説明

仲介装置、給電装置、ワイヤレス給電システム及び方法

【課題】簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にする情報処理技術の実現。
【解決手段】仲介装置が、給電の提供者やその給電装置を識別する提供側IDと、給電の利用者やその携帯端末を識別する利用側IDを、それぞれ決済用情報と共に記憶し、給電の際は、近距離無線通信で交換した提供側IDと利用側IDのペアを給電装置と携帯端末の少なくとも一方から受信し、携帯端末からはインストールされたプログラムで計測した充電量も受信する。一方からのIDのペアと他方からのIDを照合し給電の事実を確認のうえ、その料金を、充電量の情報及び利用者と提供者の決済用情報を基に決済する。ポータルサイトのユーザIDや決済サービスを活用した信頼性の高い仲介サービスを提供すると共に、事業者用の設備やクレジットカード加盟店契約などの障壁を撤廃し、給電装置という簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末への給電に関する。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及したスマートフォンなどの携帯端末については、活用場面の増大や通信手段として重要度の増大に伴い、外出先での給電の必要性も急増している。この点、携帯電話会社などの事業者が携帯端末にワイヤレス給電を提供する技術は存在する(例えば、特許文献1参照)。この種の技術では、コイルによる誘導電流などの形で給電装置が提供する給電を携帯端末が受けて、内蔵の充電池を充電する。
【0003】
一方、災害時の電力供給におけるリスク分散等の観点から、太陽光発電など自然エネルギーを家庭や地域単位などできめ細かく活用したり、ロス無く個人が現場で活用したり、電力インフラに多数の個人が参入してリスク分散を図る等、社会資源の充実が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−353042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来、携帯端末のワイヤレス給電を提供するには、初期投資などの負担が大きく、個人などの参入は困難であった。例えば、給電の事実や利用者を確実容易に確認したり、煩雑なクレジットカード加盟店契約無しで給電料金を収受するなどの処理を可能となる簡易な設備の技術は存在せず、各種の機能を備えた事業者用の設備は大規模で導入の障壁も大きかった。このため、従来、個人などがワイヤレス給電の提供に容易に参入して電力インフラリスク分散など社会資源の充実を図ることは不可能であった。
【0006】
上記の課題に対し、本発明の目的は、簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にする情報処理技術の実現である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)である仲介装置は、ワイヤレス給電を提供する給電装置又はその提供者であるユーザを識別する識別情報を提供側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する提供者記憶手段と、前記ワイヤレス給電を利用する携帯端末又はそのユーザを識別する識別情報を利用側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する利用者記憶手段と、給電の都度、給電を提供した給電装置から、その給電装置が携帯端末から受信した利用側IDと、その給電装置の提供側IDと、を受信すると共に前記携帯端末からその携帯端末の利用側ID及び充電量の情報を受信し、又は、給電を受けた携帯端末から、その携帯端末が給電装置から受信した提供側IDと、その携帯端末の利用側IDと、充電量の情報と、を受信すると共に前記給電装置から、その給電装置の提供側IDと、を受信する給電情報受信手段と、前記給電装置又は前記携帯端末の一方から受信された前記提供側ID及び前記利用側IDと、他方から受信した前記利用側ID又は前記提供側IDと、を照合することで給電の事実を確認する照合確認手段と、確認された前記給電に係る料金について、受信された前記充電量の情報と、前記提供側IDに係る前記決済用情報と、前記利用側IDに係る前記決済用情報と、に基づいて決済する料金決済手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様(6)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、ワイヤレス給電を提供する給電装置又はその提供者であるユーザを識別する識別情報を提供側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する提供者記憶手段と、前記ワイヤレス給電を利用する