説明

伸長されたGLP−1化合物

長く伸びたGLP-1化合物およびその治療上の使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、治療用ペプチドの分野、すなわち新規な長く伸びたGLP-1化合物に関する。
【発明の背景】
【0002】
ヒトGLP-1は、とりわけ回腸遠位部のL-細胞、膵臓、および脳で合成されるプレプログルカゴンに由来する37アミノ酸残基のペプチドである。GLP-1は、グルコース代謝および胃腸の分泌および代謝における、調節機能を備えた重要な消化管ホルモンである。GLP-1は、グルコース依存的な方法でインスリン分泌を刺激し、インスリン生合成を刺激し、β細胞の救出を促進し、グルカゴンの分泌、胃内容排出および食物摂取を減少させる。ヒトGLP-1は、GLP-1(7-37)およびGLP-1(7-36)-アミドに加水分解され、これらは何れもインスリン親和性(insulinotropic)ペプチドである。このペプチドのフラグメントおよび類似体を記載するために簡単なシステムが使用される。よって、たとえば[Gly8]GLP-1(7-37)は、位置8に天然に存在するアミノ酸残基(Ala)をGlyに置換することによりGLP-1(7-37)から形式的に誘導されたGLP-1(7-37)の類似体を指す。同様に、(Nε34-テトラデカノイル)[Lys34]GLP-1(7-37)は、位置34のLys残基のε−アミノ基が、テトラデカノイル化されたGLP-1(7-37)を指す。
【0003】
ここ10年、多くのペプチドが、ドクトカゲ (Heloderma suspectumおよびHeloderma horridum) の毒液から単離されている。エキセンジン-4は、Heloderma suspectumの毒液から単離された39アミノ酸残基のペプチドであり、このペプチドは、重複する領域においてGLP-1(7-37)と52%のホモロジーを共有する。エキセンジン-4は、強力なGLP-1レセプターアゴニストであり、イヌに注射すると、インスリン放出を刺激し、血中グルコースレベルの低下を保証することが示されている。エキセンジン-4(1-39)、そのフラグメント、その類似体および誘導体のグループは、強力なインスリン親和性(insulinotropic)薬剤である。
【0004】
インビボでの長期作用時間を提供するために、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)化合物の構造を改変するための多種多様なアプローチが使用されている。WO 96/29342は、親ペプチドホルモンを、C−末端アミノ酸残基またはN−末端アミノ酸残基に親油性置換基を導入することにより改変したペプチドホルモン誘導体を開示する。WO 98/08871は、親ペプチドの少なくとも一つのアミノ酸残基が、親油性置換基を結合しているGLP-1誘導体を開示する。WO 99/43708は、C−末端アミノ酸残基に親油性置換基が結合しているGLP-1(7-35)およびGLP-1(7-36)誘導体を開示する。WO 00/34331は、アシル化GLP-1類似体を開示する。WO 00/69911は、患者に注射される活性化されたインスリン親和性(insulinotropic)ペプチドを開示し、これは、血液成分と反応してコンジュゲートを形成することにより、インビボで長期作用時間を提供すると考えられている。WO 02/46227は、インビボでの半減期を延長するためにヒト血清アルブミンに融合したGLP-1およびエキセンジン-4類似体を開示する。
【0005】
多くの糖尿病患者、とりわけ2型糖尿病のセグメントでは、いわゆる「注射針恐怖症」、すなわち自分自身を注射する大きな恐怖を受けている。2型糖尿病のセグメントにおいて、多くの患者は、経口血糖降下薬で治療されており、GLP-1化合物は、かかる患者に投与される最初の注射プロダクトであると予測されるため、注射の恐怖は、臨床上非常に有望なGLP-1化合物の広く普及した使用にとって大きな障害となり得る。よって、一日に一回未満、たとえば二日または三日に一回、好ましくは一週間に一回、許容される臨床プロファイルを保持しながら投与することができる新規なGLP-1化合物を開発することが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して、位置7および/または8に少なくとも一つの非蛋白原性アミノ酸残基の改変を有するGLP-1類似体であって、少なくとも二つの酸性基を含む部分により位置37または38のリジン残基がアシル化され、一つの酸性基が末端に結合しているGLP-1類似体を提供する。本発明は、かかるGLP-1類似体を含む薬学的組成物を提供する。本発明は、種々の疾患の治療用医薬を製造するためのかかるGLP-1類似体の使用を提供する。
【発明の説明】
【0007】
本明細書において、以下の用語は、記載される意味を有する:
本明細書で使用される「ポリペプチド」および「ペプチド」の用語は、ペプチド結合により連結される少なくとも5つの構成アミノ酸から構成される化合物を意味する。構成アミノ酸は、遺伝暗号にコードされるアミノ酸のグループに由来してもよいし、遺伝暗号にコードされない天然アミノ酸であってもよいし、合成アミノ酸であってもよい。遺伝暗号にコードされない天然アミノ酸は、たとえば、γ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アラニンおよびD−グルタミンである。合成アミノ酸には、化学合成により製造されるアミノ酸、すなわち、遺伝暗号にコードされるアミノ酸のD−異性体、たとえばD−アラニンおよびD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、β−アラニン、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸が含まれる。
【0008】
22個の蛋白原性アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンである。
【0009】
よって、非蛋白原性アミノ酸は、ペプチド結合を介してペプチドに組み込まれ得るが、蛋白原性アミノ酸でない部分である。その例は、γ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アミノ酸、たとえばD−アラニンおよびD−グルタミンである。非蛋白原性合成アミノ酸には、化学合成により製造されるアミノ酸、すなわち、遺伝暗号にコードされるアミノ酸のD−異性体、たとえばD−アラニンおよびD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、β−アラニン等のアミノ酸のベータ類似体、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニンまたは4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸)が含まれる。
【0010】
ポリペプチドに関連して本明細書で使用される「類似体」の用語は、ペプチドの一または複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されている、および/または一または複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失している、および/または一または複数のアミノ酸残基がペプチドに付加している、改変されたペプチドを意味する。かかるアミノ酸残基の付加または欠失は、ペプチドのN−末端および/またはペプチドのC−末端で起こり得る。類似体を記載するためにしばしば簡便なシステムが使用される:たとえば[Arg34]GLP-1(7-37)Lysは、位置34の天然に存在するリジンがアルギニンに置換され、かつ末端アミノ酸残基、すなわちGly37にリジンが付加されたGLP-1(7-37)類似体を指す。光学異性体について記述していない全てのアミノ酸は、L−異性体を意味すると理解される。本発明の態様において、最大17個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大15個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大10個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大8個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大7個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大6個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大5個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大4個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大3個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、最大2個のアミノ酸が改変されている。本発明の態様において、1個のアミノ酸が改変されている。
【0011】
ペプチドに関連して本明細書で使用される「誘導体」の用語は、未改変のペプチドまたはその類似体に一つの置換基も存在しない、化学的に改変されたペプチドまたはその類似体、すなわち、共有結合により改変されたペプチドを意味する。典型的な改変は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル等である。GLP-1(7-37)の誘導体の例は、Nε26-((4S)-4-(ヘキサデカノイルアミノ)-カルボキシ-ブタノイル)[Arg34,Lys26]GLP-1-(7-37)である。
【0012】
本明細書で使用される「GLP-1ペプチド」の用語は、GLP-1(7-37)(配列番号1)、GLP-1(7-37)類似体、GLP-1(7-37)誘導体、またはGLP-1(7-37)類似体の誘導体を意味する。一つの態様において、GLP-1ペプチドは、インスリン親和性(insulinotropic)薬剤である。
【0013】
本明細書で使用される「インスリン親和性薬剤」の用語は、ヒトGLP-1レセプターのアゴニストである化合物、すなわちヒトGLP-1レセプターを含有する適切な培地においてcAMPの生成を刺激する化合物を意味する(そのような培地の一つは、以下に開示される)。インスリン親和性薬剤の効力は、後述されるとおり、用量−反応曲線からEC50値を計算することにより決定される。
【0014】
クローニングされたヒトGLP-1レセプターを発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞(BHK-467-12A)を、100 IU/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、5%ウシ胎仔血清および0.5 mg/mL ジェネティシン(Geneticin) G-418 (Life Technologies)を添加したDMEM培地で増殖させた。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、ヴェルセン(Versene)を用いて回収した。緩衝液1 (20 mM HEPES-Na、10 mM EDTA、pH 7.4)中でウルトラチュラックス(Ultraturrax)を用いてホモジナイズすることにより、細胞から原形質膜を調製した。ホモジネートを、4℃において15分間48,000 x gで遠心分離した。沈殿を、緩衝液2 (20 mM HEPES-Na、0.1 mM EDTA、pH 7.4)中でホモジナイズすることにより懸濁し、その後、4℃において15分間48,000 x gで遠心分離した。洗浄操作をもう一回繰り返した。最終沈殿を、緩衝液2中で懸濁し、すぐにアッセイに使用するか、または-80℃に保存した。
【0015】
機能的レセプターアッセイは、インスリン親和性薬剤による刺激に対する応答としてサイクリックAMP(cAMP)を測定することにより行った。生成したcAMPをAlphaScreenTM cAMPキット (Perkin Elmer Life Sciences)により定量した。インキュベーションは、ハーフエリア96-ウェルマイクロタイタープレートにおいて、全体積50μLの緩衝液3 (50 mM Tris-HCI、5 mM HEPES、10 mM MgCl2、pH 7.4) 中で、以下の添加物:1 mM ATP、1μM GTP、0.5 mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン (IBMX)、0.01 % Tween-20、0.1% BSA、6μg メンブレンプレパレーション、15μg/mL アクセプタービーズ、6 nM ビオチニル-cAMPと予めインキュベートした20μg/mL ドナービーズを添加して行った。アゴニスト活性について試験する化合物を、緩衝液3中に溶解し希釈した。GTPは、各実験のために新たに調製した。プレートは暗所においてゆっくり攪拌しながら室温で3時間インキュベートし、その後、FusionTM 機器 (Perkin Elmer Life Sciences)でカウントした。濃度−反応曲線を個々の化合物についてプロットし、EC50値を、Prism v. 4.0 (GraphPad, Carlsbad, CA)を用いた4パラメータのロジスティックモデルを使用して評価した。
【0016】
ポリペプチドに関連して本明細書で使用される「DPP-IV保護された」という用語は、血漿ペプチダーゼジペプチジルアミノペプチダーゼ-4(DPP-IV)に対して化合物を耐性にするために化学的に改変したポリペプチドを意味する。血漿中のDPP-IV酵素は、幾つかのペプチドホルモン、たとえばGLP-1、GLP-2、エキセンジン-4等の分解に関与することが知られている。よって、DPP-IVによる分解速度を低下させるためにDPP-IVによる加水分解を受けやすいポリペプチドの類似体および誘導体を開発する多大な努力が為されている。一つの態様において、DPP-IV保護されたペプチドは、GLP-1(7-37)またはエキセンジン-4(1-39)よりもDPP-IVに対する耐性が高い。
【0017】
ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる分解に対するペプチドの耐性は、以下の分解アッセイにより決定される:
ペプチドの一部(5 nmol)を、100μLの0.1 M トリエチルアミン-HCl緩衝液、pH 7.4中で、5 mUの酵素活性に相当する1μLの精製ジペプチジルアミノペプチダーゼIVと37℃で10−180分間インキュベートする。酵素反応は、5μLの10%トリフルオロ酢酸の添加により停止させ、ペプチド分解産物を、HPLC分析を用いて分離、定量する。この分析を行うための一つの方法は、以下のとおりである:混合物を、Vydac C18 widepore (30 nm孔、5μm粒子) 250 x 4.6 mmカラムに添加し、1 ml/minの流速で、0.1%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの直線的段階勾配 (3分間0%アセトニトリル、17分間0−24%アセトニトリル、1分間24−48%アセトニトリル) を用いて、Siegel et al., Regul. Pept. 1999; 79: 93-102 and Mentlein et al. Eur. J. Biochem. 1993; 214: 829-35に従って溶出した。ペプチドおよびその分解産物は、220 nm (ペプチド結合) または280 nm (芳香族アミノ酸) における吸光度によりモニターすることができ、スタンダードのピーク面積に対するピーク面積の積算(integration)により定量する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによるペプチドの加水分解速度は、加水分解されるペプチドが10%未満になるインキュベーション時間で評価する。
【0018】
本明細書で使用される「C1-6-アルキル」の用語は、1〜6個の炭素原子を有する、飽和の、分枝、直鎖または環状の炭化水素基を意味する。代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキサンなどが含まれるがこれらに限定されない。本明細書で使用される「薬学的に許容可能な」の用語は、標準的な医薬用途に適していること、すなわち患者等に悪影響を及ぼさないことを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「賦形剤」の用語は、薬学的組成物に一般に添加される化合物、たとえば緩衝剤、張度作用剤(tonicity agent)、保存剤などを意味する。
【0020】
本明細書で使用される「効果的な量」の用語は、治療なしの場合と比較して、患者の治療に効力を発揮するのに十分な用量を意味する。
【0021】
本明細書で使用される「薬学的組成物」の用語は、薬学的賦形剤、たとえば緩衝剤、保存剤、必要に応じて張度調節剤(tonicity modifier)および/または安定剤とともに、活性な化合物またはその塩を含むプロダクトを意味する。よって、薬学的組成物は、当該技術分野において薬学的調合物としても公知である。
【0022】
本明細書で使用される「疾患の治療」の用語は、疾患、病気(condition)または障害を患っている患者の管理およびケアを意味する。治療の目的は、疾患、病気または障害を治すことである。治療には、疾患、病気または障害を除去または制御するため、並びに疾患、病気または障害と関連した症状または合併症を軽減するための活性な化合物の投与が含まれる。
【0023】
別の側面において、本発明は、アルブミンおよびGLP-1レセプターに同時に結合することができるアシル化GLP-1類似体に関する。
【0024】
別の側面において、本発明は、2%アルブミンの存在下において100 nM未満、好ましくは30 nM未満の親和性でGLP-1レセプターに結合するアシル化GLP-1類似体に関する。
【0025】
別の側面において、本発明は、GLP-1レセプターに対する親和性が、ごく低濃度(たとえば0.005%〜0.2%)のヒトアルブミンの存在下における親和性を2%ヒトアルブミンの存在下における親和性と比較した際に、少しだけ低下するアシル化GLP-1類似体に関する。これら条件下での結合親和性のシフトは、50倍未満、好ましくは30倍未満、より好ましくは10倍未満である。
【0026】
本明細書で使用される「アルブミン結合部分」の用語は、ヒト血清アルブミンに非共有結合で結合する残基を意味する。治療用ポリペプチドに結合したアルブミン結合残基は、典型的には、ヒト血清アルブミンに対して10μM未満の親和性、好ましくは1μM未満の親和性を有する。様々なアルブミン結合残基が、末端酸性基を有する4−40の炭素原子を含有する直鎖および分枝の親油性部分のなかで公知である。
【0027】
本明細書で使用される「親水性リンカー」の用語は、少なくとも5つの非水素原子を含み、これらの30−50%がNまたはOの何れかである化学的部分によりペプチドとアルブミン結合残基を分離するスペーサーを意味する。
【0028】
本明細書で使用される「酸性基」の用語は、生理的pHにおいて完全または部分的に負に荷電した有機化学基を意味する。この基のpKa値は、7未満、好ましくは5未満である。この基には、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、または生理的pHにおいて完全または部分的に負に荷電したヘテロ環系が含まれるがこれらに限定されない。
【0029】
本発明は、位置37または38のリジン残基に非天然アミノ酸リンカーを介して結合した少なくとも二つの遊離の酸性化学基を含有する親油性アルブミン結合部分でアシル化されたGLP-1類似体を提供する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0030】
また、本発明は、配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して、位置7および8の少なくとも一つのアミノ酸残基を改変することにより、DPP-IVに対して安定化されたアシル化GLP-1類似体であって、前記アシル化が、必要に応じて非天然アミノ酸の親水性リンカーを介して、位置37または38のリジン残基に結合した二価酸であるアシル化GLP-1類似体を提供する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0031】
また、本発明は、GLP-1類似体の患者における作用時間を増大させる方法であって、前記GLP-1類似体の位置37または38のリジン残基において、二価酸により前記GLP-1類似体をアシル化することを特徴とする方法を提供する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0032】
また、本発明は、GLP-1類似体の患者における作用時間を約40時間を超えて増大させる方法であって、GLP-1(7-37)Lysペプチドまたはその類似体の位置7および8のアミノ酸残基の少なくとも一つを改変し、GLP-1類似体のC末端アミノ酸Lys38残基を、親水性スペーサーを介して二価酸によりアシル化することを特徴とする方法を提供する。
【0033】
また、本発明は、本発明の化合物を含む薬学的組成物、および疾患治療用医薬を調製するための本発明の化合物の使用を提供する。
【0034】
本発明の一つの態様において、前記GLP-1類似体は、Aib8,Arg26,34-GLP-1(7-37)Lys、Aib8,22,Arg26,34-GLP-1(7-37)Lys、またはGly8,Arg26,34GLP-1-(7-37)Lysである。
【0035】
以下の構造式IIにおいて、部分Uは、ジラジカルであり、末端基Bとペプチドのリジンアミノ酸のアミノ基に、2つの異なる方法で結合することができる。本発明の態様において、式IIのUは、アルキル鎖の端に結合した基Bと結合し、もう一方の端でペプチドと結合する。
【0036】
以下の式において、結合した基に由来する末端結合は、記述されない限り、付着結合とみなされ、メチレン基が末端にならない。
【0037】
以下の式において
【化11】

