説明

伸縮散布竿

【課題】締付キャップを操作して内管と外管をいったん固定したのちは、締付キャップの締め具合によらず、内管が外管から出てくることのない伸縮散布竿が要求されている。
【解決手段】伸縮散布竿1は、一端に雄ネジ部14を有する外管3Aと、他端側が外管3A内に管心C方向移動自在に収容される内管10と、内管10の外周面に遊嵌されるクランプリング11と、内管10の外周面に遊嵌される締付キャップ8とを備えて成り、締付キャップ8の内周面に設けられた雌ねじ部28と外管3Aの雄ネジ部14を螺合させることにより、クランプリング11を内管10に圧接させて内管10と外管3Aを竿長可変に固定するように構成されていて、内管10と外管3Aとの間に管心C方向移動自在に装着される可動筒体12を備え、この可動筒体12が薬液圧入側接続部からの液圧を受けてクランプリング11を噴霧ノズル側に押圧し内管10に圧接させる構成にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外管内に管心方向移動自在に内管を収容して竿長可変に固定する伸縮散布竿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の竿長可変の伸縮散布竿としては例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。図13に示すように、文献1記載の伸縮散布竿51は、一端に雄ネジ部56を有し他端60が薬液圧入ポンプなどに接続される外管52と、一端59に噴霧ノズルが接続され他端61側が外管52内に管心方向移動自在に収容される内管53と、内管53の外周面に遊嵌されるクランプリング55と、内管52の外周面に遊嵌されてクランプリング55の外方に配置される雌ネジ部57付きの締付キャップ54と、内管52の他端側の外周面に嵌着される水封用のOリング58とを備えたものである。この伸縮散布竿51は、外管52から内管53を出し入れして竿長を所望の長さに調整したのち、締付キャップ54の雌ねじ部57と外管52の雄ネジ部56を螺合させることにより、クランプリング55を縮径して内管53に圧接させ内管53と外管52を固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−37367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した文献1記載の伸縮散布竿において、締付キャップ54を非常に強固に締めると、クランプリング55の圧接力により内管53が締め付けられて、内管53と外管52とがいちおう固定される。しかしながら、締付キャップ54の締付力は人により異なる場合が多い。また、噴霧作業中に竿の伸縮を繰り返さなければならない場合に、締付キャップ54を締めるごとに締付度合が変わることがある。
そして、薬液圧入ポンプなどから送られてきた薬液(矢印F方向)の液圧は、内管53の他端61の端面にもかかっているから、締付キャップ54の締め付けが弱かった場合、高い液圧により不意に内管53が一端59側に出てくることがある。このように内管53が出てくると竿長が伸びてしまうため、例えば噴霧作業途中で不意に操作しにくくなるという不具合があった。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、締付キャップの締め具合によらず、内管が外管から出てくることのない伸縮散布竿の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る伸縮散布竿は、一端に雄ネジ部を有し他端に薬液圧入側の接続部を有する外管と、一端に噴霧ノズル側の接続部を有するとともに他端側が外管内に管心方向移動自在に収容される内管と、内管の外周面に遊嵌されるクランプリングと、内管の外周面に遊嵌されるとともにクランプリングの外方に配置される締付キャップとを備えて成り、締付キャップの内周面に設けられた雌ねじ部と外管の雄ネジ部を螺合させることにより、クランプリングを内管に圧接させて内管と外管を竿長可変に固定するように構成された伸縮散布竿において、クランプリングの薬液圧入側であって内管と外管との間に管心方向移動自在に装着される可動筒体を備え、当該可動筒体が薬液圧入側接続部からの液圧を受けてクランプリングを噴霧ノズル側に押圧し内管に圧接させる構成にしてある。
【0007】
また、前記構成において、締付キャップの噴霧ノズル側の内周面が、噴霧ノズル側に向かって縮径する内テーパ面として形成され、クランプリングの噴霧ノズル側の外周面が、噴霧ノズル側に向かって縮径し且つ前記締付キャップの内テーパ面内に装入可能な外テーパ面として形成されているものである。
ものである。
【0008】
また、前記構成において、クランプリングと可動筒体が一体に形成されるとともに、可動筒体の他端側の端面が管心とほぼ直交する受圧面として形成されているものである。
