説明

伝染性気管支炎の治療用組成物および方法

【解決手段】 伝染性気管支炎の予防的治療、及び伝染性気管支炎の治療に関する。本方法は、ターメリックから得られる第1の成分と、緑茶から得られる第2の成分と、生姜から得られる第3の成分と、許容可能な担体とを有する一定量の組成物をトリに投与する工程を含むものである。本発明による組成物は、伝染性気管支炎の発症の軽減、または伝染性気管支炎の伝染性の軽減の目的に利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝染性気管支炎の治療、または発症を軽減させる方法に関するものである。より具体的には、本発明はトリの伝染性気管支炎の治療または発症の軽減、及び伝染性気管支炎の伝染性を軽減する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝染性気管支炎は、コロナウイルスによって引き起こされ、急性で極めて接触感染性の高い、ニワトリに感染する呼吸器系疾患である。最も接触感染性の高い家禽の疾患の1つと考えられており、このウイルスは、感染したニワトリ、またはトリ籠、器具、および鶏舎などの汚染表面との直接接触によって蔓延する可能性がある。伝染性気管支炎は、特に若い家禽において高い死亡率を有する。感染したニワトリは、息切れ、咳嗽といった重度の呼吸器症状、卵管の障害による産卵の減少、および/または感染の結果として生じるストレスに苦しめられる。さらに、伝染性気管支炎は、潜在的なウイルスまたは細菌感染を活性化し、特にブロイラー業界は重大な経済的損失をもたらす。現在のところ、この疾患の有効な治療方法は知られていない。
【0003】
伝染性気管支炎に有効であるものとして、不活性化ウイルスおよび/または生ウイルス由来のワクチンの利用が周知である。しかし、不活性化およびまたは生ウイルスの投与によって、多くの問題が頻繁に生じる。いくつかのケースでは、ホルマリンおよび紫外線といった不活性化物質による伝染性気管支炎ウイルスの不活性化後に、免疫特性の喪失が起こる可能性がある(M.S.Hofstad,Diseases of Poultry,Biester and Schwarte,Iowa University,Press.Ames(1965),615)。生存、非弱毒化、または軽微に弱毒化したウイルスワクチンによる1次ワクチン接種によって、健康なニワトリが死亡または罹患する可能性もある。生後2または3週間の動物および現在または近々産卵を始めるニワトリには、特に危険がある。
【0004】
他のワクチン接種の形態では、マサチューセッツ株および特にIBV W48,M41、および82828株、更に例えばA 5968株などのコネチカット分離株に由来する、25若しくはそれ以上の胚を経由することでそれらの病原性を軽減したウイルス、修飾生ウイルスワクチンを利用する。しかし、それらのウイルスの免疫能力は、特定の伝染性気管支炎ウイルス株に対して特異的である。従って、前記ワクチンは、ウイルスの抗原性変異に対してトリを免疫することが不可能であり(Archiv fur die Gesamte Virusforschung 34,p.32(1971)、およびCunningham C.H.Develop.Biol.Standard,33 p.311(1976))、大発生を有効に回避することは不可能である(Avian Diseases,Vol.20,No.1,pages42 and 177(1976)、およびAvian Diseases,Vol.19,No.2,pages323and583(1975))。
【0005】
さらに、IBV株の異なる血清型に対応するIBV株由来の混合ワクチンを利用した家禽のワクチン接種は、相互作用によってそれぞれの元のウイルスへの免疫特性を減少させる(Am.J.Vet.Res.36,4,524 and 525(1965)およびAvian Diseases 12,577(1968))。
【0006】
このような一般的な問題を受けて、ウイルスに基づかない治療方法の開発のための研究を行ってきた。米国公開特許第2003/0185912号および第2005/0147697号など、ターメリック、緑茶、生姜、およびセイヨウワサビから成る組成物の抗ウイルス特性を述べる、数少ない参考文献は存在するものの、そうした文献は伝染性気管支炎の治療方法は開示していない。
【0007】
従って、伝染性気管支炎の治療、発症の軽減、または伝染性を軽減する方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、伝染性気管支炎の治療、伝染性気管支炎の発症の軽減、伝染性気管支炎の伝染性を軽減する方法を対象とする。
【0009】
第1の態様において、本発明は、伝染性気管支炎の発症および/または伝染性を軽減する組成物の予防的利用方法に関連する。前記方法は、伝染性気管支炎ウイルスに曝露した、曝露したであろう、または曝露するトリへの、ターメリックから得られる第1の成分および緑茶から得られる第2の成分を含む組成物の有効量を投与する工程を含む。組成物を投与することにより、伝染性気管支炎ウイルスの発症および/または伝染性が軽減した場合、組成物の量は有効である。
【0010】
本発明の第2の態様において、ターメリックから得られる第1の成分および緑茶から得られる第2の成分を含む組成物は、伝染性気管支炎の治療に有効な量の前記組成物を投与によって伝染性気管支炎に感染したトリを治療するために用いられる。
【0011】
本発明の第3の態様は、ターメリックから得られる第1の成分、緑茶から得られる第2の成分、および許容可能な賦形剤を含む、エアロゾル、スプレー、霧、液体組成物に関するものである。前記エアロゾル、スプレー、霧、液組成物は、伝染性気管支炎の治療として投与する、または例えばトリへのスプレーまたは噴霧など、エアロゾルまたは液組成物に適切なあらゆる標準的技術を用いて予防的にトリへ投与することが可能である。
【0012】
第4の態様において、本発明は、ターメリックから得られる第1の成分および緑茶から得られる第2の成分を含む動物飼料に関するものである。
【0013】
これらおよび他の様々な利点および本発明を特徴付ける新規性の特性は、本明細書に添付し、その一部を形成する請求項において詳細に指摘する。しかしながら、本発明、その利点、およびその利用により得られる対象物をより良く理解するためには、本発明の好ましい実施形態を記述した添付文書への参照がなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、VERO E6細胞中での伝染性気管支炎ウイルス(IBV)Beaudette株の生存率に対する組成物1の効果を示した細胞濃度に対する希釈対数を示すグラフである。
【図2】図2は、胚含有卵中でのIBV Beaudette株の生存率に対する組成物1の効果を表す、細胞濃度に対する希釈記録を示すグラフである。