【0038】
は、GLP-1類似体のH2N-His-Aib- N-末端を意味する。
【0039】
一つの側面において、本発明は、位置37または38のリジン残基に非天然アミノ酸リンカーを介して結合した少なくとも二つの遊離の酸性化学基を含有する親油性アルブミン結合部分でアシル化されたGLP-1類似体に関する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0040】
一つの態様において、遊離の酸性化学基の用語は、本明細書で使用される「酸性基」と同じ意味を有すると理解される。
【0041】
別の側面において、本発明は、配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して、位置7および/または8の少なくとも一つのアミノ酸残基を改変することにより、DPP-IVに対して安定化されたアシル化GLP-1類似体であって、前記アシル化が、必要に応じて非天然アミノ酸の親水性リンカーを介して、位置37または38のリジン残基に結合した二価酸であるアシル化GLP-1類似体に関する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0042】
本発明の一つの態様において、配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して、位置7および/または8に少なくとも一つの非蛋白原性アミノ酸残基の改変を有するGLP-1類似体であって、少なくとも二つの酸性基を含む部分により位置37または38のリジン残基がアシル化され、一つの酸性基が末端に結合しているGLP-1類似体が提供される。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0043】
一つの態様は、位置37または38に結合した部分が、親水性リンカーを含む、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0044】
一つの態様は、親水性リンカーが、少なくとも5つの非水素原子を含み、これらの30−50%がNまたはOの何れかである、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0045】
一つの態様は、位置37または38に結合した部分が、親水性リンカーによりペプチドから分離されたアルブミン結合部分を含む、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。本発明の一つの態様において、リジンは位置38にある。
【0046】
一つの態様は、アルブミン結合部分が、末端酸性基を有する4−40の炭素原子を含有する直鎖または分枝の親油性部分である、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0047】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、アシル化部分は、B−U’であり、U’は
【化12】

【0048】
から選択され、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
nは1, 2または3であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
tは0, 1, 2, 3, または4であり、
pは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23であり;
Bは
【化13】

【0049】
から選択される酸性基であり、
lは12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19または20である、GLP-1類似体を提供する。
【0050】
一つの態様は、式I(配列番号2)の化合物である上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する:
【化14】

【0051】
ここで
Xaa7は、L-ヒスチジン、イミダゾプロピオニル、α-ヒドロキシ-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニンまたは4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Thr、Ser、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa16は、ValまたはLeuであり;
Xaa18は、Ser, LysまたはArgであり;
Xaa19は、TyrまたはGlnであり;
Xaa20は、LeuまたはMetであり;
Xaa22は、Gly, GluまたはAibであり;
Xaa23は、Gln, Glu, LysまたはArgであり;
Xaa25は、AlaまたはValであり;
Xaa26は、Lys, GluまたはArgであり;
Xaa27は、GluまたはLeuであり;
Xaa30は、Ala, GluまたはArgであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、Lys, Glu, AsnまたはArgであり;
Xaa35は、GlyまたはAibであり;
Xaa36は、Arg, GlyまたはLys, または存在せず;
Xaa37は、Gly, Ala, Glu, Pro, Lys, Asnまたは存在せず;
Xaa36またはXaa37が存在しない場合、C末端アミノ酸は、上記式に記載されるとおりリジンであり、
Zは、OHまたはNH2であり、
U’は
【化15】

【0052】
から選択されるスペーサーであり、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
nは1, 2または3であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
tは0, 1, 2, 3, または4であり、
pは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23であり;
Bは
【化16】

【0053】
から選択される酸性基であり、
lは12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19または20である。
【0054】
本発明の一つの態様において、前記GLP-1類似体は、Aib8,Arg26,34-GLP-1(7-37)Lys、Aib8,22,Arg26,34-GLP-1(7-37)Lys、またはGly8,Arg26,34GLP-1-(7-37)Lysである。
【0055】
別の態様において、本発明は、式II(配列番号3)の化合物に関する:
【化17】

【0056】
式IIは、上記態様で記載される式Iと同じであり、ここでB−U部分は、B−U’と置き換わっている。その違いは、結合しているカルボキシ基が存在しないUに対して、U’におけるカルボキシ基の組込みだけである。
【0057】
式IIにおいて、Xaaの各々は、以下の意味を有し:
Xaa7は、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニンまたは4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa16は、ValまたはLeuであり;
Xaa18は、Ser, LysまたはArgであり;
Xaa19は、TyrまたはGlnであり;
Xaa20は、LeuまたはMetであり;
Xaa22は、Gly, GluまたはAibであり;
Xaa23は、Gln, Glu, LysまたはArgであり;
Xaa25は、AlaまたはValであり;
Xaa26は、Lys, GluまたはArgであり;
Xaa27は、GluまたはLeuであり;
Xaa30は、Ala, GluまたはArgであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、Lys, Glu, AsnまたはArgであり;
Xaa35は、GlyまたはAibであり;
Xaa36は、Arg, GlyまたはLys, または存在せず;
Xaa37は、Gly, Ala, Glu, Pro, Lys, または存在せず;
Zは、OHまたはNH2であり、
Uは
【化18】

【0058】
から選択されるスペーサーであり、
nは12, 13, 14, 15, 16, 17または18であり、
lは12, 13, 14, 15, 16, 17または18であり、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
pは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23であり、
Bは
【化19】

【0059】
から選択される酸性基である。
【0060】
本発明の別の態様において、Uは
【化20】

【0061】
であり、
lは14, 15または16であり、
nは15, 16, 17または18であり、
pは3, 7, 11または24である。
【0062】
以下の態様において、式IにおけるU’を参照する場合、式IIおよびUを参照するとも理解すべきであり、唯一の違いはカルボキシ基のみである。
【0063】
一つの態様は、上記態様に記載のGLP-1類似体であって、U’は
【化21】

【0064】
から選択され、
mは2, 3, 4または5であり、
nは1または2であり、
sは0, 1, または2であり、
tは0, 1, 2, または3であり、
pは1, 2, 3, 4, 7, 11または23である、GLP-1類似体を提供する。
【0065】
一つの態様は、上記態様に記載のGLP-1類似体であって、B−U’−は
【化22】

【0066】
であり、
lは14, 15, 16, 17, 18, 19または20であり;
pは1, 2, 3, 4, 7, 8, 9, 10, 11または12であり;
sは0, 1または2であり;
tは0または1である、GLP-1類似体を提供する。
【0067】
上記態様において、
lは14, 15, 16, 17または18であり;
pは1, 2, 3, 4または11であり;
sは0, 1または2であり;
tは0または1である。
【0068】
一つの態様は、上記態様に記載のGLP-1類似体であって、B−U’は
【化23】

【0069】
であり、
lは14, 15, 16, 17, 18, 19または20であり;
pは1, 2, 3, または4であり;
sは0, 1または2であり;
nは0, 1または2である、GLP-1類似体を提供する。
【0070】
上記態様の何れかに記載の態様において、Bは
【化24】

【0071】
であり、lは14, 16, 18または20である。
【0072】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、Bは
【化25】

【0073】
であり、lは14, 15, または16である、GLP-1類似体を提供する。
【0074】
一つの態様は、sが1である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0075】
一つの態様は、nが1である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0076】
一つの態様は、lが14, 15または16である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。態様において、lは17, 18, 19または20である。態様において、lは15, 16または17である。態様において、lは18, 19または20である。態様において、lは14である。態様において、lは16である。態様において、lは18である。態様において、lは20である。
【0077】
一つの態様は、pが1である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0078】
一つの態様は、pが2である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0079】
一つの態様は、pが3である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0080】
一つの態様は、pが4である、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0081】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、B−U’は
【化26】

【0082】
である、GLP-1類似体を提供する。
【0083】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、B−U’は
【化27】

【0084】
である、GLP-1類似体を提供する。
【0085】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、B−U’は
【化28】

