説明

伝導性高分子組成物およびこれを用いた伝導性フィルム

【課題】低い面抵抗値を有する伝導性高分子組成物および透明フィルムを提供する。
【解決手段】伝導性高分子、液晶高分子、および極性溶媒を含んでなる伝導性高分子組成物を提供することにより、通常の伝導性高分子とは異なり、バインダーの使用を遮断または最小化して伝導度特性の低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導性高分子組成物およびこれを用いた伝導性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、各種家電機器および通信機器がデジタル化され、急速に高性能化されるにつれて、携帯可能なディスプレイの実現が切実に要求されている。携帯可能なディスプレイを実現するためには、ディスプレイ用電極材料は透明で低い抵抗値を示すうえ、機械的に安定するように高い柔軟性を示さなければならず、基板の熱膨張係数と類似した熱膨張係数を持っており、機器過熱または高温の場合でも短絡し或いは抵抗の変化が大きくてはならない。
現在、ディスプレイ用として最も多用されている電極は、インジウム−錫酸化物(ITO)、アンチモン−錫酸化物(ATO)などのTCO(透明伝導性酸化物)である。これは通常のスパッタリング方式で蒸着され、工程が複雑であるうえ、費用が高いという問題点を持っている。ITO電極は次のような問題点を持つ。
1.ITOは、無機物で成形するとき、亀裂発生度が相当高い。
2.ITOの主原料であるインジウムは、資源が限定された鉱物であって、平板ディスプレイ市場の拡大に伴って急速に枯渇している物質である。
3.最近脚光を浴びているタッチスクリーン用途として使用するために、フィルムへの適用の際にややこしい工程および自体特性の限界により製作が容易でないという問題点がある。
前記ITOの欠点により、代替物に対する多様な研究が行われている。特に、伝導性高分子は柔軟性や単純工程による低価化などの利点により多くの関心を浴びている。伝導性高分子は、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどを挙げることができる。ポリチオフェン誘導体のうち、PEDOT/PSSと略称されるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸錯体は、Bayer社(商品名:Baytron P)によって開発されて帯電防止用フィルムに既に多く使用されている。しかし、このPEDPT/PSS組成物は、面抵抗が105〜109Ω/□の水準であって、ITO代替剤としての特性を満たしていない。また、伝導度特性の向上のためにジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ソルビトールなどの溶媒を添加して効果を得ることができるという研究内容が多数登場している。ところが、依然としてITOの代替水準には及ばず、且つフィルム化を進行する場合に不可避に使用されるバインダーにより伝導度特性の低下がさらに激しくなる。その他の伝導性高分子もこのような欠点を持つ。
特許文献1では、導電性ポリマー組成物として、PEDOTに酸素含有有機化合物(窒素含有を除く)などを添加したものを使用しているが、伝導性層を形成するにおいて、接着力を持つ高分子に関する内容については開示および示唆がない。
また、前記特許の前記組成物からなる透明導電膜の場合、10,000Ω/□以下の面抵抗値を持つが、これもITO代替剤としては不十分であると判断される。
よって、依然として、ディスプレイ、タッチパネル等の透明電極への使用に適した面抵抗値の低い伝導性高分子に対する要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許第0692474号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、その目的とするところは、液晶高分子を添加して伝導度特性が優れた伝導性高分子組成物および透明フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の好適な実施例に係る伝導性フィルムは、伝導性高分子、液晶高分子、および溶媒を含んでなることを特徴とする。
ここで、本発明は、前記伝導性高分子組成物は伝導性高分子15重量%〜70重量%、液晶高分子0.1重量%〜20重量%及び溶媒20重量%〜75重量%を含むことを特徴とする。
なお、本発明の前記液晶高分子は5重量%〜10重量%の範囲で添加されることを特徴とする。
なお、本発明の前記液晶高分子はアクリル系液晶高分子であることを特徴とする。
なお、本発明の前記アクリル系液晶高分子は1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼンであることを特徴とする。
なお、本発明の前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンと1,6-ヘキサンジオルジアクリレート(HDDA)の混合物であり、混合比が1:1〜5 :1であることを特徴とする。
なお、本発明の前記伝導性高分子はポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)であることを特徴とする。
なお、本発明の前記溶媒は脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸アミド、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトニトリル、脂肪族スルホキシド、水またはこれらの混合物であることを特徴とする。
