説明

仮想ノード装置のコンフィグ制御方法

【課題】利用者からの通知内容に基づいて、ネットワーク管理システムにより仮想ノード装置のコンフィグを容易に設定可能とする。
【解決手段】ネットワーク管理システムは、利用者から送付されたコンフィグ制御要求メッセージを受信し(ステップS1)、受信したコンフィグ制御要求メッセージの内容を解析する(ステップS2)。次に、ネットワーク管理システムは、コンフィグ制御要求メッセージの解析結果に基づいて、新たなコンフィグ制御要求メッセージを生成し、生成されたコンフィグ制御要求メッセージを各ノード装置に送信する(ステップS3)。各ノード装置は、受信したコンフィグ制御要求メッセージに従って、それぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御する(ステップS4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者からの要求に応じて要求通りの仮想ネットワークを動的に提供し、かつ複数の仮想ネットワークを1つの物理ネットワーク上で並存させる、ネットワーク仮想化を実現するための仮想ノード装置のコンフィグ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本、北米、ならびにヨーロッパにおいてネットワーク仮想化技術の研究開発が盛んである。ネットワーク仮想化技術とは、利用者からの要求に応じて要求通りの仮想ネットワークを動的に提供し、かつ複数の仮想ネットワークを1つの物理ネットワーク上で並存させるための技術である。
【0003】
2000年〜2007年頃までのネットワーク仮想化の具体例がいくつか知られてる(例えば、非特許文献1、2)。
【0004】
非特許文献1、2は、利用者からの要求に応じて要求通りの計算機環境を動的に提供する際、該計算機環境を構成する計算機群の間を接続するための仮想ネットワーク群を併せて提供する技術を述べている。但し、仮想ネットワークの実現方法は、多種多様に存在している(例えば、非特許文献3〜6)。これら非特許文献3〜6のいずれの技術を基本技術として選んでも、最終的に仮想ネットワークを実現できる。
【0005】
すなわち、非特許文献1、2は、クラウド・コンピューティングと呼ばれる、多数の計算機群を組み合わせた大規模計算機環境において、仮想ネットワークの通信帯域や、伝搬遅延時間を制御して品質レベルを保証する。非特許文献1、2のおかげで、それらによって接続された計算機間の連携処理は、円滑、かつ計画的に実行でき、大規模計算機環境は、高いレベルでの処理能力を保証できる。
【0006】
非特許文献1、2では、仮想ネットワークの通過するノード装置群の制御を通じ、仮想ネットワークが設定、削除、もしくは変更される。ノード装置は、光分岐挿入装置、光クロスコネクト装置、SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)伝送装置、SONET/SDHクロスコネクト装置、レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチ、MPLS−TP(Multiprotocol Label Switching -Transport Profile)スイッチ、ルータ、もしくは計算機や、レイヤ4−7スイッチなどのサーバのいずれかである。
【0007】
但し、利用者は、仮想ネットワークを使用することはできても操作することはできない。なぜなら、ある利用者が仮想ネットワークを通過するノード装置群のコンフィグを変更する場合、他の利用者たちの仮想ネットワークにも、その変更の影響を与えてしまう可能性があるためである。それゆえ、物理ネットワーク、かつ仮想ネットワークの管理者は、利用者に仮想ネットワークを操作させず、利用者の意向を聞いて、管理者所有の管理・制御システムが仮想ネットワークを操作している。
【0008】
しかし、同時期に別のネットワーク仮想化技術も登場した。そのネットワーク仮想化技術は、非特許文献1、2の技術に加え、仮想ネットワークの通過するノード装置群のそれぞれの内部に仮想的なノード装置、すなわち仮想ノード装置を動的に作成する技術を述べている。仮想ノード装置群もまた利用者に提供される。仮想ノード装置という概念は、以前から存在し、バーチャル・ルータやロジカル・ルータという技術で2000年代前半から既に製品として販売されている。
【0009】
仮想ノード装置の特徴は、次の通りである。あるノード装置において、ある利用者の仮想ノード装置を変更しても、他の利用者の仮想ノード装置にその変更の影響を与えない。さらに、仮想ノード装置毎に、CPU(中央演算処理装置)や、メモリサイズ、ストレージサイズ、インターフェースの物理帯域を割り当てることができる。
【0010】
