説明

伝動用ベルト

【課題】センターベルトに逆湾曲が生じても、板状のブロックがベルト幅方向の左右に傾きを生じないようにすることである。
【解決手段】ブロック10の上ビーム部13の幅方向両端部に、幅方向中央部の中高部13aの高さと同じ高さに突出する突出部13cを形成することにより、センターベルト2に逆湾曲が生じて、隣接する上ビーム部13が干渉するときに、幅方向両端部の突出部13c同士を接触させて、板状のブロック10がベルト幅方向の左右に傾きを生じないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って複数のブロックを所定ピッチで配列固定した伝動用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速装置等に用いられる伝動用ベルトには、無端状のセンターベルトの長手方向に沿って複数の板状のブロックを所定ピッチで配列し、これらの板状の各ブロックをベルト長手方向と直角なベルト幅方向に拡がるように固定したものがある(例えば、特許文献1参照)。この種の伝動用ベルトは、同じ形状の板状のブロックに、帯状のセンターベルトが幅方向から嵌合する嵌合溝を設け、センターベルトと各ブロックを一体化したものである。センターベルトは、ベルト長手方向の張力を受ける役割を果たし、ゴム等の母材に心線を埋設して強化したものが多い。一方、ブロックは伝動用ベルトが巻き掛けられるプーリと接触して、プーリからの面圧を受ける役割を果たし、金属材料や樹脂材料等で形成されている。近年は、軽量化のために比較的硬質の樹脂材料で形成したものが多く、樹脂材料に補強材や摩擦低減材等を配合したものもある。
【0003】
また、この種の伝動用ベルトは、V字状のプーリ溝を有するプーリに巻き掛けられることが多い。この場合の各ブロックの幅方向両端面は、接触するプーリ溝の側壁と傾斜が合致するテーパ面で形成される。ベルト式無段変速装置では、プーリ溝の幅が連続的に変更可能とされ、各ブロックの幅方向両端面を変更されたプーリ溝の幅に応じた上下方向(プーリの半径方向)位置でプーリ溝に接触させることにより、変速比を無段階で変えるようになっている。
【0004】
図6に示すように、上述した伝動用ベルト1の板状のブロック10は、センターベルト2が嵌合する嵌合溝11が設けられた幅狭のピラー部12の上下に、それぞれ幅広の上ビーム部13と下ビーム部14を形成したものである。この伝動用ベルト1は、各ブロック10の幅方向の左右両側に嵌合溝11を設け、これらの各嵌合溝11に幅方向両側から1本ずつ、合計2本のセンターベルト2を嵌合したものであるが、各ブロックの幅方向片側にのみ嵌合溝を設け、1本のセンターベルトを嵌合するようにしたものもある。
【0005】
前記ブロック10の上ビーム部13は、伝動用ベルト1がプーリに巻き掛けられたときに、長手方向に湾曲するセンターベルト2よりもプーリ外径側に位置し、下ビーム部14はセンターベルト2よりもプーリ内径側に位置する。断面での表示は省略するが、下ビーム部14は、センターベルト2が湾曲したときに互いに干渉しないように、プーリ内径側となる下側に行くほど肉厚が漸減するように形成されている。一方、センターベルト2よりもプーリ外径側に位置する上ビーム部13は、上下方向に等しい肉厚で形成されている。
【0006】
また、前記上ビーム部13と下ビーム部14は幅方向中央部が中高に形成されており、嵌合溝11が設けられたピラー部12の左右両側へ張り出す基部の断面積を大きくして、その強度を確保するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−230147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した伝動用ベルト1は、図7(a)に示すように、プーリ31に巻き掛けられた部位がプーリ31から離脱するときに、プーリ31に巻き掛けられた湾曲方向と逆方向に逆湾曲することがある。このような逆湾曲が生じると、図7(b)に示すように、ブロック10の上ビーム部13が逆湾曲するセンターベルト2の湾曲内側に位置し、下ビーム部14がセンターベルト2の湾曲外側に位置するようになる。
【0009】
