会議用端末装置,会議システム,およびコンピュータプログラム
【課題】 会議用端末装置間のアドホックな通信環境で,通信中継を良好な状態で行えるようにする。
【解決手段】 会議用端末装置1は,アドホック通信が可能な複数装置各々との通信状態情報を取得して通信状態記憶部12に記憶し,記憶した通信状態情報をもとに会議コンダクタ端末とする会議コンダクタ決定部11と,会議資料の表示ページ指示を会議コンダクタ端末である装置に送信する表示ページ指示部13と,説明者の端末または会議コンダクタ端末から,表示ページ指示を受信する指示受信部15と,自装置が会議コンダクタ端末である場合に,受信した表示ページ指示を,参加者端末である複数の会議用端末装置各々に送信する指示伝達部14と,表示ページ指示をもとに会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部16とを有する。
【解決手段】 会議用端末装置1は,アドホック通信が可能な複数装置各々との通信状態情報を取得して通信状態記憶部12に記憶し,記憶した通信状態情報をもとに会議コンダクタ端末とする会議コンダクタ決定部11と,会議資料の表示ページ指示を会議コンダクタ端末である装置に送信する表示ページ指示部13と,説明者の端末または会議コンダクタ端末から,表示ページ指示を受信する指示受信部15と,自装置が会議コンダクタ端末である場合に,受信した表示ページ指示を,参加者端末である複数の会議用端末装置各々に送信する指示伝達部14と,表示ページ指示をもとに会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部16とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,会議資料を表示する会議用端末装置,前記会議用端末装置を複数備える会議システム,およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議において資料を共有するために,紙による資料配布に代わって,コンピュータや専用端末装置によって資料を共有する会議システムが提案されている。
【0003】
会議システムでは,会議の参加者が使用する複数の会議用端末装置各々において,同じ会議資料や文書などを表示させる。会議システムの会議用端末装置には,主に司会者や資料説明者が使用する説明者端末と,各参加者が使用する参加者端末がある。
【0004】
説明者端末は,参加者端末への会議資料や文書などの各種データの配布,会議資料や文書などの表示対象となるページを指定する指示(表示ページ指示),プロジェクタへの会議資料の表示などの処理を行う。参加者端末は,説明者端末によって指定された会議資料の表示を行う。説明者端末と参加者端末とは,同じ資料の同じページを,それぞれの会議用端末装置の表示画面に表示する。
【0005】
会議システムにおいて,各会議用端末装置は,無線LANなどの無線通信でアドホックに接続して,データおよび表示指示をやりとりする。したがって,会議システムが安定的に動作するためには,説明者端末と各参加者端末との通信品質が高く維持されている必要がある。
【0006】
しかし,無線LANなど通信環境が不安定な状況では,説明者端末と各参加者端末との通信ができなくなることがある。例えば,図11に示すように,会議システムにおいて,会議用端末装置Aが説明者端末,会議用端末装置B,Cが参加者端末であるとする。会議用端末装置A(説明者端末)と会議用端末装置B(参加者端末)とは通信可能であって,会議用端末装置Aと会議用端末装置C(参加者端末)とは通信できないケースである。一方,同じ通信状況において,会議用端末装置Bが説明者端末となった場合には,会議用端末装置A,会議用端末装置Cとも会議用端末装置Bと通信できるという状況もありえる。
【0007】
このように,会議用端末装置同士の通信状況によって,会議システムの資料共有が機能したり,機能しなかったりするという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために,説明者端末と参加者端末以外に,説明者端末から参加者へ送信される指示を仲介する端末装置(仲介端末装置)を用意する方法が提案されている。また,複数の端末装置から,通信状態が良好な端末装置を見つける従来方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/149430号
【特許文献2】特開2004−304391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の,仲介端末装置を用意して通信を仲介する方法では,仲介端末装置を予め定めておく必要がある。しかし,定められた仲介端末装置が,他の端末装置との通信状態が良好であるという保障はない。
【0011】
また,従来の,通信状態が良好な端末装置を見つける方法でも,予め仲介端末装置となる候補を決めておく必要がある。さらに,会議のように参加者の出入りが多い状況,データを通信し合う端末装置の出入りが多い状況では,仲介端末装置が存在しなくなる度に次の仲介端末装置を再設定する必要があるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は,会議の参加者に操作上の負担をかけることなく,複数の会議用端末装置から,通信感度が良好な会議用端末装置を説明者端末と参加者端末との中継装置として決定する処理を行うことができる会議用端末装置を提供することである。また,本発明の別の目的は,上記会議用端末装置を複数備える会議システムを提供することである。また,本発明の別の目的は,コンピュータを,上記会議用端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様として開示される会議用端末装置は,1)一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,2)自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,3)自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,4)自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,5)自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様として開示する会議用端末装置によれば,説明者端末から参加者端末への指示を中継する会議用端末装置(会議コンダクタ端末)を決定する際に,会議の各参加者が使用する複数の会議用端末装置から通信感度が良好な会議用端末装置を自動的に決定するため,参加者は,中継装置の決定の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】会議用端末装置の一形態例におけるブロック構成例を示す図である。
【図2】通信状態情報の例を示す図である。
【図3】会議コンダクタ決定処理の処理フローを示す図である。
【図4】会議用端末装置A〜Eが保持する通信状態テーブルの例を示す図である。
【図5】会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【図6】表示ページ指示の送信処理の処理フローを示す図である。
【図7】表示ページ指示の伝達処理の処理フローを示す図である。
【図8】表示ページ指示による表示処理の処理フローを示す図である。
【図9】会議コンダクタ端末の再決定処理の処理フローを示す図である。
【図10】会議コンダクタ端末の再決定後の会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【図11】本発明者が考察した,従来の会議システムの問題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明の一態様として開示する会議用端末装置および複数の会議用端末装置を備える会議システムについて説明する。
【0017】
開示する会議用端末装置は,会議資料や文書などのデータを自装置の表示画面または接続する表示装置に表示する装置であって,携帯可能なように構成されている。
【0018】
会議システムは,特定の場所に集合した会議の参加者が使用する複数の会議用端末装置によって構成される。
【0019】
また,会議用端末装置は,各自,アドホックな無線通信機能を備え,アクセスポイントやルータを介することなく,会議用端末装置がアクセスポイント(AP)となって他の会議用端末装置と無線データ通信を行うことができる。例えば,会議用端末装置は,Wi−Fi Directと呼ばれる通信プログラムを有し,会議用端末装置同士がピアツーピアでデータ通信を行う。Wi−Fi Directは,IEEE802.11にもとづいて動作する。会議用端末装置は,通常のアクセスポイントがクライアントとのコネクションを提供するのと同様の方法で他の会議用端末装置と接続する。
