説明

伝送電力を制御する方法及び伝送電力を制御する装置

【課題】無線通信システムにおいて、複数の信号を伝送する場合に、伝送電力を効率的に制御する方法及び装置を実現する。
【解決手段】本発明は、無線通信システムに関するものである。具体的に、本発明は、無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、複数のコンポーネント搬送波に対してコンポーネント搬送波別最大伝送電力(P_CC_MAX)及び前記端末の最大伝送電力(P_UE_MAX)を確認する段階と、一つまたは複数のコンポーネント搬送波を通じて基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数のチャネルに対して、それぞれの伝送電力を計算する段階と、前記P_CC_MAX及び前記P_UE_MAXを超えないように、前記複数のチャネルに対して伝送電力を独立して調整する段階と、前記伝送電力の調整された複数のチャネルを通じて、前記基地局に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、特に、アップリンク伝送電力を制御する方法及びアップリンク伝送電力を制御する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムが、音声やデータなどのような多種多様な通信サービスを提供するために広範囲に展開されている。一般に、無線通信システムは、使用可能なシステムリソース(帯域幅、伝送パワー等)を共有してマルチユーザとの通信を支援できる多元接続(Multiple Access)システムである。多元接続システムの例には、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access;CDMA)システム、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access;FDMA)システム、時分割多元接続(Time Division Multiple Access;TDMA)システム、直交周波数分割多元接続(Orthogonal Frequency Division Multiple Access;OFDMA)システム、単一搬送波周波数分割多元接続(Single Carrier Frequency Division Multiple Access;SC−FDMA)システム、多搬送波周波数分割多元接続(Multi Carrier Frequency Division Multiple Access;MC−FDMA)システムなどがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、無線通信システムにおいて、複数の信号を伝送する場合に、伝送電力を効率的に制御する方法及び装置を提供することにある。
【0004】
本発明の他の目的は、複数の信号を伝送する際に、信号の伝送電力の和が最大伝送電力を超えた場合に、伝送電力を効率的に制御する方法及び装置を提供することにある。
【0005】
本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない別の技術的課題は、下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様相として、無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、第1チャネル及び第2チャネルに対する各伝送電力を独立して決定する段階と、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えた場合、チャネル優先順位を考慮して、前記第1チャネルまたは前記第2チャネルの伝送電力のうち少なくとも一つを減少させる段階と、基地局に、前記第1チャネル及び前記第2チャネルを通じて同時に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法が提供される。
【0007】
本発明の他の様相として、無線信号を基地局と送受信するように構成された無線周波数(Radio Frequency;RF)ユニットと、前記基地局と送受信する情報及び前記端末の動作に必要なパラメータを保存するメモリと、前記RFユニット及び前記メモリと接続され、前記端末の動作のために前記RFユニット及び前記メモリを制御するように構成されたプロセッサと、を有し、ここで、前記プロセッサは、第1チャネル及び第2チャネルに対する各伝送電力を独立して決定する段階と、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えた場合、チャネル優先順位を考慮して、前記第1チャネルまたは前記第2チャネルの伝送電力のうち少なくとも一つを減少させる段階と、基地局に、前記第1チャネル及び前記第2チャネルを通じて同時に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法を行うように構成された端末が提供される。
【0008】
ここで、前記第1チャネル及び前記第2チャネルはそれぞれ、一つまたは複数の単一搬送波周波数分割多元接続(Single Carrier Frequency Division Multiple Access;SC−FDMA)シンボルを有することができる。一方、前記チャネル優先順位は、チャネルのタイプまたはチャネル上の情報のうち少なくとも一つを考慮して決定されてもよい。前記第1チャネル及び前記第2チャネルはそれぞれ、物理アップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel;PUSCH)、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)またはサウンディングリファレンス信号(Sounding Reference Signal;SRS)のいずれかを有することができる。
【0009】
ここで、前記第1チャネル及び前記第2チャネルがいずれもPUSCHである場合、チャネル優先順位は、伝送フォーマット、再伝送であるか否かまたは再伝送回数のうち少なくとも一つを考慮して決定されてもよい。また、PUSCHの伝送電力が減少した場合、該PUSCHに適用される変調/コーディング手法(Modulation and Coding Scheme;MCS)を、減少した電力量を考慮して低く調整することができる。また、前記第1チャネルがACKを搬送するPUCCHであり、前記第2チャネルがPUSCHである場合、PUSCHのチャネル優先順位がより高く設定されてもよい。
【0010】
本発明のさらに他の様相として、無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、複数のコンポーネント搬送波に対して、コンポーネント搬送波別最大伝送電力(P_CC_MAX)及び前記端末の最大伝送電力(P_UE_MAX)を確認する段階と、一つまたは複数のコンポーネント搬送波を通じて基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数のチャネルに対して、それぞれの伝送電力を計算する段階と、前記P_CC_MAX及び前記P_UE_MAXを超えないように、前記複数のチャネルに対して伝送電力を独立して調整する段階と、前記伝送電力が調整された複数のチャネルを通じて前記基地局に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の様相として、無線信号を基地局と送受信するように構成された無線周波数(Radio Frequency;RF)ユニットと、前記基地局と送受信する情報及び前記端末の動作に必要なパラメータを保存するメモリと、前記RFユニット及び前記メモリに接続され、前記端末の動作のために前記RFユニット及び前記メモリを制御するように構成されたプロセッサと、を有し、ここで、前記プロセッサは、複数のコンポーネント搬送波に対して、コンポーネント搬送波別最大伝送電力(P_CC_MAX)及び前記端末の最大伝送電力(P_UE_MAX)を確認する段階と、一つまたは複数のコンポーネント搬送波を通じて基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数のチャネルに対して、それぞれの伝送電力を計算する段階と、前記P_CC_MAX及び前記P_UE_MAXを超えないように、前記複数のチャネルに対して伝送電力を独立して調整する段階と、前記伝送電力が調整された複数のチャネルを通じて、前記基地局に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法を行うように構成された端末が提供される。
【0012】
ここで、前記P_CC_MAXを設定するための情報または前記P_UE_MAXを設定するための情報は、放送メッセージまたは無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)メッセージを通じてシグナリングされてもよい。
【0013】
ここで、前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記P_UE_MAXを超えないように、各チャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、前記各チャネルの伝送電力を減らした後、コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するP_CC_MAXを超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することができる。この場合、前記対応するP_CC_MAXを超えないように前記対応するチャネルから減らした電力の少なくとも一部は、他のコンポーネント搬送波の伝送電力を増加させるのに使用されてもよい。
【0014】
ここで、前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するP_CC_MAXを超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、前記各チャネルの伝送電力を減らした後、前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記P_UE_MAXを超えないように、各チャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することができる。
【0015】
ここで、前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階を、それぞれのチャネルに対して独立して減衰係数を適用することによって行うことができる。
【0016】
ここで、それぞれのチャネルは、一つまたは複数の単一搬送波周波数分割多元接続(Single Carrier Frequency Division Multiple Access;SC−FDMA)シンボルを有することができる。この場合、それぞれのチャネルは、物理アップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel;PUSCH)、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)またはサウンディングリファレンス信号(Sounding Reference Signal;SRS)のいずれかを有することができる。
【0017】
本発明のさらに他の様相として、無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、複数のアンテナに対してそれぞれの伝送電力を計算する段階と、それぞれのアンテナに対して前記計算された伝送電力が、対応するアンテナの最大伝送電力を超える場合、伝送電力減衰比率を計算する段階と、前記一つまたは複数の伝送電力減衰比率において最大減衰比率を前記複数のアンテナに同一に適用する段階と、前記複数のアンテナを通じて信号を基地局に伝送する段階と、を有する信号伝送方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、無線通信システムにおいて複数の信号を伝送する場合に、伝送電力を効率的に制御することができる。また、信号の伝送電力の和が最大伝送電力を超えた場合に、伝送電力を効率的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】発展型ユニバーサル移動電話システム(Evolved Universal Mobile Telecommunications System;E−UMTS)のネットワーク構造を示す図である。
