伝達関数を用いた表示装置の補正システム及びその補正方法
【課題】入力階調電圧と出力輝度との間の相関関係の補正の正確性、容易性、及び汎用性を具現する補正システム及びその方法を提供する。
【解決手段】電圧伝達関数式と輝度伝達関数式、及び両関数式の間の伝達ファクター(効率、臨界点、傾き)を数式化して全ての場合の条件変化による入力階調電圧と出力輝度との間の相関関係を導出し、伝達関数式を用いて測定輝度と目標輝度との間の差だけ入力階調電圧を補正する。また、環境補正及びIRドロップ補正を通じてホワイトバランスとクロストークを補償する。
【解決手段】電圧伝達関数式と輝度伝達関数式、及び両関数式の間の伝達ファクター(効率、臨界点、傾き)を数式化して全ての場合の条件変化による入力階調電圧と出力輝度との間の相関関係を導出し、伝達関数式を用いて測定輝度と目標輝度との間の差だけ入力階調電圧を補正する。また、環境補正及びIRドロップ補正を通じてホワイトバランスとクロストークを補償する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年11月25日付で出願された韓国出願番号10−2011−0124526に対し、優先権の利益を主張し、この出願は本明細書に参照として併合される。
【0002】
本発明は、表示装置の補正に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に知られた表示装置には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display;FED)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)、及び有機発光ダイオード表示装置(Organic Light Emitting
Diode;OLED)などがある。
【0004】
そのうち、有機発光ダイオード表示装置は、自発光素子として有機発光ダイオードを有する。有機発光ダイオードは、アノード電極、カソード電極、及び両電極の間に形成された有機膜を備える。有機膜は、正孔注入層(Hole Injection layer)、正孔輸送層(Hole transport layer)、発光層(Emission layer)、電子輸送層(Electron transport
layer)、及び電子注入層(Electron Injection layer)を含む。アノード電極とカソード電極にセル駆動電圧が印加されれば、正孔輸送層を通過した正孔と電子輸送層を通過した電子が発光層に移動して励起子を形成し、その結果、発光層が可視光を発生するようになる。
【0005】
有機発光ダイオード表示装置は、このような有機発光ダイオードが含まれた多数のR(赤色)サブピクセル、G(緑色)サブピクセル、及びB(青色)サブピクセルをマトリックス形態に配列し、スキャンパルスを通じて能動素子であるTFT(Thin Film Transistor)を選択的にターン−オンさせてサブピクセルを選択した後、この選択されたサブピクセルにデジタルビデオデータを供給することによって、デジタルビデオデータの階調によってサブピクセルの輝度を制御する。サブピクセルの組合によって各種の色相の表現が可能なピクセルが具現され、RGBサブピクセルの適切な調整割合によってピクセルのホワイトバランス(white balance)が合わされる。サブピクセルの各々は駆動TFT、少なくとも1つ以上のスイッチTFT、ストレージキャパシタなどを含み、サブピクセルの輝度は有機発光ダイオードに流れる駆動電流に比例する。
【0006】
このような有機発光ダイオード表示装置は自ら発光する自発光素子であって、高画質と広視野角特性を有し、薄い、かつ軽いディスプレイで、応答速度が速い。また、有機発光ダイオード表示装置は、液晶表示装置(Liquid
crystal display;LCD)とは異なり、別途のカラーフィルタ無しでもフルカラー具現が可能で、低価格化の可能性が大きいので、大いなる関心が集中している。しかしながら、有機発光ダイオード表示装置は、未だ解決しなければならない技術的な課題が多い。
【0007】
第1に、有機発光ダイオード表示装置は、液晶表示装置に比べて歩留まりが低い。歩留まりを高めるためには、駆動TFTと有機発光ダイオードの製造工程の偏差による特性偏差、バックプレーン(back plane)に使われるTFTの臨界点(しきい電圧)偏差、有機膜材料の臨界点偏差などが克服されなければならない。
【0008】
第2に、有機発光ダイオード表示装置では、寿命の減少によってRGBサブピクセルの間に効率差が変わって、ホワイトバランスが捩れる短所がある。去る数年間、有機発光ダイオードの寿命と効率はたくさん改善されているが、大面積有機発光ダイオード表示装置のためには、有機発光ダイオードの寿命と効率が現在より遥かに安定した均一性を有するように向上しなければならない。また、有機発光ダイオード表示装置は、周辺温度変動及び光漏洩電流変動による輝度変動差と、それに従う寿命減少差を解決しなければならない。
【0009】
第3に、有機発光ダイオード表示装置は、有機発光ダイオードにセル駆動電圧を供給するための電源供給配線の位置別の抵抗差による静的IRドロップと、データ量の変動による周辺サブピクセルとの抵抗差に起因する動的IRドロップにより影響を受ける。表示輝度は有機発光ダイオードに流れる駆動電流に比例し、抵抗差はセル駆動電圧の差で表現される。セル駆動電圧が各サブピクセルに供給される時、静的及び動的IRドロップにより電圧降下が発生し、それによって表示位置とデータ量の変動に従う画面状態によって表示輝度が部分的に変わるクロストーク現象が発生する。このような自発光電流駆動方式に発生する問題を改善しなくては、大面積及び高画質の有機発光ダイオード表示装置を具現することができない。
【0010】
このような有機発光ダイオード表示装置の諸般課題を解決するために、製造工程中に、または製造完了後に種々の補正方式が施行されている。ところが、現在の全ての補正方式は、予め設定された限定された条件の実験データによるルックアップテーブル(look up table)のみを用いている。
【0011】
ルックアップテーブル方式は、電圧特性と輝度特性との間の予想可能な多数の条件を作って、予め実際データを測定して電圧特性と輝度特性との間の相互連結関係を作る。ルックアップテーブル方式は、電圧特性と輝度特性との間の相互伝達関数式が複雑であったり、または上記相互伝達関数式を導出できない場合に使われる方式である。実際的に全ての場合の条件を仮定して実測データを確保するということは不可能であるので、ルックアップテーブル方式は制限された条件の範囲内で限定された実測データを確保して上記相互連結に用いる。
【0012】
このようなルックアップテーブル方式は補正の容易性及び正確性の面で多くの問題点がある。
【0013】
ルックアップテーブル方式は、ルックアップテーブルデータを作ることに多くの時間がかかり、条件に符合する外部環境が変わる度に毎度実測データを獲得して適用しなければならない面倒さがあるので、補正作業が容易でない。また、ルックアップテーブル方式による場合、製造工程過程で補正作業時毎にステップ別の実測データと比較確認し、再調整する過程を毎度経なければならないので、補正時間及び製造タクト(tact)タイムが長い。
【0014】
ルックアップテーブル方式は、条件範囲を狭く設定し、所望の条件に合うデータがない場合、近似値を取る場合が多いので、補正の正確性を期し難い。全ての場合の数の組合に対するデータを実測することは不可能である。したがって、ルックアップテーブル方式による場合、R、G、Bの各組合に従うホワイトバランス値を正確に一致させることが困難であり、IRドロップによる輝度不均一を正確に補正することが困難である。さらに、ルックアップテーブル方式による場合、完成品の出荷後、使用時間に従う画質の低下に対応し難く、R、G、Bの各材料の寿命減少差によるホワイトバランスのずれを調整することができる方法がないし、故障修理時にも画質を補正することができる方法がない。
【0015】
このような種々の問題点にも関わらず、現在大部分の補正方式にルックアップテーブルを使用する理由は、入力階調電圧と出力輝度との間の関係を正確な伝達関数式で導出できないことに起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、入力階調電圧と出力輝度との間の関係を伝達関数式と伝達ファクターで導出し、この伝達関数式と伝達ファクターを用いて諸般補正を遂行して補正の正確性、容易性、及び汎用性を具現できるようにした表示装置の補正システム及びその補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態に従う表示装置の補正システムは、各サブピクセル毎に駆動TFTと有機発光ダイオードが形成された表示パネル、ガンマレジスタ値によって上記表示パネルに印加される階調電圧を生成するデータ駆動IC、輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数と、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、そして2関数の間の相関係数である第1伝達ファクターを含んだ伝達関数アルゴリズムをロジック回路に内蔵し、特定階調電圧値を有するテストパターンが上記表示パネルに印加されて得られた測定輝度値と共に電圧条件、及び既設定された上記ガンマレジスタ値を上記伝達関数アルゴリズムに適用して変化された第2伝達ファクターを求めた後、上記第1及び第2伝達ファクターの間の差だけ上記ガンマレジスト値を変更させるための自動レジスタを算出する伝達関数処理部、上記自動レジスタの算出に基礎となるデフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードを格納するためのデフォルトコードメモリと、上記デフォルトレジスタの算出に基礎となる目標レジスタが含まれた目標コードを格納するための目標コードメモリと、上記表示パネルと上記データ駆動ICの駆動に必要な駆動電源を発生する電源発生器が実装される駆動ボード、上記テストパターンの印加に従う上記表示パネルの輝度を測定するための輝度測定器、及び上記データ駆動ICの初期駆動条件を入力し、諸般補正のステップ別の遂行のための作業命令信号と上記輝度測定器からの輝度測定データを上記伝達関数処理部に印加するコントロールセンターを備える。
【0018】
本発明の実施形態に従う表示装置の補正方法は、出力輝度の変化を入力電圧の調整を通じて所望の値に補正するために電圧伝達関数と輝度伝達関数を含んだ伝達関数式をアルゴリズムで内蔵するステップ、目標輝度値と任意の階調電圧値を上記伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて上記電圧伝達関数の傾きファクターと上記輝度伝達関数の傾きファクターを互いに一致させて目標レジスタを算出する目標補正ステップ、上記目標レジスタによる階調電圧値を表示パネルに印加して得られた測定輝度値を上記伝達関数式に適用して零点補正伝達ファクターを求めた後、上記零点補正伝達ファクターと上記目標輝度値を上記伝達関数式に適用して上記目標補正伝達ファクターと上記零点補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するためのデフォルトレジスタを算出する零点補正ステップ、及び上記デフォルトレジスタによる階調電圧値を上記表示パネルに印加して得られた測定輝度値を上記伝達関数式に適用して自動補正伝達ファクターを求めた後、上記自動補正伝達ファクターと上記目標輝度値を上記伝達関数式に適用して上記零点補正伝達ファクターと上記自動補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するための自動レジスタを算出する自動補正ステップを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、全ての場合の条件変化に対応することができ、毎補正ステップ毎に実測データ確認後、再調整の必要がないので、ルックアップテーブルを用いた既存補正方式に比べて、補正の正確性、容易性、及び汎用性を高めることができる。
【0020】
また、本発明によれば、製造上の原因により目標品質から外れる製品を目標品質に補正することによって、歩留まりを既存対比平均35%以上向上させて製造コストを格段に低減することができる効果が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、環境補正及びIRドロップ補正を通じてホワイトバランスとクロストークを補償することができるので、表示装置の高品質化と大面積化を容易に具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】データ駆動IC(Integrated Circuit)を通じて入力される階調電圧と有機発光ダイオードで具現される出力輝度の相関関係とこれを等価的に表現した電圧及び輝度伝達関数を示す図である。
【図2a】P−type LTPS(Low Temperature Poly Silicon)バックプレーンを使用するパネルに対するデータ駆動ICの階調電圧特性曲線を示す図である。
【図2b】有機発光ダイオード輝度特性曲線を示す図である。
【図3】図2aで求められた電圧伝達関数と、図2bで求められた輝度伝達関数が適用される有機発光ダイオード表示装置のサブピクセル等価回路を簡略に示す図である。
【図4】電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係を示す図である。
【図5】伝達関数の関係規定のための効率比例ファクターと臨界点比例ファクターの導出原理を示す図である。
【図6】臨界点が不均一である時、臨界点比例ファクターの導出のための正確な臨界点設定方法を示す図である。
【図7】効率比例ファクターと臨界点比例ファクターを用いて補正電圧を求める原理を簡略に示す図である。
【図8】目標輝度を維持するために効率比例ファクターと臨界点比例ファクター及び傾きファクターを電圧で補正する一例を示す図である。
【図9】伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システムを示す図である。
【図10】有機発光ダイオード表示装置の内部構成を詳細に示す図である。
【図11a】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図11b】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図11c】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図12】RGB別のオフセット調整部の作用効果を示す図である。
【図13】RGB別のゲイン調整部の作用効果を示す図である。
【図14】RGB別のガンマ電圧調整部の作用効果を示す図である。
【図15】電源電流検出部の細部構成を示す図である。
【図16】温度検出部の細部構成を示す図である。
【図17】光漏洩電流検出部の細部構成を示す図である。
【図18】電源供給配線の配線抵抗差による静的IRドロップが発生する原因を示す図である。
【図19】静的IRドロップにより発生する各色相別及び階調別のIRドロップ量と、ホワイトバランス適用時に考慮しなければならないW、R、G、Bで輝度が静的IRドロップにより減少することを示す図である。
【図20】ホワイト状態の静的IRドロップにおいて、RGB別の静的IRドロップ割合を算出するためのIRドロップ伝達ファクターを求めることを示す図である。
【図21】IRドロップ伝達ファクターによる割合でホワイト輝度で発生した全体静的IRドロップを各RGB別及び各階調別に求める方法を示す図である。
【図22】データ変化量による動的IRドロップを補正するための図10のIRドロップ補償部の構成を詳細に示す図である。
【図23】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図24】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図25】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図26】目標補正ステップを詳細に示す図である。
【図27】零点補正ステップを詳細に示す図である。
【図28】自動補正ステップを詳細に示す図である。
【図29】寿命補正ステップを詳細に示す図である。
【図30】環境補正ステップを詳細に示す図である。
【図31】環境補正ステップを詳細に示す図である。
【図32】大面積画面でIRドロップを効果的に克服できる一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図32を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0024】
明細書の全体に亘って同一な参照番号は実質的に同一な構成要素を意味する。以下の説明において、本発明と関連した公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0025】
以下の本発明の明細書記述では、RGB有機発光ダイオードを有する表示装置を例として説明するが、本発明の技術的事象はこれに限定されない。本発明は、ホワイト有機発光ダイオードとカラーフィルタを有する表示装置、プラズマディスプレイパネルなど、他の自発光表示装置に適用できる。また、本発明は、電圧、電流電源により輝度を調節する表示装置にも適用できる。
【0026】
本発明の明細書記述では、(1)電圧伝達関数と輝度伝達関数を導出及び定義した後、(2)伝達関数式に基盤した諸般補正動作処理のために要求される補正システムを説明した後、(3)伝達関数式に基盤した具体的な補正方法及び応用を説明する。
【0027】
本発明の詳細な説明で使われる用語は、次の通り定義される。
【0028】
初期コード(initial code)は、データ駆動IC(Integrated Circuit)の初期駆動条件を設定するための各種レジスタの集いを指し示す。この初期コードには、駆動電圧を設定するためのレジスタ、解像度を設定するためのレジスタ、駆動タイミングを設定するためのレジスタ、駆動信号を設定するためのレジスタ、及びガンマ抵抗を設定するためのガンマレジスタなどが含まれている。初期コードに含まれたレジスタを初期レジスタと定義する。
【0029】
目標コード(target code)は、伝達関数式を通じて目標補正(target
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。この目標コードには、初期レジスタのうち、ガンマレジスタの初期設定値をアップデートするための目標レジスタ(target register)が含まれている。
【0030】
デフォルトコード(default code)は、伝達関数式を通じて零点補正(zero
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。このデフォルトコードには、目標レジスタに基づいてアップデートされたデフォルトレジスタ(default register)が含まれている。デフォルトコードは量産のための自動補正(auto calibration)時、各々の量産サンプルに使われる基準コードに使われる。
【0031】
自動レジスタ(auto register)は、伝達関数式を通じて自動補正(auto calibration)を遂行した結果によって生成されるレジスタで、デフォルトレジスタをアップデートしてなされたものである。
【0032】
寿命レジスタ(aging register)は、伝達関数式を通じて寿命補正(aging calibration)を遂行した結果によって生成されるレジスタで、自動レジスタをアップデートしてなされたものである。
【0033】
1.電圧−輝度の伝達関数
図1は、データ駆動IC(Integrated Circuit)を通じて入力される階調電圧と有機発光ダイオードで具現される出力輝度の相関関係とこれを等価的に表現した電圧及び輝度伝達関数を示している。
【0034】
図1に示すように、伝達関数は、有機発光ダイオードの駆動において、入力条件である階調電圧と出力条件である輝度(有機発光ダイオードの発光輝度)との間の相互連関式で、輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、及び2関数式の間の相関係数である伝達ファクターを含んで所望の目標値を容易に得ることができる数式で定義される。
【0035】
図2aは、P−type LTPS(Low Temperature Poly Silicon)バックプレーンを使用するパネルに対するデータ駆動ICの階調電圧特性曲線を示す。図2aの横軸は階調レベルを、縦軸は入力電圧を指し示す。電圧伝達関数は、データ駆動ICの内に含まれたガンマ抵抗ストリングの電圧分配により発生する階調電圧を指数関数式で表現したものであって、下記の<数式1>の通りである。
【0036】
[数1]
y=V-(a*(x/dx)r+b)
【0037】
<数式1>で、yはデータ駆動ICの階調電圧を、Vはデータ駆動ICのバイアス電圧として高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の差を、aは電圧伝達関数の振幅(gain)を、bは電圧伝達関数のオフセットを、rは電圧伝達関数の傾き(即ち、ガンマ電圧特性曲線の傾き)を、xは階調レベルを、dxは階調レベルの総数を各々指し示す。
【0038】
したがって、電圧伝達関数の傾き(r)は下記の<数式2>で表現される。
【0039】
[数2]
r=LOGx/dx[(-y+V-b)/a]
【0040】
図2aのように、電圧対階調は所定の傾き(r)で、互いに反比例関係を有する。これは、P−type LTPSバックプレーンに形成される駆動素子(駆動TFT)の駆動バイアス特性が負の傾きの指数関数特性を有するためである。一方、N−type LTPSバックプレーンを使用するパネルに対する特性曲線は電圧対階調が互いに比例関係を有することができる。
【0041】
図2bは、有機発光ダイオード輝度特性曲線を示す。図2bの横軸は階調レベルを、縦軸は出力輝度を指し示す。輝度伝達関数は階調電圧による出力輝度を指数関数式で表現したものであって、下記の<数式3>のように求められる。
【0042】
[数3]
Y=A*(x/dx)1/r+B
【0043】
<数式2>で、Yは有機発光ダイオードの輝度を、Aは輝度伝達関数の振幅(gain)を、Bは輝度伝達関数のオフセットを、1/rは輝度伝達関数の傾き(輝度特性曲線の傾き)を、xは階調レベルを、dxは階調レベルの総数を各々指し示す。
【0044】
したがって、輝度伝達関数の傾き(1/r)は下記の<数式4>で表現される。
【0045】
[数4]
1/r=LOGx/dx[(Y-B)/A]
【0046】
図2bのように、階調対出力輝度は、所定の傾き(1/r)で互いに比例関係を有する。これは、有機発光ダイオードの輝度が正の傾きの指数関数特性を有するためである。
【0047】
図3は、<数式1>のように定義される電圧伝達関数と<数式3>のように定義される輝度伝達関数が適用される有機発光ダイオード表示装置のサブピクセル回路を簡略に示す。
【0048】
図3を参照すると、サブピクセル回路は高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間に流れる駆動電流に発光する有機発光ダイオード(OLED)と、ゲートノード(N)に印加される階調電圧によって有機発光ダイオード(OLED)に印加される駆動電流量を制御する駆動TFT(DT)と、ゲートライン(図示せず)を通じて印加されるスキャンパルス(SCAN)に応答して駆動TFT(DT)のゲートノード(N)と階調電圧で充電されたデータライン(図示せず)との間の電流パスをスイッチングするスイッチTFT(ST)、及び駆動TFT(DT)のゲートノード(N)に印加される階調電圧を所定期間の間維持させるストレージキャパシタ(Cst)を含む。
【0049】
電圧伝達関数は駆動TFT(DT)のゲートノード(N)に印加され、映像信号に対応する階調電圧に対するものである。bは電圧伝達関数のオフセットであって、駆動TFT(DT)の臨界点(しきい電圧値)に該当する。輝度伝達関数は、有機発光ダイオード(OLED)の発光量に該当する出力輝度に対するものである。Bは輝度伝達関数のオフセットであって、有機発光ダイオード(OLED)の臨界点(しきい電圧値)に該当する。
【0050】
図4は、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係を示している。図4で、G0〜G255は階調レベルを、y0〜y255は階調レベルに対応するガンマ電圧を、Y0〜Y255は階調レベルに対応する出力輝度を各々指し示す。
【0051】
諸般補正を遂行するためには、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係が図4のように所望の値に正確にマッピングされなければならない。例えば、y10に該当するガンマ電圧に対応してY10の出力輝度が発揮されなければならず、y124に該当するガンマ電圧に対応してY124の出力輝度が発揮されなければならず、またy212に該当するガンマ電圧に対応してY212の出力輝度が発揮されなければならない。既存にはこのようなマッピングのためにルックアップテーブル方式を用いた。しかしながら、本発明ではこのようなマッピングのために<数式1>及び<数式3>から導出された電圧及び輝度伝達関数式を用いる。このために、本発明では2つの伝達関数式の間の相関係数である伝達ファクターを導出する。
【0052】
伝達関数の伝達ファクターは、図5に図示された効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)、<数式2>及び<数式4>に含まれた傾きファクター(r、1/r)を含む。
【0053】
効率比例ファクター(c1)は入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値であって、実際発光効率に該当し、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化などにより発生する入出力間の全ての変数を含む。効率比例ファクター(c1)は、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の連関性を定立するためのものであって、任意の電圧とそれに対応する輝度を知れば数式的に求められる。効率比例ファクター(c1)は、実際条件下で目標輝度を得るために印加されるべき入力電圧値を計算することに使われる。このような効率比例ファクター(c1)を利用すれば、各種変数に関わらず目標輝度発揮のための入力電圧が簡単に関数式で求められるので、実際の製品で材料物性上、構造上、製造上、時間老化上、周辺環境変動上、発生した発光輝度の所望しない変化を目標輝度に容易に補正することができるので、製品の発光特性を均一に維持することができる。
【0054】
臨界点比例ファクター(c2)は、入力電圧が印加される時、有機発光ダイオードが実際動作するしきい電圧条件であって、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化、駆動TFTの移動度(mobility)や寄生キャパシタンス差などにより発生する入出力間の全ての変数を含んだ任意の動作開始点に対する変数として定義される。臨界点比例ファクター(c2)は、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式の開始点を確定するものであって、任意の臨界電圧を印加して任意の発光臨界点で発光輝度量を測定し、任意の臨界電圧と測定された臨界発光輝度量の相関関係により数式的に求められる。臨界点比例ファクター(c2)は、効率比例ファクター(c1)と共に実際条件下で目標輝度を得るために印加されるべき入力電圧値を計算することに使われる。
【0055】
傾きファクター(r、1/r)は、電圧伝達関数式及び輝度伝達関数式の各々に含まれる傾き値であって、各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される。電圧伝達関数の傾きファクター(r)は、データ駆動ICのガンマレジスタの設定値変更による階調電圧(入力電圧)変化量が指数関数式で求められる傾き値である。輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)は、階調電圧がサブピクセルに印加された時、各階調電圧に対する出力輝度値の変化量が指数関数式で求められる傾き値である。
【0056】
電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)には、各々効率比例ファクター(c1)の値と臨界点比例ファクター(c2)の値が反映されている。言い換えると、<数式1>及び<数式2>のように、各階調電圧値の変動分に対する指数値が電圧伝達関数の実際傾きファクター(r)であり、<数式3>及び<数式4>のように各階調で得られる発光輝度の変動分に対する指数値が輝度伝達関数の実際の傾きファクター(1/r)である。
【0057】
電圧伝達関数と輝度伝達関数とが逆比例関係を有するP−type
LTPSバックプレーンにおいて、電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)とは互いに逆比例関係を有する。傾きファクター(r、1/r)は、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互変換の容易性を提供する。輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を求めるには、先に電圧伝達関数式の傾き(r)を求めて、この傾き(r)を逆に取ればよい。そして、求められた傾きファクター(1/r)を輝度伝達関数式に適用すれば、傾きによる相互連関式が形成される。反対に、電圧伝達関数の傾きファクター(r)を求めるには、各階調電圧による輝度伝達関数式の傾き(1/r)を求めて、この傾き(1/r)を逆に取ればよい。そして、求められた傾きファクター(r)を電圧伝達関数式に適用すれば、相互連関式が形成される。
【0058】
但し、理論的な数式と異なり、実際の適用時には、電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)とが互いに逆比例関係を有するように2つ傾きファクター(r、1/r)の関係を正確に一致させる過程、即ち、r=1/rになるようにする過程が必要である。このような調整過程は、最初の目標補正ステップでなされて、2つ傾きファクター(r、1/r)の関係に対する調整がなされたら、この調整された関係はその以後の補正ステップ(零点補正、自動補正、寿命補正など)にもそのまま維持される。初期の電圧伝達関数傾き(r)はデータ駆動ICと初期レジスタにより決定され、目標輝度は製品のスペックにより決まるので、目標補正を通じて一致調整された2つ傾きファクター(r、1/r)の関係は目標レジスタに反映される。そして、目標補正結果である目標レジスタは、零点補正時、測定輝度の駆動条件となり、零点補正結果であるデフォルトレジスタは自動補正時、測定輝度の駆動条件となる。したがって、電圧と輝度の逆関数比例関係は、目標補正の以後にもそのまま維持されるので、目標補正の以後の後続補正ステップでは、輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を知れば、その逆数を取ることによって、電圧伝達関数式の傾き(r)を容易に求めることができ、反対に、電圧伝達関数式の傾き(r)を知っていれば、その逆数を取ることによって、輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を容易に求めることができる。
【0059】
伝達関数の伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)は、毎補正ステップ、即ち、目標補正、零点補正、自動補正、寿命補正などが遂行される度に、該当条件(電圧条件、輝度条件)で個別的に求められる。電圧及び輝度伝達関数は、算出された伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)を基盤に、電圧から輝度に、または輝度から電圧に、互いに両方向演算が可能である。各補正ステップで求められる伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)の変動分は所望の輝度具現のための電圧差により補償される。
【0060】
電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の相互切換(両方向演算)が可能な理由は、次の3つである。
【0061】
第1に、効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)は、電圧及び輝度関係の間に発生した変化要因(多様な環境変数)を全て含む。
【0062】
第2に、傾きファクター(r、1/r)は、常に2つ関数式の間の関係形成のためのものであって、逆数関係に維持される。
【0063】
第3に、伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)を通じて電圧伝達関数式による電圧表現と輝度伝達関数式による輝度表現は互いに同一に連関され、多様な環境変数により2つ表現値が互いに変わっても、伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)の調整により互いに一致するように補正できる。
【0064】
以上の3つは、電圧と輝度関係を数式化できる本発明の基本原理である。
【0065】
図5は、電圧−輝度伝達関数の効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)の導出原理を示している。図6は、臨界点が不均一な時、臨界点比例ファクターの導出のための正確な臨界点設定方法を示す。そして、図7は効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)を用いて補正電圧を求める原理を簡略に示す。
【0066】
図5を参照すると、電圧伝達関数の振幅(a)と電圧伝達関数のオフセット(b)は、データ駆動ICに印加される高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間で所定の関連点(P)を基準に分けられる。ここで、連関点(P)は電圧伝達関数と輝度伝達関数との相関関係を有機的に連結するための基準点として作用する。この際、電圧伝達関数の振幅(a)は連関点(P)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の所定範囲に定まり、電圧伝達関数のオフセット(b)は高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と関連点(P)との間の範囲に定まることができる。
【0067】
輝度伝達関数の振幅(A)及びオフセット(B)は、表示パネルのサブピクセルに印加される高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間で設定され、かつ、電圧伝達関数の振幅(a)に対応する範囲に設定される。高電位セル駆動電圧(PVDD)は、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と実質的に同一であったり、または、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)に比べて高いレベルを有することができ、低電位セル駆動電圧(PVEE)は低電位ガンマ電源電圧(VDDL)に比べてより低いレベルを有することができる。
【0068】
