説明

伝送装置および経路切替え方法

【課題】伝送経路の不要な切替えを防止する。
【解決手段】受信部1aは、第1のレイヤにおけるネットワークから、第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信する。生成部1bは、受信部1aの受信した第1のレイヤの障害情報に基づいて、第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、データを伝送する伝送装置およびその経路切替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OTN(Optical Transport Network)技術は、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)のG.709で標準化されているように、様々なクライアント信号を共通の光ネットワークで伝送することを可能としている。例えば、イーサネット(登録商標)の信号でノード間を接続しているパケットネットワークは、イーサネットをOTNにマッピングして広域伝送を実現している。
【0003】
上記例のように、パケットネットワークをOTNにマッピングした場合、パケットネットワークのトポロジ情報と、OTNのトポロジ情報との間には、何ら関係がない。そのため、OTNでの冗長切替えとパケットネットワークでの冗長切替えは、独立して行われる。
【0004】
なお、従来、ルーティングプロトコルの収束時間に無関係であり、かつ多重障害の場合においても、迂回パスの設定においてリソース競合なく複数のパスを迅速に迂回できる通信ネットワークシステムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、デジタルラッパー技術を利用してネットワークを構築する方法が提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−239359号公報
【特許文献2】特開2004−193812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、第1のレイヤでの冗長切替えと、第1のレイヤより上位の第2のレイヤでの冗長切替えは、独立して行われる。そのため、不要な伝送経路の切替えが行われる場合があるという問題点があった。
【0008】
例えば、レイヤ1(physical layer)のOTNで障害が発生し、OTNで伝送経路の冗長切替えが行われたとする。この場合、レイヤ1のOTNでの冗長切替えと、レイヤ2(data link layer)のパケットネットワークでの冗長切替えは、独立して行われる。そのため、レイヤ2のパケットネットワークは、レイヤ1のOTNでの冗長切替えにより、自身の伝送経路の冗長切替えが不要な場合でも、瞬間的に接続性が失われるため、伝送経路の冗長切替えを行ってしまう。
【0009】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、伝送経路の不要な切替えを防止する伝送装置および経路切替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、データを伝送する伝送装置が提供される。この伝送装置は、第1のレイヤにおけるネットワークから前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信する受信部と、前記受信部の受信した前記障害情報に基づいて、前記第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する生成部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
開示の装置および方法によれば、伝送経路の不要な切替えを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る伝送装置を説明する図である。
【図2】伝送装置の動作例を説明する図である。
【図3】図2における伝送装置の動作例を示したフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係る伝送装置を適用したOTNの一例を示した図である。
【図5】FTFLメッセージを説明する図である。
【図6】ノードのブロックの一例を示した図である。
【図7】復旧TBのデータ構成例を示した図である。
【図8】第3の実施の形態に係る復旧TBのデータ構成例を示した図である。
【図9】ノードの動作を示したフローチャートである。
【図10】第4の実施の形態に係る伝送装置を適用したOTNの一例を示した図である。
【図11】復旧TBのデータ構成例を示した図である。
【図12】第5の実施の形態に係る復旧TBのデータ構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る伝送装置を説明する図である。図1に示すように、伝送装置1は、受信部1aおよび生成部1bを有している。
【0014】
受信部1aは、第1のレイヤにおけるネットワークから、第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信する。例えば、受信部1aは、OTNから、OTNにおける障害情報を受信する。障害情報には、例えば、OTNの障害発生位置が含まれる。
【0015】
生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づいて、第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。例えば、生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づいて、OTNより上位のレイヤのパケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。具体的には、生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づき、OTNの予備回線のない所で障害が発生している場合には、パケットネットワークの伝送経路を切替える旨の情報を含む切替え情報を生成する。例えば、生成部1bは、情報処理演算装置、回路、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0016】
図2は、伝送装置の動作例を説明する図である。図2には、OTNとパケットネットワークのトポロジが示してある。図2に示す経路2aは、OTNの現用回線を示している。経路2bは、OTNの予備回線を示している。経路3a〜3cは、パケットネットワークを示している。
【0017】
図2に示す番号1〜8は、レイヤ1のOTNの伝送装置を示している。四角で囲まれた番号1,5,7の伝送装置は、さらにレイヤ2を扱う伝送装置を示している。図2に示す番号1の伝送装置は、図1で説明した伝送装置1とする。
【0018】
パケットは、図2において、左から右方向へ伝送されるものとする。例えば、パケットは、経路3aに示すように、伝送装置1から番号7の伝送装置へ伝送される。また、パケットは、経路3bに示すように、伝送装置1から番号5の伝送装置へ伝送される。また、パケットは、経路3cに示すように、番号5の伝送装置から番号7の伝送装置へ伝送される。
【0019】
番号6に示す伝送装置は、番号5の伝送装置から信号が受信できなくなったとする。番号6の伝送装置は、番号5と番号6との間のOTNで障害が発生したことを検出し、上流の伝送装置1に、その旨の障害情報を送信する。