携帯端末又はそのユーザを識別する識別情報を利用側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する利用者記憶手段と、を備えた仲介装置のコンピュータが実行する仲介方法であって、給電の都度、給電を提供した給電装置から、その給電装置が携帯端末から受信した利用側IDと、その給電装置の提供側IDと、を受信すると共に前記携帯端末からその携帯端末の利用側ID及び充電量の情報を受信し、又は、給電を受けた携帯端末から、その携帯端末が給電装置から受信した提供側IDと、その携帯端末の利用側IDと、充電量の情報と、を受信すると共に前記給電装置から、その給電装置の提供側IDと、を受信する給電情報受信処理と、前記給電装置又は前記携帯端末の一方から受信された前記提供側ID及び前記利用側IDと、他方から受信した前記利用側ID又は前記提供側IDと、を照合することで給電の事実を確認する照合確認処理と、確認された前記給電に係る料金について、受信された前記充電量の情報と、前記提供側IDに係る前記決済用情報と、前記利用側IDに係る前記決済用情報と、に基づいて決済する料金決済処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の上記態様では、仲介装置が、給電の提供者やその給電装置を識別する提供側IDと、給電の利用者やその携帯端末を識別する利用側IDを、それぞれ決済用情報と共に記憶し、給電の際は、近距離無線通信で交換した提供側IDと利用側IDのペアを給電装置と携帯端末の少なくとも一方から受信し、携帯端末からはインストールされたプログラムで計測した充電量も受信する。そして、前記一方からのIDのペアと他方からのIDを照合し給電の事実を確認のうえ、その料金を、充電量の情報及び利用者と提供者の決済用情報を基に決済する。これにより、ポータルサイトのユーザIDや決済サービスを活用した信頼性の高い仲介サービスを提供すると共に、事業者用の設備やクレジットカード加盟店契約などの障壁を撤廃し、給電装置という簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にすることができる。
【0010】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記提供者の前記登録に係る給電装置の位置情報を記憶している位置記憶手段と、前記携帯端末から携帯端末の位置情報を受信する位置受信手段と、受信された携帯端末の位置情報から所定範囲内の前記給電装置の位置情報を抽出して前記携帯端末に送信する近傍装置案内手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様(3)は、ワイヤレス給電を携帯端末に提供する給電装置であって、予め定められた操作を受け付けたことに応じて、自装置の位置情報を取得する位置取得手段と、取得された前記位置情報を、予め記憶している自装置の提供側IDとともに、予め定められた仲介装置へ送信する位置送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様(7)である給電方法は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、ワイヤレス給電を携帯端末に提供する給電装置のコンピュータが実行する給電方法であって、予め定められた操作を受け付けたことに応じて、自装置の位置情報を取得する位置取得処理と、取得された前記位置情報を、予め記憶している自装置の提供側IDとともに、予め定められた仲介装置へ送信する位置送信処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様(4)である端末用プログラムは、ワイヤレス給電部と、近距離無線通信部と、充電池制御部と、通信ネットワークとの通信部と、を備えた携帯端末のコンピュータを制御することにより、給電の利用者としての利用側IDを記憶させ、予め定められた給電装置からの前記ワイヤレス給電部による給電に際し、前記近距離無線通信部による近距離無線通信により、その給電装置からの提供側IDの受信又はその給電装置への前記利用側IDの送信の少なくとも一方を行わせ、前記給電による充電量を前記充電池制御部で計測させ、計測された前記給電量の情報を、前記利用側ID及び受信された前記提供側IDと共に予め定められた仲介装置へ前記通信ネットワークで送信させることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様(8)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、ワイヤレス給電部と、近距離無線通信部と、充電池制御部と、通信ネットワークとの通信部と、を備えた携帯端末であって、給電の利用者としての利用側IDを記憶する手段と、予め定められた給電装置からの前記ワイヤレス給電部による給電に際し、