図5の効率比例ファクター(c1)は、下記の<数式5>で計算できる。
【0069】
[数5]
(a*V)*c1=(A+B)*V1
c1=(A+B)*V1/(a*V)
【0070】
<数式5>で、Vはデータ駆動ICのバイアス電圧であって、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の差を、V1は有機発光ダイオードを駆動させるためにサブピクセルに印加される電圧であって、高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間の差を各々指し示す。
【0071】
<数式5>を参照すると、効率比例ファクター(c1)は、入力効率(a*V)と出力効率((A+B)*V1)との間の相関ファクターであることが分かる。効率比例ファクター(c1)は、前述したように入出力の間の全ての変数を含むので、製造工程、時間老化、周辺環境変化等により変動される。効率比例ファクター(c1)の変動は、出力輝度の変動をもたらす。入力がaで、出力がA+Bの時、入力値は入力条件から分かり、出力値は測定により分かる。すると、入出力値の連関値である効率比例ファクター(c1)は<数式5>を通じて計算的に求められる。本発明は、変更された効率比例ファクターと共に所望の目標輝度を電圧及び輝度伝達関数式に適用することによって、効率比例ファクター(c1)の変更された値を電圧に換算補償することができる。言い換えると、図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって効率比例ファクター(c1)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は変更前後の効率比例ファクター(c1)の変動分だけ入力電圧を補正して出力輝度を所望の値に維持することができる。
【0072】
図5の臨界点比例ファクター(c2)は、下記の<数式6>で計算できる。
【0073】
[数6]
c2=B/c1+b
【0074】
毎製品毎に臨界点の変動分を知ろうとする場合、電圧伝達関数のオフセット(b)値は入力条件により分かり、輝度伝達関数のオフセット(b)値はその条件で輝度臨界点に対する測定により分かり、効率比例ファクター(c1)は<数式5>を通じて分かる。したがって、駆動TFTと有機発光ダイオードの臨界点変動に関する臨界点比例ファクター(c2)は、<数式6>を通じて容易に算出できる。このような臨界点比例ファクター(c2)も、前述したように入出力の間の全ての変数を含むので、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化、駆動TFTの移動度(mobility)や寄生キャパシタンス差などにより変動される。臨界点比例ファクター(c2)も効率比例ファクター(c1)と同様に、電圧及び輝度伝達関数に適用されることで、その変動値だけ電圧に換算補償できる。即ち、図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって臨界点比例ファクター(c2)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は臨界点比例ファクター(c2)の変動分だけ入力電圧を補正することによって、出力輝度を所望の値に維持することができる。
【0075】
同様に、本発明は図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって傾きファクター(rまたは1/r)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は傾きファクター(rまたは1/r)の変動分だけ入力電圧を補正することによって、出力輝度を所望の値に維持することができる。本発明は、目標補正時、傾きファクター(r、1/r)が互いに逆数関係で一致するように調整するため、その以後に、この逆数関係が持続的に維持されることを用いて変更された輝度傾きファクター(1/r)(輝度測定値から求められる)から変更された電圧傾きファクター(r)を求めて、これに基づいて入力電圧を補正することができる。
【0076】
一方、実際製品への適用時には、LTPSバックプレーン駆動素子の臨界点不均一と計測装備の誤差などによって、低電圧伝達関数に対比される低輝度伝達関数である臨界輝度特性は、不安定で、変動が激しい。したがって、図6のように、輝度伝達関数は2つの区間、即ち、高輝度区間(G80〜G255)と低輝度区間(G0〜G79)に分けられて使われることが好ましい。特に、低輝度区間(G0〜G79)での臨界輝度は傾きファクターに直接的に大きい影響を与えるので、製品別に少ない偏差に維持されなければならないが、実測値はこれと反対に、大きい偏差を示す。したがって、本発明はと輝度伝達関数(YA)の特性に基盤して低輝度伝達関数(YB)を別途に生成し、低輝度区間(G0〜G79)での補正時、この低輝度伝達関数(YB)を使用する。即ち、本発明は低輝度区間(G0〜G79)での補正時、製品で発生する偏差を直接補正に反映せず、全体輝度伝達関数(Y)による低輝度区間(G0〜G79)を設定して補正ステップに使用することによって、補正の正確度を高めることができる。低輝度伝達関数(YB)を生成する方法には、次の2つがある。
【0077】
第1の方法は、高輝度実測曲線で傾き(1/rA)と臨界点(B1)を確保し、高輝度実測曲線から得られた傾き(1/rA)を低輝度曲線の傾きに、高輝度実測曲線から得られた臨界点(B1)を低輝度曲線の最大輝度に、目標輝度の臨界点(b)を低輝度曲線の臨界点に、各々使用して、低輝度伝達関数(YB)を生成する。この第1の方法は、低輝度臨界点の変動が大きい時、有用に使われることができる。
【0078】
第2の方法は、高輝度実測曲線で傾き(1/rA)と臨界点(B1)を確保し、高輝度実測曲線から得られた傾き(1/rA)を低輝度曲線の傾きに、高輝度実測曲線から得られた臨界点(B1)を低輝度曲線の最大輝度に、高輝度実測曲線から予想される推定臨界輝度を低輝度曲線の臨界点に、各々使用して、低輝度伝達関数を生成する。この第2の方法は、低輝度臨界点の変動は少ないが、測定器の誤差が低輝度で大きく発生する時に有用に使われることができる。高輝度実測曲線が最大輝度(A+B)、傾き(1/rA)、臨界点(B1)を提供するため、この高輝度実測曲線から得られる値を全体輝度伝達関数(Y)に適用した後、階調“0”での最小輝度を求めれば、推定臨界輝度が分かる。
【0079】
臨界輝度は傾きファクターを求める基準点となる。したがって、臨界輝度は状況によって上記2つ方法のうち、いずれか1つにより選択的に求められるが、製造工程の特性が安定した場合であれば、2番目の方法を使用することがより正確で、かつ近似した値を得ることができる。
【0080】
図6は、上記の2つ方法のうちの第1の方法であって、目標臨界輝度を使用して低輝度曲線を完成することを示している。図6で、高輝度区間(G80〜G255)の点線部分は、同一傾き(1/rA)と高輝度臨界点(B1)が確保されても、目標臨界輝度(b)を使用により、推定高輝度と実測高輝度との間に若干の誤差が発生することを示すためのものである。
【0081】
[数7]
Y=A*[x(0~255)/dx(255-0)]1/rA+B
=YA+YB
【0082】
<数式7>は、一般的な輝度伝達関数を表現した式である。ここで、臨界点“B”は、実際測定値でない目標輝度で与えられる目標臨界輝度、または、推定低輝度曲線の推定臨界輝度という点に特徴がある。この臨界輝度は、全ての測定輝度の開始点を一致させる役割をする。一般的な輝度伝達関数を表す“Y”は、高輝度区間(G80〜G255)に対応する高輝度伝達関数(YA)と低輝度区間(G0〜G79)に対応する低輝度伝達関数(YB)に分けられて使われる。<数式7>で、“B”は上記第1の方法による場合、目標設定時、ホワイトバランス補正を通じて目標輝度がRGB色座標によりホワイトを表すRGB輝度に変換算出された後、その最小輝度を有する値に決まる。“A”は最大測定輝度から臨界輝度“B”を引いた輝度ゲインであり、“1/rA”は測定輝度を基盤にした高輝度伝達関数(YA)の実際傾き値である。“x(0〜255)”は0階調から255階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(255−0)”は256個の階調レベル数を指し示す。高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)との境界である(G80、Y80)は、開発ステップで条件設定時に決まる基準点に変更可能である。
【0083】
高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)は、<数式8>で表される。
【0084】
[数8]
YA=A1*[(x(80~255)/dx(255-80)]1/rA+B1,
YB=(B1-B)*[(x(0~79)/dx(79-0)]1/rA+B,
A1=(A+B)-B1
【0085】
<数式8>で、“x(80〜255)”は80階調から255階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(255−80)”は136個の階調レベル数を指し示す。また、“x(0〜79)”は0階調から79階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(79−0)”は80個の階調レベル数を指し示す。
【0086】
<数式8>のように、高輝度伝達関数(YA)は高輝度区間(G80〜G255)で使われるものであって、任意の測定臨界輝度“B1”と、測定輝度傾き“1/rA”、及び測定最大輝度ゲインである“A1”により決まる。任意の測定臨界輝度(B1)は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、測定輝度傾き(1/rA)は“B1”以上の輝度区間で得られた測定輝度の傾き値であり、測定最大輝度ゲイン(A1)は最大輝度から安定した測定臨界輝度(B1)を引いた値に決まる。
【0087】
低輝度伝達関数(YB)は低輝度区間(G0〜G79)で使われるものであって、目標臨界輝度または推定臨界輝度のうち、いずれか1つに選択される“B”、測定輝度傾き“1/rA”、及び輝度ゲイン“(B1−B)”により決まる。
【0088】
高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)は、測定輝度に対応する階調レベルがx(80〜255)あるいはx(0〜79)のうち、どこに属するかによって選択的に使われる。この2つ式の組合によって臨界輝度特性が不安定な問題点は効果的に解決できる。本発明のこのような特徴は、既存のルックアップテーブル方式では具現不可能である。
【0089】
図8は、単位手続き進行に従う出力輝度変更時、変更前後間の伝達ファクター(c1、c2、r)の差を導出して目標輝度(所望の輝度)を維持するための補正電圧を求める一例を示している。
【0090】
図8を参照すると、目標電圧V(n)は製品設計及び開発ステップで確定された初期レジスタ値により任意に決まり、目標輝度L(n)は製品開発スペックにより決まったホワイト輝度、ホワイト色座標、ガンマ傾き、RGB色座標、ホワイトバランスを考慮した色座標変換式により決まる。したがって、目標電圧V(n)と目標輝度L(n)は、全て補正ステップの以前に予め分かる値である。目標電圧(V(n))と目標輝度(L(n))が決まれば、効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)が数式により算出され、算出された最大輝度で伝達ファクターによる関係、算出された臨界輝度で伝達ファクターによる関係、及び中間輝度で傾きによる伝達関数関係が目標補正ステップで一致すれば、その補正差は電圧差により補償されて目標レジスタに格納される。
【0091】
但し、目標補正の以後の補正ステップの遂行のためには、目標電圧(V(n))に対応する傾きファクター(r)と目標輝度(L(n))に対応する傾きファクター(1/r)とを一致させる過程が必ず必要である。電圧傾きの逆数である輝度傾きと輝度傾きの逆数である電圧傾きとを互いに一致させる過程を通じて、2つ傾き間の差を電圧差、即ちガンマ電圧レジスタに補償しなければならないが、この過程が目標補正である。目標補正過程では、製品開発時に確保された初期レジスタやデータ駆動ICに内蔵された任意の初期レジスタ値をr=1/r関係に一致させることで、目標レジスタ値を得る。この目標補正過程を通じて数式上得られた効率比例ファクター(c1)と、臨界点比例ファクター(c2)が、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の逆関数関係(r=1/r)を形成させる。以後の諸般補正は2つ伝達関数式の間の逆関数関係が確立された状態で進行される。
【0092】
伝達ファクター(c1、c2、r)は、種々の変数(例えば、製造工程、時間老化、周辺環境変化等)により各々初期基準値(目標補正ステップで任意に与えられた値)からc1A、c2A、及びrAに変わるので、目標電圧(V(n))に対応する測定輝度(L(n+1))は目標輝度(L(n))と差を見せるようになる。したがって、測定輝度(L(n+1))が目標輝度(L(n))と同一になるようにするためには、目標電圧(V(n))を補正しなければならない。この場合、本発明は目標電圧(V(n))と測定輝度(L(n+1))を用いてc1A、c2A、及び1/rAを算出し、c1A、c2A、及び1/rAと共に目標輝度(L(n))を伝達関数に適用して、変更前後において伝達ファクターの差を電圧値に換算する。ここで、rAは電圧伝達関数の変更された傾きファクターであって、測定輝度から分かる輝度伝達関数の変更された傾きファクター(1/rA)を逆算することによって容易に得られる。本発明は、換算された電圧値だけガンマレジスタを変更して補正電圧(V(n+2))を発生し、この補正電圧(V(n+2))をサブピクセルに印加して所望の目標輝度(L(n))を維持する。
【0093】
一方、目標補正の以後の諸般補正では補正電圧を求めるための伝達ファクターの算出の前にIRドロップ補正が遂行される。本発明のIRドロップ補正は、静的補正に該当する配線抵抗IRドロップ補正と、動的補正に該当するデータ変化量IRドロップ補正を全て含む。
【0094】
2.伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システム
図9は、伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システムを示す。
【0095】
図9を参照すると、本発明の実施形態に従う補正システムは、コントロールセンター10、駆動ボード20、輝度測定器30、及び有機発光ダイオード表示装置40を具備する。
【0096】
コントロールセンター10は、諸般補正(目標補正、零点補正、自動補正)のステップ別の遂行のための作業命令信号を駆動ボード20に供給するためのプロセッサー(Processor)であって、主に製造工程中ではPC(Personal Computer)で、完成品セット(Set)状態ではMCU(Micro Computer Unit)で具現できる。コントロールセンター10は製造工程だけでなく完成品出荷の後にも電圧及び輝度伝達関数を通じた補正作業が遂行できるように作業命令信号を発生して補正過程を統制する。コントロールセンター10は、輝度測定器30の動作タイミングを制御し、輝度測定のための指定されたテストパターンがOLEDパネル44に供給できるようにデータ駆動IC 42を制御し、輝度測定器30から入力される輝度測定データを駆動ボード20を通じてデータ駆動IC 42に供給する。一方、コントロールセンター10は輝度測定のための指定されたテストパターンを直接OLEDパネル44に提供することもできる。
【0097】
駆動ボード20は、第1インターフェース201、目標コードメモリ202、デフォルトコードメモリ203、信号処理センター204、PVDD/PVEE電源発生器205、IC電源発生器206、MTP電源発生器207、初期コード実行信号発生器208、伝達関数コントロールデータ伝達部209、目標値/初期コードデータ伝達部210、目標/デフォルトコードデータ伝達部211、輝度測定データ伝達部212、及び第2インターフェース213などを含む。駆動ボード20は、製造上では通常、コントロールセンター10と別途に製作されるが、完成品セット状態ではコントロールセンター10と一体にシステムボードに内蔵される。
【0098】
信号処理センター204は、コントロールセンター10の制御下にPVDD/PVEE電源発生器205、IC電源発生器206、MTP電源発生器207、初期コード実行信号発生器208、伝達関数コントロールデータ伝達部209、目標値/初期コードデータ伝達部210、目標/デフォルトコードデータ伝達部211、輝度測定データ伝達部212、目標コードメモリ202、デフォルトコードメモリ203などの動作のための信号を処理する。信号処理センター204は、コントロールセンター10から入力される輝度測定データを第2インターフェース212を介してデータ駆動IC 42に供給する。信号処理センター204は、第2インターフェース212を介して入力される目標コード及びデフォルトコードを目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納する。一方、信号処理センター204は、図9及び図10の図示とは異なり、電圧伝達関数及び輝度伝達関数を処理するための伝達関数処理部406を直接含むこともできる。この場合、信号処理センター204は、コントロールセンター10から入力される輝度測定データを自体的に処理した後、その結果に該当する目標コード及びデフォルトコードを目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納することもできる。
【0099】
PVDD/PVEE電源発生器205は、コントロールセンター10の制御下にOLEDパネル44の駆動に必要なセル駆動電圧(PVDD、PVEE)を発生する。
【0100】
IC電源発生器206は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42で必要なロジック電圧とガンマ電圧、OLEDパネルスイッチ電圧などを含んだ基本電圧を発生する。
【0101】
MTP電源発生器207は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42に内蔵されるMTP(Multi Time Programmable)メモリにMTPレジスタダウンのための指定されたタイミングに合せてMTP駆動電源を供給する。
【0102】
初期コード実行信号発生器208は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42の最初駆動時、初期レジスタ値の設定のための実行信号を発生する。この初期レジスタ値は、開発ステップで製品の特性によって求められるレジスタであって、同一システムを使用するために基本的に提供されるイニシャルコードの1つである。
【0103】
伝達関数コントロールデータ伝達部209は、コントロールセンター10から入力された伝達関数処理のためのコントロールデータをデータ駆動IC 42に伝達する。
【0104】
目標値/初期コードデータ伝達部210は、コントロールセンター10から入力された目標値と初期コードをデータ駆動IC 42に伝達する。目標値は、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)、高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)、目標輝度値、ガンマ傾き値、及びRGBWの各色座標値などを含む。
【0105】
目標/デフォルトコードデータ伝達部211は、データ駆動IC 42から入力される目標コード及びデフォルトコードを信号処理センター204を経由して目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納する。目標コードは、伝達関数式を通じて目標補正(target
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。デフォルトコードは、伝達関数式を通じて零点補正を遂行した結果によって生成されるコードである。
【0106】
第1インターフェース201はコントロールセンター10と駆動ボード20との間の信号転送を担当し、第2インターフェース213は駆動ボード20とデータ駆動IC 42との間の信号転送を担当する。
【0107】
輝度測定器30は、RGBWテストパターンに対する有機発光ダイオード表示装置40の出力輝度を測定してコントロールセンター10に供給する。コントロールセンター10は、入力を受けた輝度測定データを駆動ボード20を通じてデータ駆動IC 42に供給する。
【0108】
有機発光ダイオード表示装置40については図10乃至図22を通じて詳細に説明する。
【0109】
図10は、有機発光ダイオード表示装置40の内部構成を詳細に示す。図11a乃至図11cは、RGB別の階調電圧生成回路を示している。図12はRGB別のオフセット調整部の作用効果を示し、図13はRGB別のゲイン調整部の作用効果を示し、図14はRGB別の階調電圧調整部の作用効果を示している。
【0110】
図10を参照すると、有機発光ダイオード表示装置40は、データ駆動IC 42とOLEDパネル44を備える。
【0111】
データ駆動IC 42は、輝度測定データ入力部401、目標/デフォルトコード出力部402、目標値/初期コードデータ入力部403、伝達関数コントロールデータ入力部404、初期コード実行部405、伝達関数処理部406、初期コードデータメモリ406、目標/デフォルトレジスタメモリ408、自動/寿命レジスタMTPメモリ409、基準電源電流値MTPメモリ410、RGBパターン発生部411、IC駆動電源発生部412、PVDD電源電流検出部413、温度検出部414、光漏洩電流検出部415、階調電圧発生回路、IRドロップ補償部421、デコーダセレクター422R、422G、422B、出力バッファー423などを含む。
【0112】
輝度測定データ入力部401は、駆動ボード20から入力される輝度測定データを処理して伝達関数処理部406に供給する。
【0113】
目標/デフォルトコードデータ出力部402は、伝達関数処理部406から目標コードデータとデフォルトコードデータの入力を受けて、この目標コードデータ及びデフォルトコードデータを駆動ボード20に供給する。
【0114】
目標値/初期コードデータ入力部403は、駆動ボード20から入力される目標輝度データと初期コードデータを伝達関数処理部406に供給する。
【0115】
伝達関数コントロールデータ入力部404は、駆動ボード20から入力される伝達関数コントロールデータをデータ駆動IC 42に供給する。
【0116】
初期コード実行部405は、駆動ボード20から入力される初期コードデータを実行してデータ駆動IC 42の初期レジスタ値を設定する。OLEDパネル44を初期駆動するための各種電圧、解像度、駆動タイミング、ガンマ抵抗設定値等は、初期レジスタ値によりセッティングされる。
【0117】
伝達関数処理部406は、電圧伝達関数及び輝度伝達関数を処理するための伝達関数アルゴリズムをロジック回路として含んでコントロールセンター10が指し示すステップによって諸般補正のための演算過程を遂行する。伝達関数処理部406は、目標補正、零点補正、自動補正、及び寿命補正のために、伝達関数アルゴリズムを実行して伝達ファクター(効率比例ファクター、臨界点比例ファクター、傾きファクター)を算出し、その算出結果を用いた伝達関数演算を通じて補正すべき電圧差を導出し、導出された電圧差に対応してRGBガンマレジスタの設定値を変更する。伝達関数処理部406は、環境補正時、伝達関数アルゴリズムを実行してガンマ電源電圧のレベルを調整するためのダイナミックレジスタの設定値を変更する。伝達関数処理部406は、図18乃至図21のような静的IRドロップ補償動作を遂行する。一方、伝達関数処理部406は、図10の図示とは異なり、駆動ボード20の信号処理センター204に内蔵されることもできる。
【0118】
初期コードデータメモリ406は、目標値/初期コードデータ入力部404を通じて入力される初期コードデータを格納する。
【0119】
目標/デフォルトレジスタメモリ408は、伝達関数処理部406での目標補正及び零点補正の遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタに対応する目標レジスタ及びデフォルトレジスタを順次に格納する。
【0120】
自動/寿命レジスタMTPメモリ409は、伝達関数処理部406での自動補正遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタ値を自動レジスタにして格納し、寿命補正遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタ値を寿命レジスタにして格納する。
【0121】
基準電源電流値MTPメモリ410は、零点補正時、RGBW別に8個の階調パターンの各々に対して設定される輝度−電流割合値を格納する。輝度−電流割合値はPVDD電源電流検出部413で設定される。
【0122】
RGBパターン発生部411は、コントロールセンター10の制御下に諸般補正(零点補正、自動補正、寿命補正等)で使われるテストパターンを作ったり、あるいはコントロールセンター10からテストパターンの提供を受けた後、このテストパターンをOLEDパネル44に印加する。テストパターンは、各階調間の電圧−輝度連結点で輝度測定に用いられるデータを指し示す。
【0123】
IC駆動電源発生部412は、駆動ボード20から入力されるIC電源発生器206の電圧をレベルシフティングして階調電圧発生回路のガンマ抵抗を駆動させるための高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を発生する。
【0124】
PVDD電源電流検出部413は寿命補正のためのものである。寿命補正は、寿命減少に従う電流変動差を輝度差に換算するためのものであって、零点調整時、各階調間の目標輝度で高電位セル駆動電圧(PVDD)の供給配線に流れる電流値に基づいて基準電源電流値MTPメモリ410に輝度−電流割合値を格納した後、寿命減少により輝度が減少すれば、各階調で抵抗上昇による電流減少分をセンシングする。本発明は、寿命減少による電流減少分だけの電圧を上昇させて供給配線に流れる電流を零点補正時の基準電流値に一致させる。PVDD電源電流検出部413の詳細構成については図15で後述する。
【0125】
温度検出部414及び光漏洩電流検出部415は環境補正のためのものである。環境補正のうち、温度補正は外部的な影響による周辺温度変化と内部的な影響による動作温度変化に対処するためのものであって、周辺温度変化は初期基準点設定時に殆ど反映されて大きい変化を有しないが、内部動作の変化は動作時間の経過に比例して持続的に上昇するようになる。温度検出部414は、データ駆動IC 42の内部に位置してOLEDパネル44の直接放熱部位でデータ駆動IC 42に伝達される熱を感知するので、即刻的で、敏感な増減よりは、持続的で、全体的な温度変化を検出することに容易である。本願の温度補正は、温度上昇時、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を上昇させて(P−type
LTPSバックプレーンの場合)全体消費電力を減らすことで、内部的に発生する熱を緩やかで、かつ持続的な補正に縮める。一方、温度補正により全体電源の大きさが減るにつれて臨界点が低くなることがあるので、温度補正時には臨界点補正を併行することが好ましい。
【0126】
光漏洩電流の補正は、光や温度上昇によるバックプレーンの駆動素子で臨界点上昇による低輝度データの損失を防ぐための補正である。光漏洩電流が上昇するだけ臨界点の下落が発生するので( P−type)、光漏洩電流の補正は電圧伝達曲線の低輝度電圧である高電位ガンマ電源電圧(VDDH)を低めることで、全体の電圧曲線のサイズを低める。光漏洩電流の補正は、急激な変動よりは緩やかで、かつ持続的な変動を要する補正である。光漏洩電流は、ディスプレイの内部光より外部周辺光と内部温度により大きい影響を受けるので、光漏洩電流検出部415は、持続的な変化を検出できるようにデータ駆動IC 42の内に位置することが好ましい。
【0127】
このような環境補正のためには、環境要因検出による環境補正対応速度と検出感度、及び電圧補正の最高及び最低値の制限点が予め設定される必要がある。温度検出部414及び光漏洩電流検出部415については図16及び図17の説明で後述する。
【0128】
階調電圧発生回路は、補正遂行結果に従うRGBガンマレジスタの設定値が変更されるか、または、ダイナミックレジスタの設定値が変更される場合、それに相応して階調電圧を変更させる。階調電圧発生回路は、DY1調整部416、Rガンマ調整部417R、418R、419R、Gガンマ調整部417G、418G、419G、Bガンマ調整部417B、418B、419B、及びDY2調整部420を含む。
【0129】
DY1調整部416は、図11a乃至図11cのように、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力端に接続された第1ダイナミック抵抗DY−1と第1ダイナミックレジスタRG1を含み、第1ダイナミックレジスタRG1に従う第1ダイナミック抵抗DY−1の抵抗値の変更に応答して高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する。
【0130】
DY2調整部420は、図11a乃至図11cのように、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力端に接続された第2ダイナミック抵抗DY−2と第2ダイナミックレジスタRG12を含み、第2ダイナミックレジスタRG12に従う第2ダイナミック抵抗DY−2の抵抗値の変更に応答して低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する。
【0131】
Rガンマ調整部417R、418R、419Rは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたRオフセット調整部417R、Rガンマ電圧調整部418R、Rゲイン調整部419Rを含む。
【0132】
Rオフセット調整部417Rは、図11aのように、Rオフセット抵抗VR1−RとRオフセットレジスタRG2を含み、RオフセットレジスタRG2に従うRオフセット抵抗VR1−Rの抵抗値の変更に応答して、図12のように、電圧伝達関数のオフセット(b)と輝度伝達関数のオフセット(B)を調整する。
【0133】
Rゲイン調整部419Rは、図11aのように、Rゲイン抵抗VR2−RとRゲインレジスタRG11を含み、RゲインレジスタRG11に従うRゲイン抵抗VR2−Rの抵抗値の変更に応答して、図13のように、電圧伝達関数の振幅(a)と輝度伝達関数の振幅(A)を調整する。
【0134】
Rガンマ電圧調整部418Rは、図11aのように、Rオフセット調整部417RとRゲイン調整部419Rとの間に接続された多数のR傾き可変抵抗R1−R〜R8−RとRガンマレジスタRG3〜RG10を含む。RガンマレジスタRG3〜RG10は、ガンマ傾き調整レジスタで、8ポイントでガンマ基準電圧(V0、V10、V36、V80、V124、V168、V212、V255)のレベルを調整する。Rガンマ電圧調整部418Rは、RガンマレジスタRG3〜RG10に従うR傾き可変抵抗R1−R〜R8−Rの抵抗値の変更に応答して、図14のように、電圧伝達関数の傾き(r)と輝度伝達関数の傾き(1/r)を調整する。Rガンマ電圧調整部418Rは、傾きが調整されたガンマ基準電圧(V0、V10、V36、V80、V124、V168、V212、V255)を内部的に指定されたガンマ分圧抵抗(図示せず)を通じて追加的に分圧して最終ガンマ電圧(V0、V1、V2、…V254、V255)を出力する。
【0135】
Gガンマ調整部417G、418G、419Gは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたGオフセット調整部417G、Gガンマ電圧調整部418G、Gゲイン調整部419Gを含む。図11bのGガンマ調整部417G、418G、419Gの構成は、前述したRガンマ調整部と実質的に類似するので、
詳細な説明は省略する。
【0136】
Bガンマ調整部417B、418B、419Bは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたBオフセット調整部417B、Bガンマ電圧調整部418B、及びBゲイン調整部419Bを含む。図11cのBガンマ調整部417B、418B、419Bの構成は、前述したRガンマ調整部と実質的に類似するので、詳細な説明は省略する。
【0137】
IRドロップ補償部421は、データ変動量に従う動的IRドロップを補償するためのものである。IRドロップ補償部421は、位置別の配線抵抗差に従う静的IRドロップが補償された全サブピクセルの数だけのデジタルビデオデータの入力を受けて動的IRドロップを補償した後、デコーダセレクター422R、422G、422Bに供給したり、または、RGBテストパターンであるデジタルビデオデータの入力を受けてデコーダセレクター422R、422G、422Bに供給する。IRドロップ補償部421については図22の説明で後述する。
【0138】
デコーダセレクター422R、422G、422Bは、Rデコーダセレクター422R、Gデコーダセレクター422G、及びBデコーダセレクター422Bを含む。Rデコーダセレクター422Rは、IRドロップ補償部421から入力されるRデジタルデータをRガンマ電圧調整部418Rから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をRデータ電圧で発生する。Gデコーダセレクター422Gは、IRドロップ補償部421から入力されるGデジタルデータをGガンマ電圧調整部418Gから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をGデータ電圧で発生する。同様に、Bデコーダセレクター422Bは、IRドロップ補償部421から入力されるBデジタルデータをB階調電圧調整部418Bから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をBデータ電圧として発生する。
【0139】
出力バッファー423は、RGBデータ電圧の出力を安定化させた後、OLEDパネル44のデータライン(DL)に供給する。
【0140】
OLEDパネル44は、画像表示のための表示パネルとして機能する。OLEDパネル44は、有効表示領域に形成されるセルアレイと、有効表示領域の外側の非表示領域に形成されるゲート駆動回路43を含むことができる。セルアレイは、図3で説明したものと実質的に同一である。ゲート駆動回路43は、セル内のスイッチTFT(ST)をターンオンさせるためのゲートハイ電圧とスイッチTFT(ST)をターンオフさせるためのゲートロー電圧との間でスイングされるスキャンパルスを発生する。そして、このスキャンパルスをゲートライン(GL)に供給してゲートライン(GL)を順次的に駆動させることによって、データ電圧が供給されるセルアレイの水平ラインを選択する。ゲート駆動回路43は、図示したように、GIP(gate driver IC in panel)方式によってOLEDパネル44の内に形成されることもできる。また、ゲート駆動回路43は、図32のような大面積OLEDパネル44の場合、TAB(tape automated bonding)工程を通じてOLEDパネル44の外部でゲートラインに連結されることもできる。
【0141】
図15は、PVDD電源電流検出部413の細部構成を示す。
【0142】