【0086】
である、GLP-1類似体を提供する。
【0087】
本発明の別の態様において、式Iまたは式IIは、下記により規定される:
Xaa7は、Hisまたはデスアミノ-ヒスチジンであり;
Xaa8は、Ala, Gly, Val, Leu, Ile, LysまたはAibであり; Xaa16は、Valであり; Xaa18は、Serであり; Xaa19は、Tyrであり; Xaa20は、Leuであり; Xaa22は、Gly, GluまたはAibであり; Xaa23は、GlnまたはGluであり; Xaa25は、Alaであり; Xaa26は、LysまたはArgであり; Xaa27は、Gluであり; Xaa30は、AlaまたはGluであり; Xaa33は、Valであり; Xaa34は、LysまたはArgであり; Xaa35は、GlyまたはAibであり; Xaa36は、Arg, Lys, または存在せず; Xaa37は、Gly, Asnまたは存在せず; ZはOHまたはNH2である。
【0088】
本発明の別の態様において、式Iまたは式IIは、下記により規定される:
Xaa7は、Hisであり; Xaa8は、Aibであり; Xaa16は、Valであり; Xaa18は、Serであり; Xaa19は、Tyrであり; Xaa20は、Leuであり; Xaa22は、Glyであり; Xaa23は、Glnであり; Xaa25は、Alaであり; Xaa26は、Argであり; Xaa27は、Gluであり; Xaa30は、Alaであり; Xaa33は、Valであり; Xaa34は、Argであり; Xaa35は、Glyであり; Xaa36は、Argであり; Xaa37は、Glyであり; ZはOHまたはNH2である。
【0089】
本発明の一つの態様において、
Xaa7は、Hisであり; Xaa8は、Aibであり; Xaa16は、Valであり; Xaa18は、Serであり; Xaa19は、Tyrであり; Xaa20は、Leuであり; Xaa22は、Glyであり; Xaa23は、Glnであり; Xaa25は、Alaであり; Xaa26は、Argであり; Xaa27は、Gluであり; Xaa30は、Alaであり; Xaa33は、Valであり; Xaa34は、Argであり; Xaa35は、Glyであり; Xaa36は、Argであり; Xaa37は、Asnであり; ZはOHまたはNH2である。
【0090】
一つの態様は、GLP-1(7-37)配列の位置7にN-末端L-ヒスチジンの改変を含む、上記態様の何れか一に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0091】
一つの態様は、イミダゾプロピオニル7、α-ヒドロキシ-ヒスチジン7またはN-メチル-ヒスチジン7、D-ヒスチジン7、デスアミノ-ヒスチジン7、2-アミノ-ヒスチジン7、β-ヒドロキシ-ヒスチジン7、ホモヒスチジン7、Nα-アセチル-ヒスチジン7、α-フルオロメチル-ヒスチジン7、α-メチル-ヒスチジン7、3-ピリジルアラニン7、2-ピリジルアラニン7または4-ピリジルアラニン7を含む、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0092】
一つの態様は、GLP-1(7-37)配列の位置8におけるL-アラニンの、別のアミノ酸残基への置換を含む、上記態様の何れか一に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0093】
一つの態様は、Aib8、Gly8、Val8、Ile8、Leu8、Ser8、Thr8、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸を含む、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0094】
一つの態様は、Aib8を含む、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0095】
一つの態様は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した15以下のアミノ酸残基を含む、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0096】
一つの態様は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した10以下のアミノ酸残基を含む、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0097】
一つの態様は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した6以下のアミノ酸残基を含む、上記態様に記載のGLP-1類似体を提供する。
【0098】
一つの態様は、遺伝暗号によりコードされない3以下のアミノ酸残基を含む、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0099】
一つの態様は、リジン残基を1つだけ含む、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体を提供する。
【0100】
一つの態様は、上記態様の何れかに記載のGLP-1類似体であって、以下のGLP-1類似体を提供する:
【化29】

【0101】
Lysε38((4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)[Gly8;Arg26,34;Lys38]GLP-1-(7-37)ペプチド、
【化30】

【0102】
[Aib8,Arg26,34] GLP-1(7-37)Lys[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]-OH、
【化31】

