説明

任意重量に調整可能なウエイト及びそのウエイトの設置方法

【課題】この発明は、任意重量に調整可能なウエイトの提供及びそのウエイトの設置方法の提供を目的とするものである。
【解決手段】巻きつけ手段3を繰り出し手段2から離れた場所に設置し、可変体エレメントであるワイヤロープ1の一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段2からワイヤロープ1を繰り出して、ワイヤロープ1の他端を巻きつけ手段3に接続し、巻きつけ手段3を第1回転制御手段によって回転させて、繰り出されたワイヤロープ1を巻きつけ手段3に巻きつけることにより、繰り出し手段2に巻きつけられているワイヤロープ1の重量を、巻きつけ手段3に、任意の重量だけ移動させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工事用車両が搬入できないような狭隘な場所においてウインチ等の使用機器を固定する重しとして、または仮設の工作物の基礎の重しとして使用する任意重量に調整可能なウエイト及びそのウエイトの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送電線、配電線、通信線等の配線工事では、電線の端部をウインチ等で引っ張る場合、電線の張力が大きく、ウインチが引きずられる場合がある。それを回避するため、ウインチ等の使用機器を固定するための重しとして、または仮設の工作物の基礎等の重しとしてウエイトを必要とする場合が数多くある。
【0003】
このようなウインチ等の使用機器を固定する場合のウエイトは、図8のように、ウインチから少し離れた場所に掘った竪穴に、根枷(例えば、横配置の丸太やH鋼を、機器を接続するためのワイヤを取付けた状態で、掘削土で埋めたり、または、コンクリートを打設して、引揚力に対するアンカーの役割を果たすもの。)を設け、これをウエイトとして使用することが行われている。なお、図8においては、ウインチ23から少し離れた場所に掘った竪穴に、ウインチ23を接続するためのワイヤ24を取付けた状態のH鋼25を、掘削土で埋めて構成した根枷26が示されている。
【0004】
また、仮設の工作物の基礎等の重しとしてウエイトを必要とする場合は、例えば、特許文献1の従来技術例に示されているように、大型クレーンの後部にカウンタウエイトを取り付け、大型クレーンを固定するための重しとして、カウンタウエイトを使用している。
【特許文献1】特許第3278063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウエイトはそれ自体の「重さ」を利用するものであるため、より重いほどその機能を発揮する。一般的には、ウエイトとして、コンクリートブロックや金属塊が用いられてきた。そのためこのようなウエイトの取り扱いには、大型のクレーン等の荷役装置が必要となる。
【0006】
また、上述したように,掘削して根枷を埋設して構築するウエイトの場合、重機や車両が搬入できないような狭隘な場所(例えば、住宅地、水田、田畑、丘陵地,谷間などの沢)では、スペースがない、足場が安定しない等の理由で、荷役装置が使用できず、ウエイトを活用した工事を行えないのが現状であった。
【0007】
また、通常、ウエイトを使用する状況や場所に応じて、必要とされるウエイトの重量は異なるため、重量の異なる多種類のウエイトを取り揃えておく必要がある。
【0008】
また、ウエイトとしての使用後は、埋設した根枷(丸太、H鋼等)を撤去するため、再度、掘削したり、コンクリートの取壊し等に長時間,多くの労力を要していた。また取壊したコンクリートは産業廃棄物として処理しなければならなかった。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、使用する状況や場所に応じたウエイト及びそのウエイトを容易に設置ないし撤去する方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、巻きつけ手段を繰り出し手段から離れた場所に設置し、可変体エレメントであるワイヤロープの一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段からワイヤロープを繰り出して、当該ワイヤロープの他端を前記巻きつけ手段に接続し、
