仮設トイレ
【課題】換気機能を有する表示パネルを備えた仮設トイレを提供する。
【解決手段】人が出入り可能な箱体20の内側に、排泄に用いられる便器が設けられる。板厚方向に通じる複数の通気孔61により形成された表示を有する表示パネル60は、箱体20のドア24の上側又は側壁の上側に設けられることで箱体20内の換気を可能にする。仮設トイレ1は、表示パネル60の通気孔61により表された文字、図形、記号などの表示により、利便性および美観を向上することができる。さらに、従来のガラリと比較し、箱体20の面積に対する表示パネル60の面積を大きくすることで、仮設トイレ1の換気機能を高めることができる。
【解決手段】人が出入り可能な箱体20の内側に、排泄に用いられる便器が設けられる。板厚方向に通じる複数の通気孔61により形成された表示を有する表示パネル60は、箱体20のドア24の上側又は側壁の上側に設けられることで箱体20内の換気を可能にする。仮設トイレ1は、表示パネル60の通気孔61により表された文字、図形、記号などの表示により、利便性および美観を向上することができる。さらに、従来のガラリと比較し、箱体20の面積に対する表示パネル60の面積を大きくすることで、仮設トイレ1の換気機能を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な仮設トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建設現場、イベント会場等で使用される移動可能な仮設トイレが知られている。一般に仮設トイレは、樹脂からなる板材により人が出入り可能な箱体が形成され、その箱体の内側に便器が設けられる(特許文献1参照)。
この種の仮設トイレは、その外観に所有者又は管理者の名称が表示されていないので、第三者の無責任な使用により汚されることがあった。また、夜間には、遠く離れた場所から仮設トイレであることを直ちに識別できず、または男性用トイレであるか女性用トイレであるかを直ちに識別することができなかった。このため、利用者の利便性を欠くおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−257794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮設トイレには、箱体を形成する板材に開口が形成され、その開口にブラインド状の羽根板を平行に取り付けたガラリが取り付けられている。このガラリは、箱体の剛性の低下を抑制するため、板材の面積に対し小さく形成されている。このため、箱体内の換気が十分に行われず、臭気が充満することが懸念されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、換気機能を有する表示パネルを備えた仮設トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、人が出入り可能な箱体の内側に、排泄に用いられる便器が設けられる。板厚方向に通じる複数の通気孔により形成された表示を有する表示パネルは、箱体に設けられ、通気孔を通して箱体内の換気を可能にする。
ここで、「表示」とは、表示パネルの通気孔により表された文字、図形、記号又はこれらに付された色彩などをいう。
この表示パネルに所有者又は管理者の名称を表示すれば、第三者の無責任な使用を抑制し清潔を保つと共に、この仮設トイレを企業の宣伝広告に利用可能である。
また、表示パネルに仮設トイレの利用者の性別等を表示すれば、仮設トイレの利便性を向上することができる。
さらに、表示パネルは、複数の通気孔を有する一枚の板材から形成されるので、従来のガラリと比較し、剛性が高い。このため、箱体の面積に対し表示パネルの面積を大きくすることが可能となる。したがって、仮設トイレの換気機能を高めることができる。
【0006】
請求項2に係る発明によると、表示パネルは、箱体の出入口側及びその側面側の少なくともいずれか一方に設けられる。これにより、表示パネルの換気機能と共に表示機能を高めることができる。
【0007】
請求項3に係る発明によると、表示パネルと箱体とは別体で形成される。表示パネルは、箱体に脱着可能に取り付けられ、他の表示パネルと交換可能である。これにより、仮設トイレの所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更に伴い、表示パネルを交換することができる。
【0008】
請求項4に係る発明によると、箱体は、上下方向に延びる複数の支柱を有している。表示パネルは、一方の側の支柱と他方の側の支柱との間に跨って取り付けられる。これにより、表示パネルの面積を大きくすることが可能になる。したがって、表示パネルの通気孔により仮設トイレの換気機能を高めることができる。
【0009】
請求項5に係る発明によると、箱体は、支柱と支柱との間を接続する横桟を有する。この横桟の内側の面に表示パネルは取り付けられる。これにより、表示パネルの通気孔から雨が箱体内に降り込むことを抑制することができる。