【図2】3GPP無線アクセスネットワーク規格に基づく端末とE−UTRAN間の無線インターフェースプロトコル構造を示す図である。
【図3】OFDMA及びSC−FDMAのための送信機及び受信機を示すブロック図である。
【図4】LTEで使用される無線フレームの構造を示す図である。
【図5】単一コンポーネント搬送波環境の下で通信を行う例を示す図である。
【図6A】LTEで使用されるアップリンクサブフレームの構造を示す図である。
【図6B】LTEで使用されるアップリンク制御チャネルの構造を示す図である。
【図7】多重コンポーネント搬送波環境の下に通信を行う例を示す図である。
【図8】本発明の実施例によって伝送電力を調整する例を示す図である。
【図9】本発明の実施例によって複数の信号を伝送する例を示す図である。
【図10】一つまたは複数のコンポーネント搬送波単位に最大伝送電力が制限される場合に、本発明の実施例によって伝送電力を調整する例を示す図である。
【図11】一つまたは複数のコンポーネント搬送波単位に最大伝送電力が制限される場合に、本発明の実施例によって伝送電力を調整する他の例を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に適用されうる基地局及び端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面は、本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれるともに、本発明に係る実施例を提供し且つ詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【0021】
以下、添付の図面を参照して説明される本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。本発明の実施例は、CDMA、FDMA、TDMA、OFDMA、SC−FDMA、MC−FDMAのような様々な無線接続技術に用いられてもよい。CDMAは、ユニバーサル地上無線アクセス(Universal Terrestrial Radio Access;UTRA)やCDMA2000のような無線技術で具現することができる。TDMAは、移動通信用グローバルシステム(Global System for Mobile communications;GSM(登録商標))/汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service;GPRS)/発展型GSM用拡張データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution;EDGE)のような無線技術で具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi(ワイファイ、無線LANの相互接続認証))、IEEE 802.16(WiMAX(ワイマックス、マイクロ波アクセスのための世界相互運用))、IEEE 802.20、発展型UTRA(Evolved UTRA;E−UTRA)などのような無線技術で具現することができる。UTRAは、ユニバーサル移動電話システム(Universal Mobile Telecommunications System;UMTS)の一部である。第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project;3GPP)ロングタームエボリューション(Long Term Evolution;LTE)は、E−UTRAを使用する発展型ユニバーサル移動電話システム(Evolved UMTS;E−UMTS)の一部である。LTEアドバンスト(LTE-Advanced;LTE−A)は、3GPP LTEの進化したバージョンである。
【0022】
以下の実施例は、本発明の技術的特徴が、3GPPシステムに適用される場合を中心に説明するが、これは例示的なもので、本発明がそれに制限されることはない。
【0023】
図1は、E−UMTSのネットワーク構造を示す図である。E−UMTSは、LTEシステムとも呼ばれる。UMTS及びE−UMTSの技術仕様(technical specification)の詳細な内容はそれぞれ、「第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ無線アクセスネットワーク(3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network)」のリリース(Release)7及びリリース(Release)8を参照すればいい。
【0024】
図1を参照すると、E−UMTSは、端末(User Equipment;UE)120、基地局(eNode B;eNB)110a,110b、及びネットワーク(E−UTRAN)の終端に位置して外部ネットワークに接続されるアクセスゲートウェイ(Access Gateway;AG)を含む。基地局は、ブロードキャストサービス、マルチキャストサービス及び/またはユニキャストサービスのために多重データストリームを同時に伝送することができる。一つの基地局は一つまたは複数のセルを管轄する。セルには、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つが設定される。異なるセルにはそれぞれ異なる帯域幅が設定されてもよい。基地局は、多数の端末に対するデータ送受信を制御する。ダウンリンク(Downlink;DL)データに関して、基地局はダウンリンクスケジューリング情報を伝送して、対応する端末にデータが伝送される時間/周波数領域、符号化、データサイズ、ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat and reQuest;HARQ)関連情報などを知らせる。また、アップリンク(Uplink;UL)データに関して、基地局はアップリンクスケジューリング情報を対応する端末に伝送して、対応する端末が使用できる時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ関連情報などを知らせる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AGと端末のユーザ登録などのためのネットワークノードとなどで構成されてもよい。AGは、複数のセルで構成されるトラッキングエリア(Tracking Area;TA)単位で端末の移動性を管理する。
【0025】
図2は、3GPP無線アクセスネットワーク規格に基づく端末とE−UTRAN間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)の制御プレーン(Control Plane)及びユーザプレーン(User Plane)の構造を示す図である。制御プレーンは、端末とネットワークが呼を管理するために用いる制御メッセージが伝送される通路を意味する。ユーザプレーンは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データまたはインターネットパケットデータなどが伝送される通路を意味する。
【0026】
第1層である物理層は、物理チャネル(PHYsical channel;PHY)を用いて上位層に情報伝送サービス(information transfer service)を提供する。物理層は、上位にあるメディアアクセス制御(Medium Access Control;MAC)層とは伝送チャネル(transport channel)を通じて接続される。伝送チャネルを通じてMAC層とPHY層間でデータが移動する。送信側のPHY層と受信側のPHY層との間では、物理チャネルを通じてデータが移動する。物理チャネルは、時間及び周波数を無線リソースとして用いる。具体的に、物理チャネルは、ダウンリンクではOFDMA方式で変調され、アップリンクではSC−FDMA方式で変調される。
【0027】
第2層におけるメディアアクセス制御層は、論理チャネル(logical channel)を通じて上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層におけるRLC層は、信頼できるデータ伝送を支援する。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックにより具現してもよい。第2層におけるパケットデータ収束プロトコル(Packet Data Convergence Protocol;PDCP)層は、帯域幅の狭い無線インターフェースにおいてIPv4やIPv6のようなIPパケットを効率的に伝送するために不要な制御情報を減らすヘッダ圧縮(header compression)機能を実行する。
【0028】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、制御プレーンでのみ定義される。RRC層は、無線ベアラ(Radio Bearer;RB)の設定(configuration)、再設定(re-configuration)及び解放(release)と関連して論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。RBは、端末とネットワーク間のデータ伝達のために第2層により提供されるサービスを意味する。このために、端末とネットワークのRRC層は互いにRRCメッセージを交換する。端末とネットワークのRRC層間にRRC接続がある(RRC connected)場合、端末は、RRC接続モード(connected mode)であり、そうでない場合、RRC休止モード(idle mode)である。RRC層の上位にある非アクセスストラタム(Non-Access Stratum;NAS)層は、セッション管理(session management)と移動性管理(mobility management)などの機能を実行する。
【0029】
ネットワークから端末にデータを伝送するダウンリンク伝送チャネルは、システム情報を伝送するブロードキャストチャネル(Broadcast CHannel;BCH)、ページングメッセージを伝送するページングチャネル(Paging CHannel;PCH)、ユーザトラフィックや制御メッセージを伝送するダウンリンク共有チャネル(Downlink-Shared CHannel;DL-SCH)などがある。一方、端末からネットワークにデータを伝送するアップリンク伝送チャネルには、初期制御メッセージを伝送ランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel;RACH)、ユーザトラフィックや制御メッセージを伝送するアップリンク共有チャネル(Uplink-Shared CHannel;UL-SCH)がある。
【0030】
図3は、OFDMA及びSC−FDMAのための送信機及び受信機を示すブロック図である。アップリンクにおいて、送信機402〜414は、端末の一部であり、受信機416〜430は、基地局の一部である。ダウンリンクにおいて、送信機は基地局の一部であり、受信機は端末の一部である。
【0031】
図3を参照すると、OFDMA送信機は、直/並列変換器(serial to parallel converter)402、副搬送波マッピング(sub-carrier mapping)モジュール406、M−ポイント(point)逆離散フーリエ変換(Inverse Discrete Fourier Transform;IDFT)モジュール408、巡回プレフィックス(Cyclic Prefix;CP)付加モジュール410、並/直列変換器(parallel to serial converter)412及び無線周波数(Radio Frequency;RF)/デジタルアナログ変換器(Digital to Analog Converter;DAC)モジュール414を含む。
【0032】