なお、この逆湾曲現象は以下のようなメカニズムで生じる。すなわち、ブロック10がV字状のプーリ溝と接触している間は、ブロック10が楔効果によってプーリ31に引き摺られるように伝動用ベルト1が走行する。そして、伝動用ベルトがプーリ31から離脱するときに、このブロック10の楔効果によって、プーリ31の外周に沿う方向に引き摺られ、他方のプーリ32に向かって走行しようとする伝動用ベルト1に逆湾曲が生じる。
【0010】
特許文献1に記載されたように、従来の伝動用ベルトのブロックの上ビーム部は上下方向に等しい肉厚で形成されているので、このような逆湾曲によってセンターベルトの湾曲内側に位置するようになると、隣接する上ビーム部が互いに干渉する。このとき、上ビーム部は幅方向中央部が中高に形成されているため、この幅方向中央部のみで上ビーム部同士が接触する。このように上ビーム部同士が幅方向中央部のみで接触すると、ブロックが幅方向中央部を中心としてベルト幅方向の左右に傾きを生じやすくなり、いわゆるベルトの斜行が発生する問題がある。ブロックが左右に傾いた状態でベルトが斜行すると、ブロックの幅方向両端面がプーリ溝と斜めに接触して偏摩耗し、ベルトの動力伝達性能が低下する恐れがある。また、ブロックに嵌合されたセンターベルトに、幅方向の片側で張力が高くなる不均一な張力が作用するので、高い張力が作用するセンターベルトの幅方向端部に亀裂が発生し、さらに亀裂が進行して破断に到る恐れもある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、センターベルトに逆湾曲が生じても、板状のブロックがベルト幅方向の左右に傾きを生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、無端状のセンターベルトと、このセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで配列され、ベルト長手方向と直角なベルト幅方向に拡がるように固定される板状の複数のブロックとからなり、前記板状の各ブロックを、上ビーム部と下ビーム部をピラー部によって上下に連結し、その幅方向の少なくとも一側面に、前記上下のビーム部とピラー部によって囲まれた嵌合溝を設け、この嵌合溝に前記センターベルトを幅方向から嵌合した伝動用ベルトにおいて、前記センターベルトが前記上ビーム部側へ逆湾曲したときに、前記複数のブロックの隣接する上ビーム部同士を幅方向の両端部または両端部近傍のいずれかの幅方向両端部付近で接触させる手段を設けた構成を採用した。
【0013】
すなわち、センターベルトが上ビーム部側へ逆湾曲したときに、複数のブロックの隣接する上ビーム部同士を幅方向の両端部または両端部近傍のいずれかの幅方向両端部付近で接触させる手段を設けることにより、センターベルトの逆湾曲によって上ビーム部が干渉しても、板状のブロックがベルト幅方向の左右に傾きを生じないようにした。
【0014】
前記上ビーム部同士を幅方向両端部付近で接触させる手段は、前記上ビーム部の幅方向両端部付近に、幅方向中央部の高さ以上の突出部を形成したものとすることができる。
【0015】
前記幅方向両端部付近の突出部の高さは、前記幅方向中央部の高さに対して、0〜0.5mmの範囲で高くするとよい。この突出部と幅方向中央部の高さの差を0〜0.5mmの範囲としたのは、上ビーム部が干渉するときに、幅方向両端部付近の突出部は幅方向中央部と同時、または幅方向中央部よりも少しだけ早く接触すればよく、この高さの差が0.5mmを超えると、ブロックの慣性質量が増加して、走行時のベルトに作用する遠心力が大きくなるのみで、ブロックの傾きを抑制する効果は向上しないからである。
【0016】
前記幅方向両端部付近の突出部の高さを、前記幅方向中央部の高さと同じ高さとすることにより、上ビーム部同士を幅方向中央部と幅方向両端部付近の3個所で接触させて、その接触面圧を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る伝動用ベルトは、センターベルトが上ビーム部側へ逆湾曲したときに、複数のブロックの隣接する上ビーム部同士を幅方向の両端部または両端部近傍のいずれかの幅方向両端部付近で接触させる手段を設けたので、センターベルトの逆湾曲によって上ビーム部が互いに干渉しても、板状のブロックがベルト幅方向の左右に傾きを生じないようにし、ベルトの斜行を防止して、ブロックの幅方向両端面の偏摩耗によるベルトの動力伝達性能の低下や、センターベルトの破断の原因となる亀裂の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)、(b)は、本発明に係る実施形態の伝動用ベルトを採用したベルト式無段変速装置を示す一部省略断面図
