説明

仮想コード窓

機械可読コードは、基材上に設けられる図形標識の一部分を含む。このコードは、一時的な境界によって画定されている。その一時的な境界は、コードが読み取られる時にのみ固定トリガー点を基準として読取装置により生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形コードに関し、詳細には、コード窓によって画定された図形コードに関する。
【背景技術】
【0002】
図形的に(グラフィカルに)表現された機械可読コードが知られている。かかるコードは、消費者向けの商品および市販製品に一般に使用され、これを読み取ると、例えば製品のコスト、明細項目、原産地などに関する情報を提供することができる。こういったタイプのコードは、スーパーマーケットでの精算の自動化や、在庫管理、正しい製品が適正な梱包に入っているかの照合に使用することができる。このタイプのより複雑な機械可読コードは、調合薬、アルコール、たばこなどの特定の消費者の製品に対するセキュリティ機能として使用したり、通貨、債券、納税印紙、旅券、IDカードなどの有価証券類に使用して、偽造、成り済まし、流用を防止したりすることができる。一般に使用されているコード形式には、いくつかの種類があり、それには文字数字式コード、1次元バーコード、2次元バーコードが含まれる。ただし、こういったタイプのコードは比較的複写しやすい。かかるコードの生成に使用されるアルゴリズムは公開されているので、場合によっては一連のコードの範囲内で次のコードを推測することも可能である。さらに、コード内部で符号化されている情報は、データが暗号化されている場合でも、データベースを参照せずにその情報をコードから引き出すことができる。このデータは、権限のない目的のために使用することも、改ざんすることもでき、それによって、セキュリティまたは追跡装置としてのコードの有効性が著しく低下する。
【0003】
1つの精巧な機械可読コードが、本願発明者の特許文献1(その全体を参照によりここに援用する)に記載され、フラクチャーコード社の商標(登録商標)で市販されている。他の商用機械可読コードに優るこのタイプのコードの利点には、非常に多数のランダムな一意のコードを生成する機能が含まれる。その他の主要な利点は、コード自体はデータを持たず、コードの生成(印刷)にデータが必要ない点である。これによって、コードは、使用されるときまで意味を持たない。
【0004】
すでに述べたものなどの有価証券や消費者製品や、そのパッケージングなどの物品が、かかるコードで印付けされる。コードが付いた物品に関する情報を取得するために、このコードを装置で読み取らなければならない。装置は、まずスキャン操作を実行して、コードの画像をデジタル式に取得する。次いで、この画像を電子的に処理して、アルゴリズムを適用することによって、一意の英数字の記述子を取り出す。この記述子を、データベースで、その物品に対応するデータを検出するのに使用することができる。
【0005】
このコードは、一般に物品の表面に設けられ、線(ライン)、点(ドット)、楕円またはその他のマーク、あるいはそれらの組合せからなる一意の図形パターンを含む。このパターンの領域は、矩形枠またはその他のいくつかの図形的境界によって画定されて、物理的なコード窓を形成する。この一意の図形標識を印刷するには、特殊な印刷装置を使用しなければならない。
【0006】
いくつかの理由で、このコードを複写するのは特に困難である。
【0007】
まず、必要な精度で、すなわち読み取り装置が、元のコードと複写コードのライン位置を区別できないように、かつ、元のコードをスキャンしたときに生成されるはずの英数字記述子と同じ英数字記述子を生成するように、コードを再現することが困難である。この特徴は、ある程度、コードの詳細度によって決まる。
【0008】
第2に、コードの多くは面積が1mm×1mm以下であり、場合によっては紫外線インク、赤外線インクまたはその他の変換セキュリティインクで印刷される。
【0009】
こういったコードの主要なセキュリティ上の利点とは、復号化アルゴリズムが無いと英数字の記述子を推定することができないことである。さらに、アルゴリズムが知られた場合でも、セキュリティ保護されたデータベースにアクセスしないと、英数字記述子に対応するデータを取得することはできない。
【0010】
こういったコードは複写、推定することは困難であるが、矩形枠またはその他のいくつかの図形的境界で画定された領域のみが重要部分なので、権限付与なく読み取ろうとする場合に再現する必要のある部分は、コード窓とその内部の領域のみである。つまり、基材上の図形パターン全体を複写する必要はなく、コード窓外のライン・パターンは、実質上余分だということである。さらに、権限付与なくコードを読み取りたい場合、図形パターンのどの部分を注目すべきかは、その部分が矩形枠またはその他いくつかの図形境界で取り囲まれているので分かる。
【0011】
他の考慮すべき事項は、窓のサイズを大きくすると、より多くのコードを複写する必要があるので、コードの偽造または複写は困難になるが、美観上の理由により、パッケージング上の製品グラフィックや文書上のデータと干渉しないように、窓のサイズは小さく保たなければならない。
【0012】
特許文献2には、初期の識別子を備えた物体(紙幣や、小切手)が開示されている。初期の識別子は、その物体に埋め込まれた複数の識別要素の形をしており、この識別要素は、赤外線または紫外線の電磁放射によって照光されると視覚的に検出可能であるが、可視光で照光されたときはその物体の他の部分と視覚的に区別できなくなる。識別要素の位置は、物体に対して実質的に一意であるようにランダムに分布する。物体は、印刷された記号の形をした参照点を有し、この参照点が物体の下位領域を定義する。下位領域には、少なくともいくつかの識別要素が設けられる。かかる物体の真贋を照合するための方法および検出器も開示されている。物体の照合は、測定による、上記参照点を基準とした下位領域内の識別要素の位置に関する情報を、記録された本物の物体の情報と比較することによって行われる。