図15を参照すると、PVDD電源電流検出部413は寿命補正のためのものであって、ピクセル駆動電源発生部43からOLEDパネル44に印加される高電位セル駆動電圧(PVDD)の変化をセンシングする。このために、PVDD電源電流検出部413は、高電位セル駆動電圧(PVDD)の供給配線に流れる電流をセンシングする比較部413A、比較部413Aからのセンシング電流をアナログ−デジタル変換するADC 413Bを含む。図15で、PVDD’は変化された高電位ピクセル駆動電圧を、Rsは電流センシングのためのセンシング抵抗を各々指し示す。伝達関数処理部406は、指定されたテストパターンにより指定された輝度が発揮されるように調整される零点補正ステップで、ADC 413Bから入力される検出電源電流値を基準電源電流値にして基準電源電流値MTPメモリ410に予め格納する。そして、伝達関数処理部406は、寿命補正時、基準電源電流値MTPメモリ410に既格納された輝度−電流割合値を参照にして指定されたテストパターンによりADC 413Bから入力される検出電源電流値に対応する輝度値を導出する。そして、伝達関数処理部406は、コントロールセンター10からの命令信号に応答して導出された輝度値に基づいて寿命補正のためにRGB別にセル駆動電圧のレジスタ抵抗値を変更する。
【0143】
図16は、温度検出部414の細部構成を示す。
【0144】
図16を参照すると、温度検出部414は周辺温度変更により駆動条件が変更されることを補正するためのものであって、センシングされた温度を指定された初期値と比較し、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。このために、温度検出部414は、温度センシング部414A、スイッチング部414B、第1のADC414C、温度信号メモリ414D、第2のADC
414E、及び比較部414Fを含む。
【0145】
温度センシング部414Aは、温度センサーを含んで有機発光ダイオード表示装置40の温度をセンシングする。スイッチング部414Bは、有機発光ダイオード表示装置40が定常駆動された以後の所定時間の間ターンオンされて温度センシング部414Aから入力される温度センシング値を基準温度値にして第1のADC 414Cに供給する。ここで、所定時間の開始時点と期間は必要によって変更されることができ、伝達関数処理部406により統制されることが好ましい。第1のADC
414Cは、基準温度値をアナログ−デジタル変換して温度信号メモリ414Dに格納する。第2のADC
414Eは、温度センシング部414Aから続けて入力される温度センシング値を現在温度値にしてアナログ−デジタル変換する。必要によって第1のADC 414Cと第2のADC 414Eは、1つのADCとこのADCの出力をスイッチングするための1つのスイッチに取替できる。比較部414Fは基準温度値と現在温度値とを比較した後、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。すると、伝達関数処理部406はコントロールセンター10からの命令信号に応答してDY2調整部420を制御して低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する。
【0146】
長時間使用に従う内部温度や周辺温度によって伝達関数ファクターが変わって出力輝度が変更された場合、このような低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベル調整により目標輝度への補正が可能になる。温度上昇は、発光効率及び消費電力を上昇させ、使用寿命を減少させる。これを補正するために、ガンマ抵抗曲線の全体的な特性形態を維持しながら低電位ガンマ電源の大きさを高めれば(言い換えると、電圧差の大きさを縮めれば)、消費される電流量が減少して温度が基準点に落ちて、定常使用寿命が増える。基準点には定常動作時間での周辺温度による影響と基本的な動作で発生する自体発熱量が反映されている。
【0147】
図17は、光漏洩電流検出部415の細部構成を示す。
【0148】
図17を参照すると、光漏洩電流検出部415は、OLEDパネル44の駆動TFT(DT)で発生する光漏洩電流によるオフカレントによって低階調具現できないことを補償するためのものであって、センシングされた光漏洩電流を初期値と比較し、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。このために、光漏洩電流検出部415は、光漏洩電流センシング部415A、スイッチング部415B、第1のADC
415C、光漏洩電流メモリ415D、第2のADC 415E、及び比較部415Fを含む。
【0149】
光漏洩電流センシング部415Aは、電流センサー(L)を含んで駆動TFT(DT)の光漏洩電流をセンシングする。スイッチング部415Bは、有機発光ダイオード表示装置40が定常駆動された以後の所定時間の間ターンオンされて光漏洩電流センシング部415Aから入力される光漏洩電流センシング値を基準漏洩電流値にして第1のADC
415Cに供給する。ここで、所定時間の開始時点と期間は必要によって変更されることができ、伝達関数処理部406により統制されることが好ましい。第1のADC
415Cは、基準漏洩電流値をアナログ−デジタル変換して光漏洩電流メモリ415Dに格納する。第2のADC 415Eは、光漏洩電流センシング部415Aから続けて入力される光漏洩電流センシング値を現在漏洩電流値にしてアナログ−デジタル変換する。必要によって、第1のADC 415Cと第2のADC 415Eは、1つのADCとこのADCの出力をスイッチングするための1つのスイッチに取替できる。比較部415Fは、基準漏洩電流値と現在漏洩電流値とを比較した後、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。すると、伝達関数処理部406は、コントロールセンター10からの命令信号に応答してDY1調整部417を制御して高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する。光漏洩電流によって臨界点付近の低階調表現が正しくない場合、このような高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベル調整により動作電流の臨界点付近電圧が変更されるため、低階調表現が可能になる。光漏洩電流に対する補正の主な目的は、外部光や動作温度上昇による臨界点の下落による低輝度表示損失を防止するために、全体ガンマ抵抗による電圧関係や特性はそのまま維持しながら臨界電圧を低めようとするものである(P−typeに該当する)。
【0150】
図18は、電源供給配線の位置別の抵抗差による静的IRドロップが発生する原因を示す。
【0151】
OLEDパネルに形成されたピクセル駆動電圧の供給配線には、図18のように、配線抵抗(RD1、RD2、RD3、RE1、RE2、RE3)が存在する。このような配線抵抗(RD1、RD2、RD3、RE1、RE2、RE3)は、静的IRドロップの発生の原因となる。零点、自動、寿命補正ステップでのガンマ補正時には、RGBデータが最大であるホワイト状態で配線抵抗による静的IRドロップのみを対象にする。
【0152】
効率比例ファクター(c1)には、前述したように、入力電圧と出力輝度との間の全ての変更ファクターが総合的に含まれている。同一な入力電圧に対して発生する静的IRドロップは効率比例ファクター(c1)に含まれ、静的IRドロップにより発生する出力輝度変化は各階調別の効率比例ファクター(c1)の変化と比例関係を有するようになる。RGBが単独で駆動される時の静的IRドロップと、RGBが同時に駆動される時の静的IRドロップは、同一電圧条件で得られた結果であるので、互いに比例する。効率比例ファクター(c1)の比例関係を輝度測定により各階調別に求めると、効率比例ファクター(c1)が結局、静的IRドロップの比例関係に使われることができる。単独RGB駆動と同時RGB駆動との比例関係によって最大IRドロップが求められ、この最大IRドロップが配線抵抗による静的IRドロップとして、零点、自動、寿命補正ステップでのガンマ補正時に反映される。但し、RGB相互間のデータ変動量による動的IRドロップは、入力データに対する分析結果に基づいて求められ、これは図10のIRドロップ補償部421によりリアルタイムに入力データに反映される。
【0153】
図19は、静的IRドロップにより発生する各色相別及び階調別のIRドロップ量と、ホワイトバランス適用時に考慮しなければならないW、R、G、Bで輝度が静的IRドロップにより減少することを示している。図20は、ホワイト状態の静的IRドロップでRGB別の静的IRドロップ割合を算出するためのIRドロップ伝達ファクターを求めることを示している。そして、図21は、IRドロップ伝達ファクターによる割合で、ホワイト輝度で発生した全体静的IRドロップを各RGB別及び各階調別に求める方法を示す。
【0154】
図19乃至図21を参照すると、n階調で、理論的なホワイト輝度(W_SUM(n))は、単独駆動時のRの輝度(LR(n))、単独駆動時のGの輝度(LG(n))、及び単独駆動時のBの輝度(LB(n))の各々の輝度の和として定義され、実際ホワイト輝度(LW(n))はRGB同時駆動時の輝度であって、理論的なホワイト輝度(W_SUM(n))より小さい。したがって、ホワイトIRドロップ輝度量(IR_W(n))はW_SUM(n)−LW(n)となる。
【0155】
ホワイト具現時のRの輝度(IR_RED(n))は、単独駆動時のRの輝度(LR(n))でホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分(IR_R(n))を引いた値(LR(n)−(IR_R(n)))となる。前述した比例関係によって、静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分(IR_R(n))はIR_W(n)*{c1R(n)/(c1R(n)+c1G(n)+c1B(n))}のように求められる。
【0156】
ホワイト具現時のGの輝度(IR_GREEN(n))は、単独駆動時のGの輝度(LG(n))からホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分(IR_G(n))を引いた値(LG(n)−(IR_G(n)))となる。静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分(IR_G(n))は、IR_W(n)*{c1G(n)/(c1R(n)+c1G(n)+c1B(n))}のように求められる。
【0157】
ホワイト具現時のBの輝度(IR_BLUE)は、単独駆動時のBの輝度(LB(n))からホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分(IR_B(n))を引いた値(LB(n)−(IR_B(n))となる。静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分(IR_B(n))は、IR_W(n)*{c1B/(c1R+c1G+c1B)}のように求められる。
【0158】
前述した内容を整理すれば、下記の<数式9>の通りである。
【0159】
[数9]
IR_W(n) = W_SUM(n) - LW(n),
W_SUM(n) = LR(n)+LG(n)+LB(n),
IR_RED(n) = LR(n) - IR_R(n),
IR_GREEN(n) = LG(n) - IR_G(n),
IR_BLUE(n) = LB(n) - IR_B(n),
IR_R(n) = IR_W(n) * c1R(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
IR_G(n) = IR_W(n) * c1G(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
IR_B(n) = IR_W(n) * c1B(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
c1R(n) = LR(n) / VR(n),
c1G(n) = LG(n) / VG(n),
c1B(n) = LB(n) / VB(n)
【0160】
<数式9>で、nは0〜255間の階調を、IR_W(n)はn階調でホワイトの静的IRドロップ輝度量を、W_SUM(n)はn階調で理論的なホワイト輝度を、LW(n)はn階調で実際ホワイト輝度を、LR(n)はn階調でRの単独輝度を、LG(n)はn階調でGの単独輝度を、LB(n)はn階調でBの単独輝度を、IR_R(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分を、IR_G(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分を、IR_B(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分を、c1R(n)はn階調でRの静的IRドロップ効率比例ファクターを、c1G(n)はn階調でGの静的IRドロップ効率比例ファクターを、c1B(n)はn階調でBの静的IRドロップ効率比例ファクターを、VR(n)はn階調でRの駆動電圧を、VG(n)はn階調でGの駆動電圧を、VB(n)はn階調でBの駆動電圧を各々指し示す。
【0161】
<数式9>のように、n階調でW_SUM(n)とLW(n)を求めた後、その差を計算すれば、RGBが同一な輝度で最大静的IRドロップであるIR_W(n)を求めることができる。最大静的IRドロップが発生する場合は、各階調でRGBデータが同一な割合で含まれて全体的にホワイトデータが印加される状態である。計算の便宜上、nは256階調のうち、代表変曲点である8階調ポイントのみを対象にすることができる。
【0162】
最大IR_W(n)量に対するRGB配線の寄与度を求めるには、各階調でRGBの各々の静的IRドロップ効率ファクターであるc1R、c1G、c1Bを求めて、静的IRドロップされるIR_W(n)のうち、RGBの各々の寄与度であるc1R/(c1R+c1G+c1B)、c1G/(c1R+c1G+c1B)、及びc1B/(c1R+c1G+c1B)を求めればよい。図10の伝達関数処理部406は、図20と同一な方法によりRGBの各々の8個の階調ポイントのみを対象に、電圧−輝度の間の静的IRドロップ効率比例ファクター(c1R(n)、c1G(n)、c1B(n))を求めることができる。<数式9>の静的IRドロップ効率比例ファクターは、<数式5>で、輝度値(A+B)をガンマ電圧(a)で割った値に簡略化したものである。初期状態で、電源電圧(V、V1)は固定されるので、定数として取り扱われる。
【0163】
図20のような方法により得られた静的IRドロップ効率比例ファクターで、図21のような過程を経れば、各階調で静的IRドロップ補正のためのガンマレジスタ値が算出される。このレジスタ値はガンマ階調電圧調整に使われる。
【0164】
図22は、データ変化量による動的IRドロップを補正するための図10のIRドロップ補償部421の構成を詳細に示す。
【0165】
図22を参照すると、IRドロップ補償部421は、水平(または、垂直)ライン別に入力デジタルビデオデータの階調値を分析して、入力画像が動的なIRドロップを主に発生させる低階調背景画面に高階調特定パターンが存在する場合に該当されるかを判断する。そして、IRドロップ補償部421は、入力画像が動的なIRドロップを発生させるケースに該当されれば、動的IRドロップ量だけ入力データを補償して出力し、そうでなければ、入力データをバイパスさせる。
【0166】
このために、IRドロップ補償部421は、階調検出部421A、第1ラッチ421B、第2ラッチ421C、データ補償部421D、及びレベルシフター421Eなどを含む。
【0167】
階調検出部421Aは、各サブピクセル別に入力される8ビット2進数デジタルビデオデータ(Ri、Gi、Bi)を10進数に変換して、256階調のうちの該当階調で表現することによって、水平(または、垂直)ライン全体のデータに対する階調値を求める。そして、階調検出部421Aは、各水平(または、垂直)ラインでの階調別の占有個数と階調別の輝度差などに基づいてクロストークを誘発する階調を分析し、クロストーク発生階調のデータ量による動的IRドロップ量を算出する。階調検出部421Aは、図10の伝達関数処理部406から水平(または、垂直)ライン階調の検出するか否かに対する指示、動的IRドロップ量の算出のための基準レベルなどを入力を受けることができる。
【0168】
第1ラッチ421Bは、各サブピクセル単位で入力される入力デジタルビデオデータ(Ri、Gi、Bi)をサンプリングし、そのデータを1水平ライン分ずつラッチした後、1水平ライン分のデータを同時に出力する。
【0169】
第2ラッチ421Cは、第1ラッチ421Bから入力される1水平ライン分のデータを1水平ライン周期でラッチした後、出力する。
【0170】
データ補償部421Dは、階調検出部421Aから入力される検出情報、即ちクロストーク発生階調とその階調のデータ量による動的IRドロップ量に基づいて実際補償しなければならない輝度差による電圧量を2進数補償データで発生し、この補償データを第2ラッチ421Cから入力されるデータに加算して動的IRドロップを補償する。補償データは、各水平(あるいは、垂直)ライン分に該当するデータに一律的に加算されることもでき、クロストークが大きく発生する特定低輝度データのみに選別的に加算されることもできる。
【0171】
レベルシフター421Eは、データ補償部421Dから入力される動的IRドロップが補償されたデジタルビデオデータをレベルシフティングした後、図10のデコーダセレクター422R、422G、422Bに供給する。レベルシフティングの目的は、デコーダセレクター422R、422G、422Bの動作に適正な電圧レベルに変換するためである。
【0172】
水平ライン別の動的IRドロップを適用するために、IRドロップ補償部421は、毎入力データをリアルタイム階調データに変換し、1ラインずつ分析が完了して補償値が決定されれば、第2ラッチ421Cが実行された後、1ライン全体に対する補償値を1水平ライン分のデータに適用する。但し、垂直ライン別の動的IRドロップを適用するためには、1フレームのデータ分析期間がかかるので、IRドロップ補償部421はフレームメモリを更に含んで現在垂直ラインデータを分析した後、次のフレームに適用することもできる。但し、垂直ライン補償のためにフレームメモリを使用せず、単に現在フレームを分析して次のフレームに適用しても画面が毎フレーム単位で新たな画面に変わらないので、使用上、全く問題とならない。
【0173】
このように、IRドロップ補償部421は、入力される各サブピクセルの2進データを10進階調レベルに変換及び分析した後、クロストークレベルのデータを検出して補償程度を判断した後、補償程度に合う階調補償値を入力データに加算することによって、動的IRドロップをリアルタイム補償することができる。IRドロップ補償部421の動作は、図10のように、データ駆動IC 42に内蔵されて遂行されることもできる。但し、静的IRドロップによるガンマ階調調整がなされた状態であれば、IRドロップ補償部421の動作はコントロールセンター10によって処理されることもできる。一方、IRドロップ補償部421は、論理回路構成上、2進数データを10進数階調に変換せず、2進数そのものの階調情報で階調を把握することもできる。
【0174】
3.伝達関数のファクター値の調整による具体的な補正方法
図23乃至図25は、本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値の調整による具体的な補正方法を概略的に示す。
【0175】
本発明の実施形態に従う補正方法は、製品完成前に遂行される補正と、完成品出荷後に遂行される補正を含む。製品完成前に遂行される補正は、図19のように、目標コードを生成するための目標補正ステップ(S100)、デフォルトコードを生成するための零点補正ステップ(S200)、及び自動レジスタでRGBガンマレジスタをアップデートするための自動補正ステップ(S300)を含む。そして、完成品出荷後に遂行される補正は、図20のように、寿命レジスタでRGBガンマレジスタをアップデートするための寿命補正ステップ(S400)と、図21のように、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を調整するための環境補正ステップ(S500)を含む。
【0176】
目標補正(Target
calibration)は、初期レジスタを用いて補正の基準となる目標輝度値を設定し、任意の目標電圧条件(開発ステップで確定された条件)によって目標輝度値と伝達関数との相関関係を定立する過程である。目標補正は、目標輝度値と任意の目標電圧条件に基づいて計算された目標補正伝達ファクターによりRGB別に8ポイントの階調レベルの各々に対して目標レジスタを求める。目標レジスタは、開発ステップで確保された初期レジスタ設定値、任意の目標電圧条件、目標ホワイト輝度、目標ホワイト色座標、及び発光有機材料の固有特性であるR(x、y)、G(x、y)、B(x、y)の色座標に基づいて求められる。この目標レジスタにより電圧及び輝度伝達関数は相関関係を有する。目標レジスタは、以後の零点補正ステップで実際環境に合う零点補正伝達ファクターを求めるための基準レジスタとして使われる。補正マージンを考慮する時、任意の電圧目標条件は開発ステップで、できる限り、零点補正に近似した条件に設定されることが好ましい。目標補正のための目標条件設定時には、ホワイトバランス補正を遂行してホワイト(W)を目標RGB輝度値に算出することが必要である。ここで、目標条件は目標電圧条件と目標輝度条件を含む。目標電圧条件は開発時確定されるものであって、データ駆動ICのガンマ電源電圧(VDDH、VDDL)、セル駆動電圧(PVDD、PVEE)、初期ガンマレジスタ値、及びRGB材料色座標値を含む。目標輝度条件は製品スペックによって決まるものであって、目標最高ホワイト輝度、及びホワイト色座標を含む。目標補正ステップでは実測データでない理論的なデータであるので、IRドロップが発生しないので、IRドロップを補正に考慮する必要がない。このような目標補正は、一般的に新たな製品のスペックが決定されて新規製品の生産が開始される場合、または電源電圧や目標輝度に関連した特性が変わる場合に主に使われる。即ち、目標補正は製品の目標やデータ駆動ICのガンマ電源電圧、セル駆動電圧などが変わる場合に遂行される。
【0177】
零点補正(Zero calibration)は、目標補正の結果として得られる目標レジスタを実際製品に印加して得られた測定輝度値で零点補正伝達ファクターを求めた後、その零点補正伝達ファクターと目標輝度値で補償電圧を求める過程で、実際製造環境と目標輝度値とを調整一致させるステップである。言い換えると、零点補正は、目標補正と同一な電圧条件及びレジスタによって得られる実測輝度を用いて零点補正伝達ファクターを求めて、輝度伝達関数式に目標輝度値と零点補正伝達ファクターを適用して目標補正伝達ファクターと零点補正伝達ファクターの差だけを補正電圧で算出するステップである。零点補正により、実測輝度は目標輝度に補正される。零点補正は、目標補正が遂行された後に遂行されることが一般的であるが、電源電圧や目標輝度に関連した特性は変わらず、材料の特性、ピクセルの構造などのみ変更された場合には独自的に遂行されることもできる。同一なスペックの製品であっても、生産時に製造特性が大きく変わる場合、零点補正を通じて、先に再調整過程を遂行すれば、以後、自動補正にかかる時間が短縮され、また自動補正の正確度が高まる。零点補正の結果、RGB別に8ポイントの階調レベルの各々に対して得られるデフォルトレジスタは、駆動ボードに格納されて同一な材料特性や構造特性を有する生産ラインに基準レジスタとして使われる。
【0178】
自動補正(Auto
Calibration)は、製造工程偏差を追加補正するために零点補正の以後に遂行されるステップである。自動補正は、製品量産ステップに適用されるので、最短時間内になされなければならない。自動補正は、零点補正と同一な過程で遂行される。量産ステップでは、伝達ファクターの差が比較的小さいので、自動補正は伝達ファクターの変動が予想される重要な部分に対してのみ補正を遂行して補正時間を短縮させる。必ず補正が必要な部分は、最大輝度、傾き輝度(中間階調輝度のうち、変曲点の大きい部分の1点)、臨界点輝度を含んだ3ポイントである。RGB別に3ポイントの階調レベルの各々に対するデータのみ確保されれば、伝達関数式により輝度値や電圧値が算出できる。但し、量産ステップでは工程が比較的安定的であるので、RGB間の傾き輝度の差は大きくない。したがって、傾き輝度はRGBのうちのいずれか1つに単純化できる。
【0179】
また、自動補正は臨界輝度のレベルを最低点より高く設定することによって、LTPSバックプレーンの最大問題である臨界点不均一による製品間の偏差の影響を考慮する必要無しで、有効使用輝度中心の補正を遂行することができる。自動補正は、臨界点設定時、実際の臨界点より高く、光輝度が安定した部分を、臨界点、傾き点に設定する。そして、自動補正は設定された臨界点の以下の不安定な輝度偏差、及びLTPSバックプレーンの臨界点不均一部分に対しては輝度伝達関数式により計算式で求めて伝達関数アルゴリズムに適用する。このようにすれば、臨界点付近の不安定な輝度特性曲線に依存せず、全体輝度特性曲線で求められる安定した目標輝度値が臨界点付近に適用できるので、常に電圧伝達関数は安定した全体特性に基づいた駆動電圧条件を提供できるようになる。前述した図6を参照すると、有効使用輝度の下の低輝度区間で臨界輝度“B”は、目標輝度設定時、ホワイトバランス補正ステップで求められるRGB間の輝度割合による最低輝度に算出されたことが分かる。
【0180】
寿命補正(Aging Calibration)は、使用時間の経過に従うRGBの各材料の効率減少によって全体輝度が減少したり、ホワイトバランスがずれて色相が変更されることを初期状態に補正するステップである。ホワイトバランスが破られる理由は、使用時間の経過によってRGBの各々の抵抗値の上昇と発光輝度低下現象が発生する時、RGBの各々の劣化程度が変わるためである。寿命補正は、完成品出荷後に製品の各々に単独に適用される過程で、既格納されていた自動補正の結果、レジスタ(自動レジスタ)を基準に寿命によりずれた伝達ファクターの差を電圧として補正する。寿命補正は、零点補正時、確保した電流量基準値(輝度−電流割合値)を参照にして寿命減少に従う電流の相対的な減少量を導出及び輝度割合で換算した後、これに基づいてRGB別にセル駆動電圧のレジスタ抵抗値を変更する。電流量の差は輝度量の差と比例関係があるので、電流量の差を輝度量の差に切り換えれば、輝度測定器の使用がなくても電流量測定によって補正遂行が可能である。但し、このためには零点補正ステップで電流量基準値が格納されなければならない。寿命補正は、故障修理時、再補正を行なう場合にも同一に適用できる。寿命補正は、RGB別の寿命差によるホワイトバランスのずれをユーザが任意の時間に再調整できる方法である。
【0181】
環境補正(Environment Calibration)は、周辺温度変更及び光漏洩電流により定常駆動条件が変更されることを補正するものであって、周辺環境条件をセンシングして変更された駆動条件を初期指定された時間の定常駆動条件と同一に一致させるものである。環境補正は、温度補正と光漏洩電流補正とに分けられる。
【0182】
温度補正は、動作温度及び周辺温度による伝達ファクターの変更により輝度が変わることを一定に維持させるために遂行される。温度変化は効率変化を、効率変化は抵抗変化を、抵抗変化は駆動電流の変化をもたらす。そして、駆動電流の変化は輝度の変化をもたらす。したがって、温度変化と輝度変化は伝達関数的な比例関係がある。温度補正は、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを温度によって増減させて伝達ファクターの変化を防止することが核心である。温度補正は、伝達ファクターが温度上昇によって持続的に上昇することによってもたらされる寿命減少と輝度量増加を防いだり、周辺温度減少による伝達ファクターの差により輝度が減少することを防止する。温度補正は、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の調節を通じて温度上昇による動作活性化により有機膜材質の寿命減少が加速化することを防止することができ、温度上昇に従う駆動電流の増加を抑制して駆動電流量を初期値に維持させることができる。
【0183】
光漏洩電流補正は、オフカレントの上昇により低階調輝度点の動作ができないことを補償するための方法として使われる。オフカレントは周辺光の影響によりバックプレーンの駆動TFTで発生する光漏洩電流により発生する。通常、光漏洩電流によって臨界点付近の動作時、正しい低階調表現が困難である。この際、光漏洩電流が発生するだけ、動作電流の臨界点付近電圧(即ち、高電位ガンマ電源電圧(VDDH))を変更すれば、正確な低階調表現が可能になる。
【0184】
一方、本発明の補正方法は、ホワイトバランス補正(White
Balance Calibration)とIRドロップ補正(IR Drop Calibration)を更に含む。
【0185】
ホワイトバランス補正は、主に目標補正過程で具体的に遂行され、零点補正、自動補正、及び寿命補正の過程では、RGB目標輝度に実測輝度を一致させることによって、ホワイトバランスを補正状態に維持させる。伝達関数で処理される情報は、RGBの3色のみに関連したものであるが、実際の製品にはRGB組合が1つの色相として使われる。この過程で、3色の割合によって色組合結果が変わり、特にホワイトで色組合の差が明確に表れるので、3色補正のための伝達関数適用時にはホワイトバランスが考慮されなければならない。
【0186】
ホワイトバランス補正は、ホワイトバランス過程及びIRドロップ補正過程に、目標値ホワイト輝度、目標値ホワイト色座標、及びホワイトバランスが維持されるRGBの各々の輝度を求めるステップと、静的IRドロップを反映してRGB輝度に補正を行なうステップを含む。ホワイトバランス補正で得られたRGB輝度は目標補正に使われる目標輝度であり、目標補正の以後の補正でもこの関係を維持する。ホワイトバランス補正で考慮されるIRドロップは静的IRドロップであって、最大IRドロップ状態を起こすホワイト状態の全階調に対して求めた後、ホワイトバランス補正に反映される。ホワイト輝度でRGBの各々の輝度を求める方法は、公知の色座標変換公式による色座標と輝度の相関関係を応用する。
【0187】
具体的に説明すれば、ホワイトバランス過程は、CIE1931標準色度システム(Standard Chromaticity System)に準して、1931CIE−RGBシステムと1931CIE−XYZシステム間の数式の変換によりホワイト輝度での色座標x、yと、RGB輝度での色座標x、y関係によってホワイト輝度(Brightness)と色座標値(Color Coordinate
Values=Chromaticity)x、yを決定し、RGB色座標x、yが決定されれば、関連した上記数式によってRGB輝度を計算により算出する過程を指し示す。ここで、ホワイトの色座標x、yは目標輝度で決まるが、RGB輝度での色座標x、yは有機材料の実際値の入力を受けなければならない。これは、RGB輝度の正確な算出のために、実際材料の色座標によるRGB輝度割合によりホワイト色座標が決まるためである。算出されたRGB輝度を目標輝度にして、以後の補正ステップでこの目標輝度に実測輝度を一致させれば、ホワイト輝度で実測材料によるホワイトバランスが合わされる。整理すると、ホワイトバランス補正は、色座標変換式により計算されたRGB輝度と、静的IRドロップ補正によりホワイトバランスが維持されたRGB輝度を求める2過程を意味する。
【0188】
IRドロップ補正(IR Drop Calibration)は、零点補正、自動補正、寿命補正の過程で共に遂行できる。零点補正、自動補正、寿命補正などは、RGBの各々に対して遂行されるが、実際の画像ではRGBが同時に駆動され、その割合により色相を表現する。IRドロップ量は、RGBの各々に駆動することに比べて、RGBを同時に駆動した時に一層大きい。したがって、零点補正、自動補正、寿命補正などで、IRドロップ補正を遂行しないと、とんでもない結果がもたらされることがあるので、零点補正、自動補正、寿命補正時にはRGB同時駆動された時、各々の駆動抵抗の変動によるセル駆動電圧の減少とそれによる輝度減少を必ず考慮してくれなければならない。
【0189】
IRドロップは配線抵抗による静的なIRドロップとデータ変動量による動的なIRドロップとに分けられる。静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、ガンマ補正時に反映される(図18乃至図21参照)。動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映される(図22参照)。本発明は、静的IRドロップ補正と共に動的IRドロップ補正を併行することで、データ変動により特定低輝度階調で同一データが減少して帯状の縞模様で表れるクロストーク問題を改善する。
【0190】
静的IRドロップ補正の原理は、RGB各階調別にテストパターンを印加してRGBに対する全体階調輝度を測定した後、RGB別にIRドロップ効率比例ファクターを求める。そして、同一な方法によりW(ホワイト)パターンで全体階調に対するテストパターンを印加して全体階調のW輝度を測定する。RGB別に測定した輝度を全て足せばIRドロップのない状態のW輝度が計算的に分かる。実際のWパターンで得られたIRドロップが最大に発生したW輝度をIRドロップのない状態のW輝度で階調別に引けば、W輝度での各階調別の静的IRドロップ量を計算することができる。各階調別に得られたW輝度での静的IRドロップ量は、RGB別に寄与度によって分配されるが、この時に使用されるものがIRドロップ補正遂行ステップで得られるIRドロップ効率比例ファクターである。この過程での効率比例ファクター条件を見ると、RGBWの各実際測定輝度を得る過程で、RGB及びWで印加される駆動電圧及びテストパターンは互いに同一である。したがって、RGB各色相での測定輝度と駆動電圧の間に求められるIRドロップ効率比例ファクターは、W駆動時のRGBに適用されるIRドロップ効率比例ファクターと同じ割合で適用される。また、RGB及びWの間のIRドロップされる量は同一な割合で適用される。静的IRドロップ補正時の上記全体階調は、実際データ駆動ICに適用時、上記全体階調の数より小さな多数個の階調、例えばガンマ抵抗により変更可能な8個の階調に取替できる。静的なIRドロップは、数式とロジック具現により容易に演算されて、ガンマ補正時、ガンマ電圧レジスタに反映される。
【0191】
動的IRドロップでその原因となる抵抗値変動は、データ量の差よりデータ量の変動に一層敏感な反応を示すので、リアルタイム入力されるデータの変動量を分析して動的なIRドロップ補正を行なわなければならない。静的なIRドロップ補正が同一階調のRGBが最大IRドロップを起こす状態を基準にしたので、動的IRドロップ補正はリアルタイム入力されるデータの変動量を分析して最大静的IRドロップ補償が遂行された入力データを水平ライン別に追加補償する。このために、動的IRドロップ補正はリアルタイム入力されるデータの変動量を分析して各水平ラインに対する全体データの入力階調分布度に従うクロストークパターンを探す。クロストークパターンは、上位階調と下位階調との間の差が大きく、大部分の下位諧調の背景に一部の上位階調が存在するパターンを意味する。動的IRドロップ補正は、階調差と上位階調パターンのサイズを分析して補償値を決定する。必要によっては、水平ラインに対する動的IRドロップと同一な方法により垂直ラインに対して動的IRドロップを補償することができる。
【0192】
静的及び動的IRドロップに対する補正が視感の認識誤差内の値を有することができれば、ロジックの簡素化のために、低階調で発生するIRドロップとデータ変動量との差が少ない場合は考慮せず、また垂直クロストークも特別に敏感でない場合は無視することができる。
