説明

仮設構造物

【課題】特別な技術を必要とせず、高齢者、病弱者等にも比較的容易に、且つ、軟弱地盤であっても安定して設置でき、屋根の高さ及び勾配を変更可能であり、構造が簡単で低廉な仮設構造物を提供すること。
【解決手段】屋根材及び壁材を支持する複数の杭支柱1,2を備え、杭支柱1,2は高さ調節可能であり、杭支柱1,2の下部に、足踏み込み用のプレート、又は、ねじ込み用の螺旋刃を設け、杭支柱1,2の埋設部分に、地質改良補強剤Gを噴出するノズルを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ハウス、防災用住宅等の仮設構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウス、簡易倉庫、防災用住宅等として、簡便な構造の仮設構造物が多く用いられている。
特に、近年では、温暖化の影響により、豪雨や台風の発生頻度が高まり、大型地震の発生も懸念されていることから、地球規模で仮設構造物の必要性が増している。
一般的な仮設構造物は、基礎を打ち、その上に複数の支柱を立設し、支柱の外側を軽量のボード或いはシートで覆って構築する。
しかし、このような仮設構造物は、基礎を打設するにも、支柱を立てるにも技術が必要であり、支柱の高さを一定に揃えるのも難しく、高い場所にボードやシートを張るのは危険で重労働であり、素人、特に、高齢者や病弱者が設置するのは困難であった。
【0003】
また、特許文献1には、低い位置で屋根を建設してから所望の高さまで移動できるよう、複数個の昇降装置でテントを支持した仮設構造物が記載されている。
しかし、この仮設構造物は、構造が複雑で大規模であるばかりか、昇降装置を昇降させるのに制御装置が必要であり、素人が建築するのは難しいだけでなく、コストも高くついた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−221001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、特別な技術を必要とせず、高齢者、病弱者等にも比較的容易に、且つ、軟弱地盤であっても安定して設置でき、屋根の高さ及び勾配を変更可能であり、構造が簡単で低廉な仮設構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の仮設構造物は、屋根材及び壁材を支持する複数の杭支柱を備え、該杭支柱は高さ調節可能であり、前記杭支柱の下部に、足踏み込み用のプレート、又は、ねじ込み用の螺旋刃を設けると共に、前記杭支柱の埋設部分に、地質改良補強剤を噴出するノズルを設けてある。
前記屋根材及び壁材は可撓性を有するシートとし、該シートの端部を巻取り器に巻き取り・巻き戻し自在に巻きつけても良い。
この時、前記屋根材を太陽光発電シートとすることができる。
【0007】
足踏み込み用のプレートを設けた杭支柱の場合は、支柱の下端部に杭を嵌合して成り、前記支柱及び杭の嵌合部分を、設定以上の軸力が加わったときに摺動する筒状のトルク調整具で締め付けて連結すると良い。
前記ノズルは、噴出口が下方を向いた下向きノズルと、噴出口が水平方向を向いた水平ノズルと、噴出口が上方を向いた上向きノズルとから構成しても良い。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、大型の重機等を必要とせず、足で踏み込むか、或いは手でねじ込むことにより、高齢者や病弱者でも比較的容易に支柱を立設することができ、構造も簡単である。
また、杭支柱を低くして屋根材及び壁材を取り付けてから、杭支柱を伸ばして屋根及び壁を構築することができるので、組み立て作業がいっそう容易となり、積雪時には、屋根材の中央部を支持する杭支柱を高くして屋根勾配をきつくすることにより、雪を屋根から滑落させ、強風時には、杭支柱を低くして風による倒壊を避けることができる。
さらに、地盤が軟弱な場所であっても、地質改良補強材を地中に噴出して地盤を補強できるため、杭支柱を安定して打ち込むことが可能である。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、杭支柱の高さを変更した際に、シートを巻き取ったり巻き戻して屋根材及び壁材の面積の変化に簡単に対応でき、竜巻や台風が発生した時にはシートを巻き取って、飛散や倒壊を防止することが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、太陽光発電シートによって発電した電力を供給できるため、光熱費を節減できるばかりか、災害等で停電が発生した時でも電気を使用することができる。また、杭支柱の高さを変えることにより、太陽の位置に応じて受光面の広さ及び傾きを変更することができるので、発電効率が良い。
