説明

会議システム

【課題】会議参加者が資料を柔軟に閲覧することのできる会議システムなどを提供することを目的とする。
【解決手段】会議システムは、進行役の通信端末から、当該通信端末に表示されている資料に関連する情報を共有情報として受信し、共有情報を、進行役が参加している会議の会議識別IDと対応付けて記録する手段と、会議識別IDが付与された会議に参加している他の参加者の通信端末の少なくとも一つに対して、会議識別IDに対応付けて記録された共有情報を送信する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議システムなどに関し、特に、会議参加者が資料を柔軟に閲覧することのできる会議システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の拠点から複数人が同時に参加可能な電話会議システムが種々提案されている。電話会議システムは、電話回線、専用回線、インターネット等の通信回線を用いて1対多、もしくは多対多の通信を確立し、ネットワーク上において電話会議を開催するものである。
【0003】
ところで、従来の電話会議では、会議の参加者が資料を閲覧しながら会議を進めていくような場合、会議参加者に対して、電子メール等を利用して事前に資料を配布することがある。このとき、参加者は会議の進行状況に合わせながら、各自で配布資料の該当ページを表示・閲覧する。そのため、一旦会議の進行状況を見失ってしまうと、どの資料のどのページの議論をしているのかを参加者がフォローすることは難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「WebExホームページ」、[online]、[平成22年10月7日検索]、インターネット<URL:http://www.webex.co.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、近年ウェブ上で会議資料を共有しながら会議を行うことができるシステムが提案されている(非特許文献1参照)。このシステムでは、会議の主催者側で表示している画面と同じ画面を、全ての参加者が共有することができる。しかし、会議の参加者側の端末装置には、主催者側で表示している画面と同じものしか表示されないため、資料を先読みしたり、前のページを読み返したりすることはできない。そのため、現実の会議と比較すると、参加者の使い良いとは言えなかった。また、会議主催者以外のユーザの表示画面を共有することもできないため、複数人が交代で発表するような場合に対応できなかった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、会議参加者が資料を柔軟に閲覧することのできる会議システムなどを提供することを目的とする。また、任意の参加者の表示画面を他の参加者が共有可能な会議システムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る会議システムは、進行役の通信端末から、当該通信端末に表示されている資料に関連する情報を共有情報として受信し、共有情報を、進行役が参加している会議の会議識別IDと対応付けて記録する共有情報収集手段と、会議識別IDが付与された会議に参加している他の参加者の通信端末の少なくとも一つに対して、会議識別IDに対応付けて記録された共有情報を送信する共有情報送信手段と、を備える。かかる発明によれば、共有情報を会議識別IDと対応付けて管理するため、複数の仮想会議室で同時に会議が開催されている場合でも、仮想会議室毎に共有情報を管理することができる。
【0008】
好適には、共有情報は、通信端末に表示されている資料及び表示されているページを特定可能な情報を含み、他の参加者の通信端末は、情報を会議システムから受信すると、共有情報によって特定される資料及びページを表示する。かかる発明によれば、進行役と同じ資料の同じページを、他の参加者が同期表示することができる。
【0009】
また、共有資料は、会議識別IDが付与された会議の参加者の通信端末にダウンロードされたものであることが好ましい。かかる発明によれば、複数の参加者間で資料の共有表示を行う際に、資料全体を毎回送受信する必要がなく、効率的に回線を利用できる。
【0010】
さらに、他の参加者の通信端末において、共有情報とは無関係に、ダウンロードされた資料の任意のページの表示を許容することが好ましい。かかる発明によれば、利用者が資料を先読みしたり、前のページを読み返したりすることができるため、配布資料の閲覧という観点で現実の会議と同等の使い勝手を実現できる。
