説明

企業価値の評価装置、評価方法及び評価プログラム

【課題】少なくともMBA指標、MOT指標、MOS指標の三つの指標の組み合わせで示される企業価値によって企業活動を適切に評価する技術を提供する。
【解決手段】MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値の入力を受け、原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、原点からMBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、原点からMOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、原点からMOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、MBA目標ベクトル、MOT目標ベクトル及びMOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、MBA軸、MOT軸及びMOS軸のなす三次元座標上に企業価値の目標ベクトルを描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業価値を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業活動の評価は、財務指標で示される企業価値が上がったか否かによって行われていた。
【0003】
このため、MBA指標(Master of Business Administration)では、企業経営におい
て、利益や資産、シェア等を増加させることに重点がおかれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−20588号公報
【特許文献2】特開2001−167194号公報
【特許文献3】特開2005−182451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、利益のみを追求して企業経営を行った場合、利益増加と直結する生産の拡大が進められ、利益増加と反する資源のリサイクルや廃棄物の処理といった活動は抑制されることになる。その結果、天然資源の枯渇や環境汚染といった破綻を招き、企業活動の継続が困難になってしまう。
【0006】
このため、企業活動によって生じる環境への負荷を抑え、破綻を招くことなく持続可能な企業活動を行うMOS指標(Management of sustainability)が必要になって来ている。例えば、木材を原料とする場合、リサイクル原料の利用や植林により、木材の伐採量と植林の量とを拮抗させることによって資源量を保ち、持続的な利用を可能にする。
【0007】
また、企業の持続的な発展のためには、イノベーションの創出も重要である。そしてイノベーションを創出するためには、人材の育成や、開発への投資、産学連携といった技術を育てる長期的な取り組み、所謂MOT指標(Management of Technology)が必要である。
【0008】
但し、環境への投資やイノベーションへの投資を過剰に行って企業の業績を悪化させたのでは、企業活動が継続できなくなってしまう。
【0009】
そこで、出願人は、企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標と、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標と、企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の三つの指標、或いはこれらに時間を加えた4つの指標で多元的に企業価値を評価し、この多元的評価に基づいて企業活動を行うことを提唱する。
【0010】
そして、これを実現するため、少なくともMBA指標、MOT指標、MOS指標の三つの指標の組み合わせで示される企業価値によって企業活動を適切に評価する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の評価装置は、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画する出力制御部と、を備えた。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明の評価装置は、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける実績受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、更に前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを夫々求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを描画して実績ベクトルの推移を示す出力制御部と、を備えた。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明の評価方法は、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記
MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画するステップと、
をコンピュータが実行する企業価値の評価方法である。
【0014】
また、本発明は、上記評価方法をコンピュータに実行させる評価プログラムであっても良い。更に、本発明は、この評価プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録したものであっても良い。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0015】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0016】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少なくともMBA指標、MOT指標、MOS指標の三つの指標の組み合わせで示される企業価値によって企業活動を適切に評価する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】企業価値の評価装置の概略図
【図2】三次元座標上に企業価値の目標ベクトルを描画した例を示す図
【図3】MOS指標を構成するサスティナビリティ指標、ヘルス指標及びコンフォート指標の点数配分を示す図
【図4】MBA指標を構成する各指標の点数配分を示す図
【図5】MOT指標を構成する各指標の点数配分示す図
【図6】実施形態1における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図7】企業価値の目標ベクトルと実績ベクトルとを表示装置に表示させた一例を示す図
【図8】MBA指標の実績値がマイナスとなった例を示す図
【図9】目標ベクトルと実績ベクトルの乖離を示す図
【図10】企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体の体積と、企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積とを比較する例を示す図
【図11】各軸の実績値について評価する例を示す図
【図12】企業価値の実績ベクトルの長さを評価する例を示す図
【図13】企業価値の実績ベクトルの傾きを評価する例を示す図
【図14】実施形態2における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図15】年度毎の実績ベクトルの推移を示す図
【図16】図15に示した実績ベクトルの頂点を繋いだ折れ線グラフを例示する図
【図17】図15に示した実績ベクトルを対角線とする直方体をそれぞれ描画して実績空間の体積の推移を示す図
【図18】本実施形態3における企業価値の評価装置の概略構成図
【図19】コンピュータである評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図20】各目標ベクトルの表示例を示す図
【図21】配分テーブルの一例を示す図
【図22】複数期間の目標ベクトル及び実績ベクトルの表示例を示す図
【図23】本実施形態4における企業価値の評価装置の概略構成図
【図24】重みテーブルの一例を示す図
【図25】本実施形態4における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図26】本実施形態5における企業価値の評価装置の概略構成図
【図27】本実施形態5における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図28】到達予定時期と目標値の関係を示す図
【図29】目標修正処理の説明図
【図30】関連企業における評価の説明図
【図31】関連企業毎の重み付けの説明図
【図32】サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の予測達成率を示す図
【図33】図32の予測達成率の推移を表した図
【図34】修正処理4における処理方法のフローチャート
【図35】選択条件に従って改善すべき指標を選択する処理のフローチャート
【図36】修正処理5における処理方法のフローチャート
【図37】図36において修正すべき指標の選択処理のフローチャート
【図38】確率密度関数の説明図
【図39】増分率テーブルの一例を示す図
【図40】確率密度関数の変形例の説明図
【図41】修正処理1における処理方法のフローチャート
【図42】株価とKAITEKI指標の相関関係を示す図
【図43】複数期間の目標ベクトル及び実績ベクトルの表示例を示す図
【図44】実施形態4の変形例における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図45】状況とキーワードの対応テーブルの一例を示す図
【図46】重みテーブルの一例を示す図
【図47】本実施形態6における評価装置が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図
【図48】目標修正テーブルの一例を示す図
【図49】色指定テーブルの一例を示す図
【図50】各年度の立方体を色指定テーブルで指定された色で表示した例を示す図
【図51】図50に示した各年度の直方体を順次表示させた例を示す図
【図52】図50に示した各年度の直方体を順次表示させた例を示す図
【図53】財務システムや工場等の管理システム、人事システムに閾値を設定させる例を示す図
【図54】右目用画像と左目用画像を時間的に分離して表示する立体表示装置の説明図
【図55】右目用画像と左目用画像を空間的に分離して表示する立体表示装置の説明図
【図56】視差を有する画像の説明図
【図57】図43の目標ベクトルと実績ベクトルをMBA−MOT平面に示した図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下の実施の形態の構成は例示であり、本発明は実施の形態の構成に限定されない。
【0020】
〈実施形態1〉
本実施形態の評価装置による多元的評価の狙いは、会社経営の偏向、暴走を避け、経営が如何なる環境に置かれようとも、MBA指標のみならず、MOT指標、MOS指標に於いても、適切な経営資源投入を行い、かつ、一定の成果が上げられるように経営を支援することにある。
【0021】
言い換えれば、本実施形態の評価装置は「常にバランスの取れた経営を行う為の装置」と言え、具体的には、特に以下の二つの例を防止できる。
【0022】
(イ)MBA指標で示される業績が余りに良く、MOT指標、MOS指標で示される側面が省みられなくなること。
【0023】
(ロ)MBA指標で示される業績が悪く、MOT指標、MOS指標で示される側面への経営資源投入を止め、MBA指標で示される側面だけに集中的な投入を行うこと。
【0024】
上記の極端な例を避けながら、常時三つの側面に適切な経営資源の投入を行う(即ち、常にバランスの取れた経営を行う)為、例えば以下の手順を行う。
【0025】
(1)まず、MBA指標、MOT指標、MOS指標の目標と実績をそれぞれ互いに直交する異次元の三つの軸の上にプロッティングする。
(2)MBA指標、MOT指標、MOS指標は異なる次元の値として扱う。
(3)MBA指標、MOT指標、MOS指標それぞれの「目標値」、「実績値」はそれぞれの軸上にプロットされ、目標の達成度合いを評価され、「次の目標値」の設定に反映される。
(4)更に三つの軸を直交させ、「経営時空間」を形成し、原点からMBA軸上の目標値までのMBA目標ベクトル、原点からMOT軸上の目標値までのMOT目標ベクトル、原点からMOS軸上の目標値までのMOS目標ベクトルの三つのベクトルを合成し、「経営時空間」上に三次元合成ベクトルを描出する。当該三つの目標値による合成ベクトルを「企業価値の目標ベクトル」とし、同様に三つの実績値による合成ベクトルを「企業価値の実績ベクトル」とする。
(5)各軸上の目標値と実績値は、数値を対比させることによって評価が行われるが、経営時空間内の三次元による「目標ベクトル」と「実績ベクトル」は、a.ベクトルの「長さ」を比較することと、b.ベクトルの「向き」を比較することによって評価される。
【0026】
以上の手順による評価に基づく経営手法を「三次元経営」とし、「三次元経営」を支援するための情報システムを「年次モニタリング・システム」と呼ぶ。
【0027】
そして、MBA指標、MOT指標、MOS指標それぞれは半永久的に固定化された絶対的な軸で示される存在ではなく、時間の経緯により本質的な変質を起こす可能性がある。従って、各軸は年次ごとに見直され、必要に応じ修正が施されなくてはならない。
【0028】
よって、ベクトルの描出、評価を経年で行う際、時間の経過とそれによる軸の質的変化を評価に反映させる。以上の時間の経過に伴う上記三つの軸の質的変化を反映した評価に基づく経営手法を「四次元経営」とし、「四次元経営」を支援する情報システムを「経年モニタリング・システム」と呼ぶ。
【0029】
〈評価装置の構成〉
図1は、本実施形態における企業価値の評価装置1の概略構成図である。図1に示すように、評価装置1は、本体内にCPU(central processing unit)やメインメモリ等よ
りなる演算処理部12、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(ハードディスク)13、入出力ポート14、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)15等を備えたコンピュータである。
【0030】
該入出力ポート14には、キーボードやマウス、CD−ROMドライブやメモリカードリーダといった記憶媒体の読取装置等の入力デバイス、そして表示装置やプリンタ等の出力デバイスが適宜接続される。
【0031】
CCU15は、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行うものである。
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(評価プログラム等)がインストールされている。また、記憶部13は、企業活動の実績値や目標値等の入力データや、演算処理部12による処理結果等のデータを記憶する。
【0032】
演算処理部12は、CPUやメモリ等からなり、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力ポート14やCCU15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、目標受付部121や、実績受付部122、評価部123、資源配分設定部127、出力制御部124としても機能する。
【0033】
目標受付部121は、オペレータによるキーボードやマウスの操作、記憶媒体からの読み取り等による入出力ポート14を介した入力データや、CCU15を介した受信データとして目標値の入力を受ける。ここで目標値とは、例えば、企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値である。
【0034】
実績受付部122は、オペレータによるキーボードやマウスの操作、記憶媒体からの読み取り等による入出力ポート14を介した入力データや、CCU15を介した受信データとしてMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける。
【0035】
評価部123は、原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求める。
【0036】
資源配分設定部127は、評価部123による評価が所定状態よりも悪く、警告を発する場合に、MBA指標、MOT指標及びMOS指標について予め目標達成の為に設定された資源の値を変更して資源配分を設定する。例えば企業価値の目標ベクトルの先端と、企業価値の実績ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、MBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、当該増加させた値を前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値とから削減して資源配分を設定する。
【0037】
出力制御部124は、表示装置への表示、プリンタからの印刷等の出力により、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸のなす三次元座標上に企業価値の目標ベクトルを描画する。また、このように目標ベクトルを描画する電子データを記憶媒体へ書き込むことや、他の装置へ送信することにより出力しても良い。
【0038】
出力制御部124は、表示装置への表示、プリンタからの印刷等の出力により、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸のなす三次元座標上に企業価値の目標ベクトルを描画する。また、出力制御部124は、このように目標ベクトルを描画する電子データを記憶媒体へ書き込むことや、他の装置へ送信することにより出力しても良い。
【0039】
図2は、三次元座標上に企業価値の目標ベクトルを描画した例を示す。図2において、MOT軸上のMOT目標ベクトルが矢印T11、MOS軸上のMOS目標ベクトルが矢印S11、MBA軸上のMBA目標ベクトルが矢印A11で示される。そして、出力制御部124は、MBA目標ベクトル、MOT目標ベクトル及びMOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、図2の三次元座標上に矢印K11として示した。このように、出力制御部124は、企業価値を三次元座標上のベクトルとして表すことにより、企業活動の方向性等を確認できるようにしている。
【0040】
〈各指標の説明〉
§1.MOS指標の目標値は、企業活動の持続可能性の目標値として企業活動による環境への影響を持続可能な程度に抑える為に目標とする値(以下、サスティナビリティ指標と略する)と、快適性の目標値として企業活動が快適性に寄与する程度の目標を含む値(以下、コンフォート指標と略する)とを含み、更に、健康の目標値として企業活動の健康への貢献度の目標を示す値(以下、ヘルス指標と略する)を含んでも良い。
【0041】
また、前記持続可能性の目標値は、通常、環境負荷の削減量の目標値、及び資源の消費抑制量の目標値の少なくとも1つを含むが、両者を含むのが好ましく、更に、調達におけるCSRに係る目標値を含むのが好ましい。又、前記持続可能性の目標値は、快適性の目標値が快適に寄与する製品の売上高の目標値、ステークホルダの満足度の目標値及び安全の目標値を含むのも好ましい。
【0042】
更に、前記快適性の目標値は、通常、前記企業の信頼度の目標値を含み、更に、快適に寄与する製品の売上高の目標値、ステークホルダの満足度の目標値及び所定事故の発生率の少なくとも一つを含むのが好ましい。
【0043】
そして、前記健康の目標値は、疾病治癒の貢献度の目標値、及び、予防・早期発見に係る目標値の少なくとも1つを含み、更に、医療費削減量の目標値を含むのが好ましい。
【0044】
更に、健康の目標値は、健康維持を促進させる目標値又は予防活動を促進する目標値を含むのが好ましい。
【0045】
本実施形態において、MOS指標は、サスティナビリティ指標、コンフォート指標及びヘルス指標について複数の項目を有し、この項目を満たした場合に加点し、この点数を集計して指標とする。
【0046】
サスティナビリティ指標とは、地球環境の維持に貢献する事を目的とする指標であって、具体的には、
(S−1)自社の生産活動に関連するもの、
(S−2)製品に関連するもの、
(S−3)原材料等の調達に関連する物等が挙げられる。
【0047】
ここで、(S−1)自社の生産活動に関連するものとしては、環境調和型の原燃料への転換を図る、生産プロセスを高効率化することで資源・エネルギーの使用効率を高める、リサイクルを促進する、環境負荷物質、例えば二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、煤塵、などの発生を抑制するなどを挙げる事ができ、(S−2)製品に関連するものとしては、省エネルギーの製品を製造・販売する事で客先でのエネルギーの削減を図る、製品の寿命を長くする事で買い替え需要を減らす事によって資源の消費を少なくするなどが挙げられ、(S−3)原材料等の調達に関連するものとしては、カーボンフットプリントの少ない原燃料の使用率を高める、再生可能な材料から製造された原燃料の使用率を高める、エコマーク製品を使用する、環境に優しい原材料を調達する、などがあげられる。
【0048】
これらの指標の中からひとつを採用してサスティナビリティ指標とする事も、複数の指標をバランスよく採用して全体でサスティナビリティ指標とする事もでき、ひとつを採用する場合には、二酸化炭素の発生量の抑制、エネルギー使用効率向上、リサイクルの促進などが好ましく、これらを2以上採用するのがより好ましい。一つの指標に限定するよりは、複数の指標をバランス良く組み合わせる事が好ましく、その場合は、事業者の形態が製造業であれば、生産活動に関連するもの、製品に関連するものをそれぞれひとつ以上用いる事が好ましく、さらには調達に関連するものを加える事が好ましい。
【0049】
企業活動に関するものでCSR(企業の社会責任)活動と言われるものが有り、これには地球環境に関連する内容だけでなく、人権などの要素を含むが、CSR活動に関するものをサスティナビリティ指標の中に加えても良い。
【0050】
