説明

伸縮性不織布

【課題】強度及び通気性の高い伸縮性不織布を提供すること。
【解決手段】伸縮性不織布10は、弾性繊維及非弾性繊維を含み、少なくとも一方向に伸縮可能なっている。不織布10には散点状のパターンで多数のエンボス部4が形成されている。不織布10は、エンボス部4の実質的な破壊を伴わずにエンボス部4間が伸長可能になっている。エンボス部4は、繊維の溶融に起因するフィルム化が起こっていない状態にあることが好ましい。不織布10は、不織布原反をその搬送方向と同方向に延伸加工して伸縮性が付与されたものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮性不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布にエンボス加工を施し、次いで該不織布を搬送しながら搬送方向と同方向又はそれと直交する方向に該不織布を延伸する技術が知られている(特許文献1及び2参照)。この技術によれば、エンボス加工によって形成されたエンボス部の近傍に開孔が形成される。このようにして得られた開孔不織布は、これを生理用ナプキンのトップシートとして用いると、経血が開孔を経て吸収コアへ吸収される。
【0003】
しかしながら、前記の方法によって開孔が形成された不織布は、延伸に起因してエンボス部の破壊が起こり、延伸前に比較して強度が大きく低下しやすい。その結果、得られる不織布は十分な強度を有するものとならない場合がある。また、開孔は不規則に形成されるので不織布の外観が良好とは言えない。
【0004】
【特許文献1】特表平11−504684号公報
【特許文献2】特開2001−328191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、弾性繊維及非弾性繊維を含み、少なくとも一方向に伸縮可能な伸縮性不織布において、
前記不織布には散点状のパターンで多数のエンボス部が形成されており、該エンボス部の実質的な破壊を伴わずに該エンボス部間が伸長可能になっている伸縮性不織布を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば強度及び通気性の高い伸縮性不織布が得られる。この不織布はその伸長状態において衣類の生地模様に類似のメッシュ状の外観を呈するので、外観が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層を有している。伸縮性不織布は、弾性繊維層のみから構成されていてもよく、或いは後述する図1に示すようにその少なくとも一方の面に実質的に非弾性の非弾性繊維層が積層されていてもよい。弾性繊維層は弾性繊維を含んでいる。弾性繊維層は弾性繊維のみからなるか、又は弾性繊維及び非弾性繊維を含んでいる。弾性繊維は1種又は2種以上を用いることができる。弾性繊維層に非弾性繊維が含まれる場合、非弾性繊維は1種又は2種以上を用いることができる。
【0009】
弾性繊維は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維であることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、当該技術分野において従来用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を用いることができる。弾性繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。
【0010】
弾性繊維層には、伸縮性不織布を伸長させたときに、後述するエンボス部の実質的な破壊が生じないようにする観点、不織布の肌触りを良好にする観点、風合いを良くする観点、強度を高める観点から、弾性繊維に加えて、非弾性繊維が含まれていてもよい。非弾性繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。弾性繊維層が、弾性繊維と非弾性繊維とを含んで構成されている場合、前者/後者の重量比は、20/80〜80/20、特に30/70〜70/30であることが、良好な伸縮特性を有し、高い強度を実現させ、肌触りが良好で、風合いが向上する点から好ましい。
【0011】
特に非弾性繊維の原料繊維として低延伸の繊維を用いると、伸縮性不織布を伸長させたときに、エンボス部の実質的な破壊が一層起こりづらくなる点から好ましい。この理由は次の通りである。後述する製造方法の説明から明らかなように、本発明の伸縮性不織布は、好適には不織布原反に延伸加工を施すことで伸縮性が付与される。非弾性繊維として低延伸の繊維を用いると、延伸過程において該繊維が引き伸ばされて、繊維どうしの結合点の破壊が起こりづらくなる。その結果、不織布を伸長させたときに、エンボス部に加わる応力が低減されるので、エンボス部が破壊されづらくなる。
【0012】
本発明で言う低延伸の繊維とは、紡糸後に低延伸倍率で延伸された繊維及び延伸されていない繊維、即ち未延伸繊維の両方を包含する。低延伸の繊維としてはその伸度が80〜800%、特に120〜650%のものを用いることが好ましい。この範囲の伸度を有する低延伸の繊維を原料として用いることで、該繊維が延伸過程で首尾良く引き伸ばされて、エンボス部の破壊が一層起こりづらくなる。低延伸の繊維の繊維径は10〜35μm、特に12〜30μmであることが好ましい。
【0013】
低延伸の繊維の伸度はJIS L−1015に準拠し、測定環境温湿度23℃、50%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/minの条件での測定を基準とした。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するときを始めとして、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
【0014】
非弾性繊維の原料となる低延伸の繊維はその繊維間融着点強度が、該繊維の100%伸長時強度よりも高いものであることが好ましい。これによって伸縮性不織布の原反不織布(後述する繊維シートA)を延伸したときに、エンボス部の破壊が起こりにくくなる点から好ましい。融着点強度は、本出願人の先の出願に係る特開2004−218183号公報の段落〔0040〕の記載に従い測定される。100%伸長時強度は、引張試験機を用い、繊維の伸度測定と同様にして測定される。
【0015】
先に述べた通り、本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層のみから構成されていてもよく、或いはその少なくとも一方の面に実質的に非弾性の非弾性繊維層が積層されていてもよい。図1には本発明の伸縮性不織布の好ましい一実施形態における断面構造の模式図が示されている。本実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層されて構成されている。
【0016】
弾性繊維層1は弾性繊維を含む集合体である。弾性繊維層1は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。弾性繊維層1は、少なくとも面と平行な一方向において、100%伸長後に収縮させたときの残留歪みが20%以下、特に15%以下であることが好ましい。この値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。
【0017】
弾性繊維層1に含まれる弾性繊維は、例えば溶融した樹脂をノズル孔より押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂を熱風により伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン法や、半溶融状態の樹脂を冷風や機械的ドロー比によって延伸するスパンボンド法によって製造される。また、溶融紡糸法の一種であるスピニングブローン法によって弾性繊維を製造することもできる。
【0018】
弾性繊維層1は、弾性繊維を含むウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウエブや不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法で得られたウエブである。
【0019】
スピニングブローン法においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置し、その下流に一対の冷風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置した紡糸ダイを用いる。スピニングブローン法によれば、溶融繊維の熱風による伸長と、冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウエブを得ることができる。連続フィラメントのウエブは、短繊維のウエブに比較して高伸張時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすいことから、本実施形態において極めて有利である。
【0020】
スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特公昭43−30017号公報の図1に記載されているもの、特開昭62−90361公報の図3に記載されているもの、特開平3−174008号公報の図3に記載されているものを用いることができる。更に、特開平3−174008号公報の図3に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図4に示されるものを用いることができる。紡糸ダイより紡出された繊維は捕集ネットコンベア上に堆積される。
【0021】
非弾性繊維層2,3は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維どうしの交点において熱融着していた両繊維どうしが離れたり、繊維どうしの熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合の何れであっても良い。特に、構成繊維自体が伸長することが、伸縮性不織布を伸長させた場合にエンボス部の実質的な破壊が起こりづらくなる点から有利である。