【0020】
会議システムを構成する複数の会議用端末装置は,説明者端末,参加者端末,または会議コンダクタ端末として機能する。
【0021】
説明者端末は,会議システムに参加している他の会議用端末装置へ転送する会議資料や表示ページを指定する装置である。会議進行による説明者の推移に合わせて,参加者端末が説明者端末になる。説明者端末は,会議資料や文書などの各会議用端末装置で表示させるデータ(以下,単に会議資料という),表示する会議資料のページを指定した指示(以下,表示ページ指示という)を送信する。
【0022】
なお,会議資料は,予め各種媒体または通信によって,会議用端末装置へ提供されていてもよい。
【0023】
参加者端末は,説明者端末から送信された会議資料,表示ページ指示を,直接または会議コンダクタ端末を経由して受信し,表示ページ指示で指定された会議資料のページの表示などを行う装置である。
【0024】
会議コンダクタ端末は,説明者端末からの表示ページ指示を受信し,受信した表示ページ指示を他の参加者端末へ送信する装置である。会議コンダクタ端末は,会議システムに参加している複数の会議用端末装置の中から特定された1つ以上の会議用端末装置であり,説明者端末または参加者端末の機能も合わせて有する。
【0025】
開示する会議システムにおいては,会議コンダクタ端末には,会議システムを構成する全ての会議用端末装置(参加者端末)と通信可能かつ他の会議用端末装置との通信状態が最も良好な会議用端末装置が選択される。
【0026】
また,説明者が他の参加者に交代すると,交代した参加者の会議用端末装置が説明者端末となる。そして,新たな説明者端末が,他の参加者端末へ会議資料,表示ページ指示などを送信する。この時,これまで説明者端末であった会議用端末装置は,参加者端末となる。
【0027】
図1は,会議用端末装置の一形態例におけるブロック構成例を示す図である。
【0028】
会議システムに参加する会議用端末装置1は,上述するように,説明者端末,会議コンダクタ端末,参加者端末のいずれの会議用端末装置としても機能することができる。
【0029】
会議システムの会議用端末装置1は,会議コンダクタ決定部11,通信状態記憶部12,表示ページ指示部13,指示伝達部14,指示受信部15,および指示ページ表示処理部16を備える。
【0030】
会議コンダクタ決定部11は,会議システムに参加している各会議用端末装置との通信状態を示す通信状態情報にもとづいて会議コンダクタ端末を決定する。なお,会議コンダクタ決定処理の詳細は後述する。
【0031】
通信状態記憶部12は,会議コンダクタ決定部11が他の会議用端末装置から収集した通信状態情報を格納する。通信状態情報は,例えば,他の会議用端末装置との通信結果およびその時の電波強度状態を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator)値である。
【0032】
通信状態情報(各装置間の通信におけるRSSI値)を記録したデータテーブルは通信状態記憶部12に保存される。
【0033】
表示ページ指示部13は,自装置が説明者端末である場合に起動し,自装置の表示画面(図1では図示しない)に表示させた会議資料の表示ページをもとに,もしくは,説明者の自装置の入力装置等の操作により,表示ページ指示を生成し,無線通信機能を用いて,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末へ送信する。
【0034】
表示ページ指示は,説明者端末の画面に表示した会議資料のページを他の参加者端末で表示させるための指示であり,会議資料の表示させるページの指定および指定処理要求を含む。
【0035】
指示伝達部14は,自装置が会議コンダクタ端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,指示伝達部14は,説明者端末から受信した表示ページ指示を参加者端末へ送信する。
【0036】
指示受信部15は,自装置が会議コンダクタ端末または参加者端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,指示受信部15は,無線通信機能を用いて,説明者端末から表示ページ指示を受信する。自装置が参加者端末である場合には,指示受信部15は,無線通信機能を用いて,会議コンダクタ端末から表示ページ指示を受信する。
【0037】
指示ページ表示処理部16は,自装置が会議コンダクタ端末または参加者端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,説明者端末から受信した表示ページ指示にもとづいて,会議資料の指定されたページを自装置の表示画面に表示する。自装置が参加者端末である場合には,会議コンダクタ端末から受信した表示ページ指示にもとづいて,会議資料の指定されたページを自装置の表示画面に表示する。
【0038】
図2は,通信状態情報の例を示す図である。
【0039】
上記のように,会議システムの各会議用端末装置から収集された通信状態情報(RSSI値)は,通信状態テーブルに記録される。図2に示す例では,会議用端末装置A−会議用端末装置B間の通信時のRSSI値が128,会議用端末装置B−会議用端末装置C間の通信時のRSSI値が64,会議用端末装置A−会議用端末装置C間は接続できなかったことを表している。
【0040】
次に,会議コンダクタ決定部11が実行する会議コンダクタ決定処理をより詳細に説明する。
【0041】
会議コンダクタ決定部11は,次の方法で会議コンダクタ端末を決定する。
【0042】
ステップS_A: 会議システムの各会議用端末装置において,会議コンダクタ決定部11が処理を開始する。会議コンダクタ決定部11は,例えば,会議の参加者(ユーザ)が各自の会議用端末装置に備えられた会議コンダクタ決定処理の開始ボタンを一斉に押下したり,会議コンダクタ決定処理開始のメニューを選択したりすることによって処理を開始する。
【0043】
ステップS_B: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,無線通信機能により,同じ接続条件(SSID,暗号化方式,パスワード)で会議用端末装置同士の通信を行い,RSSI値を取得する。
【0044】
ステップS_C: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置との通信結果とそのRSSI値を交換し,交換したRSSI値を通信状態テーブルに記録する。
【0045】
ステップS_D: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルを参照して,会議コンダクタ端末の決定ルールに該当する会議用端末装置を1つ選択して,会議コンダクタ端末を決定する。
【0046】
決定ルールは,会議システムに参加している全会議用端末装置から,通信感度が最適のものを選択するルールである。決定ルールは,例えば,会議システムの全ての会議用端末装置と通信可能かつ他の会議用端末装置との通信のRSSI値の平均値が最高の会議用端末装置を選択する,または,会議システムの全ての会議用端末装置と通信可能かつ,RSSI値の分散が最低の会議用端末装置を選択するなどである。
【0047】
ステップS_E: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,決定した会議コンダクタ端末が自装置であるかを調べる。自装置が会議コンダクタ端末であれば,会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末になったことを他の会議用端末装置に通知する。自装置が会議コンダクタ端末でなければ,会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置から会議コンダクタ端末になった通知を受信し,自装置での判定結果(どの会議用端末装置が会議コンダクタ端末であるか)を確認する。
【0048】
通信環境の変化,会議コンダクタ端末を使用する会議参加者の退席などによって,説明者端末と会議コンダクタ端末とが通信ができなくなった場合には,以下のようにして,次の会議コンダクタ端末を決定する。
【0049】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末との通信が接続不可となった場合に,通信状態テーブルを参照して,全会議用端末装置と通信可能であって,次に会議コンダクタ端末決定ルール(RSSI値の平均値が最高,または,RSSI値の分散が最低)に該当する会議用端末装置を選択し,会議コンダクタ端末に指定する。そして,説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,指定した会議用端末装置に対し,会議コンダクタ端末に指定したことを通知する。
