説明

伐倒木の集材方法

【課題】山林で伐採された伐倒木を極めて効率良く集材場まで集材することができ、ひいては国産材の競争力をつけ、山林の荒廃をも防止することができる新規な伐倒木集材方法を提供する。
【解決手段】第1のウインチ61と第2のウインチ62とを交互に駆動させ、一方の主線1によりガイドされる第1の搬器11と、他方の主線2によりガイドされる第2の搬器12とを交互に往復動させることにより、上記一方及び他方の主線1,2の他端側で第1又は第2のフック61b,62bに係合させた伐倒木Wを該一方及び他方の主線1,2の一端側ないしは上記第1又は第2のウインチ61,62側に交互に移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山林で伐採された間伐材や丸太その他の伐倒木を集材場に集材するために使用される伐倒木の集材方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで山林で伐採された間伐材や丸太その他の伐倒木は、伐採された地点から林道等の道路に近い集材場まで集材・搬送し、この集材場において所定の重機を用いて枝葉を払うとともに所定の長さに切断した上でトラックに積載し、製材工場等に搬送する方法が採られている。
【0003】
ところで、上記山林で伐採された伐倒木を上記集材場まで搬送する集材方法は、これまで以下に説明する方法が採用されている。この従来の集材方法は、上記集材場から山林の傾斜方向にワイヤロープからなる主線(ないし主索)を張設(ないし張架又は架空)し、この主線に該主線にガイドされながら走行・移動可能とされた搬器を取り付ける(索道を設ける)一方、この主線の下側には、上記集材場の近傍に固定された一方のウインチから繰り出され、先端にはフックが固定されたワイヤを該主線に平行となる部位が形成されるよう配置する。また、上記主線の近傍には、他方のウインチを配置するとともに該主線の他端側には、滑車を取り付け、この他方のウインチを構成するワイヤを上記滑車に掛け渡すとともに先端を上記搬器に固定する。そして、上記主線の一端側にある搬器を、上記他方のウインチの駆動により主線の他端側(伐倒木が存在する位置)まで走行・移動させ、その上で、上記一方のウインチを構成するフックを伐倒木又は該伐倒木に巻回された係止用ワイヤ又はロープに係止させ、その上で上記一方のウインチを駆動させることにより、上記搬器を伐採地点(伐倒木が存在する位置)から集材場方向に移動・搬送させる方法である(特許文献1参照)。こうした集材方法は、他方のウインチを駆動させて1つの搬器を上記主線の他端側に移動させた上で、上記一方のウインチを構成するフックを伐倒木に係止させ、これが終了した後に上記一方のウインチを駆動させてワイヤを巻取ることにより、集材場方向に移動する搬器とともに伐倒木を移動させ、その後伐倒木から一方のウインチを構成するフックを外す方法である。すなわち、上記従来の集材方法は、一方及び他方のウインチを交互に駆動することにより、1つの搬器の往復動をさせて伐倒木を集材場に集材する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−51197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来の集材方法等のように、搬器を往復動することにより行われる集材方法は、上記主線の一端が固定された集材場には、集材・移送されてきた伐倒木から上記フックを外す作業を行う集材場側作業者と、上記主線が張設された範囲又はその近傍において上記一方のウインチを構成するフックを伐倒木に係止させる作業を行う伐採側作業者とがそれぞれ各所で作業を行うことにより集材作業が進められる。しかしながら、これまでのこうした集材方法では、例えば、上記伐採側作業者が、伐倒木に上記フックを係止する作業が終了すると、再び搬器が往復して伐採側(伐倒木が存在する位置)に帰還するまで待機しなければならず、同様に、上記集材場側作業者も、集材場側に移送された伐倒木を上記フックから取り外す作業が終了すると、再び搬器が往復して集材場に帰還するまで待機しなければならず、作業性が著しく悪化している。因みに、伐倒木を集材場まで集材・搬送する集材作業は、不安定な傾斜地で行われる極めて過酷な作業である。他方、我が国の林業は、外国から輸入された安価な木材との価格競争にさらされ、競争力を失っているのが実情であり、上記過酷な作業環境と人件費の高騰とも相俟って我が国の木材の販売量が落ち、このため山林の荒廃も進んでいる。したがって、これまで林業で行われてきた集材作業の効率化は、輸入材との競争力にも十分寄与するとともに労働者の確保ないし雇用の創出に貢献するものである。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来の伐倒木の集材方法が有する課題を解決するために提案されたものであって、山林で伐採された伐倒木を極めて効率良く集材場まで集材することができ、ひいては国産材の価格競争力をつけるとともに林業における雇用の創出を促し、山林の荒廃をも防止することができる新規な伐倒木集材方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、山林の傾斜面の傾斜方向に沿って、それぞれ線材からなる一方の主線と他方の主線とを互いに平行に、又は該一方の主線と他方の主線との各一端側又は他端側が互いに離間するよう傾斜して張設し、上記一方の主線には、第1の滑車を備えた第1の搬器を該一方の主線にガイドされながら走行可能な状態で配置し、上記他方の主線には、第2の滑車を備えた第2の搬器を該他方の主線にガイドされながら走行可能な状態で配置し、上記一方の主線の一端側には、伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止される第1のフックが先端に固定された第1のワイヤを有する第1のウインチを固定するとともに、該第1のワイヤの中途部を上記第1の滑車に掛け渡し、上記他方の主線の一端側には、伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止される第2のフックが先端に固定された第2のワイヤを有する第2のウインチを固定するとともに、該第2のワイヤの中途部を上記第2の滑車に掛け渡し、上記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器に接続線の一端を接続し、該接続線の他端を上記一端が接続された搬器とは異なる他方の搬器に接続し、または、上記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器に接続線の一端を接続し、該接続線の中途部を上記一端が接続された搬器とは異なる他方の搬器に係止し、該接続線の他端を、上記接続線の一端が接続された上記一方の搬器に接続するとともに、複数の接続線用滑車を用いて、上記接続線の中途部が、上記一方の主線や他方の主線と平行となる部位が形成されるように該接続線を支持させ、上記第1のウインチと第2のウインチとを交互に駆動させ、上記一方の主線によりガイドされる第1の搬器と上記他方の主線によりガイドされる第2の搬器とを交互に往復動させることにより、上記一方及び他方の主線の他端側で上記第1又は第2のフックに係合させた伐倒木を該一方及び他方の主線の一端側ないしは上記第1又は第2のウインチ側に交互に移送することを特徴とするものである。
【0008】
上記第1の発明に係る伐倒木の集材方法では、例えば、上記第1の搬器が第1のウインチ側(一方の主線の一端側)に位置するとき、上記第2の搬器は、該第1の搬器よりも他方の主線の他端側に位置している。こうした位置関係とは逆に、上記第2の搬器が一方の主線の一端側に位置している場合には、上記第1の搬器は、該第2の搬器よりも他方の主線の他端側に位置している。なお、上記第1又は第2の搬器が、一方又は他方の主線側に位置している場合における両者の距離は、少なくともこの第1の発明においては、接続線の長さによる。一方及び他方の主線の長さが一定である場合において、この接続線の長さが長ければ長いほど、上記位置関係における両者の距離は短く、逆に接続線の長さが短い(一方及び他方の主線の長さに近い)場合には、上記位置関係における両者の距離は長くなる。そして、先に説明した位置に、第1の搬器と第2の搬器とがそれぞれ存在する場合、第1の搬器の移動に伴い搬送されてきた伐倒木を第1のフックから取り外す作業がなされ、このとき第2の搬器が位置する場所では、伐採された伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に第2のフックを係止させる作業が行われる。そして、上記一方の主線の一端側に移送された伐倒木を第1のフックから取り外す作業と、他方の主線の他端側において伐倒木を第2のフックに係止する作業が何れも終了すると、次いで、上記第2のウインチを駆動させ、該第2のウインチを構成する第2のワイヤを巻き上げる。このとき、上記第1のウインチはフリーの状態としておく。そして、上記第2のウインチの駆動が開始すると、第2の滑車まで伐倒木が引き寄せられるとともに、第2の滑車と伐倒木とが最大限接近すると、次いで第2の搬器が他方の主線にガイドされながら徐々に第2のウインチ側(第2の主線の一端側)に移動する。このとき、上記第2の搬器と第1の搬器とは、上記接続線により互いに連結されているととともに、この接続線の中途部は、上記一方の主線と平行になる部位と、上記他方の主線に平行となる部位とが形成されるように、中途部が複数の接続線用滑車に支持されていることから、第1の搬器は、第2の搬器の移動距離と同じ距離に亘って一方の主線の他端側に移動する。そして、上記第2の搬器が他方の主線の一端側(第2のウインチ側)に移動(到着)すると、第1の搬器は、当初第2の搬器が位置していた場所に近い位置に到着する。
