説明

会議データの統合管理方法および装置

【課題】会議参加者のそれぞれの発言やその文書化データの管理を容易にし、会議データの利便性を向上させることが可能な統合管理方法および装置を提供する。
【解決手段】会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれ格納したチャネル別音声データ格納部(207、208)と、音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御部(201、212、213)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は会議情報や会議での参加者の発言などを含む会議データの管理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、会議の議事録を作成するには参加者一人一人の発言をテキストデータに変換する必要があり非常に大きな労力を要する。この労力を軽減するために、種々の支援システムが提案されている。たとえば、特許文献1には、発言者毎に音声を収集してテキストデータに変換し、それらを時系列に格納することで議事録を作成する会議サポートシステムが開示されている。この会議サポートシステムでは、各参加者のテキストデータをタイムスタンプに従って時系列に配列し、発言が時間的に重なった場合にはタイムスタンプの早い順に並べられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−112931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した会議サポートシステムは議事録の作成を支援するシステムであり、参加者のそれぞれの発言やそれらをテキスト化したデータを効率的かつ容易に管理することができない。このために会議データを有効に活用することが難しかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、会議参加者のそれぞれの発言やその文書化データの管理を容易にし、会議データの利便性を向上させることが可能な統合管理方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による会議データ統合管理装置は、操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置であって、会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれ格納したチャネル別音声データ格納手段と、前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る会議データの統合管理方法は、操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置における会議データ統合管理方法であって、会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれチャネル別音声データ格納手段に格納し、制御手段が、前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る会議データの統合管理システムは、操作部および画像表示部を有し会議データを統合的に管理するシステムであって、会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共に記録する録音装置と、前記録音装置に接続された会議データ統合管理装置と、を有し、前記会議データ統合管理装置は、前記録音装置から前記音声チャネルごとに記録された音声データをそれぞれ格納するチャネル別音声データ格納手段と、前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、会議参加者のそれぞれの発言やそのテキストデータの管理が容易となり、各参加者の発言の確認や音声/文書化データの有効利用など会議データの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る会議データ統合管理システムにおける録音再生装置のブロック図である。
【図2】図2(A)は音声データの録音判定条件を説明するための模式的波形図であり、図2(B)は音声ファイル名の構成を示す図である。
【図3】図3(A)〜(C)は録音再生装置の音声データ録音動作を説明するための音声データ記録部の模式的構成図である。
【図4】図4は、図1における会議データ統合管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例による会議データ統合管理システムにおける会議データ画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例による会議データ統合管理システムにおける音声データ画面の一例を示す図である。