【図3】図3の左パネルは、組成物1の1×10−3希釈で処理したIBVへ曝露後、細胞変性効果(cytopathic effects:CPE)を示さない細胞を表した写真であり、右パネルは、プラシーボの1×10−3希釈で処理したIBVへ曝露後、CPEを示す細胞を表した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一態様において、本発明は、伝染性気管支炎ウイルス(infectious bronchitis virus:IBV)の罹患および伝染の事例を軽減する組成物の予防的利用方法に関連する。当該方法は、ターメリックから得られる第1の成分、緑茶から得られる第2の成分、および選択的に許容可能な担体を有する組成物の一定量を伝染性気管支炎に曝露した、または曝露するトリに投与する工程を有する。前記組成物の量は、投与した場合、伝染性気管支炎の発症および/または伝染の発生を軽減するのに有効な量である。
【0016】
他の一態様では、本発明は、ターメリックから得られる第1の成分、緑茶から得られる第2の成分、および選択的に許容可能な担体を有する組成物の有効量を投与することにより、伝染性気管支炎に感染したトリを治療する方法に関連する。前記組成物の量は、投与した場合に、伝染性気管支炎ウイルスを治療するのに有効な量である。
【0017】
本発明の方法に用いる組成物は、ターメリックから得られる第1の成分、および緑茶から得られる第2の成分を含むものであっても良い。本発明の組成物の選択的且つ更なる有効成分として、生姜および/またはセイヨウワサビから得られる成分を含むことも可能である。
【0018】
本願明細書で用いられる場合、「許容可能な(acceptable)」という用語は、トリに対して過度の不都合な副作用(毒性、炎症、アレルギー反応など)がなく、適度な危険性/利点の比と釣り合いのとれた使用に適した成分を意味する。
【0019】
さらに、本願明細書で用いられる場合、「安全かつ有効な量(safe and effective amount)」という用語は、本願明細書で記述した方法で利用した場合に、過度の副作用(毒性、炎症、アレルギー反応など)がなく、適度な危険性/利点の比と釣り合いのとれた所望の治療反応を得るために十分な成分の量について言及する。
【0020】
本願明細書で用いられる場合、「抑制する(inhibiting)」という用語は、伝染性気管支炎ウイルス株のさらなる成長を軽減または予防する、または正常細胞への伝染性気管支炎ウイルス株の付着を予防する、および/または処理したヒトまたは動物から一部または全ての感染粒子を除去する、ことについて言及する。ウイルス抑制の適切な測定方法は、実施例において議論する。
【0021】
本願明細書で用いられる場合、「伝染性(transmissivity)」または「伝染性の(transmitting)」という用語は、1つの宿主から他への微生物の移動に言及するものである。
【0022】
本発明で用いられる全ての活性化合物は、入手可能であれば、他の材料から得ることが可能である。従って、「から得ることが可能な」または「から得ることができる」という語句は、ターメリック、緑茶、生姜、またはセイヨウワサビから得られる化合物または組成物を包含し、従って同一の化合物および/または組成物の合成形態も包含し、さらには他の材料から得られる同一の化合物および/または組成物もまた包含することを意味する。
【0023】
第1の実施形態において、本発明の組成物は、本願明細書に記述する1若しくはそれ以上の有益な効果を提供するために安全かつ有効な量の、ターメリックから得られる第1の成分、および緑茶から得られる第2の成分を含む。
【0024】
本発明の組成物の第1の成分はターメリックから得ることが可能であり、本願明細書に記述する1若しくはそれ以上の有益な効果を提供するために安全且つ有効な量で使用される。ターメリック(Turmeric(Curcuma longa))またはヒンディー語でHaldiと呼ばれるものは、薬物としてだけでなく、インド料理の一般的材料としても非常に広く用いられている。ターメリックの根茎は微粉として、薬物および食品に用いられる。
【0025】
ターメリック根茎の黄色い色素は、クルクミノイドとして知られる3つの化合物から成る。3つのクルクミノイドは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンナモイルフェルロイルメタン)、およびビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンナモイルメタン)である(Drug Analysis,Chromatography and Microscopy,p.169,Ann Arbor Science Inc.,1973 を参照のこと)。ターメリック(Turmeric(Curcuma longa))の精油は、主として以下の化合物から成る:d−ショウノウ(約1%)、環状イソプレンミルセン(約85%),およびp−トリルメチルカルビノール(約5%)、(E.Gunther,The Essential Oil,pp.123〜4、Van Nostrand Co.,1955を参照)。
【0026】
ターメリックから得られる本発明の組成物の成分は、好ましくは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンナモイルフェルロイルメタン)、およびビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンナモイルメタン)といったクルクミノイド、およびそれらクルクミノイドの2若しくはそれ以上の混合物を含む。
【0027】
ターメリックからのクルクミノイドの単離方法は既知である(Janaki and Bose,An Improved Method for the Isolation of Curcumin From Turmeric,J.Indian Chem.Soc.44:985,1967 を参照のこと)。あるいは、本発明に用いるクルクミノイドは、合成方法によって調製可能である。
【0028】
ターメリックから得られる成分は、あらゆる異なる形態において本発明の組成物に組み入れることが可能である。それら異なる形態は、好ましくは、ターメリック粉末抽出物、ターメリック液体抽出物、Aquaresin(登録商標)Turmeric、Oleoresin(登録商標)Turmeric、といったターメリック抽出物、1若しくはそれ以上のクルクミノイド化合物、およびターメリック粉末、ターメリックの植物全体または一部、それらのチンキ剤、およびそれらの混合物を含む。より好ましくは、ターメリックから得られる第1の成分は、ターメリック抽出物である。
【0029】
ターメリックから得られる成分を用いる場合、本発明の組成物の1グラム当たりには、好ましくは、約0.001mg〜約20mgのターメリック粉末抽出物などターメリックから得られる成分を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たり、約0.01mg〜約15mgのターメリック粉末抽出物などターメリックから得られる成分を含む。
【0030】