【0011】
また、他の参加者は、進行役の通信端末の表示と同期させる表示方式と、進行役の通信端末の表示とは非同期に任意のページを表示させる表示方式とを選択できることが好ましい。かかる発明によれば、会議参加者が資料を自分のペースで読むか、進行役に合わせて読むかを、各自で選択できるため、会議資料を柔軟に閲覧できるシステムを提供できる。
【0012】
好適には、資料と会議識別IDとを対応付けて管理する資料データベースと、会議の参加者又は参加予定者の通信端末に、当該会議の会議識別IDが対応付けられた資料を資料データベースから取得し、取得された資料の少なくとも一つを会議の参加者又は参加予定者の通信端末に送信する資料送信手段と、をさらに備える。かかる発明によれば、ユーザが参加する会議の資料のみを、当該ユーザに配布できる。
【0013】
また好適には、資料送信手段は、他の参加者の通信端末に、共有情報によって特定される資料がダウンロードされていない場合に、当該資料を当該通信端末に送信する。かかる発明によれば、会議参加者が資料をダウンロードし忘れていた場合に、参加者が容易に資料を入手できる。
【0014】
さらに好適には、進行役は、会議参加者のうち一人が選択されるものであり、会議システムは、現在の進行役を管理するための手段を備える。かかる発明によれば、任意の参加者が進行役になれるため、任意の参加者の表示画面を他の参加者が共有することができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る制御方法は、所定の処理を実行するための処理装置を備える会議システムにおいて、処理装置が、参加者間での資料の共有を制御する方法である。ここで、処理装置は、進行役の通信端末から、当該通信端末に表示されている資料に関連する情報を受信し、情報を、進行役が参加している会議の会議識別IDと対応付けて記録するステップと、会議識別IDが付与された会議に参加している他の参加者の通信端末の少なくとも一つに対して、会議識別IDに対応付けて記録された情報を送信するステップと、を実施する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の所定の実施形態によれば、会議参加者が資料を柔軟に閲覧することのできる会議システムなどを提供することが可能となるという優れた効果を奏し得る。また、任意の参加者の表示画面を他の参加者が共有可能な会議システムなどを提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電話会議システム100のアーキテクチャを示す図である。
【図2】会議用データサーバ210の機能構成を示すブロック図である。
【図3】会議用音声サーバ220の機能構成を示すブロック図である。
【図4】会議情報DB216に登録される会議情報を例示した図である。
【図5】ユーザDB217に登録されるユーザ情報を例示した図である。
【図6】資料DB218に登録される情報を例示した図である。
【図7】共有情報記憶手段219に登録される情報を例示した図である。
【図8】ユーザの通信端末300に表示される会議一覧画面を例示した図である。
【図9】資料をアップロードする処理のフローチャートである。
【図10】資料をダウンロードする処理のフローチャートである。
【図11】資料の同期表示処理のフローチャートである。
【図12】表示モードの切替処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】会議参加者の通信端末300に表示される資料同期表示画面を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電話会議システム(会議システム)100のアーキテクチャを示す図である。
【0020】
電話会議システム100は、Web上に設けられた会議コントロールシステム200と、通信ネットワークNWを介して会議コントロールシステム200にアクセス可能な複数の通信端末300−k(k≧2)とを備えて構成される。なお、以下の説明では、各通信端末を特に区別する必要がない場合には、単に通信端末300と呼ぶ。
【0021】
通信ネットワークNWは、インターネット、無線通信網、公衆電話通信網、一般電話回線網などのほか、各通信網間を接続するためのゲートウェイや各種基地局、交換機などによって構成される。
【0022】