【図7】図7(A)は本実施例による会議データ統合管理システムにおける会議データ検索画面の一例を示す図、図7(B)および図7(C)はその検索結果の一例をそれぞれ示す図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例による会議データ統合管理システムにおける音声テキスト表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、複数の発言者のそれぞれの音声を個別のチャネルに録音することで、同時に複数の参加者が発言した場合でも時系列を維持しつつ各発言者の音声を個別に処理し管理することができる。これにより会議参加者のそれぞれの発言やそのテキストデータの管理が容易となり、各参加者の発言の確認やデータの有効利用が可能となる。さらに、発言が時間的に重なった場合でも、各参加者の発言やテキストデータを音声チャネルごとに表示することで、議事録データから実際の会議での発言の重なり等の会議状況を知ることが可能となる。以下、本発明の実施形態および実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
1.一実施形態
1.1)システム
図1において、本発明の一実施形態による会議データ統合管理システムは、複数の音声入力装置M1−Mn、録音再生装置10および会議データ統合管理装置20からなり、会議データ統合管理装置20が公衆網30を通して議事録文書作成サービスを提供するサーバ40へ接続可能である。
【0013】
会議の参加者P1−Pnはそれぞれ音声入力装置M1−Mnに対応づけられており、各音声入力装置Mi(i=1,2,..., or n)は、対応する参加者Piの発言を集音し、音声信号SSiを送信する機能を有するマイクロフォンまたはその代替機能を持った装置であり、対応する参加者Piの音声信号を録音再生装置10へ送信する。音声入力装置M1−Mnは録音再生装置10と有線または無線通信により接続されている。また録音再生装置10は会議データ統合管理装置20と有線または無線通信により接続されている。
【0014】
録音再生装置10は、後述する録音機能の他に、再生機能、通信機能などを有する。通信部101は、音声入力装置M1−Mnからそれぞれ音声信号SS1−SSnを有線あるいは無線で受信し、受信した音声信号SSiを音声データ記録制御部102へ出力する。音声データ記録制御部102は、受信した音声信号SSiが有効であれば、音声入力装置Miの識別番号と受信時間情報とを用いて音声データSiを生成し、音声データ記録部103に記録する。音声データSiの生成方法については後述する(図2)。
【0015】
音声データ記録部103は、音声入力装置ごとに音声データを録音する複数の音声チャネルCH1−CHnを備える。音声データ記録制御部102の制御に従って、各音声入力装置Miから入力した音声データSiは当該音声入力装置の識別番号Miに対応する音声チャネルCHiに録音される。録音された音声データは通信部04を通して会議データ統合管理装置20へ送信することができる。録音再生装置10の録音/再生および送信動作は制御部105により制御される。後述するように、会議データ統合管理装置20上で動作する音声・議事録データ管理プログラムに従って、音声データを入出力する機能も備えている。
【0016】
また、図示されていないが、録音再生装置10には、ユーザインタフェースとして、録音スイッチ、再生スイッチ、会議データ指定ボタン、音声チャネル指定ボタン、音声データ指定ボタンが設けられている。録音スイッチはON/OFF切替え可能でありき、ONにするとすべての音声チャネルを録音待機状態に、OFFにするとすべての音声チャネルを録音停止状態に切り替える。再生スイッチはON/OFF切替え可能であり、ONにすると音声データを再生する。この時、会議データ指定ボタン、音声チャネル指定ボタン、音声データ指定ボタンで音声データを指定していると、指定されている音声データを再生する。音声データを指定していない場合は直前に録音した会議の音声データを再生する。会議データ指定ボタンは録音した任意の会議データに含まれるすべての音声データを指定する機能を備えている。音声チャネル指定ボタンは録音した会議データの任意の音声チャネルに含まれるすべての音声データを指定する機能を備えている。音声データ指定ボタンは任意の音声データを指定する機能を備えている。
【0017】
会議データ統合管理装置20は、パーソナルコンピュータ上で会議データ統合管理プログラムを実行することにより実現することができる。後述するように、会議データ統合管理装置20は、録音再生装置10との間で音声データを入出力する機能を有し、録音再生装置10から入力された音声データは内部のデータベースに保存される。さらに、会議データ統合管理装置20は、会議データを作成、編集する機能、データベース上にある音声データから所望の条件に該当する音声データを抽出して関連付ける機能、会議全体の音声データを再生する機能、指定した音声チャネルを再生する機能、各音声データを再生する機能、会議データの項目毎に任意の単語で検索する機能を備え、さらに議事録文書作成サービス40を利用し会議データまたは音声データを文書データに変換するためのインタフェースを備えている。
【0018】
議事録文書作成サービス40は、ネットワークを介して入力された会議データまたは音声データを文書に変換するネットワーク上で提供されるサービスである。会議データ統合管理装置20は、議事録文書作成サービス40へ会議データまたは音声データの文書化要求を送信することで文書化されたテキストデータを取得することができる。なお、ネットワーク上の議事録文書作成サービス40ではなく、ユーザ側で音声−テキスト変換機能を有するプログラムを用意することも可能である。