【0009】
そして、前記した各構成において、可動筒体の噴霧ノズル側の内周面が、噴霧ノズル側に向かって拡径する内テーパ面として形成され、クランプリングの薬液注入側の外周面が、薬液注入側に向かって縮径し且つ前記可動筒体の内テーパ面内に装入可能な外テーパ面として形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る伸縮散布竿によれば、締付キャップを操作して強く締めると、内管と外管がかたく固定される。一方で、クランプリングの薬液圧入側であって内管と外管との間に管心方向移動自在に装着される可動筒体を備えているので、付キャップの締め具合が緩い場合でも、薬液圧入側からの液圧を受けて可動筒体がクランプリングを噴霧ノズル側に押圧し内管に圧接させる。これにより、内管を外管に確実に固定することができる。その結果、締付キャップの締め具合によらず、内管が外管から出てくることのない伸縮散布竿を提供することができる。
【0011】
また、噴霧ノズル側の内周面に内テーパ面を有する締付キャップと、噴霧ノズル側の外周面に外テーパ面を有するクランプリングとは、いずれも汎用品として出回っているので、これらの締付キャップおよびクランプリングに可動筒体を新たに加えるだけで、薬液圧入側接続部からの液圧を受けて可動筒体がクランプリングを噴霧ノズル側に押圧し内管に圧接させるという構成を、安価且つ容易に提供することができる。
【0012】
また、前記構成において、クランプリングと可動筒体が一体に形成されるとともに、可動筒体の他端側の端面が管心とほぼ直交する受圧面として形成されているものでは、 構成が更に簡素になるから、よりいっそう安価且つ容易に提供され得る。
【0013】
そして、噴霧ノズル側の内周面に内テーパ面を有する可動筒体と、薬液注入側の外周面に外テーパ面を有するクランプリングとを備えるものでも、薬液圧入側接続部からの液圧を受けて可動筒体がクランプリングを噴霧ノズル側に押圧し内管に圧接させる構成を提供することができる。斯かる構成と、前記した噴霧ノズル側の内周面に内テーパ面を有する締付キャップ、および、噴霧ノズル側の外周面に外テーパ面を有するクランプリングを備える構成とを組み合わせると、クランプリングを内管に強く圧接させて内管と外管をより強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る伸縮散布竿の外観図である。
【図2】前記伸縮散布竿の内管を伸ばした側面図である。
【図3】前記伸縮散布竿の要部を示す側断面図である。
【図4】前記伸縮散布竿の締付キャップを外管から外した部分斜視図である。
【図5】前記伸縮散布竿の外管の一端部近傍を示す拡大斜視図である。
【図6】前記伸縮散布竿の可動筒体を示す拡大斜視図である。
【図7】前記伸縮散布竿のクランプリングを示す拡大斜視図である。
【図8】前記伸縮散布竿において締付キャップが緩んでいるときの要部を示す側断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る伸縮散布竿の要部を示す側断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態に係る伸縮散布竿の要部を示す側断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係る伸縮散布竿の正面図である。
【図12】前記別の伸縮散布竿の内管を伸ばした正面図である。
【図13】従来の伸縮散布杆を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係る伸縮散布竿の外観図、図2は前記伸縮散布竿の内管を伸ばした側面図、図3は前記伸縮散布竿の要部を示す側断面図、図4は前記伸縮散布竿の締付キャップを外管から外した部分斜視図である。
各図において、この実施形態に係る伸縮散布竿1は、主配管2、この主配管2から分岐した2つの従配管3A,3B、および、一動作で主配管2から選択された従配管3Aまたは従配管3Bへの流路を切り替える切り替えレバー6を備えている。従配管3A,3Bは、主配管2の分岐部から各先端までの間が長尺の直管部となっている。従配管3Aの一端の噴霧ノズル側接続部18には噴霧ノズル4Fが取り付けられている。従配管3Bの一端には噴霧ノズル4Eが取り付けられ、管途中には噴霧ノズル4C,4Dと噴霧ノズル4A,4Bが取り付けられている。主配管2の他端には管状の把手33が連結され、把手33の他端は連結ホース7を介して液送ポンプ(図示省略)と連結されている。
【0016】