【図2】図1の伝動用ベルトを示す一部切欠き斜視図
【図3】図2の縦断面図
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図
【図5】(a)、(b)は、それぞれ図4のブロックの変形例を示す正面図
【図6】従来の伝動用ベルトを示す一部切欠き斜視図
【図7】(a)は伝動用ベルトの逆湾曲現象を説明する概念図、(b)は(a)の逆湾曲現象が生じた部分の伝動用ベルトの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る伝動用ベルト1を採用したベルト式無段変速装置30を示す。このベルト式無段変速装置30は、駆動プーリ31と従動プーリ32に伝動用ベルト1を巻き掛けて、変速比を無段階で変化させるものである。各プーリ31、32は、軸方向に固定された固定プーリ片31a、32aと、軸方向に移動可能とされた可動プーリ片31b、32bとからなり、これらの固定プーリ片31a、32aと可動プーリ片31b、32bで形成されるプーリ溝の幅を連続的に変更できるようになっている。
【0020】
前記伝動用ベルト1は、幅方向両端面が各プーリ31、32のV字状のプーリ溝の両側壁と傾斜が合致するテーパ面で形成され、変更されたプーリ溝の幅に応じて、プーリ溝の任意の上下方向位置に嵌まり込む。例えば、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示すように、駆動プーリ31のプーリ溝の幅を狭く、従動プーリ32のプーリ溝の幅を広くした状態に変更すると、伝動用ベルト1は、駆動プーリ31側ではプーリ溝の上方へ、従動プーリ32側ではプーリ溝の下方へ移動し、各プーリ31、32への巻き掛け半径が連続的に変化して、変速比が無段階で変えられる。
【0021】
図2に示すように、前記伝動用ベルト1は、平行な2本の無端状のセンターベルト2の長手方向に沿って所定ピッチで配列した複数の板状のブロック10を、ベルト長手方向と直角なベルト幅方向に拡がるように固定したものである。板状の各ブロック10は、上ビーム部13と下ビーム部14をピラー部12によって上下に連結し、その幅方向の両側面に、上下のビーム部13,14とピラー部12によって囲まれた嵌合溝11を設けたものであり、互いに同一の形状とされている。各センターベルト2は、各ブロック10の両側面の嵌合溝11に幅方向両側から嵌合され、各ブロック10が2本のセンターベルト2と一体化される。伝動用ベルト1が各プーリ31、32に巻き掛けられたときに、各ブロック10の上ビーム部13はセンターベルト2よりもプーリ外径側に位置し、下ビーム部14はセンターベルト2よりもプーリ内径側に位置する。
【0022】
また、前記各センターベルト2の上下面には、それぞれ幅方向に延びる凹溝3a、3bが長手方向に所定のピッチで設けられ、各ブロック10の嵌合溝11の上下を向く側面には、それぞれ幅方向に延びる凸条15a、15bが設けられている。これらの凹溝3a、3bに各凸条15a、15bを係合させることにより、各ブロック10がベルト長手方向に沿って所定ピッチで固定される。
【0023】
前記センターベルト2は、心線4がスパイラル状に埋設されたゴム層5と、ゴム層5の上下両面を被覆するカバー帆布6とからなる。心線4としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなるロープや、スチールワイヤ等が用いられる。心線4の替わりに、上記の繊維からなる織布や編布、または金属薄板等を埋設してもよい。ゴム層5は、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム等の単一材もしくはこれらを適宜ブレンドしたゴム、またはポリウレタンゴムで形成される。
【0024】
