説明

仲介用通信端末装置および通信システム

【課題】仲介用の通信端末装置を用い第1の通信端末装置と、第2の通信端末装置との間の通信を行う際に、仲介が不可能となった場合に、第1の他の通信端末装置と第2の他の通信端末装置との通信を引き続き行えるようにすることを目的とする
【解決手段】
通信端末装置Aを仲介して通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信を行う通信システムであって、通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間又は通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間で通信が良好でなくなり、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信範囲にいる場合に、通信端末装置Bと通信端末装置Cに認証情報を送って、直接通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置間での無線通信システムに関するものであり、特に、仲介用の通信端末装置によって第1の通信端末装置と、第2の通信端末装置との間の通信を行う際に、仲介となる通信端末装置による仲介が不可能となった場合等に、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を可能とすることができるようにした通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模なネットワーク上において、ノード間での通信を、仲介サーバを介して行う方法が知られている(特許文献1)。この特許文献1に記載の技術は、第1のノードと第2のノード間での通信を行うにあたり、まずインターネットなどのネットワークを介して接続する仲介サーバを通じた通信が行われる。その際、特許文献1の仲介サーバや、第1のノード、第2のノードについては、これらがネットワークを介さないで直接通信を行うことやこれらが移動して用いられることについて特に記載がなく、それぞれが固定された位置でインターネット等のネットワークを介した通信が行われている。
【0003】
ところで、携帯電話機などの端末装置間で、直接無線通信を行う技術について様々なものが知られている。このような技術としては、例えばWi−Fi(登録商標)と呼ばれるようなIEEE802.11シリーズの技術規格である無線LANや、Bluetooth(登録商標)等がよく知られている。そしてこのような無線通信手段によって、ネットワークを介さないで直接、画像データ等のやり取りを行うことが、複数の端末装置間で一般的に行われている。
【0004】
このように端末装置同士の間で、ネットワークを介さないで直接通信を行う技術が普及してくると、例えば、端末装置Bと端末装置Cとが端末装置Aを仲介して通信を行う状況も考えられる。
【0005】
より具体的な例として、例えば端末装置Aが携帯電話機で、端末装置Bが通信機能を備えた記憶装置で、端末装置Cがカメラを備えた携帯電話機である。そして端末装置Aと端末装置Bは所有者Xが所持しており、端末装置Cは所有者Yが所持している。
【0006】
ここで、Yが端末装置Cで撮影した動画のデータを、Xの携帯電話機である端末装置Aへ端末装置Cから送信し、そして端末装置Aは受信した画像データを記憶装置である端末装置Bに転送して記憶しているものとする。このような使い方としては、Xが携帯電話機である端末装置Aのメモリの使用を抑えるために、端末装置Bに画像データを記憶しておくことが考えられる。また、Xとしては、端末装置Aを介して端末装置Bにデータを保存しておくことで、Yにとっては端末装置Aと通信を行っているという認識のまま、Yに対して端末装置Bの存在を積極的には知らせない、というような使い方が考えられる。
【0007】
このような状況での使用によると、Yが端末装置Cで撮影した画像データをXの端末装置Aに送信すると、Yは端末装置Bの存在は知らないので、Xの端末装置Aに対して通信しているものと思っている。しかしながら実際にはYの撮影した画像データは、Xの端末装置Bに保存されていることになる。つまり、端末装置Aを仲介して端末装置Bと端末装置Cとが通信を行っている状況になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−86802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような、端末装置Aを仲介して端末装置Bと端末装置Cとが通信を行うような場合にあっては、少なくとも一つの端末装置が移動可能な端末装置であれば、特許文献1のような技術を適用することはできない。これは端末装置が移動することにより、仲介を伴う通信が成り立たなくなることが発生するからである。
【0010】
具体的な例としては、例えば通信中に、Xが携帯電話機である端末装置Aを持ったまま移動してしまうことが考えられる。この場合、端末装置Bと端末装置Cとが直接通信可能な範囲にいても、仲介していた端末装置Aが通信圏外になってしまうと、端末装置Bと端末装置Cとの通信が不可能になってしまうという問題点があった。
【0011】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、当初端末装置Aを仲介して端末装置Bと端末装置Cとの間で通信を行っていた場合に、端末装置Aを仲介する通信が良好でないと判断したとき、端末装置Bと端末装置Cとの間での直接通信を可能とすることで、上記問題点を解消し得ることに想到し本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介用通信端末装置を仲介させて行っていた場合に、所定のタイミングで第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との直接の通信に切り換えることで、多様な通信目的に対応することができる仲介用通信端末装置、通信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、第1の通信端末装置との間で無線による通信を行うとともに、第2の通信端末装置との間でも無線による通信を行うことで、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置であって、該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置のうち、少なくとも何れか一つは移動可能な通信端末装置であり、前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置とが通信可能で、該仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが通信可能で、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる仲介用通信端末装置