前記近距離無線通信部による近距離無線通信により、その給電装置からの提供側IDの受信又はその給電装置への前記利用側IDの送信の少なくとも一方を行う近距離通信制御手段と、前記給電による充電量を前記充電池制御部で計測する計測制御手段と、計測された前記給電量の情報を、前記利用側ID及び受信された前記提供側IDと共に予め定められた仲介装置へ前記通信ネットワークで送信させる給電量等送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様(5)であるワイヤレス給電システムは、本発明をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、上記いずれかの態様における仲介装置と、上記いずれかの態様における給電装置と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)としても把握することができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの順序は、本出願に直接明記のものに限定されず、順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。
【0017】
また、個々の手段、処理やステップを実現、実行する端末などのコンピュータは共通でもよいし、手段、処理やステップごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。また、上記「手段」の全部又は任意の一部を「部」(ユニット、セクション、モジュール等)と読み替えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にする情報処理技術の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図3】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0021】
〔1.構成〕
本実施形態は、図1の構成図に示すように、仲介装置1と、ワイヤレス給電を携帯端末Tに提供する給電装置2と、を備えたことを特徴とするワイヤレス給電システム(以下「本システム」とも呼ぶ)に関する。給電装置2は、携帯端末Tにワイヤレス給電を提供する装置である。携帯端末Tは、図示しない充電池を備え、ワイヤレス給電を受けて充電池を充電しその電力でウェブアクセスや音楽再生などの情報処理を行う装置であるが、接点による給電を受ける機能があってもよい。また、仲介装置1は、給電装置2と携帯端末Tからの給電の情報をもとに、料金の決済を行う装置である。
【0022】
そして、仲介装置1と給電装置2は、コンピュータの構成として少なくとも、CPUなどの演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークN(例えば、携帯電話、PHS、公衆無線LANなどの移動通信網、インターネットなど)との通信手段8(移動通信網との通信回路、無線LANアダプタなど)と、を備える。給電装置2は、太陽電池パネルP及び充電池Bなどの自然エネルギーによる電源を備えることが望ましいが、必須ではなく、例えば商用電源などを用いてもよい。
【0023】
また、携帯端末Tは、上記と同様なコンピュータの構成(通信手段8についてはこれに代えて通信ネットワークNとの通信部34として図示)を備えるほか、図示しないタッチパネル機能付き表示パネルなどの入出力部と、ワイヤレス給電部31と、近距離無線通信部32と、充電池制御部33と、備える。
【0024】
仲介装置1、給電装置2及び携帯端末Tでは、記憶装置7に記憶した所定のコンピュータ・プログラムを演算制御部6が実行することで、図1に示す各手段などの要素(20,42,62ほか)を実現する。携帯端末Tのコンピュータ・プログラムすなわち端末用プログラムは、アプリケーション・プログラム(いわゆる「アプリ」)に限らず、基本ソフトウェアや各種のアドイン(付加機能モジュールなど)などでもよい。
【0025】
また、実現される要素のうち情報の記憶手段の態様は自由で、記憶装置7上のファイルなど任意のデータ形式で実現できるほか、ネットワーク・コンピューティング(クラウド)によるリモート記憶などでもよい。
【0026】
また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0027】
なお、本願の図面において、記憶手段を表す円筒型の図形は、直接アクセス記憶への限定を意味しない。また、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばある方向のデータ取得の前後に、データ要求や確認応答(ACK)が逆方向に発生し得る。
【0028】
また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0029】
〔2.作用効果〕
