説明

伸縮性シートの製造方法

【課題】延伸加工後のシートの幅が所要幅を保つと共に、延伸加工後のシートの伸縮性が一定に保たれた伸縮性シートを製造する伸縮性シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の複合シートに延伸加工を施して伸縮性シートを得る伸縮性シートの製造方法は、互いに噛み合う一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分に複合シート10を搬送方向(Y方向)に連続供給して、歯溝ロール2,3間で複合シート10に伸縮性を付与する延伸工程を有する。また、伸縮性シートの製造方法は、延伸工程を経て得た伸縮性シート10’の幅Wを検知する幅検知工程を有する。また、伸縮性シートの製造方法は、検知した伸縮性シート10’の幅Wと、伸縮性シート10’の設定幅Waとの差に基づいて、噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は歯溝ロール2,3の回転速度を制御する制御工程を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性シートの製造方法、パンツ型着用物品の製造方法、及びシートの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周面部に互いに噛み合う歯溝を有する一対のロールを備えた延伸加工装置を使用し、該ロールを回転ささせてそれらの噛み合い部分に不織布等のシートを供給し、該シートに延伸加工を施す技術が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の技術のように、歯溝を有する一対のロール間にシートを通して加工を施す場合、高い延伸倍率で延伸加工されたシートは、伸縮性が付与されるため、柔らかく伸びやすい。このため、延伸加工前のシート原反の巻きテンションによって生じる搬送張力の変動や、延伸加工前のシート原反の坪量変動や、延伸加工前のシート原反のロット違いによる坪量変動等により、延伸加工後のシート幅が変動し、所要の寸法で完成度の高い物品を製造することができない場合がある。
【0004】
伸縮性が付与された延伸加工後のシートを一定幅で製造装置に供給する方法としては、下記特許文献2のように、シートの側縁が所要の位置からずれた場合に、シートの側縁付近と接触しているガイドロールの向きを変更し、シートの側縁位置を修正することでシート幅を一定にするものがある。しかし、この方法では、延伸加工されたシートが柔らかく伸びやすい為、ガイドロールと接触しているシート側縁付近の伸縮性と、接触していないシート中央付近の伸縮性の差が生じてしまう。
【0005】
また、ガイドロールの制御はシートの側縁毎に独立して行われるため、シートの一方の側縁付近の伸縮性と、シートの他方の側縁付近の伸縮性の差が生じるといった不具合がある。また、上述したように、高い延伸倍率で加工されたシートは柔らかく伸びやすいため、ガイドロールをシートに接触させてシートの側縁位置を制御すると、安定しない場合がある。また、伸縮性のシートを使ってパンツ型着用物品などを製造する場合、サイズや製品仕様等の変更により延伸倍率を変更する際、延伸倍率を変更する度にガイドロールの制御が最適となるように調整する必要があり、容易に対応できない。また、パンツ型着用物品のサイズ替え等によりシート幅を大きく変更する場合、ガイドロールの位置を変更する必要があり、簡便性が損なわれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−177384
【特許文献2】特開2004−262556
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、延伸加工後のシートの幅が所要幅を保つと共に、延伸加工後のシートの伸縮性が一定に保たれた伸縮性シートを製造する伸縮性シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複合シートに延伸加工を施して伸縮性シートを得る伸縮性シートの製造方法であって、互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に複合シートを搬送方向に連続供給して、一対の該歯溝ロール間で該複合シートに伸縮性を付与する延伸工程と、前記延伸工程を経て得た伸縮性シートの幅を検知する幅検知工程と、検知した前記伸縮性シートの前記幅と、該伸縮性シートの予め設定した設定幅との差に基づいて、前記噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の前記歯溝ロールの回転速度を制御する制御工程とを有する伸縮性シートの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の伸縮性シートの製造方法によれば、延伸加工後のシートの幅が所要幅を保つと共に、延伸加工後のシートの伸縮性が一定に保たれたシートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施態様の伸縮性シートの製造方法に用いられるシートの加工装置及びそれを用いた伸縮性シートの製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、検知手段によるシート幅の検知方法を説明するための模式図であり、図2(a)はシートにおける撮像部分の平面図、図2(b)は、撮像部分の画素データの一例である。
【図3】図3は、検知手段によるシート幅の検知方法を説明するための模式図であり、図3(a)及び図3(b)は検査領域内の画素データの一例を示す図、図3(c)及び図3(d)は検査領域内の画素データを微分した結果を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施態様の伸縮性シートの製造方法に用いられるシートの加工装置及びそれを用いた伸縮性シートの製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明のパンツ型着用物品の加工方法を用いて使い捨ておむつの製造方法に適用した一実施態様を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法をその好ましい第1実施態様に基づいて、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施態様の伸縮性シートの製造方法に用いられる加工装置(以下、単に加工装置ともいう。)を模式的に示すものである。
【0012】
図1に示すように、第1実施態様の加工装置1は、周面部に互いに噛み合う歯溝を有する一対の歯溝ロール2,3を備え、これらの歯溝ロール2,3が回転されているときにそれらの噛み合い部分に供給された複合シート10に延伸加工を施して伸縮性を付与する装置である。尚、図中のY方向は、原反(不図示)から繰り出された複合シート10を搬送する方向であり、図中のX方向は、複合シート10の幅方向である。
【0013】
図1に示すように、第1実施態様の加工装置1は、歯溝ロール2,3の歯の噛み合いの深さと回転速度によってシート基材10に伸縮性を付与する歯溝加工手段7と、歯溝加工手段7よりも搬送方向(Y方向)の下流側であって、複合シート10に延伸加工を施して得た伸縮性シート10’の幅Wを検知する幅検知手段4と、歯溝ロール2,3による加工前の複合シート10と加工後の伸縮性シート10’に張力を加える張力付与手段5,6と、幅検知手段4で検知された伸縮性シート10’の幅Wと予め設定した設定幅Waとの差に基づいて歯溝加工手段7の噛み合いの深さ及び回転速度を変更して伸縮性シート10’を設定幅Waとなるように制御する制御手段8と、表示・設定手段9とを備えている。