であって、前記仲介用通信端末装置は、前記仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、前記仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の仲介用通信端末装置であって、前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の現在位置情報と、前記第1の通信端末装置の現在位置情報と、前記第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の仲介用通信端末装置であって、前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて、前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の仲介用通信端末装置であって、前記仲介用通信端末装置による、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うことを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項6にかかる発明は、第1の通信端末装置と、第2の通信端末装置と、前記第1の通信端末装置との間で無線による通信を行うとともに、前記第2の通信端末装置との間でも無線による通信を行うことで、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置と、からなり、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置と前記仲介用通信端末装置のうち、少なくとも何れか一つは移動可能な通信端末装置である通信システムであって、前記仲介用通信端末装置が、該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置とが通信可能で、該仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが通信可能で、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することにより、前記第2の通信端末装置を認証するための情報を受信した前記第1の通信端末装置と、前記第1の通信端末装置を認証するための情報を受信した前記第2の通信端末装置とが、無線による直接の通信を開始する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる通信システムであって、前記仲介用通信端末装置は、前記仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、前記仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる通信システムであって、前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の現在位置情報と、前記第1の通信端末装置の現在位置情報と、前記第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項7にかかる通信システムであって、前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて、前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項6から請求項9の何れか1項に記載の通信システムであって、前記仲介用通信端末装置による、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる発明においては、第1の通信端末装置との間で無線による通信を行うとともに、第2の通信端末装置との間でも無線による通信を行うことで、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置とが通信可能で、該仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが通信可能で、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、第1の通信端末装置に第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、第2の通信端末装置に第1の通信端末装置を認証するための情報を送信する。
【0024】
このような構成によれば、最初に第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介用通信端末装置を仲介させて行っていた場合に、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との間で通信可能な状況の下、所定のタイミングで第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との直接の通信に切り換えることで、多様な通信目的に対応することができる。
【0025】
請求項2にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置は、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、仲介用通信端末装置と第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、第1の通信端末装置に第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、第2の通信端末装置に第1の通信端末装置を認証するための情報を送信するので、例えば、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置との間の通信状況が悪化してきた状況において、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが直接の通信を行うことができる領域にいる場合、仲介用通信端末装置からそれぞれを認証できる情報を送信することで、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが互いを認証することができ、通信が不可能になってしまう前に、仲介なしで直接通信を行うことが可能になる。
【0026】
請求項3にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置の現在位置情報と、第1の通信端末装置の現在位置情報と、第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて通信状況が良好でないと判断するので、正確な判断を行うことができる。
【0027】