【0020】
伝送装置1の受信部1aは、OTNの障害情報を受信する。生成部1bは、受信部1aで受信された障害情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。
【0021】
例えば、上記例の場合、OTNの予備回線のない位置で障害が発生している。この場合、生成部1bは、パケットネットワークの伝送経路を切替える旨の情報を含む切替え情報を生成する。なお、生成された切替え情報は、例えば、図1に図示しない経路制御部に出力される。経路制御部は、受信した切替え情報に基づき、パケットを伝送する経路を、経路3aから経路3b,3cに切替える。
【0022】
予備回線のある場所で障害が発生した場合を説明する。番号3に示す伝送装置は、番号2の伝送装置から信号が受信できなくなったとする。番号3の伝送装置は、番号2と番号3との間のOTNで障害が発生したことを検出し、上流の伝送装置1に、その旨の障害情報を送信する。
【0023】
伝送装置1の受信部1aは、OTNの障害情報を受信する。生成部1bは、受信された障害情報に基づいて、パケットネットワークの切替え情報を生成する。
例えば、上記例の場合、OTNの予備回線のある位置で障害が発生している。この場合、生成部1bは、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成しない。
【0024】
ここで、番号1の伝送装置1が、受信部1aおよび生成部1bを有しない伝送装置の場合について説明する。受信部1aおよび生成部1bを有しない場合、番号1の伝送装置は、レイヤ1のOTNでの冗長切替えと、レイヤ2のパケットネットワークでの冗長切替えとを独立して行う。
【0025】
例えば、番号2と番号3との間のOTNで障害が発生し、現用回線から予備回線へOTNの冗長切替えが行われたとする。この場合、OTNの冗長切替えにより、パケットネットワークでは、瞬間的に接続性が失われる。そのため、番号1の伝送装置は、パケットネットワークでの伝送経路の冗長切替えを行ってしまう。例えば、経路3aのパケットネットワークでは、番号2,3間のOTNの冗長切替えにより、瞬間的に接続性が失われるため、番号1の伝送装置は、パケットの伝送経路を経路3aから経路3b,3cへ切替える。すなわち、番号1の伝送装置は、OTNで障害が救済され、パケットネットワークで伝送経路を切替えなくてもよいにも関わらず、パケットネットワークの伝送経路を切替えてしまう。
【0026】
しかし、伝送装置1の生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づいて、OTNのレイヤより上位のパケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。すなわち、伝送装置1は、上記例で説明したように、番号2,3間のOTNで障害が発生しても、パケットネットワークの伝送経路の切替えを行わず、不要な伝送経路の切替えを防止する。
【0027】
図3は、図2における伝送装置の動作例を示したフローチャートである。
[ステップS1]受信部1aは、OTNから、OTNにおける障害情報を受信する。
[ステップS2]生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づき、OTNの予備回線のない所で障害が発生しているか判断する。生成部1bは、OTNの予備回線のない所で障害が発生している場合、ステップS3へ進む。生成部1bは、OTNの予備回線のある所で障害が発生している場合、処理を終了する。
【0028】
[ステップS3]生成部1bは、パケットネットワークの伝送経路を切替える旨の情報を含む切替え情報を生成する。
このように、伝送装置1の受信部1aは、第1のレイヤにおけるネットワークから、第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信する。そして、生成部1bは、受信部1aの受信した障害情報に基づいて、第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成するようにした。これにより、伝送装置1は、伝送経路の不要な切替えを防止することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第2の実施の形態に係る伝送装置を適用したOTNの一例を示した図である。図4に示す番号1〜8は、伝送装置を示している。以下では、伝送装置をノードと呼ぶことがある。
【0030】
番号1〜8は、例えば、OTNノードである。番号1〜8のノードは、レイヤ1のOTNを形成している。図4に示す経路20aは、OTNの現用回線を示し、経路20bは、OTNの予備回線を示している。よって、番号1〜5のノードは、障害発生時にOTNの回線を現用回線から予備回線に切替えることができる。番号6〜8のノードは、障害発生時にOTNの回線を現用回線から予備回線に切替えることができない。
【0031】
四角で囲まれた番号1,5,7のノードは、例えば、OTNノードであり、パケットネットワークノードでもある。番号1,5,7のノードは、レイヤ2のパケットネットワークを形成している。
【0032】
パケットネットワークの論理経路は、OTN上にODU(Optical Data Unit)パスを通し、パケットネットワークノードを接続することによって形成される。例えば、番号1と番号7のノードは、ODUパスを経由して論理的に接続し、パケットネットワークの経路30aを形成している。番号1と番号5のノードは、ODUパスを経由して論理的に接続し、パケットネットワークの経路30bを形成している。番号5と番号7のノードは、ODUパスを経由して論理的に接続し、パケットネットワークの経路30cを形成している。なお、パケットネットワークのトポロジでは、番号2〜4,6,8のノードは存在しないため、パケットネットワークの経路情報は、番号1,5,7のノード間の接続情報となる。以下では、パケットは、図4において、左から右方向へ伝送されるものとする。
【0033】
番号1のノード10は、番号2〜8の下流のノードから、OTNのFTFL(Fault Type and Fault Location reporting channel)メッセージを受信する。ノード10は、受信したFTFLメッセージに基づいて、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。
【0034】
図5は、FTFLメッセージを説明する図である。FTFLメッセージは、図5の上側に示すように、256バイトのデータから形成されている。FTFLメッセージは、0バイトから127バイトのフォワードフィールド(Forward field)と、128バイトから255バイトのバックワードフィールド(Backward field)とに分けることができる。
【0035】
障害を検出したノードは、下流の終端のノード(例えば、番号7のノード)にFTFLメッセージを送信するときは、フォワードフィールドに所定の情報を格納して送信する。また、障害を検出したノードは、上流の始端のノード(例えば、ノード10)にFTFLメッセージを送信するときは、バックワードフィールドに所定の情報を格納して送信する。
【0036】