以下、前述した補正方法について詳細に説明する。
【0193】
図26は、目標補正ステップ(S100)を詳細に示す。
【0194】
図26を参照すると、目標補正ステップ(S100)は、有機発光ダイオード表示装置に表示されるRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)に対し、光特性目標条件(目標輝度値)、電圧目標条件(開発ステップで確定された任意の電圧値)と開発ステップで確保された初期コードの初期レジスタを設定する(S102、S104、S106、S107)。
【0195】
目標補正ステップ(S100)は、設定された初期コードの初期レジスタを参照にして任意の電圧値と目標輝度値を伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクター(c1、c2)を算出及び設定する。そして、この目標補正伝達ファクター(c1、c2)を用いた伝達関数演算を通じて電圧伝達関数式の傾きファクター(r)と輝度伝達関数式の傾きファクター(1/r)とを互いに一致(r=1/r)させて目標レジスタを設定する(S108、S110、S112)。傾きファクターの一致調整(r=1/r)により電圧伝達関数式と輝度伝達関数式とは相互連関され、その結果として目標レジスタが算出される。目標レジスタは、初期レジスタをアップデートするための補正されたガンマレジスタ値であって、RGBガンマレジスタ別に算出される。
【0196】
目標補正ステップ(S100)は、目標レジスタに既設定された初期コードの初期レジスタをアップデートして目標コードを生成する(S114、S116)。目標コードは、零点補正時にダウンロードできるように駆動ボードに格納できる。
【0197】
図27は、零点補正ステップ(S200)を詳細に示す。
【0198】
図27を参照すると、零点補正ステップ(S200)は、目標コードをダウンロードして、これに基づいて有機発光ダイオード表示装置にRGBテストパターンを色相別に個別表示した後、RGBの各々のテストパターンに対して輝度及び電流を測定する(S202)。テストパターンにはRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)が含まれる。零点補正ステップ(S200)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の8ポイント階調レベルに対しても輝度及び電流を測定する(S204)。
【0199】
零点補正ステップ(S200)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と目標補正ステップ(S100)の目標レジスタに基づいてRGBの各々の測定輝度値を伝達関数式に適用してIRドロップによる1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)をRGB別に算出する(S205A、S206)。ここで、1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0200】
零点補正ステップ(S200)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)を伝達関数式に適用してIRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S208)。
【0201】
零点補正ステップ(S200)は、入力を受けた電圧目標条件、目標補正ステップ(S100)で格納された目標レジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値を伝達関数式に適用して2次零点補正伝達ファクター(c1'、c2')をRGB別に算出設定する(S210)。
【0202】
零点補正ステップ(S200)は、静的IRドロップが補正された輝度値と、この輝度値から得た傾きファクター(1/r')から電圧伝達関数式の傾きファクター(r')を求めて、2次零点補正伝達ファクター(c1'、c2'、r')を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて補正すべき電圧差を算出し、この算出された電圧差に対応するデフォルトレジスタを設定する(S212、S214)。デフォルトレジスタは、目標レジスタのガンマレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0203】
零点補正ステップ(S200)は、デフォルトレジスタに目標補正ステップ(S100)で生成された目標コードの目標レジスタをアップデートしてデフォルトコードを生成する(S216、S218)。デフォルトコードは、自動補正時、ダウンロードできるように駆動ボードに格納できる。
【0204】
一方、零点補正ステップ(S200)では、以後の寿命補正のために使用できるように、RGBWの各々の8ポイント階調レベル(総32個の階調レベル)に対する輝度−電流割合値を求めてデータ駆動ICのMTPメモリ(図10の410)に格納する(S220)。
【0205】
零点補正ステップ(S200)は、生産工程に使われる自動補正ステップの基準になるデフォルトコードを生成する過程であるので、多くの標本サンプルに対する捕集と精密度が要求される。
【0206】
図28は、自動補正ステップ(S300)を詳細に示す。
【0207】
図28を参照すると、自動補正ステップ(S300)は、零点補正ステップ(S200)で設定されたデフォルトコードをダウンロードし、これに基づいてRGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に個別的に表示する(S302)。テストパターンには、基本原理上、RGBの各々の3ポイント階調レベル(総9個の階調レベル)が含まれる。自動補正ステップ(S300)は、3ポイント階調レベル、即ち、最大輝度に対応する階調レベル、傾き輝度(中間階調輝度のうち、変曲点の大きい部分の1点)に対応する階調レベル、及び臨界点輝度に対応する階調レベルに対して輝度を測定する(S304)。
【0208】
自動補正ステップ(S300)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の3ポイント階調レベル(最大輝度に対応する階調レベル、傾き輝度に対応する階調レベル、臨界点輝度に対応する階調レベル)に対しても同様に輝度を測定する(S306)。
【0209】
自動補正ステップ(S300)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と零点補正ステップ(S200)のデフォルトレジスタに基づいてRGBの各々の測定輝度値を伝達関数式に適用して静的IRドロップによる1次自動補正伝達ファクター(c1"_d)を算出する(S307A、S308)。ここで、1次自動補正伝達ファクター(c1"_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0210】
自動補正ステップ(S300)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次自動補正伝達ファクター(c1'_d)を伝達関数式に適用して静的IRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S310)。
【0211】
自動補正ステップ(S300)は、入力を受けた電圧目標条件、零点補正ステップ(S200)で格納されたデフォルトレジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値から2次自動補正伝達ファクター(c1"、c2")を算出し(S312)、この輝度値から得た傾きファクター(1/r")から電圧伝達関数式の傾きファクター(r")を求める(S314)。
【0212】
自動補正ステップ(S300)は、2次自動補正伝達ファクター(c1"、c2"、r")を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて、この電圧伝達関数を通じて補正すべき電圧差を算出した後、この算出された電圧差に対応する自動レジスタを設定する(S314、S316)。自動レジスタはデフォルトレジスタのガンマレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0213】
自動補正ステップ(S300)は、自動レジスタをデータ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納する(S318)。
【0214】
一方、自動補正ステップ(S300)は生産工程に使われるステップであって、ある程度安定した条件下で遂行される過程であるので、迅速な処理過程が要求される。したがって、自動補正ステップ(S300)は、前述したように、RGBWの各々に対して3ポイントずつ総12ポイントを測定する代わり、RGBWの各々の最大輝度(4ポイント)及びRGBWのうちのいずれか1つの傾き輝度(1ポイント)とWの臨界輝度(1ポイント)を含んだ総6ポイントのみを測定し、残りの輝度データを輝度伝達関数式により得ることもできる。このようにすることで、本発明はLTPSバックプレーンの臨界点不均一性及び低輝度区間での輝度量不均一性による影響を最小にして、補正の正確性を高めると共に、製造タクトタイムを減らすことができる。
【0215】
図29は、寿命補正ステップ(S400)を詳細に示す。
【0216】
図29を参照すると、寿命補正ステップ(S400)は、自動補正ステップ(S300)で設定された自動レジスタをダウンロードし、これに基づいて有機発光ダイオード表示装置にRGBテストパターンを個別表示した後、RGBの各々のテストパターンに対して電流を測定する(S402)。テストパターンにはRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)が含まれる。寿命補正ステップ(S400)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の8ポイント階調レベルに対しても電流を測定する(S404)。
【0217】
寿命補正ステップ(S400)は、零点補正ステップ(S200)で格納された輝度−電流割合値を基準にしてRGBWの各々の測定電流値を輝度値に変換する(S406、S408)。
【0218】
寿命補正ステップ(S400)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と自動補正ステップ(S300)の自動レジスタに基づいてRGBの各々の変換輝度値を伝達関数式に適用して静的IRドロップによる1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)をRGB別に算出する(S409A、S410)。ここで、1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0219】
寿命補正ステップ(S200)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)を伝達関数式に適用して静的IRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S412)。
【0220】
寿命補正ステップ(S400)は、入力を受けた電圧目標条件、自動補正ステップ(S300)で格納された自動レジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値から2次寿命補正伝達ファクター(c1"'、c2"')を算出し(S414)、この輝度値から得た傾きファクター(1/r"')から電圧伝達関数式の傾きファクター(r"')を求める(S416)。
【0221】
寿命補正ステップ(S400)は、2次寿命補正伝達ファクター(c1"'、c2"'、r"')を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて、この電圧伝達関数を通じて補正すべき電圧差を算出した後、この算出された電圧差に対応する寿命レジスタを設定する(S416、S418)。寿命レジスタはセル駆動電圧のレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0222】
寿命補正ステップ(S400)は、寿命レジスタをデータ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納する(S420)。
【0223】
寿命補正ステップ(S400)は、主に製品出荷後に進行される過程であって、ユーザに命令信号によりなされる。
【0224】
図30は、環境補正ステップ(S500)のうち、温度補正ステップを詳細に示す。
【0225】
図30を参照すると、温度補正ステップは駆動電源の印加に対応して有機発光ダイオード表示装置が定常動作されるまでかかる時間を設定し、この定常動作時間の直後の温度センシング値を定常動作温度基準点に設定する(S502、S504)。
【0226】
温度補正ステップは、定常動作期間内で所定期間を周期で定常動作温度基準点と所定周期毎の温度センシング値とを比較して温度変動をセンシングし、温度変動によってデータ駆動ICの低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する(S506、S508、S510)。
【0227】
図31は、環境補正ステップ(S500)のうち、光漏洩電流補正ステップを詳細に示す。
【0228】
図31を参照すると、光漏洩電流補正ステップは駆動電源の印加に対応して有機発光ダイオード表示装置が定常動作されるまでかかる時間を設定し、この定常動作時間の直後の光漏洩電流センシング値を定常動作光電流基準点に設定する(S512、S514)。
【0229】
光漏洩電流補正ステップは、定常動作期間内で所定期間を周期で定常動作光電流基準点と所定周期毎の光電流センシング値とを比較して光漏洩電流変動をセンシングし、光漏洩電流変動に従ってデータ駆動ICの高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する(S516、S518、S520)。
【0230】
図32は、大面積画面でIRドロップを効果的に克服してホワイトバランスを維持させることができる本発明の応用例を示している。
【0231】
大面積画面では少なくとも2つ以上のデータ駆動IC 42と少なくとも2つ以上のゲート駆動IC
43が要求される。例えば、図31のように、データ駆動IC 42が第1データ駆動IC
DDRV1と第2データ駆動IC
DDRV2から構成され、ゲート駆動IC
43が第1ゲート駆動IC
GDRV1と第2ゲート駆動IC
GDRV2から構成される。この場合、OLEDパネル44の表示画面は第1データ駆動IC DDRV1と第1ゲート駆動IC
GDRV1により駆動される第1領域AR11と、第1データ駆動IC DDRV1と第2ゲート駆動IC
GDRV2により駆動される第2領域AR21と、第2データ駆動IC DDRV2と第1ゲート駆動IC
GDRV1により駆動される第3領域AR12と、第2データ駆動IC DDRV2と第2ゲート駆動IC
GDRV2により駆動される第4領域AR22とに分けられる。
【0232】
大面積画面では、位置別のIRドロップの偏差が大きくてホワイトバランスを合せることが容易でない。したがって、本発明は前述した種々の補正ステップでのようにIRドロップを補正し、かつデータ駆動ICによる駆動領域とゲート駆動ICによる駆動領域を基準に多分割し、多分割された領域に対してIRドロップに従うガンマ補正値を個別的に異に生成して予め格納する。そして、スキャンが進行している位置を基準に多分割された領域でガンマ補正値を互いに異なるように適用するように設計される。
【0233】
例えば、図31で、第1領域AR11には第1ガンマ補正値が、第2領域AR21には第2ガンマ補正値が、第3領域AR12には第3ガンマ補正値が、第4領域AR22には第4ガンマ補正値が各々割り当てられて、予め格納されていると仮定すれば、第1ゲート駆動IC GDRV1がスキャン動作を遂行する場合に、第1データ駆動IC DDRV1は第1ガンマ補正値を選択し、第2データ駆動IC
DDRV2は、第3ガンマ補正値を選択する一方、第2ゲート駆動IC GDRV2がスキャン動作を遂行する場合に、第1データ駆動IC DDRV1は第2ガンマ補正値を選択し、第2データ駆動IC
DDRV2は第4ガンマ補正値を選択するように設計される。このようにすれば、大面積画面でもIRドロップを効果的に防止することができ、特にゲート駆動ICにより区分される隣り合う領域の境界部分でガンマ電圧の揺れを抑制することができる。
【0234】
前述したように、本発明は電圧伝達関数式と輝度伝達関数式、及び両関数式の間の伝達ファクター(効率、臨界点、傾き)を数式化して、全ての場合の条件変化による入力階調電圧と出力輝度との間の相関関係を導出し、伝達関数式を用いて測定輝度と目標輝度との間の差だけ入力階調電圧を補正する。
【0235】
これを通じて、本発明は製造上の原因により目標品質から外れた製品を目標品質に補正することによって、歩留まりを既存対比平均35%以上向上させて、製造コストを格段に低減することができる効果がある。本発明は、伝達ファクターの変動を補正して全ての場合の条件変化に対応することができ、毎補正ステップ毎に実測データ確認及び伝達ファクターを再調整して、ルックアップテーブルを用いた既存の補正方式に比べて、補正の正確性、容易性、及び汎用性を高めることができる。特に、本発明は、測定データを獲得し、伝達関数式による補正を必要とする部分に一度に遂行するため、量産適用時、製品生産時間(製品タクトタイム)を格段に縮めることができる。
【0236】
延いては、本発明は、導出された伝達関数式と製品固有の伝達ファクターを用いてRGBの寿命減少差による輝度差を初期製品出荷状態に補正することができるので、製品出荷後にRGB別の寿命差によりホワイトバランスが破られたり、輝度が減少することを効果的に防止することができる。本発明は、製品出荷後に周辺環境条件(周辺温度、周辺光)をセンシングして、変更された駆動条件を初期指定された時間の定常駆動条件と同一に一致させることにも応用できるので、ユーザ便宜性を極大することができる。
【0237】
延いては、本発明は、電源供給配線の位置別の抵抗差によりRGB単独駆動時とRGB同時駆動時との間の静的IRドロップ差により発生するホワイトバランス不均衡と、データ量の変動による動的IRドロップにより同一階調データで各サブピクセル別に輝度が不均一になるクロストークの問題点を、伝達関数によるガンマレジスタ変更(静的補償)と入力データに対するリアルタイム補償(動的補償)に改善することによって、大面積及び高精細画面での画像品位を格段に向上させることができる。
【0238】
以上、説明した内容を通じて、当業者であれば、本発明の技術事象を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かる。したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものでなく、特許請求範囲により定まるべきである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年11月25日付で出願された韓国出願番号10−2011−0124526に対し、優先権の利益を主張し、この出願は本明細書に参照として併合される。
【0002】
本発明は、表示装置の補正に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に知られた表示装置には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display;FED)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)、及び有機発光ダイオード表示装置(Organic Light Emitting
Diode;OLED)などがある。
【0004】
そのうち、有機発光ダイオード表示装置は、自発光素子として有機発光ダイオードを有する。有機発光ダイオードは、アノード電極、カソード電極、及び両電極の間に形成された有機膜を備える。有機膜は、正孔注入層(Hole Injection layer)、正孔輸送層(Hole transport layer)、発光層(Emission layer)、電子輸送層(Electron transport
layer)、及び電子注入層(Electron Injection layer)を含む。アノード電極とカソード電極にセル駆動電圧が印加されれば、正孔輸送層を通過した正孔と電子輸送層を通過した電子が発光層に移動して励起子を形成し、その結果、発光層が可視光を発生するようになる。
【0005】
有機発光ダイオード表示装置は、このような有機発光ダイオードが含まれた多数のR(赤色)サブピクセル、G(緑色)サブピクセル、及びB(青色)サブピクセルをマトリックス形態に配列し、スキャンパルスを通じて能動素子であるTFT(Thin Film Transistor)を選択的にターン−オンさせてサブピクセルを選択した後、この選択されたサブピクセルにデジタルビデオデータを供給することによって、デジタルビデオデータの階調によってサブピクセルの輝度を制御する。サブピクセルの組合によって各種の色相の表現が可能なピクセルが具現され、RGBサブピクセルの適切な調整割合によってピクセルのホワイトバランス(white balance)が合わされる。サブピクセルの各々は駆動TFT、少なくとも1つ以上のスイッチTFT、ストレージキャパシタなどを含み、サブピクセルの輝度は有機発光ダイオードに流れる駆動電流に比例する。
【0006】
このような有機発光ダイオード表示装置は自ら発光する自発光素子であって、高画質と広視野角特性を有し、薄い、かつ軽いディスプレイで、応答速度が速い。また、有機発光ダイオード表示装置は、液晶表示装置(Liquid
crystal display;LCD)とは異なり、別途のカラーフィルタ無しでもフルカラー具現が可能で、低価格化の可能性が大きいので、大いなる関心が集中している。しかしながら、有機発光ダイオード表示装置は、未だ解決しなければならない技術的な課題が多い。
【0007】
第1に、有機発光ダイオード表示装置は、液晶表示装置に比べて歩留まりが低い。歩留まりを高めるためには、駆動TFTと有機発光ダイオードの製造工程の偏差による特性偏差、バックプレーン(back plane)に使われるTFTの臨界点(しきい電圧)偏差、有機膜材料の臨界点偏差などが克服されなければならない。
【0008】
第2に、有機発光ダイオード表示装置では、寿命の減少によってRGBサブピクセルの間に効率差が変わって、ホワイトバランスが捩れる短所がある。去る数年間、有機発光ダイオードの寿命と効率はたくさん改善されているが、大面積有機発光ダイオード表示装置のためには、有機発光ダイオードの寿命と効率が現在より遥かに安定した均一性を有するように向上しなければならない。また、有機発光ダイオード表示装置は、周辺温度変動及び光漏洩電流変動による輝度変動差と、それに従う寿命減少差を解決しなければならない。
【0009】
第3に、有機発光ダイオード表示装置は、有機発光ダイオードにセル駆動電圧を供給するための電源供給配線の位置別の抵抗差による静的IRドロップと、データ量の変動による周辺サブピクセルとの抵抗差に起因する動的IRドロップにより影響を受ける。表示輝度は有機発光ダイオードに流れる駆動電流に比例し、抵抗差はセル駆動電圧の差で表現される。セル駆動電圧が各サブピクセルに供給される時、静的及び動的IRドロップにより電圧降下が発生し、それによって表示位置とデータ量の変動に従う画面状態によって表示輝度が部分的に変わるクロストーク現象が発生する。このような自発光電流駆動方式に発生する問題を改善しなくては、大面積及び高画質の有機発光ダイオード表示装置を具現することができない。
【0010】
このような有機発光ダイオード表示装置の諸般課題を解決するために、製造工程中に、または製造完了後に種々の補正方式が施行されている。ところが、現在の全ての補正方式は、予め設定された限定された条件の実験データによるルックアップテーブル(look up table)のみを用いている。
【0011】
ルックアップテーブル方式は、電圧特性と輝度特性との間の予想可能な多数の条件を作って、予め実際データを測定して電圧特性と輝度特性との間の相互連結関係を作る。ルックアップテーブル方式は、電圧特性と輝度特性との間の相互伝達関数式が複雑であったり、または上記相互伝達関数式を導出できない場合に使われる方式である。実際的に全ての場合の条件を仮定して実測データを確保するということは不可能であるので、ルックアップテーブル方式は制限された条件の範囲内で限定された実測データを確保して上記相互連結に用いる。
【0012】
このようなルックアップテーブル方式は補正の容易性及び正確性の面で多くの問題点がある。
【0013】
ルックアップテーブル方式は、ルックアップテーブルデータを作ることに多くの時間がかかり、条件に符合する外部環境が変わる度に毎度実測データを獲得して適用しなければならない面倒さがあるので、補正作業が容易でない。また、ルックアップテーブル方式による場合、製造工程過程で補正作業時毎にステップ別の実測データと比較確認し、再調整する過程を毎度経なければならないので、補正時間及び製造タクト(tact)タイムが長い。
【0014】
ルックアップテーブル方式は、条件範囲を狭く設定し、所望の条件に合うデータがない場合、近似値を取る場合が多いので、補正の正確性を期し難い。全ての場合の数の組合に対するデータを実測することは不可能である。したがって、ルックアップテーブル方式による場合、R、G、Bの各組合に従うホワイトバランス値を正確に一致させることが困難であり、IRドロップによる輝度不均一を正確に補正することが困難である。さらに、ルックアップテーブル方式による場合、完成品の出荷後、使用時間に従う画質の低下に対応し難く、R、G、Bの各材料の寿命減少差によるホワイトバランスのずれを調整することができる方法がないし、故障修理時にも画質を補正することができる方法がない。
【0015】
このような種々の問題点にも関わらず、現在大部分の補正方式にルックアップテーブルを使用する理由は、入力階調電圧と出力輝度との間の関係を正確な伝達関数式で導出できないことに起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、入力階調電圧と出力輝度との間の関係を伝達関数式と伝達ファクターで導出し、この伝達関数式と伝達ファクターを用いて諸般補正を遂行して補正の正確性、容易性、及び汎用性を具現できるようにした表示装置の補正システム及びその補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態に従う表示装置の補正システムは、各サブピクセル毎に駆動TFTと有機発光ダイオードが形成された表示パネル、ガンマレジスタ値によって上記表示パネルに印加される階調電圧を生成するデータ駆動IC、輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数と、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、そして2関数の間の相関係数である第1伝達ファクターを含んだ伝達関数アルゴリズムをロジック回路に内蔵し、特定階調電圧値を有するテストパターンが上記表示パネルに印加されて得られた測定輝度値と共に電圧条件、及び既設定された上記ガンマレジスタ値を上記伝達関数アルゴリズムに適用して変化された第2伝達ファクターを求めた後、上記第1及び第2伝達ファクターの間の差だけ上記ガンマレジスト値を変更させるための自動レジスタを算出する伝達関数処理部、上記自動レジスタの算出に基礎となるデフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードを格納するためのデフォルトコードメモリと、上記デフォルトレジスタの算出に基礎となる目標レジスタが含まれた目標コードを格納するための目標コードメモリと、上記表示パネルと上記データ駆動ICの駆動に必要な駆動電源を発生する電源発生器が実装される駆動ボード、上記テストパターンの印加に従う上記表示パネルの輝度を測定するための輝度測定器、及び上記データ駆動ICの初期駆動条件を入力し、諸般補正のステップ別の遂行のための作業命令信号と上記輝度測定器からの輝度測定データを上記伝達関数処理部に印加するコントロールセンターを備える。
【0018】
本発明の実施形態に従う表示装置の補正方法は、出力輝度の変化を入力電圧の調整を通じて所望の値に補正するために電圧伝達関数と輝度伝達関数を含んだ伝達関数式をアルゴリズムで内蔵するステップ、目標輝度値と任意の階調電圧値を上記伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて上記電圧伝達関数の傾きファクターと上記輝度伝達関数の傾きファクターを互いに一致させて目標レジスタを算出する目標補正ステップ、上記目標レジスタによる階調電圧値を表示パネルに印加して得られた測定輝度値を上記伝達関数式に適用して零点補正伝達ファクターを求めた後、上記零点補正伝達ファクターと上記目標輝度値を上記伝達関数式に適用して上記目標補正伝達ファクターと上記零点補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するためのデフォルトレジスタを算出する零点補正ステップ、及び上記デフォルトレジスタによる階調電圧値を上記表示パネルに印加して得られた測定輝度値を上記伝達関数式に適用して自動補正伝達ファクターを求めた後、上記自動補正伝達ファクターと上記目標輝度値を上記伝達関数式に適用して上記零点補正伝達ファクターと上記自動補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するための自動レジスタを算出する自動補正ステップを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、全ての場合の条件変化に対応することができ、毎補正ステップ毎に実測データ確認後、再調整の必要がないので、ルックアップテーブルを用いた既存補正方式に比べて、補正の正確性、容易性、及び汎用性を高めることができる。
【0020】
また、本発明によれば、製造上の原因により目標品質から外れる製品を目標品質に補正することによって、歩留まりを既存対比平均35%以上向上させて製造コストを格段に低減することができる効果が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、環境補正及びIRドロップ補正を通じてホワイトバランスとクロストークを補償することができるので、表示装置の高品質化と大面積化を容易に具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】データ駆動IC(Integrated Circuit)を通じて入力される階調電圧と有機発光ダイオードで具現される出力輝度の相関関係とこれを等価的に表現した電圧及び輝度伝達関数を示す図である。
【図2a】P−type LTPS(Low Temperature Poly Silicon)バックプレーンを使用するパネルに対するデータ駆動ICの階調電圧特性曲線を示す図である。
【図2b】有機発光ダイオード輝度特性曲線を示す図である。
【図3】図2aで求められた電圧伝達関数と、図2bで求められた輝度伝達関数が適用される有機発光ダイオード表示装置のサブピクセル等価回路を簡略に示す図である。
【図4】電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係を示す図である。
【図5】伝達関数の関係規定のための効率比例ファクターと臨界点比例ファクターの導出原理を示す図である。
【図6】臨界点が不均一である時、臨界点比例ファクターの導出のための正確な臨界点設定方法を示す図である。
【図7】効率比例ファクターと臨界点比例ファクターを用いて補正電圧を求める原理を簡略に示す図である。
【図8】目標輝度を維持するために効率比例ファクターと臨界点比例ファクター及び傾きファクターを電圧で補正する一例を示す図である。
【図9】伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システムを示す図である。
【図10】有機発光ダイオード表示装置の内部構成を詳細に示す図である。
【図11a】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図11b】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図11c】RGB別の階調電圧生成回路を示す図である。
【図12】RGB別のオフセット調整部の作用効果を示す図である。
【図13】RGB別のゲイン調整部の作用効果を示す図である。
【図14】RGB別のガンマ電圧調整部の作用効果を示す図である。
【図15】電源電流検出部の細部構成を示す図である。
【図16】温度検出部の細部構成を示す図である。
【図17】光漏洩電流検出部の細部構成を示す図である。
【図18】電源供給配線の配線抵抗差による静的IRドロップが発生する原因を示す図である。
【図19】静的IRドロップにより発生する各色相別及び階調別のIRドロップ量と、ホワイトバランス適用時に考慮しなければならないW、R、G、Bで輝度が静的IRドロップにより減少することを示す図である。
【図20】ホワイト状態の静的IRドロップにおいて、RGB別の静的IRドロップ割合を算出するためのIRドロップ伝達ファクターを求めることを示す図である。
【図21】IRドロップ伝達ファクターによる割合でホワイト輝度で発生した全体静的IRドロップを各RGB別及び各階調別に求める方法を示す図である。
【図22】データ変化量による動的IRドロップを補正するための図10のIRドロップ補償部の構成を詳細に示す図である。
【図23】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図24】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図25】本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値調整を通じた具体的な補正方法を概略的に示す図である。
【図26】目標補正ステップを詳細に示す図である。
【図27】零点補正ステップを詳細に示す図である。
【図28】自動補正ステップを詳細に示す図である。
【図29】寿命補正ステップを詳細に示す図である。
【図30】環境補正ステップを詳細に示す図である。
【図31】環境補正ステップを詳細に示す図である。
【図32】大面積画面でIRドロップを効果的に克服できる一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図32を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0024】
明細書の全体に亘って同一な参照番号は実質的に同一な構成要素を意味する。以下の説明において、本発明と関連した公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0025】
以下の本発明の明細書記述では、RGB有機発光ダイオードを有する表示装置を例として説明するが、本発明の技術的事象はこれに限定されない。本発明は、ホワイト有機発光ダイオードとカラーフィルタを有する表示装置、プラズマディスプレイパネルなど、他の自発光表示装置に適用できる。また、本発明は、電圧、電流電源により輝度を調節する表示装置にも適用できる。
【0026】
本発明の明細書記述では、(1)電圧伝達関数と輝度伝達関数を導出及び定義した後、(2)伝達関数式に基盤した諸般補正動作処理のために要求される補正システムを説明した後、(3)伝達関数式に基盤した具体的な補正方法及び応用を説明する。