【0009】
したがって、上記第1の発明に係る伐倒木の集材方法を使用することにより、単一の搬器を往復動させることにより行われていた従来の集材方法に比べて極めて効率性の高い集材作業(2倍の作業量)を実現することができる。
【0010】
なお、上記一方の主線と他方の主線とは、互いに平行となるよう張設されることが好ましいが、該一方の主線と他方の主線との一端側又は他端側が互いに接近するようにやや傾斜して張設されているものであっても良い。また、上記第1及び第2の搬器は、それぞれ少なくとも上記一方の主線又は他方の主線に支持・ガイドされる機構ないし構成(例えば滑車等)と、第1又は第2のウインチを構成する第1又は第2のワイヤの中途部が掛け渡される第1又は第2の滑車を備えていれば良く、上記第1及び第2の滑車は単一であっても複数であっても良い。また、上記一方の主線と他方の主線との距離は、少なくとも一方及び他方の搬器が互いにすれ違う際に衝突する等の支障がない程度の距離であれば足り、作業現場の状況や作業者の数等によって適宜決定すれば良い。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線の他端と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方に、それぞれ互いに連結部が形成された複数の調整線材を直線状に連結して配置し、または、接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方に円周の長さを変更することができるループ状の調整線材を配置し、上記調整線材の数を適宜増減し又は円周の長さを変更することにより、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら伐倒木の移送を行うことを特徴とするものである。
【0012】
この第2の発明に係る伐倒木の集材方法は、上記第1の発明を構成する接続線の一端を第1又は第2の搬器の何れかに接続し、該接続線の他端を、該接続線の一端が固定された搬器とは異なる搬器に接続したものに対して、さらに複数の調整線材又は単一の調整線材を使用したものである。この第2の発明に係る伐倒木の集材方法では、上述した調整線材を第1又は第2の搬器と接続線の一端又は他端との間に配置して伐倒木を集材するものであることから、以下に説明する方法により、山林で伐採された伐倒木を集材することができる。例えば、第1の搬器が最も一方の主線の一端側に位置する場合における第2の搬器が、該第1の搬器から例えば20m離れた位置となるように、上記複数の調整線材を第1の搬器と接続線の一端との間、又は第2の搬器と接続線の他端との間に配置(介在)させる。こうした調整線材を介在させた上で、前述したように、第2のウインチを駆動させ、或いはその後に第1のウインチを駆動させると、該第1の搬器と第2の搬器とは20mの距離に亘って往復動することとなる。すなわち、この方法によれば、一方及び他方の主線の一端側である集材場から約20m離間した位置で伐採された伐倒木を集材することができる。その後、上記調整線材の数を減少させ又は増加させるか、或いは上記ループ状の調整線材を使用する場合には、円周の長さを短くするか長くすれば、第1の搬器と第2の搬器との距離が短くなり又は長くなる。例えば、第1の搬器と第2の搬器との長さを短くすれば、上記一方及び他方の主線の一端側(集材場)から20mより更に長い距離に亘って第1及び第2の搬器がそれぞれ往復動することとなり、逆に第1の搬器と第2の搬器との長さを長くすれば、上記一方及び他方の主線の一端側(集材場)から20mより短い距離に亘って第1及び第2の搬器がそれぞれ往復動することとなる。通常は、集材場に近接した位置で伐採された伐倒木を集材し、その後徐々に集材場からの距離を伸ばしながら集材することから、上記それぞれ連結するタイプの調整線材を使用する場合には、より多くの調整線材を予め直線状に連結しておき、その後順番に該調整線材を取り外して行けば良い。また、ループ状の調整線材を使用する場合には、円周の長さを長くした上で上記位置に配置(介在)させ、その後徐々に該円周の長さを短くすることにより、同様の作業が可能となる。
【0013】
なお、この第2の発明に係る伐倒木の集材方法は、前記接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方の搬器に調整線材を配置(介在)させて伐倒木を集材する方法である。したがって、この調整線材は、上述したように、接続線の一端と前記第1の搬器との間又は接続線の他端と第2の搬器との間の何れか一方にのみに配置するか、更には接続線の一端と第1の搬器との間と該接続線の他端と第2の搬器との間の双方に配置しても良い。また、上記調整線材は、互いに連結部が形成された個々の調整線材を用い、これを複数個直線状に連結しても良いし、或いは、直線状の線材をループ状に曲げ、そのループの円周の長さを変更することができるようにした単一の調整線材又はこうした調整線材を複数連結してなる調整線材を使用しても良い。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1の発明において、前記接続線の一端を前記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器の他端に接続し、該接続線の他端を上記一方の搬器の一端に接続することにより、該接続線を、間に第1の搬器又は第2の搬器を介在させた状態で無端状に配置し、この接続線が接続された一方の搬器とは異なる他方の搬器を上記接続線の中途部に係止し、該接続線を係止した他方の搬器と接続線との係止状態を解除して係止位置を変更して再び係止させることにより、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら伐倒木の移送を行うことを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明に係る伐倒木の集材方法では、一端と他端との間に第1の(一方の)搬器(又は第2の搬器/他方の搬器)が介在した状態で、無端状に配置された接続線を用いている。そこで、上記第1の(一方の)搬器(又は第2の搬器/他方の搬器)を、前記第1のウインチ(又は第2のウインチ)を駆動させ、一方の主線(又は他方の主線)にガイドされながら走行・移動させると、上記第1の(一方の)搬器(又は第2の搬器/他方の搬器)とは異なる第2の(他方の)搬器も、該接続線の中途部に係止されていることから、該第1の(一方の)搬器(又は第2の搬器/他方の搬器)の移動方向とは逆方向に移動する。例えば、第1の搬器(一方の搬器)が最も一方の主線の一端側に位置する場合における第2の搬器(他方の搬器)が、該第1の搬器から(例えば)20m離れた位置となるように、該第2の搬器(他方の搬器)を接続線に係止させる。こうした状態において、第2のウインチを駆動させ、或いはその後に第1のウインチを駆動させると、該第1の搬器と第2の搬器とは(一方又は他方の搬器とは)20mの距離に亘って往復動することとなる。すなわち、この方法によれば、一方及び他方の主線の一端側である集材場から約20m離間した位置で伐採された伐倒木を集材することができる。その後、上記第2の搬器(他方の搬器)の接続線に対する係止位置を他方の主線の他端側又は一端側に移動・変更させて再び該接続線に係止させると、最も一方の主線の一端側に位置した状態における該第1の搬器と第2の搬器との距離(一方又は他方の搬器との距離は)が長くなり又は短くなる。例えば、第1の搬器と第2の搬器との距離(一方又は他方の搬器との距離)を短くすれば、上記一方及び他方の主線の一端側(集材場)から20mより更に長い距離に亘って第1及び第2の搬器(一方及び他方の搬器)がそれぞれ往復動することとなり、逆に第1の搬器と第2の搬器との距離(一方又は他方の搬器との距離)を長くすれば、上記一方及び他方の主線の一端側(集材場)から20mより短い距離に亘って第1及び第2の搬器(一方又は他方の搬器)がそれぞれ往復動することとなる。通常は、集材場に近接した位置で伐採された伐倒木を集材し、その後徐々に集材場からの距離を伸ばしながら集材することから、最も一方の主線の一端側に位置した状態における該第1の搬器と第2の搬器(一方又は他方の搬器)との距離を短くした状態で該第2の(他方の)搬器(又は第1の搬器/一方の搬器)を接続線の中途部に係止させて伐倒木を移送し、その後徐々に該第1の搬器と第2の搬器との距離(一方又は他方の搬器との距離)を長くすることにより、一方及び他方の主線の一端側(集材場)から離れた位置で伐採された伐倒木を集材することが可能となる。