【0014】
歯溝加工手段7は、互いに噛み合う一対の歯溝ロール2,3を備え、歯溝ロール2,3は同じ形態のロールで構成されており、図1に示すように、各ロールの歯21,31は各ロールの軸に沿って複数設けられている。具体的には、各ロールの歯21,31は、図1に示すように、歯21,31が歯溝ロール2,3上に延びる方向と、歯溝ロール2,3の回転軸とが、それぞれ平行になるように歯溝ロール2、3の周面部に設けられ、歯21と歯21、又は歯31と歯31の間が溝になっている。歯溝ロール2,3は、噛み合い部分では、歯21と歯31が互いの溝に噛み合うように設けられている。
【0015】
歯溝ロール2における隣接する歯21,21どうしのピッチは、1.5〜3.5mmが好ましく、2.0〜3.0mmが更に好ましい。各歯21の根元での幅は、前記ピッチの0.25倍以上〜0.5倍未満が好ましく、0.3倍以上〜0.4倍以下がより好ましい。各歯21の高さは、歯のピッチPの1.0倍以上〜2.0倍以下が好ましく、1.25倍以上〜1.75倍以下がより好ましい。ここで、歯溝ロールにおける隣接する歯どうしのピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。尚、歯の幅は均等でなく、歯の根元から歯の先端に向って細くなる台形型の歯であってもよい。歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。各歯21の先端の角部は、面取りしておくのが好ましい。また、歯溝ロール3における歯31についても、歯溝ロール2における歯21と同様である。
【0016】
歯溝ロール2,3の歯21,31の噛み合い深さは、材料に優れた伸縮性を与えることを考慮すると、上記ピッチが上記範囲の場合、上記ピッチ以上となることが好ましく、具体的には、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。ここで、歯の噛み合い深さとは、歯溝ロール2,3同士を噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯21,31同士の重なり合う長さをいう。
【0017】
歯溝ロール2,3は、第1実施態様の加工装置1においては、図1に示すように、ロール2を駆動するサーボモーター71からの駆動力が伝達されることによって歯21,31が噛み合って回転する。なお、歯溝ロール2,3の各軸に歯21,31とは別に、一般的な、JIS B1701に規定されているギアを駆動伝達用のギアとして取り付けてもよい。それによって、歯溝ロール2,3の歯21,31が噛み合うのではなく、これら駆動伝達用のギアが噛み合うことによって、歯溝ロール2,3に駆動が伝達され、歯溝ロール2,3を回転させることができる。この場合、歯溝ロール2,3の歯21,31は接触することはない。
【0018】
歯溝加工手段7は、図1に示すように、上述した歯溝ロール2を駆動するサーボモーター71と、歯21、31の噛み合いの深さ調整する為に、サーボモーター74,75と、サーボモーター74,75によって調整する噛み合い深さ調整部72,73とを備えている。第1実施態様の加工装置1においては、噛み合い深さ調整部72,73は、図1に示すように、歯溝ロール3のX方向両端の軸に取り付けられている。サーボモーター74,75が回転すると、サーボモーター74,75の回転方向に基づいて、噛み合い深さ調整部72,73により歯溝ロール3が上昇または下降する。歯溝ロール3が歯溝ロール2側に上昇すると、歯溝ロール2の歯21と歯溝ロール3の歯31との噛み合いが深くなり、逆に、歯溝ロール3が下降すると、歯溝ロール2の歯21と歯溝ロール3の歯31との噛み合いが浅くなる。
【0019】
幅検知手段4は、図1に示すように、搬送方向(Y方向)に搬送されている伸縮性シート10’を所定の画角で撮像するCCD(電荷結合素子)カメラ(撮像機)41と、撮像部分を裏側から照らす照明器42と、CCDカメラ41で撮像された画像データを受け取って画像処理を行い伸縮性シート10’の端部101,102の位置を検知する画像処理装置43とを備えている。画像処理装置43によって、伸縮性シート10’の端部101,102の位置データから延伸工程を経て得られた伸縮性シート10’の幅Wを検知することができる。
【0020】
張力付与手段5は、図1に示すように、歯溝ロール2,3の上流側に配された一組のフィードロール51,52と、フィードロール51,52を駆動するサーボモーター53とを備えている。張力付与手段6は、歯溝ロール2,3の下流側に配された一組のフィードロール61,62と、フィードロール61,62を駆動するサーボモーター63とを備えている。フィードロール61,62の回転速度が、フィードロール51,52の回転速度より大きいことで、フードロール51,52とフィードロール61,62の間において、搬送されるシートに張力が付与される。
【0021】
制御手段8は、図1に示すように、歯溝ロール2を駆動するサーボモーター71を制御するサーボアンプ83と、歯21,31の噛み合い深さを調整するサーボモーター74,75を制御するサーボアンプ85,86と、画像処理装置43で検知されたシート幅W及び予め設定された伸縮性シート10’の設定幅Waの差に基づいてサーボアンプ83,85,86に応じた運転制御指令を出力する演算処理部81とを備えている。また、演算処理部81は、張力付与手段5のサーボモーター53と、張力付与手段6のサーボモーター63を制御するサーボアンプ84,82に応じた運転制御指令を出力する。
【0022】
表示・設定手段9は、画像処理装置43で処理された画像を表示する画面を備えるとともに演算処理部81の設定を行う設定装置を備えている。制御のために必要となる伸縮性シート10’の予め設定する設定幅、歯溝ロール2,3の基準速度、歯溝ロール2、3の基準噛み合い深さ、伸縮性シート10’の設定張力、補正係数などのデータは、表示・設定手段9から入力され、これらのデータは表示・設定手段9から演算処理部81に送信される。
【0023】
また、第1実施態様の加工装置1には、歯溝加工手段7と幅検知手段4との間にフリーロール15が配置されている。このフリーロール15によって、伸縮性シート10’を適度に押さえて伸縮性シート10’のめくれや皺を防ぐことができるので、幅検知手段4は伸縮性シート10’の幅を安定して検知することができる。
【0024】
以下に、本発明で用いる複合シート10について説明する。複合シート10が、延伸加工を施すことによって伸縮性を発現する伸縮性シート10’となる場合を、ここでは潜在伸縮性シートと称する。潜在伸縮性シートは、延伸加工が施される前は、所定方向に実質的に伸長しないが、該延伸加工が施された後は、該シートの該延伸加工が施された部分が該所定方向に伸縮可能になるシートであり、延伸加工が施された後は伸縮性シートとなる。潜在伸縮シートに関し、延伸加工が施された後の伸縮性が発現している状態について言及する場合は、伸縮性シート10’と言う。
【0025】