【0027】
本発明の詳細な説明で使われる用語は、次の通り定義される。
【0028】
初期コード(initial code)は、データ駆動IC(Integrated Circuit)の初期駆動条件を設定するための各種レジスタの集いを指し示す。この初期コードには、駆動電圧を設定するためのレジスタ、解像度を設定するためのレジスタ、駆動タイミングを設定するためのレジスタ、駆動信号を設定するためのレジスタ、及びガンマ抵抗を設定するためのガンマレジスタなどが含まれている。初期コードに含まれたレジスタを初期レジスタと定義する。
【0029】
目標コード(target code)は、伝達関数式を通じて目標補正(target
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。この目標コードには、初期レジスタのうち、ガンマレジスタの初期設定値をアップデートするための目標レジスタ(target register)が含まれている。
【0030】
デフォルトコード(default code)は、伝達関数式を通じて零点補正(zero
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。このデフォルトコードには、目標レジスタに基づいてアップデートされたデフォルトレジスタ(default register)が含まれている。デフォルトコードは量産のための自動補正(auto calibration)時、各々の量産サンプルに使われる基準コードに使われる。
【0031】
自動レジスタ(auto register)は、伝達関数式を通じて自動補正(auto calibration)を遂行した結果によって生成されるレジスタで、デフォルトレジスタをアップデートしてなされたものである。
【0032】
寿命レジスタ(aging register)は、伝達関数式を通じて寿命補正(aging calibration)を遂行した結果によって生成されるレジスタで、自動レジスタをアップデートしてなされたものである。
【0033】
1.電圧−輝度の伝達関数
図1は、データ駆動IC(Integrated Circuit)を通じて入力される階調電圧と有機発光ダイオードで具現される出力輝度の相関関係とこれを等価的に表現した電圧及び輝度伝達関数を示している。
【0034】
図1に示すように、伝達関数は、有機発光ダイオードの駆動において、入力条件である階調電圧と出力条件である輝度(有機発光ダイオードの発光輝度)との間の相互連関式で、輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、及び2関数式の間の相関係数である伝達ファクターを含んで所望の目標値を容易に得ることができる数式で定義される。
【0035】
図2aは、P−type LTPS(Low Temperature Poly Silicon)バックプレーンを使用するパネルに対するデータ駆動ICの階調電圧特性曲線を示す。図2aの横軸は階調レベルを、縦軸は入力電圧を指し示す。電圧伝達関数は、データ駆動ICの内に含まれたガンマ抵抗ストリングの電圧分配により発生する階調電圧を指数関数式で表現したものであって、下記の<数式1>の通りである。
【0036】
[数1]
y=V-(a*(x/dx)r+b)
【0037】
<数式1>で、yはデータ駆動ICの階調電圧を、Vはデータ駆動ICのバイアス電圧として高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の差を、aは電圧伝達関数の振幅(gain)を、bは電圧伝達関数のオフセットを、rは電圧伝達関数の傾き(即ち、ガンマ電圧特性曲線の傾き)を、xは階調レベルを、dxは階調レベルの総数を各々指し示す。
【0038】
したがって、電圧伝達関数の傾き(r)は下記の<数式2>で表現される。
【0039】
[数2]
r=LOGx/dx[(-y+V-b)/a]
【0040】
図2aのように、電圧対階調は所定の傾き(r)で、互いに反比例関係を有する。これは、P−type LTPSバックプレーンに形成される駆動素子(駆動TFT)の駆動バイアス特性が負の傾きの指数関数特性を有するためである。一方、N−type LTPSバックプレーンを使用するパネルに対する特性曲線は電圧対階調が互いに比例関係を有することができる。
【0041】
図2bは、有機発光ダイオード輝度特性曲線を示す。図2bの横軸は階調レベルを、縦軸は出力輝度を指し示す。輝度伝達関数は階調電圧による出力輝度を指数関数式で表現したものであって、下記の<数式3>のように求められる。
【0042】
[数3]
Y=A*(x/dx)1/r+B
【0043】
<数式2>で、Yは有機発光ダイオードの輝度を、Aは輝度伝達関数の振幅(gain)を、Bは輝度伝達関数のオフセットを、1/rは輝度伝達関数の傾き(輝度特性曲線の傾き)を、xは階調レベルを、dxは階調レベルの総数を各々指し示す。
【0044】
したがって、輝度伝達関数の傾き(1/r)は下記の<数式4>で表現される。
【0045】
[数4]
1/r=LOGx/dx[(Y-B)/A]
【0046】
図2bのように、階調対出力輝度は、所定の傾き(1/r)で互いに比例関係を有する。これは、有機発光ダイオードの輝度が正の傾きの指数関数特性を有するためである。
【0047】
図3は、<数式1>のように定義される電圧伝達関数と<数式3>のように定義される輝度伝達関数が適用される有機発光ダイオード表示装置のサブピクセル回路を簡略に示す。
【0048】
図3を参照すると、サブピクセル回路は高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間に流れる駆動電流に発光する有機発光ダイオード(OLED)と、ゲートノード(N)に印加される階調電圧によって有機発光ダイオード(OLED)に印加される駆動電流量を制御する駆動TFT(DT)と、ゲートライン(図示せず)を通じて印加されるスキャンパルス(SCAN)に応答して駆動TFT(DT)のゲートノード(N)と階調電圧で充電されたデータライン(図示せず)との間の電流パスをスイッチングするスイッチTFT(ST)、及び駆動TFT(DT)のゲートノード(N)に印加される階調電圧を所定期間の間維持させるストレージキャパシタ(Cst)を含む。
【0049】
電圧伝達関数は駆動TFT(DT)のゲートノード(N)に印加され、映像信号に対応する階調電圧に対するものである。bは電圧伝達関数のオフセットであって、駆動TFT(DT)の臨界点(しきい電圧値)に該当する。輝度伝達関数は、有機発光ダイオード(OLED)の発光量に該当する出力輝度に対するものである。Bは輝度伝達関数のオフセットであって、有機発光ダイオード(OLED)の臨界点(しきい電圧値)に該当する。
【0050】
図4は、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係を示している。図4で、G0〜G255は階調レベルを、y0〜y255は階調レベルに対応するガンマ電圧を、Y0〜Y255は階調レベルに対応する出力輝度を各々指し示す。
【0051】
諸般補正を遂行するためには、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互関係が図4のように所望の値に正確にマッピングされなければならない。例えば、y10に該当するガンマ電圧に対応してY10の出力輝度が発揮されなければならず、y124に該当するガンマ電圧に対応してY124の出力輝度が発揮されなければならず、またy212に該当するガンマ電圧に対応してY212の出力輝度が発揮されなければならない。既存にはこのようなマッピングのためにルックアップテーブル方式を用いた。しかしながら、本発明ではこのようなマッピングのために<数式1>及び<数式3>から導出された電圧及び輝度伝達関数式を用いる。このために、本発明では2つの伝達関数式の間の相関係数である伝達ファクターを導出する。
【0052】
伝達関数の伝達ファクターは、図5に図示された効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)、<数式2>及び<数式4>に含まれた傾きファクター(r、1/r)を含む。
【0053】
効率比例ファクター(c1)は入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値であって、実際発光効率に該当し、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化などにより発生する入出力間の全ての変数を含む。効率比例ファクター(c1)は、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の連関性を定立するためのものであって、任意の電圧とそれに対応する輝度を知れば数式的に求められる。効率比例ファクター(c1)は、実際条件下で目標輝度を得るために印加されるべき入力電圧値を計算することに使われる。このような効率比例ファクター(c1)を利用すれば、各種変数に関わらず目標輝度発揮のための入力電圧が簡単に関数式で求められるので、実際の製品で材料物性上、構造上、製造上、時間老化上、周辺環境変動上、発生した発光輝度の所望しない変化を目標輝度に容易に補正することができるので、製品の発光特性を均一に維持することができる。
【0054】
臨界点比例ファクター(c2)は、入力電圧が印加される時、有機発光ダイオードが実際動作するしきい電圧条件であって、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化、駆動TFTの移動度(mobility)や寄生キャパシタンス差などにより発生する入出力間の全ての変数を含んだ任意の動作開始点に対する変数として定義される。臨界点比例ファクター(c2)は、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式の開始点を確定するものであって、任意の臨界電圧を印加して任意の発光臨界点で発光輝度量を測定し、任意の臨界電圧と測定された臨界発光輝度量の相関関係により数式的に求められる。臨界点比例ファクター(c2)は、効率比例ファクター(c1)と共に実際条件下で目標輝度を得るために印加されるべき入力電圧値を計算することに使われる。
【0055】
傾きファクター(r、1/r)は、電圧伝達関数式及び輝度伝達関数式の各々に含まれる傾き値であって、各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される。電圧伝達関数の傾きファクター(r)は、データ駆動ICのガンマレジスタの設定値変更による階調電圧(入力電圧)変化量が指数関数式で求められる傾き値である。輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)は、階調電圧がサブピクセルに印加された時、各階調電圧に対する出力輝度値の変化量が指数関数式で求められる傾き値である。
【0056】
電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)には、各々効率比例ファクター(c1)の値と臨界点比例ファクター(c2)の値が反映されている。言い換えると、<数式1>及び<数式2>のように、各階調電圧値の変動分に対する指数値が電圧伝達関数の実際傾きファクター(r)であり、<数式3>及び<数式4>のように各階調で得られる発光輝度の変動分に対する指数値が輝度伝達関数の実際の傾きファクター(1/r)である。
【0057】
電圧伝達関数と輝度伝達関数とが逆比例関係を有するP−type
LTPSバックプレーンにおいて、電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)とは互いに逆比例関係を有する。傾きファクター(r、1/r)は、電圧伝達関数と輝度伝達関数との間の相互変換の容易性を提供する。輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を求めるには、先に電圧伝達関数式の傾き(r)を求めて、この傾き(r)を逆に取ればよい。そして、求められた傾きファクター(1/r)を輝度伝達関数式に適用すれば、傾きによる相互連関式が形成される。反対に、電圧伝達関数の傾きファクター(r)を求めるには、各階調電圧による輝度伝達関数式の傾き(1/r)を求めて、この傾き(1/r)を逆に取ればよい。そして、求められた傾きファクター(r)を電圧伝達関数式に適用すれば、相互連関式が形成される。
【0058】
但し、理論的な数式と異なり、実際の適用時には、電圧伝達関数の傾きファクター(r)と輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)とが互いに逆比例関係を有するように2つ傾きファクター(r、1/r)の関係を正確に一致させる過程、即ち、r=1/rになるようにする過程が必要である。このような調整過程は、最初の目標補正ステップでなされて、2つ傾きファクター(r、1/r)の関係に対する調整がなされたら、この調整された関係はその以後の補正ステップ(零点補正、自動補正、寿命補正など)にもそのまま維持される。初期の電圧伝達関数傾き(r)はデータ駆動ICと初期レジスタにより決定され、目標輝度は製品のスペックにより決まるので、目標補正を通じて一致調整された2つ傾きファクター(r、1/r)の関係は目標レジスタに反映される。そして、目標補正結果である目標レジスタは、零点補正時、測定輝度の駆動条件となり、零点補正結果であるデフォルトレジスタは自動補正時、測定輝度の駆動条件となる。したがって、電圧と輝度の逆関数比例関係は、目標補正の以後にもそのまま維持されるので、目標補正の以後の後続補正ステップでは、輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を知れば、その逆数を取ることによって、電圧伝達関数式の傾き(r)を容易に求めることができ、反対に、電圧伝達関数式の傾き(r)を知っていれば、その逆数を取ることによって、輝度伝達関数の傾きファクター(1/r)を容易に求めることができる。
【0059】
伝達関数の伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)は、毎補正ステップ、即ち、目標補正、零点補正、自動補正、寿命補正などが遂行される度に、該当条件(電圧条件、輝度条件)で個別的に求められる。電圧及び輝度伝達関数は、算出された伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)を基盤に、電圧から輝度に、または輝度から電圧に、互いに両方向演算が可能である。各補正ステップで求められる伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)の変動分は所望の輝度具現のための電圧差により補償される。
【0060】
電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の相互切換(両方向演算)が可能な理由は、次の3つである。
【0061】
第1に、効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)は、電圧及び輝度関係の間に発生した変化要因(多様な環境変数)を全て含む。
【0062】
第2に、傾きファクター(r、1/r)は、常に2つ関数式の間の関係形成のためのものであって、逆数関係に維持される。
【0063】
第3に、伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)を通じて電圧伝達関数式による電圧表現と輝度伝達関数式による輝度表現は互いに同一に連関され、多様な環境変数により2つ表現値が互いに変わっても、伝達ファクター(c1、c2、r、1/r)の調整により互いに一致するように補正できる。
【0064】
以上の3つは、電圧と輝度関係を数式化できる本発明の基本原理である。
【0065】
図5は、電圧−輝度伝達関数の効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)の導出原理を示している。図6は、臨界点が不均一な時、臨界点比例ファクターの導出のための正確な臨界点設定方法を示す。そして、図7は効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)を用いて補正電圧を求める原理を簡略に示す。
【0066】
図5を参照すると、電圧伝達関数の振幅(a)と電圧伝達関数のオフセット(b)は、データ駆動ICに印加される高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間で所定の関連点(P)を基準に分けられる。ここで、連関点(P)は電圧伝達関数と輝度伝達関数との相関関係を有機的に連結するための基準点として作用する。この際、電圧伝達関数の振幅(a)は連関点(P)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の所定範囲に定まり、電圧伝達関数のオフセット(b)は高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と関連点(P)との間の範囲に定まることができる。
【0067】
輝度伝達関数の振幅(A)及びオフセット(B)は、表示パネルのサブピクセルに印加される高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間で設定され、かつ、電圧伝達関数の振幅(a)に対応する範囲に設定される。高電位セル駆動電圧(PVDD)は、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と実質的に同一であったり、または、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)に比べて高いレベルを有することができ、低電位セル駆動電圧(PVEE)は低電位ガンマ電源電圧(VDDL)に比べてより低いレベルを有することができる。
【0068】
図5の効率比例ファクター(c1)は、下記の<数式5>で計算できる。
【0069】
[数5]
(a*V)*c1=(A+B)*V1
c1=(A+B)*V1/(a*V)
【0070】
<数式5>で、Vはデータ駆動ICのバイアス電圧であって、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)との間の差を、V1は有機発光ダイオードを駆動させるためにサブピクセルに印加される電圧であって、高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)との間の差を各々指し示す。
【0071】
<数式5>を参照すると、効率比例ファクター(c1)は、入力効率(a*V)と出力効率((A+B)*V1)との間の相関ファクターであることが分かる。効率比例ファクター(c1)は、前述したように入出力の間の全ての変数を含むので、製造工程、時間老化、周辺環境変化等により変動される。効率比例ファクター(c1)の変動は、出力輝度の変動をもたらす。入力がaで、出力がA+Bの時、入力値は入力条件から分かり、出力値は測定により分かる。すると、入出力値の連関値である効率比例ファクター(c1)は<数式5>を通じて計算的に求められる。本発明は、変更された効率比例ファクターと共に所望の目標輝度を電圧及び輝度伝達関数式に適用することによって、効率比例ファクター(c1)の変更された値を電圧に換算補償することができる。言い換えると、図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって効率比例ファクター(c1)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は変更前後の効率比例ファクター(c1)の変動分だけ入力電圧を補正して出力輝度を所望の値に維持することができる。
【0072】
図5の臨界点比例ファクター(c2)は、下記の<数式6>で計算できる。
【0073】
[数6]
c2=B/c1+b
【0074】
毎製品毎に臨界点の変動分を知ろうとする場合、電圧伝達関数のオフセット(b)値は入力条件により分かり、輝度伝達関数のオフセット(b)値はその条件で輝度臨界点に対する測定により分かり、効率比例ファクター(c1)は<数式5>を通じて分かる。したがって、駆動TFTと有機発光ダイオードの臨界点変動に関する臨界点比例ファクター(c2)は、<数式6>を通じて容易に算出できる。このような臨界点比例ファクター(c2)も、前述したように入出力の間の全ての変数を含むので、材料特性差、画素構造差、製造工程差、時間老化程度、周辺環境変化、駆動TFTの移動度(mobility)や寄生キャパシタンス差などにより変動される。臨界点比例ファクター(c2)も効率比例ファクター(c1)と同様に、電圧及び輝度伝達関数に適用されることで、その変動値だけ電圧に換算補償できる。即ち、図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって臨界点比例ファクター(c2)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は臨界点比例ファクター(c2)の変動分だけ入力電圧を補正することによって、出力輝度を所望の値に維持することができる。
【0075】
同様に、本発明は図7のように、単位手続き進行に従う多様な変数によって傾きファクター(rまたは1/r)が変更されて出力輝度が所望の値から他の値に変わっても、本発明は傾きファクター(rまたは1/r)の変動分だけ入力電圧を補正することによって、出力輝度を所望の値に維持することができる。本発明は、目標補正時、傾きファクター(r、1/r)が互いに逆数関係で一致するように調整するため、その以後に、この逆数関係が持続的に維持されることを用いて変更された輝度傾きファクター(1/r)(輝度測定値から求められる)から変更された電圧傾きファクター(r)を求めて、これに基づいて入力電圧を補正することができる。
【0076】
一方、実際製品への適用時には、LTPSバックプレーン駆動素子の臨界点不均一と計測装備の誤差などによって、低電圧伝達関数に対比される低輝度伝達関数である臨界輝度特性は、不安定で、変動が激しい。したがって、図6のように、輝度伝達関数は2つの区間、即ち、高輝度区間(G80〜G255)と低輝度区間(G0〜G79)に分けられて使われることが好ましい。特に、低輝度区間(G0〜G79)での臨界輝度は傾きファクターに直接的に大きい影響を与えるので、製品別に少ない偏差に維持されなければならないが、実測値はこれと反対に、大きい偏差を示す。したがって、本発明はと輝度伝達関数(YA)の特性に基盤して低輝度伝達関数(YB)を別途に生成し、低輝度区間(G0〜G79)での補正時、この低輝度伝達関数(YB)を使用する。即ち、本発明は低輝度区間(G0〜G79)での補正時、製品で発生する偏差を直接補正に反映せず、全体輝度伝達関数(Y)による低輝度区間(G0〜G79)を設定して補正ステップに使用することによって、補正の正確度を高めることができる。低輝度伝達関数(YB)を生成する方法には、次の2つがある。
【0077】
第1の方法は、高輝度実測曲線で傾き(1/rA)と臨界点(B1)を確保し、高輝度実測曲線から得られた傾き(1/rA)を低輝度曲線の傾きに、高輝度実測曲線から得られた臨界点(B1)を低輝度曲線の最大輝度に、目標輝度の臨界点(b)を低輝度曲線の臨界点に、各々使用して、低輝度伝達関数(YB)を生成する。この第1の方法は、低輝度臨界点の変動が大きい時、有用に使われることができる。
【0078】
第2の方法は、高輝度実測曲線で傾き(1/rA)と臨界点(B1)を確保し、高輝度実測曲線から得られた傾き(1/rA)を低輝度曲線の傾きに、高輝度実測曲線から得られた臨界点(B1)を低輝度曲線の最大輝度に、高輝度実測曲線から予想される推定臨界輝度を低輝度曲線の臨界点に、各々使用して、低輝度伝達関数を生成する。この第2の方法は、低輝度臨界点の変動は少ないが、測定器の誤差が低輝度で大きく発生する時に有用に使われることができる。高輝度実測曲線が最大輝度(A+B)、傾き(1/rA)、臨界点(B1)を提供するため、この高輝度実測曲線から得られる値を全体輝度伝達関数(Y)に適用した後、階調“0”での最小輝度を求めれば、推定臨界輝度が分かる。
【0079】
臨界輝度は傾きファクターを求める基準点となる。したがって、臨界輝度は状況によって上記2つ方法のうち、いずれか1つにより選択的に求められるが、製造工程の特性が安定した場合であれば、2番目の方法を使用することがより正確で、かつ近似した値を得ることができる。
【0080】
図6は、上記の2つ方法のうちの第1の方法であって、目標臨界輝度を使用して低輝度曲線を完成することを示している。図6で、高輝度区間(G80〜G255)の点線部分は、同一傾き(1/rA)と高輝度臨界点(B1)が確保されても、目標臨界輝度(b)を使用により、推定高輝度と実測高輝度との間に若干の誤差が発生することを示すためのものである。
【0081】
[数7]
Y=A*[x(0~255)/dx(255-0)]1/rA+B
=YA+YB
【0082】
<数式7>は、一般的な輝度伝達関数を表現した式である。ここで、臨界点“B”は、実際測定値でない目標輝度で与えられる目標臨界輝度、または、推定低輝度曲線の推定臨界輝度という点に特徴がある。この臨界輝度は、全ての測定輝度の開始点を一致させる役割をする。一般的な輝度伝達関数を表す“Y”は、高輝度区間(G80〜G255)に対応する高輝度伝達関数(YA)と低輝度区間(G0〜G79)に対応する低輝度伝達関数(YB)に分けられて使われる。<数式7>で、“B”は上記第1の方法による場合、目標設定時、ホワイトバランス補正を通じて目標輝度がRGB色座標によりホワイトを表すRGB輝度に変換算出された後、その最小輝度を有する値に決まる。“A”は最大測定輝度から臨界輝度“B”を引いた輝度ゲインであり、“1/rA”は測定輝度を基盤にした高輝度伝達関数(YA)の実際傾き値である。“x(0〜255)”は0階調から255階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(255−0)”は256個の階調レベル数を指し示す。高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)との境界である(G80、Y80)は、開発ステップで条件設定時に決まる基準点に変更可能である。
【0083】
高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)は、<数式8>で表される。
【0084】
[数8]
YA=A1*[(x(80~255)/dx(255-80)]1/rA+B1,
YB=(B1-B)*[(x(0~79)/dx(79-0)]1/rA+B,
A1=(A+B)-B1
【0085】
<数式8>で、“x(80〜255)”は80階調から255階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(255−80)”は136個の階調レベル数を指し示す。また、“x(0〜79)”は0階調から79階調のうち、いずれか1つの階調を指し示し、“dx(79−0)”は80個の階調レベル数を指し示す。
【0086】
<数式8>のように、高輝度伝達関数(YA)は高輝度区間(G80〜G255)で使われるものであって、任意の測定臨界輝度“B1”と、測定輝度傾き“1/rA”、及び測定最大輝度ゲインである“A1”により決まる。任意の測定臨界輝度(B1)は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、測定輝度傾き(1/rA)は“B1”以上の輝度区間で得られた測定輝度の傾き値であり、測定最大輝度ゲイン(A1)は最大輝度から安定した測定臨界輝度(B1)を引いた値に決まる。
【0087】
低輝度伝達関数(YB)は低輝度区間(G0〜G79)で使われるものであって、目標臨界輝度または推定臨界輝度のうち、いずれか1つに選択される“B”、測定輝度傾き“1/rA”、及び輝度ゲイン“(B1−B)”により決まる。
【0088】
高輝度伝達関数(YA)と低輝度伝達関数(YB)は、測定輝度に対応する階調レベルがx(80〜255)あるいはx(0〜79)のうち、どこに属するかによって選択的に使われる。この2つ式の組合によって臨界輝度特性が不安定な問題点は効果的に解決できる。本発明のこのような特徴は、既存のルックアップテーブル方式では具現不可能である。
【0089】
図8は、単位手続き進行に従う出力輝度変更時、変更前後間の伝達ファクター(c1、c2、r)の差を導出して目標輝度(所望の輝度)を維持するための補正電圧を求める一例を示している。
【0090】
図8を参照すると、目標電圧V(n)は製品設計及び開発ステップで確定された初期レジスタ値により任意に決まり、目標輝度L(n)は製品開発スペックにより決まったホワイト輝度、ホワイト色座標、ガンマ傾き、RGB色座標、ホワイトバランスを考慮した色座標変換式により決まる。したがって、目標電圧V(n)と目標輝度L(n)は、全て補正ステップの以前に予め分かる値である。目標電圧(V(n))と目標輝度(L(n))が決まれば、効率比例ファクター(c1)と臨界点比例ファクター(c2)が数式により算出され、算出された最大輝度で伝達ファクターによる関係、算出された臨界輝度で伝達ファクターによる関係、及び中間輝度で傾きによる伝達関数関係が目標補正ステップで一致すれば、その補正差は電圧差により補償されて目標レジスタに格納される。
【0091】
但し、目標補正の以後の補正ステップの遂行のためには、目標電圧(V(n))に対応する傾きファクター(r)と目標輝度(L(n))に対応する傾きファクター(1/r)とを一致させる過程が必ず必要である。電圧傾きの逆数である輝度傾きと輝度傾きの逆数である電圧傾きとを互いに一致させる過程を通じて、2つ傾き間の差を電圧差、即ちガンマ電圧レジスタに補償しなければならないが、この過程が目標補正である。目標補正過程では、製品開発時に確保された初期レジスタやデータ駆動ICに内蔵された任意の初期レジスタ値をr=1/r関係に一致させることで、目標レジスタ値を得る。この目標補正過程を通じて数式上得られた効率比例ファクター(c1)と、臨界点比例ファクター(c2)が、電圧伝達関数式と輝度伝達関数式との間の逆関数関係(r=1/r)を形成させる。以後の諸般補正は2つ伝達関数式の間の逆関数関係が確立された状態で進行される。
【0092】
伝達ファクター(c1、c2、r)は、種々の変数(例えば、製造工程、時間老化、周辺環境変化等)により各々初期基準値(目標補正ステップで任意に与えられた値)からc1A、c2A、及びrAに変わるので、目標電圧(V(n))に対応する測定輝度(L(n+1))は目標輝度(L(n))と差を見せるようになる。したがって、測定輝度(L(n+1))が目標輝度(L(n))と同一になるようにするためには、目標電圧(V(n))を補正しなければならない。この場合、本発明は目標電圧(V(n))と測定輝度(L(n+1))を用いてc1A、c2A、及び1/rAを算出し、c1A、c2A、及び1/rAと共に目標輝度(L(n))を伝達関数に適用して、変更前後において伝達ファクターの差を電圧値に換算する。ここで、rAは電圧伝達関数の変更された傾きファクターであって、測定輝度から分かる輝度伝達関数の変更された傾きファクター(1/rA)を逆算することによって容易に得られる。本発明は、換算された電圧値だけガンマレジスタを変更して補正電圧(V(n+2))を発生し、この補正電圧(V(n+2))をサブピクセルに印加して所望の目標輝度(L(n))を維持する。
【0093】
一方、目標補正の以後の諸般補正では補正電圧を求めるための伝達ファクターの算出の前にIRドロップ補正が遂行される。本発明のIRドロップ補正は、静的補正に該当する配線抵抗IRドロップ補正と、動的補正に該当するデータ変化量IRドロップ補正を全て含む。
【0094】
2.伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システム
図9は、伝達関数のファクター値調整及びその動作処理のための補正システムを示す。
【0095】
図9を参照すると、本発明の実施形態に従う補正システムは、コントロールセンター10、駆動ボード20、輝度測定器30、及び有機発光ダイオード表示装置40を具備する。
【0096】
コントロールセンター10は、諸般補正(目標補正、零点補正、自動補正)のステップ別の遂行のための作業命令信号を駆動ボード20に供給するためのプロセッサー(Processor)であって、主に製造工程中ではPC(Personal Computer)で、完成品セット(Set)状態ではMCU(Micro Computer Unit)で具現できる。コントロールセンター10は製造工程だけでなく完成品出荷の後にも電圧及び輝度伝達関数を通じた補正作業が遂行できるように作業命令信号を発生して補正過程を統制する。コントロールセンター10は、輝度測定器30の動作タイミングを制御し、輝度測定のための指定されたテストパターンがOLEDパネル44に供給できるようにデータ駆動IC 42を制御し、輝度測定器30から入力される輝度測定データを駆動ボード20を通じてデータ駆動IC 42に供給する。一方、コントロールセンター10は輝度測定のための指定されたテストパターンを直接OLEDパネル44に提供することもできる。
【0097】
駆動ボード20は、第1インターフェース201、目標コードメモリ202、デフォルトコードメモリ203、信号処理センター204、PVDD/PVEE電源発生器205、IC電源発生器206、MTP電源発生器207、初期コード実行信号発生器208、伝達関数コントロールデータ伝達部209、目標値/初期コードデータ伝達部210、目標/デフォルトコードデータ伝達部211、輝度測定データ伝達部212、及び第2インターフェース213などを含む。駆動ボード20は、製造上では通常、コントロールセンター10と別途に製作されるが、完成品セット状態ではコントロールセンター10と一体にシステムボードに内蔵される。
【0098】
信号処理センター204は、コントロールセンター10の制御下にPVDD/PVEE電源発生器205、IC電源発生器206、MTP電源発生器207、初期コード実行信号発生器208、伝達関数コントロールデータ伝達部209、目標値/初期コードデータ伝達部210、目標/デフォルトコードデータ伝達部211、輝度測定データ伝達部212、目標コードメモリ202、デフォルトコードメモリ203などの動作のための信号を処理する。信号処理センター204は、コントロールセンター10から入力される輝度測定データを第2インターフェース212を介してデータ駆動IC 42に供給する。信号処理センター204は、第2インターフェース212を介して入力される目標コード及びデフォルトコードを目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納する。一方、信号処理センター204は、図9及び図10の図示とは異なり、電圧伝達関数及び輝度伝達関数を処理するための伝達関数処理部406を直接含むこともできる。この場合、信号処理センター204は、コントロールセンター10から入力される輝度測定データを自体的に処理した後、その結果に該当する目標コード及びデフォルトコードを目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納することもできる。
【0099】
PVDD/PVEE電源発生器205は、コントロールセンター10の制御下にOLEDパネル44の駆動に必要なセル駆動電圧(PVDD、PVEE)を発生する。
【0100】
IC電源発生器206は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42で必要なロジック電圧とガンマ電圧、OLEDパネルスイッチ電圧などを含んだ基本電圧を発生する。
【0101】