上記した従配管3A(外管の例:図5も参照)はその一端に管状のホルダ9が装入されてカシメ止めされており、他端に主配管2からの分岐部分である薬液圧入側接続部5を有している。ホルダ9の一端側の外周面には雄ネジ部14が形成され、一端側の内方は段部19を有する一端開口部13と成っている。ホルダ9の段部19よりも薬液圧入側接続部5側の内周面に1条の周回溝(符号付け省略)が刻設され、この周回溝にOリング30が装着されている。Oリング30は従配管3Aの外周面とホルダ9の内周面との間を水密状に封止する。
【0017】
内管10は噴霧ノズル4Fが取り付けられる噴霧ノズル側接続部18を一端に備えている。内管10の他端側はホルダ9の一端開口部13から従配管3A内に管心C方向移動自在に収容される。内管10の他端開口部には円筒状の口金32が装着されている。本例において従配管3A,3Bおよび内管10はステンレス鋼で構成してあるが、ステンレス鋼以外としては例えば真鍮、アルミニウム、合成樹脂などで構成することも可能である。そして、内管10の外周面には、噴霧ノズル4F側から薬液圧入側接続部5側に向かって順に、締付キャップ8、クランプリング11、および可動筒体12がそれぞれ遊嵌されている。内管10の他端側の外周面と従配管3Aの内周面との間には、通水可能な隙間が設けられている。この隙間と一端開口部13とは通液路29を介して連通している。
【0018】
締付キャップ8はクランプリング11および可動筒体12の外径よりも大径に形成されており、クランプリング11および可動筒体12の周囲を被っている。締付キャップ8における噴霧ノズル4F寄りの内周面は、噴霧ノズル4F側に向かって縮径する内テーパ面31として形成されている。締付キャップ8は本例では真鍮で構成してあるが、真鍮以外に例えばアルミニウムやポリアセタール樹脂などを用いることができる。
【0019】
可動筒体12(図6も参照)は、一端から他端にわたって貫通した筒開口21を有する円筒状に形成されている。この可動筒体12は、クランプリング11の薬液圧入側であって内管10と従配管3Aとの間、すなわちホルダ9の一端開口部13内に管心C方向移動自在に装着される。可動筒体12はその後面27がホルダ9の一端開口部13の段部19に当接して止まるようになっている。可動筒体12の噴霧ノズル4F寄りの内周面は、噴霧ノズル4F側に向かって拡径する内テーパ面22として形成されている。可動筒体12は本例では真鍮で構成してあるが、真鍮以外に例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ポリアセタール樹脂などで構成することができる。
【0020】
可動筒体12の外周面には2条の周回溝(符号付け省略)が刻設され、これらの周回溝にOリング23,24が嵌着され、可動筒体12の内周面には2条の周回溝(符号付け省略)が刻設され、これらの周回溝にOリング25,26が装着されている。前記のOリング23,24を介して従配管3Aのホルダ9と可動筒体12とが水密状で摺動自在に接しており、Oリング25,26を介して可動筒体12と内管10とが水密状で摺動自在に接している。上記したOリング23,24,25,26,30は本例ではNBRで構成しているが、NBR以外に例えばフッ素ゴムなどで構成することも可能である。
【0021】
クランプリング11(図7も参照)は一端から他端にわたって貫通した筒開口20を有する筒状に形成されている。クランプリング11の噴霧ノズル4F寄り(一端側)の外周面は、噴霧ノズル4F側に向かって縮径した外テーパ面16として形成されている。この外テーパ面16は、締付キャップ8の内テーパ面31内に装入可能な大きさに形成されている。クランプリング11の薬液注入側接続部5寄り(他端側)の外周面は、薬液注入側接続部5に向かって縮径した外テーパ面17として形成されている。この外テーパ面17は、可動筒体12の内テーパ面22内に装入可能な大きさに形成されている。そして、クランプリング11は、管心C方向に沿って形成された割り溝15によって周方向に分離している。このクランプリング11は本例では真鍮で構成してあるが、真鍮以外に例えばステンレス鋼、合成ゴム、ポリプロピレン、あるいはポリアセタールなどで構成してもよい。
すなわち、上記した締付キャップ8、クランプリング11、および可動筒体12、更には従配管3Aのホルダ9を含めた構成が、従配管3Aに対し内管10を出し入れ可能に固定する固定部40である。
【0022】
上記のように構成された伸縮散布竿1の作用を次に説明する。まず、締付キャップ8を緩めて、クランプリング11および可動筒体12を管心C方向に自由に移動できる状態にしておく。続いて、従配管3Aに対し内管10を出し入れして、所望の竿長に設定する。そこで、締付キャップ8を回し他端側に向けて(矢印Fの反対方向)螺進させると、締付キャップ8の内テーパ面31が外テーパ面16に当りクランプリング11を他端側に押す。続いて、クランプリング11の外テーパ面17が内テーパ面22に当って可動筒体12を他端側に押す。そのうち、可動筒体12の後面27がホルダ9の段部19に当って可動筒体12が止められる。更に締付キャップ8を締めると、締付キャップ8の内テーパ面31により外テーパ面16が押し付けられ、クランプリング11の割り溝15の一端側が狭まって縮径し内管10に圧接する。同時に、止まった可動筒体12の内テーパ面22により外テーパ面17が押し付けられ、クランプリング11の割り溝15の他端側が狭まって縮径し内管10に圧接する。これらにより、内管10が従配管3Aにかたく固定される。このときの状態は図3に示した通りである。