例えば、図4において、番号6のノードが番号5,6間の障害を検出したとする。この場合、番号6のノードは、終端の番号7のノードにFTFLメッセージを送信するときは、フォワードフィールドに障害情報を格納して送信する。また、番号6のノードは、始端のノード10にFTFLメッセージを送信するときは、バックワードフィールドに障害情報を格納して送信する。
【0037】
なお、障害を検出したノードは、上流の始端のノードに障害情報を通知する場合、終端のノードにFTFLメッセージを送信し、終端のノードが、受信した障害情報をFTFLメッセージのバックワードフィールドに格納して、始端のノードに送信してもよい。例えば、番号6のノードが番号5,6間の障害を検出したとする。この場合、番号6のノードは、FTFLのフォワードフィールドに障害情報を格納し、番号7のノードに送信する。番号7のノードは、受信した障害情報をFTFLのバックワードフィールドに格納し、ノード10に送信する。
【0038】
フォワードフィールドは、図5の左下側に示すように、障害インジケーションフィールド(Fault indication field)と、オペレータ識別子フィールド(Operator identifier field)と、オペレータ専用フィールド(Operator-specific field)とを有している。バックワードフィールドも、図5の右下側に示すように、フォワードフィールドと同様の、障害インジケーションフィールドと、オペレータ識別子フィールドと、オペレータ専用フィールドとを有している。
【0039】
障害インジケーションフィールドには、OTNの障害なし(No Fault)、信号障害(Signal Fail)、および信号劣化(Signal Degrade)の情報が格納される。オペレータ識別子フィールドには、OTNの障害発生位置の情報が格納される。障害発生位置は、例えば、信号障害を検出したノードの識別子で示される。
【0040】
例えば、図4において、番号5,6の間で障害が発生した場合、番号6のノードが障害を検出する。この場合、番号6のノードは、FTFLメッセージの障害インジケーションフィールドに‘信号障害’を格納し、オペレータ識別子フィールドに番号6のノードの識別子(例えば、番号6)を格納する。
【0041】
障害を検出したノードは、2以上の経路から信号を受信している場合、さらにどの方向の経路の障害を検出したかの情報もオペレータ識別子フィールドに格納する。
例えば、図4において、番号3のノードは、番号2,4のノードから信号を受信している。この場合、番号3のノードは、番号3のノードの識別子(例えば、番号3)と、番号2,4のノードのどちらの経路の障害を検出したかの情報をオペレータ識別子フィールドに格納する。
【0042】
具体的には、番号2,3のノード間で障害が発生した場合、番号3のノードは、オペレータ識別子フィールドに、番号3のノードの識別子と、障害経路方向を示す番号2のノードの識別子(例えば、番号2)を格納する。また、番号4,3のノード間で障害が発生した場合、番号3のノードは、オペレータ識別子フィールドに、番号3のノードの識別子と、障害経路方向を示す番号4のノードの識別子(例えば、番号4)を格納する。
【0043】
なお、ノード10は、受信したFTFLメッセージによって、障害の発生と障害位置とを知ることができる。例えば、ノード10は、FTFLメッセージの障害インジケーションフィールドにより、障害の発生を知ることができる。また、ノード10は、例えば、オペレータ識別子フィールドに、番号6が格納されていれば、番号5,6の間で信号障害があったことを知ることができる。また、ノード10は、例えば、オペレータ識別子フィールドに番号3が格納され、障害経路方向を示す番号2が格納されていれば、番号2,3の間で信号障害があったことを知ることができる。ノード10は、障害の発生位置に基づいて、レイヤ2のパケットネットワークの伝送経路の切替え指示情報を含む切替え情報を生成する。
【0044】
図6は、ノードのブロックの一例を示した図である。図6に示すように、ノード10は、変換部41a,41b、記憶装置42、経路切替え制御部43、およびルーティング制御部44を有している。
【0045】
変換部41a,41bは、OTNの回線に対応して設けられる。例えば、図4において、ノード10からは、番号2と番号4のノードの2方向へ回線が伸びている。変換部41aは、番号4のノードと接続されている回線に接続され、変換部41bは、番号2のノードと接続されている回線に接続されている。
【0046】
変換部41a,41bは、受信器41aa,41baおよび変換処理部41ab,41bbを備える。受信器41aa,41baは、ルーティング制御部44からパケットネットワークで伝送するデータを受信する。変換処理部41ab,41bbは、パケットネットワークで伝送するデータを、OTNのフォーマットに変換し、OTNに出力する。
【0047】
また、受信器41aa,41baは、OTNからデータを受信する。変換処理部41ab,41bbは、受信したデータを、パケットネットワークのフォーマットに変換し、ルーティング制御部44に出力する。
【0048】
また、変換部41a,41bは、OTNの管理情報制御やアラーム検出等を行う。例えば、受信器41aa,41baがOTNの障害を検出すると、変換処理部41ab,41bbはFTFLメッセージを生成し、OTNへ出力する。また、受信器41aa,41baは、OTNからFTFLメッセージを受信し、変換処理部41ab,41bbは受信したFTFLメッセージを経路切替え制御部43に出力する。
【0049】
記憶装置42には、OTNの障害発生位置と、パケットネットワークの伝送経路を切替えるか否かの情報を示した切替え指示情報とが予め対応付けられた復旧TB42aが記憶されている。例えば、変換部41a,41b、経路切替え制御部43およびルーティング制御部44は、情報処理演算装置、回路、FPGAである。
【0050】
図7は、復旧TBのデータ構成例を示した図である。図7に示すように、復旧TB42aは、障害発生位置、L1切替え指示、およびL2切替え指示の欄を有している。
障害発生位置の欄には、OTNの障害の発生位置が格納されている。例えば、図7の‘#2’は、図4において、ノード10と番号2のノードとの間で信号障害(下り方向の信号障害)が発生したことを示す。また、‘#3(#2向き)’は、図4において、番号2のノードと番号3のノードとの間で信号障害が発生したことを示す。また、‘#3(#4向き)’は、図4において、番号2のノードと番号3のノードとの間で信号障害が発生したことを示す。
【0051】
L1切替え指示の欄には、パケットネットワークの経路L1を切替えるか否かの情報が格納されている。L1切替え指示の欄の‘No’は、OTNで障害が発生しても経路L1を切替えないことを示し、‘Yes’は、OTNで障害が発生した場合、経路L1を別の経路に切替えることを示している。
【0052】
例えば、図4の経路30aを経路L1とする。ノード10は、‘#2’で障害が発生した旨のFTFLメッセージを受信したとする。この場合、復旧TB42aより、経路L1は、その経路を切替えなくてよいことが分かる。また、ノード10は、‘#6’で障害が発生した旨のFTFLメッセージを受信したとする。この場合、復旧TB42aより、経路L1は、その経路を切替えることが分かる。以下では、図4の経路30aを経路L1と呼ぶこともある。
【0053】
L2切替え指示の欄には、パケットネットワークの経路L2を切替えるか否かの情報が格納されている。L2切替え指示の欄の‘No’は、OTNで障害が発生しても経路L2を切替えないことを示し、‘Yes’は、OTNで障害が発生した場合、経路L2を別の経路に切替えることを示している。