OFDMA送信機における信号処理過程は次の通りである。まず、ビットストリーム(bit stream)がデータシンボルシーケンス(data symbol sequence)に変調される。ビットストリームは、MAC層から伝達されたデータブロックに、チャネル符号化(channel encoding)、インタリービング(interleaving)、スクランブリング(scrambling)などのような様々な信号処理をして得られる。ビットストリームは、符号語(codeword)とも呼ばれ、MAC層から受け取るデータブロックと等価である。MAC階層から受けるデータブロックは、伝送ブロックとも呼ばれる。変調方式は、これに制限されるわけではないが、2相位相変調(Binary Phase Shift Keying:BPSK)、4相位相変調(Quadrature Phase Shift Keying;QPSK)、n直交振幅変調方式(Quadrature Amplitude Modulation;QAM)を含むことができる。その後、直列のデータシンボルシーケンスは、N個ずつ並列に変換される(402)。N個のデータシンボルは、全M個の副搬送波のうち、割り当てられたN個の副搬送波にマッピングされ、残るM−N個の搬送波はゼロパディングされる(406)。周波数領域にマッピングされたデータシンボルは、M−ポイントIDFT処理によって時間領域シーケンスに変換される(408)。その後、シンボル間干渉(Inter-Symbol Interference;ISI)及び搬送波間干渉(Inter-Carrier Interference;ICI)を減らすために、該時間領域シーケンスにCPを付加してOFDMAシンボルを生成する(410)。生成されたOFDMAシンボルは、並列から直列に変換される(412)。その後、OFDMAシンボルは、デジタルアナログ変換(digital to analog conversion)、周波数アップ変換などの過程を経て受信機に伝送される(414)。他のユーザには、残されたM−N個の副搬送波のうち、使用可能な副搬送波が割り当てられる。一方、OFDMA受信機は、RF/アナログデジタル変換器(Analog to Digital Converter;ADC)モジュール416、直/並列変換器418、CP除去(Remove CP)モジュール420、M−ポイント離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform;DFT)モジュール422、副搬送波デマッピング(demapping)/等化(equalization)モジュール424、並/直列変換器428及び検出(detection)モジュール430を含む。OFDMA受信機の信号処理過程は、OFDMA送信機の逆過程とする。
【0033】
一方、SC−FDMA送信機は、OFDMA送信機と比較して、副搬送波マッピングモジュール406の前にN−ポイントDFTモジュール404をさらに含む。SC−FDMA送信機は、IDFT処理の前に、DFTを用いて複数のデータを周波数領域に拡散させることで、送信信号のピーク電力対平均電力比(Peak-to-Average Power Ratio;PAPR)を、OFDMA方式に比べて大幅に低減することができる。SC−FDMA受信機は、OFDMA受信機と比較して、副搬送波デマッピングモジュール424の後に、N−ポイントIDFTモジュール426をさらに含む。SC−FDMA受信機の信号処理過程は、SC−FDMA送信機の逆過程とする。
【0034】
図4は、LTEで使用される無線フレームの構造を示す図である。
【0035】
図4を参照すると、無線フレーム(radio frame)は、10ms(327200・Ts)の長さを有し、10個の同じ大きさのサブフレーム(subframe)で構成されている。それぞれのサブフレームは、1msの長さを有し、2個のスロット(slot)で構成されている。それぞれのスロットは、0.5ms(15360・Ts)の長さを有する。Tsは、サンプリング時間を表し、Ts=1/(15kHz×2048)=3.2552×10-8(約33ns)で表示される。スロットは、時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて、一つのリソースブロックは、12個の副搬送波×7(または6)個のOFDMシンボルを含む。データが伝送される単位時間である送信時間間隔(Transmission Time Interval;TTI)は、一つまたは複数のサブフレーム単位に定められてもよい。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、スロットの数、OFDMシンボルの数は、様々に変更可能である。
【0036】
図5は、単一コンポーネント搬送波環境で通信を行う例を示す図である。図5は、LTEシステムにおける通信例に対応してもよい。
【0037】
図5を参照すると、一般に、FDD方式では、一つのダウンリンク帯域とこれに対応する一つのアップリンク帯域を通じて通信が行われる。また、TDD方式では、ダウンリンク区間とこれに対応するアップリンク区間を通じて通信が行われる。FDDまたはTDD方式において、データ及び/または制御情報の送受信は、サブフレーム単位で行われてもよい。端末は、電力制御手法を用いて、チャネル環境が良くない場合には、電力を高めて伝送し、チャネル環境が良い場合には、電力を下げて伝送することによって、過度な伝送電力による隣接セルへの干渉を減らし、電力使用量を最適化する。チャネル環境が良くない場合、基地局は、端末の電力を高めるとの命令を下すが、端末の最大伝送電力(すなわち、伝送電力制限;PUEMaxまたはPMax)を超えるようにする命令は無視される。
【0038】
図6Aは、LTEで使用されるアップリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0039】
図6Aを参照すると、アップリンクサブフレームは、複数(例えば、2個)のスロットを含む。スロットは、CP長によって異なる数のSC−FDMAシンボルを含むことができる。一例として、一般(normal)CPの場合、スロットは、7個のSC−FDMAシンボルを含むことができる。アップリンクサブフレームは、データ領域と制御領域とに区別される。データ領域は、物理アップリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared CHannel;PUSCH)を含み、音声、映像などのデータ信号を伝送するのに使用される。データ信号の電力は、同一領域に含まれたリファレンス信号の電力に基づいて定められる。一例として、データ信号の電力は、復調用リファレンス信号(DeModulation Reference Signal;DMRS)の電力に基づいて定められてもよい。
【0040】
制御領域は、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)を含み、様々な制御情報をアップリンクで伝送する。PUCCHは、周波数軸でデータ領域の両端に位置するRB対(Resource Block pair)を含み、スロットを境界にしてホッピングする。制御情報の伝送電力は、PUCCHに位置している制御チャネル用リファレンス信号の伝送電力に基づいて定められる。PUCCH構造についての詳細な事項は、図6Bを参照して後述する。アップリンクチャネル測定のためのサウンディングリファレンス信号(Sounding Reference Signal;SRS)は、サブフレームの最後のSC−FDMAシンボルに位置して、データ領域の全部または一部の帯域を通じて伝送される。
【0041】
LTEシステムにおいて、アップリンク伝送の特徴は、SC−FDMAを用いた単一搬送波特性であって、物理アップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel;PUSCH)、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)、サウンディングリファレンス信号(Sounding Reference Signal;SRS)は、同時に伝送することができない。SC−FDMAは、多重搬送波システム(例えば、OFDM)に比べて低いPAPRを維持することで、電力増幅器の効率的な利用を可能にする。したがって、データと制御信号が同時に伝送されるべき場合には、PUCCHで伝送されるべき情報が、PUSCH領域にピギーバック(Piggyback)方式でデータと多重化される。また、SRSが伝送されるSC−FDMAシンボルでは、PUSCHやPUCCHが伝送されない。PUSCHとPUCCHの電力制御は独立して行われる。
【0042】
図6Bには、LTEで使用されるPUCCH構造を例示する。
【0043】
図6Bを参照すると、一般CPの場合、スロットの中間に位置している3個の連続したシンボルには、リファレンス信号(UL RS)が載せられ、残る4個のシンボルには、制御情報(すなわち、ACK/NACK)が載せられる。拡張CPの場合、スロットは、6個のシンボルを含み、3番目及び4番目のシンボルにリファレンス信号が載せられる。制御情報は、チャネル品質インジケータ(Channel Quality Indicator;CQI)、スケジュール要求(Scheduling Request;SR)、プリコーディングマトリックスインジケータ(Precoding Matrix Index;PMI)、ランクインジケータ(Rank Indicator;RI)などをさらに含む。制御情報の伝送電力は、リファレンス信号(UL RS)の伝送電力に基づいて定められる。PUCCH構造は、制御情報の種類によって、UL RSの個数、位置などが異なってくる。制御情報のためのリソースは、コンピュータ生成定振幅ゼロ自己相関(Computer Generated Constant Amplitude and Zero Auto Correlation;CG−CAZAC)シーケンスの互いに異なる巡回シフト(Cyclic Shift;CS)(周波数拡散)及び/または互いに異なるウォルシュ(Walsh)/DFT直交コード(時間拡散)を用いて区分される。IFFTの後に掛けるw0、w1、w2、w3は、IFFTの前に掛けても、結果は同一である。リファレンス信号には、対応する長さの直交カバー(Orthogonal Cover;OC)シーケンスが掛けられてもよい。
【0044】
図7には、多重コンポーネント搬送波環境の下で通信を行う例を示す。最近、無線通信システム(例えば、LTE−Aシステム)は、より広い周波数帯域を使用するために、複数のアップリンク/ダウンリンク周波数ブロックを束ねてより大きいアップリンク/ダウンリンク帯域幅を使用するキャリアアグリゲーション(carrier aggregationまたはbandwidth aggregation)技術を使用する。それぞれの周波数ブロックは、コンポーネント搬送波(Component Carrier;CC)を用いて伝送される。本明細書において、コンポーネント搬送波は、文脈にしたがって、キャリアアグリゲーションのための周波数ブロックまたは周波数ブロックの中心搬送波を意味することができ、これらはお互い混用される。
【0045】
図7を参照すると、アップリンク/ダウンリンクにそれぞれ5個の20MHzのCCが束ねられて、100MHz帯域幅を支援することができる。それぞれのCCは、周波数領域において、互いに隣接または非隣接する。図7は、便宜上、アップリンクコンポーネント搬送波の帯域幅とダウンリンクコンポーネント搬送波の帯域幅がいずれも同一で且つ対称の場合を示している。しかし、各コンポーネント搬送波の帯域幅は、独立して定められてもよい。一例として、アップリンクコンポーネント搬送波の帯域幅は、5MHz(AUL)+20MHz(BUL)+20MHz(CUL)+20MHz(DUL)+5MHz(EUL)のように構成されることもできる。また、アップリンクコンポーネント搬送波の個数とダウンリンクコンポーネント搬送波の個数とが異なる非対称のキャリアアグリゲーションも可能である。非対称のキャリアアグリゲーションは、使用可能な周波数帯域の制限により発生することもあり、ネットワーク設定によって意図的に行うこともある。一例として、システム全体の帯域がN個のCCで構成されても、特定端末の受信可能な周波数帯域は、M(<N)個のCCに限定されることがある。キャリアアグリゲーションに対する様々なパラメータは、セル特定(cell-specific)、端末グループ特定(UE group-specific)または端末特定(UE-specific)方式で設定されてもよい。
【0046】
LTE−Aシステムにおいて、送信端は、単一または多重CCを通じて同時に複数の信号/(物理)チャネルを伝送することができる。一例として、PUSCH、PUCCHまたはSRSから選ばれた同一または異なる2つ以上のチャネルを、同時に伝送することができる。したがって、単一搬送波伝送特性を維持することなく複数の(物理)チャネルを伝送する場合、複数の(物理)チャネルに関して計算された伝送電力の和が最大伝送電力制限に到達した時における端末の動作に対する考慮が必要である。本明細書で特に言及しない限り、複数の信号/(物理)チャネルは、伝送電力が独立して決定される信号/(物理)チャネルを意味する。一例として、複数の信号/(物理)チャネルは、互いに別個のリファレンス信号と関連した信号/(物理)チャネルを含む。本明細書において、(物理)チャネルを伝送するということは、(物理)チャネルを通じて信号を伝送するということを意味する。本明細書で、信号と(物理)チャネルは混用される。
【0047】