なお、本発明の前記伝導性高分子組成物は第2ドーパント、分散安定剤及びバインダーよりなる群から選ばれる一つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする。
なお、本発明は、前記第2ドーパントは、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−ジメチルアセトアミドよりなる群から選ばれる一つ以上の極性溶媒であることを特徴とする。
なお、本発明は、前記分散安定剤はエチレングリコールまたはソルビトールであることを特徴とする。
【0006】
本発明の好適な実施例に係る伝導性フィルムは、ベース部材と前記ベース部材に伝導性高分子、液晶高分子及び溶媒を含む伝導性高分子組成物をコーティング及び乾燥して形成された透明電極とを含むことを特徴とする。
ここで、本発明の前記液晶高分子はアクリル系液晶高分子であることを特徴とする。
なお、本発明の前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3-(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンであることを特徴とする。
なお、本発明の前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンと1,6-ヘキサンジオルジアクリレート(HDDA)の混合物であり、混合比が1:1〜5 :1であることを特徴とする。
なお、本発明の前記伝導性高分子はポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)であることを特徴とする。
なお、本発明の前記伝導性高分子組成物は第2ドーパントをさらに含むことを特徴とする。
なお、本発明の前記第2ドーパントは、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−ジメチルアセトアミドよりなる群から選ばれる一つ以上の極性溶媒であることを特徴とする。
なお、本発明の前記透明電極は10乃至1000 Ω/□面抵抗値を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の特徴及び利点は以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る伝導性高分子組成物及び伝導性フィルムは、液晶高分子を含み、液晶高分子の高い分子秩序度の特性により伝導度が向上される。
なお、液晶高分子は、バインダー機能を同時に遂行し、追加的なバインダーの添加を省略または最小化することにより、伝導度特性が向上される。
なお、液晶高分子は、アクリル系液晶高分子として高分子重合が容易である。
また、本発明の伝導性高分子フィルムは、10〜1,000Ω/□の面抵抗値を有することにより、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル、電子新聞、OLED(Organic Light Emitting Diodes)などの全てのディスプレイ素子の電極用として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好適な実施例による伝導性フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は添付図面に基づいた以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。なお、本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の好適な実施例による伝導性高分子組成物は、伝導性高分子、液晶高分子、および溶媒を含んでなる。本発明に係る伝導性高分子組成物は、バインダーの役割を果たし且つ伝導度特性の向上をもたらすことが可能な伝導性高分子組成物に関するもので、液晶高分子(liquid crystal polymer)を含むことを特徴とする。
【0012】
液晶高分子は、液晶性と高分子の特性を同時に示す化合物である。液晶は、固体と液体との中間状態(intermediate state)であって、固体とは異なり、位置秩序(positional order)はないが配向秩序(orientational order)を持つことにより固有の特性を示し、何の秩序度(order)もない液体とは差別化される性質を示す。
通常、伝導性高分子の伝導度を向上させるためには第2ドーパントと呼ばれる極性溶媒を主に使用するが、この場合にも1,000Ω/□の面抵抗が実現可能な限界値であった。また、フィルム特性の確保のために添加剤としてバインダーを使用することが不可避であるが、バインダー使用の場合、面抵抗特性の低下を回避することができない。
しかし、本発明でのように液晶高分子を添加する場合、バインダーの使用を遮断または最小化することが可能な追加利点により伝導度特性の低下を防止することができる。
前述したように、液晶高分子は、液晶固有の配向秩序特性をそのまま保有しており、これにより伝導性高分子組成物と混合してコートする場合、伝導性高分子の形態および配列に影響を及ぼす。よって、液晶高分子の高い秩序度により伝導性高分子の秩序度も上昇すると同時に、このような組成物からなるフィルムの伝導度を急激に高めることができる。