【0022】
非弾性繊維層2,3を構成する繊維としては、弾性繊維層1に含まれ得る伸長性の非弾性繊維として先に説明したものと同様のものを用いることができる。好ましくは、非弾性繊維層2,3に含まれる非弾性繊維は、先に述べた低延伸の繊維、即ちそれ自体が伸長可能な繊維である。非弾性繊維層2,3は、連続フィラメント又は短繊維のウエブ又は不織布であり得る。特に、短繊維のウエブであることが、厚みのある嵩高な非弾性繊維層2,3を形成し得る点から好ましい。2つの非弾性繊維層2,3は、構成繊維の材料、坪量、厚み等に関して同じであっても良く、或いは異なっていてもよい。
【0023】
2つの非弾性繊維層2,3のうち少なくとも一方は、その厚みが弾性繊維層1の厚みの1.2〜20倍、特に1.5〜8倍になっていることが好ましい。一方、坪量に関しては、2つの非弾性繊維層2,3のうち少なくとも一方は、その坪量よりも弾性繊維層の坪量の方が高くなっていることが好ましい。換言すれば、非弾性繊維層は、弾性繊維層よりも厚く且つ坪量が小さいことが好ましい。厚みと坪量とがこのような関係になっていることで、非弾性繊維層は、弾性繊維層に比較して厚みのある嵩高なものとなる。その結果、伸縮性不織布10は柔らかで風合いの良好なものとなる。
【0024】
非弾性繊維層2,3の厚みそのものに関しては、0.05〜5mm、特に0.1〜0.8mmであることが好ましい。一方、弾性繊維層1の厚みそのものに関しては、非弾性繊維層2,3の厚みよりも小さいことが好ましく、具体的には0.01〜2mm、特に0.1〜0.2mmであることが好ましい。厚みの測定は伸縮性不織布断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
【0025】
非弾性繊維層2,3の坪量そのものに関しては、弾性繊維層の表面を均一に覆う観点及び残留歪みの観点から、それぞれ1〜60g/m2、特に5〜15g/m2であることが好ましい。一方、弾性繊維層1の坪量そのものに関しては、伸縮特性及び残留歪みの観点から、非弾性繊維層2,3の坪量よりも大きいことが好ましい。具体的には5〜80g/m2、特に10〜40g/m2であることが好ましい。
【0026】
構成繊維の繊維径に関し、弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、少なくとも一方の非弾性繊維層2,3の構成繊維の繊維径の1.1〜3倍、特に1.1〜2倍であることが好ましい。これに加えて弾性繊維層1の構成繊維は、通気性及び伸縮特性の観点から、その繊維径が5μm以上、特に10μm以上が好ましく、100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。一方、非弾性繊維層2,3の構成繊維は、その繊維径が1〜30μm、特に10〜20μmであることが好ましい。つまり、非弾性繊維層2,3の構成繊維としては、弾性繊維層1の構成繊維よりも細めのものを用いることが好ましい。これによって、表層に位置する非弾性繊維層2,3の構成繊維の融着点が増加する。融着点の増加は、伸縮性不織布10の毛羽立ち発生の防止に有効である。さらに、細めの繊維を用いることで肌触りの良い伸縮性不織布10が得られる。
【0027】
図1に示すように、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3とは、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面で接合されている。つまり、部分接合されている従来の伸縮性不織布とは、接合状態が異なっている。弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3とが全面接合されている本実施形態の伸縮性不織布10においては、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との界面及びその近傍において、弾性繊維層1の構成繊維と、非弾性繊維層2,3の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。両層間に浮きが生じると、弾性繊維層と非弾性繊維層との一体感がなくなり伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。本実施形態によれば、あたかも一層の不織布ごとき一体感のある多層構造の伸縮性不織布が提供される。
【0028】
「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」とは、弾性繊維層1の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状、又はフィルム−繊維構造に変形していない状態をいう。弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態にあることで、本実施形態の伸縮性不織布10には十分な通気性が付与されるという利点がある。
【0029】
弾性繊維層1は、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層2,3も、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。
【0030】
2つの非弾性繊維層2,3のうちの少なくとも一方においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層2,3に入り込んだ状態になっている。このような状態になっていることで、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との一体化が促進され、両層間に浮きが生じることが一層効果的に防止される。結果としてそれぞれの層の表面に追従した形で層と層が組み合わさっている状態となる。非弾性繊維層の構成繊維は、その一部が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっているか、或いは弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している。それぞれの各層において表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、この面から層の内側に形成される繊維空間に、他の層の構成繊維の一部が前記層の断面厚み方向へ入り込んでいる。非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっている場合、該構成繊維は、更に弾性繊維層1の構成繊維と交絡していることが好ましい。同様に、非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している場合には、該構成繊維は、他方の非弾性繊維層の構成繊維と交絡していることが好ましい。これは伸縮性不織布の厚み方向断面をSEMやマイクロスコープなどで観察した際に、層間において実質的に空間が形成されていないことで確認される。また、ここで言う「交絡」とは、繊維どうしが十分に絡み合っている状態を意味し、繊維層を単に重ね合わせただけの状態は交絡に含まれない。交絡しているか否かは、例えば、繊維層を単に重ね合わせた状態から、繊維層を剥離するときに要する力と、繊維層を重ね合わせ、それに熱融着を伴わないエアスルー法を適用した後に、繊維層を剥離する力とを比較して、両者間に実質的に差異が認められる場合には、交絡していると判断できる。
【0031】
非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、非弾性繊維層の構成繊維と非弾性繊維層の構成繊維を熱融着させる処理前において非弾性繊維または弾性繊維の少なくともどちらかがウエブ状態(熱融着していない状態)であることが好ましい。構成繊維を他の層に入り込ませる観点から、ウエブ状態である繊維層は、短繊維の方が長繊維に比べ自由度が高いことから好ましい。
【0032】
また、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、エアスルー法を用いることが好ましい。エアスルー法を用いることで、相対する繊維層に構成繊維を入り込ませ、また、相対する繊維層から構成繊維を入り込ませることが容易となる。またエアスルー法を用いることで、非弾性繊維層の嵩高さを維持しつつ、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませることが容易となる。非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1を突き抜けさせて他方の非弾性繊維層にまで到達させる場合にも、同様にエアスルー法を用いることが好ましい。特に、ウエブ状態の非弾性繊維層を、弾性繊維層と積層して、エアスルー法を用いることが好ましい。この場合、弾性繊維層はその構成繊維同士が熱融着をしていてもよい。さらに、後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことで、また、熱風の通りをよくするため伸縮性不織布の通気性、特に弾性繊維層の通気度を高いものとすることで、繊維をより均一に入り込ませることができる。エアスルー法以外の方法、例えばスチームを吹きかける方法も使用することができる。また、スパンレース法、ニードルパンチ法などを用いることも可能であるが、その場合には非弾性繊維層の嵩高さが損なわれたり、表面に弾性繊維層の構成繊維が表面にでてきてしまい、得られる伸縮性不織布の風合いが低下する傾向にある。
【0033】
特に、非弾性繊維層の構成繊維が、弾性繊維層1の構成繊維と交絡している場合には、エアスルー法のみによって交絡していることが好ましい。
【0034】
エアスルー法によって繊維を交絡させるためには、気体の吹きつけ圧、吹きつけ速度、繊維層の坪量や厚み、繊維層の搬送速度等を適切に調整すればよい。通常のエアスルー不織布を製造するための条件を採用しただけでは、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを交絡させることはできない。後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことによって、本発明において目的とする伸縮性不織布が得られる。