複合シート10が潜在伸縮性シートである場合、該シートは延伸加工が施される前は、所定方向に実質的に伸長しない。具体的には、潜在伸縮性シートは、延伸加工が施される前において、Y方向の最大伸度が10%以下である(長さが1.1倍までしか伸びない)ことが好ましく、同方向の最大伸度が8%以下であることがより好ましい。また、潜在伸縮性シートは、延伸加工が施される前において、長手方向及びそれに直交する幅方向の両方向において最大伸度が10%以下(特に8%以下)であることが好ましい。伸長回復率及び最大伸度は、それぞれ、下記方法により測定される。
【0026】
潜在伸縮性シートは、伸縮性シート10’となった場合において、Y方向の最大伸度が100%以上であり且つ該方向に伸度100%まで伸長させた後、収縮させたときの伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が70%以上であることが好ましい。ここで、「伸度100%」とは、例えば長さ50mmのシートを100mmまで伸ばした状態のことを指す。また、潜在伸縮性シートは、伸縮性シート10’となった場合において、Y方向の方が、X方向よりも大きく伸長可能であるシートであることが好ましい。好ましい潜在伸縮性シートの一例として、伸縮性シート10’となった場合において、Y方向においては、大きく伸長し且つ伸長後に収縮する(最大伸度100%以上且つ100%伸長時の伸長回復率70%以上)が、X方向においては、わずかにしか伸長しない(例えば、最大伸度50%以下)シートが挙げられる。伸長回復率及び最大伸度は、それぞれ、次のようにして測定される。
【0027】
〔伸長回復率の測定方法〕
長さ50mm、幅25mmのサンプル片を用意し、テンシロン装置を用いて、チャック間隔L0にサンプル片を固定し、300mm/minの速度で100%伸長時の長さL2(L2=L0×2)まで伸長させた後、引張速度と同様の速度で戻し始めて引張荷重が0になった時におけるサンプル片の長さを伸長回復後の長さL1とする。次式から100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(L2−L1)/(L2−L0)〕×100
【0028】
〔最大伸度の測定方法〕
伸長回復率の測定方法に用いたサンプル片と同じ寸法のサンプル片を同様の条件で伸長させ、破断した時点の伸度を最大伸度とする。破断した時点とは、伸長率と荷重の関係曲線において引張荷重が最大値を示す点である。
【0029】
本発明で用いる潜在伸縮性シートとしては、延伸加工によって所定方向に伸縮性を発現する各種のシートを用いることができ、単層構造でも良く、複数の層が積層された多層構造でも良い。例えば、(1)弾性繊維層の両面又は片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(2)ネット状の弾性シートの両面又は片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面又は片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等を好ましく用いることができる。尚、弾性繊維層と伸長可能な繊維層との一体化の方法としては、これらを積層して水流交絡したり、エアースルー等により繊維を交絡させる方法、また、ヒートエンボス、接着剤、超音波等によって接合させる方法が挙げられる。前記(1)のシートとしては、例えば特開2007−138374号公報や特開2008−179128号公報に開示される伸縮性不織布の材料となる繊維シートを用いることができる。
【0030】
また、複合シート10に、潜在伸縮性シートではないシート(非伸縮性シート)を用いてもよい。非伸縮性シートを用いる場合、非伸縮性シート同士間に糸ゴム、平ゴム、弾性フィルム等の弾性材を挟持したシート、または非伸縮性シートと上述の潜在伸縮性シートとを貼り合せたシートを複合シート10として用いる。非伸縮性シートは、本発明の延伸加工によって所定方向の伸び量が増えて、所定方向の伸長性が発現するようになされるシートであり、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が挙げられる。
【0031】
次に、本発明の複合シート10に延伸加工を施して伸縮性シート10’を得る伸縮性シートの製造方法の第1実施態様を、加工装置1を使用した伸縮性シートの製造方法に基づいて説明する。
【0032】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、互いに噛み合う一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分に複合シート10を搬送方向(Y方向)に連続供給して、一対の歯溝ロール2,3間で複合シート10にその流れ方向に伸縮性を付与する延伸工程を具備している。延伸工程では、図1に示すように、原反(不図示)から繰り出された複合シート10が、一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分に連続供給され、複合シート10に搬送方向(Y方向)の伸縮性が付与される。歯溝ロール2,3を備えた歯溝加工手段7によれば、延伸工程を経て得られた伸縮性シート10’の延伸倍率が、好ましくは50%以上400%以下(1.5倍以上5.0倍以下)、より好ましくは150%以上350%以下(2.5倍以上4.5倍以下)、特に好ましくは200%〜300%(3.0倍以上4.0倍以下)という高い延伸倍率の延伸加工を行うことができる。
【0033】
ここで、延伸倍率とは次式(1)で表される。
延伸倍率k={(L’−L)/L}×100 [%]・・・(1)
L :歯溝ロールの噛み合いによって延伸する前の材料長さ[mm]
L’ :歯溝ロールの噛み合いによって延伸された後の材料長さ[mm]
尚、前記延伸倍率(%)の後のカッコ内の数字(倍)は次式(2)で表され、延伸倍率を別の表現で表したものである。
延伸倍率k’=(L’−L)/L+1 [倍]・・・(2)
【0034】
歯溝加工手段7により前記延伸倍率に延伸加工された伸縮性シート10’は、張力付与手段5,6によって張力が付与され搬送方向(Y方向)に搬送される。このため、張力付与手段5のフィードロール51,52の回転速度V1と張力付与手段6のフィードロール61,62の回転速度V2の間には次式(3)の関係がある。
V2=延伸倍率k’×V1 [m/min]・・・(3)
ここで、フィードロール51,52の回転速度V1と張力付与手段6のフィードロール61,62の回転速度V2とは、各フィードロール51,52,61,62表面での速度のことを意味する。
【0035】
また、歯溝加工手段7の歯溝ロール2,3によって複合シート10に延伸加工を施すために、歯溝ロール2の歯21と歯溝ロール3の歯31の噛み合い部分に複合シート10を供給する必要がある。その為、歯溝ロール2,3の回転速度V3は、フィードロール51,52の回転速度V1より遅い(V3<V1)との関係があり、速度係数をaとすると次式(4)で表される。
V3=a×V1 [m/min]・・・(4)
ここで、速度係数aは、好ましくは0.6以上0.9以下、特に好ましくは0.7以上0.85以下である。また、歯溝ロール2,3の回転速度V3とは、歯21,31の先端での速度ではなく、歯21,31の先端から歯21,31の噛み合い深さの半分まで内側に入った位置(隣接する歯同士の重なり合う長さの半分の位置)での速度のことである。