【0010】
請求項6に係る発明によると、仮設トイレは、箱体の出入口に開閉可能なドアを備える。このドアより上側の位置に表示パネルは設けられる。これにより、表示パネルが人の背丈より高い位置に設けられるので、通気孔から箱体内の悪質な覗き見行為を抑制することができる。
なお、本明細書において、上側とは重力方向の上側をいう。また、下側とは重力方向の下側をいう。
【0011】
請求項7に係る発明によると、仮設トイレは、表示パネルと略同じ高さに設けられる照明を備える。これにより、照明から照射される光が表示パネルの通気孔を略均等に通過するので、夜間等に表示パネルの表示を明確に示すことができる。
また、一般に夜間は仮設トイレの存在すらわかり難いが、表示パネルの通気孔を透過する光の明暗により、利用者は、仮設トイレの存在或いは表示の内容を容易に識別することができる。
【0012】
請求項8に係る発明によると、仮設トイレは、照明を挟んで表示パネルの反対側に設けられる反射板を備える。これにより、反射板に反射した光が通気孔を通過することで、夜間等の表示パネルの表示を明るくすることができる。また、箱体内は、間接照明になることで、美観を向上することができる。
さらに、反射板により、通気孔から雨の降り込みを抑制すると共に、通気孔から箱体内の悪質な覗き見行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図2】図1のII方向矢視図である。
【図3】図1のIII方向矢視図である。
【図4】図1のIV―IV線の断面図である。
【図5】図4のV部分の拡大図である。
【図6】図5のVI−VI線の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図10】本発明の第5実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による仮設トイレを図1〜図6に示す。図1〜図3は仮設トイレ1の外観図であり、図4〜図6は断面図である。
本実施形態の仮設トイレ1は、建設現場、工事現場、イベント会場、サービスエリア等で使用される移動可能な仮設トイレ1である。
【0015】
仮設トイレ1は、汚物受槽10、箱体20、便器30、水タンク40、屋根50及び表示パネル60などを備えている。
汚物受槽10は、樹脂から形成され、地面に設置される。汚物受槽10には、人の出入りする出入口側に利用者が昇降可能なステップ11が設けられている。汚物受槽10に貯留される排泄物等は、吸出口12からバキュームホース等により吸引される。
【0016】
箱体20は、汚物受槽10の上側に図示しないボルト等により取り付けられる。
箱体20は、上下方向に延びる4本の支柱21、及び支柱21と支柱21との間に設けられる左右の側壁22および出入口と反対側の奥壁23を有し、人が出入り可能な大きさに形成される。
支柱21は例えばアルミから形成される。側壁22および奥壁23も、例えばアルミから形成され、支柱21に形成された溝に嵌め込まれることで、支柱21に固定されている。
【0017】
箱体20の出入口側の支柱21には、開閉可能なドア24が設けられる。ドア24の上側には、一方の支柱21と他方の支柱21とを接続する横桟25が設けられている。側壁22の上側にも、出入口側の横桟25と同じ高さで、一方の支柱21と他方の支柱21とを接続する横桟25が設けられている。
【0018】
4本の支柱21の上側には、屋根50が設けられる。屋根50は、例えば繊維強化プラスチック(FRP)から形成される。
屋根50の四隅には、仮設トイレ1を吊り下げ可能なアイボルト53が取り付けられている。アイボルト53は、屋根50を貫通し、支柱21にねじ止めされている。アイボルト53により屋根50が箱体20に取り付けられる。
屋根50は、出入口側に軒51を有し、雨水がドア24および表示パネル60に降りかかることを抑制している。
【0019】
表示パネル60は、箱体20の出入口側及びその側面側に設けられている。
箱体20の出入口側の表示パネル60は、ドア24の上部の横桟25と屋根50との間に設けられている。表示パネル60は、ドア24の一方の支柱21と他方の支柱21との間に跨って取り付けられている。
箱体20の側面側の表示パネル60は、左右の側壁22の上部の横桟25と屋根50との間に設けられている。表示パネル60は、側壁22の一方の支柱21と他方の支柱21との間に跨って取り付けられている。
【0020】
表示パネルは、例えばアルミからなる一枚の板材から形成される。表示パネル60の板厚は、例えば12〜3mm、好ましくは9〜6mm程度に形成される。
表示パネル60は、下側が、横桟25の内側に例えばねじ62等により取り付けられる。また、表示パネル60は、上側が、屋根50に設けられたフランジ52に例えばねじ63等により取り付けられる。これにより、表示パネル60は、横桟25の厚さ分、屋根50の外縁より内側に設けられる。
【0021】