【0054】
例えば、図4の経路30bを経路L2とする。ノード10は、‘#2’で障害が発生した旨のFTFLメッセージを受信したとする。この場合、復旧TB42aより、経路L2は、その経路を切替えなくてよいことが分かる。以下では、図4の経路30bを経路L2と呼ぶこともある。
【0055】
L1切替え指示の欄およびL2切替え指示の欄の‘−’は、無効を示している。例えば、図4の番号8,7のノード間には、経路L1(経路30a)が張られていない。従って、図7の障害発生位置‘#7(#8向き)’に対応するL1切替え指示の欄は、‘−’になっている。なお、無効の情報は、‘No’としてもよい。
【0056】
L1切替え指示の欄には、経路L1の障害発生位置において、OTNの予備回線がある場合に‘No’が格納される。例えば、図4では、番号1〜5間のノードには、予備回線が張られている。従って、図7に示すように、障害発生位置‘#2’〜‘#5’に対応するL1切替え指示の欄には、‘No’が格納されている。すなわち、ノード10は、レイヤ1のOTNで障害が復旧される場合は、レイヤ2のパケットネットワークの伝送経路の切替えを行わないようにする。L2切替え指示の欄についても同様である。
【0057】
経路の切替え指示の欄は、ノード10から張られているパケットネットワークの経路分、設けられる。例えば、図4では、ノード10からは、経路L1,L2が張られている。従って、図7に示すように、経路の切替え指示の欄は、L1切替え指示の欄およびL2切替え指示の欄となっている。
【0058】
図6の説明に戻る。経路切替え制御部43は、変換部41a,41bからFTFLメッセージを受信すると、受信したFTFLメッセージに含まれる障害情報に基づいて復旧TB42aを参照し、OTNより上位レイヤのパケットネットワークにおける伝送経路の切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力する。
【0059】
例えば、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置に基づいて復旧TB42aを参照し、L1切替え指示およびL2切替え指示の情報を取得する。経路切替え制御部43は、取得した切替え指示情報を含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0060】
具体的には、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#6’の場合、図7より、経路L1を切替える旨の情報を取得する。そして、経路切替え制御部43は、経路L1を切替える旨の情報を含む切替え情報を生成する。一方、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#2’の場合、図7より、経路L1,L2を切替えない旨の情報を取得する。経路切替え制御部43は、経路L1,L2を切替えない旨の情報を取得した場合、切替え情報を生成しない。
【0061】
ルーティング制御部44は、例えば、イーサネット(IEEE802.3相当)の信号の送受信を行う。例えば、ルーティング制御部44は、パケットインタフェースから入力されるパケット(図6に示すルーティング制御部44の左側から入力されるパケット)を解析し、出力すべき経路を判断して、変換部41aまたは変換部41bへ出力する。また、ルーティング制御部44は、変換部41a,41bから出力されるパケットを解析し、出力すべき経路を判断して、所定のパケットインタフェースへ出力する。
【0062】
また、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路を切替える。例えば、ルーティング制御部44は、経路L1,L2の切替え条件を、予め図示しないテーブルに格納しておく。例えば、‘経路L1を経路L2に切替える’、‘経路L2を経路L1に切替える’という条件をテーブルに格納しておく。そして、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から経路L1の切替え指示を含む切替え情報が出力されると、図示しないテーブルを参照し、パケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。また、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から経路L2の切替え指示を含む切替え情報が出力されると、図示しないテーブルを参照し、パケットを伝送する経路を、経路L2から経路L1に切替える。
【0063】
ノード10の動作について説明する。まず、図4において、番号5,6のノード間でOTNの信号障害が発生した場合について説明する。
番号6のノードは、番号5,6のノード間の信号障害より、番号5のノードから信号を受信できなくなる。番号6のノードは、FTFLメッセージのバックワードフィールドの障害インジケーションフィールドに信号障害を格納し、バックワードフィールドのオペレータ識別子フィールドに障害発生位置‘#6’を格納する。番号6のノードは、生成したFTFLメッセージを、番号5,3,2のノードを介して、始点のノード10に送信する。
【0064】
なお、番号6のノードは、FTFLメッセージのフォワードフィールドに障害情報を格納して、終端の番号7のノードに送信してもよい。終端の番号7のノードは、受信した障害情報をバックワードフィールドに格納し、番号6,5,3,2のノードを介して、始点のノード10に送信する。
【0065】
ノード10の変換部41bは、FTFLメッセージを受信する。変換部41bは、受信したFTFLメッセージを経路切替え制御部43に出力する。
経路切替え制御部43は、変換部41bから出力されるFTFLメッセージの障害インジケーションフィールドにより、OTNの信号障害を認識し、FTFLメッセージに基づいて復旧TB42aを参照して、切替え情報を生成する。例えば、上記例の場合、経路切替え制御部43は、図7に示す復旧TB42aより、経路L1の切替え指示情報を取得する。経路切替え制御部43は、取得した切替え指示情報より、経路L1を切替える旨の情報を含む切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力する。
【0066】
ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報により、パケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。
次に、図4において、番号2,3のノード間でOTNの信号障害が発生した場合について説明する。
【0067】
番号3のノードは、番号2,3のノード間の信号障害より、番号2のノードから信号を受信できなくなる。番号3のノードは、FTFLメッセージのバックワードフィールドの障害インジケーションフィールドに信号障害を格納し、バックワードフィールドのオペレータ識別子フィールドに障害発生位置‘#3(#2向き)’を格納する。番号3のノードは、生成したFTFLメッセージを、番号2のノードを介して、始点のノード10に送信する。なお、上記で説明したのと同様に、番号3のノードは、生成したFTFLメッセージを終端の番号7のノードに送信してもよい。
【0068】
ノード10の変換部41bは、FTFLメッセージを受信する。変換部41bは、受信したFTFLメッセージを経路切替え制御部43に出力する。