【0016】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、前記第3記載の発明を構成する前記一方又は他方の主線の長さ方向とは直交する方向に、第1の中間滑車と第2の中間滑車とを取り付け、上記第1の中間滑車には、前記第1のウインチを構成する第1のワイヤ又は前記第2のウインチを構成する第2のワイヤの何れか一方のワイヤの中途部を掛け渡し、上記第2の中間滑車には、上記第1のワイヤ又は第2のワイヤであって上記第1の中間滑車に掛け渡されたワイヤとは異なる他方のワイヤを掛け渡し、上記第1の中間滑車に掛け渡した一方のワイヤの先端を、この一方のワイヤの中途部が前記一方の主線及び他方の主線と交差した状態で該第1の中間滑車とは離間した位置に固定するとともに、この一方ワイヤには、第3の滑車を備えた第3の搬器を該一方のワイヤにガイドされながら走行可能な状態で配置し、上記第2の中間滑車に掛け渡された上記他方のワイヤの中途部を上記第3の滑車に掛け渡し、上記一方のワイヤの先端の近傍に、第3のウインチを固定するとともに、この第3のウインチから引き出された第3のワイヤの先端を上記第3の搬器に接続することにより、上記第1の中間滑車に掛け渡された中途部から先端までにおける一方のワイヤを第3の主線として利用しながら、この第3の主線にガイドされる上記第3の搬器と、上記他方のワイヤの先端に固定されたフックを利用して、上記一方及び他方の主線と直交する方向で伐採された伐倒木を該一方及び他方の主線側に移送し、その後に、上記第3の集材方法を行うことを特徴とするものである。
【0017】
この第4の発明に係る伐倒木の集材方法では、例えば、前記第3の発明の構成要素である第1のウインチ(又は第2のウインチ)を構成する第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)の中途部を第1の中間滑車(又は第2の中間滑車)に掛け渡し、この第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)の先端を、その中途部が一方又は他方の主線と交差した状態で該第1の中間滑車(又は第2の中間滑車)とは離間した位置に固定するとともに、この第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)には、第3の滑車を備えた第3の搬器を走行可能な状態で配置し、上記第2の中間滑車に掛け渡された上記第2の(他方の)ワイヤ(又は第1のワイヤ/一方のワイヤ)の中途部を上記第3の滑車に掛け渡し、上記第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)の先端の近傍に、第3のウインチを固定するとともに、この第3のウインチから引き出された第3のワイヤの先端を上記第3の搬器に固定するものであるである。したがって、上記第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)の基端側(第1の中間滑車側)に上記第3の搬器が位置している状態において、上記第1のウインチ(又は第2のウインチ)をフリーの状態としながら、上記第3のウインチを駆動すると、上記第3の搬器は、第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)にガイドされながら第3のウインチ側に移動する。そして、このように所定の位置に移動した第3の搬器を構成する第3の滑車には、先端に第2のフック(又は第1のフック)が固定された第2の(他方の)ワイヤ(又は第1のワイヤ/一方のワイヤ)の中途部が掛け渡されていることから、この第2のフック(又は第1のフック)を伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止し、その上で、上記第2のウインチ(又は第1のウインチ)を駆動する。このとき、上記第3のウインチがフリーの状態としておく。すると、上記第3の搬器は、上記第2の中間車側(又は第1の中間滑車側)、すなわち、一方又は他方の主線が張設されている方向に移動する。なお、こうした第3の搬器を用いて上記一方又は他方の主線とは直交する方向に離れた伐倒木を、該一方又は他方の主線側に移送する場合には、該一方又は他方の主線に近い位置で伐採された伐倒木から集材し、徐々に該一方又は他方の主線から離れた位置で伐採された伐倒木を集材することが好ましい。
【0018】
また、特定の伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に第2のフック(又は第1のフック)を係止させる場合、上記第2のウインチ(又は第1のウインチ)はフリーの状態にして行われることから、第3の搬器の直下に存在する伐倒木以外に、該第3の搬器の近傍で伐採された伐倒木も移送することができるが、該第2のウインチ(又は第1のウインチ)を構成する第2の(他方の)ワイヤ(又は第1のワイヤ/一方のワイヤ)の長さが許す範囲内において、該第2の(他方の)ワイヤ(又は第1のワイヤ/一方のワイヤ)を引き延ばし、上記第3の搬器から離れた位置に存在数する伐倒木を集材しても良い。しかし、このように第2のワイヤ(又は第1のワイヤ)を引き延ばし、上記第3の搬器から離れた位置に存在数する伐倒木まで作業者が山林を移動するのは極めて過酷である。そこで、上記第3の搬器の移動範囲の近傍に存在する伐倒木を上記一方又は他方の主線側に集材する作業が終了した場合には、上記第1及び第2の中間滑車の位置を、一方又は他方の主線の一端側又は他端側に移動させるとともに、それまで先端を固定していた第1の(一方の)ワイヤ(又は第2のワイヤ/他方のワイヤ)を外し、上記第1及び第2の中間滑車の移動方向と同じ方向に移動させて新たに固定し、また上記第3のウインチを新たに固定した上記一方のワイヤの先端近傍に配置して、再度上記第3の搬器等を利用して同様の移送・集材を行う。こうした集材作業が終了すると、次いで上記第3の発明に係る集材方法を行う。
【0019】
したがって、上記第4の発明に係る伐倒木の集材方法によれば、第1のワイヤ又は第2のワイヤである一方のワイヤが張設された部位やその近傍において伐採された伐倒木を上記一方又は他方の主線側に容易に移送することができる。また、前述した通り、上記第1及び第2の中間滑車の位置を、一方又は他方の主線の一端側又は他端側に移動させるとともに、それまで先端を固定していた第1のワイヤ又は第2のワイヤである一方のワイヤを外し、上記第1及び第2の中間滑車の移動方向と同じ方向に移動させて新たに固定し、また上記第3のウインチを新たに固定した上記一方のワイヤの先端近傍に配置して、再度上記第3の搬器等を利用して同様の集材を行うことにより、第3の搬器から相当離れた場所にまで作業者が往復移動する必要性が無いことから、一層作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0020】
なお、上記第1の中間滑車と第2の中間滑車とは、それぞれ別体となされたものであっても良いが、それぞれの回転軸が同一軸芯となされた所謂ダブル滑車を利用しても良い。
【0021】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、前記第4の発明を構成する前記一方のワイヤであって該一方のワイヤの先端と前記第3の搬器との間の任意の位置に、第4の滑車と、掛け渡されたワイヤの取り外しが可能な第5の滑車と、をそれぞれ備えた第4の搬器を、該一方のワイヤに対して移動可能に支持させた状態で固定しておき、この第4の搬器とは離間した位置に、第3の中間滑車を固定し、前記第3のウインチを構成する第3のワイヤの先端には一方のフックと他方のフックとを設け、該第3のワイヤの中途部は、上記第4の滑車,上記第3の中間滑車及び上記第5の滑車にそれぞれ掛け渡すとともに上記一方のフックを前記第3の搬器に係止し、他方のフックを上記一方のワイヤの先端に固定された第2又は第1のフック又はその近傍に係止し、上記第3のウインチの駆動により、上記第3の搬器を上記一方のワイヤの長さ方向の任意の位置に移動させた後に、それまで上記第5の滑車に掛け渡されていた上記第3のワイヤを該第5の滑車から取り外すとともに、それまで第3の搬器に係止されていた上記一方のフックを該第3の搬器から取り外し、
次いで、上記第3のウインチを駆動させることにより、第3のワイヤの先端と上記他方のフックに係止された第2又は第1のワイヤである他方のワイヤの先端とを、上記第4の搬器と第3の中間滑車との間の任意に位置まで移動させ、該位置の近傍で伐採された伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止し、次いで、上記第2のウインチ又は第1のウインチを駆動させることにより、該伐倒木を上記第4の搬器の近傍まで移動させた後に、上記第3のワイヤの中途部を上記第5の滑車に掛け渡し、その後該第2のウインチ又は第1のウインチを駆動させることにより、上記一方又は他方の主線側に伐倒木を移送し、その後に第3の発明に係る集材方法を行うことを特徴とするものである。
【0022】