【0035】
エアスルー法では一般に、所定温度に加熱された気体を、繊維層の厚み方向に貫通させている。その場合には、繊維の交絡及び繊維交点の融着が同時に起こる。しかし本実施形態においては、エアスルー法によって各層内の構成繊維間で繊維交点を融着させることは必須ではない。換言すれば、エアスルー法は、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませるために、或いは、該構成繊維を弾性繊維層1の構成繊維と交絡させ、そして、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層の構成繊維とを熱融着させるために必要な操作である。また、繊維が入り込む方向は、加熱された気体の通過方向と非弾性繊維層と弾性繊維層との位置関係によって変わる。非弾性繊維層は、エアスルー法によって、その構成繊維内で繊維交点が融着されたエアスルー不織布となることが好ましい。
【0036】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の伸縮性不織布の好ましい形態においては、実質的に非弾性の非弾性エアスルー不織布の厚み方向内部に、構成繊維が繊維形態を保った状態の弾性繊維層1が含まれており、該エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態になっている。更に好ましい形態においては、エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1の構成繊維とエアスルー法によってのみ交絡している。弾性繊維層1がエアスルー不織布の内部に含まれていることによって、弾性繊維層1の構成繊維は、実質的に伸縮性不織布の表面には存在しないことになる。このことは、弾性繊維に特有のべたつき感が生じない点から好ましいものである。
【0037】
図1には示していないが、本実施形態の伸縮性不織布10にはエンボス加工が施されている。エンボス加工は、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との接合強度を一層高める目的で行われる。なお、エンボス加工は、構成繊維どうしを接合させるが、エアスルー法と異なり、エンボス加工によっては、構成繊維どうしは交絡しない。
【0038】
図2(a)には、本実施形態の伸縮性不織布10における表面の要部拡大図が示されている。上述のエンボス加工によって、散点状の規則的なパターンで多数のエンボス部4が形成されている。エンボス部4においては、熱を伴うか又は伴わないエンボス加工によって、不織布10が圧密化されている。エンボス部4はMD方向及びCD方向の何れにも列状に配置されており、その列がMD方向及びCD方向の何れにも多列に配列されている。MD方向に関しては、隣り合うエンボス部4の列は、エンボス部の配置が半ピッチずれている。同様にCD方向に関しても、隣り合うエンボス部4の列は、エンボス部の配置が半ピッチずれている。個々のエンボス部4の形状は特に制限されず、図2に示すような円形などの異方性のない形状や、矩形状や菱形などの異方性のある形状を用いることができる。或いはそれらの組み合わせを用いてもよい。
【0039】
MD方向におけるエンボス部4のピッチLM及びCD方向におけるエンボス部4のピッチLCは、不織布10の伸長性や強度に影響する。特に、後述するように、エンボス部4の実質的な破壊を伴わずにエンボス部4間を伸長可能とする観点からも、ピッチLM及びLCは重要である。これらの観点から、ピッチLM及びLCは、1〜4mm、特に1.5〜2.5mmであることが好ましい。ピッチLM及びLCは同じ値でもよく、或いは異なる値でもよい。またLM/LCの値は0.5〜2.0、特に0.7〜1.5であることが好ましい。
【0040】
個々のエンボス部4の面積は、不織布10の強度や風合いに影響を及ぼす。これらの観点から、個々のエンボス部4の面積は0.05〜4mm2、特に0.15〜0.8mm2であることが好ましい。エンボス面積率は、不織布10の強度や風合いに影響を及ぼす。この観点から、エンボス面積率は5〜30%、特に8〜15%であることが好ましい。
【0041】
本実施形態の伸縮性不織布10は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有する。面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。最も伸縮する方向に関し、伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が40〜1000cN/50mm、特に80〜300cN/50mmであることが好ましい。また100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みが20%以下、特に15%以下であることが好ましい。更に、不織布10はその伸度(破断伸度)が100%以上、特に150%以上であることが望ましい。
【0042】
図2(b)には、図2(a)に示す不織布10を伸長させたときの状態が示されている。不織布10は、エンボス部4の実質的な破壊を伴わずにエンボス部4間が伸長可能になっている。エンボス部の実質的な破壊を伴わないとは、破断伸度に至らない範囲で50〜100%伸長させた際にエンボス部に孔があいているものや、エンボス部とその周辺との境界において繊維が切れているものが、全体のエンボス部の個数に対して10%以下であるものを言う。不織布10がこのような特徴を有することにより、該不織布10を伸長させても該不織布の低下が起こりづらくなる。また、図2(b)に示すように、伸長状態の不織布10は、エンボス部4間に存する繊維が伸長してその部分の厚みが小さくなり、衣類の生地模様に類似のメッシュ状の外観を呈するようになる。その結果、先に述べた特許文献1及び2に記載の不織布と異なり、伸長状態での不織布の外観が良好になる。
【0043】
エンボス部4の実質的な破壊を伴わずにエンボス部4間を伸長可能とする観点から、エンボス部4は、不織布10の構成繊維の溶融に起因するフィルム化が起こっていない状態にあることが好ましい。エンボス部4のフィルム化が起こると、エンボス部4の境界部分において、不織布10の伸長時に繊維が切断されやすくなり、エンボス部4の破壊が起こりやすくなる。エンボス部4を顕微鏡観察やSEM観察した場合に、該エンボス部4が繊維の形態をとどめていない場合には、フィルム化が起こっていると判断できる。フィルム化は、エンボス面積に対しエンボス加工時の圧力が高い場合や、加熱温度が、繊維の融点以上である場合(2種類以上の繊維を用いる場合には、最も融点が低い繊維の当該融点以上である場合)に起こりうる。
【0044】
本実施形態の伸縮性不織布10は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜160g/m2程度、厚み0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保っていることに起因して、通気性が高くなっている。特に、伸長状態においては、エンボス部4の実質的な破壊を伴わずにエンボス部4間が伸長するので、通気性が一層高くなる。
【0045】
伸縮性不織布10の通気性に関しては、自然状態(伸長させていない状態)における通気度が16m/(kPa・s)以上、特に24m/(kPa・s)以上となっていることが好ましい。また面積比で1.5倍に伸長させた状態での通気度が24m/(kPa・s)以上、特に48m/(kPa・s)以上となっていることが好ましい。更に、自然状態での通気度に対する1.5倍に伸長させた状態での通気度の比は1.2〜3、特に1.5〜2.5であることが好ましい。通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
【0046】
次に、本実施形態の伸縮性不織布10の好ましい製造方法を、図3を参照しながら説明する。図3には、本実施形態の伸縮性不織布10の製造方法に用いられる好ましい製造装置が模式的に示されている。図3に示す装置は、製造工程の上流側から下流側に向けて、ウエブ形成部100、熱風処理部200及び延伸部300をこの順で備えている。
【0047】
ウエブ形成部100には、第1ウエブ形成装置21、第2ウエブ形成装置22及び第3ウエブの形成装置23が備えられている。第1ウエブの形成装置21及び第3ウエブの形成装置23としては、カード機が用いられている。カード機としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。一方、第2ウエブ形成装置22としては、スピニングブローン紡糸装置が用いられている。スピニングブローン紡糸装置においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部が、前記ノズルを中心に対向配置されており、その下流に一対の冷風吐出部が、前記ノズルを中心に対向配置された紡糸ダイが備えられている。
【0048】
熱風処理部200は熱風炉24を備えている。熱風炉24内では、所定温度に加熱された加熱ガス、特に加熱空気が吹き出すようになっている。互いに重ね合わされた3層のウエブが熱風炉内に導入されると、該ウエブの上方から下方に向けて、若しくはその逆方向に、又は両方向に加熱ガスが強制的に貫通する。
【0049】
延伸部300は、弱接合装置25及び延伸装置30を備えている。弱接合装置25は、一対のエンボスロール26,27を備えている。弱接合装置25は、熱風処理部200によって形成された繊維シートにおける各層のウエブの接合を確実にするためのものである。弱接合装置25の下流には、これに隣接して延伸装置30が配置されている。延伸装置30は一対のロール31,32を備えている。各ロール31,32はその周面部に、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を有している。従って、以下の説明においては、ロール31,32を歯溝ロールと呼ぶこととする。歯溝ロール31,32が回転しているときに繊維シートがそれらの噛み合い部分に供給されて噛み込まれることで、該繊維シートが歯溝ロール31,32の周面方向(即ちシートの長手方向)へ延伸される。
【0050】