それらの範囲は、摂取製剤であるTurmeric Extract 95%,ex. Pharmline,Inc.、およびスプレー製剤であるTurmeric Root Extract(Oleoresin(登録商標)Turmeric),ex.Kalsec,Inc.,ミシガン州Kalamazoo.、の利用に基づいたものである。
【0031】
本発明の組成物の第2の成分は、緑茶から得ることができる。緑茶から得られる第2の成分は、抗酸化作用を有する可能性がある。緑茶は、カメリアシネンシス潅木の乾燥葉および葉芽である。それは主に、中国および日本で生産されている。乾燥茶葉は主に、ポリフェノール(約36%)として知られる植物化学物質、主にフラボノール(カテキンを含む)、フラボノイド、およびフラボンジオールから成る。葉は、カフェインを含めた植物アルカノイド(約4%)、テオブロミン、およびテオフィリンもまた含む。
【0032】
緑茶の薬理活性は主にその活性化合物によるものである。本発明において有用な緑茶の活性化合物は、これらに限定されないが、フラボノール、カテキン、フラボノイド、フラボンジオール、植物アルカロイド、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、フェノール酸、タンパク質、炭水化物、およびミネラルを含む。
【0033】
緑茶から得られる第2の成分は、緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、および1若しくはそれ以上の緑茶活性化合物といった緑茶抽出物、緑茶の植物全体または一部、緑茶葉、それらのチンキ剤、またはそれらの混合物の形態において組成物に含有させることが可能である。好ましくは、本発明の組成物の第2の成分は、緑茶葉、緑茶粉末、および緑茶抽出物から選択する。より好ましくは、本発明の組成物の第2の成分は、緑茶抽出物である。
【0034】
本発明の組成物の1グラム当たり、好ましくは約0.001mg〜約20mgの緑茶抽出物などの緑茶から得られる成分を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たり、約0.01mg〜約15mgの緑茶抽出物など緑茶から得られる成分を含む。それらの範囲は、摂取製剤であるGreen Tea,ex.Stryker Botanics、およびスプレー製剤であるGreen Tea Extract,ex.Phytoway,Inc,Chang Sha,P.R.中国、の利用を基準として用いた。
【0035】
本発明の組成物の選択的な成分は、安全且つ有効な量を生姜から得ることが可能である。南アジア原産の生姜は、長さ1フィートおよび幅約1インチの草状葉を生じる2〜4フィートの多年生植物である。食品店では生姜の根と呼ばれているが、実際は植物の地下茎から成り、樹皮状の外皮を削り取ったものである。
【0036】
本発明に使用する生姜の活性化合物は、これらに限定されないが、1,8−シネオール、10−デヒドロジンゲジオン、10−ジンジェロール、6−ジンゲジオン、6−ジンジェロール、6−ショウガオール、8−ベータ−17−エポキシ−λ−トランス−12−エン−15,16−ジオール、8−ジンジェロール、8−ショウガオール、9−オクソ−ネロリドール、アセトアルデヒド、酢酸、アラニン、アルファ−リノレン酸、アルファ−リノレン酸、アルファ−フェランドレン、アルファ−ピネン、アルファ−テルピネン、アルファ−テルピネオール、アルファ−ジンギベレン、芳香クルクメン、アルギニン、アスコルビン酸、アスパラギン、ベータ−ビサボロール、ベータ−カロチン、ベータ−エレメン、ベータ−ユーデスモール、ベータ−イオノン、ベータ−ミルセン、ベータ−フェランドレン、ベータ−ピネン、ベータ−セリネン、ベータ−セスキフェランドレン、ベータ−シトステロール、ベータ−ツジョン、酢酸ボルニル、ホウ素、コーヒー酸、カルシウム、カンフェン、ショウノウ、カプリン酸、カプリル酸、カプサイシン、カリオフィレン、カビコール、クロロゲン酸、クロム、シトラール、シトロネラル、シトロネラル、コバルト、銅、クメン、クルクミン、シスチン、デルフィニジン、デルタ−カジネン、エレモール、酢酸エチル、ミリスチン酸エチル、ファルネサール、ファルネセン、フェルラ酸、フルフラール、ガンマ−アミノ酪酸、ガンマ−テルピネン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、gingerenone、グルタミン酸、グリシン、ヘキサハイドロクルクミン、ヒスチジン、isogingerenone−B、イソロイシン、ケンペロール、レシチン、リモネン、リノール酸、マグネシウム、マンガン、メチオニン、mufa、ミルセン、ミリセチン、ミリスチン酸、ネラール、ネロール、ネロリドール、ナイアシン、ニッケル、オレイン酸、シュウ酸、p−クマル酸、p−シメン、p−ヒドロキシ安息香酸、パルミチン酸、パントテン酸、パラドール、patchoulic alcohol、フェニルアラニン、ケルセチン、リボフラビン、セレン、シキミ酸、テルピン−4−オール、チアミン、トリプトファン、バニリン酸、バニリン、亜鉛、およびジンゲロン、を含む。また、それら活性化合物の2若しくはそれ以上の混合物もまた使用可能である。
【0037】
生姜は、本発明の組成物に対して多くの異なる形態で取り込むことが可能であり、前記異なる形態は、生姜粉末抽出物、生姜液体抽出物を含む生姜抽出物といった抽出物、生姜根粉末、Aquaresin(登録商標)ginger、生姜含油樹脂を含む生姜粉末、および生姜の1若しくはそれ以上の活性化合物、生姜の植物全体、または一部、それらのチンキ剤、およびそれらの混合物を含む。好ましくは、本発明の組成物の選択的な成分は、生姜抽出物、および生姜粉末から選択される。
【0038】
本発明の組成物の1グラム当たり、好ましくは約0.001mg〜約30mgの生姜抽出物などの生姜から得られる成分を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たり、約0.01mg〜約20mgの生姜抽出物などの生姜から得られる成分を含む。それら使用量の範囲は、摂取製剤であるGinger Root Powder,ex.Stryka Botanics、およびスプレー製剤であるGinger Extract K(Aquaresin(登録商標)ginger),ex.Kalsec,Inc.,ミシガン州Kalamazooの利用を基準として用いた。
【0039】
様々な成分の量は、成分、すなわち生姜根抽出物の1つの形態に関して本願明細書にを定めている。その成分が別の形態で存在する場合、用いられる量は、本願明細書で定めるその成分の量と同量の1若しくはそれ以上の活性化合物を提供するだけの量である。
【0040】
