説明

伸縮電線

【課題】優れた伸縮性、耐水性及び摩擦耐久性を有する伸縮電線を提供する。
【解決手段】伸縮性芯部1、該伸縮性芯部1の外周に捲回及び/又は編組された導体線2で構成される導体部、該導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層3、並びに該第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層4を有する、伸縮電線。好ましくは10N荷重下の伸長率が1%以上であり、また好ましくは30%伸長荷重が5000cN以下である。また好ましくは前記第一外部被覆層3の厚みが0.01〜10mmであり、また好ましくは前記第二外部被覆層4の厚みが0.01〜10mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する伸縮電線に関し、特にロボットやウェアラブル電子機器等の配線に好適な、耐水性及び摩擦耐久性に優れた伸縮電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電線は、導線を芯とし、その外周が絶縁体で被覆された構造となっているため、伸縮性をほとんど有さない。伸縮性を有する電線の代表例としては、電線をコイル状の形態にすることによって伸縮可能にしたカールコードがあり、固定電話機等に用いられているが、一般的に太くて重く、カールコード同士が絡みやすいといった問題がある。
【0003】
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付け、ポリウレタンやビニールチューブで外部被覆した伸縮電線が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した伸縮電線が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、芯部が伸縮自在な弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、その芯部に導線を倦回して導体部を形成し、該導体部の外周を絶縁体で被覆した伸縮電線が開示されている。
【0006】
このように、従来の伸縮電線においては、伸縮性を損なわないようにするため、外部被覆として、編組した絶縁性繊維やゴム弾性を持つ樹脂を用いることが一般的である。また、伸縮電線においては漏電の危険性を回避するために耐水性を有することが重要であるため、絶縁性繊維よりもゴム弾性を有する樹脂の方が外部被覆として適切である。しかし、ゴム被覆は摩擦抵抗が大きいため、磨耗によって被覆がすぐに破れて耐水性が損なわれるという問題がある。また、破れにくくするためにゴム被覆の厚みを厚くすると伸縮電線の伸縮性が大きく失われるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−290603号公報
【特許文献2】特開2004−134313号公報
【特許文献3】国際公開2008−078780パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、優れた伸縮性、耐水性及び摩擦耐久性を有する伸縮電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、伸縮電線の導体部の外周に弾性樹脂で構成される第一外部被覆層を形成し、さらに該弾性樹脂の外周に繊維で構成される第二外部被覆層を形成することで、被覆層を薄くして良好な伸縮性を確保しつつ優れた耐水性及び摩擦耐久性を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
[1]伸縮性芯部、
該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部、
該導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層、並びに
該第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層
を有する、伸縮電線。
【0011】
[2]10N荷重時の伸長率が1%以上である、上記[1]に記載の伸縮電線。
【0012】
[3]上記第一外部被覆層の厚みが0.01〜10mmである、上記[1]又は[2]に記載の伸縮電線。
【0013】
[4]上記第二外部被覆層の厚みが0.01〜10mmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の伸縮電線。
【0014】
[5]30%伸張荷重が5000cN以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の伸縮電線。
【発明の効果】
【0015】
本発明の伸縮電線は、耐水性及び摩擦耐久性の両者において優れているとともに、伸縮性に優れている。従って、本発明の伸縮電線は、例えば水中用の機械の配線分野での使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明において導体線を捲回する場合の伸縮電線の模式図である。
【図2】本発明において導体線を捲回する場合の伸縮電線の径断面模式図である。
【図3】本発明において導体線を編組する場合の伸縮電線の模式図である。
【図4】本発明において導体線を編組する場合の伸縮電線の径断面模式図である。
【図5】摩擦耐久性試験装置について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明について、以下具体的に説明する。本発明は、伸縮性芯部、該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部、該導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層、並びに該第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層を有する伸縮電線を提供する。本発明の伸縮電線においては、第一外部被覆層として形成される弾性樹脂により優れた耐水性が付与され、第二外部被覆層として形成される繊維により優れた摩擦耐久性が付与される。なお繊維が第一外部被覆層として形成され、弾性樹脂が第二外部被覆層として形成されると十分な摩擦耐久性が得られない。
