説明

休止機能を有する圧縮デバイス

【課題】休止機能を有する圧縮デバイスを提供すること。
【解決手段】着用者の肢に圧縮治療を提供するように適合された圧縮デバイスのための制御器であって、該制御器は、該圧縮デバイスの膨張可能袋と流体接続するように適合され、該袋を周期的に膨張させ収縮させて、圧縮治療を提供するように構成され、該制御器は、該圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、該圧縮治療を一時的に休止するようにプログラムされたプロセッサを含む、制御器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、圧縮デバイスに関し、特に、休止機能を有する圧縮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
圧縮デバイスは、圧縮療法を患者に適用して、肢における血流を促進するために、しばしば用いられる。圧縮デバイスは、典型的には、圧縮スリーブなど、肢の周りに着用される圧縮ガーメントと、制御器とを含む。圧縮治療の進行中、圧縮デバイスがないか、または圧縮デバイスが無効状態であるかのいずれかで患者が作業を行うことを可能にするために、特定の時間の期間の間に圧縮デバイスを周期的に無効にすることが必要となり得るかまたは望ましくなり得る。例えば、患者が、眠るか、手洗いを使うかまたは理学療法を受ける必要があるとき、患者が圧縮デバイスを取り外すかまたは無効にすることが必要となり得る。典型的には、患者または治療奉仕者は、デバイスの電源を完全に切るかまたはさもなければ再設定しなければならず、このことは、圧縮治療を再開始するために治療奉仕者がスリーブを再適用し、制御器を再始動することを必要とする。しばしば、デバイスの電源を切るかまたは再設定する理由がもはや存在しなくなった後すぐには、圧縮スリーブ動作は再開始されない。このことは、患者または治療奉仕者が圧縮デバイスを再始動することを怠った場合、治療における望ましくないとぎれを引き起こす。さらに、制御器の起動シーケンスは、オフ状態または再設定状態から再始動する場合、時間がかかり得る。従って、患者または治療奉仕者が圧縮療法の時間および継続時間をより十分に制御することを可能にする圧縮デバイスに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
一局面において、着用者の肢に圧縮治療を提供するように適合された圧縮デバイスのための制御器は、圧縮デバイスの膨張可能袋に流体接続するように適合され、袋を周期的に膨張させ収縮させるように構成されて、圧縮治療を提供する。制御器は、圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、圧縮治療を一時的に休止させるようにプログラムされたプロセッサを含む。
【0004】
別の局面において、着用者の肢に位置を決められる膨張可能袋と、膨張可能袋と流体接続している制御器とを含む圧縮デバイスを用いて着用者の肢に圧縮治療を提供する方法は、概して、制御器からの加圧された流体で袋を周期的に膨張させ収縮させて、着用者の肢を圧縮することによって圧縮治療を開始することと、圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、圧縮治療を一時的に休止させることとを包含する。
【0005】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
着用者の肢に圧縮治療を提供するように適合された圧縮デバイスのための制御器であって、該制御器は、該圧縮デバイスの膨張可能袋と流体接続するように適合され、該袋を周期的に膨張させ収縮させて、圧縮治療を提供するように構成され、該制御器は、該圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、該圧縮治療を一時的に休止するようにプログラムされたプロセッサを含む、制御器。
(項目2)
上記制御器は、圧縮治療を再開する前に、すべての関連する動作設定を再ブートまたは再入力する必要なく、圧縮治療を再開するのに必要な該動作設定を該制御器が保持するように、上記デバイスを休止する、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目3)
インジケータをさらに備え、上記プロセッサは、該インジケータを起動して、上記設定された時間の期間が経過した後、圧縮治療を再開するようオペレータに信号を送るようにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目4)
上記プロセッサは、上記設定された時間の期間が経過した後、圧縮治療を自動的に再開するようにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目5)
上記圧縮治療を休止する上記設定された時間の期間を選択するように動作可能なスイッチをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目6)