また、本発明の組成物は、本願明細書で記述する1若しくはそれ以上の有益な効果を提供するだけの安全かつ有効な量のセイヨウワサビから得られる1若しくはそれ以上の成分を含むことが可能である。セイヨウワサビから得られる選択的な成分は、Cochlearia Armoraciaからの抽出物を含むものであっても良い。セイヨウワサビから得られる成分は、例えばセイヨウワサビ粉末抽出物、セイヨウワサビ液体抽出物といったセイヨウワサビ抽出物、およびセイヨウワサビ油といったセイヨウワサビ根抽出物、の形態とすることができる。セイヨウワサビは、マスタードに見られるのと同様な揮発性油を含む。それらは、グルコシノレート(からし油配糖体)、グルコナストルチイン、および胃中で分解した場合にイソチオシアン酸アリルを生成するシニグリンを含む。本発明の組成物は、組成物1グラム当たりに、好ましくは、約0.0001mg〜10mgの、セイヨウワサビ油といったセイヨウワサビから得られる成分を含み、より好ましくは、本発明の組成物は、組成物1グラム当たりに、0.001mg〜5mgの、セイヨウワサビ油といったセイヨウワサビから得られる成分を含む。
【0041】
エタノール、プロピレングリコール、およびグリセリン、およびそれらの様々な組合せを本発明の液組成物中に選択的に、選択的な成分の総重量で約10%まで含有させることが可能である。最も好ましくは、選択的な成分として、総重量の約10%までのエタノールを添加する。よりさらに好ましくは、2.5〜7%エタノールを添加する。
【0042】
好ましくは、ターメリックおよび緑茶、および選択的に、生姜および/またはセイヨウワサビに由来する上述の成分が、組成物の総重量の約0.001〜約90%を構成する。より好ましくは、主要成分が、組成物の総重量の約0.01〜約20%を構成する。最も好ましくは、主要成分が、組成物の総重量の約1〜約10%を構成する。
【0043】
上述したターメリック、生姜、および緑茶から得られる成分を含む、組成物の非担体成分は、組成物の意図する利用法の有効性に大幅に影響しない範囲で、組成物中に用いる担体の量に依存して、本発明の組成物中で比例的に増減することが可能である。
【0044】
本発明の組成物中に用いることができる、例えば、ターメリック抽出物、生姜抽出物、緑茶抽出物、およびセイヨウワサビ抽出物などの植物抽出物は、一般的な抽出手順を用いて作成できる。あるいは、抽出物は、the Kalsec,Inc.ミシガン州Kalamazoo.など商業的供給源から購入できる。
【0045】
上述のいずれかの植物からの便利で投与可能な剤形中の薬理学的または生物学的に活性な植物抽出物の調製手順は、当該技術分野で周知である。
【0046】
本発明の組成物は、伝染性気管支炎ウイルスの様々な株のトリ間での感染性および伝染性を抑制し、それによってトリ間での感染発生を軽減するために利用することができる。前記組成物は、伝染性気管支炎の治療、およびそれによって伝染性気管支炎に関連した症状を和らげるための、治療組成物として用いることもまた、できる。
【0047】
本発明の組成物の安全かつ有効な量は、伝染性気管支炎に曝露された、または曝露されるトリへ投与して、伝染性気管支炎ウイルスに曝露された、または曝露されるトリでの、前記疾患の発症を軽減することができる。
【0048】
好ましくは、本発明の組成物は、限定するわけではないが、トリの餌などの動物飼料、粉末、スプレー、鼻腔用スプレー、点鼻薬、懸濁液、溶液、注射、または大量予防接種のあらゆる標準的形態を含む、あらゆる許容可能な剤形で製剤化することができる。本発明の組成物は、本発明の組成物が栄養補給剤となりうる場合、または追加的成分を含む栄養補給剤の一部をなすことができる場合には、栄養補給剤の形態で投与することもまた、できる。
【0049】
本発明の錠剤は、形状、サイズ、および製造技術において異なることができる。錠剤の場合、経口での利用では、許容可能な担体は乳糖、およびコーンスターチをさらに含むことができる。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクを含む、平滑剤を錠剤へ添加することもまた、できる。錠剤は、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、およびリン酸カルシウムなどの賦形剤を含むこともまた、できる。澱粉、アルギン酸、および複合ケイ酸塩などの崩壊剤もまた、利用できる。錠剤は、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、PEG−8000、およびアカシアゴムなどの結合剤もまた含むことができる。
【0050】
あるいは、本発明の組成物は、水、またはそれ以外の液体などの溶媒または分散剤によって、シロップ、溶液、液剤、霧、またはスプレーといった液状形態で、および選択的に、持続的な期間において前記組成物を口腔および口腔咽頭粘膜へ繰り返し投与するための、薬理学的に許容できる担体中で、製剤化することができる。好ましくは、口腔、鼻咽頭および咽喉組織への組成物の長期間の接触を許すために、治療時間は約5〜60分間、より好ましくは約20〜30分間とする。あるいは、そうした製剤は、使用前に、水または他の材料で希釈するのに適する濃縮形態とすることが可能である。
【0051】
本発明の組成物は、許容可能な担体と共に製剤化することも可能である。許容可能な担体は、これらに限定されないが、(a)グリセリン、(b)エタノール、(c)リン脂質、(d)MCT oil、(e)水、および(f)澱粉、セルロース、シクロデキストリン、二酸化ケイ素、および脂質/油脂を含む、比較的に不溶性の適切な賦形剤を含有させることが可能である。
【0052】
組成物は、動物飼料の成分および/または食品添加物などとして、チュアブル形態(chewable forms)で製剤化することも可能である。あるいは、本発明の組成物は、希釈剤の有無に関わらずカプセル形態で製剤化することも可能である。カプセルに有用な希釈剤は、乳糖および乾燥コーンスターチを含む。懸濁液を利用する場合は、懸濁液中に、乳化および/または懸濁剤を用いることが可能である。更に、上述のトローチ剤の1若しくはそれ以上の成分を含む固体組成物は、ソフトおよびハード・ゼラチンカプセルに用いることができる。
【0053】
本発明の組成物は、エアロゾルまたは吸入組成物として製剤化することも可能である。そうした組成物は、周知の技術を用いて調製することができる。それらのタイプの製剤では、適切な担体は以下の成分、すなわち1若しくはそれ以上の防腐剤を含む生理食塩水、生物学的利用能を高める吸収促進剤、フッ化炭素、および/または標準的な可溶化または分散剤を含有させることが可能である。
【0054】
組成物は、既知のあらゆる標準的デリバリー方法を用いて投与することも可能である。組成物は、水または溶液の添加物として製剤化することができる。さらに、組成物はインオボ(in ovo)で投与することが可能である。
【0055】