この第5の発明では、例えば、第3の搬器が前記第1又は第2の中間滑車の近傍に位置している状態において、第3のウインチを駆動させる(この場合には第2又は第1のウインチはフリーの状態としておく)ことにより、該第3の搬器は第4の搬器に接近するよう移動し、逆に、(第3のウインチをフリーの状態として)第1又は第2のウインチを駆動させることにより、第3の搬器は第4の搬器からは離れるように移動する。なお、こうした第3の搬器の動作は、前記第4の発明と同様である。そして、この第3の搬器を任意の位置に到達したとき、それまで上記第5の滑車に掛け渡されていた上記第3のワイヤを該第5の滑車から取り外すとともに、それまで第3の搬器に係止されていた上記一方のフックを該第3の搬器から取り外し、次いで、上記第3のウインチを駆動させることにより、第3のワイヤの先端と上記他方のフックに係止された第2又は第1のワイヤである他方のワイヤの先端とを、上記第4の搬器と第3の中間滑車との間の任意に位置まで移動させる。なお、このように第3のワイヤの先端と他方のワイヤの先端とを移動させる場合には、上記第3のウインチと第2又は第1のウインチはフリーの状態にしておく。そして、上記第2のワイヤ又は第1のワイヤの先端に固定された第2のフック又は第1のフックを伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止する。そして、第3のウインチをフリーの状態としながら、上記第2又は第1のウインチを駆動させることにより、該伐倒木を上記第4の搬器の近傍まで移動させ、その後に、上記第3のワイヤの中途部を上記第5の滑車に掛け渡し、その後該第2のウインチ又は第1のウインチを駆動させることにより、上記一方又は他方の主線側に伐倒木を集材させる。そして、こうした集材方法が終了すると、先に第3の発明に係る集材方法を行う。
【0023】
こうした集材方法ないし工程により、第4の搬器と第3の中間滑車との間やその近傍で伐採された伐倒木を容易に集材することができるが、さらに、こうした範囲における集材作業が終了した後に、上記第4の搬器の固定位置を変更するとともに、上記第3の中間滑車の固定位置も変更すれば、さらに集材範囲を広範なものとすることが可能となり、より集材作業の効率性を向上させることができる。
【0024】
したがって、この第5の発明に係る伐倒木の集材方法によれば、先に説明した一方又は他方の主線の近傍や、第3の搬器の移動可能範囲に近接した範囲ばかりではなく、上記第4の搬器と第3の中間滑車との間やその近傍で伐採された伐倒木までもを、簡単且つ容易に集材することができ、従来の集材方法に比べて格段に集材効率を向上させることができ、ひいては、過酷な作業環境を改善することができ、国産の木材の競争力向上に十分寄与することができる。
【0025】
なお、この第5の発明において、上記第3の中間滑車の固定位置は、必ずしも上記第4の搬器から先に説明した一方又は他方の主線の長さ方向と平行となる位置とする費用はなく、該一方又は他方の主線の長さ方向と傾斜する方向としても良い。また、上記一方又は他方の主線の他端(前記第1のウインチや第2のウインチが固定された側とは反対側)よりもさらに前方に、上記第3の中間滑車を固定しても良い。第3の中間滑車をこのような位置に固定することにより、更に広範囲に亘って伐倒木を集材することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る伐倒木の集材方法では、第1のウインチと第2のウインチとを交互に駆動させることにより、上記一方の主線によりガイドされる第1の搬器と、上記他方の主線によりガイドされる第2の搬器とを交互に往復動させることにより、上記一方及び他方の主線の他端側で上記第1又は第2のフックに係合させた伐倒木を該一方及び他方の主線の一端側ないしは上記第1又は第2のウインチ側に交互に集材するものであることから、この第1の発明に係る伐倒木の集材方法によれば、単一の搬器を往復動させることにより行われていた従来の集材方法に比べて極めて効率性の高い集材作業(2倍の作業量)を実現することができる。
【0027】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線の他端と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方に、前述した調整線材を配置し、上記調整線材の数を適宜増減するなどして、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら集材を行うことから、この第2の発明に係る伐倒木の集材方法によれば、一方又は他方の主線の一端側から他端側に存在する伐倒木を順番に集材することができ、広範囲に亘って伐採された伐倒木を簡単且つ効率良く集材することが可能となる。
【0028】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、接続線の両端が固定された搬器とは異なる搬器と接続線との係止状態を解除して係止位置を変更して再び係止させることにより、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら集材を行うものであることから、この第3の発明に係る伐倒木の集材方法による場合であっても、上記第2の発明と同じように、一方又は他方の主線の一端側から他端側に存在する伐倒木を順番に集材することができ、広範囲に亘って伐採された伐倒木を簡単且つ効率良く集材することが可能となる。
【0029】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、第1の中間滑車に掛け渡された中途部から先端までにおける一方のワイヤを第3の主線として利用しながら、この第3の主線にガイドされる上記第3の搬器と、上記他方のワイヤの先端に固定されたフックを利用して、上記一方及び他方の主線と直交する方向で伐採された伐倒木を該一方及び他方の主線側に集材し、その後に、請求項3記載の集材方法を行うものであることから、この第4の発明に係る伐倒木の集材方法によれば、上記第1、第2又は第3の発明のように、一方又は他方の主線の近傍に存在する伐倒木以外に、該一方又は他方の主線の長さ方向と直交する方向に存在する伐倒木をも簡単且つ効率良く集材することができる。また、上記第1及び第2の中間滑車の位置を、一方又は他方の主線の一端側又は他端側に移動させるとともに、それまで先端を固定していた第1のワイヤ(又は第2のワイヤ)である一方のワイヤを外し、上記第1及び第2の中間滑車の移動方向と同じ方向に移動させて新たに固定し、また上記第3のウインチを新たに固定した上記一方のワイヤの先端近傍に配置して、再度上記第3の搬器等を利用して同様の集材を行うことにより、より広範囲に亘って存在する伐倒木を簡単且つ効率良く集材することが可能となる。
【0030】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)に係る伐倒木の集材方法によれば、先に説明した一方又は他方の主線の近傍や、第3の搬器の移動可能範囲に近接した範囲ばかりではなく、上記第4の搬器と第3の中間滑車との間やその近傍で伐採された伐倒木までもを、簡単且つ容易に集材することができ、従来の集材方法に比べて格段に集材効率を向上させることができ、ひいては、過酷な作業環境を改善することができ、国産の木材の競争力向上に十分寄与することができる。また、この第5の発明に係る伐倒木の集材方法では、第4の搬器と第3の中間滑車との間やその近傍で伐採された伐倒木を容易に集材することができるが、さらに、こうした範囲における集材作業が終了した後に、上記第4の搬器の固定位置を変更するとともに、上記第3の中間滑車の固定位置も変更すれば、さらに集材範囲を広範なものとすることが可能となり、より集材作業の効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を実施するためにセットされた各主線等を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す第1(及び第2)の搬器の一例を示す斜視図である。
【図3】図1に示す各主線等を模式的に示す平面図である。
【図4】図3に示す状態から第1及び第2の搬器が移動した後の状態を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を実施するためにセットされた各主線等を模式的に示す平面図である。
【図6】図5に示す状態から第1及び第2の搬器が移動した後の状態を模式的に示す平面図である。
【図7】調整線材の一例を示す側面図である。
【図8】調整線材の他の例を示す側面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を実施するためにセットされた各主線等を模式的に示す平面図である。
【図10】図9に示す状態から第1及び第2の搬器が移動した後の状態を模式的に示す平面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を実施するためにセットされた各主線等を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を実施するためにセットされた第3の搬器や第4の搬器等を模式的に示す平面図である。
【図13】図12に示す状態から第3のウインチを構成する第3のワイヤを第5の滑車から取り外した状態を模式的に示す平面図である。
【図14】第5の滑車の取付状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る伐倒木の集材方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態に係る伐倒木の集材方法について詳細に説明する。
【0033】
この第1の実施の形態に係る伐倒木の集材方法は、図1に示すように、一方の主線1や他方の主線2を張設・架設ないし架空(以下、張設という。)させる。上記一方の主線1及び他方の主線2は、何れもワイヤロープからなるものであり、それぞれ両端は伐採されていない立木T,T,T,Tの中途部に巻回した状態で固定されている。なお、これら一方及び他方の主線1,2の両端が固定されている各T,T,T,Tには、該一方及び他方の主線1,2の安定した張設状態を維持するために、各立木T,T,T,Tとこれらの近傍の立木T,T,T,T,T,T10との間は、それぞれ反力用の補助ワイヤ3・・・10が張設されている。なお、本発明においては、上記一方及び他方の主線は、こうした立木T,T,T,Tに固定して張設しなければならないものではなく、図示しない重機や人工的なポール等に固定しても良い。