表示パネル60は、板厚方向に通じる複数の通気孔61を有する。複数の通気孔61は、上段の隣り合う通気孔61と通気孔61との間に、下段の通気孔61が配置されている。これにより、表示パネル60の面積に対し、通気孔61の占める開口面積の割合を大きくすることが可能になる。また、トラス構造により表示パネル60の強度低下を抑制することができる。
この複数の通気孔61により、文字、図形、記号などの表示が形成される。本実施形態では、出願人の名称である「TORINO トリノ」が表示されている。この表示は、表示パネル60を他の表示パネルと交換することで、例えば管理者又は所有者の名称、或いは仮設トイレ1を利用可能な性別など、任意に変更可能である。
表示パネル60の通気孔61の内径は、雨の降り込み、又はハエ、アブなどの昆虫の侵入を抑制可能な大きさに形成される。通気孔61の内径は、例えば10〜1mm、好ましくは7〜3mm程度に形成される。この通気孔61により、表示パネル60は、箱体20内の空気を換気することが可能となる。
【0022】
箱体20の内側に、フロアパネル26,27が上下2段に設けられる。その上側のフロアパネル27に排泄に用いられる便器30が取り付けられる。
上側のフロアパネル27と汚物受槽10との間に、便器30を洗浄する水を貯留する水タンク40が設けられる。水タンク40には、水を給水可能な給水口41などが設けられている。水タンク40の水は、図示しないポンプにより汲み上げられ、便器30の洗浄に用いられる。便器30を洗浄した水は、汚物受槽10に流れる。
【0023】
奥壁23には、表示パネル60と略同じ高さに照明70が設けられている。照明70は、例えば蛍光灯などであり、夜間に自動点灯、又は利用者がスイッチをオンすることで点灯する。
【0024】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)表示パネル60は、その表示を複数の通気孔61により形成することで、箱体20内の空気を換気することが可能である。この表示パネル60は、一方の側の支柱21と他方の側の支柱21との間に跨り、箱体20の三方に取り付けられている。このため、従来のガラリと比較して、箱体20に占める表示パネル60の面積が大きくなるので、仮設トイレの換気機能を高めることができる。
(2)表示パネル60の通気孔61により所有者又は管理者の名称を表示することで、第三者の無責任な使用を抑制すると共に、美観に優れた仮設トイレを企業の宣伝広告に利用可能である。この表示パネル60は、横桟25に脱着可能に取り付けられるので、仮設トイレの所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更に伴い、表示パネル60を交換することができる。
【0025】
(3)表示パネル60は、横桟25の内側の面に取り付けられるので、表示パネル60の通気孔61から雨が箱体20内に降り込むことを抑制することができる。
(4)表示パネル60は、ドア24の上側など、人の背丈より高い位置に設けられるので、通気孔61から箱体20内の悪質な覗き見行為を抑制することができる。
(5)表示パネル60と略同じ高さに照明70が設けられることで、照明70から照射される光が表示パネル60の通気孔61を略均等に通過する。これにより、夜間等に表示パネル60の表示機能を高め、仮設トイレ1の利便性を向上することができる。
【0026】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による仮設トイレを図7に示す。第2実施形態では、表示パネル60が横桟25に設けられた下レール28、および屋根50に設けられた上レール54の間に嵌め込まれている。
表示パネル60は、下記の要領で容易に脱着することが可能である。
上レール54及び下レール28から表示パネル60を取り外すには、先ず表示パネル60を上側に押し上げ、続いて箱体20の内側に引き出す。
一方、上レール54及び下レール28に表示パネル60を取り付けるには、先ず箱体20の内側から表示パネル60を上レール54に嵌め込み、続いて下レール28に表示パネル60を嵌め込む。
本実施形態では、表示パネル60の交換作業を容易に行うことが可能である。これにより、仮設トイレ2の所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更などに伴う表示パネル60の交換の作業性を向上することができる。
【0027】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による仮設トイレを図8に示す。第3実施形態では、表示パネル64に「男子トイレ」と表示されている。
本実施形態の仮設トイレ3は、表示パネル64により、仮設トイレ3を利用可能な性別が明確になる。特に夜間には、箱体20内の照明70により「男子トイレ」の表示が鮮明に浮かび上がるので、仮設トイレ3の利便性を向上することができる。
なお、表示パネル64に蛍光塗料を塗装することで、その表示機能を高めてもよい。