本発明の組成物に選択的に含ませることが可能な他の材料は、レスベラトロル(トリヒドロキシスチルベン)、イノシトール、他のビタミンB複合体、および追加的な抗炎症剤、を含む。また、甘味剤、フレーバラント、着色剤、染料、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、溶融剤、賦形剤、鎮痛剤、および水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンといった溶剤または希釈剤、およびそれらの様々な組合せなどの成分を本発明の組成物へ含ませることができる。伝染の軽減または抑制は、(感染した)トリから(未感染の)他のトリへの微生物の拡大の抑制または軽減に関連する。一部のトリは感染の保菌者と考えることができる。保菌者は、伝染性気管支炎の微生物を活発に撒き散らすが、急性感染を被ることはない個体である。それら保菌者は、伝染性気管支炎の株で、持続(または慢性的)感染を受けたと言うことができる。持続感染を受けた感染源に加えて、感染した他のトリは、活動性感染するもの、および特に、急性感染の初期または後期に当たるものである。本発明の一態様は、他のトリへの疾病の拡大を防ぐための、伝染性気管支炎の株に感染したトリへの、本発明の組成物の投与に関連する。
【0056】
予防治療は、伝染性気管支炎に間もなく曝露される、または伝染性気管支炎ウイルスに最近すでに曝露されたトリに対して、活動性感染の事例を軽減する目的で行うものである。そういった予防治療は、単独またはワクチンへの追加としてのいずれでも有効であろう。本発明の予防治療は、ワクチンが未だ入手不可能な伝染性気管支炎のウイルス株に対しても用いることができる。
【0057】
本発明は、例えば、疾病の持続期間、死亡率、または有害影響の軽減による疾病の治療のための、伝染性気管支炎に感染したトリの治療方法にも関連する。本発明は、ウイルス感染の少なくとも1つの症状または有害影響を、軽減、治療、和らげる、または少なくとも部分的に抑制することが可能である。そうした症状は、エネルギー欠乏、産卵の減少、卵殻の脆弱化、鼻の腫れ、鼻汁、咳嗽、くしゃみ、囀り、下痢、気管の雑音、眼の濡れ、および腹部の水分蓄積を含む。
【0058】
当該組成物は、一般的な商業用家禽類であるニワトリ、七面鳥、アヒル、およびガチョウ、一般性がやや低いものとしては、ダチョウ、それらに加えて例えばカナリアおよびオウムなど一般的にペットとして飼育されている他の鳥類を含む鳥類のあらゆる種類に投与可能である。
【0059】
当該組成物は、トリの鼻道に当該組成物を直接的にスプレーすること、及びトリの口腔に当該組成物をスプレーすることによって投与することが可能であり、またはトリに曝露される霧を発生することにより当該組成物を投与することが可能である。従って、当該組成物は、殺ウイルス性またはウイルス増殖抑止として作用させることによって、予防的に与えることができる。あるいは、当該組成物は、ウイルスの伝染性を軽減するために用いることができる。
【0060】
当該組成物の有効量は、治療対象、投与の特定の方式、利用する特定の有効成分の活性、日齢、体重、健康状態、トリの性別および食習慣、投与の時間、排泄速度、利用する成分の特定の組合せ、組成物の主成分の総含量、および疾病または症状の重篤性、などの要因に依存して変化する。それら要因を説明するのは、当業者における1つの技量の範囲内である。
【0061】
当該組成物は、必要に応じて1日当たり約1〜15回、より好ましくは、必要に応じて1日当たり約2〜12回、または最も好ましくは、必要に応じて1日当たり約6〜10回、投与することが可能である。本発明の組成物は、上述した通り、限定されないが、錠剤、カプセル、粉末、口腔スプレー、鼻腔用スプレー、チュアブル組成物(chewable compositions)、懸濁液、溶液、およびインオボ投与、を含めて許容可能なあらゆる剤形で投与することができる。
【0062】
当該組成物のそれぞれの用量は、本発明の組成物の安全かつ有効な量を含む。各治療のための投与の有効量は、ターメリックおよび緑茶から得られる成分を総量で約0.001ミリグラム〜約1グラムまでを含む。より好ましくは、各治療のための投与の有効量は、ターメリックおよび緑茶から得られる成分を総量で約0.01ミリグラム〜約0.5グラムまでを含む。
【0063】
当該組成物を飼料または水の添加物として投与する場合は、飼料または水の添加物中の有効成分の量は、飼料全体の組成の約0.01〜50重量%の範囲とすることができる。好ましい一実施形態では、前記有効成分は、飼料全体の組成の約0.1〜約30重量%を構成し、最も好ましい一実施形態では、前記有効成分は飼料全体の組成の約1〜約20重量%を構成する。前記有効成分は、ターメリックからの成分、緑茶からの成分、生姜からの成分、および/またはセイヨウワサビからの成分を含む。
【0064】
当該組成物をスプレーとして投与する場合、例えばトローチ剤またはカプセルと比較して、スプレー組成物は前記有効成分をそれらが必要とされる場所により直接的に輸送するため、各有効成分の量は低減することができる。当該組成物は、水または他の適切な希釈剤で、あらゆる所望の濃度まで希釈することができる。希釈組成物は、水または他の希釈剤の約0.1重量%〜約99.999重量%のいずれの値も含有させることが可能であり、より好ましくは、水または他の希釈剤の約10重量%〜約40重量%、および最も好ましくは水または他の希釈剤の約10重量%〜約30重量%である。
【0065】
以下の好ましい範囲は、本発明の方法に従った、スプレー製剤での投与に適した本発明に従った組成物を規定する。
【0066】
本発明の方法に従ったスプレーによって投与する組成物の1グラム当たり、好ましくは約0.001mg〜約12mgの、可溶性ターメリック含油樹脂などのターメリック抽出物を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たり、約0.01mg〜約9mgの、可溶性ターメリック含油樹脂などのターメリック抽出物を含む。本発明の方法に従ったスプレーによって投与する組成物の1グラム当たり、好ましくは約0.001mg〜約20mgの緑茶葉抽出物などの緑茶抽出物を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たりには、約0.01mg〜約15mgの緑茶葉抽出物などの緑茶抽出物を含む。
【0067】
本発明の方法に従ったスプレーによって投与する組成物の選択的な実施形態の1グラム当たり、好ましくは約0.001mg〜約10mgのAquaresin(登録商標)gingerなどの生姜抽出物を含む。最も好ましくは、組成物の1グラム当たり、約0.01mg〜約7mgのAquaresin(登録商標)gingerなどの生姜抽出物を含む。
【0068】
選択的に、組成物の1グラム当たり、約0.0001mg〜約1mgのセイヨウワサビ根抽出物、より好ましくは約0.001mg〜約2mgのセイヨウワサビ根抽出物、および最も好ましくは約0.5mg〜約1mgのセイヨウワサビ根抽出物も含有する。
【0069】
器具に付着するIBVのあらゆる株の一部または全てを不活性化するために、トリへ組成物を投与するのに用いるあらゆる器具を消毒および/または滅菌する組成物の有効量を用いることもまた可能である。器具を消毒するために、組成物をあらゆる器具または機器の表面へ局所的に適用できる。
【0070】
本発明は以下に与える実施例によってさらに説明されるが、前記実施例は本発明を限定するものとは決して解釈すべきでない。本発明の範囲は、本願明細書に添付する請求項によって決定されるべきである。
【0071】
実施例
【実施例1】
【0072】
【表1】