この際、液晶高分子はアクリル系液晶高分子はであることが好ましい。 アクリル系液晶高分子は値段が安く、高分子重合が容易であるという利点がある。アクリル系液晶高分子としては、1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼン(Merck社のRM257またはMerck社のRM82)などを使用することができる。
なお、液晶高分子は 1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼンと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)などの等方性モノマーと混合物であってもよい。1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を添加する場合、伝導性高分子組成物の加工性が向上される利点がある。 伝導性高分子組成物の伝導度特性を考慮する時、1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼンと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)の混合比は1:1〜5:1であることが好ましい。
ただ、本発明の液晶高分子は、上述のアクリル系液晶高分子に限定されない。液晶高分子を重合された形態で使用するとか、又はモノマー形態で添加して使用してもよい。
【0013】
液晶高分子は、前記伝導性高分子組成物の重量に基づいて0.1重量%〜20重量%範囲、好ましくは5重量%〜10重量%範囲で含まれる。前記液晶高分子が5重量%未満で含まれる場合には液晶高分子の使用による伝導度向上および接着性向上の効果が微々であり、20重量%超過して使用される場合には、相対的に伝導性高分子および溶媒などの使用が足りなくて伝導度特性の低下などの欠点がある。
【0014】
本発明の伝導性高分子組成物は、高分子組成物の原液に液晶高分子を直接混合して使用してもよく、ペース部材に塗布した後で使用してもよい。
伝導性高分子は炭素原子1個当り一つのπ―電子を有する電気伝導性を帯びる高分子として、一般的に約10,000以上の分子量を有する。伝導性高分子は既存のITO(Indium Tin Oxide)と比べ軽量であり、かつ柔軟性が高い薄膜が得られる利点がある。このような伝導性高分子は、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリフェニレン系、ポリアニリン系またはポリアセチレン系の何れかの一つであることができる。
この際、好ましくはポリチオフェン系伝導性高分子はポリエチレンジオキシテオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)である。具体的に(株)H.Cスタルク社のクレビオスP(Clevios P) 製品を用いる。前記ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)は第1 ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープィングされており、水によく溶ける性質を示し、熱的安全性が非常に優れる。
なお、伝導性高分子は15重量%〜70重量%が含まれる。好ましくは25重量%〜65重量%で用いる。前記伝導性高分子が15 重量%未満の場合、追加的なドーパントで極性溶媒を使っても 1kΩ/m2 以下の伝導性を実現し難い。また、70 重量%を超過する場合には、コーティング加工性が容易くない。
【0015】
本発明の伝導性高分子組成物の分散液として使用される溶媒は、1種以上の溶媒が使用できる。例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノールおよびブタノールなどの脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン;脂肪族カルボン酸エステル;脂肪族カルボン酸アミド;芳香族炭化水素;脂肪族炭化水素;アセトニトリル;脂肪族スルホキシド;水;またはこれらの混合物である。
なお、溶媒は伝導性高分子組成物に20重量%〜75重量%で含み、好ましくは25重量%〜70重量%を含む。溶媒が10重量% 未満の場合、伝導性高分子の溶液中の分散性が劣り、75重量%超過する場合には伝導性高分子組成物の伝導度が減少される。
ここで、伝導性高分子組成物は第2 ドーパント、分散安定剤及びバインダーからなる群から選ばれた一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
なお、前記第2ドーパントは、極性溶媒として伝導度特性を向上させるために含まれる。前記2次ドーパントとしての極性溶媒は、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−ジメチルアセトイミドよりなる群から選ばれた一つ以上である。 第2ドーパントは 0.5重量%〜5重量%を含み、好ましくは1.5重量%〜4重量%が含まれる。第2ドーパントが 0.5重量%未満の場合、電気伝導度向上效果が微々であり、5重量%超過する場合、第2ドーパント追加による電気伝導度向上效果がないので、ドーパントが浪費されることができる。
また、本発明の伝導性高分子組成物は分散安定剤をさらに含むことができる。前記分散安定剤としてはエチレングリコール、ソルビトールなどが使用できる。第2ドーパントとして極性溶媒だけ単独で用いる場合より分散安定剤を共に用いることが電気伝導度向上效果が高い。分散安定剤は0.5重量%〜7重量%含み、好ましくは1重量%〜5重量%が含まれる。