【化32】

【0103】
本発明の別の態様において、前記二価酸はジカルボン酸である。
【0104】
本発明の別の態様において、アシル化基は、直鎖または分枝のアルカンα,ω−ジカルボン酸である。
【0105】
本発明の別の態様において、アシル化基は、構造HOOC-(CH2)nCO-(ここでnは12〜20である)を有する。
【0106】
本発明の別の態様において、アシル化基は、HOOC-(CH2)14CO-、HOOC-(CH2)15CO-、HOOC-(CH2)16CO-、HOOC-(CH2)17CO-、およびHOOC-(CH2)18CO-から選択される構造を有する。
【0107】
本発明の別の態様において、アシル化基は、構造HOOC-(CH2)16CO-を有する。
【0108】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、GLP-1(7-37)配列の位置7にN-末端L-ヒスチジンの改変を含む。この改変により、DPPIV酵素による分解に対して増大した安定性、たとえばDPPIV安定化が付与される。
【0109】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、イミダゾプロピオニル7、α-ヒドロキシ-ヒスチジン7またはN-メチル-ヒスチジン7を含む。
【0110】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、D-ヒスチジン7、デスアミノ-ヒスチジン7、2-アミノ-ヒスチジン7、β-ヒドロキシ-ヒスチジン7、ホモヒスチジン7、Nα-アセチル-ヒスチジン7、α-フルオロメチル-ヒスチジン7、α-メチル-ヒスチジン7、3-ピリジルアラニン7、2-ピリジルアラニン7または4-ピリジルアラニン7を含む。
【0111】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、GLP-1(7-37)配列の位置8におけるL-アラニンの、別のアミノ酸残基への置換を含む。
【0112】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、Aib8、Gly8、Val8、Ile8、Leu8、Ser8またはThr8を含む。
【0113】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、GLP-1(7-37)配列の位置8におけるL-アラニンの、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸への置換を含む。
【0114】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した15以下のアミノ酸残基、またはGLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した10以下のアミノ酸残基を含む。
【0115】
本発明の更に別の態様において、前記GLP-1類似体は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した6以下のアミノ酸残基を含む。
【0116】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、遺伝暗号によりコードされない3以下のアミノ酸残基を含む。
【0117】
本発明の別の態様において、前記GLP-1類似体は、リジン残基を1つだけ含む。
【0118】
別の側面において、本発明は、GLP-1類似体の患者における作用時間を増大させる方法であって、前記GLP-1類似体の位置37または38のリジン残基において、二価酸により前記GLP-1類似体をアシル化することを特徴とする方法に関する。
【0119】
別の側面において、本発明は、GLP-1類似体の患者における作用時間を約40時間を超えて増大させる方法であって、GLP-1(7-37)Lysペプチドまたはその類似体の位置7および8のアミノ酸残基の少なくとも一つを改変し、GLP-1類似体のC末端アミノ酸Lys38残基を、親水性スペーサーを介して二価酸によりアシル化することを特徴とする方法に関する。
【0120】
一つの態様は、上記態様の何れか一に記載の化合物および薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0121】
一つの態様は、非経口投与に適した、上記態様に記載の薬学的組成物を提供する。
【0122】
一つの態様は、医薬の調製のための、上記態様の何れか一に記載の化合物の使用を提供する。
【0123】
一つの態様は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、異脂肪血症(dyslipidemia)、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病および他の心臓血管疾患、発作、炎症性腸症候群、消化不良症および胃潰瘍の治療または予防のための医薬を調製するための、上記態様の何れか一に記載の化合物の使用を提供する。
【0124】
一つの態様は、2型糖尿病の疾患進行の遅延または予防のための医薬を調製するための、上記態様の何れか一に記載の化合物の使用を提供する。
【0125】
一つの態様は、食物摂取の減少、β−細胞のアポトーシスの減少、β−細胞の機能およびβ−細胞の総量の増大、および/またはβ−細胞に対するグルコース感受性の回復のための医薬を調製するための、上記態様の何れか一に記載の化合物の使用を提供する。
【0126】
本発明の別の目的は、0.1 mg/ml〜25 mg/mlの濃度で存在する本発明の化合物を含み、かつ3.0〜9.0のpHを有する薬学的調合物を提供することである。調合物は、緩衝系、保存剤、張度作用剤(tonicity agent)、キレート剤、安定剤および界面活性剤を更に含んでいてもよい。本発明の一つの態様において、薬学的調合物は、水性調合物、すなわち水を含む調合物である。かかる調合物は、典型的には液剤または懸濁剤である。本発明の更なる態様において、薬学的調合物は水性液剤である。「水性調合物」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む調合物と規定される。同様に、「水性液剤」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む液剤と規定され、「水性懸濁剤」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む懸濁剤と規定される。
【0127】
別の態様において、薬学的調合物は、使用前に医師または患者が溶媒および/または希釈液を添加する、フリーズドライされた調合物である。
【0128】
別の態様において、薬学的調合物は、事前に溶解しないで使用可能な状態にある、乾燥された調合物(たとえばフリーズドライまたはスプレードライされた調合物)である。
【0129】
更なる側面において、本発明は、本発明の化合物の水性液剤および緩衝剤を含む薬学的調合物であって、前記化合物が0.1 mg/ml以上の濃度で存在し、かつ約3.0〜約9.0のpHを有する薬学的調合物に関する。
【0130】
本発明の別の態様において、調合物のpHは約7.0〜約9.5である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約3.0〜約7.0である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約5.0〜約7.5である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約7.5〜約9.0である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約7.5〜約8.5である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約6.0〜約7.5である。本発明の別の態様において、調合物のpHは約6.0〜約7.0である。別の態様において、薬学的調合物は、8.0〜8.5である。
【0131】
本発明の更なる態様において、緩衝剤は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、バイシン(bicine)、トリシン(tricine)、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、またはこれらの混合物からなる群より選択される。これら具体的な緩衝剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。
【0132】
本発明の更なる態様において、調合物は、薬学的に許容可能な保存剤を更に含む。本発明の更なる態様において、保存剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール(bronopol)、安息香酸、イミドウレア(imidurea)、クロロヘキシジン(chlorohexidine)、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(chlorphenesine) (3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)、またはこれらの混合物からなる群より選択される。一つの態様において、保存剤は、フェノールまたはm-クレゾールである。本発明の更なる態様において、保存剤は、0.1 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、5 mg/ml〜10 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、10 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的な保存剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物における保存剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995が参照される。
【0133】
本発明の更なる態様において、調合物は、等張剤(isotonic agent)を更に含む。本発明の更なる態様において、等張剤は、塩(たとえば塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(たとえば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、アルジトール(たとえば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(たとえばPEG400)、またはこれらの混合物からなる群より選択される。一つの態様において、等張剤は、プロピレングリコールである。任意の糖、たとえばモノ、ジ、またはポリサッカリド、または水溶性グルカン、たとえばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロース−Naが使用され得る。一つの態様において、糖の添加剤は、スクロースである。糖アルコールは、少なくとも一つの−OH基を有するC4−C8炭化水素と規定され、たとえば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、およびアラビトールが含まれる。一つの態様において、糖アルコールの添加剤は、マンニトールである。上述の糖または糖アルコールは、単独で、または組合せて使用され得る。糖または糖アルコールは、液体製剤に可溶であり、本発明の方法を用いて達成される安定化効果に悪影響を及ぼさない限り、使用量に定められた制限はない。一つの態様において、糖または糖アルコールの濃度は、約1 mg/ml〜約150 mg/mlである。本発明の更なる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明の一つの態様において、等張剤は、5 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、8 mg/ml〜24 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、25 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的な等張剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物における等張剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995が参照される。
【0134】
本発明の更なる態様において、調合物は、キレート剤を更に含む。本発明の更なる態様において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、およびアスパラギン酸の塩、およびこれらの混合物から選択される。本発明の更なる態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜2 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、キレート剤は、2 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的なキレート剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995が参照される。
【0135】
本発明の更なる態様において、調合物は、安定剤を更に含む。薬学的組成物における安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995が参照される。
【0136】
より詳細には、本発明の組成物は、安定化された液体薬学的組成物であり、その治療的に活性な成分は、液体薬学的調合物中での保存の間に凝集体の形成を示す可能性があるポリペプチドを含む。「凝集体の形成」とは、オリゴマーの形成という結果につながる、ポリペプチド分子の間の物理的相互作用を意味し、ここでオリゴマーは、可溶性のまま残ってもよいし、あるいは溶液から沈殿する大きな可視的な凝集体であってもよい。「保存の間」とは、一旦調製された液体薬学的組成物または調合物が、被検体にすぐに投与されないことを意味する。むしろ、液体薬学的組成物または調合物は、液体形態、凍結状態、または液体形態もしくは被検体への投与に適した他の形態に後で再構成するための乾燥形態の何れかの形態で、保存のためにパッケージに入れられる。「乾燥形態」とは、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;たとえばWilliams and Polli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38: 48-59を参照)、スプレードライ(Masters (1991) in Spray-Drying Handbook (5th ed; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp. 491-676; Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18: 1169-1206; およびMumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11: 12-20を参照)、またはエアドライ(Carpenter and Crowe (1988) Cryobiology 25: 459-470; およびRoser (1991) Biopharm. 4: 47-53)の何れかにより、液体薬学的組成物または調合物を乾燥させることを意味する。液体薬学的組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成は、そのポリペプチドの生物学的活性に悪影響を及ぼし、その結果、薬学的組成物の治療効果を失わせることができる。更に、ポリペプチドを含有する薬学的組成物を輸液システムを用いて投与した場合、凝集体の形成は、チューブ、メンブレン、またはポンプの閉塞などの他の問題を引き起こし得る。
【0137】
本発明の薬学的組成物は、組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成を減少させるのに充分な量のアミノ酸ベースを更に含んでいてもよい。「アミノ酸ベース」とは、任意の所定のアミノ酸が、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで存在する、一つのアミノ酸またはアミノ酸の組合せを意味する。アミノ酸の組合せを使用する場合、アミノ酸のすべてが、遊離塩基の形態で存在してもよいし、すべてが塩の形態で存在してもよいし、あるいは幾つかは遊離塩基の形態で存在するがその他は塩の形態で存在してもよい。一つの態様において、本発明の組成物を調製する際に使用されるアミノ酸は、電荷を帯びた側鎖を有するもの、たとえば、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸である。特定のアミノ酸が、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで存在する限り、特定のアミノ酸(たとえば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン、およびこれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、L、D、またはその混合物)またはこれら立体異性体の組合せが、本発明の薬学的組成物中に存在してもよい。一つの態様において、L-立体異性体が使用される。また、本発明の組成物は、これらアミノ酸の類似体を用いて調合されてもよい。「アミノ酸の類似体」とは、本発明の液体薬学的組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成を減少させるという所望の効果をもたらす、天然に存在するアミノ酸の誘導体を意味する。適切なアルギニン類似体には、たとえば、アミノグアニジン、オルニチンおよびN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニン類似体には、エチオニンおよびブチオニンが含まれ、適切なシステイン類似体には、S-メチル-Lシステインが含まれる。アミノ酸の類似体は、他のアミノ酸と同様、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで組成物に組み込まれる。本発明の更なる態様において、アミノ酸またはアミノ酸の類似体は、タンパク質の凝集を防止または遅延するのに充分な濃度で使用される。
【0138】
本発明の更なる態様において、治療剤として作用するポリペプチドが、かかる酸化を受けやすい少なくとも一つのメチオニン残基を含むポリペプチドである場合、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために、メチオニン(または硫黄を含む他のアミノ酸またはアミノ酸の類似体)が添加されてもよい。「阻害する」とは、時間を経てメチオニンの酸化種が最小限に蓄積することを意味する。メチオニンの酸化を阻害することにより、ポリペプチドが適切な分子形態で多量に保持される結果につながる。メチオニンの任意の立体異性体(LまたはD)またはその組合せを使用することができる。添加される量は、メチオニン残基の酸化を阻害し、その結果、メチオニンスルホキシドの量を監督官庁に許容されるようにするのに充分な量とすべきである。典型的には、これは、組成物が約10%〜約30%以下のメチオニンスルホキシドを含有することを意味する。一般的には、これは、添加されるメチオニンとメチオニン残基との比が、約1:1〜約1000:1、たとえば10:1〜約100:1の範囲になるようにメチオニンを添加することにより達成することができる。
【0139】
本発明の更なる態様において、調合物は、高分子量ポリマーまたは低分子化合物の群から選択される安定剤(stabilizer)を更に含む。本発明の更なる態様において、安定剤は、ポリエチレングリコール (たとえばPEG 3350)、ポリビニルアルコール (PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースまたはその誘導体 (たとえばHPC、HPC-SL、HPC-LおよびHPMC)、シクロデキストリン、硫黄-含有物質、たとえばモノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノール、および種々の塩 (たとえば塩化ナトリウム) から選択される。これら具体的な安定剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。
【0140】
また、薬学的組成物は、治療的に活性なポリペプチドの安定性を更に高める追加の安定化剤(stabilizing agents)を含んでいてもよい。本発明に特に興味深い安定化剤には、メチオニンの酸化に対してポリペプチドを保護するメチオニンおよびEDTA、および凍結−融解または機械的剪断と関連した凝集に対してポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0141】
本発明の更なる態様において、調合物は、界面活性剤を更に含む。本発明の別の態様において、薬学的組成物は、二つの異なる界面活性剤を含む。本明細書で使用される「界面活性剤」の用語は、水溶性(親水性)部分のヘッド、および脂溶性(親油性)部分から構成される任意の分子またはイオンを指す。界面活性剤は、好ましくは界面に蓄積し、親水性部分は、水(親水性相)に向かって配置され、親油性部分は、油−または疎水性相(すなわちガラス、空気、油など)に向かって配置される。界面活性剤がミセルを形成し始める濃度は、臨界ミセル濃度またはCMCとして公知である。更に、界面活性剤は液体の表面張力を低下させる。また、界面活性剤は両親媒性化合物としても公知である。「洗剤」の用語は、一般的に界面活性剤に対して使用される同義語である。
【0142】
陰イオン界面活性剤は、以下の群から選択され得る:ケノデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸ナトリウム塩、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、デオキシコール酸メチルエステル、ジギトニン、ジギトキシゲニン、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ドキュセートナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸水和物、グリコデオキシコール酸一水和物、グリコデオキシコール酸ナトリウム塩、グリコデオキシコール酸ナトリウム塩、グリコリトコール酸3-硫酸二ナトリウム塩、グリコリトコール酸エチルエステル、N-ラウロイルサルコシンナトリウム塩、N-ラウロイルサルコシンナトリウム塩、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイルサルコシン、ドデシル硫酸リチウム、ルゴール、1-オクタンスルホン酸ナトリウム塩、1-オクタンスルホン酸ナトリウム塩、1-ブタンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1-ノナンスルホン酸ナトリウム、1-プロパンスルホン酸ナトリウム一水和物、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム水和物、ウシまたはヒツジの胆汁、コール酸ナトリウム水和物、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサンスルホン酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ペンタンスルホン酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム塩、タウロデオキシコール酸ナトリウム塩一水和物、タウロリトコール酸3-硫酸二ナトリウム塩、タウロウルソデオキシコール酸ナトリウム塩、Trizma(登録商標)ドデシル硫酸、DSS (ドキュセートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS (ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、ドデシルホスホコリン (FOS-コリン-12)、デシルホスホコリン (FOS-コリン-10)、ノニルホスホコリン (FOS-コリン-9)、ジパルミトイルホスファチジン酸、カプリル酸ナトリウム、および/またはウルソデオキシコール酸。
【0143】
陽イオン界面活性剤は、以下の群から選択され得る:アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンズアルコニウムクロライド、ベンズアルコニウムクロライド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨウ素酸塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ポリオキシエチレン(10)-N-タロー-1,3-ジアミノプロパン、トンゾニウムブロマイド、および/またはトリメチル(テトラデシル)アンモニウムブロマイド。
【0144】
非イオン性界面活性剤は、以下の群から選択され得る:BigCHAP、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾイルカルボニル])、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロック共重合体などのブロック共重合体、たとえば、ポロキサマー、ポロキサマー188およびポロキサマー407、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)92V、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)58P、Cremophor(登録商標)EL、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-デカノイル-N-メチルグルカミン、n-ドデカノイル-N-メチルグルカミン、アルキル-ポリグルコシド、エトキシ化ヒマシ油、ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、Igepal CA-630、Igepal CA-630、メチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-ベータ-D-グルコピラノシド、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、オクタエチレングリコールモノデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、オクチル-β-D-グルコピラノシド、ペンタエチレングリコールモノデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールエーテルW-1、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン100ステアレート、ポリオキシエチレン20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン8ステアレート、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、ポリオキシエチレン25プロピレングリコールステアレート、キラヤ皮(Quillaja bark)由来のサポニン、Span(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、Span(登録商標)85、Tergitol、タイプ15-S-12、Tergitol、タイプ15-S-30、Tergitol、タイプ15-S-5、Tergitol、タイプ15-S-7、Tergitol、タイプ15-S-9、Tergitol、タイプNP-10、Tergitol、タイプNP-4、Tergitol、タイプNP-40、Tergitol、タイプNP-7、Tergitol、タイプNP-9、テトラデシル-β-D-マルトシド、テトラエチレングリコールモノデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、Triton CF-21、Triton CF-32、Triton DF-12、Triton DF-16、Triton GR-5M、Triton QS-15、Triton QS-44、Triton X-100、Triton X-102、Triton X-15、Triton X-151、Triton X-200、Triton X-207、Triton(登録商標)X-100、Triton(登録商標)X-114、Triton(登録商標)X-165溶液、Triton(登録商標)X-305溶液、Triton(登録商標)X-405、Triton(登録商標)X-45、Triton(登録商標)X-705-70、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、TWEEN(登録商標)6、TWEEN(登録商標)65、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)81、TWEEN(登録商標)85、チロキサポール、スフィンゴリン脂質 (スフィンゴミエリン)、およびスフィンゴ糖脂質 (セラミド、ガングリオシド)、リン脂質、および/またはn-ウンデシルβ-D-グルコピラノシド。
【0145】
双性イオン界面活性剤は、以下の群から選択され得る:CHAPS、CHAPSO、3-(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩、3-(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩、3-(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(N,N-ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(N,N-ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩、3-(N,N-ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、ドデシルホスホコリン、ミリストイルリゾホスファチジルコリン、両性洗浄剤3-12 (N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート)、両性洗浄剤3-10 (3-(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート分子内塩)、両性洗浄剤3-08 (3-(オクチルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート)、グリセロリン脂質 (レシチン、ケファリン、ホスファチジルセリン)、グリセロ糖脂質 (ガラクトピラノシド)、リゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、たとえば、リゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、および極性ヘッド基の改変、すなわちコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、トレオニン、グリセロール、イノシトール、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルトレオニンの改変、アシルカルニチンおよび誘導体、リジン、アルギニンまたはヒスチジンのNbeta-アシル化誘導体、またはリジンまたはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニンまたはヒスチジンと中性または酸性アミノ酸との任意の組合せを含むジペプチドのNbeta-アシル化誘導体、中性アミノ酸と二つの荷電アミノ酸との任意の組合せを含むトリペプチドのNbeta-アシル化誘導体、あるいは界面活性剤は、イミダゾリン誘導体、長鎖脂肪酸およびその塩C6-C12 (たとえばオレイン酸およびカプリル酸)、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン、リゾリン脂質 (たとえばエタノールアミン、コリン、セリンまたはトレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、またはこれらの混合物の群から選択されてもよい。
【0146】
本明細書で使用される「アルキル-ポリグルコシド」の用語は、一または複数のグルコシド部分、たとえばマルトシドまたはサッカリドなどにより置換された、直鎖または分枝のC5-20-アルキル、-アルケニルまたは-アルキニル鎖に関する。これらアルキル-ポリグルコシドの態様には、C6-18-アルキル-ポリグルコシドが含まれる。これらアルキル-ポリグルコシドの具体的な態様には、偶数の炭素鎖、たとえばC6、C8、C10、C12、C14、C16、C18およびC20アルキル鎖が含まれる。グルコシド部分の具体的な態様には、ピラノシド、グルコピラノシド、マルトシド、マルトトリオシドおよびスクロースが含まれる。本発明の態様において、6個未満のグルコシド部分がアルキル基に結合する。本発明の態様において、5個未満のグルコシド部分がアルキル基に結合する。本発明の態様において、4個未満のグルコシド部分がアルキル基に結合する。本発明の態様において、3個未満のグルコシド部分がアルキル基に結合する。本発明の態様において、2個未満のグルコシド部分がアルキル基に結合する。アルキル-ポリグルコシドの具体的な態様は、アルキルグルコシドであり、たとえば、n-デシルβ-D-グルコピラノシド、デシルβ-D-マルトピラノシド、ドデシルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、テトラデシルβ-D-グルコピラノシド、デシルβ-D-マルトシド、ヘキサデシルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトトリオシド、ドデシルβ-D-マルトトリオシド、テトラデシルβ-D-マルトトリオシド、ヘキサデシルβ-D-マルトトリオシド、n-ドデシル-スクロース、n-デシル-スクロース、スクロースモノカプレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノミリステート、およびスクロースモノパルミテートである。
【0147】
薬学的組成物における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995が参照される。
【0148】
本発明の更なる態様において、調合物は、プロテアーゼ阻害剤、たとえばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびベンズアミジンHClを更に含むが、他の商業的に入手可能なプロテアーゼ阻害剤を使用してもよい。プロテアーゼ阻害剤の使用は、プロテアーゼの酵素原を含む薬学的組成物において、自触反応を阻害する目的で特に有効である。
【0149】