経路切替え制御部43は、変換部41bから出力されるFTFLメッセージの障害インジケーションフィールドにより、OTNの信号障害を認識し、FTFLメッセージに基づいて復旧TB42aを参照して、切替え情報を生成する。例えば、上記例の場合、経路切替え制御部43は、図7に示す復旧TB42aより、経路L1,L2を切替えない旨の切替え指示情報を取得する。経路切替え制御部43は、取得した切替え指示情報より、経路L1,L2を切替えるための切替え情報を生成しない。これにより、ルーティング制御部44は、OTNの予備回線のある位置でOTNの信号障害が発生した場合、パケットネットワークの伝送経路の切替えを行わない。すなわち、ルーティング制御部44は、OTNによる冗長切替えにより、パケットネットワークで瞬間的に(例えば、50ms)接続性が失われても、パケットネットワークの伝送経路の切替えを行わない。
【0069】
このように、ノード10の変換部41a,41bは、レイヤ1のOTNからOTNのFTFLメッセージを受信する。そして、経路切替え制御部43は、変換部41a,41bの受信したFTFLメッセージに基づいて、OTNより上位のレイヤ2におけるパケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成するようにした。これにより、ノード10は、パケットネットワークの伝送経路の不要な切替えを防止することができる。
【0070】
また、ノード10は、パケットネットワークの伝送経路の不要な切替えを防止するので、パケットの伝送遅延を抑制することができる。
また、ノード10は、伝送経路の不要な切替えを防止するとともに、OTNで冗長切替えが行われない回線については、パケットネットワークの伝送経路を切替えるので、パケットネットワークの適切な伝送経路切替えを行うことができる。
【0071】
また、パケットネットワークの不要な伝送経路切替えを防止するには、例えば、OTNの全てのノード間に予備回線を設けることが考えられる。しかし、OTNで現用回線と同じ帯域(例えば、10GHz)の回線を確保するとなると高価なネットワークとなってしまう。これに対し、ノード10は、OTNの全てのノード間に予備回線を設けなくても、パケットネットワークの適切な伝送経路切替えを行うことができる。すなわち、ノード10は、低コストのOTNを形成し、パケットネットワークの適切な伝送経路切替えを行うことができる。
【0072】
なお、上記では、ノード10について、パケットネットワークの伝送経路切替えを説明したが、パケットネットワークノードの番号5,7のノードも、ノード10と同様の機能を有していてもよい。すなわち、番号5,7のノードも図6に示したブロックを有していてもよい。
【0073】
また、上記では、レイヤ2のパケットネットワークの伝送経路を切替えるとしたが、レイヤ3(network layer)のパケットネットワークの伝送経路を切替えるようにしてもよい。例えば、復旧TB42aには、レイヤ3の経路切替え指示情報を格納し、経路切替え制御部43は、切替え指示情報をレイヤ3のルーティング制御部に出力するようにする。
【0074】
また、上記では、ノード10は、OTNノードでもありパケットネットワークノードでもあるとしたが、別々のノードであってもよい。例えば、ノード10は、OTNノードであり、別のパケットネットワークノードがルーティング制御部44を有していてもよい。すなわち、ルーティング制御部44は、ノード10の外部にあってもよい。
【0075】
また、図6では、経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力するとしたが、パケットネットワーク(レイヤ2)のデータフォーマットで切替え情報を生成し、変換部41aまたは変換部41bに出力するようにしてもよい。例えば、経路切替え制御部43は、ITU−T Y.1731等に基づく制御パケットを生成し、切替え情報を含めて、変換部41aまたは変換部41bに出力してもよい。ルーティング制御部44は、変換部41aまたは変換部41bから制御パケットを受信し、受信した制御パケットに含まれる切替え情報に基づき、パケットネットワークの伝送経路を切替える。この場合、経路切替え制御部43とルーティング制御部44との間の信号線が不要となる。ルーティング制御部44がノード10とは別のノードに設けられる場合も同様である。
【0076】
また、経路切替え制御部43とルーティング制御部44との間には、例えば、ノード10から張られるパケットネットワークの経路分の信号線を接続するようにしてもよい。例えば、経路切替え制御部43とルーティング制御部44との間には、経路L1,L2に対応する信号線を接続する。そして、経路切替え制御部43は、1ビットの情報で切替え情報をルーティング制御部44に出力するようにしてもよい。
【0077】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、パケットネットワークの経路ごとに、切替え指示の情報を復旧TBに格納した。第3の実施の形態では、VLAN(Virtual Local Area Network)のVLAN−IDを復旧TBに格納する。以下では、第3の実施の形態に係るノードを適用したOTNの一例は、図4と同様であるとする。
【0078】
図8は、第3の実施の形態に係る復旧TBのデータ構成例を示した図である。図8に示すように、復旧TB51は、障害発生位置および識別コードの欄を有している。
障害発生位置の欄には、OTNの障害の発生位置が格納されている。復旧TB51の障害発生位置の欄には、信号障害が発生したとき、パケットネットワークの伝送経路を切替える障害発生位置のみが格納されている。例えば、障害発生位置‘#6’で信号障害が発生しても、パケットネットワークの伝送経路を切替えない場合は、図8の障害発生位置の欄に‘#6’は格納されない。
【0079】
識別コードの欄には、OTNで障害が発生したとき、パケットネットワークの伝送経路を切替えるパケットのVLAN−IDが格納される。例えば、‘#6’で信号障害が発生した場合、VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’のパケットの経路が切替えられることになる。その他のVLAN−IDのパケットは、‘#6’で信号障害が発生しても伝送経路が切替えられず、救済されないことになる。すなわち、識別コードの欄には、信号障害が発生したときに、復旧させたいVLAN−IDが格納される。
【0080】
なお、復旧TB51の‘end’は、復旧TB51の終わりを示している。
第3の実施の形態に係るノード10のブロックは、図6のブロックと同様になる。ただし、経路切替え制御部43とルーティング制御部44の機能が一部異なる。以下、第3の実施の形態に係る経路切替え制御部43とルーティング制御部44について説明する。
【0081】
経路切替え制御部43は、変換部41a,41bからFTFLメッセージを受信すると、受信したFTFLメッセージに含まれる障害情報に基づいて復旧TB51を参照し、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力する。
【0082】
例えば、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置に基づいて復旧TB51を参照し、伝送経路を切替えるパケットのVLAN−IDを取得する。経路切替え制御部43は、取得したVLAN−IDを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0083】
