説明

伝導性ポリマーで微細粒子をコーティングするための方法

本発明は、微粒子をコーティングするための方法であって、出発材料混合物が下記成分:− 少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、これらは、芳香族及び/又は不飽和炭化水素化合物のモノマー及び/又はオリゴマーから選択され、それから電気的伝導性オリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーを形成するのに適したものであり、− 少なくとも1つの型のアニオン、ここで、伝導性ポリマー中のこの少なくとも1つの型のアニオンを、(1).ドーピングイオンとして伝導性ポリマーの構造中に取り込むことが可能、及び/又は、取り込まれており、(2).伝導性ポリマーの電位の低下(還元)があった場合にはこの構造から再度放出されることもでき、そして、(3).金属表面が存在する場合は腐食保護作用を有することができるもの、− 少なくとも1つの型の粒子、− 場合により少なくとも1つの酸化剤並びに、− 水及び/又は少なくとも1つの別の溶媒を含むことを特徴とし、ここで粒子表面上に出発材料混合物からコーティングを形成し、ここで出発材料を、少なくとも1つの型の可動性腐食保護アニオンの存在下に酸化により反応させる方法に関する。選択的に、該微粒子は、伝導性ポリマーを含有する生成物混合物でコーティングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子をコーティングするための方法、コーティング操作のための混合物、この態様において製造されたコーティング、この態様において電気的伝導性コーティングによりコーティングされた粒子、及び、この態様においてコーティングされた粒子の使用に関する。
【0002】
電気的伝導性ポリマー、特にポリアニリン系のもののクラスの多くの物質が長年に渡り知られている。電気的伝導性ポリマーを包含し、そして他の電気的伝導性物質を添加することなく使用することができる多くの化学系が開発されている。この関連において、比較的高い電気伝導性を達成するためには種々の成分を添加し、そして特定の方法工程を実施しなければならないことがわかっている。ある用途においては、例えば金属表面の腐食保護の場合のもののような伝導性ポリマーの多大な層又は薄膜の閉鎖された層は適していないことがわかっている。
【0003】
しかしながら、伝導性ポリマーを有機マトリックスに導入することは、剪断力による混合又は湿潤(粉砕と称される場合が多い)の間にマトリックス中の伝導性ポリマーの混合及び分布を強化する粒子の導入を伴わずしては困難であり、その理由は、純粋な伝導性ポリマーのコーティングと概ね同様の特性を有する伝導性ポリマーからコアを用いることなく粉末の態様において製造された粉末の導入は高価であり、そして、有機性のコーティングの組成物の成分との混合の程度が不良となるためであり、そして、これらの粉末は多くの場合繊維性の接着構造を含むため、それらは容易にケーキングして合体する。
【0004】
多くの型の無機及び有機の粒子、特に、非常に多くの型の顔料の場合のような例えば酸化性シェルでコーティングされたもののような、コーティングされた状態で使用される顔料が原則として知られている。
【0005】
モノマー及び/又はオリゴマーを含み、反応することにより粒子コアに、及び/又はその内部に伝導性ポリマーを与えることができる本発明による混合物の適用は問題を呈する場合があるが、その理由は、多くの有機性コア材料は表面上又は全体が溶媒により溶解されるためであり、その理由は無機粒子はコーティングの特性に、例えばガラス転移点Tgに、そして混合物中の濃度に適合することができず、そしてまた例えば有機粒子のように可撓性をもって交差結合又はグラフト形成により表面特性に関して化学的に最適化されるためである。更に又、無機粒子においては、粒径分布は、特に分布の狭小な幅に関してのみならず粒子の形状に関しても、有機粒子ほど広範には変動しない。更に又、有機粒子はしばしば有機バインダーマトリックスに関して必要とされる場合がある有機バインダーへの化学的に良好な合致を示す場合が多い。一方、無機粒子むしろ小板状、線状又は針状の形態で市販される。
【0006】
この観点において、コア材料は、通常は特にポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスチレン及び/又はポリウレタン系、又は全ての無機粒子系のコア材料のように、可能な限り選択された溶媒及び液体中で完全に不溶性であるように選択すべきである。原則として、他の有機ポリマー粒子もまた可能である。従って有機粒子のコーティングにおいて使用できる一方ではコア材料、他方では溶媒の選択を行うには限界がある。有機コア及びそのシェルの硬度は低いため、コーティング粒子が比較的高い剪断力(所謂粉砕)下に破壊されないように留意しなければならない。以降、粉砕は、それが剪断力により湿潤されるのみであるか、又は粉末化を伴って実際に粉砕されるかを区別することなく言及する。
【0007】
DE19919261A1が伝導性ポリマーの形成に関して知られているモノマーの溶液で酸化性粒子の表面を処理し、そしてモノマーを酸化剤との反応により酸化し、これによりモノマーを伝導性ポリマーに変換する方法を記載している。アニリン、ピロール又はチオフェン系のモノマーの製造が実施例に記載されている。粉末の製造は濾過、洗浄、有機溶媒による抽出及び乾燥により終了する。底に記載されている方法の目的は調節することができる電気伝導性を有する酸化物粒子上にコーティングを生成することである。このために、配位酸化還元溶液を使用して伝導性ポリマーの酸化度を調節している。しかしながら、腐食抑制剤は添加されていない。酸化剤に含有されるアニオンは腐食保護作用を有さない。伝導性ポリマーの製造、コーティング操作、化学組成及びその後の処理及び使用に関してDE19919261A1から得られる情報は本出願に特に組み込まれる。
【0008】
親出願DE102004037542、DE102004037552及びこれらによる外国出願並びに同出願人により同じ特許庁に出願された平行出願である標題「腐食保護コーティングにより金属表面をコーティングするための方法」、及び、外国における関連出願は、特にデポ物質、アニオン、カチオン、マトリックス物質、原料、中間体及び最終物質、及び、添加又は形成される他の成分の型及び量に関し、そして特に、化学反応、製造方法及び条件、個々の方法工程、物理化学的現象、伝導性、電位の値、電位の差、電位及び他の特性の変化、定義、請求項の要件、図面、表及び使用、実施形態変形例、実施例及び比較例に関して、明らかに本出願に組み込まれる。
【0009】
出願人の知る限り、少数の方のアニオンのみが伝導性ポリマーと組み合わせた場合に全体を変化させたという報告はない。多くの化合物の場合においては市販されておらず、従って自家調製の努力を要する伝導性ポリマーの製造及び製造条件の変更は極めて高経費となるため、伝導性ポリマーのための出発材料、アニオン及び酸化剤の系統的変更は、特にポリピロール又はポリチオフェンの場合には、明らかに研究段階において成功していない。
【0010】
伝導性ポリマーの製造及び使用のための従来技術の大部分の研究においては、アニオン、即ち原則として対アニオン又はドーピングアニオンと称されるものは、製造条件の理由から必然的に、形成中の伝導性ポリマーの電気的中和を維持するために混合物に含有される。しかしながら、伝導性ポリマーの使用時のこのようなアニオンの保護作用に関しては殆ど知られていない。伝導性ポリマー中のアニオンの腐食保護作用は文献でも滅多に報告されていない。しかしながら、個々の実験においては、予め金属表面のパッシベーションを選択しており、その場合、例えば溶解度の低い金属シュウ酸塩パッシベーション層をシュウ酸塩からのみ形成した後に伝導性ポリマーを有する化学系を適用している。例えばポリアニリンを使用する場合は非ドープポリアニリンを従来どおりこの系に適用し、そして例えばリン酸で後にドープするのみである。伝導性ポリマーを電気化学的に適用する場合は予めパッシベーションを行うことが常に必要となる。次にパッシベーションに使用したものと同様のアニオンが必然的に存在し、電気的中和を温存するための対イオンとして伝導性ポリマーの重合の間に同時に取り込まれる。
【0011】
今回、添加すべきアニオンはそれが伝導性ポリマーの構造に取り込まれる場合に必要な電気的中和を確保するのみならず、それらが再度伝導性ポリマー外に移行する場合に金属表面において腐食保護作用を発揮することができることを発見した。腐食保護作用はコーティングに僅かな損傷が生じた際に既に開始され、その場合、これらの選択されたアニオンは伝導性ポリマー外に移行し、金属表面の保護層中の損傷部に移行する。これにより、多くの場合、特に大きすぎない場合には、欠陥のある金属表面をパッシベーション処理することができる。
【0012】
更に又、金属表面の腐食攻撃の間にはカソードデラミネーションが通常生じることも発見した。更に又、この関連において、このカソードデラミネーションに先行して放出シグナルとして電位の低下が起こることも発見した。放出シグナルは一般的に破損した領域で生じるが、その理由は通常の消費者向け金属及びその合金においては、殆ど例外なく電位は通常の伝導性ポリマーの酸化還元電位よりも負の値をそこに有している。その結果、後者は負の分極を起こし、これにより還元される。
【0013】
カソードデラミネーションにおいて、実際の界面のデラミネーションに先行して電位の低下が起こり、その間、界面の電位は既にこのデラミネーションの前段階において通常の伝導性ポリマーが酸化状態にある場合の値より下降してより低い値となり、これが少なくとも部分的には還元をもたらす。この観点において、ポリマー付着がまだ破壊されていないこの前進したカソード前線において、酸素の還元が界面においてやはり起こる場合が多く、その間、フリーラジカルが形成され、これが界面における付着を破壊し、これにより最終的にはデラミネーションをもたらす。少なくともブリスタがデラミネーション点に形成される可能性もある。
【0014】
今回、これらの作用は、この反応を抑制するアニオンを放出することにより、1.更にデラミネーションが起こることを停止するため、及び/又は2.この早期の段階におけるデラミネーションを防止するために利用できることを発見した。界面がこの早期の段階でデラミネーションしていない場合は、なお大部分は未損傷の界面が小容量使用可能であることから、このようなアニオンの僅かな量のみが必要となる。
【0015】
この化学系は小さい欠損の場合には機能するが、大きすぎる欠損をパッシベーションすることはできず、そしてこの点に関して、全体の系におけるカチオン輸送速度が過剰に高値であり、そしてこれにより、例えば伝導性ポリマーの含有量を有する有機コーティングの進行性の還元が急速に起こっている場合には有害事象をもたらす場合があるが、その理由は金属表面の腐食抑制のためのこの化学系において全ての量及び特性を合致させることが問題であるためである。しかしながらクロム酸塩も同様に過剰に大型の欠損をパッシベーション処理することはできない。
【0016】
伝導性ポリマーを含む多くの化学系において、アニオンの放出に基づく作用(放出作用)が期待又は予測されているが、希少な独立した例においてのみ明確化されている。この観点において、コーティング中の伝導性ポリマーの相互作用はおそらくは例えばパッシベーションアニオンのようなパッシベーション物質のためのデポ物質として機能することができる。文献においてこの点に関して記載されているアニオンは通常は腐食防止性ではない。しかしながら、腐食保護用途のための放出作用の利用は殆ど言及されておらず、そしてあいまいな意味においてのみ言及されており、そして、出願人の知る限り、実際に明確化されておらず、従って推測のままとなっている。しかしながら出願人の知る限り、電位を低下させることにより放出作用をトリガーすることは記載されていない。
【0017】
腐食保護アニオンは従来技術において記載されているが、腐食保護作用は大部分は局所的な欠陥領域におけるパッシベーション作用に限定されており、デラミネーション最中の領域に関しては記載されていない。伝導性ポリマーの場合は、この観点において、それらの重合が化学的であるか電子化学的であるかで区別しているが、その理由は電子化学的重合の場合は、比較的基盤となる金属表面は常時、ポリマー付着前にパッシベーションされ:例えばシュウ酸塩を使用する場合は、金属表面はまずパッシベーションされる。出願人の知る限り、腐食抑制アニオンを記載した文献は電位の低下によるこれらのアニオンの放出を示していない。
【0018】
伝導性ポリマーを含有しないクロム(VI)含有コーティングについてのみ自己修正作用を超えたものが知られており、1.欠陥又はさらには破損した領域における金属表面のパッシベーション(アノード部分反応)、2.デラミネーション最中及び/又はデラミネーション後の領域におけるカソード部分反応の抑制(酸化還元)が知られている。しかしなお、6価クロム酸塩は金属表面の保護のためのクロム酸塩の含量の比率が環境保護の理由から劇的に低減されるほど、有害であることが知られている。しかしながら、クロム酸塩であっても僅かな面積の欠陥をパッシベーション及び修正できるのみである。しかしながら、6価クロム酸塩の非存在下においてこのような自己修正を超えたものを実際に有している化学系は今日まで知られていない。
【0019】
従って本発明の目的は金属表面の腐食保護において使用するためにも原則として適している伝導性ポリマーで無機及び/又は有機の粒子をコーティングするための方法を提案することである。製造及びコーティングの方法を可能な限り簡素に、そして特殊な装置を使用することなく実施できれば好都合である。
【0020】
更に又、実際に金属表面上のコーティングにおける伝導性ポリマーを有する化学系の個々が電場の勾配を伴った電位の変化によるコーティングの損傷時に判明する(アニオンの放出;放出作用)のみならず、修正作用(修復作用)を有していれば特に好都合である。しかしながら、デラミネーション領域が再度修復される修正作用は、数種の個々の化学系により特定の条件下で期待されるのみである。
【0021】
この目的は、無機及び/又は有機の粒子をコーティングするための方法であって、粒子は混合物中に存在、及び/又は、それとして予め形成されており、ここで、混合物は分散体、流動可能又は混練可能な組成物、ゾル及び/又はゲルであり、出発材料(educt)と称される混合物が下記成分:
− 少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー(以後、「伝導性ポリマーの出発材料」又は単に「出発材料」と称する)、
ただし、自身からの電気的伝導性オリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーの形成に適する芳香族及び/又は不飽和炭化水素化合物のモノマー及び/又はオリゴマーから、例えばアルキン、複素環化合物、炭素環化合物、その誘導体及び/又はその組み合わせ、特にX=Nおよび/またはSである複素環化合物から選択されるもの、特にイミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系の未置換及び/又は置換された化合物から選択されるもの、
− 少なくとも1つの型のアニオン−場合により、これらのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、
ここで、伝導性ポリマー中のこの少なくとも1つの型のアニオンは、1.ドーピングイオンとして伝導性ポリマーの構造中に取り込むことが可能、2.伝導性ポリマーの電位の低下(還元)があった場合にはこの構造から再度放出されることもでき、そして、3.金属表面が存在する場合は腐食保護作用(以後「可動性腐食保護アニオン」と称する)を有することができるもの、
− 少なくとも1つの型の粒子であって、クラスター、ナノ粒子、ナノチューブ、繊維性、螺旋状及び/又は多孔性の構造、10nm〜10mmの範囲の平均粒径を有する粒子、及びこれらの蓄積物、例えば集塊物及び/又は凝集物から選択されるもの、及び、
− 水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒及び場合により少なくとも1つの別の溶媒、特に極性溶媒、非極性又は弱極性溶媒から、そして、室温では液体ではないが高温では溶媒として機能する溶媒から選択されるもの、
を含むことを特徴とし、
ここで少なくとも1つの単層の厚みを有するコーティングは粒子表面の少なくとも一部の上に出発材料混合物から形成され、コーティングは特にモノマー及び/又はオリゴマーより実質的になるか、又は、実質的な含有量のモノマー及び/又はオリゴマー並びに適宜少なくとも1つの別の出発材料混合物成分を含み、
ここで分散体において、組成物において、ゾルまたはゲルにおいて、又は、場合により少なくとも液体の一部を分離除去した後に、エアロゾルにおいて、少なくとも一部のモノマー及び/又はオリゴマーを、少なくとも1つの酸化剤を用いて化学的に、電圧下に電気化学的に、及び/又は、電磁気放射の作用下に光化学的に、各々の場合において少なくとも1つの型の可動性腐食保護アニオンの存在下、酸化により反応させ、これにより少なくとも部分的に少なくとも1つのオリゴマー、及び/又は、場合により部分的又は完全に各々の場合少なくとも1つのポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーを水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒を含む混合物として与え(「生成物」)、
ここで、この手段により形成されたオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー(以後「伝導性ポリマー」と称する)は少なくとも部分的に電気的伝導性であるか、及び/又は、より電気的伝導性となるものである上記方法により達成される。
【0022】
この観点において、好ましくは少なくとも1つの伝導性ポリマーの製造のために少なくとも1つの出発材料を選択するが、その理由は、その酸化電位がこのために使用する混合物中の水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒の分解電位以下であるためである。
【0023】
この観点において、形成された伝導性のアニオン負荷ポリマーからの可動性腐食保護アニオン及び場合により付着誘発アニオンの放出は好ましくは、脱プロトン反応を介しては皆無及び/又は僅かな程度まで、ただし、還元反応を介しては優先的及び/又は完全に起こる。
【0024】
この観点において、これらのアニオンは、特にアルカン酸、アレーン酸、ホウ素含有酸、フッ素含有酸、ヘテロポリ酸、イソポリ酸、ヨウ素含有酸、ケイ酸、ルイス酸、鉱物酸、モリブデン含有酸、過酸、リン含有酸、チタン含有酸、バナジウム含有酸、タングステン含有酸、ジルコニウム含有酸系、これらの塩、これらのエステル及びこれらの混合物系のものから選択できる。
【0025】
本発明の混合物は場合により少なくとも1つの酸化剤を含み、ここでこの少なくとも1つの酸化剤は、特に少なくとも1つのアニオンが同時に酸化剤として機能するか、及び/又は重合が電子化学的又光化学的に行われる場合は、完全または部分的に省略してよい。
【0026】
目的は又、無機及び/又は有機の粒子をコーティングするための方法であって、粒子は混合物中に存在、及び/又は、それとして予め形成されており、ここで、混合物は分散体、流動可能又は混練可能な組成物、ゾル及び/又はゲルであり、混合物が生成物混合物であり、そして下記成分:
− 少なくとも1つのオリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマー系の電気的に「伝導性のポリマー」、
− 少なくとも1つの型のアニオン−場合により、これらのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、ここで、伝導性ポリマー中のこの少なくとも1つの型のアニオンは、1.ドーピングイオンとして伝導性ポリマーの構造中に取り込むことが可能、及び/又は、少なくとも部分的に取り込まれ、2.伝導性ポリマーの電位の低下(還元)があった場合にはこの構造から再度放出されることもでき、そして、3.金属表面が存在する場合は腐食保護作用(以後「可動性腐食保護アニオン」と称する)を有することができるもの、
− 少なくとも1つの型の粒子であって、クラスター、ナノ粒子、ナノチューブ、繊維性、螺旋状及び/又は多孔性の構造、10nm〜10mmの範囲の平均粒径を有する粒子、及びこれらの蓄積物、例えば集塊物及び/又は凝集物から選択されるもの、及び、
− 場合により酸化剤、水、及び/又は、少なくとも1つの他の溶媒、
を含むことを特徴とし、
ここで少なくとも1つの単層の厚みを有するコーティングは粒子表面の少なくとも一部の上に生成物混合物から形成され、
ここで、形成されたオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー(以後「伝導性ポリマー」と称する)は少なくとも部分的に電気的伝導性であるか、及び/又は、より電気的伝導性となるものである上記方法によっても達成される。
【0027】
この観点において、好ましくは少なくとも1つの伝導性ポリマーの製造のために少なくとも1つの出発材料を選択するが、その理由は、出発材料の酸化電位がこのために使用する混合物中の水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒の分解電位以下であるためである。
【0028】
この観点において、形成された伝導性ポリマーからの可動性腐食保護アニオン及び場合により付着誘発アニオンの放出は好ましくは、脱プロトン反応を介しては皆無及び/又は僅かな程度まで、ただし、還元反応を介しては優先的及び/又は完全に起こる。
【0029】
本発明に従って機能するアニリン、ポリアニリン又はその誘導体を出願人は今日まで知らない。可動性腐食保護アニオンはまた4.少なくとも破損した領域及びデラミネーション前線及び/又は先行する前線における酸素の還元を停止する能力、及び/又は5.デラミネーションを少なくとも部分的に再度閉鎖することができるように付着促進作用(修復作用)を有することが特に好ましい。
【0030】
ポリアニリンの場合は、可動性腐食保護アニオンは還元反応を介して伝導性ポリマーから放出されない。ポリアニリンの還元生成物は安定ではないため、還元反応は本発明の観点からは選択しない。むしろ、アニオン放出のためには還元反応の代わりに脱プロトン反応を選択する。脱プロトン反応によりこの放出が起こるようなポリアニリン形の伝導性ポリマーは出願人の知る限り存在しない。
【0031】
出発材料の酸化電位がこのために使用される混合物中の水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒の分解電位以下である場合、これは伝導性ポリマーの酸化(=重合)が例えば水の分解及び水素の放出を伴うことなく、或いはそれが起こるよりも前に終了することを意味する。