【0018】
図1は、本発明において導体線を捲回する場合の伸縮電線の模式図であり、図2は、本発明において導体線を捲回する場合の伸縮電線の径断面模式図である。本発明の一態様の伸縮電線においては、図1及び2に示すように、伸縮性芯部1の外周に、導体線2が捲回されてなる導体部が形成され、導体部の外周に第一外部被覆層3が形成され、さらに第一外部被覆層3の外周に第二外部被覆層4が形成されている。
【0019】
図3は、本発明において導体線を編組する場合の伸縮電線の模式図であり、図4は、本発明において導体線を編組する場合の伸縮電線の径断面模式図である。本発明の別の態様の伸縮電線においては、図3及び4に示すように、伸縮性芯部1の外周に、導体線2,5が編組されてなる導体部が形成され、導体部の外周に第一外部被覆層3が形成され、さらに第一外部被覆層3の外周に第二外部被覆層4が形成されている。
【0020】
[伸縮性芯部]
本発明の伸縮電線において用いる伸縮性芯部とは、伸縮性を有する材料及び/又は構造からなり本発明の伸縮電線の芯を構成する部材である。該芯部が「伸縮性」であるか否かは以下の方法で評価できる。長さ100cmの伸縮性芯部の両末端をテンシロン万能試験機の上下チャックに固定し、10N以下の荷重で、101cmになるまで、テンシロンを用いて引き伸ばしたのち、弛緩して長さを測定する。下記基準で区別する。
伸縮性有り:10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができ、かつ弛緩後100.5cm未満に回復するもの。
伸縮性無し:10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができないか、又は、10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができたが、弛緩しても100.5cm未満に回復しないもの。
【0021】
伸縮性芯部は伸長回復性に優れていることが好ましい。例えば、伸縮性芯部の50%伸長回復率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。上記50%伸長回復率が80%以上であると、繰返し伸縮時の伸長回復性に優れた伸縮電線が得られる。なお上記50%伸長回復率は以下の方法で測定される値である。引張試験機(例えば株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで50%伸長の伸長試験を10回繰り返し、10回目の荷重−伸長曲線から、50%伸長時のチャック間の距離L2(mm)、及び荷重が0に戻ったときのチャック間の距離L3(mm)を求め、次式により50%伸長回復率(%)を求める。
50%伸長回復率(%)={(L2−L3)/(L2−100)}×100
【0022】
本発明の伸縮電線の伸縮性芯部に用いる材料としては、前記の好ましい特性値を満足できる任意の材料を使用できるが、例えばポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、天然ゴム、及び上記の合成ゴムと天然ゴムとの複合ゴム系材料が挙げられる。このような材料を用いて形成される弾性長繊維又は弾性チューブを、伸縮性芯部として好ましく使用できる。また、この中では、耐熱性、耐久性及び伸縮性に優れるシリコーンゴムが最も好ましい。
【0023】
伸縮性芯部は、前記のエラストマー及び/又は合成ゴム系材料を多孔質化してなる糸であってもよい。例えば、伸縮性芯部が、長手方向に連続した中空部を1つ以上有する中空弾性糸(すなわち弾性チューブ)(以下、単に中空弾性糸ともいう)である場合、導体線が、伸縮性芯部に適度に食い込んだ状態で捲回及び/又は編組されるため、引抜抵抗力が高くなって好ましい。多孔質化の方法としては従来既知の方法を用いればよく、例えば加熱により分解して炭酸ガス、窒素等の気体を発生する発泡剤を熱可塑性エラストマー及び/又はゴム材料に含有させ、繊維化すると同時に、又は繊維化した後に発泡させて多孔質化する方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0024】
中空弾性糸においては、中空弾性糸の径断面において糸断面積に対する中空部断面積として計算される中空率が3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがより好ましく、10〜25%であることが更に好ましい。上記中空率が3%以上である場合、良好な引抜抵抗力が得られ、50%以下である場合、良好な伸縮性が得られる。
【0025】
中空弾性糸を製造する方法は特に限定されないが、例えば熱可塑性エラストマーを用いる場合は、中空断面を有する合成繊維を溶融紡糸する際に用いられる既知の紡糸口金を用いる方法が好ましい。また、シリコーンゴムからなる中空弾性糸の場合は、例えばシリコーンゴム、加硫剤及び必要に応じてその他の添加剤を配合したシリコーンゴム配合物を中空糸形状に押し出し成形し、加硫炉にて加熱しながら延伸加工を行う方法が好ましい。シリコーンゴムとしては例えばミラブルタイプ、液状タイプ等が挙げられるが、特にその種類は制限されるものではない。
【0026】
伸縮性芯部は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。また、溶融紡糸等によって伸縮性芯部を製造することが困難な場合、伸縮性芯部は、材料をシート化した後に任意の幅でカットして分割することによって形成された、いわゆるスリットヤーンであってもよい。上記モノフィラメント及び上記スリットヤーンの繊度、並びに上記マルチフィラメントの総繊度は、それぞれ、好ましくは10〜5000dtex、より好ましくは30〜2000dtexである。