本発明のペプチド薬学的調合物に他の成分が存在してもよいと考えられる。かかる追加の成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、増量剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性賦形剤、タンパク質 (たとえば、ヒト血清アルブミン、ゼラチまたはタンパク質) および双性イオン (たとえば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンなどのアミノ酸) が含まれ得る。かかる追加の成分は、当然、本発明の薬学的調合物の全体的な安定性に悪影響を及ぼしてはならない。
【0150】
本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、幾つかの部位、たとえば局所的部位、たとえば皮膚および粘膜部位、吸収をバイパスする部位、たとえば動脈、静脈、心臓における投与、および吸収を伴う部位、たとえば皮膚、皮下、筋または腹部における投与で、かかる治療を必要とする患者に投与され得る。
【0151】
本発明の薬学的組成物は、幾つかの投与ルート、たとえば舌、舌下、頬、口内、経口、胃腸内、鼻、肺、たとえば細気管支および肺胞またはその組合せ、表皮、皮膚、経皮、膣、直腸、眼、たとえば結膜、尿管(uretal)、および腸管外を通じて、かかる治療を必要とする患者に投与され得る。
【0152】
本発明の組成物は、幾つかの投薬形態、たとえば液剤、懸濁剤、エマルジョン、ミクロエマルジョン、マルチプルエマルジョン、発泡剤、膏薬、パスタ剤、硬膏剤、軟膏剤、錠剤、コーティング錠剤、リンス剤、カプセル剤、たとえば硬質ゼラチンカプセル剤および軟質ゼラチンカプセル剤、坐剤、直腸カプセル剤、点滴剤、ゲル、スプレー、粉剤、エアロゾル剤、吸入剤、点眼剤、眼軟膏剤、眼リンス剤、膣ペッサリー、膣リング、膣軟膏剤、注射液、in situ変換液、たとえばin situゲル化、in situセッティング、in situ沈殿、in situ結晶化、輸液、および移植片で投与され得る。
【0153】
本発明の組成物は、本発明の化合物の安定性を更に高めるため、生物学的利用能を増大させるため、溶解度を増大させるため、副作用を減少させるため、当業者に周知の時間療法を達成するため、患者のコンプライアンスを増大させるため、あるいはこれらの任意の組合せの目的のために、たとえば共有結合的、疎水的および静電的相互作用を介して、ドラッグキャリア、ドラッグデリバリーシステムおよび高度ドラッグデリバリーシステムに、更に複合化していてもよいし結合していてもよい。キャリア、ドラッグデリバリーシステムおよび高度ドラッグデリバリーシステムの例には、ポリマー、たとえばセルロースおよび誘導体、ポリサッカリド、たとえばデキストランおよび誘導体、デンプンおよび誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレートおよびメタクリレートポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸およびこれらのブロック共重合体、ポリエチレングリコール、キャリアタンパク質、たとえばアルブミン、ゲル、たとえば熱ゲル化システム、たとえば当業者に周知のブロック共重合体システム、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、液晶およびその分散物、脂質−水システムにおける相挙動の分野の当業者に周知のL2相およびその分散物、重合体ミセル、マルチプルエマルジョン、自己乳化、自己ミクロ乳化、シクロデキストリンおよびその誘導体、およびデンドリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0154】
本発明の組成物は、たとえば計量式吸入器、ドライパウダー吸入器および噴霧器(すべてのデバイスが当業者に周知である)を用いて本発明の化合物を肺投与するための固体、半固体、粉末および溶液の調合物において有効である。
【0155】
本発明の組成物は、制御型、持続型、延長型、遅延型、および低速型放出ドラッグデリバリーシステムの調合物においてとりわけ有効である。より具体的には、組成物は、当業者に周知の腸管外の制御型放出システムおよび持続型放出システム(いずれのシステムも何倍もの投与回数の減少につながる)の調合物において有効であるが、これらに限定されない。更に好ましくは、皮下投与される制御型放出システムおよび持続型放出システムである。本発明の範囲を限定するものではないが、有効な制御型放出システムと組成物の例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、重合体ミセル、ミクロスフェア、ナノ粒子である。本発明の組成物に有効な制御型放出システムをつくる方法には、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈、乳化、分散、高圧ホモジナイゼーション、カプセル化、スプレードライ、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフェアをつくるための溶媒蒸発、押出、および超臨界流体プロセスが含まれるが、これらに限定されない。Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) およびDrug and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) が一般的に参照される。
【0156】
腸管外投与は、シリンジ、必要に応じてペン型シリンジを用いて、皮下、筋内、腹腔内または静脈内注射により行うことができる。あるいは、腸管外投与は、輸液ポンプを用いて行うことができる。更なるオプションとして、組成物は、鼻または肺の液体または粉末スプレーの形態で本発明の化合物を投与するための液剤または懸濁剤または粉剤であり得る。更なるオプションとして、本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、たとえば針フリー注射またはパッチ、必要に応じてイオン電気導入パッチ、または粘膜経由投与、たとえば頬投与による経皮投与に適合させることもできる。
【0157】
本発明の化合物は、肺のドラッグデリバリーに適した任意の公知のタイプのデバイスを用いて、液剤、懸濁剤またはドライパウダーとして、賦形剤中で、肺ルートを介して投与することができる。これらの例には、3つの一般的タイプの肺ドラッグデリバリーのためのエアロゾル発生器が含まれるが、これらに限定されず、ジェットまたは超音波噴霧器、計量式吸入器、またはドライパウダー吸入器が含まれ得る (Cf. Yu J, Chien YW. Pulmonary drug delivery: Physiologic and mechanistic aspects. Crit Rev Ther Drug Carr Sys 14(4) (1997) 395-453)。
【0158】
粒子の空気力学的径(da)は、標準化検査法に基いて、単位密度(1 g/cm3)のレファレンス標準球状粒子の幾何学的等価径として規定される。球状粒子に関して、最も単純なケースでは、daは、以下に記載されるとおり、密度比の平方根の関数としてのレファレンス直径(d)に関係している。この関係の改変は、非球状粒子に関して起こる (cf. Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。「MMAD」および「MMEAD」の用語は、当該技術分野で充分に説明され、公知である (cf. Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R and represents a measure of the median value of an aerodynamic particle size distribution. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。空気力学的質量中央径(MMAD)および空気力学的質量中央有効径(MMEAD)は、交換可能に使用され、統計的パラメータであり、実際の形状、サイズ、または密度に関係なく、肺での沈着能に関して、エアロゾル粒子のサイズを経験的に記載する (cf. Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。MMADは、空気中での粒子の慣性運動を測定する装置、インパクターを用いて行われた測定から通常計算される。
【0159】
更なる態様において、調合物は、任意の公知のエアロゾル化技術、たとえば噴霧化によりエアロゾル化して、10μm未満、より好ましくは1〜5μm、最も好ましくは1〜3μmのMMADのエアロゾル粒子を得ることができる。好ましい粒子サイズは、タンパク質が最適に吸収される深肺へドラッグをデリバリーするのに最も効果的なサイズに基く (cf. Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer A, Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。
【0160】
本発明の化合物を含む肺調合物の深肺への沈着は、たとえば遅い吸入フロー(たとえば30 L/分)、呼吸停止および作動のタイミングなど(これらに限定されない)の吸入技術の改変を用いることにより更に最適化してもよい。
【0161】
「安定化調合物」の用語は、物理的安定性の増大した、化学的安定性の増大した、または物理的および化学的安定性の増大した調合物を指す。
【0162】
本明細書で使用されるタンパク質調合物の「物理的安定性」の用語は、熱−機械的ストレスおよび/または疎水性表面および界面などの不安定な界面および表面との相互作用にタンパク質を晒した結果、生物学的に不活性および/または不溶性のタンパク質凝集物を形成するタンパク質の傾向を指す。水性タンパク質調合物の物理的安定性は、適切な容器(たとえばカートリッジまたはバイアル)中に充填した調合物を、様々な温度で種々の期間、機械的/物理的ストレス(たとえば撹拌)に晒した後、視覚的検査および/または濁度測定を行うことにより評価する。調合物の視覚的検査は、ダークな背景にシャープな焦点の光で行われる。調合物の濁度は、たとえば0〜3のスケールで濁度をランキングする視覚的スコアにより特徴づけられる(濁りのない調合物は視覚的スコア0に相当し、日中の光で目に見える濁りを示す調合物は視覚的スコア3に相当する)。調合物は、日中の光で目に見える濁りを示すとき、タンパク質凝集に関して物理的に不安定であると分類される。あるいは、調合物の濁度は、当業者に周知の単純な濁度測定により評価することができる。水性タンパク質調合物の物理的安定性は、タンパク質のコンフォメーション状態の分光分析薬剤またはプローブを用いることにより評価することもできる。プローブは、好ましくは、タンパク質の非天然の配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光分析プローブの一例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイドフィブリルの検出に広く使用される蛍光色素である。チオフラビンTは、フィブリルの存在下において、おそらく他のタンパク質立体配置の存在下においても、フィブリルタンパク質形態に結合すると、約450 nmに新たな励起極大を生じ、約482 nmにおける放射が増大する。未結合のチオフラビンTは、当該波長において実質的に蛍光を発しない。
【0163】
天然の状態から非天然の状態までタンパク質の構造変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。たとえば、「疎水性パッチ」プローブは、露出されたタンパク質疎水性パッチに優先的に結合する。疎水性パッチは、天然の状態でタンパク質の三次元構造内に一般に埋め込まれているが、タンパク質がアンフォールディングまたは変性を開始すると露出するようになる。これら小分子分光分析プローブの例は、芳香族疎水性色素、たとえばアントラセン、アクリジン、フェナントロリンなどである。他の分光分析プローブは、金属−アミノ酸複合体、たとえば疎水性アミノ酸、たとえばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびバリンなどのコバルト金属複合体である。
【0164】
本明細書で使用されるタンパク質調合物の「化学的安定性」の用語は、天然のタンパク質構造と比較して、潜在的な生物学的能力の低下および/または潜在的な免疫原性特性の増大した化学的分解産物の形成に至る、タンパク質構造の化学的共有結合の変化を指す。種々の化学的分解産物が、天然のタンパク質のタイプおよび性質、並びにタンパク質が晒されている環境に依存して形成され得る。化学的分解を排除することは、おそらく完全に避けることはできず、当業者に周知のとおり、タンパク質の保存および使用の間に化学的分解産物の量の増大がしばしば観察される。多くのタンパク質は、脱アミドを受けやすく、そのプロセスにおいて、グルタミニルまたはアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解され、遊離のカルボン酸を形成する。他の分解経路は、高分子量の変換産物の形成を伴い、ここでは二以上のタンパク質分子が、アミノ基転移および/またはジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合し、共有結合したダイマー、オリゴマーおよびポリマー分解産物の形成に至る(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(たとえばメチオニン残基の)酸化は、化学的分解の別の変形として挙げることができる。タンパク質調合物の化学的安定性は、様々な環境条件に晒した後、種々の時点で、化学的分解産物の量を測定することにより評価することができる(分解産物の形成は、たとえば温度を上げることによりしばしば促進することができる)。個々の分解産物の量は、種々のクロマトグラフィー技術(たとえばSEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を用いて、分子サイズおよび/または電荷に依存して分解産物を分離することにより多くの場合決定される。
【0165】
したがって、上述のとおり、「安定化調合物」は、物理的安定性の増大した、化学的安定性の増大した、または物理的および化学的安定性の増大した調合物を指す。一般に、調合物は、有効期限に達するまで、(推奨される使用および保存条件に従って)使用および保存される間、安定でなければならない。
【0166】
本発明の一つの態様において、本発明の化合物を含む薬学的調合物は、6週間以上の使用の間、および3年以上の保存の間、安定である。
【0167】
本発明の別の態様において、本発明の化合物を含む薬学的調合物は、4週間以上の使用の間、および3年以上の保存の間、安定である。
【0168】
本発明の更なる態様において、本発明の化合物を含む薬学的調合物は、4週間以上の使用の間、および2年以上の保存の間、安定である。
【0169】
本発明の更なる態様において、本発明の化合物を含む薬学的調合物は、2週間以上の使用の間、および2年以上の保存の間、安定である。
【0170】
別の側面において、本発明は、医薬の調製のための本発明の化合物の使用に関する。
【0171】
一つの態様において、本発明の化合物は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、異脂肪血症(dyslipidemia)、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、発作、冠状動脈性心臓病および他の心臓血管疾患、炎症性腸症候群、消化不良症および胃潰瘍の治療または予防のための医薬を調製するために使用される。
【0172】
別の態様において、本発明の化合物は、2型糖尿病の疾患進行の遅延または予防のための医薬を調製するために使用される。
【0173】
別の態様において、本発明の化合物は、食物摂取の減少、β−細胞のアポトーシスの減少、β−細胞の機能およびβ−細胞の総量の増大、および/またはβ−細胞に対するグルコース感受性の回復のための医薬を調製するために使用される。
【0174】
本発明の化合物による治療は、第二またはそれ以上の薬理学的に活性な物質と併用してもよく、たとえば、抗糖尿病薬、抗肥満薬、食欲調節薬、抗高血圧薬、糖尿病に由来するか、もしくは糖尿病と関連する合併症の治療および/または予防のための薬、および肥満に由来するか、もしくは肥満と関連する合併症および障害の治療および/または予防のための薬から選択される薬理学的に活性な物質と併用してもよい。これら薬理学的に活性な物質の例は以下のとおりである:インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤、糖新生および/または糖原分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取込みモジュレーター、脂質代謝を改変する化合物、たとえば抗高脂質血症薬、たとえばHMG CoA阻害剤(スタチン)、胃抑制ポリペプチド(GIP類似体)、食物摂取を低減する化合物、RXRアゴニストおよびβ−細胞のATP−依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤;コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、デキストロサイロキシン、ナテグリニド(neteglinide)、レパグリニド;β−ブロッカー、たとえばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤、たとえばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リジノプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、キナプリルおよびラミプリル(ramipril)、カルシウムチャンネルブロッカー、たとえばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミル、およびα-ブロッカー、たとえばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシンおよびテラゾシン;CART(コカインアンフェタミン調節転写産物)アゴニスト、NPY(ニューロペプチドY)アンタゴニスト、PYYアゴニスト、PYY2アゴニスト、PYY4アゴニスト、混合PPY2/PPY4アゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト凝集ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再摂取阻害剤、セロトニンおよびノルアドレナリン再摂取阻害剤、混合セロトニンおよびノルアドレナリン作用性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、UCP 2または3(アンカップリングタンパク質2または3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(doprexin))、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、RXR(レチノイドXレセプター)モジュレーター、TRβアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト、胃抑制ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニスト(GIP類似体)、ガストリンおよびガストリン類似体。
【0175】
本発明の化合物による治療は、外科手術と併用されてもよく、グルコースレベルおよび/または脂質ホメオスタシスに影響を及ぼす外科手術、たとえば胃バンディングまたは胃バイパスと併用されてもよい。
【0176】
本発明の化合物と、一または複数の上記化合物と、必要に応じて更に一または複数の薬理学的に活性な物質との任意の適切な併用が、本発明の範囲内であると考えられることを理解すべきである。
【0177】
本発明は、以下の実施例により更に説明されるが、これは、保護の範囲を限定するものと解釈してはならない。前述の記載および以下の実施例で開示される特徴は、個別に、そして任意の組合せで、本発明を多様な形態で理解するための材料であり得る。
【実施例】
【0178】
使用された略語:
r.t 室温
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
H2O 水
CH3CN アセトニトリル
DMF NN ジメチルホルムアミド
HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3 テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロホスフェート
Fmoc 9 H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
Boc tert ブチルオキシカルボニル
OtBu tert ブチルエステル
tBu tert ブチル
Trt トリフェニルメチル
Pmc 2,2,5,7,8-ペンタメチル-クロマン-6-スルホニル
Dde 1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル
ivDde 1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-3-メチルブチル
Mtt 4-メチルトリチル
Mmt 4-メトキシトリチル
DCM ジクロロメタン
TIS トリイソプロピルシラン
TFA トリフルオロ酢酸
Et2O ジエチルエーテル
NMP 1-メチル-ピロリジン-2-オン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロホスフェート
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIC ジイソピロピルカルボジイミド。
【0179】
A:樹脂結合ペプチドの合成
保護されたぺプチジル樹脂を、Fmocストラテジーに従って、Applied Biosystems 433ペプチド合成機で、0.25 mmolまたは1.0 mmolスケールにおいて、NMP (N-メチルピロリドン)中のHBTU (2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)またはHATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)介在カップリングを採用する製造メーカー提供FastMoc UVプロトコールを用いて、Fmoc保護基の脱保護のUVモニタリングをして、合成した。GLP-1ペプチドアミドの合成のために使用した出発樹脂は、Rink-Amide樹脂であり、Wangまたはクロロトリチル樹脂の何れかを、カルボキシC-末端を有するGLP-1ペプチドのために使用した。使用された保護されたアミノ酸誘導体は、Fmoc-Aib-OH (Fmoc-アミノイソ酪酸) などの非天然アミノ酸を除いて、ABI433A合成機に適した予め重量測定されたカートリッジ内に提供される (たとえばAnaspecまたはNovabiochemから提供される) 標準的なFmoc-アミノ酸であった。N末端アミノ酸は、アルファーアミノ基においてBoc保護された (たとえば、N-末端にHisを有するペプチドのためにBoc-His(Boc)OHを使用した)。位置37または38におけるリジンのイプシロンアミノ基は、アルブミン結合部分およびスペーサーの付着ルートに依存して、Mtt、Mmt、Dde、ivDde、またはBocの何れかで保護された。ペプチドの合成は、幾つかのケースでは、酸性条件下で切断可能な基(たとえば2-Fmoc-オキシ-4-メトキシベンジルまたは2,4,6-トリメトキシベンジルであるがこれらに限定されない)によりジペプチドのアミド結合上で保護されたジペプチドを使用して改良されてもよい。セリンまたはトレオニンがペプチドに存在する場合、シュードプロリンジペプチドの使用が採用されてもよい (たとえば、Novobiochem 2002/2003もしくは新しいバージョンのカタログ、またはW.R. Sampson (1999), J. Pep. Sci. 5, 403が参照される
)。
【0180】
ivDdeまたはDde-保護の除去の手順
樹脂 (0.25 mmol) を、手動の振盪機/濾過装置に置き、N-メチルピロリドン中の2%ヒドラジンで処理して (20 ml, 2x12分)、DdeまたはivDde基を除去し、N-メチルピロリドン (4x20 ml) で洗浄した。
【0181】
MttまたはMmt-保護の除去の手順
樹脂 (0.25 mmol) を、手動の振盪機/濾過装置に置き、DCM中の2% TFAおよび2-3% TISで処理して (20 ml、5-10分、6-12回繰り返す)、MttまたはMmt基を除去し、DCM (2x20 ml)、DCM中の10% MeOHおよび5% DIPEA (2x20ml)、およびN-メチルピロリドン (4x20 ml) で洗浄した。
【0182】
リジン残基への側鎖の付着の手順
アルブミン結合残基 (式IのB-U-側鎖) は、標準的なアシル化試薬(たとえばDIC、HOBt/DIC、HOAt/DIC、またはHBTUでありこれらに限定されない)を用いて、樹脂結合ペプチドに対するアシル化または未保護のペプチドに対する溶液中でのアシル化の何れかにより、GLP-1ペプチドに付着させることができる。
【0183】
樹脂結合ペプチドへの付着:
ルートI
活性化された (活性エステルまたは対称無水物) アルブミン結合残基 (式IのB-U-側鎖)、たとえばオクタデカン二酸モノ-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル)エステル (Ebashi et al. EP511600, 樹脂結合ペプチドに対して4モル当量) を、NMP (25 mL) 中に溶解し、樹脂に添加し、室温で一晩振盪させた。反応混合液を濾過し、樹脂をNMP、ジクロロメタン、2-プロパノール、メタノールおよびジエチルエーテルで十分に洗浄した。
【0184】
ルートII
アルブミン結合残基 (式IのB-U-側鎖) を、N-メチルピロリドン/メチレンクロライド (1:1, 10 ml) 中に溶解した。活性化試薬、たとえばヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBt) (樹脂に対して4モル当量) およびジイソプロピルカルボジイミド (樹脂に対して4モル当量) を添加し、溶液を15分間撹拌した。溶液を樹脂に添加し、ジイソプロピルエチルアミン (樹脂に対して4モル当量) を添加した。樹脂を室温で2〜24時間振盪させた。樹脂をN-メチルピロリドン (2x20 ml)、N-メチルピロリドン/メチレンクロライド (1:1) (2x20ml) およびメチレンクロライド (2x20 ml) で洗浄した。
【0185】
ルートIII
活性化された (活性エステルまたは対称無水物) アルブミン結合残基 (式IのB-U-側鎖)、たとえばオクタデカン二酸モノ-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル)エステル (Ebashi et al. EP511600, GLP-1ペプチドに対して1-1.5モル当量) を、アセトニトリル (1 ml) またはTHF (1 ml) 中に溶解し、10モル当量のDIPEAとともに、ペプチドの水溶液 (10-20ml) に添加した。アルブミン結合残基、たとえばtert.-ブチル上の保護基の場合、反応混合液を凍結乾燥させO/N、単離されたクルードなペプチドを、トリフルオロ酢酸、水およびトリイソプロピルシラン (90:5:5) の混合液中に溶解し、30分間静置し、真空中で蒸発させ、プレパレイティブHPLCを行った。
【0186】
Fmoc-保護の除去の手順
樹脂 (0.25 mmol) を、手動の振盪装置のフィルターフラスコに置き、N-メチルピロリドン/メチレンクロライド (1:1) (2x20 ml)で処理し、N-メチルピロリドン (1x20 ml)、N-メチルピロリドン中の20%ピペリジンの溶液 (3x20 ml, それぞれ10分) で処理した。樹脂をN-メチルピロリドン (2x20 ml)、N-メチルピロリドン/メチレンクロライド (1:1) (2x20ml) およびメチレンクロライド (2x20 ml) で洗浄した。
【0187】
樹脂からペプチドを切断するための手順
トリフルオロ酢酸、水およびトリイソプロピルシラン (95:2.5:2.5〜92:4:4) の混合液を用いて室温で180分間撹拌することにより、ペプチドを樹脂から切断した。切断混合液を濾過し、濾液を窒素流により油状物に濃縮した。クルードなペプチドを、この油状物から45 mlジエチルエーテルを用いて沈殿させ、45 mlジエチルエーテルで1〜3回洗浄した。
【0188】
精製
クルードなペプチドを、セミセパレイティブHPLCにより、5μまたは7μ C-18シリカを充填した20 mm x 250 mmカラムで精製した。ペプチドに応じて、一または二の精製システムを使用した。
【0189】
TFA: クルードなペプチドを、乾燥させた後、5 ml 50%酢酸H2Oに溶解し、H2Oで20 mlに希釈し、カラムに注入し、その後、0.1% TFA中40−60 % CH3CNの勾配を用いて、40℃において50分にわたり10 ml/分で溶出した。ペプチドを含有するフラクションを回収した。溶出液を水で希釈した後、精製されたペプチドを凍結乾燥させた。
【0190】
硫酸アンモニウム: カラムを、0.05M (NH4)2SO4中40% CH3CNで平衡化し、これを、濃H2SO4でpH 2.5に調整した。クルードなペプチドを、乾燥させた後、5 ml 50%酢酸H2Oに溶解し、H2Oで20 mlに希釈し、カラムに注入し、その後、0.05M (NH4)2SO4中40%−60% CH3CN, pH 2.5の勾配を用いて、40℃において50分にわたり10 ml/分で溶出した。ペプチドを含有するフラクションを回収し、3倍体積(3 volume)のH2Oで希釈し、0.1% TFAで平衡化されているSep-Pak(登録商標) C18カートリッジ (Waters part. #:51910) を通過させた。その後、0.1% TFAを含有する70% CH3CNで溶出し、溶出液を水で希釈した後、精製されたペプチドを凍結乾燥により単離した。
【0191】
得られた最終生成物は、分析RP-HPLC (保持時間) およびLCMSにより特徴付けを行った。
【0192】
RP-HPLC分析は、214 nmにおけるUV検出およびVydac 218TP54 4.6mm x 250mm 5μ C-18シリカカラム (The Separations Group, Hesperia, USA) を用いて行い、カラムは、42℃において1 ml/分で溶出した。二つの異なる溶出条件を使用した:
A1: 濃H2SO4でpH 2.5に調整された0.1M (NH4)2SO4からなる緩衝液によるカラムの平衡化、および同緩衝液中0%−60% CH3CNの勾配による50分にわたる溶出。
【0193】
B1: 0.1% TFA/H2Oによるカラムの平衡化、および0% CH3CN/0.1% TFA/H2O−60% CH3CN/0.1% TFA/H2Oの勾配による50分にわたる溶出。
【0194】
あるいは、RP-HPLC分析は、214 nmにおけるUV検出、およびSymmetry300, 3.6mm x 150mm, 3.5μ C-18シリカカラム (Waters) を用いて行い、カラムは、42℃において1 ml/分で溶出した。
【0195】
B4: 0.05% TFA/H2Oによるカラムの平衡化、および5% CH3CN/0.05% TFA/H2O−95% CH3CN/0.05% TFA/H2Oの勾配による15分にわたる溶出。
【0196】
以下の器具類を使用した:
LCMSは、Sciex API 100シングル四重極質量分析計、Perkin Elmerシリーズ200クオードポンプ、Perkin Elmerシリーズ200オートサンプラー、Applied Biosystems 785A UV検出器、Sedex 75 蒸発光散乱検出器からなるセットアップで行った。
【0197】
装置の制御およびデータの取得は、Windows(登録商標) 2000コンピュータで動作するSciexサンプルコントロールソフトウェアにより行った。
【0198】
HPLCポンプは、
A: 水中の0.05% トリフルオロ酢酸
B: アセトニトリル中の0.05% トリフルオロ酢酸
を含有する二つの溶離液リザーバに連結される。
【0199】
分析は、適切な体積のサンプル (好ましくは20μl) をカラムに注入し、これをアセトニトリルの勾配で溶出することにより室温で行う。
【0200】
使用されたHPLC条件、検出器のセッティング、および質量分析計のセッティングを、以下の表に示す。
【0201】
カラム : Waters Xterra MS C-18 X 3 mm id 5μm
勾配 : 7.5分にわたって、1.5 ml/分で、5%−90 % アセトニトリル直線的
検出 : 210 nm (DADからアナログ出力)
ELS (ELSからアナログ出力)、40℃
MSイオン化モードAPI-ES。
【0202】
あるいは、LCMSは、HPケムステーションソフトウェアにより制御される、Hewlett Packardシリーズ1100 G1312Aビンポンプ、Hewlett Packardシリーズ1100カラムコンパートメント、Hewlett Packardシリーズ1100 G1315A DAD ダイオードアレイ検出器、Hewlett Packardシリーズ1100 MSD、およびSedere 75蒸発光散乱検出器からなるセットアップで行った。HPLCポンプは、
A: 水中の10mM NH4OH
B: 90% アセトニトリル中の10mM NH4OH
を含有する二つの溶離液リザーバに連結される。
【0203】
分析は、適切な体積のサンプル (好ましくは20μl) をカラムに注入し、これをAおよびBの勾配で溶出することにより23℃で行った。
【0204】
使用されたHPLC条件、検出器のセッティング、および質量分析計のセッティングを、以下の表に示す。
【0205】
カラム : Waters Xterra MS C-18 X 3 mm id 5μm
勾配 : 6.5分にわたって、1.5 ml/分で、5%−100 % アセトニトリル直線的
検出 : 210 nm (DADからアナログ出力)
ELS (ELSからアナログ出力)
MSイオン化モードAPI-ES。スキャン100-1000 amu step 0.1 amu。
【0206】
ヒトGLP-1レセプターを発現する原形質膜に結合する放射リガンド
結合アッセイは、ヒトGLP-1レセプターを含有する精製された原形質膜を用いて行った。レセプターを含有する原形質膜は、安定に発現するBHK tk-ts 13細胞から精製した。膜は、アッセイ緩衝液 (50 mM HEPES、5 mM EGTA、5 mM MgCl2、0.005% Tween 20、pH=7.4) で、0.2 mg/ml タンパク質の最終濃度に希釈し、0.3 % PEIでプレコーティングされた96ウェルマイクロタイタープレートに分配した。膜は、0.05 nM [125I]GLP-1、増大する濃度の非標識リガンド、および異なるHSA濃度 (0.005%、0.05%、および2%) の存在下において、30℃で2 hrインキュベートした。インキュベーション後、未結合のリガンドは、真空マニホルドを通した濾過により、結合リガンドから分離し、次いで、氷冷アッセイ緩衝液で2 X 100μlの洗浄を行った。フィルターはRTで一晩乾燥させ、パンチで打ち抜いて、γ-カウンターで定量した。
【0207】
例1
【化33】