具体的には、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#6’の場合、図8に示す復旧TB51を先頭から順次検索し、VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’を取得する。経路切替え制御部43は、VLAN−IDを取得するたびにVLAN−IDを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0084】
ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路を切替える。例えば、ルーティング制御部44は、‘VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’の経路を経路L1から経路L2に切替える’という条件を、図示しないテーブルに予め格納しておく。そして、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43からVLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’を含む切替え情報が出力されると、図示しないテーブルを参照し、VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’のパケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。
【0085】
図9は、ノードの動作を示したフローチャートである。
[ステップS1]経路切替え制御部43は、変換部41a,41bから受信したFTFLメッセージに含まれる障害発生位置を取得する。
【0086】
[ステップS2]経路切替え制御部43は、取得した障害発生位置に基づいて、復旧TB51を参照する。経路切替え制御部43は、例えば、復旧TB51の先頭から順に参照する。
【0087】
[ステップS3]経路切替え制御部43は、復旧TB51より、取得した障害発生位置に対応するVLAN−IDを取得する。
[ステップS4]経路切替え制御部43は、取得したVLAN−IDを含む切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44へ出力する。
【0088】
[ステップS5]経路切替え制御部43は、復旧TB51の全ての情報を検索したか判断する。例えば、経路切替え制御部43は、復旧TB51の障害発生位置に格納されている‘end’を検出したか否かによって、復旧TB51の全ての情報を検索した判断する。経路切替え制御部43は、復旧TB51の全ての情報を検索していない場合、ステップS2へ進む。経路切替え制御部43は、復旧TB51の全ての情報を検索した場合、処理を終了する。
【0089】
このように、ノード10の変換部41a,41bは、レイヤ1のOTNからOTNのFTFLメッセージを受信する。そして、経路切替え制御部43は、変換部41a,41bの受信したFTFLメッセージに基づいて、伝送経路を切替えるレイヤ2のパケットのVLAN−IDを取得し、取得したVLAN−IDを含む切替え情報を生成するようにした。これにより、ノード10は、パケットネットワークの伝送経路の不要な切替えを防止することができる。
【0090】
また、ノード10は、VLAN−IDによって、パケットの伝送経路を切替えるので、救済されるパケットと、救済されないパケットとを復旧TB51への登録により容易に制御することができる。
【0091】
また、ノード10は、救済されるパケットと、救済されないパケットとを復旧TB51への登録により容易に制御することができるので、安価なVLANを形成することができる。
【0092】
なお、復旧TB51に登録されるVLAN−IDの種類が少ない場合、VLAN−IDの種類の数分、経路切替え制御部43とルーティング制御部44との間に信号線を接続するようにしてもよい。そして、経路切替え制御部43は、経路を切替えるパケットのVLAN−IDを1ビットの信号で通知するようにしてもよい。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第4の実施の形態では、パケットネットワークの伝送経路切替え後のパケット伝送帯域を制御する。
【0094】
図10は、第4の実施の形態に係る伝送装置を適用したOTNの一例を示した図である。図10において、図4と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。図10では、ノード10と番号7のノードが、経路30a,61のパケットネットワークを形成している。以下では、経路61を経路L2と呼ぶことがある。
【0095】
図11は、復旧TBのデータ構成例を示した図である。図11に示すように、復旧TB62は、障害発生位置、識別コード、切替え有無、および帯域情報の欄を有している。
図11の復旧TB62に示す障害発生位置および識別コードの欄は、上から4つの欄を除いて図8で説明した復旧TB51の障害発生位置および識別コードの欄と同様であり、その説明を省略する。なお、図11に示すVLAN−ID‘1’,‘120’のパケットは、信号障害がないとき、経路L1に出力されるとする。VLAN−ID‘1510’,‘1530’のパケットは、信号障害がないとき、経路L2に出力されるとする。復旧TB51の上から4つの欄は、後で説明する。
【0096】
切替え有無の欄には、障害発生位置の欄に示す位置で障害が発生したとき、障害発生位置の欄に対応するVLAN−IDのパケットの伝送経路を切替えるか否かの情報が格納されている。例えば、‘#6’で信号障害が発生した場合、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットは、経路が切替えられることが分かる。また、VLAN−ID‘1510’,‘1530’のパケットは、経路が切替えられないことが分かる。
【0097】
帯域情報の欄には、パケットの経路が切替えられた後の帯域(単位はメガ)が格納されている。例えば、‘#6’で信号障害が発生した場合、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットは、それぞれ帯域が‘75’,‘25’に制限されることが分かる。また、VLAN−ID‘1510’,‘1530’のパケットは、そのパケット自体の経路は切替えられないが、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットの経路切替えにより、それぞれ帯域が‘60’,‘40’に制限されることが分かる。
【0098】
復旧TB51の上から4つの欄について説明する。障害発生位置‘障害解除’に対応する帯域情報の欄には、信号障害が解除されたとき(信号障害がないとき)のパケットの帯域情報が格納されている。例えば、VLAN−ID‘1’のパケットは、信号障害がないとき、帯域情報は‘100’であることが分かる。
【0099】
なお、復旧TB51の‘end’は、復旧TB51の終わりを示している。
ここで、‘#6’で障害が発生したとする。この場合、上記したように、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットは、復旧TB62より経路が切替えられる。ここでは、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットは、経路L1から経路L2に切替えられるとする。