【0019】
1.2)録音動作
図2(A)に示すように、音声データ記録制御部102は、受信した音声信号SSiが有効音量(しきい値)以上であるか否かを判定し、有効音量以上であれば参加者が発言したと判断して録音し、有効音量に達しない場合には発言がないあるいは無音時と判断して録音しない。ここでは、音声データSSi(1)、SSi(3)が有効音量に達しているため録音され、それらの間にある音声データSSi(2)は有効音量に達していないため録音されない。音声データ記録制御部102は、録音される音声データSiにファイル名を付けられて音声データ記録部103に記録する。
【0020】
図2(B)にファイル名の一例を示す。ファイル名は音声入力装置M1−Mnの識別番号と録音日時情報(年月日時分秒)とを埋め込んだ名称を用いる。ファイル名から音声入力装置を特定でき、時間情報から参加者の発言順を特定できる。
【0021】
上述したようにファイル化された音声データSiは、図3(A)−図3(C)に示すように、音声データ記録制御部102により音声データ記録部103の対応する音声チャネルCHiに記録される。すなわち、図3(A)に示すように、参加者P1の発言により音声入力装置M1から音声信号SS1を入力すると、音声データ記録制御部102は、音声信号SS1からファイル化された音声データS1を生成し、音声データ記録部103の対応する音声チャネルCH1に記録する。同様に、図3(B)、図3(C)に示すように、参加者P2〜Pnの発言により音声入力装置M2〜Mnから音声信号SS2〜SSnをそれぞれ入力すると、音声データ記録制御部102は、音声信号SS2〜SSnからそれぞれファイル化された音声データS2〜Snを生成し、音声データ記録部103の対応する音声チャネルCH2〜CHnにそれぞれ記録する。ここでは、参加者と音声入力装置とが一対一に対応しているので、音声入力装置の識別番号と音声チャネルも一対一に対応しているが、これに限定されるものではない。1つの音声入力装置に複数の参加者の発言が集音されても、それらを声紋パターンを用いて識別できれば、各参加者の発言を異なる音声チャネルに記録することもできる。
【0022】
1.3)会議データの統合管理
図4において、会議データ統合管理装置20はコンピュータに実現されたものであり、通常のコンピュータと同様に、プロセッサ201、通信部202および203、キーボードおよびポインティングデバイスあるいはタッチパネル等の操作部204、モニタを含む画像表示部205およびスピーカ等を含む音声出力部206を備えている。ここでは、通信部202が録音再生装置10との接続を、通信部203が公衆網30との接続を、それぞれ提供する。
【0023】
さらに会議データ統合管理装置20はデータベース207を備え、データベース207には、会議毎に、チャネル別音声データ208、チャネル別議事録文書データ209、参照資料データ210および会議識別データが互いに関連付けられ検索可能に格納されている。
【0024】
チャネル別音声データ208は、録音再生装置10の音声データ記録部103から順次受信したチャネル別の音声データをチャネル別に蓄積したデータであり、上述したように音声入力装置の識別番号と録音日時情報を含むファイル形式で格納される。チャネル別議事録文書データ209は、ユーザの指示に従って議事録文書作成サービス40を利用して得られた音声データの文書化データ(議事録文書)である。参照資料データ210は、会議で使用したメモや図面などのデータである。会議識別データとしては、会議の名称、開催日時、開催場所、参加者などがある。
【0025】
また、会議データ統合管理装置20はプログラム記憶部211を備え、プログラム記憶部211には会議データ統合管理プログラム212およびユーザインタフェースプログラム213が格納されている。プロセッサ201は、会議データ統合管理プログラム212およびユーザインタフェースプログラム213を実行することで、ユーザインタフェースとして次に説明する表示画面を画像表示部205に提供し、ユーザが操作部204を操作することで統合的な管理を容易に実現できる。
【0026】
a)会議データ画面
図5に示す会議データ画面301は、会議データを作成、編集あるいは表示するための画面であり、ユーザインタフェースプログラム213に含まれる。会議データ画面301では、会議データを構成する会議名称、開催日時(開始日時、終了日時)、開催場所、参加者、音声データ、議事録文書、参考資料が項目として表示される。各項目はユーザが任意に編集することが出来る。会議データが作成された後に、会議データ画面301から音声データを選択すれば後述する音声データ画面401を、議事録文書を選択すれば文書化された議事録を、それぞれ表示することができる。
【0027】
図5に示す会議データ画面301において、たとえばポインティングデバイスやタッチパネルを通して「会議名称」や「開催場所」を選択すると、ユーザが操作部204を通してそれらのデータを任意に書き込むことができる。「開催日時」を選択すれば、ユーザが日時情報を入力できるが、会議名称および開催場所のデータから録音再生装置10により自動登録されたファイル名の日時情報を自動で読み出すこともできる。「参加者」を選択すれば、会議データに関連付けられた音声データの音声入力装置識別番号が仮の名称として登録されるが、これも手動で入力可能である。