前記巻きつけ手段を第1回転制御手段によって回転させて、繰り出されたワイヤロープを巻きつけ手段に巻きつけることにより、
前記繰り出し手段に巻きつけられているワイヤロープの重量を、前記巻きつけ手段に、任意の重量だけ移動させる、任意重量に調整可能なウエイトの設置方法とした。
【0011】
請求項2の発明では、前記繰り出し手段に、回転させる第2回転制御手段を設ける、請求項1に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法とした。
【0012】
請求項3の発明では、前記繰り出し手段と前記巻きつけ手段の間の適宜の箇所に滑車を設け、前記繰り出し手段から繰り出されたワイヤロープの他端が、当該滑車を通して、前記巻きつけ手段に接続されている、請求項1又は2に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法とした。
【0013】
請求項4の発明では、可変体エレメントであるワイヤロープと、
当該ワイヤロープの一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段と、
当該ワイヤロープの他端が接続された巻きつけ手段と、
当該巻きつけ手段を回転させる第1回転制御手段とからなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法に使用する任意重量に調整可能なウエイトとした。
【0014】
請求項5の発明では、可変体エレメントを充填する充填先の容器を、当該充填先の容器より高い位置に配置され、可変体エレメントが充填されている充填元の容器から離れた場所に設置し、
前記充填元の容器から前記充填先の容器までの間に流体移動可能体を配設し、
当該流体移動可能体を通じて、可変体エレメントを任意の重量だけ充填先の容器に移動させる、任意重量に調整可能なウエイトの設置方法とした。
【0015】
請求項6の発明では、前記可変体エレメントが、水、お湯、泥、土砂、金属粉等の流体である、請求項5に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜4の発明によれば、ワイヤロープ等の可変体エレメントを、繰り出し手段から繰り出して、車両が入らない狭隘で、離れた場所に設置された巻きつけ手段に巻きつける構成である。すなわち、重りとなる可変体エレメントを徐々に巻きつけ手段の設置箇所に運び込む構成であるため、クレーン等の重機を使用せずに、任意の場所に、ウエイトを設置することができる。
【0017】
また、巻きつけ手段の設置箇所までの経路途中に、住宅の間等の狭隘な箇所が存在する場合でも、当該狭隘な箇所を通して、ウエイトを設置することができる。さらに、巻きつけ手段に巻きつける可変体エレメントであるワイヤロープの量を調節することで、必要に応じたウエイトを適宜提供することができる。
【0018】
また特に請求項2の発明によれば、巻きつけ手段だけでなく、繰り出し手段にも回転制御手段を設ける構成とすることによって、よりスムーズにワイヤロープ等の繰り出し、巻きつけを行うことができ、便宜である。また繰り出し手段にも回転制御手段を設ける構成とすることによって、ウエイトを撤去ないし回収する場合に、繰り出し手段に、使用したワイヤロープを戻して巻きつけることが可能となり、作業終了時の時間短縮等に効果的である。
【0019】
また特に、請求項3の発明によれば、繰り出し手段と巻きつけ手段の間の適宜の箇所に滑車を設ける構成としたため、巻きつけ手段の設置箇所までの経路が屈曲している場合であっても、スムーズに経路を確保することができ、便宜である。
【0020】
請求項5及び6の発明は、水等の可変体エレメントを、ホース等の流体移動可能体を通じて、充填元の容器から充填先の容器に移動させる構成である。すなわち、重りとなる可変体エレメントを徐々に充填先の容器に移動させる構成であるため、クレーン等の重機を使用せずに、任意の場所に、任意の重量のウエイトを設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明は、巻きつけ手段を繰り出し手段から離れた場所に設置し、可変体エレメントであるワイヤロープの一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段からワイヤロープを繰り出して、当該ワイヤロープの他端を前記巻きつけ手段に接続し、前記巻きつけ手段を第1回転制御手段によって回転させて、繰り出されたワイヤロープを巻きつけ手段に巻きつけることにより、前記繰り出し手段に巻きつけられているワイヤロープの重量を、前記巻きつけ手段に、任意の重量だけ移動させる構成とすることによって、クレーン等の重機を使用せずに、作業員等の人力で、任意の場所に、必要に応じたウエイトを適宜設置することができる。