【0013】
かかるシステムについては不利な点がいくつかある。まず、識別要素のランダムな分布のパターンは、完全に偶然により決定される。したがって、その一意性は保証することができず、好ましくない反復が生じるのを計算上除外することができない。第2に、参照点が、物体の識別に使用される領域を定義している。参照点は、識別領域のサイズおよび形状を示すことはできないが、必然的にこの領域の位置を示唆する。第3に、例えば追加のセキュリティのためなど、複数の識別領域が必要な場合、それを実現するには、それぞれの識別領域を定義する参照点を複数用意するしかない。これは、物体の美的外観に支障をきたす可能性がある、というより重要なことには、偽造しようとしている者に参照点の意味を知らせてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】英国特許第2383878号
【特許文献2】国際公開第2005/080088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、よりいっそう目に付かず、それによって権限の無い複写、改ざん、または読み取りがより困難となるコードを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によると、基材上に設けられる図形標識の一部分を含んだ機械可読コードが提供される。このコードは、一時的な境界によって画定される。この境界は、コードが読み取られる時にのみ固定トリガー点(固定されたトリガー点)を基準として読取装置により生成される。
【0017】
コードは、図形標識の、一時的な境界によって画定された少なくとも1つの他の部分を含むことができ、この境界は、コードの読取り時のみ固定トリガー点を基準として読取装置により生成される。
【0018】
トリガー点を基準とした、一時的な境界または各一時的な境界の位置は、装置に保存することができる。トリガー点を基準とした、一時的な境界または各一時的な境界の位置は、第2の機械可読コードで表現することができる。第2の機械可読コードはバーコードであってよい。
【0019】
トリガー点は図形記号であってよい。トリガー点はバーコード上の点であってもよい。トリガー点は非対称でもよい。
【0020】
本発明の第2の態様によると、図形標識を符号化する方法が提供される。この方法は、図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するステップと、図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、固定トリガー点を基準として電子的に作り出すステップと、記述子を生成するために、取得した画像の境界内部に設けられた部分を処理するステップと、記述子にデータを割り当てるステップと、その関係を記憶手段に保存するステップとを含む。
【0021】
方法はさらに、トリガー点を基準とした一時的な境界の位置を判定するために、バーコードを復号化するステップを含むことができる。
【0022】
本発明の第3の態様によると、図形標識を符号化するための装置が提供される。この装置は、図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するためのカメラと、固定トリガー点を検出する検出ユニットと、図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、トリガー点を基準として電子的に作り出すための窓計算ユニットと、記述子を生成するために、取得した画像の境界内部に設けられた部分を処理するためのプロセッサと、記述子にデータを割り当てるための割り当てユニットと、その関係を保存する記憶手段とを備える。
【0023】
装置がさらに、トリガー点を基準とした一時的な境界の位置を判定するために、バーコードを復号化するためのバーコード復号器を含むことができる。
【0024】
本発明の第4の態様によると、図形標識を復号化するための方法が提供される。この方法は、図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するステップと、図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、固定トリガー点を基準として電子的に作り出すステップと、記述子を生成するために、取得した画像の、境界内部に設けられた部分を処理するステップと、記述子に関するデータを記憶手段から取り出すステップとを含む。
【0025】
方法はさらに、トリガー点を基準とした一時的な境界の位置を判定するために、バーコードを復号化するステップを含むことができる。
【0026】
本発明の第5の態様によると、図形標識を復号化するための装置が提供される。この装置は、図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するためのカメラと、固定トリガー点を検出する検出ユニットと、図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、トリガー点を基準として電子的に作り出すための窓計算ユニットと、記述子を生成するために、取得した画像の境界内部に設けられた部分を処理するためのプロセッサと、データが保存される記憶手段と、記述子に関するデータを記憶手段から取得するための取り出しユニットとを備える。
【0027】
装置はさらに、トリガー点を基準とした一時的な境界の位置を判定するために、バーコードを復号化するためのバーコード復号器を含むことができる。
【0028】