【0208】
Lysε38((4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)[Gly8;Arg26,34;Lys38]GLP-1-(7-37)ペプチド
[Gly8;Arg26,34;Lys38]GLP-1-(7-37)ペプチドを、標準的なFmoc-固相ペプチド合成により調製し、プレパレイティブHPLCにより精製した。4-{[N-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)-N-(15-tertブトキシカルボニルペンタデカノイル)アミノ]メチル}安息香酸 (36 mg) をTHF (1.0 ml) 中に溶解し、DIPEA (7μl) およびTSTU (17 mg) を添加した。混合液を、室温で1時間撹拌した後、THF (1 ml) で希釈した。得られた懸濁液のうち200μlを、[Gly8;Arg26,34;Lys38]GLP-1-(7-37)ペプチド (15 mg) およびDIPEA (15μl) の水溶液 (1.0 ml) に添加した。0.5時間後、追加のアシル化剤 (50μlの上記溶液) を添加した。1.5時間後、混合液を減圧下で濃縮し、95% TFAで15分間処理することにより、tert-ブチルエステルを加溶媒分解した。最終生成物を、プレパレイティブHPLCにより精製した。1.3 mgの標題化合物を得た。
【0209】
HPLC (method B4): RT = 9.13 min (93%)。
【0210】
LCMS: m/z = 1334 (MH33+). Calculated for (MH33+): 1334。
【0211】
例2
【化34】