【実施例1】
【0022】
通常、ウインチやウエイトを配設できないような狭隘な場所で、鉄塔14の電線ケーブル20を牽引するウインチ23等の使用機器を固定する場合には、金車22を介して、図9に示すように鉄塔14とほぼ並ぶようにして根枷26を設置する。
【0023】
しかし、図9における点線27で囲まれたような状態の根枷26を設置するスペースがない場合もある。そこで、そのような場合に、図1では、単にウエイトを配設することにより、ウインチ23等の使用機器を固定するように構成した、ウエイトAを示している。鉄塔14は、鉄塔アーム19を有しており、鉄塔アーム19の端部まで電線ケーブル20が張られている。そして電線ケーブル20の端部は、金車22を介してワイヤ21の一端と接続され、当該ワイヤ21の他端はウインチ23まで牽引され、このウインチ23のホイール(図示省略)に巻き回され、リールワインダ(図示省略)に巻き回されて固定されている。また、ウインチ23は、ワイヤロープ1が巻きつけられた巻きつけ手段3とワイヤ17で接続され、ウエイトで固定されている。
【0024】
また図1は、後述する図7と同様、巻きつけ手段3の設置箇所までの経路の途中に、構築物等狭隘な箇所があっても、滑車15を設けることにより、トラック13上の繰り出し手段2から、ウエイトAを簡単に設置することができることを示している。
【0025】
図2は、ウエイトAの巻きつけ手段3のドラム5を、第1回転制御手段4によって回転させて、可変体エレメントであるワイヤロープ1を巻きつけ手段3のドラム5に巻きつけている状態を示す斜視図である。
【0026】
ウエイトAは主として、ワイヤロープ1と、繰り出し手段2と、巻きつけ手段3と、第1回転制御手段4とから構成されている。ワイヤロープ1は、例えば銅線や鋼線等の金属製線であることが望ましい。金属は比重が大きいため、重りに向いているからである。繰り出し手段2及び巻きつけ手段3はいずれも、ワイヤロープ1の繰り出し及び巻きつけが可能な、例えば、ドラム(=リール)である。具体的には、繰り出し手段2及び巻きつけ手段3は、横向き円柱形の本体5aと、本体5aの両側にフランジ5bが接合され、各フランジ5bの略中心から外側方向に支軸10が突出しているドラム5と、ドラム5を載せるウエイト架台6と、ドラム5を支持する支持部材7と、ドラム5を持ち上げたり、下ろしたりするジャッキ9で構成され、ドラム5はウエイト架台6上に支持部材7とジャッキ9によって、回転自在に支持されている。そして、このドラム5の本体5aの外周にワイヤロープ1が巻きつけられる。
【0027】
繰り出し手段2のドラム5の本体5a(巻きつけ手段3と同様な構成のため、図は省略)は、ワイヤロープ1の一端が接続固定され、また必要に応じた量のワイヤロープ1を巻きつけ手段3に供給できるように、あらかじめワイヤロープ1が巻きつけられている。一方、巻きつけ手段3のドラム5の本体5aは、ワイヤロープ1の他端が接続固定されている。第1回転制御手段4は、巻きつけ手段3のドラム5を回転制御可能な、例えば電動のドラム回転装置であり、巻きつけ手段3のドラム5のフランジ5bの外周縁と当接自在な位置に設けられている。なお、第1回転制御手段4は、バッテリー(図示省略)を接続してバッテリの電圧を用いて回転制御を行う構成でも良いし、いわゆる電動機付きアシスト自転車のように、作業員がペダルを踏んで、その力を電動機(図示省略)で増大させて回転制御を行う構成でも良い。
【0028】
次にウエイトAの設置方法について、図1〜図5を用いて具体的に説明する。なお図1は、上述したように、スペースがなく、図9における点線27で囲まれたような状態の根枷26を設置する余裕が無い場所に、鉄塔14が建設されている場合において、ウエイトを配設することにより構成したウエイトAの平面図である。鉄塔14は、鉄塔アーム19を有しており、鉄塔アーム19の端部まで電線ケーブル20が張られている。