図形標識またはその一部分は、一意であってよく、また抽象的であってもよい。本明細書でバーコードという語を使用する場合、この語にはデータ・マトリックス(DataMatrix)、PDF−417、Micro−PDF−417、QRコード、マキシコード(MaxiCode)、コーダバー(Codabar)、RSS、1次元バーコードなどのコードが含まれるが、それに限定されないと解釈されたい。
【0029】
本発明は、本明細書で述べる特徴または制約の任意の組合せを、互いに相容れないかかる特徴の組合せを除いて含むことができる。
【0030】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】本発明の第1の実施形態によるコードの図である。
【図1b】本発明の第1の実施形態によるコードの図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるコードに、データを割り当てるための装置の概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるコードを読み取るための装置の概略図である。
【図4a】本発明の第2の実施形態によるコードの図である。
【図4b】本発明の第2の実施形態によるコードの図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるコードに、データを割り当てるための装置の概略図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるコードを読み取るための装置の概略図である。
【図7a】本発明の第3の実施形態によるコードの図である。
【図7b】本発明の第3の実施形態によるコードの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
図1を参照すると、フィルム・パッケージ材でオーバーラップ包装された物品10が示されている。そのパッケージ材の上に、開封テープ12が、パッケージ材を簡単に取り外すことができるように配置されている。開封テープ12は、複数の印刷された直線ライン14を有し、このライン14は、少なくとも数本が互いに交差するように様々な角度で配置されている。かかるテープは、例えば本願発明者の特許文献1に記載されている方法によって製造することができる。ライン14のパターンは連続的に変化し、したがって開封テープ12のあらゆる部分が、その表面上に一意のラインパターンを有する。この例では複数の交差するラインであるが、コードには、ドット、矩形、楕円、またはかかる要素やおよび/または形状の組合せなど、その他の要素または形状を含めることができる。印刷時には、符号化ライン14には何の意味もなく、何のデータも情報も関連付けられていない。したがって、例えば、その表面全体に印刷された、何の意味ももたない一意の抽象的な図形標識14を有する一巻きの開封テープ12を提供することができる。データを符号化ライン14の一部分と関連付けるには、コード窓18を定義し、ラインを読み取り、符号化し、次いでそれにデータを割り当てなければならない。符号化ライン14は、従来のインクで印刷することができ、または、特定の周波数範囲にある光で照光(すなわち照射)された場合のみ検出可能なインクなどの隠しインクを使用して印刷することもできる。
【0033】
図2には、符号化ライン14を読み取り、その一部分を符号化し、それにデータを割り当てるための装置200の概略図が示されている。カメラ202は、符号化ライン14の画像を取得する。誤り訂正・画像強調ユニット204は、取得した画像を電子的に誤り訂正し、強調する。次いで、検出ユニット206が、開封テープ14すなわち物品10上の所定のトリガー点16を検出する。トリガー点16は、物品10の隅、物品10すなわち開封テープ14上の非対称マークまたはドット、物品上の既存の図形、あるいはその他任意の機械可読ポイントであってもよく、従来のインクまたは隠しインクを使用して印刷してもよい。次いで、窓計算ユニット207が、事前定義された座標に基づいて、トリガー点16を基準として、符号化ライン14の一部分の周りに、指定のサイズおよび形状の仮想コード窓18を作り出す。トリガー点16を基準とした仮想コード窓18の座標は、装置200によって定義され、よって、スキャンされる物品10の仮想コード窓の位置はどれも同じになる。ただし、仮想窓18内の符号化ライン14のパターンは、物品ごとに一意である。これは、図1aおよび1bに例示されている。次いで、復号化手段208が、符号化ライン14の、仮想コード窓18によって画定された部分であるコード20を処理し、プロセッサ209が、アルゴリズムを適用して、英数字の記述子22を生成する。次いで、データ割り当てユニット210が、特にその物品10に割り当てられるデータ212を取得し、英数字の記述子22と物品10に関連するデータが、記憶手段214内で互いに関連付けられる。データ212および英数字の記述子22は、表示手段216に表示することができる。
【0034】
図3には、物品10上のコード20を読み取るための手持ち式の読み取り装置300の概略図が示されている。カメラ302は、符号化ライン14の画像を取得し、誤り訂正・画像強調ユニット304は、取得した画像を電子的に誤り訂正し、強調する。検出ユニット306は、所定のトリガー点16を検出し、窓計算ユニット307は、トリガー点16を基準として、事前定義された座標情報に基づいて、指定のサイズおよび形状の仮想コード窓18を作り出す。仮想コード窓18は、物品が最初にスキャンされたときと同じ位置である。次いで、復号化手段308が、符号化ライン14の、仮想コード窓18によって画定された部分であるコード20を処理し、プロセッサ309が、アルゴリズムを適用して、英数字の記述子22を生成する。次いで、データ取り出しユニット310が、記述子22に関連付けられたデータを、上記符号化プロセス中にデータが保存された記憶手段214から取得する。次いで、表示手段316が、スキャンした物品10に関するデータを表示する。
