gで20分間の遠心分離によって清澄化した。上清中のタンパク質濃度を決定し、FAS、ACC、SCD1、およびACLに対する抗体を使用したウェスタンブロット分析に供した。目的のタンパク質の特異的バンドの強度をスキャンし、定量のためにβ−アクチンに対して正規化した。肝臓抽出物由来のFAS活性およびACC活性を、以前に記載のように決定した(Maoら、2006)。
【0190】
参考文献
本明細書中で言及した全ての特許および刊行物は、本発明に属する当業者のレベルを示す。全ての特許および刊行物は、それぞれの刊行物が具体的且つ個別に参考として援用されると示されているのと同程度にその全体が本明細書中で参考として援用される。
【0191】
【数1】

【0192】
【数2】

【0193】
【数3】

【0194】
【数4】

【0195】
【数5】

本発明およびその利点を詳述しているが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化、置換、および変更を行うことができると理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書中に記載の過程、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程の特定の実施形態に制限されることを意図しない。当業者は、本発明の開示から、本明細書中に記載の対応する実施形態と実質的に同一の機能を発揮するか、実質的に同一の結果を達成する、既存またはその後に開発される過程、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を本発明にしたがって使用することができると容易に認識するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかる過程、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程がその範囲内に含まれることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート 4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;その薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせまたは混合物からなる群から選択される化合物。
【請求項2】
前記化合物が、N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン、およびN−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
薬学的に許容可能な賦形剤中に含まれるとさらに定義される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
個体の代謝障害を治療する方法であって、治療有効量の少なくとも1つの一般式:
A−B−C
(式中、
A、B、およびCは同一または異なり、それぞれ、5員環、6員環、または7員環を含み、この環は、複素環もしくは非複素環、置換環、または非置換環であり、
A、B、およびCの任意の1つ、任意の2つ、または3つ全ては、非置換であるか、1つまたは複数の置換を有し、任意の置換は任意の他の置換と同一であっても異なっていてもよく、該置換は、以下:
a)ヒドロキシ;
b)C1〜10アルキル;
c)C2〜10アルケニル;
d)C2〜10アルキニル;
e)C3〜6シクロアルキル;
f)アリール;
g)ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換される)を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を該個体に送達する工程を含む、方法。
【請求項5】
Aは置換されており、1〜5原子の側鎖を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1〜5原子の側鎖が1〜5個の炭素の側鎖である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの化合物が、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−エチルフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(3,4−ジクロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(4−フルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート;4−(4−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;2−フェニル−4−p−トリルチアゾール;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−エチルピリジン;4−(4−クロロフェニル)−2−フェニルチアゾール;2−プロピル−4−(4−(チオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4’−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−プロピル)ピリジン;2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボン酸;2−エチル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−フェニル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル2−(2−プロピルピリジン−4−イル)−4−p−トリルチアゾール−5−カルボキシレート;tert−ブチル4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニルカルバメート;N−シクロヘキシル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−N−トシルベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−8−キノリンスルホンアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)−2−チオフェンスルホンアミド;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの化合物が、安息香酸4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;メチル2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)アセテート;2−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノキシ)酢酸;4−(4−クロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)チアゾール;4−(4−(2,4−ジフルオロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)アセトアミド;N−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;N−ベンジル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;N−(シクロプロピルメチル)−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン;4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボン酸;メチル4−(4−ブロモフェニル)−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシレート;4−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;4−(4−(2−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン;3−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;2−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェノール;4−(4−ブロモフェニル)−N−イソプロピル−2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−5−カルボキシアミド;薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの化合物が、2−プロピル−4−(4−p−トリルチアゾール−2−イル)ピリジン;4−(4−(4−ブロモフェニル)チアゾール−2−イル)−2−プロピルピリジン、N−イソプロピル−4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)ベンゼンアミン、およびN−(4−(2−(2−プロピルピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;薬学的に許容可能な塩;その立体異性体;およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記代謝障害が肥満である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記代謝障害が、肥満、高脂質血症、糖尿病、脂肪肝、高血圧症、前立腺癌、および心血管疾患からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記個体に付加療法を施す、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記代謝障害が肥満であり、前記付加療法が、食事療法、理学療法、行動療法、手術、薬物療法、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される療法を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝障害が糖尿病であり、前記付加療法が、食事療法、理学療法、および薬物療法からなる群から選択される療法を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
化合物が適切な容器に格納されている、請求項1に記載の化合物を含むキット。
【請求項16】
代謝障害のための付加療法をさらに含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
個体のSREBP経路のメンバーを阻害する方法であって、治療有効量の少なくとも1つの一般式:
A−B−C
(式中、
A、B、およびCは同一または異なり、それぞれ、5員環、6員環、または7員環を含み、この環は、複素環もしくは非複素環、置換環、または非置換環であり、
A、B、およびCの任意の1つ、任意の2つ、または3つ全ては、非置換であるか、1つまたは複数の置換を有し、任意の置換は任意の他の置換と同一であっても異なっていてもよく、該置換は、以下:
a)ヒドロキシ;
b)C1〜10アルキル;
c)C2〜10アルケニル;
d)C2〜10アルキニル;
e)C3〜6シクロアルキル;
f)アリール;
g)ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換される)を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を該個体に提供する工程を含む、方法。
【請求項18】
前記SREBP経路のメンバーが、SREBP−1、SREBP−2、またはその両方である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
一般式:
【化1】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
R5は、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、または−SORであり、Rは置換されたアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Y1は窒素であり、Y2およびY3は同一または異なり、硫黄またはメチレンである)を有する化合物。
【請求項20】
一般式:
【化2】