上記スイッチは、押下可能ボタンである、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目7)
上記ボタンは、上記デバイスの電源をオンおよびオフにするために、上記制御器上の任意のボタンまたはスイッチよりも目立つ、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目8)
上記制御器は、上記スイッチの動作時に、上記設定された時間の期間に設定されるように構成されたタイマーを含む、上記項目のいずれかに記載の制御器。
(項目9)
上記圧縮デバイスと組み合わせる上記項目のいずれかに記載の制御器であって、該圧縮デバイスは、上記着用者の上記肢に位置決め可能である圧縮ガーメントを備えている、制御器。
(項目10)
着用者の肢に位置を決められる膨張可能袋と、該膨張可能袋と流体接続している制御器とを含む圧縮デバイスを用いて該着用者の該肢に圧縮治療を提供する方法であって、該方法は、
該制御器からの加圧された流体で該袋を周期的に膨張させ収縮させて、該着用者の該肢を圧縮することによって、圧縮治療を開始することと、
該圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、該圧縮治療を一時的に休止することと
を包含する、方法。
【0006】
(摘要)
着用者の肢に圧縮治療を提供する圧縮デバイスは、着用者の肢に位置決め可能な圧縮ガーメントを含む。ガーメントは、肢に圧縮治療を提供する少なくとも1つの膨張可能袋を含む。制御器は、圧縮デバイスの膨張可能袋に流体接続するように適合され、袋を周期的に膨張させ収縮させるように構成されて、圧縮治療を提供する。制御器は、圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、圧縮治療を一時的に休止させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の制御器と圧縮ガーメントとを備えている圧縮デバイスの概略図である。
【図2】図2は、制御器内のプロセッサの概略図である。
【図3】図3は、中断モード休止アルゴリズムのフローチャートである。
【図4】図4は、スリープモード休止アルゴリズムのフローチャートである。
【図5】図5は、制御器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
対応する参照文字は、図面全体を通して対応する部品を示す。
【0009】
(好ましい実施形態の説明)
図1を参照すると、本発明の圧縮デバイスが、概して、11で示される。圧縮デバイスは、ユーザの肢の周りに巻き付ける圧縮ガーメント13と、例えばチューブ類17によってガーメントに接続される制御器15とを備えている。制御器は、プロセッサ19を有し、プロセッサ19は、空気供給源21(例えば、コンプレッサ、病院用圧縮空気など)およびガーメント13の3つの膨張可能袋23に圧縮空気を提供するバルブ類22に動作可能に接続される。圧縮デバイスとは異なる、現場の圧縮空気源が用いられる場合、プロセッサ19は、空気供給源21に接続される必要がない場合がある。圧縮デバイス11は、袋23の周期的膨張によってユーザの肢に圧縮療法を提供するように構成される。3つの袋23が例示されているが、ガーメント13は、本発明の範囲から逸脱することなく、1つの袋、2つの袋または4つ以上の袋を有し得る。
【0010】
図2を参照すると、プロセッサ19は、休止アルゴリズム27を含む休止機能25を有し、その結果、ユーザおよび/または臨床家は、圧縮デバイス11の電源を完全に切る必要なくまたは再設定する必要なく、設定された時間の期間の間、圧縮療法を休止させ得る。「ユーザ」または「臨床家」は、本明細書において広くかつ集合的に「オペレータ」と呼ばれ、少なくとも、圧縮デバイスを着用する患者と、医者と、看護師とを含む。圧縮療法の休止を開始し、圧縮療法を休止する所望の時間の期間を設定するために、スイッチ31(図1)が制御器15に備え付けられる。一実施形態において、スイッチ31は、押下可能ボタン32であり得る(図5)。一実施形態において、ボタンは、目立つように、または、少なくとも、圧縮デバイス全体の電源をオンもしくはオフにする(または他の方法で再設定する)ために備え付けられる任意のボタンもしくはスイッチ34よりも目立つようなサイズで作られ、色を付けられ、かつ/または位置を決められる。このことは、圧縮デバイスの電源をオフにすること(通常、治療が終了するまで望ましくない)に優先してオペレータによって休止機能を用いることを容易にする。しかし、他のタイプのスイッチ(例えば、タッチスクリーン)が、本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得る。制御器15上のインジケータ33は、圧縮デバイス11を休止する設定された時間の期間が経過したとき、オペレータに信号を送るために備え付けられる。インジケータ33は、光などの視覚インジケータ、可聴警報などの聴覚インジケータまたはオペレータに警告する任意の他の適切な指示手段であり得る。タイマー35は、プロセッサ19に動作可能に接続され、スイッチ31が係合されている場合、設定された時間の期間の間、開始される。タイマーは、本発明の範囲内でプロセッサ19に一体化され得る。