それゆえ、ノード装置の処理能力を仮想ノード装置群のそれぞれに分割して割り当てることができるとともに、仮想ノード装置毎に処理能力を規定、もしくは保証することができる。一般的に、ノード装置がルータである場合には、仮想ノード装置もルータであり、ノード装置がレイヤ2/3スイッチである場合には、仮想ノード装置もレイヤ2/3スイッチである。すなわち、ノード装置の特性を仮想ノード装置も引き継ぐ。
【0011】
仮想ノード装置という技術のおかげで、利用者は、仮想ノード装置群を制御することによって仮想ネットワーク自体を自在に操作できる。2008年以降、新たなネットワーク仮想化技術が登場した(例えば、非特許文献7〜9参照)。
【0012】
非特許文献9に記載のNode sliverとは、仮想ノード装置のことであり、Link Sliverとは、仮想ノード装置の間を接続する仮想リンクである。
【0013】
非特許文献7〜9に記載されている技術の特筆すべき点は、仮想ノード装置がノード装置の特性に依存しないところである。例えば、ノード装置がサーバである場合には、仮想ノード装置がルータ、レイヤ2スイッチ、もしくはサーバとなることも可能である。
【0014】
さらに、仮想ノード装置の利用者は、物理インフラに依存することなく、自分自身の要求通りの仮想ネットワークを手に入れ、自在に操作できる。例えば、利用者が仮想ネットワークにおいて、これまでにないレイヤ2や、レイヤ3のプロトコルを使用する場合、利用者が仮想ノード装置を、使用されるレイヤ2やレイヤ3のプロトコルに合わせて制御することにより、その新しいプロトコルに準拠した仮想ネットワークを生成できる。
【0015】
図8は、一般的なネットワーク、及び仮想ネットワークの一構成例を示すブロック図である。非特許文献9で紹介される、既存のネットワーク仮想化技術を、図8を参照して詳細に説明する。ノード装置1〜3は、他のノード装置と物理リンクで接続されて、かつ利用者関係のネットワーク(NW)とも物理リンク(実線)で接続されて主信号が流れる。ノード装置1〜3は、Node sliverと呼ばれる仮想ノード装置1a〜3aを操作し、かつlink sliverと呼ばれた仮想リンク(点線)を操作し、仮想ノード装置1a〜3a間を物理リンク経由の仮想リンクで接続する。
【0016】
2つの利用者関係のネットワークの間を流れる主信号は、仮想ノード装置群や、仮想リンク群を経由して仮想ネットワーク内を転送される。また、ノード装置1〜3は、ネットワーク管理システム5とも接続されており、管理・制御メッセージを交換する。ネットワーク管理システム5は、利用者からの仮想ネットワークの操作要求を受け付け、操作要求に基づいて仮想ネットワークを制御する。
【0017】
図9は、従来技術によるノード装置1〜3の一構成例を示すブロック図である。物理部10は、ノード装置1〜3の共通部分であり、物理ポートや、物理ポート間の配線などである。仮想機能部11の空き資源12は、CPU、メモリ、ストレージ、もしくはそれらに類する資源である。管理部13は、ネットワーク管理システム5と管理・制御メッセージを交換し、管理・制御メッセージに基づいて、仮想機能部11の空き資源12を動的に確保し、確保された資源を使用して仮想機能部11を生成する。仮想機能部11は、1つ以上の仮想ノード装置や、1つ以上の仮想リンクから成る。
【0018】
図10は、従来技術による仮想ネットワーク生成動作の一例を示すシーケンス図である。図11は、従来技術による仮想ネットワーク生成要求メッセージの一例を示す概念図である。また、図12、図13、図14、もしくは図15は、コンフィグ制御コマンドの例を示す概念図である。図10に示すように、まず、利用者20は、ネットワーク管理システム5に対して、図11に示す仮想ネットワーク生成要求メッセージを送信する。ネットワーク管理システム5は、受信された仮想ネットワーク生成要求メッセージの内容を解析し、関連するノード装置の情報を確認する。
【0019】
次に、ネットワーク管理システム5は、関連するノード装置1〜3毎に受信された仮想ネットワーク生成要求メッセージの内容を編集する。ネットワーク管理システム5は、編集された仮想ネットワーク生成要求メッセージを関連するノード装置1〜3に送信する。各ノード装置1〜3は、受信された仮想ネットワーク生成要求メッセージに基づき、仮想機能部11を生成する。
【0020】
一方、図16は、従来技術における仮想ネットワーク削除動作の一例を示すシーケンス図である。図17は、従来技術による仮想ネットワーク削除要求メッセージの一例を示す概念図である。図16に示すように、仮想ネットワークの削除処理の流れは、生成処理の流れとほぼ同じである。但し、ネットワーク管理システム5は、仮想ネットワークの生成処理の際、仮想ネットワークの名前と関連するノード装置との対応関係を管理する。それゆえ、削除処理の際、利用者20は、ネットワーク管理システム5に対し、図17に示す仮想ネットワーク削除要求メッセージとして、仮想ネットワークの名前だけを通知すればよい。
【0021】