【0073】
スプレー、霧、エアロゾル、または液組成物などとしての様々な適用に使用する、より希薄な組成物を提供するためには、製剤を水または他の適切な希釈剤で1〜1300倍に希釈することができる。
【実施例2】
【0074】
様々な用量および投与経路を用いて、ニワトリの伝染性気管支炎を治療するために、実施例1で開示した組成物1の安全性および許容性の実験を行った。その結果、組成物1は、家禽の給水への液体添加物、点鼻薬製剤への液体添加物、家禽飼料への固体添加物として有効で適切であることが示された。
【0075】
132羽の約7日齢の白色レグホン種ニワトリを11グループに分け、表1(a)〜1(c)に対応する様々な形態および濃度の組成物1を投与し、その後に伝染性気管支炎ウイルスへ曝露した。
【0076】
【表1a】

【0077】
【表1b】

【0078】
【表1c】

【0079】
各トリ籠にニワトリを3羽ずつ入れた。トリ籠は華氏約85度および相対湿度65%に維持した。それらへ毎日、白色光を連続16時間、続いて暗闇を8時間提供した。
【0080】
組成物1に対するニワトリの許容性および毒性を決定するために、ニワトリを観察した。各グループによって消費された水および飼料の量を評価し、ニワトリ各個体の体重を定期的に測定した。
【0081】
組成物1を点鼻薬の形態で投与したニワトリについては、飼料および水で投与したグループと平行して、4日間の投与の間、1日4(4)回、各鼻孔へ1(1)滴ずつ点鼻薬を投与した。点鼻薬は朝2回、各投与の間隔を約1時間空けて行い、午後/夕方に2回、やはり各投与の間隔を約1時間空けて行った。この鼻孔投与スケジュールは、朝または午後に立て続けに1時間より短い間隔で投与しない限り、1日当たり各鼻孔に全部で4滴を投与するならば柔軟に変更可能である。点鼻薬は、20滴/ml、または1滴当たり50マイクロリットルを含む標準的なボトル型点眼器を用いて投与した。
【0082】
組成物1を飼料添加物として投与したニワトリについては、飼料添加物を4日の期間提供した。24羽のニワトリの1グループへは、高用量の飼料添加物を与えた。他の24羽のニワトリの1グループへは中用量を、他の24羽のニワトリの1グループへは低用量を与えた。飼料および水は、4日間定期的に随意、提供した。
組成物1を水分添加物として投与したニワトリについては、水分添加物を4日の期間提供した。24羽のニワトリの1グループへは、高用量の水分添加物を与えた。他の24羽のニワトリの1グループへは中用量を、他の24羽のニワトリの1グループへは低用量を与えた。水は4日間定期的に随意、提供した。飼料は随意に提供した。本実験のコントロールグループは、通常の条件に従って4日間、トリ籠へ入れて飼育した。
【0083】
最適な有効用量を決定するために、ニワトリの各グループへ1週間のうち1〜4日の期間で組成物1を投与した。ニワトリを毎日観察して、羽の逆立ち、元気の無い様子、元気の無いトリ、またはストレスまたは不快感を示す他の兆候を含めて、気分の不調または異常行動の現われを探した。あらゆる障害または異常は毎日ごとに記録した。実験の終了後、ニワトリは安楽死させ、個別に解剖してあらゆる障害を検査した。収集したサンプルは組織学的評価のために10%ホルマリンへ漬けた。
【0084】
飼料および水は、毎日、トリ籠ごとに重量を測定した。量はデータ収集形式で記録した。1日目に、飼料および水を最初に測定および記録した。2〜4日目には、追加的な飼料および水を測定して、飼料および水の表へ追加的に記録した。5日目には、残った飼料および水を秤量し、実験全体の期間にトリ籠ごとで消費された飼料および水の総量を計算した。
【0085】
表2には、体重変化のデータを要約した。低飼料、低水分、低飼料および水分、中飼料、高飼料、鼻、およびコントロールを与えたニワトリについては、処理グループ間の相違は統計学的に有意ではなかった。
【0086】
【表2−1】

【0087】
【表2−2】

【0088】
【表2−3】

【0089】
表3には、水および飼料の消費データを要約した。この表では、データはトリ籠ごとの基準で要約した。未使用の4つのトリ籠は、自然に起こる飼料および水の損失を示す解析に含めた。低飼料、低水分、低飼料および水分、中飼料、高飼料、鼻、およびコントロールを与えたニワトリについては、処理グループ間の相違は統計学的に有意ではなかった。
【0090】
【表3−1】

【0091】
【表3−2】

【0092】
【表3−3】

【0093】
表4には、飼料消費データに対する体重増加の比率を要約した。この表では、データはトリ籠ごとの基準で要約した。この解析によって、以下の処理グループ間の相違は統計学的に有意でないことが明らかとなった:低飼料、低水分、低飼料および水分、中飼料、高飼料、鼻、およびコントロール。
【0094】
【表4−1】