通信端末300は、メール機能や、インターネット接続機能等を備えた携帯電話、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)、ネットブックコンピュータ等であり、CPU、メモリ、通信装置、操作ボタンなどの入力装置、LCDなどの表示装置といったハードウェア資源を備えている。
【0023】
通信端末300は、通信ネットワークNWに接続された会議コントロールシステム200にアクセスすることで、電話会議に関わる各種サービス(詳細は後述)を利用することが可能となっている。また、通信端末300のメモリ310には、本電話会議システム100を利用するために必要なソフトウェア(以下、「電話会議アプリ」と略称)のほか、当該端末の製造出荷時などに設定される端末ID、電話番号など当該端末を識別するための情報や、電話帳が保存されている。この電話帳には、当該端末を所持するユーザ(すなわちオーナー)自身の個人情報のほか、家族や友人、会社の同僚や付き合いのある顧客など、他人の個人情報も登録されている。個人情報としては、名前、性別、年齢、電話番号、住所など、個人を特定する情報が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
また、本実施形態では、通信端末として携帯電話などを想定するが、通信ネットワークNWを介して会議コントロールシステム200にアクセス可能なパーソナルコンピュータなどにも適用可能である。
【0025】
会議コントロールシステム200は、会議用データサーバ210と会議用音声サーバ220とを備えている。
【0026】
会議用データサーバ210は、各通信端末300との間でデータ通信を行うとともに、各通信端末300を所持するユーザによって設定される会議の詳細情報(例えば、開催予定の会議の日程や参加者をあらわす会議詳細情報、過去に開催された会議の履歴をあらわす会議履歴情報など)や会議に用いる資料を記憶・更新するとともに、会議に関する各種の処理を制御するサーバであり、サーバコンピュータなどによって構成されている。
【0027】
会議用音声サーバ220は、各通信端末300との間で音声通信を行うとともに、会議用データサーバ210から供給される会議予定情報を記憶・更新するサーバであり、サーバコンピュータなどによって構成される。
【0028】
図2は、会議用データサーバ210の機能構成を示すブロック図であり、図3は、会議用音声サーバ220の機能構成を示すブロック図である。
【0029】
<会議用データサーバ210>
会議用データサーバ210は、当該サーバを構成する各ハードウェア資源がメモリに格納されたソフトウェアと協働して動作することにより、資料登録手段211、資料送信手段212、進行役管理手段213、共有情報収集手段214、共有情報送信手段215、会議情報データベース(会議情報DB)216、ユーザデータベース(ユーザDB)217、資料データベース(資料DB)218、及び、共有情報記憶手段219の機能を実現する。
【0030】
資料登録手段211は、会議で使用する資料を参加者の通信端末300等から受け取り、当該会議を一意に識別する会議識別IDと対応付けて資料データベース218に登録する。資料送信手段212は、会議の参加者又は参加予定者に対して、当該会議の会議識別IDに関連する資料を資料データベース218から取得して、当該会議の参加者又は参加予定者の通信端末300に送信する。なお、会議識別IDは、開催される会議ごとに付与され、会議コントロールシステム200内で各会議を一意に特定するための識別子である。つまり、開催される一つ一つの会議ごとに異なる会議識別IDが割り当てられるようになっている。
【0031】
進行役管理手段213は、各会議の参加者のうち、現在どの参加者が進行役であるかを管理する。会議用データサーバ210側で、進行役の参加者にフラグを立てるなどしてもよいし、通信端末300側で進行役を識別するためのフラグ等を備え、通信端末300から受信した情報にそのようなフラグが含まれているかを判断することによって進行役を管理してもよい。
【0032】
共有情報収集手段214は、進行役の通信端末300から、当該通信端末300に表示されている資料に関連する情報(以下「共有情報」という。)を受信し、会議識別IDと対応付けて共有情報記憶手段219に登録する。既に、同一の会議識別IDに関する共有情報が共有情報記憶手段219に登録されている場合には、新たに受信した共有情報を上書きして、登録されている情報を変更する。この共有情報は、進行役と他の参加者との間で、画面表示を共有させるために使用される情報である。好適には、共有情報は、進行役の通信端末に表示されている資料とそのページとを特定可能な情報を含む。
【0033】