仮想ネットワーク削除要求メッセージを受信したネットワーク管理システム5は、自身の保有するデータベースを参照して、関連するノード装置群の情報を抽出し、抽出された関連するノード装置1〜3に仮想ネットワーク削除要求メッセージを送信する。一方、各ノード装置1〜3は、仮想ネットワークの名前と関連する仮想機能部11、すなわち仮想ノード装置1a〜1cと仮想リンク(点線)とをデータベースで管理している。それゆえ、仮想ネットワーク削除要求メッセージを受信した各ノード装置1〜3は、仮想ネットワークの名前に基づき、対応する仮想ノード装置1a〜1cと仮想リンク(点線)とを削除する。
【0022】
ノード装置1〜3内の管理部13は、仮想ノード装置1a〜1cの生成とともに、利用者20が仮想ノード装置1a〜1cに遠隔操作できるような設定を行う。例えば、管理部13は、仮想ノード装置1a〜1cに管理ポートを生成し、管理ポートにIPアドレスを割り当て、仮想ノード装置1a〜1c内でTelnetサーバを起動する。
【0023】
一方、管理部13は、ネットワーク管理システム5に管理ポートのIPアドレスを報告する。さらに、ネットワーク管理システム5は、管理ポートのIPアドレスを利用者20に通知する。これにより、利用者20は、Telnetクライアントを使用して管理ポート経由でTelnetサーバにアクセスし、図10の下段に示すように、仮想ノード装置1a〜1cのコンフィグを制御できる。利用者20は、図12、図13、図14、図15、もしくはそれらの一部のコマンド内容を仮想ノード装置1a〜1cにTelnet経由で送信し、仮想ノード装置1a〜1cのコンフィグにコマンド内容を書き込む。これにより、仮想ノード装置1a〜1cのコンフィグが変更される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】竹房あつ子、他「グリッドにおける計算資源と光パスネットワーク資源のコアロケーション実験」SACSIS(Symposium on Advanced Computing systems and Infrastructures) 2006
【非特許文献2】竹房あつ子、他「ミドルウェア連携による計算・ネットワーク資源の日米間グリッドコアロケーション実験」第164 回計算機アーキテクチャ・第109 回ハイパフォーマンスコンピューティング合同研究発表会
【非特許文献3】IETF RFC3031、「Multiprotocol Label Switching Architecture」2001年
【非特許文献4】IETF RFC3985、「Pseudo Wire Emulation Edge-to-Edge (PWE3) Architecture」2005年
【非特許文献5】IEEE 802.1Q「IEEE Standards for Local and Metropolitan Area Networks: Virtual Bridged Local Area Networks」2005年
【非特許文献6】IETF RFC2764、「A Framework for IP Based Virtual Private Networks」2000年
【非特許文献7】下西英之、 他「OpenFlow技術を利用した仮想インフラストラクチャの構築」、新世代ネットワークワークショップ 2009、2009年
【非特許文献8】岩田淳、他「新世代ネットワーク基盤技術−OpenFlow Switching技術」、信学技報, vol. 109, no. 273, NS2009-103, pp. 1-6, 2009年
【非特許文献9】中尾 彰宏、「アーキテクチャとしてのネットワーク仮想化とアプリケーション」、新世代ネットワークワークショップ 2009、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上述した非特許文献7〜9に代表される従来技術では、仮想ノード装置1a〜3a内のコンフィグの制御が利用者20の責任となっており、利用者20における仮想ネットワークの運用負担が大きい。
【0026】
この問題は、一般的な利用者20から見て以下の問題に発展する。
第1の問題は、次の通りである。一般的な利用者20は、仮想ノード装置1a〜3aを設定するための知識を保有していない場合があり、そのような利用者20のために、ネットワーク管理システム5が仮想ノード装置1a〜3a内のコンフィグを自動制御することが望まれる。一般的な仮想ノード装置1a〜3aのコンフィグとして、ルーティングプロトコルや、ルーティングテーブル、フォワーディングプロトコル、フォワーディングテーブル、インターフェースのIPアドレスやMACアドレスなど、が設定される必要がある。
【0027】
第2の問題は、次の通りである。一般的な利用者20が望む仮想ノード装置1a〜3aは、光分岐挿入装置、光クロスコネクト装置、SONET/SDH伝送装置、SONET/SDHクロスコネクト装置、レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチ、MPLS−TPスイッチ、ルータ、もしくは計算機やレイヤ4−7スイッチなどのサーバのいずれかであると考えられる。すなわち、一般的な利用者20は、これまでにない新たな機能性を有する仮想ノード装置を欲しておらず、ネットワーク管理システム5によって仮想ノード装置1a〜3a内のコンフィグを自動制御することが望まれる。