【0032】
本出願のこの観点において、「分散」という用語は懸濁のみならず溶液及び乳液も包含する。
【0033】
今回明らかにされたことは、特に、モリブデートアニオンが破損した領域にあった伝導性ポリマー内の電位の低下により放出され、そして直接欠陥部に移行したことである。他の移行経路はこの実験操作から除外することができる。次にモリブデート含有パッシベーション層を金属表面上の破損した領域で形成し、XPS測定(X線スペクトル分析)により検出した。
【0034】
更に又、修復作用は今回、破損した領域の強力なパッシベーション作用の際の文献記載の再生測定が生じるという点において、実施例1と組み合わせたDE102004037541の図2の操作Kelvinプローブ(SKP)を用いて明らかにされた。しかしながら、図2において、極めて低い腐食電位にある第1の測定の間に得られた多くの測定曲線及び測定シリーズの中間点で得られた測定曲線が省略されている。約0.3Vの電位の非常に顕著な増大が介在しており、これは1つのデラミネーション領域においてデラミネーションが少なくとも部分的に停止したことを示唆している。これと比較すると、図1は一般的に生じる作用を示している。
【0035】
金属/コーティング界面の領域における腐食過程の開始のために、電場の勾配を伴う電位の変化が開始されることが今回判明した。しかしながらアニオンの放出(放出作用)はこのような電位の変化が起こった場合にのみ起こる。コーティングに対する傷害を伴うことなく、コーティングへの他の損傷を伴うことなく、又は金属コーティング界面における何らかの他の欠陥、例えば汚染を伴うことなく、伝導性ポリマーに取り込まれたアニオンは保存され、そして電位は一定となる。電極電位は、コーティング損傷時に生じる場合と同様、金属表面及びコーティングのデラミネーションの前及び最中に既に有意に低下している。
【0036】
この電位の低下により伝導性ポリマーの還元が、特に欠陥部近傍においてもたらされ、腐食保護、パッシベーション及び/又は付着促進特性を有するアニオンが放出される。
【0037】
ここで電位の低下は好ましくは未破損状態における少なくとも1つのデポ物質(伝導性ポリマー)の酸化還元電位と欠陥部の金属表面の腐食電位との間の電位の差の値を一方で有することにより、重度のデラミネーションが起こる前に、即時、又は早期に、少なくとも部分的に、デラミネーションの発生又は進行に対抗処置できる。
【0038】
ここで電位の低下は好ましくは未損傷状態における少なくとも1つのデポ物質の酸化還元電位と欠陥部の金属表面、特に電位の変化を有するデラミネーションに先行している前線の腐食電位との間のものよりも低い値を一方で有することにより、軽度又は重度のデラミネーションが起こる前に、即時、又は早期に、少なくとも部分的に、デラミネーションの発生又は進行に対抗処置できる。
【0039】
伝導性ポリマーの酸化還元電位は好ましくは適当なコーティングにより腐食から保護すべき特定の金属物質の受動的な電位より高値である。酸化還元電位は同時に存在するドーピングの種々の程度を有する相当する酸化還元対の存在を伴う正常な条件下において樹立される電位である。
【0040】
酸化還元電位は基本的にはドーピングの程度を介して、即ちアニオンの型及びその量に応じて樹立できる。この手段により、電位の差は本発明の粒子中、又は、コーティング中においてターゲティングされた態様において樹立できる。
【0041】
伝導性ポリマーの酸化還元電位は好ましくは、それがパッシベーションされた金属表面の電位より高値であり、そして腐食中の表面の電位より有意に高値であるように樹立する。
【0042】
受動的な電位は金属表面と水との間の界面における電位であり、この部分においては、閉鎖された安定なパッシベーション被覆層が金属表面に形成されることにより、金属のそれ以上の溶解が抑制される。
【0043】
アニオンの酸化電位は出発材料の酸化電位よりも高値であることが特に好都合であり、その理由は、その場合にはアニオンが同時に酸化剤としても作用できるためである。
【0044】
少なくとも1つのデポ物質、即ち少なくとも1つの伝導性ポリマーは、アニオンの早期の放出を可能にする酸化還元電位を有すること、そして、少なくとも1つのデポ物質は電解質から、特に欠陥および/または金属表面からのカチオンの比較的低いカチオン輸送速度を有することが、更に好ましい。
【0045】
好ましくは、少なくとも1つのデポ物質内への電解質から、特に欠陥及び/又は金属表面からのカチオンのカチオン輸送速度は、10−8cm/s未満、特に好ましくは10−10cm/s未満、非常に好ましくは10−12cm/s未満、更には10−14cm/s未満である。
【0046】
「破損した領域」という用語は欠陥の周囲の領域を意味し、これは適宜、欠陥、損傷領域、及び電位変化に先行する前線、即ち、化学系の変化が起こっている場所を含有する。「損傷を受けた領域」とは既に起こっていても良いデラミネーションを包含する欠陥を指す。ポリマーの付着がまだ破壊されていない進行したカソード前線の領域において僅かなデラミネーションが起こるが、酸素還元もまた界面において起こる。重度のデラミネーションは、界面における付着を破壊する、即ち実際のデラミネーションをもたらすような追加的に多すぎるフリーラジカルがそこに形成された場合に生じる。
【0047】
全ての場合において、一方ではアニオンが、そして他方ではコーティングが、特に少なくとも1つのデポ物質及び/又は少なくとも1つのマトリックス物質は、放出すべく選択されたアニオンがコーティングを通過する、即ち特にデポ物質を通過する、及び、他の成分、例えばマトリックスを通過する移行の間に妨害されない、又はそれほど妨害されないようなイオン径又は孔径を有さなければならない。所謂マトリックス物質はコーティング、例えば有機のポリマー/コポリマーのマトリックスを少なくとも部分的に形成するか、原則として形成し得る物質であり、マトリックスと別の成分との間には平滑な線維が、例えば膜形成後に存在し得る。
【0048】
場合によりやはり存在してよい可動性腐食保護アニオン及び/又は付着促進アニオンは好ましくは電位の低下の場合には高い可動性で破損した領域において伝導性ポリマーから移行すること、そして特に欠陥の方向に移行することがそれらに可能となるような大きさを有する。損傷を受けた領域へのアニオンのターゲティングされた移行により、(それ以上の)金属の溶解を抑制するパッシベーション及び場合により傷害のある領域の修復(修復作用)も伝導性ポリマーを有する個々の化学系において達成される。この移行の条件は細孔のチャンネルが移行アニオンと適宜その溶媒和シェルのために十分大きいことである。損傷を受けた領域における化学反応において、金属の溶解の間にカチオンが形成され、これは、アニオンと共に傷害を有する領域において局所的パッシベーション層を形成することができる。
【0049】
しかしながら、今日までの実施により、伝導性ポリマーを有する実際の化学系はほぼ例外なく比較的低い電気的伝導性を可能にするのみであり、そして、これまでの修復作用は検出不可能であるか、又は、技術的実施において使用できないほど僅かであることが解っている。従って、修復作用は起こるが、一部の実施形態において、そして特定の条件下でのみ明確に使用できる化学系を選択することが特に好ましい。更に又、電荷の勾配(放出作用のトリガリング)の形成のため、及び、場合により修正作用(修復作用)のための条件を最適化することにより、それを技術的にしようできるようにする研究が行われている。更に又、デラミネーションした界面は(より広範な)腐食に対抗して化学系により保護されなければならない。
【0050】
伝導性ポリマーの含有量を有する粒子の使用の1つの利点は、如何なる所望の金属表面又は如何なる所望の型のコーティングに対しても粒子が使用されるという多様性である。
【0051】
完全に又はだ一部分は有機組成物であり、そして、化学的に異なる組成のものであるコーティングの多くは、伝導性ポリマーの添加により向上させることができ:電気的伝導性の成分が低含有量である場合は、特にコーティングの帯電防止特性の観点から、そしてこのような成分のより高い含有量において、特に調節可能な電気伝導度の場合は、これは電場におけるラッカー成分の付着のため、そして場合により、このような層でコーティングされた金属シートの電気溶接適正のために重要となる場合がある。非常に多い用途においては、より高い、又は、むしろより良好な金属表面腐食保護が得られる場合がある。
【0052】
伝導性ポリマーより実質的になる粒子、伝導性ポリマーを含む粒子、及び/又は、伝導性ポリマーの極めて薄い、薄い、厚い、又は極めて暑いシェルを有するコアとしての粒子(コア−シェル粒子)は伝導性ポリマーを塊状、分散液又は溶液、特に希薄な液体又は高粘度の形態に導入することに寄与する場合がある。
【0053】
出発材料混合物及び生成物混合物の組成
目的は更に、請求項49に相当する組成を有するコーティング粒子のための出発材料混合物又は生成物混合物によっても達成される。
【0054】
出発材料混合物と生成物混合物の間の遷移は順調である場合が多い。従ってかなりの含有量の伝導性ポリマーが出発材料混合物中に形成されているか、及び/又は、伝導性ポリマーのその後の形成のために生成物混合物はなおかなりの含有量の成分を含むことができる。
【0055】
好ましくは、少なくとも1つの出発材料を選択するが、その理由は、それが水中で重合できるためであり、及び/又は、その酸化電位が、水含有溶媒混合物の場合、又は単一の溶媒としての水の場合において、水の分解電位以下であるためである。
【0056】
この出発材料混合物は又、下記成分:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.001〜25又は〜20重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン及び/又はこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量はアニオンとして計算して0.05〜50重量%の範囲であるもの、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.05〜50重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は1〜95又は〜96重量%の範囲であるもの、
− ここで全てのこれらの含有量及び場合によりここで言及しない任意の別の添加剤は、溶媒を除き合計100%となるもの、及び、
− 出発材料用、アニオン用及び/又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで溶媒の含有量は100重量%を超えて記載される1〜5000重量%の範囲であるもの、
− ここで固体の合計は、場合により後にモノマー/オリゴマー又は酸化剤が添加されている場合に、100重量%となるもの、
を含むことを特徴とする。
【0057】
変法のセクションにおいて、添加の変法を、特にモノマー/オリゴマー又は酸化剤の場合について論じるが、その理由はモノマー/オリゴマー、アニオン及び酸化剤が混合された後は、原則として伝導性ポリマーを生じる反応が開始するためである。
【0058】
以下の組成:
− 場合により出発材料混合物の少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー0.001〜0.5モル/l、ただし高濃度がコーティングされた粒子の集塊化をもたらさないもの、好ましくは0.01〜0.2モル/l、特に0.001〜0.5重量%、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、場合によりこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、0.01〜1モル/l、好ましくは0.1〜0.8モル/l、特に0.05〜3重量%、ここで各々の場合アニオンとして計算したもの、
− 場合により、出発材料の量の1〜5倍で添加された少なくとも1つの酸化剤(=モノマーとオリゴマーの合計、即ち好ましくは0.01〜2.5モル/l、特に好ましくは0.05〜1.5モル/l、特に0.1〜3重量%、ここで少なくとも1つの酸化剤の含有量は好ましくは同じ実施形態のモノマーとオリゴマーの含有量の1〜5倍であるもの)、
− 無機及び/又は有機の粒子1〜96重量%、好ましくは1つの化学物質のものであるもの、ここで出発材料混合物及びそれから形成される生成物混合物は高い粒子密度において安定なままであることが確保されなければならず、即ち、集塊化又は比較的重度に集塊化してはならず、好ましくは1.5〜60重量%で、特に好ましくは、2〜50重量%であり、ここで濃度は有機粒子の場合は出発材料混合物及び/又は生成物混合物中でしばしば僅か20重量%までであるもの、
− ここで全てのこれらの含有量及び場合によりここで言及しない任意の別の添加剤は、場合により後にモノマー/オリゴマー又は酸化剤が添加されている場合に、溶媒を除き合計100%となるもの、及び、
− 出発材料用、アニオン用及び/又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで含有量は100重量%を超えて記載される2〜4000重量%の範囲であるもの、
を有する出発材料混合物が、特に有機粒子において、特に粒子のコーティングのために特に適していることがわかった。
【0059】
1つの実施形態の変法において、出発材料混合物は好ましくは、特に無機粒子に関しては、下記成分:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は1〜25重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン及び/又はこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、少なくとも1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、ここで各々の場合アニオンとして計算したものであり、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は1〜35重量%の範囲であるもの、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は1〜40重量%の範囲であるもの、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は35〜95重量%の範囲であるもの、
を含む。
【0060】
別の実施形態の変法において、出発材料混合物は好ましくは、特に有機粒子に関して、下記成分:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.5〜18重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は0.5〜35重量%の範囲であるもの、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.2〜30重量%の範囲であるもの、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は10〜40重量%の範囲であるもの、
を含む。
【0061】
出発材料混合物は好ましくは下記成分:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は2〜20重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は2〜30重量%の範囲であるもの、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は2〜25重量%の範囲であるもの、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで無機粒子の含有量は15〜65重量%の範囲であるもの、
を含む。
【0062】
粒子の上及び/又は中に伝導性ポリマーを含むコーティングの形成のための混合物は好ましくは下記成分:
− 各々の場合少なくとも1つのオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー、ここで伝導性ポリマーの含有量は0.1〜30重量%の範囲であるもの、そしてここで伝導性ポリマーは大半は、大部分が、又は完全に水中で重合されたもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は0.1〜40重量%の範囲であるもの、そしてここでこれらのアニオンは還元反応を介して伝導性ポリマーから放出できるもの、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.1〜30重量%の範囲であるもの、そしてここでこの少なくとも1つの酸化剤は少なくとも1つのアニオンが酸化剤として同時に作用する場合は完全に、又は部分的に省略できるもの、
− 場合により少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで無機粒子の含有量は30〜98重量%の範囲であるもの、そしてこれは伝導性ポリマーでコーティングできるもの、
− ここで全てのこれらの含有量は場合によりここで言及しない任意の別の添加剤も含めて、溶媒を除き合計100%となるもの、及び、
− 少なくとも1つの出発材料用、少なくとも1つのアニオン用及び/又は少なくとも1つの酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで含有量は100重量%を超えて記載される0.1〜4000重量%の範囲であるもの、
を含む。
【0063】
好ましくは、出発材料の含有量は各々の場合約1、2、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20又は22重量%の数値を有する。好ましくは、可動性腐食保護アニオンの含有量は各々の場合約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32重量%の数値を有する。好ましくは、酸化剤の含有量は各々の場合約2,4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36又は38重量%、好ましくは、粒子の含有量は各々の場合約2,4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36又は38重量%、又は92重量%の数値を有する。
【0064】
好ましくは、出発材料の含有量は各々の場合約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4又は0.45モル/lの数値を有する。好ましくは、可動性腐食保護アニオンの含有量は各々の場合約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、又は1.00モル/lの数値を有する。好ましくは、酸化剤の含有量は各々の場合約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1又は2.2モル/lの数値を有する。
【0065】
好ましくは、出発材料の含有量は0.1〜24重量%の範囲、0.001〜0.5重量%の範囲、1〜25重量%の範囲、0.5〜18重量%の範囲、2〜20重量%の範囲、8〜22重量%の範囲、又は、0.8〜18重量%の範囲、特に好ましくは0.1〜15重量%の範囲、2〜12重量%の範囲、4〜16重量%の範囲、非常に好ましくは0.3〜8重量%の範囲、5〜14重量%の範囲、又は、6〜12重量%の範囲である。
【0066】
好ましくは、酸化剤の含有量は0.1〜45重量%の範囲、0.001〜0.5重量%の範囲、0.1〜3重量%の範囲、1〜40重量%の範囲、0.2〜30重量%の範囲、2〜25重量%の範囲、又は、0.01〜38重量%の範囲、特に好ましくは0.1〜15重量%の範囲、0.2〜32重量%の範囲、又は、2〜26重量%の範囲、非常に好ましくは0.3〜28重量%の範囲、4〜24重量%の範囲、又は、5〜38重量%の範囲である。
【0067】
好ましくは、可動性腐食保護アニオン及び/又はこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、少なくとも1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸の含有量は各々の場合アニオンとして計算して0.05〜3重量%の範囲、1〜35重量%の範囲、10〜40重量%の範囲、0.1〜30重量%の範囲、5〜38重量%の範囲、12〜42重量%の範囲、又は、0.1〜45重量%の範囲、特に好ましくは0.2〜26重量%の範囲、0.4〜42重量%の範囲、又は、2〜30重量%の範囲、非常に好ましくは3〜38重量%の範囲、5〜25重量%の範囲、又は、14〜36重量%の範囲である。伝導性ポリマーに理論的に配合できるアニオン含有量と比較して過剰量のアニオン含有量を、又は、化学量論的に配合できる含有量で添加することが推奨される場合が多い。
【0068】
好ましくは、少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子の含有量は、1〜96重量%の範囲、35〜95重量%の範囲、10〜40重量%の範囲、15〜65重量%の範囲、2〜80重量%の範囲、5〜65重量%の範囲、1.5〜48重量%の範囲、特に好ましくは0.8〜15重量%の範囲、12〜32重量%の範囲、又は、2〜46重量%の範囲、非常に好ましくは1.3〜18重量%の範囲、4〜24重量%の範囲、又は、5〜28重量%の範囲、特に6〜16重量%の範囲である。
【0069】
好ましくは、固体=100重量%の含有量を超えて記載される溶媒の含有量は、2〜4000重量%の範囲、1〜2500重量%の範囲、5〜3000重量%の範囲、10〜800重量%の範囲、2〜300重量%の範囲、20〜2500重量%の範囲、又は、30〜600重量%の範囲、特に好ましくは1〜1500重量%の範囲、2〜1200重量%の範囲、又は、50〜600重量%の範囲、非常に好ましくは30〜400重量%の範囲、5〜160重量%の範囲、又は、5〜80重量%の範囲である。
【0070】
更に又、少なくとも1つの付着促進アニオンの、例えばホスホネート、シラン、シロキサン、ポリシロキサン及び/又は界面活性剤のようなリン含有オキシアニオンに基づいたある含有量、好ましくは1〜20重量%の範囲の含有量において、特に好ましくは1,5〜18重量%の範囲又は2〜12重量%の範囲の含有量において添加し、及び/又は、特に全アニオンの合計におけるこれらのアニオンの比率は1〜70モル%の範囲、好ましくは10〜50モル%の範囲とする。しかしながら多くの実施形態の変法において、付着促進アニオンは添加しないか、又は、比較的少量のみ存在することになる。