上記のように構成された本システムについて、処理データの例を図2に、処理手順の例を図3のフローチャートに示す。
【0030】
〔2−1.事前の登録〕
なお、事前準備として、本システムが実現するワイヤレス給電と料金精算のサービスを利用しようとする当事者は、仲介装置1へ予め登録を行う。具体的には(図1)、給電装置2でワイヤレス給電を提供しようとする者(「提供者」と呼ぶことする)から、仲介装置1の登録受付手段20が、提供側IDと決済用情報の登録を受け付け、受け付けた提供側IDと決済用情報を提供者記憶手段15に記憶させる。
【0031】
提供者はこのような登録を、給電装置2の操作パネルや他のパーソナルコンピュータなどから行う。また、登録する提供側IDは、ワイヤレス給電を提供する給電装置2を識別するシリアル情報などの識別情報でもよいし、給電装置2の提供者であるユーザを識別するログインIDなどの識別情報でもよい。
【0032】
また、ユーザの決済用情報は、クレジットカードの情報(例えば、クレジットカード番号や有効期限、セキュリティコードなど)や、クレジットカードやその他の決済手段を用いてインターネット事業者が運営するウォレット等会計口座の情報など、種類や形式は自由である。そして、提供者記憶手段15は、上記のように登録された提供側IDと、ユーザの決済用情報と、を関連付けて記憶する手段である(例えば図2(1))。
【0033】
また、仲介装置1の登録受付手段20は、携帯端末Tでワイヤレス給電を受けようとする者(「利用者」と呼ぶこととする)からは、利用側IDと決済用情報の登録を受け付け、受け付けた利用側IDと決済用情報を利用者記憶手段25に記憶させる。
【0034】
ここで、利用側IDは、ワイヤレス給電を提供する携帯端末Tを識別する端末IDなどの個体識別情報や契約者IDなどの識別情報でもよいし、携帯端末Tのユーザを識別するログインIDなどの識別情報でもよい。利用者記憶手段25は、上記のような利用側IDと、ユーザの決済用情報と、を関連付けて記憶する手段である(例えば図2(2))。
【0035】
〔2−2.給電装置から仲介装置への位置登録〕
また、登録の際、給電装置2は自らの設置位置を取得し仲介装置1へ送信することがでできる。この場合、給電装置2では(図1)、位置情報送信を指示するものとして予め定められた操作を受け付けたことに応じて、位置取得手段23が、自装置の位置情報をGPSや携帯基地局の情報などから取得し、位置送信手段25は、取得された位置情報を、予め記憶している自装置の提供側IDとともに、予め定められた仲介装置1へ送信する。
【0036】
このように送信された位置情報を、仲介装置1では登録受付手段20などが対応する提供側IDと対応付けて位置記憶手段205に記憶させる。すなわち、位置記憶手段205は、提供者の登録に係る給電装置2の位置情報を記憶している手段であるが、位置記憶手段205は、図2(1)に例示するように利用者記憶手段25に給電装置2の位置情報を記憶するフィールドを設けることで兼ねてもよい。
【0037】
〔2−3.ワイヤレス給電の利用〕
上記のように記憶した給電装置2の位置情報について、用途は自由であるが、典型的には、利用者の携帯端末Tに近くにある給電装置2を案内するのに用いることができる。この場合、携帯端末Tから仲介装置1へ、携帯端末Tの位置情報を送信して最寄りの給電装置2の検索を要求する。
【0038】
このように携帯端末Tから給電装置2へアクセスして、位置情報や要求を送信するにあたり、給電装置2が提供する所定のウェブページへ携帯端末Tからアクセスするか、又は携帯端末Tに予めインストールした所定の充電用アプリケーションプログラムの機能で給電装置2へアクセスさせるなど、具体的態様は自由である。
【0039】
このような要求を受けて、機能位置受信手段210は、携帯端末Tから携帯端末Tの位置情報を受信すると、近傍装置案内手段22は、受信された携帯端末Tの位置情報から所定範囲内の給電装置2の位置情報を抽出して、現在地からの経路を表示した地図画面による案内の情報などとして、携帯端末Tに送信する。
【0040】
〔2−4.携帯端末での処理〕
上記のような案内により又は利用者が給電装置2を発見し、ワイヤレス給電部51の図示しない充電台などに携帯端末Tのワイヤレス給電部31をあてがったりそれに加え所定の操作を行うなど、所定の給電開始操作を行うと(図3のステップS11,S21:「YES」)、給電が開始される。
【0041】
すなわち、給電装置2からのワイヤレス給電部31,51による給電に際し(図3のステップS11,S21:「YES」)、近距離通信制御手段42が、近距離無線通信部32による近距離無線通信により、その給電装置2からの提供側IDの受信、又は利用側ID記憶手段41に予め記憶されている利用側IDの給電装置2への送信、の少なくとも一方を行わせる(ステップS12,S22)。
【0042】