【0010】
請求項4に係る発明によれば、地盤が固く杭が進入しにくい場合は、プレートを踏み込む力でトルク調整具が下方へ滑って支柱が下降し、これにより、杭支柱の高さを他の杭支柱と揃えることができる。
請求項5に係る発明によれば、杭支柱を打ち込む際に、或いは、地盤沈下等により杭支柱の高さにばらつきが生じても、ノズルを選択して地質改良補強材を噴出することによって、その反力で杭支柱を上下動させ、杭支柱の高さを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1を示す仮設構造物の側面図である。
【図2】実施例1に係る折り畳みタイプの杭支柱の断面図である。
【図3】実施例1に係る伸縮タイプの杭支柱の要部破断側面図である。
【図4】回転操作用レバーの他の実施態様を示す側面図である。
【図5】回転操作用レバーのさらに他の実施態様を示す平面図である。
【図6】回転操作用レバーのさらに他の実施態様を示す平面図である。
【図7】実施例2を示す仮設構造物の側面図である。
【図8】実施例2の仮設構造物の平面を模式的に示す図である。
【図9】実施例2に係る伸縮タイプの杭支柱の要部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に関し、農業用ハウス等の比較的小型で高い強度を必要としない仮設構造物の妻側から見た断面図である。
この仮設構造物は、屋根材及び壁材と、屋根材の中央部及び端部並びに壁材を支持する複数の杭支柱1,2とを備える。
屋根材及び壁材は、パネルやボードでもよいが、本実施例では可撓性のあるシート18を使用している。
【0013】
シート18は、屋根を覆う部分と、妻面と交差する2面の壁を覆う部分とを連続して成り、シート18の両端部は壁の下部に取り付けられた巻取り器18aに、巻き取り・巻き戻し自在に巻きつけてある。
なお、巻取り器18aは、シート18を巻き取る方向に軽く付勢し、シート18の弛みをなくすようにすると良い。
また、図示しないが、仮設構造物の妻面を含む壁は、別体のシートで被覆してある。
【0014】
杭支柱1,2は、軽金属、合成樹脂等を素材とする中空パイプより成り、仮設構造物の外周に沿って適宜間隔ごとに、また、仮設構造物の中央部の適宜箇所に立設される。
妻方向両端に立設された杭支柱2は伸縮タイプとし、その間に立設された杭支柱1は折り畳みタイプとして、高さ調節可能となっている。
折り畳みタイプの杭支柱1は、図2に示すように、支柱12とその下端内部に摺動自在に嵌合した杭11とから成る。
支柱12は、下段支柱121、中段支柱122及び上段支柱123に分割され、下段支柱121の上端と中段支柱122の下端、及び、中段支柱122の上端と上段支柱123の下端はそれぞれ蝶番124によって折り畳み可能に連結されている。
【0015】
また、蝶番124を取り付けた側面と反対の側面において、下段支柱121と中段支柱122の連結部分、及び、中段支柱122と上段支柱123の連結部分には、互いに着脱自在に係止するフック125と係止具126が装着されている。
フック125を係止具126に係止すると、中段支柱122及び上段支柱123がそれぞれ下段支柱121及び中段支柱122に対して倒れないよう引き止められる。フック125を係止具126から外すと、中段支柱122及び上段支柱123を折り畳むことができる。
【0016】
下段支柱121と中段支柱122の連結部分、及び、中段支柱122と上段支柱123の連結部分の内部には、それぞれ短尺の連結パイプ127が外部からの操作で摺動可能に嵌合されている。
そして、連結パイプ127を連結部分に合致させると、中段支柱122が下段支柱121に対して起立すると共に、上段支柱123が中段支柱122に対して起立し、連結パイプ127を摺動させて連結部分からずらすと、中段支柱122及び上段支柱123を折り畳むことができる。
【0017】
上段支柱123の上端から内部に中空の中層支柱13が摺動可能に嵌合され、中層支柱13の上端から内部に内層支柱14が摺動可能に嵌合され、中層支柱13及び内層支柱14を引き出してボルト等により適宜高さで固定できるようになっている。
上段支柱123及び中層支柱13の上端周縁には、それぞれ鍔123a,13aが張り出してあり、内層支柱14の上端には円還部材14aが取り付けられる。このため、鍔123a,13aどうし及び円還部材14aがぶつかって、中層支柱13及び内層支柱14を完全に没入できないようになっている。