これらを組み合わせた例としては、例えば、サスティナビリティ指標として、環境負荷物質の削減、製品を通じての客先での二酸化炭素の発生抑制、再生可能な材料で製造された原燃料の使用量向上、生産プロセスの高効率化を用いる事があげられる。これら指標は、それぞれ達成する目標値の設定と、目標値を達成するための計画を別途定める。
【0051】
具体的な目標値の設定としては、例えば、サスティナビリティ指標の項目S−1は、以下のように削減目標値を設定する。
【0052】
1.温室効果ガス 200万トン
2.NOx(窒素酸化物) 2千トン
3.SOx(硫黄酸化物) 5百トン
4.煤塵(ばいじん) 50トン
5.PRTR調査対象物質 200トン
これらの条件を満たした割合に応じて点数を算出する。
【0053】
ヘルス指標とは、人が健康な一生を送れる事に対する貢献を目的とする指標であって、具体的には、出生率の向上に貢献する、発育・公衆衛生を促進させる、健康維持を促進させる、予防活動を促進する、身体情報の一元化を促進する、疾病等の早期発見を促進させる、難病疾病の治癒率を向上させる、医療費の削減に貢献する、医療環境を改善する、医学教育を支援する、身体機能の回復に貢献する、アンチエイジングを促進する、安全な食品の提供に貢献する、などがあげられる。
【0054】
これらの指標の中からひとつを採用してヘルス指標とする事も、複数の指標をバランスよく採用して全体でヘルス指標とする事もできる。一つの指標に限定するよりは、複数の指標をバランス良く組み合わせる事が好ましく、事業者の事業形態が医薬品事業であれば、健康維持を促進させる、予防活動を促進する、難病疾病の治癒率を向上させる、医療費
の削減に貢献する、の中からひとつ以上用いる事が好ましい。
【0055】
より具体的な例としては、例えばヘルス指標の項目H−1は以下のように条件を設定する。
【0056】
1.治療不満足度と投薬患者数を掛けあわせた数値の増加数(治療不満足度=1−治療満足度)
2.投薬を受ける難病指定疾患の患者数の増加
これらの条件を満たした割合に応じて点数を算出する。
【0057】
コンフォート指標とは、人々により快適な生活を提供する事に対する貢献を目的とする指標であるが、不安が除かれ、安心・安全と感じられる事も快適と考え、それらに通じる事もこの指標に加える。
【0058】
コンフォート指標の具体的な例としては、製品やサービスに直接係わる指標として、利便性の向上した製品・サービスを提供する、耐久性・安定性の向上した製品・サービスを提供する、機能が向上またはより充実した製品・サービスを提供する、多様な要求に応えられる製品・サービスを提供する、触感が良いものなど五感により快いと感じる製品・サービスを提供する、清潔または清浄な製品を提供する、安心と感じられる製品・サービスを提供するなどが挙げられるほか、これらの製品やサービスを提供するまでの時間を短縮する事に関する指標として、新しい商品が全体に占める率の向上などがある。
【0059】
さらには、企業から影響を受ける関係先の満足の向上、不満の解消に関する指標もコンフォート指標の例として挙げられ、例えば、株主の満足度を上げるために、株価、時価総額、配当率などを向上させる、顧客の満足度を上げるために、クレームの発生率を下げる、クレームに対する対応スピードを上げる、従業員の満足度をあげるために、有給休暇の消費率を上げる、育児休暇の取得率をあげるなどの勤務環境に関連する指標を向上させることが挙げられる。企業の関係先の満足度については民間の調査機関によるランキングがあり、例えば、日経リサーチ社による「NICES」が上げられるが、このランキングを向上させることも指標の例としてあげる事ができる。
【0060】
さらには、人身事故、操業を停止する様な事故や漏洩などの環境事故の発生率を低下させる、製品の安全性を確認し、その結果を公表する、なども指標の例としてあげられる。

【0061】
これらの指標の中からひとつを採用してコンフォート指標とする事も、複数の指標をバランスよく採用して全体でコンフォート指標とする事もでき、ひとつを採用する場合には、民間の調査期間によるランキングの向上、事故発生率の低下などが好ましい。一つの指標に限定するよりは、複数の指標をバランス良く組み合わせる事が好ましく、その場合は、製品やサービスに直接係わる指標、企業から影響を受ける関係先の満足の向上、及び不満の解消に関する指標を用いる事が好ましい。これらを組み合わせた例としては、例えば、新しい商品が全体に占める率の向上、民間の調査期間によるランキングの向上、事故発生率の低下を組み合わせる事があげられる。これら指標は、それぞれ達成する目標値の設定と、目標値を達成するための計画を別途定める。
【0062】
より具体的な例としては、コンフォート指標の項目C−2は、以下のように条件を設定する。
【0063】
1.株主満足度
自社の株価と平均株価との比を増加させる。(基準とする時期(例えば2010年9月
)に対し20%)
2.関係者満足度
調査会社ランキングを20位向上させる。
3.従業員満足度
管理ポストの男女比を1:1に近づける。
外国籍従業員の割合を所定値以上とする。
残業時間を所定値未満とする。
【0064】
これらの条件を満たした割合に応じて点数を算出する。
図3は、MOS指標を構成するサスティナビリティ指標、ヘルス指標及びコンフォート指標の点数配分を示す。図3では、サスティナビリティ指標、ヘルス指標及びコンフォート指標の目標値をそれぞれ3.4点、3.3点及び3.3点とした。また、サスティナビリティ指標の各項目にそれぞれ1.2点、1.1点及び1.1点を配分している。ヘルス指標及びコンフォート指標の各項目にそれぞれ1.1点を配分している。即ちMOS指標は、10点満点で評価される。
【0065】
§2.MBA指標は、(1)営業利益達成度合、(2)ROA達成度合、(3)D/E比率達成度合、(4)トランスフォーメーションの進捗、(5)一株当りの利益率及び、(6)時価総額、の少なくとも1つを含む。中でも、上記の(1)〜(3)、(5)及び(6)の少なくとも1つを細分化指標として含むのが好ましい。MBA指標は、例えば、上記(1)〜(6)の細分化指標を、それぞれの重み(以下、配分比率という)で重み付け加算する合算処理によって求めることができる。
【0066】
例えば、売上の半分近くを占める石油化学部門が、原油価格や為替に大きな影響を受ける為「MBA指標」に売上が与える影響をほぼゼロという評価をしても良い。医薬品のように、売上が事業規模や利益と直結している場合もあるので、MBA指標合算の為の指標の選択と配分比率は、個々の事業、企業によって適切なものを検討すべきである。
【0067】
各指標の配分比率の一例を以下に示す。
(1)営業利益達成度合 30%
(2)ROA達成度合 20%
(3)D/E比率達成度合 15%
(4)トランスフォーメーションの進捗 15%
(5)一株当りの利益率 10%
(6)時価総額、 10%
【0068】
図4は、以上の配分比率にしたがって求めたMBA指標を構成する各指標(1)−(6)の点数配分を示す図である。各指標(1)−(6)の値を10点満点で求めた場合、配分比率が30%、20%、15%、15%、10%、10%であるので、各指標(1)−(6)の配点は、3点、2点、1.5点、1.5点、1点、1点となる。本実施形態のMBA指標は、各指標(1)−(6)の配点、3点、2点、1.5点、1.5点、1点、1点を合算した値である。
【0069】
なお、MBA指標において、トランスフォーメーションの進捗とは、M&A、事業再編(撤退、縮小)、事業会社間(例えば、A社、B社、C社、およびD社という複数会社を有するホールディングスの場合、これら4社の会社間)での事業移管等で、経営計画や予算に織り込んだものをどの程度迄達成出来たかの度合いである。例えば、案件毎に所定の評価者が達成度を評価してトランスフォーメーションの点数を決定しても良い。単純に、計画件数に対する、事業移管完了件数の比率で評価してもよい。
【0070】
また、本実施形態のトランスフォーメーションは、M&A、事業再編及び事業会社間での事業移管の少なくとも1つを含むこととする。
【0071】
§3.MOTは、技術経営として広く提唱されている経営手法であって、ある技術革新がもたらす企業・組織の持続的発展の可能性を見極めて、見極めた結果としての特定の技術革新を事業に結びつけ、長期的な視野に立って将来の経済的価値を創出していくためのマネジメントとも言える。
【0072】
ここで、技術革新とは、高難度な課題及び/又は社会的解決要求の強い課題を解決する技術を含み、狭義の科学技術の革新(但し、技術改良や、将来の成功に生かせる価値を生み出す失敗も含む)のみならず、マーケティング技術の革新、経営管理技術の革新、物流技術に関する技術革新、資金調達手法に関する技術革新、知財戦略の実現に伴う技術革新、ビジネスモデル構築に伴う技術革新、企業提携の提案及び実現に伴う技術革新等も含む広義の技術革新と捉えることができる。
【0073】
MOT指標は、MOTに関する指標として、技術革新に係る所定の値に基づいて算出したものである。本実施形態のMOT指標は、技術革新に係る所定の値として以下の項目(1)〜(3)の少なくとも一つを含む。また「イノベーション創出」という視座に立ち、マーケティング技術や、経営管理技術の発展、向上もMOT指標の中に取り入れても良い。
【0074】
例えば、MOT指標は、以下の指標(1)〜(3)の合計で算出されるものとし、その配分比率は以下の通りとする。
【0075】
(1)技術経営への資源投入度合 30%
(2)技術経営活動の期間目標達成度合 30%
(3)技術経営活動からの成果度合 40%
図5は、MOT指標を構成する各指標(1)〜(3)の点数配分を示す図である。各指標(1)−(3)の値を10点満点で求めた場合、配分比率が30%、30%、40%、であるので、各指標(1)−(3)の配点は、3点、3点、4点となる。本実施形態のMBA指標は、各指標(1)−(3)の配点、3点、3点、4点を合算した値である。
【0076】
(1)技術経営活動への資源投入度合は、以下の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つを含むものであり、具体例としては、以下の(イ)〜(ハ)の達成度合いの合算値である。この技術経営活動への資源投入度合は、計画通りに資金と人材の投入が行われたか、及び計画通りの人材育成活動が実施されたかが、その進捗度で評価される。例えば、以下の点数を最大として、合計点で最大10点の点数が与えられ、技術経営活動への資源投入度合については、最大で30%のMOT値を獲得することができる。
【0077】
(イ)技術経営活動への人員投入度合 :3.5点
(ロ)技術経営活動への資金投入度合 :3.5点
(ハ)人材育成計画 :3.0点
【0078】
(2)技術経営活動の期間目標達成度合は、期間ごとに設定される目標が達成されたか否かを見るものであり、換言すれば、進捗度合い及び/又はスピードを評価するものである。例えば、「反応系の基礎的な条件探索を終え、パイロットプラントの設計に入る」という目標設定がなされ、それが計画通り実行された場合、最大10点の点数が与えられ、技術経営活動の期間目標達成度合については、MOT値として最大の30%を獲得することができる。目標が完全には達成されなかった場合でも、目標に対して所定の進捗が見られた場合、或いは、目標に対しての具体的進捗が見られなかった場合でも、基礎条件探索
の方向性の変更を提案できる等、将来の成功確立を高めるような技術の革新に貢献する結果が得られた場合、予め設定した目標達成度に従って評価する。
【0079】
(3)技術経営活動からの成果度合は、技術経営活動から生じる成果を評価するものである。技術経営活動からの成果度合は、以下の(イ)〜(ト)の少なくとも一つを含むものであり、具体例としては、以下の成果の合算値(最大10点)である。技術経営活動からの成果度合については、最大で40%のMOT値が獲得出来る。
(イ)新たな技術や製品が事業化された場合 : 2点
(ロ)特許等の知的財産の成果 : 2点
(ここで、知的財産の成果は、例えば、所定期間の特許出願の件数、所定期間に登録となった特許の件数、所定期間に出願された他社に影響力のある特許出願の件数、所定期間に登録された他社に影響力のある登録特許の件数等)
(ハ)表彰の対象となった場合 : 1点
(ここで、表彰の対象は、社外及び社内の表彰(社長表彰、RD表彰、知財表彰等の対象を含む)、
(ニ)新たなノウハウの取得 : 1点
(潜在技術力の拡大)
(ホ)潜在顧客の評価の進展 : 1点
(ヘ)知的財産活動による企業提携の達成 : 1点
(ト)大幅な経営効率(販売等を含む)改善の達成 : 2点
なお、MOT指標の中で、例えばMOTが研究開発のような技術開発の場合等、達成の難易度により、目標が例えば1年程度の短期目標、例えば5年程度の中期目標、例えば10年以上の長期目標を含み得、その場合、長期目標と短期目標の達成度を同次元で評価する場合には、達成スピードの遅速により、相対的に適切な評価が困難となりうる。但し、この場合であっても、中期または長期の目標に基づき、その途中経過時点の各目標を立て直し、各時点での目標達成度合いでの評価に置き換えること(現在価値に置き換えること)で、各目標の達成度合いを、適切に相対評価することができる。
【0080】
同様のことは、MOS指標についても該当する(例えば、CO2削減目標等の中長期の目標や、難病疾病の治癒率を向上に医薬の開発等の長期目標等についても、途中経過時点の目標を立て直し、目標達成度合いを評価する)。
【0081】
なお、上記MBA指標、MOT指標、及びMOS指標において、細分化指標及び、細分化指標それぞれの配分比率は、普遍ではなく、適宜変更可能である。例えば時代・環境の推移によって重要性が高まった細分化指標の点数を高め、重要性が低下した細分化指標の点数を下げるといった見直しを行う。また、必要に応じて細分化指標自体を他の細分化指標に変更しても良い。
【0082】
MBA指標、MOT指標、及びMOS指標において、成果部分は、満点以上の可能性がある。想定した目標を達成した場合に満点となり、想定以上の成果を上げた場合に満点以上となる。MBA指標や、MOT指標、MOS指標が満点以上となることで、企業価値の実績ベクトルが目標ベクトルを越えることもありうる。
【0083】
ものすごいイノベーションを達成した場合、評価は1点満点の5点ということもあり得、そのとき、ベクトルはMOT軸に寄ったベクトルを示す。この時、ベクトルの方向性は、元々意図していたバランスの取れたものから、大きく乖離してしまうが、その場合、長さも数倍になっているので、「経営的には全く問題ない」ということになる。
【0084】
また、「常に方向と長さの両方をも見ながら評価を行なう」ことになり、3次元経営は他の軸の実績がどうであれ、その軸の目標設定と実績評価が常に何らかの「形」でベクト
ルに現れていることになる。
【0085】
一方、従来のようにMOSや、MOTの成果を全て金銭的価値に換算して評価を行ったのでは、大儲けした時にMOSやMOTがどうなったか等が、霞んでしまって見え難くなってしまうこととなる。
【0086】
〈三次元評価方法〉
図6は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図である。
【0087】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図6の処理を開始する。
【0088】
先ず、目標受付部121は、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値の入力を受け、また、実績受付部122は、MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS1)。これら実績値や目標値の入力は、キーボード等の入力デバイスを操作してユーザが入力するものであっても良いし、他のシステムからデータの入力を受けるものであっても良い。例えば、MBA指標の実績値は、ERP(Enterprise Resource Planning)システムから財務諸表のデータの入力を受ける。なお、入力受付部は、他の装置から送られたデータを受信するだけに限らず、他のシステムのデータベース等にアクセスし、データを読み出して取得するものでも良い。
【0089】
次に評価部123は、ステップS1で入力されたMBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値、並びにMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値に基づいて、企業価値の目標ベクトル及び企業価値の実績ベクトルを求め、この目標ベクトル及び実績ベクトルの方向と長さによって企業価値を評価する(ステップS2)。ここで、企業価値の目標ベクトルとは、原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とした場合に、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとする。そして、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求める。
【0090】
また、前記三次元座標上のMBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとする。そして、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとする。
【0091】
次に出力制御部124は、前記三次元座標上に企業価値の目標ベクトルと実績ベクトルとを対比して描画する(ステップS3)。図7は、企業価値の目標ベクトルと実績ベクトルとを表示装置に表示させた一例を示す図である。
【0092】
図7の例では、原点0を通り互いに直交するMBA軸、MOT軸及びMOS軸を設定し、MOT軸上にMOT指標の目標値T1及びMOT指標の実績値T2をとり、原点0からMOT指標の目標値T1までのMOT目標ベクトルを矢印T11、原点0からMOT指標
の実績値T2までのMOT実績ベクトルを矢印T12で示した。
【0093】
また、MOS軸上に、MOS指標の目標値S1、及びMOS指標の実績値S2をとり、原点0からMOS指標の目標値S1までのMOS目標ベクトルを矢印S11、原点0からMOS指標の実績値S2までのMOS実績ベクトルを矢印S12で示した。
【0094】
更に、MBA軸上に、MBA指標の目標値A1、及びMBA指標の実績値A2をとり、原点0からMBA指標の目標値A1までのMBA目標ベクトルを矢印A11、原点0からMBA指標の実績値A2までのMBA実績ベクトルを矢印A12で示した。
【0095】
そして、MBA目標ベクトル、MOT目標ベクトル及びMOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、図7の三次元座標上に矢印K11として示した。
【0096】
また、MBA実績ベクトル、MOT実績ベクトル及びMOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、図7の三次元座標上に矢印K12として示した。
【0097】
このように図7の例では、同一の三次元座標上に企業価値の目標ベクトルと実績ベクトルを対比して表示でき、目標ベクトルと実績ベクトルの方向性の乖離を見ることができる。
【0098】
図8は、MBA指標の実績値がマイナスとなった例を示す図である。MBA実績ベクトルが負の向きとなるため、合成ベクトルである企業価値の実績ベクトルも経営目標空間(MBA軸、MOT軸及びMOS軸が何れも0以上である空間)から外れる。この場合、評価部123は、出力制御部124に経営目標空間から外れている旨の警告メッセージを表示させると共に企業価値の実績ベクトルを示す矢印を赤等の警告を意味する所定の色で表示する。
【0099】
図9は、目標ベクトルと実績ベクトルの乖離を示す図である。評価部123は、企業価値の目標ベクトルの先端と、前記企業価値の実績ベクトルの先端との距離K13を求め、当該距離K13が所定値以内か否かを評価する。例えば該距離K13が所定値以内であれば合格とし、所定値を超えていれば警告を発する。
【0100】
ここで、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値、及びMOS指標の目標値が、夫々10の場合、所定値は、例えば5、望ましくは3、更に望ましくは2とする。
【0101】
また、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値、及びMOS指標の目標値が、夫々10の場合、企業価値の目標ベクトルの長さが√30であり、これに対して企業価値の実績ベクトルは10以上でなくてはならない。このため、上記所定値を(√30)−10としても良い。
【0102】
また、目標ベクトル先端と実績ベクトル先端の乖離を評価する際、MBA指標、MOT指標又はMOS指標の実績値が目標値を超えていた場合、その指標の実績値は目標値と同じと見なして合成ベクトル(企業価値の実績ベクトル)を求めて、目標ベクトルとの乖離を評価しても良い。これにより実績値が目標値を上回って実績ベクトルが長くなった場合に、乖離が広がったとしてネガティブに評価されてしまうのを防ぐことができる。
【0103】
図10は、企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体の体積と、企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積とを比較する例を示す図である。
【0104】
評価部123は、原点0を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体31の体積を求めて目標体積とし、前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体32の体積を求めて実績体積とし、目標体積と実績体積の差が所定値以内か否かを評価する。そして評価部123は、実績体積が目標体積より小さく、その差が所定値を越えていると判定した場合、出力制御部124により警告を出力させる。例えば、実績値が低過ぎる旨のメッセージ33を表示させる。
【0105】
これにより、MBA指標、MOT指標及びMOS指標の総合的な達成度が基準(所定値)を満たしているか否かを判断できる。
【0106】
図11は、各軸の実績値について評価する例を示す図である。
評価部123は、MBA指標の実績値、前記MOT指標の実績値又は前記MOS指標の実績値が閾値未満か否かを判定し、何れかの実績値が閾値未満である場合に警告を発する。
【0107】
図11では、各軸上の34が閾値であり、MBAの実績ベクトルA12が閾値34以下の場合を示す。評価部123は、何れかの軸の実績値が閾値より小さいと判定した場合、出力制御部124により警告を出力させる。例えば、実績値が低過ぎる旨のメッセージ35を表示させる。
【0108】
同様に、評価部123は、MBA指標の目標値に対するMBA指標の実績値の割合、MOT指標の目標値に対するMOT指標の実績値の割合、又はMOS指標の目標値に対するMOS指標の実績値の割合を達成度として求め、この達成度が所定値以下と判定した場合、出力制御部124により警告を出力させても良い。