【0036】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、前記のように延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅を予め設定された設定幅Waに制御するため、延伸工程を経て得た伸縮性シート10’の幅Wを検知する幅検知工程を有し、検知した伸縮性シート10’の幅Wと、伸縮性シート10’の予め設定した設定幅Waとの差に基づいて、噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の歯溝ロール2,3の回転速度を制御する制御工程を有している。幅検知工程及び制御工程について、以下、具体的に説明する。
【0037】
幅検知工程では、歯溝加工手段7の歯溝ロール2,3によって延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅Wを、歯溝加工手段7の下流側に配された幅検知手段4で検知する。詳述すると、歯溝加工手段7により延伸加工して得た伸縮性シート10’の搬送方向(Y方向)のシート側縁101,102(伸縮性シート10’の幅方向(X方向)の端縁)を含む撮像領域を、裏側から照明器42で照らした状態で、当該撮像領域の表面をCCDカメラ41で撮像する。
【0038】
第1実施態様においては、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅Wの検知は、CCDカメラ41で撮像されたシート側縁101,102の位置情報画像データに基づいて画像処理装置43で行われる。具体的には、図2(a)のように、所定の画角で撮像された撮像領域11(複合シート10の幅方向位置x、長さ方向位置y)が、CCDカメラ41の画素数分の画素データ(0〜255階調)で表され、例えば撮像領域11のY方向任意の1画素に対する撮像領域11内のX方向の画素データは、図2(b)に示すようなグラフで表される。図2(b)においては、画像として暗くなる伸縮性シート10’がある部分の画素データの数値は小さく、伸縮性シート10’がない部分は明るく画素データの数値は大きい。このような撮像領域に対し、伸縮性シート10’のシート側縁101,102を検知するために特定の検査領域を設ける。第1実施態様の加工装置1においては、図2(a)に示すように、このような検査領域を、シート側縁101,102それぞれに対応して左側検査領域111と右側検査領域112とに分けて設けている。
【0039】
図3(a)及び図3(b)に示されるように、これら両側検査領域111,112のY方向任意の1画素に対する両検査領域111,112のX方向の画素データを求め、両検査領域111,112のY方向幅の画素数に相当する数のグラフ(図3(a)及び図3(b)は、その中の一つ)を積算平均化した上で微分し、図3(c)及び図3(d)に示されるように、微分結果の最大最小値を±100%となるようにデータ変換する。そして、シート側縁101,102を特定するために設定された閾値に基づいてシート側縁101,102の位置データを求める。そして、シート側縁102の位置データからシート側縁101の位置データを減算して伸縮性シート10’のシート幅Wを算出する。本実施態様の加工装置1においては、伸縮性シート10’の搬送中、上述した撮像とシート幅Wの算出を所定間隔おきに行う。
【0040】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、前記のように、検知した伸縮性シート10’の幅Wと、伸縮性シート10’の設定幅Waとの差に基づいて、制御工程において、歯溝ロール2,3の回転速度を制御する場合と、噛み合い部分の噛み合いの深さを制御する場合と、歯溝ロール2,3の回転速度及び噛み合いの深さの両方を制御する場合とがある。
まず最初に、延伸加工して得た伸縮性シート10’の幅Wが予め設定された設定幅Waとなるように、歯溝ロール2,3の回転速度のみを変更する場合について説明する。
左側検査領域111及び右側検査領域112で検知されたシート側縁101,102の位置データにより算出したシート幅Wのデータが、図1に示すように、画像処理装置43から演算処理部81に送信される。制御工程では、演算処理部81において、画像処理装置43から受信した伸縮性シート10’のシート幅Wと、表示・設定手段9で予め設定した伸縮性シート10’の設定幅Waとの差を求め、設定幅Waとの差に基づき、演算処理部81において、歯溝ロール2,3の新たな回転速度V3’を求め、サーボアンプ83に運転制御指令を出力する。
【0041】
具体的には、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅Wと予め設定された設定幅Waとのずれ幅ΔW(次式(5))より、歯溝ロール2、3の新たな回転速度V3’は、次式(6)で表される。
ΔW={(W−Wa)/Wa}×100 [%]・・・(5)
W :延伸された後の伸縮性シート10’の検知幅[mm]
Wa :予め設定された設定幅[mm]
V3’=V3a−b×ΔW×V3a [m/min]・・・(6)
V3a :歯溝ロール2,3の基準速度[m/min]
b :補正係数
【0042】
歯溝ロール2,3の新たな回転速度V3’の式(6)における第2項は、伸縮性シート10’のシート幅Wと予め設定した伸縮性シート10’の設定幅Waが等しくなる(W=Wa)ときの基準速度V3aに対する補正量であり、延伸された後のシートの検知幅Wが、予め設定された設定幅Waより大きい場合(W>Wa、ΔW>0)には、負の値になり、延伸された後のシートの検知幅Wが、予め設定された設定幅Waより小さい場合(W<Wa、ΔW<0)には、正の値になる。つまり、歯溝ロール2,3の新たな回転速度V3’は、シートの検知幅Wが設定幅Waより大きい場合には、基準速度V3aより遅くし、シートの検知幅Wが設定幅Waより小さい場合には、基準速度V3aより速くする。この新たな回転速度V3’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ83へ送信され、回転速度V3’に基づいてサーボモーター71が回転することにより、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅を予め設定された設定幅Waに制御する。尚、歯溝ロール2、3の基準速度V3aとは、物品製造設備の加工速度に追従(同期)させるための速度のことを言う。
【0043】
次に、延伸加工して得た伸縮性シート10’の幅Wが予め設定された設定幅Waとなるように、歯溝ロール2,3の噛み合い深さのみを変更する場合について説明する。
制御工程では、演算処理部81において、画像処理装置43から受信した伸縮性シート10’のシート幅Wと、表示・設定手段9で予め設定した伸縮性シート10’の設定幅Waとの差を求め、設定幅Waとの差に基づき、演算処理部81において、歯溝ロール2,3の新たな噛み合い深さh’を求め、各サーボアンプ85,86に運転制御指令を出力する。
【0044】
具体的には、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅Wと予め設定された設定幅Waとのずれ幅ΔW(次式(5))より、新たな噛み合い深さh’は、次式(7)で表される。
h’=ha−c×ΔW×ha [mm]・・・(7)
ha :基準噛み合い深さ[mm]
c :補正係数