また、積雪量の多い地方では、内層支柱14を引き出した後、その側面にパイプ17を介して振動発生器16を取り付けることもできる。
なお、鍔123a,13aに、ロープ、補助材、備品等を取り付けるための還状金具を装着しても良い。
【0018】
杭支柱1の埋設部分である杭11には、セメントペースト、膠質ケイ酸塩を生ずる薬剤等の地質改良補強剤Gを噴出するノズルが設けられ、杭支柱1の内部或いは外部に、ノズルへ地質改良補強剤Gを送るチューブ111が配管されている。
ノズルは、噴出口が下方を向いた下向きノズル111aと、噴出口が水平方向を向いた水平ノズル111bと、噴出口が上方を向いた上向きノズル111cとから成る。
【0019】
伸縮タイプの杭支柱2は、図3に示すように、杭21と、杭21の外面に嵌合された中空の外支柱22と、外支柱22の上端から内部に摺動自在に嵌合された中空の中支柱23と、中支柱23の上端から内部に摺動自在に嵌合された中空の内支柱24とから成る。
中支柱23及び内支柱24は、適宜高さまで引き出してボルト23b,24b等により固定できるようになっている。なお、ボルト23b,24bの頭部には、ロープ、補助材、備品等を取り付けるための還状金具を設けると良い。
【0020】
また、外支柱22及び中支柱23の上端周縁にはそれぞれ鍔22a,23aがはりだし、内支柱24の上端には円還部材24aが装着されている。従って、中支柱23及び内支柱24を下限位置まで押し込むと、鍔22a,23aどうし及び円還部材24aがぶつかって、それ以上没入するのを防ぐ。なお、鍔22a,23aには、備品取付用の金具を装着することができる。
杭21と外支柱22とはボルト22cで固定される。杭21には、杭11と同様に、地質改良補強剤Gを噴出する下向きノズル211a、水平ノズル211b、及び、上向きノズル211cが形成されている。
なお、下向きノズル211a、水平ノズル211b、及び、上向きノズル211cは、杭21の下部と中間部にそれぞれ設けても良い。
【0021】
杭支柱1,2の下部には、足踏み込み用のプレート、又は、ねじ込み用の螺旋刃を設けてある。
便宜上、足踏み込み用のプレート113を取り付けた折り畳みタイプの杭支柱1を図2に示し、螺旋刃212を取り付けた伸縮タイプの杭支柱2を図3に示すが、逆であっても良い。
図2に示すように、杭支柱1の下段支柱121の外面にはリング113aが固定され、このリング113aの外面にプレート113が回動可能に取り付けられている。
プレート113は垂直状態(下段支柱121と平行な状態)から基部を中心に上方或いは下方へ回動させて水平に開き、水平に張り出した状態で固定できるようになっている。そして、プレート113に足を掛けて踏み込むことにより、杭11を打ち込むことができる。
【0022】
また、下段支柱121と杭11との嵌合部分の外周を、筒状のトルク調整具112で締め付けてある。
トルク調整具112は、下端に向かって次第に小径となり、その内面に鋸歯状の凹凸が形成され、この凹凸が、下段支柱121の外面下端部に形成された凹凸と係合している。また、トルク調整具112の内面下端部は杭11の外面に食い込んでいる。
従って、プレート113を踏みつけて柔らかい地盤に杭11を打ち込む際には、下段支柱121と杭11とが共に地中に進入するが、杭11の先端が堅い地盤に突き当って進まなくなり、プレート113を踏んで下段支柱121に加わる軸力が設定値以上になると、トルク調整具112が杭11に沿って滑り落ち、下段支柱121のみが下降する。
【0023】
図3に示すように、杭支柱2の杭21の外面下端部及び外面中間部には、それぞれ螺旋刃212が取り付けてある。
杭支柱2の埋設部分の上方において、外支柱22の外面には回転操作用のレバー223を固定してある。レバー223は、外支柱22の外面に固定した円還の外面から両側に張り出している。
そして、杭21と外支柱22とを固定した後、レバー223を両手で握って回転させることにより、杭21を地中にねじ込む。
【0024】
また、レバー223に代えて、図4に示すように、外支柱22を貫通して両側に張り出すレバー222を用いてもよい。レバー222の中央よりも一端側には径大部222bが形成され、レバー222を他端から外支柱22に差し込み、外支柱22を挟んで径大部222bの反対側にピン222cを打ち込むことにより、レバー222を外支柱22に固定する。
なお、このレバー222を用いる場合は、地質改良補強剤を供給するチューブを、杭支柱2の内部ではなく、外部に配管する。
また、レバー222を用いて杭21を打ち込み、レバー222を外してから、外支柱22の内部に中支柱23を嵌合する。
【0025】