【0109】
図12は、企業価値の実績ベクトルの長さを評価する例を示す図である。
MBA軸、MOT軸及びMOS軸上にそれぞれ閾値36を設定し、原点0からMBA軸上の閾値36までの直線と、原点0からMOT軸上の閾値36までの直線と、原点0からMOS軸上の閾値36までの直線とを辺とする直方体を下限空間37とし、評価部123は、企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えているか否かを判定し、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えていなければ警告38を発する。
【0110】
図13は、企業価値の実績ベクトルの傾きを評価する例を示す図である。
原点0を頂点として企業価値の実績ベクトルと前記MBA軸とのなす角度θa、前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOT軸とのなす角度θt、又は前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOS軸とのなす角度θsが所定値以上である場合に前記評価部が警告を発する。図13の例では、MOT実績ベクトルが短く、企業価値の実績ベクトルと前記MOT軸とのなす角度θtが所定値を超え、警告メッセージ39を表示させる例を示している。
【0111】
上記図8〜図13で示した評価の結果が悪く、警告を発する場合、資源配分設定部127は、次回(例えば次年度)の予算配分を変更する。
【0112】
先ず資源配分設定部127は、MBA指標における実績値と目標値の乖離、前記MOT指標における実績値と目標値の乖離及びMOS指標における実績値と目標値の乖離のうち、最も乖離が大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させる。例えば、評価装置1に対する設定パラメータとして資源増加量を10%の増加と設定し、評価を実行する。評価装置1は、評価実行後、設定パラメータにしたがって、
資源を増加させる。例えば、10億円の予算であれば、11億円とする。なお、増加させる資源は、資金に限らず、人(人員)や、物(資産)であっても良く、また、これらの組み合わせでも良い。なお、増加させる割合は、任意に設定して良く、例えば、5%の増加或いは15%の増加としても良い。
【0113】
また、上記乖離が大きい指標について増加させた値を乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値、好ましくは、乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値から削減して資源配分を設定する。例えば、最も乖離が大きい指標がMOTであって、最も乖離が少ない指標がMBAであった場合には、MOT指標に関する資源の値を10%増加させて、MBA指標に関する資源の値を10%減ずる。
【0114】
なお、例えば、MOT指標の目標達成のためMOT指標に関する資源の配分を増加させることにより、MOT指標のみならずMOS指標の実績も向上することがありうるため、資源の再配分にあたっては、この点を考慮することも可能である。
【0115】
このように本実施形態によれば、企業の業績を3次元で評価し、バランスの崩れを機械的に警告できるので、バランスを欠いたまま、漫然と経営を行うことがなくなり、健全な企業経営を支援できる。
【0116】
〈実施形態2〉
前述の実施形態1では、MBA軸、MOT軸及びMOS軸の三次元座標上に企業価値の実績ベクトルを描画することで評価を行う例を示したが、本実施形態2では、更に時間的変化を加えて四次元の評価を行う。なお、本実施形態2は、前述の実施形態1と比べて、評価の処理が異なり、その他の構成は同じであるため、同一の要素に同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0117】
〈四次元評価方法〉
図14は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図である。
【0118】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図14の処理を開始する。
【0119】
先ず、目標受付部121は、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値の入力を受け、また、実績受付部122は、MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS11)。
【0120】
また、評価部123は、過去の複数の評価期間についてMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値を記憶部13から読み出す(ステップS12)。なお、過去の複数の評価期間とは、例えば一月、四半期、半期、年度など、所定単位の評価期間である。
【0121】
次に評価部123は、ステップS11で入力されたMBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値、並びにMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値に基づいて、企業価値の目標ベクトル及び企業価値の実績ベクトルを求め、また、過去の複数の評価期間におけるMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値に基づいて、企業価値の実績ベクトルを求めて、この目標ベクトル及
び実績ベクトルの方向、長さ及び時間的変化によって企業価値を評価する(ステップS13)。
【0122】
そして出力制御部124は、同一の三次元座標上に企業価値の目標ベクトルと、過去の複数期間の実績ベクトルを描画する(ステップS14)。図15は、年度毎の実績ベクトルの推移を示す図である。
【0123】
図15において、矢印K11は今年度の企業価値の目標ベクトルを示し、矢印K120が今年度の企業価値の実績ベクトルを示している。また、矢印K123が前年度の企業価値の実績ベクトルを示し、矢印K122が2年前の企業価値の実績ベクトルを示し、矢印K121が3年前の企業価値の実績ベクトルを示す。
【0124】
このように本実施形態によれば、年度毎の実績ベクトルの推移を表すことができ、企業活動の方向性(実績ベクトルの向き)や実績のボリューム(実績ベクトルの長さ)を容易に確認できる。
【0125】
また、実績ベクトルの推移は、実績ベクトルの頂点を繋ぐ折れ線グラフとして示すこともできる。
【0126】
図16は、図15に示した実績ベクトルの頂点を繋いだ折れ線グラフD0を例示する図である。図16では、実績ベクトルを示す矢印120−123を非表示としたが、折れ線グラフD0と共に実績ベクトルの矢印120−123を表示しても良い。
【0127】
図17は、図15に示した実績ベクトルを対角線とする直方体をそれぞれ描画して実績空間の体積の推移を示す図である。これによりMBA指標、MOT指標及びMOS指標を総合した実績の量的な変化を直感的に確認することができる。
【0128】
図17のように複数期間の評価結果(実績のボリューム)を表示する場合、評価期間毎に色を変えて表示させても良い。
【0129】
例えば、年度毎に赤、青、緑のように複数の評価期間と各評価期間を示す色とを対応付けた色指定テーブルを予め作成し、記憶部13に記憶させる。即ち、記憶部13を色指定テーブル記憶部とする。図49は色指定テーブルの一例を示す図である。図49に示す色指定テーブルは、N年度を赤、N−1年度を青、N−2年度を緑、N−3年度を黄と対応付けて色を指定している。
【0130】
そして、上述のように実績値の直方体を評価結果として描画する際に、出力制御部124が、前記評価期間毎の色を色指定テーブルから読み出し、この評価期間毎の色で各直方体を表示する画像情報を生成して表示装置に表示させる。図50は各年度の立方体を色指定テーブルで指定された色で表示した例を示している。なお、図50では、便宜上、色の違いをハッチングの種類の違いで示している。
【0131】
また、出力制御部124は、各評価期間の実績値の直方体を時間の経過に応じて順次表示させても良い。例えば、1年度、2年度、3年度・・・のように複数の評価期間の実績値がある場合、各評価期間の評価タイミング、本例では実績をあげたタイミングの時間的経過に応じ、所定時間(例えば数秒)空けた表示タイミングで各直方体を示す画像情報を順次出力して表示させる。即ち、N−3年度、N−2年度、N−1年度、N年度のように実績の直方体を順番に表示させる。これにより実績値の時間的推移の把握が容易な表示を行うことができる。
【0132】
図51,図52は、図50に示した各年度の直方体を順次表示させた例を示す。図51(A)は、直方体表示前の三次元座標のみを示した図、図51(B)は、図51(A)の2秒後にN−3年度の直方体を表示した例を示す図、図51(C)は、図51(B)の2秒後にN−2年度の直方体を表示した例を示す図、図52(A)は、図51(C)の2秒後にN−1年度の直方体を表示した例を示す図、図52(B)は、図52(A)の2秒後にN年度の直方体を表示した例を示す図である。図51(A)〜図52(B)に示すように、実績の直方体を年度毎に順次表示されると、経営者は、各年度の実績値が前年度と比べて、どのよう増加したか或は減少したのかが分り、実績値の増減やバランスの推移を容易に把握できる。なお、年度毎の実績を示す直方体の表示間隔を2秒とした場合、半期(半年)毎の実績を示す直方体の表示間隔を1秒、四半期毎の実績を示す直方体の表示間隔を0.5秒のように、実績をあげた期間の長さに比例した表示間隔としても良い。
【0133】
ここで評価部123は、目標ベクトルに対する実績ベクトルの長さを評価しても良い。例えば、実績ベクトルの閾値を50%と設定しておき、目標ベクトルに対する実績ベクトルの長さが50%未満となった場合には、閾値を外れたものとして警告を発する。なお、閾値は、警告が必要なレベルに合わせて任意に設定して良く、例えば60%や70%、或いは40%であっても良い。
【0134】
また、評価部123は、原点を頂点とした目標ベクトルと実績ベクトルが成す角度、即ち実績ベクトルの方向性の乖離を評価しても良い。例えば、当該方向性の乖離の閾値を45°と設定し、目標ベクトルと実績ベクトルが成す角が45°より大きくなった場合には、警告を発する。なお、閾値は、警告が必要なレベルに合わせて任意に設定して良く、例えば30°や20°としても良い。
【0135】
また、資源配分設定部127は、複数の評価期間のうち、一の評価期間を第1評価期間とし、当該第1評価期間の次の評価期間を第2評価期間とし、前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、前記第1評価期間のMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、当該増加させた値を前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値とから削減して資源配分を再設定する。
【0136】
資源配分設定部127は、例えば第一四半期を第一評価期間、第二四半期を第二評価期間とし、第一四半期における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、第二四半期の資源配分を変更する。この資源配分の変更は、MBA指標における実績値と目標値の乖離、前記MOT指標における実績値と目標値の乖離及びMOS指標における実績値と目標値の乖離のうち、最も乖離が大きい指標について、予め設定された資源の値を所定割合増加させる。例えば、20%の増加とし、10億円の予算であれば、12億円とする。ここで、資源を増加させる割合は、信頼度に応じた増分率としても良い。例えば、ユーザ(経営者)が求める信頼度を予め設定しておき、資源配分設定部127は、この信頼度に応じた増分率Fiで、最も乖離が大きい指標について予め設定された資源の値を増加させる。増分率Fiは、図38に示すように確率密度関数で求めることができる。図38では、横軸に増分率Fiをとり、グラフの面積を積分した値が信頼度(P)を示している。即ち増分率1.0倍の確率が最も低く、増分率が上がるに従って信頼度も高くなる。図38の例では、信頼度68%の増分率Fiが1.2倍、信頼度80%の信頼度が1.4倍である。
【0137】
この信頼度(P)のときの増分率Fiは、以下のように定義できる。
【0138】
【数1】

【0139】
なお、f(x)が実験式で与えられる場合には、Σf(xi)Δxiに従って積分計算すれば良い。また、分布データがヒストグラム形式でテーブルに記憶されている場合は、ヒストグラムの横軸の幅をΔxi、サンプル数をf(xi)として同様の計算をすれば良い。
【0140】
なお、増加させる資源は、資金に限らず、人(人員)や、物(資産)であっても良く、また、これらの組み合わせでも良い。なお、増加させる割合は、任意に設定して良く、例えば、5%の増加或いは20%の増加としても良い。なお、この複数期間の乖離を補うために増加させる資源の割合は、実施形態1で示した単期間の場合と比べて大きく設定するのが良い。例えば単年度と比べて複数年度の場合の増加の割合を2倍或いは3倍とするのが望ましい。
【0141】
また、出力制御部124は、再設定した資源に基づいて次の評価期間に企業活動を行う場合の業績に係る値や技術経営に係る値、サスティナビリティに係る値を逆算して、財務システムや工場等の管理システム、人事システム等に送信し、各システムの閾値として設定させても良い。
【0142】
図53は、財務システムや工場等の管理システム、人事システムに閾値を設定させる例を示す図である。図53において、231は当該企業の財務システム、232は工場等の管理システム、233は当該企業の人事システムであり、各システムは、プロセッサーやメモリ等を備えるコンピュータである。
【0143】
評価装置1の出力制御部124は、再設定した資源に基づいて次の評価期間に企業活動を行う場合の温室効果ガスやNOx、SOx、煤塵、PRTR調査対象物質の排出量を算出し、工場等の管理システム232へ送信し、閾値として設定させる。管理システム232は、受信した閾値をメモリ等の記憶部に格納する。そして、管理システム232は、工場等の操業により排出される温室効果ガスやNOx等を監視し、閾値を超える場合に警告を表示する。
【0144】
また、出力制御部124は、再設定した資源に基づいて次の評価期間に企業活動を行う場合の管理ポストの男女比や外国籍従業員の割合、残業時間を算出し、人事システム233へ送信し、閾値として設定させる。人事システム233は、受信した閾値をメモリ等の記憶部に格納する。そして、人事システム233は、管理ポストの男女の人数や外国籍従業員の割合、残業時間を監視、閾値を超える場合に警告を表示する。
【0145】
更に、出力制御部124は、再設定した資源に基づいて次の評価期間に企業活動を行う場合の業績に係る値として営業利益達成度合、ROA達成度合、D/E比率達成度合、トランスフォーメーションの進捗、一株当りの利益率、時価総額を算出し、財務システム231へ送信し、閾値として設定させる。財務システム231は、受信した閾値をメモリ等の記憶部に格納する。そして、財務システム231は、企業活動に伴う業績に係る値を監視し、閾値を超える場合に警告を表示する。
【0146】
このように本実施形態によれば、企業の業績を4次元で評価し、時間の経過に伴ってバランスの崩れが生じた場合に、これを補うように資源配分を変更し、大きなブレやバラン
スの崩壊を招くことなく、健全な企業経営を支援できる。
【0147】
なお、本評価装置1は、表示装置として、評価結果を立体的に表示する立体表示装置を採用しても良い。立体表示装置は、視差を有した右目用画像と左目用画像を時間的又は空間的に分離して表示することで立体視を可能とする。
【0148】
図54は右目用画像と左目用画像を時間的に分離して表示する立体表示装置の説明図である。図54に示す立体表示装置は、右目用画像及び左目用画像を表示する表示素子17と、ユーザがかける眼鏡16とを有する。
【0149】
表示素子17は、出力制御部124は、から受信した右目用画像及び左目用画像を所定の周期で交互に表示する。眼鏡16は、表示素子17による右目用画像及び左目用画像の表示周期と同期させて、ユーザの右目に入る光束又はユーザの左目に入る光束を交互に遮る。
【0150】
図54(A)は、左目用画像を表示させた例を示す図である。図54(B)では、表示素子17に左目用画像を表示させ、眼鏡16がユーザの右目に入る光束を遮り、左目に入る光束を透過させている。また、図54(B)は、右目用画像を表示させた例を示す図である。図54(B)では、表示素子17に右目用画像を表示させ、眼鏡16がユーザの左目に入る光束を遮り、右目に入る光束を透過させている。このように図54の立体表示装置は、右目用画像と左目用画像とを時間的に分けて表示することで、ユーザが右目と左目とで、それぞれ右目用画像と左目用画像とを別々に視認でき、立体的に画像を見ることができる。
【0151】
また、図55は右目用画像と左目用画像を空間的に分離して表示する立体表示装置の説明図である。図55(A)に示す立体表示装置は、右目用画像及び左目用画像を表示する表示素子18と、偏光フィルタ19、ユーザがかける眼鏡20を有する。
【0152】
表示素子18は、出力制御部124から受信した右目用画像と左目用画像とを一画素ずつ交互に表示する。また、右目用画像を表示する画素と左目用画像を表示する画素とでは、互いに偏光面の異なる変更フィルタが設けられている。例えば、図55(A)の表示素子18は、右目用画像を表示する画素上にS偏光の光束を通す偏光フィルタ”S”を有し、左目用画像を表示する画素上にP偏光の光束を通す偏光フィルタ”P”を有する。このため、表示素子18に表示された右目用画像のうちS偏光の光束が偏光フィルタ”S”を透過し、表示素子18に表示された左目用画像のうちP偏光の光束が偏光フィルタ”P”を透過する。
【0153】
眼鏡20は、右目部分にS偏光の光束を通す偏光フィルタ”S”を有し、左目部分にP偏光の光束を通す偏光フィルタ”P”を有する。
【0154】
図55(A)に示す立体表示装置は、右目用画像と左目用画像を表示素子18に交互に表示、即ち空間的に分けて表示し、偏光フィルタ19により右目用画像と左目用画像とで偏光面の向きを異ならせる。そして、眼鏡20の右目部分がS偏光である右目用画像の光束を透過させ、眼鏡20の左目部分がP偏光である左目用画像の光束を透過させることで、ユーザが右目と左目とで、それぞれ右目用画像と左目用画像とを別々に視認でき、立体的に画像を見ることができる。
【0155】
図55(B)に示す立体表示装置は、右目用画像及び左目用画像を表示する表示素子21と、シリンドリカルレンズ22を有する。
【0156】
表示素子21は、出力制御部124から受信した右目用画像と左目用画像とを一画素ずつ交互に表示する。また、右目用画像を表示する画素及び左目用画像を表示する画素の上にはシリンドリカルメンズ22が設けられている。例えば、図55(B)のシリンドリカルレンズ22は、シリンドリカル面のレンズ作用により、右目用画像を表示する画素からの光束をユーザの右目に導光し、左目用画像を表示する画素からの光束をユーザの左目に導光する。このためユーザは、右目と左目とで、それぞれ右目用画像と左目用画像とを別々に視認でき、立体的に画像を見ることができる。
【0157】
そして出力制御部124は、前記三次元座標上の前記直方体やベクトル等の評価結果(
三次元座標自体も含む)を所定の位置(仮想視点)から見た場合の視差を求め、この視差を
有するように右目用画像と左目用画像を生成し、前記立体表示装置に送信して表示させる。
【0158】
図56は、視差を有する画像の説明図である。出力制御部124は、図56(A)に示すように、三次元座標上の直方体R1の画像を生成する場合、直方体R1から所定距離離れた仮想視点101から見た場合の直方体R1画像を生成する。ここで右目用画像は、仮想視点101に存在するユーザの右目の位置101Rから直方体R1を見た場合の画像である。また、左目用画像は、仮想視点101に存在するユーザの左目の位置101Lから直方体R1を見た場合の画像である。即ち、右目用画像と左目用画像は、水平方向に目の幅(例えば50mm〜70mm)の距離だけ互いに離れた位置から直方体を見た場合の視野に相当する。図56(B)は、右目用画像の例を示す図、図56(C)は、左目用画像の例を示す図である。図56(B)は、右目から見た画像であるため、図56(C)と比べて直方体の右側面が広く見えている。一方、図56(C)は、左目から見た画像であるため、図56(B)と比べて直方体の左側面が広く見えている。なお、図56(B),図56(C)は、説明のため視差を誇張して示している。
【0159】
このように評価装置1は、各指標のバランスを平面ではなく立体的な形として表し、経営者による評価結果の把握を一層容易にするため、評価結果としての直方体やベクトルの右目用画像と左目用画像を生成して立体ディスプレイに出力することにより、評価結果を立体的に示すことができる。
【0160】
〈実施形態3〉
本実施形態3は、前述の実施形態2と比べて短期目標値を設定する機能を有し、各短期目標値を達成出来なかった場合に、配分テーブルに基づいて経営資源の再配分を行う点が異なっており、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0161】
図18は、本実施形態3における企業価値の評価装置1の概略構成図である。本実施形態3の評価装置1は、図1の装置と比べて更に目標算出部125を備えている。
【0162】
目標算出部125は、所定期間経過後のMOT指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOT指標の目標値(短期目標値)を算出し、所定期間経過後のMOS指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOS指標の目標値(短期目標値)を算出し、所定期間経過後のMBA指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMBA指標の目標値(短期目標値)を算出する。
【0163】
〈四次元評価方法〉
図19は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図である。
【0164】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図19の処理を開始する。
【0165】
先ず、目標受付部121は、所定期間経過後のMBA指標の目標値、所定期間経過後のMOT指標の目標値及び所定期間経過後のMOS指標の目標値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS21)。