ここで、給電情報を仲介装置1に収集するパターンは2つあり、給電に係る提供側IDと利用側IDを携帯端末Tがとりまとめて仲介装置1へ送る第一パターン(「携帯端末パターン」とも呼ぶこととする)と、それらIDを逆に給電装置2がとりまとめて仲介装置1へ送る第二パターン(「給電装置パターン」とも呼ぶこととする)とである。
【0043】
そして、近距離通信制御手段42が行わせる前記「給電装置2からの提供側IDの受信」は、前者の携帯端末パターンに対応し、前記「利用側IDの給電装置2への送信」は後者の給電装置パターンに対応する。
【0044】
給電の後、給電装置2の前記充電台から携帯端末Tが取り上げられるなど、給電が終了すると(ステップS14,S24:「YES」)、計測制御手段43が、給電による充電量を充電池制御部33で計測させる(ステップS25)。充電量の計測する手法は自由であるが、例えば、リチウムイオン充電池の制御チップが把握している充放電量の情報を活用したり、給電の前後における電圧差から計算するなどが考えられる。
【0045】
そして、携帯端末パターンの場合、給電量等送信手段44が通信部34に、計測された給電量の情報を、利用側ID記憶手段41に予め記憶されている給電の利用者としての利用側IDと、受信された提供側IDと共に、仲介装置1へ通信ネットワークNで送信させる(ステップS26)。
【0046】
給電装置パターンの場合、給電量等送信手段44は、給電量の情報を利用側IDと共に仲介装置1へ送信させる。給電装置パターンの場合について、携帯端末Tから仲介装置1へ送信するデータの例を図2(4)に示す。
【0047】
なお、携帯端末パターンと給電装置パターンは併用可能である。すなわち、給電装置2と携帯端末Tとの間で提供側IDと利用側IDを互いに交換し、双方から提供側IDと利用側IDのペアを仲介装置1へ送信すれば信頼性が高まる。
【0048】
〔2−5.給電装置での処理〕
一方、携帯端末Tでの処理に対応し、給電装置2では、ワイヤレス給電部51で携帯端末Tへ給電を提供するに際し(ステップS11:「YES」)、近距離通信制御手段62が、近距離無線通信部52による近距離無線通信により、提供側IDの携帯端末Tへの送信(携帯端末パターンの場合)又は携帯端末Tからの利用側IDの受信(給電装置パターンの場合)の少なくとも一方を行う(ステップS12)。
【0049】
また、給電後(ステップS13,ステップS14:「YES」)、給電情報送信手段64が通信手段8に、携帯端末パターンの場合は提供側IDを、給電装置パターンの場合は提供側IDに加え、受信した利用側IDを、仲介装置1へ通信ネットワークNで送信させる(ステップS16)。給電装置パターンの場合について、給電装置2から仲介装置1へ送信するデータの例を図2(3)に示す。
【0050】
〔2−6.仲介装置での処理〕
給電の都度、仲介装置1の給電情報受信手段70が、以上のように給電装置2や携帯端末Tから送信される利用側ID、提供側IDと充電量の情報を受信するとともに、それら提供側ID、利用側ID及び充電量の情報を給電情報記憶手段75に記憶させる(ステップS31)。
【0051】
具体的には、給電装置パターンでは、給電を提供した給電装置2から、その給電装置2が携帯端末Tから近距離無線通信で受信した利用側IDと、その給電装置2の提供側IDと、を受信し(図2(3))、携帯端末Tからは、その携帯端末Tの利用側ID及び充電量の情報を受信する(図2(4))。
【0052】
携帯端末パターンでは、給電を受けた携帯端末Tから、その携帯端末Tが給電装置2から近距離無線通信で受信した提供側IDと、その携帯端末Tの利用側IDと、充電量の情報と、を受信すると共に給電装置2から、その給電装置2の提供側IDと、を受信する。
【0053】
そして、照合確認手段80が、給電装置2又は携帯端末Tの一方から受信された提供側ID及び利用側IDと、他方から受信した利用側ID又は提供側IDと、を照合することで給電の事実を確認する(ステップS32。例えば図2(5))。そのうえで、料金決済手段90は、確認された給電に係る料金について、受信された充電量の情報と、提供側IDに係る決済用情報と、利用側IDに係る決済用情報と、に基づいて決済する(ステップS33。例えば図2(6))。
【0054】
〔3.効果〕
(1) 以上のように本実施形態では、仲介装置1が、給電の提供者やその給電装置2を識別する提供側IDと、給電の利用者やその携帯端末Tを識別する利用側IDを、それぞれ決済用情報と共に記憶し、給電の際は、近距離無線通信で交換した提供側IDと利用側IDのペアを給電装置2と携帯端末Tの少なくとも一方から受信し(例えば、ステップS25,S26,S31)、携帯端末Tからはインストールされたプログラムで計測した充電量も受信する(ステップS26,S31)。
【0055】
そして、前記一方からのIDのペアと他方からのIDを照合し給電の事実を確認のうえ(ステップS32)、その料金を、充電量の情報及び利用者と提供者の決済用情報を基に決済する(ステップS33)。これにより、ポータルサイトのユーザIDや決済サービスを活用した信頼性の高い仲介サービスを提供すると共に、事業者用の設備やクレジットカード加盟店契約などの障壁を撤廃し、給電装置2という簡易な設備でのワイヤレス給電の提供を可能にすることができる。