【0027】
さらに、伸縮性芯部が、弾性長繊維からなる編紐又は組紐であることも好ましい。弾性長繊維からなる編紐又は組紐は、表面に適度な凹凸を有しているため、導体線が編紐又は組紐の表面に引っ掛かり易く、引抜抵抗力が高くなって好ましい。編紐又は組紐を構成する弾性長繊維は、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーで形成された繊維であることが好ましい。弾性長繊維はモノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。上記弾性長繊維の繊度(マルチフィラメントの場合は総繊度)は、10〜5000dtexであることが好ましく、30〜2000dtexであることがより好ましい。上記繊度が10dtex以上である場合、導体線の捲回及び/又は編組が容易になる傾向があり、5000dtex以下である場合、伸張荷重が小さくなり、利便性に優れる傾向がある。
【0028】
上記弾性長繊維で構成される編紐は、例えば小径円筒編機(紐編機)に弾性長繊維(通常は1本)を給糸して編成することによって製造できる。また、弾性長繊維で構成される組紐は、例えば製紐機に弾性長繊維を給糸して編組加工することによって製造できる。このとき、通常弾性長繊維は表面の摩擦力が高いため、そのまま小径円筒編機や製紐機に給糸しても製造し難い場合がある。その場合は弾性長繊維の外周をポリエステルやナイロン等の合成繊維(仮撚加工糸等の捲縮糸が好ましい)でカバリング加工する等の方法で被覆することが好ましい。このとき、被覆する合成繊維の繊度は、伸縮性の阻害を防ぐという点から、弾性長繊維の繊度よりも小さいことが好ましく、弾性長繊維の1/5以下の繊度であることがより好ましい。
【0029】
伸縮性芯部は、伸縮性芯部の好ましい態様として上述した構造を芯材とし、該芯材の外周に弾性繊維又は非弾性繊維である別の繊維をさらに捲回させたものでもよい。芯材の外周に別の繊維を捲回させることにより、伸縮性芯部の外周に例えばらせん状に捲回及び/又は編組させる導体線と該伸縮性芯部との摩擦を低減させて導体線の捲回及び/又は編組を容易にすることができる。また、上記別の繊維をある程度以上の厚さで捲回及び/又は編組することにより、芯材に導体線を直接捲回及び/又は編組する場合よりも、より大きな捲き径で導体線を捲回及び/又は編組することができるため、より太い導体線を捲回及び/又は編組できたり、伸縮電線の断面積当りの伸長応力を下げたりできる。但し、伸縮性芯部と導体部とがずれやすくなることを避けるため、伸縮性芯部と導体線との摩擦は低減しすぎないことが好ましい。上記別の繊維の材料としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維及びポリウレタン繊維等の公知の絶縁性繊維が挙げられる。
【0030】
伸縮性芯部の外径は、目的とする伸縮電線の太さに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.01〜10mmの範囲であり、0.02〜5mmがより好ましく、0.1〜3mmがさらに好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
【0031】
[導体部]
本発明の伸縮電線は、上記伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部を有する。導体線は、単線であってもよく、2本以上の細線からなる集合線であってもよいが、集合線であることが好ましい。この場合、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性芯部の伸縮性を阻害しにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。上記単線又は集合線は丸線でもよく、リボン線のような平角線でもよい。
【0032】
細線を集合させる方法としては様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で細線を集合させてもよい。しかし、細線をストレートに引き揃えるだけでは導体線の捲回又は編組がしにくい場合があるため、細線を撚り線とすることが好ましい。
【0033】
導体線が集合線である場合、該集合線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径が1mm以下である場合、導体線の柔軟性が高く伸縮性芯部の伸縮性を阻害しにくいために伸縮による断線が起きにくく、また、より細い伸縮電線が得られ易い。一方、細線の直径が細すぎると加工時に断線し易いため、該直径は0.01mm以上であることが好ましい。
【0034】
導体線が集合線である場合、以下の式で求められる導体線の換算直径は、2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
導体線の換算直径=2×√((π×(Lt/2)×(Lt/2)/π)=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
導体線の換算直径が2mm以下である場合、導体線の可撓性が良好で安定した捲回又は編組が可能である。また、捲回又は編組の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上であることが好ましく、0.02mm以上であることがより好ましい。
【0035】