【0034】
また、この実施の形態では、上記一方の主線1と他方の主線2とは、山林の傾斜方向に沿って張設したものであるとともに、それぞれ互いに平行に張設したものであるが、該一方の主線1に対して他方の主線2が傾斜したものであっても良い。そして、上記一方の主線1には、第1の搬器11が、該一方の主線1の長さ方向にガイドされながら走行可能に支持されている。また、上記他方の主線2には、第2の搬器12が、該他方の主線2の長さ方向にガイドされながら走行可能に支持(配置)されている。これら第1及び第2の搬器11,12は、何れも同一の形状及び構造からなるものであって、図2に示すように、
長方形状に成形された搬器本体13(14)と、この搬器本体13(14)の上部の前後にそれぞれ配置され回転自在となされた一方及び他方の走行用滑車15(16),17(18)と、上記搬器本体13(14)の下方に配置されカバー19(20)の内側に回転自在に配置された第1の滑車21(22)と、を備えている。上記一方及び他方の走行用滑車15(16),17(18)は、それぞれ下端が上記搬器本体13(14)に溶接された2つの支持片23,24(25,26),27,28(29,30),に固定された回動軸31(32),33(34)に回動自在に支持されている。また、上記カバー19(20)は、上記搬器本体13(14)の下面の上端が溶接された2つのアーム35,36(37,38)の下端側に両端が固定された回動軸39(40)に回動自在に支持されている。
【0035】
また、上記搬器本体13(14)の一端には、一方の係止具41(42)が該搬器本体13(14)に対して着脱可能に取り付けられており、他端には他方の係止具43(44)が該搬器本体13(14)に対して着脱可能に取り付けられている。なお、上記一方及び他方の係止具41(42),43(44)は何れもシャックルである。また、上記搬器本体13(14)の下面であって上記2つのアーム35,36(37,38)の溶接位置を挟んだ両側には、後述する接続線の中途部を挟むことにより該接続線にこの第1(第2)の搬器11(12)を固定する挟持部材45(46),47(48)が取り付けられている。これらの挟持部材45(46),47(48)は、上記搬器本体13(14)の下面に溶接され両端側周面にはネジが螺刻されたたU字状のボルト部材49(50),51(52)と、これらのボルト部材49(50),51(52)が挿通されるとともに該ボルト部材49(50),51(52)と協同して上記接続線の中途部を挟持する挟持体53(54),55(56)と、上記ボルト部材49(50),51(52)の両端側に螺着される2つのナット57,58とから構成されている。
【0036】
そして、この第1の実施の形態に係る伐倒木の集材方法においては、図1及び図2に示すように、上記一方の主線1の一端側近傍には、第1のウインチ61が固定され、この第1のウインチ61を構成する第1のワイヤ61aの中途部は、上記第1の搬器11を構成する第1の滑車21に掛け渡されており、該第1のワイヤ61aの先端には、第1のフック61bが固定されている。また、上記他方の主線2の一端側近傍には、第2のウインチ62が固定され、この第2のウインチ62を構成する第2のワイヤ62aの中途部は、上記第2の搬器12を構成する第2の滑車22に掛け渡されており、該第2のワイヤ62aの先端には、第2のフック62bが固定されている。なお、上記第1のワイヤ61aと第2のワイヤ62aの先端側中途部には、それぞれ第1の滑車21又は第2の滑車22に掛け渡された該第1のワイヤ61a又は第2のワイヤ62aが脱落することを防止するためのストッパー61c(62c)が取り付けられている。
【0037】
また、この実施の形態に係る伐倒木の集材方法では、上記第1の搬器11と第2の搬器12とは、接続線63により接続されている。この接続線63は、ワイヤロープからなるものであって、一端は一方の接続線側フック63aが固定され、他端には、他方の接続線側フック63bが固定されている。そして、上記一方の接続線側フック63aは、上記第1の搬器11を構成する他方の係止具43に係止されており、上記他方の接続線側フック63bは、上記第2の搬器12を構成する他方の係止具44に係止されている。また、この接続線63の中途部は、第1の接続線用滑車65と第2の接続線用滑車66とに掛け渡されている。上記第1の接続線用滑車65は、上記一方の主線1の他端側に該一方の主線1が固定されている立木Tに線材(符号は省略する。)を介して取り付けられており、また、第2の接続線用滑車66は、上記他方の主線2の他端側に該他方の主線2が固定されている立木Tに線材(符号は省略する。)を介して取り付けられている(図1参照)。そして、上記接続線63は、一端側から上記第1の接続線用滑車65に掛け渡された部位までは、上記一方の主線1と平行とされ、他端側から上記第2の接続線用滑車66に掛け渡された部位までは、上記他方の主線2と平行とされている。なお、この第1の実施の形態では、上記接続線63の長さは、一方の主線1と他方の主線2との長さに、上記第1の接続線用滑車65と第2の接続線用滑車66までの長さと略等しい長さとされている。
【0038】
そこで、以下、上述した構成にセットされた状態で伐倒木Wを集材する方法を説明する。先ず、上記第1のウインチ61を駆動するとともに第2のウインチ62をフリーの状態として、上記第1の搬器11が、図1に示すように、一方の主線1の一端側(集材場側)に位置するようにすると、上述したように、接続線63の長さが、一方の主線1と他方の主線2との長さに、上記第1の接続線用滑車65と第2の接続線用滑車66までの長さと略等しい長さとされていることから、第2の搬器12は、上記他方の主線2の他端側に位置することとなる。そこで、この第2の搬器12が他方の主線2の他端側に位置した状態において、該第2の搬器12の近傍で伐採された伐倒木Wに巻回された線材(符号は省略する。)に、上記第2のフック62bを係止させる。なお、第2のウインチ62がフリーの状態である場合には、上記第2のフック62bを作業者が把持して引き出せば、第2のワイヤ62aは引き延ばされることから、作業者は上記第2の搬器12の近傍又は第2のワイヤ62aの長さに応じて第2のフック62bが届く範囲に存在する伐倒木Wに係止することができる。そして、こうした作業が終了すると、次いで、(第1のウインチ61はフリーの状態として)上記第2のウインチ62を駆動すると、伐倒木Wは徐々に第2の搬器12側に移動し、やがて上記第2のストッパー62cがカバー20に当接し、該第2の搬器12は他方の主線2にガイドされながら該第2の主線2の一端側に走行・移動し、図4に示す位置に到着したとき、上記第2のウインチ62の駆動を停止させ、上記第2のフック62bに係止された伐倒木Wを外す。このように、第2の搬器12が他方の主線2の一端側に到達したとき、上記第1の搬器11は、図4に示すように、上記一方の主線1の他端側に位置する。したがって、作業者は上記要領と同じ要領で、上記第1のフック61bに近傍に存在する伐倒木Wに係止する作業を行う。
【0039】
このように、上記第1のウインチ61と第2のウインチ62とを交互に駆動させ、上記第1の搬器11と第2の搬器12とを交互に往復動させることにより、一方及び他方の主線1,2の一端側が固定された集材場では、交互に到着する第1又は第2の搬器11、12により移動してくる伐倒木Wを第1又は第2のフック61b,62bから取り外す作業を行い、他方、一方及び他方の主線1,2の他端側においては、それらの近傍で伐採された伐倒木Wに上記第1又は第2のフック61b,62bに係止する作業を行うことができるので、単一の搬器を使用していた従来の伐倒木Wの集材方法に比べて作業効率を2倍に増加させることが可能となる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る伐倒木の集材方法について詳細に説明する。この第2の実施の形態に係る伐倒木の集材方法は、図5及び図6に示すように、上述した集材方法で説明した接続線63に複数の調整線材70を用いて集材を行うものである。この調整線材70は、図7に示すように、ワイヤ等のからなる線材本体70aと、この線材本体70aの一端に固定された係止金具70bと、該線材本体70aの他端に固定された係止リング70cとから構成されている。そして、この第2の実施の形態に係る伐倒木の集材方法は、図5に示すように、上記係止金具70bと係止リング70cとを用いて複数の調整線材70を連結させ、この連結された調整線材群(符号は省略する。)を、上記第1の搬器11と接続線63の一端との間に連結させるとともに、上記第2の搬器12と接続線63の他端との間に連結させて行う。すなわち、上記第1の搬器11側では、一端側に連結された調整線材70を構成する係止金具70bを上記他方の係止具43に係止し、他端に連結された調整線材70を構成する係止リング70cを上記一方の接続線側フック63aに係止する。また、第2の搬器12側では、他端側に連結された調整線材70を構成する係止金具70bを上記第2の搬器12を構成する一方の係止具44に係止し、一端に連結された調整線材70を構成する係止リング70cを上記他方の接続線側フック63bに係止する。なお、上記調整線材70を互いに連結して用いる際、該調整線材70の数は、上記第1又は第2の搬器11,12の往復動距離ないしは集材作業の進行の程度に応じて適宜選択されるものであり、調整線材70の数を増加させれば、該調整線材群の長さと接続線の長さとの和である全体の長さが長くなることから、第1及び第2の搬器11,12の往復移動距離は短くなり、逆に調整線材群の長さを短くすれば、第1及び第2の搬器11,12の往復移動距離は短くなる。通常、山林で伐採された多数の伐倒木Wを集材場に集材する際は、該集材場に近い位置に存在する伐倒木Wから順番に集材(移送)することから、作業当初は、比較的多くの調整線材70を使用し、徐々に集材・移送作業が進むにつれて、適宜必要な数の上記調整線材70を取り外して作業を行う。