【0028】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による仮設トイレを図9に示す。第4実施形態では、表示パネル65に「女子トイレ」と表示されている。表示パネル65は、文字の背景となる部分に通気孔61を形成している。
本実施形態では、表示する文字、図形又は記号の占める面積が表示パネル全体の面積に対して小さい場合、表示パネル65の換気機能を高めることができる。
本実施形態の仮設トイレ4は、背景と文字等のいずれか一方に通気孔61を形成するとした表示パネル65の表示方法の切り替えにより、例えば夏季または冬季などに仮設トイレ4の換気機能の調節を容易に行うことができる。
【0029】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による仮設トイレを図10に示す。第5実施形態では、屋根50内側の略中央部分に照明71が設けられている。これにより、照明71は、箱体20の三方に設けられた表示パネル60に均等に光を照射することができる。
本実施形態の仮設トイレ5は、夜間等に表示パネル60の表示機能を高め、仮設トイレ5の利便性を向上することができる。
【0030】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による仮設トイレを図11に示す。第6実施形態では、表示パネル60の内側に反射板72が設けられている。反射板72は、横桟25に取り付けられている。
反射板72と表示パネル60との間には照明73が設けられている。照明73の照射する光は、反射板72によって反射し、箱体20内を照らす。
また、照明73の照射する光は、表示パネル60の通気孔61を通過し、表示パネル60の表示機能を高める。
本実施形態の仮設トイレ6は、反射板72により、通気孔61から雨の降り込みを抑制すると共に、通気孔61から箱体20内の悪質な覗き見行為を防止することができる。
【0031】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、箱体20の側壁22およびドア24と表示パネル60とを別体で形成した。これに対し、本発明は、箱体の側壁およびドアと表示パネルとを一体に形成してもよい。
上述した実施形態では、軽水洗便槽付の仮設トイレについて説明した。これに対し、本発明は、自動水洗式の仮設トイレに適用してもよい。
上述した実施形態では、表示パネルをアルミ板から形成した。これに対し、本発明は、表示パネルを光透過性または非光透過性の板材から形成してもよい。これにより、表示パネルの表示機能を高めることができる。
このように、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づき種々の実施形態に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,2,3,4,5,6・・・仮設トイレ
20 ・・・箱体
21 ・・・支柱
25 ・・・横桟
24 ・・・ドア
30 ・・・便器
60,64,65 ・・・表示パネル
61 ・・・通気孔
70,71,73 ・・・照明
72 ・・・反射板
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な仮設トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建設現場、イベント会場等で使用される移動可能な仮設トイレが知られている。一般に仮設トイレは、樹脂からなる板材により人が出入り可能な箱体が形成され、その箱体の内側に便器が設けられる(特許文献1参照)。
この種の仮設トイレは、その外観に所有者又は管理者の名称が表示されていないので、第三者の無責任な使用により汚されることがあった。また、夜間には、遠く離れた場所から仮設トイレであることを直ちに識別できず、または男性用トイレであるか女性用トイレであるかを直ちに識別することができなかった。このため、利用者の利便性を欠くおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−257794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮設トイレには、箱体を形成する板材に開口が形成され、その開口にブラインド状の羽根板を平行に取り付けたガラリが取り付けられている。このガラリは、箱体の剛性の低下を抑制するため、板材の面積に対し小さく形成されている。このため、箱体内の換気が十分に行われず、臭気が充満することが懸念されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、換気機能を有する表示パネルを備えた仮設トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、人が出入り可能な箱体の内側に、排泄に用いられる便器が設けられる。板厚方向に通じる複数の通気孔により形成された表示を有する表示パネルは、箱体に設けられ、通気孔を通して箱体内の換気を可能にする。