【0166】
次に目標算出部125は、入力された所定期間経過後の各目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間の各目標値を算出する(ステップS22)。例えば入力された目標値が年度の目標値であった場合、四半期毎の目標値を算出する。ここで、各単位期間の目標値の算出は、所定期間後の目標値を各単位期間までの時間で除して算出する。例えば年度の目標値が10点であった場合、第一四半期の目標値を1/4の2.5点、第二四半期の目標値を1/2の5点、第三四半期の目標値を3/4の7.5点とする。また、予め四半期の配分を決定しておき、記憶部13に記憶された配分に基づいて算出してもよい。
【0167】
次に評価部123は、ステップS21で入力された各目標値及びステップS22で算出された各単位期間の各目標値に基づいて、企業価値の目標ベクトルを求める(ステップS23)。ここで、第n評価期間におけるMBA指標の目標値をxn、MOT指標の目標値をyn、MOS指標の目標値をznとすると、第一評価期間における企業価値の目標ベクトルは原点を始点とし、終点(先端)を(x1,y1,z1)とする。そして、本実施形態では、第二評価期間における企業価値の目標ベクトルは、原点を始点とし、終点(先端)を(x1+x2、y1+y2、z1+z2)として示した。同様に、第三評価期間にお
ける企業価値の目標ベクトルは、原点を始点とし、終点(先端)を(x1+x2+x3、y1+y2+y3、z1+z2+z3)とする。即ち1年間の目標値を入力し、第一四半期から第三四半期の目標値を算出した場合、4本の企業価値の目標ベクトルが求められる。
【0168】
図20は、各目標ベクトルの表示例を示す図である。図20中、矢印81が第一四半期の企業価値の目標ベクトル、図20中、矢印82が第二四半期の企業価値の目標ベクトル、図20中、矢印83が第三四半期の企業価値の目標ベクトル、図20中、矢印84が一年度の企業価値の目標ベクトルを示す。同様に第一四半期の企業価値の実績ベクトルを矢印71、第二四半期の企業価値の実績ベクトルを矢印72で示した。
【0169】
そして、評価部123は、第二四半期の企業価値の目標ベクトル(矢印82)の先端と、第二四半期の企業価値の実績ベクトル(矢印72)の先端との乖離(距離)90を求め、この乖離90が、所定値以上か否かを判定する(ステップS24)。
【0170】
乖離90が所定値以上の場合、資源配分設定部127は、第二四半期においてMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標と対応する資源配分を配分テーブルから求める(ステップS25)。
【0171】
図21は、配分テーブルの一例を示す図である。図21の例では、最も乖離が大きい指標及び乖離の値と、各指標の配分割合とを対応付けて記憶している。
【0172】
例えば、MOT指標の目標値と実績値の乖離が最も大きく、その値が4以上6未満であれば、配分テーブルの行61が選択され、対応する配分割合としてMOTが+20%、MBAが−10%、MOSが−10%と求められる。
【0173】
また、MOS指標の目標値と実績値の乖離が最も大きく、その値が6以上8未満であれば、配分テーブルの行66が選択され、対応する配分割合としてMOTが−10%、MBAが−15%、MOSが+25%と求められる。
【0174】
そして、出力制御部124は、図22に示すように、三次元座標上に企業価値の目標ベクトル及び実績ベクトルを描画すると共に、警告60や変更した配分比率67を表示装置に表示させる(ステップS26)。一方、ステップS24で、企業価値の目標ベクトルと企業価値の実績ベクトルの乖離90が所定値未満であれば、警告や再配分をせずに企業価値の目標ベクトル及び企業価値の実績ベクトルを表示する(ステップS26)。
【0175】
このように本実施形態によれば、四半期毎に評価を行って、目標ベクトルと実績ベクトルの乖離が大きくなった場合には、次の四半期の投資割合を変更してバランスを改善することにより、所定期間後の目標値を達成し易いように支援できる。
【0176】
〈実施形態4〉
本実施形態4は、前述の実施形態3と比べてMBA軸、MOT軸及びMOS軸の一目盛りの長さを調整する機能を有した点が異なっており、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0177】
図23は、本実施形態4における企業価値の評価装置1の概略構成図である。本実施形態4の評価装置1は、図18の装置と比べて更に状況情報収集部131と目盛り決定部132を備えている。また、記憶部13は、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さと前記状況情報とを対応付けた重みテーブルを格納している。
【0178】
状況情報収集部131は、所定の情報出力源から状況に関する状況情報を取得する。例えば、所定の評価者を情報源とし、評価者による入力を状況情報として取得する。この場合、MBA、MOT、MOSに関わる各分野の評価者が目盛り調整委員会といった合議体を形成し、目盛りの調整に関わる状況について合議し、状況情報として入力する。また、研究機関(シンクタンク)やコンサルティングファームのデータベースを情報源とし、当該データベースから所定条件で状況情報を抽出して取得しても良い。ここで、目盛りを長くするとは、軸上にとる一目盛り当たりの長さを長くすることであり、例えば達成の難易度が高くなった場合にこの長さを長くする。例えば、目盛りの長さを50%長くした場合(目盛り比率+50%)、例えば、4点として得られた実績値は、軸上の目盛りを修正した結果、修正前のグラフにプロットすると6点に相当する長さとして表される。即ち、同じ点数であっても目盛りを長くすると実績ベクトルは長く描画される。また、実績ベクトルを調整後の目盛りに照らして実績値を得るようにしても良い。例えば、達成の難易度が高い状況で、実績値が4点に相当する実績ベクトルが得られた場合、目盛りの長さを50%長くすることにより、6点の実績値として評価されるようにしても良い。
【0179】
一方、目盛りを短くするとは、軸上にとる一目盛り当たりの長さを短くすることであり、例えば、達成の難易度が低くなった場合に、この長さを短くする。例えば、目盛りの長さを20%短くした場合(目盛り比率−20%)、例えば10点として得られた実績値は軸上の目盛りを修正した結果、修正前のグラフにプロットすると8点に相当する長さとして表される。即ち、同じ点数であっても目盛りを短くすると実績ベクトルは短く描画される。また、実績ベクトルを短く調整した目盛りに照らして実績値を得るようにしても良い。例えば、達成の難易度が低い状況で、実績値が10点に相当する実績ベクトルが得られた場合、目盛りの長さを20%短くすることにより、8点の実績値として評価されるようにしても良い。
【0180】
状況情報収集部131は、インターネット等のネットワーク上のコンピュータから状況情報を自動取得しても良い。例えば状況情報収集部131がネットワークを介して前記情報出力源としてのコンピュータに接続し、当該コンピュータに記憶されているドキュメン
トを読み出す。なお、接続先としては、新聞社や放送局等の報道機関のウェブサイトや、大学や研究所等の学術団体のウェブサイト、論文等のデータを提供するデータサーバーなどをIPアドレスやURLで指定し、予め記憶部13に記憶させておく。状況情報収集部131は、このIPアドレスやURLに従って情報出力源としてのコンピュータに接続し、前記URLによって特定されるドキュメントや、前記URLによって特定されるフォルダに格納されているドキュメント、前記URLによって特定されるウェブページにリンクされているドキュメント、所定のキーワードと対応するドキュメント等を前記コンピュータから読み出す。
【0181】
そして、状況情報収集部131は、前記ドキュメントから前記状況に関する語を抽出し、当該語のドキュメント中の位置又は/及び数に基づいて当該単語のスコアーを求め、当該スコアーが閾値以上の場合に前記語を状況情報とする。状況に関する語は、例えば為替レートや金利の変動、株価変動率といったMBAの状況変動に関する語や、ナノテクノロジや太陽電池、プロセッサーといったMOTの状況変動に関する語、環境や資源、人口、サスティナビリティといったMOSの状況変動に関する語であり、予め記憶部13に記憶させておく。当該語が、ドキュメント中の先頭の文や最後の文、見出し等に位置する場合、重要な語であることが多いため、スコアを加点する。また、状況変動に関する語が、一つのドキュメント中に所定回数以上含まれている場合、スコアを加点する。また、為替レートと円ドル、通貨金利とEUROのように特定の語と共起する場合にスコアを加点する。このようにスコアを計算し、閾値以上であれば状況情報として採用する。また、状況に関する語が為替レートや金利、物価上昇率、株価変動率、原油市場価格等である場合、ドキュメント中の値を前年度の値と比較して変動率を求める。
【0182】
目盛り決定部132は、重みテーブルを参照して前記状況情報収集部131で取得した状況情報に応じたMBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さを求める。また、目盛り決定部132は、前記複数の評価期間について前記一目盛りあたりの長さを求めて評価期間毎の目盛りを決定する。
【0183】
そして、出力制御部124が、複数の評価期間、例えば第1年度から第5年度における各年度の企業価値の実績ベクトルをそれぞれ、前記目盛り決定部132で決定した評価期間毎の目盛りに基づいて同一の三次元座標上に描画する。
【0184】
図24は、重みテーブルの一例を示す図であり、状況情報と目盛り比率とを対応付けて記憶している。ここで目盛り比率は、一目盛り当たりの長さを基準となる目盛りに対する割合で示す。例えば、目盛りの長さを一割長くする場合には+10%、目盛りの長さを一割短くする場合には−10%と示す。
【0185】
図24(a)は、MBA軸の重みテーブルである。目盛り決定部132は、状況情報収集部131で取得した状況情報が、図24(a)の状況情報の項目の二つ以上に該当した場合に、翌年以降のMBA軸の目盛りを目盛り比率に応じて調整する。
【0186】
例えば、1.基軸通貨為替レート(円ドル、円EURO、ドルEURO、人民元ドル)のどれかに20%以上の変動が生じた場合と、2.基軸通貨金利(円、EURO、ドル、人民元)のどれかに100%以上の変動が生じた場合とに該当した場合、それぞれの目盛り比率を合わせて+10%翌年以降の目盛りを長くする。
【0187】
同様に、3.主要物価上昇率(日本、アメリカ、中国、ヨーロッパ、ブラジルの物価上昇率)が30%以上の場合や、4.主要市場株価変動率(NY、ロンドン、東京、シンガポール、上海の株価の変動率が、30%以上下落した場合、5.原油市場価格(ドバイ、WTI、北海の原油市場価格)が50%以上、上昇した場合にも翌年度以降の目盛りを調
整する。なお、3つ以上の項目が該当した場合には、夫々の目盛り比率を加算して、+15%、+20%等としても良いし、上限を決め、それ以上加算しないようにしても良い。
【0188】
また、図24(b)は、MOT軸の重みテーブルである。目盛り決定部132は、状況情報収集部131で取得した状況情報が、図24(b)の状況情報の項目に該当した場合、翌年以降のMOT軸の目盛りを目盛り比率に応じて調整する。
【0189】
例えば、1.長期的に開発を行なう基礎科学における課題が自社或いは他社によって達成された場合、当該課題に関する開発の意義が失われるので、翌年以降の目盛りを10%短くする。なお、開発を行う基礎科学の課題は、任意に設定して良く、例えばナノテクノロジ、フォトニック結晶、量子コンピュータ等の研究テーマを具体的に設定する。
【0190】
同様に、2.長期的に開発を行なうコアテクノロジー(例えば触媒、太陽電池、プロセッサー等の技術)の課題が達成された場合、翌年以降の目盛りを10%短くする。
【0191】
また、3.中短期的に開発を行なうアプリケーションテクノロジー(例えば、新製品Aの開発、新製品Bの開発)を達成した場合、又は4.日常的に開発を積み重ねていくオペレーションテクノロジー(製品Aの問題点の解消、リサイクル材料よる製品Bの製造)が
実施された場合も、同様に当該開発の目的が失われるので、翌年以降の目盛りを5%短くする。
【0192】
上記のように技術的課題が達成された為にMOT軸の目盛りが短くなった場合でも、新たに課題を追加し、開発の目標が設定された場合には、MOT軸の目盛りの長さを元に戻すことができる。
【0193】
例えば、5.長期的に開発を行なう基礎科学における開発対象が新たに設定された場合、或いは6.長期的に開発を行なうコアテクノロジーの開発対象が新たに設定された場合、即ち、これら開発対象が設定された旨の状況情報の入力があった場合に、MOT軸の長さを10%長くする。
【0194】
また、7.中短期的に開発を行なうアプリケーションテクノロジーの新たな開発対象が設定された場合、或いは8.日常的に開発を積み重ねていくオペレーションテクノロジーの新たな課題が設定された場合も、同様に翌年以降の目盛りを5%長くする。
【0195】
また、図24(c)は、MOS軸の重みテーブルである。状況情報収集部131で取得した状況情報が、図24(c)の状況情報の項目に該当した場合、翌年以降のMOS軸の目盛りを目盛り比率に応じて調整する。
【0196】
例えば、1.サスティナビリティに関連する事項、例えば環境、資源(エネルギー、水、食料、稀少素材)、人口、又は貧困に関し、実効性の認められる国際的合意がなされた場合、MOSを推進する目的が減少したことになるので、翌年以降の目盛りを10%短くする。
【0197】
また、2.イノベーションや発見(資源)などにより、サスティナビリティに関連する課題の一つが解決されたと見られる場合、即ち解決されたという旨の状況情報の入力があった場合や、データベース等から解決されたという旨の状況情報が抽出された場合も、前記と同様にMOSを推進する目的が減少したことになるので、翌年以降の目盛りを10%短くする。
【0198】
一方、災害や戦争といった所定の事態が発生したことにより、サスティナビリティに関
する課題が追加されたと見られる場合、即ち課題が追加されたという旨の状況情報の入力があった場合や、データベース等から課題が追加されたという旨の状況情報が抽出された場合、MOSを推進する目的(意義)が増加したことになるので、翌年以降の目盛りを10%長くする。
【0199】
図25は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する本実施形態4の評価方法の説明図である。
【0200】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図25の処理を開始する。
【0201】
先ず、目標受付部121は、MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値の入力を受け、また、実績受付部122は、MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS310)。なお、目標値等が既に入力済みで記憶部13に記憶されている場合には、記憶部13から読み出す。
【0202】
また、評価部123は、過去の複数の評価期間について、MBA指標、MOT指標、及びMOS指標の実績値と目標値を記憶部13から読み出す(ステップS320)。
【0203】
次に状況情報収集部131は、所定の情報出力源、例えばネットワークを介した他のコンピュータやデータベースからの抽出或いは所定評価者によって入力された状況情報を取得する(ステップS330)。
【0204】
目盛り決定部132は、重みテーブルを参照して状況情報収集部131で取得した状況情報に応じたMBA軸、MOT軸及びMOS軸の目盛り比率を求める(ステップS340)。
【0205】
そして、目盛り決定部132は、複数の評価期間について前記一目盛りあたりの長さを求めて評価期間毎の目盛りを決定する。例えば第2年度の状況情報が図24の重みテーブルに該当した場合、ステップS340で求めた比率にしたがって、第3年度以降の各軸の目盛りを決定する(ステップS350)。
【0206】
次に評価部123は、ステップS310で入力されたMBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値、並びにMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値に基づいて、企業価値の目標ベクトル及び企業価値の実績ベクトルを求め、また、過去の複数の評価期間におけるMBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値、並びにMBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値に基づいて、企業価値の実績ベクトル及び目標ベクトルを求める(ステップS360)。ここで、第n評価期間におけるMBA指標の目標値をxn、MOT指標の目標値をyn、MOS指標の目標値をznとすると、第一評価期間における企業価値の目標ベクトルは原点を始点とし、終点(先端)を(x1,y1,z1)とする。そして、本実施形態では、第二評価期間における企業価値の目標ベクトルは、原点を始点とし、終点(先端)を(x1+x2、y1+y2、z1+z2)として示した。同様に、第三評価期間にお
ける企業価値の目標ベクトルは、原点を始点とし、終点(先端)を(x1+x2+x3、y1+y2+y3、z1+z2+z3)とする。また、実績ベクトルも同様に求める。
【0207】
そして出力制御部124は、前記複数の評価期間、例えば第1年度から第5年度における各年度の企業価値の実績ベクトルをそれぞれ、ステップS350で決定した評価期間毎の目盛りに基づいて同一の三次元座標上に描画する(ステップS370)。図43は、年
度毎の実績ベクトルを示す図である。図43中、矢印181が第一年度の目標ベクトル、矢印182が第二年度の目標ベクトル、矢印183が第三年度の目標ベクトル、矢印184が第四年度の目標ベクトル、矢印185が第5年度の目標ベクトルを示す。また、第一年度の実績ベクトルを矢印171、第二年度の実績ベクトルを矢印172、第三年度の実績ベクトルを矢印173で示した。
【0208】
なお、矢印173aが、調整前の目盛りで示した第三年度の実績ベクトルである。状況情報に応じて、長く調整した目盛りで表した第三年度の実績ベクトルが矢印173であり、状況に応じた重みを反映した大きさになっている。
【0209】
また、出力制御部124は、評価結果を表示する際の三次元座標の向きを自動的に調節して表示させても良い。
【0210】
本実施形態の評価装置1では、企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との乖離の大きさによって達成度が示されるが、例えば表示装置の表示面に対して垂直方向に乖離している場合、表示装置の表示を見ても乖離の大きさはわからない。即ち、企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との乖離の方向が異なると、同じ乖離の距離であっても違って見えてしまい評価結果を確認しにくくなってしまう。
【0211】
このため出力制御部124は、例えば操作者が第一評価期間を選択し、企業価値の実績ベクトルと目標ベクトルを表示装置に表示させる場合に、第1評価期間における企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端とを結ぶ線が、前記表示装置の表示面と平行になるように前記三次元座標の向きを設定して表示画像を生成することができる。
【0212】
図57は、図43の目標ベクトル183と実績ベクトル173をMBA−MOT平面に示した図である。図57(A)において点線109が表示装置の表示面と平行な線を示しており、目標ベクトル183先端と実績ベクトル173先端とを結ぶ線99が表示装置の表示面に対してθL傾いている。この場合、出力制御部124は、図57(B)に示すように三次元座標の向きをMOS軸を中心にθL傾けて目標ベクトル183先端と実績ベクトル173先端とを結ぶ線99を表示装置の表示面に対し平行に表示する。
【0213】
これにより企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端の乖離の大きさを常に同じ条件で確認できる。
【0214】
このように本実施形態によれば、複数期間の実績ベクトルを比較する際、実績を上げるのが厳しい状況の場合に、その重みを考慮した大きさで示すことができるので、状況を踏まえた実績の推移を直感的に把握することができる。
【0215】
〈変形例〉
上記実施形態4では、実績情報によって目盛り比率を求めたが、これに限らず、キーワード入力に応じて目盛り比率を求めても良い。なお、本変形例は、上記実施形態4と比べて目盛り比率を求める手順が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0216】
図44は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する本変形例の評価方法の説明図である。
【0217】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図44の処理を開始する。
【0218】
先ず、目標受付部121は、複数期間、本実施形態では第1年度から第5年度のMBA指標、MOT指標、MOS指標の各目標値及び現時点までの実績値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS31)。
【0219】
次に評価を行う年度を象徴するキーワードを入力する(ステップS32)。例えば当該年度に発行された新聞のデータを入力して、各見出しに含まれた単語を抽出してキーワードとする。或いは検索エンジンから、経済、環境、テクノロジー等の所為分野における検索キーワードを頻度の高いものから順に所定数取得する。これによりDRAM、温暖化、タブレット端末、スマートフォン等、その年度に話題となった複数のキーワード(キーワード群)が入力される。
【0220】
これらのキーワードは、環境問題が注目されているときに話題となるキーワードや、経済情勢が厳しい時に使われるキーワードなど、世の中の状況と対応付けることができる。図45は、この状況とキーワードの対応テーブルの一例を示す図である。
【0221】
評価部123は、この対応テーブルを参照してステップS32で入力されたキーワード群と対応する状況を求める(ステップS33)。例えば、温暖化、石油枯渇、オゾンホール等、環境問題に関するキーワードであれば状況1、デノミ、世界同時株安など、経済の停滞と関係するキーワードであれば状況2、研究者不足、ゆとり世代、空洞化等、技術力の低下に関するキーワードであれば状況3のように、キーワードと対応する状況、即ち現在の状況を求める。
【0222】