【0212】
[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]-OH
[Aib8;Arg26,34]GLP-1-(7-37)Lysineペプチドを、標準的なFmoc-固相ペプチド合成により調製し、プレパレイティブHPLCにより精製した。[Aib8;Arg26,34]GLP-1-(7-37)Lysineを、水 (10 ml) 中に溶解し、DIPEA (37μl) を添加した。17-((S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-{2-[2-({2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸tert-ブチルエステル4-[N-ヘキサデカノイルスルファモイル]酪酸 (16 mg) を、アセトニトリル (1 ml) 中に溶解し、少量ずつ添加した。反応混合液を、室温で40分間撹拌した後、凍結乾燥させたO/N。単離された化合物に、10 mlの90% TFA/5% TIS/5% 水を添加し、反応混合液を、30分間静置し、真空中で蒸発させ、ヘプタンと共蒸発させた。残った油状物を、1%のNH3-aqを含有する水15mlに溶解し、プレパレイティブHPLCにより精製して、標題化合物を得た。
【0213】
HPLC (method B4): RT = 9.25 min (100%)
LCMS: m/z = 1423 (MH33+). Calculated for (MH33+): 1423。
【0214】
例3
【化35】

【0215】
例4
【化36】

【0216】
[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys(4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)-ペプチド
150 mg 2-クロロトリチルクロライド樹脂 (1.4 mmol/g) から始まる[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lysペプチドを、Fmoc-固相ペプチド合成により、Advanced ChemtechのApex396を用いて調製した。Lys残基は、Lys(ivDde) として保護し、一方、他のアミノ酸の官能性側鎖は、酸に不安定な標準的な保護基で保護した。その後、NMP (1 ml) 中に溶解した4-((N-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)-N-(15-tertブトキシカルボニルペンタデカノイル)アミノ)メチル)安息香酸 (126 mg) を、DIC/HOAtを用いて、樹脂付着ペプチドにカップリングさせた。ペプチドは、最後に脱保護し、TFA/TIS/H2O/チオアニソール (90/5/3/2) を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、LC-MSにより単離した。
【0217】
HPLC: 51.5% アセトニトリルで溶出
MALDI-MS: 4025。
【0218】
例5
【化37】

【0219】
[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys(4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)-ペプチド
150 mg 2-クロロトリチルクロライド樹脂 (1.4 mmol/g) から始まる[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lysペプチドを、Fmoc-固相ペプチド合成により、Advanced ChemtechのApex396を用いて調製した。Lys残基は、Lys(ivDde) として保護し、一方、他のアミノ酸の官能性側鎖は、酸に不安定な標準的な保護基で保護した。その後、NMP (1 ml) 中に溶解した4-((N-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)-N-(17-tertブトキシカルボニルヘプタデカノイル)アミノ)メチル)安息香酸 (126 mg) を、DIC/HOAtを用いて、樹脂付着ペプチドにカップリングさせた。ペプチドは、最後に脱保護し、TFA/TIS/H2O/チオアニソール (90/5/3/2) を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、LC-MSにより単離した。
【0220】
HPLC: 54.4% アセトニトリルで溶出
MALDI-MS: 4057。
【0221】
例6
【化38】

【0222】
N-ε37-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][ImPr7,Glu22,Arg26,34,Lys37],GLP-1-(7-37)ペプチド
HPLC (method B6): RT = 32.4 min
HPLC (method A1): RT = 43.4 min
LCMS: m/z = 1419.3 (MH33+). Calculated for M+: 4254.8。
【0223】
例7
【化39】

【0224】
[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]-アミド
200 mg Tentagel RAM S樹脂 (0.26 mmol/g) から始まる[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lysアミドを、Fmoc-固相ペプチド合成により、Advanced ChemtechのApex396を用いて調製した。Lys残基は、Lys(ivDde) として保護し、一方、他のアミノ酸の官能性側鎖は、酸に不安定な標準的な保護基で保護した。2ユニットのOEG、Gluおよびオクタデカン二酸を、DIC/HOAtを用いて、樹脂付着ペプチドにカップリングさせた。ペプチドは、最後に脱保護し、TFA/TIS/H2O/チオアニソール (90/5/3/2) を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、LC-MSにより単離した。
【0225】
HPLC: 47% アセトニトリルで溶出
MALDI-MS: 4267。
【0226】
例8
【化40】

【0227】
[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys(4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)-アミド
200 mg Tentagel RAM S樹脂 (0.26 mmol/g) から始まる[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lysアミドを、Fmoc-固相ペプチド合成により、Advanced ChemtechのApex396を用いて調製した。Lys残基は、Lys(ivDde) として保護し、一方、他のアミノ酸の官能性側鎖は、酸に不安定な標準的な保護基で保護した。その後、NMP (1 ml) 中に溶解した4-((N-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)-N-(15-tertブトキシカルボニルペンタデカノイル)アミノ)メチル)安息香酸 (119 mg) を、DIC/HOAtを用いることにより、樹脂付着ペプチドにカップリングさせた。ペプチドは、最後に脱保護し、TFA/TIS/H2O/チオアニソール (90/5/3/2) を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、プレパレイティブHPLCにより単離した。
【0228】
HPLC: 51.5% アセトニトリルで溶出
MALDI-MS: 4028。
【0229】
例9
【化41】

【0230】
[Aib8,Arg26,34,Glu30]GLP-1(7-37)Lys[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]-ペプチド
150 mg 2-クロロトリチルクロライド樹脂 (1.4 mmol/g) から始まる[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lysペプチドを、Fmoc-固相ペプチド合成により、Advanced ChemtechのApex396を用いて調製した。Lys残基は、Lys(Mtt) として保護し、一方、他のアミノ酸の官能性側鎖は、酸に不安定な標準的な保護基で保護した。2ユニットのOEG、γGluおよび オクタデカン二酸を、DIC/HOAtを用いて、樹脂付着ペプチドにカップリングさせた。ペプチドは、最後に脱保護し、TFA/TIS/H2O/チオアニソール (90/5/3/2) を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、プレパレイティブLC-MSにより単離した。
【0231】
HPLC: 48.5% アセトニトリルで溶出
MALDI-MS: 4328。
【0232】
本発明の他の化合物は、以下のものを含む:
【化42】

【0233】
db/dbマウスを用いた薬力学的研究
本発明の一つの側面において、GLP-1アゴニストは、db/dbマウスに30 nmol/kg投薬した後、少なくとも24時間の作用持続期間を有する。
【0234】
薬効および作用持続期間を、db/dbマウスで測定する。
【0235】
オスdb/dbマウスを、8-10週齢でTaconic, Denmarkから輸送する。到着した時から、マウスは、標準的な条件下において、ただし24℃で飼育される。マウスは、実験まで、標準的な食事 (Altromin, Brogaarden APS., Denmark) および水道水に自由にアクセスさせて、通常の日光サイクル (6 amにライトをつける) で、ケージあたり10個体を維持する。マウスは、3週間にわたって1週間につき1実験で使用する。この後、マウスを安楽死させる。
【0236】
1週間の順応期間の後、血中グルコースを、尾部先端の毛細血管からサンプリングすることにより測定する。要するに、5μlの血液を、ヘパリン添加ガラスキャピラリーチューブにサンプリングし、すぐに1.5 mlエッペンドルフチューブ内の250μl EBIO緩衝溶液 (Eppendorf, Germany) に懸濁する。血中グルコース濃度は、グルコースオキシダーゼ法により、EBIO Plus Auto analyser (Eppendorf, Germany) で測定する。
【0237】
血中グルコースの値のカットは10 mMである。マウスを評価する際、実験に入る42のマウスすべてが、10 mMを越える血中グルコース値を有し、更にマウス間の分散が小さいことが必須である。したがって、多くのマウスは重い糖尿病ではないが、幾つかのマウスがそうである場合、実験のスタートアップは、1週間延期し、新たな基底血中グルコース測定を行うべきである。
【0238】
マウスは、基底血中グルコース値に基いて、グループ平均血中グルコース値を一致させて、n=6の7グループに割り当てる。
【0239】
テストの日に、基底血中グルコースのモーニング値を上述のとおり評価し、各マウスの基底体重を評価する。タイム0で、化合物を首筋に皮下投薬する (投薬量 約300μl/50 gマウス)。血中グルコース値を、48時間まで (タイム1, 3, 6, 24および48 h) 追跡し、終点の体重を評価する。
【0240】
すべてのデータをGraphpad Prismに入れ、ここで平均血中グルコースおよび平均デルタ体重を計算する。
【0241】
本発明の一つの側面は、延長した血漿半減期を有し、かつ週1回の投与に適したGLP-1類似体/誘導体を調製することである。薬物動態学的特性は、以下に記載するとおりミニブタまたは家畜ブタで評価することができる。
【0242】
週1回のGLP-1類似体の薬物動態学的スクリーニング
適切な週1回の候補物質を同定するためのGLP-1類似体の薬物動態学的スクリーニングは、糖尿病マウスモデル (db/dbマウス) でのグルコース低下能についてプロジェクトスクリーニングプランにより十分効果があることが示され、かつその後db/dbマウスモデルにおいて48時間以上の持続期間を有していた候補物質について行った。
【0243】
一次スクリーニング
薬物動態学的スクリーニングの第一のパートは、8-12 kgの体重の3匹のミニブタに2 nmol/kgを単回投薬で皮下投与することから構成された。血液サンプルは、投薬前、0.5、1、2、4、6、8、12、24、48、72、96および120時間の注入後に、各動物から採取した。すべての血液サンプルは、GLP-1類似体の酵素的分解を防ぐために、EDTA (二ナトリウム) 0.18 M、Aprotenin 15000 KIE/ml、Val-Pyr 0.30 mM、7.4に調整されたpHから成る特別な安定化緩衝液を用いて安定化した。血漿は、安定化された血液サンプルのそれぞれから、遠心分離 (4℃、10分、1270 G (4000 rpm) により回収し、ELISAアッセイによりGLP-1類似体の含量について分析した。血漿の分析に関して、3つの異なるELISAアッセイを使用した: 35 pMの検出限界 (LOD) および35-30000 pMのダイナミック分析レンジで、N-末端がインタクトな7-37GLP-1分子およびN-末端が酵素的に分解された9-37GLP分子の両方を検出する抗体コンビネーションF1/Ra2135を使用する「トータルアッセイ」。抗体コンビネーションF1/Mab26.1を使用する「インタクトなアッセイ」。このアッセイは、N-末端がインタクトな7-37GLP-1分子のみを検出した。LODは35 pMであり、ダイナミック分析レンジは35-30000 pMであった。抗体コンビネーションF1/GLP162-3F15を使用する「Aib-インタクトなアッセイ」。このアッセイは、GLP-1分子のAib安定化N-末端を検出し、安定化されたGLP-1類似体の検出を可能にした。LODは45 pMであり、ダイナミック分析レンジは45-30000 pMであった。
【0244】
すべての血漿濃度−時間プロファイルは、ノンコンパートメント分析により、薬物動態学的に分析した。データが許せば、以下の薬物動態学的パラメータを計算した: tmax、Cmax、AUC、AUC/Dose、AUC%Extrapol、λz、t1/2、CL/F、Vz/FおよびMRT。
【0245】
二次スクリーニング
薬物動態学的スクリーニングの第二のパートは、60-70時間以上の初期のターミナル半減期を有する化合物について行った。このスクリーニングは、各ルートの投与に対して、6匹のミニブタに2 nmol/kgを単回投薬で静脈内投与および皮下投与することから構成された。血液サンプリングのスケジュールは、静脈内投与後および皮下投与後、それぞれ、0-120時間から0-432時間および0-504時間に延長した。これは、薬物動態学的パラメータ推定値、とりわけターミナル半減期、AUC、および導き出されるパラメータ、クリアランスおよび分布体積の精度および正確性を増大させるため、および皮下投与後のバイオアベイラビリティを評価するために行った。
【0246】
GLP-1 (AIB8-インタクト) アッセイ
アッセイは、検体とキャッチャーおよびディテクター抗体との同時インキュベーションを伴う二部位アッセイ(two-site assay)であった。使用可能な状態の化学発光基質を、シグナルを最大化するために使用した。アッセイは、内在性GLP-1 (7-37) またはDPPIV切断GLP-1 (9-37) のいずれも認識しない。
【0247】
GLP-1アッセイのためのリファレンス血漿
0-血漿は、絶食動物から、バリンピロリジドおよびアプロチニンなしで、プールEDTA血漿から調製した。プールEDTA血漿は、微量のGLP-1を除去するために37℃で4時間インキュベートし、インキュベーション後、バリンピロリジドおよびアプロチニンを添加した。
【0248】
緩衝液
コーティング緩衝液
コーティング緩衝液としてPBSを使用した: 10mM リン酸ナトリウムおよび145mM 塩化ナトリウム、pH 7.4に調整
洗浄緩衝液
0.05% (v/v) Tween 20を含むPBS
アッセイ緩衝液
0.05% (v/v) Tween 20、10g/L BSAおよび10mg/L anti-TNPを含むPBS
ストレプトアビジン緩衝液
追加の0.5M NaClを含む洗浄緩衝液
基質
使用可能な状態の基質SuperSignal ELISA Femto (Pierce, cat.no. 37075)
スタンダード
スタンダードは、25μMストック溶液の0113-0000-0217から調製した。ペプチドをリファレンス血漿に連続希釈して、最終濃度30000-10000-3333-1111-370-123-41および0 pMのスタンダードを作成した。スタンダードは、Micronicチューブに100μLずつ入れて-20℃で保存した。
【0249】
アッセイの手順
Crystal 2000 Microplates (black) を、モノクローナル抗体GLPb1-7F1、PBS中5μg/mLの100μLにより、4℃で一晩コーティングした。
【0250】
プレートを、自動プレート洗浄機 (SkanWasher, Skatron) で洗浄緩衝液により5回洗浄し、洗浄緩衝液と少なくとも30分間静置させて、残りの部位をブロックした。
【0251】
20μLのサンプルまたはスタンダードを、2つずつ各ウェルに添加し、すぐに100μL ビオチン化GLP162-3F15、アッセイ緩衝液中1μg/mLを添加した。プレートを、プレート振盪機上で室温において2時間インキュベートし、上述のとおり5回の洗浄サイクルを行った。
【0252】
100μLのストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ溶液 (KPL, code 14-30-00, ストレプトアビジン緩衝液中1:20000) を、各ウェルに添加し、プレート振盪機上で室温において1時間インキュベートした。プレートを上述のとおり洗浄し、空にした後、100μLのSuperSignal femtoを添加した。プレートを振盪機上に1分間置き、Orion Luminometer (Berthold) で測定した。データをMultiCalcに移し、加重(weighted)4PL法を用いて標準曲線を計算した。サンプル濃度を標準曲線から計算した。
【0253】
GLP-1 (トータル) アッセイ
アッセイは、検体とキャッチャーおよびディテクター抗体との同時インキュベーションを伴う二部位アッセイ(two-site assay)であった。アッセイは、N-末端で切断されたGLP-1をGLP-1(12-37)まで認識する。
【0254】
緩衝液
コーティング緩衝液
コーティング緩衝液としてPBSを使用した: 10mM リン酸ナトリウムおよび145mM 塩化ナトリウム、pH 7.4に調整
洗浄緩衝液
0.05% (v/v) Tween 20を含むPBS
アッセイ緩衝液
0.05% (v/v) Tween 20、10g/L BSAおよび10mg/L anti-TNPを含むPBS
ストレプトアビジン緩衝液
追加の0.5M NaClを含む洗浄緩衝液
基質
使用可能な状態の基質TMB (KemEnTec code 4380A)
停止緩衝液
4 M H3PO4
スタンダード
スタンダードは、25μMストック溶液の0113-0000-0217から調製した。ペプチドをリファレンス血漿に連続希釈して、最終濃度30000-10000-3333-1111-370-123-41および0 pMのスタンダードを作成した。スタンダードは、Micronicチューブに100μLずつ入れて-20℃で保存した。
【0255】
アッセイの手順
Maxisorpマイクロタイタープレート (NUNC) を、モノクローナル抗体GLPb1-7F1、PBS中5μg/mLの100μLにより、4℃で一晩コーティングした。
【0256】
プレートを、自動プレート洗浄機 (SkanWasher, Skatron) で洗浄緩衝液により5回洗浄し、洗浄緩衝液と少なくとも30分間静置させて、残りの部位をブロックした。
【0257】
20μLのサンプルまたはスタンダードを、各ウェルに添加し、すぐに100μL ビオチン化Ra2135、アッセイ緩衝液中1μg/mLを添加した。プレートを、プレート振盪機上で室温において2時間インキュベートし、上述のとおり5回の洗浄サイクルを行った。
【0258】
100μLのストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ溶液 (Amersham Bioscinces code RPN4401V, アッセイ緩衝液中1:8000) を、各ウェルに添加し、プレート振盪機上で室温において1時間インキュベートした。プレートを上述のとおり洗浄し、空にした後、100μLのTMBを添加し、5分後100μL H3PO4で停止させた。
【0259】
プレートを、Victor Multilabel Reader (Wallac) で測定した。データをMultiCalcに移し、加重(weighted)4PL法を用いて標準曲線を計算した。サンプル濃度を標準曲線から計算した。
【0260】
生存中の(in-life)実験手順、血漿分析および 薬物動態学的分析は、一次スクリーニングにおいて記載されたものと同じであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して、位置7および/または8に少なくとも一つの非蛋白原性アミノ酸残基の改変を有するGLP-1類似体であって、少なくとも二つの酸性基を含む部分により位置37または38のリジン残基がアシル化され、一つの酸性基が末端に結合しているGLP-1類似体。
【請求項2】
位置37または38に結合した部分が、親水性リンカーを含む、請求項1に記載のGLP-1類似体。
【請求項3】
親水性リンカーが、少なくとも5つの非水素原子を含み、これらの30−50%がNまたはOの何れかである、請求項2に記載のGLP-1類似体。
【請求項4】
位置37または38に結合した部分が、親水性リンカーによりペプチドから分離されたアルブミン結合部分を含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項5】
アルブミン結合部分が、末端酸性基を有する4−40の炭素原子を含有する直鎖または分枝の親油性部分である、請求項4に記載のGLP-1類似体。
【請求項6】
上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体であって、前記部分は、B−U’を含み、U’は
【化1】