【0071】
一部の実施形態の変法における出発材料:可動性腐食保護及び場合により付着促進アニオン:酸化剤:無機粒子としての混合物中の成分の重量比は好ましくは、1:(0.5〜30):(0.5〜10):(0.5〜8)及び特に好ましくは1:(1〜25):(1〜8):(1〜7)であり、ここでこれらの比における出発材料または酸化剤は場合により、そして断続的に省略することができる。
【0072】
これらの成分の含有量は広範な限度内において変動できる。変動は特にコーティングの厚みに応じたものであり:例えば層の厚みが例えば0.1〜1nm、>1〜100nm、>10〜1000nm(1μm)、>100nm〜10μm又は0.5μm〜50μmの超薄膜、薄膜、厚膜又は超厚膜のコーティングを適用できる。低又は高密度の成分もまた選択することができる。更に又、無機粒子の特定の表面積もまた例えば、炎光加水分解により製造されているSiO粉末の場合のように非常に影響する場合がある。
【0073】
更に又、出発材料混合物及び場合により更にそれより製造された生成物混合物もまた各々の場合において、少なくとも1つの界面活性剤、1つの保護コロイド、1つの酸捕捉剤及び/又は1つの錯形成剤も含むことができる。少なくとも1つの添加剤を混合物、場合により少なくとも1つの界面活性剤、例えば各々の場合少なくとも1つのノニオン系、アニオン系及び/又は両性の界面活性剤、少なくとも1つの保護コロイド、例えばポリビニルアルコール、少なくとも1つの酸捕捉剤、例えばアンモニア又は弱塩基、例えば酢酸塩及び/又は少なくとも1つの錯形成剤、例えばアンモニア、クエン酸、EDTA又は乳酸に添加することができる。少なくとも1つの界面活性剤の含有量は好ましくは0.01〜1.5重量%である。少なくとも1つの保護コロイド、少なくとも1つの酸捕捉剤及び/又は少なくとも1つの錯形成剤の含有量は各々の場合0.01〜0.8重量%である。
【0074】
出発材料混合物は特に粒子のコーティングにより出発材料混合物の溶解成分中では枯渇する。従って生成物混合物中の相当する溶解成分の濃度は相応に低値となる。
【0075】
次に化学反応により出発材料混合物中においてここで形成される伝導性ポリマーは所謂生成物混合物となる。
【0076】
実施すべき反応の方法の変法及び伝導性ポリマーによるコーティング
所望により、粒子は分散する前に、又は、出発材料混合物に添加する前に乾燥及び/又は加熱することができる。比較的高い水分含有量の混合物、又は、水のみを好ましくは溶媒として使用する。しかしながら多くの変法においては、有機溶媒、特に少なくとも1つのアルコール少量、特に少なくとも1つのアルコール、例えばエタノール、プロパノール及び/又はイソプロパノール1〜10重量%の添加が望ましいか必要となる。
【0077】
出発材料の溶液、分散液、ゾル及び/又はゲルは好都合には、不活性ガス、例えばアルゴン及び/又は窒素でフラッシュした後に出発材料混合物に添加すれば、この手段により周囲の酸素を遮断でき、良好で十分な混合を達成でき、混合物上に気相の所定の雰囲気を樹立でき、及び/又は非水性の溶媒の乾燥を達成できる。
【0078】
例えば粒子のコーティングとして作用する溶液又は分散液の形態の出発材料混合物の成分を混合する場合、数種の実施形態の返報においては、酸化剤を除く全ての成分を混合物攪拌下に添加することが適切であることがわかっている。
【0079】
出発材料混合物を混合する際には、無機及び/又は有機の粒子及び少なくとも1つの液体及び場合により少なくとも1つの出発材料をまず混合容器中に導入する場合が多い。好ましくは、全ての成分は各々の場合溶液及び/又は分散液の形態で混合物に添加する。
【0080】
好ましい実施形態においては成分を混合する場合は、出発材料混合物は好ましくは、出発材料の少なくとも単層が無機及び/又は有機粒子の表面の少なくとも一部の上に形成されるまでは、酸化剤非存在下に維持することにより、少なくとも単層が特に吸着によりまず形成できるようにする。これは特に無機粒子の場合に好都合である。次に単層は大半又は完全に出発材料及び可動性腐食保護アニオン、液体の添加物を含み、これもまた原則としてこの手段により比較的高度となる可能性があるが、ここでは考慮しない。少なくとも単層が形成されるために費やされる時間は通常は少なくとも1秒、場合により少なくとも1分である。次に好ましくは、酸化剤、特に溶液形態のものを少なくとも単層が形成した後にのみ添加する。この手段により少なくとも1つ出発材料と少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンを第1に粒子に添加すれば、混合の異なる順序の場合よりも、比較的均一なコーティングの形成及び一部の例では更に後に形成される伝導性ポリマーによるコーティングのより高値の電気伝導度が達成される。アニオンを添加する前に粒子表面に出発材料の少なくとも一部をまず添加することが好都合である。特に0.5〜10分の範囲の待機時間がある場合がある。」ここでは混合物を常時攪拌しておくことが好ましい。
【0081】
別の実施形態においては、混合物は又、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン及び場合により酸化剤より大半又は完全になる少なくとも単層が特に無機粒子の表面の少なくとも一部の上に形成されるまでは、成分との混合の間伝導性ポリマーの出発材料の非存在下に維持することができる。次にこれは、大半又は完全にアニオンおよび/または酸化剤を単層が含むという利点を有することになるが、液体の添加はここでは考慮しない。好ましくは実質的にはこれらのアニオンの少なくとも単層の形成の後のみに、少なくとも1つの出発材料、特に溶液又は分散液の形態のものを出発材料混合物に添加する。コーティングのむしろオニオンスキンの形成又は勾配を有するコーティングがこれにより形成される場合が多い。
【0082】
しかしながら、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンは好ましくは酸化剤の添加前、又は出発材料の添加前に添加しなければならない。
【0083】
そのアニオンがドーピングイオンとして伝導性ポリマーに取り込まれ、そしてアニオンとしての腐食保護作用を有する少なくとも1つの電解質、例えば少なくとも1つの塩及び/又は少なくとも1つの酸を更に反応のための酸化剤及びモノマー/オリゴマーの出発材料混合物に添加することにより伝導性ポリマーを得ることができる。この観点において、酸化剤として機能しない少なくとも1つの電解質を、粒子上に単層又は出発材料層が形成される前、又は最中において混合物に添加する。
【0084】
しかしながら、粒子以外の全成分が出発材料混合物に含有されるべきであり、そして次に粒子を最終成分として添加すべきであった場合は、出発材料の酸化は既に開始しているか、又は長時間進行していることになる。適切にはその後コーティングの破損、例えば粒子の不完全な被覆又は非被覆が生じる場合がある。
【0085】
好ましくは、出発材料混合物は、他の成分の全てを添加し、そして適切にはそれから形成された生成物混合物が攪拌され続けている前においても、混合は層流及び/又は乱流において、静的及び/又は動的な混合を用いて、及び/又は混練、噴霧及び/又は霧状化により実施することも可能である。
【0086】
一般的に、非均質性はその他の態様においては混合物を振とう、例えば攪拌及び/又は超音波処理することなくして生じる場合がある。1〜40分間、特に5〜30分間混合物を振とうすることが好ましい。コーティングされた無機粒子の添加の前に、これらを振とう、例えば比較的長時間攪拌することにより液体又は混合物中に再分散した後に添加を行うことにより粒子が均質に分散するようにすることが推奨される。次にこれらを通常は混合物を浸透することのみにより分散状態に維持することができる。
【0087】
多くの場合において、pHは好ましくは0.5〜8、好ましくは1〜7、一部の場合においては2〜6又は4〜8の範囲とし、アニオンの型及び安定性の範囲がここで特定のpHの選択を決定付けるものとなる。しかしなお、特に特定の酸化剤、例えばモリブデート及び/又はタングステートは特定のpH範囲において高温を要する。しかしながら、特定の無機粒子、例えば炭酸塩及び硫化物の場合は、粒子を破壊しないため、特に5〜7の領域の外であるpH値で作用しないためには、より強酸域において作用しないことが好ましい。一方、一部の場合においては6超、又は7超のpHにおいては例えば過剰酸化のような問題が伝導性ポリマーに起こる場合がある。混合物のpHを低下させることは混合物の伝導性をこれにより増大できるという利点を有している。例えばポリピロールの製造においては、混合物のpHを3以下の値に低下させることが好都合である場合が多い。しかしなお、pHを設定する場合は、選択されたpHが伝導性ポリマー及びコーティングすべき粒子の製造のため、そして、適宜、例えばラッカーのようなコーティングにおけるコーティングされた粒子の使用のために適するか又は望ましいものであるかどうかを考慮しなければならない。
【0088】
本発明による混合、酸化剤の添加、化学反応および/またはコーティング形成はしばしば、0〜60℃の範囲、好ましくは10〜50℃の範囲の温度で実施される。室温で操作することも可能であり、推奨される場合もある。しかしながら、一部の実施形態の変法においては、混合及び場合によりその後の伝導性コーティングの形成までの何れかの段階において、特に無機粒子のコーティングにおいて、出発材料混合物の温度は好ましくは0℃から最低沸点液体の沸点までの範囲、又は共沸混合物の形成温度までのみ、好ましくは0〜200℃の温度範囲、特に好ましくは5〜120℃の範囲、非常に好ましくは10〜70℃の範囲にあることができる。好都合には、選択された温度は概ね混合から粒子上コーティングの最終形成まで維持する。
【0089】
コア−シェル粒子を形成するための出発材料/生成物混合物中の粒子のコーティングは好ましくは1分〜5時間、特に好ましくは5分〜4時間、非常に好ましくは10分〜3時間、特に15分〜2時間を要する。
【0090】
可動性腐食保護アニオン:
出発材料混合物中及び生成物のコーティングの短の組成物中の可動性腐食保護アニオンは、酸化の間にポリマー鎖上に形成される親電子中心の電荷を相殺するために必要な電荷を提供すること、及び、金属表面への吸着により開始される腐食保護作用を与えることの役割を果たす。
【0091】
出発材料混合物にアニオンを添加しない場合、伝導性ポリマーは分散体中に存在する全てのアニオンをこの格子に取り込むが、その後は如何なる可動性腐食保護アニオンも取り込むことができない。その後は、本発明の方法による場合と比較して、最高でも、より多孔性の薄膜で電気伝導性の低い層が形成される場合が多い。
【0092】
伝導性ポリマーの製造及び使用に関する従来技術の大部分の試験においてアニオンが添加された場合には、伝導性ポリマーの電気的中和は原則として形成中に達成される。更に又、伝導性ポリマーの特定の特性、例えば電気的又はイオン的な伝度異性及び形態特徴及び作用機能(酸化電位)はアニオンにより影響される。今回腐食保護もまたアニオンにより達成できることが認識された。
【0093】
少なくとも1つのアニオンは好ましくは、少なくとも1・10−3モル/の水溶性又は少なくとも1つの極性溶媒又は溶媒中の溶解性を有するが、その理由は他の態様においては、アニオンは伝導性ポリマー内にもはや取り込まれること(=塩)ができないためである。
【0094】
この観点において、酸化剤として作用しない少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンを粒子上の単層又は層の形成の前又は最中において混合物に添加することができる。しかしながら、モリブデート及び/又はタングステートのような酸化剤として同時に作用する少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンを酸化作用を有さない可動性腐食保護アニオンに追加して、又はその代替として添加することも可能である。
【0095】
本発明の方法においては、少なくとも1つの型の腐食保護可動性アニオンは好ましくは少なくとも、ベンゾエート、カルボキシレート、例えばラクテート、ジチオール、フマレート、錯フッ化物、ランタネート、メタボレート、モリブデート、ニトロ化合物系のもの、例えばニトロソサリシレート系、オクタノエート系、リン含有オキシアニオン系、例えばホスフェート及び/又はホスホネート、フタレート系、サリシレート、シリケート、スルホキシレート、例えばホルムアルデヒド−スルホキシレート、チオール、チタネート、バナデート、タングステート及び/又はジルコネート系のもの、特に好ましくは各々の場合MeF及び/又はMeFとしてのチタン錯フッ化物及び/又はジルコニウム錯フッ化物系の少なくとも1つのアニオンであるが、他の化学量論的比も生じることが多い。
【0096】
本発明の方法においては、混合物は好ましくは少なくとも1つの型の腐食抑制付着促進アニオン、特に好ましくは、特に少なくとも1つの錯フッ化物、チタネート、ジルコネート、モリブデート及び/又はタングステートを伴った上記した腐食保護可動性アニオンの少なくとも1つ及びホスホネート、シラン、シロキサン、ポリシロキサン及び/又は界面活性剤系の混合物として使用する。
【0097】
デポ物質に参加的に取り込むことができるアニオンは特にアルカン酸、アレーン酸、ホウ素含有酸、フッ素含有酸、ヘテロポリ酸、イソポリ酸、ヨウ素含有酸、ケイ酸、ルイス酸、鉱物酸、モリブデン含有酸、過酸、リン含有酸、バナジウム含有酸、タングステン含有酸、これらの塩及びこれらの混合物系のものから選択することができる。
【0098】
好ましくは、ポリマー単位の含有量に基づいて1〜33モル%、好ましくは5〜33モル%の水準の少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンの添加を選択する。添加するこれらの量は伝導性ポリマーのドーピングの程度に相応する。一方において、これらのアニオンはまた過剰量で添加することができる。
【0099】
少なくとも1つの型のアニオンを特に選択できるが、その理由はこれらのアニオンは水中において、少なくとも1つの他の極性溶媒中、及び/又は、少なくとも1つの非極性溶媒を含む混合物中において可動性であるためである。
【0100】
しかしながら、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンと平行して、腐食保護作用を有さない、及び/又は、構造内に取り込まれる能力及び/又は構造から出て移行する能力を有さない少なくとも1つのアニオンも存在することができる。しかしながら、このようなアニオンの含有量は所謂可動性腐食保護アニオンと比較して過剰に高値ではないことが好ましい場合が多い。一部の場合においては、例えば酸化剤パーオキシソスルフェートを用いる場合のように、伝導性ポリマーを与えるための出発材料の酸化のために必要となる場合が多い別のアニオンを酸化剤と共に導入する。しかしながら、例えばH及びFe2+/3+塩を酸化剤として使用する場合、Fe2+/3+塩が通常は10−4モル/l未満の触媒量で添加するのであれば別のアニオンは導入しない。多くの実施形態の変法において、選択される可動性腐食保護アニオンに属するアニオンの含有量は、高い腐食保護作用を達成するためには可能な限り高値でなければならない。
【0101】
本発明の方法においては、特に全ての型の可動性腐食保護アニオンは、伝導性ポリマー中及び隣接する物質中におけるこれらのアニオンの可動性を損なわないためには、好ましくはこれらのアニオンが大きすぎないように選択される。好ましくは、例えばモリブデートのような、特にポリスチレンスルホネートより小さいアニオンを選択するが、その理由は後者が原則として可動性のためには大きすぎるものであり、そして恒久的に取り込まれたアニオンとしてのみ使用可能であるためである。
【0102】
好ましくは、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンは伝導性ポリマーの細孔系の平均孔径より大きくない直径を有し、直径は好ましくは細孔系の平均孔径より少なくとも8%小さいか、さらには少なくとも15%小さいものである。この観点において、アニオンは例えば特に伝導性ポリマーの細孔チャンネルのような極めて高い含量の細孔を介して移動することができ、そしてこれにより、特定の状況下ではより高測で移行するか、又は最初に移行することができる。細孔系の平均孔径より遥かに小さいアニオンもまた妨害されることなくより高度な確率で、又は、伝導性ポリマーの酸化還元電位と腐食中の金属の腐食電位との間の差の勾配により電位の差が存在する場合に細孔系を通じて僅かの妨害の下に移行できるのである。
【0103】
高いバインダー含有量のコーティングを本発明の方法において製造する場合は、可動性腐食保護アニオンは、その可動性がコーティングの他の成分中で妨害されないか、実質的に妨害されないような小型の径を有さなければならない。腐食性の攻撃があった場合は、これらのアニオンは、未損傷の界面よりも低い電位をほぼ常時有している破損した領域に移行する。
【0104】
好ましくは、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンはカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、オキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、二置換及び/又は三置換アレーンカルボン酸、メタ、オルト及び/又はパラ置換されたアレーンカルボン酸、アミノ、ニトロ、スルホン及び/又はOH基を含有するアレーン酸、スルホン酸、鉱物性のオキシ酸、ホウ素含有酸、マンガン含有酸、モリブデン含有酸、リン含有酸、ホスホン酸、フルオロケイ酸、ケイ酸、希土類及び/又はイットリウムの少なくとも1つの元素の含有量を有する酸、例えばセリウム含有酸、イオウ含有酸、チタン含有酸、バナジウム含有酸、タングステン含有酸、スズ含有酸、ジルコニウム含有酸系、これらの塩、これらのエステル及びこれらの混合物系のアニオンから選択される。
【0105】
好ましくは、少なくとも1つのアニオンはアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、安息香酸、コハク酸、テトラフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸、没食子酸、ヒドロキシ酢酸、ケイ酸、乳酸、モリブデン酸、ニオブ酸、ニトロサリチル酸、シュウ酸、ホスホモリブデン酸、リン酸、ホスホケイ酸、フタル酸、サリチル酸、タンタル酸、バナジウム酸、酒石酸、タングステン酸系、これらの塩、これらのエステル及びこれらの混合物系のアニオンから選択される。
【0106】
形成されるべきコーティングの電気伝導度は種々の原子価段階を有することができ、そして他の原子価段階に容易に変換できる少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンの添加により増大できる場合が多い。
【0107】
例えばヘキサフルオロチタネート及び/又はヘキサフルオロジルコネートの場合のリガンドの交換のように、破損領域において原子価の変化及び/又はリガンドの交換(配位の変化)を起こすアニオンもまた取り込むことができる。溶解度の変化は好都合にはこれに伴うものであり、本来可溶性であったアニオンを破損領域において析出させ、腐食保護層を形成することができる。原子価の変化は酸化又は還元として起こることができる。このような層は好ましくは酸化物の層及び/又は溶解性の低い塩の層である。ヘキサフルオロチタネート及び/又はヘキサフルオロジルコネートを使用する場合は、フッ化水素酸を混合物に添加すると好都合であることが解っている。
【0108】
今回実験において、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、例えばTiF2−、ZrF2−、CeO4−、MnO、MnO2−、MoO2−、MoO4−、VO2−、WO2−又はWO4−はリガンドの交換、原子価の変化および/または溶解度の変化を起こし、そして、欠陥領域及び/又はデラミネーション前線領域において酸化物性保護層を形成することがわかった。このようなアニオンは、錯塩の大部分と同様、特に好都合である。
【0109】
雰囲気下のデラミネーション実験において、モリブデートイオンは、モリブデートをXPSを用いて測定した場合に、ポリピロール系の伝導性ポリマーから電位により駆動されて実際に放出され、そして欠陥部に移行することを今回明らかにすることができた。
【0110】
本発明の方法において、少なくとも1つの型の付着促進アニオンは好ましくは、リン含有オキシアニオン、例えばホスホネート、シラン、シロキサン、ポリシロキサン及び/又は界面活性剤系の少なくとも1つである。
【0111】
本発明の方法においては、少なくとも1つの型の腐食抑制及び/又は付着促進アニオンとして少なくとも2つの型のアニオンの混合物、特に好ましくは上記した少なくとも1つの型の付着促進アニオン、特にカルボキシレート、錯フッ化物、モリブデート、ニトロ化合物系、リン含有オキシアニオン、例えばホスホネート、ポリシロキサン、シラン、シロキサン及び/又は界面活性剤系のものから選択されるものとの少なくとも1つの型の上記した腐食保護可動性アニオン系の混合物、非常に好ましくは、上記した少なくとも1つの型の付着促進アニオンとの少なくとも1つの上記した腐食保護可動性アニオン系のものを用いる。特に、一方でカルボキシレート、錯フッ化物、モリブデート、ニトロ化合物系、そして他方ではリン含有オキシアニオン、ポリシロキサン、シラン、シロキサン及び/又は界面活性剤系のアニオン型から選択されたアニオン型の混合物を用いる。
【0112】
クロメートと類似した保護物質を形成するアニオンを選択することが特に好ましく、これはアノード的及びカソード的な両方の態様において少なくとも部分的には破損領域を保護する。この観点において、原子価の変化を起こすアニオン及び/又は解離できる錯体アニオンが好ましく選択される。
【0113】
より高い酸化水準、例えば4+又は6+のサブグループのアニオン、特にオキシアニオンもまた特に好都合に添加される。これらは保護すべき金属表面に対して、それらが伝導性コーティングされた粒子を含む有機コーティングを施された場合に特に高い腐食保護作用を示す。
【0114】
腐食保護アニオンの場合は、これらが例えば腐食の間に金属表面から放出するカチオンのような、破損領域に存在するカチオンにより金属表面に閉鎖された状態で可能な限り緻密に、そして、可能な限り遠位にパッシベーション層を形成する場合に、特に好都合であり、パッシベーション層内に形成された少なくとも1つの物質は界面において使用されるpH領域においてイオン的に伝導性ではなく、そして安定である。これらの物質は、例えば酸化物、水酸化物及びリン酸塩及びこれらの混合物であることができる。