ここで、「表示」とは、表示パネルの通気孔により表された文字、図形、記号又はこれらに付された色彩などをいう。
この表示パネルに所有者又は管理者の名称を表示すれば、第三者の無責任な使用を抑制し清潔を保つと共に、この仮設トイレを企業の宣伝広告に利用可能である。
また、表示パネルに仮設トイレの利用者の性別等を表示すれば、仮設トイレの利便性を向上することができる。
さらに、表示パネルは、複数の通気孔を有する一枚の板材から形成されるので、従来のガラリと比較し、剛性が高い。このため、箱体の面積に対し表示パネルの面積を大きくすることが可能となる。したがって、仮設トイレの換気機能を高めることができる。
【0006】
請求項2に係る発明によると、表示パネルは、箱体の出入口側及びその側面側の少なくともいずれか一方に設けられる。これにより、表示パネルの換気機能と共に表示機能を高めることができる。
【0007】
請求項3に係る発明によると、表示パネルと箱体とは別体で形成される。表示パネルは、箱体に脱着可能に取り付けられ、他の表示パネルと交換可能である。これにより、仮設トイレの所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更に伴い、表示パネルを交換することができる。
【0008】
請求項4に係る発明によると、箱体は、上下方向に延びる複数の支柱を有している。表示パネルは、一方の側の支柱と他方の側の支柱との間に跨って取り付けられる。これにより、表示パネルの面積を大きくすることが可能になる。したがって、表示パネルの通気孔により仮設トイレの換気機能を高めることができる。
【0009】
請求項5に係る発明によると、箱体は、支柱と支柱との間を接続する横桟を有する。この横桟の内側の面に表示パネルは取り付けられる。これにより、表示パネルの通気孔から雨が箱体内に降り込むことを抑制することができる。
【0010】
請求項6に係る発明によると、仮設トイレは、箱体の出入口に開閉可能なドアを備える。このドアより上側の位置に表示パネルは設けられる。これにより、表示パネルが人の背丈より高い位置に設けられるので、通気孔から箱体内の悪質な覗き見行為を抑制することができる。
なお、本明細書において、上側とは重力方向の上側をいう。また、下側とは重力方向の下側をいう。
【0011】
請求項7に係る発明によると、仮設トイレは、表示パネルと略同じ高さに設けられる照明を備える。これにより、照明から照射される光が表示パネルの通気孔を略均等に通過するので、夜間等に表示パネルの表示を明確に示すことができる。
また、一般に夜間は仮設トイレの存在すらわかり難いが、表示パネルの通気孔を透過する光の明暗により、利用者は、仮設トイレの存在或いは表示の内容を容易に識別することができる。
【0012】
請求項8に係る発明によると、仮設トイレは、照明を挟んで表示パネルの反対側に設けられる反射板を備える。これにより、反射板に反射した光が通気孔を通過することで、夜間等の表示パネルの表示を明るくすることができる。また、箱体内は、間接照明になることで、美観を向上することができる。
さらに、反射板により、通気孔から雨の降り込みを抑制すると共に、通気孔から箱体内の悪質な覗き見行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図2】図1のII方向矢視図である。
【図3】図1のIII方向矢視図である。
【図4】図1のIV―IV線の断面図である。
【図5】図4のV部分の拡大図である。
【図6】図5のVI−VI線の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による仮設トイレの正面図である。
【図10】本発明の第5実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態による仮設トイレの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による仮設トイレを図1〜図6に示す。図1〜図3は仮設トイレ1の外観図であり、図4〜図6は断面図である。
本実施形態の仮設トイレ1は、建設現場、工事現場、イベント会場、サービスエリア等で使用される移動可能な仮設トイレ1である。
【0015】
仮設トイレ1は、汚物受槽10、箱体20、便器30、水タンク40、屋根50及び表示パネル60などを備えている。
汚物受槽10は、樹脂から形成され、地面に設置される。汚物受槽10には、人の出入りする出入口側に利用者が昇降可能なステップ11が設けられている。汚物受槽10に貯留される排泄物等は、吸出口12からバキュームホース等により吸引される。
【0016】
箱体20は、汚物受槽10の上側に図示しないボルト等により取り付けられる。
箱体20は、上下方向に延びる4本の支柱21、及び支柱21と支柱21との間に設けられる左右の側壁22および出入口と反対側の奥壁23を有し、人が出入り可能な大きさに形成される。