【0095】
【表4−2】

【0096】
【表4−3】

【0097】
これらの結果は、家禽への組成物1の適切な用量を提供する。データは、様々な(低、中、および高)濃度の薬用飼料を、安全性の問題または許容性の問題なしに、成長期の家禽へ提供可能であることを示している。
【実施例3】
【0098】
希釈していない実施例1の抗ウイルス組成物である組成物1、および10倍希釈系列を調製して、VERO E6細胞および受精後10日のニワトリ胚含有卵中で、IBVに対する抗ウイルス活性を試験した。加えて、プラシーボも同様に希釈して試験した。
【0099】
VERO E6連続継代性細胞系(CRL−1586)はAmerican Type Culture Collection(メリーランド州、Rockdale)から入手し、2mM L−グルタミン、1.5g/L 重炭酸ナトリウム、0.1mM 非必須アミノ酸、1.0mM ピルビン酸ナトリウム、および10%ウシ胎仔血清(Invitrogen Corp[Gibco],カリフォルニア州、Carlsbad)を添加した最小必須(イーグル)培地中で、37℃および5%COで増殖させた。細胞は、T75 flask(BD Biosciences,ニュージャージー州、Franklin Lakes)中で増殖させ、96穴プレートへ移して、90%コンフルエントまで成長させた。
【0100】
組織培養感染用量50(Ttissue culture infectious dose50:TCID50)の濃度1×10のIBVのBeaudette株を、抗ウイルス化合物、または細胞培養維持培地(1%ウシ胎仔血清を含む)中で調整したプラシーボの(細胞に対して非毒性の、1×10−3希釈から始まる)7つの10倍希釈系列と混合した。混合物は室温で30分間インキュベートして;次に細胞への接種のために、各混合物の9つの10倍希釈系列を調製した。細胞培地を細胞から除去して、前記混合物を単層上へ接種した。細胞培養維持培地のみを与えたネガティブコントロールのウェルも、同様に実験に含めた。37℃および5%COで7日間、細胞をインキュベートして、毎日2回、細胞変性効果(cytopathic effects:CPE)の検査を行った。
【0101】
図1は、IBVへの抗ウイルス効果の結果を示している。図3は、本発明の組成物によってウイルス感染から保護されたVERO E6細胞、および組成物を適用しておらず、IBVに感染した細胞を示している。1×10−3希釈した組成物1の抗ウイルス化合物は、平均で1×1030から1×1018TCID50までIBVの力価を100倍以上軽減した。1×10−4希釈の組成物1はIBV力価を2倍軽減した。それ以上に希釈した組成物1はいずれもIBVの力価を軽減しなかった。それに対して、プラシーボではどの希釈率でもIBVのウイルス力価の軽減は観察されず、これは組成物1中の有効成分が抗ウイルス効果に関与していることを示している。加えて、ネガティブコントロールのウェルではCPEは全く見られなかった。
【0102】
組成物の効能を決定するために、IBVで感染したニワトリ胚含有卵でもまた、試験を行った。ニワトリ胚含有卵も、VERO E6細胞と同様の方法で調整した。組織培養細胞の代わりに受精後10日のニワトリ胚含有卵に接種したこと、および化合物は胚に対して毒性を示さないため、組成物1およびプラシーボは希釈しないものから始めたこと、以外については実験計画は同一とした。特定病原体未感染(Specific pathogen free:SPF)のニワトリ受精卵は、Sunrise farms(ニューヨーク州、Catskill)から入手し、37℃で10日間インキュベートした。PBS(pH7.4)中で調製した組成物またはプラシーボの未希釈物および各10倍希釈系列物200μlを用意して、1×10胚感染用量50(EID50)または1×10 EID50のIBVと混合したものを、胚含有卵の漿尿嚢(chorioallantoic sac:CAS)中へ接種した。PBSのみを与えたネガティブコントロール卵もまた、含めた。卵は37℃でインキュベートし、7日間、毎日明りに透かして検査して、死亡率を記録した。最初の24時間以内に生じたあらゆる死亡は、接種に関連した外傷によるものと判断して無視した。7日目に、残った全ての卵を4℃に冷却し、殻を開けて臨床的兆候について胚を検査した。
【0103】
図2は、胚含有卵中のIBVに対する組成物1の効果を示したものである。組成物1の1×10−2希釈までは、IBVの力価に対する相当量の効果を有し、前記IBVの力価を100倍以上も軽減した。それに対して、1×10−3〜1×10−7、またはいずれの希釈率でのプラシーボについても、何も影響が観察されず、これは組成物1中の有効成分が抗ウイルス効果に関与していることを示している。
【実施例4】
【0104】
ニワトリの伝染性気管支炎に対する試験
治療のタイミングは、ウイルス攻撃の6時間前、ウイルス攻撃の2時間前、およびウイルス攻撃の2時間後とした。抗ウイルス活性は、ウイルス攻撃の5日後に、リアルタイムRT−PCRを用いて伝染性気管支炎ウイルス(infectious bronchitis virus:IBV)に関するトリの検査、および臨床的兆候および前記疾患に特徴的な障害の記録、によって評価した。
【0105】
この実験には、特定病原体未感染の2週齢レグホン種ニワトリを用いた。トリは、HEPAフィルタ付陽圧horsefal隔離棟中で飼育し、随意に飼料および水を与えた。
【0106】
組成物の3つの異なる投与経路を試験した。鼻腔内経路では、実施例1の組成物200μlを、各トリの鼻孔へ直接適用した。
【0107】
トリ1羽当たり、実施例1の組成物の約1mlをスプレーするためには、噴霧器を用いた。隔離棟への新鮮な空気の流入を一時的に遮断して、トリへスプレーして、約10分後に新鮮な空気の流入を再開した。
【0108】
トリは裂けたパレット(cleft pallet)を有しているため、組成物を飲み水へ入れることで、口腔および鼻が薬剤に曝露されるはずである。実施例1の組成物を飲み水へ入れる1時間前から、トリに水を与えずにおいて喉が渇いた状態にしておいた。トリ1羽当たり、実施例1の組成物の約1mlを、水で戻した脱脂粉乳の同量と混合した。30分以内にトリが全ての液体を飲まなかった場合には、残された材料と同量のものをそのトリの口へ投与した。抗ウイルス化合物を消費した後、新鮮な水を提供した。
【0109】
【表5】

【0110】
処理した全てのトリおよび未処理のグループのうち1つに対して、トリ1羽当たりにIBVのMass41病原性株を1×10 胚感染用量50でウイルス攻撃した。攻撃ウイルスは鼻腔内投与して、毎日2回、疾病の臨床的兆候に関してトリを検査した。リアルタイムRT−PCRを用いた気管でのウイルス検出によって決定したところ、この量の攻撃ウイルスは、トリの90%を感染させるのに十分であった。
【0111】
臨床的兆候は毎日記録して、瀕死のトリは除外して殺傷して解剖を行った。ウイルス攻撃後の5日目(これはIBVワクチン有効性試験では慣例的である)に、トリを殺傷して解剖した。解剖では、鼻および気管スワブ(sinus and tracheal swabs)を採取して、氷冷PBS(pH7.4)中に設置した。ウイルスの存在は、鼻および気管スワブから直接行った、定量的リアルタイムRT−PCRによって決定した。有効性は、未処理のコントロールの90%以上が攻撃ウイルスに対して陽性であり、処理したトリの90%以上がウイルスに対して陰性であったことに基づいたものである。有効性は、臨床的兆候および障害にもまた、基づいたものである。障害は記録して、気管は組織病理学のために採取した。気管は、10%中性緩衝ホルマリン中に収集して、組織病理学に供した。組織は通常通りにパラフィンへ包埋して、5μm切片をヘマトキシリンおよびエオシン染色のために切断した。上皮過形成、リンパ球浸潤、および上皮線毛消失の重篤度を、各気管に対して採点した。
【0112】
処理/ウイルス攻撃の全てのグループを、コントロールのグループ(ウイルス攻撃あり、および無しの両方)と比較した。
【0113】
ウイルス攻撃の2時間前または2時間後の鼻腔内接種、およびウイルス攻撃の6時間前、2時間前、および2時間後のスプレーが、最も良い結果を与えた。データの概要は以下の表6に示した。
【0114】
【表6】

【実施例5】
【0115】
用量反応試験
ニワトリでIBVに対して抗ウイルス効果を得ることが可能な活性配合の最小量を同定するために、スプレー接種を用いた。
【0116】
実施例4で用いたのと同じ種類および日齢のトリ、および鶏舎を、この実施例でも同様に用いた。
【0117】
以下の濃度の実施例1の製剤を用いた:未希釈物、および、製剤:水の比率が、1:5,1:10,1:20,1:40,1:80,1:160,1:320,1:640、および1:1280、である水による希釈物である。実施例4の記述と同様に、処理したトリおよび未処理のトリのグループへウイルス攻撃を行った。他の未処理のトリはネガティブコントロールとした。
【0118】
【表7】

【0119】
ウイルス攻撃の2時間前の処理では検出可能なウイルスは対数スケールで3だけ減少したが、それに対して、ウイルス攻撃の2時間後の処理では検出可能なウイルスは対数スケールで2.5だけ減少した。2週齢の感染しやすい特定病原体未感染のニワトリは、1×10EID50以下の病原性IBVによるウイルス攻撃では、ほとんどのトリが病気にならないことが知られているため、このことは極めて重要である。これは、より低い希釈率で処理したグループで臨床的兆候を示すトリがより少ないという以下のデータと一致する。従って、1:40またはそれ以下の希釈率での本発明の組成物によるウイルス攻撃の2時間前の処理によって、野外での疾病を減少させるまたは防止する可能性があり得る。感染の2時間後での処理は矛盾しない用量反応を示したため、1:40またはそれ以下の希釈率で与えた場合に病状の改善をもたらすであろう。
【0120】
【表8】