【0050】
説明者端末から上記指定の通知を受信した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末になったことを他の会議用端末装置に通知する。
【0051】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11が,通信状態テーブルを参照した際に,会議コンダクタ決定処理の決定ルールに該当する会議用端末がない場合(全ての会議用端末装置と通信可能な会議用端末装置が存在しない場合)には,上記の会議コンダクタ決定処理(ステップS_AからS_Eまでの処理)の再実行を促すメッセージを自装置の表示画面に表示する。このメッセージ表示により,説明者(説明者端末のユーザ)は,会議の参加者(参加者端末のユーザ)へ会議コンダクタ決定処理の開始の操作を促す。参加者が会議コンダクタ決定処理の開始を一斉に操作することによって,会議コンダクタ決定処理が再度実行され,新たに会議コンダクタ端末が決定される。
【0052】
以上のように,会議の参加者は,会議コンダクタ決定処理の開始操作だけで,会議コンダクタ端末が自動的に決定され,全会議用端末装置において設定されるため,会議コンダクタ端末の設定の手間を省くことができる。
【0053】
次に,開示する会議システムの実施例を説明する。
【0054】
本実施例では,会議資料は,データ記憶媒体またはネットワークを介して予め各会議用端末装置に提供されているとする。
【0055】
会議の参加者がそれぞれの会議用端末装置を持って集合した後に,会議開始を通知するための会議用端末装置のボタン押下,または,会議コンダクタ決定処理を開始するための会議用端末装置のボタン押下などの操作を行う。その結果,各会議用端末装置では会議コンダクタ決定処理が開始され,会議コンダクタ端末が決定され,会議を進めることができる。
【0056】
図3は,会議コンダクタ決定処理の処理フローを示す図である。
【0057】
各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11が,図3に示すステップS1〜10の処理を行う。
【0058】
会議コンダクタ決定部11は,接続条件が同じ他の会議用端末装置と相互に通信を行う(ステップS1)。この時,ある会議用端末装置が,一旦,仮のアクセスポイント(AP)となり自装置と同じ接続条件の全ての会議用端末装置と通信する。全ての会議用端末装置との通信を終えると,仮APの役割を終え,次に別の会議用端末装置が仮APとなる。仮APとなる会議用端末装置が重複した場合は,先に仮APとなることを宣言した会議用端末装置が優先される。
【0059】
会議用端末装置同士で通信した際には,会議コンダクタ決定部11は,自装置がAPとなって通信した他の会議用端末装置と通信時のRSSI値を取得する(ステップS2)。
【0060】
会議コンダクタ決定部11は,未接続の他の会議用端末装置があるか判断処理(ステップS3),未接続の他の会議用端末装置があれば(ステップS3のY),ステップS1の処理へ戻り,未接続の他の会議用端末装置がなければ(ステップS3のN),ステップS4の処理へ進む。
【0061】
会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルを生成し,自装置と各会議用端末装置との通信時に取得したRSSI値を通信状態テーブルに記録し,通信状態記憶部12に記憶する(ステップS4)。
【0062】
会議コンダクタ決定部11は,再度仮APとなって,自装置で収集した各会議用端末装置との通信のRSSI値を記録する通信状態テーブルを他の会議用端末装置と交換し(1回目の交換),交換で取得した他の会議用端末装置の通信状態テーブルを通信状態記憶部12に記憶する(ステップS5)。全ての会議用端末装置と通信状態テーブルの交換を終了後に仮APの役割を終え,次の会議用端末装置が仮APとなる。仮APとなった会議用端末装置は,同様にして,他の会議用端末装置と通信状態テーブルを交換する。
【0063】
続いて,会議用端末装置は仮APとなって,会議コンダクタ決定部11は,再度,自装置の収集した通信状態テーブルを他の会議用端末装置と交換し(2回目),交換で得た他の会議用端末装置の通信状態テーブルを通信状態記憶部12に記憶する(ステップS6)。
【0064】
通信状態テーブルを2回交換する理由は,1回の交換だけでは,自装置が通信できない会議用端末装置の存在が確認できないためである。一度,全ての会議用端末装置間で通信状態テーブル(RSSI値)を交換した後であれば,自装置が通信できない会議用端末装置があった場合でも,他の会議用端末装置から得た通信状態テーブルをもとに,自装置が通信できない会議用端末装置の存在を知ることができるからである。
【0065】
上記のステップS1〜S6の処理を全会議用端末装置で行うことにより,会議参加者の全員(いずれかの会議用端末装置が通信できる範囲)の会議用端末装置の通信状態テーブル(RSSI値のテーブル)を保持することができる。
【0066】
続いて,会議コンダクタ決定部11は,通信状態記憶部12に保持する通信状態テーブルを分析し,会議コンダクタ決定の決定ルールに該当する会議用端末装置を選択する。決定ルールとして,全会議用端末装置と通信可能かつ,RSSI値の平均値が最高であるというルールを用いる。さらに,自装置が会議コンダクタ端末であると決定した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置に対し,自装置が会議コンダクタ端末になったことを宣言する(ステップS7)。
【0067】
ここでは,全ての会議用端末装置が同じ通信状態テーブルを共有しているので,同じ会議用端末装置を会議コンダクタ端末として抽出することになる。
【0068】
続けて,他に会議コンダクタ端末を宣言(会議コンダクタ端末である旨の通知を送信)した会議用端末装置があるかを調べる(ステップS8)。
【0069】
他に会議コンダクタ端末を宣言した会議用端末装置があれば(ステップS8のY),宣言した会議用端末装置同士で再度通信状態テーブルを交換し,どちらを会議コンダクタ端末にするかを決定する(ステップS9)。会議コンダクタ端末の決定ルールは,ステップS7の処理で用いる決定ルールと同一である。
【0070】
そして,会議コンダクタ端末になった会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置に会議コンダクタ端末になったことを通知するとともに,通信状態テーブルを配布する(ステップS10)。
【0071】
他に会議コンダクタ端末を宣言している会議用端末装置がなければ(ステップS8のN),処理を終了する。
【0072】
実施例において,会議に会議用端末装置A〜Eが参加しているとする。各会議用端末装置で会議コンダクタ決定処理が開始され,会議用端末装置A〜Eは,それぞれ順に仮APとなり,自装置と同じ接続条件の全ての会議用端末装置と通信する。
【0073】
例えば,会議用端末装置Aは,会議用端末装置B,D,Eと通信してRSSI値を取得したが,会議用端末装置Cとは通信できていないとする。したがって,会議用端末装置Aは,会議用端末装置Cの存在を検出することができていない。また,会議用端末装置Cも,同様に,会議用端末装置Aと通信できなかったため,その存在を検出することができない。一方,会議用端末装置B,D,Eは,全ての会議用端末装置と通信できていたとする。
【0074】
会議用端末装置A,Cは,会議用端末装置B,D,Eと通信状態テーブルを交換することによって,検出できなかった会議用端末装置C,Aの存在,および,両者での接続が不可であったことを知ることができる。
【0075】
図4は,会議用端末装置A〜Eが保持する通信状態テーブルの例を示す図である。
【0076】
図3に示す処理フローのステップS5,S6の処理により,会議に参加している全会議用端末装置について,装置間の通信状態が記録される。
【0077】
図4に示す通信状態テーブルが参照される場合に,全会議用端末装置と通信可能かつRSSI値の平均値が最高(60.5)である会議用端末装置Bが会議コンダクタ端末として決定される。この会議コンダクタ決定処理後に,会議が開始される。
【0078】
図5は,会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【0079】
会議用端末装置Aが説明者端末である場合に,会議用端末装置Aは,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末である会議用端末装置Bへ送信する。会議用端末装置Bは,受信した表示ページ指示を,参加者端末の会議用端末装置C,D,Eへ送信する。
【0080】
図6は,表示ページ指示の送信処理の処理フローを示す図である。
【0081】