バインダーはベース部材と伝導性高分子組成物との接着力を高めるために添加される。 例えばアクリル系、エポキシ系、エステル系、ウレタン系、エーテル系、カルボキシル系、アミド系などが使用可能であり、使用されるベース部材の種類によって容易に選択可能である。
それだけでなく、結合剤、界面活性剤、消泡剤などもさらに添加できる。
【0016】
本発明の好ましい実施例による伝導性フィルムは、図1に示したようにベース部材(10)と上記ベース部材(10)に伝導性高分子、液晶高分子及び溶媒を含む伝導性高分子組成物をコーティング及び乾燥して形成した透明電極(20)から構成される。以下、伝導性フィルムの構成要素別に説明する。先に説明した部分と重複される部分は略するとか簡略に言及する。
透明電極(20)は、図1に示したようにベース部材(10)上に形成され、液晶高分子を含んで伝導度特性が優れる。また、液晶高分子はバインダーの機能を遂行することによって、追加的なバインダーの使用を省略するとか最小化することができるので、透明電極(20)の伝導度の低下を阻むことができる。
この際、液晶高分子はアクリル系液晶高分子のものが好ましい。アクリル系液晶高分子としては、1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼン(Merck社のRM257またはMerck社のRM82)などを使用することができる。
また、液晶高分子は1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼンと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)などの等方性モノマーと混合物であってもよい。
また、本発明による伝導性フィルムは第2ドーパントをさらに含む伝導性高分子組成物を用いて形成したものであってもよい。第2ドーパントは透明電極(20)の追加的な伝導度向上のために含まれる。第2ドーパントは、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−ジメチルアセトアミドよりなる群から選ばれる一つ以上の極性溶媒であってもよい。
本発明による透明電極(20)は10〜1000Ω/□の面抵抗値を有することによって、伝導度特性が優れ、ディスプレー、タッチパネル等にITОの代替物質として用いることができる。
本発明に係る伝導性組成物がコートされるベース部材(10)は、ガラス、強化ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、環状オレフィン高分子(COC)のいずれか一つまたはこれらの混合材質からなってもよい。
また、前記透明基板は、10〜1500μmの厚さを有することが好ましい。前記透明基板の厚さがあまり薄ければ、基板として支持役割を果たすことができず、前記透明基板の厚さがあまり厚ければ、全体タッチスクリーンの厚さを厚くするという問題点がある。
コーティング方法としては、スピンコーティング、バーコーティング、スプレーコーティング、インクジェットプリンティング、スプレーディングまたは浸漬法などが使用できる。
【0017】
また、伝導性物質の接着力を向上させる方案として、前記透明基板上にUV(紫外線)照射またはコロナ処理またはプライマー処理を施すことができる 。
【実施例】
【0018】
実施例1〜5
表1に示した成分と重量%で伝導性高分子組成物を製造した。
伝導性高分子としてPEDOT/PSS水溶液を入れて攪拌しながら添加剤を加え、約1時間均一に混合して伝導性高分子組成液を製造した。生成された組成液を透明フィルム上に塗布した後、80〜100℃で5分間乾燥させて伝導性高分子薄膜を製造した。乾燥の後、高分子膜の厚さは100〜200nm水準であり、透過率はいずれも80%以上を示した。液晶高分子は 1,4-ビス[3-(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンとしてMerck 社の RM257製品を用いた。
【0019】
【表1】

【0020】
比較例1〜2
比較例として、表2に示した組成を使用した以外は実施例1〜5と同様の方法で伝導性フィルムを得た。
比較例1では、本発明の伝導性高分子組成物とは異なり、液晶高分子を添加していない。比較例2では、本発明の好ましい液晶高分子の重量範囲0.1〜20重量%から外れて24重量%を有する。
【0021】
【表2】

【0022】
実施例1〜5で製造された伝導性フィルム及び比較例で得た伝導性フィルムの面抵抗値を表3に示した。
【0023】
【表3】

【0024】
表3から分かるように、本発明に係る伝導性高分子組成物を使用した場合はいずれも10〜1000Ω/□の低い面抵抗値を有する。
ところが、比較例1のように液晶高分子を添加していない場合は10,000Ω/□の面抵抗値を有することが分かるが、これはITOを代替する材料として適しないことを示す。
【0025】
また、比較例2では、液晶高分子として、本発明に係る液晶高分子の添加量の範囲である20重量部を超過して過量の液晶高分子が使用され、2,000Ω/□の面抵抗値を有した。比較例2に係る伝導性高分子組成物も、本発明と比較して相対的に高い面抵抗値を有することが分かる。これは、本発明に係る伝導性高分子組成物がITOなどの代替材としてディスプレイ及びタッチパネル等に使用されるのに一層適することを示す。
以上、本発明の製造方法を具体的な実施例によって詳細に説明したが、これらの実施例は本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。本発明に係る伝導性組成物及び伝導性フィルムは、上述の説明に限定されず、本発明の技術的思想内において、当該分野における通常の知識を有する者によって多様な変形および改良が可能である。