【0100】
VLAN−ID‘1510’,‘1530’のパケットは、復旧TB62より、経路が切替えられない。従って、経路L2では、VLAN−ID‘1’,‘120’,‘1510’,‘1530’のパケットが伝送されることになる。すなわち、経路L2の帯域は、‘#6’での障害発生により、圧迫されることになる。
【0101】
しかし、復旧TB62に示すように、VLAN−ID‘1’,‘120’の帯域は、それぞれ‘100’,‘500’から‘75’,‘25’に制限される。また、VLAN−ID‘1510’,‘1530’の帯域は、それぞれ‘100’,‘100’から‘60’,‘40’に制限される。これにより、経路L2は、帯域の圧迫が解消される。
【0102】
第4の実施の形態に係るノード10のブロックは、図6のブロックと同様になる。ただし、経路切替え制御部43とルーティング制御部44の機能が一部異なる。以下、第4の実施の形態に係る経路切替え制御部43とルーティング制御部44について説明する。
【0103】
経路切替え制御部43は、変換部41a,41bからFTFLメッセージを受信すると、受信したFTFLメッセージに含まれる障害情報に基づいて復旧TB62を参照し、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力する。
【0104】
例えば、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置に基づいて復旧TB62を参照し、伝送経路を切替えるパケットのVLAN−IDと、帯域情報を取得する。また、経路切替え制御部43は、障害発生位置に対応する伝送経路を切替えないVLAN−IDの帯域情報を取得する。経路切替え制御部43は、取得したVLAN−IDと帯域情報とを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0105】
具体的には、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#6’の場合、図8に示す復旧TB62を先頭から順次検索し、VLAN−ID‘1’,‘120’,‘1510’,‘1530’を取得する。また、経路切替え制御部43は、取得したVLAN−IDに対応する帯域情報を取得する。経路切替え制御部43は、VLAN−IDとそれに対応する帯域情報を取得するたびに、VLAN−IDと帯域情報とを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0106】
ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路を切替える。例えば、ルーティング制御部44は、‘VLAN−ID‘1’,‘120’の経路を経路L1から経路L2に切替える’という条件を、図示しないテーブルに予め格納しておく。そして、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43からVLAN−ID‘1’,‘120’を含む切替え情報が出力されると、図示しないテーブルを参照し、VLAN−ID‘1’,‘120’のパケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。また、ルーティング制御部44は、VLAN−ID‘1’,‘120’,‘1510’,‘1530’の帯域をそれぞれ‘75’,‘25’,‘60’,‘40’に制限する。
【0107】
なお、経路切替え制御部43は、信号障害が解除された旨のFTFLメッセージを受信すると、そのFTFLメッセージに基づいて復旧TB62を参照する。経路切替え制御部43は、障害解除に対応する識別コードと帯域情報とを取得し、これらを含む切り戻し情報を生成する。ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から切り戻し情報を受信して、VLAN−ID‘1’,‘120’の経路を経路L1に戻す。そして、ルーティング制御部44は、VLAN−ID‘1’,‘120’,‘1510’,‘1530’の帯域をそれぞれ‘100’,‘500’,‘100’,‘100’に戻す。
【0108】
このように、ノード10の復旧TB62は、伝送経路を切替えた後のパケットの帯域情報を、障害発生位置とVLAN−IDとに対応づけて予め記憶する。そして、経路切替え制御部43は、帯域情報を含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44は、帯域を制限してパケットの伝送経路を切替える。これにより、ノード10は、経路L1,L2の帯域圧迫を回避することができる。
【0109】
また、優先度の低いパケットの帯域は、帯域制限を大きくして復旧TB62に格納することにより、信号障害が発生しても、優先度の高いパケットの帯域を確保することが可能となる。
【0110】
なお、図10では、経路L1,L2のパケットネットワークが、番号1,7の同じノードで形成されているが、異なるノードを経由して形成されていてもよい。
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第5の実施の形態では、FTFLの障害種別ごとにパケットの経路を切替える。以下では、第5の実施の形態に係るノードを適用したOTNの一例は、図4と同様であるとする。
【0111】
図12は、第5の実施の形態に係る復旧TBのデータ構成例を示した図である。図12に示すように、復旧TB71は、障害発生位置、障害種別、および識別コードの欄を有している。
【0112】
復旧TB71は、図8に示した復旧TB51に対し、さらに、障害種別の欄を有している。障害種別は、障害発生位置と識別コード(VLAN−ID)とに対応づけて予め記憶される。復旧TB71の障害発生位置および識別コードの欄は、図8で説明した復旧TB51の障害発生位置および識別コードの欄と同様であり、以下では、障害種別について説明する。
【0113】
図5で説明したように、FTFLメッセージの障害インジケーションフィールドには、OTNの障害なし、信号障害、および信号劣化の情報が格納される。信号劣化は、信号の接続性を失っていないが、多くの情報が誤りを含んで伝送されている状態を示している。障害種別の欄には、信号劣化(Signal Degrade)または信号障害(Signal Fail)が格納される。
【0114】
復旧TB71の障害種別の欄は、パケットの伝送経路を切替える条件が格納される。例えば、信号劣化が‘#6’で発生し、FTFLメッセージの障害インジケーションフィールドに信号劣化が格納されているとする。この場合、図12の復旧TB71より、VLAN−ID‘1’,‘650’のパケットは、伝送経路が切替えられることが分かる。なお、VLAN−ID‘450’,‘750’のパケットは、‘#6’で信号障害が発生した場合は伝送経路が切替えられるが、信号劣化が発生した場合は伝送経路が切替えられないことが分かる。
【0115】
第5の実施の形態に係るノードのブロックは、図6のブロックと同様になる。ただし、経路切替え制御部43とルーティング制御部44の機能が一部異なる。以下、第5の実施の形態に係る経路切替え制御部43とルーティング制御部44について説明する。
【0116】
経路切替え制御部43は、変換部41a,41bからFTFLメッセージを受信すると、受信したFTFLメッセージに含まれる障害情報に基づいて復旧TB71を参照し、パケットネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する。経路切替え制御部43は、生成した切替え情報をルーティング制御部44に出力する。