以上の構成を有する装置を用いた伸縮性不織布の製造方法について説明すると、先ず、弾性繊維からなるウエブの各面に、同一の又は異なる非弾性繊維からなる一対のウエブを配する。なお「弾性繊維からなるウエブ」とは、弾性繊維のみからなるウエブだけでなく、該ウエブから形成される弾性繊維層(図1符号1で示される層)の伸縮弾性を損なわない範囲において、弾性繊維に加えて非弾性繊維が含まれているウエブも包含する。
【0051】
図3に示すように、ウエブ形成部100においては、非弾性の短繊維を原料として用い、第1ウエブ形成装置21であるカード機によって非弾性繊維ウエブ3’を製造し、一方向に連続搬送させる。
【0052】
ウエブ3’とは別に、熱可塑性エラストマー等からなる弾性樹脂を原料として用い、第2ウエブ形成装置22であるスピニングブローン紡糸装置によって紡出された繊維は捕集ネットコンベア上に堆積され、弾性繊維の連続フィラメントを含む弾性繊維ウエブ1’が製造される。これをコンベアから剥離させ第1ウエブ形成装置21より形成され一方向に連続搬送されている非弾性繊維ウエブ3’上に積層させる。弾性繊維ウエブ1’上には、更に、第3ウエブ形成装置23であるカード機によって製造された非弾性繊維ウエブ2’が積層される。
【0053】
また、非弾性繊維ウエブ3’を熱処理により仮融着させた後、又は仮交絡させた後に、その上に直接紡糸された弾性繊維を、直接堆積させることが好ましい。このようにすることで、弾性繊維の自由度が高くなり、風等によってお互いの繊維を一層入り込ませやすくなるので好ましい。熱処理による仮融着としては、ヒートロール法、加圧カレンダーロール法、スチーム法、エアスルー法などが挙げられ、仮交絡としては、ニードルパンチ法、ウオータージェット法などが挙げられる。特にヒートロールおよびエアスルー法を用いると、不織布の風合いを損ねることがない点、及び設備スペースを小さくできる点で好ましい。図3には、エアスルー方式の熱風炉を備えた仮融着装置Aが、第1ウエブ形成装置21と第2ウエブ形成装置22の間に設置されている状態が示されている。非弾性繊維ウエブ3’は仮融着後、又は仮交絡後に巻き取らず、インラインにてその上に弾性繊維を直接堆積させることが好ましい。一旦巻き取ってしまうと、巻き付き圧によって非弾性繊維ウエブ3’が潰れてしまう場合がある。仮融着、仮交絡させる目的は、ウエブ上に弾性繊維を直接溶融紡糸して堆積させるとき、該ウエブが風等で吹き飛ばされないようにすることにある。
【0054】
弾性繊維ウエブ1’の形成にスピニングブローン法を用いると、溶融繊維の熱風による伸長と、冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウエブを得ることができる。連続フィラメントのウエブは、短繊維のウエブに比較して高伸張時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすいことから、本実施形態において極めて有利である。
【0055】
弾性繊維ウエブ1’が例えば2種の繊維から構成されている場合、具体的には弾性繊維ウエブ1’が2種類の弾性繊維から構成されている場合や、弾性繊維及び非弾性繊維から構成されている場合には、図3に示すスピニングブローン紡糸装置の紡糸ダイとして、図4に示すものを用いることができる。図4に示す紡糸ダイは、紡糸ノズルAと、紡糸ノズルBとが交互に配列された構造になっている。紡糸ノズルAからは熱可塑性エラストマーが吐出される。一方、紡糸ノズルBからは、他の熱可塑性エラストマー又は非弾性の樹脂が吐出される。
【0056】
3つのウエブの積層体は、エアスルー方式の熱風炉24に送られ、そこで熱風処理が施される。熱風処理によって、繊維どうしの交点が熱融着し、弾性繊維ウエブ1’はその全面において非弾性繊維ウエブ2’,3’と接合する。熱風処理に際しては、各層のウエブが一体化していないことが好ましい。これによって各ウエブが有する嵩高で厚みのある状態が熱風処理後も維持されて、風合いの良好な伸縮性不織布が得られる。
【0057】
熱風処理によって、繊維どうしの交点を熱融着させ、各層のウエブを全面接合することに加えて、主として熱風の吹き付け面側に位置する非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’に入り込ませることが好ましい。また、熱風処理の条件を制御することによって、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’に入り込ませ、更に、該ウエブ1’の構成繊維と交絡させることが好ましい。或いは、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’を突き抜けさせて、非弾性繊維ウエブ3’にまで到達させ、該ウエブ3’の構成繊維と交絡させることが好ましい。
【0058】
非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維の一部を非弾性繊維ウエブ2’に入り込ませるための条件は、熱風風量0.4〜3m/秒、温度80〜160℃、搬送速度5〜200m/分、熱処理時間0.5〜10秒であることが好ましい。特に、エアスルー法として一般的に行われる熱風風量よりも高いことが好ましく、特に好ましくは熱風風量1〜2m/秒である。エアスルー熱処理に用いるネットに通気度の高いものを用いると、エアの通りによって繊維が一層入り込みやすくなる。同様に非弾性繊維ウエブ3’上に弾性繊維ウエブ1’を直接紡糸する場合も、紡糸時の風によって弾性繊維ウエブ1’の構成繊維が非弾性繊維ウエブ3’に入り込み易くなる。熱風処理に用いるネット、及び弾性繊維の直接紡糸に用いるネットは、それらの通気度が250〜800cm3/(cm2・s)、特に400〜750cm3/(cm2・s)であることが好ましい。上記条件は繊維を軟化させて均一に入り込ませる点と繊維融着させる点においても好ましい。更に、繊維を交絡させるためには、熱風風量を3〜5m/秒とし、吹きつけ圧を0.1〜0.3kPaとすることで可能となる。弾性繊維ウエブ1’の通気度が8m/kPa・s以上、更に好ましくは24m/kPa・s以上であると、熱風の通りがよくなり、繊維をより均一に入り込ませることができるので好ましい。また、繊維の融着が良好で最大強度が高くなる。更に毛羽立ちも防止される。
【0059】
熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部が、弾性繊維ウエブ1’に入り込むのと同時に、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維及び/又は非弾性繊維ウエブ3’の構成繊維と、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維とが、それらの交点で熱融着することが好ましい。この場合、熱風処理を、該熱風処理後の弾性繊維が繊維形態を維持するような条件下に行うことが好ましい。即ち、熱風処理によって弾性繊維ウエブ1’の構成繊維がフィルム状、或いはフィルム−繊維構造にならないようにすることが好ましい。そして、熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維どうしが交点において熱融着し、同様に弾性繊維ウエブ1’の構成繊維どうし、及び非弾性繊維ウエブ3’の構成繊維どうしが交点において熱融着する。
【0060】
エアスルー方式の熱風処理によって、3つのウエブが一体化された繊維シート10Bが得られる。繊維シート10Bは、一定幅を有して一方向に延びる長尺帯状のものである。繊維シート10Bは、次いで延伸部300へ搬送される。延伸部300においては、繊維シート10Bは先ず弱接合装置25に搬送される。弱接合装置25は、周面にエンボス用凸部が規則的に配置された金属製のエンボスロール26及びそれに対向配置された金属製又は樹脂製の受けロール27を備えたエンボス装置からなる。弱接合装置25によって繊維シート10Bには熱エンボス加工が施される。これによって、エンボス加工が施された繊維シート10Aが得られる。弱接合装置25による熱エンボス加工のエンボス部のパターンは、例えば図2(a)に示す通りとすることができる。エンボス加工によって各層のウエブを接合一体化することができる。更に、繊維シート10Aの毛羽立ちが抑えられるという利点もある。
【0061】
弱接合装置25において熱エンボス加工が施された繊維シート10Aは、引き続き延伸装置30へ送られる。延伸装置30は、繊維シート10A(これは、目的とする伸縮性不織布10の不織布原反である)をその搬送方向と同方向、即ちMD方向に延伸加工して、該繊維シート10Aに伸縮性を付与するための装置である。図5に示すように延伸装置30は、延伸加工される繊維シート10Aの機械流れ方向の滑りを防ぐ滑り防止手段33と、歯溝ロール31,32による延伸加工前後の繊維シート10Aに張力を加える張力付与手段34、35を備えている。
【0062】
滑り防止手段33は、歯溝ロール31と接触したロールからなる。ロールはゴムロールで構成されており、それらの周面部を歯溝ロール31に押し当てることで、歯溝ロール31,32間を通過する繊維シート10Aの滑りや収縮を抑制する。ロールからなる滑り防止手段33は、歯溝ロール32に周面部を押し当てるように配置することもでき、これにより、前記と同様の効果を奏させることができる。
【0063】
図5に示す滑り防止手段33の別の例として、一方のロールにその周面部において開孔する吸引路を設け、該吸引路を通して延伸加工済みの繊維シート10Aを吸引する吸引手段を付設したものを用いることもできる。
【0064】
張力付与手段34は、歯溝ロール31,32の上流側に配された一組のテンションロール34a、34bを備えている。張力付与手段35は、歯溝ロール31,32の下流側に配された一組のテンションロール35a、35bを備えている。
【0065】
図6に示すように、各歯溝ロール31,32における隣接する歯31a、32aどうしのピッチPは、好ましくは1.0mm〜5.0mmであり、前記各歯の幅Wが前記ピッチの好ましくは1/2未満であり、且つ前記歯の高さHは好ましくは隣接する歯のピッチ以上である。各ロールにおける歯溝の形態が斯かる範囲であると、これら歯溝ロール31,32間に供給される繊維シート10Aに従来にない高い伸縮性を付与することができる。歯溝ロール31,32における隣接する歯どうしのピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。歯溝ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯の幅は均等でなく、歯の根元から歯の先端に向って細くなる台形型の歯であってもよい。ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。