【0011】
制御器15は、圧縮デバイス11が「中断モード」で動作するようにプログラムされ得、この場合、スイッチ31が係合されると、デバイスは、設定された時間の期間の間、圧縮療法を休止する。その設定された時間の期間が経過すると、タイマー35は、プロセッサ19に信号を送って、インジケータ33を起動し、圧縮療法を休止させる選択された時間の期間が経過したことをオペレータに警告する。これは、圧縮療法を再開始する時間であることをオペレータに通知する。
【0012】
制御器15はまた、圧縮デバイス11が「スリープモード」で動作するようにプログラムされ得、スリープモードにおいて、スイッチ31が係合されると、デバイスは、設定された時間の期間の間、圧縮療法を休止させ、次いで、時間の期間が経過すると、圧縮療法を自動的に再開始する。これは、ユーザまたは臨床家が療法を手動で再開始する必要をなくす。一部の患者は、圧縮療法が適用されている間に寝入るという問題を有するので、圧縮デバイスはしばしば夜に単に取り外され、このことは、夜通し必要な療法を提供しない。スリープモードは、設定された時間の期間の間、圧縮療法を休止させることによって、患者がより容易に寝入ることを可能にし得、次いで患者が寝入ると、療法を自動的に再始動し得る。
【0013】
圧縮療法を休止させる時間の期間はまた、スイッチ31を繰り返し係合することによって調整され得る。従って、スイッチ31が押下可能ボタン32である場合、ボタンを繰り返し押すことは、圧縮療法を休止させるために所定の回数の使用可能な量を通して反復する。一構成において、ボタン32を1回押すことは15分間圧縮療法を休止させるようにタイマー35を設定し、ボタンを2回押すことは30分間圧縮療法を休止させるようにタイマーを設定し、ボタンを3回押すことは60分間圧縮療法を休止させるようにタイマーを設定する。本発明の範囲から逸脱することなく、ボタンを押すことが異なる増加の時間の間、圧縮療法を休止させ得ることが想定される。そしてオペレータはまた、ボタン32を用いて、事前設定の増加だけ圧縮療法を休止させる時間を増加させるよりはむしろ、より特定の量の時間を設定し得る。圧縮治療が中断される時間の期間を調整する能力は、ユーザのニーズにより良く適合する圧縮デバイス11のよりカスタマイズされた使用法を可能にする。
【0014】
一実施形態において、休止アルゴリズム27は、「中断モード」を提供し、「中断モード」は、概して図3に示される簡易フロー図に従って動作する。ステップ41における中断モードの開始は、上記に説明されたスイッチ31をトグル動作させることによって実行され得る。プログラムは、次いでステップ43において中断の時間期間の設定に進む。時間は、事前設定されプロセッサ19に関連付けられたメモリに格納され得るか、または前に説明された方法などでユーザもしくは臨床家によって設定され得る。
【0015】
中断モードがステップ41において起動され、中断時間期間がステップ43において設定されると、圧縮デバイス11の動作が中断される。好ましくは、デバイス11は、動作設定を再ブートもしくは再入力することなく動作を再開するのに必要なすべての関連する設定および情報を保持しながら、シャットダウンされないかもしくは再設定されないで、代わりに動作を中断する。シャットダウンもしくは他の再設定状態において、先行の治療設定は失われる。しかしながら、本発明において、例えば以前に決定された脈管再充満時間(VRT)および/またはポンプ速度は、保持され、動作が再開始されたとき直ちに用いられ得る。さらに、スリーブ検出機能など起動チェックは、中断モードに続いて省略されて、中断モードが起動される直前に利用されていた以前の設定を有する動作に圧縮デバイス11を戻し得る。この以前の設定を使用することは、圧縮デバイス11のより速い再開始を提供し得、このことは、オペレータ時間を節約する。
【0016】
ステップ45において、タイマーは、増加させられて、次いで時間は、ステップ47において以前に設定された時間期間と比較される。アルゴリズムは、時間が設定された時間期間以上になるまで、ループする。休止アルゴリズム27は、次いでステップ49において通知を起動することに進む。通知は、本明細書において以前に説明された形式など任意の適切な形式をとり得る。圧縮デバイス11の動作は、自動的に始まるのではなく、ユーザまたは臨床家の再開始の仲介を必要とする。デバイス11は、以前に入力されたすべての動作設定および情報を保持し、その結果、単にボタン32を押すことまたは類似のことによって直ちに動作し始め得る。
【0017】