導体線の比抵抗は、伸縮電線に良好な導電性を付与する観点で、10-4Ω・cm以下であることが好ましく、10-5Ω・cm以下であることがより好ましい。導体線の素材は特に限定されず、その使用目的等に応じて適宜選択でき、例えば銅、ステンレス、アルミニウム、鉛、その他の金属、及び金属メッキした繊維等から選択できる。金属で構成された導体線としては、80質量%以上が銅である銅線、又は80質量%以上がアルミニウムであるアルミニウム線が好ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いため、最も好ましい。また、アルミニウム線は軽量である点で銅線に続いて好ましい。銅線としては軟銅線又は錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐及びインジウム等を添加したもの)の他、錫、金、銀又は白金等でメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したもの等を用いることもできる。なお上記比抵抗ρ(Ω・cm)は、抵抗をR[Ω]、導体の長さをL[cm]、導体の断面積をA[cm2]としたときに、次の式で求められる値である。
ρ=R×A/L [Ω・m]
なお上記抵抗Rはテスターにより測定される値である。
【0036】
導体線としては、これを構成する細線1本ずつを絶縁体で被覆したものを用いることもでき、細線の集合線をまとめて絶縁体で被覆したものを用いることもできる。被覆する絶縁体の厚みは2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。被覆する絶縁体の厚みが2mm以下である場合、絶縁被覆された導体線は柔軟であり、かつ外径の小さい導体線となる。
【0037】
上記絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。細線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステル−ナイロン被覆、ポリエステル−イミド被覆及びポリエステルイミド−ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線に樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂及びエステル樹脂等を用いることができる。なお、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
【0038】
導体部においては、導体線に可撓性を発揮させるために、上記集合線の外周を絶縁性繊維で捲回してもよい。また導体線にあらかじめ絶縁性繊維を被覆したものを用いることもできる。絶縁性繊維としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維及びポリウレタン繊維等の公知の絶縁性繊維を用いることができる。中でも、あらかじめ絶縁性繊維で被覆した導体線は、加工時に細線表層の絶縁性樹脂層が破壊されにくく、好ましい。
【0039】
[第一外部被覆層]
本発明の伸縮電線は、導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層を有する。第一外部被覆層の厚みは、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.01〜5mm、さらに好ましくは0.01〜1mmである。第一外部被覆層の厚みが0.01mm以上である場合、第一外部被覆層を設けることによる耐水性付与効果が良好に得られる。一方第一外部被覆層の厚みが10mm以下である場合、良好な伸縮性が得られる。
【0040】
第一外部被覆層を構成する弾性樹脂は典型的には絶縁樹脂であり、種々の弾性特性の樹脂から任意に選ぶことができる。上記弾性樹脂に望まれる性能としては、伸縮性、耐水性及び耐老化性が挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられる。合成ゴム系弾性体としては、アクリル系ゴム、二トリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン・ブタジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、エチレン・酢酸ビニル系ゴム、イソプレン系ゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴム及びブチル系ゴムが好ましい。より好ましくは、伸縮性及び耐水性に優れるブチル系ゴム、多硫化ゴム、及びシリコーン系ゴムである。さらに好ましくは、シリコーン系ゴムである。
【0041】
第一外部被覆層は、導体部の外周に密着させて又は空気層を介して形成されていることができる。上記空気層は、導体部の外周に密着させて第一外部被覆層を形成した後、第一外部被覆層を導体部から剥離することによって形成できる。第一外部被覆層が導体部に密着している場合、導体部と、第一外部被覆層の弾性樹脂とがずれにくくなり、取扱い性に優れる。一方、弾性樹脂が導体部から剥離されること等によって導体部の周囲に空気層が形成される場合、導体部周囲の誘電率が低くなるため、電気信号の伝送特性が向上する。
【0042】
[第二外部被覆層]
本発明の伸縮電線は、上記第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層を有する。第二外部被覆層は、伸縮性芯部の伸縮性を阻害せずに内部の第一外部被覆層を保護することが求められるため、第二外部被覆層を構成する繊維は編組されていることが好ましい。
【0043】
第二外部被覆層の厚みは、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.01〜5mm、さらに好ましくは0.01〜1mmである。第二外部被覆層の厚みが0.01mm以上である場合、第二外部被覆層を設けることによる摩擦耐久性付与効果が良好に得られる。一方第二外部被覆層の厚みが10mm以下である場合、良好な伸縮性が得られる。
【0044】