図5に示すレバー224は、一端側に形成した一対の握り部224aを開閉することにより、他端側に設けた一対の締め付け部224bが軸224eを中心として開閉し、締め付け部224bが閉じた時に外支柱22を締め付けるようになっている。締め付け部224bに止めリング224cを被せると、閉じた締め付け部224bは開かなくなる。
また、締め付け部224bにはそれぞれ外支柱22の周面を通して内部に挿入される突起224dが形成され、握り部224a及び締め付け部224bを両手で握って回転させたときにレバー224が空回りしない。
【0026】
図6に示すレバー225は、互いに平行で外支柱22の両側に張り出す握り部225aと、握り部225aと直交してこれを連結する連結部225bとを一体に形成して成る本体部、及び、連結部225bと平行な摺動部材225cと備える。
一方の握り部225aは、連結部225bと摺動部材225cとが外支柱22を挟んで対向するよう、摺動部材225cに挿通される。
一方の握り部225aには雄ネジ部225dが形成され、摺動部材225cの外側において、雄ネジ部225dにナット225eが螺合されている。
【0027】
また、連結部225b及び摺動部材225cの外支柱22と接する面には滑り止め突起が形成され、摺動部材225cの端部には、外支柱22の周面を通して内部に挿入される爪225fが形成されている。
従って、ナット225eを締めこんだり緩めたりすることにより、レバー225を外支柱22に着脱でき、握り部225aを両手で握って回転させる際に、爪225fが外支柱22に係合しているので、空回りしない。
なお、これらのレバー222,223,224,225を杭支柱1の下段支柱121に取り付け、足踏み込み用プレートとして利用することもできる。
【0028】
この仮設構造物を建てるには、まず、図1の実線で示すように、杭支柱1を折り畳んだ状態で立設すると共に、杭支柱2の杭21及び外支柱22を固定してからねじ込む。
杭21及び外支柱22をねじ込んでから、外支柱22の内部に中支柱23を嵌合し、さらに、中支柱23の内部に内支柱24を嵌合する。
地盤の強度が不十分な場合は、杭11,21のノズル(特に、水平ノズル111b,211b)から地質改良補強材Gを噴出して地盤を補強する。なお、杭支柱1及び杭支柱2の杭21を埋設する際には、ノズル111a,111b,111c,211a,211b,211cは塞いでおくのが望ましい。
【0029】
また、杭支柱1の中層支柱13及び内層支柱14を、屋根勾配に応じて必要な長さだけ引き出して固定し、その後、杭支柱1,2の上にシート18を被せる。
次いで、図1の破線で示すように、杭支柱2の中支柱23及び内支柱24を引き出して固定すると共に、杭支柱1の中段支柱122及び上段支柱123を伸ばして固定し、シート18を被せた状態で屋根を押し上げる。
シート18は、円還部材14a,24aの上にスライド自在に被せてあるので、杭支柱1,2を高くしても簡単に追随する。
【0030】
仮設構造物の屋根上に積雪した時は、シート18の中央部を支持する杭支柱1を高くして屋根勾配を急にし、振動発生器16を作動させて雪を滑落させる。
また、強風時には、杭支柱1,2を低くして仮設構造物の高さを低くし、風による倒壊を防ぐ。
地震等により、杭支柱1,2が不同沈下した場合、或いは、杭打ち時に杭支柱1,2の高さが不ぞろいな場合は、所定高さより低い杭支柱1,2の下向きノズル111a,211aから地質改良補強剤Gを噴出し、地盤から受ける上向きの反力により杭支柱1,2を上昇させて高さを補正する。
一方、所定高さより高い杭支柱1,2の上向きノズル111c,211cから地質改良補強剤Gを噴出し、地盤から受ける下向きの反力により杭支柱1,2を下降させて高さを補正する。
【0031】
なお、屋根材及び壁材として、太陽光発電シートを用いることもできる。
また、シート18を中央部から分離し、左右の巻取り器18aによって完全に巻き取ることもできる。
さらに、必要に応じて、円還部材14a,24aに横架材を挿通する、折り畳み部分の下方において杭支柱1間に横架材を架設する、杭支柱2間に横架材を架設する等により補強すると良い。
また、杭支柱1,2の上端間に屋根勾配に沿ってロープを張り、シート18を受けることもできる。
【0032】
図7は、仮設構造物が比較的強度の高い仮設住宅等である実施例2を示す。この仮設構造物には、全て伸縮タイプの杭支柱2を用いている。
また、屋根材となるシート18bと壁材となるシート18cとを別体とし、シート18bの下端部を杭支柱2の上部に装着した巻取り器18dに巻き取り・巻き戻し自在に巻きつけてあり、シート18cの下端部を杭支柱2の下部に装着した巻取り器18eに巻き取り・巻き戻し自在に巻きつけてある。シート18bには太陽光発電シートを用いることができる。
