説明

伸展可能な処理および圧搾用チャンバ

生体細胞処理装置に用いるための可撓性の処理および/または圧搾用チャンバであって、第一の側部(202)および第二の側部(204)を含んでいてもよく、且つ、伸展可能な壁(206)を有し、伸展可能な壁の第一の端部が可撓性チャンバの第一の側部の周囲に取り付けられ且つ伸展可能な壁の第二の端部が可撓性チャンバの第二の側部の周囲に取り付けられるようなチャンバを提供する。チャンバの側部の一方または両方は、軸方向の開口部を含んでいてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、材料処理装置に用いるための処理および/または圧搾用チャンバに関し、より具体的には、生物学的材料の遠心処理装置に用いるための可撓性の処理/圧搾用チャンバ/バッグに関する。
【0002】
本開示内容は、2001年10月3日に提出された同時係属中の米国特許出願第09/970,547号「MULTIPLE PROCESSING CHAMBER SET AND USE THEREOF」、2002年8月28日に提出された同時係属中の米国特許出願第10/132,197号「BLOOD PRODUCT TRANSFER SYSTEM」、および2002年8月2日に提出された同時係属中の米国特許出願第10/211,143号「PROCESSING BAG FOR COMPONENT SEPARATOR SYSTEM AND METHOD OF REMOVING SEPARATED COMPONENTS」に関する。これらの各開示内容は、参照によりその全部が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
体積が固定された遠心機の中で生体細胞を処理するための可撓性の処理用チャンバ(例えばバッグ)、およびそのような処理用バッグを例えば遠心分離などにより使用する方法は公知である。例えばPCT特許出願PCT/US98/10406には、処理中にチャンバの内容物を無菌状態に保つための回転シールを有する、可撓性の細胞処理用チャンバが説明されている。可撓性の処理用チャンバは、使い捨て可能でしたがって単回使用の無菌用途に好適であると有利である。
【0004】
血液成分の分離、血液型の酵素的変換、および血液成分の病原体の不活化を含む、血液処理などの特定の用途においては、複数単位の材料(例えば血液)が、単一の機器の中で同一条件下で処理される。同時係属中であり且つ同一出願人による米国特許出願第09/970,547号は、複数の処理用チャンバ/バッグを同時に処理する方法であって、分離および変換をバッグを1つのみ用いて行うのに必要な時間および費用を低減する方法を開示している。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明の各態様は、材料(例えば生物学的材料またはその他の材料)を(例えば)遠心装置またはその他の処理装置内で処理するための、新規の、伸展可能/折りたたみ可能な処理および/または圧搾用バッグを提供する。
【0006】
したがって、本発明の第一の態様は、第一の側部および第二の側部を含んでいてもよく且つ伸展可能な円周方向の壁を有する可撓性チャンバを提供する。伸展可能な壁の第一の端部は、可撓性チャンバの第一の側部の周囲に取り付けられてもよく、且つ、伸展可能な壁の第二の端部は、可撓性チャンバの第二の側部の周囲に取り付けられてもよい。
【0007】
本発明の他の態様において、処理装置および/または連続フロー遠心機は、前記態様に基づく1つまたは複数の可撓性チャンバを含んでいてもよい。そのような処理装置および/または連続フロー遠心機は、例えばヒトまたは動物の血液を処理するための、生体細胞処理装置であってもよい。
【0008】
本発明のこれらおよび他の局面を、添付の図面および以下の詳細な説明と関連して説明する。
【0009】
各態様の詳細な説明
図1は、生体細胞(例えば血液)を処理するための例示的な装置を具現化した例示的な処理システムのブロック図である。例えば血液産物などは、少なくとも1つの血液貯蔵バッグから、処理のために遠心機へと移送される。そのようなシステムに用いられる処理および装置のより詳しい説明については、2001年1月16日に認められたBarryらの米国特許第6,175,420号を参照されたい。遠心機自体に関するより詳しい説明については、1997年9月9日に認められたJorgensenの米国特許第5,665,048号を参照してもよい。前記特許は2つとも参照によりその全部が本明細書に組み入れられる。
【0010】
本発明の各態様は、生物学的な/血液用の処理装置とともに用いることができるが、これらの態様は、生物学的材料の処理とは異なる、および/または遠心処理とは異なる、他の用途にも同様に適用できる。
【0011】
したがって、図1は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられる、同時係属中であり且つ同一出願人による2002年8月28日提出の米国特許出願第10/232,197号に開示されているように、(例えば空気圧を用いて)血液産物を遠心機に移送することを可能にする、1つの装置および処理を示している。この実施例において、気密の真空/圧力チャンバ110は、供給源116(例えば周囲空気)から空気を送り込むまたは放出する管材料114によって、関連するポンプ112に接続される。チャンバ110の内部には一連の血液産物貯蔵バッグ120が存在する。これらの各バッグは、各バッグと接続する固定用ループ124によってハンガー122から懸架される。各バッグから伸びる個々のラインまたは管材料126A、126Bは、チャンバ110の底部に位置する気密固定具126によって、チャンバの壁を貫いて接続する。