【0035】
コード20が仮想窓18内部に設けられるということは、つまり、コードを偽造または複写したくても、権限がなければ、図形標識14のどの部分がコード20の生成に使用されているか識別できないということである。したがって、このコードを偽造または複写するには、図形標識全体を正確に再現する必要があり、これは非常に困難であるはずである。他の利点は、コード20を読み取りたくても、権限がなければ、図形標識14のどの部分をスキャンすべきか、図形的に示されていないので識別できないということである。さらに、窓18は、図形的に表現されていないので、物品および/またはそのパッケージングの美的外観の邪魔にならないということで、必要なだけ大きくすることができる。つまり、図形標識14のどの場所を再現すべきか知っていても、依然として、大きな面積を正確に複製しなければならず、これによって、ますます複製が困難になる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図4には、本発明の第2の実施形態の概略図が示されている。IDカードの形をした物品30が、その表面32上に、複数の印刷された直線ライン34を有し、このライン34は、少なくとも数本が互いに交差するように様々な角度で配置されている。複数の物品30ごとの、表面32上にある符号化ライン34のパターンは固定されており、したがって一連の物品はどれも、その表面に同じラインのパターンを有する。さらに、カード30の表面32に、この例では非対照なマークであるトリガー点36と、機械可読コード44が印刷される。機械可読コードは、例えば英数字のコードでも、バーコードでもよい。機械可読コードは、それがバーコードの場合、総称して「バーコード」と呼ばれる現在周知のコードのうち、ほぼ任意のコードにすることができる。これには、データマトリックス(DataMatrix)、PDF−417、Micro−PDF−417、QRコード、マキシ・コード(MaxiCode)、コーダバー(Codabar)、RSS、1次元バーコードなどのコードが含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
符号化ライン34、トリガー点36およびバーコード44は、従来のインクを用いて印刷することができ、または、特定の周波数範囲にある光で照光(すなわち照射)された場合のみ検出可能なインクなどの隠しインクを使用して印刷することもできる。符号化ライン34は、印刷されたときは意味をもたないが、バーコード44は、印刷されたときに情報を含んでいる。バーコード44は、その中でも、トリガー点36を基準とした仮想コード窓38の座標を含んでいる。トリガー点36は、符号化ライン34の前または後に印刷することができる。仮想コード窓38の位置は、物品30ごとに異なる。したがって、仮想コード窓38によって画定されるコード40は、物品ごとに一意となる。
【0038】
バーコード44だけでなく、コード40を定義する仮想窓38も、位置座標にばらつきがあってよい。それだけでなく、そのサイズ、形状および/または数もそれぞれ異なっていてよい。例えば、バーコード44は、トリガー点36を基準として異なる位置に配置した2つの窓(1つは円形、1つは矩形)を定義することもできる。さらに、バーコード44は、英数字の文字列を含むこともでき、この文字列を、バーコード44自体に含まれている座標ではなく、データベース内での仮想コード窓の座標および/またはその他の特性の検出に使用することもできる。
【0039】
図5を参照すると、符号化ライン34を読み取り、それにデータを割り当てるための装置200の概略図が示されている。これは、バーコード復号器205が存在する以外、図2に示されている装置とほぼ同じである。コード40にデータを割り当てる方法は、仮想コード窓38の座標が、装置で事前定義された座標ではなく、物品上のバーコード44を復号化することによって決定される点以外、第1の実施形態の方法と同じである。
【0040】
図6には、物品30上のコード40を読み取るための手持ち式の読み取り装置300の概略図が示されている。これは、バーコード復号器305が存在する点以外、図3に示されている装置とほぼ同じである。コード40を読み取る方法は、バーコード44をスキャンし、それを復号化することによって、トリガー点36を基準とした仮想コード窓38の座標を決定する点以外、第1の実施形態の方法とほぼ同じである。
【0041】
(第3の実施の形態)
図7には、本発明の第3の実施形態が示されている。これは、基材52上に設けられる符号化ライン54が連続的に変化する点以外、第2の実施形態とほぼ同じである。これを実現する1つの方法が、本願発明者の特許文献1に記載されている。したがって、基材の任意の部分上の符号化ライン54は一意である。仮想コード窓58の位置に関する情報を含むバーコード64もまた、トリガー点56を基準として基材上に配置される。仮想コード窓58は、コード60を定義する。この実施形態におけるトリガー点56は、バーコード64の隅である。コード60は、第2の実施形態について説明したように、図5に示されている装置によってデータを割り当てることができる。コード60は、第2の実施形態について説明したように、図6に示されている装置を使用して読み取ることができる。
【0042】
この図形標識は、インクで印刷されたり、インクを噴霧したりした図形標識を使用するのではなく、基材内の繊維のランダムな配列を含んでもよい。かかる繊維は、製造プロセス中に基材に混合することができ、着色したものでも、紫外線感光性のものであってもよい。
【0043】
上記で説明したプロセスで使用されるインクは、標識インクでもよく、これには発光成分や燐光成分、あるいはUV遮蔽物などのフィルタが含まれてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられる図形標識の一部分を含んだ機械可読コードであって、前記コードが、一時的な境界によって画定され、前記境界が、前記コードが読み取られる時にのみ固定トリガー点を基準として読取装置により生成されることを特徴とする機械可読コード。