【0028】
「音声データ」を選択すると、プロセッサ201は「開催日時」で特定される音声データをデータベース207のチャネル別音声データ208から自動で抽出し、会議識別データと関連付ける。「議事録文書」を選択すると、プロセッサ201は通信部203を通して議事録文書作成サービス40へ文書化要求を送信し、それによって作成された文書データを登録する。具体的には、ある会議の特定参加者あるいは全参加者をユーザが指定し、その音声データの文書化要求を議事録文書作成サービス40へ送信すると、議事録文書作成サービス40から文書化されたデータが返ってくる。この文書化データをチャネル別議事録文書データ209としてデータベース207に格納する。したがって、会議が特定されれば、その会議の全参加者の音声データあるいは発言の文書化データを検索して表示させることが可能となる。次に、音声データが指定された場合の音声データ画面について説明する。
【0029】
b)音声データ画面
図6に示す音声データ画面401はチャネルごとに音声データを再生出力するための画面であり、ユーザインタフェースプログラム213に含まれる。音声データ画面401は音声データ表示部402、再生ボタン403、出力ボタン404で構成される。
【0030】
音声データ表示部402には、データベース207のチャネル別音声データ208から対応する音声データを読み出すことで、会議データに関連付けられた音声データが音声チャネル毎に時系列で表示される。図6では、音声チャネルCH1(すなわち音声入力装置M1により集音された参加者P1の発言)として音声データファイルM1_20000101_12_34_56とM1_20000101_12_35_01とが時間軸上に表示され、音声チャネルCH2(すなわち音声入力装置M2により集音された参加者P2の発言)として音声データファイルM2_20000101_12_34_58が、音声チャネルCHn(すなわち音声入力装置Mnにより集音された参加者Pnの発言)として音声データファイルMn_20000101_12_35_00とMn_20000101_12_35_03とが、共通の時間軸上にそれぞれ表示されている。したがって、各参加者の発言がどのタイミングでなされたかを容易に知ることができる。ここでは、参加者P1の最初の発言が終わらないうちに参加者P2が発言を開始したこと、また参加者P1の発言が終わらないうちに参加者Pnが2度目の発言を開始したこと、を一目で読み取ることができる。特許文献1に開示された通常の議事録では、特別なコメントを付加しない限り、このような会議の様子を読み取ることは不可能である。
【0031】
再生ボタン403を選択すると、画面に表示されている音声データを再生する。この時、音声チャネルまたは音声データを指定していると、指定されている音声データを再生する。指定していない場合は会議データに含まれるすべての音声チャネルの音声データを再生する。出力ボタン404を選択すると、画面に表示されている音声データをミキシングして1つの音声ファイルとして出力する。任意の音声チャネルまたは音声データを指定すると、指定した音声データのみをミキシングした音声ファイルを出力する。なお、音声チャネルおよび音声データの指定はユーザがGUI上で指定することで実現される。
【0032】
c)会議データ検索画面
図7(A)に示す会議データ検索画面501は会議データを検索するための機能であり、会議データを構成する会議名称、開催日時(開始日時、終了日時)、開催場所、参加者、音声データ、議事録文書および参考資料を指定する項目入力部と検索ボタン502とで構成される。各項目に対してユーザが任意のキーワードを指定すると、プロセッサ201はデータベース207から該当する会議データを抽出し、その検索結果を表示する。キーワードに該当する会議データがあれば図7(B)で示すように該当件数と会議データを表示する検索結果画面を、キーワードに該当する会議データがなければ、図7(C)で示すように「該当件数0件」の表示画面を表示する。
【0033】
1.4)効果
上述したように、本実施形態によれば、複数の発言者のそれぞれの音声を個別のチャネルに録音することで、同時に複数の参加者が発言した場合でも時系列を維持しつつ各発言者の音声を個別に処理し管理することができる。これにより会議参加者のそれぞれの発言やそのテキストデータの管理が容易となり、各参加者の発言の確認やデータの有効利用が可能となる。より具体的には、次の効果を奏する。
【0034】
第一の効果は、録音した音声データを聴取する際に発言内容が明瞭になることにある。その理由は、音声データを参加者毎に個別の音声チャネルに録音することで、複数の参加者が同時に発言した場合でも音声が多重して録音されることを回避できるためである。
【0035】
第二の効果は、音声データを元に議事録文書の作成作業が容易になることにある。その理由は、第一の効果であげた発言内容が明瞭になることに加え、全参加者の発言が時系列順に管理され、実際の会議と同じ順番で音声データを再生することが出来るためである。また、会議データ統合管理プログラム212から直接議事録作成サービス40を利用できるためである。
【0036】
第三の効果は、音声データの管理が容易になることにある。その理由は、会議毎に会議データが作成され、音声データを会議データに関連付けて管理することで、ユーザは直接音声データの関連付け管理することが不要となるためである。