以下、図8〜図11を参照して、伝送電力を制御する方法について具体的に説明する。便宜上、図8〜図11は、端末の立場で記述されたが、これは例示であり、基地局が複数の信号を伝送する場合にも、容易に変形されて適用されてもよい。本発明に係る実施例において、伝送電力を、線形スケール(linear scale)またはdBスケールで表現することができる。また、本発明の実施例による動作は、電力領域(power domain)または強度領域(amplitude domain)で行われてもよい。
【0048】
実施例1:(チャネル)優先順位を考慮した電力制御
図8は、本発明の実施例によって伝送電力を調整する例を示す図である。本実施例は、複数の物理チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えた場合に、(チャネル)優先順位を考慮して物理チャネルの伝送電力を調整することを提案する。
【0049】
図8を参照すると、端末は、基地局から、一つまたは複数の伝送電力制御(Transmit Power Control;TPC)命令を受信することができる(S810)。TPC命令は、ランダムアクセスのためのプリアンブルに対する応答メッセージに含まれたり、物理ダウンリンク制御チャネル(Physical Downlink Control CHannel;PDCCH)を通じて伝送されたりすることができる。PDCCHは、ダウンリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)によって様々なフォーマットが存在し、フォーマットによって、伝送されるTPC命令が異なることがある。例えば、端末は、ダウンリンクスケジューリングのためのフォーマット、アップリンクスケジューリングのためのフォーマット、アップリンクデータチャネル(PUSCH)用のTPC専用フォーマット、アップリンク制御チャネル(PUCCH)用TPC専用フォーマットなど、様々なフォーマットのPDCCHを受信することができる。また、TPC命令を、それぞれのコンポーネント搬送波に対する伝送電力、コンポーネント搬送波グループに対する伝送電力または全てのコンポーネント搬送波に対する伝送電力を決定するのに用いることができる。また、TPC命令を、それぞれの信号(例えば、PUSCH、PUCCH等)に対する伝送電力を決定するのに用いることができる。TPC命令は、ダウンリンクスケジューリングのためのフォーマット、アップリンクスケジューリングのためのフォーマット、アップリンクデータチャネル(例えば、PUSCH)用のTPC専用フォーマット、アップリンク制御チャネル(例えば、PUCCH)用のTPC専用フォーマットなどの様々なフォーマットのPDCCHを通じて受信してもよい。
【0050】
端末は、基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数の物理チャネルがある場合、複数のアップリンク物理チャネルに対する伝送電力(P1,P2,…,PN;N≧2)を個別に決定する(S820)。それぞれのアップリンク物理チャネルは、一つまたは複数の連続したOFDMAシンボルまたはSC−FDMAシンボルを含む。端末が複数の信号をアップリンクで伝送する例を図9に示すが、これに制限されるものではない。図9を参照すると、単一または多重コンポーネント搬送波を用いて複数の物理チャネルを同時に伝送することができる。例えば、複数のPUCCH、複数のPUSCHまたは複数のSRSが同時に伝送されたり(ケース1〜3)、PUCCH、PUSCH及び/またはSRSの組み合わせが同時に伝送されたりしてもよい(ケース4〜7)。PUCCHの場合、ACK/NACK、CQI、SRを伝送する場合などのように詳細な区分が可能である。
【0051】
アップリンク伝送電力が決定されると、端末は、アップリンク物理チャネルの伝送電力の総和(ΣPn;1≦n≦N)が、最大電力値(PMax)よりも大きいか確認する(S830)。最大電力値は、CC、CCグループまたは全CC単位で与えられてもよい。最大電力値は、基本的に、端末の物理的能力により左右されるが、通信システム別にあらかじめ定められてもよい。また、最大電力値は、セル内の許容電力、負荷バランシングなどを考慮して変更することができる。したがって、本明細書において、最大電力値は最大使用可能電力値と混用され、互いに代替可能である。最大電力値に関する情報は、放送メッセージ(例えば、システム情報)を通じてセル内に放送してもよく、RRCメッセージを通じてシグナリングしてもよい。また、最大電力値に関する情報は、ダウンリンク制御チャネル(例えば、PDCCH)を通じて端末に伝達することができる。最大電力値は、チャネル環境によって永久的、半永久的または動的に設定してもよい。最大電力値が基地局のシグナリングにより制限される場合、最大電力値は、セル内の許容電力値と同一の意味を有することがある。例えば、最大電力値は、あらかじめ定められたり、セル−特定(cell-specific)方式、端末グループ−特定(UE group-specific)方式、端末−特定(UE−specific)方式、CCグループ−特定(component carrier group-specific)方式、CC−特定(component carrier-specific)方式で指定されたりしてもよい。
【0052】
アップリンク物理チャネルの伝送電力の総和(ΣPn;1≦n≦N)が最大電力値(PMax)以下であれば、対応するアップリンク物理チャネルに対する伝送電力はそのまま維持される。一方、アップリンク物理チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力値よりも大きいと、優先順位を考慮して、アップリンク物理チャネルの伝送電力の総和が最大電力値を超えないように、一つまたは複数のアップリンク物理チャネルの伝送電力を調整する(S840)。優先順位は、アップリンク物理チャネルのタイプ及びアップリンク物理チャネル上の情報を考慮して決定されてもよい。優先順位の詳細については後述する。伝送電力の調整は、全帯域を対象に行ったり、CCグループ単位またはCC単位で行ったりしてもよい。
【0053】
アップリンク物理チャネルに対する伝送電力が調整されると、端末は、対応する伝送電力を持つ複数のアップリンク物理チャネルを生成する(S850)。アップリンク物理チャネルに対する伝送電力の制御は、IFFT(図3の408)の前に周波数領域で行うことができるが、これに限定されない。この場合、伝送電力の制御は、副搬送波単位で行うことができ、例えば、副搬送波にマッピングされる変調値に加重値を掛けることによって行うことができる。加重値は、各要素が伝送電力と関連した値を表す対角行列(電力対角行列)を用いて掛けることができる。多入力多出力(Multiple Input Multiple Output;MIMO)システムの場合、伝送電力を、加重値の反映されたプリコーディング行列を用いて制御したり、プリコーディングされた変調値に電力対角行列を掛けることによって制御したりすることができる。したがって、同一のIFFTが適用される周波数帯域内に複数の物理チャネルが含まれる場合にも、各物理チャネルの伝送電力を容易に制御することができる。また、周波数領域での電力制御と共に/別に、アップリンク物理チャネルに対する伝送電力の制御が、IFFTの後に時間領域で行われてもよい。具体的に、時間領域での伝送電力制御は、様々な機能ブロックで行うことができる。一例として、伝送電力制御は、DACブロック及び/またはRFブロック(図3の414)で行われてもよい。その後、端末は、生成された複数のアップリンク物理チャネルを、一つまたは複数のCCを通じて基地局に伝送する(S860)。本明細書において、同時または同一の時区間は、同一のTTIまたはサブフレームを含む。
【0054】
図8の段階S840において、優先順位を考慮してアップリンクチャネルの伝送電力を調整する方法について具体的に説明する。便宜上、2つのチャネルのみ存在する場合における同等な順位または優先順位を挙げて説明する。しかし、本発明は、3つ以上の同種、異種、または同種及び異種のチャネルの組み合わせにも適用可能である。
【0055】
説明の便宜のために、下記のように記号を定義する。
【0056】
PUSCH:PUSCHに割り当てられるように計算される電力を表す。電力制限によって、実際に割り当てられる電力は、これよりも小さいことがある。dB表示がない場合、線形スケール(Linear scale)を意味する。
【0057】
PUCCH:PUCCHに割り当てられるように計算される電力を表す。電力制限によって、実際に割り当てられる電力は、これよりも小さいことがある。dB表示がない場合、線形スケールを意味する。
【0058】
SRS:SRSに割り当てられるように計算される電力を表す。電力制限によって、実際に割り当てられる電力は、これよりも小さいことがある。dB表示がない場合、線形スケールを意味する。
【0059】
ケース1−1:PPUSCH+PPUSCH>PMax
ケース1−1は、互いに異なる多数のCCにおいて、多数のPUSCHが同時に伝送される場合に、最大電力限界に到達するケースである。各PUSCHの伝送電力を減らしたり、ドロップ(drop)したりすることができる。具体的には、下記のオプションを考慮できる。
【0060】
オプション1:各PUSCHに同一の優先順位をつけることができる。優先順位が同一の場合、全てのPUSCHの電力を、同一の割合で低減したり、同一の量を低減したりすることができる。すなわち、同一の減衰比率を適用したり、同一の値を引いたりすることができる。
【0061】
オプション2:PUSCH上の伝送フォーマットを考慮して、各PUSCHに優先順位をつけることができる。例えば、伝送ブロックサイズ(Transport Block Size;TBS)や変調/コーディング手法(Modulation and Coding Scheme;MCS)にしたがって優先順位をつけ、優先順位の低いPUSCHから伝送電力を順次低減したりドロップしたりする。好適には、小さいTBS(データ量)または低いMCS(小さい符号化率(code rate)、低い変調率(modulation order))のPUSCHに対して優先順位を低く設定する。この場合、優先順位の低いPUSCHに対してより高い減衰比率を適用することができる。ただ、PUSCHドロップによってPUSCHが一つのみ残っているにもかかわらず、伝送電力を超える場合は、当該PUSCHの電力をPMaxに低減して伝送する。
【0062】
ケース1−2:PPUCCH(ACK/NACK)+PPUSCH>PMax
ケース1−2は、互いに異なるCCまたは一つのCCにおいて、ACK/NACKを伝送するPUCCH及びPUSCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。下記のオプションを考慮できる。
【0063】
オプション1:ACK/NACKを優先することができる。UL ACK/NACKは、DLデータ受信に成功したか否かを報告するもので、この報告が適切でないと、DLリソースの浪費につながる。このため、ACK/NACKの伝送に高い優先順位をつけ、PUSCHの伝送電力を低減して伝送したりドロップしたりする。PUSCHの伝送電力を低減する場合、まず、PUCCHに伝送電力を割り当て、残る電力をPUSCHに割り当ててもよい。これは、次の数式で表現できる。PPUSCH=Pmax−PPUCCH(ACK/NACK)。この場合、下記の方法をさらに適用可能である。
【0064】
オプション1.1:PUCCHに割り当てて残った電力のみをPUSCHに使用することから、PUSCHの誤り率が増加する。そこで、PUSCHを、電力を減らす前と同じ誤り率で受信できるように、PUSCHに伝送されるデータのMCSを減らして伝送する。そのためには、減らしたMCSの情報を基地局にシグナリングしてもよい。
【0065】
オプション2:PUSCHを優先することができる。ACK/NACKを伝送するPUCCHの電力を減らす場合、UL ACK/NACKの受信誤りによってDLリソース浪費が発生する。特に、NACKをACKと認識すると、上位層の再伝送を誘発することにつながり、DLデータの伝送遅延が増加してしまう。一方、ACKをNACKと認識する場合には、物理層で再伝送を行う浪費のみ存在する。したがって、緊急のデータを伝送する場合に、持続した低い電力のPUSCH伝送によりデータ遅延が起きる場合などに備えて、PUSCHに電力をまず割り当て、残った電力(減少した電力)をPUCCHの伝送に割り当てることを考慮することができる。この場合、PUCCHの電力減少は、ACKの場合に限定することが好ましい。
【0066】
ケース1−3:PSRS+PPUSCH>PMax
ケース1−3は、互いに異なるCCまたは一つのCCにおいて、SRS及びPUSCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。下記のオプションを考慮できる。
【0067】