【0023】
一方で、図8に示すように、締付キャップ8の螺進量が少ない場合すなわち締付キャップ8の締め付けが緩い場合は、可動筒体12の後面27が段部19に到達していないか弱い当接力で接しているので、内管10へのクランプリング11の圧接力は小さく、内管10が従配管3Aから進出しやすい状態にある。そこで、薬液圧入側から通液路29を通って一端開口部13内に入った薬液の液圧が可動筒体12の後面27にかかっており、可動筒体12を噴霧ノズル側に押圧している。そこで、可動筒体12の内テーパ面22が外テーパ面17を押して、クランプリング11の他端側を内管10に圧接させ、締付キャップ8の内テーパ面31が外テーパ面16を押してクランプリング11の一端側を内管10に圧接させる。これにより、図3に示した状態と同様に、内管10と従配管3Aを確実に固定することができる。その結果、所望の竿長に設定した伸縮散布竿1が使用途中で不意に伸びてしまうという不具合を防ぐことができる。
【0024】
尚、上記の実施形態では、クランプリング11の外周面の一端側と他端側の双方に外テーパ面16,17を形成し、可動筒体12の内周面の一端側に内テーパ面22を形成し、締付キャップ8の内周面の一端側に内テーパ面31を形成したものを例示したが、本発明はそれに限定されるものでない。例えば、図9に示すように、他端側に外テーパ面がなく管径方向に沿う後面35を有し割り溝15を備えるクランプリング11aと、一端側に内テーパ面がなく管径方向に沿う前面36を有する可動筒体12aとを備えたものも、本発明に含まれる。すなわち、締付キャップ8、クランプリング11a、および可動筒体12a、更には従配管3Aのホルダ9を含めた構成が、従配管3Aに対し内管10を出し入れ可能に固定する固定部40aである。尚、図9において、図1〜図8で示した構成要素と同じものには同じ符号を付して説明は省略する。
【0025】
この伸縮散布竿では、薬液圧入側からの液圧を後面27で受けた可動筒体12aが押され、更に可動筒体12aの前面36がクランプリング11aの後面35を噴霧ノズル側(矢印F方向)に押す。これにより、締付キャップ8の内テーパ面31で外テーパ面16が押され、クランプリング11aの一端側が縮径して内管10を従配管3Aに固定する。このような締付キャップ8とクランプリング11aはいずれも汎用品として出回っているので、これらに可動筒体12aを新たに加えるだけで、クランプリング11aを内管10に圧接させる構成を、安価に且つ容易に提供できる。
【0026】
あるいは図示を省略するが、前記と逆に、一端側に外テーパ面がなく管径方向に沿う前面を有し他端側に既述の外テーパ面17を有するクランプリングと、内周面の一端側に内テーパ面がなく前記クランプリングの前面を止める後面を有する締付キャップと、一端側に既述の内テーパ面22を有する可動筒体12とを備えた固定部を有するものも、本発明に含まれる。この伸縮散布竿では、可動筒体12の内テーパ面22でクランプリングの外テーパ面17が押され、クランプリングの他端側が縮径して内管10を従配管3Aに固定する。
尚、上記では内管10を出し入れする外管として従配管3Aを例示したが、従配管3Aに替えて従配管3Bに、あるいは従配管3A,3Bの双方に、内管10を出し入れ自在に外管に固定する構造を持たせても構わない。
【0027】
あるいは、図10に示すような固定部40bを備える伸縮散布竿も本発明に含まれる。この固定部40bでは、クランプリング部11bと可動筒体部12bが合成樹脂などを材料として一体に形成されたクランプリング11cを備えている。クランプリング部11bと可動筒体部12bとの境界部分は図10中の1点鎖線で示す位置である。クランプリング部11bには既述した割り溝15(図示省略)が設けられている。クランプリング11cの可動筒体部12bの他端である後端面は管心Cと直交する受圧面27Aとして形成されている。この受圧面27Aはホルダ9の段部19で止められる。尚、図10において、図1〜図8で示した構成要素と同じものには同じ符号を付して説明は省略する。
この伸縮散布竿では、液圧を受圧面27Aで受けたクランプリング11cが矢印F方向に押される。これにより、締付キャップ8の内テーパ面31で外テーパ面16が径方向内向きに押され、クランプリング11cのクランプリング部11bが縮径して内管10を従配管3Aに固定する。この伸縮散布竿も安価に且つ容易に提供することができる。