共有情報送信手段215は、会議に参加している他の参加者に対して、当該会議の共有情報を送信する。例えば、他の参加者の通信端末300からの依頼に応じて、共有情報を返送する。通信端末300からの依頼には、会議識別ID、ユーザID、又は端末IDを含む。会議識別IDが含まれている場合には、当該会議識別IDをもとに共有情報記憶手段219を検索して、当該会議識別IDに対応する共有情報を取得、送信する。通信端末300からの依頼にユーザIDや端末IDが含まれている場合には、ユーザIDや端末IDをもとに会議情報DB216を検索すれば、現在参加者が参加している会議の会議識別IDが得られるので、これをもとに共有情報を取得、送信する。
【0034】
会議情報DB216には、会議の日程や参加者をあらわす会議情報が登録・管理される。ユーザDB217には、会議コントロールシステム200を利用するユーザに関する情報が登録・管理される。資料DB218には、会議に使用する資料に関する情報が登録・管理される。共有情報記憶手段219には、共有情報が登録・管理される。
【0035】
ここで、図4は、会議情報DB216に登録される会議情報を例示した図である。会議情報は、開催される会議ごとに付与され各会議ごとにユニークな会議識別IDと、電話会議へ参加が予定されたユーザを示す参加予定者と、開催日時をあらわす日時情報とが対応付けて登録される。ユーザDB217に登録されているユーザであれば、誰でも新たな会議情報を設定し、登録できることが好ましい。なお、会議情報DB216には、これから開催される予定の会議のみでなく、以前に開催された会議の情報も保存されることが好ましい。このとき、参加予定者の欄は、実際に会議に出席した参加者と、会議に欠席した参加者とが、識別可能に管理されることが好ましい。
【0036】
図5は、ユーザDB217に登録されるユーザ情報を例示した図である。ユーザ情報は、ユーザごとに、各ユーザの氏名や所属を示すプロパティと、各ユーザごとにユニークなユーザIDと、各ユーザが利用する通信端末300の電話番号と、通信端末300ごとにユニークな端末IDとが対応付けて登録される。ユーザIDとしては、例えば、社員番号や会員IDなどを利用できる。登録される電話番号としては、ユーザが使用する携帯電話機の電話番号、スマートフォンの電話番号、固定電話機の電話番号等、複数の電話番号を、1つのユーザIDに対応付けて登録できることが好ましい。
【0037】
なお、会議用データサーバ210は、会議情報DB216に登録されている会議情報とユーザDB217に登録されているユーザ情報とに基づいて、会議識別IDと会議の日時情報と会議参加予定者が利用する通信端末の電話番号とを含む会議予定情報を生成し、会議用音声サーバ220に通知するとともに、会議情報に変更があった場合にはこの変更内容をあらわす変更情報を会議用音声サーバ220に通知する。
【0038】
図6は、資料DB218に登録される情報を例示した図である。同図に示すように、資料DB218は、会議の参加者又は参加予定者からアップロードされた資料と、当該資料を使用する会議の会議識別IDとが対応付けて登録される。つまり、会議用データサーバ210は、資料に会議識別IDを紐付けてセットで管理する。
【0039】
図7は、共有情報記憶手段219に登録される情報を例示した図である。同図に示すように、共有情報記憶手段219は、現在進行中の会議ごとに、会議識別IDと、進行役から受信した共有情報とが対応付けて登録される。共有情報としては、例えば、進行役の通信端末300で表示されている資料の名称とそのページ数が登録される。
【0040】
<会議用音声サーバ220>
会議用音声サーバ220は、当該サーバを構成する各ハードウェア資源がメモリに格納されたソフトウェアと協働して動作することにより、会議開催制御手段221、コールイン・コールアウト制御手段222、会議予定情報データベース223の機能を実現する。
【0041】
会議開催制御手段221は、会議用データサーバ210から通知される会議予定情報や変更情報を会議予定情報データベース(会議予定情報DB)223に登録・更新し、管理する。コールイン・コールアウト制御手段222は、各ユーザの通信端末300から会議コントロールシステム200の所定の電話番号に電話(コールイン)があると、コールイン・コールアウト制御手段222は、当該ユーザの電話番号と、会議予定情報DB223に登録された電話番号とを比較することで、そのユーザが参加予定者であるか否かを判断する。会議予定情報DB223には、今後開催される会議の会議識別IDと、日時情報と、会議参加予定者が利用する通信端末の電話番号とが対応付けて登録される。