また、評価部123は、重みテーブルを参照して現在状況と対応する各軸の比率を求める(ステップS34)。図46は、重みテーブルの一例を示す図である。重みテーブルは、ステップ33で求めた状況とMBA軸、MOT軸及びMOS軸の各軸の目盛りの長さ、本例では基準となる目盛りに対する割合とを対応付けている。
【0223】
例えば、ステップS33で求めた状況が、状況1であれば、重みテーブルを参照してMBAの目盛りを0%、MOTの目盛りを+5%、MOSの目盛りを+10%とする。また、状況3であれば、重みテーブルを参照してMBAの目盛りを−5%、MOTの目盛りを+50%、MOSの目盛りを+5%とする。このように状況に応じて各軸の一目盛り当たりの長さを変えることにより、例えば厳しい状況や注目度の高い状況で実績を挙げた場合に、その実績をより大きなベクトルとして評価できる。
【0224】
そして、評価部123は、変更後の目盛りで評価した実績ベクトル173先端と目標ベクトル183先端の乖離99を求め(図43)、この乖離99が、所定値以上か否かを判定する(ステップS35)。
【0225】
乖離99が所定値以上の場合、資源配分設定部127は、第三年度においてMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離99が最も大きい指標と対応する資源配分を配分テーブルから求める(ステップS36)。
【0226】
そして、出力制御部124は図43に示す三次元座標上に企業価値の目標ベクトル及び実績ベクトルを描画すると共に、図22と同様に警告60や変更した配分比率67を表示装置に表示させる(ステップS37)。一方、ステップS35で、目標ベクトルと実績ベクトルの乖離99が所定値未満であれば、警告や再配分をせずに企業価値の目標ベクトル及び実績ベクトルを表示する(ステップS37)。
【0227】
なお、本実施形態では、各軸の目盛りの比率をキーワードと重みテーブルによって求めたが、これに限らず、他の手法を用いても良い。例えば、取締役等、所定の評価者に対し
てメールを送信し、各評価者が各軸の重みを数値で入力してメールを返信し、当該メールを評価装置1が受信して、各軸の重みの数値の平均をとって各軸の目盛りの比率としても良い。
【0228】
以上のように、本実施形態によれば、状況に応じた重みを考慮して評価を行うことができる。
【0229】
〈実施形態5〉
本実施形態5は、前述の実施形態3と比べて目標の修正を行う点が異なっており、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0230】
図26は、本実施形態5における企業価値の評価装置1の概略構成図である。本実施形態5の評価装置1は、図18の装置と比べて更に目標修正部126と予測部128を備えている。
【0231】
予測部128は、MBA指標、MOT指標、MOS指標のうち、2つの指標の目標値と実績値に基づいて、所定期間後の予測値(所定期間後に実績として得られると予測される値)を求める。なお、この2つの指標を合算した値を以下YK値と称す。
【0232】
目標修正部126は、所定期間後のYK値の目標値と所定期間後のYK値の実績値との乖離が小さくなるように、上記2つの指標の目標値を変更する。例えば、2つの指標の一方の目標値を低く設定し、他方の指標の目標値を高く修正する。この2つの指標は、MBA指標、MOT指標、MOS指標のうち、目標値と実績値との乖離が最も大きい指標と、最も小さい指標であっても良い。即ち、この乖離の大きさに応じて、MBA指標とMOT指標との組み合わせでも、MBA指標とMOS指標との組み合わせでも、MOT指標とMOS指標との組み合わせても良い。以下では、この一例としてMOS指標とMBA指標の2つの場合について説明する。
【0233】
図27は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する評価方法の説明図である。
【0234】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図27の処理を開始する。
【0235】
先ず、入力受付部(目標受付部121及び実績受付部122)は、MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値、そしてこれら実績値を得た日付の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶する(ステップS41)。これら実績値や日付の入力は、キーボード等の入力デバイスを操作してユーザが入力するものであっても良いし、他のシステムからデータの入力を受けるものであっても良い。例えば、MBA指標は、ERP(Enterprise Resource Planning)システムから財務諸表のデータの入力を受ける。なお、入力受付部は、他の装置から送られたデータを受信するだけに限らず、他のシステムのデータベース等にアクセスし、データを読み出して取得するものでも良い。
【0236】
なお、入力受付部は、最初の起動時や初期設定時等に、評価期間の開始日、MBA指標の目標値、MOS指標の目標値、MOT指標の目標値、これら目標値の到達予定時期等の入力を受けて記憶部13に記憶しておく。
【0237】
次に演算処理部12は、現在の日時が所定期限(評価を行う日)に達したか否を判定する(ステップS42)。ここで所定期限に達していなければ処理を終了し(ステップS4
2,No)、現在の日時が所定期限に達していれば(ステップS42,Yes)、ステップS43に進む。
【0238】
評価部123は、MBA指標、MOT指標及びMOS指標についてそれぞれ実績値と目標値との乖離を求め、最も乖離が大きい指標と最も乖離が小さい指標を選択する(ステップS43)。なお、本実施形態では、MBA指標とMOS指標の例を示す。
【0239】
また、ステップS41でMBA指標の実績値とMOS指標の実績値が入力された場合、評価部123は、このMBA指標の実績値とMOS指標の実績値の組み合わせで示されるYK値の実績値を求める。例えば、それぞれの実績値を目標値で除して到達度を求め、到達度が20%以下であれば1点、40%以下なら2点等のように所定のテーブルに従って採点を行い、MBA指標とMOS指標の点数を合計してYK値の実績値とする。そして、このYK値の実績値を目標値で除して到達度を求め、前記と同様に所定のテーブルに従って評価を行う。
【0240】
ここで評価部123は、MBA指標の実績値とMOS指標の実績値とのバランスに応じて前記YK値の評価を補正しても良い。
【0241】
例えば、MBA指標の実績値とMOS指標の実績値の割合が、所定の割合(8:2,7:
3等)から外れている程、評価が低くなるように係数を乗ずる。
【0242】
また、MBA指標の実績値の増加率とMOS指標の実績値の増加率とが離れている程、評価が低くなるように係数を乗ずる。
【0243】
また、MBA指標の実績値の増加率やMOS指標の実績値の増加率が平均値よりも高いほど評価が高くなるように係数を乗じ、平均値から低いほど評価が低くなるように係数を乗ずる。なお、平均値は、同業種における平均値や、関連企業における平均値を入力受付部を介して入力しておく。これにより景気動向を加味した評価とすることができる。
【0244】
次に予測部128は、MBA指標の目標値及び実績値、並びにMOS指標の目標値及び実績値を記憶部13やメモリから読み出し、これらの目標値及び実績値に基づいて所定期間後のYK値の実績値を予測する(ステップS44)。
【0245】
また、予測部128は、所定期間後のYK値の目標値と所定期間後のYK値の実績値とが一致するように、所定期間後のMBA指標の目標値とMOS指標の目標値を変更する(ステップS45)。
【0246】
そして評価部123によって求めた評価値や、予測した実績値、変更した目標値等を出力する(ステップS46)。
【0247】
〈予測処理〉
次にステップS44の予測処理について説明する。
【0248】
図28は、到達予定時期と目標値の関係を示す図である。図28において、棒グラフSはサスティナビリティ指標を示し、棒グラフHはヘルス指標を示し、棒グラフCはコンフォート指標を示し、これら全体を折れ線グラフで示す。ここで図28は、横軸に年度をとり、左の縦軸にサスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の点数をとり、右の縦軸に全体の点数をとっている。そして、図28では、2010年度を評価開始時期とし、2015年度を到達予定時期、即ち目標値300点を達成する時期としている。例えば図28では、評価開始時期から到達予定時期までMOS指標が一次関数的に増加する
ものとし、評価開始時に50点であった場合に、目標値300点との差分の20%ずつ毎年増加するようにMOS指標の中間目標値を設定している。
【0249】
なお、図28では、年度毎に中間目標を示しているが、半期、四半期、月、週など、任意の期間ごとに示しても良い。このとき中間目標を設定した時期がステップS2で判定する所定期間となる。
【0250】
このように中間目標を設定し、オペレータが入出力ポート14に接続された入力デバイスを操作して、この中間目標の値(目標値)及び時期を入力すると、評価装置1の入力受付部がこの入力を受け付け、記憶部13に記憶させる。
【0251】
そして、図27のステップS44により、この中間目標を設定した時期ごとにMOS指標が算出されると、予測部128は、当該MOS指標と記憶部13から読み出した目標値とに基づいて所定期間後の実績値を予測する。
【0252】
例えば、ある年度のMOS指標について前年度からの変化量を求め、この変化量に期間を乗じて所定期間後の実績値を算出する。これにより例えば次年度以降の実績値が予測できる。なお、一次関数的に変化するものとして予測することに限定されるものではなく、複数期間の変化量をとり、所定関数に基づいて変化するように予測しても良い。
【0253】
また、MBA指標の実績値が目標を上回っている場合にMOS指標の予測値をプラス、MBA指標の実績値が目標を下回っている場合にMOS指標の予測値をマイナスするように所定係数を予測値に乗じるなど、MBA指標の実績値と合わせてMOS指標を予測しても良い。
【0254】
〈目標修正処理〉
[修正処理1]
図29は、目標修正処理の説明図である。図29において、MOS指標の目標値は、所定時期毎に設定し図28に示した前述のものであり、MBA指標の目標値は、この所定時期毎に設定したものである。
【0255】
入力を受けたYK値の実績値がYK値の目標値と乖離する場合、
前記予測部128が、所定期間後のYK値の実績値となるMBA指標の実績値とMOS指標の実績値の組み合わせを求め、前記所定期間後のYK値の目標値と前記所定期間後のYK値の実績値との乖離が小さくなるように、所定期間後のMBA指標の目標値とMOS指標の目標値のそれぞれを変更するか、又はYK値の目標値を変更する。
【0256】
なお、MOS指標とMBA指標の目標値を必ずしも同じ点数配分にする必要はないが、本実施形態ではMOS指標とMBA指標とのバランスを直感的には把握できるように、2015年度の目標値を同じ300点満点で設定している。即ち、MBA指標の目標値とMOS指標の目標値は、2010年度から2015年度にかけて共に50点,100点,150点,200点,250点,300点と設定されている。
【0257】
これに対し、2010年度から2011年度にかけてMOS指標の実績値は目標を達成したものの、MBA指標の実績値が90点と目標値の100点を下回ったとする。
【0258】
この状況が続いた場合、次年度もMBA指標の実績値が目標値を下回り、YK値の実績値が目標値と乖離することになるため、予測部128は、所定期間後の実績値と目標値の乖離が小さくなるように、即ち実行計画を改定する様に警告を発するか、あるいは、所定期間後、例えばこの次年度のYK値の実績値と目標値との乖離が小さくなるように、即ち
YK値が目標値に達するようにMBA指標の目標値とMOS指標の目標値を変更する。
【0259】
例えば、前述記述の如く2010年度から2011年度の実績値に基づいて2012年度の実績値を予測し、この予測した実績値と目標値の差分が所定値(閾値)未満であれば、目標値を変更せず、所定値以上であれば、警告を発するかMBA指標の目標値や、KAITEKI指標の目標値、YK値の目標値を変更する。あるいは、これら目標値の変更と警告の両方を行う。
【0260】
警告を発した結果、実行計画の見直しが行われ、目標値の変更が不要と判断されれば目標値の変更は不要となる。実行計画の見直しの結果をもってしても目標値の達成が困難と判断された場合の目標値の変更方法としては、例えば図41の様な方法が考えられる。
【0261】
先ず、予測部128は、評価部123によって求められたYK値の実績値をYK値の目標値と比較し、実績値が目標値を下回り、この差(絶対値)が閾値L1以上であるか否かを判定し(S51)、このYK値の実績値と目標値の差が閾値L1以上の場合(S51,Yes)、予測部128は、次のステップS52へ移行して修正処理を継続し、この差が閾値L1未満であれば処理を終了する。
【0262】
ステップS12では、予測部128が、所定期間後のYK値となるMBA指標の値(以下、予測値とも称す)とMOS指標の予測値の組み合わせを予測する(S52)。
【0263】
図29の場合、予測部128は、2010年度から2011年度の一年度分のMBA指標の増分(変化量)を求め(40点)、所定期間後、例えば一年後である2012年のMBA指標の点数を2011年度のMBA指標(90点)に所定期間分(本例では1年度分)の変化量を加え、2012年度のMBA指標の予測値Paを130点と算出する。
【0264】
MOS指標についても同様に、予測部128は、2010年度から2011年度の一年度分のMOS指標の増分(変化量)を求め(50点)、所定期間後、例えば一年後である2012年のMOS指標の点数を2011年度のMOS指標(100点)に所定期間分(本例では1年度分)の変化量を加え、2012年度のMOS指標の予測値Pbを150点と算出する。
【0265】
次に予測部128は、前段で求めた所定期間後のMBA指標の予測値とMOS指標の予測値をそれぞれ、所定期間後のMBA指標の目標値及びMOS指標の目標値と比較し、目標値から予測値を減じた差分を求め、その目標値の差分或いはMOS指標の差分の何れかが所定値(閾値)L2以上か否かを判定する(S53)。
【0266】
図29の例では、MBA指標の予測値Paと目標値Gaとの差分(20点)を求め、この差分20点を所定値L2と比較する。本例では所定値L2を15点とし、当該差分20点が所定値以上、即ちこの差分20点を挽回して当初の目標値150点を達成することが困難と判定する。
【0267】
同様に、MOS指標の予測値Pbと目標値Gbとの差分(0点)を求め、この差分0点を所定値L2と比較する。本例では当該差分0点が所定値未満であり、修正処理の必要は無いと判定する。この結果、MBA指標の差分及びMOS指標の差分の何れかが所定値以上であれば(S53,Yes)S54に移行する。
【0268】
S54にて予測部128は、前記MBA指標の差分やMOS指標の差分に基づいて、所定期間後のMBA指標の目標値やMOS指標の目標値を変更する。そして、出力部が、変更後のMBA指標の目標値やMOS指標の目標値、及びこれらに基づくYK値の目標値を
出力する(S55)。一方、ステップS53で差分が閾値L2未満であった場合(S53,No)、出力部は、「現在のペースでは、所定期間後のMBA指標及びMOS指標が予測値Pa,Pbとなり、目標Ga,Gbを達成できない」など、目標が達成できない旨の警告を出力する(S56)。
【0269】
なお、この予測部128による目標修正処理は、図26に例示されるハードウェア構成を備えた評価装置(コンピュータ)1が、メインメモリ上に実行可能な状態で展開したプログラムに従い、入出力ポート14やCCU15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより実現する。
【0270】
次にステップS54における目標の変更処理について具体的に例示する。目標の変更処理は、目標値と予測値の乖離が小さくなるものであれば、特に限定されず、どのような手法を用いても良い。本例では、MBA指標とMOS指標のうち、差分がL2以上であった一方の目標値を低くし、他方の目標を高くすることにより、達成し易い目標値に変更するものである。例えば、MBA指標の差分が上述のように20点であった場合、この差分に所定係数、例えば0.5を乗じた値(10点)をMOS指標の目標値Gbに加え、MBA指標の目標値Gaからこの値を減じる。即ち、2012年度の変更後のMBA指標の目標値Gcを140点、MOS指標の目標値Gdを160点とする。これにより、2011年度の実績に基づいた実現可能な目標値を再設定し、これを目指して企業活動を行うことで、2012年度のYK値が目標値300点を達成できるようにする。
【0271】
一方、MOS指標の差分がL2以上であった場合(不図示)、この差分に所定係数、例えば0.5を乗じた値を企業実績の目標値Gaに加え、MOS指標の目標値Gbからこの値を減じる。これによりMOS指標が目標に届かない場合にもMOS指標の目標Gdを低くし、企業実績の目標値Gcを高く変更して、YK値の目標値を達成し易くできる。
【0272】
なお、上述の例では、差分に乗ずる係数を0.5としたが、これに限らず、当該係数を他の値としても良いし、他の要素に基づいて動的に変更しても良い。例えば景気動向指数に基づいて当該係数を変更しても良い。
【0273】
具体的には、企業実績が目標に届かずMOS指標の目標値を高く変更する場合に、景気動向指数に基づき景気が悪化している局面では、上記所定係数を補正し、MOS指標の目標値に加える値を大きくし、景気が拡大している局面では、MOS指標の目標値に加える値を小さくする。なお、景気動向指数は、所定期間毎に入力受付部を介して入力され、記憶部13に記憶され、予測部128は、この記憶部13から景気動向指数を読み出して利用する。
【0274】
なお、景気動向指数としては、ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index、DI)を用いても、コンポジット・インデックスを用いても良い。また、それぞれの先行指
数を用いても一致指数を用いても良い。
【0275】
例えば、企業実績が目標に届かなかった場合、この差分に乗ずる所定係数kをk=1−DIとする。即ち、DIが50%の場合に所定係数kを0.5とし、DIが70%の場合に所定係数kを0.3とし、DIが40%の場合に所定係数kを0.6とする。
【0276】
一方、MOS指標が目標に届かずMBA指標の目標値を高く変更する場合に、景気動向指数に基づき景気が拡大している局面では、上記所定係数を補正し、MBA指標の目標値に加える値を大きくし、景気が悪化している局面では、MBA指標の目標値に加える値を小さくする。
【0277】
例えば、MOS指標の差分に乗ずる所定係数kをk=DIとする。即ち、DIが70%であればMOS指標の差分に0.7を乗じた値をMBA指標に加え、DIが30%であればMOS指標の差分に0.3を乗じた値をMBA指標に加える。
【0278】
このように景気動向指数に応じて所定係数kの値を動的に変更することにより、目標達成の可能性を高めることができる。例えば、DIが50%を越えている場合、景気の拡大局面であるので、MBA指標の伸びが期待できるので、目標を変更する際のMBA指標の比率を高めることで、目標達成の可能性を高めることができる。また、DIが50%未満の場合、景気の悪化局面であるので、MBA指標の伸びがあまり期待できないので、目標を変更する際のMBA指標の比率を低くすることで、目標達成の可能性を高めることができる。これにより、精度良く目標値を設定でき、企業活動の評価装置としての精度が高まる。
【0279】
また、目標値の変更は、株価と連動して行っても良い。例えば、MOS指標と株価の相関関係、及びMBA指標と株価の相関関係を予め定義しておき、MOS指標の目標値を変更する場合に、MBA指標の差分に相当する株価の変動量を求め、この株価の変動量が得られるようにMOS指標の目標値を変更する。なお、株価は、所定期間毎に入力受付部を介して入力され、記憶部13に記憶され、予測部128は、この記憶部13から株価を読み出して利用する。
【0280】
例えば、先ずMOS指標の実績値を発表する毎に、このMOS指標の実績値と発表後の株価を蓄積する。図42は、MOS指標と株価の相関関係を示す図である。一般にMOS指標と株価は正の相関があり、MOS指標が高まると株価も高まり、MOS指標が低下すると株価も低下する。そこで、図32に示すようにMOS指標の実績値と発表後の株価を蓄積し、MOS指標の変動量ΔKaと、株価の変動量ΔSqとに基づき相関関係を定義する。
【0281】
例えば、
株価の変動量ΔSq=MOS指標の変動量ΔKa×係数f+定数α
のように、関係式を定義する。
【0282】
同様に、株価はMBA指標とも関連する。例えばMBA指標が高まれば株価が高まる可能性があり、MBA指標が下がれば、株価も下がる可能性がある。このため、この株価とMBA指標の関係も予め定義し、記憶部13に記憶しておく。
【0283】
そして、例えば、企業実績が目標に届かなかった場合、予測部128は、記憶部13を参照してMBA指標と株価の関係から、この差分に相当する株価の変動量ΔSq、即ちこの差分だけMBA指標が増加した場合に増加する株価を求める。
【0284】
また、予測部128は、上記関係式に基づき株価の変動量ΔSqに相当するMOS指標の変動量ΔKaを求め、この変動量ΔKaをMOS指標の目標値に加えて高く変更する。また、MOS指標の目標値を高めた分、MBA指標の目標値は低く変更しても良い。このように、企業実績が目標に届かなかった場合、この差分に基づいてMOS指標の目標値を高く変更して当初の目標よりも高い実績値をあげ、株価の増加を促すことで、MBA指標の上げやすい環境を作り、YK値の目標値と予測値との乖離を小さくできる。
【0285】
一方、MOS指標が目標に届かなかった場合、予測部128は、記憶部13を参照してMOS指標と株価の関係から、この差分に相当する株価の変動量ΔSq、即ちこの差分だけMOS指標が増加した場合に増加する株価を求める。
【0286】
また、予測部128は、株価とMBA指標の相関関係に基づき株価の変動量ΔSqに相当するMBA指標の変動量を求め、この変動量をMBA指標の目標値に加えて高く変更する。また、MBA指標の目標値を高めた分、MOS指標の目標値は低く変更しても良い。このように、MOS指標が目標に届かなかった場合、この差分に基づいてMBA指標の目標値を高く変更して当初の目標よりも高い実績値をあげ、MOS指標の低下を補って、YK値の目標値と予測値との乖離を小さくできる。
【0287】
このように、MOS指標とMBA指標とを株価を介して対応付け、相補的に目標値の変更量を決定することで、YK値の目標値と予測値との乖離を小さくでき、企業活動の評価装置としての精度が高まる。
【0288】