請求項4にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて通信状況が良好でないと判断するので、バッテリ残量を検出する手段をもともと備えた通信端末装置であれば、簡単な構成で判断を行うことができる。
【0028】
請求項5にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置による、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うので、精度の高い判断を行うことができる。
【0029】
請求項6にかかる発明においては、第1の通信端末装置と、第2の通信端末装置と、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置と、からなる通信システムであって、仲介用通信端末装置が、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置とが通信可能で、仲介用通信端末装置と第2の通信端末装置とが通信可能で、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、第1の通信端末装置に第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、第2の通信端末装置に第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することにより、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが、無線による直接の通信を開始する。
【0030】
このような構成によれば、最初に第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介用通信端末装置を仲介させて行っていた場合に、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との間で通信可能な状況の下、所定のタイミングで第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との直接の通信に切り換えることで、多様な通信目的に対応することができる。
【0031】
請求項7にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置は、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、仲介用通信端末装置と第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、第1の通信端末装置に第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、第2の通信端末装置に第1の通信端末装置を認証するための情報を送信するので、例えば、仲介用通信端末装置と第1の通信端末装置との間の通信状況が悪化してきた状況において、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが直接の通信を行うことができる領域にいる場合、仲介用通信端末装置からそれぞれを認証できる情報が送信され、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との間で、無線による直接の通信が引き続き行われるので、安定した通信を行うことが可能となる。
【0032】
請求項8にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置の現在位置情報と、第1の通信端末装置の現在位置情報と、第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて通信状況が良好でないと判断するので、正確な判断を行うことができる。
【0033】
請求項9にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて通信状況が良好でないと判断するので、バッテリ残量を検出する手段をもともと備えた通信端末装置であれば、簡単な構成で判断を行うことができる。
【0034】
請求項10にかかる発明によれば、仲介用通信端末装置による、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うので、精度の高い判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における通信システムの概念図である。
【図3】本発明の実施形態における通信システムの処理手順を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施形態における通信ステムにおいて、仲介を伴う通信が行えない状況を示す概念図である。
【図5】本発明の実施形態における仲介を行う通信端末装置の処理を示したフローチャート図である。
【図6】本発明の他の実施形態における通信システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するための通信システムおよび仲介用通信端末装置を例示するものであって、本発明をこの通信システムおよび仲介用通信端末装置に特定することを意図するものではなく、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められるものである。
【実施例1】
【0037】
図1は、本実施例である通信システム1の構成を示すブロック図である。そしてこの通信システム1は、図1に示すように、通信端末装置A、通信端末装置B、通信端末装置Cからなる3つの通信端末装置で構成されている。またこの通信端末装置Aおよび通信端末装置Bは所有者Xが所持するものであり、通信端末装置Bは所有者Yが所持するものとして説明を行う。
【0038】
まず各通信端末装置についてその構成を説明していく。仲介用の通信端末装置である通信端末装置Aは携帯電話機である。通信端末装置Aは携帯電話機として通常有しているような構成、例えば、アンテナ、デュプレクサ、送受信回路、変復調器、コーデック、バッテリ等とともに、制御部11、現在位置検出部12、操作部13、記憶部14、音声出力部15、通信部16、表示部17を備えて構成されている。
【0039】
制御部11は、RAM、ROMを有するマイクロプロセッサ(CPU)を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0040】
現在位置検出部12は、複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在位置を検出する。また現在位置検出手段12としては、携帯電話機である通信端末装置Aでは、携帯電話機の位置が把握できるよう基地局との通信を行っているので、基地局との距離をもとに現在位置を検出してもよい。また通信端末装置Aが方位センサ等を備えているようであれば、それらを利用して現在位置を検出してもよい。
【0041】