【0028】
第3の問題は、次の通りである。ノード装置1〜3毎に仮想ノード装置1a〜3aのコンフィグ設定の仕様が異なる場合、利用者20は、多種多様なコンフィグを制御する方法に精通していなければならない。しかしながら、上記第1の問題とも関連し、ネットワーク管理システム5によって仮想ノード装置1a〜3a内のコンフィグを自動制御することが望まれる。
【0029】
すなわち、ネットワーク管理システム5が利用者20から仮想ノード装置1a〜3aの仕様、すなわち仮想ノード装置1a〜3aの種別や、ルーティングプロトコルや、ルーティングテーブル、フォワーディングプロトコル、フォワーディングテーブル、インターフェースのIPアドレスやMACアドレスなどの利用者20の希望を確認し、利用者20の希望に基づいて仮想ノード装置1a〜3aのコンフィグを自動で設定する方法が必要である。
【0030】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、利用者からの通知内容に基づいて、ネットワーク管理システムにより仮想ノード装置のコンフィグを容易に設定することができる仮想ノード装置のコンフィグ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上述した課題を解決するために、本発明は、仮想ノード装置を生成する機能を有する複数のノード装置と、1台以上のノード装置群を管理・制御し、利用者からの要求に基づいて、前記ノード装置間の仮想ネットワークの生成、もしくは削除などの制御を実行するネットワーク管理システムとからなるネットワークで、前記仮想ノード装置のコンフィグを制御する仮想ノード装置コンフィグ制御方法であって、前記ネットワーク管理システムが利用者からコンフィグ制御要求メッセージを受信するコンフィグ制御要求受信ステップと、前記ネットワーク管理システムが前記コンフィグ制御要求メッセージの内容を解析するコンフィグ制御要求解析ステップと、前記コンフィグ制御要求メッセージの解析結果に基づいて、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対してそれぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御するためのコンフィグ制御要求を送信するコンフィグ制御要求送信ステップと、前記各ノード装置が前記ネットワーク管理システムから送信される前記コンフィグ制御要求に基づいて、それぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御するコンフィグ制御ステップとを含むことを特徴とする仮想ノード装置のコンフィグ制御方法である。
【0032】
本発明は、上記の発明において、前記コンフィグ制御要求送信ステップは、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置で実現する仮想ノード装置タイプを含むコンフィグ制御要求を送信し、前記コンフィグ制御ステップは、前記各ノード装置が前記コンフィグ制御要求に含まれる仮想ノード装置タイプに基づいて、前記各ノード装置が保有する複数のモジュールの中から選択したモジュールを、それぞれの仮想ノード装置で実行する、ことを特徴とする。
【0033】
本発明は、上記の発明において、前記コンフィグ制御要求送信ステップは、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置で実現する仮想ノード装置タイプを含むコンフィグ制御要求を送信し、前記コンフィグ制御ステップは、前記各ノード装置が前記コンフィグ制御要求に含まれる仮想ノード装置タイプに基づいて、ネットワーク上の複数のモジュールの中からネットワーク経由で取得したモジュールを、それぞれの仮想ノード装置で実行する、ことを特徴とする。
【0034】
本発明は、上記の発明において、前記仮想ノード装置タイプは、前記仮想ノード装置をルータとして動作させるモジュール、レイヤ2スイッチとして動作させるモジュール、もしくはそれ以外の通信装置として動作させるモジュールのうち、少なくとも1つのモジュールを指定する情報であることを特徴とする。
【0035】
本発明は、上記の発明において、前記コンフィグ制御要求送信ステップは、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置に設定するインターフェースのパラメータを含むコンフィグ制御要求を送信し、前記コンフィグ制御ステップは、前記各ノード装置がそれぞれの仮想ノード装置で、前記コンフィグ制御要求に含まれるインターフェースのパラメータを設定する、ことを特徴とする。
【0036】