【0115】
形成されるべきコーティングの電気伝導性はしばしば、伝導性ポリマー内の少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンの濃度の増大により増大する。好ましくは、伝導性ポリマー内に配合される少なくとも1つのアニオンの含有量の出発材料の含有量に対する比(=ドーピング度)は少なくとも1モル%、好ましくは少なくとも5モル%、特に好ましくは少なくとも10モル%、非常に好ましくは少なくとも15モル%、特に少なくとも20モル%である。
【0116】
理論的には、50モル%が達成可能であるが、実際は明確には達成されていない。
【0117】
酸化剤:
出発材料混合物中の酸化剤は例えばカチオンフリーラジカル機序により起こる鎖構築の開始及びこれを消費に対抗して維持することという役割を有する。従って酸化剤は33モル%の含有量を超えて原則として出発材料混合物に過剰投入しなければならない。少なくとも1つの生成物を与えるための少なくとも1つの出発材料の反応のためには、アニオンは伝導性ポリマーの電気的中和のために必要であり、そして酸化剤は場合により重合のために必要である。好ましくは、少なくとも1つの酸化剤は、特に化学的重合において酸化剤としても同時に作用する少なくとも1つのアニオンが無い場合、及び/又は、重合が電気化学的及び/又は光化学的に実施されない場合に、添加される。
【0118】
酸化剤は少なくとも1つのH系のもの、例えば過酸化バリウム、過酢酸、過安息香酸、過マンガン酸、過オキソモノ硫酸、過オキソジ硫酸、ルイス酸、モリブデン酸、ニオブ酸、タンタル酸、チタン酸、タングステン酸、ジルコニウム酸、イットリウム含有酸、ランタニド含有酸、Fe3+含有酸、Cu2+含有酸系、それらの塩、それらのエステル及び/又はそれらの混合物系のものであることができる。
【0119】
使用できる酸化剤は、例えば酸系であってその塩が幾つかの原子価段階にあることができるもの、例えばイオン塩であるもの、過酸化物及び/又は過酸系、例えば過オキソジ硫酸系の少なくとも1つの化合物である。
【0120】
幾つかの原子価を有することができ、そしてこれを幾分容易に変更できる酸化剤の場合は、適当な、通常はある程度低値又はより中性領域のpHを選択する場合が多い。次に多くの場合pHは2〜6の範囲、特に2〜4、又は3〜5の範囲にある。更に又、酸化剤の酸化電位は酸化すべき出発材料の酸化電位より高値であること、又は、それは少なくともこれと等しいことを確保することが重要である。
【0121】
好ましくは、伝導性ポリマーを含み、そして本発明の組成物に添加される粒子は、酸化剤を含有しないか、又は実質的に含有しない。
【0122】
コア−シェル粒子の製造のためのコアとしての粒子:
有機及び/又は無機の粒子の組成、含有量及び構造は広範に変化できる。
【0123】
粒子の平均粒径は、集塊物の個々の部分の個別の評価及び計数を行ない、そして大型の個々の粒子としての凝集物の評価及び計数を行いながら、適当に調製した走査電子顕微鏡下に0.1μmまでの平均粒径までの範囲で計数し、5nm〜0.1μm未満の粒径範囲の平均粒径はMalvern InstrumentsのZeta−Sizer型のレーザードプラー流体速度計を用いて測定し、更に小さい平均粒径の測定には電子回折分析が好ましい。この観点において、概数として走査電子顕微鏡により記録された粒子については、分離可能な個々の粒子を含む分離可能な集塊物を各々の場合において数個の個々の粒子として評価および計数し、これはある程度まで穏やかな粉砕の作用に相応させることができる。
【0124】
有機又は無機の粒子の大きさは原則としてコーティング操作の間は実質的に変化してはならない。
【0125】
粒子は場合により予備コーティング、化学修飾及び/又は物理的修飾されることができる。即ち、例えば、SiO粒子の場合は、酸性及び塩基性、親水性及び疎水性の粒子の間で区別することができる。
【0126】
この観点において、粒子は、各々の場合、コーティング及び/又は充填された粒子として、中空の粒子として、及び/又はスポンジ様の粒子における、等長、繊維性、針状、板状、円板状および/または螺旋状の粒子の形態に近似できる実質的にクラスターの形態から選択された少なくとも1つの形態である。各々の場合、実質的に平坦又は線状に構築されたバリア粒子又はコーティングされた顔料、例えばコーティングされた層状ケイ酸塩が特に好ましい。
【0127】
特に、無機のクラスター、ナノ粒子又は小型粒子及び伝導性ポリマーを含むものの場合には、適当な手段、例えばピロリン酸を水性分散液に添加することにより集塊化の傾向を抑止し、そしてそれらを十分に分散させることが好都合である。
【0128】
特に、所望により、液体添加前、又は、伝導性ポリマーを形成するための反応のための混合物への、又は金属表面のコーティングのための組成物への添加の前に、実質的又は完全に乾燥状態、または液体分散体である無機粒子を粉砕、乾燥、焼痂及び/又は再分散させることができる。
【0129】
粒子上の伝導性ポリマーの層の層厚みは広範な範囲で変動できる。好ましくは、層の厚み及び/又は粒子内の部分は1〜200nmの範囲、特に好ましくは2〜100nmの範囲、特に1〜40又は3〜80nmの範囲である。特定の状況下において、これらの層は有機粒子よりも無機粒子においてより薄膜とされる。より厚い層は実際には原則としてありえることであり可能であるが、コーティングされた粒子がもはや分散できなくなった場合にその限界に達する。これらのシェルの層の厚みは特に、反応時間、出発材料濃度、及び、粒子と出発材料混合物中の液体成分との間の使用可能な界面に依存している。
【0130】
しかしながら好都合には、コーティングされた無機粒子は、コーティングされた有機粒子とは対照的に、バインダー含有マトリックスとの混合の前に、特に集塊物及び/又は凝集物が存在する場合には再分散される場合が多い。無機粒子は一方では伝導性ポリマーによる被覆のためのコアとして適しているが、その理由は、それらが混合および/または穏やかな粉砕のような単純な態様において例えば有機性の組成物、例えばラッカー等に導入できるためである。
【0131】
各々の場合において、伝導性ポリマーを含む粒子の以下の型のものの少なくとも1つが本発明の混合物中、又は、粒子により金属表面をコーティングするための組成物中に存在することができる。
1)伝導性ポリマーにより部分的又は完全にコーティングされた典型的なコア−シェル粒子(コーティングされた粒子)、頻繁には無機のコーティングされた粒子、
2)少なくとも部分的に内部において、又は内部において伝導性ポリマーを含む粒子、頻繁には伝導性ポリマーと共に製造される場合が多い有機の粒子、
3)所望により形状化又は調製することができる伝導性ポリマーであって、特定の形状にあり、そして、場合により個別に及び/又は例外として粒子コアの周囲においてではなく形成されている、即ち、粒子上のコーティングとして形成されていないもの;伝導性ポリマーは場合により、それらがなお成長中、相互成長中及び/又は修正中である場合には、コーティングされるべき粒子中にも存在することができるもの、
4)例えばホスホネート基のような付着を促進する化学基少なくとも1つを分子上に有する伝導性ポリマーの所謂「付着促進粒子」、
5)a)伝導性ポリマーの粒子シェルの、及び/又はb)伝導性ポリマーを含む粒子のフラグメント、及び/又は、
6)粒子コアを用いることなく別個に形成され、伝導性ポリマーを含み、そして、実質的又は環全に伝導性ポリマーよりなる粒子。
【0132】
これらの粒子は全て、場合により、本発明のコーティングに配合することができる。本出願の観点においては、それら全て「コーティングされた粒子」という用語又は「伝導性ポリマーを含むコーティングされた粒子」という用語により総括する。これらの個々の粒子の型の含有量は比較的低値又は高値であることができる。コーティング方法に関する記述はまた「コーティングされた粒子」の全てのこれらの他の変形例に対しても相応する態様において適用するものとする。
【0133】
有機粒子:
有機粒子の材料中、「ポリマー」とは単独ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーから選択される少なくとも1つのポリマーを意味するものとする。これらのポリマーは分散可能及び/又は非分散可能な粒子よりなることができる。これらの粒子はコア−シェル粒子のためのコアとして使用できる。特に有機粒子の製造の間、伝導性ポリマーは部分的、大部分又は完全にこれらの粒子内でインタカレーションを起こしてよく、このような粒子もまた本明細書においては、そして本出願の観点においては「コーティングされた粒子」として、コア−シェル粒子として見なすものとする。
【0134】
特に、有機粒子は実質的に以下のポリマーよりなる。
【0135】
伝導性ポリマーを含む有機粒子は、好ましくは、大半が、又は完全に、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、セルロース、ポリエポキシド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、シロキサン、ポリシロキサン、ポリシラン及びポリシラザンよりなる群から選択されるものである。
1.スチレン、アクリレート及び/又はメタクリレート系のポリマー、後者2例は以降(メタ)アクリレートと称する。特に、これらは実質的に(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及びエチレングリコール(メタ)アクリレートから選択される(メタ)アクリレート類より実質的になるか、及び/又は、実質的にスチレン及び/又は実質的に置換スチレンであることができ、各々の場合相互に独立して置換基、例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ及び/又はスルホネートを有する。
2.ポリカーボネート系のポリマー、特にこれらはビスフェノールA、B、C、F及び/又はZ系であって、場合により例えばアルキル、アルコキシ及び/又はアリールにより置換されている有機カーボネートより実質的になることができる。
3.セルロース系ポリマー、特にこれらは、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースから選択され、場合により例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ、カルボキシレート及び/又はスルホネートのような置換基で置換されているセルロースより実質的になることができる。
4.ポリエポキシド系のポリマー、特にこれらは、未置換であるものから、及び/又は、例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ及び/又はスルホネートのような置換基により置換されているものから選択されるエポキシドより実質的になることができる。
5.ポリオレフィン系のポリマー、特にこれらは、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレン及び4−メチルペンテンから、及び/又は、例えばアルキル、アミノ及び/又はヒドロキシルのような置換基で置換されたポリオレフィン少なくとも1つから選択されるポリオレフィンより実質的になることができる。
6.ポリイミド系のポリマー、特にこれらは、未置換であるものから、及び/又は、例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ及び/又はスルホネートのような置換基により置換されたポリ(イミド)から選択されるポリ(イミド)より実質的になることができる。
7.ポリエーテル系のポリマー、特にこれらは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及び/又は、例えばアルキル、アリール、アミノ及び/又はクロリドのような置換基で置換された置換エポキシドから選択されるエポキシドより実質的になることができる。
8.ポリウレタン系のポリマー、特にこれらは、未置換であるものから、及び/又は、例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ及び/又はスルホネートのような置換基により置換された置換ポリウレタンから選択されるポリウレタンより実質的になることができる。特にそれらは、ジイソシアネート及びジオールを介して、又は、ジイソシアネート及び第1級/第2級ジアミンを介して製造することができ、使用できるジオールはヒドロキシ末端ジオール、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート及び/又はオリゴ(メタ)アクリレートであり、使用できるジアミンは特にアルキルジアミンであり、n=5〜12である。
9.シロキサン及び/又はポリシロキサン系、更にはシリコーン系のポリマー、tNK−92これらは未置換及び/又はヒドロキシド、アルキル、アルコキシ、アミノ、メルカプト及び/又はスルホネートのような置換基で置換されたシロキサン及び/又はポリシロキサンより実質的になることができる。
10.ポリシラン及び/又はポリシラザン系のポリマー、これらは未置換及び/又は例えばヒドロキシド、アルキル、アルコキシ及び/又はスルホネートのような置換基により置換された置換ポリシラン及び/又はポリシラザンより実質的になることができる。例えば、これらはポリ(シクロヘキシルメチル)シラン、ポリ(ジヘキシル)シラン及び/又はポリ(フェニルメチル)シランより実質的になるか、又は、ポリ(1,2−ジメチル)シラザン及び/又はポリ(1,1−ジメチル)シラザンより実質的になることができる。
【0136】
しかしながら、有機粒子のコーティング又はその製造並びに伝導性ポリマーの製造を、それから形成された有機粒子がその内部に伝導性ポリマーの増大された含有量を頻繁に有するように行うためには、分散性有機ポリマー、例えばポリアクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン及び/又はポリシロキサン系のコアが特に適している。これらのポリマーは又、伝導性ポリマーによる有機粒子のコーティングのための方法において処理することもでき、その場合、有機粒子をまず、特に同じ溶液または分散液及び/又は同じゾル又はゲル中に製造し、その後これらの有機粒子を本発明に従ってコーティングするか、又は、有機粒子及び伝導性ポリマーを実質的に同時、又は、同時に製造し、これによりそれから形成された粒子が頻繁にはその内部の伝導性ポリマー、及び一部の例においてはその表面の伝導性ポリマーとも相互作用を示すようにする。この方法は好ましくはワンポット過程及び/又は実質的に連続過程である。この観点において、有機粒子の製造は好ましくは特に界面活性剤非存在下の乳化重合に基づくものである。乳化重合の過程、可能性及び生成物は原則として知られている。乳化重合により重合されたこれらの有機粒子は伝統的には従来技術び製造のために安定な分散体である。
【0137】
多くの実施形態において、伝導性ポリマーと共に有機粒子を製造することが特に好都合である。この観点において、1ピーク又は2ピークの粒径分布を有する所定の狭い粒径分布を有する粒子及び/又は有機ポリマー及び伝導性ポリマーが緊密に混合されるか相互に成長しているような粒子を製造することが可能である。例えば粒径が30〜400nmの範囲に1ピーク又は2ピークの分布をこの場合達成できる。しかしながら、後に、又は単に遅延した段階において伝導性ポリマーにより表面近傍の領域においてコーティング又は混合される有機粒子をまず製造することも可能である。
【0138】
有機粒子の製造においては、ミセル形成が比較的重篤に損なわれないことを確保しなければならないが、そのようなことは特に、適当ではない酸化剤のため、高すぎるイオン含有量のため、及び/又は、粘稠過ぎる攪拌のために起こりえるものであり、その理由は多くの実施態様において、有機粒子はここではミセルから形成されるためである。ここでも又、添加すべき成分の化学的適合性を確保しなければならない。重合はまたここでは化学的、電気化学的及び/又は光化学的に実施できる。
【0139】
原則として、伝導性ポリマーによる少なくとも1つのコーティング過程による有機粒子の全ての型のコーティングは、場合により分散性が乏しいか、非分散性である粒子のカプセル化により、可能である。テキストのセクションの観点においては、ここで分散性とは、実質的に集塊化が起こらないような溶液又は分散体及び/又はゾル又はゲル中の有機粒子の安定な分散体を有する可能性を意味する。
【0140】
無機粒子:
好ましくは、無機粒子は少なくとも1つの無機粒子、特に実質的に各々の場合少なくとも1つの臭化物、炭化物、炭酸塩、銅酸塩、鉄酸塩、フッ化物、フルオロケイ酸塩、ニオブ酸塩、窒化物、酸化物、リン酸塩、リン化物、ホスホケイ酸塩、セレン化物、アルミニウム含有ケイ酸塩、硫酸塩、硫化物、テルル化物、チタン酸塩、ジルコン酸塩、少なくとも1つの型の炭素、少なくとも1つの岩石粉、少なくとも1つのガラス粉、フリット、ガラス質材料、不定形物質及び/又は複合材料、少なくとも1つの合金及び/又は少なくとも1つの金属、ただし合金及び/又は金属は伝導性ポリマーの製造中に既に腐食することなく局所的電池を形成しないもの、及び/又はその混合結晶、その連晶(相互性長物)及び/又はその混合物より実質的になる。
【0141】
有機粒子は少なくとも1つの物質、特に実質的におのおのの場合少なくとも1つのアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属チタン酸塩、アルカリ土類金属ジルコン酸塩、SiO、ケイ酸塩、例えばアルミニウム含有ケイ酸塩、雲母、粘土鉱物、ゼオライト、低溶解性硫酸塩、例えば硫酸バリウムまたは硫酸カルシウムの水和物、例えばSiO及び/又はケイ酸塩系のフレーク、アルミニウム、鉄、カルシウム、銅、マグネシウム、チタン、亜鉛、スズ及び/又はジルコニウムの含有量を有する酸化物より実質的になることができる。
【0142】
特に微細粉砕された粒子は、例えばゾル及び/又はゲル、例えばシリカゾルを介して製造できる。ゾルのコーティングの利点は高い濃度にも関わらず成分の高い可動性にある。このような粒子は頻繁には10〜120nmの範囲の平均粒径を有する。これにより形成される粒子の微細粉砕の性質のため、特にシェルによる薄層コーティングの場合に伝導性ポリマーの特に均一な分布が生じる。
【0143】
適宜、このような無機粒子の製造中には、伝導性ポリマーはこれら粒子内部で部分的、大部分又は完全にインターカレーションする場合があり、このような粒子もまた、本出願の観点においては、ここでは「コーティングされた粒子」として、そしてコア−シェル粒子として捕らえることとする。
【0144】
一部の実施形態においては、無機粒子において頻繁に生じるものよりも狭小な粒径分布が特に好ましい。これらは例えば種々の分布を混合することにより、メッシュ通過又は分篩することにより、又は粉砕することにより、作成できる。
【0145】
実質的に板状、実質的に線状及び/又は実質的に針状の構造を有する無機粒子が特に好ましい。即ちそれらはバリア粒子としても良好に機能することができる。
【0146】
無機粒子は一部の場合において、特に粒径、濃度、密度、電解質含有量等に応じて安定な分散体であることができる。
【0147】
伝導性ポリマーの製造のためのモノマー/オリゴマー:
伝導性ポリマーの製造のためには、反応すれば伝導性ポリマーを生じることができるモノマー及び/又はオリゴマーを出発材料混合物に添加することが必要である。モノマー及び/又はオリゴマーは「出発材料」と称する。モノマー及び/又はオリゴマーは好ましくは、電気的伝導性のオリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーを自身から形成するために適している、例えばアルキン、複素環化合物、炭素環化合物、その誘導体及び/又はその組み合わせのような、芳香族及び/又は不飽和の炭化水素化合物、特に好ましくはX=Nおよび/またはSである未置換及び/又は置換された複素環化合物から選択される無機及び/又は有機の性質のモノマー及び/又はオリゴマーから選択される。
【0148】
イミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系の未置換及び/又は置換された化合物の添加が特に好ましい。
【0149】
一般的に、モノマー及び/又はオリゴマーの、又は、形成される/それから形成されるオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーの置換は、特に水素(H)、ヒドロキシル(OH)、ハロゲン(Br/Cl/F)、アルコキシ(O−アルキル)、アルキル(C)、カルボキシ(COH)、カルボキシレート(COOH)、アミン(NH)、アミノ(NH)、アミド(CONH)、第1級アンモニウム(NRH)、イミン(NH)、イミド(COHNH)、ホスホネート(PO)、ジホスホネート、メルカプト(SH)、スルホン(SOH)、スルホネート(SOH)、アリール((C)及び/又は未分枝鎖又は分枝鎖のアルキル鎖であって更に置換基を有するか有さないものであることができ、ここで置換基は好ましくは大きすぎないものとする。
【0150】
好ましくは、伝導性ポリマーの製造のための出発材料を混合物に添加するが、少なくとも1つの出発材料は比較的緩い分子構造を有するか、及び/又は、形成された少なくとも1つの伝導性ポリマーは比較的緩い分子構造を有し、これにより特に、伝導性ポリマーの細孔系の比較的広い平均孔径(頻繁には分子チャンネル径として)がもたらされる。
【0151】
好ましくは、これは少なくとも1つの導入された側鎖、例えばCH基の取り込みの場合等のように少なくとも1C原子を有するか、又は特に少なくとも2つ又は少なくとも4つの原子及び/又は少なくとも1つの環系、ただし特に例えば環系を形成するエーテルの架橋の縮合により有機基を用いて形成されるもの、を有するアルキル鎖を有する少なくとも1つの出発材料を使用することにより達成される。
【0152】
少なくとも1つの出発材料は特にイミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系の未置換及び/又は置換された化合物から選択されることができ、そして未置換の出発材料のうち、ピロールが特に好ましい。ビチオフェン、ターチオフェン、アルキルチオフェン、例えばメチルチオフェン及び/又はエチルチオフェン、エチレンジオキシチオフェン、アルキルピロール、例えばメチルピロール及び/又はエチルピロール及び/又はポリパラフェニレン系のモノマー及び/又はオリゴマーから選択される未置換又は置換された化合物が非常に好ましい。置換された樹状及び/又は梯子様のポリマーを製造する原料となりえる出発材料が特に好ましい。少なくとも1つの出発材料は場合により別個予め製造するか、及び/又は、稀には金属表面をコーティングするための組成物に添加される。しかしながら従来は少なくとも1つのデポ物質をこの組成物に添加していたが、通常は出発材料非含有又は実質的に非含有の形態である。