【0041】
例えば、図5に示すように、第1の搬器11側及び第2の搬器12側にそれぞれ3個の調整線材70を配置した場合には、第1の搬器11が最も一方の主線1の一端側に位置するとき、第2の搬器12は、図3に示す位置よりも他方の主線2の一端側に近い位置となる。そして、この図5に示す状態から、(第1のウインチ61をフリーの状態とし)第2のウインチ62を駆動させることにより、図6に示すように、他方の主線2の他端側に移動する。また、図6に示す状態から、(第2のウインチ62をフリーの状態とし)第1のウインチ61を駆動させることにより、第1及び第2の搬器11,12は、再び図5に示す状態に戻る。すなわち、この第2の実施の形態に係る伐倒木の集材方法によれば、上記調整線材70を適宜の個数により直線状に連結させた上で、上記第1及び第2のウインチ61,62を交互に駆動させることにより、一方及び他方の主線1,2の中間地点に存在する伐倒木Wを集材場に集材・移送することが可能となり、更に、上記作業の進行に伴い、上記調整線材70の数を増加(又は減少)させ、上記第1及び第2の搬器11,12の往復動距離を変更して集材を行うことにより、一方及び他方の主線1,2の長さの範囲内の伐倒木Wを簡単且つ迅速に集材することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、第1の搬器11と接続線63の一端との間、及び第2の搬器12と接続線63の他端との間の双方に、複数の調整線材70を配置・連結させて伐倒木Wを集材する方法を説明したが、上記調整線材70は、第1の搬器11側又は第2の搬器側の何れか一方に配置・連結して集材しても良い。
【0043】
また、上述した伐倒木の集材方法では、複数個の調整線材70を互いに連結して使用するものであるが、本発明を構成する調整線材は、単一の調整線材71を使用しても良い。この調整線材71は、図8に示すように、1本のワイヤ等からなる線材72の一端側と他端側とを接触させるとともに、挟持金具73を使用してそれらを挟持・締結することによりループ部72aを形成し、該ループ部72aが形成された部位にフック74の基端に形成されたリング部74a内に挿通されたものである。上記挟持金具73は、U字状のボルト部材73aと、このボルト部材73aが挿通されるとともに該ボルト部材73aと協同して上記線材72の中途部を挟持する挟持体73bと、上記ボルト部材73aの両端側に螺着される2つのナット73cとから構成されている。したがって、上記ループ部72aの長さは、上記挟持金具73による挟持位置を変えることにより変更することができる。そして、上記フック74を上記第1の搬器11を構成する他方の係止具43又は第2の搬器12を構成する他方の係止具44に係止させるとともに、上記ループ部72aを接続線63の一端に固定された一方の接続線側フック63a又は他方の接続線側フック63bに係止させることにより、第1の搬器11から第2の搬器12までの距離を変更することができ、先に説明したように、複数の調整線材70を使用した場合と同じように、一方及び他方の主線1,2の長さの範囲内の伐倒木Wを簡単且つ迅速に集材することができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る伐倒木の集材方法について詳細に説明する。この集材方法は、図9に示すように、先に説明した接続線63を長尺なものとし、該接続線63の一端に固定された一方の接続線側フック63aを上記第1の搬器11を構成する他方の係止具43に係止させ、該接続線63の他端に固定された他方の接続線側フック63bを一方の係止具41に係止させ、間に上記一方の搬器11を介在させて該接続線63をループ状に配線する。そして、この接続線63の中途部は、上記第1及び第2の接続線用滑車65,66に加えて、第3及び第4の接続線用滑車77,78に掛け渡す。上記第3の接続線用滑車77は、上記他方の主線2の一端を固定した立木Tに線材(符号は省略する。)を介して支持させ、また、上記第4の接続線用滑車78は、上記一方の主線1の一端を固定した立木Tに線材(符号は省略する。)を介して支持させている。したがって、間に上記第1の搬器11が介在したこの第4の接続線用滑車78から第1の接続線用滑車65までの接続線63は、直線状で且つ上記一方の主線1と平行に張設され、第3の接続線用滑車77から第2の接続線用滑車66までの接続線63は、他方の主線2と平行に張設された状態となる。そして、上記第3の接続線用滑車77から第2の接続線用滑車66までの接続線63の中途部には、上記第2の搬器12が上記挟持部材46,48により係止・挟持されている。
【0045】
したがって、図9に示す状態において、(上記第1のウインチ61をフリーの状態とし)上記第2のウインチ62を駆動させると、上記接続線63は第1の搬器11及び第2の搬器12と共に、図9中、時計周り方向に移動し、図10に示すように、第1の搬器11は、一方の主線1の他端側に走行・移動し、第2の搬器12は、他方の主線2の一端側に走行・移動する。なお、こうした動作は、前記第1の実施の形態や第2の実施の形態においてそれぞれ説明した動作と同様であることから説明を省略する。
【0046】
そして、図9に示す状態において、第2の搬器12を構成する上記挟持部材46,48を構成するナット57,57,58,58(図2参照)を螺退させ、ボルト部材50,52と挟持体54,56との挟持状態を解除するとともに、該第2の搬器12を他方の主線2の一端側(立木T側又は第2のウインチ62側)に移動させ、その上で、再び上記ナット57,57,58,58を螺進させることによりボルト部材50,52と挟持体54,56とにより接続線63を挟持させ固定させる。こうした方法により、第2の搬器12を移動させることにより、該第2の範囲12と第1の搬器11とは、何れも該第2の搬器12から他方の主線12の一端までの距離に亘って往復動できることとなる。すなわち、上述した方法・工程により、上記第2の搬器12を(第3の接続専用滑車77から第2の接続線用滑車66までを走行する)接続線63に対する係止位置ないし固定位置を変更することにより、前述した第2の実施の形態で説明した複数の調整線材70や単一の調整線材71を使用して行った伐倒木の集材方法と同じ作用効果を実現することができる。特に、この第3の実施の形態に係る伐倒木の集材方法によれば、上記調整線材70,71を使用する必要性がないので、より簡便に第1及び第2の搬器11,12の往復動距離を変更することが可能となる。
【0047】
次に、第4の実施の形態に係る伐倒木の集材方法について、図11を用いて詳細に説明すする。この第4の実施の形態に係る伐倒木の集材方法は、図9及び図10に図示した構成を基本として、さらに、以下に説明するダブル滑車80と、第3の搬器81と、第3のウインチ82を使用して集材する方法である。上記ダブル滑車80は、一方及び他方の主線1,2の長さ方向に対して直交する方向に配置(固定)されてなるものである。そして、このダブル滑車80は、上記一方及び他方の主線1,2の張設位置よりもやや下方に固定したものであり、第1の中間滑車80aと第2の中間滑車80bとが何れも回転自在に設けられてなるものである。また、上記第1の中間滑車80aには、上記第1の滑車21に掛け渡された第1のワイヤ61aを引き延ばし、その中途部が掛け渡す。そして、この第1のワイヤ61aは、上記一方及び他方の主線1,2と交差させ、先端は立木T12に固定する。そして、上記ダブル滑車80を構成する第1の中間滑車80aから立木T12までに張設された部位(本発明を構成する一方のワイヤ)を主線として利用する。また、この主線として利用する第1のワイヤ61aの先端が固定された上記立木T12の近傍には、上記第3のウインチ82を設置・固定する。この第3のワイヤ82を構成する第3のワイヤ82aの先端には、第3のフック82bが固定されている。
【0048】
そして、上記主線として利用する第1のワイヤ(本発明を構成する一方のワイヤ)61aには、第3の搬器81が該第1のワイヤ61aにガイドされながら走行可能に支持されている。この第3の搬器81は、上記第1及び第2の搬器11,12と同様の構成からなるものであって、搬器本体84,一方及び他方の走行用滑車85,86,第3の滑車89,一方及び他方の係止具87,88等を備えている。そして、上記第3のウインチ82を構成する第3のフック82bは、上記第3の搬器81を構成する他方の係止具88に係止する。また、上記第2のウインチ62を構成する第2のワイヤ62aを、図9又は図10に示した状態から更に引き出し、上記ダブル滑車80を構成する第2の中間滑車80bに掛け渡し、その後に第3の搬器83を構成する第3の滑車89に掛け渡す。
【0049】