歯溝ロール2,3の新たな噛み合い深さh’の式(7)における第2項は、伸縮性シート10’のシート幅Wと予め設定した伸縮性シート10’の設定幅Waが等しくなる(W=Wa)ときの基準噛み合い深さhaに対する補正量であり、延伸された後のシートの検知幅Wが、予め設定された設定幅Waより大きい場合(W>Wa、ΔW>0)には、新たな回転速度V3’の式(6)の第2項と同様に、負の値になり、延伸された後のシートの検知幅Wが、予め設定された設定幅Waより小さい場合(W<Wa、ΔW<0)には、正の値になる。つまり、新たな噛み合い深さh’は、シートの検知幅Wが設定幅Waより大きい場合には、基準噛み合い深さhaより浅くし、シートの検知幅Wが設定幅Waより小さい場合には、基準噛み合い深さhaより深くする。この新たな噛み合い深さh’のデータは、歯溝ロール2,3の噛み合い深さを調整するサーボモーター74,75に応じた回転データに変換され、演算処理部81からサーボアンプ85,86に送信される。サーボアンプ85,86は、前記回転データに基づいてサーボモーター74,75を回転させ、サーボモーター74,75に接続された噛み合い深さ調整部72、73によって、歯溝ロール2,3の噛み合いの深さをh’に変更することにより、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅を予め設定された設定幅Waに制御する。
【0045】
次に、延伸加工して得た伸縮性シート10’の幅Wが予め設定された設定幅Waとなり、更に延伸加工後のシートの伸縮性が一定に保てるように、歯溝ロール2,3の回転速度及び噛み合い深さを変更する場合について説明する。延伸加工して得た伸縮性シート10’の幅Wを予め設定された設定幅Waとなるように制御するためには、これまで説明したように、歯溝ロール2,3回転速度のみを変更するか、あるいは歯溝ロール2,3の噛み合い深さのみを変更すればよい。しかし、歯溝ロール2,3の回転速度、あるいは噛み合い深さのみを変更すると、延伸加工後の伸縮性シート10’の張力が変わるため、伸縮性を一定に保つことができない。このため、上述した式(6)の第2項を正に変更した式(6’)と、式(7)を用いて、歯溝ロール2,3の回転速度と噛み合いの深さを同時に変更する。
【0046】
具体的には、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅Wと予め設定された設定幅Waとのずれ幅ΔW(上述した式(5))より、歯溝ロール2,3の新たな回転速度V3’は、上述した式(6)の第2項の符号を正に変更した次式(6’)で表され、新たな噛み合い深さh’は、再掲する次式(7)で表される。
V3’=V3a+b×ΔW×V3a [m/min]・・・(6’)
h’=ha−c×ΔW×ha [mm]・・・(7)
【0047】
上述した式(6’)で得られた新たな回転速度V3’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ83へ送信され、回転速度V3’に基づいてサーボモーター71が回転する。それと共に、上述した式(7)で得られた新たな噛み合い深さh’のデータは、歯溝ロール2,3の噛み合い深さを調整するサーボモーター74,75に応じた回転データに変換され、演算処理部81からサーボアンプ85,86に送信され、サーボアンプ85,86は、前記回転データに基づいてサーボモーター74,75を回転させ、サーボモーター74,75に接続された噛み合い深さ調整部72、73によって、歯溝ロール2,3の噛み合いの深さをh’に変更する。このように、歯溝ロール2,3の回転速度及び噛み合い深さを変更することにより、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅を予め設定された設定幅Waに制御する。
【0048】
以上説明したように、加工装置1を用いて設定幅Waの伸縮性シートを製造する第1実施態様の伸縮性シートの製造方法によれば、延伸工程と、幅検知工程とを備え、幅検知工程において検知した延伸して得た伸縮性シート10’の幅Wと、予め設定された伸縮性シート10’の設定幅Waとの差に基づいて、一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の歯溝ロール2,3の回転速度を制御する制御工程とを有しているので、延伸加工後のシートの幅が設定幅Waに保たれ、更に延伸加工後のシートの伸縮性が一定に保たれた伸縮性シート10’を製造することができる。
【0049】
また、加工装置1を用いて設定幅Waの伸縮性シートを製造する第1実施態様の伸縮性シートの製造方法によれば、延伸加工後の伸縮性シート10’のシート幅を二次元で検知するため、安定して高精度に伸縮性シート10’の幅を検知できる。また、延伸加工後の伸縮性シート10’のシート幅Wを安定して高精度に検知できるので、シート幅の検査を行うことができる。
【0050】
また、加工装置1を用いて設定幅Waの伸縮性シートを製造する第1実施態様の伸縮性シートの製造方法によれば、複合シート10の加工条件となる延伸倍率と、基準となるシート幅と、基準となる噛み合いの深さと、基準となる歯溝ロールの回転速度、の品種毎のデータを演算処理部81に保存しておけば、表示・設定手段9を介して品種データを容易に切替えることができる。
【0051】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法をその好ましい第2実施態様に基づいて、図面を参照しながら説明する。図4は、第2実施態様の伸縮性シートの製造方法に用いられる加工装置(以下、単に加工装置ともいう。)を模式的に示すものである。第2実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0052】
図4に示すように、第2実施態様の加工装置1’は、歯溝加工手段7と幅検知手段4との間に、更に、張力検知手段16を備えている点が、第1実施態様の加工装置1と異なる点であり、張力検知手段16以外は加工装置1と同じである。つまり、加工装置1’は、幅検知手段4及び張力検知手段16に基づいて延伸加工を制御するものである。
【0053】
張力検知手段16は、図4のように、張力検知ロール161と、フリーロール162,163と、張力検知器164とを備えている。張力検知ロール161とフリーロール162,163は、歯溝加工手段7の歯溝ロール2,3と幅検知手段4との間に配されている。張力検知ロール161は、図4のように、上流側のフリーロール162と下流側のフリーロール163との間であって、フリーロール162,163の位置より高い位置に配されている。このように配した張力検知ロール161及びフリーロール162,163に、歯溝加工手段7により延伸加工して得た伸縮性シート10’が、Ω状に張力検知ロール161に巻きかけられて搬送されるため、張力検知ロール161によって、伸縮性シート10’の張力が検知される。
【0054】
次に、本発明の予め設定した設定幅の伸縮性シートを製造する製造方法の第2実施態様を、加工装置1’を使用した伸縮性シートの製造方法に基づいて説明する。
【0055】
本発明の第2実施態様の伸縮性シートの製造方法は、延伸工程と幅検知工程との間に、延伸工程を経て得た伸縮性シート10’の搬送方向(Y方向)の張力の変動を検知する張力検知工程を有している。第2実施態様の制御工程においては、検知した張力の変動が設定の範囲を超える張力となった場合には、該張力の変動に基づいて、予め設定した伸縮性シート10’の設定幅Waを変更する。詳述すると、第2実施態様の伸縮性シートの製造方法は、延伸加工して得た伸縮性シート10’のシート幅を制御するため、一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して±120%以上の張力となった場合には、張力の変動に基づいて、新たな設定幅Watを設定し、その結果を受けて、噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の歯溝ロール2,3の回転速度を制御する制御工程を有している。