操作部13は、通信端末装置Aにおける各種機能を選択するためのキーや、電話番号を入力するためのキー、メール送信の宛先や本文を入力するためのキー、或いはタッチパネル等で構成される。そして通信端末装置Aの所有者Xがこの操作部13を介して操作情報を入力することによって、通信端末装置Aの様々な機能が実行されることになる。
【0042】
記憶部14は、後述する通信端末装置Bと通信端末装置Cに関する識別情報や、通信端末装置Bと通信端末装置Cの位置情報等を記憶している。音声出力部15は、携帯電話機におけるスピーカなどで構成されるものである。
【0043】
通信部16は、近距離に存在する端末同士間で直接データのやり取りを行うための通信を行う。データとしては、画像データや音声データ等の他に、後述する通信端末装置Bや通信端末装置Cの位置情報等である。このような近距離での無線通信技術としては、先にも述べたがWi−Fi(登録商標)と呼ばれるようなIEEE802.11シリーズの技術規格である無線LANや、Bluetooth(登録商標)等がよく知られている。そして他の機器と通信を行うため、アンテナ(図示せず)等とともに、無線LANの仕様やBluetooth(登録商標)の仕様に基づく通信部として構成される。なお、特に図示していないが携帯電話機である通信端末装置Aは通常の携帯電話機が備えている電話通信機能やメール機能等を実行するための携帯電話通信部も当然備えている。そして、この携帯電話通信部と基地局との間で通信を行い、基地局から携帯電話網等のネットワークを介すことで第三者との通話やメールのやり取りが行われる。
【0044】
表示部17は、通信端末装置Aにおける各種機能のメニューを表示したり、電話番号を表示したり、メールを表示したりするものであり、LCDパネル等の表示体によって構成される。
【0045】
次に通信端末装置Bは通信機能を備えた記憶装置である。通信端末装置Bは制御部21、現在位置検出部22、操作部23、データ記憶部24、音声出力部25、通信部26、表示部27を備えて構成されている。
【0046】
制御部21は、RAM、ROMを有するマイクロプロセッサ(CPU)を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0047】
現在位置検出部22は、複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在位置を検出する。
【0048】
操作部23は、通信端末装置Bにおける各種機能を選択するためのキーやタッチパネル等で構成される。そして通信端末装置Bの所有者Xがこの操作部23を介して操作情報を入力することによって、通信端末装置Bの様々な機能が実行されることになる。
【0049】
データ記憶部24は、後述する通信端末装置Aから転送された画像等の各種データを記憶しておくためのものである。比較的記憶容量の大きなもので構成するのが好ましく、ハードディスクドライブや光学ドライブ等を用いてもよい。
【0050】
音声出力部25はスピーカなどで構成されるものである。通信部26は、通信端末装置Aの通信部16と同様、近距離に存在する端末同士間での直接のデータのやり取りを行うための通信を行う。また表示部27は、通信端末装置Bにおける各種機能のメニューを表示したりするものであり、LCDパネル等の表示体によって構成される。
【0051】
なお、通信端末装置Bは比較的記憶容量の大きなデータ記憶部24を備えているが、通信機能を備えた記憶装置としては、この他に例えば携帯電話機やナビゲーション装置であっても構わない。これは携帯電話装置やナビゲーション装置であっても、最近では大容量のメモリを備えたものや、メモリカードを備えたものも多くなっているからである。
【0052】
通信端末装置Cはカメラを備えた携帯電話機である。通信端末装置Cも通信端末装置Aと同様に、携帯電話機としての本来的な構成とともに、制御部31、現在位置検出部32、操作部33、記憶部34、音声出力部35、通信部36、表示部37を備えて構成されている。これらについては、通信端末装置Aと同様なものであるため説明を省略する。そしてこの他に通信端末装置Cはマイク部38、カメラ部39を備えている。
【0053】
カメラ部39は、CCDカメラ等の撮像素子と、撮影した画像について様々な処理を行う画像処理部等からなる。このカメラ部39により、静止画や動画の撮影が行われる。またマイク部38は動画撮影の際の音声など、音声信号を電気信号に変換するものである。
【0054】
つぎに、この携帯電話機である通信端末装置A、通信機能を備えた記憶装置である通信端末装置B、カメラを備えた携帯電話機である通信端末装置Cを用いた通信について説明を行う。先に背景技術においても説明したが、通信システム1においては、通信端末装置Aを仲介して、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信を行う。
【0055】
このような通信として想定される具体的な例として、Yが通信端末装置Cで動画の撮影を行い、そしてこの動画データを通信端末装置CによってXの通信端末装置Aへ送信する。そして通信端末装置Aが受信した動画データを通信端末装置Bに転送し、通信端末装置Bによって記憶しておく、というような場合が考えられる。なお、この他には例えば、通信端末装置Cに保存されている音楽データを、Yが通信端末装置CによってXの通信端末装置Aへ送信する。そして通信端末装置Aが受信した音楽データを通信端末装置Bに転送し、通信端末装置Bによって記憶しておく場合等が考えられる。
【0056】
このような通信を行う目的としては、Xが携帯電話機である通信端末装置Aのメモリの使用を抑えるために通信端末装置Bに画像データを記憶しておくことが考えられる。また、その他、Xとしては大切なデータを保存する通信端末装置Bの存在を積極的にはYに知られないで、Yの認識としては、Yの通信端末装置CとXの通信端末装置Aとが通信しているだけ、と思わせておくこと等が考えられる。
【0057】
このような通信システム1の具体的なイメージを図2に示す。図2(a)、(b)は本発明における通信システム1の概念図である。まず通信端末装置A、通信端末装置B、通信端末装置Cは、それぞれの通信端末装置において、データの送信が可能な範囲を有している。この送信可能な範囲は、図2(a)において、各通信端末装置に点線で示した半径からなる実線で示す円の中である。このように円で示す領域内であれば、各通信端末装置はデータの送信を行うことができる。
【0058】
そして、上記のように通信システム1においては、通信端末装置Aを仲介して、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信を行う。具体的には図2(b)で示すように、各通信端末装置での送信可能な範囲が重なる領域内に、各通信端末装置が存在した場合に、このような通信が可能となる。
【0059】