第二外部被覆層を構成する繊維は原糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。第二外部被覆層を構成する繊維の種類は特に限定されるものではなく、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の繊維から任意に選ぶことができる。上記繊維に望まれる性能としては、摩擦耐久性が挙げられる。摩擦耐久性に優れるという観点から第二外部被覆層を構成するために好ましく使用できる繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、フッ素繊維、高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ナイロン繊維、及びポリエステル繊維が挙げられる。
【0045】
第二外部被覆層を構成する繊維はモノフィラメント及びマルチフィラメントのいずれでもよい。該繊維の繊度(マルチフィラメントにおいては総繊度)は特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは10〜5000dtex、より好ましくは30〜2000dtexである。
【0046】
第二外部被覆層を繊維の編組によって形成する場合には、伸縮性芯部の外周に導体線を捲回し、その外周に第一外部被覆層を被覆して中間体を形成し、該中間体を製紐機等に仕掛け、伸長した状態の中間体の外周に繊維を編組する方法が好ましい。
【0047】
なお、上記繊維を仕上げ加工することにより、柔軟性や耐摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工及び消臭加工等、公知の加工を上記繊維に施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。特に、上記繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮電線表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。また、本発明の伸縮電線を例えばヒューマノイド型ロボットの外皮配線に用いる場合は、外皮を構成する樹脂が伸縮電線内部に浸透して伸縮性を阻害しないように、外周被覆部である第二外部被覆層に撥水加工を施すことが好ましい。撥水加工は、例えばフッ素系加工剤等を繊維表面に付与することにより行うことができる。
【0048】
本発明の伸縮電線は、上述した伸縮性芯部、導体部、第一外部被覆層及び第二外部被覆層のみで構成されていてもよいが、上記各々の部材内部及び/又は部材間に他の部材が介在することを妨げない。他の部材としては、例えば部材間に金属繊維を編組することによる耐ノイズ性のシールド等が形成可能である。
【0049】
本発明の伸縮電線の10N荷重時の伸長率は、1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。10Nの荷重とは、人が手で伸縮電線を強く引っ張って伸長した時に相当する荷重であり、上記荷重を想定することは伸縮電線の伸縮性を設計する上で好ましい。10N荷重時の伸長率が1%以上である場合、伸縮電線が伸長力に追随できないことによる断線が生じにくい。また、10N荷重時の伸長率は400%未満であることが好ましい。該伸長率が400%未満である場合導体線が伸びて塑性変形したり、一部断線したりすることを回避できる。
【0050】
本発明の伸縮電線に10N荷重を10回繰り返して掛けた後の伸長回復率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。上記伸縮回復率が60%以上である場合、伸縮電線が繰り返しの伸長に対して良好な耐久性を有する。上記伸長回復率は高い方が好ましい。
【0051】
本発明の伸縮電線の30%伸張荷重は、5000cN以下であることが好ましく、3000cN以下であることがより好ましく、1000cN以下であることがさらに好ましく、500cN以下であることが特に好ましい。30%伸張荷重が5000cNを超えると、伸縮電線を伸縮させるために大きな力が必要であり利便性が低くなる傾向がある。30%伸張荷重は小さい方が好ましいが、小さすぎると伸張回復性が悪くなる傾向があることから、1cN以上であることが好ましく、10cN以上であることがより好ましい。
【0052】
なお、上記の10N荷重時の伸長率及び伸長回復率、並びに30%伸張荷重は引張試験機(例えばテンシロン試験機)を用いて標準状態(具体的には温度20℃、相対湿度65%)で測定される値である。
【0053】
本発明の伸縮電線の弛緩状態での抵抗は、10Ω/m以下であることが好ましい。上記抵抗が10Ω/mを超える場合、微弱電流を流すことは容易であるものの、駆動電流を流すことが難しくなる傾向がある。上記抵抗は、さらに好ましくは1Ω/m以下である。上記抵抗はテスターによって測定される値である。
【0054】
[伸縮電線の製造]
次に、本発明の伸縮電線の代表的な製造方法について説明する。なお、本発明の伸縮電線は以下の製造方法によって得られるものに限定されるものではない。
【0055】
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、2対のローラー間で伸縮性芯部を伸長した状態で、該伸縮性芯部の外周に導体線(単線又は集合線)をらせん状に1本又は複数本捲回及び/又は編組させる方法が挙げられる。伸縮性を発現させやすくするために、伸縮性芯部を好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは100%以上伸長した状態で導体線を捲回及び/又は編組させる。
【0056】
導体線をらせん状に捲回及び/又は編組させる方法としては、例えば、カバリング機を用いて導体線を捲回及び/又は編組する方法が挙げられる。伸縮性芯部と導体部との間の引抜抵抗力を高くするためには、導体線に適度な張力を掛けて捲回及び/又は編組することが好ましい。
【0057】
カバリング機を用いて導体線を捲回及び/又は編組する場合は、導体線を巻いたボビンの回転数を高くする等して捲回張力を高くすることが可能である。また、カバリング機を用いて導体線を1方向に複数本捲回する場合は、あらかじめ1つのボビンに複数本の導体線を引き揃えて捲きつけたボビンを用い、これを1度に捲回することが好ましい。なおこの場合導体線同士は重なり合う可能性がある。
