説明

伸縮反転リフター

【課題】天井の低い場所での移動を容易にできると共に、バケットの停止位置を容易に調節でき、さらにバケットを高い位置に上昇させる伸縮反転リフターを提供する。
【解決手段】移動レール体21と固定レール体22とを備え、スープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を収容するバケット3を上下方向に搬送する前傾姿勢の縦型スライド式ダブルストロークレール2を備えた伸縮反転リフター1であって、移動レール体21の第一の上端21aのスプロケット4と第一の下端21bのスプロケットに装着されたチェーン5に固定されて、移動レール体21の第一の上端21aと第一の下端21bとの間を移動するバケット3と、縦型スライド式のダブルストロークレール2の傾斜を調節可能に支持する角度調節機構6と、ピニオンギヤに回転駆動を与えて移動レール体21を昇降動作させる第一の電動機9と、バケット3を昇降移動させる第二の電動機10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプリフターに関し、特に、バケットの上下昇降時の停止位置を自在調節でき、さらにバケットを高い位置に上昇させてバケット内容物を大型装置などへ搬送する伸縮反転リフターに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の自走式バケットリフトの概略図である。図4に示すように、自走式バケットリフト100は、駆動車輪用ガイドレール107に沿って転動する駆動車輪103と、従動車輪用ガイドレール106に沿って転動する従動車輪102を備えた搬送箱101に電動機104等の駆動源104を取付け、この電動機104により駆動される鎖車109を、駆動車輪用ガイドレール107に並行に設置されたチェーン110と噛み合わせて、搬送箱101を昇降させるようにしている。この駆動車輪103の駆動軸108に一端を枢着し他端を自由端とした枠体112を設け、この枠体112に駆動源である電動機104を固着すると共に、この枠体112は、従動車輪102が従動車輪用ガイドレール106の湾曲部106aに臨んだ際に、枠体112には仲介車軸113を取付け、この仲介車軸113の両端には従動車輪用ガイドレール106に沿って転動する仲介車輪114を設けているため、枠体112の枢着部を支持点として、搬送箱101より離脱されるべく構成されている。このような構成によれば、駆動車輪103は上下方向に真っ直ぐに移動できて、従動車輪102を案内するので、搬送箱101の送出角度を適宜に選定できる利便がある。また、駆動軸108を回動中心とした枠体112を同駆動軸108に枢着し、枠体112の自由端側には仲介車軸113を介してその両端に仲介車輪114、114を取り付け、この仲介車輪114、114を駆動車輪用ガイドレール107に転動自在に係合させ、この仲介車輪114、114によって、搬送箱101が走行している間でも駆動源104の回転力に伴う揺動を防止し安定させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63―26384号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバケットリフトは搬送箱自体に電動機等の駆動源を取付け、駆動源に駆動される鎖車又は歯車を、搬送箱のガイドレールと並設したチェーン又はラックギヤに噛み合わせて搬送箱の揺動を抑え自走させるようにしているが、作業場ではバケットリフトを高さ調節のために組み立てたりする必要があり、大変煩雑であった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、リフト高さを低くしたまま移動可能で、移動途中の鴨居や天井などの高さに制限があっても容易に移動できるとともに、バケットの昇降停止位置を調節可能で、昇降機能用の高さが自在に調節可能であって、大型装置などの高い位置にもスープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を高精度に搬入可能な小型・軽量に構成した伸縮反転リフターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の伸縮反転リフター(1)は、
移動レール体(21)と固定レール体(22)とを備え、スープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を収容するバケット(3)を上下方向に搬送する前傾姿勢の縦型スライド式ダブルストロークレール(2)を備えた伸縮反転リフター(1)であって、
前記移動レール体(21)の第一の上端(21a)と第一の下端(21b)の左右のスプロケット(4)に装着されたチェーン(5)に固定されて、前記移動レール体(21)の第一の上端(21a)と第一の下端(21b)との間を移動するバケット(3)と、