【0066】
各歯溝ロール31,32における隣接する歯どうしのピッチPは、繊維シート10Aの伸びの均一化を考慮すると、1.5〜3.5mmが更に好ましく、2.0〜3.0mmが一層好ましい。また、各ロール2、3における歯の幅Wは、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチの1/4〜1/2が更に好ましく、1/3〜1/2が一層好ましい。さらに、各ロールの歯の高さHは、繊維シート10Aのに伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2.0mmの場合は2.0(ピッチの1.0倍)〜4.0(ピッチの2.0倍)mmが好ましく、2.5(ピッチの1.25倍)〜3.5(ピッチの1.75倍)mmが一層好ましい。
【0067】
各歯溝ロール31,32における歯31a、32aの先端の角部は、歯31a、32aの角部によって繊維シート10Aにダメージが与えられないようにするために、面取りしておくことが好ましい。面取りの曲率半径は0.1〜0.3mmが好ましい。
【0068】
歯溝ロール31,32の歯31a、32aの噛み合い深さDは、繊維シート10Aに伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上が一層好ましい。ここで、歯の噛み合い深さとは、歯溝ロール31,32どうしを噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯の重なり合う長さをいう。
【0069】
歯溝ロール31,32は、何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。歯溝ロール31,32の各軸に歯31a,32aとは別に、一般的な、JIS B1701に規定されているギアを駆動用のギアとして取り付けてもよい。それによって、歯溝ロール31,32の歯31a,32aが噛み合うのではなく、これらのギアが噛み合うことによって、歯溝ロール31,32に駆動が伝達され、歯溝ロール31,32を回転させることができる。この場合、歯溝ロール31,32の歯31a,32aは接触することはない。
【0070】
歯溝ロールに入る直前で繊維シート10Aを加熱しておくと、非弾性繊維が伸びやすくなる。その結果、エンボス部が破壊することが防止され、また非弾性繊維が切れにくくなるので好ましい。
加熱温度が過度に高くなると弾性繊維が熱によって伸縮しなくなってしまうことから、繊維シート10Aはその表面温度が好ましくは30〜60℃、更に好ましくは40〜50℃となるように加熱されることが有利である。
【0071】
繊維シート10AのエンボスピッチLMと歯溝ロールのPの関係はLM/Pが0.8〜1.3であると、エンボス接合部が歯溝ロールの頂点部に位置することでエンボス接合部を基点として延伸されるため、エンボス部の破壊が起こりにくくなる点で好ましい。
【0072】
図7には、延伸装置30による繊維シート10Aの延伸加工の状態が模式的に示されている。詳細には、延伸装置30における一対の歯溝ロール31,32を回転させながらそれらの噛み合い部分に繊維シート10Aを供給する。そして、図7に示すように、歯溝ロール31,32間において、繊維シート10Aに延伸加工を施す。繊維シート10Aに一層効果的に伸縮性を付与する観点から、延伸加工前の繊維シート10Aにテンションロール34a,34bによって張力を加えた状態で、歯溝ロール31,32間に繊維シート10Aを供給することが好ましい。供給する繊維シート10Aに加える張力は、延伸加工前の繊維シート10Aの破断応力の10%〜80%が好ましく、20%〜70%が一層好ましい。
【0073】
同様の観点から、延伸加工済みの繊維シート10Aにテンションロール35a,35bによって張力を加えて歯溝ロール31,32間から該シートを引き出すことが好ましい。供給する繊維シート10Aに加える張力は、延伸加工後の繊維シート10Aの破断応力の5%〜80%が好ましく、10%〜70%が一層好ましい。シートの破断応力は歯溝延伸加工の加工前に比べて、加工後では小さくなる。また、歯溝延伸加工によって伸縮性を付与された延伸加工済みの繊維シート10Aはわずかな張力でも伸びやすい。そのような観点から、延伸加工済みの繊維シート10Aに加える張力を、延伸加工前の繊維シート10Aに加える張力よりも弱くすることが好ましい。
【0074】
前記の延伸加工により、繊維シート10A中の非弾性繊維ウエブ2,3が十分に伸長され、それによって非弾性繊維ウエブ2,3が、弾性繊維ウエブ1の自由な伸縮を阻害する程度が大きく低下する。その結果、本製造方法によれば、高伸縮性であり、また、破れや毛羽立ちの少ない外観の良好な伸縮性不織布を効率的に製造することができる。
【0075】
前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの厚みは、延伸加工前後で1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。厚みが増す理由は、延伸加工により伸びた繊維がループをなすからである。特に、非弾性繊維層2,3の繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなると同時に、非弾性繊維層2,3が一層嵩高となり肌触りが良くクッション性が良好になる。
【0076】
延伸加工される前の繊維シート10Aの厚みが薄いと、繊維シート10Aのロール原反を運搬及び保管するスペースを小さくできるメリットがある。
【0077】
更に、前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの曲げ剛性は、延伸加工前に比較して30〜80%、特に40〜70%に変化することが好ましい。これによって、ドレープ性が良く柔らかな不織布が得られる。また、延伸加工される前の繊維シート10Aの曲げ剛性が高いことで、搬送ラインで繊維シート10Aに皺が入りにくくなるので好ましい。その上、延伸加工時にも繊維シート10Aに皺が入らず加工しやすいものとなるので好ましい。
【0078】
延伸加工前後での繊維シート10Aの厚みや曲げ剛性は、非弾性繊維層2,3に用いられる繊維の伸度、エンボスロールのエンボスパターン、凹凸ロール33,34のピッチや先端部の厚み、噛み合わせ量によって制御することができる。
【0079】
厚みは、伸縮性不織布を20±2℃、65±2%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、次の方法にて求める。先ず伸縮性不織布を0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟む。その状態下にマイクロスコープにて断面を25倍から200倍の倍率で観察し、各層の平均厚みを求める。また平板間の距離から全体の厚みを求める。繊維の入り込みについては相互の入り込みの中間点を厚みとする。
【0080】
延伸装置30から送り出された繊維シート10Aは、その幅方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、繊維シート10Aにその長手方向への伸縮性が発現し、該シート10Aはその長手方向へ収縮する。これによって目的とする伸縮性不織布10が得られる。なお、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、或いは伸縮性が発現する限度において、延伸状態が或る程度維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
【0081】
次に、本発明の伸縮性不織布の具体的な用途として、該不織布をパンツ型使い捨ておむつに適用した例を説明する。このパンツ型使い捨ておむつは、吸収性コアを含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に接合された外包材とを備え、該外包材における腹側部及び背側部の両側縁部同士が接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているものである。このおむつは以下の特徴を有している。
(イ)前記外包材は、伸縮性シートからなる外層シートと非伸縮性シートからなる内層シートとが積層された構造を有し、該外層シートと該内層シートとは、前記サイドシール部並びに前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部それぞれの周縁部を除く部分の全域又は大部分において接合されていない。
(ロ)前記吸収性本体と前記外包材の前記内層シートとは本体接合部により接合されている。
(ハ)前記サイドシール部が分離され且つ前記外包材が展開された状態において、前記内層シートの実質的な幅は、収縮した状態の前記外層シートの幅よりも広くなっている。
以上の特徴を有するパンツ型使い捨ておむつを、図面を参照しながら以下に説明する。
【0082】
おむつ101は、図8〜図11に示すように、液透過性の表面シート102、液不透過性又は撥水性の裏面シート103及び両シート102、103間に介在配置された液保持性の吸収性コア104を有する実質的に縦長の吸収性本体110と、吸収性本体110の裏面シート103側(非肌当接面側)に接合された外包材111とを備えている。
【0083】
外包材111は、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状を有しており、おむつの輪郭を画成している。外包材111は、その長手方向において、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとに区分される。腹側部A及び背側部Bは、外包材111の長手方向前後端部に相当し、股下部Cは外包材111の長手方向中央部に相当する。外包材111は、その腹側部Aの両側縁部A1,A2と背側部Bの両側縁部B1,B2とが互いに接合され、使い捨ておむつ101にはウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106が形成されている。この接合によって、使い捨ておむつ101の左右両側縁には一対のサイドシール部S,Sが形成され、パンツ型を形成している。これらの接合には、例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール等が用いられる。