図3には、通信端末装置Aを仲介して、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信を行う場合の処理手順を示すシーケンス図を示す。まず通信端末装置Cから通信端末装置Aに対して接続の要求を行う(ステップ101)。通信端末装置Aが通信端末装置Cとの接続を許可するのであれば、通信端末装置Cに対して接続を許可する(ステップ102)。これらの処理により通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間で通信が可能となる。
【0060】
ここで通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間では、通信端末装置Aの通信部16と通信端末装置Cの通信部36との間で無線通信を行うことになる。そして通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間では、2者間での通信が行えるよう認証情報の送受信が行われる。この認証情報は、例えば無線LANであればIPアドレスやMACアドレスの端末を識別するための識別情報等であり、また暗号化通信を設定しているのであれば暗号鍵等である。またBluetooth(登録商標)であればリンクキーやパスキー等である。このような暗号鍵等については、一回限りしか使用できないものや、使用期限が決められているものであることがより好ましい。
【0061】
同様に通信端末装置Aから通信端末装置Bに対して接続の要求を行い(ステップ103)、通信端末装置Bとの接続を許可する(ステップ104)。そして通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間で通信が可能となる。
【0062】
次に仲介する通信端末装置Aは、通信端末装置Cに対して、通信端末装置Cの現在位置を要求する(ステップ105)。この要求に対して通信端末装置Cは、通信端末装置Cの現在位置検出部32から現在位置を取得し、通信端末装置Aにこの現在位置情報を送信する(ステップ106)。また同様に通信端末装置Aは、通信端末装置Bに対して、通信端末装置Bの現在位置を要求する(ステップ107)。この要求に対して通信端末装置Bは、通信端末装置Bの現在位置検出部22から現在位置を取得し、通信端末装置Aにこの現在位置情報を送信する。
【0063】
ここで、通信端末装置Aが通信端末装置Bと通信端末装置Cの位置情報を得るのは、それぞれの位置を把握するためである。仲介する通信端末装置Aが通信端末装置Bと通信端末装置Cの位置情報を得て、そして通信端末装置Aの現在位置検出部12で、通信端末装置A自身の位置情報を得ることで、3者間において通信端末装置Aが仲介可能な位置にいるのかどうかを判断することが可能となる。
【0064】
また、後述する通信端末装置Aが仲介を行えない状況が発生するのは、通信端末装置A、通信端末装置B、通信端末装置Cの内、少なくとも一台が移動可能な通信端末装置の場合である。したがって、本実施例において携帯電話機である通信端末装置Cは移動可能な通信端末装置であるため、その位置が常に変る可能性があるので、このような通信端末装置であれば、通信端末装置Aは、定期的に通信端末装置Cに対して現在位置の要求を行う構成にしておくのがよい。また、記憶装置である通信端末装置Bは通常移動することなく、定位置に配置されている場合が多く、本実施例においても通信端末装置Bの位置は固定されているものとして説明を行う。したがってこの通信端末装置Bのように移動することのない通信端末装置である場合には、通信端末装置Aは通信端末装置Bの位置情報を一度得て、その位置を記憶しておけばその後は必要ないので、一度だけ通信端末装置Bの位置情報を得る構成にしておけばよい。
【0065】
次に通信端末装置Cは、通信端末装置Aに対する要求を送信する(ステップ109)。本実施例においては、通信端末装置Cを用いてYが撮影した動画の画像データを、通信端末装置AのXと共有するために、通信端末装置Aへ画像データの受け入れを要求するものとする。なお、本実施例では通信端末装置Cから通信端末装置Aへ画像データの受け入れを要求しているが、通信端末装置Aから通信端末装置Cに対して要求を行い、その要求に基づき通信端末装置Cが通信端末装置Aに画像を送信する構成も当然に考えられる。また通信端末装置Cから通信端末装置Aに対して画像データの受け入れを要求することなく、一方的に通信端末装置Aに対して画像データを送信する構成であってもよい。
【0066】
次に、通信端末装置Aは通信端末装置Cからの要求を受け入れる(ステップ110)。ここでXは、Yの通信端末装置Cから送信された画像データを直接通信端末装置Aへ保存するのではなく、通信端末装置Aを仲介し通信端末装置Bへ保存を行うようにしている。したがって、通信端末装置Aは通信部16から通信端末装置Bへ画像データの送信を行う(ステップ111)。そして通信端末装置Bは、通信部26を介して画像データを受信し、データ記憶部24へ画像データの記憶を行う(ステップ112)。
【0067】
その後、通信端末装置Bは画像データの記憶を行った結果を通信端末装置Aに送信し(ステップ113)、結果を受け取った通信端末装置Aはその結果を通信端末装置Cへ送信する(ステップ114)。送信された結果は、例えば通信端末装置Cの表示部37へ表示されることで、Yは送信した画像データをXと共有できたことを認識することができる。
【0068】
このように、通信システム1においては、通信端末装置Aを仲介して通信端末装置Bと通信端末装置Cが通信を行っている。しかしながら、先にも述べたように、通信端末装置Aが仲介を行えない状況が発生する。これは通信端末装置Aと通信端末装置Cが携帯電話機であるため、Xが通信端末装置Aを所持した状態で移動したり、Yが通信端末装置Cを所持した状態で移動することがあるからである。通信端末装置A或いは通信端末装置Cの位置が移動することで、通信端末装置Aを仲介した通信が行えなくなった状況について、図4に示す概念図を用いて説明を行う。
【0069】
図4(a)は、通信端末装置Aが移動することによって、通信端末装置Aが仲介できなくなった状況を示している。図2(b)の状況から、Xが通信端末装置Aを所持して矢印の先に移動することによって、通信端末装置Aは通信端末装置Cからの画像データを受信できず、また通信端末装置Bは通信端末装置Aからのデータを受信できなくなってしまう。この時、通信端末装置Bと通信端末装置Cは、引き続き送信可能な範囲に両者が位置している。
【0070】
図4(b)は、通信端末装置Cが移動することによって、通信端末装置Aが仲介できなくなった状況を示している。図2(b)の状況から、Yが通信端末装置Cを所持して矢印の先へ移動することによって、通信端末装置Aは通信端末装置Cからの画像データを受信できなくなってしまう。この時、通信端末装置Bと通信端末装置Cは、引き続き送信可能の範囲に両者が位置している。
【0071】
図4(c)は、通信端末装置Cが移動することによって、通信端末装置Aが仲介できなくなった状況を示している。図2(b)の状況から、Yが通信端末装置Cを所持して矢印の先へ移動することによって、通信端末装置Aは通信端末装置Cからの画像データを受信できなくなってしまう。また図4(b)の場合と異なり、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間でも通信が行えない状況になっている。