【0012】
この処理装置はまた、1つまたは複数の関連する遠心処理用バッグ132(圧搾用バッグを含んでいてもよい)を有する遠心機130、ならびに、複数の流体管理カセット142および蠕動ポンプ144を備える分配部140も含む。カセット142にはまた、生理食塩水の供給源またはバッグ145、試薬コンパートメント146、および流体管理カセットと関連する廃棄物バッグ148も接続される。図1に具体的には示していないが、装置の操作および材料の処理を制御するコンピュータコントローラもこのシステムの一部と考えられる。
【0013】
本発明に基づく可撓性チャンバ/バッグは、一度に複数の個別のサンプルを(例えば)遠心細胞処理装置内で同時且つ独立に処理するため、複数の且つ/または伸展可能な処理用チャンバセットを提供してもよい。複数の処理用チャンバセットを用いることにより、サンプル(およびその処理済分画)、処理用の流体(酵素、塩、緩衝剤、およびその他の処理用化学物質を含む)、ならびに廃棄物を、いかなる種類のシールであっても回転させる必要なく、無菌的に追加および除去することが可能である。したがって、複数の処理用チャンバセットは、生体細胞処理用の閉鎖システムの一部となるものであり、直列にまたは並列に処理できる複数の個別の閉鎖コンテナを含む。そのようなシステムについては、参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられる、同時係属中であり且つ同一出願人による米国特許出願第09/970,547号('547出願)により詳しく記載されている。
【0014】
図2Aおよび図2Bに示すように、本発明の態様に基づく処理または圧搾用バッグ200は、第一の側部202、および、伸展可能/折りたたみ可能な壁206を介して第一の側部の周囲に接続された第二の側部204を含んでいてもよい。伸展可能な壁は、壁の長さを調整可能にするための一組の仕切を含んでいてもよい。この点に関して、仕切の組は、第一の側部202の周囲に取り付けられた1つの端部を含む第一の仕切206a、および、第二の側部204の周囲に取り付けられた、連結した第二の仕切206bを含んでいてよい。
【0015】
同じく図2Aおよび図2Bに示すように、各側部は、中心ハブを収容するための軸方向の開口部を含んでいてもよい。ハブは、複数の処理/圧搾用バッグを一緒に組み付けることができるように用いてもよい。そのようなハブの例は'547出願に記載されている。この点に関して、バッグの少なくとも1つの側部上の軸方向開口部に設けられたハブ302を有する、処理用バッグ300の実施例を図3に示す。
【0016】
このハブにより、1つまたは複数の処理用バッグに送られた生物学的材料および/またはその他の材料を処理し、且つ、1つまたは複数の圧搾用バッグを用いて遠心機の外へと圧搾できるよう、複数のバッグを一緒に組み付けることが可能となる。この点に関して、処理を行うために処理用バッグおよび圧搾用バッグを配置する1つまたは複数の配置方法が、'547出願に開示されている。例えば、1つまたは複数の処理用バッグおよび/または圧搾用バッグのうち一方または両方に対して流体の流入および流出ができるよう、継手404を介して(例えば)マルチルーメンライン406に接続された処理/圧搾用バッグ402のアセンブリ400を図4に示す。そのようなマルチルーメンラインの例は、2000年10月27日に提出された同時係属中の米国特許出願第10/111,568号「CIRCUMFERENTIALLY DRIVEN CONTINUOUS FLOW CENTRIFUGE」に開示されている。
【0017】
本発明の態様に基づく可撓性の処理/圧搾用バッグは、天然または合成の材料を、1つもしくは複数の層として構成したもの、または、その他公知の材料と組み合わせて1つもしくは複数の層として構成したものであってもよい。この点に関して、本発明の各態様は、好ましくはプラスチック材料で作製され且つ使用前に滅菌される。
【0018】
本発明のいくつかの態様に組み込まれた伸展可能な壁により、処理および/または圧搾用バッグの容積を増大させることおよび/または可変にすることが可能となる。具体的には、処理/圧搾用バッグ500は、壁仕切502a、502bを合わせた組502を複数含んでいてもよい。
【0019】
以上、本発明のいくつかの態様を説明したが、以上の説明は実施例としてのみ示したものであり、例示的なものに過ぎず限定的なものではないことが当業者には明らかであると考えられる。当技術分野の通常の技術の範囲内において多数の改変およびその他の態様が可能であり、それらは本発明の範囲内に入ると考えられる。本出願で引用した文献はいずれも、その内容が参照により本明細書に組み入れられる。これら文書の適切な構成要素、処理、および方法を、本発明およびその各態様のために選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のいくつかの態様に基づく1つまたは複数の可撓性の処理/圧搾用チャンバとともに使用するための、遠心処理装置の例である。
【図2A】本発明の1つの態様に基づく可撓性の処理/圧搾用チャンバの側面図である。
【図2B】図2Aに示した本発明の態様に基づく可撓性の処理/圧搾用チャンバの断面斜視図である。
【図3】本発明の別の態様に基づく可撓性の処理/圧搾用チャンバの側面斜視図である。
【図4】本発明の別の態様に基づく処理/圧搾用チャンバアセンブリを示した図である。