【0056】
(2) 特に、本実施形態では、給電装置2から受信したり提供者が入力した給電装置2の位置情報と、携帯端末Tの位置情報を基に、近くの給電装置2の位置を携帯端末Tに案内することにより、携帯端末Tのユーザは出先で電池残量が減っても容易に給電装置2へ到達できるので、ワイヤレス給電の提供が一層促進される。
【0057】
(3) また、本実施形態では、GPSや無線基地局の位置などに基づく位置情報を給電装置2から仲介装置1へ送信することにより、その位置情報を、提供者が登録時に給電装置2の設置位置や住所等を入力する煩雑な手間の省略、給電装置2の位置案内などに活用できるので、ワイヤレス給電の提供が一層促進される。
【0058】
(4) さらに、本実施形態では、携帯端末Tにインストールするプログラムで、給電に際し給電装置2と近距離無線通信で交換(ステップS12,S22)した提供側ID、利用側IDと、計測した充電量(ステップS25)を仲介装置1へ送信することにより(ステップS26)、仲介装置1では給電装置2側からのIDと突き合わせて給電の事実が確認できると共に(ステップS32)、給電による実際の充電量が客観的に特定できる(ステップS33)。
【0059】
このため、プログラムと適合する携帯端末Tならばメーカーや通信会社(キャリア)を問わず給電が安心確実に利用できるうえ、給電装置2と携帯端末Tの位置関係などで伝送量や充電量が変化するワイヤレス給電においても公平な課金が実現できる。したがって、ワイヤレス給電の提供が一層促進される。
【0060】
〔4.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。
【0061】
一例として、給電装置2の電源は、太陽光発電などの自然エネルギーには限定されず、コージェネレーションシステムや商用電源など種類は自由である。また、給電装置は固定式に限らず、車両搭載型など移動式とすればイベントや災害などの際に活用可能となる。
【0062】
また、仲介装置1、給電装置2や携帯端末Tを構成する個々の手段を実現する態様は自由で、外部のサーバが提供している機能をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワーク・コンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出して実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 仲介装置
2 給電装置
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
15 提供者記憶手段
20 登録受付手段
22 近傍装置案内手段
23 位置取得手段
25 位置送信手段
25 利用者記憶手段
31,51 ワイヤレス給電部
32,52 近距離無線通信部
33 充電池制御部
34 通信部
41 記憶手段
42,62 近距離通信制御手段
43 計測制御手段
44 給電量等送信手段
64 給電情報送信手段
70 給電情報受信手段
75 給電情報記憶手段
80 照合確認手段
90 料金決済手段
205 位置記憶手段
210 位置受信手段
N 通信ネットワーク
T 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス給電を提供する給電装置又はその提供者であるユーザを識別する識別情報を提供側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する提供者記憶手段と、
前記ワイヤレス給電を利用する携帯端末又はそのユーザを識別する識別情報を利用側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する利用者記憶手段と、
給電の都度、給電を提供した給電装置から、その給電装置が携帯端末から受信した利用側IDと、その給電装置の提供側IDと、を受信すると共に前記携帯端末からその携帯端末の利用側ID及び充電量の情報を受信し、又は、給電を受けた携帯端末から、その携帯端末が給電装置から受信した提供側IDと、その携帯端末の利用側IDと、充電量の情報と、を受信すると共に前記給電装置から、その給電装置の提供側IDと、を受信する給電情報受信手段と、
前記給電装置又は前記携帯端末の一方から受信された前記提供側ID及び前記利用側IDと、他方から受信した前記利用側ID又は前記提供側IDと、を照合することで給電の事実を確認する照合確認手段と、
確認された前記給電に係る料金について、受信された前記充電量の情報と、前記提供側IDに係る前記決済用情報と、前記利用側IDに係る前記決済用情報と、に基づいて決済する料金決済手段と、