説明者端末(会議用端末装置A)の表示ページ指示部13は,自装置の表示画面に表示している会議資料のページを特定し,特定したページを表示ページとして指定する表示ページ指示を生成する(ステップS20)。表示ページ指示部13は,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)へ送信する(ステップS21)。
【0082】
上記のステップS20〜S21の処理は,表示される会議資料のページが変わる度に実行される。
【0083】
図7は,表示ページ指示の伝達処理の処理フローを示す図である。
【0084】
会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)の指示受信部15が,説明者端末(会議用端末装置A)から表示ページ指示を受信する(ステップS30)。指示伝達部14は,受信した表示ページ指示を全参加者端末(会議用端末装置C,D,E)へ送信する(ステップS31)。さらに,指示ページ表示処理部16は,受信した表示ページ指示をもとに,指定されたページを自装置の表示画面に表示させる(ステップS32)。
【0085】
図8は,表示ページ指示による表示処理の処理フローを示す図である。
【0086】
参加者端末(会議用端末装置C,D,E)の指示受信部15は,会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)から表示ページ指示を受信する(ステップS40)。指示ページ表示処理部16は,受信した表示ページ指示をもとに,指定されたページを自装置の表示画面に表示させる(ステップS41)。
【0087】
会議の進行中に会議コンダクタ端末が存在しなくなった場合,例えば,会議コンダクタ端末になっていた会議用端末装置を所持する参加者が退席した場合には,会議コンダクタ端末を再決定する処理が行われる。
【0088】
図9は,会議コンダクタ端末の再決定処理の処理フローを示す図である。
【0089】
説明者端末(会議用端末装置A)の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)と通信が成功したかを調べ(ステップS50),通信が成功しなかった場合にのみ(ステップS50のN),自装置の持つ通信状態のテーブルを参照して,通信できなかった会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)の次に決定ルールを満たす会議用端末装置を会議コンダクタ端末として抽出する(ステップS51)。説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,図4に示す通信状態テーブルの場合に,次にRSSI値の平均が高い会議用端末装置Eを抽出する。
【0090】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルをもとに,会議コンダクタ端末に該当する会議用端末装置を抽出できた場合には(ステップS52のY),抽出した会議用端末装置に,会議コンダクタ端末に指定した通知を送信する(ステップS53)。この指定の通知を受信した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,自装置が会議コンダクタ端末である通知を,全ての会議用端末装置(会議用端末装置C,D)に通知する(ステップS54)。
【0091】
一方,通信状態テーブルをもとに,会議コンダクタ端末に該当する会議用端末装置を抽出できなかった場合には(ステップS52のN),説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ決定の開始操作を求めるメッセージを自装置の表示画面に表示する(ステップS55)。これにより,説明者が,参加者に対して会議コンダクタ決定処理を開始する操作を促すため,再実行され,新たな会議コンダクタ端末が決定される。
【0092】
図10は,会議コンダクタ端末の再決定後の会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【0093】
会議用端末装置Bが退席した後,会議用端末装置Aは,表示ページ指示を新たな会議コンダクタ端末である会議用端末装置Eへ送信する。会議用端末装置Eは,受信した表示ページ指示を,参加者端末の会議用端末装置C,Dへ送信する。
【0094】
会議システムの会議用端末装置1は,処理を実行するCPU,プログラムを格納するROM,プログラムの実行や会議資料を格納するRAM,会議資料を表示するLCDや電子ペーパなどを接続するI/Oなどを備えるコンピュータまたは専用ハードウェアによって実施することができる。
【0095】
会議用端末装置1の各処理部は,コンピュータが実行可能なプログラムによっても実施することができる。この場合に,会議用端末装置1の会議コンダクタ決定部11,表示ページ指示部13,指示伝達部14,指示受信部15,指示ページ表示処理部16が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムをコンピュータが実行することによって,会議用端末装置1の上記処理部の機能がコンピュータ上で実現される。
【0096】
上記コンピュータは,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,上記コンピュータが実行するプログラムは,コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0097】
以上説明したように,開示する会議用端末装置によれば,一定の場所に集合した複数の会議用端末装置間で,装置間の通信状態情報を収集し合い,通信感度が最高の会議用端末装置を会議コンダクタ端末に決定する処理を半自動的に実行することができる。よって,ユーザに操作負担を強いることなく,通信の中継に最適な会議用端末装置によって,会議中の良好な通信環境を設定することができる。
【0098】
また,開示する会議用端末装置によれば,通信環境が変化した際には,次に通信感度が良好な会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定し,通信を継続することができる。よって,会議中の通信がアドホックな環境であっても,通信状態の変化に対応して良好な通信環境を維持することができる。
【0099】
以上の作用により,会議の参加者は,説明者端末からの表示ページ指示をより確実に受信でき,通信環境を気にすることなく会議に専念することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 会議用端末装置
11 会議コンダクタ決定部
12 通信状態記憶部
13 表示ページ指示部
14 指示伝達部
15 指示受信部
16 指示ページ表示処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は,会議資料を表示する会議用端末装置,前記会議用端末装置を複数備える会議システム,およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議において資料を共有するために,紙による資料配布に代わって,コンピュータや専用端末装置によって資料を共有する会議システムが提案されている。
【0003】
会議システムでは,会議の参加者が使用する複数の会議用端末装置各々において,同じ会議資料や文書などを表示させる。会議システムの会議用端末装置には,主に司会者や資料説明者が使用する説明者端末と,各参加者が使用する参加者端末がある。
【0004】
説明者端末は,参加者端末への会議資料や文書などの各種データの配布,会議資料や文書などの表示対象となるページを指定する指示(表示ページ指示),プロジェクタへの会議資料の表示などの処理を行う。参加者端末は,説明者端末によって指定された会議資料の表示を行う。説明者端末と参加者端末とは,同じ資料の同じページを,それぞれの会議用端末装置の表示画面に表示する。
【0005】
会議システムにおいて,各会議用端末装置は,無線LANなどの無線通信でアドホックに接続して,データおよび表示指示をやりとりする。したがって,会議システムが安定的に動作するためには,説明者端末と各参加者端末との通信品質が高く維持されている必要がある。
【0006】
しかし,無線LANなど通信環境が不安定な状況では,説明者端末と各参加者端末との通信ができなくなることがある。例えば,図11に示すように,会議システムにおいて,会議用端末装置Aが説明者端末,会議用端末装置B,Cが参加者端末であるとする。会議用端末装置A(説明者端末)と会議用端末装置B(参加者端末)とは通信可能であって,会議用端末装置Aと会議用端末装置C(参加者端末)とは通信できないケースである。一方,同じ通信状況において,会議用端末装置Bが説明者端末となった場合には,会議用端末装置A,会議用端末装置Cとも会議用端末装置Bと通信できるという状況もありえる。
【0007】