尚、YK値の実績値と目標値との乖離が小さくなるような目標値の変更は、通常、各指標の過去の実績に基づいて行われる。具体的には、過去の実績に基づいて、目標値の変更によるコストの変動、負荷の変動、YK値への寄与の大きさを勘案して、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の目標値の変更を行い、結果としてMOS指標の実績値と目標値の乖離が小さくなるように変更が行われる。同様に、MBA指標についても、それを構成する各指標の実績値と目標値の乖離が小さくなるように、過去の実績に基づいて目標値の変更を行う。これらの結果を総合的に勘案して、MBA指標の目標値とMOS指標の目標値の組み合わせで示されるYK値の目標値は、過去の実績に基づいて実績値との乖離が小さくなるように設定される。
【0289】
上記目標値の変更では、YK値の目標値を変更せずに、MBA指標の目標値とMOS指標の目標との配分を変える場合であるが、YK値の目標値を変更すると言う選択肢もありえる。
【0290】
例えば、ステップS53でMBA指標及びMOS指標の差分が何れも閾値L2未満の場合、MBA指標の目標値及びMOS指標の目標値の変更は不要と判断し、YK値の目標値を変更する。この場合、MBA指標の予測値Pa及びMOS指標の予測値PbからYK値の予測値Pcを求め、所定期間後のYK値の目標値Geを予測値Pcの値に変更する。
【0291】
また、ステップS53でMBA指標及びMOS指標の差分の何れかが所定値(閾値L3、但しL3>L2)以上の場合、MBA指標の目標値及びMOS指標の目標値と共に、YK値の目標値も変更する。
【0292】
例えば、閾値L3を30点とし、2012年度のMBA指標の予測値Paが110点、MOS指標の予測値Pbが150点の場合、MBA指標の差分が40点であり、閾値L3を超えているので、この閾値L3の30点を上限とし、MBA指標の差分を30点とみなして変更するMBA指標の目標値とMOS指標の目標値を求める。即ち、MBA指標の差分30点に所定係数0.5を乗じた値(15点)をMOS指標の目標値Gb´に加え、MBA指標の目標値Ga´からこの値を減じる。ここで目標値Ga´,Gb´は、前記差分の閾値L3を越えた値を当初の目標値Ga,Gbから減じたものである。
【0293】
目標値Ga´=当初の目標値Ga−(差分−閾値L3)
=150−(40−30)
目標値Gb´=当初の目標値Gb−(差分−閾値L3)
但し、差分が閾値を超えていない場合、目標値Ga´,Gb´は当初の目標値Ga,Gbと同じ値とする。
【0294】
従って2012年度のMBA指標の目標値Gcを125点、MOS指標の目標値Gdを165点に変更する。そして、これらの目標値Gc,GdからYK値Ge290点を求め
、変更する。
【0295】
そして、予測部128は、この変更後のMBA指標の目標値GC、MOS指標の目標値Gd及びYK値Geを出力する(S15)。
【0296】
[修正処理2]
予測部128は、過去の所定期間のMBA指標の実績値の推移、及び、過去の所定の期間のMOS指標の実績の推移から、MBA指標目標及びMOS指標の伸びを予測して、それに基づいて、所定期間経過後のYK値が、目標値と一致するようにMBA指標目標及びMOS指標の目標(の配分)を設定する。
【0297】
図29の例では、2010年度から2011年度のMBA指標の増分が40点、MOS指標の増分が50点であり、MOS指標の方が増分が大きい。即ち、MOS指標の方が伸びが期待できるので、修正に際してMOS指標の2012年度の実績値の予測値を求め、この予測値に所定係数を乗じて新たな目標値とする。
【0298】
例えば、2012年度の実績値を150点と予測し、これに所定係数を乗じ、新たな目標値を160点としてMOS指標の目標値を修正する。そして、修正後のMOS指標の目標値を160点とした場合に、YK値の目標値300点を達成するためのMBA指標の目標値を140点と求めて修正する。
【0299】
[修正処理3]
予測部128は、各項目の現実的な達成のし易さを勘案して、目標を再設定しても良い。例えば、サスティナビリティ指標の温室効果ガスに関して、CO2削減目標が達成できな
い場合、設備投資を行えば削減目標が達成できるが、多大なコストがかかるという問題があり、達成の難易度が高い。
【0300】
一方、コンフォート指標に関して、従業員満足度である管理ポストの男女比を1:1に近づけることは、適切な要員が存在すればコストは小さく、達成はしやすい。
【0301】
そこで、各項目の達成可能性を予め数値化してテーブル等に保持し、達成可能性の高い項目を選択して次回(次年度)に前倒しで達成することとして目標値を修正する。
【0302】
例えば、CO2削減目標が達成できない場合、代わりに管理ポストの男女比を1:1に近
づけることを目標に加える。なお、達成可能性の数値化は、例えば、CO2削減であれば、
前年度の計上利益と必要な設備投資額との比を入力しておき、この比が所定値以上であれば達成可能な項目、所定値未満であれば達成不可能な項目と判定する。また、管理ポストの男女比を1:1に近づける項目であれば、人事データベースから管理ポストに昇進可能な人数を男女別に読み込んでおき、男女比を1:1に近づけることが可能か否かを判定する。
【0303】
なお、達成可能な項目を選択する際、各項目に配分された点数に応じて選択する項目を決定しても良い。例えば、CO2削減を達成した場合20点、男女比を1:1に近づけた場
合10点、平均残業時間を削減した場合10点であり、CO2削減が達成できない場合、男
女比を1:1に近づける項目と平均残業時間を削減する項目を達成することで補うように目標を修正する。
【0304】
このように次年度の目標値を変更することで、次年度の実績値が目標値と一致し易くすることができる。
【0305】
なお、本例では、達成のし易いに応じて目標を設定したが、これに限らず、重要度に応じて目標を再設定しても良い。例えば各項目(細分化指標)の重要度を予め数値化してテーブル等に保持し、重要度の高い項目を選択して次回(次年度)に前倒しで達成することとして目標値を修正しても良い。
【0306】
[修正処理4]
前述のようにMOS指標を算出した結果、目標値に達していない場合、更なる投資を行って、次年度のMOS指標の達成率を押し上げて修正を図ることもできる。
【0307】
図32はサスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の予測達成率を示す図、図33は図32の予測達成率の推移を表したグラフである。
【0308】
図32に示すように各指標の詳細項目ごとに、点数の配分、予想達成率、修正コスト、改良の確実性を設定し、これらを目標値としてオペレータが評価装置1に入力し、評価装置1の入力受付部が、これら各指標の詳細項目と、達成率、修正コスト、改良の確実性などのパラメータとを対応つけたデータテーブルとして記憶部13に記憶させておく。即ち、本例の記憶部13は、パラメータ記憶部も兼ねている。
【0309】
本例では、図32に示すように、各指標の詳細項目ごとに目標値(予想達成率又は点数)や修正コスト、改良の確実性を設定したが、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の各指標ごとや、各指標の項目S−1〜S−3、H−1〜H−3、C−1〜C−3ごと等、各指標の任意の単位ごとに設定して良い。
【0310】
なお、本例において、サスティナビリティ指標における詳細項目のS−1−1は環境負荷物質の排出の削減、S−1−2は製品を通じてのCO2の削減、S−2−1は再生可能原燃料への転換、S−2−2は希少金属の利用の削減、S−2−3は省資源・省エネルギー、S−3は原料、材料の調達活動を通じてCSR活動の強化である。
【0311】
また、ヘルス指標における詳細項目のH−1は疾病治癒への貢献(治療満足度の逆数×患者数)、H−2はQOL向上への貢献(治療満足度の低い疾病(癌等の治りにくい病気)に対する製品の増加、医薬品のカバーする範囲の拡大(新薬上市、適応拡大、剤型追加など))、H−3−1は予防への貢献(ワクチン投与数)、H−3−2は早期発見への貢献(検査、診断件数)である。
【0312】
更に、コンフォート指標における詳細項目のC−1−1はコンフォート商品(快適を提供する商品)の販売、C−1−2は新商品化率(新規製品の比率)、C−2−1は社外企業ランキング調査でのランキング向上、C−2−2は従業員満足度(有給休暇取得率、女性管理職比率等々)の向上、C−3は事故発生率の抑制である。
【0313】
そして、前述の如く評価部123がMOS指標を算出した結果、図32に示した目標値に達していない場合、予測部128は、図34に示すように、MOS指標を改善するための追加投資案を求める。
【0314】
先ず、予測部128は、記憶部13に記憶されたMBA指標の実績値から利益の額を読み出し、この利益の全額或いは所定の割合を投資額として決定する(S60)。
【0315】
次に予測部128は、所定の選択条件に従って改善すべき指標の詳細項目を選択する(S62)。ここで所定の選択条件とは、例えば、修正コストが低いもの、改良の確実性のばらつきが少ないもの、見込まれる改善の結果が目標値の所定倍以上にならないことなどである。
【0316】
また、予測部128は、選択した指標の選択項目の達成率或いは点数を所定単位改善するのに必要な金額を求め、これを前記投資額から減算する(S63)。なお、所定単位は、例えば達成率であれば0.5%、1%、3%等、点数であれば0.5点、1点、5点等、任意に設定できる。例えば、指標S−1−1が16点(80%)のとき、所定単位として1点改善し、17点とするには、配分が20点であるので、85%の達成率とする必要がある。従って達成率5%を改善するコスト50億円を投資額から減算する。また、所定単位として0.5%改善する場合には5億円、3%改善する場合には15億円を投資額から減算する。
【0317】
そして、予測部128は、前記減算によって前記投資額が無くなったか否かを判定し、投資額が残っている場合(S64,No)、MOS指標が目標値に達したか否かを判定する(S65)。
【0318】
ステップS22で選択した指標の詳細項目に所定単位の達成率或いは点数を加えてもMOS指標が目標値に達しない場合(S65,No)、ステップS62に戻り、ステップS62,S63を繰り返す。この繰り返しにより、MOS指標が目標値に達した場合(S65,Yes)、予測部128は、ステップS22で選択した指標の詳細項目と、当該詳細項目への投資額の一覧をレポートとして出力し(S66)、処理を終了する。ここで出力とは、表示装置への表示や、プリンタによる紙媒体への印刷、他のコンピュータの送信などである。
【0319】
なお、図35は、ステップS62において、選択条件に従って改善すべき指標を選択する処理の説明図である。
【0320】
先ず、各指標の集合、即ちサスティナビリティ指標の集合Si={S−1−1,S−1−2,S−2−1,S−2−2,S−2−3,S−3}、ヘルス指標の集合Hi={H−1,H−2,H−3−1,H−3−2}、コンフォート指標の集合Ci=C−1−1,C−1−2,C−2−1,C−2−2,C−3}から、改善対象外のものを除外する(S201)。例えば、目標値の1.2倍や1.4倍など所定数倍に達したものを対象外とする。また、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の各指標の投資額が他の指標の投資額の所定数倍に達した場合、この指標を除外する。
【0321】
S201で除外されなかった残りの指標のうち、最も修正コストの低いものを選択する(S202)。なお、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の各指標間で投資額をバランスよく配分するため、図34で示したように、指標の選択(S62)と投資額の減算(S63)を繰り返す際、指標を選択する集合を順に変える。例えば、サスティナビリティ指標の集合のうち修正コストの最も低い指標を選択した場合、次に繰り返すときには、ヘルス指標の集合のうち修正コストの最も低い指標を選択し、その次に繰り返すときには、コンフォート指標の集合のうち修正コストの最も低い指標を選択する
【0322】
ステップS202で修正コストの同じ指標が複数選択された場合には、改良の確実性の偏差が少ない方を選択する(S203)。
【0323】
これにより、各指標をバランス良く選択し、追加投資を適切に配分できる。
このようにMOS指標を目標値に近づけるように改善するため、どの指標にどれだけの追加投資をすべきかを示したレポートを出力することにより、次年度の経営方針を決めるための支援を行うことができる。
【0324】
また、追加投資を所定の選択条件に従って所定単位ごとに配分することを繰り返すこと
により、利益の範囲内で追加投資を最適に配分できる。
【0325】
なお、本例では、投資額内で目標を達成できた場合(S65,Yes)にのみレポートを出力しているが、投資額がなくなった場合(S64,Yes)もステップS66へ移行して前記レポートを出力しても良い。これにより、少ない投資額を効率的に配分するための支援を行うことができる。
【0326】
[修正処理5]
本例では、前述の修正処理4と比べて、オペレータが所望の信頼度を入力し、当該信頼度で修正を行う場合のコストに基づいて投資配分を決定する処理が異なっている。
【0327】
図36は修正処理5の説明図、図37は、図36において修正すべき指標の選択処理の説明図である。
【0328】
先ず、予測部128は、記憶部13に記憶されたMBA指標の実績値から利益の額を読み出し、この利益の全額或いは所定の割合を投資額として決定する(S60)。
【0329】
予測部128は、前記投資額を表示装置上に表示させると共に、信頼度(P)の入力を促すメッセージを表示させる。オペレータが入力デバイスを操作して信頼度(P)を入力すると、予測部128は、これを受信して記憶部13に記憶させる(S61)。
【0330】
次に予測部128は、所定の選択条件に従って改善すべき指標の詳細項目を選択する(S62)。ここで所定の選択条件とは、後述のように入力された信頼度(P)に応じて、各指標のコストを求めて、このコストが低いものを選択する。
【0331】
また、予測部128は、選択した指標のコストを用いて当該指標の達成率或いは点数を所定単位改善するのに必要な金額を求め、これを前記投資額から減算する(S63)。
【0332】
そして、予測部128は、前記減算によって前記投資額が無くなったか否かを判定し、投資額が残っている場合(S64,No)、MOS指標が目標値に達したか否かを判定する(S65)。
【0333】
ステップS62で選択した指標の詳細項目に所定単位の達成率或いは点数を加えてもMOS指標が目標値に達しない場合(S65,No)、ステップS62に戻り、ステップS62,S63を繰り返す。この繰り返しにより、MOS指標が目標値に達した場合(S65,Yes)、予測部128は、ステップS62で選択した指標の詳細項目と、当該詳細項目への投資額の一覧をレポートとして出力し(S66)、処理を終了する。ここで出力とは、表示装置への表示や、プリンタによる紙媒体への印刷、他のコンピュータの送信などである。
【0334】
なお、図37は、ステップS62において、選択条件に従って改善すべき指標を選択する処理の説明図である。
【0335】
先ず、各指標の集合、即ちサスティナビリティ指標の集合Si={S−1−1,S−1−2,S−2−1,S−2−2,S−2−3,S−3}、ヘルス指標の集合Hi={H−1,H−2,H−3−1,H−3−2}、コンフォート指標の集合Ci=C−1−1,C−1−2,C−2−1,C−2−2,C−3}から、改善対象外のものを除外する(S211)。例えば、目標値の1.2倍や1.4倍など所定数倍に達したものを対象外とする。また、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の各指標の投資額が他の指標の投資額の所定数倍に達した場合、この指標を除外する。
【0336】
S211で除外されなかった残りの指標について、修正コストCo(図32)を記憶部13のデータベースから読み出す(S212)。例えば図32の例では、指標S−1−1の修正コストCoは1%あたり10億円である。
【0337】
更に、各指標の修正コストCoについて、入力された信頼度(P)に応じた増分率Fiを決定する(S213)。
【0338】
このとき増分率Fiは、図38に示すように確率密度関数で求めることができる。図38では、横軸に増分率Fiをとり、グラフの面積を積分した値が信頼度(P)を示している。即ち増分率1.0倍の確率が最も低く、増分率が上がるに従って信頼度も高くなる。図38の例では、信頼度68%の増分率Fiが1.2倍、信頼度80%の信頼度が1.4倍である。
【0339】
この信頼度(P)のときの増分率Fiは、以下のように定義できる。
【0340】
【数2】

【0341】
なお、f(x)が実験式で与えられる場合には、Σf(xi)Δxiに従って積分計算すれば良い。また、分布データがヒストグラム形式でテーブルに記憶されている場合は、ヒストグラムの横軸の幅をΔxi、サンプル数をf(xi)として同様の計算をすれば良い。
【0342】
図38は、夫々の指標、例えばサスティナビリティ指標S−1−1,S−1−2,S−2−1,S−2−2,S−2−3,S−3、ヘルス指標H−1,H−2,H−3−1,H−3−2、コンフォート指標C−1−1,C−1−2,C−2−1,C−2−2,C−3等について、所定単位の改善に必要と予測した予測コストと、その所定単位の改善に実際に要したコストとの変動倍率、即ち修正コストの増分率を横軸に、そのサンプル数を縦軸に収集した例である。例えば横軸1〜1.1、1.1〜1.2、1.2〜1.3・・・のように0.1倍刻みで、予測したコストに対する実際に要したコストの変動率となった投資回数のサンプル数を収集し、ヒストグラムを作成するのが良い。そして、ヒストグラムを近似する曲線として、図38のような分布関数をもとめれば良い。
【0343】
分布関数は実験式(例えば多項式)で求めても良いし、ヒストグラムをそのままテーブルの形式で記憶しても良い。
【0344】
また、図38のようなデータは、企業内の様々なプロジェクトにおける目標の指標を達成するための予算額と、その目標の指標達成に必要となった実算額からも求めることができる。
【0345】
また、それぞれの指標と類似する指標について、目標達成のための予算額と実算額との経験値を蓄積することで図38のような分布関数を求めることができる。
【0346】
予測部128は、この確率密度関数を予め指標毎に定義しておき、この確率密度関数によって増分率Fiを算出しても良いし、図39に示すように信頼度(P)に対応する増分率Fiを指標毎に予め求めて増分率テーブルとして記憶部13に格納しておき、入力され
た信頼度(P)に応じた増分率Fiを読み出す構成でも良い。なお、図39の増分率テーブルに記憶された信頼度の中間の値が入力された場合には、その前後の値を増分率テーブルから読み出して線形補間により算出しても良い。
【0347】
次に予測部128は、各指標について、修正コストCoに増分率Fiを乗じて合成コスト係数Cthを求める(S214)。
【0348】
そして、予測部128は、各指標のうち、最も合成コスト係数Cthの低いものを選択する(S215)。なお、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標の各指標間で投資額をバランスよく配分するため、図36で示したように、指標の選択(S62)と投資額の減算(S63)を繰り返す際、指標を選択する集合を順に変える。例えば、サスティナビリティ指標の集合のうち合成コスト係数Cthの最も低い指標を選択した場合、次に繰り返すときには、ヘルス指標の集合のうち合成コスト係数Cthの最も低い指標を選択し、その次に繰り返すときには、コンフォート指標の集合のうち合成コスト係数Cthの最も低い指標を選択する。
【0349】
これにより、所定の信頼度で目標を達成するための追加投資案を精度良く求めることができる。
【0350】
上記修正処理5では、1倍以上の場合のサンプル値の分布について確率密度関数を作成して増分率Fiを求めたが、増分率の計算方法は、これに限らず他の計算方法であっても良い。例えば、図40に示すように、修正コストCoの変動値の分布を1倍未満(減少する)場合から1倍を超える(増加する)場合まで、蓄積して、分布関数を求める。そして、1/無限大から無限大まで、分布関数を積分した面積で分布関数を除算することで、正規化し、確立密度関数を求める。
【0351】
ユーザが所望の信頼度、例えば、80%の信頼度を指定した場合には、平均値(中央値、あるいは、1倍の箇所)を中心に、減少する範囲から増加する範囲の面積が、その信頼度(例えば0.8)になる横軸の位置を求める。図40の例では、網掛けの範囲が0.8
の領域であり、積分範囲の境界が横軸上の修正コストの増分率Fi(例えば0.4〜1.3)に位置している。
【0352】
そして、修正コストの増分率Fiのコスト減少側の値(0.4)とコスト増加側の値(1.3)のうちの増加する側の値を増分率Fiとして決定する。つまり、変動範囲の最も大きい値(右側の値)を増分率に決定する。
【0353】
このように分布関数に基づいて増分率Fiを算出しても良いし、信頼度に対する修正コストの増分率Fiを予め算出し、図39に示したように信頼度と増分率Fiとを対応つけて増分率テーブルに登録しておいても良い。
【0354】
なお、図40では横軸の増分率としてコストに対する変動倍率(1/無限大〜無限大)を用いた。しかし、図40に代えて、横軸をコストに対する変動量の比率として−100%〜無限大%で表しても良い。例えば、−20%は2割減、+300%は3倍という表示である。即ち、図32のサスティナビリティ指標において−20%であれば修正コストは8億円、+300%であれば30億円である。
【0355】
〈関連企業ごとの換算〉
前記企業が複数の関連企業を含む場合、関連企業毎の重みを設定し、関連企業毎の評価値を前記重みに従って前記企業全体の評価値に換算しても良い。
【0356】
図30は、MOS指標を企業全体の評価とは別に、企業全体を構成する関連企業の評価に用いる場合の考え方を示したものである。
【0357】
企業全体は、サスティナビリティ指標、ヘルス指標、コンフォート指標を同じ重み付けとしたが、企業全体を構成する関連企業はその事業の特性によって企業全体とは各指標の重みづけが異なってしかるべきである。なお、YK値におけるMBA指標の目標値とMOS指標の目標値の構成比率も企業全体とそれを構成する関連企業で異なっても良いが、通常はそろえる方が好ましい。
【0358】
従って、図30に示すように、企業全体と構成する関連企業とで合計点は同じ300点とするものの、各指標の重み付けについては、例えばヘルス関連の事業の重みが小さい関連企業Aは、サスティナビリティ指標が150点、ヘルス指標が20点、コンフォート指標が130点であり、ヘルス関連事業の重みが大きな関連企業Bは、サスティナビリティ指標が50点、ヘルス指標が250点、コンフォート指標が0点であり、ヘルス関連事業を持っていない関連企業Cと関連企業Dは、サスティナビリティ指標が150点、ヘルス指標が0点、コンフォート指標が150点とし、これら重み付けに従って関連企業としてのMOS指標の値を算出する事になる。