【請求項2】
前記コードが、前記図形標識の少なくとも一つの他の部分を含み、前記他の部分は、一時的な境界によって画定され、前記境界が、前記コードが読み取られる時にのみ固定トリガー点を基準として読取装置により生成される、請求項1に記載のコード。
【請求項3】
前記トリガー点を基準とした、前記一時的な境界または各一時的な境界の位置が、前記装置に保存される、請求項1または2に記載のコード。
【請求項4】
前記トリガー点を基準とした、前記一時的な境界または各一時的な境界の位置が、第2の機械可読コードで表現される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコード。
【請求項5】
前記第2の機械可読コードがバーコードである、請求項4に記載のコード。
【請求項6】
前記トリガー点が図形記号である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコード。
【請求項7】
前記トリガー点がバーコード上の点である、請求項6に記載のコード。
【請求項8】
前記トリガー点が非対称である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコード。
【請求項9】
図形標識を符号化する方法であって、
前記図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するステップと、
前記図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、固定トリガー点を基準として電子的に生成するステップと、
前記取得した画像の前記境界内部に設けられた部分を処理して記述子を生成するステップと、
前記記述子にデータを割り当てるステップと、
前記割り当てた関係を記憶手段に保存するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
バーコードを復号化して、前記トリガー点を基準とした前記一時的な境界の位置を判定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
図形標識を符号化するための装置であって、
前記図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するカメラと、
固定トリガー点を検出する検出ユニットと、
前記図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、前記トリガー点を基準として電子的に生成する窓計算ユニットと、
前記取得した画像の前記境界内部に設けられた部分を処理して記述子を生成するプロセッサと、
前記記述子にデータを割り当てる割り当てユニットと、
前記割り当てた関係を保存する記憶手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
バーコードを復号化して、前記トリガー点を基準とした前記一時的な境界の位置を判定するバーコード復号器をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
図形標識を復号化するための方法であって、
前記図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するステップと、
前記図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、固定トリガー点を基準として電子的に生成するステップと、
前記取得した画像の前記境界内部に設けられた部分を処理して記述子を生成するステップと、
前記記述子に関するデータを記憶手段から取り出すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記トリガー点を基準とした前記一時的な境界の位置を判定するために、バーコードを復号化するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
図形標識を復号化するための装置であって、
前記図形標識の少なくとも一部分の画像を取得するカメラと、
固定トリガー点を検出する検出ユニットと、
前記図形標識の一部分の周りに一時的な境界を、前記トリガー点を基準として電子的に生成する窓計算ユニットと、
前記取得した画像の前記境界内部に設けられた部分を処理して記述子を生成するプロセッサと、
データが保存される記憶手段と、
前記記述子に関するデータを前記記憶手段から取得する取り出しユニットと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項16】
バーコードを復号化して、前記トリガー点を基準とした前記一時的な境界の位置を判定するバーコード復号器をさらに備える、請求項15に記載の装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate


【公表番号】特表2010−518473(P2010−518473A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547754(P2009−547754)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000309
【国際公開番号】WO2008/093079
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(504218370)フラクチャー コード コーポレーション エーピーエス (5)
【Fターム(参考)】