前記カバー帆布6は、ベルト走行時にゴム層5がブロック10との摩擦により摩耗するのを防止するためのものであり、平織り、綾織り又は朱子織り等の織布で形成される。その繊維材料としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等が用いられる。
【0025】
図3に示すように、前記センターベルト2の長手方向に所定ピッチで固定された各ブロック10間には隙間が開けられ、センターベルト2よりもプーリ内径側に位置する下ビーム部14は、センターベルト2がプーリ側へ湾曲したときに互いに干渉しないように、プーリ内径側となる下側に行くほど肉厚が漸減するように形成されている。一方、センターベルト2よりもプーリ外径側に位置する上ビーム部13は、上下方向に等しい肉厚で形成されている。
【0026】
図4に示すように、前記ブロック10の上ビーム部13は、幅方向中央部に中高部13aが形成され、その幅方向両側に、両端に向かって高さが傾斜して低くなる傾斜部13bと、両端部で高さが中高部13aと等しくなるように突出する突出部13cが形成されている。これらの突出部13c上端の平坦部分の幅方向寸法wは2〜5mmの範囲に設定されている。したがって、図7に示したように、センターベルト2が逆湾曲して各ブロック10の上ビーム部13が互いに干渉しても、隣接する上ビーム部13同士は、同じ高さで高くなった中高部13aと幅方向両端部の突出部13cとの3箇所で接触するので、干渉する各ブロック10がベルト幅方向の左右に傾きを生じることはなく、これらの接触面圧も低減される。この実施形態では、中高部13aと突出部13cの高さを等しくしたが、突出部13cの高さを0.5mm以内の範囲で中高部13aより高くしてもよい。なお、下ビーム部14は、幅方向中央部に中高部14aが形成され、その幅方向両側に両端に向かって高さが傾斜して低くなる傾斜部14bのみが形成されている。
【0027】
また、前記ブロック10の上ビーム部13と下ビーム部14の幅方向両端面は、それぞれプーリ31、32のV字状のプーリ溝の両側壁と傾斜が合致するテーパ面13d、14dで形成されている。なお、各センターベルト2の外側を向く側端面は、プーリ溝と接触しないように、上ビーム部13と下ビーム部14のテーパ面13d、14dよりも内側へ後退したテーパ面7で形成されている。
【0028】
前記ブロック10は、センターベルト2よりも硬質の樹脂材料で形成され、補強材と摩擦低減材が配合されている。硬質の樹脂材料としては、液晶樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が挙げられ、これらの中でも、熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂が好ましい。また、合成樹脂の代わりに、JIS‐A硬度90°以上の硬質ゴムや硬質ポリウレタンを用いてもよい。
【0029】
前記補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などの繊維状補強材や、酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ等のウィスカ状補強材が挙げられる。これらの補強材を配合することによって、ブロック10の曲げ剛性等の強度を高めることができる。ウィスカ状補強材を用いる場合は、プーリ31、32との摩擦によるブロック10の摩耗を抑制することができる。なお、この場合は、センターベルト2がブロック10と接触する部分においてウィスカ状補強材によって摩耗するのを防止するために、センターベルト2と接触する嵌合溝11の周辺部には、ウィスカ状補強材を配合しないことが好ましい。
【0030】
前記摩擦低減材としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)等のフッ素樹脂や、二硫化モリブデン、グラファイト等が挙げられる。このような摩擦低減材を配合することにより、ブロック10とプーリ31、32との摩擦係数が低減されるため、ブロック10の摩耗を抑制することができる。
【0031】
図5(a)、(b)は、それぞれ前記ブロック10の変形例を示す。図5(a)の変形例は、前記上ビーム部13の突出部13cを幅方向両端部から少し内側に後退させた幅方向両端部近傍に形成した点が異なる。その他の部分は実施形態のものと同じであり、両側面に嵌合溝11が設けられ、下ビーム部14には、幅方向中央部の中高部14aと、その幅方向両側の傾斜部14bが形成されている。この変形例では、上ビーム部13の幅方向両端のテーパ面13dのプーリ溝との接触面積や接触面圧を所望の設計値に調整することができる。