【0042】
以下、会議コントロールシステム200を利用して電話会議を行う場合の動作について、場合をわけて説明する。なお、本実施例において、電話会議の音声交換は会議用音声サーバ220によって制御され、資料のダウンロードや同期表示処理は会議用データサーバ210によって制御される。
【0043】
<会議予約>
会議主催者は、自身の通信端末300を操作して会議コントロールシステム200へアクセスし、新規会議の開催予約に必要な会議開催要求情報を入力する。会議コントロールシステム200は、会議開催要求情報に基づいて、会議の参加予定者の日程を調整した後、会議の予約処理、すなわち新たに開催される会議の会議情報を会議情報DB216に登録する。このとき、会議識別IDが新規に付与され、会議の参加予定者及び日時情報と対応付けて登録される。
【0044】
<会議一覧表示>
図8は、ユーザの通信端末300に表示される会議一覧画面を例示した図である。ユーザが会議用データサーバ210にアクセスすると、通信端末300には、図8に示すような会議一覧が表示される。この会議一覧には、ユーザが今後参加する予定の会議と以前に出席した会議とがリストアップされる。例えば、会議用データサーバ210は、ユーザIDの入力を求め、入力されたユーザIDをもとに会議情報DB216を検索する。あるいは、会議用データサーバ210はアクセスしてきた通信端末300の端末IDまたは電話番号をバックグラウンドで受信して、これに基づいて会議情報DB216を検索してもよい。そして、当該ユーザが参加予定の会議及び出席した会議をピックアップして会議一覧を生成し、通信端末300に送信する。ただし、会議一覧にどのような会議を一覧表示させるかは、ユーザまたは会議用データサーバ210の管理者の設定により、任意に変更可能とすることが好ましい。
【0045】
<会議参加>
会議に参加するとき、ユーザは自己が使用する通信端末300を使用して、会議用に設けられた所定の電話番号に電話する。会議用音声サーバ220はユーザからのコールを受けると、受信した電話番号と受信した日時をもとに会議予定情報DB223を検索し、電話を掛けてきた相手が参加を予定されている会議の会議識別IDを取得する。そして、この会議識別IDに基づいて、コールインしてきたユーザの電話を、開催される会議ごとに用意された仮想的な会議室につなぐことによって、参加すべき会議にユーザが参加できるようになる。
【0046】
ユーザから受信した電話番号が会議予定情報DB223に登録されていない場合、会議用音声サーバ220は、会議識別IDまたは会議用に事前に設定されたPINコードの入力をユーザに求めてもよい。この場合、ユーザは事前に通知された、当該会議用の会議識別IDまたはPINコードを直接入力することによって、当該会議識別IDの仮想会議室に入ることができる。
【0047】
一方、コールインしてきたユーザが参加可能な会議がなかった場合には、ユーザにエラー通知を行い、通話を終了する。
【0048】
<資料アップロード処理>
会議に参加するユーザは、当該会議に使用する資料を会議用データサーバ210にアップロードすることができる。
【0049】
図9は、資料をアップロードする処理のフローチャートである。まず、ユーザは会議用データサーバ210にアクセスして、会議一覧を通信端末300に表示させる(S91)。この会議一覧の中から、アップロードする資料を使用する会議を選択する(S92)。すると、選択した会議の詳細情報が表示されるので、この詳細情報のメニューの中から「資料のアップロード」を選択し、表示されるウィザードに従ってアップロードしようとする資料を選択することによって、その資料が会議用データサーバ210にアップロードされる(S93)。会議用データサーバ210が資料を受信すると、資料登録手段211は、アップロードされた資料と、ユーザがS92で選択した会議の会議識別IDとを対応付けて、資料DB218に登録する(S94)。
【0050】
なお、会議資料のアップロード処理は、会議開始前または会議実施中に行うことができる。会議終了後には、議事録または追加資料という形で、資料をアップロード可能である。また、データ通信が可能な任意の端末装置を利用して、アップロード処理が可能であることが好ましい。
【0051】
<資料のダウンロード処理>
ユーザは、会議用データサーバ210から会議資料を各自でダウンロードすることによって、会議資料を閲覧できる。本実施例では、開催される会議ごとに参加予定者が管理され、かつ、会議で使用される資料は、それぞれの会議に対応付けられている。そのため、会議開始前であれば会議に参加予定のユーザ、会議実施中であれば会議に参加しているユーザ、会議終了後であれば会議に出席したユーザが、当該会議に関連する資料をダウンロードして閲覧できる。なお、会議終了後については、会議に参加予定であったが欠席したユーザも資料を閲覧できるように設定してもよい。