【0359】
これとは別に、企業全体のMOS指標における各関連企業の寄与度を明確にするために、関連企業毎の重み付けを定める場合もある。この場合は、例えば、サスティナビリティ指標において、関連会社Aが50点、関連会社Bが10点、関連会社Cと関連会社Dが20点で、合わせて100点に成るように、各関連会社の事業規模等を勘案して割り付ける事になる。その例を図31として示す。
【0360】
なお、関連会社の指標の数値を足し合わせて企業全体の指標とする事も可能であるが、MOS指標は本来が図4の様に各指標毎に算出した結果の積算で行うのが正しく、総合されたMOS指標値同士を足し合わせる事はどちらかと言えば好ましくない。
【0361】
以上のように実施形態によれば、MBA指標の目標値及びMOS指標の目標値の組み合わせで示されるYK値によって、企業活動を適切に評価でき、永続的な企業活動を可能にする。
【0362】
〈実施形態6〉
本実施形態6は、前述の実施形態5と比べてキーワードに応じて目標の修正を行う点が異なっており、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0363】
図47は、コンピュータである評価装置1が評価プログラムに従って実行する本実施形態6の評価方法の説明図である。
【0364】
評価装置1は、ユーザの操作等によって起動の指示を受けると、演算処理部12が評価プログラムを記憶部13から読み出して実行し、図47の処理を開始する。
【0365】
先ず、目標受付部121は、複数期間、本実施形態では第1年度から第5年度のMBA指標、MOT指標、MOS指標の各目標値及び現時点までの実績値の入力を受け、記憶部13或いはメモリに記憶させる(ステップS410)。
【0366】
次に評価を行う年度を象徴するキーワードを入力する(ステップS420)。例えば当該年度に発行された新聞のデータを入力して、各見出しに含まれた単語を抽出してキーワードとする。或いは検索エンジンから、経済、環境、テクノロジー等の所為分野における
検索キーワードを頻度の高いものから順に所定数取得する。これによりDRAM、温暖化、タブレット端末、スマートフォン等、その年度に話題となった複数のキーワード(キーワード群)が入力される。
【0367】
これらのキーワードは、環境問題が注目されているときに話題となるキーワードや、経済情勢が厳しい時に使われるキーワードなど、世の中の状況と対応付けることができる。図45は、この状況とキーワードの対応テーブルの一例を示す図である。
【0368】
評価部123は、この対応テーブルを参照してステップS420で入力されたキーワード群と対応する状況を求める(ステップS430)。例えば、温暖化、石油枯渇、オゾンホール等、環境問題に関するキーワードであれば状況1、デノミ、世界同時株安など、経済の停滞と関係するキーワードであれば状況2、研究者不足、ゆとり世代、空洞化等、技術力の低下に関するキーワードであれば状況3のように、キーワードと対応する状況、即ち現在の状況を求める。
【0369】
目標修正部126は、目標修正テーブルを参照して現在状況と対応する目標の比率を求める(ステップS440)。図48は、目標修正テーブルの一例を示す図である。目標修正テーブルは、ステップ430で求めた状況と、MBA指標、MOT指標及びMOS指標の目標を修正する割合とを対応付けている。
【0370】
例えば、ステップS33で求めた状況が、状況1であれば、目標修正テーブルを参照してMBAの目標を−10%、MOTの目標を+20%、MOSの目標を−10%とする。また、状況3であれば、目標修正テーブルを参照してMBAの目標を+20%、MOTの目標を−8%、MOSの目標を−12%とする。このように状況に応じて各指標の目標を所定の比率で変更する。
【0371】
そして、評価部123は、変更後の目標で評価した実績ベクトル173先端と目標ベクトル183先端の乖離を求め、この乖離が、所定値以上か否かを判定する(ステップS4
50)。
【0372】
乖離が所定値以上の場合、資源配分設定部127は、MBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標と対応する資源配分を配分テーブルから求める(ステップS460)。
【0373】
そして、出力制御部124は三次元座標上に企業価値の目標ベクトル及び実績ベクトルを描画すると共に、図22と同様に警告60や変更した配分比率67を表示装置に表示させる(ステップS470)。一方、ステップS450で、目標ベクトルと実績ベクトルの乖離が所定値未満であれば、警告や再配分をせずに企業価値の目標ベクトル及び実績ベクトルを表示する(ステップS470)。
以上のように、本実施形態によれば、キーワードに応じて適切に目標を修正できる。
【0374】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0375】
例えば、以下に付記した構成であっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、これらの構成要素は可能な限り組み合わせることができる。
【0376】
(付記1)
企業価値の評価装置であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画する出力制御部と、
を備えた企業価値の評価装置。
【0377】
(付記2)
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける実績受付部を更に備え、
前記評価部が、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、
前記出力制御部が、前記企業価値の目標ベクトルと、前記企業価値の実績ベクトルを前記三次元座標上に対比表示する付記1に記載の企業価値の評価装置。
【0378】
(付記3)
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸が何れも0以上である空間を経営目標空間とし、
前記評価部は、前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間内に存在するか或いは前記経営目標空間から外れたかを判別し、前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間から外れた場合に警告を発する付記2に記載の企業価値の評価装置。
【0379】
(付記4)
前記企業価値の目標ベクトルの先端と、前記企業価値の実績ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合、前記MBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、当該増加させた値を前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値とから削減して資源配分を設定する資源配分設定部を備える付記2又は3に記載の企業価値の評価装置。
【0380】
(付記5)
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて目標体積とし、前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、目標体積と実績体積の差が所定値以内か否かを評価する付記2から4の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0381】
(付記6)
前記MBA指標の実績値、前記MOT指標の実績値又は前記MOS指標の実績値が閾値未満である場合に、前記評価部が警告を発する付記2から5の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0382】
(付記7)
前記評価部が、前記MBA指標の目標値に対する前記MBA指標の実績値の割合、前記MOT指標の目標値に対する前記MOT指標の実績値の割合、又は前記MOS指標の目標値に対する前記MOS指標の実績値の割合を達成度として求める付記2から6の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0383】
(付記8)
企業価値の評価装置であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける実績受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、更に前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを夫々求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを描画して実績ベクトルの推移を示す出力制御部と、
を備えた企業価値の評価装置。
【0384】
(付記9)
前記複数の評価期間のうち、一の評価期間を第1評価期間とし、当該第1評価期間の次の評価期間を第2評価期間とし、
前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、
前記第1評価期間のMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値を削減する資源配分設定部を備える付記8に記載の企業価値の評価装置。
【0385】
(付記10)
資源配分設定部が、前記MBA指標の目標値と実績値との差分、前記MOT指標の目標値と実績値との差分、および前記MOS指標の目標値と実績値との差分に対応して設定された重みに応じて、前記資源の配分を再設定する付記4又は9に記載の企業価値の評価装置。
【0386】
(付記11)
所定の情報出力源から状況に関する状況情報を取得する状況情報収集部と、
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さと前記状況情報とを対応付けた重みテーブルを格納した記憶部と、
前記重みテーブルを参照して前記状況情報収集部で取得した状況情報に応じたMBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さを求める目盛り決定部と、を備え、
前記目盛り決定部が、前記複数の評価期間について前記一目盛りあたりの長さを求めて評価期間毎の目盛りを決定し、
前記出力制御部が、前記複数の評価期間における企業価値の実績ベクトルをそれぞれ、前記目盛り決定部で決定した評価期間毎の目盛りに基づいて同一の三次元座標上に描画する付記9に記載の評価装置。
【0387】
(付記12)
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が高く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを長くする目盛り比率を対応付けた付記11に記載の企業価値の評価装置。
【0388】
(付記13)
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が低く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを短くする目盛り比率を対応付けた付記11又は12に記載の企業価値の評価装置。
【0389】
(付記14)
前記状況情報収集部が、ネットワークを介して前記情報出力源としてのコンピュータに接続し、所定のURLで示されるドキュメントを取得し、前記ドキュメントから前記状況に関する単語を抽出し、当該単語のドキュメント中の位置又は/及び数に基づいて当該単語のスコアーを求め、当該スコアーが閾値以上の場合に前記単語を状況情報とする付記11から13の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0390】
(付記15)
前記出力制御部は、前記企業価値の実績ベクトルと目標ベクトルを表示装置に表示する場合に、前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端とを結ぶ線が、前記表示装置の表示面と平行になるように前記三次元座標の向きを設定して表示画像を生成する付記11から14の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0391】
(付記16)
前記評価部が、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記出力制御部が、前記三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の実績ベクトルの頂点を繋ぐ折れ線グラフを表示する付記2から15の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0392】
(付記17)
前記評価部が、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、前記複数の評価期間について求めた実績体積の推移を前記出力制御部が表示する付記2から12の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0393】
(付記18)
前記複数の評価期間と各評価期間を示す色とを対応付けた色指定テーブルを記憶する色指定テーブル記憶部を更に備え、
前記出力制御部が、前記評価期間毎の色を前記色指定テーブルから読み出し、前記評価期間毎の色で前記直方体を表示する付記17に記載の企業価値の評価装置。
【0394】
(付記19)
前記複数の評価期間の評価タイミングの経過に応じた表示タイミングで前記直方体を順次表示する付記17又は18に記載の企業価値の評価装置。
【0395】
(付記20)
視差を有した右目用画像と左目用画像を時間的又は空間的に分離して表示することで立体視を可能とする立体表示装置を更に備え、
前記出力制御部が、前記三次元座標上の前記直方体を仮想視点から見た場合の右目用画像と左目用画像を生成し、前記立体表示装置に送信して表示させる付記17から19の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0396】
(付記21)
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上にそれぞれ閾値を設定し、前記原点から前記MBA軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOT軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOS軸上の閾値までの直線とを辺とする直方体を下限空間とし、前記評価部は、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えているか否かを判定し、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えていなければ警告を発する付記2から20の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0397】
(付記22)
前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MBA軸とのなす角度、前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOT軸とのなす角度、又は前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOS軸とのなす角度が所定値以上である場合に前記評価部が警告を発する付記2から21の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0398】
(付記23)
単位期間毎の目標を算出する目標算出部を備え、
前記目標算出部が、所定期間経過後のMOT指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOT指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMOS指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOS指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMBA指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMBA指標の目標値を算出し、任意の単位期間における前記MOT指標の目標値、前記MOS指標の目標値及び前記MBA指標の目標値から前記企業価値の目標ベクトルを求める、付記1から22の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0399】
(付記24)
前記MOS指標が、サスティナビリティ指標とコンフォート指標を含み、
前記MBA指標が、営業利益達成度合、ROA達成度合、D/E比率達成度合、トランスフォーメーションの進捗、一株当りの利益率及び、時価総額、の少なくとも1つを含み、
前記MOT指標が、技術経営への資源投入度合、技術経営活動の期間目標達成度合、技術経営活動からの成果度合の少なくとも1つを含む付記1から23の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【0400】
(付記25)
企業価値の評価方法であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画するステップと、
をコンピュータが実行する企業価値の評価方法。
【0401】
(付記26)
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受けるステップを更に実行し、
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、
前記企業価値の目標ベクトルと、前記企業価値の実績ベクトルを前記三次元座標上に対比表示する付記25に記載の企業価値の評価方法。
【0402】
(付記27)
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸が何れも0以上である空間を経営目標空間とし、
前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間内に存在するか或いは前記経営目標空間から外れたかを判別し、前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間から外れた場合に警告を発する付記25又は26に記載の企業価値の評価方法。
【0403】
(付記28)
前記企業価値の目標ベクトルの先端と、前記企業価値の実績ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合、前記MBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、当該増加させた値を前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以
外の指標について予め設定された資源の値とから削減して資源配分を設定するステップを実行する付記26又は27に記載の企業価値の評価方法。
【0404】
(付記29)
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて目標体積とし、前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、目標体積と実績体積の差が所定値以内か否かを評価する付記26から28の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0405】
(付記30)
前記MBA指標の実績値、前記MOT指標の実績値又は前記MOS指標の実績値が閾値未満である場合に、前記評価部が警告を発する付記26から29の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0406】
(付記31)
前記MBA指標の目標値に対する前記MBA指標の実績値の割合、前記MOT指標の目標値に対する前記MOT指標の実績値の割合、又は前記MOS指標の目標値に対する前記MOS指標の実績値の割合を達成度として求める付記26から30の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0407】
(付記32)
企業価値の評価方法であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、更に前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを夫々求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを描画して実績ベクトルの推移を示すステップと、
をコンピュータが実行する企業価値の評価方法。
【0408】
(付記33)
前記複数の評価期間のうち、一の評価期間を第1評価期間とし、当該第1評価期間の次
の評価期間を第2評価期間とし、
前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、
前記第1評価期間のMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値を削減する付記32に記載の企業価値の評価方法。
【0409】
(付記34)
前記MBA指標の目標値と実績値との差分、前記MOT指標の目標値と実績値との差分、および前記MOS指標の目標値と実績値との差分に対応して設定された重みに応じて、前記資源の配分を再設定する付記28又は33に記載の評価方法。
【0410】
(付記35)
前記コンピュータが、
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さと前記状況情報とを対応付けた重みテーブルを格納した記憶部を備え、
所定の情報出力源から状況に関する状況情報を取得するステップと、
前記重みテーブルを参照して、前記取得した状況情報に応じたMBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さを求めるステップと、を更に実行し、
前記複数の評価期間について前記一目盛りあたりの長さを求めて評価期間毎の目盛りを決定し、
前記複数の評価期間における企業価値の実績ベクトルをそれぞれ、前記ステップで決定した評価期間毎の目盛りに基づいて同一の三次元座標上に描画する付記25から34の何れか一項に記載の評価方法。