【0033】
杭支柱2の構造は、実施例1で用いたものと同様であるが、強度を高めるため、図8及び図9に示すように、中支柱23及び内支柱24を適宜高さまで引き出して固定した後、隣接する杭支柱2間に横架材25を架設すると共に、垂直面に含まれるブレース26及び水平面に含まれるブレース27を架設する。
杭支柱2の中支柱23及び内支柱24を引き出すには、伸縮ジャッキを用いたり、円還部材24aや鍔23a等に設けた環状金具にロープを掛けて吊り上げる。
【0034】
横架材25を架設するには、図9に示すように、外支柱22の鍔22a及び中支柱23の鍔23aの上方において、中支柱23及び内支柱24にそれぞれ梁受け材28を固定し、この梁受け材28と横架材25の端部とを接続プレート29を介して連結する。
また、図7に示すように、地面よりもやや上方において、外支柱22間に横架材25を架設する。そして、通常は、この外支柱22間をつなぐ最も低い横架材25の上に床板をはる。
【0035】
豪雨等により水位が上がった時は、中支柱23間に架設した横架材25、或いは、内支柱24間に架設した横架材25の上に床板を移し、床を高くする。
なお、図8では、仮設構造物の内部にも等間隔で杭支柱2を立設してあるが、杭支柱2のスパンが狭い場合は、居住の邪魔にならないよう、架設構造物内の適宜箇所のみに立設すればよいのは言うまでもない。
その他の構造及び使用方法は、実施例とほぼ同様なので詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0036】
1 折り畳みタイプの杭支柱
11 杭
111 チューブ
111a 下向きノズル
111b 水平ノズル
111c 上向きノズル
112 トルク調整具
113 プレート
113a リング
12 支柱
121 下段支柱
122 中段支柱
123 上段支柱
123a 鍔
124 蝶番
125 フック
126 係止具
127 連結パイプ
13 中層支柱
13a 鍔
14 内層支柱
14a 円還部材
16 振動発生器
17 パイプ
18,18b,18c シート
18a,18d,18e 巻取り器
2 伸縮タイプの杭支柱
21 杭
211a 下向きノズル
211b 水平ノズル
211c 上向きノズル
212 螺旋刃
22 外支柱
22a 鍔
22c ボルト
222,223,224,225 レバー
222b 径大部
222c ピン
224a 握り部
224b 締め付け部
224c 止めリング
224d 突起
224e 軸
225a 握り部
225b 連結部
225c 摺動部材
225d 雄ネジ部
225e ナット
225f 爪
23 中支柱
23a 鍔
23b ボルト
24 内支柱
24a 円還部材
24b ボルト
25 横架材
26,27 ブレース
28 梁受け材
29 接続プレート
G 地質改良補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材及び壁材を支持する複数の杭支柱を備え、該杭支柱は高さ調節可能であり、前記杭支柱の下部に、足踏み込み用のプレート、又は、ねじ込み用の螺旋刃を設けると共に、前記杭支柱の埋設部分に、地質改良補強剤を噴出するノズルを設けてあることを特徴とした仮設構造物。
【請求項2】
前記屋根材及び壁材が可撓性を有するシートより成り、該シートの端部を巻取り器に巻き取り・巻き戻し自在に巻きつけてある請求項1に記載の仮設構造物。
【請求項3】
前記屋根材が太陽光発電シートより成る請求項2に記載の仮設構造物。
【請求項4】
足踏み込み用のプレートを設けた杭支柱は、支柱の下端部に杭を嵌合して成り、前記支柱及び杭の嵌合部分を、設定以上の軸力が加わったときに摺動する環状のトルク調整具で締め付けて連結してある請求項1〜3のいずれかに記載の仮設構造物。
【請求項5】
前記ノズルは、噴出口が下方を向いた下向きノズルと、噴出口が水平方向を向いた水平ノズルと、噴出口が上方を向いた上向きノズルとから成る請求項1〜4のいずれかに記載の仮設構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−122409(P2011−122409A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283172(P2009−283172)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(505237776)
【Fターム(参考)】