【0032】
図5(b)の変形例は、前記上ビーム部13の幅方向中央部の中高部13aがなく、平坦な幅方向中央部の両側に、両端に向かって高さが傾斜して高くなる傾斜部13eと、幅方向両端部で高さが突出する突出部13cが形成されている点が異なる。その他の部分は実施形態のものと同じである。この変形例では、ブロックの慣性質量を小さくして、ベルト走行時にベルトに作用する遠心力を低減することができる。
【0033】
上述した実施形態では、ブロックを樹脂材料で形成して、補強材と摩擦低減材を配合したが、ブロックは樹脂材料のみで形成することもできる。金属材料で形成したり、金属材料で形成したブロックを樹脂等で被覆することもできる。
【0034】
また、上述した実施形態と変形例では、ブロックの上ビーム部の幅方向両端部付近に高さ方向の突出部を形成して、上ビーム部の干渉時に隣接する上ビーム部同士を幅方向両端部付近で接触させるようにしたが、隣接する上ビーム部同士を幅方向両端部付近で接触させる手段は、このような高さ方向の突出部を形成するものに限定されることはなく、例えば、上ビーム部の幅方向両端部付近に厚み方向の突出部を形成して、上ビーム部同士を幅方向両端部付近で接触させることもできる。
【0035】
さらに、上述した実施形態と変形例では、ブロックの幅方向の左右両側に、センターベルトを嵌合する嵌合溝を設け、各ブロックを2本のセンターベルトと一体化したものとしたが、本発明に係る伝動用ベルトは、ブロックの幅方向の片側のみに嵌合溝を設け、各ブロックを1本のセンターベルトと一体化したものとすることもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 伝動用ベルト
2 センターベルト
3a、3b 凹溝
4 心線
5 ゴム層
6 カバー帆布
7 テーパ面
10 ブロック
11 嵌合溝
12 ピラー部
13 上ビーム部
13a 中高部
13b 傾斜部
13c 突出部
13d テーパ面
13e 傾斜部
14 下ビーム部
14a 中高部
14b 傾斜部
14d テーパ面
15a、15b 凸条
30 ベルト式無段変速装置
31,32 プーリ
31a,32a 固定プーリ片
31b,32b 可動プーリ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のセンターベルトと、このセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで配列され、ベルト長手方向と直角なベルト幅方向に拡がるように固定される板状の複数のブロックとからなり、前記板状の各ブロックを、上ビーム部と下ビーム部をピラー部によって上下に連結し、その幅方向の少なくとも一側面に、前記上下のビーム部とピラー部によって囲まれた嵌合溝を設け、この嵌合溝に前記センターベルトを幅方向から嵌合した伝動用ベルトにおいて、前記センターベルトが前記上ビーム部側へ逆湾曲したときに、前記複数のブロックの隣接する上ビーム部同士を幅方向の両端部または両端部近傍のいずれかの幅方向両端部付近で接触させる手段を設けたことを特徴とする伝動用ベルト。
【請求項2】
前記上ビーム部同士を幅方向両端部付近で接触させる手段が、前記上ビーム部の幅方向両端部付近に、幅方向中央部の高さ以上の突出部を形成したものである請求項1に記載の伝動用ベルト。
【請求項3】
前記幅方向両端部付近の突出部の高さを、前記幅方向中央部の高さに対して、0〜0.5mmの範囲で高くした請求項2に記載の伝動用ベルト。
【請求項4】
前記幅方向両端部付近の突出部の高さを、前記幅方向中央部の高さと同じ高さとした請求項2に記載の伝動用ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−112438(P2012−112438A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261271(P2010−261271)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)