【0058】
上記のようにして伸縮性芯部の外周に導体線を捲回及び/又は編組して導体部を形成した後、該導体部の外周に、弾性樹脂で構成される前述の第一外部被覆層を形成し、さらにその外周に、繊維で構成される前述の第二外部被覆層を形成する。弾性樹脂で構成される第一外部被覆層は、押し出し装置等を用いることにより被覆することが好ましい。繊維で構成される第二外部被覆層は、製紐機等を用いて編組することが好ましい。このとき、伸縮性芯部、導体部及び第一外部被覆層で構成される中間体を伸長した状態で上記第二外部被覆層を形成することが好ましい。
以上のようにして本発明の伸縮電線を製造できる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また本発明の特性は下記の方法で測定した。
【0060】
(1)30%伸張荷重
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置したのち、標準状態下でテンシロン万能試験機((株)エーアンドディ製)を用い、長さ100mmの試料を引張り速度100mm/minで引張り、30%伸長時の荷重(cN)を求めた。
【0061】
(2)伸縮性
長さ100cmの伸縮性芯部又は伸縮電線の両末端を上記テンシロンの上下チャックに固定し、10N以下の荷重で、101cmになるまで、テンシロンを用いて引き伸ばしたのち、弛緩して長さを測定した。下記基準で区別した。
A:10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができ、かつ弛緩後100.5cm未満に回復したもの。
B:10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができないか、又は、10N以下の荷重で101cmまで伸長させることができたが、弛緩しても100.5cm未満に回復しないもの。
【0062】
(3)耐水性
弛緩状態で長さ1mの伸縮電線を採取し、両端の導体線の先端を5mm引き出し、先端約3mmにフラックスを塗り、さらに該先端をハンダ浴に浸漬して、導体線間の導通を高めた。その後、ハンダ処理した2つの導体線末端のうち一方に耐電圧計(菊水電子工業株式会社製)の電力ケーブル、もう一方にGNDケーブルを取り付け、電圧を付加して、耐電圧を測定し、耐水性を下記基準により判定した。
A:伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけた際、耐電圧の低下が1%未満である。
B:伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけた際、耐電圧が1%以上30%未満低下する。
C:伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけた際、耐電圧が30%以上80%未満低下する。
D:伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけた際、耐電圧が80%以上低下する。
【0063】
(4)摩擦耐久性
図5は、摩擦耐久性試験装置について説明する模式図である。デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作所製)を用い、図5に示すように、チャック部6及びチャック部7を、試料9の長さが20cmとなるようにセットし、その中間に直径1.27cmのステンレス棒8を配置した。チャック部7は可動である。取付け時の試料位置は、図5中に試料10として示すように、試料長が伸長時である30cmとなるように設定した。室温で100回/minで所定回、チャック部7をチャック部7’の位置まで移動させることによって、試料11として示すように試料を繰り返し伸張させる方法で、繰り返し伸張試験を行った。
下記基準により、摩擦耐久性を判定した。
A:50万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけても耐電圧が低下しない。
B:10万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけても耐電圧が低下しないが、50万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけると耐電圧が低下する。
C:1万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけても耐電圧が低下しないが、10万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけると耐電圧が低下する。
D:1万回伸張後に伸縮電線中央部に0.5mlの水をかけると耐電圧が低下する。
【0064】
(5)第一外部被覆層及び第二外部被覆層の厚み(mm)
上記各外部被覆層を被覆する前の中間体の外径と被覆後の外径とをノギスにより測定し、下記の式により求めた。
(第一外部被覆層の厚み)={(第一外部被覆層を被覆した後の中間体の外径)−(第一外部被覆層を被覆する前の中間体の外径)}/2
(第二外部被覆層の厚み)={(第二外部被覆層を被覆した後の伸縮電線の外径)−(第二外部被覆層を被覆する前の中間体の外径)}/2
【0065】
(6)10N荷重時の伸長率
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、10Nの荷重が掛かった後直ちに同速度で除重し、得られた荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L1(mm)を求め、次式により10N荷重時の伸長率(%)を求めた。
10N荷重時の伸長率(%)={(L1−100)/100}×100
上記においては試料5本について同様の試験を行い、平均値を算出した。
【0066】