本発明は、上記の発明において、前記コンフィグ制御要求送信ステップは、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置に設定するプロトコルのパラメータを含むコンフィグ制御要求を送信し、前記コンフィグ制御ステップは、前記各ノード装置がそれぞれの仮想ノード装置で、前記コンフィグ制御要求に含まれるプロトコルのパラメータを設定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、利用者からの要求に応じて、ネットワーク管理システムにより仮想ノード装置のコンフィグを自動的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態によるノード装置1〜3の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるノード装置1〜3の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による、仮想ノード装置のコンフィグ自動制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本実施形態によるコンフィグ自動制御手順を示すシーケンス図である。
【図5】本実施形態によるコンフィグ制御要求メッセージの一例を示す概念図である。
【図6】本実施形態によるコンフィグ制御要求メッセージの一例を示す概念図である。
【図7】本実施形態によるコンフィグ制御要求メッセージの一例を示す概念図である。
【図8】一般的なネットワーク、及び仮想ネットワークの一構成例を示すブロック図である。
【図9】従来技術によるノード装置1〜3の一構成例を示すブロック図である。
【図10】従来技術による仮想ネットワーク生成動作の一例を示すシーケンス図である。
【図11】従来技術による仮想ネットワーク生成要求メッセージの一例を示す概念図である。
【図12】従来技術によるコンフィグ制御コマンドの例を示す概念図である。
【図13】従来技術によるコンフィグ制御コマンドの例を示す概念図である。
【図14】従来技術によるコンフィグ制御コマンドの例を示す概念図である。
【図15】従来技術によるコンフィグ制御コマンドの例を示す概念図である。
【図16】従来技術における仮想ネットワーク削除動作の一例を示すシーケンス図である。
【図17】従来技術による仮想ネットワーク削除要求メッセージの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0040】
本発明は、ネットワーク管理システムが利用者からのコンフィグ制御要求をトリガーとして受け取って、その内容を解析して、仮想ノードのコンフィグを自動で制御することを特徴とする。これにより、利用者が仮想ネットワークを設定・制御する負荷を低減できるという効果を奏する。なお、仮想ノードのコンフィグ自動制御は、(1)各ノード装置内に、仮想ノード装置をモジュールとして管理するモジュール管理部を設け、該モジュール管理部によりモジュールを仮想機能部にコピー、もしくはインストールして実行する場合と、(2)各ノード装置がネットワーク経由で適当なモジュールを仮想機能部にインストールして実行する場合がある。なお、本願は、非特許文献9に記載のネットワーク管理システムを仮想ネットワークの基礎としている。
【0041】
本実施形態によるネットワークと仮想ネットワークは、前述した図8に示す構成と同じであるので説明を省略する。但し、図8と異なるネットワーク、ならびに仮想ネットワークでもよい。
【0042】
図1は、本実施形態によるノード装置の一構成例を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態によるノード装置の他の構成例を示すブロック図である。ノード装置1〜3は、ルータや、レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチ、レイヤ4−7スイッチ、サーバ、などである。但し、本実施形態では、説明を簡略、かつ明快にするために、仮想ノード装置がサーバであることを前提に説明する。物理資源とは、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークインターフェースカードである。管理部13とは、仮想ノード装置のオペレーションシステムや、仮想マシーンモニタである。仮想機能部11とは、ゲストオペレーションシステムや、仮想マシン、ならびに仮想リンクである。
【0043】
本実施形態における仮想リンクは、IEEE802.1q Virtual LANで生成されるTag VLANのトンネル、もしくはIETF RFC2784 Generic Routing Encapsulation (GRE)で生成されるGREのトンネルである。但し、IEEE802.1q Virtual LANやIETF RFC2784 GREとは異なる技術に基づく仮想リンクでもよい。仮想機能部の空き資源12とは、仮想的なCPUや、メモリ、ストレージ、ネットワークカード、などの仮想ハードウェアである。