前記固定レール体(22)の第二の上端(22a)と第二の下端(22b)との間に支点(22c)を設け、前記縦型スライド式ダブルストロークレール(2)の傾斜を調節可能に支持する角度調節機構(6)と、
ラックギヤ(7)とピニオンギヤ(8)を前記移動レール体(21)と前記固定レール体(22)との間に係合させて設け、前記ピニオンギヤ(8)に回転駆動を与えて前記移動レール体(21)を昇降動作させる第一の電動機(9)と、前記バケット(3)を昇降移動させる第二の電動機(10)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)であって、前記第一の電動機(9)は、前記移動レール体(21)に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)であって、前記第二の電動機(10)は、前記移動レール体(21)に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)であって、前記ピニオンギヤ(8)は前記第一の電動機(9)に設けられ、前記ラックギヤ(7)は前記固定レール体(22)に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)において、前記バケット(3)は前記左右のスプロケット(4)に装着されたチェーン(5)によって前記バケット(3)の両側面が前記チェーン(5)の移動とともに移動可能に支持される伸縮反転リフター(1)であって、
前記左右のチェーン(5)の各々には、固定ピン(5a)と自由ピン(5b)とを設け、
前記バケット(3)の両側面には、前記固定ピン(5a)を係止する固定ピン用溝(3a)と、前記自由ピン(5b)を係止する自由ピン用溝(3b)とを設け、
前記固定ピン(5a)は、前記固定ピン用溝(3a)に回転自在に係止され、前記自由ピン(5b)は、前記自由ピン用溝(3b)に摺動自在に係止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ダブルストロークレールを用いるため、リフト高さを低くしたまま移動可能で、移動途中の鴨居や天井などの高さに制限があっても容易に移動できるとともに、バケットの昇降停止位置を調節可能で、昇降機能用の高さが自在に調節可能であって、大型装置などの高い位置にもスープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を搬入可能な伸縮反転リフターを提供することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、第一の電動機は移動レール体に設けられているため、小型・軽量に構成した伸縮反転リフターを提供することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、第二の電動機は、移動レール体に設けられているため、小型・軽量に構成した伸縮反転リフターを提供することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、ピニオンギヤは第一の電動機に設けられ、ラックギヤは固定レール体に設けられているため、小型・軽量に構成した伸縮反転リフターを提供することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、バケットの両側面に、固定ピンを係止する固定ピン用溝と、自由ピンを係止する自由ピン用溝とを設け、固定ピンは、固定ピン用溝に回転自在に係止され、自由ピンは、自由ピン用溝に摺動自在に係止されることによって、バケットの反転位置に置いて、バケットは揺動することなく高精度に所定の角度に位置決め可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の外観構成を説明するための概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の実施形態の詳細な構成を説明するための概略図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示すA部の側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るバケットの動作を示す説明図である。
【図4】従来の自走式バケットリフトを略示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る伸縮反転リフターの実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の構成を説明するための伸縮反転リフターの概略図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図2は、本発明の実施形態の詳細な構成を説明するための概略図であり、(a)は側面図、(b)は(a)に示すA部の正面図である。