このように,会議用端末装置同士の通信状況によって,会議システムの資料共有が機能したり,機能しなかったりするという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために,説明者端末と参加者端末以外に,説明者端末から参加者へ送信される指示を仲介する端末装置(仲介端末装置)を用意する方法が提案されている。また,複数の端末装置から,通信状態が良好な端末装置を見つける従来方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/149430号
【特許文献2】特開2004−304391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の,仲介端末装置を用意して通信を仲介する方法では,仲介端末装置を予め定めておく必要がある。しかし,定められた仲介端末装置が,他の端末装置との通信状態が良好であるという保障はない。
【0011】
また,従来の,通信状態が良好な端末装置を見つける方法でも,予め仲介端末装置となる候補を決めておく必要がある。さらに,会議のように参加者の出入りが多い状況,データを通信し合う端末装置の出入りが多い状況では,仲介端末装置が存在しなくなる度に次の仲介端末装置を再設定する必要があるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は,会議の参加者に操作上の負担をかけることなく,複数の会議用端末装置から,通信感度が良好な会議用端末装置を説明者端末と参加者端末との中継装置として決定する処理を行うことができる会議用端末装置を提供することである。また,本発明の別の目的は,上記会議用端末装置を複数備える会議システムを提供することである。また,本発明の別の目的は,コンピュータを,上記会議用端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様として開示される会議用端末装置は,1)一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,2)自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,3)自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,4)自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,5)自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様として開示する会議用端末装置によれば,説明者端末から参加者端末への指示を中継する会議用端末装置(会議コンダクタ端末)を決定する際に,会議の各参加者が使用する複数の会議用端末装置から通信感度が良好な会議用端末装置を自動的に決定するため,参加者は,中継装置の決定の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】会議用端末装置の一形態例におけるブロック構成例を示す図である。
【図2】通信状態情報の例を示す図である。
【図3】会議コンダクタ決定処理の処理フローを示す図である。
【図4】会議用端末装置A〜Eが保持する通信状態テーブルの例を示す図である。
【図5】会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【図6】表示ページ指示の送信処理の処理フローを示す図である。
【図7】表示ページ指示の伝達処理の処理フローを示す図である。
【図8】表示ページ指示による表示処理の処理フローを示す図である。
【図9】会議コンダクタ端末の再決定処理の処理フローを示す図である。
【図10】会議コンダクタ端末の再決定後の会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【図11】本発明者が考察した,従来の会議システムの問題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明の一態様として開示する会議用端末装置および複数の会議用端末装置を備える会議システムについて説明する。
【0017】
開示する会議用端末装置は,会議資料や文書などのデータを自装置の表示画面または接続する表示装置に表示する装置であって,携帯可能なように構成されている。
【0018】
会議システムは,特定の場所に集合した会議の参加者が使用する複数の会議用端末装置によって構成される。
【0019】
また,会議用端末装置は,各自,アドホックな無線通信機能を備え,アクセスポイントやルータを介することなく,会議用端末装置がアクセスポイント(AP)となって他の会議用端末装置と無線データ通信を行うことができる。例えば,会議用端末装置は,Wi−Fi Directと呼ばれる通信プログラムを有し,会議用端末装置同士がピアツーピアでデータ通信を行う。Wi−Fi Directは,IEEE802.11にもとづいて動作する。会議用端末装置は,通常のアクセスポイントがクライアントとのコネクションを提供するのと同様の方法で他の会議用端末装置と接続する。
【0020】
会議システムを構成する複数の会議用端末装置は,説明者端末,参加者端末,または会議コンダクタ端末として機能する。
【0021】
説明者端末は,会議システムに参加している他の会議用端末装置へ転送する会議資料や表示ページを指定する装置である。会議進行による説明者の推移に合わせて,参加者端末が説明者端末になる。説明者端末は,会議資料や文書などの各会議用端末装置で表示させるデータ(以下,単に会議資料という),表示する会議資料のページを指定した指示(以下,表示ページ指示という)を送信する。
【0022】
なお,会議資料は,予め各種媒体または通信によって,会議用端末装置へ提供されていてもよい。
【0023】
参加者端末は,説明者端末から送信された会議資料,表示ページ指示を,直接または会議コンダクタ端末を経由して受信し,表示ページ指示で指定された会議資料のページの表示などを行う装置である。
【0024】
会議コンダクタ端末は,説明者端末からの表示ページ指示を受信し,受信した表示ページ指示を他の参加者端末へ送信する装置である。会議コンダクタ端末は,会議システムに参加している複数の会議用端末装置の中から特定された1つ以上の会議用端末装置であり,説明者端末または参加者端末の機能も合わせて有する。
【0025】
開示する会議システムにおいては,会議コンダクタ端末には,会議システムを構成する全ての会議用端末装置(参加者端末)と通信可能かつ他の会議用端末装置との通信状態が最も良好な会議用端末装置が選択される。
【0026】
また,説明者が他の参加者に交代すると,交代した参加者の会議用端末装置が説明者端末となる。そして,新たな説明者端末が,他の参加者端末へ会議資料,表示ページ指示などを送信する。この時,これまで説明者端末であった会議用端末装置は,参加者端末となる。
【0027】
図1は,会議用端末装置の一形態例におけるブロック構成例を示す図である。
【0028】
会議システムに参加する会議用端末装置1は,上述するように,説明者端末,会議コンダクタ端末,参加者端末のいずれの会議用端末装置としても機能することができる。
【0029】
会議システムの会議用端末装置1は,会議コンダクタ決定部11,通信状態記憶部12,表示ページ指示部13,指示伝達部14,指示受信部15,および指示ページ表示処理部16を備える。
【0030】
会議コンダクタ決定部11は,会議システムに参加している各会議用端末装置との通信状態を示す通信状態情報にもとづいて会議コンダクタ端末を決定する。なお,会議コンダクタ決定処理の詳細は後述する。
【0031】
通信状態記憶部12は,会議コンダクタ決定部11が他の会議用端末装置から収集した通信状態情報を格納する。通信状態情報は,例えば,他の会議用端末装置との通信結果およびその時の電波強度状態を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator)値である。
【0032】
通信状態情報(各装置間の通信におけるRSSI値)を記録したデータテーブルは通信状態記憶部12に保存される。
【0033】
表示ページ指示部13は,自装置が説明者端末である場合に起動し,自装置の表示画面(図1では図示しない)に表示させた会議資料の表示ページをもとに,もしくは,説明者の自装置の入力装置等の操作により,表示ページ指示を生成し,無線通信機能を用いて,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末へ送信する。
【0034】
表示ページ指示は,説明者端末の画面に表示した会議資料のページを他の参加者端末で表示させるための指示であり,会議資料の表示させるページの指定および指定処理要求を含む。
【0035】
指示伝達部14は,自装置が会議コンダクタ端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,指示伝達部14は,説明者端末から受信した表示ページ指示を参加者端末へ送信する。