【0029】
まず、トラック13等の車両で、車両が搬入可能な地点まで近づいてウエイトAの構成部材を運搬する。次いで、ワイヤロープ1、繰り出し手段2、巻きつけ手段3等のウエイトAの構成部材を、人手で搬送し、巻きつけ手段3の設置箇所付近、つまり実際に重りを置く箇所付近に配置する。そして当該箇所に、繰り出し手段2を設置する。
【0030】
繰り出し手段2は、図1に示すように、トラック13等の車両の荷台に設置しても良い。繰り出し手段2をトラック13の荷台に配置すれば、荷台の高さの分だけ高い位置からワイヤロープ1を繰り出すこととなり、ワイヤロープ1を繰り出し易くなる。また、上述したように、設置された繰り出し手段2のドラム5は、ウエイト架台6上に支持部材7とジャッキ9によって、回転自在に支持されている。更に、繰り出し手段2は、ワイヤロープ1の一端が接続固定され、また必要に応じた量のワイヤロープ1を巻きつけ手段3に供給できるように、あらかじめワイヤロープ1が巻きつけられている。
【0031】
次に、巻きつけ手段3を設置する。具体的には図3に示すように、巻きつけ手段3を設置しようとする場所までH型鋼部材6aを作業員が人力で運搬し、当該場所に、四辺形枠にH型鋼部材6aを組んでウエイト架台6を配置する。それから、図4に示すようにウエイト架台6の両側に、ドラム5を支持する2本の支持部材7を、間隔8をあけて夫々立設する。そして、ウエイト架台6の両側の各間隔8に夫々ジャッキ9を立設する。なお、間隔8は、ドラム5の両側から突出している支軸10の嵌め込み及び取り外しが自在な大きさとする。また、第1回転制御手段4を、ドラム5のフランジ5bの外周縁と当接自在な位置に設ける。なお、この第1回転制御手段4はウエイト架台6上に固定自在となっている
【0032】
次に、ドラム5の両側の支軸10を、両側の支持部材7の間の間隔8に、夫々真上から嵌め込んで、ドラム5をウエイト架台6上に、ジャッキ9によって持ち上げられた状態でセットする。これにより、第1回転制御手段4がドラム5のフランジ5bの外周縁に当接する構成となっている。
【0033】
次に、繰り出し手段2のドラム5からワイヤロープ1を繰り出していく。なお、図1に示すように、巻きつけ手段3までの経路に、構築物等の障害物がある場合等は、適宜、滑車15を設けて、滑車15にワイヤロープ1を通して、経路を屈曲させる。このようにワイヤロープ1を滑車15に通すことで、経路が屈曲している場合であっても、スムーズに経路を確保することができる。
【0034】
そして、図2に示すように、巻きつけ手段3の本体5aの適宜の箇所にワイヤロープ1の他端を接続固定する。それから第1回転制御手段4を駆動させて、巻きつけ手段3のドラム5を回転させ、ワイヤロープ1をドラム5の本体5aの外周に巻きつけていく。
【0035】
巻きつけたワイヤロープ1によって、巻きつけ手段3のドラム5が必要な重量になった場合には、第1回転制御手段4をドラム5のフランジ5bから外し、ジャッキ9を操作してドラム5を下降させ、ウエイト架台6に載せる。更に、支持部材7、ジャッキ9をウエイト架台6から取り外す。それから図5に示すように、アングル状の転動防止金具11を、ドラム5の両側のフランジ5bに夫々真横から当接するように配置して、ドラム5をウエイト架台6上に固定する。また、ドラム5の両側の支軸10と、ウエイト架台6とを転動防止ワイヤ12で結ぶ。つまり、転動防止金具11と転動防止ワイヤ12を用いて、ワイヤロープ1が巻きつけられたドラム5がウエイト架台6から動かないように固定する。そして図1に示すように、ワイヤロープ1が巻きつけられたドラム5とウインチ23とをワイヤ17等で接続し、ウインチ23を、ウエイトで固定する。これでウエイトAの設置が完了する。
【0036】
その後、電線ケーブル20の端部を、金車22を介して、ワイヤ21と接続し、当該ワイヤ21をウインチ23まで牽引して、ウインチ23のホイール(図示省略)に巻き回し、リールワインダ(図示省略)に巻き回して固定する。
【0037】
なおウエイトAは、図6に示すようにワイヤロープ1が巻きつけられた複数のドラム5を、仮設の工作物18の基礎の上に設置して、工作物18の引揚荷重に対抗する重しとして使用することもできる。
【0038】