本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の領域に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求の範囲によって明確になるであろう。
【符号の説明】
【0026】
10:ベース部材
20:透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性高分子、液晶高分子、および溶媒を含んでなることを特徴とする、伝導性高分子組成物。
【請求項2】
前記伝導性高分子組成物は伝導性高分子15重量%〜70重量%、液晶高分子0.1重量%〜20重量%及び溶媒20重量%〜75重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項3】
前記液晶高分子は5重量%〜10重量%の範囲で添加されることを特徴とする、請求項2に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項4】
前記液晶高分子はアクリル系液晶高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項5】
前記アクリル系液晶高分子は1,4−ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]−2−メチルベンゼンであることを特徴とする、請求項4に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項6】
前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンと1,6-ヘキサンジオルジアクリレート(HDDA)の混合物であり、混合比が1:1〜5 :1であることを特徴とする、請求項4に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項7】
前記伝導性高分子はポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸アミド、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトニトリル、脂肪族スルホキシド、水またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項9】
前記伝導性高分子組成物は第2ドーパント、分散安定剤及びバインダーよりなる群から選ばれる一つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項10】
前記第2ドーパントは、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−ジメチルアセトアミドよりなる群から選ばれる一つ以上の極性溶媒であることを特徴とする、請求項9に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項11】
前記分散安定剤はエチレングリコールまたはソルビトールであることを特徴とする、請求項9に記載の伝導性高分子組成物。
【請求項12】
ベース部材;及び
前記ベース部材に伝導性高分子、液晶高分子及び溶媒を含む伝導性高分子組成物をコーティング及び乾燥して形成された透明電極;
とを含むことを特徴とする伝導性フィルム。
【請求項13】
前記液晶高分子はアクりル系液晶高分子であることを特徴とする、請求項12に記載の伝導性フィルム。
【請求項14】
前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3-(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンであることを特徴とする、請求項13に記載の伝導性フィルム。
【請求項15】
前記アクリル系液晶高分子は1,4-ビス[3−(アクリロキシオキシ)プロピルオキシ]-2-メチルベンゼンと1,6-ヘキサンジオルジアクリレート(HDDA)の混合物であり、混合比が1:1〜5 :1であることを特徴とする、請求項13に記載の伝導性フィルム。
【請求項16】
前記伝導性高分子はポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)であることを特徴とする、請求項12に記載の伝導性フィルム。
【請求項17】
前記伝導性高分子組成物は第2ドーパントをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載 伝導性フィルム。
【請求項18】
前記第2ドーパントは、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−ジメチルアセトアミドよりなる群から選ばれる一つ以上の極性溶媒であることを特徴とする、請求項17に記載の伝導性フィルム。
【請求項19】
前記透明電極は10乃至1000 Ω/□面抵抗値を有することを特徴とする、請求項12に記載の伝導性フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−132527(P2011−132527A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285466(P2010−285466)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】