【0036】
指示受信部15は,自装置が会議コンダクタ端末または参加者端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,指示受信部15は,無線通信機能を用いて,説明者端末から表示ページ指示を受信する。自装置が参加者端末である場合には,指示受信部15は,無線通信機能を用いて,会議コンダクタ端末から表示ページ指示を受信する。
【0037】
指示ページ表示処理部16は,自装置が会議コンダクタ端末または参加者端末である場合に起動する。自装置が会議コンダクタ端末である場合には,説明者端末から受信した表示ページ指示にもとづいて,会議資料の指定されたページを自装置の表示画面に表示する。自装置が参加者端末である場合には,会議コンダクタ端末から受信した表示ページ指示にもとづいて,会議資料の指定されたページを自装置の表示画面に表示する。
【0038】
図2は,通信状態情報の例を示す図である。
【0039】
上記のように,会議システムの各会議用端末装置から収集された通信状態情報(RSSI値)は,通信状態テーブルに記録される。図2に示す例では,会議用端末装置A−会議用端末装置B間の通信時のRSSI値が128,会議用端末装置B−会議用端末装置C間の通信時のRSSI値が64,会議用端末装置A−会議用端末装置C間は接続できなかったことを表している。
【0040】
次に,会議コンダクタ決定部11が実行する会議コンダクタ決定処理をより詳細に説明する。
【0041】
会議コンダクタ決定部11は,次の方法で会議コンダクタ端末を決定する。
【0042】
ステップS_A: 会議システムの各会議用端末装置において,会議コンダクタ決定部11が処理を開始する。会議コンダクタ決定部11は,例えば,会議の参加者(ユーザ)が各自の会議用端末装置に備えられた会議コンダクタ決定処理の開始ボタンを一斉に押下したり,会議コンダクタ決定処理開始のメニューを選択したりすることによって処理を開始する。
【0043】
ステップS_B: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,無線通信機能により,同じ接続条件(SSID,暗号化方式,パスワード)で会議用端末装置同士の通信を行い,RSSI値を取得する。
【0044】
ステップS_C: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置との通信結果とそのRSSI値を交換し,交換したRSSI値を通信状態テーブルに記録する。
【0045】
ステップS_D: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルを参照して,会議コンダクタ端末の決定ルールに該当する会議用端末装置を1つ選択して,会議コンダクタ端末を決定する。
【0046】
決定ルールは,会議システムに参加している全会議用端末装置から,通信感度が最適のものを選択するルールである。決定ルールは,例えば,会議システムの全ての会議用端末装置と通信可能かつ他の会議用端末装置との通信のRSSI値の平均値が最高の会議用端末装置を選択する,または,会議システムの全ての会議用端末装置と通信可能かつ,RSSI値の分散が最低の会議用端末装置を選択するなどである。
【0047】
ステップS_E: 各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,決定した会議コンダクタ端末が自装置であるかを調べる。自装置が会議コンダクタ端末であれば,会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末になったことを他の会議用端末装置に通知する。自装置が会議コンダクタ端末でなければ,会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置から会議コンダクタ端末になった通知を受信し,自装置での判定結果(どの会議用端末装置が会議コンダクタ端末であるか)を確認する。
【0048】
通信環境の変化,会議コンダクタ端末を使用する会議参加者の退席などによって,説明者端末と会議コンダクタ端末とが通信ができなくなった場合には,以下のようにして,次の会議コンダクタ端末を決定する。
【0049】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末との通信が接続不可となった場合に,通信状態テーブルを参照して,全会議用端末装置と通信可能であって,次に会議コンダクタ端末決定ルール(RSSI値の平均値が最高,または,RSSI値の分散が最低)に該当する会議用端末装置を選択し,会議コンダクタ端末に指定する。そして,説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,指定した会議用端末装置に対し,会議コンダクタ端末に指定したことを通知する。
【0050】
説明者端末から上記指定の通知を受信した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末になったことを他の会議用端末装置に通知する。
【0051】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11が,通信状態テーブルを参照した際に,会議コンダクタ決定処理の決定ルールに該当する会議用端末がない場合(全ての会議用端末装置と通信可能な会議用端末装置が存在しない場合)には,上記の会議コンダクタ決定処理(ステップS_AからS_Eまでの処理)の再実行を促すメッセージを自装置の表示画面に表示する。このメッセージ表示により,説明者(説明者端末のユーザ)は,会議の参加者(参加者端末のユーザ)へ会議コンダクタ決定処理の開始の操作を促す。参加者が会議コンダクタ決定処理の開始を一斉に操作することによって,会議コンダクタ決定処理が再度実行され,新たに会議コンダクタ端末が決定される。
【0052】
以上のように,会議の参加者は,会議コンダクタ決定処理の開始操作だけで,会議コンダクタ端末が自動的に決定され,全会議用端末装置において設定されるため,会議コンダクタ端末の設定の手間を省くことができる。
【0053】
次に,開示する会議システムの実施例を説明する。
【0054】
本実施例では,会議資料は,データ記憶媒体またはネットワークを介して予め各会議用端末装置に提供されているとする。
【0055】
会議の参加者がそれぞれの会議用端末装置を持って集合した後に,会議開始を通知するための会議用端末装置のボタン押下,または,会議コンダクタ決定処理を開始するための会議用端末装置のボタン押下などの操作を行う。その結果,各会議用端末装置では会議コンダクタ決定処理が開始され,会議コンダクタ端末が決定され,会議を進めることができる。
【0056】
図3は,会議コンダクタ決定処理の処理フローを示す図である。
【0057】
各会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11が,図3に示すステップS1〜10の処理を行う。
【0058】
会議コンダクタ決定部11は,接続条件が同じ他の会議用端末装置と相互に通信を行う(ステップS1)。この時,ある会議用端末装置が,一旦,仮のアクセスポイント(AP)となり自装置と同じ接続条件の全ての会議用端末装置と通信する。全ての会議用端末装置との通信を終えると,仮APの役割を終え,次に別の会議用端末装置が仮APとなる。仮APとなる会議用端末装置が重複した場合は,先に仮APとなることを宣言した会議用端末装置が優先される。
【0059】
会議用端末装置同士で通信した際には,会議コンダクタ決定部11は,自装置がAPとなって通信した他の会議用端末装置と通信時のRSSI値を取得する(ステップS2)。
【0060】
会議コンダクタ決定部11は,未接続の他の会議用端末装置があるか判断処理(ステップS3),未接続の他の会議用端末装置があれば(ステップS3のY),ステップS1の処理へ戻り,未接続の他の会議用端末装置がなければ(ステップS3のN),ステップS4の処理へ進む。
【0061】
会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルを生成し,自装置と各会議用端末装置との通信時に取得したRSSI値を通信状態テーブルに記録し,通信状態記憶部12に記憶する(ステップS4)。
【0062】
会議コンダクタ決定部11は,再度仮APとなって,自装置で収集した各会議用端末装置との通信のRSSI値を記録する通信状態テーブルを他の会議用端末装置と交換し(1回目の交換),交換で取得した他の会議用端末装置の通信状態テーブルを通信状態記憶部12に記憶する(ステップS5)。全ての会議用端末装置と通信状態テーブルの交換を終了後に仮APの役割を終え,次の会議用端末装置が仮APとなる。仮APとなった会議用端末装置は,同様にして,他の会議用端末装置と通信状態テーブルを交換する。