【図5A】本発明のさらに別の態様に基づく処理/圧搾用チャンバの側面図である。
【図5B】図5Aに示した本発明の態様の処理/圧搾用チャンバの斜視図である。
【図5C】図5Aおよび図5Bに示した本発明の態様の処理/圧搾用チャンバの断面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の側部および第二の側部を含み且つ伸展可能な壁を有する可撓性チャンバであって、該伸展可能な壁の第一の端部が該可撓性チャンバの該第一の側部の周囲に取り付けられ、且つ、該伸展可能な壁の第二の端部が該可撓性チャンバの該第二の側部の周囲に取り付けられる可撓性チャンバ。
【請求項2】
第一の側部および第二の側部の両方のうちの一方に位置する軸方向の開口部をさらに含む、請求項1記載のチャンバ。
【請求項3】
第一の側部および第二の側部の両方に位置する軸方向の開口部をさらに含む、請求項1記載のチャンバ。
【請求項4】
処理用チャンバを含む、請求項1記載の可撓性チャンバ。
【請求項5】
圧搾用チャンバを含む、請求項1記載の可撓性チャンバ。
【請求項6】
伸展可能な壁がアコーディオン壁を含む、請求項1記載の可撓性チャンバ。
【請求項7】
伸展可能な壁が、対応する接続されたフラップの組を少なくとも1つ含み、該フラップの組の第一のフラップが、可撓性チャンバの第一の側部の周囲に取り付けられた第一の円周方向の端部を含み、且つ、該フラップの組の第二のフラップが、該可撓性チャンバの第二の側部の周囲に取り付けられた第二の円周方向の端部を含む、請求項1記載の可撓性チャンバ。
【請求項8】
伸展可能な壁が、フラップの組を複数含む、請求項7記載の可撓性チャンバ。
【請求項9】
第一の側部および第二の側部を含み且つ伸展可能な円周方向の壁を有する可撓性チャンバであって、該伸展可能な壁の第一の端部が該可撓性チャンバの該第一の側部の周囲に取り付けられ、且つ、該伸展可能な壁の第二の端部が該可撓性チャンバの該第二の側部の周囲に取り付けられる可撓性チャンバを含む、連続フロー遠心機のための処理装置。
【請求項10】
可撓性チャンバの第一の側部および第二の側部のうち少なくとも1つに設けられた軸方向の開口部をさらに含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項11】
軸方向の開口部が、可撓性チャンバの第一の側部および第二の側部の両方に含まれる、請求項10記載の処理装置。
【請求項12】
伸展可能な壁がアコーディオン壁を含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項13】
伸展可能な壁が、対応する接続されたフラップの組を少なくとも1つ含み、該フラップの組の第一のフラップが、可撓性チャンバの第一の側部の周囲に取り付けられた第一の円周方向の端部を含み、且つ、該フラップの組の第二のフラップが、該可撓性チャンバの第二の側部の周囲に取り付けられた第二の円周方向の端部を含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項14】
伸展可能な壁が、フラップの組を複数含む、請求項13記載の処理装置。
【請求項15】
可撓性チャンバが、遠心分離に供する材料を収容するための処理用チャンバを含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項16】
可撓性チャンバが、圧搾材料を収容するための圧搾用チャンバを含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項17】
複数の可撓性チャンバをさらに含む、請求項9記載の処理装置。
【請求項18】
複数の可撓性チャンバのうち1つまたは複数が、遠心分離に供する材料を収容するための処理用チャンバを含み、且つ、該複数の可撓性チャンバのうち1つまたは複数が、圧搾材料を収容するための圧搾用チャンバを含む、請求項17記載の処理装置。
【請求項19】
複数の可撓性チャンバを含む連続フロー遠心機であって、該可撓性チャンバの各々が第一の側部および第二の側部を含み、各チャンバの該第一の側部および第二の側部のうち一方または両方が軸方向の開口部を含み、該可撓性チャンバが伸展可能な円周方向の壁をさらに含み、該伸展可能な壁の第一の端部が該可撓性チャンバの該第一の側部の周囲に取り付けられ、且つ、該伸展可能な壁の第二の端部が該可撓性チャンバの該第二の側部の周囲に取り付けられる、連続フロー遠心機。
【請求項20】
以下を含む生体細胞処理装置:
連続フロー遠心機;ならびに
第一の側部および第二の側部を含み且つ伸展可能な円周方向の壁を有する可撓性チャンバであって、該伸展可能な壁の第一の端部が該可撓性チャンバの該第一の側部の周囲に取り付けられ、且つ、該伸展可能な壁の第二の端部が該可撓性チャンバの該第二の側部の周囲に取り付けられる、可撓性チャンバ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−521038(P2007−521038A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507907(P2005−507907)
【出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/025416
【国際公開番号】WO2005/016417
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506041648)ザイムクエスト インコーポレイティッド (9)
【Fターム(参考)】