そして、(第2のウインチ62をフリーの状態としながら)上記第3のウインチ82を駆動させ、上記第3の搬器83を上記ダブル滑車80の固定位置から任意の位置に移動させ、次いで、第2のワイヤ62aを引き出して上記第2のフック62bにより近傍の伐倒木Wに係止させる。この状態において、(第3のウインチ82をフリーの状態とし)上記第2のウインチ62を駆動させると、引き出された第2のフック62bは、係止された伐倒木Wと共に第3の搬器83側に引き寄せられやがてストッパー62cがケース89aに当接すると、該第3の搬器83は主線として使用している第1のワイヤ61aにガイドされながら徐々に他方の主線2や一方の主線1の下方に到達する。この状態で第2のウインチ62の駆動を停止し、第2のフック62bから伐倒木Wを取り外す。こうした作業が終了すると、次いで、上記第3のウインチ82を駆動させ、所定の位置に第3の搬器83を走行・移動させる。すなわち、上記第3のウインチ82と第2のウインチ62とを交互に駆動させながら、上記第3の搬器83を主線として機能する第1のワイヤ61aに沿って上記ダブル滑車80と立木T12との間を往復動させることにより、一方及び他方の主線1,2とは直交する方向に存在する伐倒木Wを該一方及び他方の主線1,2側に集材する。そして、こうした集材作業が終了すると、先に図9及び図10を用いて説明した方法を用いて、一方及び他方の主線1,2の一端側に集材する。
【0050】
したがって、上述した伐倒木の集材方法によれば、図9や図10を用いて説明した一方及び他方の主線1,2その他の部材等を移動させ、新たに組み立てることなく、そのままの状態で利用することにより、該一方及び他方の主線1,2とは直交する方向で伐採された伐倒木Wを集材することができる。
【0051】
なお、上記ダブル滑車80の固定位置から第1のワイヤ61aの先端の固定位置(立木T12の位置)までに存在する伐倒木Wの集材が終了した場合には、次いで、上記ダブル滑車80の固定位置を一方及び他方の主線1,2の一端側(又は他端側)に移動させて再び固定するとともに、第1のワイヤ61aの先端を固定する位置も同じ方向に移動させて固定し、その上で、上記方法と同じ方法・要領で集材することも可能である。なお、上述した第4の実施の形態に係る集材方法では、図11において、ダブル滑車80を一方の主線1側に固定した例を示して説明したが、言うまでもなく、該ダブル滑車80を一方及び他方の主線1,2を挟んで逆方向に配置・固定して行うものであっても良い。因みに、こうした方法を採用する場合には、上記第1の中間滑車80aには、第2のワイヤ62aを掛け渡すとともに、その先端を固定して主線として利用し、また、第2の中間滑車80bには、第1のワイヤ61aを掛け渡すとともに、その先端側を上記第3の滑車89に掛け渡す。
【0052】
次に、第5の実施の形態に係る伐倒木の集材方法について、図12及び図13を用いて詳細に説明する。この第5の実施の形態に係る伐倒木の集材方法は、図11を用いて説明した伐倒木の集材方法を基本に、更に、第4の搬器90と、第3の中間滑車91とを利用して行うものである。上記第4の搬器90は、搬器本体92と、上記主線として利用している第1のワイヤ61a(本発明を構成する一方のワイヤ)に支持され該第1のワイヤ61aにガイドされる一方及び他方の走行用滑車93,94と、上記搬器本体92の下方に配置された第4の滑車95及び第5の滑車96とを備えてなるものである。上記一方及び他方の走行用滑車93,94は、それぞれ支持アーム93a,94aにより回転自在に支持されてなるものであり、第4の滑車95も支持アーム95aに回転自在に支持されている。なお、上記第5の滑車96は、図14に示すように、上方が解放されたケース97により回転自在に支持されており、後述するように、この第5の滑車96に掛け渡された第3のワイヤ82aを該第5の滑車96から取り外すことが可能とされている。また、上記支持アーム93aの先端と上記支持アーム94aの先端とは水平杆98により接続されている。
【0053】
また、上記第3の中間滑車91は、後述するように、上記第4の搬器90が固定された位置から前記一方又は他方の主線1,2の長さ方向に離間した位置に立木T13に線材(符号は省略する。)を介して支持・固定されてなるものである。そして、この実施の形態に係る伐倒木の集材方法では、先に説明した第3のウインチ82を構成する第3のワイヤ82aを上記第4の滑車95に掛け渡し、次いで、上記第3の中間滑車91に掛け渡し、さらに上記第5の滑車96に掛け渡す。なお、この第3のワイヤ82aの先端には、先に説明した第3のフック82b以外に第4のフック82cを形成しておく。一方、上記第2のフック62bの近傍には、第3のフック82bが係止されるリング62dを固定し又は内嵌挿させておく。そして、上記第3のフック82bを上記リング62dに係止し、上記第4のフック82cは、上記第3の搬器83を構成する他方の係止具88に係止する。
【0054】
なお、上記第4の搬器90は、上記主線として利用している第1のワイヤ61aの任意に位置にて固定し、該第1のワイヤ61aに沿って移動しないようにしておく。この第4の搬器90の固定方法は、例えば、近傍の立木T14,T15を利用して線材(符号は省略する。)を上記水平杆98に接続させる等により固定すれば良い。また、上記第3の中間滑車91の固定位置は、上記第4の搬器90の固定位置から、例えば、上述した一方又は他方の主線1,2の長さ方法に離間した位置とすることも可能であり、或いは、該一方又は他方の主線1,2の長さ方法とは傾斜位置に固定しても良い。
【0055】
そして、例えば、図12に示した状態に上記第4の搬器90と第3の中間滑車91とを固定・設置した場合において、先ず、上記第3のウインチ82を駆動させ、上記第3の搬器81を該第4の搬器90側に移動させる。このとき、上記第2のウインチ62はフリーの状態としておく。そして、適当な位置まで第3の搬器81を移動させると、次いで、それまで上記第5の滑車96に掛け渡されていた第3のワイヤ82aを該第5の滑車96から取り外すとともに、それまで第3の搬器81を構成する他方の係止具88に係止されていた第4のフック82cを該他方の係止具88から取り外す。この結果、第3のワイヤ82aと第2のワイヤ62aとが連結された状態で作業者は、それぞれを該第3のウインチ82及び第2のウインチ62から引き延ばすことができ、近傍の伐倒木Wに対して、上記第2のフック62bを係止させることができる。そして、このように、伐倒木Wに対して、上記第2のフック62bを係止させると、次いで、(第3のウインチ82をそのままフリーの状態とし)上記第2のウインチ62を駆動させ少し第2のワイヤ62aを巻き取り、その上で、該第2のワイヤ62aを再び上記第5の滑車96に掛け渡すか、或いは、第2のウインチ62を全く駆動させることなく、第2のワイヤ62aの中途部を再び上記第5の滑車96に掛け渡し、その上で、第2のウインチ62を駆動する。すると、上記伐倒木Wと共に第2のフック62bが第3の滑車89に接近し、該第2のフック62bの近傍に固定されたストッパー62cがケース89aに当接すると、第3の搬器81は、主線として利用している第1のワイヤ61aに沿って、上記第4の搬器90から徐々に離間し、図11に示す一方及び他方の主線1,2側に移動する。
【0056】
そして、上記第4の搬器90の固定位置から第3の中間滑車91までの間やその近傍に存在する伐倒木Wを上記一方及び他方の主線1,2側に移動する作業が終了すると、次いで、上記第4の搬器90の固定位置と第3の中間滑車91の固定位置を、例えば、第1のワイヤ61aの先端側又は基端側(一方及び他方の主線1,2側)に移動させ再び固定して同様の作業を行う。そして、上記方法により、一方及び他方の主線1,2の近傍又は下方に多くの伐倒木Wを移送する作業が終了すると、次いで、先に第3の実施の形態として説明した方法により、これらの伐倒木Wを一方及び他方の主線1,2の一端側(集材場)
に集材する。
【0057】
したがって、上述した第5の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を、前記第3の実施の形態に係る伐倒木の集材方法と比較すれば、この集材方法を採用することにより、作業者は、第2のフック62bを把持しながら第3の搬器81から相当離れた位置と該第3の搬器81との間を繰り返し往復する必要は無い。また、この集材方法によれば、図11に示すダブル滑車80の固定位置を、一方及び他方の主線1,2の他端側とすることにより、該一方及び他方の主線1,2の他端の延長線側で伐採された伐倒木Wを集材することも可能となる。
【0058】
また、この第5の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を採用する場合には、図10を用いて説明した集材方法を行い、予め一方及び他方の主線1,2の下方やその近傍に存在する伐倒木を集材し、その後に、図11に示すダブル滑車80を一方及び他方の主線1,2に比較的近い位置に固定し、第2のワイヤ62aの先端は、該一方及び他方の主線1,2と直交する方向に固定し、上述した第4の実施の形態に係る伐倒木の集材方法を採用し、こうした集材方法が終了した後に、再び第3の実施の形態に係る集材方法を行うという順番を採用することが望ましい。こうした集材方法によれば、集材されない伐倒木Wと移動する伐倒木Wとが衝突するなどして損傷を与え商品価値を低下させることを防止しながら極めて効率性の高い集材作業を実現することができる。
【0059】