【0052】
図10は資料をダウンロードする処理のフローチャートである。
【0053】
会議開始前または会議終了後に資料をダウンロードする場合(S101:No)、ユーザはまず会議用データサーバ210にアクセスし、会議一覧を通信端末300に表示させる(S102)。会議一覧画面に表示されている複数の会議の中から、資料をダウンロードしたい会議を選択し(S103)、続いて、メニューの中から「資料一覧」を選択する。すると、会議用データサーバ210では、ユーザの選択した会議の会議識別IDをもとに資料DB218を検索し、当該会議識別IDに紐付けられて登録されている資料を全て取得する。そして、資料一覧を生成し、通信端末300に提供する。こうして、通信端末300に、当該会議に関連する資料の一覧が表示される(S104)。その資料一覧の中から、ユーザは所望の資料を選択し、各自の通信端末300にダウンロードする(S105)。
【0054】
一方、会議を実施している最中に資料をダウンロードする場合(S101:Yes)、まずユーザは会議画面のメニューの中から「資料一覧」を選択する。すると、会議用データサーバ210は、当該ユーザが現在参加している会議の会議識別IDをもとに資料データベースを検索し、当該会議識別IDに紐付けられている資料を取得して、資料一覧を生成し、通信端末300に送信する。こうして、通信端末300に、現在実施中の会議に関連する資料一覧が表示される(S104)。ユーザはその資料一覧の中から所望の資料を選択し、ダウンロードする(S105)。
【0055】
<資料の閲覧>
ダウンロードした資料は、会議開始前、会議実施中、会議終了後、いずれの時点でも、ユーザは各自の通信端末300上で自由に閲覧できる。
【0056】
<資料の同期表示>
本実施例では、電話会議を実施している最中に、資料を閲覧しながら会議を進めることができる。このとき、各ユーザは、各自の通信端末300で資料を自由に表示・閲覧することができるが、あるユーザの通信端末300上で表示されている画面と同じものを、他のユーザの通信端末300上でも共有して表示することもできる。本実施例では、会議参加者の中から進行役が一人選ばれる。そして、この進行役が、自身の通信端末300上で表示している資料とそのページに合わせて、進行役以外の参加者の通信端末300上でも、進行役と同じ資料の同じページを同期して表示する。
【0057】
図11は、資料の同期表示処理のフローチャートである。まず、参加者の中から進行役が一人決定される(S111)。例えば、会議中の通信端末300に表示される会議画面に、進行役ボタンを設置しておき、この進行役ボタンを押した参加者が以後の進行役に選ばれる。会議用データサーバ210の進行役管理手段213は、進行役ボタンを押した参加者にフラグを立てるなどして、現在どの参加者が進行役なのかを管理する。なお、進行役は、会議の途中で適宜変更可能であることが好ましい。例えば、上記の進行役ボタンをトグル型のボタンとしておき、複数の参加者のうち一人だけが選択できるものとしておけば、新たに進行役として選ばれたユーザが、自分の通信端末300上で進行役ボタンを押すことによって、進行役を変更することができる。進行役管理手段213は、新たに選択された進行役にフラグを移し替えるなどすることによって、現在の進行役を管理する。
【0058】
進行役の共有情報、すなわち、進行役の通信端末300に表示されている資料とそのページを特定可能な情報は、会議用データサーバ210に送信される(S112)。共有情報は、進行役の通信端末300から所定の間隔で定期的に会議用データサーバ210に送信されるものとしてもよいし、共有情報に変更があったときなど、所定のトリガに応じて、会議用データサーバ210に送信されるものとしてもよい。共有情報に変更があったときとは、例えば、進行役が自身の通信端末300に表示している資料のページを捲った、すなわち、表示ページを異なるページに変更した場合や、進行役が表示している資料を他の資料に変えた場合、進行役が他の人に変わった場合などがある。会議用データサーバ210の共有情報収集手段214は進行役の通信端末300から受信した共有情報を、共有情報記憶手段219に登録・保管する(S113)。
【0059】