【0037】
第四の効果は、議事録文書の管理が容易になることにある。その理由は、会議データに「会議名称」、「開催日時」、「開催場所」、「参加者」、「音声データ」、「議事録文書」、「参考資料」を関連付け、統合的に管理することで、ユーザは音声データや議事録文書など個々のデータを管理することが不要となるためである。また、必要なデータを会議データに集約して管理することで、検索も容易に出来るためである。
【0038】
さらに、音声データおよび/またはテキストデータを会議データに関連付けることで、音声データが、どの参加者の発言であるかを示す識別情報と時間情報とを付加したファイルとして生成されるので、各音声データが会議において誰がどの時間に発言したものであるかを明確に特定することができる。また、各音声データとテキストデータとを対応付けるとともに議事録データにも関連付けて記憶するので、作成された議事録データに対応する音声データを簡単に再生することができ、議事録の品質および信頼性を向上させることができる。
【0039】
2.他の実施例
上述した図6の音声データ画面401では、チャネルごとに音声データを再生出力するための画面であったが、音声データの代わりに時系列の音声テキストデータを表示することもできる。
【0040】
図8に示す音声データ画面601は、チャネルごとに音声テキストデータを表示するための画面であり、音声テキストデータ表示部602、再生ボタン603、出力ボタン604で構成される。
【0041】
音声テキストデータ表示部602には、データベース207のチャネル別議事録文書データ209から対応するテキストデータを読み出すことで、会議データに関連付けられた音声テキストデータが音声チャネル毎に時系列で表示される。図8では、音声チャネルCH1(すなわち音声入力装置M1により集音された参加者P1の発言)として音声データファイルM1_20000101_12_34_56とM1_20000101_12_35_01とにそれぞれ対応するテキストデータが時間軸上に表示され、音声チャネルCH2(すなわち音声入力装置M2により集音された参加者P2の発言)として音声データファイルM2_20000101_12_34_58に対応するテキストデータが、音声チャネルCHn(すなわち音声入力装置Mnにより集音された参加者Pnの発言)として音声データファイルMn_20000101_12_35_00とMn_20000101_12_35_03とにそれぞれ対応するテキストデータが、共通の時間軸上にそれぞれ表示されている。したがって、各参加者の発言の内容とそれがどのタイミングでなされたかを容易に知ることができる。ここでは、参加者P1の最初の発言が終わらないうちに参加者P2が発言を開始したこと、また参加者P1の発言が終わらないうちに参加者Pnが2度目の発言を開始したこと、をそれらの内容と共に一目で読み取ることができる。上述した図6の音声データ画面401を図8に示す音声テキストデータ画面601に切り替えることも可能である。
【0042】
再生ボタン603を選択すると、画面に表示されている音声データを再生する。この時、音声チャネルまたは音声データを指定していると、指定されている音声データを再生する。指定していない場合は会議データに含まれるすべての音声チャネルの音声データを再生する。出力ボタン604を選択すると、画面に表示されている音声データをミキシングして1つの音声ファイルとして出力する。任意の音声チャネルまたは音声データを指定すると、指定した音声データのみをミキシングした音声ファイルを出力する。なお、音声チャネルおよび音声データの指定はユーザがGUI上で指定することで実現される。
【0043】
このように、ある特定の参加者の発言に着目することができるので、特定の音声入力装置に対応する音声データを時系列的に再生する形態や、会議において発言された全参加者の音声を会議にいる場合と同じように時系列的に再生する形態や、個々の発言に着目して再生する形態をユーザが自由に選択することができる。また、このような形態において、テキストデータを表示して確認することができるので、文書化の音声認識の精度に疑いがあっても、元の音声データを参照することで会議の議事録の品質および信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、議事録データと音声データとが関連付けて記憶されているので、後から議事録を参照する人に対しても、テキスト情報だけでは、よく分からない議論の推移や流れ等があっても生の録音音声データを実際に聞いて、自分の判断でその疑問点を解消できる可能性が高まり、利用しやすい会議データ管理を提供できる。
【0045】
3.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
(付記1)
操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置であって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれ格納したチャネル別音声データ格納手段と、
前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、