【0121】
これまでの記述中に、本発明の数量的特徴および利点が、本発明の構造および機能の詳細と共に説明されているものの、開示内容は説明のためのみであり、詳細において、特に、本発明の方式中の形状、サイズ、および部品の配置については、添付の請求項が表現する用語の広範な意味によって示される最大限まで変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝染性気管支炎ウイルス株を有するトリの治療方法であって、
伝染性気管支炎を有するトリに、安全かつ有効な量の組成物を投与する工程を有し、前記組成物は、
ターメリック粉末抽出物、ターメリック液体抽出物、ターメリック抽出物、ターメリック粉末、ターメリックの植物全体の少なくとも一部、ターメリックのチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第1の成分と、
緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶の植物全体の少なくとも一部、緑茶のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第2の成分と、
生姜粉末抽出物、生姜液体抽出物、生姜粉末、生姜の植物全体の少なくとも一部、生姜のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第3の成分と、
許容可能な担体と
を含む組成物であり、前記量は、投与した場合に、他のトリによる伝染性気管支炎の発症を軽減するのに有効な量である、方法。
【請求項2】
伝染性気管支炎の発症または伝染性を軽減するための組成物の予防的使用方法であって、伝染性気管支炎に曝露された、または曝露されるトリに、安全かつ有効な量の組成物を投与する工程を有し、前記組成物は、
ターメリック粉末抽出物、ターメリック液体抽出物、ターメリック抽出物、ターメリック粉末、ターメリックの植物全体の少なくとも一部、ターメリックのチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第1の成分と、
緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶の植物全体の少なくとも一部、緑茶のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第2の成分と、
生姜粉末抽出物、生姜液体抽出物、生姜粉末、生姜の植物全体の少なくとも一部、生姜のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第3の成分と、
許容可能な担体と
を含む組成物であり、
前記量は、投与した場合に、前記処理したトリに曝露した他のトリの発症を軽減するために有効な量である、方法。
【請求項3】
請求項1〜2記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は、乾燥製剤、液剤、錠剤、カプセル、飼料添加物、および水添加物から成る群から選択される形態で投与されるものである。
【請求項4】
請求項1〜2記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は、エアロゾル、スプレー、または霧として投与されるものである。
【請求項5】
請求項1〜2記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は、インオボ(in ovo)で投与されるものである。
【請求項6】
請求項1〜2記載のいずれか1つの方法において、前記組成物の投与は、器具上に存在する伝染性気管支炎ウイルスの少なくとも一部を不活性な状態にするために、前記器具の物品を消毒するのに有効な量の前記組成物を使用する工程をさらに有するものである。
【請求項7】
請求項1〜6記載のいずれか1つの方法において、第1の成分はターメリック抽出物を含み、第2の成分は緑茶抽出物を含むものである。
【請求項8】
請求項1〜7記載のいずれか1つの方法において、前記組成物の1グラム当たりは、約0.001mg〜約20mgの緑茶抽出物、および約0.0011mg〜約30mgのターメリック粉末抽出物を含むものである。
【請求項9】
請求項1〜8記載のいずれか1つの方法において、前記第3の成分は生姜抽出物を含むものである。
【請求項10】
請求項1〜9記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は約0.001mg〜約30mgのターメリック粉末抽出物を含むものである。
【請求項11】
請求項1〜10記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は、セイヨウワサビ根、セイヨウワサビ油、セイヨウワサビ粉末抽出物、セイヨウワサビ液体抽出物、およびセイヨウワサビ根抽出物から成る群から選択される第4の成分をさらに含むものである。
【請求項12】
請求項1〜11記載のいずれか1つの方法において、前記組成物は、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、リン脂質、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、および水から成る群から選択される1若しくはそれ以上の成分をさらに有するものである。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記第4の成分はセイヨウワサビ根抽出物を含むものである。
【請求項14】
トリの餌であって、
トリの飼料成分と、
安全かつ有効な量の組成物と
を有し、前記組成物は、
ターメリック粉末抽出物、ターメリック液体抽出物、ターメリック抽出物、ターメリック粉末、ターメリックの植物全体の少なくとも一部、ターメリックのチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第1の成分と、
緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶の植物全体の少なくとも一部、緑茶のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第2の成分と、
生姜粉末抽出物、生姜液体抽出物、生姜粉末、生姜の植物全体の少なくとも一部、生姜のチンキ剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される第3の成分と、
を含む組成物であり、
前記量は、トリに飼料として投与した場合、伝染性気管支炎を治療、前記トリにおける伝染性気管支炎の発症を軽減、または前記治療したトリに曝露した他のトリでの伝染性気管支炎の発生を軽減するために有効な量である、トリの餌。
【請求項15】
請求項14記載のトリの餌において、前記第1の成分はターメリック抽出物を含み、前記第2の成分は緑茶抽出物を含むものである。
【請求項16】
請求項14〜15記載のいずれか1つのトリの餌において、前記組成物は1グラム当たり、約0.001mg〜約20mgの緑茶抽出物、および約0.001mg〜約30mgのターメリック粉末抽出物を含むものである。
【請求項17】
請求項14〜16記載のいずれか1つのトリの餌において、前記第3の成分は生姜抽出物を含むものである。
【請求項18】
請求項14〜17記載のいずれか1つのトリの餌において、前記組成物は、約0.001mg〜約30mgの生姜抽出物を含むものである。
【請求項19】
請求項14〜18記載のいずれか1つのトリの餌において、前記組成物は、セイヨウワサビ油、セイヨウワサビ根、セイヨウワサビ粉末抽出物、セイヨウワサビ液体抽出物、およびセイヨウワサビ根抽出物から成る群から選択される第4の成分を含むものである。
【請求項20】
請求項14〜19記載のいずれか1つのトリの餌において、前記組成物は、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、リン脂質、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、および水から成る群から選択される1若しくはそれ以上の成分をさらに含むものである。
【請求項21】
請求項14〜20記載のいずれか1つのトリの餌において、前記トリの餌は、前記トリの餌の総重量に基づいて約0.001〜約50重量%の前記組成物を含むものである。
【請求項22】
請求項14〜20記載のいずれか1つのトリの餌において、前記トリの餌は、前記トリの餌の総重量に基づいて約0.01〜約30重量%の前記組成物を含むものである。
【請求項23】
請求項14〜20記載のいずれか1つのトリの餌において、前記トリの餌は、前記トリの餌の総重量に基づいて約0.1〜約20重量%の前記組成物を含むものである。
【請求項24】
請求項19記載の前記トリの餌において、前記第4の成分はセイヨウワサビ油を含むものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522138(P2010−522138A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541612(P2009−541612)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/087551
【国際公開番号】WO2008/074031
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(503220565)ザ キグリー コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】