支柱21は例えばアルミから形成される。側壁22および奥壁23も、例えばアルミから形成され、支柱21に形成された溝に嵌め込まれることで、支柱21に固定されている。
【0017】
箱体20の出入口側の支柱21には、開閉可能なドア24が設けられる。ドア24の上側には、一方の支柱21と他方の支柱21とを接続する横桟25が設けられている。側壁22の上側にも、出入口側の横桟25と同じ高さで、一方の支柱21と他方の支柱21とを接続する横桟25が設けられている。
【0018】
4本の支柱21の上側には、屋根50が設けられる。屋根50は、例えば繊維強化プラスチック(FRP)から形成される。
屋根50の四隅には、仮設トイレ1を吊り下げ可能なアイボルト53が取り付けられている。アイボルト53は、屋根50を貫通し、支柱21にねじ止めされている。アイボルト53により屋根50が箱体20に取り付けられる。
屋根50は、出入口側に軒51を有し、雨水がドア24および表示パネル60に降りかかることを抑制している。
【0019】
表示パネル60は、箱体20の出入口側及びその側面側に設けられている。
箱体20の出入口側の表示パネル60は、ドア24の上部の横桟25と屋根50との間に設けられている。表示パネル60は、ドア24の一方の支柱21と他方の支柱21との間に跨って取り付けられている。
箱体20の側面側の表示パネル60は、左右の側壁22の上部の横桟25と屋根50との間に設けられている。表示パネル60は、側壁22の一方の支柱21と他方の支柱21との間に跨って取り付けられている。
【0020】
表示パネルは、例えばアルミからなる一枚の板材から形成される。表示パネル60の板厚は、例えば12〜3mm、好ましくは9〜6mm程度に形成される。
表示パネル60は、下側が、横桟25の内側に例えばねじ62等により取り付けられる。また、表示パネル60は、上側が、屋根50に設けられたフランジ52に例えばねじ63等により取り付けられる。これにより、表示パネル60は、横桟25の厚さ分、屋根50の外縁より内側に設けられる。
【0021】
表示パネル60は、板厚方向に通じる複数の通気孔61を有する。複数の通気孔61は、上段の隣り合う通気孔61と通気孔61との間に、下段の通気孔61が配置されている。これにより、表示パネル60の面積に対し、通気孔61の占める開口面積の割合を大きくすることが可能になる。また、トラス構造により表示パネル60の強度低下を抑制することができる。
この複数の通気孔61により、文字、図形、記号などの表示が形成される。本実施形態では、出願人の名称である「TORINO トリノ」が表示されている。この表示は、表示パネル60を他の表示パネルと交換することで、例えば管理者又は所有者の名称、或いは仮設トイレ1を利用可能な性別など、任意に変更可能である。
表示パネル60の通気孔61の内径は、雨の降り込み、又はハエ、アブなどの昆虫の侵入を抑制可能な大きさに形成される。通気孔61の内径は、例えば10〜1mm、好ましくは7〜3mm程度に形成される。この通気孔61により、表示パネル60は、箱体20内の空気を換気することが可能となる。
【0022】
箱体20の内側に、フロアパネル26,27が上下2段に設けられる。その上側のフロアパネル27に排泄に用いられる便器30が取り付けられる。
上側のフロアパネル27と汚物受槽10との間に、便器30を洗浄する水を貯留する水タンク40が設けられる。水タンク40には、水を給水可能な給水口41などが設けられている。水タンク40の水は、図示しないポンプにより汲み上げられ、便器30の洗浄に用いられる。便器30を洗浄した水は、汚物受槽10に流れる。
【0023】
奥壁23には、表示パネル60と略同じ高さに照明70が設けられている。照明70は、例えば蛍光灯などであり、夜間に自動点灯、又は利用者がスイッチをオンすることで点灯する。
【0024】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)表示パネル60は、その表示を複数の通気孔61により形成することで、箱体20内の空気を換気することが可能である。この表示パネル60は、一方の側の支柱21と他方の側の支柱21との間に跨り、箱体20の三方に取り付けられている。このため、従来のガラリと比較して、箱体20に占める表示パネル60の面積が大きくなるので、仮設トイレの換気機能を高めることができる。
(2)表示パネル60の通気孔61により所有者又は管理者の名称を表示することで、第三者の無責任な使用を抑制すると共に、美観に優れた仮設トイレを企業の宣伝広告に利用可能である。この表示パネル60は、横桟25に脱着可能に取り付けられるので、仮設トイレの所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更に伴い、表示パネル60を交換することができる。
【0025】