(7)10N荷重後の伸長回復率
上記(6)の10N荷重の伸長試験を10回繰り返し、10回目の荷重−伸長曲線から、10N荷重時のチャック間の距離L2(mm)、及び荷重が0に戻ったときのチャック間の距離L3(mm)を求め、次式により10N荷重後の伸長回復率(%)を求めた。
10N荷重後の伸長回復率(%)={(L2−L3)/(L2−100)}×100
【0067】
[実施例1]
ダブルカバリング機(カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940dtex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい株式会社製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率3倍で伸長しながら、155dtexのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)及び332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を用い、8本打ちの製紐機(株式会社国分社製)を用いて編組加工を行い、ポリウレタン弾性長繊維からなる直径1.8mmの略丸断面の組紐を伸縮性芯部として得た。
【0068】
得られた伸縮性芯部を用い、16本打ちの製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、伸縮性芯部を2.0倍に伸長しながら、Z撚り方向に、導体線として銅細線集合線((有)竜野電線社製2USTC、直径0.03mm×48本にポリエステル加工糸をカバリングしたもの)4本と、ナイロン仮撚糸(230dtex)4本とを1本交互に配置し、S撚り方向にポリエステル繊維(56dtex)を8本配置して編組加工を行って導体部を形成し、第一の中間体を得た。
【0069】
得られた第一の中間体をシリコーンチューブの中に通し、シリコーンチューブが第一外部被覆層として形成された第二の中間体を得た。さらに該第二の中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することによって、第二外部被覆層を形成し、4本の導体線を有する伸縮電線を得た。
【0070】
[比較例1]
実施例1と同じ方法で第一の中間体を得た。得られた第一の中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することによって、繊維が第一外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
【0071】
[比較例2]
実施例1と同じ方法で第一の中間体を得た。得られた第一の中間体をシリコーンチューブの中に通し、シリコーンチューブが第一外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
【0072】
[比較例3]
実施例1と同じ方法で第一の中間体を得た。得られた第一の中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することによって、繊維が第一外部被覆層として形成された第二の中間体を得た。
さらに、該第二の中間体をシリコーンチューブの中に通し、シリコーンチューブが第二外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
【0073】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の伸縮電線は、水中用ロボット分野をはじめとする、汗や雨等の影響を回避するための耐水性が必要な用途に好適である。本発明の伸縮電線は、耐水性とともに優れた伸縮性及び摩擦耐久性を有するため、曲げ伸ばし等の屈曲部を有する身体装着機器、衣服装着機器等の配線に好適であり、特に、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適である。本発明の伸縮電線は、その他の各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)、マイクロフォン、ヘッドフォン等の分野でも好適に利用できる。
【符号の説明】
【0075】
1 伸縮性芯部
2,5 導体線
3 第一外部被覆層
4 第二外部被覆層
6,7,7’ チャック部
8 ステンレス棒
9,10,11 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性芯部、
該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部、
該導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層、並びに
該第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層
を有する、伸縮電線。
【請求項2】
10N荷重下の伸長率が1%以上である、請求項1に記載の伸縮電線。
【請求項3】
前記第一外部被覆層の厚みが0.01〜10mmである、請求項1又は2に記載の伸縮電線。
【請求項4】
前記第二外部被覆層の厚みが0.01〜10mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮電線。
【請求項5】
30%伸長荷重が5000cN以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮電線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−82050(P2011−82050A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234169(P2009−234169)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】