【0044】
図1では、管理部13の内部にモジュール管理部40が存在し、該モジュール管理部40は、ルータモジュール41、レイヤ2スイッチモジュール42、レイヤ3モジュール43などのソフトウェアを管理する。例えば、ルータモジュール41は、GNU Zebraのようなソフトウェアルータである。管理部13は、モジュール管理部40において管理されるモジュールの中から、ネットワーク管理システム5からの要求に応じた適当なモジュールを選択して仮想機能部11にコピー、もしくはインストールして実行することにより、仮想機能部11は、実行されたモジュールの装置として動作する。例えば、レイヤ2スイッチモジュール42が実行される場合、仮想機能部11は、レイヤ2スイッチとして動作する。
【0045】
一方、図2は、図1に示すモジュール管理部40を外部の通信装置50に実装する場合の一例である。ノード装置1〜3内の管理部13は、ネットワーク経由で通信装置50のモジュール管理部40にアクセスし、ネットワーク管理システム5からの要求に応じた適当なモジュールを、ネットワーク経由で仮想ノード装置にインストールさせ、仮想ノード装置の上でモジュールを実行させる。
【0046】
なお、図1、または図2に示すノード装置1〜3の構成は、一例であり、本実施形態のノード装置1〜3の構成は、図1、または図2に示す構成のいずれでもよいし、図1や、図2に示すものとは異なる構成でもよい。また、本実施形態は、ノード装置1〜3内のモジュールを選択することで、利用者20のコンフィグ設定にかかる負荷を低減するものであるが、ネットワーク管理システム5が、利用者20からの要求を解析して、ネットワーク管理システム5が仮想ノード装置のコンフィグを実行することでも構わない。
【0047】
次に、本実施形態による、仮想ノード装置のコンフィグ自動制御方法の動作について説明する。なお、本実施形態による仮想ネットワーク生成手順は、前述した従来技術と同様であるので説明を省略する(図10を参照)。また、仮想ネットワーク生成要求メッセージも、前述した従来技術と同様であるので説明を省略する(図11を参照)。但し、図10や、図11と異なる、仮想ネットワーク生成手順や、仮想ネットワーク生成要求メッセージを使用してもよい。また、本実施形態による仮想ネットワーク削除手順や、仮想ネットワーク削除要求メッセージについても、前述した従来技術と同様であるので説明を省略する(図16、図17を参照)。但し、図16や、図17と異なる、仮想ネットワーク削除手順や、仮想ネットワーク削除メッセージを使用してもよい。
【0048】
本実施形態では、ノード装置1〜3内の管理部13による仮想ノード装置の生成後、利用者20によりコンフィグを制御するのではなく、ネットワーク管理システム5が、仮想ノード装置群のそれぞれのコンフィグを自動制御する。以下、仮想ノード装置群のそれぞれのコンフィグの自動制御について説明する。
【0049】
図3は、本実施形態による、仮想ノード装置のコンフィグ自動制御方法を説明するためのフローチャートである。また、図4は、本実施形態によるコンフィグ自動制御手順を示すシーケンス図である。まず、ネットワーク管理システム5は、コンフィグ制御要求メッセージ受信ステップにおいて、利用者20から送付されたコンフィグ制御要求メッセージを受信する(ステップS1)。次に、コンフィグ制御要求解析ステップにおいて、ネットワーク管理システム5が受信したコンフィグ制御要求メッセージの内容を解析する(ステップS2)。
【0050】
ここで、図5は、コンフィグ制御要求メッセージの一例を示す概念図である。コンフィグ制御要求メッセージの内容は、図5に示すように、それぞれの仮想ノード装置のタイプ、もしくはそれに類する情報を含む。また、コンフィグ制御要求メッセージの内容は、従来技術と同様に、図12、もしくは図13に示すようなそれぞれの仮想ノード装置のインターフェースの情報を含む。
【0051】
利用者20からネットワーク管理システム5に送付されるコンフィグ制御要求メッセージは、特に、図12や図13に示す設定に依存するパラメータだけを含むだけでもよく、その場合には、図6に示すような内容の情報になる。すなわち、図6に示すように、仮想ネットワークの名前、仮想ノード装置の名前、各仮想ノード装置毎に、関連するノード装置、仮想ノード装置タイプ、仮想ポートの名前、インターフェースタイプ、アドレス、及びサブネットマスクなどを含む。ここで、図12と図13に示す設定に依存するパラメータは実質同じである。これにより、利用者20は、仮想ノード装置の種別に考慮することなく、所望のインターフェースパラメータに基づくインターフェース制御をネットワーク管理システム5に要求できる。
【0052】