(3)表示パネル60は、横桟25の内側の面に取り付けられるので、表示パネル60の通気孔61から雨が箱体20内に降り込むことを抑制することができる。
(4)表示パネル60は、ドア24の上側など、人の背丈より高い位置に設けられるので、通気孔61から箱体20内の悪質な覗き見行為を抑制することができる。
(5)表示パネル60と略同じ高さに照明70が設けられることで、照明70から照射される光が表示パネル60の通気孔61を略均等に通過する。これにより、夜間等に表示パネル60の表示機能を高め、仮設トイレ1の利便性を向上することができる。
【0026】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による仮設トイレを図7に示す。第2実施形態では、表示パネル60が横桟25に設けられた下レール28、および屋根50に設けられた上レール54の間に嵌め込まれている。
表示パネル60は、下記の要領で容易に脱着することが可能である。
上レール54及び下レール28から表示パネル60を取り外すには、先ず表示パネル60を上側に押し上げ、続いて箱体20の内側に引き出す。
一方、上レール54及び下レール28に表示パネル60を取り付けるには、先ず箱体20の内側から表示パネル60を上レール54に嵌め込み、続いて下レール28に表示パネル60を嵌め込む。
本実施形態では、表示パネル60の交換作業を容易に行うことが可能である。これにより、仮設トイレ2の所有者又は管理者の変更、又は利用者の性別の変更などに伴う表示パネル60の交換の作業性を向上することができる。
【0027】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による仮設トイレを図8に示す。第3実施形態では、表示パネル64に「男子トイレ」と表示されている。
本実施形態の仮設トイレ3は、表示パネル64により、仮設トイレ3を利用可能な性別が明確になる。特に夜間には、箱体20内の照明70により「男子トイレ」の表示が鮮明に浮かび上がるので、仮設トイレ3の利便性を向上することができる。
なお、表示パネル64に蛍光塗料を塗装することで、その表示機能を高めてもよい。
【0028】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による仮設トイレを図9に示す。第4実施形態では、表示パネル65に「女子トイレ」と表示されている。表示パネル65は、文字の背景となる部分に通気孔61を形成している。
本実施形態では、表示する文字、図形又は記号の占める面積が表示パネル全体の面積に対して小さい場合、表示パネル65の換気機能を高めることができる。
本実施形態の仮設トイレ4は、背景と文字等のいずれか一方に通気孔61を形成するとした表示パネル65の表示方法の切り替えにより、例えば夏季または冬季などに仮設トイレ4の換気機能の調節を容易に行うことができる。
【0029】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による仮設トイレを図10に示す。第5実施形態では、屋根50内側の略中央部分に照明71が設けられている。これにより、照明71は、箱体20の三方に設けられた表示パネル60に均等に光を照射することができる。
本実施形態の仮設トイレ5は、夜間等に表示パネル60の表示機能を高め、仮設トイレ5の利便性を向上することができる。
【0030】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による仮設トイレを図11に示す。第6実施形態では、表示パネル60の内側に反射板72が設けられている。反射板72は、横桟25に取り付けられている。
反射板72と表示パネル60との間には照明73が設けられている。照明73の照射する光は、反射板72によって反射し、箱体20内を照らす。
また、照明73の照射する光は、表示パネル60の通気孔61を通過し、表示パネル60の表示機能を高める。
本実施形態の仮設トイレ6は、反射板72により、通気孔61から雨の降り込みを抑制すると共に、通気孔61から箱体20内の悪質な覗き見行為を防止することができる。
【0031】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、箱体20の側壁22およびドア24と表示パネル60とを別体で形成した。これに対し、本発明は、箱体の側壁およびドアと表示パネルとを一体に形成してもよい。
上述した実施形態では、軽水洗便槽付の仮設トイレについて説明した。これに対し、本発明は、自動水洗式の仮設トイレに適用してもよい。
上述した実施形態では、表示パネルをアルミ板から形成した。これに対し、本発明は、表示パネルを光透過性または非光透過性の板材から形成してもよい。これにより、表示パネルの表示機能を高めることができる。
このように、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づき種々の実施形態に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,2,3,4,5,6・・・仮設トイレ