【0084】
表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104はそれぞれ矩形状であり、一体化されて縦長の吸収性本体110を形成している。表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104としては、それぞれ、従来この種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、吸収性コア104としては、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているものを用いることができる。
【0085】
吸収性コア104は、図12に示すように、砂時計型の中央吸収体141と中央吸収体141の両側方に対称的に設けられた一対のサイド吸収体142,142とを具備している。中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142とはそれぞれ少なくとも股下部において分離している。サイド吸収体142の長手方向一方部及び長手方向他方部は、それぞれ、中央吸収体141の長手方向一方部(腹側部)及び長手方向他方部(背側部)で連設している。従って、中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142との間には、それぞれ、刳り貫かれた形状の切離部143,143が形成されている。
【0086】
長手方向一方部、長手方向中央部、長手方向他方部は、吸収性コア104を長手方向に略3等分するように3領域に区分したときの各領域である。吸収性コア104が切離部143を有していると、吸収性コア104の両側縁部が起立し易い。また、吸収性コア104が幅方向に押圧されると、吸収性コア104全体の幅が狭くなるため、外包材111の幅方向の収縮が阻害され難い。なお吸収性コア104の平面視形状は、図12に示す形状に制限されず、例えば、サイド吸収体142が長手方向一方部又は長手方向他方部の一方のみで中央吸収体141に連接している形状、サイド吸収体142が中央吸収体141に連接していない(分離している)形状、切離部143を有していない形状でもよい(何れも図示せず)。
【0087】
吸収性本体110の長手方向の左右両側には、図9〜図11に示すように、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス108,108が形成されている。各側方カフス108の自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材181が伸長状態で配されている。これにより、図8のように組み立てられた使い捨ておむつ101を着用させる際に、側方カフス弾性部材181が収縮することにより側方カフス108が起立して、吸収性本体110の幅方向への液の流出が阻止される。側方カフス108,108の形成用のシート材182は、図10及び図11に示すように、おむつの状態において、吸収性本体110の幅方向外側の所定幅の部分182Sが、裏面シート103の肌当接面側に巻き下げられ、吸収性コア104と裏面シート103との間に固定されている。
【0088】
外包材111は、本発明の伸縮性不織布からなる外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とが積層された構造を有している。外層シート112はおむつの外面をなし、内層シート113は外層シート112の内面側に配されている。外層シート112を形成する伸縮性不織布は、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向(図9の左右方向)に伸縮性を有していればよい。内層シート113を形成する非伸縮性シートは、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向に伸縮性を有していない。
【0089】
外層シート112は、おむつ幅方向において、おむつ長手方向(図9の上下方向)よりも大きく伸長可能である。より具体的には、おむつ幅方向においては、大きく伸長し且つ伸長後に収縮する(最大伸度100%以上且つ伸長回復率70%以上)が、おむつ長手方向においては、わずかにしか伸長しない(例えば、最大伸度50%以下)。
【0090】
非伸縮性シートとしては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が好ましい。非伸縮性シートは、通気性、風合いを良好にする観点から、熱可塑性繊維からなる不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
【0091】
おむつ101においては、図10及び図11に示すように、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2においては、ヒートシール、高周波シール又は超音波シールにより互いに接合されており、ウエスト開口部105の周縁部150及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160においては、ホットメルト型接着剤等の接着剤152,162により互いに接合されている。そして、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、これらの部分を除く部分の大部分において接合されていない。
【0092】
具体的には、外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2、ウエスト開口部105の周縁部150、一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160に加えて、腹側部A及び背側部Bそれぞれのおむつ幅方向中央部において接合されており、それら以外の部分においては接合されていない。
【0093】
このように、腹側部A及び背側部Bにおける広い範囲において、外層シート112と内層シート113との間を接合しない構成とすることにより、外包材111が接着剤で硬くなる部分を最小限に抑えることができ、おむつの外面や、外包材111の内面における吸収性本体110に覆われていない部分を、柔らかで肌触りの良いものとすることができる。また、外包材111の通気性が良好に維持されるので、ムレにくいおむつを提供することができる。更に、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160において、外層シート112と内層シート113との間を接合した構成としたため、胴回り部においては、伸縮性の外包材111により適度なフィット性を得ることができる。
【0094】
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける、ウエスト開口部105の周縁部150には、ウエスト開口部105の開口周縁端に沿って、複数のウエスト部弾性部材151,151が配されている。これらのウエスト部弾性部材151,151は、接着剤152を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。
【0095】
また、腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って存在するレッグ開口部の周縁部160,160にも、各開口部の周縁端に沿って、レッグ部弾性部材161a,161bが配されている。これらのレッグ部弾性部材161a,161bは、接着剤162を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。ウエスト部弾性部材151及びレッグ部弾性部材161a,161bとしては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
【0096】
このように、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160に、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを、外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定することにより、これらの部位のフィット性を外包材111の伸縮特性の制約を受けることなく高めることができる。
【0097】
また、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定できるため、このような弾性部材を、一枚のシートからなる外包材に固定する場合に比べて、弾性部材が着用者に違和感を与えたり、外観を悪化させることを防止することもできる。
【0098】
おむつ101において、ウエスト開口部105の周縁部150に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A及び背側部Bそれぞれについて、ウエスト開口部の周縁端105a,105bから70mm以内であることが好ましく、60mm以内であることが更に好ましい。レッグ開口部106の周縁部160に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A、股下部C及び背側部Bの各部において、レッグ開口部106の周縁端から50mm以内であることが好ましく、30mm以内であることが更に好ましい。
【0099】
また、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるおむつ幅方向において、外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の合計長さ(L1+L2)は、左右のサイドシール部A1,A2間の長さLa(Lb)に対して、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