【0072】
なお、記憶装置である通信端末装置Bの位置は固定されているものとして、図4の説明を行ったが、通信端末装置Bも移動可能なものであれば、図4に示した状況以外も当然に発生しうる。
【0073】
図4に示す状況が発生すると、最初に行っていた通信端末装置Aを仲介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信が行えなくなってしまう。一方で図4(a),(b)の状況であれば、通信端末装置Aの仲介による通信は行えないが、通信端末装置Bと通信端末装置Cとは、引き続きお互いに通信が行える領域に存在している。
【0074】
このような状況において、本実施例では通信システム1を構成する通信端末装置Aは、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの位置を把握しておき、図4(a)、(b)の状況が生じる前に、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが直接通信を行えるよう構成されている。このような通信端末装置Aの処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0075】
まず通信端末装置Bと通信端末装置Cが通信端末装置Aを仲介して通信を行っている状況において、通信端末装置Aは現在位置検出部12により通信端末装置Aの現在位置の検出を行う(ステップ201)。
【0076】
次に通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cからそれぞれの現在位置情報を取得する(ステップ202)。これは図3に示したように通信端末装置Aから現在位置情報を要求する構成としてもよいし、通信端末装置Aからの要求がなくても通信端末装置Bと通信端末装置Cが直接現在位置情報を送信する構成であってもよい。これにより通信端末装置Aは、通信端末装置Bと通信端末装置Cの現在位置を知ることができる。
【0077】
次に通信端末装置Aは現在行っている、通信端末装置Aを介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信状態が良好か否かを判断する(ステップ203)。これは具体的には通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間での通信が良好か否か、また通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間での通信が良好か否かによって判断する。この判断により図4に示したような通信端末装置Aを介した通信ができない状況になりそうか否かを知ることができる。
【0078】
通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間の通信が良好か否かの具体的な判断方法としては、通信端末装置AにRSSI(Receiving Signal Strength Indicator)といった受信信号の電界強度を検出する回路を設けておき、通信端末装置Bとの間の信号についてRSSI値を測定し、測定値がある閾値以下になったら、通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間での通信が良好でないと判断する。同様に通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間のRSSI値を測定し、測定値がある閾値以下になったら、通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間での通信が良好でないと判断する。
【0079】
また、他の判断方法としては、ステップ202で通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cの位置情報を有しているので、この位置情報をもとに判断してもよい。具体的には通信端末装置Aと通信端末装置Bとの距離を、取得している位置情報をもとに計算し、この距離が所定の距離よりも大きくなったら、通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間での通信が良好でないと判断する。同様に通信端末装置Aと通信端末装置Cとの距離を計算し、所定の距離よりも大きくなったら、通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間での通信が良好でないと判断する。なおここで言う所定の距離は、通信端末装置Aの信号送信が可能な通信距離をもとにして決めた距離等が考えられる。
【0080】
また、他の判断方法としては、携帯電話機である通信端末装置Aに電源となるバッテリの残量を検出する手段を設けておき、通信端末装置Aのバッテリの残量が所定量以下になったら、通信端末装置Aを介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信が良好でないと判断する。これはそもそも通信端末装置Aのバッテリの残量がなくなってしまうと、通信端末装置Aが仲介を行うことができないことによる。このようなバッテリの残量に基づく判断は、もともと携帯電話機等の移動可能な通信端末装置が残量の検出手段を備えていることが多いので、簡単に実現することができる。
【0081】
また、その他判断方法としてはエラーレートを計測することで、エラーレートが高くなることにより通信端末装置Aを介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信が良好でないと判断してもよい。なお、通信端末装置Aを介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信が良好か否かの判断は、通信端末装置Aを介した通信が不可能になってしまう前の状況を判断するものなので、安全性を高めるために通信が良好でないとの判断を早めに行うよう設定してもよいし、直前まで通信端末装置Aが仲介を行うよう通信が良好でないとの判断を直前まで行わないよう設定してもよい。
【0082】
ステップ203で通信端末装置Aを介した通信が良好であると判断されたら、ステップ204に進み、通信端末装置Aは、通信端末装置Aを介した通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信を引き続き行う。
【0083】