【0117】
例えば、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置と、障害種別とに基づいて復旧TB71を参照し、伝送経路を切替えるパケットのVLAN−IDを取得する。経路切替え制御部43は、取得したVLAN−IDを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0118】
具体的には、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#6’で、障害種別が‘信号劣化’の場合、図12に示す復旧TB71を先頭から順次検索し、VLAN−ID‘1’,‘650’を取得する。経路切替え制御部43は、VLAN−IDを取得するたびにVLAN−IDを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0119】
ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路を切替える。例えば、ルーティング制御部44は、‘VLAN−ID‘1’,‘650’のパケット経路を、経路L1から経路L2に切替える’という条件を、図示しないテーブルに予め格納しておく。そして、ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43からVLAN−ID‘1’,‘650’を含む切替え情報が出力されると、図示しないテーブルを参照し、VLAN−ID‘1’,‘650’のパケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。
【0120】
また、経路切替え制御部43は、FTFLメッセージに含まれる障害発生位置が‘#6’で、障害種別が‘信号障害’の場合、図12に示す復旧TB71を先頭から順次検索し、VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’を取得する。経路切替え制御部43は、VLAN−IDを取得するたびにVLAN−IDを含む切替え情報を生成し、ルーティング制御部44に出力する。
【0121】
ルーティング制御部44は、経路切替え制御部43から出力される切替え情報に基づいて、パケットネットワークの伝送経路を切替える。例えば、ルーティング制御部44は、VLAN−ID‘1’,‘450’,‘650’,‘750’のパケットを伝送する経路を、経路L1から経路L2に切替える。
【0122】
このように、ノード10は、OTNからOTNのFTFLメッセージを受信する。そして、経路切替え制御部43は、変換部41a,41bの受信したFTFLメッセージに含まれる障害発生位置と障害種別とに基づいて、伝送経路を切替えるパケットのVLAN−IDを取得し、取得したVLAN−IDを含む切替え情報を生成するようにした。これにより、ノード10は、パケットネットワークの伝送経路の不要な切替えを防止することができるとともに、パケットを誤りの少ない伝送経路で伝送することが可能になる。
【0123】
また、ノード10は、パケットを誤りの少ない伝送経路で伝送することにより、高品質のパケットネットワークを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0124】
1 伝送装置
1a 受信部
1b 生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを伝送する伝送装置において、
第1のレイヤにおけるネットワークから前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信する受信部と、
前記受信部の受信した前記障害情報に基づいて、前記第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する生成部と、
を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害発生位置と、前記第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路を切替えるか否かの情報を示した切替え指示情報とを予め対応付けて記憶したテーブルをさらに有し、
前記生成部は、前記障害情報に含まれる前記障害発生位置に基づいて前記テーブルを参照し、前記切替え指示情報を含む前記切替え情報を生成することを特徴とする請求項1記載の伝送装置。
【請求項3】
前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害発生位置と、前記第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路を切替えるパケットの識別コードとを予め対応付けて記憶したテーブルをさらに有し、
前記生成部は、前記障害情報に含まれる前記障害発生位置に基づいて前記テーブルを参照し、前記識別コードを含む前記切替え情報を生成することを特徴とする請求項1記載の伝送装置。
【請求項4】
前記テーブルは、さらに前記第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路を切替えた後のパケットの帯域情報を前記障害発生位置と前記識別コードとに対応づけて予め記憶し、
前記生成部は、さらに前記帯域情報を含む前記切替え情報を生成することを特徴とする請求項3記載の伝送装置。
【請求項5】
前記テーブルは、さらに前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害種別を前記障害発生位置と前記識別コードとに対応づけて予め記憶し、
前記生成部は、前記障害情報に含まれる前記障害発生位置と前記障害種別とに基づいて前記テーブルを参照し、前記識別コードを含む前記切替え情報を生成することを特徴とする請求項3記載の伝送装置。
【請求項6】
前記生成部によって生成された前記切替え情報に基づいて前記第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路を切替える経路制御部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の伝送装置。
【請求項7】
前記切替え情報は、前記切替え情報に基づいて前記第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路を切替える外部の経路制御部に出力されることを特徴とする請求項1記載の伝送装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記切替え情報を前記第2のレイヤのデータフォーマットで生成することを特徴とする請求項6または7に記載の伝送装置。
【請求項9】
データを伝送する伝送装置の経路切替え方法において、
第1のレイヤにおけるネットワークから前記第1のレイヤにおけるネットワークの障害情報を受信し、
受信した前記障害情報に基づいて、前記第1のレイヤより上位の第2のレイヤにおけるネットワークの伝送経路の切替え情報を生成する、
ことを特徴とする経路切替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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