【0100】
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の面積は、腹側部A及び背側部Bそれぞれの面積に対して、60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましい。この数値を満たすものを「全域又は大部分」というものとする。
【0101】
本明細書に記載の各部の寸法や比等は、図9に示すようにおむつを展開状態とし、ウエスト開口部及びレッグ開口部の弾性部材による収縮力を解除した自然状態(張力等の外力を作用させない状態)において測定した値又はそれに基づくものである。
【0102】
おむつ101においては、股下部Cにおける外層シート112と内層シート113との間も、レッグ開口部の周縁部160及び股下部Cのおむつ幅方向中央部において、接着剤162,接合部114を介して接合されているが、それ以外の部分においては接合されていない。おむつ101においては、図9に示すように、レッグ開口部の周縁部160に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161が、レッグ開口部の周縁部160から股下部Cの幅方向中央に向かって延出しているが、このように、レッグ開口部に周方向に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161が配されている部分は、レッグ開口部の周縁部160に含まれる。
【0103】
おむつ101においては、腹側部A及び背側部B並びに股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113との間が接合されているため、おむつの装着前並びに装着中の外観を一層良好にすることができる。また、外包材111の外面に廃棄用テープ(図示せず)を設ける場合に、廃棄用テープをおむつ幅方向中央部に固定することで、廃棄用テープを強固に固定することができる。廃棄用テープは、おむつを丸めた状態を保持するテープであり、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0104】
腹側部A及び背側部B並びに股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113と間が接合されているため、裏面シート103に、模様や文字、その他の記号等の図柄を設けた場合に、おむつ外面側からその図柄を明瞭に視認できる。
【0105】
おむつ101において、図9及び図10に示すように、外包材111の外面側を構成する構成する外層シート112は、外層シート112と内層シート113とによって各ウエスト部弾性部材151,51を挟持固定する部位よりも更に延出する長さを有し、外層シート112における内層シート113より延出した部分112a,112bが吸収性本体110側に折り返されている。吸収性本体110は、その長手方向両端部における肌当接面側が、外層シート112の折り返された部分(折り返し部分)112a,112bに覆われている。外層シート112の折り返し部分112a,112bは、吸収性本体110の長手方向両端部と重なる部分が、吸収性本体110の略全幅に亘って接着剤(図示せず)を介して接着されており、これにより、吸収性本体110の長手方向両端部が、外包材111に固定されている。折り返し部分112a,112bを形成することで、吸収性本体110の前後端部が着用者に直接接触することを防止し、吸収性本体110の前後端部からの吸収性コア104の吸水性ポリマーの漏れを防止することができる。
【0106】
吸収性本体110は、その長手方向両端部を除く部分においては、図10及び図11に示すように、幅方向中央部のみが本体接合部115により外包材111の内層シート113に接合されている。外包材111の伸縮が、吸収性本体110の接合によって阻害されにくくなるため、胴回り部に良好なフィット性が得られる。外包材111のおむつ幅方向中央部における外層シート112と内層シート113との間の接合部114の幅W1は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の幅Wの0〜40%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましい。接合部114の幅W1が吸収性本体110の幅Wの40%を超えた場合、伸縮性の阻害が生じる。
【0107】
本体接合部115は、おむつ幅方向中央部に設けられている。本体接合部115の幅W2は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の非肌当接面側の幅Wの70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。本体接合部115の幅W2が吸収性本体110の幅Wの70%以上であると、装着中における吸収性本体110の剥がれ、破壊等が生じ難い。本体接合部115は、おむつ幅方向に離間した形態でもよい。
【0108】
サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。即ち、外包材111が展開された状態において、外層シート112はその収縮力により収縮した状態になっているが、内層シート113は非伸縮性シートからなるため幅がほとんど狭くならない。そのため、内層シート113は外層シート112に対して幅方向に弛んだ状態になる。このような弛んだ内層シート113を仮想的に外層シート112から分離し、内層シート113の弛みを解消したときの内層シート113の幅を「内層シート113の実質的な幅」とする。
【0109】
内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅の1.3〜4.0倍であることが好ましく、1.5〜3.0倍であることが更に好ましい。
【0110】
このように構成されたおむつ101においては、サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。従って、外包材111の外層シート112が伸縮性シートから形成されているため、装着時のおむつの外観やフィット感が良好である。また、外包材111の内層シート113が非伸縮性シートから形成されているため、使用時に外包材111が幅方向に伸長しても、内層シート113が弛み、外包材111からの吸収性本体110の剥がれ、外包材111の破れ等の問題が生じ難い。また、外包材111の肌当接面側は、触感及び風合いが良好で、柔らかさに優れている。
【0111】
おむつ101においては、本発明の伸縮性不織布からなる外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とがほとんど接着されていないため、非伸縮性の吸収性本体110の影響を受けることなく、外包材111の伸縮性が良好である。外包材111の外層シート112が伸長状態から解放されても、吸収性本体110は収縮することなく外観に優れ、且つ吸収性本体110の吸収性能が維持できる。そのため、本体接合部115の幅W2を広く設定しても、外包材111の幅方向の伸縮性は阻害されない。
【0112】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層された形態のものであったが、これに代えて、弾性繊維層の一面に非弾性繊維層が積層された2層構造の形態であってもよい。或いは弾性繊維層のみからなる単層構造の形態であってもよい。これら単層又は2層構造の形態の伸縮性不織布の詳細については、3層構造に係る前記実施形態の伸縮性不織布10に関する説明が適宜適用される。なお2層構造の伸縮性不織布を、吸収性物品の構成材料として用いる場合、特に使用者の肌に触れる箇所に使用する場合には、非弾性繊維層を着用者の肌側に向くように使用することが、肌触りやべたつき防止等の観点から好ましい。
【0113】
また本発明の不織布が、弾性繊維層の少なくとも一面に非弾性繊維層を配してなる構成の場合、弾性繊維層と非弾性繊維層の構造は図1に示すものに制限されない。
【0114】
また前記の製造方法においては、繊維シート10Aを長手方向に延伸させたが、これに代えて幅方向に延伸させることもできる。幅方向に延伸させるための装置としては、例えば特許文献1の図1に示す装置を用いることができる。
【0115】
また前記の製造方法においては不織布原反である繊維シートAに対して、インラインで延伸加工を行ったが、これに代えて、後述する実施例1に示すように、繊維シートAを一旦巻き取り、別工程において繊維シートAに対して延伸加工を行ってもよい。不織布がMD方向に伸縮するものである場合、巻き取り張力による伸縮性不織布の応力緩和の点から、延伸加工はおむつ等の加工時にインラインで行うことが好ましい。
【実施例】
【0116】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
【0117】
〔実施例1〕
図1に示す伸縮性不織布を、図3に示す装置を用いて製造した。先ず直径19μm、最大伸度250%、繊維長51mmの短繊維(芯:PET、鞘:PE)をカード機に供給し、カードウエブからなる非弾性繊維ウエブ3’を形成した。このウエブ3’を熱処理機に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け熱処理を行った。熱処理の条件は、ネット上温度137℃であった。この熱処理によって構成繊維が仮融着された坪量10g/m2の非弾性繊維ウエブ3’を得た。この非弾性繊維ウエブ3’に、連続繊維から成る弾性繊維ウエブ1’を直接積層した。
【0118】
弾性繊維ウエブ1’は次の方法で形成した。スチレン系エラストマー樹脂からなる弾性樹脂を原料として用いた。押出機を用い溶融した樹脂をダイス温度290℃で紡糸ノズルから押し出し、メルトブローン法によって樹脂と熱風を共に吹き出させ、弾性繊維ウエブ1’を非弾性繊維ウエブ3’上に直接成形した。成形ネットには通気度420cm3/(cm2・s)のものを用いた。弾性繊維の直径は14μmであった。弾性繊維ウエブ1’の坪量は15g/m2であった。
【0119】