20 ・・・箱体
21 ・・・支柱
25 ・・・横桟
24 ・・・ドア
30 ・・・便器
60,64,65 ・・・表示パネル
61 ・・・通気孔
70,71,73 ・・・照明
72 ・・・反射板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が出入り可能な箱体と、
前記箱体の内側に設けられ、排泄に用いられる便器と、
板厚方向に通じる複数の通気孔により形成された表示を有し、前記箱体に設けられることで前記通気孔を通して前記箱体の内気と外気との換気を可能にする表示パネルとを備えることを特徴とする仮設トイレ。
【請求項2】
表示パネルは、箱体の出入口側及びその側面側の少なくともいずれか一方に設けられることを特徴とする請求項1に記載の仮設トイレ。
【請求項3】
前記表示パネルと前記箱体とは別体で形成され、
前記表示パネルは、前記箱体に脱着可能に取り付けられることで、他の表示パネルと交換可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の仮設トイレ。
【請求項4】
前記箱体は、上下方向に延びる複数の支柱を有し、
前記表示パネルは一方の側の前記支柱と他方の側の前記支柱との間に跨って取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項5】
前記箱体は、前記支柱と前記支柱との間を接続する横桟を有し、
前記表示パネルは、前記横桟の内側の面に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の仮設トイレ。
【請求項6】
前記箱体の出入口に設けられる開閉可能なドアを備え、
前記表示パネルは、前記ドアより上側の位置に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項7】
前記表示パネルと略同じ高さに設けられる照明を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項8】
前記照明を挟んで前記表示パネルと反対側に設けられる反射板を備えることを特徴とする請求項7に記載の仮設トイレ。
【請求項1】
人が出入り可能な箱体と、
前記箱体の内側に設けられ、排泄に用いられる便器と、
板厚方向に通じる複数の通気孔により形成された表示を有し、前記箱体に設けられることで前記通気孔を通して前記箱体の内気と外気との換気を可能にする表示パネルとを備えることを特徴とする仮設トイレ。
【請求項2】
表示パネルは、箱体の出入口側及びその側面側の少なくともいずれか一方に設けられることを特徴とする請求項1に記載の仮設トイレ。
【請求項3】
前記表示パネルと前記箱体とは別体で形成され、
前記表示パネルは、前記箱体に脱着可能に取り付けられることで、他の表示パネルと交換可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の仮設トイレ。
【請求項4】
前記箱体は、上下方向に延びる複数の支柱を有し、
前記表示パネルは一方の側の前記支柱と他方の側の前記支柱との間に跨って取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項5】
前記箱体は、前記支柱と前記支柱との間を接続する横桟を有し、
前記表示パネルは、前記横桟の内側の面に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の仮設トイレ。
【請求項6】
前記箱体の出入口に設けられる開閉可能なドアを備え、
前記表示パネルは、前記ドアより上側の位置に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項7】
前記表示パネルと略同じ高さに設けられる照明を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の仮設トイレ。
【請求項8】
前記照明を挟んで前記表示パネルと反対側に設けられる反射板を備えることを特徴とする請求項7に記載の仮設トイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−57384(P2012−57384A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202939(P2010−202939)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509170213)トリノ株式会社 (3)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509170213)トリノ株式会社 (3)
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