なお、上記各実施の形態の説明では、例えば、一方及び他方の主線1,2や第1のワイヤ61a、或いは接続線用滑車65,66、更にはダブル滑車8や第3の中間滑車91等は、それぞれ立木(符号は省略する。)を利用して支持・固定したものであるが、これらは必ずしも立木を利用することなく、ポールその他別個の部材を利用したものであっても良い。また、上記第3のウインチ82は、作業者が持ち運びできる程度の大きさと重量からなりリモートコントロールにより駆動を開始及び停止できるタイプのものを使用することが望ましい。こうしたタイプのウインチを第3のウインチ82として利用することにより、移動の簡便性を図ることができるとともに、上記一方及び他方の主線1,2を長距離に亘って張設する作業においても、該第3のウインチ82を構成する第3のフック82bを使用して該一方及び他方の主線1,2の他端を係止して運ぶ事により、過酷な作業を敬軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 一方の主線
2 他方の主線
11 第1の搬器
12 第2の搬器
21 第1の滑車
22 第2の滑車
41,42 一方の係止具
43,44 他方の支持具
45,46,47,48 挟持部材
61 第1のウインチ
61a 第1のワイヤ
61b 第1のフック
62 第2のウインチ
62a 第2のワイヤ
62b 第2のフック
63 接続線
65 第1の接続線用滑車
66 第2の接続線用滑車
70,71 調整線材
77 第3の接続線用滑車
78 第4の接続線用滑車
80a 第1の中間滑車
80b 第2の中間滑車
81 第3の搬器
82 第3のウインチ
82a 第3のワイヤ
82b 第3のフック
89 第3の滑車
90 第4の搬器
91 第3の中間滑車
95 第4の滑車
96 第5の滑車
W 伐倒木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山林の傾斜面の傾斜方向に沿って、それぞれ線材からなる一方の主線と他方の主線とを互いに平行に、又は該一方の主線と他方の主線との各一端側又は他端側が互いに離間するよう傾斜して張設し、
上記一方の主線には、第1の滑車を備えた第1の搬器を該一方の主線にガイドされながら走行可能な状態で配置し、上記他方の主線には、第2の滑車を備えた第2の搬器を該他方の主線にガイドされながら走行可能な状態で配置し、
上記一方の主線の一端側には、伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止される第1のフックが先端に固定された第1のワイヤを有する第1のウインチを固定するとともに、該第1のワイヤの中途部を上記第1の滑車に掛け渡し、上記他方の主線の一端側には、伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止される第2のフックが先端に固定された第2のワイヤを有する第2のウインチを固定するとともに、該第2のワイヤの中途部を上記第2の滑車に掛け渡し、
上記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器に接続線の一端を接続し、該接続線の他端を上記一端が接続された搬器とは異なる他方の搬器に接続し、または、
上記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器に接続線の一端を接続し、該接続線の中途部を上記一端が接続された搬器とは異なる他方の搬器に係止し、該接続線の他端を、上記接続線の一端が接続された上記一方の搬器に接続するとともに、
複数の接続線用滑車を用いて、上記接続線の中途部が、上記一方の主線や他方の主線と平行となる部位が形成されるように該接続線を支持させ、
上記第1のウインチと第2のウインチとを交互に駆動させ、上記一方の主線によりガイドされる第1の搬器と上記他方の主線によりガイドされる第2の搬器とを交互に往復動させることにより、上記一方及び他方の主線の他端側で上記第1又は第2のフックに係合させた伐倒木を該一方及び他方の主線の一端側ないしは上記第1又は第2のウインチ側に交互に移送することを特徴とする伐倒木の集材方法。
【請求項2】
前記接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線の他端と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方に、それぞれ互いに連結部が形成された複数の調整線材を直線状に連結して配置し、または、
前記接続線の一端と前記第1の搬器との間又は該接続線と前記第2の搬器との間の少なくとも何れか一方に円周の長さを変更することができるループ状の調整線材を配置し、
上記調整線材の数を適宜増減し又は円周の長さを変更することにより、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら伐倒木の移送を行うことを特徴とする請求項1記載の伐倒木の集材方法。
【請求項3】
前記接続線の一端を前記第1の搬器又は第2の搬器の何れか一方の搬器の他端に接続し、該接続線の他端を上記一方の搬器の一端に接続することにより、該接続線を、間に第1の搬器又は第2の搬器を介在させた状態で無端状に配置し、
この接続線が接続された一方の搬器とは異なる他方の搬器を上記接続線の中途部に係止し、
該接続線を係止した他方の搬器と接続線との係止状態を解除して係止位置を変更して再び係止させることにより、該第1の搬器又は第2の搬器が最も前記一方の主線又は他方の主線の一端側に位置したときにおける該第1の搬器と第2の搬器との距離を変化させながら伐倒木の移送を行うことを特徴とする請求項1記載の伐倒木の集材方法。
【請求項4】
前記請求項3記載の発明を構成する前記一方又は他方の主線の長さ方向とは直交する方向に、第1の中間滑車と第2の中間滑車とを取り付け、上記第1の中間滑車には、前記第1のウインチを構成する第1のワイヤ又は前記第2のウインチを構成する第2のワイヤの何れか一方のワイヤの中途部を掛け渡し、
上記第2の中間滑車には、上記第1のワイヤ又は第2のワイヤであって上記第1の中間滑車に掛け渡されたワイヤとは異なる他方のワイヤを掛け渡し、
上記第1の中間滑車に掛け渡した一方のワイヤの先端を、この一方のワイヤの中途部が前記一方の主線及び他方の主線と交差した状態で該第1の中間滑車とは離間した位置に固定するとともに、この一方ワイヤには、第3の滑車を備えた第3の搬器を該一方のワイヤにガイドされながら走行可能な状態で配置し、
上記第2の中間滑車に掛け渡された上記他方のワイヤの中途部を上記第3の滑車に掛け渡し、
上記一方のワイヤの先端の近傍に、第3のウインチを固定するとともに、この第3のウインチから引き出された第3のワイヤの先端を上記第3の搬器に接続することにより、
上記第1の中間滑車に掛け渡された中途部から先端までにおける一方のワイヤを第3の主線として利用しながら、この第3の主線にガイドされる上記第3の搬器と、上記他方のワイヤの先端に固定されたフックを利用して、上記一方及び他方の主線と直交する方向で伐採された伐倒木を該一方及び他方の主線側に移送し、その後に、請求項3記載の集材方法を行うことを特徴とする伐倒木の集材方法。
【請求項5】
前記請求項4記載の発明を構成する前記一方のワイヤであって該一方のワイヤの先端と前記第3の搬器との間の任意の位置に、第4の滑車と、掛け渡されたワイヤの取り外しが可能な第5の滑車と、をそれぞれ備えた第4の搬器を、該一方のワイヤに対して移動可能に支持させた状態で固定しておき、
この第4の搬器とは離間した位置に、第3の中間滑車を固定し、前記第3のウインチを構成する第3のワイヤの先端には一方のフックと他方のフックとを設け、該第3のワイヤの中途部は、上記第4の滑車,上記第3の中間滑車及び上記第5の滑車にそれぞれ掛け渡すとともに上記一方のフックを前記第3の搬器に係止し、他方のフックを上記一方のワイヤの先端に固定された第2又は第1のフック又はその近傍に係止し、
上記第3のウインチの駆動により、上記第3の搬器を上記一方のワイヤの長さ方向の任意の位置に移動させた後に、それまで上記第5の滑車に掛け渡されていた上記第3のワイヤを該第5の滑車から取り外すとともに、それまで第3の搬器に係止されていた上記一方のフックを該第3の搬器から取り外し、
次いで、上記第3のウインチを駆動させることにより、第3のワイヤの先端と上記他方のフックに係止された第2又は第1のワイヤである他方のワイヤの先端とを、上記第4の搬器と第3の中間滑車との間の任意に位置まで移動させ、該位置の近傍で伐採された伐倒木又は該伐倒木に巻回された巻線に係止し、
次いで、上記第2のウインチ又は第1のウインチを駆動させることにより、該伐倒木を上記第4の搬器の近傍まで移動させた後に、上記第3のワイヤの中途部を上記第5の滑車に掛け渡し、その後該第2のウインチ又は第1のウインチを駆動させることにより、上記一方又は他方の主線側に伐倒木を移送し、その後に第3の発明に係る集材方法を行うことを特徴とする請求項5記載の集材方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−82050(P2012−82050A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229640(P2010−229640)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(510271211)明林コンサルタント株式会社 (3)