弾性繊維ウエブ1’上に、前述と同様の短繊維からなる非弾性繊維ウエブ2’を積層した。ウエブ2’の坪量は10g/m2であった。
【0120】
これら3層のウエブの積層体を熱処理機に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け熱処理を行った。熱処理の条件は、ネット上温度137℃、熱風風量2m/秒、吹き付け圧0.2kPa、吹き付け時間15秒間、ネットの通気度500cm3/(cm2・s)であった。この熱処理によって3層のウエブが一体化された繊維シート10Bが得られた。
【0121】
次いで繊維シート10Bに熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとして、MD方向、CD方向ともピッチが2.0mmである多数の凸部を有する面積率15%のドット状凸ロールを用いた。各ロールの温度は、通常よりも低めの温度である105℃に設定し、エンボス部のフィルム化を抑制した。線圧は600N/cmであった。この熱エンボス加工によって接合部が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aを得た。この繊維シート10Aを巻き取り不織布原反とした。
【0122】
繊維シート10Aをその原反から繰り出し、延伸加工を施した。繊維シート10Aに対して延伸加工を施した。延伸加工は、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を周面部に有している一対の歯溝ロールを備えた延伸装置を用い、繊維シート10Aを刃溝ロール直前で加熱した金属ロールにてニップし、繊維シート表面の温度が45℃にて行った。歯溝ロールのピッチは2mm、歯の噛み合い深さは2.5mmとし、3.5倍の延伸率で繊維シート10AをMDに延伸させた。これによりMD方向に伸縮する坪量35g/m2の不織布が得られた。なお、以上の各工程の搬送速度は何れも10m/分であった。得られた伸縮性不織布の特性を以下の表1に示す。
〔実施例2〕
図3に示す装置を用いて伸縮性不織布を製造した。但し、同図における第1ウエブ形成装置21及び第3ウエブの形成装置23は用いなかった。弾性樹脂としてスチレン系エラストマー樹脂からなる弾性樹脂を用いた。非弾性樹脂としてホモタイプのポリプロピレン樹脂(PP)を用いた。これらの樹脂を用いて2種の樹脂の混合繊維からなる弾性繊維ウエブ1’を成形した。ウエブ1’の形成には2台の押出機を用い、各樹脂をダイス温度290℃にてそれぞれの押出機で溶融させ紡糸ノズルから押し出し、スピニングブローン法によってネット上に繊維を堆積させた。紡糸ノズルは図4に示すように、それぞれの樹脂を交互に押し出す形状のものであった。弾性樹脂と非弾性樹脂との重量比(前者/後者)は5/5であった。弾性繊維の繊維径は20μmであった。非弾性繊維の繊維径は15μmであった。ウエブ1’の坪量は40g/m2であった。その後は実施例1と同様に熱エンボス加工及び延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。
【0123】
〔比較例1〕
非弾性繊維ウエブ3’及び非弾性繊維ウエブ2’に直径17μm、最大伸度40%、繊維長51mmの短繊維(芯:PET、鞘:PE)を用いた以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を作製した。
【0124】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた伸縮性不織布の特性を以下の表1に示す。表中の各項目の測定方法は次の通りである。
【0125】
<最大強度A、最大伸度A、100%伸長時強度、残留歪み>
伸縮性不織布の伸縮方向へ200mm、それと直交する方向へ50mmの大きさで矩形の試験片を切り出した。オリエンテック製テンシロンRTC1210Aに試験片を装着した。チャック間距離は150mmであった。試験片を不織布の伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させ、そのときの荷重を測定した。そのときの最大点の荷重を最大強度Aとした。またそのときの試験片の長さをBとし、もとの試験片の長さをAとしたとき、{(B−A)/A}×100を最大伸度A(%)とした。また、100%伸長サイクル試験を行い、100%伸長時強度を100%伸長時の荷重から求めた。更に、100%伸長後、同速にて原点に戻して行ったときの戻らない長さ割合を測定し、その値を残留歪みとした。
【0126】
最大強度B及び最大伸度Bは、伸縮性不織布の伸縮方向へ50mm、それと直交する方向へ200mmの大きさで矩形の試験片を切り出し、この試験片について上記と同様の方法で測定した。
【0127】
<つき抜けテスト>
伸縮性不織布を親指によりつき抜けさせたときの感触によって評価した。抵抗感がなく容易につき抜ける:×、抵抗感が少しあるがつき抜ける:△、抵抗感があるがつき抜ける:○、つき抜くのが困難である:◎。判定は3人で行い、2人以上同じ意見であればその意見を、3人がそれぞれ別の意見であれば真ん中の意見を、判定結果とした。
【0128】
<毛羽抜け試験>
200mm×200mmの伸縮性不織布を試験片として用いた。この試験片の一方の面を評価面として用いた。この評価面を上にして、試験片の四辺をガムテープでプレートに固定した。スポンジ(モルトプレンMF−30)を巻き付けた摩擦板を試験片上にセットした。スポンジの荷重は240gであった。正回転3回、逆回転3回を1セットとして摩擦板を回転させた。これを15セット行った。1回転は3秒の速度とした。回転によってスポンジに付着したすべての繊維を粘着テープに付着させた。この粘着テープを黒台紙に貼った。試験片の表面状態と粘着テープに付着した繊維から、毛羽抜けの度合いを評価した。
○:試験片に毛羽や毛玉がほとんどない。粘着テープに繊維の付着がほとんどない。
△:試験片に毛羽又は毛玉が認められるが、粘着テープに繊維のかたまり状のものはない。
×:試験片に毛羽又は毛玉が認められ、粘着テープに繊維のかたまり状のものが多く認められる。
【0129】
<エンボス部の破壊>
前記の100%伸長時強度を測定した後の不織布について、目視観察にてエンボス部に破壊が発生しているか否かを判定した。
【0130】
【表1】

【0131】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の不織布は、100%伸長時強度及び残留歪みが比較例の不織布と同程度に高いレベルを維持した上で、比較例の不織布よりも更に高強度、高伸度のものであることが判る。実施例の不織布のエンボス部をSEMにより観察したところ、繊維形状が保たれており、エンボス部での孔あきやエンボス周辺部での繊維切れは見られなかった。またエンボス部はフィルム化していなかった。比較例1のものはエンボス部での孔あきは見られなかったが、エンボス部とその境界において繊維切れが見られた。実施例の不織布を外装に用いて使い捨ておむつを作製したところ、このおむつは肌触りがやわらかくて通気性が高く、十分伸びるためはかせやすく、全面で締めつけるためゴム跡がつきにくいといった特徴を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明の伸縮性不織布の一実施形態の断面構造を示す模式図である。
【図2】図2(a)は、図1に示す伸縮性不織布の表面の要部拡大図であり、図2(b)は図2(a)に示し不織布を伸長させた状態を示す図である。
【図3】図3は、図1に示す伸縮性不織布の製造に用いられる好ましい装置を示す模式図である。
【図4】図4は、図3に示す装置における第2ウエブ形成装置であるスピニングブローン紡糸装置の紡糸ダイの構造の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、図1に示す装置における延伸装置の要部を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す延伸装置における歯溝ロールの要部を示す拡大図である。
【図7】図7は、図5に示す延伸装置における歯溝ロールによってシートが延伸される状態を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の伸縮性不織布を備えたパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す使い捨ておむつの展開状態を示す平面図である。
【図10】図10は、図8に示す使い捨ておむつの分解斜視図である。
【図11】図11は、図9におけるX−X線断面図である。
【図12】図12は、図8に示す使い捨ておむつにおける吸収性コアを示す平面図である。
【符号の説明】
【0133】
1 弾性繊維層
2 非弾性繊維層
3 非弾性繊維層
4 エンボス部
10A 繊維シート
10 伸縮性不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性繊維及非弾性繊維を含み、少なくとも一方向に伸縮可能な伸縮性不織布において、
前記不織布には散点状のパターンで多数のエンボス部が形成されており、該エンボス部の実質的な破壊を伴わずに該エンボス部間が伸長可能になっている伸縮性不織布。
【請求項2】
前記エンボス部は、繊維の溶融に起因するフィルム化が起こっていない状態にある請求項1記載の伸縮性不織布。
【請求項3】
自然状態での通気度が16〜110m/(kPa・s)であり、面積比で1.5倍に伸長させた状態での通気度が24〜240m/(kPa・s)である請求項1又は2記載の伸縮性不織布。
【請求項4】
不織布原反に延伸加工を施して伸縮性が付与されたものである請求項1ないし3の何れかに記載の伸縮性不織布。
【請求項5】
前記不織布原反をその搬送方向と同方向に延伸加工して伸縮性が付与されたものである請求項4記載の伸縮性不織布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−321285(P2007−321285A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152764(P2006−152764)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】