オプション1:SRS伝送を優先することができる。SRSは、基地局がULチャネル状態を測定して、最適のULスケジューリングを行うのに使用される。以降のスケジューリングの効率を重要視して、SRSに高い優先順位をおき、PUSCHの伝送電力を減らして伝送したりドロップしたりする。PUSCHの伝送電力を減らす場合、まず、SRSに伝送電力を割り当てて残った電力をPUSCHに割り当てることができる。これを、次の数式で表現できる。PPUSCH=PMax−PSRS。この場合、下記のような方法をさらに適用できる。
【0068】
オプション1.1:SRSに割り当てて残った電力のみをPUSCHに使用するから、PUSCHの誤り率が増加してしまう。そこで、PUSCHを、電力を減らす前と同じ誤り率で受信できるように、PUSCHに伝送されるデータのMCSを減らして伝送する。このためには、減らしたMCSの情報を基地局にシグナリングしてもよい。
【0069】
オプション2:PUSCH伝送を優先することができる。SRSの伝送電力を減らして伝送する場合、基地局が、UL無線チャネル環境状態が悪いため受信電力が落ちたのか、あるいは、端末が電力を減らして伝送したのかわからず、チャネル情報を誤判することがある。そこで、伝送電力が足りない場合は、SRSをドロップしてもよい。
【0070】
ケース1−4:PPUCCH(ACK/NACK)+PPUCCH(ACK/NACK)>PMax
ケース1−4は、ACK/NACKを伝送する多数のPUCCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。各PUCCHの伝送電力を減らしたりドロップしたりする。具体的に、下記のオプションを考慮できる。
【0071】
オプション1:ACK/NACKを伝送するPUCCHに同一の優先順位をつけることができる。優先順位が同一の場合、全てのPUCCHの電力を、同一の割合で減らしたり、同一量を減らしたりする。すなわち、同一の減衰比率を適用したり、同一値を引いたりしてもよい。
【0072】
オプション2:優先順位をつけ、一部のPUCCHの電力を減らしたりドロップしたりする。
【0073】
オプション2.1:NACKをACKと誤認した場合、ACKをNACKと誤認する場合に比べてリソース浪費と遅延がより増加する。このため、ACKを伝送するPUCCHの伝送電力をまず低減したりドロップしたりする。特定の閾値を設定し、閾値まで減らすことも考慮することができる。
【0074】
オプション2.2:PUCCHのACK/NACKに対応するPDSCHのTBSやMCSに基づいてPUCCHの優先順位をつけ、優先順位の低いPUCCHの伝送電力をまず低減したりドロップしたりする。好ましくは、小さいTBSまたは低いMCSのPDSCHの優先順位を低く設定する。ただし、PUCCHをドロップする場合において、一つのPUCCHのみ残ったにもかかわらず、伝送電力を超える場合は、当該PUCCHの電力をPmaxと減らして伝送する。
【0075】
ケース1−5:PPUCCH(CQI)+PPUCCH(CQI)>PMax
ケース1−5は、互いに異なるCCにおいて、CQIを伝送する多数のPUCCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。CQI値は、DL無線チャネルの状態を把握して効率的なDLスケジューリングを行えるようにする。下記のオプションを考慮できる。
【0076】
オプション1:CQIを伝送するPUCCHに同一の優先順位をつけることができる。優先順位が同一の場合、全てのPUCCHの電力を、同一の割合で減らしたり、同一量を減らしたりすることができる。すなわち、同一の減衰比率を適用したり、同一値を引いたりしてもよい。
【0077】
オプション2:優先順位をつけ、一部のPUCCHの電力を減らしたりドロップしたりする。基地局は、CQIの高い無線チャネルを選択して端末にスケジューリングをする。CQIが低い場合には選択の可能性が低いので、正確な受信が相対的に要求されない。したがって、低いCQI値を伝送するPUCCHの場合、伝送電力を優先的に減らして伝送したりドロップしたりする。特定の閾値を設定し、閾値まで減らすことも考慮できる。
【0078】
ケース1−6:PPUCCH(ACK/NACK)+PPUCCH(CQI)>PMax
ケース1−6は、CQIとACK/NACKを伝送する多数のPUCCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。上述のように、ACK/NACKは、優先順位が高い。反面、CQIは、DLチャネルの状態を基地局に伝達する情報で、効果的なDLスケジューリングのために使用される。より良いチャネルを端末に割り当てたとしても、データの正常受信を正確に確認できないと、不要な再伝送を誘発することになるので、CQIの優先順位は下がる。このため、ACK/NACKを伝送するPUCCHに優先的に電力を割り当て、残った電力を、CQIを伝送するPUCCHに割り当てたり、CQIを伝送するPUCCHをドロップしたりする。一方、CQIとACK/NACKを共に伝送するPUSCHは、ACK/NACKを伝送するPUCCHと同一に取り扱う。
【0079】
ケース1−7:PPUCCH(SR)+PPUCCH(ACK/NACK)>PMax
ケース1−7は、SRとACK/NACKを伝送する多数のPUCCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。下記のオプションを考慮できる。
【0080】
オプション1:ACK/NACK伝送に高い優先順位をつけることができる。したがって、ACK/NACKの伝送されるPUCCHにまず電力を割り当て、残った電力を、SRの伝送されるPUCCHに割り当てりたり、SRの伝送されるPUCCHをドロップしたりする。一方、ACK/NACKが長時間存在し続けてSRがドロップされる場合、ULスケジューリングを受けることができない。これを補完するために、SRが特定時間遅延された場合、ACK/NACKをドロップすることができる。
【0081】
オプション2:SR伝送に高い優先順位をつけることができる。ACK/NACK誤りは再伝送により解消されるから、スケジューリングを重要視してSRに高い優先順位をつけ、ACK/NACKが伝送されるPUCCHの伝送電力を減らして伝送したり、ドロップしたりする。PUCCHの伝送電力を減らす場合、まずSRに伝送電力を割り当てて残った電力を、PUCCHに割り当てることができる。これは、次の数式で表現可能である。PPUCCH(ACK/NACK)=PMax−PSR
【0082】
オプション3:端末は、ACK/NACKを、SRが伝送されるPUCCHで伝送する。この場合、基地局は、PUCCHから、オン/オフキーイング(On/Off Keying)されたSRを、エネルギ検出(detection)により検出し、ACK/NACKをシンボルの復号を通じて判断できる。この時、ACK/NACKを伝送するPUCCHが多数の場合には、ACK/NACKバンドリング(bundling)またはPUCCH選択(selection)伝送を使用することができる。ACK/NACKバンドリングは、複数のDL PDSCHを誤りなく受信し、全てに対してACKを送る場合には、一つのACKを送り、いずれか一つにおいても誤りがある場合には、一つのNACKを送る。PUCCH選択伝送は、複数のDL PDSCHを受信した場合に、複数の占有されたPUCCHリソースから選択された一つのPUCCHリソースを通じて変調値を伝送することによって、複数のACK/NACK結果を表す。
【0083】
ケース1−8:PPUSCH(UCI)+PPUSCH>PMax
ケース1−8は、互いに異なるCCにおいて、アップリンク制御情報(Uplink Control Information;UCI)を伝送するPUSCH及びデータのみを伝送するPUCCHの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。次のオプションを考慮できる。
【0084】
オプション1:UCIを考慮せず、ケース1−1で例示した優先順位決定方法に従う。例えば、各PUSCHに同一の優先順位をつけることができる。この場合、全てのPUSCHの電力を同一の割合で減らすことができる。また、PUSCH上の伝送フォーマットを考慮して各PUSCHの優先順位を異ならせることができる。
【0085】
オプション2:UCIのピギーバックされたPUSCHに制御情報が入っているので、UCIのピギーバックされたチャネルに高い優先順位をつけることができる。このため、データのみを搬送するPUSCHの伝送電力を減らして伝送したりドロップしたりする。データのみを搬送するPUSCHの伝送電力を減らす場合、まずUCIのピギーバックされたPUSCHに伝送電力を割り当てて残った電力を、データのみを搬送するPUSCHに割り当てることができる。これは、次のような数式で表現可能である。PPUSCH=PMax−PPUCCH(UCI)。また、データのみを搬送するPUSCHの伝送電力を減らす場合、データのみを搬送するPUSCHにより大きい減衰比率を適用してもよい。ただし、PUCCHドロップにより一つのPUSCHのみ残ったにもかかわらず、伝送電力を超える場合は、当該PUSCHの電力をPMaxに減らして伝送する。
【0086】
ケース1−9:PPUSCH(Retransmission)+PPUSCH>PMax
ケース1−9は、再伝送データを搬送するPUSCHと新しいデータを搬送するPUSCHの伝送電力の和が最大電力限界に到達するケースである。
【0087】
オプション1:再伝送を考慮せずに、ケース1−1で例示した優先順位決定方法に従う。例えば、各PUSCHに同一の優先順位をつけることができる。この場合、全てのPUSCHの電力を同一の割合で減らすことができる。また、PUSCH上の伝送フォーマットを考慮して、各PUSCHの優先順位を互いに異ならせることもできる。
【0088】
オプション2:再伝送は、以前の伝送時の伝送電力の減衰に起因することがあるので、再伝送されるPUSCHの優先順位を高くすることで、PUSCHの受信率を向上させることができる。
【0089】
ケース1−10:PPUSCH(Retransmission)+PPUSCH(Retransmission)>PMax
ケース1−10は、再伝送データを搬送するPUSCHの伝送電力の和が最大電力限界に到達するケースである。次のオプションを考慮できる。
【0090】
オプション1:再伝送を考慮せずに、ケース1−1で例示した優先順位決定方法に従う。例えば、PUSCHに同一の優先順位をつけることができる。この場合、全てのPUSCHの電力を、同一の割合で減らすことができる。また、PUSCH上の伝送フォーマットを考慮して、PUSCHの優先順位を互いに異ならせることもできる。
【0091】
オプション2:再伝送は、以前伝送時の伝送電力の減衰に起因することがあるので、再伝送回数のより多いPUSCHに、より高い優先順位をつけ、より多く再伝送されたPUSCHの受信率をより向上させる。
【0092】
ケース1−11:PPUSCH(Retransmission)+PPUCCH/PSRS>PMax
ケース1−11は、再伝送データを搬送するPUSCHとPUCCH/SRSの伝送電力の和が、最大電力限界に到達するケースである。次のオプションを考慮できる。
【0093】
オプション1:再伝送を考慮せず、ケース1−2と1−3で例示した優先順位決定方法に従うことができる。
【0094】
オプション2:再伝送は、以前の伝送時の伝送電力の減衰に起因することがあるので、再伝送されるPUSCHに高い優先順位をつけ、該PUSCHの受信率を向上させることができる。
【0095】
実施例2:CC(グループ)別電力制御
以上言及した端末の送信電力制御方式は、端末が一つの電力増幅器を持つ場合における電力制御方式に好適である。しかし、LTE−Aでは、端末に多数のCCが割り当てられることがあり、これらの割り当てられたCCは、周波数軸上で連続または離隔されたバンドであることがある。割り当てられたCCが離隔されたバンドとして存在すると、端末は、一つの電力増幅器のみでは、広い周波数領域の電力増幅が困難であるため、多数の電力増幅器を必要とする場合がある。この場合、各電力増幅器は、一つのCCまたは一部のCCで構成されたCCグループのみの電力増幅を担当することができる。したがって、上で提案した方式をCC別またはCCグループ別電力制御方式に拡張することによって、端末が多数の電力増幅器を持つ環境にも、自然に適用することができる。
【0096】
以下では、CC(グループ)別伝送電力制限及び端末の総伝送電力制限の両方が存在する環境において、端末が特定CC(グループ)の伝送電力制限に到達する場合、端末総伝送電力制限に到達する場合、または、両方の電力制限に同時に到達した場合に、本発明の一実施例に係る端末動作について説明する。
【0097】
一般に、端末のアップリンク伝送電力は、数式[1]のように制限できる。
【0098】
【数1】