(式中、
R1は、置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
R5は、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、または−SORであり、Rは置換されたアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Xは、−CH−、酸素、硫黄、置換アミノ、−(C=O)−、または−(C=O)NH−であり、
Y1は窒素であり、Y2およびY3は同一または異なり、硫黄またはメチレンである)を有する化合物。
【請求項21】
一般式:
【化3】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
Y1は窒素であり、Y2およびY3は同一または異なり、硫黄またはメチレンである)を有する化合物。
【請求項22】
一般式:
【化4】

(式中、
R1は、置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換され、
Y1は窒素であり、Y2は硫黄であり、Y3は−CH−であるか、Y1は窒素であり、Y2は−CH−であり、Y3は硫黄であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は−CH−であり、Y3は−CH−である)を有する化合物。
【請求項23】
一般式:
【化5】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
Zは、−CH=CH−、硫黄、酸素、またはアルキル置換アミノである)を有する化合物。
【請求項24】
一般式:
【化6】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2、R3、およびR4は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
Y1は窒素であり、Y2はアルキル置換炭素であり、Y3は硫黄であるか、Y1は窒素であり、Y2は酸素であり、Y3はアルキル置換炭素であるか、Y1は窒素であり、Y2はアルキル置換炭素であり、Y3は酸素であるか、Y1はアルキル置換炭素であり、y2は硫黄であり、Y3は窒素であり、Y1はアルキル置換炭素であり、Y2は窒素であり、Y3は硫黄であるか、Y1はアルキル置換炭素であり、Y2はアルキル置換炭素窒素であり、Y3は酸素であるか、Y1はアルキル置換炭素であり、Y2は酸素であり、Y3は窒素であるか、Y1はアルキル置換炭素であり、Y2は窒素であり、Y3は硫黄であるか、Y1は窒素であり、Y2は窒素であり、Y3は酸素であるか、Y1は窒素であり、Y2は酸素であり、Y3は窒素であるか、Y1は窒素であり、Y2は窒素であり、Y3は硫黄であるか、Y1は窒素であり、Y2は硫黄であり、Y3は窒素であるか、Y1は窒素であり、Y2は−CH−であり、Y3はアルキル置換アミノであるか、Y1は窒素であり、Y2はアルキル置換アミノであり、Y3は−CH−であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は窒素であり、Y3は−CH−であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2_CH_、Y3は窒素であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は窒素であり、Y3は窒素であるか、Y1は−CH=N−であり、Y2は−CH−であり、Y3は窒素であるか、Y1は−CH=N−であり;Y2は窒素であり、Y3は−CH−である)を有する化合物。
【請求項25】
一般式:
【化7】