を備えたことを特徴とする仲介装置。
【請求項2】
前記提供者の前記登録に係る給電装置の位置情報を記憶している位置記憶手段と、
前記携帯端末から携帯端末の位置情報を受信する位置受信手段と、
受信された携帯端末の位置情報から所定範囲内の前記給電装置の位置情報を抽出して前記携帯端末に送信する近傍装置案内手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の仲介装置。
【請求項3】
ワイヤレス給電を携帯端末に提供する給電装置であって、
予め定められた操作を受け付けたことに応じて、
自装置の位置情報を取得する位置取得手段と、
取得された前記位置情報を、予め記憶している自装置の提供側IDとともに、予め定められた仲介装置へ送信する位置送信手段と、
を備えたことを特徴とする給電装置。
【請求項4】
ワイヤレス給電部と、近距離無線通信部と、充電池制御部と、通信ネットワークとの通信部と、を備えた携帯端末のコンピュータを制御することにより、
給電の利用者としての利用側IDを記憶させ、
予め定められた給電装置からの前記ワイヤレス給電部による給電に際し、前記近距離無線通信部による近距離無線通信により、その給電装置からの提供側IDの受信又はその給電装置への前記利用側IDの送信の少なくとも一方を行わせ、
前記給電による充電量を前記充電池制御部で計測させ、
計測された前記給電量の情報を、前記利用側ID及び受信された前記提供側IDと共に予め定められた仲介装置へ前記通信ネットワークで送信させる
ことを特徴とする端末用プログラム。
【請求項5】
請求項1又は2の仲介装置と、請求項3の給電装置と、を備えたことを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項6】
ワイヤレス給電を提供する給電装置又はその提供者であるユーザを識別する識別情報を提供側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する提供者記憶手段と、
前記ワイヤレス給電を利用する携帯端末又はそのユーザを識別する識別情報を利用側IDとして、前記ユーザの決済用情報と関連付けて記憶する利用者記憶手段と、
を備えた仲介装置のコンピュータが実行する仲介方法であって、
給電の都度、給電を提供した給電装置から、その給電装置が携帯端末から受信した利用側IDと、その給電装置の提供側IDと、を受信すると共に前記携帯端末からその携帯端末の利用側ID及び充電量の情報を受信し、又は、給電を受けた携帯端末から、その携帯端末が給電装置から受信した提供側IDと、その携帯端末の利用側IDと、充電量の情報と、を受信すると共に前記給電装置から、その給電装置の提供側IDと、を受信する給電情報受信処理と、
前記給電装置又は前記携帯端末の一方から受信された前記提供側ID及び前記利用側IDと、他方から受信した前記利用側ID又は前記提供側IDと、を照合することで給電の事実を確認する照合確認処理と、
確認された前記給電に係る料金について、受信された前記充電量の情報と、前記提供側IDに係る前記決済用情報と、前記利用側IDに係る前記決済用情報と、に基づいて決済する料金決済処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とする仲介方法。
【請求項7】
ワイヤレス給電を携帯端末に提供する給電装置のコンピュータが実行する給電方法であって、
予め定められた操作を受け付けたことに応じて、
自装置の位置情報を取得する位置取得処理と、
取得された前記位置情報を、予め記憶している自装置の提供側IDとともに、予め定められた仲介装置へ送信する位置送信処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とする給電方法。
【請求項8】
ワイヤレス給電部と、近距離無線通信部と、充電池制御部と、通信ネットワークとの通信部と、を備えた携帯端末であって、
給電の利用者としての利用側IDを記憶する手段と、
予め定められた給電装置からの前記ワイヤレス給電部による給電に際し、前記近距離無線通信部による近距離無線通信により、その給電装置からの提供側IDの受信又はその給電装置への前記利用側IDの送信の少なくとも一方を行う近距離通信制御手段と、
前記給電による充電量を前記充電池制御部で計測する計測制御手段と、
計測された前記給電量の情報を、前記利用側ID及び受信された前記提供側IDと共に予め定められた仲介装置へ前記通信ネットワークで送信させる給電量等送信手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99152(P2013−99152A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241052(P2011−241052)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】