【0063】
続いて,会議用端末装置は仮APとなって,会議コンダクタ決定部11は,再度,自装置の収集した通信状態テーブルを他の会議用端末装置と交換し(2回目),交換で得た他の会議用端末装置の通信状態テーブルを通信状態記憶部12に記憶する(ステップS6)。
【0064】
通信状態テーブルを2回交換する理由は,1回の交換だけでは,自装置が通信できない会議用端末装置の存在が確認できないためである。一度,全ての会議用端末装置間で通信状態テーブル(RSSI値)を交換した後であれば,自装置が通信できない会議用端末装置があった場合でも,他の会議用端末装置から得た通信状態テーブルをもとに,自装置が通信できない会議用端末装置の存在を知ることができるからである。
【0065】
上記のステップS1〜S6の処理を全会議用端末装置で行うことにより,会議参加者の全員(いずれかの会議用端末装置が通信できる範囲)の会議用端末装置の通信状態テーブル(RSSI値のテーブル)を保持することができる。
【0066】
続いて,会議コンダクタ決定部11は,通信状態記憶部12に保持する通信状態テーブルを分析し,会議コンダクタ決定の決定ルールに該当する会議用端末装置を選択する。決定ルールとして,全会議用端末装置と通信可能かつ,RSSI値の平均値が最高であるというルールを用いる。さらに,自装置が会議コンダクタ端末であると決定した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置に対し,自装置が会議コンダクタ端末になったことを宣言する(ステップS7)。
【0067】
ここでは,全ての会議用端末装置が同じ通信状態テーブルを共有しているので,同じ会議用端末装置を会議コンダクタ端末として抽出することになる。
【0068】
続けて,他に会議コンダクタ端末を宣言(会議コンダクタ端末である旨の通知を送信)した会議用端末装置があるかを調べる(ステップS8)。
【0069】
他に会議コンダクタ端末を宣言した会議用端末装置があれば(ステップS8のY),宣言した会議用端末装置同士で再度通信状態テーブルを交換し,どちらを会議コンダクタ端末にするかを決定する(ステップS9)。会議コンダクタ端末の決定ルールは,ステップS7の処理で用いる決定ルールと同一である。
【0070】
そして,会議コンダクタ端末になった会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,他の会議用端末装置に会議コンダクタ端末になったことを通知するとともに,通信状態テーブルを配布する(ステップS10)。
【0071】
他に会議コンダクタ端末を宣言している会議用端末装置がなければ(ステップS8のN),処理を終了する。
【0072】
実施例において,会議に会議用端末装置A〜Eが参加しているとする。各会議用端末装置で会議コンダクタ決定処理が開始され,会議用端末装置A〜Eは,それぞれ順に仮APとなり,自装置と同じ接続条件の全ての会議用端末装置と通信する。
【0073】
例えば,会議用端末装置Aは,会議用端末装置B,D,Eと通信してRSSI値を取得したが,会議用端末装置Cとは通信できていないとする。したがって,会議用端末装置Aは,会議用端末装置Cの存在を検出することができていない。また,会議用端末装置Cも,同様に,会議用端末装置Aと通信できなかったため,その存在を検出することができない。一方,会議用端末装置B,D,Eは,全ての会議用端末装置と通信できていたとする。
【0074】
会議用端末装置A,Cは,会議用端末装置B,D,Eと通信状態テーブルを交換することによって,検出できなかった会議用端末装置C,Aの存在,および,両者での接続が不可であったことを知ることができる。
【0075】
図4は,会議用端末装置A〜Eが保持する通信状態テーブルの例を示す図である。
【0076】
図3に示す処理フローのステップS5,S6の処理により,会議に参加している全会議用端末装置について,装置間の通信状態が記録される。
【0077】
図4に示す通信状態テーブルが参照される場合に,全会議用端末装置と通信可能かつRSSI値の平均値が最高(60.5)である会議用端末装置Bが会議コンダクタ端末として決定される。この会議コンダクタ決定処理後に,会議が開始される。
【0078】
図5は,会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【0079】
会議用端末装置Aが説明者端末である場合に,会議用端末装置Aは,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末である会議用端末装置Bへ送信する。会議用端末装置Bは,受信した表示ページ指示を,参加者端末の会議用端末装置C,D,Eへ送信する。
【0080】
図6は,表示ページ指示の送信処理の処理フローを示す図である。
【0081】
説明者端末(会議用端末装置A)の表示ページ指示部13は,自装置の表示画面に表示している会議資料のページを特定し,特定したページを表示ページとして指定する表示ページ指示を生成する(ステップS20)。表示ページ指示部13は,生成した表示ページ指示を会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)へ送信する(ステップS21)。
【0082】
上記のステップS20〜S21の処理は,表示される会議資料のページが変わる度に実行される。
【0083】
図7は,表示ページ指示の伝達処理の処理フローを示す図である。
【0084】
会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)の指示受信部15が,説明者端末(会議用端末装置A)から表示ページ指示を受信する(ステップS30)。指示伝達部14は,受信した表示ページ指示を全参加者端末(会議用端末装置C,D,E)へ送信する(ステップS31)。さらに,指示ページ表示処理部16は,受信した表示ページ指示をもとに,指定されたページを自装置の表示画面に表示させる(ステップS32)。
【0085】
図8は,表示ページ指示による表示処理の処理フローを示す図である。
【0086】
参加者端末(会議用端末装置C,D,E)の指示受信部15は,会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)から表示ページ指示を受信する(ステップS40)。指示ページ表示処理部16は,受信した表示ページ指示をもとに,指定されたページを自装置の表示画面に表示させる(ステップS41)。
【0087】
会議の進行中に会議コンダクタ端末が存在しなくなった場合,例えば,会議コンダクタ端末になっていた会議用端末装置を所持する参加者が退席した場合には,会議コンダクタ端末を再決定する処理が行われる。
【0088】
図9は,会議コンダクタ端末の再決定処理の処理フローを示す図である。
【0089】
説明者端末(会議用端末装置A)の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)と通信が成功したかを調べ(ステップS50),通信が成功しなかった場合にのみ(ステップS50のN),自装置の持つ通信状態のテーブルを参照して,通信できなかった会議コンダクタ端末(会議用端末装置B)の次に決定ルールを満たす会議用端末装置を会議コンダクタ端末として抽出する(ステップS51)。説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,図4に示す通信状態テーブルの場合に,次にRSSI値の平均が高い会議用端末装置Eを抽出する。
【0090】
説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,通信状態テーブルをもとに,会議コンダクタ端末に該当する会議用端末装置を抽出できた場合には(ステップS52のY),抽出した会議用端末装置に,会議コンダクタ端末に指定した通知を送信する(ステップS53)。この指定の通知を受信した会議用端末装置の会議コンダクタ決定部11は,自装置が会議コンダクタ端末である通知を,全ての会議用端末装置(会議用端末装置C,D)に通知する(ステップS54)。
【0091】
一方,通信状態テーブルをもとに,会議コンダクタ端末に該当する会議用端末装置を抽出できなかった場合には(ステップS52のN),説明者端末の会議コンダクタ決定部11は,会議コンダクタ決定の開始操作を求めるメッセージを自装置の表示画面に表示する(ステップS55)。これにより,説明者が,参加者に対して会議コンダクタ決定処理を開始する操作を促すため,再実行され,新たな会議コンダクタ端末が決定される。
【0092】
図10は,会議コンダクタ端末の再決定後の会議システムの各会議用端末装置の機能例を示す図である。
【0093】
会議用端末装置Bが退席した後,会議用端末装置Aは,表示ページ指示を新たな会議コンダクタ端末である会議用端末装置Eへ送信する。会議用端末装置Eは,受信した表示ページ指示を,参加者端末の会議用端末装置C,Dへ送信する。