【0153】
置換された出発材料のうち、特に好ましくは少なくとも1つの化合物をベンズイミダゾール、2−アルキルチオフェノール、2−アルコキシチオフェノール、2,5−ジアルキルチオフェノール、2,5−ジアルコキシチオフェノール、1−アルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1−アルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、3−アルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、3−アルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、3,4−ジアルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、3,4−ジアルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1,3,4−トリアルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1,3,4−トリアルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1−アリールピロール、3−アリールピロール、1−アリール−3−アルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1−アリール−3−アルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1−アリール−3,4−ジアルキルピロール、特に1〜16C原子を有するもの、1−アリール−3,4−ジアルコキシピロール、特に1〜16C原子を有するもの、3−アルキルチオフェン、特に1〜16C原子を有するもの、3−アルコキシチオフェン、特に1〜16C原子を有するもの、3,4−ジアルキルチオフェン、特に1〜16C原子を有するもの、3,4−ジアルコキシチオフェン、特に1〜16C原子を有するもの、3,4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体から選択する。この観点において、少なくとも1つの化合物はピロール−1−イルアルキルホスホン酸、特に1〜16C原子を有するもの、ピロール−1−イルアルキルリン酸、特に1〜16C原子を有するもの、ピロール−3−イルアルキルホスホン酸、特に1〜16C原子を有するもの、ピロール−1−イルアルキルリン酸、特に1〜16C原子を有するもの、5−アルキル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、特に1〜12C原子を有するもの、5−(ω−ホスホノ)アルキル−3,4−エチレンジオキシチオフェン及びその誘導体、特に1〜12C原子を有するものに基づいて選択することができ、これらは製造するか、デポ物質の製造の元物質として使用するか、又は、組成物に添加する。C原子の数は各々の場合、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び/又は16であることができる。
【0154】
置換された出発材料のうち、非常に好ましくは、2−メチルチオフェノール、2−メトキシチオフェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、2,5−ジメトキシチオフェノール、1−メチルピロール、2−エチルピロール、ピロール−1−イルアルキルホスホン酸、特に10及び/又は12C原子を有するもの、ピロール−1−イルアルキルホスフェート、特に12C原子を有するもの、1−メトキシピロール、1−エトキシピロール、ピロール−3−アルキルホスホン酸、特に6、8及び/又は11C原子を有するもの、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジメトキシピロール、1,3,4−トリメチルピロール、1,3,4−トリメトキシピロール、1−フェニルピロール、3−フェニルピロール、1−フェニル−3−メチルピロール、1−フェニル−3−メトキシピロール、1−フェニル−3,4−ジメトキシピロール、1−フェニル−3,4−ジメトキシピロール、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ヘキソキシチオフェン、3−オクトキシチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、5−(ω−ホスホノ)メチル−3,4−ジオキシチオフェン及びそれらの誘導体から選択される少なくとも1つの化合物を製造するか、デポ物質の製造の元物質として使用するか、又は、組成物に添加する。
【0155】
特に、エチルチオフェン、エチレンジオキシチオフェン、メチルチオフェン、3−エチルピロール、3−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチルピロール、3−フェニルピロール及びそれらの誘導体から選択される少なくとも1つの化合物を製造するか、デポ物質の製造の元物質として使用するか、又は、組成物に添加する。ヘテロシクロペンタジエン(HCP)、ジオキシ−3,4−ヘテロシクロペンタジエン(ADO−HCP)、ジ−〜オクトヘテロシクロペンタジエン(OHCP)及びベンゾヘテロシクロペンタジエン(BHCP)もまた特に好ましい。
【0156】
本発明に従ってコーティングされた粒子又はある含有量の伝導性ポリマーを有する粒子の伝導性ポリマーはpHがそのために適していない場合は親核攻撃により化学的に攻撃することができる。従って、電気伝導度を損なう可能性のある親核攻撃又は脱活性化によっても破損することができない伝導性ポリマーを形成するような、少なくとも1つの置換基、例えばアルコキシ及び/又はアルキルを特に3位及び/又は4位に有する出発材料が好都合に使用される。これらは特に少なくとも1つのアルキル鎖を有し、及び/又は、少なくとも1つの環系を有する複素環化合物系の出発材料であることができる。このような出発材料はさらに、それにより交差結合性が好都合な態様で制限されるため、そして、それから形成される伝導性ポリマーは通常は特に大きい細孔チャンネルを有する細孔系を有するため、好都合である。自身のモノマー及び/又はオリゴマーが水中で少なくとも部分的に溶解及び/又は重合することができる化合物が非常に好ましい。水又は水を含有する溶媒混合物中で少なくとも部分的又は間歇的に重合することができるものが特に好都合である。
【0157】
同様に水溶性であり、そして好ましくはその酸化(=重合)後はもはや全く、又は僅かしか水溶性ではない出発材料少なくとも1つを伝導性ポリマーの製造のための混合物に添加することが好ましい。
【0158】
モノマーを使用する理由は、特に、それらが安価であるか、又はより高い溶解度及びより高い拡散係数を有することができるためである。オリゴマーは特に相当するモノマーが重合できない場合、及びオリゴマーのみが重合できる場合に使用される。オリゴマーはモノマーよりも反応性が高い場合が多い。
【0159】
コポリマー及び/又はブロックコポリマーの形態の出発材料は場合により、モノマー/オリゴマーに加えて出発材料混合物中に既に存在することができるが、特にコーティングのポリマーマトリックス上に例えばカルボキシル及び/又はエステル基を有する少なくとも1つの別の有機性成分との別の化学反応により従来通りグラフトコポリマーをまず形成する。
【0160】
好ましくは、伝導性ポリマーを与えるための自身の重合後も広範囲のpHにおいて化学的に安定である少なくとも1つの出発材料を添加する。次に使用する酸化剤は選択されたpHにおいてやはり安定である。このpH領域は少なくとも1又は少なくとも2単位を包含することが好ましく、即ち例えば3〜4.5の範囲のpH値である。
【0161】
形成された伝導性ポリマー:
伝導性ポリマーの形成に適するモノマー及び/又はオリゴマー(出発材料)のある含有量の添加から、少なくとも部分的に伝導性であるポリマー(=生成物、デポ物質)が酸化により形成される。酸化剤を添加する場合は、酸化された出発材料を出発材料から生成することができ、次にこれを重合することができ、そして別の基をこれに付加することができる。より小さいオリゴマー、例えばn=8であるものは伝導性ポリマーの作用を殆ど、又は全く示さない。伝導性ポリマーは還元状態において電気的に中性である。伝導性ポリマーの酸化(=重合)の間、カチオンが形成され、これは相当するアニオンを取り込むことができる。酸化状態は電気化学的及び/又は光化学的に少なくとも1つの酸化剤を用いて化学的に確立することができる。好ましくは電気的重合は行わないが、重合は大部分は化学的及び/又は光化学的のみに、特に化学的及び/又は光化学的のみに行う。特に好ましくは、唯一または大部分は唯一、化学的方法のみを使用する。
【0162】
デポ物質は原則として化学的、電気化学的及び/又は光化学的に重合されている。好ましくは、少なくとも1つのデポ物質又はそれを含む組成物を特に粒子に、又は金属表面に化学的及び/又は機械的に適用する。電気化学的適用の場合は、比較的塩基性の高い金属表面を予めパッシベーションに付すことにより金属物質の激しい溶解を抑制しなければならない。従って、電気化学的適用の場合は、パッシベーション層を初回から常時形成するためには、少なくとも1つの出発材料の重合原料である溶液に腐食抑制アニオンを常時添加しなければならない。従ってこの態様で形成された伝導性ポリマーは自動的に腐食抑制アニオンを含有するが、腐食抑制アニオンを記載した文献は電位の低下によるこれらのアニオンの放出を全く明示していない。
【0163】
電気化学的重合においては、粒子はマイナスのゼータ電位を有さなければならない場合が多い。電気化学的重合により粒子上に形成されたコーティングは比較的品質が悪いことがわかっている。例えばUV照射の間に欠陥電子を放出する半導体粒子は光化学的重合の場合に必要となる場合が多い。ここでも又光化学的重合により粒子上に形成されているコーティングは比較的品質が悪いことがわかっている。更に又、ポリマーシェルはUV照射の間に損傷を受ける場合がある。これらのものと比較して最良であるコーティングは現在では化学的重合により製造されている。
【0164】
伝導性ポリマーは塩様の構造であるためアニオン負荷伝導性ポリマーは塩と称することができる。
【0165】
単純化のために、少なくとも1つのポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーは以後、「ポリマー」又は「伝導性ポリマー」と称する。本発明の方法においては、少なくとも1つのデポ物質は好ましくは少なくとも1つの伝導性ポリマー、特にイミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系の少なくとも1つの伝導性ポリマーであり、特にピロール及び/又はチオフェン系のものである。ポリフェニレン、ポリフラン、ポリイミダゾール、ポリフェナントレン、ポリピロール、ポリチオフェン及び/又はポリチオフェニレン系の伝導性ポリマー、又は水中で少なくとも部分的又は間歇的に重合したものが好ましく形成される。特に好ましい伝導性ポリマーは例えばポリピロール(PPy)、ポリチオフェン(PTH)、ポリ(パラフェニレン)(PPP)及び/又はポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)系のものを包含する。デポ物質は予め、別個に、又は混合物として製造し、そしてその後、組成物に添加し、及び/又は、稀な例においては、出発材料として組成物に添加し、及び/又は組成物中及び/又はコーティング中で反応させることによりデポ物質とする。
【0166】
本発明の方法においては、好ましくは少なくとも1つのデポ物質及びデポ物質からのアニオンの実質的又は完全な放出を可能とする少なくとも1つのアニオンが選択され、その結果、特に電解質から、及び/又は、欠陥からのカチオンのカチオン輸送速度を顕著に低下させることができ、そして更にその結果、金属/コーティング界面の領域における有害なフリーラジカルの形成を低減することができる。
【0167】
好ましくは、本発明に従って製造又は使用される伝導性ポリマーは酸化(=ドーピング)状態において熱力学的に安定であるため、それらは自身では、比較的長期間に渡っても、放電することができず、そのアニオンは還元を伴うことなく放出され得ない。次にこれらの化学系はこれにより、アニオンが早期にデポ物質を離れることができる伝導性ポリマーではない一部の別のデポ系とは異なる。
【0168】
ポリ(1−アルキルピロール)(P1APy)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(1−アルコキシピロール)(P1AOPy)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(3−アルキルピロール)(P3APy)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(3−アルコキシピロール)(P3AOPy)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(1−アリールピロール)(P1ArPy)、ポリ(3−アリールピロール)(P3ArPy)、ポリ(3−アルキルチオフェン)(P3ATH)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(3−アルコキシチオフェン)(P3ATH)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(3−アリールチオフェン)(P3ArTH)、ポリ(3−アルキルビチオフェン)、特に1〜16C原子を有するもの、ポリ(3,3’−ジアルキルビチオフェン)、ポリ(3,3’−ジアルコキシビチオフェン)、ポリ(アルキルターチオフェン)、ポリ(アルコキシターチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリ(ベンゾ[b]チオフェン(PBTH)系の化合物から選択される少なくとも1つのポリマーを製造及び/又は混合物に添加することが特に好ましい。
【0169】
ポリ(1−メチルピロール)(P1MPy)、ポリ(1−メトキシピロール)(P1MOPy)、ポリ(3−メチルピロール)(P3MPy)、ポリ(3−メトキシピロール)(P3MOPy)、ポリ(1−フェニルピロール)(P1PhPy)、ポリ(3−フェニルピロール)(P3PhPy)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、
ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキソキシチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3−メチルビチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルビチオフェン)、
ポリ(3,3’−ジメチルビチオフェン)、ポリ(3,3’−ジヘキシルビチオフェン)、
ポリ(3,3’−ジメトキシビチオフェン)、ポリ(3,3’−ジヘキソキシビチオフェン)、ポリ(3−メチルターチオフェン)、ポリ(3−メトキシターチオフェン)、ポリ(5−アルキル−3,4−エチレンジオキシチオフェン)、特に〜12C原子を有するもの、ポリ(イソチアナフテン)(PITN)、ポリヘテロシクロペンタジエン(PHCP)、ジオキシ−3,4−ヘテロシクロペンタジエン(ADO−HCP)、ジ〜オクトヘテロシクロペンタジエン(OHCP)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、置換及び/又は梯子様のポリ(パラ−フェニレン)(PPP又はLPPP)及び置換及び/又は梯子様のポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV又はLPPV)から選択される少なくとも1つのポリマーを製造及び/又は混合物に添加することが特に好ましい。
【0170】
特に好ましい伝導性ポリマーはとりわけポリピロール(PPy)、ポリ(N−メチルピロール)(PMPy)、ポリ(3−アルキルピロール)(P3AlPy)、ポリ(3−アリールピロール)(P3ArPy)、ポリ(イソチアナフテン)(PITN)、ポリ(3−アルキルチオフェン)(P3AlT)、ポリ(アルキルビチオフェン)、ポリ(アルキルターチオフェン)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3−アリールチオフェン)(P3ArT)、置換及び/又は梯子様ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフェニレン(PP)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリヘテロシクロペンタジエン(PHCP)、ポリジオキシ−3,4−ヘテロシクロペンタジエン(PADO)、ポリベンゾヘテロシクロペンタジエン(PBHCP)、ポリチオフェン(PT)、ポリ(3−アルキルチオフェン)ただしR=アルキル、例えばメチル、ブチル等であるもの(P3AT)、ポリピロール(PPy)、ポリ(イソチアナフテン)(PITN)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、アルコキシ置換ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)、ポリ(2,5−シアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン、梯子様ポリ(パラ−フェニレン)(LPPP)、ポリ(パラフェニレンスルフィド)(PPS)及びポリ(3−ヘキシルチオフェン)(p3HT)を包含する。
【0171】
ポリ(1,3−ジアルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルチオフェン)、ポリ(1,3,4−トリアルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)、ポリ(1,3,4−トリアルコキシピロール)、ポリ(2−アリールチオフェン)、ただし各々の場合、相互に独立して特に1〜16C原子を有するもの、及び相当する出発材料もまたポリマーの中から選択できる。アリール化合物のうち、特に1−フェニル、3−フェニル、1−ビフェニル、3−ビフェニル、1−(4−アゾベンゼン)および/または3−(4−アゾベンゼン)化合物を特に選択できる。
【0172】
この観点において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16C原子を有するアルキル鎖を相互に独立して有する化合物が好ましく製造又は使用される。
【0173】
出発材料及び/又はポリマーのために選択できる置換基は、各々の場合相互に独立して、好ましくはH、OH、O、COOH、CHOH、OCH、C2n−1、特にn=2〜12のもの、OC2n−1、特にn=2〜12のもの、アルキル、アルコキシ、アリール、アミン、アミノ、アミド、第1級アンモニウム、イミノ、イミド、ハロゲン、カルボキシル、カルボキシレート、メルカプト、ホスホネート、S、スルホン及び/又はスルホネートである。
【0174】
このために適する伝導性ポリマーは実際は原則として知られている場合が多いが、通常は腐食保護の少なくとも1つの変法に関しては記載されておらず;しかしながら腐食保護がこのポリマーに関して記載されている場合は、腐食保護は既に存在しているパッシベーション層を伴うことなく比較的塩基である金属表面上において機能しない。個々の実施形態においては、少なくとも1つのデポ物質は特に金属/コーティングの界面の近傍において、組成物中にマトリックスを少なくとも部分的に形成することもできる。最小限の伝導性ポリマーは市販品を入手可能である。
【0175】
置換基により、及び/又は、別のベース分子(モノマー/オリゴマー)及び/又は幾分異なる酸化還元電位を有する少なくとも2つの異なるベース分子(モノマー/オリゴマー)により修飾された伝導性ポリマーの何れを使用することにより化合物ごとに異なるデポ物質の酸化還元特性を有意に変化させることも好都合である。代替又は追加的に、相当する異なるデポ物質を相互に混合してよい。この手段により、金属表面を包含する化学系の酸化還元電位の正しい水準を有する少なくとも1つの化合物を選択することができ、及び/又は、異なる酸化還元電位を有する種々の伝導性ポリマーを含む混合物を製造できる。デポ物質の酸化還元電位は特にそれが金属表面の腐食電位よりも少なくとも75mV、少なくとも100mV又は少なくとも150mV、好ましくは少なくとも200mV又は少なくとも250mV、非常に好ましくは少なくとも300mV又は少なくとも350mV高値である場合に特に適している。
【0176】
好ましくは形成される伝導性オリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーの平均孔径はコーティングの形成の間、及び/又は、混合物の乾燥の間に比較的高い温度、特に不活性雰囲気下60〜200℃の範囲、空気中特に30〜80℃の範囲の温度を確立することにより増大させることができる。
【0177】
出発材料混合物又は生成物混合物のための溶媒:
一部の実施形態の変法においては、水を伝導性ポリマーの製造のための唯一の溶媒として使用できる。溶媒混合物中の溶媒の1つとして水を使用することが好都合であり、水の含有量は溶媒混合物少なくとも5重量%を構成するようにする。その結果、作業がより簡素化され、より環境保護上好ましく、そして大半の数量のアニオンを溶解できる。好ましくは、比較的高い含有量の水を溶媒混合物中に使用するか、又は、水のみを全溶媒として使用するが、その理由は特に、多くのアニオンが水にのみ可溶であり、そして、有機溶媒には不溶、又は、一部の有機溶媒には不溶であるためである。
【0178】
好ましくは、唯一、又は実質的に唯一、水を溶媒として添加するか、又は溶媒混合物の場合は添加される少なくとも1つの別の溶媒としては、−30〜200℃の温度範囲で、特に好ましくは−10〜160℃の範囲で、又は、非常に好ましくは1〜95℃の範囲で液体であるものである。この観点において、溶媒は場合により実質的に選択的に作用し、そして大半又は唯一出発材料のみ、又は大半又は唯一アニオン及び酸化剤を溶解する。溶媒は高温においても酸化剤との反応は僅かのみか皆無であることがより好都合である。溶媒は生じた伝導性ポリマーのオリゴマー、ポリマー、コポリマー及び/又はグラフトコポリマーを従来は全く、又は僅かのみ、表面的のみ又は完全に溶解する。