【0056】
張力検知工程では、歯溝加工手段7により延伸加工して得た伸縮性シート10’を、張力検知手段16である張力検知ロール161とフリーロール162,163との間をΩ状に一定のテンションを掛けた状態で連続的に搬送し、延伸加工して得た伸縮性シート10’の張力を張力検知ロール161で検知する。張力検知ロール161で検知された張力は、図4に示すように、アナログ信号で張力検知器164に送信されて張力データに変換され、制御手段8の運転制御指令を出力する演算処理部81に送信される。張力の検知は、テンションメーター等を用いる。
【0057】
制御工程では、演算処理部81において、張力検知器164から受信した伸縮性シート10’の張力Tと、表示・設定手段9で予め設定した伸縮性シート10’の設定張力Taとの差ΔTを求め、一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して±120%以上の張力となった場合に、設定張力Taとの差に基づき、演算処理部81において、歯溝ロール2,3の新たな回転速度V3tと新たな噛み合い深さhtとを求め、各サーボアンプ83,85,86に運転制御指令を出力する。
【0058】
具体的には、設定張力Taとの差ΔT(次式(8))より、伸縮性シート10’の新たな設定幅Wat、延伸された後のシートの検知幅WからのずれΔWt、ロール2,3の新たな回転速度V3t’は、それぞれ次式(9,10,11)で表される。
ΔT={(T−Ta)/Ta}×100 [%]・・・(8)
T :延伸された後の伸縮性シート10’の張力(一定時間内の平均値)
Ta :予め設定された設定張力
Wat=Wa+d×ΔT×Wa[mm]・・・(9)
Wa :予め設定された設定幅[mm]
d :補正係数
ΔWt={(W−Wat)/Wat}×100 [%]・・・(10)
W :延伸された後の伸縮性シート10’の検知幅[mm]
V3t’=V3a−b×ΔWt×V3a [m/min]・・・(11)
V3a:ロール2,3の基準速度[m/min]
b :補正係数
【0059】
上式(9)における第2項は、予め設定された設定幅Waに対する補正量であり、上式(8)のように、延伸された後の伸縮性シート10’の張力データが設定張力データより大きい場合(T>Ta)には、ΔTは正の値となり、上式(9)により、新たな設定幅Watは、当初の設定幅Waより大きくなる(Wat>Wa)。ここで、一般的に、張力(張力データ)が大きいと、延伸された後の伸縮性シート10’の検知幅Wが小さいことが知られている。その為、上式(10)に示す、延伸された後のシートの検知幅Wと新たな設定幅Watとの差(W−Wat)は相対的に小さく(負の値)なり、上式(11)に示す歯溝ロール2、3の新たな回転速度V3t’は速くなる。一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して+120%以上の張力となった場合には、この新たな回転速度V3t’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ83へ送信され、回転速度V3t’に基づいてサーボモーター71が回転することにより、伸縮性シート10’の張力を小さく制御することができる。
【0060】
一方、上式(8)のように、延伸された後の伸縮性シート10’の張力データが設定張力データより小さい場合(T<Ta)には、ΔTは負の値となり、上式(9)により、新たな設定幅Watは、当初の設定幅Waより小さくなる(Wat<Wa)為、上式(10)に示す、延伸された後のシートの検知幅Wと新たな設定幅Watとの差(W−Wat)は相対的に大きく(正の値)なり、上式(11)に示す歯溝ロール2、3の新たな回転速度V3t’は遅くなる。一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して−120%以上の張力となった場合には、この新たな回転速度V3t’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ83へ送信され、回転速度V3t’に基づいてサーボモーター71が回転することにより、伸縮性シート10’の張力を大きく制御することができる。
【0061】
また、新たな噛み合い深さht’は、次式(12)で表される。
ht’=ha−e×ΔWt×ha [mm]・・・(12)
ha :基準噛み合い深さ[mm]
e :補正係数
上式(12)における第2項は、基準噛み合い深さhaに対する補正量であり、延伸された後の伸縮性シート10’の張力データが設定張力データより大きい場合(T>Ta)には、上式(8)のΔTは正の値となるので、上式(9)に示す新たな設定幅Watは、当初の設定幅Waより大きくなる(Wat>Wa)。その為、上式(10)に示す、延伸された後のシートの検知幅Wと新たな設定幅Watとの差(W−Wat)は相対的に小さく(負の値)なり、上式(12)に示す新たな噛み合い深さht’は大きくなる。所定の時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して+120%以上の張力となった場合には、この新たな噛み合い深さht’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ85,86へ送信される。サーボアンプ85,86は、前記回転データに基づいてサーボモーター74,75を回転させ、サーボモーター74,75に接続された噛み合い深さ調整部72、73によって、歯溝ロール2,3の噛み合いの深さの大きいht’に変更することにより、伸縮性シート10’の張力を小さく制御することができる。
【0062】
一方、延伸された後の伸縮性シート10’の張力データが設定張力データより小さい場合(T<Ta)には、上式(8)のΔTは負の値となるので、上式(9)に示す新たな設定幅Watは、当初の設定幅Waより小さくなる(Wat<Wa)為、上式(10)に示す、延伸された後のシートの検知幅Wと新たな設定幅Watとの差(W−Wat)は相対的に小さく(負の値)なり、上式(12)に示す新たな噛み合い深さht’は小さくなる。一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して−120%以上の張力となった場合には、この新たな噛み合い深さht’のデータは、演算処理部81からサーボアンプ85,86へ送信される。サーボアンプ85,86は、前記回転データに基づいてサーボモーター74,75を回転させ、サーボモーター74,75に接続された噛み合い深さ調整部72、73によって、歯溝ロール2,3の噛み合いの深さの小さいht’に変更することにより、伸縮性シート10’の張力を大きく制御することができる。
【0063】