また、コンフィグ制御要求メッセージの内容は、従来技術と同様に、図14、もしくは図15に示すように、それぞれの仮想ノード装置のプロトコルの情報を含む。利用者20からネットワーク管理システム5に送付されるコンフィグ制御要求メッセージは、特に、図14や図15の設定に依存するパラメータだけを含むだけでもよく、その場合には、図7に示すような内容の情報になる。すなわち、図7に示すように、仮想ネットワークの名前、仮想ノード装置の名前、各仮想ノード装置毎に、関連するノード装置、仮想ノード装置タイプ、仮想ポートの名前、インターフェースタイプ、アドレス、及びサブネットマスク、駆動させるプロトコルの名前、プロトコルに関連させるインタフェースの名前などを含む。図14と図15に示す設定に依存するパラメータは実質同じである。
【0053】
次に、コンフィグ制御要求送信ステップにおいて、ネットワーク管理システム5は、コンフィグ制御要求メッセージの解析結果に基づいて、新たなコンフィグ制御要求メッセージを生成し、生成されたコンフィグ制御要求メッセージを各ノード装置1〜3に送信する(ステップS3)。
【0054】
次に、コンフィグ制御ステップにおいて、コンフィグ制御要求メッセージを受信した各ノード装置1〜3は、コンフィグ制御要求メッセージに従って、それぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御する(ステップS4)。
【0055】
すなわち、ノード装置1〜3は、コンフィグ制御要求メッセージに含まれる仮想ノード装置タイプに従って、所望のモジュールを仮想ノード装置内にコピー、もしくはインストールして実行する。これにより、利用者20の求める仮想ノード装置がルータやレイヤ2スイッチなどの既存の装置である場合、利用者20は、仮想ノード装置の種別をネットワーク管理システム5に簡単に連絡でき、かつネットワーク管理システム5は、仮想ノード装置の種別を簡単に制御することができる。
【0056】
また、ノード装置1〜3は、コンフィグ制御要求メッセージに含まれる、仮想ノード装置に設定するインターフェースのパラメータに従って、仮想ノード装置のインターフェースを設定する。これにより、ネットワーク管理システム5が、利用者20の要求に基づき、仮想ノード装置のインターフェースのパラメータを制御できる。
【0057】
また、ノード装置1〜3は、コンフィグ制御要求メッセージに含まれる、仮想ノード装置に設定するプロトコルのパラメータに従って、仮想ノード装置のプロトコルを設定する。これにより、ネットワーク管理システム5が、利用者20の要求に基づき、仮想ノード装置のプロトコルのパラメータを制御できる。
【0058】
なお、本実施形態では、コンフィグ制御要求メッセージに仮想ノード装置に設定するプロトコルのパラメータが含まれていない場合には、仮想ノード装置のプロトコルは自動設定されない。また、本実施形態では、コンフィグ制御要求メッセージに仮想ノード装置に設定するインターフェースのパラメータが含まれていない場合には、仮想ノード装置のインターフェースは自動設定されない。また、本実施形態では、コンフィグ制御要求メッセージに仮想ノード装置タイプが含まれていない場合には、仮想ノード装置の上で装置の種別を決定するモジュールは自動実行されない。すなわち、必ずしも全ての情報が含まれている必要はなく、コンフィグ制御要求メッセージに含まれている情報に従って、それぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御することになる。
【0059】
また、本実施形態において、利用者20からネットワーク管理システム5へのコンフィグ制御要求メッセージは、複数の仮想ノード装置のコンフィグ制御の内容を含んでいてもよく、また、1つの仮想ノード装置のコンフィグ制御の内容だけを含んでいてもよい。同様に、ネットワーク管理システム5からノード装置1〜3へのコンフィグ制御要求メッセージは、複数の仮想ノード装置のコンフィグ制御の内容を含んでいてもよく、また、1つの仮想ノード装置のコンフィグ制御の内容だけを含んでいてもよい。
【0060】
また、ネットワーク管理システム5からノード装置1〜3へのコンフィグ制御要求メッセージについて、ノード装置1〜3が単にリレーして仮想ノード装置に渡すだけでもよい。
【0061】
また、利用者20からネットワーク管理システム5へのコンフィグ制御要求メッセージ、およびネットワーク管理システム5からノード装置1〜3へのコンフィグ制御要求メッセージには、仮想ノード装置タイプ、仮想ノード装置に設定するインターフェースのパラメータ、仮想ノード装置に設定するプロトコルのパラメータを、それぞれ送信してもよい。
【0062】
上述した実施形態によれば、利用者20が多種多様なコンフィグを制御する方法に精通していなくても、利用者20からの要求に応じて、ネットワーク管理システム5によりノード装置1〜3の仮想ノード装置のコンフィグを自動的に制御することができる。すなわち、利用者から見た仮想ネットワーク運用の簡便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1〜4 ノード装置
1a〜4a 仮想ノード装置
5 ネットワーク管理システム
6 利用者端末
10 物理部
11 仮想機能部
13 管理部