【0411】
(付記36)
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が高く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを長くする目盛り比率を対応付けた付記35に記載の企業価値の評価方法。
【0412】
(付記37)
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が低く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを短くする目盛り比率を対応付けた付記35又は36に記載の企業価値の評価方法。
【0413】
(付記38)
前記状況情報収集部が、ネットワークを介して前記情報出力源としてのコンピュータに接続し、当該コンピュータに記憶されているドキュメントを取得し、前記ドキュメントから前記状況の変動に関する語を抽出し、当該語のドキュメント中の位置又は/及び数に基づいて当該語のスコアーを求め、当該スコアーが閾値以上の場合に前記語を状況情報とする付記35から37の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0414】
(付記39)
前記出力制御部は、前記企業価値の実績ベクトルと目標ベクトルを表示装置に表示する場合に、前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの
先端とを結ぶ線が、前記表示装置の表示面と平行になるように前記三次元座標の向きを設定して表示画像を生成する付記35から38の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0415】
(付記40)
所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の実績ベクトルの頂点を繋ぐ折れ線グラフを表示する付記19から28の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0416】
(付記41)
所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、前記複数の評価期間について求めた実績体積の推移を表示する付記26から40の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0417】
(付記42)
前記複数の評価期間と各評価期間を示す色とを対応付けた色指定テーブルを記憶する色指定テーブル記憶部を更に備え、
前記出力制御部が、前記評価期間毎の色を前記色指定テーブルから読み出し、前記評価期間毎の色で前記直方体を表示する付記41に記載の企業価値の評価方法。
【0418】
(付記43)
前記複数の評価期間の評価タイミングの経過に応じた表示タイミングで前記直方体を順次表示する付記41又は42に記載の企業価値の評価方法。
【0419】
(付記44)
視差を有した右目用画像と左目用画像を時間的又は空間的に分離して表示することで立体視を可能とする立体表示装置を更に備え、
前記出力制御部が、前記三次元座標上の前記直方体を仮想視点から見た場合の右目用画像と左目用画像を生成し、前記立体表示装置に送信して表示させる付記41から43の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0420】
(付記45)
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上にそれぞれ閾値を設定し、前記原点から前記MBA軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOT軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOS軸上の閾値までの直線とを辺とする直方体を下限空間とし、前記評価部は、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えているか否かを判定し、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えていなければ警告を発する付記26から44の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0421】
(付記46)
前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MBA軸とのなす角度、前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOT軸とのなす角度、又は前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOS軸とのなす角度が所定値以上である場合に警告を発する付記26から45の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0422】
(付記47)
単位期間毎の目標を算出するステップを実行し、
前記目標算出部が、所定期間経過後のMOT指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOT指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMOS指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOS指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMBA指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMBA指標の目標値を算出し、任意の単位期間における前記MOT指標の目標値、前記MOS指標の目標値及び前記MBA指標の目標値から前記企業価値の目標ベクトルを求める、付記25から46の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0423】
(付記48)
前記MOS指標が、サスティナビリティ指標とコンフォート指標を含み、
前記MBA指標が、営業利益達成度合、ROA達成度合、D/E比率達成度合、トランスフォーメーションの進捗、一株当りの利益率及び、時価総額、の少なくとも1つを含み、
前記MOT指標が、技術経営への資源投入度合、技術経営活動の期間目標達成度合、技術経営活動からの成果度合の少なくとも1つを含む付記25から47の何れか一項に記載の企業価値の評価方法。
【0424】
(付記49)
企業価値の評価プログラムであって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画するステップと、
をコンピュータに実行させるための評価プログラム。
【0425】
(付記50)
企業価値の評価プログラムであって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、更に前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、
前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを夫々求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを描画して実績ベクトルの推移を示すステップと、
をコンピュータに実行させるための評価プログラム。
【符号の説明】
【0426】
1 評価装置
12 演算処理部
13 記憶部(ハードディスク)
14 入出力ポート
15 通信制御部(CCU:Communication Control Unit)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業価値の評価装置であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画する出力制御部と、
を備えた企業価値の評価装置。
【請求項2】
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける実績受付部を更に備え、
前記評価部が、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、
前記出力制御部が、前記企業価値の目標ベクトルと、前記企業価値の実績ベクトルを前記三次元座標上に対比表示する請求項1に記載の企業価値の評価装置。
【請求項3】
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸が何れも0以上である空間を経営目標空間とし、
前記評価部は、前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間内に存在するか或いは前記経営目標空間から外れたかを判別し、前記企業価値の実績ベクトルが前記経営目標空間から外れた場合に警告を発する請求項2に記載の企業価値の評価装置。
【請求項4】
前記企業価値の目標ベクトルの先端と、前記企業価値の実績ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合、前記MBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、当該増加させた値を前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値とから削減して資源配分を設定する資源配分設定部を備える請求項2又は3に記載の企業価値の評価装置。
【請求項5】
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の目標ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて目標体積とし、前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、目標体積と実績体積の差が所定値以内か否かを評価する請求項2から4の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項6】
前記MBA指標の実績値、前記MOT指標の実績値又は前記MOS指標の実績値が閾値未満である場合に、前記評価部が警告を発する請求項2から5の何れか一項に記載の企業
価値の評価装置。
【請求項7】
前記評価部が、前記MBA指標の目標値に対する前記MBA指標の実績値の割合、前記MOT指標の目標値に対する前記MOT指標の実績値の割合、又は前記MOS指標の目標値に対する前記MOS指標の実績値の割合を達成度として求める請求項2から6の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項8】
企業価値の評価装置であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受ける目標受付部と、
MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値の入力を受ける実績受付部と、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求め、更に前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の実績値、MOT指標の実績値及びMOS指標の実績値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の実績値までをMBA実績ベクトル、前記原点から前記MOT指標の実績値までをMOT実績ベクトル、前記原点から前記MOS指標の実績値までをMOS実績ベクトルとし、前記MBA実績ベクトル、前記MOT実績ベクトル及び前記MOS実績ベクトルの合成ベクトルを企業価値の実績ベクトルとして求め、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを夫々求める評価部と、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の目標ベクトル及び前記企業価値の実績ベクトルを描画して実績ベクトルの推移を示す出力制御部と、
を備えた企業価値の評価装置。
【請求項9】
前記複数の評価期間のうち、一の評価期間を第1評価期間とし、当該第1評価期間の次の評価期間を第2評価期間とし、
前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端との距離が所定値以上乖離した場合に、
前記第1評価期間のMBA指標、MOT指標及びMOS指標のうち、実績値と目標値との乖離が最も大きい指標について、予め目標達成のため設定された資源の値を所定割合増加させ、前記乖離が最も少ない指標について予め設定された資源の値、若しくは、当該資源の値と、前記乖離が最も大きい指標及び最も小さい指標以外の指標について予め設定された資源の値を削減する資源配分設定部を備える請求項8に記載の企業価値の評価装置。
【請求項10】
資源配分設定部が、前記MBA指標の目標値と実績値との差分、前記MOT指標の目標値と実績値との差分、および前記MOS指標の目標値と実績値との差分に対応して設定された重みに応じて、前記資源の配分を再設定する請求項4又は9に記載の企業価値の評価装置。
【請求項11】
所定の情報出力源から状況に関する状況情報を取得する状況情報収集部と、
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さと
前記状況情報とを対応付けた重みテーブルを格納した記憶部と、
前記重みテーブルを参照して前記状況情報収集部で取得した状況情報に応じたMBA軸、MOT軸及びMOS軸の少なくとも一つの軸の一目盛り当たりの長さを求める目盛り決定部と、を備え、
前記目盛り決定部が、前記複数の評価期間について前記一目盛りあたりの長さを求めて評価期間毎の目盛りを決定し、
前記出力制御部が、前記複数の評価期間における企業価値の実績ベクトルをそれぞれ、前記目盛り決定部で決定した評価期間毎の目盛りに基づいて同一の三次元座標上に描画する請求項9に記載の企業価値の評価装置。
【請求項12】
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が高く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを長くする目盛り比率を対応付けた請求項11に記載の企業価値の評価装置。
【請求項13】
前記重みテーブルが、状況の変動を示す状況情報と、変更前の目盛りの長さに対する変更後の目盛りの長さを示す目盛り比率とを対応付けたものであって、達成の難易度が低く変動した状況に対し、一目盛りあたりの長さを短くする目盛り比率を対応付けた請求項11又は12に記載の企業価値の評価装置。
【請求項14】
前記状況情報収集部が、ネットワークを介して前記情報出力源としてのコンピュータに接続し、当該コンピュータに記憶されているドキュメントを取得し、前記ドキュメントから前記状況の変動に関する語を抽出し、当該語のドキュメント中の位置又は/及び数に基づいて当該語のスコアーを求め、当該スコアーが閾値以上の場合に前記語を状況情報とする請求項11から13の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項15】
前記出力制御部は、前記企業価値の実績ベクトルと目標ベクトルを表示装置に表示する場合に、前記第1評価期間における前記企業価値の実績ベクトルの先端と目標ベクトルの先端とを結ぶ線が、前記表示装置の表示面と平行になるように前記三次元座標の向きを設定して表示画像を生成する請求項11から14の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項16】
前記評価部が、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記出力制御部が、前記三次元座標上に前記複数の評価期間について求めた前記企業価値の実績ベクトルの頂点を繋ぐ折れ線グラフを表示する請求項2から15の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項17】
前記評価部が、所定単位の評価期間であって時期の異なる複数の評価期間について、前記企業価値の実績ベクトルを求め、
前記原点を頂点として、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上の辺を有し、前記企業価値の実績ベクトルを対角線とする直方体の体積を求めて実績体積とし、前記複数の評価期間について求めた実績体積の推移を前記出力制御部が表示する請求項2から16の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項18】
前記複数の評価期間と各評価期間を示す色とを対応付けた色指定テーブルを記憶する色指定テーブル記憶部を更に備え、
前記出力制御部が、前記評価期間毎の色を前記色指定テーブルから読み出し、前記評価期間毎の色で前記直方体を表示する請求項17に記載の企業価値の評価装置。
【請求項19】
前記複数の評価期間の評価タイミングの経過に応じた表示タイミングで前記直方体を順次表示する請求項17又は18に記載の企業価値の評価装置。
【請求項20】
視差を有した右目用画像と左目用画像を時間的又は空間的に分離して表示することで立体視を可能とする立体表示装置を更に備え、
前記出力制御部が、前記三次元座標上の前記直方体を仮想視点から見た場合の右目用画像と左目用画像を生成し、前記立体表示装置に送信して表示させる請求項17から19の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項21】
前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸上にそれぞれ閾値を設定し、前記原点から前記MBA軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOT軸上の閾値までの直線と、前記原点から前記MOS軸上の閾値までの直線とを辺とする直方体を下限空間とし、前記評価部は、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えているか否かを判定し、前記企業価値の実績ベクトルの先端が前記下限空間を超えていなければ警告を発する請求項2から20の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項22】
前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MBA軸とのなす角度、前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOT軸とのなす角度、又は前記原点を頂点として前記企業価値の実績ベクトルと前記MOS軸とのなす角度が所定値以上である場合に前記評価部が警告を発する請求項2から21の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項23】
単位期間毎の目標を算出する目標算出部を備え、
前記目標算出部が、所定期間経過後のMOT指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOT指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMOS指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMOS指標の目標値を算出し、所定期間経過後のMBA指標の目標値に基づいて所定期間に至る各単位期間のMBA指標の目標値を算出し、任意の単位期間における前記MOT指標の目標値、前記MOS指標の目標値及び前記MBA指標の目標値から前記企業価値の目標ベクトルを求める、請求項1から22の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項24】
前記MOS指標が、サスティナビリティ指標とコンフォート指標を含み、
前記MBA指標が、営業利益達成度合、ROA達成度合、D/E比率達成度合、トランスフォーメーションの進捗、一株当りの利益率及び、時価総額、の少なくとも1つを含み、
前記MOT指標が、技術経営への資源投入度合、技術経営活動の期間目標達成度合、技術経営活動からの成果度合の少なくとも1つを含む請求項1から23の何れか一項に記載の企業価値の評価装置。
【請求項25】
企業価値の評価方法であって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクト
ルを企業価値の目標ベクトルとして求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画するステップと、
をコンピュータが実行する企業価値の評価方法。
【請求項26】
企業価値の評価プログラムであって、
企業の業績に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMBA指標の目標値、技術革新に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOT指標の目標値及び企業が持続的に活動する上で求められる社会的責任に係る所定の値に基づいて算出する指標であるMOS指標の目標値の入力を受けるステップと、
原点を通り互いに直交する三つの軸を設定し、前記三つの軸をMBA軸、MOT軸及びMOS軸とし、前記MBA軸、MOT軸及びMOS軸に、前記MBA指標の目標値、MOT指標の目標値及びMOS指標の目標値をそれぞれとり、前記原点から前記MBA指標の目標値までをMBA目標ベクトル、前記原点から前記MOT指標の目標値までをMOT目標ベクトル、前記原点から前記MOS指標の目標値までをMOS目標ベクトルとし、前記MBA目標ベクトル、前記MOT目標ベクトル及び前記MOS目標ベクトルの合成ベクトルを企業価値の目標ベクトルとして求めるステップと、
前記MBA軸、前記MOT軸及び前記MOS軸のなす三次元座標上に前記企業価値の目標ベクトルを描画するステップと、
をコンピュータに実行させるための評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2013−84244(P2013−84244A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182781(P2012−182781)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【出願人】(507212768)株式会社三菱ケミカルホールディングス (8)