から選択されるスペーサーであり、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
nは1, 2または3であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
tは0, 1, 2, 3, または4であり、
pは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23であり;
Bは
【化2】

から選択される酸性基であり、
lは12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19または20である、GLP-1類似体。
【請求項7】
式Iの請求項1〜6の何れか1項に記載のGLP-1類似体:
【化3】

ここで
Xaa7は、L-ヒスチジン、イミダゾプロピオニル、α-ヒドロキシ-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニンまたは4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Thr、Ser、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa16は、ValまたはLeuであり;
Xaa18は、Ser, LysまたはArgであり;
Xaa19は、TyrまたはGlnであり;
Xaa20は、LeuまたはMetであり;
Xaa22は、Gly, GluまたはAibであり;
Xaa23は、Gln, Glu, LysまたはArgであり;
Xaa25は、AlaまたはValであり;
Xaa26は、Lys, GluまたはArgであり;
Xaa27は、GluまたはLeuであり;
Xaa30は、Ala, GluまたはArgであり;
Xaa33は、ValまたはLysであり;
Xaa34は、Lys, Glu, AsnまたはArgであり;
Xaa35は、GlyまたはAibであり;
Xaa36は、Arg, GlyまたはLys, または存在せず;
Xaa37は、Gly, Ala, Glu, Pro, Lys, Asnまたは存在せず;
Zは、OHまたはNH2であり、
U’は、
【化4】

から選択されるスペーサーであり、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
nは1, 2または3であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
tは0, 1, 2, 3, または4であり、
pは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23であり;
Bは
【化5】

から選択される酸性基であり、
lは12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19または20である。
【請求項8】
請求項7に記載のGLP-1類似体であって、U’は
【化6】

であり、
mは0, 1, 2, 3, 4, 5, または6であり、
nは1, 2または3であり、
sは0, 1, 2, または3であり、
tは0, 1, 2, 3, または4であり、
pは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, または23である、GLP-1類似体。
【請求項9】
請求項6〜8の何れか1項に記載のGLP-1類似体であって、
mは2, 3, 4または5であり;
nは1または2であり;
sは0, 1, または2であり;
tは0, 1, 2, または3であり;
pは1, 2, 3, 4, または7である、GLP-1類似体。
【請求項10】
lが14、15、16、17または18である、請求項6〜7の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項11】
sが1である、請求項6〜9の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項12】
lが16である、請求項6〜7および10の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項13】
pが3または4である、請求項6〜9の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項14】
nが1である、請求項6〜9の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項15】
請求項6〜14の何れか1項に記載の化合物であって、
Xaa7は、Hisまたはデスアミノ-ヒスチジンであり;
Xaa8は、Ala, Gly, Val, Leu, Ile, LysまたはAibであり;
Xaa16は、Valであり;
Xaa18は、Serであり;
Xaa19は、Tyrであり;
Xaa20は、Leuであり;
Xaa22は、Gly, GluまたはAibであり;
Xaa23は、GlnまたはGluであり;
Xaa25は、Alaであり;
Xaa26は、LysまたはArgであり;
Xaa27は、Gluであり;
Xaa30は、AlaまたはGluであり;
Xaa33は、Valであり;
Xaa34は、LysまたはArgであり;
Xaa35は、GlyまたはAibであり;
Xaa36は、Arg, Lys, または存在せず;
Xaa37は、Gly, Asnまたは存在せず;
Zは、OHまたはNH2である、化合物。
【請求項16】
請求項14に記載の化合物であって、
Xaa7は、Hisであり;
Xaa8は、Aibであり;
Xaa16は、Valであり;
Xaa18は、Serであり;
Xaa19は、Tyrであり;
Xaa20は、Leuであり;
Xaa22は、GlyまたはGluであり;
Xaa23は、Glnであり;
Xaa25は、Alaであり;
Xaa26は、Argであり;
Xaa27は、Gluであり;
Xaa30は、Alaであり;
Xaa33は、Valであり;
Xaa34は、Argであり;
Xaa35は、Glyであり;
Xaa36は、Argであり;
Xaa37は、GlyまたはAsnであり;
Zは、OHまたはNH2である、化合物。
【請求項17】
位置22のGluへの改変を含む、請求項1〜16の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項18】
GLP-1(7-37)配列の位置7にN-末端L-ヒスチジンの改変を含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項19】
イミダゾプロピオニル7、α-ヒドロキシ-ヒスチジン7またはN-メチル-ヒスチジン7、D-ヒスチジン7、デスアミノ-ヒスチジン7、2-アミノ-ヒスチジン7、β-ヒドロキシ-ヒスチジン7、ホモヒスチジン7、Nα-アセチル-ヒスチジン7、α-フルオロメチル-ヒスチジン7、α-メチル-ヒスチジン7、3-ピリジルアラニン7、2-ピリジルアラニン7または4-ピリジルアラニン7を含む、請求項17に記載のGLP-1類似体。
【請求項20】
GLP-1(7-37)配列の位置8におけるL-アラニンの、別のアミノ酸残基への置換を含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項21】
Aib8、Gly8、Val8、Ile8、Leu8、Ser8、Thr8、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸を含む、請求項20に記載のGLP-1類似体。
【請求項22】
Aib8を含む、請求項21に記載のGLP-1類似体。
【請求項23】
GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した15以下のアミノ酸残基を含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項24】
GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した10以下のアミノ酸残基を含む、請求項23に記載のGLP-1類似体。
【請求項25】
GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、置換、付加、または欠失した6以下のアミノ酸残基を含む、請求項24に記載のGLP-1類似体。
【請求項26】
遺伝暗号によりコードされない3以下のアミノ酸残基を含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項27】
リジン残基を1つだけ含む、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項28】
前記リジンが、配列GLP-1(7-37)(配列番号1)に対して位置38にある、上記請求項の何れか1項に記載のGLP-1類似体。
【請求項29】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化7】

Lysε38((4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)[Gly8;Arg26,34;Lys38]GLP-1-(7-37)ペプチド、
【化8】

[Aib8,Arg26,34]GLP-1(7-37)Lys[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]-OH、
【化9】

【化10】

【請求項30】
GLP-1類似体の患者における作用時間を増大させる方法であって、前記GLP-1類似体の位置37または38のリジン残基において、上記請求項の何れかに開示されるとおり部分B−U’により前記GLP-1類似体をアシル化することを特徴とする方法。
【請求項31】
GLP-1類似体の患者における作用時間を約40時間を超えて増大させる方法であって、GLP-1(7-37)ペプチドまたはその類似体の位置7および8のアミノ酸残基の少なくとも一つを改変し、前記GLP-1類似体の位置37または38のリジン残基において、上記請求項の何れかに開示されるとおり部分B−U’−により前記GLP-1類似体をアシル化することを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項1〜29の何れか1項に記載の化合物および薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項33】
非経口投与に適した、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
医薬の調製のための、請求項1〜29の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項35】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、異脂肪血症(dyslipidemia)、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病および他の心臓血管疾患、発作、炎症性腸症候群、消化不良症および胃潰瘍の治療または予防のための医薬を調製するための、請求項1〜29の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項36】
2型糖尿病の疾患進行の遅延または予防のための医薬を調製するための、請求項1〜29の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項37】
食物摂取の減少、β−細胞のアポトーシスの減少、β−細胞の機能およびβ−細胞の総量の増大、および/またはβ−細胞に対するグルコース感受性の回復のための医薬を調製するための、請求項1〜29の何れか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−533106(P2008−533106A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501335(P2008−501335)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060856
【国際公開番号】WO2006/097538
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】