上述のように、一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して±120%以上の張力となった場合に、一定時間内で検知した張力の平均値と予め設定した設定張力に基づいて、延伸加工後のシート幅が大きく変わらない範囲(好ましくは当初の設定幅Waの±5mm以内、特に好ましくは±3mm以内)で新たな設定幅Watを算出し、歯溝ロール2,3の回転速度及び/又は噛み合いの深さを調整することで、延伸加工後の伸縮性シート10’の張力を制御する。尚、一定時間内で検知した張力の平均値が予め設定した伸縮性シート10’の設定張力に対して±120%以内の張力となった場合には、第1実施態様の伸縮性シートの製造方法と同様に、延伸された後の伸縮性シート10’の幅Wと、予め設定された伸縮性シート10’の設定幅Waとの差に基づいて、一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の歯溝ロール2,3の回転速度を制御する。
【0064】
以上説明したように、加工装置1’を用いて設定幅Waの伸縮性シートを製造する第2実施態様の伸縮性シートの製造方法によれば、第1実施態様の伸縮性シートの製造方法に対して、更に張力検知工程を備えており、延伸加工後の伸縮性シート10’の幅と張力を検知して延伸加工を制御しているので、所要の幅で所要の伸縮性を持った伸縮性シート10’を安定的に製造することができる。特に、張力検知手段16で検知した張力データが大きく変動した場合に、歯溝ロール2,3の回転速度や噛み合い深さを制御することにより、その張力変動を緩和することができるため、所要の伸縮性を持った伸縮性シート10’を安定的に製造することができる。
【0065】
また、加工装置1’を用いて設定幅Waの伸縮性シートを製造する第2実施態様の伸縮性シートの製造方法によれば、延伸加工後の伸縮性シート10’の張力を検知できるので、複合シートの異常を容易に発見することができる。
【0066】
次に、本発明のパンツ型着用物品の製造方法を、パンツ型の使い捨ておむつの製造方法(以下、おむつの製造方法という。)に適用した好ましい実施態様に基づいて説明する。
【0067】
図5に示したように、本実施態様のおむつの製造方法は、前記伸縮性シートの製造方法で製造された伸縮性シート(複合シート10に延伸加工を施して得たシート)10’を使用し、おむつ30を製造するものであり、伸縮性シート10’の連続体を用いる以外は、従来の、いわゆる横流れ方式のパンツ型使い捨ておむつの製造方法と同様にして製造することができる。
【0068】
本実施態様のおむつの製造方法は、延伸加工が施して得た伸縮性シート10’を含む外包材20の連続体の形成工程と、外包材20の連続体に吸収性本体21を配置する吸収性本体21の配置工程と、外包材20の連続体にレッグホール22を形成するレッグホール形成工程と、吸収性本体21が配置された外包材20の連続体を吸収性本体21とともに搬送方向に沿って二つ折りにする折り工程と、二つ折りにした外包材20の連続体を長さ方向に所定間隔をおいて接合して接合部を形成する接合工程と、外包材20の連続体を接合した部分で切断して個々に分離する分離工程とを具備している。
【0069】
外包材20の連続体の形成工程では、外包材20に含ませる外層シートとしての延伸加工が施して得た伸縮性シート10’と、肌側に配される内層シート23とを接合して外包材20の連続体を形成する。本実施態様においては、これらのシート同士を接合するときに、ウェスト部弾性部材24及びレッグ部弾性部材25もこれらのシート同士の間に供給され、それらの間に伸張状態で接合される。具体的には、両シートを重ね合わせる前に、両シートの何れか一方又は双方の相対向する面の所定の部位に、ウェスト部弾性部材24及びレッグ部弾性部材25を固定するための接着剤を塗工しておき、これらの弾性部材を伸長状態で挟んだ状態で、 両帯状シートを、ニップロール17で狭圧して固定する。
【0070】
延伸加工が施して得た伸縮性シート10’と内層シート23との間は、内層シート23が伸長性または伸縮性を有していない場合には、おむつ30の腹側部、背側部及び股下部それぞれの大部分において接合されていないことが好ましい。具体的には、延伸加工が施して得た伸縮性シート10’と内層シート23とは、おむつ30の腹側部及び背側部それぞれの両側縁部において、ヒートシール、高周波シール又は超音波シール等の手法により互いに接合され、ウェスト開口部の周縁部及び一対のレッグホールのそれぞれの周縁部において、ホットメルト型接着剤等の接着剤により互いに接合され、腹側部、背側部及び股下部それぞれのおむつ幅方向中央部において接合されている。そして、それらの以外の部分においては接合されていないことが好ましい。内層シート23が伸長性または伸縮性を有している場合には内層シート23は伸長状態で、同じく伸長状態の延伸加工が施された伸縮性シート10’と接合されるが、大部分において接合しても、部分的に接合していてもよい。
【0071】
内層シート23には、長手方向に伸長性又は伸縮性を有するシートが好ましく用いられる。内層シート23の長手方向の最大伸度は100%以上であることが好ましい。長手方向に伸長性を有するが伸縮性を有しないシートとしては、特表平8−508789号公報、特表2000−513054号公報等に記載のもの等を用いることができる。また、内層シート23には、同じように上述の歯溝ロール2,3によって延伸加工して得た伸縮性シート10’のように、伸縮性を有するシートを用いることもできる。また、特願2006−207596の出願当初の明細書〔0021〕〜〔0027〕に記載されているように、伸長状態の第 1帯状シートと実質的に非伸長状態の第2帯状シートとが貼り合わされたシートを用いることもできる。内層シート23に、伸縮性を有するシートを用いる場合には、特に制限はないが、例えば伸縮性シート10’と同様に延伸加工によって伸縮性を発現するシートが好ましく用いられる。
【0072】
ウェスト部弾性部材24は、おむつのウェスト部に位置するように外包材20の両側部に供給されて接着剤で接合固定される。レッグ部弾性部材25は、後に形成されるレッグホール22及び股下部分の形態に合わせて供給されて接着剤で接合固定される。レッグ部弾性部材25は、延伸加工が施して得た伸縮性シート10’及び内層シート23の流れ方向に直交する方向に公知の揺動ガイド(図示せず)で揺動されながら、両帯状シート間に導入される。ウェスト部弾性部材24及びレッグ部弾性部材25には、従来からこの種の物品に使用されている通常のものを採用することができる。ウェスト部弾性部材24及びレッグ部弾性部材25としては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成した ものが好ましく用いられる。
【0073】
吸収性本体21の配置工程では、予めホットメルト接着剤等の接着剤が塗布された吸収性本体21が、90度回転され、外包材20の連続体の内層シート23上に間欠的に供給されて固定される。
【0074】
吸収性本体21は、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された液保持性の吸収性コアを有する実質的に縦長の形態を有している。これらの表面シート、裏面シート及び吸収性コアには、従来からこの種の物品に用いられているものと同様のものが採用される。例えば、吸収性コアには、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているもの等が用いられる。
【0075】
レッグホール形成工程では、吸収性本体21が配置された外包材20の連続体におけるレッグ部弾性部材25の環状部の内側にレッグホール22が形成される。レッグホール22の形成には、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法が採用される。レッグホールの形成は、吸収性本体21の配置前に行うこともできる。
【0076】