【0099】
端末の伝送増幅器の量子化レベル(quantization level)が十分に高いと、上の不等式において等号を数式[2]のように成立させることができる。
【0100】
【数2】

【0101】
上の数式で使われた記号は、下記のように定義される。
【0102】
【数3】

:端末のアップリンク伝送電力を表す。
【0103】
【数4】

:端末の最大伝送電力値(または伝送電力制限値)を表す。すなわち、全てのCCに対する端末の最大伝送電力(または伝送電力制限値)を表す。端末の最大伝送電力値は、端末の総伝送可能電力で決定されたり、ネットワーク(例えば、基地局)で設定した値との組み合わせで決定されたりしてもよい。また、端末の最大伝送電力値に関する情報は、上位層のシグナリングにより指示することができる。例えば、端末の最大伝送電力値に関する情報は、放送(broadcasting)メッセージを通じてセル−特定(cell-specific)方式でシグナリングされたり、RRCメッセージを通じて端末−特定(UE-specific)、端末グループ−特定(UE group-specific)方式でシグナリングされたりする。
【0104】
【数5】

:i−番目のCC(グループ)における最大伝送電力値(または、伝送電力制限値)を表す。CC(グループ)別最大伝送電力値は、端末の総伝送可能電力または各CC(グループ)別伝送可能電力で決定されたり、ネットワーク(例えば、基地局)でCC(グループ)別に設定した値との組み合わせで決定されたりしてもよい。また、CC(グループ)別最大伝送電力値に関する情報は、上位層のシグナリングによって指示してもよい。例えば、CC(グループ)別最大伝送電力値に関する情報は、放送メッセージを通じてセル−特定(cell-specific)方式でシグナリングされたり、RRCメッセージを通じて端末−特定(UE-specific)、端末グループ−特定(UE group-specific)方式でシグナリングされたりしてもよい。一方、CC(グループ)別最大伝送電力値は、他の端末(またはCC(グループ))との干渉情報(またはカバレッジ)を考慮してシグナリングされてもよい。この場合、CC(グループ)別最大伝送電力値に関する情報は、他の端末(またはCC(グループ))との干渉(またはカバレッジ)に関する情報を含むことができる。CC(グループ)別最大伝送電力は、いずれのCC(グループ)においても同一の値を有することができる。
【0105】
【数6】

:i−番目のCC(グループ)のj−番目のチャネルの伝送電力を表す。
【0106】
ケース2−1:
【数7】

ケース2−1は、いかなるCC(グループ)においてもCC(グループ)の最大伝送電力の和が端末の最大伝送電力よりも小さく、同時に全てのCC(グループ)におけるチャネルの伝送電力の和が、端末の最大伝送電力よりも小さいケースである。端末の伝送電力は総伝送電力値に制限されないので、数式[3]のように簡略化できる。
【0107】
【数8】

【0108】
端末の伝送増幅器の量子化レベル(quantization level)が十分に高いと、上の不等式において等号を数式[4]のように成立させることができる。
【0109】
【数9】

【0110】
数式[3]及び[4]において、集合Sは、CC(グループ)内において、チャネルの伝送電力の和がCC(グループ)の最大伝送電力値を越える
【数10】

CC(グループ)の集合を意味する。この場合、集合S内においてのみ、チャネル伝送電力の和がCC(グループ)最大伝送電力値を越えないように調節してもよい。電力制御は、減衰係数を導入することによって行うことができる。例えば、電力制御を、数式[5]のように、各チャネルの伝送電力に対する減衰係数
【数11】

を探し求める方法に簡略化できる。
【0111】
【数12】

【0112】
ケース2−2:
【数13】

ケース2−2は、端末の最大伝送電力がCC(グループ)の最大伝送電力の和よりも小さく、同時に全てのチャネルの伝送電力の和よりも小さいケースである。端末の伝送電力は、最大伝送電力値に制限されるので、数式[6]のように表現される。
【0113】
【数14】

【0114】
端末の伝送増幅器の量子化レベルが十分に高いと、上の不等式において等号を数式[7]のように成立させることができる。
【0115】
【数15】

【0116】
この場合、ケース2−1と同様、端末の伝送電力を端末の最大伝送電力値まで減らすことができる。この場合、それぞれのCC(グループ)内で各チャネルの伝送電力の和が、CC(グループ)の最大伝送電力値よりも小さくなければならず、且つ、全てのCC(グループ)の伝送電力の和が端末の最大伝送電力値よりも小さくなければならない。電力制御は、数式[8]のように、各チャネルの伝送電力に対する減衰係数
【数16】

を探し求める方法に簡略化できる。
【0117】
【数17】

【0118】
ケース2−1及び2−2で例示した方法は、2通りの制限(総伝送電力制限、CC(グループ)伝送電力制限)に対する最適化を通じて減衰係数を求めるので、最適化がやや複雑になるという問題がありうる。そこで、減衰係数を効率的に計算するための方法を、図10及び図11を参照して例示する。
【0119】
図10及び図11において、横軸はCC(グループ)を表し、縦軸は電力強度を表す。それぞれのCC(グループ)においてハッチングしたボックスは、対応するCC(グループ)内でのチャネルを表す。ハッチングは、チャネルを表すために便宜上掛けたもので、それぞれのハッチングは、互いに異なるチャネルを意味することもでき、同一のチャネルを意味することもできる。また、図10及び図11は、CC(グループ)の伝送電力の和が、端末の最大伝送電力値(P_UE_MAX)より大きく、CC(グループ)1及び3内でのチャネルの伝送電力の和が、CC(グループ)の最大伝送電力(P_CC1_MAX及びP_CC3_MAX)を超える場合を仮定する(図10の(a)及び図11の(a))。CC(グループ)1及び3は、数式[3]及び[4]で説明した集合Sを構成する。
【0120】
図10は、本発明の一実施例によって電力制御のための減衰係数を求める方法を例示する。図10を参照すると、電力制御のための減衰係数は、2段階で求める。第一の段階は、CC(グループ)の伝送電力制限基準を満たすために、集合S内にあるチャネルの伝送電力を減衰させることができる。第一の段階において、減衰係数
【数18】

は、数式[9]の条件に合わせて独立して決定することができる。
【0121】
【数19】

【0122】
図10の(b)を参照すると、CC(グループ)1及び3内でのチャネルの伝送電力の和が、対応するCC(グループ)の最大伝送電力値に減少したことがわかる。
【0123】
しかし、図10の(b)において、CC(グループ)の伝送電力の和は、依然として端末の最大伝送電力値(P_UE_MAX)よりも大きい。このように、集合Sに属するチャネルの伝送電力を減衰させたにもかかわらず、依然として端末の総伝送電力制限を満たしていないとすれば、第二の段階として、全てのCC(グループ)の全てのチャネルの伝送電力を減衰させることで、端末の総伝送電力制限を満たすことができる。第二の段階において、減衰係数
【数20】