MTP電源発生器207は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42に内蔵されるMTP(Multi Time Programmable)メモリにMTPレジスタダウンのための指定されたタイミングに合せてMTP駆動電源を供給する。
【0102】
初期コード実行信号発生器208は、コントロールセンター10の制御下にデータ駆動IC 42の最初駆動時、初期レジスタ値の設定のための実行信号を発生する。この初期レジスタ値は、開発ステップで製品の特性によって求められるレジスタであって、同一システムを使用するために基本的に提供されるイニシャルコードの1つである。
【0103】
伝達関数コントロールデータ伝達部209は、コントロールセンター10から入力された伝達関数処理のためのコントロールデータをデータ駆動IC 42に伝達する。
【0104】
目標値/初期コードデータ伝達部210は、コントロールセンター10から入力された目標値と初期コードをデータ駆動IC 42に伝達する。目標値は、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)、高電位セル駆動電圧(PVDD)と低電位セル駆動電圧(PVEE)、目標輝度値、ガンマ傾き値、及びRGBWの各色座標値などを含む。
【0105】
目標/デフォルトコードデータ伝達部211は、データ駆動IC 42から入力される目標コード及びデフォルトコードを信号処理センター204を経由して目標コードメモリ202及びデフォルトコードメモリ203に格納する。目標コードは、伝達関数式を通じて目標補正(target
calibration)を遂行した結果によって生成されるコードである。デフォルトコードは、伝達関数式を通じて零点補正を遂行した結果によって生成されるコードである。
【0106】
第1インターフェース201はコントロールセンター10と駆動ボード20との間の信号転送を担当し、第2インターフェース213は駆動ボード20とデータ駆動IC 42との間の信号転送を担当する。
【0107】
輝度測定器30は、RGBWテストパターンに対する有機発光ダイオード表示装置40の出力輝度を測定してコントロールセンター10に供給する。コントロールセンター10は、入力を受けた輝度測定データを駆動ボード20を通じてデータ駆動IC 42に供給する。
【0108】
有機発光ダイオード表示装置40については図10乃至図22を通じて詳細に説明する。
【0109】
図10は、有機発光ダイオード表示装置40の内部構成を詳細に示す。図11a乃至図11cは、RGB別の階調電圧生成回路を示している。図12はRGB別のオフセット調整部の作用効果を示し、図13はRGB別のゲイン調整部の作用効果を示し、図14はRGB別の階調電圧調整部の作用効果を示している。
【0110】
図10を参照すると、有機発光ダイオード表示装置40は、データ駆動IC 42とOLEDパネル44を備える。
【0111】
データ駆動IC 42は、輝度測定データ入力部401、目標/デフォルトコード出力部402、目標値/初期コードデータ入力部403、伝達関数コントロールデータ入力部404、初期コード実行部405、伝達関数処理部406、初期コードデータメモリ406、目標/デフォルトレジスタメモリ408、自動/寿命レジスタMTPメモリ409、基準電源電流値MTPメモリ410、RGBパターン発生部411、IC駆動電源発生部412、PVDD電源電流検出部413、温度検出部414、光漏洩電流検出部415、階調電圧発生回路、IRドロップ補償部421、デコーダセレクター422R、422G、422B、出力バッファー423などを含む。
【0112】
輝度測定データ入力部401は、駆動ボード20から入力される輝度測定データを処理して伝達関数処理部406に供給する。
【0113】
目標/デフォルトコードデータ出力部402は、伝達関数処理部406から目標コードデータとデフォルトコードデータの入力を受けて、この目標コードデータ及びデフォルトコードデータを駆動ボード20に供給する。
【0114】
目標値/初期コードデータ入力部403は、駆動ボード20から入力される目標輝度データと初期コードデータを伝達関数処理部406に供給する。
【0115】
伝達関数コントロールデータ入力部404は、駆動ボード20から入力される伝達関数コントロールデータをデータ駆動IC 42に供給する。
【0116】
初期コード実行部405は、駆動ボード20から入力される初期コードデータを実行してデータ駆動IC 42の初期レジスタ値を設定する。OLEDパネル44を初期駆動するための各種電圧、解像度、駆動タイミング、ガンマ抵抗設定値等は、初期レジスタ値によりセッティングされる。
【0117】
伝達関数処理部406は、電圧伝達関数及び輝度伝達関数を処理するための伝達関数アルゴリズムをロジック回路として含んでコントロールセンター10が指し示すステップによって諸般補正のための演算過程を遂行する。伝達関数処理部406は、目標補正、零点補正、自動補正、及び寿命補正のために、伝達関数アルゴリズムを実行して伝達ファクター(効率比例ファクター、臨界点比例ファクター、傾きファクター)を算出し、その算出結果を用いた伝達関数演算を通じて補正すべき電圧差を導出し、導出された電圧差に対応してRGBガンマレジスタの設定値を変更する。伝達関数処理部406は、環境補正時、伝達関数アルゴリズムを実行してガンマ電源電圧のレベルを調整するためのダイナミックレジスタの設定値を変更する。伝達関数処理部406は、図18乃至図21のような静的IRドロップ補償動作を遂行する。一方、伝達関数処理部406は、図10の図示とは異なり、駆動ボード20の信号処理センター204に内蔵されることもできる。
【0118】
初期コードデータメモリ406は、目標値/初期コードデータ入力部404を通じて入力される初期コードデータを格納する。
【0119】
目標/デフォルトレジスタメモリ408は、伝達関数処理部406での目標補正及び零点補正の遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタに対応する目標レジスタ及びデフォルトレジスタを順次に格納する。
【0120】
自動/寿命レジスタMTPメモリ409は、伝達関数処理部406での自動補正遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタ値を自動レジスタにして格納し、寿命補正遂行結果によって変更されるRGBガンマレジスタ値を寿命レジスタにして格納する。
【0121】
基準電源電流値MTPメモリ410は、零点補正時、RGBW別に8個の階調パターンの各々に対して設定される輝度−電流割合値を格納する。輝度−電流割合値はPVDD電源電流検出部413で設定される。
【0122】
RGBパターン発生部411は、コントロールセンター10の制御下に諸般補正(零点補正、自動補正、寿命補正等)で使われるテストパターンを作ったり、あるいはコントロールセンター10からテストパターンの提供を受けた後、このテストパターンをOLEDパネル44に印加する。テストパターンは、各階調間の電圧−輝度連結点で輝度測定に用いられるデータを指し示す。
【0123】
IC駆動電源発生部412は、駆動ボード20から入力されるIC電源発生器206の電圧をレベルシフティングして階調電圧発生回路のガンマ抵抗を駆動させるための高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を発生する。
【0124】
PVDD電源電流検出部413は寿命補正のためのものである。寿命補正は、寿命減少に従う電流変動差を輝度差に換算するためのものであって、零点調整時、各階調間の目標輝度で高電位セル駆動電圧(PVDD)の供給配線に流れる電流値に基づいて基準電源電流値MTPメモリ410に輝度−電流割合値を格納した後、寿命減少により輝度が減少すれば、各階調で抵抗上昇による電流減少分をセンシングする。本発明は、寿命減少による電流減少分だけの電圧を上昇させて供給配線に流れる電流を零点補正時の基準電流値に一致させる。PVDD電源電流検出部413の詳細構成については図15で後述する。
【0125】
温度検出部414及び光漏洩電流検出部415は環境補正のためのものである。環境補正のうち、温度補正は外部的な影響による周辺温度変化と内部的な影響による動作温度変化に対処するためのものであって、周辺温度変化は初期基準点設定時に殆ど反映されて大きい変化を有しないが、内部動作の変化は動作時間の経過に比例して持続的に上昇するようになる。温度検出部414は、データ駆動IC 42の内部に位置してOLEDパネル44の直接放熱部位でデータ駆動IC 42に伝達される熱を感知するので、即刻的で、敏感な増減よりは、持続的で、全体的な温度変化を検出することに容易である。本願の温度補正は、温度上昇時、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を上昇させて(P−type
LTPSバックプレーンの場合)全体消費電力を減らすことで、内部的に発生する熱を緩やかで、かつ持続的な補正に縮める。一方、温度補正により全体電源の大きさが減るにつれて臨界点が低くなることがあるので、温度補正時には臨界点補正を併行することが好ましい。
【0126】
光漏洩電流の補正は、光や温度上昇によるバックプレーンの駆動素子で臨界点上昇による低輝度データの損失を防ぐための補正である。光漏洩電流が上昇するだけ臨界点の下落が発生するので( P−type)、光漏洩電流の補正は電圧伝達曲線の低輝度電圧である高電位ガンマ電源電圧(VDDH)を低めることで、全体の電圧曲線のサイズを低める。光漏洩電流の補正は、急激な変動よりは緩やかで、かつ持続的な変動を要する補正である。光漏洩電流は、ディスプレイの内部光より外部周辺光と内部温度により大きい影響を受けるので、光漏洩電流検出部415は、持続的な変化を検出できるようにデータ駆動IC 42の内に位置することが好ましい。
【0127】
このような環境補正のためには、環境要因検出による環境補正対応速度と検出感度、及び電圧補正の最高及び最低値の制限点が予め設定される必要がある。温度検出部414及び光漏洩電流検出部415については図16及び図17の説明で後述する。
【0128】
階調電圧発生回路は、補正遂行結果に従うRGBガンマレジスタの設定値が変更されるか、または、ダイナミックレジスタの設定値が変更される場合、それに相応して階調電圧を変更させる。階調電圧発生回路は、DY1調整部416、Rガンマ調整部417R、418R、419R、Gガンマ調整部417G、418G、419G、Bガンマ調整部417B、418B、419B、及びDY2調整部420を含む。
【0129】
DY1調整部416は、図11a乃至図11cのように、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力端に接続された第1ダイナミック抵抗DY−1と第1ダイナミックレジスタRG1を含み、第1ダイナミックレジスタRG1に従う第1ダイナミック抵抗DY−1の抵抗値の変更に応答して高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する。
【0130】
DY2調整部420は、図11a乃至図11cのように、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力端に接続された第2ダイナミック抵抗DY−2と第2ダイナミックレジスタRG12を含み、第2ダイナミックレジスタRG12に従う第2ダイナミック抵抗DY−2の抵抗値の変更に応答して低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する。
【0131】
Rガンマ調整部417R、418R、419Rは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたRオフセット調整部417R、Rガンマ電圧調整部418R、Rゲイン調整部419Rを含む。
【0132】
Rオフセット調整部417Rは、図11aのように、Rオフセット抵抗VR1−RとRオフセットレジスタRG2を含み、RオフセットレジスタRG2に従うRオフセット抵抗VR1−Rの抵抗値の変更に応答して、図12のように、電圧伝達関数のオフセット(b)と輝度伝達関数のオフセット(B)を調整する。
【0133】
Rゲイン調整部419Rは、図11aのように、Rゲイン抵抗VR2−RとRゲインレジスタRG11を含み、RゲインレジスタRG11に従うRゲイン抵抗VR2−Rの抵抗値の変更に応答して、図13のように、電圧伝達関数の振幅(a)と輝度伝達関数の振幅(A)を調整する。
【0134】
Rガンマ電圧調整部418Rは、図11aのように、Rオフセット調整部417RとRゲイン調整部419Rとの間に接続された多数のR傾き可変抵抗R1−R〜R8−RとRガンマレジスタRG3〜RG10を含む。RガンマレジスタRG3〜RG10は、ガンマ傾き調整レジスタで、8ポイントでガンマ基準電圧(V0、V10、V36、V80、V124、V168、V212、V255)のレベルを調整する。Rガンマ電圧調整部418Rは、RガンマレジスタRG3〜RG10に従うR傾き可変抵抗R1−R〜R8−Rの抵抗値の変更に応答して、図14のように、電圧伝達関数の傾き(r)と輝度伝達関数の傾き(1/r)を調整する。Rガンマ電圧調整部418Rは、傾きが調整されたガンマ基準電圧(V0、V10、V36、V80、V124、V168、V212、V255)を内部的に指定されたガンマ分圧抵抗(図示せず)を通じて追加的に分圧して最終ガンマ電圧(V0、V1、V2、…V254、V255)を出力する。
【0135】
Gガンマ調整部417G、418G、419Gは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたGオフセット調整部417G、Gガンマ電圧調整部418G、Gゲイン調整部419Gを含む。図11bのGガンマ調整部417G、418G、419Gの構成は、前述したRガンマ調整部と実質的に類似するので、
詳細な説明は省略する。
【0136】
Bガンマ調整部417B、418B、419Bは、DY1調整部416とDY2調整部420との間に接続されたBオフセット調整部417B、Bガンマ電圧調整部418B、及びBゲイン調整部419Bを含む。図11cのBガンマ調整部417B、418B、419Bの構成は、前述したRガンマ調整部と実質的に類似するので、詳細な説明は省略する。
【0137】
IRドロップ補償部421は、データ変動量に従う動的IRドロップを補償するためのものである。IRドロップ補償部421は、位置別の配線抵抗差に従う静的IRドロップが補償された全サブピクセルの数だけのデジタルビデオデータの入力を受けて動的IRドロップを補償した後、デコーダセレクター422R、422G、422Bに供給したり、または、RGBテストパターンであるデジタルビデオデータの入力を受けてデコーダセレクター422R、422G、422Bに供給する。IRドロップ補償部421については図22の説明で後述する。
【0138】
デコーダセレクター422R、422G、422Bは、Rデコーダセレクター422R、Gデコーダセレクター422G、及びBデコーダセレクター422Bを含む。Rデコーダセレクター422Rは、IRドロップ補償部421から入力されるRデジタルデータをRガンマ電圧調整部418Rから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をRデータ電圧で発生する。Gデコーダセレクター422Gは、IRドロップ補償部421から入力されるGデジタルデータをGガンマ電圧調整部418Gから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をGデータ電圧で発生する。同様に、Bデコーダセレクター422Bは、IRドロップ補償部421から入力されるBデジタルデータをB階調電圧調整部418Bから入力される最終ガンマ電圧(V0〜V255)にマッピングしてアナログガンマ電圧に変換し、このガンマ電圧をBデータ電圧として発生する。
【0139】
出力バッファー423は、RGBデータ電圧の出力を安定化させた後、OLEDパネル44のデータライン(DL)に供給する。
【0140】
OLEDパネル44は、画像表示のための表示パネルとして機能する。OLEDパネル44は、有効表示領域に形成されるセルアレイと、有効表示領域の外側の非表示領域に形成されるゲート駆動回路43を含むことができる。セルアレイは、図3で説明したものと実質的に同一である。ゲート駆動回路43は、セル内のスイッチTFT(ST)をターンオンさせるためのゲートハイ電圧とスイッチTFT(ST)をターンオフさせるためのゲートロー電圧との間でスイングされるスキャンパルスを発生する。そして、このスキャンパルスをゲートライン(GL)に供給してゲートライン(GL)を順次的に駆動させることによって、データ電圧が供給されるセルアレイの水平ラインを選択する。ゲート駆動回路43は、図示したように、GIP(gate driver IC in panel)方式によってOLEDパネル44の内に形成されることもできる。また、ゲート駆動回路43は、図32のような大面積OLEDパネル44の場合、TAB(tape automated bonding)工程を通じてOLEDパネル44の外部でゲートラインに連結されることもできる。
【0141】
図15は、PVDD電源電流検出部413の細部構成を示す。
【0142】
図15を参照すると、PVDD電源電流検出部413は寿命補正のためのものであって、ピクセル駆動電源発生部43からOLEDパネル44に印加される高電位セル駆動電圧(PVDD)の変化をセンシングする。このために、PVDD電源電流検出部413は、高電位セル駆動電圧(PVDD)の供給配線に流れる電流をセンシングする比較部413A、比較部413Aからのセンシング電流をアナログ−デジタル変換するADC 413Bを含む。図15で、PVDD’は変化された高電位ピクセル駆動電圧を、Rsは電流センシングのためのセンシング抵抗を各々指し示す。伝達関数処理部406は、指定されたテストパターンにより指定された輝度が発揮されるように調整される零点補正ステップで、ADC 413Bから入力される検出電源電流値を基準電源電流値にして基準電源電流値MTPメモリ410に予め格納する。そして、伝達関数処理部406は、寿命補正時、基準電源電流値MTPメモリ410に既格納された輝度−電流割合値を参照にして指定されたテストパターンによりADC 413Bから入力される検出電源電流値に対応する輝度値を導出する。そして、伝達関数処理部406は、コントロールセンター10からの命令信号に応答して導出された輝度値に基づいて寿命補正のためにRGB別にセル駆動電圧のレジスタ抵抗値を変更する。
【0143】
図16は、温度検出部414の細部構成を示す。
【0144】
図16を参照すると、温度検出部414は周辺温度変更により駆動条件が変更されることを補正するためのものであって、センシングされた温度を指定された初期値と比較し、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。このために、温度検出部414は、温度センシング部414A、スイッチング部414B、第1のADC414C、温度信号メモリ414D、第2のADC
414E、及び比較部414Fを含む。
【0145】
温度センシング部414Aは、温度センサーを含んで有機発光ダイオード表示装置40の温度をセンシングする。スイッチング部414Bは、有機発光ダイオード表示装置40が定常駆動された以後の所定時間の間ターンオンされて温度センシング部414Aから入力される温度センシング値を基準温度値にして第1のADC 414Cに供給する。ここで、所定時間の開始時点と期間は必要によって変更されることができ、伝達関数処理部406により統制されることが好ましい。第1のADC
414Cは、基準温度値をアナログ−デジタル変換して温度信号メモリ414Dに格納する。第2のADC
414Eは、温度センシング部414Aから続けて入力される温度センシング値を現在温度値にしてアナログ−デジタル変換する。必要によって第1のADC 414Cと第2のADC 414Eは、1つのADCとこのADCの出力をスイッチングするための1つのスイッチに取替できる。比較部414Fは基準温度値と現在温度値とを比較した後、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。すると、伝達関数処理部406はコントロールセンター10からの命令信号に応答してDY2調整部420を制御して低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する。
【0146】
長時間使用に従う内部温度や周辺温度によって伝達関数ファクターが変わって出力輝度が変更された場合、このような低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベル調整により目標輝度への補正が可能になる。温度上昇は、発光効率及び消費電力を上昇させ、使用寿命を減少させる。これを補正するために、ガンマ抵抗曲線の全体的な特性形態を維持しながら低電位ガンマ電源の大きさを高めれば(言い換えると、電圧差の大きさを縮めれば)、消費される電流量が減少して温度が基準点に落ちて、定常使用寿命が増える。基準点には定常動作時間での周辺温度による影響と基本的な動作で発生する自体発熱量が反映されている。
【0147】
図17は、光漏洩電流検出部415の細部構成を示す。
【0148】
図17を参照すると、光漏洩電流検出部415は、OLEDパネル44の駆動TFT(DT)で発生する光漏洩電流によるオフカレントによって低階調具現できないことを補償するためのものであって、センシングされた光漏洩電流を初期値と比較し、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。このために、光漏洩電流検出部415は、光漏洩電流センシング部415A、スイッチング部415B、第1のADC
415C、光漏洩電流メモリ415D、第2のADC 415E、及び比較部415Fを含む。
【0149】
光漏洩電流センシング部415Aは、電流センサー(L)を含んで駆動TFT(DT)の光漏洩電流をセンシングする。スイッチング部415Bは、有機発光ダイオード表示装置40が定常駆動された以後の所定時間の間ターンオンされて光漏洩電流センシング部415Aから入力される光漏洩電流センシング値を基準漏洩電流値にして第1のADC
415Cに供給する。ここで、所定時間の開始時点と期間は必要によって変更されることができ、伝達関数処理部406により統制されることが好ましい。第1のADC
415Cは、基準漏洩電流値をアナログ−デジタル変換して光漏洩電流メモリ415Dに格納する。第2のADC 415Eは、光漏洩電流センシング部415Aから続けて入力される光漏洩電流センシング値を現在漏洩電流値にしてアナログ−デジタル変換する。必要によって、第1のADC 415Cと第2のADC 415Eは、1つのADCとこのADCの出力をスイッチングするための1つのスイッチに取替できる。比較部415Fは、基準漏洩電流値と現在漏洩電流値とを比較した後、その比較結果を伝達関数処理部406に供給する。すると、伝達関数処理部406は、コントロールセンター10からの命令信号に応答してDY1調整部417を制御して高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する。光漏洩電流によって臨界点付近の低階調表現が正しくない場合、このような高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベル調整により動作電流の臨界点付近電圧が変更されるため、低階調表現が可能になる。光漏洩電流に対する補正の主な目的は、外部光や動作温度上昇による臨界点の下落による低輝度表示損失を防止するために、全体ガンマ抵抗による電圧関係や特性はそのまま維持しながら臨界電圧を低めようとするものである(P−typeに該当する)。
【0150】
図18は、電源供給配線の位置別の抵抗差による静的IRドロップが発生する原因を示す。
【0151】
OLEDパネルに形成されたピクセル駆動電圧の供給配線には、図18のように、配線抵抗(RD1、RD2、RD3、RE1、RE2、RE3)が存在する。このような配線抵抗(RD1、RD2、RD3、RE1、RE2、RE3)は、静的IRドロップの発生の原因となる。零点、自動、寿命補正ステップでのガンマ補正時には、RGBデータが最大であるホワイト状態で配線抵抗による静的IRドロップのみを対象にする。
【0152】
効率比例ファクター(c1)には、前述したように、入力電圧と出力輝度との間の全ての変更ファクターが総合的に含まれている。同一な入力電圧に対して発生する静的IRドロップは効率比例ファクター(c1)に含まれ、静的IRドロップにより発生する出力輝度変化は各階調別の効率比例ファクター(c1)の変化と比例関係を有するようになる。RGBが単独で駆動される時の静的IRドロップと、RGBが同時に駆動される時の静的IRドロップは、同一電圧条件で得られた結果であるので、互いに比例する。効率比例ファクター(c1)の比例関係を輝度測定により各階調別に求めると、効率比例ファクター(c1)が結局、静的IRドロップの比例関係に使われることができる。単独RGB駆動と同時RGB駆動との比例関係によって最大IRドロップが求められ、この最大IRドロップが配線抵抗による静的IRドロップとして、零点、自動、寿命補正ステップでのガンマ補正時に反映される。但し、RGB相互間のデータ変動量による動的IRドロップは、入力データに対する分析結果に基づいて求められ、これは図10のIRドロップ補償部421によりリアルタイムに入力データに反映される。
【0153】
図19は、静的IRドロップにより発生する各色相別及び階調別のIRドロップ量と、ホワイトバランス適用時に考慮しなければならないW、R、G、Bで輝度が静的IRドロップにより減少することを示している。図20は、ホワイト状態の静的IRドロップでRGB別の静的IRドロップ割合を算出するためのIRドロップ伝達ファクターを求めることを示している。そして、図21は、IRドロップ伝達ファクターによる割合で、ホワイト輝度で発生した全体静的IRドロップを各RGB別及び各階調別に求める方法を示す。
【0154】
図19乃至図21を参照すると、n階調で、理論的なホワイト輝度(W_SUM(n))は、単独駆動時のRの輝度(LR(n))、単独駆動時のGの輝度(LG(n))、及び単独駆動時のBの輝度(LB(n))の各々の輝度の和として定義され、実際ホワイト輝度(LW(n))はRGB同時駆動時の輝度であって、理論的なホワイト輝度(W_SUM(n))より小さい。したがって、ホワイトIRドロップ輝度量(IR_W(n))はW_SUM(n)−LW(n)となる。
【0155】
ホワイト具現時のRの輝度(IR_RED(n))は、単独駆動時のRの輝度(LR(n))でホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分(IR_R(n))を引いた値(LR(n)−(IR_R(n)))となる。前述した比例関係によって、静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分(IR_R(n))はIR_W(n)*{c1R(n)/(c1R(n)+c1G(n)+c1B(n))}のように求められる。
【0156】
ホワイト具現時のGの輝度(IR_GREEN(n))は、単独駆動時のGの輝度(LG(n))からホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分(IR_G(n))を引いた値(LG(n)−(IR_G(n)))となる。静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分(IR_G(n))は、IR_W(n)*{c1G(n)/(c1R(n)+c1G(n)+c1B(n))}のように求められる。
【0157】
ホワイト具現時のBの輝度(IR_BLUE)は、単独駆動時のBの輝度(LB(n))からホワイト駆動時の静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分(IR_B(n))を引いた値(LB(n)−(IR_B(n))となる。静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分(IR_B(n))は、IR_W(n)*{c1B/(c1R+c1G+c1B)}のように求められる。
【0158】
前述した内容を整理すれば、下記の<数式9>の通りである。
【0159】
[数9]
IR_W(n) = W_SUM(n) - LW(n),
W_SUM(n) = LR(n)+LG(n)+LB(n),
IR_RED(n) = LR(n) - IR_R(n),
IR_GREEN(n) = LG(n) - IR_G(n),
IR_BLUE(n) = LB(n) - IR_B(n),
IR_R(n) = IR_W(n) * c1R(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
IR_G(n) = IR_W(n) * c1G(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
IR_B(n) = IR_W(n) * c1B(n) / (c1R(n)+ c1G(n)+ c1B(n)),
c1R(n) = LR(n) / VR(n),
c1G(n) = LG(n) / VG(n),
c1B(n) = LB(n) / VB(n)
【0160】
<数式9>で、nは0〜255間の階調を、IR_W(n)はn階調でホワイトの静的IRドロップ輝度量を、W_SUM(n)はn階調で理論的なホワイト輝度を、LW(n)はn階調で実際ホワイト輝度を、LR(n)はn階調でRの単独輝度を、LG(n)はn階調でGの単独輝度を、LB(n)はn階調でBの単独輝度を、IR_R(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するRの寄与分を、IR_G(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するGの寄与分を、IR_B(n)はn階調で静的IRドロップ輝度量に対するBの寄与分を、c1R(n)はn階調でRの静的IRドロップ効率比例ファクターを、c1G(n)はn階調でGの静的IRドロップ効率比例ファクターを、c1B(n)はn階調でBの静的IRドロップ効率比例ファクターを、VR(n)はn階調でRの駆動電圧を、VG(n)はn階調でGの駆動電圧を、VB(n)はn階調でBの駆動電圧を各々指し示す。
【0161】
<数式9>のように、n階調でW_SUM(n)とLW(n)を求めた後、その差を計算すれば、RGBが同一な輝度で最大静的IRドロップであるIR_W(n)を求めることができる。最大静的IRドロップが発生する場合は、各階調でRGBデータが同一な割合で含まれて全体的にホワイトデータが印加される状態である。計算の便宜上、nは256階調のうち、代表変曲点である8階調ポイントのみを対象にすることができる。
【0162】
最大IR_W(n)量に対するRGB配線の寄与度を求めるには、各階調でRGBの各々の静的IRドロップ効率ファクターであるc1R、c1G、c1Bを求めて、静的IRドロップされるIR_W(n)のうち、RGBの各々の寄与度であるc1R/(c1R+c1G+c1B)、c1G/(c1R+c1G+c1B)、及びc1B/(c1R+c1G+c1B)を求めればよい。図10の伝達関数処理部406は、図20と同一な方法によりRGBの各々の8個の階調ポイントのみを対象に、電圧−輝度の間の静的IRドロップ効率比例ファクター(c1R(n)、c1G(n)、c1B(n))を求めることができる。<数式9>の静的IRドロップ効率比例ファクターは、<数式5>で、輝度値(A+B)をガンマ電圧(a)で割った値に簡略化したものである。初期状態で、電源電圧(V、V1)は固定されるので、定数として取り扱われる。
【0163】
図20のような方法により得られた静的IRドロップ効率比例ファクターで、図21のような過程を経れば、各階調で静的IRドロップ補正のためのガンマレジスタ値が算出される。このレジスタ値はガンマ階調電圧調整に使われる。
【0164】
図22は、データ変化量による動的IRドロップを補正するための図10のIRドロップ補償部421の構成を詳細に示す。
【0165】
図22を参照すると、IRドロップ補償部421は、水平(または、垂直)ライン別に入力デジタルビデオデータの階調値を分析して、入力画像が動的なIRドロップを主に発生させる低階調背景画面に高階調特定パターンが存在する場合に該当されるかを判断する。そして、IRドロップ補償部421は、入力画像が動的なIRドロップを発生させるケースに該当されれば、動的IRドロップ量だけ入力データを補償して出力し、そうでなければ、入力データをバイパスさせる。
【0166】
このために、IRドロップ補償部421は、階調検出部421A、第1ラッチ421B、第2ラッチ421C、データ補償部421D、及びレベルシフター421Eなどを含む。
【0167】
階調検出部421Aは、各サブピクセル別に入力される8ビット2進数デジタルビデオデータ(Ri、Gi、Bi)を10進数に変換して、256階調のうちの該当階調で表現することによって、水平(または、垂直)ライン全体のデータに対する階調値を求める。そして、階調検出部421Aは、各水平(または、垂直)ラインでの階調別の占有個数と階調別の輝度差などに基づいてクロストークを誘発する階調を分析し、クロストーク発生階調のデータ量による動的IRドロップ量を算出する。階調検出部421Aは、図10の伝達関数処理部406から水平(または、垂直)ライン階調の検出するか否かに対する指示、動的IRドロップ量の算出のための基準レベルなどを入力を受けることができる。
【0168】
第1ラッチ421Bは、各サブピクセル単位で入力される入力デジタルビデオデータ(Ri、Gi、Bi)をサンプリングし、そのデータを1水平ライン分ずつラッチした後、1水平ライン分のデータを同時に出力する。
【0169】
第2ラッチ421Cは、第1ラッチ421Bから入力される1水平ライン分のデータを1水平ライン周期でラッチした後、出力する。
【0170】
データ補償部421Dは、階調検出部421Aから入力される検出情報、即ちクロストーク発生階調とその階調のデータ量による動的IRドロップ量に基づいて実際補償しなければならない輝度差による電圧量を2進数補償データで発生し、この補償データを第2ラッチ421Cから入力されるデータに加算して動的IRドロップを補償する。補償データは、各水平(あるいは、垂直)ライン分に該当するデータに一律的に加算されることもでき、クロストークが大きく発生する特定低輝度データのみに選別的に加算されることもできる。
【0171】
レベルシフター421Eは、データ補償部421Dから入力される動的IRドロップが補償されたデジタルビデオデータをレベルシフティングした後、図10のデコーダセレクター422R、422G、422Bに供給する。レベルシフティングの目的は、デコーダセレクター422R、422G、422Bの動作に適正な電圧レベルに変換するためである。
【0172】
水平ライン別の動的IRドロップを適用するために、IRドロップ補償部421は、毎入力データをリアルタイム階調データに変換し、1ラインずつ分析が完了して補償値が決定されれば、第2ラッチ421Cが実行された後、1ライン全体に対する補償値を1水平ライン分のデータに適用する。但し、垂直ライン別の動的IRドロップを適用するためには、1フレームのデータ分析期間がかかるので、IRドロップ補償部421はフレームメモリを更に含んで現在垂直ラインデータを分析した後、次のフレームに適用することもできる。但し、垂直ライン補償のためにフレームメモリを使用せず、単に現在フレームを分析して次のフレームに適用しても画面が毎フレーム単位で新たな画面に変わらないので、使用上、全く問題とならない。
【0173】