折り工程では、予めウェスト部弾性部材24及び吸収性本体21の長さ方向の両端部に折り重なるように、外包材20の連続体の両側縁部が折り込まれた後、外包材20の連続体と吸収性本体21とが搬送方向(Y方向)に沿って二つ折りにされる。
【0077】
接合工程では、吸収性本体21とともに二つ折りにされた外包材20の連続体が、長さ方向に所定間隔をおいて接合され、おむつのサイドシール部に対応する接合部26が形成される。接合部26の形成には、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法が採用される。
【0078】
分離工程では、接合工程において形成した外包材20の連続体の接合部26の略中央部で当該連続体が切断されて個々のおむつ30に分離される。おむつ30の分離には、従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法が採用される。
【0079】
以上説明したように、本実施態様のおむつの製造方法によれば、歯溝ロール2,3同士の歯の噛み合い深さと歯溝ロール2,3の回転速度といった加工条件を制御することにより、延伸加工前のシート搬送における張力変動や延伸加工前のシート坪量変動等によって生じる延伸加工後のシート幅の変動を抑え、延伸加工後のシートを所要の伸縮性に保ちながら、高精度に制御された所要の幅のシートを製造装置に供給できるので、フィット性に優れ完成度の高いパンツ型着用物品を安定的に製造することができる。
【0080】
また、本実施態様のおむつの製造方法によれば、パンツ型着用物品の品種替えや製品仕様の変更を行う場合、延伸倍率(延伸加工後のフィードロールの回転速度設定値を延伸加工前のフィードロールの回転速度設定値で割った値)と、基準となるシート幅と、基準となる噛み合いの深さと、基準となる歯溝ロールの回転速度、のデータを切替えるだけで、所要の幅で所要の伸縮性を持ったシートをおむつの製造装置に容易に供給することができる。
【0081】
また、本実施態様のおむつの製造方法によれば、パンツ型着用物品の品種替えによりシート幅を変更しても、延伸加工後のシート幅を検知する検知器が広い検査視野を持っているので、パンツ型着用物品のサイズ替えに伴う装置の調整が不要であり、簡便性が損なわれることがない。。
【0082】
本発明は、前記実施態様に制限されない。
例えば、第1実施態様の加工装置1においては、幅検知手段4として光学式の撮像器を用いたが、幅検知手段4は、ラインセンサー(一次元)であってもよいし、レーザーセンサーや光電センサーを用いてもよい。
【0083】
また、第1実施態様の加工装置1においては、制御手段8に演算処理部81とサーボアンプ82,83,84,85,86とを用いたが、これらの機能を備えた一つの演算処理部に置き換えることもできる。
【0084】
本発明は、前記実施態様におけるような、パンツ型着用物品の製造装置以外のシート加工にも適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 加工装置
2 歯溝ロール
21 歯
3 歯溝ロール
31 歯
4 検知手段
41 CCDカメラ(撮像器)
42 照明器
43 画像処理装置
5 張力付与手段
51,52 フィードロール
53 サーボモーター
6 張力付与手段
61,62 フィードロール
63 サーボモーター
7 歯溝加工手段
71 サーボモーター
72,73 噛み合い深さ調整部
74,75 噛み合い深さ調整用のサーボモーター
8 制御手段
81 演算処理部
82,83,84,85,86 サーボアンプ
9 表示・設定手段
10 複合シート
10’ 複合シート10に延伸加工を施して得た伸縮性シート
101,102 伸縮性シート10’の搬送方向(Y方向)のシート側縁
11 撮像領域
111 左側検査領域
112 右側検査領域
15 フリーロール
16 張力検知手段
161 張力検知ロール
162,163 フリーロール
164 張力検知器
17 ニップロール
20 外包材
21 吸収性本体
22 レッグホール
23 内層シート
24 ウェスト部弾性部材
25 レッグ部弾性部材
26 接合部
30 おむつ
V1 フィードロール51,52の回転速度
V2 フィードロール61,62の回転速度
V3 歯溝ロール2,3の回転速度
Wa 予め設定された伸縮性シートの設定幅
W 歯溝ロールにより延伸された後の伸縮性シートの検知幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合シートに延伸加工を施して伸縮性シートを得る伸縮性シートの製造方法であって、
互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に複合シートを搬送方向に連続供給して、一対の該歯溝ロール間で該複合シートに伸縮性を付与する延伸工程と、
前記延伸工程を経て得た伸縮性シートの幅を検知する幅検知工程と、
検知した前記伸縮性シートの前記幅と、該伸縮性シートの予め設定した設定幅との差に基づいて、前記噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び/又は一対の前記歯溝ロールの回転速度を制御する制御工程とを有する伸縮性シートの製造方法。
【請求項2】
前記幅検知工程においては、前記伸縮性シートを撮像して得られた画素データに基づいて前記伸縮性シートの前記幅を検知する請求項1に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項3】
前記延伸工程と前記幅検知工程との間に、前記延伸工程を経て得た前記伸縮性シートの搬送方向の張力の変動を検知する張力検知工程を有する請求項1又は2に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項4】
前記制御工程においては、検知した前記張力の変動が設定の範囲を超える張力となった場合には、該張力の変動に基づいて、予め設定した前記設定幅を変更する請求項3に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法で製造された伸縮性シートを使用したパンツ型着用物品の製造方法であって、
前記伸縮性シートを含む外装材の連続体をその搬送方向に沿って二つ折りにする折り工程と、二つ折りにした前記連続体を搬送方向に所定間隔において接合して接合部を形成する接合工程と、前記連続体を前記接合部で切断して個々に分離する分離工程とを備えているパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項6】
互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に複合シートを搬送方向に連続供給して、該複合シートを所要幅の伸縮性シートに加工するシートの加工方法であって、
前記歯溝ロールの下流側で前記伸縮性シートの幅を検知し、検知した該幅と前記所要幅との差に基づいて、前記噛み合い部分の噛み合いの深さ、及び又は一対の前記歯溝ロールの回転速度を制御するシートの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−125638(P2011−125638A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289778(P2009−289778)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】