は、数式[10]の条件に合わせて独立して決定することができる。
【0124】
【数21】

【0125】
図10の(c)を参照すると、全てのチャネルの伝送電力の和が、端末の総伝送電力制限値(P_UE_MAX)に減少したことがわかる。簡略化のために、集合Sに在るチャネルの
【数22】

を1に設定し、Sの補集合に関してのみ
【数23】

を決定したり、Sの補集合に在るチャネルの
【数24】

を1に設定し、Sに関してのみ
【数25】

を決定したりする方法も考慮することができる。
【0126】
図11は、本発明の他の実施例によって減衰係数を求める方法を例示する。図11を参照すると、電力制御のための減衰係数は、基本的に2段階で求められ、電力補償のために1段階をさらに含むことができる。第一の段階は、端末の総伝送電力制限基準を満たすために、全てのCC(グループ)におけるチャネルの伝送電力を減衰させることができる。減衰係数
【数26】

は、数式[11]の条件に合わせて独立して決定されてもよい。
【0127】
【数27】

【0128】
図11の(b)を参照すると、全てのチャネルの伝送電力の和が、端末の総伝送電力制限値(P_UE_MAX)に合わせられるように、全てのCC(グループ)においてチャネルの伝送電力が減少したことがわかる。
【0129】
しかし、図11の(b)で、CC(グループ)3のチャネルの伝送電力の和は、依然としてCC(グループ)3の電力制限値(P_CC3_MAX)より大きい。このように、全てのCC(グループ)においてチャネルの伝送電力を減少させたにもかかわらず、依然としてCC(グループ)における伝送電力制限を満たせないCC(グループ)(すなわち、集合S)があるとすれば、第二の段階として、集合S内における全てのCC(グループ)チャネルの伝送電力を減衰させることができる。減衰係数
【数28】

は、数式[12]の条件に合わせて独立して決定されてもよい。
【0130】
【数29】

【0131】
図11の(c)を参照すると、CC(グループ)3(すなわち、集合S)のチャネルの伝送電力の和が、対応するCC(グループ)の最大伝送電力値(P_CC3_MAX)に合わせて減少したことがわかる。
【0132】
その後、第三の段階として、集合Sのチャネルから減らした電力量
【数30】

を、Sの補集合に在るチャネルに補償することができる。ここで、各チャネルの補償後の電力は、対応するCC(グループ)における最大伝送電力値を越えないようにする。図11の(d)を参照すると、第二の段階においてCC(グループ)3から低減した電力が、CC(グループ)2に補償されたことがわかる。これとは違い、第二の段階において、CC(グループ)3から低減した電力は、CC(グループ)1にも補償できる。電力補償方法では下記を考慮することができる。
【0133】
(1)優先順位基準:チャネル(PUCCH、PUSCH、SRS)におけるメッセージの緊急度または重要度に基づいて各チャネルに優先順位を割り当て、高い優先順位を有するチャネルに、より多くの電力を補償する。
(2)同一補償量:Sの補集合における全てのチャネルに対して同一の電力で補償する。
(3)同一補償率:Sの補集合における全てのチャネルに対して同一の割合で補償する。
(4)(1)、(2)及び(3)の可能な組み合わせを用いて電力を補償する。
【0134】
図10及び図11で説明した減衰係数
【数31】

は、様々な方法で決定することができる。これに制限されるものではないが、減衰係数
【数32】

を決定するための基準として、優先順位、同一減衰量、同一減衰率またはそれらの組み合わせを考慮できる。
【0135】
優先順位基準方式は、チャネル(例えば、PUCCH、PUSCH、SRS)におけるメッセージの緊急度または重要度に基づいて各チャネルに優先順位を割り当て、高い優先順位のチャネル順に大きい減衰係数を適用する。すなわち、優先順位の高いチャネルであるほど受信率をより良くし、優先順位の低いチャネルであるほど、確率的により低い受信率を保障する方法である。したがって、優先順位の低いチャネルから優先的に電力を低減させていく。チャネルの優先順位は、ケース1−1乃至1−11の説明によって決定してもよく、コンポーネント搬送波間の優先順位をさらに考慮することができる。一例として、端末が多重コンポーネント搬送波を使用してアップリンク伝送を試みる場合、特定コンポーネント搬送波に、上り伝送メッセージのうち一部の重要制御情報またはメッセージを集中して伝送する場合がある。この場合、重要制御情報が伝送される特定搬送波そのものに、高い優先順位を割り当てることができる。
【0136】
優先順位基準方式は、減衰係数を0または1に制限することによって
【数33】

より簡単な方式で変形可能である。すなわち、CC(グループ)内における優先順位の低いチャネルから順次伝送電力を0にすることで、チャネルの伝送電力の和を、CC(グループ)における伝送電力制限値
【数34】

よりも小さくすることができる。結果として、優先順位の低いチャネルは伝送されず、優先順位の高いチャネルは、本来の伝送電力のままで伝送される。
【0137】
同一減衰量基準方式は、CC(グループ)における伝送電力制限を越えた、各CC(グループ)内における全てのチャネルの電力から同一の量を低減する。すなわち、CC(グループ)内における全てのチャネルが、同等な電力減衰ペナルティ(penalty)を受ける。この方式は、CC(グループ)内におけるチャネルの伝送電力の和とCC(グループ)の最大伝送電力値との差が小さい場合に有用である。同一減衰比率基準方式は、CC(グループ)における伝送電力制限を越えた、各CC(グループ)内における全てのチャネルに、同一の減衰係数を適用することができる。同一減衰量基準方式が線形スケール(linear scale)において同一量だけ減らす方法であり、同一減衰比率基準方式は、dBスケールにおいて同一量だけ減らす方法である。
【0138】
実施例3:MIMOでアンテナ別電力制御
以上で例示した電力制御方式は、MIMOを用いて送信ダイバーシティ(Tx diversity)または空間多重化(spatial multiplexing)を利用する時にも同様に適用することができる。この場合、前述した方式は、それぞれのレイヤ(layer)、ストリーム(stream)またはアンテナにおける動作となる。端末に複数の送信アンテナがある場合、各アンテナの電力増幅器において最大伝送電力は、
【数35】

に制限できる(n:アンテナインデックス)。各アンテナの最大伝送電力は、電力増幅器そのものの特性(例えば、クラス)により制限されたり、放送またはRRCシグナリングにより(付加的に)制限されたりしてもよい。端末の使用可能な伝送電力の上限は、数式[13]のように、各アンテナの最大伝送電力の和と端末の最大伝送電力のうち最小値により制限される。
【0139】
【数36】

【0140】
CC(グループ)別に伝送電力の制限がある場合、端末の使用可能な伝送電力の上限は、数式[14]のように表現することができる。
【0141】
【数37】

【0142】
以下、各アンテナ別に関して電力制御が独立して行われる場合における端末動作を、次のように提案する。便宜上、2つのアンテナのみ存在する場合を例示するが、3つ以上のアンテナを使用する場合にも適用可能である。次の記号を定義する。
【0143】
【数38】

:n番目のアンテナに割り当てられるように計算される電力を表す。電力制限によって、実際に割り当てられる電力はこれよりも小さいことがある。dB表示がない場合、線形スケール(linear scale)を意味する。X−CHは、アンテナnに伝送される全ての物理チャネル(例えば、PUSCH、PUCCH、SRSまたはこれらの組み合わせ)を表す。
【0144】
【数39】

の場合は、いずれか一方のアンテナは最大電力限界に到達し、他方のアンテナは最大電力限界に到達しない場合である。この場合、下記のようにアンテナ別電力制御を行うことができる。
【0145】
段階1:CC(グループ)別に最大伝送電力制限
【数40】

に合わせて、各CC(グループ)に対する伝送電力を、実施例2のように調整することができる。すなわち、各CC(グループ)別に、全てのアンテナにおけるチャネルの伝送電力の和が、
【数41】

を超える場合、伝送電力を調整する。段階1は、CC(グループ)別に電力制御が行われる場合にのみ含まれる。
【0146】
段階2:アンテナの最大伝送電力を考慮して、各アンテナの伝送電力を、下記のオプションのように調整することができる。アンテナの伝送電力の調整は、実施例1及び実施例2に例示した様々な方法(例えば、優先順位)を適用して行えばよい。
【0147】
オプション1:多数の伝送アンテナを使用する場合には、プリコーディング(precoding)して伝送する場合がある。プリコーディングされた信号を受信端で復号するためには、送信端で使用したプリコーディング行列を認識し、これを送信端の逆順で復号しなければならない。しかし、各アンテナの電力比が、アンテナの電力制限によって維持されないと、送信端から印加されるプリコーディング行列に歪が生じ、受信誤り率が増加する。そこで、伝送電力制限にかかったアンテナに合わせて、伝送電力制限にかかっていないアンテナの電力を、同一の割合で調節することによって、プリコーディング行列の歪を防ぐことができる。すなわち、伝送電力比率が同一に維持されるように、最大電力限界に到達しなかった方のアンテナの伝送電力を、電力限界を超えたアンテナの伝送電力と一緒に減らす。アンテナが3つ以上の場合、最大の割合で減らしたアンテナ伝送電力に合わせて、残りのアンテナの伝送電力を同一の割合で調整することができる。オプション1において実際の伝送に使用する電力
【数42】

は、下記の通りである。
【0148】
【数43】

【0149】
数式[15]は、電力制限がない場合における実際の伝送電力を表す。
【0150】
【数44】

【0151】
数式[16]は、電力制限がある場合における実際の伝送電力を表す。数式[16]を参照すると、アンテナnは、チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えるので、アンテナnの実際の伝送電力は、最大伝送電力に制限される。一方、アンテナmは、チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えはしないが、アンテナnとの伝送電力の比率を維持するように、
【数45】