このように、IRドロップ補償部421は、入力される各サブピクセルの2進データを10進階調レベルに変換及び分析した後、クロストークレベルのデータを検出して補償程度を判断した後、補償程度に合う階調補償値を入力データに加算することによって、動的IRドロップをリアルタイム補償することができる。IRドロップ補償部421の動作は、図10のように、データ駆動IC 42に内蔵されて遂行されることもできる。但し、静的IRドロップによるガンマ階調調整がなされた状態であれば、IRドロップ補償部421の動作はコントロールセンター10によって処理されることもできる。一方、IRドロップ補償部421は、論理回路構成上、2進数データを10進数階調に変換せず、2進数そのものの階調情報で階調を把握することもできる。
【0174】
3.伝達関数のファクター値の調整による具体的な補正方法
図23乃至図25は、本発明の実施形態に従う伝達関数のファクター値の調整による具体的な補正方法を概略的に示す。
【0175】
本発明の実施形態に従う補正方法は、製品完成前に遂行される補正と、完成品出荷後に遂行される補正を含む。製品完成前に遂行される補正は、図19のように、目標コードを生成するための目標補正ステップ(S100)、デフォルトコードを生成するための零点補正ステップ(S200)、及び自動レジスタでRGBガンマレジスタをアップデートするための自動補正ステップ(S300)を含む。そして、完成品出荷後に遂行される補正は、図20のように、寿命レジスタでRGBガンマレジスタをアップデートするための寿命補正ステップ(S400)と、図21のように、高電位ガンマ電源電圧(VDDH)と低電位ガンマ電源電圧(VDDL)を調整するための環境補正ステップ(S500)を含む。
【0176】
目標補正(Target
calibration)は、初期レジスタを用いて補正の基準となる目標輝度値を設定し、任意の目標電圧条件(開発ステップで確定された条件)によって目標輝度値と伝達関数との相関関係を定立する過程である。目標補正は、目標輝度値と任意の目標電圧条件に基づいて計算された目標補正伝達ファクターによりRGB別に8ポイントの階調レベルの各々に対して目標レジスタを求める。目標レジスタは、開発ステップで確保された初期レジスタ設定値、任意の目標電圧条件、目標ホワイト輝度、目標ホワイト色座標、及び発光有機材料の固有特性であるR(x、y)、G(x、y)、B(x、y)の色座標に基づいて求められる。この目標レジスタにより電圧及び輝度伝達関数は相関関係を有する。目標レジスタは、以後の零点補正ステップで実際環境に合う零点補正伝達ファクターを求めるための基準レジスタとして使われる。補正マージンを考慮する時、任意の電圧目標条件は開発ステップで、できる限り、零点補正に近似した条件に設定されることが好ましい。目標補正のための目標条件設定時には、ホワイトバランス補正を遂行してホワイト(W)を目標RGB輝度値に算出することが必要である。ここで、目標条件は目標電圧条件と目標輝度条件を含む。目標電圧条件は開発時確定されるものであって、データ駆動ICのガンマ電源電圧(VDDH、VDDL)、セル駆動電圧(PVDD、PVEE)、初期ガンマレジスタ値、及びRGB材料色座標値を含む。目標輝度条件は製品スペックによって決まるものであって、目標最高ホワイト輝度、及びホワイト色座標を含む。目標補正ステップでは実測データでない理論的なデータであるので、IRドロップが発生しないので、IRドロップを補正に考慮する必要がない。このような目標補正は、一般的に新たな製品のスペックが決定されて新規製品の生産が開始される場合、または電源電圧や目標輝度に関連した特性が変わる場合に主に使われる。即ち、目標補正は製品の目標やデータ駆動ICのガンマ電源電圧、セル駆動電圧などが変わる場合に遂行される。
【0177】
零点補正(Zero calibration)は、目標補正の結果として得られる目標レジスタを実際製品に印加して得られた測定輝度値で零点補正伝達ファクターを求めた後、その零点補正伝達ファクターと目標輝度値で補償電圧を求める過程で、実際製造環境と目標輝度値とを調整一致させるステップである。言い換えると、零点補正は、目標補正と同一な電圧条件及びレジスタによって得られる実測輝度を用いて零点補正伝達ファクターを求めて、輝度伝達関数式に目標輝度値と零点補正伝達ファクターを適用して目標補正伝達ファクターと零点補正伝達ファクターの差だけを補正電圧で算出するステップである。零点補正により、実測輝度は目標輝度に補正される。零点補正は、目標補正が遂行された後に遂行されることが一般的であるが、電源電圧や目標輝度に関連した特性は変わらず、材料の特性、ピクセルの構造などのみ変更された場合には独自的に遂行されることもできる。同一なスペックの製品であっても、生産時に製造特性が大きく変わる場合、零点補正を通じて、先に再調整過程を遂行すれば、以後、自動補正にかかる時間が短縮され、また自動補正の正確度が高まる。零点補正の結果、RGB別に8ポイントの階調レベルの各々に対して得られるデフォルトレジスタは、駆動ボードに格納されて同一な材料特性や構造特性を有する生産ラインに基準レジスタとして使われる。
【0178】
自動補正(Auto
Calibration)は、製造工程偏差を追加補正するために零点補正の以後に遂行されるステップである。自動補正は、製品量産ステップに適用されるので、最短時間内になされなければならない。自動補正は、零点補正と同一な過程で遂行される。量産ステップでは、伝達ファクターの差が比較的小さいので、自動補正は伝達ファクターの変動が予想される重要な部分に対してのみ補正を遂行して補正時間を短縮させる。必ず補正が必要な部分は、最大輝度、傾き輝度(中間階調輝度のうち、変曲点の大きい部分の1点)、臨界点輝度を含んだ3ポイントである。RGB別に3ポイントの階調レベルの各々に対するデータのみ確保されれば、伝達関数式により輝度値や電圧値が算出できる。但し、量産ステップでは工程が比較的安定的であるので、RGB間の傾き輝度の差は大きくない。したがって、傾き輝度はRGBのうちのいずれか1つに単純化できる。
【0179】
また、自動補正は臨界輝度のレベルを最低点より高く設定することによって、LTPSバックプレーンの最大問題である臨界点不均一による製品間の偏差の影響を考慮する必要無しで、有効使用輝度中心の補正を遂行することができる。自動補正は、臨界点設定時、実際の臨界点より高く、光輝度が安定した部分を、臨界点、傾き点に設定する。そして、自動補正は設定された臨界点の以下の不安定な輝度偏差、及びLTPSバックプレーンの臨界点不均一部分に対しては輝度伝達関数式により計算式で求めて伝達関数アルゴリズムに適用する。このようにすれば、臨界点付近の不安定な輝度特性曲線に依存せず、全体輝度特性曲線で求められる安定した目標輝度値が臨界点付近に適用できるので、常に電圧伝達関数は安定した全体特性に基づいた駆動電圧条件を提供できるようになる。前述した図6を参照すると、有効使用輝度の下の低輝度区間で臨界輝度“B”は、目標輝度設定時、ホワイトバランス補正ステップで求められるRGB間の輝度割合による最低輝度に算出されたことが分かる。
【0180】
寿命補正(Aging Calibration)は、使用時間の経過に従うRGBの各材料の効率減少によって全体輝度が減少したり、ホワイトバランスがずれて色相が変更されることを初期状態に補正するステップである。ホワイトバランスが破られる理由は、使用時間の経過によってRGBの各々の抵抗値の上昇と発光輝度低下現象が発生する時、RGBの各々の劣化程度が変わるためである。寿命補正は、完成品出荷後に製品の各々に単独に適用される過程で、既格納されていた自動補正の結果、レジスタ(自動レジスタ)を基準に寿命によりずれた伝達ファクターの差を電圧として補正する。寿命補正は、零点補正時、確保した電流量基準値(輝度−電流割合値)を参照にして寿命減少に従う電流の相対的な減少量を導出及び輝度割合で換算した後、これに基づいてRGB別にセル駆動電圧のレジスタ抵抗値を変更する。電流量の差は輝度量の差と比例関係があるので、電流量の差を輝度量の差に切り換えれば、輝度測定器の使用がなくても電流量測定によって補正遂行が可能である。但し、このためには零点補正ステップで電流量基準値が格納されなければならない。寿命補正は、故障修理時、再補正を行なう場合にも同一に適用できる。寿命補正は、RGB別の寿命差によるホワイトバランスのずれをユーザが任意の時間に再調整できる方法である。
【0181】
環境補正(Environment Calibration)は、周辺温度変更及び光漏洩電流により定常駆動条件が変更されることを補正するものであって、周辺環境条件をセンシングして変更された駆動条件を初期指定された時間の定常駆動条件と同一に一致させるものである。環境補正は、温度補正と光漏洩電流補正とに分けられる。
【0182】
温度補正は、動作温度及び周辺温度による伝達ファクターの変更により輝度が変わることを一定に維持させるために遂行される。温度変化は効率変化を、効率変化は抵抗変化を、抵抗変化は駆動電流の変化をもたらす。そして、駆動電流の変化は輝度の変化をもたらす。したがって、温度変化と輝度変化は伝達関数的な比例関係がある。温度補正は、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを温度によって増減させて伝達ファクターの変化を防止することが核心である。温度補正は、伝達ファクターが温度上昇によって持続的に上昇することによってもたらされる寿命減少と輝度量増加を防いだり、周辺温度減少による伝達ファクターの差により輝度が減少することを防止する。温度補正は、低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の調節を通じて温度上昇による動作活性化により有機膜材質の寿命減少が加速化することを防止することができ、温度上昇に従う駆動電流の増加を抑制して駆動電流量を初期値に維持させることができる。
【0183】
光漏洩電流補正は、オフカレントの上昇により低階調輝度点の動作ができないことを補償するための方法として使われる。オフカレントは周辺光の影響によりバックプレーンの駆動TFTで発生する光漏洩電流により発生する。通常、光漏洩電流によって臨界点付近の動作時、正しい低階調表現が困難である。この際、光漏洩電流が発生するだけ、動作電流の臨界点付近電圧(即ち、高電位ガンマ電源電圧(VDDH))を変更すれば、正確な低階調表現が可能になる。
【0184】
一方、本発明の補正方法は、ホワイトバランス補正(White
Balance Calibration)とIRドロップ補正(IR Drop Calibration)を更に含む。
【0185】
ホワイトバランス補正は、主に目標補正過程で具体的に遂行され、零点補正、自動補正、及び寿命補正の過程では、RGB目標輝度に実測輝度を一致させることによって、ホワイトバランスを補正状態に維持させる。伝達関数で処理される情報は、RGBの3色のみに関連したものであるが、実際の製品にはRGB組合が1つの色相として使われる。この過程で、3色の割合によって色組合結果が変わり、特にホワイトで色組合の差が明確に表れるので、3色補正のための伝達関数適用時にはホワイトバランスが考慮されなければならない。
【0186】
ホワイトバランス補正は、ホワイトバランス過程及びIRドロップ補正過程に、目標値ホワイト輝度、目標値ホワイト色座標、及びホワイトバランスが維持されるRGBの各々の輝度を求めるステップと、静的IRドロップを反映してRGB輝度に補正を行なうステップを含む。ホワイトバランス補正で得られたRGB輝度は目標補正に使われる目標輝度であり、目標補正の以後の補正でもこの関係を維持する。ホワイトバランス補正で考慮されるIRドロップは静的IRドロップであって、最大IRドロップ状態を起こすホワイト状態の全階調に対して求めた後、ホワイトバランス補正に反映される。ホワイト輝度でRGBの各々の輝度を求める方法は、公知の色座標変換公式による色座標と輝度の相関関係を応用する。
【0187】
具体的に説明すれば、ホワイトバランス過程は、CIE1931標準色度システム(Standard Chromaticity System)に準して、1931CIE−RGBシステムと1931CIE−XYZシステム間の数式の変換によりホワイト輝度での色座標x、yと、RGB輝度での色座標x、y関係によってホワイト輝度(Brightness)と色座標値(Color Coordinate
Values=Chromaticity)x、yを決定し、RGB色座標x、yが決定されれば、関連した上記数式によってRGB輝度を計算により算出する過程を指し示す。ここで、ホワイトの色座標x、yは目標輝度で決まるが、RGB輝度での色座標x、yは有機材料の実際値の入力を受けなければならない。これは、RGB輝度の正確な算出のために、実際材料の色座標によるRGB輝度割合によりホワイト色座標が決まるためである。算出されたRGB輝度を目標輝度にして、以後の補正ステップでこの目標輝度に実測輝度を一致させれば、ホワイト輝度で実測材料によるホワイトバランスが合わされる。整理すると、ホワイトバランス補正は、色座標変換式により計算されたRGB輝度と、静的IRドロップ補正によりホワイトバランスが維持されたRGB輝度を求める2過程を意味する。
【0188】
IRドロップ補正(IR Drop Calibration)は、零点補正、自動補正、寿命補正の過程で共に遂行できる。零点補正、自動補正、寿命補正などは、RGBの各々に対して遂行されるが、実際の画像ではRGBが同時に駆動され、その割合により色相を表現する。IRドロップ量は、RGBの各々に駆動することに比べて、RGBを同時に駆動した時に一層大きい。したがって、零点補正、自動補正、寿命補正などで、IRドロップ補正を遂行しないと、とんでもない結果がもたらされることがあるので、零点補正、自動補正、寿命補正時にはRGB同時駆動された時、各々の駆動抵抗の変動によるセル駆動電圧の減少とそれによる輝度減少を必ず考慮してくれなければならない。
【0189】
IRドロップは配線抵抗による静的なIRドロップとデータ変動量による動的なIRドロップとに分けられる。静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、ガンマ補正時に反映される(図18乃至図21参照)。動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映される(図22参照)。本発明は、静的IRドロップ補正と共に動的IRドロップ補正を併行することで、データ変動により特定低輝度階調で同一データが減少して帯状の縞模様で表れるクロストーク問題を改善する。
【0190】
静的IRドロップ補正の原理は、RGB各階調別にテストパターンを印加してRGBに対する全体階調輝度を測定した後、RGB別にIRドロップ効率比例ファクターを求める。そして、同一な方法によりW(ホワイト)パターンで全体階調に対するテストパターンを印加して全体階調のW輝度を測定する。RGB別に測定した輝度を全て足せばIRドロップのない状態のW輝度が計算的に分かる。実際のWパターンで得られたIRドロップが最大に発生したW輝度をIRドロップのない状態のW輝度で階調別に引けば、W輝度での各階調別の静的IRドロップ量を計算することができる。各階調別に得られたW輝度での静的IRドロップ量は、RGB別に寄与度によって分配されるが、この時に使用されるものがIRドロップ補正遂行ステップで得られるIRドロップ効率比例ファクターである。この過程での効率比例ファクター条件を見ると、RGBWの各実際測定輝度を得る過程で、RGB及びWで印加される駆動電圧及びテストパターンは互いに同一である。したがって、RGB各色相での測定輝度と駆動電圧の間に求められるIRドロップ効率比例ファクターは、W駆動時のRGBに適用されるIRドロップ効率比例ファクターと同じ割合で適用される。また、RGB及びWの間のIRドロップされる量は同一な割合で適用される。静的IRドロップ補正時の上記全体階調は、実際データ駆動ICに適用時、上記全体階調の数より小さな多数個の階調、例えばガンマ抵抗により変更可能な8個の階調に取替できる。静的なIRドロップは、数式とロジック具現により容易に演算されて、ガンマ補正時、ガンマ電圧レジスタに反映される。
【0191】
動的IRドロップでその原因となる抵抗値変動は、データ量の差よりデータ量の変動に一層敏感な反応を示すので、リアルタイム入力されるデータの変動量を分析して動的なIRドロップ補正を行なわなければならない。静的なIRドロップ補正が同一階調のRGBが最大IRドロップを起こす状態を基準にしたので、動的IRドロップ補正はリアルタイム入力されるデータの変動量を分析して最大静的IRドロップ補償が遂行された入力データを水平ライン別に追加補償する。このために、動的IRドロップ補正はリアルタイム入力されるデータの変動量を分析して各水平ラインに対する全体データの入力階調分布度に従うクロストークパターンを探す。クロストークパターンは、上位階調と下位階調との間の差が大きく、大部分の下位諧調の背景に一部の上位階調が存在するパターンを意味する。動的IRドロップ補正は、階調差と上位階調パターンのサイズを分析して補償値を決定する。必要によっては、水平ラインに対する動的IRドロップと同一な方法により垂直ラインに対して動的IRドロップを補償することができる。
【0192】
静的及び動的IRドロップに対する補正が視感の認識誤差内の値を有することができれば、ロジックの簡素化のために、低階調で発生するIRドロップとデータ変動量との差が少ない場合は考慮せず、また垂直クロストークも特別に敏感でない場合は無視することができる。
以下、前述した補正方法について詳細に説明する。
【0193】
図26は、目標補正ステップ(S100)を詳細に示す。
【0194】
図26を参照すると、目標補正ステップ(S100)は、有機発光ダイオード表示装置に表示されるRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)に対し、光特性目標条件(目標輝度値)、電圧目標条件(開発ステップで確定された任意の電圧値)と開発ステップで確保された初期コードの初期レジスタを設定する(S102、S104、S106、S107)。
【0195】
目標補正ステップ(S100)は、設定された初期コードの初期レジスタを参照にして任意の電圧値と目標輝度値を伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクター(c1、c2)を算出及び設定する。そして、この目標補正伝達ファクター(c1、c2)を用いた伝達関数演算を通じて電圧伝達関数式の傾きファクター(r)と輝度伝達関数式の傾きファクター(1/r)とを互いに一致(r=1/r)させて目標レジスタを設定する(S108、S110、S112)。傾きファクターの一致調整(r=1/r)により電圧伝達関数式と輝度伝達関数式とは相互連関され、その結果として目標レジスタが算出される。目標レジスタは、初期レジスタをアップデートするための補正されたガンマレジスタ値であって、RGBガンマレジスタ別に算出される。
【0196】
目標補正ステップ(S100)は、目標レジスタに既設定された初期コードの初期レジスタをアップデートして目標コードを生成する(S114、S116)。目標コードは、零点補正時にダウンロードできるように駆動ボードに格納できる。
【0197】
図27は、零点補正ステップ(S200)を詳細に示す。
【0198】
図27を参照すると、零点補正ステップ(S200)は、目標コードをダウンロードして、これに基づいて有機発光ダイオード表示装置にRGBテストパターンを色相別に個別表示した後、RGBの各々のテストパターンに対して輝度及び電流を測定する(S202)。テストパターンにはRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)が含まれる。零点補正ステップ(S200)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の8ポイント階調レベルに対しても輝度及び電流を測定する(S204)。
【0199】
零点補正ステップ(S200)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と目標補正ステップ(S100)の目標レジスタに基づいてRGBの各々の測定輝度値を伝達関数式に適用してIRドロップによる1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)をRGB別に算出する(S205A、S206)。ここで、1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0200】
零点補正ステップ(S200)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次零点補正伝達ファクター(c1'_d)を伝達関数式に適用してIRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S208)。
【0201】
零点補正ステップ(S200)は、入力を受けた電圧目標条件、目標補正ステップ(S100)で格納された目標レジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値を伝達関数式に適用して2次零点補正伝達ファクター(c1'、c2')をRGB別に算出設定する(S210)。
【0202】
零点補正ステップ(S200)は、静的IRドロップが補正された輝度値と、この輝度値から得た傾きファクター(1/r')から電圧伝達関数式の傾きファクター(r')を求めて、2次零点補正伝達ファクター(c1'、c2'、r')を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて補正すべき電圧差を算出し、この算出された電圧差に対応するデフォルトレジスタを設定する(S212、S214)。デフォルトレジスタは、目標レジスタのガンマレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0203】
零点補正ステップ(S200)は、デフォルトレジスタに目標補正ステップ(S100)で生成された目標コードの目標レジスタをアップデートしてデフォルトコードを生成する(S216、S218)。デフォルトコードは、自動補正時、ダウンロードできるように駆動ボードに格納できる。
【0204】
一方、零点補正ステップ(S200)では、以後の寿命補正のために使用できるように、RGBWの各々の8ポイント階調レベル(総32個の階調レベル)に対する輝度−電流割合値を求めてデータ駆動ICのMTPメモリ(図10の410)に格納する(S220)。
【0205】
零点補正ステップ(S200)は、生産工程に使われる自動補正ステップの基準になるデフォルトコードを生成する過程であるので、多くの標本サンプルに対する捕集と精密度が要求される。
【0206】
図28は、自動補正ステップ(S300)を詳細に示す。
【0207】
図28を参照すると、自動補正ステップ(S300)は、零点補正ステップ(S200)で設定されたデフォルトコードをダウンロードし、これに基づいてRGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に個別的に表示する(S302)。テストパターンには、基本原理上、RGBの各々の3ポイント階調レベル(総9個の階調レベル)が含まれる。自動補正ステップ(S300)は、3ポイント階調レベル、即ち、最大輝度に対応する階調レベル、傾き輝度(中間階調輝度のうち、変曲点の大きい部分の1点)に対応する階調レベル、及び臨界点輝度に対応する階調レベルに対して輝度を測定する(S304)。
【0208】
自動補正ステップ(S300)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の3ポイント階調レベル(最大輝度に対応する階調レベル、傾き輝度に対応する階調レベル、臨界点輝度に対応する階調レベル)に対しても同様に輝度を測定する(S306)。
【0209】
自動補正ステップ(S300)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と零点補正ステップ(S200)のデフォルトレジスタに基づいてRGBの各々の測定輝度値を伝達関数式に適用して静的IRドロップによる1次自動補正伝達ファクター(c1"_d)を算出する(S307A、S308)。ここで、1次自動補正伝達ファクター(c1"_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0210】
自動補正ステップ(S300)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次自動補正伝達ファクター(c1'_d)を伝達関数式に適用して静的IRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S310)。
【0211】
自動補正ステップ(S300)は、入力を受けた電圧目標条件、零点補正ステップ(S200)で格納されたデフォルトレジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値から2次自動補正伝達ファクター(c1"、c2")を算出し(S312)、この輝度値から得た傾きファクター(1/r")から電圧伝達関数式の傾きファクター(r")を求める(S314)。
【0212】
自動補正ステップ(S300)は、2次自動補正伝達ファクター(c1"、c2"、r")を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて、この電圧伝達関数を通じて補正すべき電圧差を算出した後、この算出された電圧差に対応する自動レジスタを設定する(S314、S316)。自動レジスタはデフォルトレジスタのガンマレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0213】
自動補正ステップ(S300)は、自動レジスタをデータ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納する(S318)。
【0214】
一方、自動補正ステップ(S300)は生産工程に使われるステップであって、ある程度安定した条件下で遂行される過程であるので、迅速な処理過程が要求される。したがって、自動補正ステップ(S300)は、前述したように、RGBWの各々に対して3ポイントずつ総12ポイントを測定する代わり、RGBWの各々の最大輝度(4ポイント)及びRGBWのうちのいずれか1つの傾き輝度(1ポイント)とWの臨界輝度(1ポイント)を含んだ総6ポイントのみを測定し、残りの輝度データを輝度伝達関数式により得ることもできる。このようにすることで、本発明はLTPSバックプレーンの臨界点不均一性及び低輝度区間での輝度量不均一性による影響を最小にして、補正の正確性を高めると共に、製造タクトタイムを減らすことができる。
【0215】
図29は、寿命補正ステップ(S400)を詳細に示す。
【0216】
図29を参照すると、寿命補正ステップ(S400)は、自動補正ステップ(S300)で設定された自動レジスタをダウンロードし、これに基づいて有機発光ダイオード表示装置にRGBテストパターンを個別表示した後、RGBの各々のテストパターンに対して電流を測定する(S402)。テストパターンにはRGBの各々の8ポイント階調レベル(総24個の階調レベル)が含まれる。寿命補正ステップ(S400)は、RGBテストパターンを有機発光ダイオード表示装置に同時に表示した状態でホワイト(W)の8ポイント階調レベルに対しても電流を測定する(S404)。
【0217】
寿命補正ステップ(S400)は、零点補正ステップ(S200)で格納された輝度−電流割合値を基準にしてRGBWの各々の測定電流値を輝度値に変換する(S406、S408)。
【0218】
寿命補正ステップ(S400)は、電圧目標条件(目標補正ステップと同一である)と自動補正ステップ(S300)の自動レジスタに基づいてRGBの各々の変換輝度値を伝達関数式に適用して静的IRドロップによる1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)をRGB別に算出する(S409A、S410)。ここで、1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)には静的IRドロップによる輝度変化分が階調別に反映されている。
【0219】
寿命補正ステップ(S200)は、ホワイト(W)の測定輝度値と1次寿命補正伝達ファクター(c1"'_d)を伝達関数式に適用して静的IRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正する(S412)。
【0220】
寿命補正ステップ(S400)は、入力を受けた電圧目標条件、自動補正ステップ(S300)で格納された自動レジスタ、及び静的IRドロップが補正された輝度値から2次寿命補正伝達ファクター(c1"'、c2"')を算出し(S414)、この輝度値から得た傾きファクター(1/r"')から電圧伝達関数式の傾きファクター(r"')を求める(S416)。
【0221】
寿命補正ステップ(S400)は、2次寿命補正伝達ファクター(c1"'、c2"'、r"')を用いて目標輝度伝達関数に対する電圧伝達関数を求めて、この電圧伝達関数を通じて補正すべき電圧差を算出した後、この算出された電圧差に対応する寿命レジスタを設定する(S416、S418)。寿命レジスタはセル駆動電圧のレジスタ値をアップデートするためのものであって、RGB別に設定される。
【0222】
寿命補正ステップ(S400)は、寿命レジスタをデータ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納する(S420)。
【0223】
寿命補正ステップ(S400)は、主に製品出荷後に進行される過程であって、ユーザに命令信号によりなされる。
【0224】
図30は、環境補正ステップ(S500)のうち、温度補正ステップを詳細に示す。
【0225】
図30を参照すると、温度補正ステップは駆動電源の印加に対応して有機発光ダイオード表示装置が定常動作されるまでかかる時間を設定し、この定常動作時間の直後の温度センシング値を定常動作温度基準点に設定する(S502、S504)。
【0226】
温度補正ステップは、定常動作期間内で所定期間を周期で定常動作温度基準点と所定周期毎の温度センシング値とを比較して温度変動をセンシングし、温度変動によってデータ駆動ICの低電位ガンマ電源電圧(VDDL)の入力レベルを調整する(S506、S508、S510)。
【0227】
図31は、環境補正ステップ(S500)のうち、光漏洩電流補正ステップを詳細に示す。
【0228】
図31を参照すると、光漏洩電流補正ステップは駆動電源の印加に対応して有機発光ダイオード表示装置が定常動作されるまでかかる時間を設定し、この定常動作時間の直後の光漏洩電流センシング値を定常動作光電流基準点に設定する(S512、S514)。
【0229】
光漏洩電流補正ステップは、定常動作期間内で所定期間を周期で定常動作光電流基準点と所定周期毎の光電流センシング値とを比較して光漏洩電流変動をセンシングし、光漏洩電流変動に従ってデータ駆動ICの高電位ガンマ電源電圧(VDDH)の入力レベルを調整する(S516、S518、S520)。
【0230】
図32は、大面積画面でIRドロップを効果的に克服してホワイトバランスを維持させることができる本発明の応用例を示している。
【0231】
大面積画面では少なくとも2つ以上のデータ駆動IC 42と少なくとも2つ以上のゲート駆動IC
43が要求される。例えば、図31のように、データ駆動IC 42が第1データ駆動IC
DDRV1と第2データ駆動IC
DDRV2から構成され、ゲート駆動IC
43が第1ゲート駆動IC
GDRV1と第2ゲート駆動IC
GDRV2から構成される。この場合、OLEDパネル44の表示画面は第1データ駆動IC DDRV1と第1ゲート駆動IC
GDRV1により駆動される第1領域AR11と、第1データ駆動IC DDRV1と第2ゲート駆動IC
GDRV2により駆動される第2領域AR21と、第2データ駆動IC DDRV2と第1ゲート駆動IC
GDRV1により駆動される第3領域AR12と、第2データ駆動IC DDRV2と第2ゲート駆動IC
GDRV2により駆動される第4領域AR22とに分けられる。
【0232】
大面積画面では、位置別のIRドロップの偏差が大きくてホワイトバランスを合せることが容易でない。したがって、本発明は前述した種々の補正ステップでのようにIRドロップを補正し、かつデータ駆動ICによる駆動領域とゲート駆動ICによる駆動領域を基準に多分割し、多分割された領域に対してIRドロップに従うガンマ補正値を個別的に異に生成して予め格納する。そして、スキャンが進行している位置を基準に多分割された領域でガンマ補正値を互いに異なるように適用するように設計される。
【0233】
例えば、図31で、第1領域AR11には第1ガンマ補正値が、第2領域AR21には第2ガンマ補正値が、第3領域AR12には第3ガンマ補正値が、第4領域AR22には第4ガンマ補正値が各々割り当てられて、予め格納されていると仮定すれば、第1ゲート駆動IC GDRV1がスキャン動作を遂行する場合に、第1データ駆動IC DDRV1は第1ガンマ補正値を選択し、第2データ駆動IC
DDRV2は、第3ガンマ補正値を選択する一方、第2ゲート駆動IC GDRV2がスキャン動作を遂行する場合に、第1データ駆動IC DDRV1は第2ガンマ補正値を選択し、第2データ駆動IC
DDRV2は第4ガンマ補正値を選択するように設計される。このようにすれば、大面積画面でもIRドロップを効果的に防止することができ、特にゲート駆動ICにより区分される隣り合う領域の境界部分でガンマ電圧の揺れを抑制することができる。
【0234】
前述したように、本発明は電圧伝達関数式と輝度伝達関数式、及び両関数式の間の伝達ファクター(効率、臨界点、傾き)を数式化して、全ての場合の条件変化による入力階調電圧と出力輝度との間の相関関係を導出し、伝達関数式を用いて測定輝度と目標輝度との間の差だけ入力階調電圧を補正する。
【0235】
これを通じて、本発明は製造上の原因により目標品質から外れた製品を目標品質に補正することによって、歩留まりを既存対比平均35%以上向上させて、製造コストを格段に低減することができる効果がある。本発明は、伝達ファクターの変動を補正して全ての場合の条件変化に対応することができ、毎補正ステップ毎に実測データ確認及び伝達ファクターを再調整して、ルックアップテーブルを用いた既存の補正方式に比べて、補正の正確性、容易性、及び汎用性を高めることができる。特に、本発明は、測定データを獲得し、伝達関数式による補正を必要とする部分に一度に遂行するため、量産適用時、製品生産時間(製品タクトタイム)を格段に縮めることができる。
【0236】
延いては、本発明は、導出された伝達関数式と製品固有の伝達ファクターを用いてRGBの寿命減少差による輝度差を初期製品出荷状態に補正することができるので、製品出荷後にRGB別の寿命差によりホワイトバランスが破られたり、輝度が減少することを効果的に防止することができる。本発明は、製品出荷後に周辺環境条件(周辺温度、周辺光)をセンシングして、変更された駆動条件を初期指定された時間の定常駆動条件と同一に一致させることにも応用できるので、ユーザ便宜性を極大することができる。
【0237】
延いては、本発明は、電源供給配線の位置別の抵抗差によりRGB単独駆動時とRGB同時駆動時との間の静的IRドロップ差により発生するホワイトバランス不均衡と、データ量の変動による動的IRドロップにより同一階調データで各サブピクセル別に輝度が不均一になるクロストークの問題点を、伝達関数によるガンマレジスタ変更(静的補償)と入力データに対するリアルタイム補償(動的補償)に改善することによって、大面積及び高精細画面での画像品位を格段に向上させることができる。
【0238】
以上、説明した内容を通じて、当業者であれば、本発明の技術事象を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かる。したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものでなく、特許請求範囲により定まるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