40 モジュール管理部
50 通信装置
S1 コンフィグ制御要求受信ステップ
S2 コンフィグ制御要求解析ステップ
S3 コンフィグ制御要求送信ステップ
S4 コンフィグ制御ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ノード装置を生成する機能を有する複数のノード装置と、1台以上のノード装置群を管理・制御し、利用者からの要求に基づいて、前記ノード装置間の仮想ネットワークの生成、もしくは削除などの制御を実行するネットワーク管理システムとからなるネットワークで、前記仮想ノード装置のコンフィグを制御する仮想ノード装置のコンフィグ制御方法であって、
前記ネットワーク管理システムが利用者からコンフィグ制御要求メッセージを受信するコンフィグ制御要求受信ステップと、
前記ネットワーク管理システムが前記コンフィグ制御要求メッセージの内容を解析するコンフィグ制御要求解析ステップと、
前記コンフィグ制御要求メッセージの解析結果に基づいて、前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対してそれぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御するためのコンフィグ制御要求を送信するコンフィグ制御要求送信ステップと、
前記各ノード装置が前記ネットワーク管理システムから送信される前記コンフィグ制御要求に基づいて、それぞれの仮想ノード装置のコンフィグを制御するコンフィグ制御ステップと
を含むことを特徴とする仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。
【請求項2】
前記コンフィグ制御要求送信ステップは、
前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置で実現する仮想ノード装置タイプを含むコンフィグ制御要求を送信し、
前記コンフィグ制御ステップは、
前記各ノード装置が前記コンフィグ制御要求に含まれる仮想ノード装置タイプに基づいて、前記各ノード装置が保有する複数のモジュールの中から選択したモジュールを、それぞれの仮想ノード装置で実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。
【請求項3】
前記コンフィグ制御要求送信ステップは、
前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置で実現する仮想ノード装置タイプを含むコンフィグ制御要求を送信し、
前記コンフィグ制御ステップは、
前記各ノード装置が前記コンフィグ制御要求に含まれる仮想ノード装置タイプに基づいて、ネットワーク上の複数のモジュールの中からネットワーク経由で取得したモジュールを、それぞれの仮想ノード装置で実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。
【請求項4】
前記仮想ノード装置タイプは、
前記仮想ノード装置をルータとして動作させるモジュール、レイヤ2スイッチとして動作させるモジュール、もしくはそれ以外の通信装置として動作させるモジュールのうち、少なくとも1つのモジュールを指定する情報であることを特徴とする請求項2または3に記載の仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。
【請求項5】
前記コンフィグ制御要求送信ステップは、
前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置に設定するインターフェースのパラメータを含むコンフィグ制御要求を送信し、
前記コンフィグ制御ステップは、
前記各ノード装置がそれぞれの仮想ノード装置で、前記コンフィグ制御要求に含まれるインターフェースのパラメータを設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。
【請求項6】
前記コンフィグ制御要求送信ステップは、
前記ネットワーク管理システムが関連する各ノード装置に対して、それぞれの仮想ノード装置に設定するプロトコルのパラメータを含むコンフィグ制御要求を送信し、
前記コンフィグ制御ステップは、
前記各ノード装置がそれぞれの仮想ノード装置で、前記コンフィグ制御要求に含まれるプロトコルのパラメータを設定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の仮想ノード装置のコンフィグ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−211466(P2011−211466A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76777(P2010−76777)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】