ステップ203で通信端末装置Aを介した通信が良好でないと判断されたら、次に通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能か否かの判断を行う(ステップ205)。具体的には、例えば通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cの位置情報を取得しているので、まずこの位置情報により通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間の距離を算出し、この距離が無線通信を行える範囲であるか否かにより判断する。無線通信を行える範囲か否かは、用いる無線通信技術により通信可能な範囲がもともと決まっているので(例えば無線LANであれば通信距離が1km程度、Bluetooth(登録商標)であれば通信距離が数mから数十m)、この通信距離データを予め通信端末装置Aが記憶しておき、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間の距離が、この通信距離に入っていれば、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能であると判断する。また他の方法としては、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの距離を算出し、上述のRSSI値が下がってきた相手(例えば通信端末装置C)と通信端末装置Aとの距離についても位置情報から算出し、二つの距離を比較し、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの距離の方が短ければ、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能であると判断する。
【0084】
ステップ205で通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能でないと判断されたら、ステップ206に進み、通信継続が危険であるとの通知を行う。これは例えば通信端末装置Aであれば表示部17に危険である旨の表示を行い、Xへ知らせることが考えられる。また通信端末装置Bについては、通信端末装置Aから通信継続が危険である旨を表示するためのデータを送信し、通信端末装置Bの表示部27に表示することでXへ知らせることが考えられる。同様に、通信端末装置Cについても表示部37に表示し、Yへ知らせることが考えられる。
【0085】
ステップ205で通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能であると判断されたら、通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で、直接の通信を許可するか否かの判断を行う(ステップ207)。具体的には、例えば、通信端末装置Aが通信端末装置Bと通信端末装置Cに直接通信を許可するか否かの表示を行うための信号を送信する。そして通信端末装置Bと通信端末装置Cは、それぞれ表示部27、表示部37に直接の通信を許可するか否かを表示し、それぞれ所有者が選択した結果を通信端末装置Aへ返信することにより判断すること等が考えられる。なお、本実施例においては通信端末装置Aと通信端末装置BはXが所持しているので、通信端末装置Aから通信端末装置Bに問い合わせることなく、通信端末装置Aで判断できるように構成してもよい。
【0086】
なお、ステップ207の処理を行なわず、ステップ205で通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信が可能であると判断されたら、ステップ208へ進むこととしてもよい。
【0087】
そしてステップ207で、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信を許可しないと判断されると、ステップ206に進み、上述した処理が行われる。
【0088】
ステップ207で、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で直接の通信を許可すると判断されると、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信が引き続き行えるよう、通信端末装置Aは通信端末装置Bと通信端末装置Cへ、直接の通信を行うことができる情報について送信を行う(ステップ208)。具体的には、通信端末装置Aと通信端末装置Bとの間で通信を行った際に通信端末装置Aが取得した通信端末装置Bに関する認証情報を、通信端末装置Cに送信する。また通信端末装置Aと通信端末装置Cとの間で通信を行った際に通信端末装置Aが取得した通信端末装置Cに関する認証情報を、通信端末装置Bに送信する。この認証情報は、先にも述べたようにIPアドレスやMACアドレスのように端末を識別するための識別情報や、暗号化鍵等である。
【0089】
通信端末装置Aから通信端末装置Cに関する認証情報を取得することで、通信端末装置Bは通信端末装置Cを認証することができる。そして通信端末装置Bに関する認証情報を取得することで、通信端末装置Cは通信端末装置Bを認証することができる。そしてこのように相手方を認証することで通信端末装置Bと通信端末装置Cとの2者間で引き続き通信を行うことが可能となる。
【0090】
このように通信システム1によれば、通信端末装置Aを仲介して通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信を行っていた場合に、通信端末装置A或いは通信端末装置Cが移動することにより、図4(a)、(b)に示すような通信端末装置Aによる仲介が行えなくなり通信端末装置Bと通信端末装置Cと間での通信が行えなくなってしまう前に、通信端末装置Aが通信端末装置Bと通信端末装置Cに対して相手方を認証できる情報を送信することで、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの間で通信を継続して行うことができる。
【0091】
(変形例)本発明の変形例について図6を用いて説明を行う。通信端末装置Aを仲介して通信端末装置Bと通信端末装置Cとが通信を行っている状況としては、図2(b)で示した状況のほかに、図6(a)で示すような状況が考えられる。このような状況としては、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの距離が離れて過ぎていて直接の通信を行うことができない場合に、通信端末装置Aを仲介することで、通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信を実現できる状況が考えられる。
【0092】
このような状況であっても、移動可能の通信端末装置であれば図6(b)に示すような状況も発生し得るが、図6(b)の場合であっても本発明の通信システム1によれば、通信端末装置Aが仲介できない状況になっても引き続き通信端末装置Bと通信端末装置Cとの通信を行うことが可能となる。なお、変形例のような場合であれば、図6(a)の状況から通信端末装置が移動することにより、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが直接通信を行えるような状況(図2(b)のような状況)になると、仲介していた通信端末装置Aが通信端末装置Bと通信端末装置Cに対して相手方の認証情報を送信し、通信端末装置Bと通信端末装置Cとが直接の通信を開始する構成であってもよい。