休止アルゴリズム27のスリープモードバージョンが、図4に示される。51におけるスリープモードの開始は、スイッチ31をトグル動作させることなど任意の適切な方法で達成され得る。休止アルゴリズム27の中断モードバージョンの場合のように、時間期間は、ステップ53において自動的にまたはユーザもしくは臨床家の行為によって設定され得る。時間期間が設定されると、休止アルゴリズム27は、ステップ55に進み、ステップ55において中断モードに関して本明細書において前に説明されたように、圧縮デバイス11の動作は、実質的に中断される。時間が設定された時間期間以上になるまで、時間は、ステップ55において増加させられ、ステップ57においてチェックされる。休止アルゴリズム27のスリープモードバージョンにおいて、圧縮デバイス11は、ステップ59において自動的に再起動され、先行の圧縮動作を再開する。スリープモードにおいて、ユーザまたは臨床家によるいかなる介入も必要ではない。圧縮デバイス11が中断モードおよびスリープモードのうちの1つまたは両方を有し得ることは理解される。
【0018】
本発明を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、修正形態および変形形態が可能であることは明らかである。直観に反した方法で、臨床家(またはユーザ)に(中断モードであろうとスリープモードであろうと)圧縮デバイスの動作を休止させる、より容易な方法を提供することによって、より良いコンンプライアンスが達成され得る。部分的には、これは、中断モードで動作を再始動するように臨床家に積極的に通知するか、またはスリープモードで動作を自動的に再始動するように対策がなされているからである。
【0019】
本発明または本発明の好ましい実施形態(単数または複数)の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素があるということを意味することが意図される。用語「comprising(含む、包含する、備えている)」、「including(含む)」および「having(有する)」は、包括的であることが意図され、記載された要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0020】
上記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されることが理解される。
【0021】
本発明の範囲から逸脱することなく上記の構造および方法に様々な変更がなされ得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事は、例示的であり、限定する意味ではないと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0022】
11 圧縮デバイス
13 圧縮ガーメント
15 制御器
17 チューブ類
21 空気供給源
22 バルブ類
23 膨張可能袋
19 プロセッサ
25 休止機能
27 休止アルゴリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肢に圧縮治療を提供するように適合された圧縮デバイスのための制御器であって、該制御器は、該圧縮デバイスの膨張可能袋と流体接続するように適合され、該袋を周期的に膨張させ収縮させて、圧縮治療を提供するように構成され、該制御器は、該圧縮デバイスを再設定することなく設定された時間の期間の間、該圧縮治療を一時的に休止するようにプログラムされたプロセッサを含む、制御器。
【請求項2】
前記制御器は、圧縮治療を再開する前に、すべての関連する動作設定を再ブートまたは再入力する必要なく、圧縮治療を再開するのに必要な該動作設定を該制御器が保持するように、前記デバイスを休止する、請求項1に記載の制御器。
【請求項3】
インジケータをさらに備え、前記プロセッサは、該インジケータを起動して、前記設定された時間の期間が経過した後、圧縮治療を再開するようオペレータに信号を送るようにプログラムされている、請求項1に記載の制御器。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記設定された時間の期間が経過した後、圧縮治療を自動的に再開するようにプログラムされている、請求項1に記載の制御器。
【請求項5】
前記圧縮治療を休止する前記設定された時間の期間を選択するように動作可能なスイッチをさらに備えている、請求項1に記載の制御器。
【請求項6】
前記スイッチは、押下可能ボタンである、請求項5に記載の制御器。
【請求項7】
前記ボタンは、前記デバイスの電源をオンおよびオフにするために、前記制御器上の任意のボタンまたはスイッチよりも目立つ、請求項6に記載の制御器。
【請求項8】
前記制御器は、前記スイッチの動作時に、前記設定された時間の期間に設定されるように構成されたタイマーを含む、請求項5に記載の制御器。
【請求項9】
前記圧縮デバイスと組み合わせる請求項1に記載の制御器であって、該圧縮デバイスは、前記着用者の前記肢に位置決め可能である圧縮ガーメントを備えている、制御器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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