図1の(a)に示すように、伸縮反転リフター1は、縦型に置かれたコンベアをやや傾斜させた前傾姿勢の縦型スライド式のダブルストロークレール2を備えている。この前傾姿勢の縦型スライド式のダブルストロークレール2はその左右に移動レール体21、固定レール体22、および粉粒体を収容して上下方向に搬送するバケット3を備えている。
【0018】
図2の(a)(b)に示すように、移動レール体21において、上端には第一の上端21aが、下端には第一の下端21bが設けられている。そして移動レール体21の上端の左右にはスプロケット4、4が設けられている。そしてこの左右のスプロケット4、4には、第二の電動機10の駆動軸14の左右に設けたスプロケット13、13と協働してチェーン5、5がそれぞれ装着され、このチェーン5、5には第一の上端21aと第一の下端21bとの間を移動するバケット3がチェーン5、5の直線部および曲線部でもスムーズな動作を可能に装着されている。また、固定レール体22において、上端には第二の上端22aが、下端には第二の下端22bが設けられている。そして第二の上端22aと第二の下端22bとの間に支点22cを設け、縦型スライド式ダブルストロークレール2の傾斜を調節可能に支持する角度調節機構6が設けられている。また、ラックギヤ7とピニオンギヤ8を移動レール体21と固定レール体22との間に係合させて設け、ピニオンギヤ8に回転駆動を与えて移動レール体21を昇降動作させる第一の電動機9と、バケット3を昇降移動させる第二の電動機10とを備えている。他に、このバケット3にスープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を供給する供給装置12、及びこれらの機構を電気的に制御する制御装置11が設けられている。これら第一の電動機9、及び第二の電動機10は移動レール体21に設けられており、移動レール体21の昇降動作に伴って上下する。
ピニオンギヤ8は第一の電動機9に設けられ、ラックギヤ7は固定レール体22に設けられている。
【0019】
図2に示すように、移動レール体21と固定レール体22との間にはラックギヤ7とピニオンギヤ8がそれぞれ噛み合うように設けられている。第一の電動機9がピニオンギヤ8に回転駆動を与えると、ラックギヤ7に沿って直線的に移動する。このときラックギヤ7は固定レール体22に固定されているため移動レール体21が上下に昇降動作する。
また、第二の電動機10が駆動軸14を回転駆動させ、この回転動作によって駆動軸14の両端に設けられたスプロケット13、13が回転駆動され、チェーン5、5が回転駆動される。これによってチェーン5、5に取り付けられたバケット3を上下に昇降移動させる。このバケット3を高い位置に上昇させてバケット3の内容物を大型装置などへ搬入するが、このとき搬入に都合の良いようにバケット3の位置や角度を調節する反転動作機構(図3の反転動作部参照)を備えている。
【0020】
次に、伸縮反転リフターの動作を説明する。
図1に示すように、移動レール体21が上方に移動して所定の位置で停止する。そして第二の電動機10がバケット3を上昇させるように回転して、チェーン5、5が回転駆動する。このときチェーン5、5に取り付けられたバケット3が上方に移動する。バケット3は移動レール体21の第一の上端21aでスプロケット4、4の円周に沿って回転して、所定の角度で停止する。この所定の角度は適宜に調節可能である。
【0021】
図3は、バケットが移動レール体の上端でスプロケットの円周に沿って回転する反転動作を示す説明図である。
図3に示すように、バケット3が移動レール体21の第一の上端21aに達すると、バケット3は反転動作を行う。バケット3の側面には固定ピン用溝3aと自由ピン用溝3bが設けられている。スプロケット4に係止されたチェーン5には固定ピン5aと自由ピン5bが所定の位置に設けられている。固定ピン5aは固定ピン用溝3aに固定され、自由ピン5bは自由ピン用溝3bに沿って移動する。そして固定ピン5aは固定ピン用溝3aに回転自在に係止されている。固定ピン5aと自由ピン5bとのピッチは、チェーン5が直線状のときと、スプロケット4に沿って回転するときの曲線状のときにピン間距離が変動するため、自由ピン5bはバケット3の反転動作に伴う固定ピン5aと自由ピン5bのピッチの変動を吸収するように自由ピン用溝3bに沿って移動する。これによってバケット3の傾斜角度を所定の角度に設定することができる。
【0022】
制御装置11がバケット3を所定の角度に停止するように回転制御するが、ストップ位置にはストッパーを設けても良い。
このように、リフト高さを低くしたまま移動可能で、移動途中の鴨居や天井などの高さに制限があっても容易に移動できるとともに、バケットの昇降停止位置を調節可能であり、昇降機能用の高さが自在に調節可能であって、大型装置などの高い位置にもスープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を高精度に搬入可能な小型・軽量に構成した伸縮反転リフターを提供することができる。
【0023】