【0028】
更に、本発明は図11に示すような伸縮散布竿1aも含んでいる。この伸縮散布竿1aは、液送ポンプなどと接続される主配管2aと、この主配管2から接続部5aで分岐した2つの従配管42A,42B(外管の例)と、従配管42A内に管心C方向移動自在に収容される内管43Aと、従配管42B内に管心C方向移動自在に収容される内管43Bとを備えている。内管43A,43Bは途中で従配管42A,42Bの管心Cから直角の方向に曲げられており、それぞれの先端部に噴霧ノズル4H,4Hが互いに対向する内向きに取り付けられている。また、従配管42A,42Bのそれぞれの途中にも噴霧ノズル4G,4Gが取り付けられている。そして、前記した従配管42A,42Bは、この例では同一の管心C上で左右に延びるように配置されている。そして、従配管42A,42Bのそれぞれの先端(一端)には、締付キャップ8を有する固定部40(図3参照),40a(図9参照),40b(図10参照)、あるいは図示を省略した固定部のいずれかが配備されている。これらの固定部40,40a,40bなどの存在により、従配管42A,42Bに対し内管43A,43Bが出し入れ可能に固定されるようになっている。
【0029】
そこで、締付キャップ8,8を緩めると、図12に示すように、従配管42A,42Bに対し内管43A,43Bを出し入れ移動させることができる。そして、対向する噴霧ノズル4H,4H間の幅Wを決めたのちに、締付キャップ8,8を締めることにより、従配管42A,42Bに対し内管43A,43Bが固定される。このように、伸縮散布竿1aは噴霧ノズル4H,4H間の幅Wを可変に調整することができる。この場合、締付キャップ8,8の締め付けが弱くても、内管43A,43Bは固定部の機能により従配管42A,42Bにしっかりと固定されるから、薬液注入側からの液圧により噴霧作業の途中で内管43A,43Bが外向きに出て行って噴霧ノズル4H,4H間の幅Wが広くなるという不具合を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0030】
1,1a 伸縮散布竿
3A 従配管(外管)
4F 噴霧ノズル
5 薬液圧入側接続部
8 締付キャップ
10 内管
11,11a,11c クランプリング
11b クランプリング部
12,12a 可動筒体
12b 可動筒体部
14 雄ネジ部
16 外テーパ面
17 外テーパ面
18 噴霧ノズル側接続部
22 内テーパ面
28 雌ネジ部
31 内テーパ面
40,40a,40b 固定部
C 管心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に雄ネジ部を有し他端に薬液圧入側の接続部を有する外管と、一端に噴霧ノズル側の接続部を有するとともに他端側が外管内に管心方向移動自在に収容される内管と、内管の外周面に遊嵌されるクランプリングと、内管の外周面に遊嵌されるとともにクランプリングの外方に配置される締付キャップとを備えて成り、締付キャップの内周面に設けられた雌ねじ部と外管の雄ネジ部を螺合させることにより、クランプリングを内管に圧接させて内管と外管を竿長可変に固定するように構成された伸縮散布竿において、
クランプリングの薬液圧入側であって内管と外管との間に管心方向移動自在に装着される可動筒体を備え、当該可動筒体が薬液圧入側接続部からの液圧を受けてクランプリングを噴霧ノズル側に押圧し内管に圧接させることを特徴とする伸縮散布竿。
【請求項2】
締付キャップの噴霧ノズル側の内周面が、噴霧ノズル側に向かって縮径するテーパ面として形成され、クランプリングの噴霧ノズル側の外周面が、噴霧ノズル側に向かって縮径し且つ前記締付キャップのテーパ面内に装入可能なテーパ面として形成されている請求項1に記載の伸縮散布竿。
【請求項3】
クランプリングと可動筒体が一体に形成されるとともに、可動筒体の他端側の端面が管心とほぼ直交する受圧面として形成されている請求項2に記載の伸縮散布竿。
【請求項4】
可動筒体の噴霧ノズル側の内周面が、噴霧ノズル側に向かって拡径するテーパ面として形成され、クランプリングの薬液注入側の外周面が、薬液注入側に向かって縮径し且つ前記可動筒体のテーパ面内に装入可能なテーパ面として形成されている請求項1または請求項2に記載の伸縮散布竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−43(P2012−43A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136994(P2010−136994)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(397002360)ヤマホ工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】