【0094】
会議システムの会議用端末装置1は,処理を実行するCPU,プログラムを格納するROM,プログラムの実行や会議資料を格納するRAM,会議資料を表示するLCDや電子ペーパなどを接続するI/Oなどを備えるコンピュータまたは専用ハードウェアによって実施することができる。
【0095】
会議用端末装置1の各処理部は,コンピュータが実行可能なプログラムによっても実施することができる。この場合に,会議用端末装置1の会議コンダクタ決定部11,表示ページ指示部13,指示伝達部14,指示受信部15,指示ページ表示処理部16が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムをコンピュータが実行することによって,会議用端末装置1の上記処理部の機能がコンピュータ上で実現される。
【0096】
上記コンピュータは,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,上記コンピュータが実行するプログラムは,コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0097】
以上説明したように,開示する会議用端末装置によれば,一定の場所に集合した複数の会議用端末装置間で,装置間の通信状態情報を収集し合い,通信感度が最高の会議用端末装置を会議コンダクタ端末に決定する処理を半自動的に実行することができる。よって,ユーザに操作負担を強いることなく,通信の中継に最適な会議用端末装置によって,会議中の良好な通信環境を設定することができる。
【0098】
また,開示する会議用端末装置によれば,通信環境が変化した際には,次に通信感度が良好な会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定し,通信を継続することができる。よって,会議中の通信がアドホックな環境であっても,通信状態の変化に対応して良好な通信環境を維持することができる。
【0099】
以上の作用により,会議の参加者は,説明者端末からの表示ページ指示をより確実に受信でき,通信環境を気にすることなく会議に専念することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 会議用端末装置
11 会議コンダクタ決定部
12 通信状態記憶部
13 表示ページ指示部
14 指示伝達部
15 指示受信部
16 指示ページ表示処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議資料を表示する会議用端末装置であって,
一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,
自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,
自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部と,を備える
ことを特徴とする会議用端末装置。
【請求項2】
前記会議コンダクタ決定部は,自装置の前記表示ページ指示部が前記会議コンダクタ端末への通信に失敗した場合に,前記通信状態情報にもとづいて,通信状態が2番目に良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の会議用端末装置。
【請求項3】
前記会議コンダクタ決定部は,特定の合図によって処理を開始し,前記通信状態として,前記複数の会議用端末装置の各々との通信強度の状態を示す値を取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の会議用端末装置。
【請求項4】
前記会議コンダクタ決定部は,前記複数の会議用端末装置と通信可能かつ前記通信強度の状態を示す値の平均値が最高値の会議用端末装置を前記会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の会議用端末装置。
【請求項5】
前記会議コンダクタ決定部は,前記複数の会議用端末装置と通信可能かつ前記通信強度の状態を示す値の分散値が最低値の会議用端末装置を前記会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の会議用端末装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の会議用端末装置を,複数備える
ことを特徴とする会議システム。
【請求項7】
コンピュータを,
一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,
自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,
自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部と,を備える
会議用端末装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
会議資料を表示する会議用端末装置であって,
一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,
自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,
自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部と,を備える
ことを特徴とする会議用端末装置。
【請求項2】
前記会議コンダクタ決定部は,自装置の前記表示ページ指示部が前記会議コンダクタ端末への通信に失敗した場合に,前記通信状態情報にもとづいて,通信状態が2番目に良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の会議用端末装置。
【請求項3】
前記会議コンダクタ決定部は,特定の合図によって処理を開始し,前記通信状態として,前記複数の会議用端末装置の各々との通信強度の状態を示す値を取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の会議用端末装置。
【請求項4】
前記会議コンダクタ決定部は,前記複数の会議用端末装置と通信可能かつ前記通信強度の状態を示す値の平均値が最高値の会議用端末装置を前記会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の会議用端末装置。
【請求項5】
前記会議コンダクタ決定部は,前記複数の会議用端末装置と通信可能かつ前記通信強度の状態を示す値の分散値が最低値の会議用端末装置を前記会議コンダクタ端末として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の会議用端末装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の会議用端末装置を,複数備える
ことを特徴とする会議システム。
【請求項7】
コンピュータを,
一定の場所においてアドホックな通信が可能な複数の会議用端末装置の各々と通信を行い,該会議用端末装置との通信状態情報を取得し,該取得した通信状態情報をもとに,通信状態が最も良い会議用端末装置を会議コンダクタ端末として決定する会議コンダクタ決定部と,
自装置に表示した前記会議資料のページを指定した表示ページ指示を生成し,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置に送信する表示ページ指示部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,前記複数の会議用端末装置の1つから前記表示ページ指示を受信し,または,自装置が前記会議コンダクタ端末に決定されていない場合に,前記会議コンダクタ端末に決定された会議用端末装置から前記表示ページ指示を受信する指示受信部と,
自装置が前記会議コンダクタ端末に決定された場合に,受信した前記表示ページ指示を,前記複数の会議用端末装置の各々に送信する指示伝達部と,
自装置で受信した前記表示ページ指示をもとに前記会議資料の指定されたページを表示する指示ページ表示処理部と,を備える
会議用端末装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−253698(P2012−253698A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126830(P2011−126830)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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