を有することを特徴とする会議データ統合管理装置。
【0047】
(付記2)
前記音声データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに音声データを時系列に配置した音声データ表示画面を表示することを特徴とする付記1に記載の会議データ統合管理装置。
【0048】
(付記3)
前記音声チャネル毎の音声データを文書化した文書データを当該音声データと関連付けて格納するチャネル別文書データ格納手段をさらに有し、前記複数機能に前記文書データの時系列表示機能が選択可能に含まれることを特徴とする付記1または2に記載の会議データ統合管理装置。
【0049】
(付記4)
前記文書データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに文書データを時系列に配置した文書データ表示画面を表示することを特徴とする付記3に記載の会議データ統合管理装置。
【0050】
(付記5)
操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置における会議データ統合管理方法であって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれチャネル別音声データ格納手段に格納し、
制御手段が、前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する、
ことを特徴とする会議データ統合管理方法。
【0051】
(付記6)
前記音声データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに音声データを時系列に配置した音声データ表示画面を表示することを特徴とする付記5に記載の会議データ統合管理方法。
【0052】
(付記7)
前記装置が前記音声チャネル毎の音声データを文書化した文書データを当該音声データと関連付けて格納するチャネル別文書データ格納手段をさらに有し、前記複数機能に前記文書データの時系列表示機能が選択可能に含まれることを特徴とする付記5または6に記載の会議データ統合管理方法。
【0053】
(付記8)
前記文書データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに文書データを時系列に配置した文書データ表示画面を表示することを特徴とする付記7に記載の会議データ統合管理方法。
【0054】
(付記9)
操作部および画像表示部を有し会議データを統合的に管理するシステムであって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共に記録する録音装置と、
前記録音装置に接続された会議データ統合管理装置と、
を有し、前記会議データ統合管理装置は、
前記録音装置から前記音声チャネルごとに記録された音声データをそれぞれ格納するチャネル別音声データ格納手段と、
前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、
を有する、ことを特徴とする会議データ統合管理システム。
【0055】
(付記10)
前記音声データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに音声データを時系列に配置した音声データ表示画面を表示することを特徴とする付記9に記載の会議データ統合管理システム。
【0056】
(付記11)
前記音声チャネル毎の音声データを文書化した文書データを当該音声データと関連付けて格納するチャネル別文書データ格納手段をさらに有し、前記複数機能に前記文書データの時系列表示機能が選択可能に含まれることを特徴とする付記9または10に記載の会議データ統合管理システム。
【0057】
(付記12)
前記文書データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに文書データを時系列に配置した文書データ表示画面を表示することを特徴とする付記11に記載の会議データ統合管理システム。
【0058】
(付記13)
前記複数機能に前記文書データ変換機能が選択可能に含まれ、前記文書データ変換機能が選択実行されると、公衆網上の文書変換サービスを利用して前記音声データに対応した文書データを取得することを特徴とする付記11または12に記載の会議データ統合管理システム。
【0059】
(付記14)
付記9−13のいずれか1項に記載の会議データ統合管理システムにおける前記録音装置であって、
前記参加者ごとの音声を入力する複数の音声入力手段と、
前記参加者ごとに対応づけられた音声チャネルを有する音声データ記録手段と、
前記音声入力手段により入力された音声信号から参加者の発言に対応する音声データを生成し、前記音声データを各参加者に対応する音声チャネルに記録する音声データ記録制御手段と、
を有することを特徴とする録音装置。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、議事録を公文書として公開する必要がある会議の議事録文書作成や、企業、学校、自治体、委員会の様な日常的に会議を行う団体の会議議事録文書の作成および管理に適用できる。また、クラブ、サークル、講演会等の会議や活動記録の作成および管理する用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