【0093】
このように本発明の通信システムによると、最初に第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との通信を仲介通信端末装置を仲介させて行っていた場合に、所定のタイミングで第1の通信端末装置と第2の通信端末装置との直接の通信に切り換えることで、多様な通信目的に対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0094】
1 通信システム
11,21,31 制御部
12,22,32 現在位置検出部
13,23,33 操作部
14,34 記憶部
24 データ記憶部
15,25,35 音声出力部
16,26,36 通信部
17,27,37 表示部
38 マイク部
39 カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信端末装置との間で無線による通信を行うとともに、第2の通信端末装置との間でも無線による通信を行うことで、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置であって、
該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置のうち、少なくとも何れか一つは移動可能な通信端末装置であり、
前記仲介用通信端末装置は、
該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置とが通信可能で、
該仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが通信可能で、
前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、
前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信する、ことを特徴とする仲介用通信端末装置。
【請求項2】
前記仲介用通信端末装置は、
前記仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、前記仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、
前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の仲介用通信端末装置。
【請求項3】
前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の現在位置情報と、前記第1の通信端末装置の現在位置情報と、前記第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする請求項2に記載の仲介用通信端末装置。
【請求項4】
前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて、前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする請求項2に記載の仲介用通信端末装置。
【請求項5】
前記仲介用通信端末装置による、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の仲介用通信端末装置。
【請求項6】
第1の通信端末装置と、
第2の通信端末装置と、
前記第1の通信端末装置との間で無線による通信を行うとともに、前記第2の通信端末装置との間でも無線による通信を行うことで、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との通信を仲介する仲介用通信端末装置と、からなり、
前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置と前記仲介用通信端末装置のうち、少なくとも何れか一つは移動可能な通信端末装置である通信システムであって、
前記仲介用通信端末装置が、
該仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置とが通信可能で、
該仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが通信可能で、
前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能と判断した状況で、
前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することにより、
前記第2の通信端末装置を認証するための情報を受信した前記第1の通信端末装置と、前記第1の通信端末装置を認証するための情報を受信した前記第2の通信端末装置とが、無線による直接の通信を開始する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
前記仲介用通信端末装置は、
前記仲介用通信端末装置と前記第1の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、及び/又は、前記仲介用通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の通信状況が良好でない、と判断すると、
前記第1の通信端末装置に前記第2の通信端末装置を認証するための情報を送信するとともに、前記第2の通信端末装置に前記第1の通信端末装置を認証するための情報を送信することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の現在位置情報と、前記第1の通信端末装置の現在位置情報と、前記第2の通信端末装置の現在位置情報と、に基づいて前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記仲介用通信端末装置は、該仲介用通信端末装置の電源となるバッテリの残量に基づいて、前記通信状況が良好でないとの判断を行うことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記仲介用通信端末装置による、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置とが直接の通信が可能か否かの判断は、前記第1の通信端末装置と前記第2の通信端末装置との間の距離が、無線通信を行える範囲か否かにより行うことを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−51509(P2013−51509A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187614(P2011−187614)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】