このように、ウエイトAでは、重りとなるワイヤロープ1を離れた場所から、巻きつけ手段3の設置箇所に徐々に運び込む構成であるため、重機や車両が搬入できないような狭隘な場所へも,簡単にウエイトを設置することができるので,搬入路を確保する作業が不要となった。
【0039】
また、重りとなるワイヤロープ1を巻きつけ手段3の設置箇所に徐々に運び込む構成であるため、図7に示すように巻きつけ手段3の設置箇所までの経路途中に住宅の間等、狭隘な箇所があっても、現地でウエイトを設置することができる。また、H鋼やコンクリートブロックや金属塊をウエイトとして使用していた従来は、ウエイトを設置する場所に穴を掘って、現地で必要な荷重に対する根枷等のウエイトを設置していたが、ウエイトAの場合には、穴を掘る必要がなく、穴の掘り起こしの手間が省ける。
【0040】
またウエイトAは、主としてワイヤロープ1、繰り出し手段2、巻きつけ手段3から構成されているため、撤去も容易で、取壊し作業や整地作業も不要である。
【0041】
また、巻きつけ手段3のドラム5に巻きつけるワイヤロープ1の量を調節することで、必要に応じた重さのウエイトを提供することができるため、重さの異なる多種類のウエイトを取り揃えておく必要がなくなり、便宜である。さらに、本実施例のように、繰り出し手段2及び巻きつけ手段3に、ドラム5を使用する構成とすれば、既存のドラムを流用でき、便宜である。
【0042】
なお、本実施例においては、巻きつけ手段3に、当該巻きつけ手段3のドラム5を回転させる第1回転制御手段4を設ける構成を示したが、更に、繰り出し手段2に、第1回転制御手段4と同様の構成の、繰り出し手段2のドラム5を回転させる第2回転制御手段(図示省略)を設ける構成を付加しても良い。巻きつけ手段3だけでなく、繰り出し手段2にも回転制御手段を設ける構成とすれば、ワイヤロープ1の繰り出し、巻きつけがよりスムーズになり、便宜である。またウエイトAを撤去ないし回収する場合に、繰り出し手段2に、使用したワイヤロープ1を戻して巻きつけることが可能となり、作業終了時の時間短縮等に効果的である。
【0043】
また、本実施例においては、巻きつけ手段3のドラム5に巻きつける可変体エレメントとして、ワイヤロープ1を使用する構成を示したが、沖合いに設置する魚網の重りのように網状体に適宜間隔をあけて重りを取付けた網状重りを使用する構成としても良い。
【0044】
また本実施例では、ドラム5が、ウエイト架台6上に支持部材7とジャッキ9によって、回転自在に支持され、ワイヤロープ1の一端が接続固定され、ワイヤロープ1が巻きつけられている状態の繰り出し手段2を、巻きつけ手段3の設置箇所付近、つまり実際に重りを置く箇所付近に配置する構成を示したが、巻きつけ手段3と同様に、その場で繰り出し手段2を組み立てる構成としても良い。
【0045】
また、本実施例においては、ワイヤロープ1、繰り出し手段2、巻きつけ手段3等からなるウエイトAを用いる構成を示したが、可変体エレメントを充填する充填先の容器を、当該充填先の容器より高い位置に配置され、可変体エレメントが充填されている充填元の容器から離れた場所に設置し、前記充填元の容器から前記充填先の容器までの間にホース等の流体移動可能体を配設し、当該流体移動可能体を通じて、可変体エレメントを任意の重量だけ充填先の容器に移動させる構成としても良い。この場合に用いる可変体エレメントは、例えば、水、お湯、泥、土砂、金属粉等の流体である。ウエイトの使用後は、水等の可変体エレメントは、水中ポンプ等を使用すれば、充填先の容器から充填元の容器へ戻すことができる。
【0046】
また、充填元の容器を高い位置に設置する構成ではなく、付近に川や池等がある場合には、その川等から水中ポンプ(図示省略)で、可変体エレメントである水をくみ上げて、その水をホース等の流体移動可能体を介して、充填先の容器に、移動させる構成としても良い。このような構成とすれば、充填元の容器が不要となり、便宜である。さらに可変体エレメントとして使用した水は、ウエイトの使用後は、川等に戻せば良く、可変体エレメントを運搬する必要がなくなり、また水資源を無駄にすることもなく、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明に係るウエイトAの構成を平面から示す平面図である。