進行役以外の会議参加者の通信端末300は、定期的に会議用データサーバ210にアクセスして、共有情報を取得する(S114)。そして、取得した共有情報に基づいて表示する資料とそのページを制御する。つまり、共有情報によって特定される資料及びページと同じ資料及び同じページを通信端末300に表示する(S115)。したがって、表示している資料が共有情報と異なっていれば、共有情報に含まれるものと同じ資料に切り替える。また、表示しているページが共有情報と異なっていれば、共有情報に含まるものと同じページに切り替える。その後、進行役が変わるときには、S111から処理を行い、進行役が変わらなければ、S112からS115までの処理を繰り返す。こうして、進行役とそれ以外の会議参加者との間で、閲覧する資料とそのページを同期させて表示することが可能となる。なお、参加者の通信端末300に、共有情報によって特定される資料がまだダウンロードされていない場合、会議用データサーバ210は、当該資料を当該通信端末300に送信する。
【0060】
また、進行役以外の会議参加者は、閲覧する資料を進行役と同期表示させる同期表示モードと、進行役と同期表示させることなく、共有情報とは無関係に、各自が自由に資料を表示・閲覧できる非同期表示モードとの両者を利用でき、これらを適宜切り換えられることが好ましい。例えば、資料閲覧画面上にモード切り替えボタンを設置して、参加者が必要に応じて自由に表示モードを切り替えられるようにしてもよい。
【0061】
図12は、進行役以外の参加者の通信端末300における表示モードの切替処理の一例を示すフローチャートである。本実施例では、デフォルトでは同期表示モードに設定されている(S121)。しかし、参加者が自分で資料をページ捲りして、進行役と異なるページになった場合には(S122)、同期表示モードから非同期表示モードに自動的に切り替わる(S123)。非同期表示モードに切り替わったときには、資料閲覧画面上に、同期表示モードに戻るためのボタンが設置される。そして、参加者がこのボタンを押すと(S124)、会議用データサーバ210から共有情報を取得して、進行役と同じ資料の同じページを表示させるとともに、同期表示モードに切り替わる(S121)。こうして、会議参加者は、通常の会議と同様に、進行役の話に合わせて資料を同期表示させることができると同時に、資料の後ろの方のページを先読みしたり、前の方のページを再度見直したりといったことを、進行役の画面表示とは無関係に、会議進行中に自由に行うことができる。
【0062】
図13は、会議参加者の通信端末300に表示される資料同期表示画面を例示した図である。進行役と同期表示モードを選択している参加者には、同じ画面が同期して表示されるので、共通の資料・ページを見ながら会議を進めることができる。
【0063】
なお、同期表示モードの場合、参加者のページ捲り処理等をキャンセルして、参加者の自由な閲覧を禁止するように制御してもよいし、参加者の自由な閲覧を認め、参加者が好きなページを閲覧できるようにしつつ、通信端末300が定期的に会議用データサーバ210の共有情報記憶部にアクセスするタイミングで、強制的に進行役と同じ資料の同じページに表示を戻すように制御してもよい。
【0064】
<会議の終了>
全ての会議参加者が電話を切る、すなわち、会議用音声サーバ220との接続を切断することによって、会議は終了する。会議終了時刻を予め設定していた場合には、会議終了時刻が近付いてきたときに、その旨を知らせる警告が、一部又は全ての会議参加者の通信端末300に表示される。例えば、会議終了時刻の5分前になっても会議が終了していない場合に、会議参加者の通信端末300に、「あと5分で終了時刻です。延長しますか?」などの警告と、「延長する」および「延長しない」という選択ボタンを表示させる。参加者の一人、例えば会議主催者などが、会議を「延長する」ボタンを押すと、所定時間だけ会議終了時間が延長される。この場合、延長後の終了時刻が近付くと、再度その旨を知らせる警告が表示される。一方、「延長しない」ボタンを押すと、会議終了時刻になると、強制的に参加者の電話接続が切断されて、電話会議が終了される。このように、会議終了時刻が近付くたびに警告通知を行うことによって、会議の終了が促されるため、効率的な会議運営が期待できる。
【0065】
なお、本実施形態および各変形例において示した各処理のステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。さらに本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。さらにまた、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。また、本発明に係るソフトウェアの開発支援プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【符号の説明】