ガンマレジスタ値によって前記表示パネルに印加される階調電圧を生成するデータ駆動ICと、
輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数と、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、そして2関数の間の相関係数である第1伝達ファクターを含んだ伝達関数アルゴリズムをロジック回路に内蔵し、特定階調電圧値を有するテストパターンが前記表示パネルに印加されて得られた測定輝度値と共に、電圧条件、及び既設定された前記ガンマレジスタ値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して変化された第2伝達ファクターを求めた後、前記第1及び第2伝達ファクターの間の差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための自動レジスタを算出する伝達関数処理部と、
前記自動レジスタの算出に基礎となるデフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードを格納するためのデフォルトコードメモリと、前記デフォルトレジスタの算出に基礎となる目標レジスタが含まれた目標コードを格納するための目標コードメモリと、前記OLEDパネルと前記データ駆動ICの駆動に必要な駆動電源を発生する電源発生器が実装される駆動ボードと、
前記テストパターンの印加に従う前記表示パネルの輝度を測定するための輝度測定器と、
前記データ駆動ICの初期駆動条件を入力し、諸般補正のステップ別の遂行のための作業命令信号と前記輝度測定器からの輝度測定データを前記伝達関数処理部に印加するコントロールセンターと、
を備えることを特徴とする、伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項2】
前記伝達関数処理部は、前記データ駆動IC及び前記駆動ボードのうち、いずれか1つに実装されることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項3】
前記輝度伝達関数は、高輝度区間に対応する高輝度伝達関数と低輝度区間に対応する低輝度伝達関数とに分けられて使われ、
前記高輝度区間での臨界輝度は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、
前記低輝度区間での臨界輝度は、目標輝度設定時、確定された目標臨界輝度に選択されたり、または、前記高輝度伝達関数を用いた推定臨界輝度に選択されることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項4】
前記伝達関数処理部は、前記第2伝達ファクターを多数の補正ステップが遂行される度に該当補正ステップの電圧条件と輝度条件で個別的に求めた後、前記該当補正ステップの直前の補正ステップで設定された前記第1伝達ファクターとの差を計算し、
前記第1及び第2伝達ファクターの各々は、入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値として定義される効率比例ファクターと、前記入力電圧が印加される時、前記有機発光ダイオードが実際動作するしきい電圧条件として定義される臨界点比例ファクターと、前記電圧伝達関数及び輝度伝達関数の各々に含まれる傾き値で、各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される傾きファクターを含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項5】
前記伝達関数処理部は、
目標補正ステップで、目標輝度値と任意の階調電圧値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて前記電圧伝達関数の傾きファクターと前記輝度伝達関数の傾きファクターとを互いに一致させて前記目標レジスタを算出した後、既設定されている初期コードの初期レジスタを前記目標レジスタにアップデートし、
前記目標補正に繋がる零点補正ステップで、前記目標レジスタによる階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値に基づいて零点補正伝達ファクターを求めた後、前記零点補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記目標補正伝達ファクターと前記零点補正伝達ファクターの差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための前記デフォルトレジスタを算出した後、前記デフォルトレジスタに前記目標レジスタをアップデートし、
前記零点補正に繋がる自動補正ステップで、前記デフォルトレジスタによる前記特定階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値に基づいて自動補正伝達ファクターを求めた後、前記自動補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記零点補正伝達ファクターと前記自動補正伝達ファクターの差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための前記自動レジスタを算出して前記データ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納することを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項6】
前記データ駆動ICは、
前記零点補正ステップで得られた輝度−電流割合値を格納するための基準電源電流値MTPメモリと、
寿命減少による電源電流値をセンシングする電源電流検出部と、を更に備え、
前記輝度−電流割合値は階調間の目標輝度で前記表示パネルの高電位セル駆動電圧の供給配線に流れる電流値に基づいて定めることを特徴とする、請求項5に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項7】
前記伝達関数処理部は、前記自動補正に繋がる寿命補正ステップで、
前記輝度−電流割合値を参照にして前記寿命減少による電源電流値に対応する輝度値を導出し、この輝度値に基づいて寿命補正伝達ファクターを求めた後、前記寿命補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記自動補正伝達ファクターと前記寿命補正伝達ファクターの差だけ前記表示パネルのセル駆動電圧を調整するための寿命レジスタを算出して前記自動/寿命レジスタMTPメモリに格納することを特徴とする、請求項6に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項8】
前記データ駆動ICは、
駆動電源の印加に対応して前記表示パネルが定常動作される時間の直後の温度センシング値を定常動作温度基準値に格納し、定常動作期間内で所定期間を周期で前記定常動作温度基準値と所定周期毎の温度センシング値とを比較して温度変動をセンシングする温度検出部と、
前記表示パネルが定常動作される時間の直後の光漏洩電流センシング値を定常動作光電流基準値に格納し、前記定常動作期間内で所定期間を周期で前記定常動作光電流基準値と所定周期毎の光電流センシング値とを比較して光漏洩電流変動をセンシングする光漏洩電流検出部と、を更に備え、
前記伝達関数処理部は、前記温度変動によって前記階調電圧生成のための低電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整し、前記光漏洩電流の変動によって前記階調電圧生成のための高電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整することを特徴とする、請求項5に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項9】
前記データ駆動ICは、前記階調電圧を生成するための階調電圧発生回路を更に備え、
前記階調電圧発生回路は、
高電位ガンマ電源電圧の入力端に接続された第1ダイナミック抵抗と第1ダイナミックレジスタを含み、前記第1ダイナミックレジスタに従う前記第1ダイナミック抵抗の抵抗値の変更に応答して前記高電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整するDY1調整部と、
低電位ガンマ電源電圧の入力端に接続された第2ダイナミック抵抗と第2ダイナミックレジスタを含み、前記第2ダイナミックレジスタに従う前記第2ダイナミック抵抗の抵抗値の変更に応答して、前記低電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整するDY2調整部と、
前記DY1調整部に隣り合うように接続されて前記電圧及び輝度伝達関数のオフセットを調節するためのオフセット調整部と、
前記DY2調整部に隣り合うように接続されて前記電圧及び輝度伝達関数の振幅を調整するためのゲイン調整部と、
前記オフセット調整部と前記ゲイン調整部との間に接続された多数の傾き可変抵抗とガンマレジスタを含み、前記ガンマレジスタに従う前記傾き可変抵抗の抵抗値の変更に応答して前記電圧及び輝度伝達関数の傾きを調整するためのガンマ電圧調整部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項10】
前記伝達関数処理部は、前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、自動補正ステップ、及び寿命補正ステップで、各々IRドロップを考慮してホワイトバランス補正を遂行し、
前記IRドロップは、配線抵抗による静的IRドロップと表示データの変動量による動的IRドロップを含むことを特徴とする、請求項6に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項11】
前記静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、前記伝達関数処理部を通じてガンマレジスタ値の調整時に反映され、
前記動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映されることを特徴とする、請求項10に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項12】
前記データ駆動ICは、前記動的IRドロップを補正するためにIRドロップ補償部を更に備え、
前記IRドロップ補償部は、
入力デジタルビデオデータを分析して各水平ラインまたは垂直ラインでの階調別の個数と階調別の輝度差に基づいてクロストークを誘発する階調を検出し、前記クロストーク発生階調のデータ量による動的IRドロップ量を算出する階調検出部と、
前記算出された動的IRドロップ量に基づいて補償すべき輝度差に対応する電圧量を補償データに発生し、前記補償データを前記入力デジタルビデオデータに加算するデータ補償部と、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項13】
多数のゲート駆動ICを更に備え、
前記表示パネルは、前記データ駆動ICとゲート駆動ICにより多分割駆動され、
前記IRドロップを考慮したホワイトバランス補正は、前記多分割駆動される領域に対して個別的に遂行されることを特徴とする、請求項10に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項14】
出力輝度の変化を入力電圧の調整を通じて所望の値に補正するために電圧伝達関数と輝度伝達関数を含んだ伝達関数式をアルゴリズムとして内蔵するステップと、
目標輝度値と任意の階調電圧値を前記伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて前記電圧伝達関数の傾きファクターと前記輝度伝達関数の傾きファクターとを互いに一致させて目標レジスタを算出する目標補正ステップと、
前記目標レジスタによる階調電圧値を表示パネルに印加して得られた測定輝度値を前記伝達関数式に適用して零点補正伝達ファクターを求めた後、前記零点補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数式に適用して前記目標補正伝達ファクターと前記零点補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するためのデフォルトレジスタを算出する零点補正ステップと、
前記デフォルトレジスタによる階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値を前記伝達関数式に適用して自動補正伝達ファクターを求めた後、前記自動補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数式に適用して前記零点補正伝達ファクターと前記自動補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するための自動レジスタを算出する自動補正ステップと、
を含むことを特徴とする、伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項15】
前記電圧伝達関数と輝度伝達関数は前記目標補正ステップでの傾きファクター一致過程を通じて互いに連関され、
毎補正ステップが遂行される度に該当補正ステップの電圧条件と輝度条件で伝達ファクターが個別的に求められ、
前記伝達ファクターは前記入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値として定義される効率比例ファクターと、前記入力電圧が印加される時、有機発光ダイオードが実際に動作するしきい電圧条件として定義される臨界点比例ファクターと、前記電圧伝達関数及び輝度伝達関数の各々に含まれる傾き値として各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される傾きファクターを含むことを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項16】
前記零点補正ステップで確保された前記表示パネルのセル駆動電圧供給配線に流れる電流量基準値を参照にして、寿命減少に従う電流量の相対的な減少量を算出し、これに基づいてセル駆動電圧を調整するための寿命レジスタを算出する寿命補正ステップと、
周辺温度及び光漏洩電流により定常駆動条件が変更されることを補正するために、温度補正と光漏洩電流補正を含んだ環境補正ステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項17】
前記輝度伝達関数は、高輝度区間に対応する高輝度伝達関数と低輝度区間に対応する低輝度伝達関数とに分けられて使われ、
前記高輝度区間での臨界輝度は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、
前記低輝度区間での臨界輝度は、目標輝度の設定時、確定された目標臨界輝度に選択されたり、または、前記高輝度伝達関数を用いた推定臨界輝度に選択されることを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項18】
前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、自動補正ステップ、及び寿命補正ステップでは、各々IRドロップを考慮したホワイトバランス補正を遂行し、
前記IRドロップは、配線抵抗による静的IRドロップと表示データの変動量による動的IRドロップとを含み、
前記静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、ガンマレジスタ値の調整時に反映され、前記動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映されることを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項19】
前記自動補正ステップは、
前記デフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードをダウンロードし、これに基づいてRGBWの各々の最大輝度に対応する階調レベル、RGBWのうちの少なくともいずれか1つの傾き輝度に対応する階調レベル、及びRGBWのうちの少なくともいずれか1つの臨界点輝度に対応する階調レベルを前記表示パネルに表示した後、輝度を測定するステップと、
前記デフォルトレジスタに基づいて前記RGBの各々の測定輝度値を前記伝達関数式に適用してIRドロップによる1次自動補正伝達ファクターを算出するステップと、
前記Wの測定輝度値と前記1次自動補正伝達ファクターを前記伝達関数式に適用してIRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正するステップと、
前記デフォルトレジスタと前記IRドロップが補正された輝度値を前記伝達関数式に適用して2次自動補正伝達ファクターを算出するステップと、
前記IRドロップが補正された輝度値と前記2次自動補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて補正すべき電圧差を算出し、この算出された電圧差に対応するように前記自動レジスタを設定するステップと、
前記自動レジスタに前記デフォルトレジスタをアップデートするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項20】
前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、及び自動補正ステップは、製品完成前に遂行され、
前記寿命補正ステップ及び環境補正ステップは、完成品出荷後に遂行されることを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項1】
表示パネルと、
ガンマレジスタ値によって前記表示パネルに印加される階調電圧を生成するデータ駆動ICと、
輝度の変化に対する電圧条件を計算するための電圧伝達関数と、電圧変動に従う輝度の値を導出するための輝度伝達関数、そして2関数の間の相関係数である第1伝達ファクターを含んだ伝達関数アルゴリズムをロジック回路に内蔵し、特定階調電圧値を有するテストパターンが前記表示パネルに印加されて得られた測定輝度値と共に、電圧条件、及び既設定された前記ガンマレジスタ値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して変化された第2伝達ファクターを求めた後、前記第1及び第2伝達ファクターの間の差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための自動レジスタを算出する伝達関数処理部と、
前記自動レジスタの算出に基礎となるデフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードを格納するためのデフォルトコードメモリと、前記デフォルトレジスタの算出に基礎となる目標レジスタが含まれた目標コードを格納するための目標コードメモリと、前記OLEDパネルと前記データ駆動ICの駆動に必要な駆動電源を発生する電源発生器が実装される駆動ボードと、
前記テストパターンの印加に従う前記表示パネルの輝度を測定するための輝度測定器と、
前記データ駆動ICの初期駆動条件を入力し、諸般補正のステップ別の遂行のための作業命令信号と前記輝度測定器からの輝度測定データを前記伝達関数処理部に印加するコントロールセンターと、
を備えることを特徴とする、伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項2】
前記伝達関数処理部は、前記データ駆動IC及び前記駆動ボードのうち、いずれか1つに実装されることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項3】
前記輝度伝達関数は、高輝度区間に対応する高輝度伝達関数と低輝度区間に対応する低輝度伝達関数とに分けられて使われ、
前記高輝度区間での臨界輝度は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、
前記低輝度区間での臨界輝度は、目標輝度設定時、確定された目標臨界輝度に選択されたり、または、前記高輝度伝達関数を用いた推定臨界輝度に選択されることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項4】
前記伝達関数処理部は、前記第2伝達ファクターを多数の補正ステップが遂行される度に該当補正ステップの電圧条件と輝度条件で個別的に求めた後、前記該当補正ステップの直前の補正ステップで設定された前記第1伝達ファクターとの差を計算し、
前記第1及び第2伝達ファクターの各々は、入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値として定義される効率比例ファクターと、前記入力電圧が印加される時、前記有機発光ダイオードが実際動作するしきい電圧条件として定義される臨界点比例ファクターと、前記電圧伝達関数及び輝度伝達関数の各々に含まれる傾き値で、各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される傾きファクターを含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項5】
前記伝達関数処理部は、
目標補正ステップで、目標輝度値と任意の階調電圧値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて前記電圧伝達関数の傾きファクターと前記輝度伝達関数の傾きファクターとを互いに一致させて前記目標レジスタを算出した後、既設定されている初期コードの初期レジスタを前記目標レジスタにアップデートし、
前記目標補正に繋がる零点補正ステップで、前記目標レジスタによる階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値に基づいて零点補正伝達ファクターを求めた後、前記零点補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記目標補正伝達ファクターと前記零点補正伝達ファクターの差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための前記デフォルトレジスタを算出した後、前記デフォルトレジスタに前記目標レジスタをアップデートし、
前記零点補正に繋がる自動補正ステップで、前記デフォルトレジスタによる前記特定階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値に基づいて自動補正伝達ファクターを求めた後、前記自動補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記零点補正伝達ファクターと前記自動補正伝達ファクターの差だけ前記ガンマレジスト値を変更させるための前記自動レジスタを算出して前記データ駆動ICの自動/寿命レジスタMTPメモリに格納することを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項6】
前記データ駆動ICは、
前記零点補正ステップで得られた輝度−電流割合値を格納するための基準電源電流値MTPメモリと、
寿命減少による電源電流値をセンシングする電源電流検出部と、を更に備え、
前記輝度−電流割合値は階調間の目標輝度で前記表示パネルの高電位セル駆動電圧の供給配線に流れる電流値に基づいて定めることを特徴とする、請求項5に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項7】
前記伝達関数処理部は、前記自動補正に繋がる寿命補正ステップで、
前記輝度−電流割合値を参照にして前記寿命減少による電源電流値に対応する輝度値を導出し、この輝度値に基づいて寿命補正伝達ファクターを求めた後、前記寿命補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数アルゴリズムに適用して前記自動補正伝達ファクターと前記寿命補正伝達ファクターの差だけ前記表示パネルのセル駆動電圧を調整するための寿命レジスタを算出して前記自動/寿命レジスタMTPメモリに格納することを特徴とする、請求項6に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項8】
前記データ駆動ICは、
駆動電源の印加に対応して前記表示パネルが定常動作される時間の直後の温度センシング値を定常動作温度基準値に格納し、定常動作期間内で所定期間を周期で前記定常動作温度基準値と所定周期毎の温度センシング値とを比較して温度変動をセンシングする温度検出部と、
前記表示パネルが定常動作される時間の直後の光漏洩電流センシング値を定常動作光電流基準値に格納し、前記定常動作期間内で所定期間を周期で前記定常動作光電流基準値と所定周期毎の光電流センシング値とを比較して光漏洩電流変動をセンシングする光漏洩電流検出部と、を更に備え、
前記伝達関数処理部は、前記温度変動によって前記階調電圧生成のための低電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整し、前記光漏洩電流の変動によって前記階調電圧生成のための高電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整することを特徴とする、請求項5に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項9】
前記データ駆動ICは、前記階調電圧を生成するための階調電圧発生回路を更に備え、
前記階調電圧発生回路は、
高電位ガンマ電源電圧の入力端に接続された第1ダイナミック抵抗と第1ダイナミックレジスタを含み、前記第1ダイナミックレジスタに従う前記第1ダイナミック抵抗の抵抗値の変更に応答して前記高電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整するDY1調整部と、
低電位ガンマ電源電圧の入力端に接続された第2ダイナミック抵抗と第2ダイナミックレジスタを含み、前記第2ダイナミックレジスタに従う前記第2ダイナミック抵抗の抵抗値の変更に応答して、前記低電位ガンマ電源電圧の入力レベルを調整するDY2調整部と、
前記DY1調整部に隣り合うように接続されて前記電圧及び輝度伝達関数のオフセットを調節するためのオフセット調整部と、
前記DY2調整部に隣り合うように接続されて前記電圧及び輝度伝達関数の振幅を調整するためのゲイン調整部と、
前記オフセット調整部と前記ゲイン調整部との間に接続された多数の傾き可変抵抗とガンマレジスタを含み、前記ガンマレジスタに従う前記傾き可変抵抗の抵抗値の変更に応答して前記電圧及び輝度伝達関数の傾きを調整するためのガンマ電圧調整部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項10】
前記伝達関数処理部は、前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、自動補正ステップ、及び寿命補正ステップで、各々IRドロップを考慮してホワイトバランス補正を遂行し、
前記IRドロップは、配線抵抗による静的IRドロップと表示データの変動量による動的IRドロップを含むことを特徴とする、請求項6に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項11】
前記静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、前記伝達関数処理部を通じてガンマレジスタ値の調整時に反映され、
前記動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映されることを特徴とする、請求項10に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項12】
前記データ駆動ICは、前記動的IRドロップを補正するためにIRドロップ補償部を更に備え、
前記IRドロップ補償部は、
入力デジタルビデオデータを分析して各水平ラインまたは垂直ラインでの階調別の個数と階調別の輝度差に基づいてクロストークを誘発する階調を検出し、前記クロストーク発生階調のデータ量による動的IRドロップ量を算出する階調検出部と、
前記算出された動的IRドロップ量に基づいて補償すべき輝度差に対応する電圧量を補償データに発生し、前記補償データを前記入力デジタルビデオデータに加算するデータ補償部と、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項13】
多数のゲート駆動ICを更に備え、
前記表示パネルは、前記データ駆動ICとゲート駆動ICにより多分割駆動され、
前記IRドロップを考慮したホワイトバランス補正は、前記多分割駆動される領域に対して個別的に遂行されることを特徴とする、請求項10に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正システム。
【請求項14】
出力輝度の変化を入力電圧の調整を通じて所望の値に補正するために電圧伝達関数と輝度伝達関数を含んだ伝達関数式をアルゴリズムとして内蔵するステップと、
目標輝度値と任意の階調電圧値を前記伝達関数式に適用して目標補正伝達ファクターを計算し、この目標補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて前記電圧伝達関数の傾きファクターと前記輝度伝達関数の傾きファクターとを互いに一致させて目標レジスタを算出する目標補正ステップと、
前記目標レジスタによる階調電圧値を表示パネルに印加して得られた測定輝度値を前記伝達関数式に適用して零点補正伝達ファクターを求めた後、前記零点補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数式に適用して前記目標補正伝達ファクターと前記零点補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するためのデフォルトレジスタを算出する零点補正ステップと、
前記デフォルトレジスタによる階調電圧値を前記表示パネルに印加して得られた測定輝度値を前記伝達関数式に適用して自動補正伝達ファクターを求めた後、前記自動補正伝達ファクターと前記目標輝度値を前記伝達関数式に適用して前記零点補正伝達ファクターと前記自動補正伝達ファクターの差だけをガンマ電圧で補償するための自動レジスタを算出する自動補正ステップと、
を含むことを特徴とする、伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項15】
前記電圧伝達関数と輝度伝達関数は前記目標補正ステップでの傾きファクター一致過程を通じて互いに連関され、
毎補正ステップが遂行される度に該当補正ステップの電圧条件と輝度条件で伝達ファクターが個別的に求められ、
前記伝達ファクターは前記入力電圧と出力輝度との間のエネルギー変換を伝達する値として定義される効率比例ファクターと、前記入力電圧が印加される時、有機発光ダイオードが実際に動作するしきい電圧条件として定義される臨界点比例ファクターと、前記電圧伝達関数及び輝度伝達関数の各々に含まれる傾き値として各階調での電圧変化量と輝度変化量として定義される傾きファクターを含むことを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項16】
前記零点補正ステップで確保された前記表示パネルのセル駆動電圧供給配線に流れる電流量基準値を参照にして、寿命減少に従う電流量の相対的な減少量を算出し、これに基づいてセル駆動電圧を調整するための寿命レジスタを算出する寿命補正ステップと、
周辺温度及び光漏洩電流により定常駆動条件が変更されることを補正するために、温度補正と光漏洩電流補正を含んだ環境補正ステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項17】
前記輝度伝達関数は、高輝度区間に対応する高輝度伝達関数と低輝度区間に対応する低輝度伝達関数とに分けられて使われ、
前記高輝度区間での臨界輝度は、測定輝度のうち、安定した低輝度値を得ることができる輝度レベルに選択され、
前記低輝度区間での臨界輝度は、目標輝度の設定時、確定された目標臨界輝度に選択されたり、または、前記高輝度伝達関数を用いた推定臨界輝度に選択されることを特徴とする、請求項14に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項18】
前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、自動補正ステップ、及び寿命補正ステップでは、各々IRドロップを考慮したホワイトバランス補正を遂行し、
前記IRドロップは、配線抵抗による静的IRドロップと表示データの変動量による動的IRドロップとを含み、
前記静的IRドロップは、最大ドロップ量を表すホワイトデータ状態で測定された後、ガンマレジスタ値の調整時に反映され、前記動的IRドロップは、入力データの変動量の差に対する分析結果に基づいて算出された後、入力データのリアルタイム補償に反映されることを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項19】
前記自動補正ステップは、
前記デフォルトレジスタが含まれたデフォルトコードをダウンロードし、これに基づいてRGBWの各々の最大輝度に対応する階調レベル、RGBWのうちの少なくともいずれか1つの傾き輝度に対応する階調レベル、及びRGBWのうちの少なくともいずれか1つの臨界点輝度に対応する階調レベルを前記表示パネルに表示した後、輝度を測定するステップと、
前記デフォルトレジスタに基づいて前記RGBの各々の測定輝度値を前記伝達関数式に適用してIRドロップによる1次自動補正伝達ファクターを算出するステップと、
前記Wの測定輝度値と前記1次自動補正伝達ファクターを前記伝達関数式に適用してIRドロップによるRGBの各々の輝度変化を補正するステップと、
前記デフォルトレジスタと前記IRドロップが補正された輝度値を前記伝達関数式に適用して2次自動補正伝達ファクターを算出するステップと、
前記IRドロップが補正された輝度値と前記2次自動補正伝達ファクターを用いた伝達関数演算を通じて補正すべき電圧差を算出し、この算出された電圧差に対応するように前記自動レジスタを設定するステップと、
前記自動レジスタに前記デフォルトレジスタをアップデートするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【請求項20】
前記目標補正ステップ、零点補正ステップ、及び自動補正ステップは、製品完成前に遂行され、
前記寿命補正ステップ及び環境補正ステップは、完成品出荷後に遂行されることを特徴とする、請求項16に記載の伝達関数を用いた表示装置の補正方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−114256(P2013−114256A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24487(P2012−24487)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(512031574)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(512031574)
【Fターム(参考)】
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