【0179】
好ましくは、溶媒混合物の場合に水と平行して添加される少なくとも1つの別の溶媒は特にある程度の極性、双極性非プロトン性、及び双極性プロトン性の液体から選択される少なくとも1つのものである。この観点において、極性、そしてそれに起因する誘電率は広範に変動できる。弱い極性を有する液体、例えばクロロホルム及び/又は塩化メチレン、又は、双極性の非プロトン性の液体、例えばアセトニトリル及び/又はプロピレンカーボネートは特に、水が使用できない出発材料に対して、特に、例えばチオフェン系の化合物に対して使用される。極性のプロトン性の液体、例えば水及び/又はアルコールは通常は酸化剤及びアニオンのために使用される。比較的低極性の溶媒、例えばアルコールは出発材料を溶解するために好ましく使用されるが、高い極性を有するもの、例えば水は酸化剤及び塩を溶解するため、及び、酸を希釈するために好ましく使用される。
【0180】
好ましくは、溶媒混合物の場合に添加される少なくとも1つの別の溶媒はアセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、プロピレンカーボネート及び水から選択される少なくとも1つの溶媒である。少なくとも1つの別の溶媒及び/又は更には溶媒ではない少なくとも1つの別の液体、例えば油状物も場合により追加的に含む、少なくとも1つのアルコールとの水の溶媒混合物が頻繁に使用される。
【0181】
水及び少なくとも1つの有機溶媒の溶媒混合物の使用はまた特に好都合であるが、その理由は、例えばモリブデートは殆ど水のみにより所要濃度で十分可溶性となるため、そして、一部のピロール誘導体は従来は少なくとも1つの水混和性有機溶媒の少なくとも少量の添加を伴ってのみ所要濃度で十分可溶性となるためであり、ここで少なくとも1つの有機溶媒の溶媒混合物中の含有量は特に少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも6重量%、特に好ましくは少なくとも12重量%、非常に好ましくは少なくとも18重量%、特に少なくとも24重量%である。
【0182】
伝導性ポリマーへの出発材料の変換の程度は頻繁には85〜99%のオーダーであり、通常は88〜96%の範囲である。
【0183】
生成物混合物:
伝導性ポリマーが形成される生成物混合物は、化学反応を無視すれば、出発材料混合物と実質的に同じ成分の含有量を含む。従って、同じ量のデータを相応に適用する。
【0184】
予め使用する乳化重合において場合により用いられた少なくとも1つの安定化剤は生成物混合物にも添加することができる。好ましくは、少なくとも1つの安定化剤は又少なくとも1つのイオン性又は非イオン性の安定化剤、特に少なくとも1つの重合性及び/又は重合した界面活性剤であり、これは場合により乳化特性を有する。安定化剤は特に好ましくはポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリスチレンスルホネート、ポリエチレンオキシド、ポリアルキルスルホネート、ポリアリールスルホネート、アニオン性及び/又はカチオン性の界面活性剤、第4級アンモニウム塩及び第3級アミン系の水溶性ポリマーから選択される。それらは非常に好ましくは特に10〜18C原子の範囲のアルキル鎖の長さを有する、好ましくはナトリウムの、アルキルスルフェート及びアルキルスルホネートのアニオン性及び/又はカチオン性の界面活性剤よりなる群から選択される。これらの水溶性ポリマー及び界面活性剤は粒子のより良好な分散のために好都合である。
【0185】
生成物混合物は場合により、出発材料混合物及びそれから形成される生成物混合物中の粒子のアニオン性、カチオン性、立体及び/又は中性の安定化のために少なくとも1つの安定化剤を実質的に全く含まないか、又は好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.5〜4重量%又は0.05〜3重量%、非常に好ましくは0.1〜2重量%含むことができる。
【0186】
伝導性コーティングされた粒子の処理:
好ましくは、コーティングされた粒子を有する生成物混合物は、傾瀉、濾過及び/又は凍結乾燥により、特にスピン乾燥または濾過中の遠心分離により、及び/又は、ガス循環及び/又は熱により、特に200℃までの温度において不活性雰囲気下、又は好ましくは150℃まで又は120℃までにおいて乾燥する。これはコーティングされた無機粒子の場合は従来より必要である。液体を含有する混合物は大部分又は完全にこの手段により乾燥される。コーティングされた無機粒子が例えば傾瀉、濾過及び/又は凍結乾燥により大部分が液体から分離している場合には、溶媒の含有量は頻繁には約1、2、3、4、5重量%の範囲、又は頻繁には僅か10重量%までの含有量となる。乾燥した「混合物」は以後「伝導性粉末」と称する。この形態においては、粒子上の本発明のコーティングは、例えば300℃超の熱への過剰な曝露を伴った、又は、例えばTiO(アナターゼ)のような光活性粒子の存在下のような光化学的分解により、及び/又は過酷な気象条件において等、適当でないラッカー系において使用された場合に親核攻撃が起こらない限り安定であり、長期間電気伝導性を有し、そして、化学的、及び別の態様においては物理的にも長期間安定である。このようにして形成されたコーティングは頻繁には特に付着性及び/又は大部分または完全に閉鎖される。
【0187】
好ましくは、液体の総量は乾燥中に除去されないが、例えば特に無機非コーティング粒子の含有量に基づいて0.1〜12重量%の範囲の含有量の液体が粉末塊中に残存することが好都合である。これが好都合である理由は、その場合、伝導性ポリマーの再膨潤により細孔が(まだ)過剰に小型化できないためである。
【0188】
必要により、コーティングされた無機粒子を短時間粉砕及び/又は穏やかな作用により粉砕することにより、所謂ケーキ状物、集塊及び/又は適宜、凝集塊を分解、及び/又はそれらを流動性とすることができる。伝導性粉末は場合により分篩される。
【0189】
好ましくは、コーティングされた無機粒子はまず傾瀉、濾過及び/又は乾燥する。次に取り込まれたアニオン及び伝導性ポリマーの安定化に必要な酸化剤がともに実質的に全く溶出しないような態様において、溶出できる成分を伝導性コーティングから抽出する。この手段により、伝導性ポリマーの伝導性の安定な構造及びその伝導性状態が実質的に未変化のままとなる。例えばラッカー及び取り込まれなかったアニオンと反応するような過剰な酸化剤、未反応のモノマー及びオリゴマー、及び、他の不純物、及び、必要ではない他の成分は抽出の間に除去できる。抽出は特に酸水溶液を用いて、例えば硫酸又は塩酸を用いて、及び/又は少なくとも1つの有機溶媒、例えばアセトニトリル、クロロホルム及び/又はメタノールを用いて行うことができる。
【0190】
この工程はコーティングの品質を大きく向上させることができる。
【0191】
コア−シェル粒子の製造の後、安定化剤を場合により好都合に添加できるが、頻繁には必要ではない。しかしながら、既に安定である生成物混合物への安定化剤の添加は一部の実施形態変法においてはむしろ不都合である。一方、不安定な生成物混合物、例えば特に伝導性ポリマーの選択された濃度が高すぎた場合は、安定化剤の添加により安定化することができる。
【0192】
伝導性ポリマーによりコーティングされた粒子:
目的は更に、伝導性ポリマーでコーティングされた無機及び/又は有機の粒子を用いても達成され、その場合伝導性ポリマーは実質的には、酸化された電気的伝導性の状態にあり、そしてその場合、ある含有量の可動性腐食保護アニオン及び場合により更にはある含有量の付着促進アニオンを伝導性ポリマーに配合し、ここで粒子は好ましくは本発明の方法によりコーティングされている。
【0193】
伝導性コーティング中の成分の含有量は広範な限度内において変動できる。変動は特にコーティングの厚みに応じたものであり:例えば層の厚みが例えば0.1〜10nm、>10〜100nm、>100nm〜1μm又は>1μm〜20μmの超薄膜、薄膜、厚膜又は超厚膜のコーティングを適用できる。低又は高密度の成分もまた選択することができる。更に又、有機粒子の特定の表面積もまた例えば、炎光加水分解により製造されているSiO粉末の場合のように非常に影響する場合がある。
【0194】
好ましくは、伝導性コーティング中の伝導性ポリマーの含有量はコーティングに基づいて約50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98又は100重量%の値を有する。特に伝導性コーティング中の伝導性ポリマーの含有量は48〜100重量%の範囲、特に好ましくは61〜97重量%の範囲、非常に好ましくは69〜95重量%の範囲である。
【0195】
好ましくは、アニオンの含有量は、コーティングの伝導性ポリマーに基づいて約10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32モル%の値を有する。好ましくは、酸化剤の含有量はコーティングに基づいて、0値を有し、そして可能な限りそれより多くない。特に伝導性コーティング中のアニオンの含有量は8〜35モル%の範囲、特に好ましくは15〜33モル%の範囲、頻繁には19〜32モル%の範囲である。
【0196】
好ましくは、伝導性ポリマーに基づいた粒子の含有量は、そのコーティング及びインターカレーションも含めて、約6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96又は98の値を有する。特に高いバインダー含有量の伝導性コーティングにおける伝導性ポリマーに基づいた粒子の含有量は、そのコーティング及びインターカレーションも含めて、5〜100重量%の範囲、特に好ましくは55〜99重量%の範囲、非常に好ましくは75〜98重量%の範囲、特に85〜97重量%の範囲である。
【0197】
好ましくは、形成すべき伝導性ポリマーの平均孔径は形成されるべき電気的伝導性ポリマーの膨潤を増大させることにより、ポリチオフェンの場合はクロロホルムのような、そしてポリピロールの場合及び一部のポリピロール誘導体の場合はアルコールのような容易に揮発する有機性の液体を添加することにより、増大させる。
【0198】
その低膜厚にも関わらず、本発明のコーティングは顕著に着色する場合が多い。それらは頻繁には、明緑色〜暗緑色、淡青色〜暗青色、明灰色〜暗灰色、明赤色〜暗赤色、紫、茶色又は黒色である。伝導性ポリマーは疎水性である場合が多いが、種類及び量により、アニオン含有量、酸化状態、pH及び側鎖基の置換に応じて、更に親水性またはさらに疎水性となる場合がある。
【0199】
伝導性ポリマーを含むコーティングで被覆された粒子上のコーティングの電気伝導度は酸化の程度、荷電担体の種類及び/又は荷電担体の運動性に応じて、10−8〜10S/cmの範囲であり、好ましくは10−6〜10−1S/cmの範囲であり、特に好ましくは10−5〜10−2S/cmの範囲である。
【0200】
ドーピングの程度は元素分析又はXPS(X線スペクトル分析)により測定できる。これは従来は5〜33%の範囲であり、28%より高いドーピング度は実際には一部の場合のみ達成される。20%〜33%の範囲のドーピング度は頻繁には達成される。
【0201】
好ましくは、伝導性コーティングの性質は、形成されるべきコーティングの高いデポ作用及び頻繁には更に十分な電気伝導度をもたらす可動性腐食保護アニオンによる伝導性ポリマーのドーピングの可能な最大の程度を確立することにより増大する。多くの用途においては、適度の電気伝導度で十分であるが、その理由は、高すぎる電気伝導度は、アニオンが自身の腐食保護作用を顕示できるためには急速すぎる電位の勾配の消失及び急速すぎる特定の状況下でのアニオン移行の駆動力の低下又は消失(短絡作用)をもたらす可能性があるためである。
【0202】
粒子上の伝導性ポリマーを含むコーティングは、好ましくは、酸化剤を全く含まないか、実質的に殆ど酸化剤を含まないが、その理由は、これはコーティングされた粒子を含む有機コーティングの腐食保護作用とって有害となる場合があるためである。従って、例えば透析、抽出及び/又は濾過により生成物混合物から過剰な酸化剤を除去することが推奨される。
【0203】
粒子上の伝導性ポリマー層厚みは広範に変動できる。好ましくは、層厚みは1〜200nmの範囲、特に好ましくは2〜100nmの範囲、とりわけ3〜80nmの範囲である。特定の状況下においては、これらの層は有機粒子の場合よりも無機粒子の場合においてより薄膜化する。より厚膜の層は実際に有り得ることであり、原則として可能であるが、コーティングされた粒子がもはや分散できなくなった時点で限界に達する。
【0204】
伝導性ポリマーの所謂「付着促進粒子」の製造及び添加:
特に乳化重合により製造できる伝導性ポリマー系の少なくとも1つの所謂「付着促進粒子」もまた高バインダー含有量の混合物に添加することができる。これは金属表面への付着を向上させる分子あたり少なくとも1つの置換基を各々の場合有する少なくとも1つのデポ物質である。特に金属及びバインダーマトリックス界面への付着がこれにより向上することができ、腐食保護が増強される。「付着促進剤」もまた常時、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオンを含有するため、コーティングへの損傷の結果としての電位勾配の際には損傷領域へのそのようなアニオンの急速で短い移行が可能であるが、その理由は高バインダー含有量を有し、なお水を含有しているコーティングの金属表面への適用後に、「付着促進剤」は金属とバインダーマトリックスの界面に優先的にターゲティングされた態様において拡散し、これにより界面に特に近接して吸着されるためである(界面近接デポ)。その結果、「付着促進剤」は界面近接部でより濃縮されるのに対し、伝導性コーティングされた粒子は通常はコーティングの層の厚みに渡ってある程度均一に分布する。
【0205】
少なくとも1つの「付着促進剤」は、付着性の基により置換され、同じモノマー/オリゴマーから形成されているモノマー/オリゴマーの単位とのモノマー/オリゴマーのターゲティングされた共重合により製造できる。モノマー/オリゴマーはベンゼン、フラン、イミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系のものから選択できる。置換基はアルカン酸、例えばカルボン酸から、ホスホン酸、リン酸、硫酸及びその塩であって相互に独立して少なくとも6〜20C原子の少なくとも1つの未分枝鎖のアルキル鎖を有するものから選択でき、ここで少なくとも1つの二重鎖もまた形成できる。相互に独立して少なくとも1つのホスホン酸による少なくとも1つの置換を有するベンゼン、ビピロール、フラン、イミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノール系の置換されたモノマー/置換されたオリゴマーが特に好ましい。
【0206】
「付着促進剤」は個別に、本明細書に記載した製造及びコーティングの方法により、水−アルコール混合物、少なくとも1つの酸化剤、好ましくは個別の酸化剤の少なくとも部分的な代替としての酸化剤作用を有する可動性腐食保護アニオン少なくとも1つ、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、少なくとも1つのモノマー/オリゴマー及び付着性の基で置換されており、及び/又は同じモノマー/オリゴマーから形成されている少なくとも1つのモノマー/オリゴマーを有するものを通常は含む場合により粒子非含有の混合物中における乳化重合により、製造することができる。乳化重合は好ましくは室温、または、僅かに高値の温度において、そして、好ましくは2〜4の範囲のpHにおいて行う。この手段により、ドーピングされた伝導性ポリマーより大部分が、又は全体がなる調節可能な粒径の実質的に球形の粒子が通常は形成される。これらの粒子は従来より容易に分散可能である。これらを用いて製造した分散体は原則として安定であり、このため、それらは攪拌する必要はなく、そして粒子は又再分散させなくて良い。
【0207】
これらの「付着促進剤粒子」はコーティングされた向き及び/又は有機の粒子に追加して、又はその代替としてバインダー含有マトリックスに配合することができる。添加する「付着促進剤粒子」の量は広範に変動でき、即ち、それらは好ましくは固形物含有量に基づいて、高いバインダー含有量を有する組成物の0.01〜20重量%の量、特に好ましくは0.1〜10重量%、非常に好ましくは1〜5重量%の量で添加される。
【0208】
伝導性コーティング粒子の使用:
本発明の方法によりコーティングされた粒子又は伝導性ポリマーによりコーティングされた無機及び/又は有機の粒子は、腐食保護目的のため、帯電防止剤の荷電及び/又は汚染を回避するための表面のコーティングのため、センサー、電池中の電極材料として、触媒特性を有する電極材料として、伝導性コーティング及び組成物のための誘電性添加物として、電気絶縁における充填剤として、染料として、又は導体平滑化層用として、金属テープ、ワイヤ、異形材又はパーツの表面をコーティングするために使用することができる。
【0209】
本発明の系及び粒子の特定の利点及び意外な作用:
伝導性コーティングを製造するための本発明の方法は、非常に少量の比較的高価な出発材料を用いて大量の粒子を極めて単純な操作工程において、そして非常に多くのコーティング方法と比較して装置の費用を抑えながらコーティングすることができるため、専門用途に特に適している。しかしながら、同様のコーティングをもたらしていた従来技術の方法においては、金属表面への付着を向上させるためには、本発明の方法とは対照的に、シランのような付着促進物質の添加、出発材料内へのアルキル鎖のようなスペーサーの取り込み、ヒドロキシメチルセルロースのような水溶性ポリマー型の安定化剤の添加、及び/又は、酸化前の混合物への界面活性剤の添加が好都合である。混合物への付着促進剤の導入は従来技術による問題点を呈する場合が多く、その理由は特定の付着促進剤を各粒子型に対して開発しなければならないためである。酸化前の混合物への例えば界面活性剤の添加は本発明の方法においては従来より必要ない。
【0210】
伝導性ポリマーの粉末を有機組成物中に、例えばラッカー又はラッカー様の大半又は完全に有機性のコーティング内に導入する場合、明色コアを有さない粉末粒子の色は顕著に高濃度であり、そして有機性コーティングへの添加剤として、組成物はそれから形成されるコーティングに望ましくない色の印象やまだら又はむらの作用を与える場合がある。この方法で製造されたコーティングの電気伝導度は非均一であり、そして従って、不完全な、即ち局所的に異なる良好又は不良な腐食保護を与え;伝導性の経路が超越する伝達の閾値はこのような場合は高値である。
【0211】
意外にも、腐食領域への伝導性ポリマーからのアニオンの放出と移行、及び、例えば操作ケルビンプローブ(SKP)を用いた極めて特定の実験における本発明のコーティングの予測される腐食保護作用のみならず、腐食中の領域において放出された腐食保護アニオンの濃度、及び、例えば塩スプレー試験のような実用に即した試料及び実験を用いた巨視的レンジにおける伝導性ポリマーを含む有機コーティングによる金属基盤の腐食保護の有意な増強を明らかにすることができた。
【0212】
意外にも、有機又は無機の粒子をコーティングするための方法は、特に簡素であり、そして環境保護的なものである。この観点において、出発材料混合物数立方センチメートルで粒子の数キログラムをコーティングすることが可能であった。
【0213】
意外にも、今回、ナノ粒子のコーティングは特に良好に進行し、即ち、高いコーティング度であり、大部分は集塊化することがなかった。一方で、本発明の方法によれば意外にも良好に比較的粗放な粒子をコーティングすることが可能であったが、その理由は、これらの粒子上に、頻繁には閉鎖されたコーティングが、その粒径と分散困難性にも関わらず形成されたためである。
【0214】
意外にも、特にフィルム形成において伝導性ポリマーを含む粒子を用いながら高バインダー含有量の組成物中に特に容易に、均一に、そして、安定な態様において、伝導性ポリマーを分散させることが可能であった。
【0215】
意外にも、伝導性ポリマーの化学重合の場合に配合できるアニオンの選択はほぼ無限となる。
【0216】
意外にも、伝導性ポリマーによりコーティングされた粒子は広範なpH領域において液体媒体中に保存する間安定であり、そして予測よりも更に安定であったため、伝導性ポリマーの脱活性化は観察されなかった。
【0217】
意外にも、伝導性ポリマーを含む粒子は例外的な機械的安定性を有し、そのシェルの粒子に対する付着は極めて良好であったため、超音波処理の間であっても損傷は観察されず、そして超音波作用下に混合物中の粒子上の伝導性ポリマーの長時間持続する付着操作の場合であっても損傷または実質的な損傷は認められなかった。
【0218】
更に又、初期状態は安定な分散体であったものから保存中に容器の底部に沈殿又はゲル化したコーティング粒子を再分散させ、そして次に不都合を伴うことなくラッカー様の組成物の実質的に有機性の分散対に導入し、その後実質的に有機性のコーティングに配合することが可能であったことは意外であった。
【0219】
実施例及び比較実施例
以下に記載する実施例は例示のためにより詳細に本発明の用件を説明することを意図している。
【0220】
1.伝導性ポリマーの製造経路及び種々の組成の混合物による無機粒子のコーティング:
伝導性ポリマーの調製及び同時に無機粒子のコーティングを、反応に渡って50〜60℃の範囲で各々の場合一定に維持した温度においてワンポット過程において実施した。
【0221】