の割合で伝送電力が減少する。
【0152】
オプション2:電力制御信号によって指示される各アンテナの電力比が、いずれか一方の電力制限により維持されない場合、送信端から印加されるプリコーディング行列に歪が生じ、歪の度合を受信端で認知できない場合には、受信誤り率が増加する。しかし、送信端で使用したプリコーディング行列を、専用リファレンス信号(Dedicated Reference Signal;DRS)から間接的に推定する場合、アンテナの伝送電力比率の変化によるプリコーディング行列の歪曲も一緒に推定することができる。この場合、オプション1のように、伝送電力比率を合わせるために、電力制限にかかっていないアンテナの伝送電力を下げなくて済む。したがって、最大電力限界に到達したアンテナの伝送電力のみを、対応するアンテナの最大伝送電力を下げて(クリッピング;clipping)伝送することができる。オプション2において実際の伝送に使用する電力は、下記の通りである。
【0153】
【数46】

【0154】
数式[17]は、電力制限がない場合における実際の伝送電力を表す。
【0155】
【数47】

【0156】
数式[18]は、電力制限がある場合における実際の伝送電力を表す。数式[18]を参照すると、アンテナnは、チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えるので、アンテナnの実際の伝送電力は、最大伝送電力に制限される。一方、アンテナmは、チャネルの伝送電力の和が最大伝送電力を超えないので、電力調整なくそのまま伝送される。
【0157】
図12は、本発明に実施例が適用されうる基地局及び端末を示す図である。
【0158】
図12を参照すると、無線通信システムは、基地局(BS)110及び端末(UE)120を含む。ダウンリンクにおいて、送信機は基地局110の一部であり、受信機は端末120の一部である。アップリンクにおいて、送信機は端末120の一部であり、受信機は基地局110の一部である。基地局110は、プロセッサ112、メモリ114及び無線周波数(Radio Frequency;RF)ユニット116を含む。プロセッサ112は、本発明で提案した手順及び/または方法を具現するように構成されてもよい。メモリ114は、プロセッサ112と接続され、プロセッサ112の動作と関連した様々な情報を記憶する。RFユニット116は、プロセッサ112に接続されて、無線信号を送信及び/または受信する。端末120は、プロセッサ122、メモリ124及びRFユニット126を含む。プロセッサ122は、本発明で提案した手順及び/または方法を具現するように構成されてもよい。メモリ124は、プロセッサ122に接続され、プロセッサ122の動作と関連した様々な情報を記憶する。RFユニット126は、プロセッサ122に接続されて、無線信号を送信及び/または受信する。基地局110及び/または端末120は、単一アンテナまたは多重アンテナを有することができる。
【0159】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態に結合したものである。各構成要素または特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもでき、一部構成要素及び/または特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、別の実施例に含まれることもでき、別の実施例の対応する構成または特徴に取って代わることもできる。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりすることができることは明らかである。
【0160】
本文書で、本発明の実施例は、端末と基地局間のデータの送受信関係を中心に説明された。本文書で基地局により行われるとした特定動作は、場合によっては、その上位ノード(upper node)により行なわれることもある。すなわち、基地局を含む多数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局または基地局以外の別のネットワークノードにより行われうることは明らかである。基地局は、固定局(fixed station)、Node B、eNode B(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語に代替可能である。また、端末は、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などの用語に代替可能である。
【0161】
本発明による実施例は様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などにより具現することができる。ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit;ASIC)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor;DSP)、デジタル信号処理装置(Digital Signal Processing Device;DSPD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array;FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現することができる。
【0162】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶されて、プロセッサにより駆動されてもよい。メモリユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられ、既に公知の様々な手段によりプロセッサとデータを交換することができる。
【0163】
本発明は、本発明の特徴を逸脱しない範囲で別の特定の形態に具体化可能であるということは、当業者にとっては自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈により決定すべきであり、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、無線通信システムに適用されてもよい。具体的に、本発明は、アップリンク伝送電力を制御する方法とそのための装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0165】
110 基地局
112 プロセッサ
114 メモリ
116 RFユニット
120 端末
122 プロセッサ
124 メモリ
126 RFユニット
402 直/並列変換器
404 N−ポイントDFTモジュール
406 副搬送波マッピングモジュール
408 M−ポイントIDFTモジュール
410 CP付加モジュール
412 並/直列変換器
414 デジタルアナログ変換器モジュール
416 アナログデジタル変換器モジュール
418 直/並列変換器
420 CP除去モジュール
422 M−ポイントDFTモジュール
424 副搬送波デマッピングモジュール
426 N−ポイントIDFTモジュールモジュール
428 並/直列変換器
430 検出モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、
複数のコンポーネント搬送波に対して、コンポーネント搬送波別最大伝送電力及び前記端末の最大伝送電力を確認する段階と、
一つまたは複数のコンポーネント搬送波を通じて基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数のチャネルに対して、それぞれの伝送電力を計算する段階と、
前記コンポーネント搬送波別最大伝送電力及び前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記複数のチャネルに対して前記伝送電力を独立して調整する段階と、
前記伝送電力が調整された複数のチャネルを通じて、前記基地局に信号を伝送する段階と、を有する信号伝送方法。
【請求項2】
前記コンポーネント搬送波別最大伝送電力を設定するための情報または前記端末の最大伝送電力を設定するための情報は、放送メッセージまたは無線リソース制御メッセージを通じてシグナリングされることを特徴とする、請求項1に記載の信号伝送方法。
【請求項3】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、
前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記チャネルのそれぞれの伝送電力を独立して減らす段階と、
前記チャネルのそれぞれの伝送電力を減らす段階の後、コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の信号伝送方法。
【請求項4】
前記対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルから減らした電力の少なくとも一部を、他のコンポーネント搬送波の伝送電力を増加させるのに使用することを特徴とする、請求項3に記載の信号伝送方法。
【請求項5】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、
コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、
前記チャネルのそれぞれの伝送電力を減らす段階の後、前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記チャネルのそれぞれの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の信号伝送方法。
【請求項6】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、前記チャネルのそれぞれに対して独立して減衰係数を適用することによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の信号伝送方法。
【請求項7】
前記チャネルのそれぞれは、一つまたは複数の単一搬送波周波数分割多元接続シンボルを有することを特徴とする、請求項1に記載の信号伝送方法。
【請求項8】
前記チャネルのそれぞれは、物理アップリンク共用チャネル、物理アップリンク制御チャネルまたはサウンディングリファレンス信号のいずれか一つを有することを特徴とする、請求項7に記載の信号伝送方法。
【請求項9】
無線通信システムにおいて端末が信号を伝送する方法であって、
複数のアンテナに対してそれぞれの伝送電力を計算する段階と、
それぞれのアンテナに対して前記計算された伝送電力が、対応するアンテナの最大伝送電力を超える場合、伝送電力減衰比率を計算する段階と、
前記一つまたは複数の伝送電力減衰比率のうち最大減衰比率を、前記複数のアンテナに同一に適用する段階と、
前記複数のアンテナを通じて信号を基地局に伝送する段階と、を有する信号伝送方法。
【請求項10】
無線信号を基地局と送受信するように構成された無線周波数ユニットと、
前記基地局と送受信する情報及び前記端末の動作に必要なパラメータを保存するメモリと、
前記無線周波数ユニット及び前記メモリに接続され、前記端末の動作のために前記無線周波数ユニット及び前記メモリを制御するように構成されたプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
複数のコンポーネント搬送波に対してコンポーネント搬送波別最大伝送電力及び前記端末の最大伝送電力を確認する段階と、
一つまたは複数のコンポーネント搬送波を通じて基地局に同時に伝送されるようにスケジューリングされた複数のチャネルに対してそれぞれの伝送電力を計算する段階と、
前記コンポーネント搬送波別最大伝送電力及び前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記複数のチャネルに対して前記伝送電力を独立して調整する段階と、
前記伝送電力が調整された複数のチャネルを通じて、前記基地局に信号を伝送する段階と、を有する、信号伝送方法を行うように構成された端末。
【請求項11】
前記コンポーネント搬送波別最大伝送電力または前記端末の最大伝送電力を設定するための情報は、放送メッセージまたは無線リソース制御メッセージを通じてシグナリングされることを特徴とする、請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、
前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記チャネルのそれぞれの伝送電力を独立して減らす段階と、
前記チャネルのそれぞれの伝送電力を減らす段階の後、コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することを特徴とする、請求項10に記載の端末。
【請求項13】
前記対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルから減らした電力の少なくとも一部が、他のコンポーネント搬送波の伝送電力を増加させるのに使用されることを特徴とする、請求項12に記載の端末。
【請求項14】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、
コンポーネント搬送波別に、対応するチャネルの伝送電力の和が、対応するコンポーネント搬送波別最大伝送電力を超えないように、前記対応するチャネルの伝送電力を独立して減らす段階と、
前記チャネルのそれぞれの伝送電力を減らす段階の後、前記複数のチャネルの伝送電力の和が前記端末の最大伝送電力を超えないように、前記チャネルのそれぞれの伝送電力を独立して減らす段階と、を有することを特徴とする、請求項10に記載の端末。
【請求項15】
前記複数のチャネルに対して伝送電力を調整する段階は、前記チャネルのそれぞれに対して独立して減衰係数を適用することによって行われることを特徴とする、請求項10に記載の端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−93910(P2013−93910A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−25850(P2013−25850)
【出願日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【分割の表示】特願2011−547790(P2011−547790)の分割
【原出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】