【0066】
100…電話会議システム、200…会議コントロールシステム、210…会議用データサーバ、211…資料登録手段、212…資料送信手段、213…進行役管理手段、214…共有情報収集手段、215…共有情報送信手段、216…会議情報データベース、217…ユーザデータベース、218…資料データベース、219…共有情報記憶手段、220…会議用音声サーバ、221…会議開催制御手段、222…コールイン・コールアウト制御手段、223…会議予定情報データベース、300…通信端末、NW… 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行役の通信端末から、当該通信端末に表示されている資料に関連する情報を受信し、前記情報を、前記進行役が参加している会議の会議識別IDと対応付けて記録する共有情報収集手段と、
前記会議識別IDが付与された会議に参加している他の参加者の通信端末の少なくとも一つに対して、前記会議識別IDに対応付けて記録された前記情報を送信する共有情報送信手段と、
を備える会議システム。
【請求項2】
前記情報は、通信端末に表示されている資料及び表示されているページを特定可能な情報を含み、
前記他の参加者の通信端末は、前記情報を前記会議システムから受信すると、前記情報によって特定される資料及びページを表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の会議システム。
【請求項3】
前記資料は、前記会議識別IDが付与された会議の参加者の通信端末にダウンロードされたものである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の会議システム。
【請求項4】
前記他の参加者の通信端末において、前記情報とは無関係に、前記ダウンロードされた資料の任意のページの表示を許容する、
ことを特徴とする請求項3に記載の会議システム。
【請求項5】
前記他の参加者は、前記進行役の通信端末の表示と同期させる表示方式と、前記進行役の通信端末の表示とは非同期に任意のページを表示させる表示方式とを選択できる、
ことを特徴とする請求項4に記載の会議システム。
【請求項6】
資料と会議識別IDとを対応付けて管理する資料データベースと、
会議の参加者又は参加予定者の通信端末に、当該会議の会議識別IDが対応付けられた資料を前記資料データベースから取得し、取得された資料の少なくとも一つを前記会議の参加者又は参加予定者の通信端末に送信する資料送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の会議システム。
【請求項7】
前記資料送信手段は、前記他の参加者の通信端末に、前記情報によって特定される資料がダウンロードされていない場合に、当該資料を当該通信端末に送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の会議システム。
【請求項8】
前記進行役は、会議参加者のうち一人が選択されるものであり、
前記会議システムは、現在の進行役を管理するための手段を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の会議システム。
【請求項9】
所定の処理を実行するための処理装置を備える会議システムにおいて、前記処理装置が、参加者間での資料の共有を制御する方法であって、
前記処理装置が、
進行役の通信端末から、当該通信端末に表示されている資料に関連する情報を受信し、前記情報を、前記進行役が参加している会議の会議識別IDと対応付けて記録するステップと、
前記会議識別IDが付与された会議に参加している他の参加者の通信端末の少なくとも一つに対して、前記会議識別IDに対応付けて記録された前記情報を送信するステップと、
を実施する制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−85008(P2012−85008A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227863(P2010−227863)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(509281313)株式会社SUGAO (5)
【Fターム(参考)】