出発材料混合物は、蒸留水100mlにまずイソプロパノール及び各々の場合Al、BaSO、CaCO、CuO、SiO、SnO、アナターゼ又はルチル型のTiO、ZnO、粗放結晶性バイオタイト雲母、処理モンモリロナイト、水晶リッチ海砂、陶土及び更にはカラムクロマトグラフィーに適する前処理されたセルロース粉末から選択される粉末10〜15gを攪拌下に添加することにより製造した。次に濃硫酸0.1〜0.5mlを添加することによりpHを4〜6の範囲の値に調節し、ここでこの酸は同時にモリブデン酸及びモノマー/オリゴマーの可溶化剤としても作用させた。その後、室温においてイソプロパノール20〜50mlに溶解したモノマー/オリゴマー0.3mlを添加した。各々の場合出発材料はピロール、N−メチルピロール及びエチレンジオキシチオフェンから選択されるものとした。15〜20分の攪拌時間の後、約20%イソプロパンールのガン湯量を有する1.5〜3g/lの混合物温度まで予備加熱しておいたモリブデン酸水溶液(HMoO)を添加した。混合物を全反応時間に渡り攪拌した。30〜150分更に攪拌した後、分散体中に形成されたコーティングされた無機粒子及び伝導性ポリマー粒子を過剰な溶媒混合物及び酸化剤から濾過により分離した。その後、乾燥キャビネット中20〜30分間60〜80℃で粒子を乾燥した結果、乾燥フィルターケーキが形成された。フィルターケーキを乳鉢に注ぎいれ、10〜15分間実質的に均質となるように粉砕した。或いは、一部の場合においてはボールミルを使用した。粉砕された材料は完全に、及び部分的にコーティングされた無機粒子、コーティングされたシェルの単離された残渣、伝導性ポリマーの粒子、及び、非コーティング無機粒子を含んでいた(粒子混合物)。光学顕微鏡下においては、これは各々の場合、目視可能な粒子の約85〜95%が伝導性コーティングされた粒子であると推定された。原則として、この観点においては、5nm〜5mmの範囲の平均粒径を有する無機粒子を使用することが可能であった。無機粒子は、その性質により、粉砕中には粉砕されないか、又は、僅かな程度までしか粉砕されなかった。約100〜200nmより大型の粒子の場合は、無機粒子の粒径分布は実質的には単分散未満の広範な粒径分布の領域にあった。約100nm未満の粒子のみが実質的に球形であった。粒子上のコーティングは透過型電子顕微鏡下に観察した場合、2〜10nmの範囲の層厚みを有していた。伝導性ポリマーの含有量は熱重量分析により測定し、乾燥粒子混合物3〜10重量%の範囲にあった。電気伝導性とそれによる増大したドーピングが各実験において達成された。粒子上の伝導性ポリマーのコーティング(コア−シェル粒子)は良好に付着しており、これによりコーティングはまた超音波バス中においてさえも磨滅したり粉砕除去されることはなかった。多数の実験を実施したが、その内の僅かなものを表1においてデータとともに再現した。
【0222】
更に又、補助的実験において、粒子混合物を完全に無水のエタノール性溶液又は酢酸エチル溶液に導入し、そして超音波バス内で分散させることにより、次にこの分散体内に2つの金属シートを懸垂し、そして、コーティングされた伝導性粒子を、1〜5分間の時間に渡り2〜20mAの範囲の電流強度において10〜100Vの範囲の電圧下にカソード電気浸積コーティングの場合のようにカタホレシス作用を介してカソード金属シート上に析出させた。コーティングすべき金属本体については、カタホレシスは、アナホレシス及び電気分極化とは対照的に、カタホレシスに起因する腐食の危険性を呈することはなかった。これにより極めて均一で薄膜の付着性コーティングが、一部の場合においては粒子混合物を有する金属シートの両面上に完全に形成された。その後、コーティングされた金属シートを乾燥させた。層厚みは2〜15μmの範囲の値と推定された。金属シート上のこのコーティングは、例えば分散体として粒子混合物を被覆しなければならなかった場合よりも顕著に良好であった。金属表面のコーティングの構造は取り込まれたコーティング粒子の形態により実質的には判断した。この観点において、一部は過酷な処理の全段階において、伝導性ポリマーの特性、特にその電気伝導度、その化学的及び熱的な安定性、及び、その腐食保護特性が劣化していなかったことは意外であった。
【0223】
【表1】

【0224】
2.製造経路及び種々の組成の混合物による有機粒子のコーティング:
酸化剤を除き伝導性ポリマーの製造のための有機粒子及び場合により酸化特性は有さないがそのアニオンが腐食保護特性を有する塩を含めた全成分を有する水性出発材料混合物に場合により更にエタノール1〜10重量%を添加したものをまず室温で製造した。特定の組成は表2に示す通りである。塩が酸化特性を有し、そして塩のアニオンが腐食保護作用を有する場合は、ホモゲナイズ後にのみ塩を代わりに添加した。モリブデート又はタングステートを酸化剤として使用する場合は、出発材料混合物を50℃に加熱した後、pHが3より高値であればモリブデート又はタングステートを添加した。pHはリン酸で調節した。出発材料混合物を約20分間この温度で攪拌することにより成分の可能な集中的混合を行ったが、その理由は、他の方法では相分離が起こる可能性があったためである。溶液(出発材料混合物)の良好な均質性は酸化剤の添加時にすでに達成されていなければならなかった。
【0225】
使用した有機粒子は所定の組成及びガラス転移点Tgを有するポリスチレン、ポリスチレン/ブチルアクリレート又はポリブチルアクリレートであり、これらは水性分散体として添加した。有機粒子はほぼ単分散の粒径分布を有しており、大部分は球状であった。150〜500nmの範囲の平均粒径分布を選択することが可能であり、ガラス転移点Tg及び化学組成の両方とも、これらの分布の各々において変動させた。
【0226】
【表2】

【0227】
【表3】

【0228】
【表4】

【0229】
非コーティング及びコーティング有機粒子の平均粒径は走査電子顕微鏡下で測定した。電気伝導度はデポ伝導性粉末の圧縮片に対して2点法を用いることにより相互契合構造(櫛形電極)上で測定した。伝導性コーティング有機粒子は全て黒色であった。
【0230】
出発材料溶液のうち、ピロール及びN−メチルピロールを有するものが特に適していることがわかっており、特に好都合には50〜90重量%のスチレン含有量の比においてポリスチレン/ブチルアクリレート系の有機粒子に適用されている。モリブデート及びタングステートは酸化剤として、そして同時にアニオンとして好都合な特性を示している。モリブデート及びタングステートの場合は、伝導性ポリマーのほぼ最大のドーピングが、ポリマー単位に基づいて約28%まで可能であり好都合であることが重要であることがわかっている。
【0231】
実施例E21〜E28において、伝導性ポリマーのコーティングの層厚みは約5nm〜10nmにピロール含有量の増大とともに増大した。実施例E34においては、チオフェンをピロールの代わりに使用した。実施例35においては、E23とは対照的に、タングステートを添加した。実施例E36〜E40においては、E23、E35とは対照的に、モリブデートを使用した。可動性腐食保護アニオンの濃度は個々では高値であり、その結果デポ作用はより良好であった。実施例E41〜E48において、粒子の膜形成性は有機粒子の組成の変動のために変化し:E43及びE44においては膜形成性は最良であったのに対し、操作を実施した温度が室温未満ではない場合はガラス転移点T20℃未満においては膜形成性はもはやそれほど容易に制御できなくなった。実施例E50〜E57において、pH及び酸化剤を変動させ、モリブデートではpH値4及び5において、そしてタングステートではpH5において良好な結果が達成された。可動性腐食保護アニオンの可動性に関しては、E52、E53及びE57は最良のアニオン可動性を示すはずであり、その理由はこれらのアニオンは特に小型であり、そしてより高値のpH値においては大型のポリアニオンを形成する傾向は低下するためである。
【0232】
3.製造経路及び種々の酸化剤を用いた有機粒子のコーティング:
これらの実施例においては、操作法は第2の製造経路に関するものと実質的に同様とした。
【0233】
出発材料溶液は、まず平均粒径350nmの有機粒子の20重量%含有量を有するポリスチレン及び/又はポリブチルアクリレートの水性懸濁液の総量50gおよび1.4gの新しく蒸留したピロールを蒸留水50mlに添加することにより第1の作業工程において製造した。別の実験においては、ピロールをN−メチルピロールに交換した。溶液を20分間攪拌することにより室温で混合物をホモゲナイズした。
【0234】
次にa)ホスホモリブデート又はb)Hのような酸化剤0.1〜1モルを≦10−4モルのFe3+クロリドとともにH過剰において水50mlに溶解することにより酸化剤溶液を製造した。次にこの溶液を、出発材料溶液ホモゲナイズ後に滴下した。次に形成した混合物を4〜6時間室温で攪拌した。約10nmの厚みのポリピロールコーティングがこの方法により分散体中の有機粒子上に形成された。更に又、酸化剤を添加する前に、a)においては酸化剤のアニオンをポリピロール中、又は相当する誘導体中にドーピングイオンとしてインターカレーションさせ、一方b)においては酸化剤の添加の前に各々の場合において何れかの所望の腐食防止可動性アニオン(モリブデート、ヘキサフルオロチタネート、ヘキサフルオロジルコネート、タングステート)を更に出発材料混合物に添加した。
【0235】
次に反応混合物を二重蒸留水に対して10,000MWCOのセルロース膜上で48時間透析することにより、未反応の出発材料、酸化剤およびアニオンを分離除去した。粒子には5〜20nmの厚みの範囲のコーティングが与えられた。この方法により得られた分散体は6ヶ月を超えて安定であり、使用可能であった。
【0236】
4.伝導性ポリマー系の「付着促進剤粒子」の製造を行う製造経路:
室温において、5%エタノールを含有し、ピロールである同じモノマー/オリゴマーから形成されたモノマー/オリゴマーの付着性の基により置換されたモノマー/オリゴマー形である水性出発材料混合物を水溶液として製造した。10又は12C原子を有する未分枝鎖のアルキルホスホン酸を付着性の基として使用した。この観点において、可動性腐食保護アニオンの塩、アンモニアモリブデートを溶液に添加した。モリブデートは同時に酸化剤としても機能する。混合物を全時間に渡り攪拌した。操作は2.5〜4の範囲のpH値において実施し、pHはアルキルホスホン酸の含有量を介して設定した。付着促進基のpK値が出発材料混合物のpHを決定し、そして、混合物中の付着性基により置換されたモノマー/オリゴマーの見せる形勢を可能にする。乳化重合は攪拌しながら10〜24時間に渡って実施した。分散体を透析により精製することにより、大部分は過剰なアニオンを含有せず、酸化剤及び未反応のモノマー/オリゴマーは完全に含有しない「付着促進粒子」のアルコール含有水性懸濁物を得た。分散体は実質的に球形の「付着促進粒子」を含有しており、その粒径分布は本質的に単分散であり、その平均粒径は50〜400nmの範囲において所望の通りに調節することが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機及び/又は有機の粒子をコーティングするための方法であって、該粒子が混合物中に存在、及び/又は、それとして予め形成されており、ここで、該混合物は分散体、流動可能又は混練可能な組成物、ゾル及び/又はゲルである方法において、出発材料混合物と称される混合物が下記成分:
− 少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー(以後、「伝導性ポリマーの出発材料」又は単に「出発材料」と称する)、
これらは、芳香族及び/又は不飽和炭化水素化合物のモノマー及び/又はオリゴマーから選択され、それから電気的伝導性オリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーを形成するのに適したもの、
− 少なくとも1つの型のアニオン−場合により、これらのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、
ここで、伝導性ポリマー中のこの少なくとも1つの型のアニオンを、1.ドーピングイオンとして伝導性ポリマーの構造中に取り込むことが可能、及び/又は、取り込まれており、2.伝導性ポリマーの電位の低下(還元)があった場合にはこの構造から再度放出されることもでき、そして、3.金属表面が存在する場合は腐食保護作用(以後「可動性腐食保護作用」と称する)を有することができるもの、
− 少なくとも1つの型の粒子であって、クラスター、ナノ粒子、ナノチューブ、繊維性、螺旋状及び/又は多孔性の構造、10nm〜10mmの範囲の平均粒径を有する粒子、及びこれらの蓄積物、例えば集塊物及び/又は凝集物から選択されるもの、及び、
− 水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒及び場合により少なくとも1つの別の溶媒、
を含むことを特徴とし、
ここで少なくとも1つの単層の厚みを有するコーティングを粒子表面の少なくとも一部の上に出発材料混合物から形成し、該コーティングは実質的な含有量のモノマー及び/又はオリゴマー、並びに、適宜、少なくとも1つの別の出発材料混合物成分、及び/又は実質的な含有量の伝導性ポリマーを含み、
ここで分散体において、組成物において、ゾルまたはゲルにおいて、又は、場合により少なくとも液体の一部を分離除去した後に、エアロゾルにおいて、少なくとも一部のモノマー及び/又はオリゴマーを、少なくとも1つの酸化剤を用いて化学的に、電圧下に電気化学的に、及び/又は、電磁気放射の作用下に光化学的に、各々の場合において、少なくとも1つの型の可動性腐食保護アニオンの存在下、粒子のコーティングの前、最中及び/又は後に、酸化により反応させ、これにより少なくとも部分的に少なくとも1つのオリゴマー、及び/又は、場合により部分的又は完全に各々の場合少なくとも1つのポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーを水及び/又は少なくとも1つの他の極性溶媒を含む混合物として与え(「生成物」)、
ここで、この手段により形成されたオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー(以後「伝導性ポリマー」と称する)は少なくとも部分的に電気的伝導性であるか、及び/又は、より電気的伝導性となるものである方法。
【請求項2】
無機及び/又は有機の粒子をコーティングするための方法であって、該粒子が混合物中に存在、及び/又は、それとして予め形成されており、ここで、該混合物が分散体、流動可能又は混練可能な組成物、ゾル及び/又はゲルである方法において、その混合物が生成物混合物であり、そして下記成分:
− 少なくとも1つのオリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーを基礎とする電気的に「伝導性のポリマー」、
− 少なくとも1つの型のアニオン−場合により、これらのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、
ここで、伝導性ポリマー中のこの少なくとも1つの型のアニオンは、1.ドーピングイオンとして伝導性ポリマーの構造中に取り込むことが可能、及び/又は、少なくとも部分的に取り込まれており、2.伝導性ポリマーの電位の低下(還元)があった場合にはこの構造から再度放出されることもでき、そして、3.金属表面が存在する場合は腐食保護作用(以後「可動性腐食保護作用」と称する)を有することができるもの、
− 少なくとも1つの型の粒子であって、クラスター、ナノ粒子、ナノチューブ、繊維性、螺旋状及び/又は多孔性の構造、10nm〜10mmの範囲の平均粒径を有する粒子、及びこれらの蓄積物、例えば集塊物及び/又は凝集物から選択されるもの、及び、
− 場合により酸化剤、水、及び/又は、少なくとも1つの他の溶媒、
を含むことを特徴とし、
ここで少なくとも1つの単層の厚みを有するコーティングは粒子表面の少なくとも一部の上に生成物混合物から形成され、
ここで、形成されたオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー(以後「伝導性ポリマー」と称する)は少なくとも部分的に電気的伝導性であるか、及び/又は、より電気的伝導性となるものである方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、成分を混合する場合に、無機及び/又は有機の粒子の表面の少なくとも一部に1あるいは複数の出発材料の少なくとも単層が形成されるまでは混合物は酸化剤を含有しないことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の方法において、成分を混合する場合に、粒子の表面の少なくとも一部に、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、及び、適宜、酸化剤の少なくとも単層が形成されるまでは混合物は伝導性ポリマーの出発材料を含有しないように維持されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、単層の形成の前又は最中に酸化剤として作用しない少なくとも1つのアニオンを混合物に添加することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、出発材料混合物及び/又は生成物混合物が、下記成分:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.001〜20重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン及び/又はこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量はアニオンとして計算して0.05〜50重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.05〜50重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は1〜95重量%の範囲であり、
− ここで全てのこれらの含有量及び場合によりここで言及しない任意の別の添加剤は、溶媒を除き合計100%となり、及び、
− 出発材料用、アニオン用及び/又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで溶媒の含有量は1から100重量%を超えて記載される5000重量%までの範囲であり、
− ここで固体の合計は、場合により後にモノマー/オリゴマー又は酸化剤が添加されている場合に、100重量%となる、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項の1項に記載の方法であって、出発材料混合物及び/又は生成物混合物が、下記組成:
− 場合により出発材料混合物の少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー0.001〜0.5モル/l、ただし高濃度がコーティングされた粒子の集塊化をもたらさないもの、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、場合によりこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、0.01〜1モル/l、ここで各々の場合アニオンとして計算したもの、
− 場合により、出発材料の量の1〜5倍の少なくとも1つの酸化剤、
− 無機及び/又は有機の粒子1〜96重量%、好ましくは各々の場合少なくとも1つの化学物質であるもの、
− ここで全てのこれらの含有量及び場合によりここで言及しない任意の別の添加剤は、場合により後にモノマー/オリゴマー又は酸化剤が添加されている場合に、溶媒を除き合計100%となり、及び、
− 出発材料用、アニオン用及び/又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで含有量は2から100重量%を超えて記載される4000重量%までの範囲である、
を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法であって、出発材料混合物及び/又は生成物混合物が、下記組成:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は1〜25重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン及び/又はこのアニオンの担体としての少なくとも1つの塩、1つのエステル及び/又は少なくとも1つの酸、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は1〜35重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は1〜40重量%の範囲であり、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は35〜95重量%の範囲である、
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法であって、出発材料混合物及び/又は生成物混合物が、下記組成:
− 場合により少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つのオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.5〜18重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、ここで可動性腐食保護アニオンの含有量は0.5〜35重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.2〜30重量%の範囲であり、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は10〜40重量%の範囲である、
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法であって、生成物混合物が、下記組成:
− 少なくとも1つの伝導性ポリマー、ここで生成物の含有量は1〜25重量%の範囲であり、及び、
− 少なくとも1つの型の無機及び/又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は35〜95重量%の範囲である、