【図2】この発明に係るウエイトAの巻きつけ手段のドラムを、第1回転制御手段によって回転させて、ワイヤロープを巻きつけ手段のドラムに巻きつけている状態を示す斜視図である。
【図3】この発明に係るウエイトAのウエイト架台が配置された状態を示す斜視図である。
【図4】この発明に係るウエイトAの巻きつけ手段のドラムがウエイト架台上に、ジャッキで持ち上げられて、設置された状態を示す斜視図である。
【図5】この発明に係るウエイトAの巻きつけ手段のドラムがウエイト架台上に設置された状態を示す斜視図である。
【図6】この発明に係るウエイトAのワイヤロープが巻きつけられたドラムを工作物の重しとして使用した状態を示す斜視図である。
【図7】経路途中に狭隘な箇所がある場合にウエイトAを設置している状態を示す平面図である。
【図8】使用機器を固定する場合に用いる、従来のウエイトとして、根枷を設置している状態を示す正面図である。
【図9】狭隘な場所で鉄塔の電線ケーブルを牽引するウインチ等の使用機器を固定する場合に用いる、従来のウエイトとして、金車を介して、鉄塔とほぼ並ぶようにして根枷を設置している状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0048】
A:ウエイト
1:ワイヤロープ、2:繰り出し手段、3:巻きつけ手段、4:第1回転制御手段、5:ドラム、5a:本体、5b:フランジ、6:ウエイト架台、6a:H型鋼部材、7:支持部材、8:間隔、9:ジャッキ、10:支軸、11:転動防止金具、12:転動防止ワイヤ、13:トラック、14:鉄塔、15:滑車、17:ワイヤ、18:工作物、19:鉄塔アーム、20:電線ケーブル、21:ワイヤ、22:金車、23:ウインチ、24:ワイヤ、25:H鋼、26:根枷、27:点線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻きつけ手段を繰り出し手段から離れた場所に設置し、可変体エレメントであるワイヤロープの一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段からワイヤロープを繰り出して、当該ワイヤロープの他端を前記巻きつけ手段に接続し、
前記巻きつけ手段を第1回転制御手段によって回転させて、繰り出されたワイヤロープを巻きつけ手段に巻きつけることにより、
前記繰り出し手段に巻きつけられているワイヤロープの重量を、前記巻きつけ手段に、任意の重量だけ移動させることを特徴とする、任意重量に調整可能なウエイトの設置方法。
【請求項2】
前記繰り出し手段に、回転させる第2回転制御手段を設けることを特徴とする、請求項1に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法。
【請求項3】
前記繰り出し手段と前記巻きつけ手段の間の適宜の箇所に滑車を設け、前記繰り出し手段から繰り出されたワイヤロープの他端が、当該滑車を通して、前記巻きつけ手段に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法。
【請求項4】
可変体エレメントであるワイヤロープと、
当該ワイヤロープの一端が接続されて、巻きつけられた繰り出し手段と、
当該ワイヤロープの他端が接続された巻きつけ手段と、
当該巻きつけ手段を回転させる第1回転制御手段とからなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法に使用する任意重量に調整可能なウエイト。
【請求項5】
可変体エレメントを充填する充填先の容器を、当該充填先の容器より高い位置に配置され、可変体エレメントが充填されている充填元の容器から離れた場所に設置し、
前記充填元の容器から前記充填先の容器までの間に流体移動可能体を配設し、
当該流体移動可能体を通じて、可変体エレメントを任意の重量だけ充填先の容器に移動させることを特徴とする、任意重量に調整可能なウエイトの設置方法。
【請求項6】
前記可変体エレメントが、水、お湯、泥、土砂、金属粉等の流体であることを特徴とする、請求項5に記載の任意重量に調整可能なウエイトの設置方法。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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