また、第一の電動機9及び第二の電動機10はダブルストロークレール2の移動レール体21に設けられているため、移動レール体21とともに昇降動作するが、これによってダブルストロークレール2のスライド動作機構や、バケット3の昇降動作機構を小型・軽量に構成できる。
【0024】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、チェーン5、5を駆動させるスプロケット13、13は左右どちらか一方を駆動側としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
ダブルストロークレールを用いることによって、高さを低くしたまま所定の位置へ移動して昇降機能を用いるときに高さを調節することによって、天井の低い場所での移動を容易にできると共に、移動レール体に設けられたバケットの停止位置を容易に調節でき、さらにバケットを極端に高い位置に上昇させてバケットの内容物を容易に持ち上げて大型装置へ搬送できる小型・軽量に構成した伸縮反転リフターであって、スープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を収容するバケットを上下方向に搬送する伸縮反転リフターに適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 伸縮反転リフター
2 ダブルストロークレール
21 移動レール体
21a 第一の上端
21b 第一の下端
22 固定レール体
22a 第二の上端
22b 第二の下端
3 バケット
3a 固定ピン用溝
3b 自由ピン用溝
4、13 スプロケット
5 チェーン
5a 固定ピン
5b 自由ピン
6 角度調節機構
7 ラックギヤ
8 ピニオンギヤ
9 第一の電動機
10 第二の電動機
11 制御装置
12 供給装置
14 駆動軸
15 伸縮用検出器
16 反転用検出器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動レール体(21)と固定レール体(22)とを備え、スープやラーメンに使用される粉粒状食品材料を収容するバケット(3)を上下方向に搬送する前傾姿勢の縦型スライド式のダブルストロークレール(2)を備えた伸縮反転リフター(1)であって、
前記移動レール体(21)の第一の上端(21a)と第一の下端(21b)の左右のスプロケット(4)に装着されたチェーン(5)に固定されて、前記移動レール体(21)の第一の上端(21a)と第一の下端(21b)との間を移動するバケット(3)と、
前記固定レール体(22)の第二の上端(22a)と第二の下端(22b)との間に支点(22c)を設け、前記縦型スライド式のダブルストロークレール(2)の傾斜を調節可能に支持する角度調節機構(6)と、
ラックギヤ(7)とピニオンギヤ(8)を前記移動レール体(21)と前記固定レール体(22)との間に係合させて設け、前記ピニオンギヤ(8)に回転駆動を与えて前記移動レール体(21)を昇降動作させる第一の電動機(9)と、
前記バケット(3)を昇降移動させる第二の電動機(10)と、
を備えることを特徴とする伸縮反転リフター(1)。
【請求項2】
前記第一の電動機(9)は、前記移動レール体(21)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)。
【請求項3】
前記第二の電動機(10)は、前記移動レール体(21)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)。
【請求項4】
前記ピニオンギヤ(8)は前記第一の電動機(9)に設けられ、前記ラックギヤ(7)は前記固定レール体(22)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)。
【請求項5】
前記バケット(3)は前記左右のスプロケット(4)に装着されたチェーン(5)によって前記バケット(3)の両側面が前記チェーン(5)の移動とともに移動可能に支持される伸縮反転リフター(1)であって、
前記左右のチェーン(5)の各々には、固定ピン(5a)と自由ピン(5b)とを設け、
前記バケット(3)の両側面には、前記固定ピン(5a)を係止する固定ピン用溝(3a)と、前記自由ピン(5b)を係止する自由ピン用溝(3b)とを設け、
前記固定ピン(5a)は、前記固定ピン用溝(3a)に回転自在に係止され、前記自由ピン(5b)は、前記自由ピン用溝(3b)に摺動自在に係止されることを特徴とする請求項1に記載の伸縮反転リフター(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−20787(P2011−20787A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166683(P2009−166683)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(599093225)株式会社プラスワンテクノ (13)