を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法であって、無機粒子が、各々の場合少なくとも1つの臭化物、炭化物、炭酸塩、銅酸塩、鉄酸塩、フッ化物、フルオロケイ酸塩、ニオブ酸塩、窒化物、酸化物、リン酸塩、リン化物、ホスホケイ酸塩、セレン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硫化物、テルル化物、チタン酸塩、ジルコン酸塩から、少なくとも1つの型の炭素、少なくとも1つの合金、少なくとも1つの金属、及び/又は、混合結晶、その混合物及び/又は連晶を実質的に含む少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法であって、無機粒子が実質的に少なくとも1つの物質、特に実質的に各々の場合少なくとも1つのアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属チタン酸塩、アルカリ土類金属ジルコン酸塩、SiO、アルミニウム含有ケイ酸塩、雲母、粘土鉱物、ゼオライト、SiO及び/又はケイ酸塩を基礎とするフレーク、アルミニウム、鉄、カルシウム、銅、マグネシウム、チタン、亜鉛、スズ及び/又はジルコニウムの含有量を有する酸化物を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法であって、伝導性ポリマーを含む有機粒子が優先的に、又は、完全に、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、セルロース、ポリエポキシド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、シロキサン、ポリシロキサン、ポリシラン及びポリシラザンを基礎とするポリマーよりなる群から選択されるものであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法であって、液体を添加する、又は、混合物への添加の前に、粒子を粉砕、乾燥及び/又は焙焼すること特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法であって、モノマー及び/又はオリゴマーがX=N及び/又はSである複素環化合物のモノマー及び/又はオリゴマーから選択され、それから電気的伝導性オリゴマー/ポリマー/コポリマー/ブロックコポリマー/グラフトコポリマーを形成するのに適していることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法であって、モノマー及び/又はオリゴマーがイミダゾール、ナフタレン、フェナントレン、ピロール、チオフェン及び/又はチオフェノールを基礎とする未置換及び/又は置換された化合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法であって、未置換又は置換された化合物がビチオフェン、ターチオフェン、アルキルチオフェン、エチレンジオキシチオフェン、アルキルピロール及び/又はポリパラフェニレンを基礎とするモノマー及び/又はオリゴマーから選択されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法であって、選択されるモノマー/オリゴマーがベンズイミダゾール、2−アルキルチオフェノール、2−アルコキシチオフェノール、2,5−ジアルキルチオフェノール、2,5−ジアルコキシチオフェノール、1−アルキルピロール、1−アルコキシピロール、3−アルキルピロール、3−アルコキシピロール、3,4−ジアルキルピロール、3,4−ジアルコキシピロール、1,3,4−トリアルキルピロール、1,3,4−トリアルコキシピロール、1−アリールピロール、3−アリールピロール、1−アリール−3−アルキルピロール、1−アリール−3−アルコキシピロール、1−アリール−3,4−ジアルキルピロール、1−アリール−3,4−ジアルコキシピロール、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3,4−ジアルキルチオフェン、3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1つの化合物であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法であって、モノマー及び/又はオリゴマー及びそれから形成されるオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーの置換が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、カルボキシ、カルボキシレート、アミン、アミノ、アミド、第1級アンモニウム、イミン、イミド、ホスホネート、ジホスホネート、メルカプト、スルホン、スルホネート、アリール及び/又は未分枝鎖又は分枝鎖のアルキル鎖であって更に置換を有するか有さないものによるものであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法であって、比較的緩い分子構造を有する出発材料を混合物に添加するか、及び/又は、形成された伝導性ポリマーの少なくとも1つが比較的緩い分子構造を有し、これにより、伝導性ポリマーの細孔系のより大きい平均孔径がもたらされることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法であって、水溶性であり、好ましくはその酸化後には水溶性がもはや存在しないか僅かのみである出発材料を混合物に添加することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの型のアニオンを担持する、及び/又は担持することができる、ポリフェニレン、ポリフラン、ポリイミダゾール、ポリフェナントレン、ポリピロール、ポリチオフェン及び/又はポリチオフェニレンを基礎とする生成物が混合物中に形成されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つのアニオンがカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、オキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、二置換及び/又は三置換アレーンカルボン酸、メタ、オルト及び/又はパラ置換されたアレーンカルボン酸、アミノ、ニトロ、SOH(スルホン)及び/又はOH基を含有するアレーン酸、スルホン酸、鉱物性のオキシ酸、ホウ素含有酸、マンガン含有酸、モリブデン含有酸、リン含有酸、ホスホン酸、フルオロケイ酸、ケイ酸、希土類及び/又はイットリウムの少なくとも1つの元素の含有量を有する酸、イオウ含有酸、チタン含有酸、バナジウム含有酸、タングステン含有酸、スズ含有酸、ジルコニウム含有酸系、これらの塩、これらのエステル及びこれらの混合物を基礎とするアニオンから選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つのアニオンがアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、安息香酸、コハク酸、テトラフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸、没食子酸、ヒドロキシ酢酸、ケイ酸、乳酸、モリブデン酸、ニオブ酸、ニトロサリチル酸、シュウ酸、ホスホモリブデン酸、リン酸、ホスホケイ酸、フタル酸、サリチル酸、タンタル酸、バナジウム酸、酒石酸、タングステン酸、これらの塩、これらのエステル及びこれらの混合物を基礎とするアニオンから選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの可動性腐食保護アニオン、例えばTiF2−、ZrF2−、CeO4−、MnO、MnO2−、MoO2−、MoO4−、VO2−、WO2−又はWO4−がリガンドの交換、原子価の変化および/または溶解度の変化を起こし、そして、欠陥領域及び/又はデラミネーション前線領域において酸化物性保護層を形成することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つのアニオンがカルボキシレート、錯フッ化物、モリブデート、ニトロ化合物、リン含有オキシアニオン、ポリシロキサン、シラン、シロキサン及び/又は界面活性剤から選択されることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つのアニオンが伝導性ポリマーの細孔系の平均孔径より大きくない直径を有し、ここでこの直径は好ましくは細孔系の平均孔径より少なくとも8%小さいことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法であって、形成されるべきコーティングの電気的伝導性を、伝導性ポリマー中の少なくとも1つのアニオンの濃度を増大させることにより増大させることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1から28までのいずれか1項に記載の方法であって、形成されるべきコーティングの電気的伝導性を、種々の原子価段階をとることができ、そして他の原子価段階に容易に変化する少なくとも1つのアニオンの添加により増大させることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項1から29までのいずれか1項に記載の方法であって、場合により保護されるべき、そしてコーティングされた無機粒子を含むコーティングでコーティングされる金属表面のために、金属表面に対する腐食保護作用を更に有するアニオンを添加することを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項1から30までのいずれか1項に記載の方法であって、場合により保護されるべき、そしてコーティングされた無機粒子を含むコーティングでコーティングされる金属表面のために、金属表面に対するデラミネーション抑制作用を更に有するアニオンを添加することを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法であって、形成されるべきコーティングの電気的伝導性を、酸化剤、出発材料の濃度を増大させることにより、及び/又は適当なアニオンサイズの少なくとも1つのアニオンを添加することにより増大させることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項に記載の方法であって、H、例えば過酸化バリウム、過酢酸、過安息香酸、過マンガン酸、過オキソモノ硫酸、過オキソジ硫酸、ルイス酸、モリブデン酸、ニオブ酸、タンタル酸、チタン酸、タングスタン酸、ジルコニウム酸、イットリウム含有酸、ランタニド含有酸、Fe3+含有酸、Cu2+含有酸系、それらの塩、それらのエステル及び/又はそれらの混合物を基礎とする酸化剤少なくとも1つを添加することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項1から33までのいずれか1項に記載の方法であって、酸、その塩系の化合物少なくとも1つが複数の原子価段階において存在でき、及び/又は過酸化物及び/又は過酸を基礎とする化合物少なくとも1つを酸化剤として使用することを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1から34までのいずれか1項に記載の方法であって、添加される液体少なくとも1つが0〜200℃、2〜160℃、又は、5〜95℃の温度範囲において液体である溶媒であることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法であって、添加される液体少なくとも1つが双極性非プロトン性、双極性プロトン性、及び、非極性の液体から選択される少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項1から36までのいずれか1項に記載の方法であって、添加される液体少なくとも1つがアセトニトリル、クロロホルム、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、トルエン、酢酸エチル及び水から選択される少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1から37までのいずれか1項に記載の方法であって、形成されるべき伝導性のオリゴマー、ポリマー、コポリマー及び/又はグラフトコポリマーの平均孔径が、容易に蒸発させられる有機液体の添加により、形成されるべき電気伝導性のポリマーの膨潤を増大させることにより増大させることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項1から38までのいずれか1項に記載の方法であって、ポリ(1−アルキルピロール)(P1APy)、ポリ(1−アルコキシピロール)(P1AOPy)、ポリ(3−アルキルピロール)(P3APy)、ポリ(3−アルコキシピロール)(P3AOPy)、ポリ(1−アリールピロール)(P1ArPy)、ポリ(3−アリールピロール)(P3ArPy)、ポリ(3−アルキルチオフェン)(P3ATH)、ポリ(3−アルコキシチオフェン)(P3ATH)、ポリ(3−アリールチオフェン)(P3ArTH)、ポリ(3−アルキルビチオフェン)、ポリ(3,3’−ジアルキルビチオフェン)、ポリ(3,3’−ジアルコキシビチオフェン)、ポリ(アルキルターチオフェン)、ポリ(アルオキシターチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリ(ベンゾ[b]チオフェン)(PBTH)を基礎とする化合物から選択される少なくとも1つのオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーを生成物として製造及び/又は組成物に添加することを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項1から39までのいずれか1項に記載の方法であって、形成されるべき伝導性のオリゴマー、ポリマー、コポリマー及び/又はグラフトコポリマーの平均孔径を、コーティングの形成の間、及び/又は、混合物の乾燥の間に、比較的高温に調整することにより増大させることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1から40までのいずれか1項に記載の方法であって、添加剤を混合物に添加し、それが場合により少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの保護コロイド、例えばポリビニルアルコール、少なくとも1つの酸捕捉剤、例えばアンモニア又はアセテート、及び/又は少なくとも1つの錯形成剤、例えばアンモニア、クエン酸、EDTA又は乳酸であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項1から41までのいずれか1項に記載の方法であって、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリスチレンスルホネート、ポリエチレンオキシド、ポリアルキルスルホネート、ポリアリールスルホネート、アニオン系及び/又はカチオン系の界面活性剤、第4級アンモニウム塩及び第3級アミンを基礎とする水溶性ポリマーから選択される少なくとも1つの安定化剤を混合物に添加することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の方法であって、混合物を傾瀉、濾過及び/又は凍結乾燥により、特に濾過を伴った回転乾燥により、及び/又はガス循環及び/又は熱により、特に200℃まで、または好ましくは150℃まで、又は120℃までの温度で乾燥することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項1から43までのいずれか1項に記載の方法であって、乾燥中、液体の総量は除去されないが、無機非コーティング粒子の含有量に対して、0.1〜12重量%の範囲の液体含有量が保持されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項1から44までのいずれか1項に記載の方法であって、コーティングされた無機粒子を短時間粉砕及び/又は穏やかな作用により粉砕して、所謂ケーキ状物、集塊物及び/又は場合により凝集物を分解及び/又はそれらを注入可能とするか、及び/又は分篩することを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項1から45までのいずれか1項に記載の方法であって、無機粒子をまず傾瀉、濾過及び/又は乾燥し、そして、取り込まれたアニオン及び安定化のために伝導性ポリマーにとって必要である酸化剤が実質的に全く溶出しないように、溶出可能である成分を後に伝導性コーティングから抽出することを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項1から46までのいずれか1項に記載の方法であって、伝導性ポリマーでコーティングされた粒子が更にコーティングを施されることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項1から47までのいずれか1項に記載の方法であって、伝導性ポリマーでコーティングされた粒子を有機及び/又は有機の組成物又は分散体内に導入することを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の組成を有する粒子のコーティングのための混合物。
【請求項50】
請求項49記載の混合物であって、下記成分:
− 少なくとも1つのモノマー及び/又はオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.1〜30重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つのアニオン、ここでアニオンの含有量は0.1〜40重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.1〜30重量%の範囲であるもの、
− 少なくとも1つの型の無機又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は30〜98重量%の範囲であり、
− ここで全てのこれらの含有量及び場合によりここで言及しない任意の別の添加剤は、溶媒を除き合計100%となり、及び、
− 出発材料用及び/又はアニオン用又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで含有量は1から100重量%を超えて記載される4000重量%までの範囲である、
を含むことを特徴とする混合物。
【請求項51】
請求項49又は50記載の混合物であって、下記成分:
− 少なくとも1つのモノマー及び/又はオリゴマー、ここで出発材料の含有量は0.5〜18重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つのアニオン、ここでアニオンの含有量は0.5〜35重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.2〜30重量%の範囲であり、及び、
− 少なくとも1つの型の無機又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は10〜40重量%の範囲である、
を含むことを特徴とする混合物。
【請求項52】
請求項49から51までのいずれか1項に記載の混合物であって、下記成分:
− 少なくとも1つのモノマー及び/又はオリゴマー、ここで出発材料の含有量は1〜25重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つのアニオン、ここでアニオンの含有量は1〜35重量%の範囲であり、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、ここで酸化剤の含有量は0.1〜40重量%の範囲であり、及び、
− 少なくとも1つの型の無機又は有機の粒子、ここで粒子の含有量は35〜95重量%の範囲である、
を含むことを特徴とする混合物。
【請求項53】
伝導性ポリマーを含むコーティングの組成物であって、下記成分:
− 少なくとも1つのオリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマー、ここで伝導性ポリマーの含有量は0.1〜30重量%の範囲であり、
− 少なくとも1つのアニオン、ここでアニオンの含有量は0.1〜40重量%の範囲であり、これは少なくとも部分的には伝導性ポリマーに配合されており、
− 場合により少なくとも1つの酸化剤、及び、
− 少なくとも1つの型の粒子、ここで特に無機粒子の含有量は30〜98重量%の範囲であり、
− ここで全てのこれらの含有量は、場合によりここで言及しない任意の別の添加分も含めるが溶媒を除き、合計100%となり、及び、
− 場合により、特に生成物、アニオン及び/又は酸化剤用の溶媒少なくとも1つ、ここで含有量は0.1から100重量%を超えて記載される4000重量%までの範囲である、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項54】
伝導性ポリマーでコーティングされた無機及び/又は有機の粒子であって、伝導性ポリマーが実質的に酸化された電気的に伝導性の状態にあり、そして可動性腐食保護アニオンの含有量及び場合により付着促進アニオンの含有量が伝導性ポリマーに配合されていることを特徴とする粒子。
【請求項55】
請求項1から48までのいずれか1項に記載の方法により製造された伝導性ポリマーでコーティングされた無機および/または有機の粒子。
【請求項56】
請求項53記載の組成を有するコーティングを有する伝導性ポリマーでコーティングされた無機および/または有機の粒子。
【請求項57】
チタン及び/又はジルコニウムを含有するアニオンを有する伝導性ポリマーを基礎とするコーティングを有する伝導性ポリマーでコーティングされた無機および/または有機の粒子。
【請求項58】
腐食保護用、帯電防止剤の荷電及び/又は汚染を回避するための表面のコーティング用、センサー、電池中の電極材料として、触媒特性を有する電極材料として、伝導性コーティング及び組成物のための誘電性添加物として、電気絶縁における充填剤として、染料として、又は導体平滑化層用の目的のための、金属テープ、ワイヤ、異形材又はパーツの表面をコーティングするための請求項1から48までのいずれか1項に記載の方法によりコーティングされた粒子の使用。
【請求項59】
腐食保護用、帯電防止剤の荷電及び/又は汚染を回避するための表面のコーティング用、センサー、電池中の電極材料として、触媒特性を有する電極材料として、伝導性コーティング及び組成物のための誘電性添加物として、電気絶縁における充填剤として、染料として、又は導体平滑化層用の目的のための、金属テープ、ワイヤ、異形材又はパーツの表面をコーティングするための請求項54から57までのいずれか1項に記載のコーティングされた粒子の使用。

【公表番号】特表2008−508411(P2008−508411A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524258(P2007−524258)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008314
【国際公開番号】WO2006/015757
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(500399116)ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
【住所又は居所原語表記】Trakehner Str. 3, D−60487 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】