P1〜Pn 参加者
M1〜Mn 音声入力装置
10 録音再生装置
20 会議データ統合管理装置
30 公衆網
40 議事録文書作成サービス
101 通信部
102 音声データ記録制御部
103 音声データ記録部
104 通信部
105 制御部
106 再生部
201 プロセッサ
202 通信部
203 通信部
204 操作部
205 画像表示部
206 音声出力部
207 データベース
208 チャネル別音声データ
209 チャネル別議事録文書データ
210 参考資料データ
211 プログラム記憶部
212 会議データ統合管理プログラム
213 ユーザインタフェースプログラム213

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置であって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれ格納したチャネル別音声データ格納手段と、
前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、
を有することを特徴とする会議データ統合管理装置。
【請求項2】
前記音声データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに音声データを時系列に配置した音声データ表示画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の会議データ統合管理装置。
【請求項3】
前記音声チャネル毎の音声データを文書化した文書データを当該音声データと関連付けて格納するチャネル別文書データ格納手段をさらに有し、前記複数機能に前記文書データの時系列表示機能が選択可能に含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の会議データ統合管理装置。
【請求項4】
前記文書データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに文書データを時系列に配置した文書データ表示画面を表示することを特徴とする請求項3に記載の会議データ統合管理装置。
【請求項5】
操作部および画像表示部を有し、会議データを統合的に管理する装置における会議データ統合管理方法であって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共にそれぞれチャネル別音声データ格納手段に格納し、
制御手段が、前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する、
ことを特徴とする会議データ統合管理方法。
【請求項6】
前記音声データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに音声データを時系列に配置した音声データ表示画面を表示することを特徴とする請求項5に記載の会議データ統合管理方法。
【請求項7】
前記装置が前記音声チャネル毎の音声データを文書化した文書データを当該音声データと関連付けて格納するチャネル別文書データ格納手段をさらに有し、前記複数機能に前記文書データの時系列表示機能が選択可能に含まれることを特徴とする請求項5または6に記載の会議データ統合管理方法。
【請求項8】
前記文書データの時系列表示機能が選択実行されると、前記制御手段が前記音声チャネルごとに文書データを時系列に配置した文書データ表示画面を表示することを特徴とする請求項7に記載の会議データ統合管理方法。
【請求項9】
操作部および画像表示部を有し会議データを統合的に管理するシステムであって、
会議の参加者ごとに対応づけられた個別の音声チャネルに複数の参加者の発言を時間情報と共に記録する録音装置と、
前記録音装置に接続された会議データ統合管理装置と、
を有し、前記会議データ統合管理装置は、
前記録音装置から前記音声チャネルごとに記録された音声データをそれぞれ格納するチャネル別音声データ格納手段と、
前記音声チャネルごとに音声データの再生機能および音声データの時系列表示機能を含む複数機能から任意の機能を選択実行できる会議データ画面を操作可能に表示する制御手段と、
を有する、ことを特徴とする会議データ統合管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の会議データ統合管理システムにおける前記録音装置であって、
前記参加者ごとの音声を入力する複数の音声入力手段と、
前記参加者ごとに対応づけられた音声チャネルを有する音声データ記録手段と、
前記音声入力手段により入力された音声信号から参加者の発言に対応する音声データを生成し、前記音声データを各参加者に対応する音声チャネルに記録する音声データ記録制御手段と、
を有することを特徴とする録音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−73323(P2013−73323A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210523(P2011−210523)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】