(式中、
R1は、置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Xは、−CH−、酸素、硫黄、−(C=O)−、−(C=O)NH−であり、
R2、R3は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
Y1は窒素であり、Y2は硫黄であり、Y3は−CH−であるか、Y1は窒素であり、Y2は−CH−であり、Y3は硫黄であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は−CH−であり、Y3は−CH−であり、
Zは、−CH=CH−、硫黄、酸素、またはアルキル置換アミノである)を有する化合物。
【請求項26】
一般式:
【化8】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2およびR3は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
X1は窒素であり、X2は−CH−であり、X3は−CH−であるか、X1は−CH−であり、X2は窒素であり、X3は−CH−であるか、X1は−CH−であり、X2は−CH−であり、X3は窒素である)を有する化合物。
【請求項27】
一般式:
【化9】

(式中、
R1は、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、
R2およびR3は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換され、
Y1は窒素であり、Y2は硫黄であり、Y3は−CH−であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は−CH−であり、Y3は−CH−であるか、Y1は窒素であり、Y2は−CH−であり、Y3は硫黄であり、
Zは、−CH=CH−、硫黄、酸素、またはアルキル置換アミノである
)を有する化合物。
【請求項28】
一般式:
【化10】

(式中、
R1は、置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Xは、−CH−、酸素、硫黄、アルキル置換アミノ、−(C=O)−、または−(C=O)NH−であり、
Y1は窒素であり、Y2は硫黄であり、Y3は−CH−であるか、Y1は−CH=CH−であり、Y2は−CH−であり、Y3は−CH−であるか、Y1は窒素であり、Y2は−CH−であり、Y3は硫黄であり、
Zは、−CH=CH−、硫黄、酸素、またはアルキル置換アミノであり、
R2およびR3は同一または異なり、以下:
a)ヒドロキシ;
b)置換または非置換C1〜10アルキル;
c)置換または非置換C2〜10アルケニル;
d)置換または非置換C2〜10アルキニル;
e)置換または非置換C3〜6シクロアルキル;
f)置換または非置換アリール;
g)置換または非置換ヘテロアリール;
ここで、b)、c)、d)、e)、f)、および/またはg)中の置換は、以下:
1)ヒドロキシ;
2)−(C=O)R
3)−(C=O)OR
4)−(C=O)H;
5)−(C=O)OH;
6)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10);
7)ハロ;
8)シアノ;
9)カルボキシ;
10)アミノ;
11)一置換アミノ;
12)二置換アミノ;
13)アミド;
14)一置換アミド;
15)二置換アミド;および
16)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基と任意選択的に置換され、
ここで、2)、3)、または6)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
h)−(C=O)R
i)−(C=O)OR
j)−(C=O)H;
k)−(C=O)OH;
l)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、h)、i)、またはl)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
m)ハロ;
n)シアノ;
o)カルボキシ;
p)アミノ;
q)一置換アミノ;
r)二置換アミノ、
s)アミド;
t)一置換アミド;および
u)二置換アミドからなる群から選択され、
ここで、該一置換アミノ、二置換アミノ、一置換アミド、および二置換アミドの1つまたは複数は、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホキシド、スルホン、スルホナート、アルキルスルホナート、スルホン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される置換を有し、
ここで、u)において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、以下:
i)ヒドロキシ;
ii)−(C=O)R
iii)−(C=O)OR
iv)−(C=O)H;
v)−(C=O)OH;
vi)−O(CHCOOR(式中、n=1〜10)、
ここで、ii)、iii)、またはvi)において、Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
vii)ハロ;
viii)シアノ;
ix)カルボキシ;
x)アミノ;
xi)一置換アミノ;
xii)二置換アミノ;
xiii)アミド;
xiv)一置換アミド;
xv)二置換アミド;および
xvi)それらの任意の組み合わせからなる群から選択される1〜5個の基で任意選択的にさらに置換される)を有する化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2010−519181(P2010−519181A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548468(P2009−548468)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/052778
【国際公開番号】WO2008/097835
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(391058060)ベイラー カレッジ オブ メディスン (16)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
【Fターム(参考)】